美城専務「今週の流行情報だ」 (60)


これはモバマスssです

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「有能すぎるのも困り者だな、次までに仕事を用意しておこう」


専務(以前この台詞を言ったのは、一体何時だっただろう)


専務(社の者達に私直々の任務を与え、それをこなした者には相応の報酬を手渡す)


専務(そんな私とプロデューサー達との数少ない顔合わせは、最近めっきりなくなってしまった)


専務(者のシステムの向上化の影響で、任務はメールで一斉送信となり)


専務(報酬も、私ではなく各部署のアシスタントが届けるようになってしまった)


専務(おかげで私は、一人このだだっぴろい部屋に腕を組んで座っている)


専務(まったく、システムが有能過ぎるのも困りものだな)


専務(それは良い、より効率的な業務の消化…素晴らしい事だ)


専務(問題は、私の存在が忘れられかけてはいまいか、という事だ)


専務(未だに常務と呼んでくる輩も多い)


専務(何かキッカケを作り、私の存在と威厳を社に知らしめるべきではないだろうか?)



専務(私の有するプロジェクトクローネの輝きは、既に全世界に届いている)


専務(しかし、星の輝きは私のおかげなのだと自慢する太陽なんて皆まっぴらだろう)


専務(ここはひとつ、小さく、しかし重要な出番を…)


専務(仕方ない、あまり頼りたくは無かったが…)


専務(あまり表立つ事はなく、けれど確実な実力とコネを持った765プロの社長…やつから何か学ぶしかない)


専務(…ふむ、成る程…)


専務(今週の流行情報、か…)


専務(これなら確かに、短い時間で重要な情報の伝達が出来る)


専務(きっと皆、私の事を縁の下の力持ちだと再認識するだろう)


専務(そうと決まれば早速、放送室へ向かうとするか)



~放送室~


スタッフ「シンデレラプロジェクトの千川さん、千川さん。お客様がお越しです、一階の


ガチャ


専務「失礼する」


スタッフ「え?!常務?!如何しましたか?」


専務「私の事はいい、直ぐに放送へ戻りたまえ。それと私は専務だ」


スタッフ「し、失礼しました…一階の応接室へお越しください」


専務「突然のハプニングにも慌てず対応したまえ、君も346プロの一員なのだから」


スタッフ「はい…それで、放送室に何か…?」


専務「少し業務連絡だ。借りるぞ」



ピンポンパンポーン


専務「…コホンッ。おはよう諸君。今週の流行情報だ、今週は……」


専務(不味い、何も考えていなかったぞ)


専務(Vi.Daの様な情報は当然プロデューサー達なら知っているだろう)


専務(かと言って、輝きに満ちた、や氷の様な瞳と言ったアバウトな情報では理解出来ない者もいる…)


専務(…仕方ない、どの様なアイドルか、にしておこう)


専務「今週の流行は宮本フレデリカだ。各自、イメージ戦略を調整しておく様に」


ピンポンパンポーン


専務「…決まった」


専務「ふぅ…一仕事した後の珈琲は美味いな」


専務「さて…一応我が社を代表するユニット、プロジェクトクローネの部屋へ行こうか」


専務「彼女達には期待している。先日千川から貰った飲み物でも差し入れに持っていくとしよう」


ガチャ


専務「おはよう諸君」


フレデリカ「ポンジュ~ス、美城じょーむ!」


専務「宮本、私は常務ではなく専務だ。次間違えたらそれ相応の罰を受けて貰おう」


フレデリカ「メーデーメーデー、こちら宮本!これより佐々木小次郎との戦闘に入る。おっけー!」


専務「それは無線だ。ところで他の者達は…」




フレデリカ「ですから、私はフレデリカではなく宮本です!」


フレデリカ「おなかすいたーん」


フレデリカ「だーかーらー!別にフレちゃんはアニメに興味なんてないっつってるだろ!」


フレデリカ「はいはい、今日からハッピーセットがフルボッコちゃんらしいよ?」


フレデリカ「そ、そこまで言うなら付き合ってやらない事もないけど…」


フレデリカ「皆さん…図書室では、お静かに…滅っしますよ?」


フレデリカ「あら、今日は夜から冷え込むのね…誰かさんに、キスで温めて貰わないと」


フレデリカ「フレデリカも一緒にサイクリングであったまる?風を切るあの瞬間が心地いいよ」


専務「…宮本しかいない」


専務(…なんだこれは、なんてディストピアだ?)


専務(部屋が、宮本で溢れている)

専務の つるのひとこえ !

観葉植物が全部うえきちゃんになってそう

(溢れているっ!!)

