【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」【2】 (880)

タクマ「おのれユリめ……儂に無断で日本に行くなど……」



※前スレ【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」

【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」 - SSまとめ速報
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新スレならば乙せざるを得ない!

前スレからの続きはこっちで再開します

都内


ブゥゥゥゥン
ロバート(打ち合わせだいぶ時間食ってもうたな……LIVEは多分もう終わってもうたやろけど……リョウの携帯繋がらへん)

交通整理員「……」
ブンブン

ロバート「……ん?」

キキ
タッタッタ
ウィーン

交通整理員「すみません」

ロバート「おう、兄ちゃん、どないしたんや?なんぞ工事でもやっとるんか?ワイごっつ急いどるねんけど」

交通整理員「すみません、この先で事故がありまして、急いでいらっしゃるところ申し訳ないんですけど、少々お待ち頂けますか?もうすぐ終わりますので」

ロバート「……そらしゃーないな。迂回ルートは?」

交通整理員「……すみません、私あまり地理に明るくないもので……上司に聞いてきますね」

ロバート「ああ、頼むで」

タッタッタッタ

タッタッタッタ

交通整理員「すみません、お待たせしました……迂回ルートは……」

ロバート「……なぁ、あんさん外国人やろ」

交通整理員「……え?」

ロバート「いや、日本語上手いな~思ってやな。ワイも苦労したで~日本語は。おかげで未だこの訛りが抜けへん。その点兄ちゃんの日本語は完璧や。聞きやすいし、相当勉強したんやろ?」

交通整理員「……はぁ。どうもありがとうございます」

ロバート「……せやけど、惜しいなぁ」

交通整理員「……」

ロバート「殺気の消し方も、ワイが相手やなかったら合格点やれたんにな」

交通整理員「……チィ!」
バッ

ロバート「てりゃ!」
バキッ

交通整理員「ぐはぁ!」
ドサァ

ロバート(おいおい、マジかいな!いきなり銃抜こうとしたで!)

ザザザザザ
兵「プランBに変更。ボスは消してもかまわんとのことだ。構え!」
チャッ

ロバート「!!」
バッ

兵「撃てーーーー!」

パンパンパンパンパンパン

チュンチュンチュン

ロバート「おいおいおいおいおい!こんなところで拳銃一斉発砲とかシャレならんで!ワイのフェラーリいくらすると思ってんのや!アッタマきた!」

パンパンパンパン

チュンチュンチュン

シーーン

兵「待機!……死んだか?」

ロバート「……覇王」

バッ

兵「!まだだ!総員、撃……」

ロバート「翔吼拳—————!!」

ズガアアアアアアアアン



兵A「ギャアアアアア!」

兵B「うぎゃあああああ!」

ヒィィィィィ

グワアアアアアア

ロバート「……安心せえ、少し加減しておいた」

ウウ……
バケモノカ……

ロバート「そないな拳銃(オモチャ)で獲れるほどワイの命は軽ないで」

ロバート「ワイと……極限流と遊びたいなら戦車の1台でも持って来んかい!」

ボンガロの伝説のネタ思い出すな

ロバート「おい。誰の命令や。ボスの名前と目的を言え」
グイ

兵「だ、誰がしゃべるか……」

ロバート「ほ~……言うとくけど、ワイはリョウみたいに甘くないで。アイツよりかは……社会の荒波に揉まれとるからな」
ギロ

兵「ひっ……」

???「メガスマッシュ!」

ズドン

ロバート「チッ!……この技は!」

ジョン「……」
ザッザッザ

ロバート「渋いおっさん……確かジョン・クローリーやったかいな」

ロバート「……ってことは背後におるのはMr.BIGか……あのおっさん、まだ生きとったんやな」

ジョン「……ジェームズの邪魔はさせん。お前はここで墜ちてもらう」

ロバート「ハッ……悪いけど墜ちるのはあんたや!さっきから言うとる通り、ワイ、今ごっつ急いでるねん!」

ブロロロ
キキ

Mr.BIG「どうやら着いたようだな。全員、一人ずつ降りろ。妙なマネをしたら撃つぞ」

リョウ「……」

拓海「……ちっ」


悠貴「……っ」
フルフル

加蓮「……」

リョウ「ここは……廃工場か」

Mr.BIG「そうだ……昔から俺はこういう所をアジトにするのが好きでな」




Mr.BIG「全員……ああ、リョウ・サカザキ以外だ。娘たちは全員まとまって動け。一人でも離れたら撃つ」

リョウ「BIG……なにが目的なんだ。俺に用があるなら彼女たちは関係ないだろう。解放しろ」

Mr.BIG「解放?そうはいかん。当然、お前との交渉を有利にするための人質だからな」

リョウ「交渉だと……!?」

Mr.BIG「ああ、そうだ。リョウ・サカザキ、かつてお前の父、不敗の格闘家タクマ・サカザキに掛けた言葉と同じ言葉をお前にも掛けよう」

Mr.BIG「貴様の大事な小娘どもの命が惜しければ、俺の手駒となれ。俺のために戦い、暴れ、始末するのだ」

Mr.BIG「貴様が俺の配下となった暁には、俺は再び組織で返り咲き、今度こそサウスタウンは俺のものとなる」

拓海「て、てめぇ!どこの悪党だか知らねえけど、ふざけんな!サカザキがテメーみてぇな下種の仲間になる訳ねーだろうが!」


Mr.BIG「ハッハッハ!俺も威勢の良い女は嫌いじゃねえが……頭の悪い女は嫌いだぜ?状況が分からないわけはないよな?」

兵「……」
チャッ

拓海「ぐっ」

リョウ「やめろBIG!もし彼女たちに傷一つつけてみろ、たとえ俺の身体がハチの巣になってもお前を道連れにするぞ」

Mr.BIG「ほう……では彼女らを助けるため、お前は俺の傀儡になると……お前の父と同じ道を辿るということで良いのかな?」

美波「だ、ダメです!坂崎さん……!」


リョウ「……俺は親父と同じ選択はしない」


Mr.BIG「何……?」

リョウ「この娘たちに手出しはさせないし、お前の悪事に加担するつもりもない」



リョウ「その代わり……俺の命をくれてやる」

今日はここまで

『Mr.BIGを倒す』『アイドルも守る』「両方」やらなくっちゃあならないってのが「プロデューサー」の辛いところだな

加蓮「……え?ちょっと……何言ってんの……?」


リョウ「BIG……お前も俺や親父への恨みがあるだろう。だったら、俺は一切手出しをしない。後は銃で撃つなりその棒で突くなり好きにしろ」

拓海「てめぇ!サカザキ!何勝手な事言ってやがんだ!」

Mr.BIG「何を言い出すかと思えば……まぁ確かに貴様らへの鬱憤は溜まっている。特に貴様さえいなければ、3年前、不敗の格闘家を完全に手中に出来ていれば、ギースなどに出し抜かれ、俺が失脚することもなかった」

