西住まほ「私たちが乗ってきたヘリを使って」キリッ (14)

サンダース戦直後 試合会場

麻子「おばぁが倒れて……病院に……」

沙織「え!? 麻子、大丈夫!?」

華「早く病院へ!」

沙織「でも、大洗までどうやって!?」

みほ「学園艦に寄港してもらうしか……」

優花里「撤収まで時間がかかります!」

麻子「くっ……!!」ヌギヌギ

みほ「麻子さん!?」

沙織「なにやってるのよ、麻子!」

麻子「泳いでいく……!」

華「待ってください、冷泉さん!」


まほ(みほを夕食にでも誘おうと思い、撤収まで残っていたが、それどころではない、か)

まほ(みほの新しい友達の身内に何かあったようだし、ここは手助けしたほうがよさそうね)

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まほ(大洗まですぐに行ける手段は……)

エリカ「隊長。ヘリの準備ができました。みほは誘えましたか?」

まほ「それしかないか」

エリカ「はい?」

まほ「私たちが乗ってきたヘリを使って」キリッ

麻子「泳いでいくしかないんだ……!」

華「落ち着いてください!」

沙織「そんなのできるわけないじゃん!」

優花里「遠泳に自信があっても無理ですよぉ!」

みほ「麻子さん! 焦る気持ちは分かるけど、冷静になって確実な手段を考えよう!」

麻子「だが……!」

まほ「……」

エリカ「聞こえていないみたいですね」

まほ「私たちが乗ってきたヘリを使って!!」

みほ「え? お姉ちゃん……?」

まほ「急いで!!」

エリカ「隊長! こんな子たちにヘリを貸すなんて!」

エリカ「(みほとの食事会はどうなるんですか!)」

まほ「これも戦車道よ」キリッ

まほ「(今はそれどころではないわ)」

エリカ「……」

みほ「どうして……」

まほ「乗らないの?」

麻子「の、のります」

まほ「こっちだ」

麻子「は、はい」

みほ「……」

沙織「みぽりんのお姉さんっていい人なんだ……」

華「戦車喫茶では嫌な感じだと思ってしまいましたが……猛省しなくては……」

優花里(あのとき西住殿のお姉さんは殆ど発言していなかったような気もしますが)

まほ「あのヘリに乗って」

麻子「……」

エリカ「操縦は?」

まほ「頼めるか」

エリカ「はい。で、隊長は?」

まほ「私はここに残る」

エリカ「え?」

まほ「見知らぬ相手の入院先に用事などない」

エリカ「いえ、そうではなくて……」

まほ「操縦、頼んだわね」

エリカ「は、はい」

まほ「早く乗って」

麻子「ヘリの音で何もきこえないんだがー!!」

まほ「早く乗ってー!!」

麻子「……」ペコッ

沙織「私も行く!!」テテテッ

まほ「……」

沙織「あ、だ、ダメですか?」

まほ「いや、構わない。エリカ、二人をよろしく頼む」

エリカ「隊長、あの……」

まほ「頼んだわよ」

エリカ「……まぁ、いいですけど」

まほ「拗ねるな。食事会の機会はいくらでもある」

エリカ「違います。そもそも私は別にみほと食事会はしたくありません。隊長が付いてこいというから仕方なく」

まほ「分かっている。私の我儘に付き合ってくれて、感謝している」

みほ(何を話してるんだろう……)

まほ「行ってくれ」

エリカ「了解」

バババババ……

優花里「大丈夫でしょうか、冷泉殿……」

まほ「……」

みほ「ありがとう」

まほ「……」

みほ「……」

華「無視ですか?」

優花里「聞こえなかったのでは?」

みほ「おねーちゃーん!! ありがとー!!」

まほ「……」

華「やはり無視ですわ」

優花里「どうしたのでしょうか……?」

みほ「あはは。私、やっぱり嫌われてるみたい」

華「あの! 何があったのか存じませんが、何か返事があってもいいと思います!!」

みほ「は、華さん!」

まほ「……」

まほ(私はどうやって学園艦に帰ればいいんだ……? 私とエリカはヘリでここまできたのに……)

まほ(エリカの帰りを待つしかないか)

華「あの!」

まほ「なんだ」

華「みほさんがお礼を述べています」

まほ「え? すまない、みほ。少し考え事をしていた」

みほ「あ、ううん。別にいいんだけど」

優花里「まほさん。改めて冷泉殿のことありがとうございます」

華「感謝いたします」

まほ「気にすることはない。戦車道を嗜む者としては当然のことをしたまでよ」

優花里「かっこいいですぅ」

華「申し訳ありません。わたくし、あなたのことを勘違いしていたようです」

まほ「ん? どのように?」

華「血も涙もない冷徹な人なのかと」

まほ「自分自身、そうありたいと思っている」

優花里「冷徹になることはないのでは? 指導するときには厳しさも必要でしょうけど」

まほ「後輩からはよく、隊長は天然可愛い、隊長は面白いところがある、などよく言われてしまうのでな」

華「そうなのですか」

優花里「外見からは想像できないですけどね」

華「みほさんなら知っているのではありませんか? お姉さんのそういった一面を裏付けるエピソードなどを」

みほ「う、うーん……可愛いかどうかはわからないけど……」

みほ「小さいときに戦車に乗って私の操縦で遠くまで行ったことがあったの」

みほ「途中、足を怪我している子犬を見つけたってお姉ちゃんが言って、戦車を降りて子犬を拾いにいって……」


まほ『みほ! この犬を連れて帰って!! 早く!!』


みほ「お姉ちゃんは犬を戦車に乗せて、早く戻ってっていうの」

華「みほさんは戻ったのですか」

みほ「うん。すごい剣幕で言われたから私も焦っちゃって」

優花里「まほさんは置いて行かれたのですか? その後は?」

みほ「20キロぐらいの道のりをお姉ちゃんは泣きながら帰ってきたの」

まほ「……」

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