天国かよ

専務にとっては地獄じゃないかな?

一週間の辛抱だから……

流行ってインフルエンザ的なインフレデリカ

世界中が卯月で溢れるホラーが

ふじともちゃんで溢れるやつならムニャムニャ
これ身長はちっちゃかったりするのかな、ロリデリカちゃん的な

フレデリカだから場が混沌と化すだけで済んでるけど、これが武uぴにゃこら太や中居くんさんだったら…


専務「…これは一体どう言う事だ?説明したまえ」


フレデリカ「なにをいっているのかしら…?フレちゃん達は、いつも通りありのままの姿よ?」


専務「お前は…速水か。自分の姿をみて何とも思わないのか?」


フレデリカ「自分の姿、ね。果たして今見えているこの姿が、本当にその人の心を写しているのかしら?」


専務「少しまえに言った台詞を思い出してみろ。おい、宮本」


フレデリカ「はいはーい、呼んだ?四だ?死んだ?」


専務「君にいなくなられては困るな…そうではなく、何故皆同じ姿をしているのだ」


フレデリカ「駄目よ、その先を見ないと。一目見ただけで同じだと判断するのは早計だわ」


専務「速水は黙っていてくれ」


フレデリカ「ですから!宮本と呼んでください!」


フレデリカ「…五月蝿いですよ、みなさん。読書の妨げは重罪です」


専務「…失礼した」


フレデリカ「ねぇ、何かおかしいの?」


フレデリカ「さぁ?専務の事だしまた変な事考えてるんだろ」


専務(…ここにいては頭がおかしくなりそうだ…出よう)


バタンッ



専務(…なんだ、何が起きている)


フレデリカ「やぁ、珍しいじゃないか。君が流行情報のアナウンスなんて。どんな風の吹き回しなんだい?」


専務(この口調は…今西部長か)


専務「…いえ、特に。丁度そう言った情報が回ってきたから通知したまでです」


フレデリカ「成る程ね…僕はそう言うの、悪くないと思うよ」


専務「私はまた部屋に戻るので、何かあれば」


フレデリカ「そう言えば、なんだがね?この事務所から、喫煙所を消そうとしているそうじゃないか」


専務「その話は後日にして下さい」


専務(長くなりそうだし、何より宮本の見た目でタバコの話をするんじゃない)


専務(…もしかして、この事務所の人間全てが宮本になっているのか?!)


フレデリカ「やれやれ、喫煙者の肩身は狭くなるなぁ…」




~シンデレラプロジェクトの部屋~


専務「失礼する」


フレデリカ「フレデリカちゃーん!お仕事いくにぃー!」


フレデリカ「い、いやだっ!コンビニみたいなユニット名の活動なんて行きたくないぞ!」


フレデリカ「みんなまってるにぃー」


フレデリカ「絶対片方はまだ本読んでるしもう片方はアホな事してるって!…ん、専務じゃん」


専務「…君たちのプロデューサーはいるか?」


フレデリカ「奥の部屋でフレデリカちゃんとフレデリカちゃんとフレデリカちゃんと打ち合わせ中ですが…急用ですか?」


専務「…あー…結構だ。私がここに来た事も伝えなくていい。失礼したな」


バタンッ




フレデリカ「ボンバー!」


フレデリカ「待ってフレデリカちゃーん」


フレデリカ「時の流れは待ってくれない…分かるわ」


フレデリカ「陶器のトキ…んふっ、いまいちね」


フレデリカ「この廊下暑いですねー、脱いでいいですか?」


フレデリカ「ま、まだダメッ!」


専務(なるほど…ダメみたいだな、この事務所は)


専務(となると、外の状況だが…)


専務(窓から外を見下ろせば、沢山の宮本が行き交っている)


専務(…一体、何が…)


フレデリカ『珍しいじゃないか。君が流行情報のアナウンスなんて』


専務「…まさかっ」


専務「私が、今週の流行は宮本フレデリカだ、と言ったからなのか…?」



専務「…私はなんて間抜けな事を考えているんだ。一度顔を洗って頭を冷やそう」


専務「なにっ?!」


専務(顔を洗おうと洗面器の前に立ち、鏡に映った自分の姿に驚愕した)


専務「…私まで、宮本になっている…」


専務「なんて事だ…一体、何が起こっているんだ…」


専務「いや、今は慌てている場合ではないな。状況を把握し冷静に行動しよう」


専務「私がアナウンスしたから皆が宮本になった。これは置いておくとしよう」


専務「これによって、何か弊害が生まれるか?」


専務「現時点で、誰もその違和感に気付いていない。仕事も滞りなく進んでいる」


専務「つまり、問題はない」


専務「これは事故だと思って過ごすとしよう」


専務「私の予想が正しければ、一週間で元に戻る筈だ」

(撤回のアナウンスをしようとは考えないのか…)

朝令暮改はなぁ

専務(笑)になってしまうからな


専務(そう言えば、私のアナウンスによってこの様な状況になってしまったのだとしたら、だ)


専務(訂正、又は別のアナウンスを入れれば元に戻れるのではないか?)