リョウ「だったら話は早いだろう。さっさと俺の首を持ってサウスタウンに帰れ。それとも長い地下生活で完全に腑抜けちまったか」

Mr.BIG「ふん……本来なら貴様をここで殺した所で俺にメリットは少ない。せいぜい現極限流最強の男をこの手で殺った、という名声くらいか。だが、貴様が俺の配下にならんなら最早生かしておいても邪魔なだけだ」


Mr.BIG「よかろう……ならば組織への復帰は貴様の排除という手柄を手土産にさせてもらう。貴様の名にもその程度の価値はあるだろう」

リョウ(……ロバートはおそらくもう事態に気付いているだろう。それまで耐えきれれば……最悪、今は日本にはキングもいる。あいつらがなんとかしてくれるだろう)

Mr.BIG「……だが、俺もお前がおとなしく殺されてくれるか心配だな。土壇場で暴れだすかもしれん」

リョウ「……どうすりゃいいんだ」

Mr.BIG「フフ、簡単なことだ。動くなよ」
スッ

有香「な、なにをする気なんですか!」


Mr.BIG「……ふんっ!」
ブン

ボキッ

リョウ「—————ぐあああああ!」

美波「—————っ!!」

拓海「……!!!!」

悠貴「っ……!」

有香(—————折られた)

加蓮「いやぁぁぁぁぁ!!」

Mr.BIG「……ふん、これで仮にお前が暴れだしてももはや俺の敵ではない。利き腕を失った空手家などはな」

Mr.BIG「お前たち、下がっていろ。こいつは俺の手で始末する」

リョウ(……これは、持たんかもしれんな)

リョウ(……すまん、ロバート、キング)

リョウ(すまん、藤堂の……再戦の約束は果たせないかもしれん)

リョウ(すまん、親父、道場の事は頼む)

リョウ(すまん、ユリ。最後に一目会いたかった)

リョウ(そして……)

リョウ「すまないな、お前たち。こんなことに巻き込んじまって。俺はプロデューサー失格だ」


美波「坂崎さん……っ!」




ジョン「……」

ロバート「はぁ、はぁ……相変わらずものごっついおっさんやで……」
ヨロ

ロバート「……もしもし、カーマンか?リョウの足取りは掴めたか?」

カーマン『ああ、先ほど君の携帯に住所を送った……どうやら奴はその工場にいるようだ。アイドル達も一緒にな』

ロバート「BIGめ……絶対碌でもないことになっとるな……」

カーマン『……急げよ、ロバート。私もキングという女と一緒にそこへ向かっている』


ロバート「ああ。……くそ!待っとれよみんな!リョウ、なんとか持ちこたえてくれ……!」




リョウ「……」


Mr.BIG「起きろ、リョウ。まだお前が死ぬような一撃は加えてないはずだぞ?お前は頑丈だからな」

リョウ「……がはっ」

Mr.BIG「ふふ、見てみろリョウ。お前が死にかけて、最早こちらを見ることもできない者」

加蓮「……っ」


Mr.BIG「俺を殺さんばかりに睨み付ける者」

拓海「……!!」
ギリギリギリ

Mr.BIG「ただただ涙を流す者」

悠貴「……っ」
グスグス

Mr.BIG「ただこちらを見据える者」

美波「……」

有香「……」

Mr.BIG「ふふふ、しかし良い女たちになりそうだな……お前たち、もう少しガキ臭さが抜ければ俺の愛人にしてやっても良いぞ?」

リョウ(……まだ……まだだ……ロバート達が彼女たちを助けるまで……)

Mr.BIG「……だが、お前を嬲るのも疲れてきたな。ここいらで止めを刺してやろう」
ググググ

Mr.BIG「ふんっ!」
ズンッ

Mr.BIG「ウララララララ!!」
ズガガガガガガガガガガガ

リョウ「!……っ……っ!」

拓海「サカザキィィィ!!」

Mr.BIG「フィーバーッ!!」
ズガアアアン

ドサァ

リョウ「……」

加蓮「あ、ああ……」

Mr.BIG「……流石に息の根も止まっただろう。おい、ジョンに連絡を取れ。俺たちはこのまま娘たちを人質にする」

リョウ「……」
ピクッ

美波(……!坂崎さん、どうかそのまま起きないで……そうすれば、命だけは……)

兵「……ボス」

Mr.BIG「……む?」

美波(ああ……どうして……坂崎さん、なぜそこまで——)

リョウ「……」
フラフラ

リョウ(まだ、まだだ……)

Mr.BIG「……なんというしぶとさだ。本当に惜しい。お前のその肉体と強さを持っていて、何故そんな精神が中身に入ってるんだ」


Mr.BIG「はじめ部下から連絡を聞いた時は驚いたものだ。極限流が日本でアイドル事務所を開いているとな」

Mr.BIG「そんな平和なことをしていれば自分が普通の人間のような生活が送れるとでも錯覚したか?だが、それは許されん。貴様たちが使う極限流というのは最早呪いの拳だ」


Mr.BIG「強すぎるがゆえにその力は常に狙われ続ける。……だが貴様はタクマのような修羅になり切れん。闘いにおいて常に相手を殺さんように気を遣っているような甘ったれだ」

Mr.BIG「紛れもない、タクマを超える闘神の拳を持ちながら、タクマのような非情さも覚悟もない。お前は半端者だ」

Mr.BIG「だから貴様はこんな国のこんな場所で、惨めに最期を迎えるのだ」

悠貴「……違います」

Mr.BIG「ん?」

悠貴「……優しいことがっ!どうしていけないんですかっ!!」

加蓮「……悠貴」

悠貴「悪いことを企んできたのはそちらじゃないですかっ!坂崎さんのせいにしないでくださいっ!」

悠貴「私は闘いとかは良くわかりませんけど……坂崎さんは強くて優しくてっ!悪くて弱いのはあなたですっ!」

美波「悠貴ちゃん……」

拓海「悠貴……!」

Mr.BIG「はっはっはっは!悪くて弱いときたか!随分正直な嬢ちゃんだ!」

Mr.BIG「総員、構えろ。リョウ・サカザキを撃ち、お嬢ちゃんたちに見せつけてやれ。その強くて優しい奴の惨めな死に様をな」

兵「……」
チャ

……今や!
龍撃拳!
ベノムストライク!

ドン
ドォン

ぐわ!
ぎゃあ!

Mr.BIG「!?何事だ!くっ、人質を逃がすな……何!」

兵「ぐ……」

兵「あ、ああ……」


カーマン「つまらん汗を掻いてしまった」

加蓮「う、運転手のおじさん……」

カーマン「随分怖い思いをしたようだな。だが、ここまでだ」

ロバート「BIG!好き勝手やってくれたようやなぁ!絶対許さへんで!」

Mr.BIG「くっ、馬鹿な……!手練れが3人も乱入してくるとは!ジョンはしくじったか……!」

キング「……リョウ!大丈夫……あ、あんた……!」

悠貴「坂崎さんっ!」

Mr.BIG(はっ、そうだ、せめてリョウ・サカザキの命だけでも!これさえ殺れば、まだ立て直せ——)

バキィ

Mr.BIG(——は?)

ドスゥ

Mr.BIG「ぐふっ」

Mr.BIG(馬鹿な、リョウ・サカザキ、こいつ動けるのか!?いや、これは——)

リョウ「————」
ドゴッガッバキッ

美波「嘘……だって、坂崎さんの右腕は、折れてるはず……」

ロバート「……龍虎乱舞や」

有香「……龍虎乱舞?」

ロバート「極限流を極めたものだけが使える究極奥義……無意識に入り、鍛えた拳を、蹴りを、相手が倒れるまで打ち続ける」

ロバート「……やけど、これは……」

リョウ「————」
ドゴッ ガッカ

Mr.BIG(……こ、これがタクマ・サカザキを、そしてあのギースを打ち破った龍虎乱舞……ば、馬鹿な……脱出……できん……)

痛みが、消えた。

いや、何も感じないといった方が正しいかもしれない。

声が聞こえる。

以前にも聞いたことがある声だ。

1度目は……ユリを救うため、Mr.KARATE————親父と闘った時。

2度目は……キング・オブ・ザ・ファイターズで優勝した後、ギース・ハワードに命を獲られる寸前まで追い詰められた時。

そして今。声は俺にただ命じてくる。

拳を打て。

蹴りを打て。

敵を、討て。

ドガアアアッ

Mr.BIG「ぐわあああああああ……!!」
ズシャア

キング「止めのアッパー……!決まった……!」

拓海「やった!サカザキ!!」

有香「坂崎プロデューサー!」

Mr.BIG「……」
ピクピク

ロバート「……リョウ?」

リョウ「————」

目の前の、BIGが倒れ伏して痙攣している。

思えばこの男はユリをさらい、父さんを利用した男。
いわば家族を引き裂こうとした男だ。

それが今更また俺の前に現れ、美波。拓海。有香。悠貴。加蓮。


俺の大事な、アイドル達を。いや。

俺の大切な家族たちを、またも引き裂こうとした。

許せない。

リョウ「————」
ゴォォォォ

ロバート「!!?気が集中しとる!?アカン!今BIGに翔吼拳なんて撃ったら————」

ロバート「BIGを、殺してしまうぞ!」

加蓮「!!!」

リョウ「——————覇王」

バッ
美波「やめて!坂崎さん!」


ロバート「ちょっ、アカンみんな———」

坂崎さん!サカザキ!坂崎プロデューサー!坂崎さんっ!坂崎さん!


みんなの声が聞こえる。

そうだ、この暖かい声。

かけがえのない者たち。

これを奴は奪おうとしたのだ。

———それが、何故5人して倒れるBIGの前で手を広げている?

BIGを庇うような———いや。庇っているのだ。

駄目だ。このまま撃てば彼女たちに当たってしまう。

止まれ。止まらない。止まれ。止まらない。止まれ。止まらない。



彼女たちが、走り寄ってくる。

危険だ。逃げろ、みんな。


———何?みんな、俺の身体に———

美波「……」

拓海「……」

有香「……」

悠貴「……っ」

加蓮「……」


リョウ「……」

キング「……止まった?」

美波「さか、ざきさん……」

リョウ「……みんな、すまない。ありがとう……」
ガクッ

加蓮「!?坂崎さん!?」

有香「大丈夫ですか!?坂崎プロデューサー!?」

ロバート「……大丈夫や。死んでない。乱舞が切れて、本来負っていたダメージと疲労で気を失ったんや」

ロバート「……まさか、翔吼拳を撃つ直前のリョウを、5人がかりで身体で抑えて止めるとは……」

ロバート(この娘たち、なんつークソ度胸や……この状況じゃなきゃ、ハーレムなんやけど……ん?)

ブゥゥゥン
ドォン

キング「なっ……!」

ジョン「ほかは良い!ジェームスだけ回収して撤退だ!」

ロバート「!あのおっさん……!くっ……逃がさへん!」

ジョン「メガスマッシャー!」

ズドン

キング「くっ!」

ロバート「うわっ!」

ジョン「撤退!撤退だ!」
ブゥゥゥゥン

ロバート「……くそったれぇ!」
ガン

カーマン「良い。ロバート、逃がしてやれ。どのみちこちらには重傷者も子供たちもいる。撤退してくれるに越したことはない」

ロバート「せやけど、カーマン!」

カーマン「奴らの動きは部下にマークさせる。それに、首魁のBIGとかいう男があれだけ打ちのめされれば、しばらくは動けんだろうさ」

ロバート「そ、そうか……」

カーマン「ひとまずはそいつを病院に連れていくのが先決だろうな」

リョウ「……」

今日はここまで

乙!