専務(…やってみる価値はありそうだ)


~放送室~


専務(…ふむ、誰もいない、か)


専務(よし、早速放送をいれてみよう)


専務(前言を撤回するなんて、などと言う戯言もあるかもしれないが、このディストピアを抜けられるならなんでもいい)


専務(…ふぅ、やるしかない)



ピンポンパンポーン


専務「私だ。今週の流行はありのままの自分を出すことだ」


ピンポンパンポーン


専務「さて…」


ガチャ


専務(放送室の外に出てみたが…ダメか。みな宮本のままだ)


専務(仕方がない、このまま一週間過ごすとしよう)


フレデリカ「…あっ…お疲れ様です、専務」


専務「君は…シンデレラプロジェクトのプロデューサーか」


フレデリカ「先ほどの放送は、一体…」


専務「君の木にする事ではない。やりたい様にするといい」


専務(敬語で物腰柔らかな宮本…奇妙なものだ)



専務(それから、なんとか私は一週間を乗り越えた)


専務(私以外のみなが違和感に気付かない、宮本だらけの世界)


専務(正直気が狂いそうだった、特に他社の者達との会議の時など)


専務(しかし、この程度で倒れてしまっては美城の名が泣く)


専務(それに私は専務なのだ。その役職に恥じるような事は出来ない)


専務(ふんふんふふーんの海を乗り越え、漸くまた翌週がやってきた)


~放送室~


専務(ここで私が、ありのままが一番だと言えば)


専務(おそらくみな、宮本から元の姿に戻れるのだろう)


専務(…けれど、今週の流行は寡黙で知的な女性)


専務(つまるところ、鷺沢の様なアイドルだ)


専務(元に戻すべきか、職務を全うすべきか)


専務(…何を迷っている?私は専務なのだぞ)


専務(どちらを優先すべきか、考えるまでもない)




ピンポンパンポーン


専務「今週の流行は鷺沢文香だ。各自、イメージ戦略を調整しておくように」


専務(これでいいのだ)


専務(もしかしたら、みな何て事なく元どおりになっているかもしれない)


専務(そんな超常現象的な事がなんども起きてたまるか)


ガチャ


専務(しかし、放送室を出た私の希望は一瞬で打ち砕かれた)

流行に嘘はつけない系専務


文香「お疲れ様です。よろしければ今夜、お酒でも如何でしょうか…?」


文香「すみませんが…明日、朝早くからお仕事ですので…」


文香「あら、お酒の誘いを避けられてしまいました」


文香「文香さん、どうしてタロットカードを持ち歩いているんですか?」


文香「今日のラッキーアイテムなのよ!」


文香「では私にも分けて下さい!」


文香「文香さんは無くても運いいでしょ?」


文香「ボンバァァァァァァア!!!」


文香「文香ちゃん!ここ屋内ですよー!」


専務(…一応、プロジェクトクローネの部屋も覗いておくとしよう)



ガチャ


専務「失礼する」


文香「ふんふんふふーん、ふみかー」


文香「文香さんを馬鹿にしないで下さい!」


文香「だーかーら!私はラノベなんて興味ないんだって!」


文香「…文香さん。ライトノベルも、立派な文学ですよ?」


文香「あーいや、ラノベを馬鹿にしたわけじゃないしむしろ私は大好きっていうか…あー…」


文香「そいでね!昨日食べたチョコペヤングがチョーおいしくってね!」


文香「蒼の剣を受けよ!アイオライトブルー!」


文香「甘いわ、文香。シークレットキスサイン!」


専務「…失礼した」


バタンッ



専務(まぁ、鷺沢の姿ならまだマシだ)


専務(どうとでもなるだろう)