おす!
今回の龍虎乱舞って無想転生みたいなもんか

せやかて、工藤!

プロデュースどころじゃなくなっちまったな……リョウと皆は色々とどうなるのか

天獅子版の龍虎乱舞だからなぁ


ここからリョウはどうなるのか…地味にハーレムになってて笑った
とは言え五人でリョウを止めるとは大した奴だ

止めるのに押忍にゃんの正拳突きあるかと思ったけど無かった

殴ったらリョウさんがかわいそうじゃないか

kof11リョウのリーダー超必ってなんだっけ

ボコ顔になっても次のステージでピンピンになってるリョウ達を見てたら骨折くらい
数日から一週間で完治しそうな印象が有る。格ゲーキャラ全般に言えるとはいえ

気功があれば怪我とかめっちゃ早く治るってC◯PC◯Nの鉢巻道着男がゆってた

どんだけボコボコになってても100円入れて必殺技名叫んだらその瞬間には元どおりやからな…

翌日
事務所

ロバート「……おう、みんな集まってくれたようやな。まぁ……昨日の夜は、すまんかったな」

拓海「んなことより……サカザキは?容体はどうなんだよ」


キング「……右腕の骨折に、棒で打たれて全身打撲。それと疲労だね。命に別状はないが、まだ意識が戻ってない。今はユリが傍についてる」

有香「……!」

加蓮「そんな……」

ロバート「まぁあいつは頑丈やからな。すぐにケロッとして出てくるやろ」

美波「……」

ロバート「……しかしやな、自分らにも一応言うとかなアカンことがある。自分らの身は親御さんからお預かりしとる訳やしな」

ロバート「昨晩……なんであんな無茶したんや?聞けばもうその前に覇王翔吼拳は見とったんやろ?その威力を……なら、もしあのままリョウが翔吼拳を撃ってしまってたら、自分ら、下手したら死んでたで」

有香「なんでって……」

悠貴「……っ」


ロバート「……いや、そもそも自分らをあんな危険な目に遭わせたのはワイらが原因やし、結果的に自分らが身体を張ってくれたおかげでリョウはBIGを殺さずに済んだ……正直こっちが謝っても謝り切れんくらいなんやけど」

ロバート「単純に聞きたいんや。怖くは、なかったんか?」

加蓮「……そりゃ、怖かったよ。だけど、あの時……社長さんが『BIGを殺してしまう』って叫んだ時……身体が勝手に動いたんだ」


悠貴「それは、あの悪いサングラスの人を庇いたかったからじゃないと思います……私、あんなに許せないって思う人、初めて見ましたっ……」

有香「あたし達は、坂崎さんに人を殺してほしくなかった……ただそれだけだったと思います」

拓海「しかも相手はあんなクソヤローだ……あんなクソ殺しちまったせいでサカザキが一生あんな奴の命を背負って生きてかなきゃいけねぇなんて……考えられねぇぜ」

美波「あんなに優しい人が、いくら無意識だったとはいえ、相手がどんなに悪い人だとはいえ、人をその手で殺めてしまったとしたら……あの人は、その罪の意識に耐えられないと思いました。そうしたら……身体が、勝手に動いてました。それこそ無意識だったと思います……」


キング「……大した奴らだよ。それで、自分たちが死ぬかもしれないのに身体を張ったってワケかい」

ロバート「……なんや、だんだん行動原理がリョウに寄ってきてるような気がするんやが……」


加蓮「……それなんだけど……あのBIGって奴とも過去に何かあったみたいだし、呪われた拳がなんとかって」

拓海「そうだぜ。アタシらも関わっちまったんだし、もう部外者じゃねぇんだ。サカザキの過去に何があったのか、教えてくれても良いんじゃねぇか?」

ロバート「……せやな。巻き込んでしもうたワケやし、リョウも別に咎めはせんやろ。アイツからなんぞ聞いてるか?」

加蓮「えっと……もともと争いは好きじゃなかったけど、お父さんが空手の流派の創始者で嫌々空手を続けていたけど、ある時、続けざるを得ない状況になって……ずっと闘ってた、って……大体理由とかはぼかされたんだけど……」

ロバート「なるほどな……じゃあそれも踏まえて、理由とかその辺を話すとやな……」

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——————————

ロバート「……そうして、両親がいない中、リョウはただひたすらユリちゃんを守るために、ひたすらストリートファイトに明け暮れてたんや……」

美波「……」

悠貴「そんなっ……」

加蓮「ひどすぎるよ……」

拓海「ハード過ぎんだろ……それで、年齢はアタシらと変わらねえくらいの頃の話だろ……」

ロバート「ワイもそのころはずっと海外に武者修行に出とったからな……けど、ワイがサウスタウンに戻ってきた頃には、アイツはもう敵無しやった。ハッキリ言って見違えたで。あんな、いっつも修行の後メソメソ泣いとった泣き虫リョウが……」

ロバート「けど、あいつにはもうユリちゃんしか残ってなかった。だからあいつはユリちゃんを育てるため、優しい心に蓋をして、あんなに嫌った極限流を極めていったんや」

有香「命がけの、実戦の中で磨かれていった技……」

ロバート「リョウはストリートファイトで収入を得て、ユリちゃんをハイスクールまで通わせた……けど、そんな束の間の平和も長くは続かんかった」


ロバート「あの男……Mr.BIGが、ユリちゃんを誘拐したんや」

美波「……!」

ロバート「実はその時……何年も前に失踪した師匠……リョウの親父さんはサウスタウンにおったんや。自分に重傷を負わせ、そして奥さんの命を奪った犯人を捜して、その鬼神の如き力を振るいながら」


ロバート「今も当時も、サウスタウンは治安が悪くてな。さらに当時はサウスタウンでの覇権を巡って色々な勢力が血で血を洗う抗争を繰り広げ取った。BIGもその勢力の一つの組織の幹部やったんや」

ロバート「BIGは大層な野心家やった。いずれは自分のおる組織も、そしてサウスタウンの全ても自分のモノにするつもりやった。そしてその為の武力としての切り札に、リョウの親父さんは目を付けられたワケや」

ロバート「あの人は極限流を生み出してからは、それこそ修羅の如き人生やった。日本では道場破りなんかもやりまくったらしい。あの藤堂の……あの娘の親父、藤堂竜白も、その時こっぴどくやられたらしい」

ロバート「その日本で奥さんと出会って、リョウとユリちゃんが生まれて、サウスタウンに移り住んで道場を開いて、やっと落ち着いたが、それでも師匠の武名は留まるところを知らんかった。そのころにはサウスタウンの『不敗の格闘家』として、伝説になっとった」


ロバート「それが、BIGの目に留まった」

ロバート「奴はユリちゃんをさらって人質にして師匠を脅したんや。『娘の命が惜しければ、俺の手駒になれ』ってな」

悠貴「あっ……」

~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~

Mr.BIG『リョウ・サカザキ、かつてお前の父、不敗の格闘家タクマ・サカザキに掛けた言葉と同じ言葉をお前にも掛けよう』

Mr.BIG『貴様の大事な小娘どもの命が惜しければ、俺の手駒となれ。俺のために戦い、暴れ、始末するのだ』

~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~

加蓮「……」

ロバート「師匠は……従う道を選んだ。自分が失踪したことにより耐えがたい苦痛を、苦労をあの兄弟に与えたことは知っていた。恐らくはリョウやユリちゃんのその近況も。離れていても、家族への愛はちっとも衰えてへんかったんや」

ロバート「それゆえに、師匠はBIGの下につく他なかったんやろう」

ロバート「一方で、ユリちゃん誘拐の報を聞いたリョウは怒り狂っとった。後にも先にも、あんなリョウを見たのはそれきりや」

ロバート「そんで、リョウとワイはユリちゃんを救うために今まさに抗争真っ只中のサウスタウンに二人で喧嘩をしかけたんや」

ロバート「そん時のあいつがぼそっとつぶやいた物騒なセリフにはワイも正直驚いたで」


——————こうなったら街中の奴らをぶっ飛ばしても 探し出してやる

キング「その抗争の中で、私はリョウと闘って負けたんだ。当時私はBIGの手下に成り下がっててね。そんな中で妹の命の為とはいえ、たった二人で街丸ごとを相手にしかねない絶望的な闘いを仕掛けているあいつを……馬鹿だと思ったのと同時に、眩しくも思ったんだ。……私にも弟がいたからね」

ロバート「そんで、キングは密かに離反して、BIGのアジトに忍び込んでユリちゃんを助け出したんや」

ロバート「けど、そこで現れたBIGは強かった。苦戦したが、ワイらはなんとかBIGを倒したんや」

ロバート「……ただ、悪の親玉を倒して、ユリちゃんも助かって、めでたしめでたし……とはならへんかった」

ロバート「敗れたBIGが去り際に残した言葉……」

——————港の近くにある空手道場を捜せ!不敗の格闘家がお前を待っている———

加蓮「……え?なんで、だってその格闘家って坂崎さんのお父さんなんでしょ?だったら、ユリさんが助け出されて、もう闘う理由なんてどこにも……」

ロバート「ああ、それは……」

「けじめ、だったんだろう」

美波「……!あ……」

有香「さ……」

リョウ「……よう」

拓海「サカザキ!!」

悠貴「も、もう大丈夫なんですかっ!?」

加蓮「うそ……あんなケガで……」

ロバート「リョ、リョウ!お前もう歩けるんか!?」

ユリ「大丈夫、ちゃんと私が支えてるよ」

リョウ「すまないな、ユリ……無理言ってここまで連れてきてもらっちまって」

ユリ「なに言ってるの!その為に普段から空手の稽古で鍛えてるんだから!それに、お兄ちゃん、右腕使えないし……」

ロバート「……すまん、リョウ、お前の過去この娘らに……」

リョウ「良い、ロバート、彼女たちを巻き込んだのは俺だ。彼女らは知る権利がある。知りたいかどうかは別問題だが。それに、いい機会だ」

リョウ「みんな、昨日の夜は本当にすまなかった。そして、ありがとう。お陰で俺は最後の一線を越えずに済んだようだ……」

リョウ「それと、親父との闘いについてだったな。俺も親父……いや、その時は天狗の面で顔を隠してMr.KARATEを名乗ってたな。Mr.KARATEが俺と闘う理由が分からなかった。けど、それはけじめだったんだって思ってな」

リョウ「自分が失踪したこと……ユリが抗争に巻き込まれたこと……その他諸々を含めたけじめを、親父は俺に倒されることでつけようとしたんじゃねえかな」

リョウ「ただ、親父はわざと倒されるような男じゃない……本気だ。今でもたまに夢に見る……あの時の、全力の殺気を纏って俺に向かってくる親父の姿を。ただただ怖かった」

リョウ「仕舞いには覇王翔吼拳まで撃ち込んできやがった。それで、倒れ伏す俺に言うんだ」


———覇王翔吼拳を会得せん限り、お前がわしを倒す事など出来ぬわ!———


リョウ「その言葉で俺も覚悟が決まった。俺も親父に全力の覇王翔吼拳を撃ち込んだ」

リョウ「……それは、もうただの親子喧嘩じゃない……親子での、殺し合いになってた」

リョウ「それで俺は極限まで親父に追い詰められ、そこで奥義———龍虎乱舞に目覚めた。昨日使ったアレだ」

リョウ「そして昨日の如く俺は親父を無意識に打ちのめし、そして、また昨日と同じように、俺は動けない親父にトドメの翔吼拳を撃ち込もうとした」


リョウ「その時の俺はこの、ユリの声で我に返った。お陰で俺は親父を殺さずに済んだ。昨日のお前たちに止めてもらったみたいにな。それが、大体3年前のことだ」


加蓮(……お母さんの死、お父さんの失踪、幼い妹を守るための過酷な闘いの生活……挙句の果てが誘拐、そして親子での殺し合い……)