文香「おや、専務じゃないか。今日は楽しみにしているよ?」


専務「…今西部長ですか。何かありましたか?」


文香「確か今日は、社のもの達と焼肉に行く予定だったろう?」


専務「む…そうか。店の予約も取ってある、味はこちらが保証しよう」


文香「楽しみにしているよ。最近焼肉なんてめっきり行っていなかったからね」




~夜、焼肉屋~


専務「それではみな、乾杯」


文香s「かんぱーい!」


専務「今日は無礼講で構わない。焼肉の場で立場なんて気にしていたら楽しめないだろう」


文香「おぉ、美味しそうなお肉だね。食べすぎてしまいそうだ」


文香「ところで、お支払いの方は専務持ちなんですか?」


専務「君は…アシスタントの千川か。気にするな、この場は私が持つ」


文香「それでは遠慮なく頂きます」


文香「おいおい、今肉焼いたばかりなのにもうないぞー!」


文香「おかしいな、ほんの数秒前まであったのに」


文香「…気のせいではないでしょうか…?兎に角、次のお肉を注文して下さい…」


文香「まぁいいか、すみませーん」


文香「あ、ついでに生おかわり」


文香「ぷはー!まだ週頭なんて考えたくないなぁ!」


専務(…想像以上に酷い光景だ)


専務(鷺沢の姿で、みなが肉にがっついてジョッキを傾けているなんて)


専務(とはいえ途中で帰るわけにもいかない。耐えるとしよう)



文香『それでは、今週のお天気です』


ぴっ


文香『今日ご紹介する商品はこちらっ!』


ぴっ


文香『見てください…この、とろけそうなお肉…!』


ぴっ


専務「…ふぅ」


専務(どうなる事かと思ったが、鷺沢が溢れている世界というのも存外悪くないな)


専務(みなが落ち着いている様に見えるし、クローネも少し静香になったような気がする)


専務(こう言うのなら、悪くはないのだがな)


専務(しかし、もう週末だ。そして来週の流行は…)


専務(このまま鷺沢にしておきたいところだが、職務を全うしないわけにもいくまい)


専務(さて…来週は疲れるぞ)



~放送室~


ピンポンパンポーン


専務(…ふぅ)


専務「今週の流行は双葉杏だ。各自、イメージ戦略を調整しておくように」


ピンポンパンポーン


専務(さて…どうなるか)


専務(あとついでに、高い所に手が届かなくなって色々と弊害が生まれそうだが…)





杏「ふんふんふふーん、ふたばー!」


杏「んっ…戸棚の上に隠しておいた本に、手が届きません…」


杏「なんで隠しておいたんですか…」


杏「最近のハッピーセットって完成度たかいなぁ!うぉお、細部まで凝ってる!」


杏「ごめん杏、ちょっと冷蔵庫のお菓子取りたいから肩車してくれる?」


杏「なんで私なんだよ!」


杏「一番上のは杏のだよーん。名前書いてあるから食べないでねー」


杏「ふぅ…やるね。でもまだまだいくよっ!アネモネスター!」


杏「だから、無駄だって言ってるじゃない。エンドレスナイトっ!」


専務「…保育園かここは!」


杏「わぁお、どーしたの?保育士さんごっこ?」


専務「…いや、なんでもない。失礼した」



凛ちゃんと奏が激しいバトルを繰り広げてる



杏「いやだっ!私は働かないぞー!」


杏「杏ちゃん!お仕事いくにぃー」


杏「あれ?杏力よわくなった?」


杏「むぇー、なんでかいつもみたいに抱き抱えられないにぃ…」


杏「これはアレだよ、一緒にサボろうって神の啓示だよ」


杏「杏ちゃん?チョップですよ?」


杏「ウィッス」


専務(…ふむ、全人類が双葉レベルの身長と筋力になってしまっては色々と混乱してしまいそうだな)


専務(これは失敗だったか…?いや、流行情報は絶対だ。私がどうこうできる問題ではない)


専務(それにしても…)


杏「双葉杏、がんばりますっ!」


杏「杏ちゃん、ケーキ作ってきたよー!」


杏「杏もケーキ食べるー!」


専務(ほんとうに、まるで保育園みたいだな)

専務 ひとつ質問いいかな
アーニャと唯 どこに行った?


杏「募金にご協力くださーい!」


杏「私達が5分寝てる間に、ブラジルでは五分もの時間が進んでいまーす!」


専務(双葉達が募金活動をしている…普段ならあまり気にも留めないがあの見た目だと募金したくなってしまう)


杏「今作の日本の政治はー!!」


杏「おかあさーん、夜はあん肝が食べたい!」


杏「昨日食べたばかりでしょ?」


専務(宮本や鷺沢以上に、奇妙な光景だ)


専務(早く翌週になって、流行情報を更新しなければ…)


杏『杏!引きこもってないで働きなさい!』


杏『いやだっ!私は働かないぞっ!』


杏『このように、今作の日本ではひきこもりやニートが問題にーー』


ぴっ


杏『リズム感は良いんですよ』


ぴっ


専務(何とか世界はまわっているが、どうにもカメラの視点が低い様だな)


専務(近場のビルの工事も停滞してしまっている様だ)


専務(次の流行は一般的な身長と筋力があることを期待しているぞ)




専務「さて、今週の流行は…む、ありのままでいる事、か」


専務「ようやくだ…ようやく、この奇妙な世界から抜け出せる」


専務「小さい子達が騒いでうるさいのは、あまり気分の良いものではなかったからな」


専務「だが、もう終わりだ」


専務「おっと、放送室へ行かなければ。どうやら私が次の流行情報をアナウンスするまで、この姿は元には戻れない様だからな」


専務「これで…ようやく、終われるのか」


専務「もう二度と、流行情報のアナウンスなんてするまい」


専務「世界を混乱の渦に巻き込むのは、私ではなくアイドル達であるべきだ」



~放送室~


専務「…このアナウンスをすれば…」


専務(宮本、鷺沢、双葉と…奇妙な世界を、どうやら私だけが体験していたようだが…)


専務(私一人しか気付いていない世界も、このアナウンスで終わる)


専務(さて…始めようか)


ピンポンパンポーン


専務「みな、おはよう。どうやら私は様々な迷惑をかけてしまったようだ」


専務「此処に謝罪する。迷惑を掛けたな」


専務「だが、この放送で終わりにさせてもらう」


専務「もう二度と、流行情報のアナウンスなどと言うふざけた事はしないと誓おう」


専務「それでは」


専務「今週の流行は……



植木ちゃん「」ポツン


専務(…なんだあれは。植木ちゃんか?)


専務(誰かが持ち込んだ様だな。あとでクローネの部屋に戻しておくとしよう)


専務「今週の流行は植木ちゃんだ。各自、イメージ戦略を調整しておく様に」


ピンポンパンポーン


専務「…し、しまった!」



専務(急いで再び放送を入れようと、スイッチに手を伸ばそうとした…)


専務(しかし、私の手がスイッチに触れる事はなかった)


専務(いや…そもそも)


専務(私から、手がなくなっていた)


専務(本来腕があった方へと視線を向ければ、そこには大きな葉が生えている)


専務(急いで誰かを呼ぼうとしたが、声が出ない)


専務(走って他のものに助けを求めようとして、足もなくなっていることに気付いた)






専務(…私は、植木ちゃんになってしまったのか…?)


専務(…まずい、非常にまずいぞ)


専務(植木ちゃんは植木だから動けない。そして声も出せない)


専務(意味での経験からして、全世界の人間が植木ちゃんになってしまっていると考えるのが正しいだろう)


専務(つまり…元に戻る手段が、ない)


専務(人類は、植木ちゃんとして一生を終えるしかない)


専務(そして、外に出ている人々は太陽の光を浴びれるからいいだろう)


専務(しかし、今の私の様に。屋内に居る状態で植木ちゃんになってしまった者は…!)





専務(だれか!だれか何とかしてくれ!)


専務(…だめだ、声は出ないしおそらく全ての人間が植木ちゃんになってしまっている!)


専務(目の前にあるスイッチを入れて、元に戻る様アナウンスをいれるだけでいいと言うのに)


専務(目の前に希望があるのに、届かない)


専務(このままでは、私はいずれ枯れてしまう!)


専務(だれか!だれかいないのか!この状況を解決できる者は!)







専務(結局、私は考える事をやめた)


専務(あれから、物音一つ聞こえてくる事なく私はここで咲き続けている)


専務(誰かがこの部屋に入ってくる事もない)


専務(少しずつ、葉先が茶色くなってきているのが見える)


専務(けれど、枯れてしまうと言う恐怖はなかった)


専務(ようやく、この状況から脱せるのか、と)


専務(むしろ、嬉しいくらいだ)


専務(あとどれくらいで、私は枯れ果て天に召されるだろうか)


専務(放送室の隅に置かれていた植木ちゃんは、未だに綺麗なままで咲き誇り続けていた)


専務(まるで、私を嘲笑うかの様な表情で)











おわり
お付き合い、ありがとうございました

世にも奇妙な物語的な終わりだな

おつおつ、今までも気が付いてないだけで専務も姿がかわっていたのか?

すまん読み返したら姿変わってたわ

まさかのホラーEnd

>今週の流行は植木ちゃんだ
なんでや!!!乙

まさかありすが植木ちゃんになるやつ書いた?

書きました
卯月になる話とかも
あとスリーエフ

まさかのうっかりエンドとは

ちゃまが流行と言えば世界にママが溢れるのか

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