悠貴「……ひどすぎますよ……っ」

リョウ「……だが、これで分かっただろう?俺が抱えていて、今も持っているものがどんな危険なものか。というより、俺が改めて思い知らされた」

有香「……え?」

リョウ「俺は誰かが止めてくれなかったらすでに最低二人は殺してしまっていた男だ。それに、昨日は下手したらお前たちを……この手で……」
ギリ

拓海「……おい、待てよ……」

リョウ「やはり俺はこんなところにいてはいけない人間だった。親父がそうしたように、俺もけじめをつけなきゃならない」



~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~

Mr.BIG『そんな平和なことをしていれば自分が普通の人間のような生活が送れるとでも錯覚したか?だが、それは許されん』


~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~


加蓮「……ちょっと……ウソでしょ……」

リョウ「ロバート、俺が日本に来る際に出した条件の……最後に出したひとつ、覚えてるな?」

ロバート「……もし自分の過去がらみでアイドルに……関係者に危険が及んだ場合……」

悠貴「いや……そんなっ……」

~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~

『貴様たちが使う極限流というのは最早呪いの拳だ』

~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~


リョウ「俺は、プロデューサーを辞める。みんな、本当に迷惑掛けちまったな……すまん」

美波「———坂崎、さん———」

今日はここまで

乙!
実際ねー、そんな危険な組織に迫られちゃあねー……


でももうプロデューサーを辞めたからと言ってMr.BIGが彼女達を狙わなくなる保証がないんだよなぁ……
やはりここは乗り込んで潰すしか

これでアイドル誘拐されたらまた初代龍虎の如く組織の勢力図
書き変わるレベルで暴れ回りそう。


私アイドル辞めるのPverか・・・とは言えこれが最善の処理なのが
ここから加連、美奈達が行動起こすのか

全員極限流覚えりゃ問題なし

他流の子引き抜きはまずいっしょ

>>87
出稽古、他流交流ってことで一つ

拓海「オイ……笑えねえぞサカザキ、そのジョーダン……」

リョウ「自分のジョークのセンスのなさは良く分かっている……だから普段から冗談は言わないようにしている」

拓海「そういう事を言ってんじゃねえよ!テメー勝手に一人で色々決めやがって、アタシらの意見を聞く気はねぇのか!?ああ!?」

リョウ「死にかけたんだぞ」

拓海「ッツ……」

リョウ「銃を持った兵士に囲まれて……それどころかお前たちの一番傍にいた男は自我を忘れて人を殺しかねない危険人物だ」

リョウ「俺たちはお前たちの身を親御さんたちから信じて預けてもらっている。それなのに、こんな危険極まりない男を傍に置けるか」

有香「でも昨日は……!坂崎プロデューサーがあたし達を守ってくれた結果じゃないですか!」

リョウ「そもそも俺と関わらなければ初めから危険な目に遭わなかったんだ。普通のプロデューサーなら……悪党にさらわれて銃で脅されるなんて状況に最初からならないんだよ」

悠貴「普通のプロデューサーさんならっ……私はそもそもここまで来れませんでしたっ!このメンバーの皆さんが集まることはありませんでしたっ!」

リョウ「……はは、ありがとうユウキ。だけどそれは買いかぶりだ」

リョウ「このメンバーは集まらなかったかもしれないが、お前たちは全員素晴らしい逸材だ。どんな形にせよ必ず大成出来る才能と根性を持ってる。別に、導くのが俺じゃなくてもな」

加蓮「……坂崎さん、前に私に言ったよね……私たちがみんな一人前になるまでは放り出したりしないって。あれは嘘だったの?」

リョウ「……いや、お前たちは」

加蓮「もう一人前だ……ってのはナシだよ。私たち、まだまだ全然足りない。歌だって、ダンスだって、お芝居だって。それなのに坂崎さんは……逃げるの?」

リョウ「……」

美波「坂崎さん……」

リョウ「……本当に、すまない。だが、決めたんだ」

キング「……」

翌日
病院

リョウ「……」

ガチャ
スタスタ
キング「……邪魔するよ」

リョウ「ああ、キングか。ユリは?」

キング「マンションだよ。今日はあんたの所には私が行くって言っておいた」

リョウ「ああ、そういえばお前はロバートの借りたマンションにユリと仮住まいしてるんだったな。あいつは普段迷惑を掛けてないか?」

キング「ちゃんと家事もするし、迷惑なんかないさ。どっちかっていうとあんたの方に迷惑を掛けられてる」

キング「昨日もあんたが帰った後の対応が大変だったんだからね。泣く娘は出るわ、暴れ出す娘は出るわでさ」


リョウ「……そりゃすまなかったな」

キング「そう思うんだったら、行動で示してもらいたいもんだね。良いかいリョウ、よく考えてみなよ」

キング「あんたと直接因縁があるのはBIGと、如月影二……ギース・ハワード……これくらいじゃないか。それで如月影二とギース・ハワードは日本でプロデューサーをやってる」

キング「そんな奴らが、あんたを突然襲うようなことはあっても、アイドル達を巻き込むような真似をすると思うかい?」

リョウ「……その二人なら、そんな真似はしないだろう……だが、BIGは……」

キング「そう。BIGはこの前逃がしてしまった。あんたにこっぴどくやられたとはいえ、傷が癒えたらまた襲ってこないとも限らない。サウスタウンの『組織』ももしかしたらあんたの力に目をつけているかもしれない……だからこそさ」

リョウ「……なに?」

キング「BIGにはもちろんだけど、あんたにとってあの娘たちが大切な存在であることはもうバレちまってるのさ。だから、あんたの弱点を狙ってくるような悪党はあんたが傍にいようがいまいが、あの娘たちを狙ってくる」

キング「いや、むしろあんたがあの娘たちを守ってやらなけりゃ、今後あの娘たちはもっと危険な目に遭うんだよ。もうそういうところまであの娘たちを巻き込んじまったのさ」

リョウ「……」

キング「それを放り出してあの娘たちから逃げるのかい?」

リョウ「……だが……俺は、下手したらあいつらを撃ってたかもしれないんだぞ」

キング「……だから、またそうなるかもしれないのが怖いってかい?」

キング「ハン……なっさけない!」

リョウ「!」

キング「それなら命がけでアンタを止めたあの娘たちの方がよっぽど肝が据わってるよ」

キング「いつものあんたなら、『こうなったのは俺がまだまだ未熟なせいだ!もっと修行しなければ!』とでも言うところだよ。やっぱりケガして心の方まで弱ってんじゃないのかい」


リョウ「……」

キング「今のあんたは……私が尊敬するリョウ・サカザキじゃないよ」
スッ

キング「……じゃあね。とりあえず言いたかったのはそれだけさ……お大事に」
パタン


リョウ「……」

リョウ「……俺は……」

コンコン

リョウ(……ユリか?)
リョウ「……どうぞ」

???「失礼しま~す♪」

リョウ「……!?き、君は……」

リョウ「……たしか、鷹富士……さん、どうして君がここに———」

茄子「はい♪一鷹二富士、三茄子(さんかこ)です♪」

茄子「ふふ、ハワードさんに言伝を頼まれまして、来ちゃいました♪」

リョウ「……何?ギースに……」

リョウ「……ん?ちょっと待ってくれ、確か正しくは一富士二鷹三茄子、じゃなかったか?」

茄子「……もう、リョウさんったら、これはただの前口上なのでそんなに真面目に突っ込んで来ないでください////」

いったんここまで

乙乙

乙!
さて、どんなお言葉が出て来るやら


キングの言うことがもっとも過ぎて耳に痛い

でもあの状況で安易に俺がなんとかするって言うのも無責任だしなぁ

個人対組織では力が違いすぎて現状打てる手はロバやんが金とコネ全開でアイドル達を守るくらいしかないんだよなぁ
もしくは本気で極限流の総力を結集してMr.BIGのとこに乗り込んで再起不能になるまで潰すか

仮にMr.BIGの組織を潰しても危険な力を持つ極限流は他の勢力に狙われる。
可能性を産み出した時点でアウトなんだよなぁ。

守り続けるにしろ、辞めて知らん顔するにしろ覚悟はいるし因縁が残る

アイドルを通してギースと仲良くすりゃいんじゃね

茄子さん特有の距離感の近さ
ていうかギースはファミリーネーム呼びなのにリョウは名前呼びなのか……

リョウ「……それで、なんで俺が病院にいると知ってるんだ?ギースの情報か?」

茄子「はい、ハワードさんに急に『この病院に奴が入院しているはずだ』って言われまして」

リョウ(って事はおそらくBIGの事も把握しているか……)


茄子「……来た時から何かだいぶ思いつめた顔をされてましたけど、何かお悩みですか~?あっ、もしかしてお怪我が痛むのでは!?」

リョウ「えっ?あ、ああ……いや……」

茄子「……もしかして、アイドルの娘たちと何かありました?」

リョウ「……いや、何かっていうか……まぁ……」



茄子「ええ!?プロデューサーを辞める気なんですかー!?」

リョウ「あ、ああ……まぁ色々あってな……」

リョウ(なんで俺は部外者にこんなこと話してんだろうな……)

茄子「ええ~……それは……残念です、こないだのライブの時もリョウさんのプロデュースされたアイドルの娘たち、とっても生き生きされてましたから……」

リョウ「……それは……俺の力じゃない。もともと彼女たちが持っていた力だ」

茄子「……そんなことはないですよ。『袖振り合うも多生の縁』ということわざ、リョウさんはご存知ですか?」

リョウ「ん?いや……日本の諺には疎くてな」

茄子「これは、どんな些細な縁にも偶然は無くて、深い因縁によって結ばれたものですから、出会いは大切にしなくちゃいけない、というものです」

茄子「縁っていうのは、大切なものなんです」

茄子「どんなに優れた能力を持っている人でも、出会う人が違えば、まるで違う人生を送ることになります」


リョウ(……!)

リョウ(もし、俺の周りにユリがいなかったら?ロバートがいなかったら?キングがいなかったら?)

リョウ(果たして俺は、今いる俺と同じ道を歩めていたのか?)

茄子「だから、そちらのアイドルのみなさんが輝けているのは、リョウさん、間違いなくあなたとの出会いの結果だと思いますよ♪」

リョウ「……っ!だが、縁だって悪縁てのもあるだろう」

リョウ(俺たち一家にとってのMr.BIGのような……)


茄子「そうですね。縁も、すべてが良縁だとは限りません。時には悪い縁もあるかもしれません」

リョウ(……そうだ、俺に会わなけりゃあいつらは危険な目に遭わずに……)

茄子「では悪縁とは何なのでしょう?」

茄子「その判断はとても難しいと思います。片方にとっては良縁でも、片方にとっては悪縁ということもあるでしょう」

茄子「では、逆に良縁とは何なんでしょうか?」

茄子「これは私の持論ですが、お互いがその縁を、出会いを幸福に感じているのであれば」

茄子「その縁を、断ち難く感じるほどにお互いを想ってるのであれば」

茄子「それはもう、良縁だと言っていいのではないでしょうか」

リョウ「……!」

茄子「事務所の娘たちは、リョウさんと出会って不幸そうでしたか?」

リョウ「それは……」

~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~


美波『坂崎さんのお話しを聞いたときの胸の高鳴り、坂崎さんに感じた誠実さ……嘘じゃないって、胸を張れますから!』

拓海『……面白えじゃねえか。良いぜ、その本当の強さってのをサカザキ、アンタから盗んでやる。その為なら何だってやってやるぜ!』

有香『これから最強のアイドルを目指して頑張りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします!押忍!』

悠貴『普通のプロデューサーさんならっ……私はそもそもここまで来れませんでしたっ!このメンバーの皆さんが集まることはありませんでしたっ!』

加蓮『私、良かった……本当に……アイドル続けてて……』


~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~

リョウ「……」




~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~


Mr.BIG『フフ、リョウ・サカザキ。お前の可愛いアイドル達にケガをさせたくなければ、アイドル共々、俺とともに来てもらおう……!』


Mr.BIG『そんな平和なことをしていれば自分が普通の人間のような生活が送れるとでも錯覚したか?だが、それは許されん』


Mr.BIG 『貴様たちが使う極限流というのは最早呪いの拳だ』


~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~


リョウ「それは……正直、わからない」

茄子「……そうですか。じゃあリョウさん」

茄子「あなたは、あの娘たちと出会って、幸せでしたか?不幸でしたか?」

リョウ「……」



リョウ「……初めは、嫌々始めたことだった」

リョウ「あいつに……ロバートに半ば強制されるような形で始めたプロデューサーだった」

リョウ「そもそも俺はただの空手バカだ。年頃の女の子と縁なんてない」

リョウ「そんな俺がアイドルのプロデューサー?出来るわけねぇだろそんなもん」

リョウ「……そう思ってた」

リョウ「……だが、あいつらと出会って」

リョウ「あいつらの熱い思い」

リョウ「あいつらの努力」

リョウ「それを間近で見ていて、いつの間にかあいつらの成功を心から願うようになってた」

リョウ「俺にしてやれることはなんだってしてやりたいと思うようになってた」

リョウ「そしてあいつらは俺のそんな思いにいつも応えてくれた」

リョウ「……むしろ、あいつらの期待に応えられてなかったのは俺だった」

リョウ「こないだのLIVE……君たちReppuが見せたパフォーマンス……」

リョウ「みんなショックを受けていた。こんなにも力の差があるのかってな」

茄子「……」

リョウ「だがあいつらはそれを素直に受け入れて、自分たちを鍛えることを選択したんだ」

リョウ「一方の俺は、いつまでもReppuの悪夢に取り憑かれ、挙句関係ないLIVEでもあいつらと比べちまってた」

リョウ「今までの人生、そんなことなかったのにな」

茄子「……だから、プロデューサーにはふさわしくないと?」

リョウ「……だが、思い出しちまった。この前、あいつらが危険な目に遭った時、俺が無意識に入ったとき……」

リョウ「俺は、確かにあいつらの事を『家族』だと思った」

リョウ「不幸なんてとんでもない」

リョウ「あいつらは家族だ。あいつらにとっての喜びが俺の喜びで、あいつらの悲しみは俺の悲しみ」

リョウ「俺は……あいつらと一緒にいて、幸せだったんだ」

「私たちも……幸せですよ、坂崎さん」

リョウ「!?」

茄子「……あらあら♪」

ガチャ

リョウ「お、お前ら……!」

ロバート「まぁ、見舞いに来たいぐらいは言うわな。アイドルとプロデューサーなんやから」

ちひろ「大丈夫ですか?プロデューサーさん」

美波「……」

拓海「……チッ」

有香「……坂崎プロデューサー……あたし、スカウトされてから不幸だったことなんてありません!」

悠貴「ずっと楽しかったんですっ!こないだ遭った怖いことだってなんともないくらいっ!」

加蓮「……坂崎さんが、居てくれたからだよ。他の人じゃない、貴方のお陰で今の私が在るの」

リョウ「……聞いてたのか」

茄子「ふふ♪みんなも幸せ、だそうですよリョウさん?ってことは、カコ判定でこれは良縁に決定です♪」
パチパチパチ

リョウ「……お前ら」

ロバート「なぁ、リョウ。昨日からさっきに至るまでワイはお前自身の意思を聞いてなかった」

リョウ「俺自身の、意思……?」

ロバート「せや。自分とおると他人が危険とか、自分のプロデューサーとしての資質とか、そんなんはどうでも良い」

ロバート「一番素直なお前の感情としては、お前は一体どうしたいんや?」

リョウ「……」

リョウ「……俺は」

リョウ「俺は、プロデューサーを続けたい。こいつらと一緒に夢の続きが見たい」

美波「……!」

リョウ「……だが、良いのか?ずっと言ってる通り俺と一緒にいるとこの前みたいな危険がいつ襲ってくるとも限らないんだぞ?」

拓海「……しつけーな。こっちはもう腹ァ括ってんだよ」

有香「大丈夫です!この前は怖くて動けませんでしたけど、もしもの時はあたしも空手でなんとかしますから!」

悠貴「体力もつけてますからっ、いざというときは逃げられますっ!」

加蓮「それに、坂崎さんが守ってくれるんでしょ?」

リョウ「……この前みたいに、俺が無意識でお前たちを……」

スッ
美波「……大丈夫ですよ、坂崎さん」

美波「もしこの前みたいなことになっても、その時はまた、私たちが坂崎さんを止めます。……家族、ですもんね」

リョウ「……!」

ロバート「……おう、もし今度またお前が暴走しそうになったら、美波ちゃんたちの手を煩わせるまでもない。この最強の虎、ロバート・ガルシア様がお前を華麗に止めたるわ!まぁ、多少のケガは恨むなよ?あっはっはっは!」

拓海「え~?マジかよ、返り討ちにあうんじゃねえのか」

ロバート「んな!?おま、お前はなんちゅーことを!」

拓海「だってなぁ?アタシら、アンタがまともに闘うところ見たことねーし」

ロバート「いや、お前らを救出する際に華麗に龍撃拳撃ってたやろが!それだけやない、突入前にはジョン・クローリーのおっさんと闘い、勝利し、銃を持った兵士たちを一方的にのしてやなぁ!!」

加蓮「たしかに助けてもらったけど、キングさんが闘ってるのが格好良すぎたのと、私たちに付いてた悪者を直接やっつけたのはあの運転手さん……カーマンさんだしねぇ」

拓海「突入前の活躍はアタシら見てねぇしな」


ロバート「……アカン、怒りの乱舞が発動しそうや」

美波「だ、大丈夫ですよ社長さん……社長さんが坂崎さんと同じくらい強いって、坂崎さんに聞いてますから……」

美波さん必死のフォロー
しかし実際は遠回しにロバート本人の言は信用できないとトドメを刺している現実

拓海「サカザキが気ィ使っただけじゃねぇのか~?」

ロバート「ムキーーーーーーー!!」

加蓮「あは、あはは」

ちひろ「ふふふふ」

悠貴「あはははっ」



リョウ「……決めた」

ロバート「……!」

有香「えっ!?」


リョウ「BIG?組織?関係ない」

リョウ「もし俺のアイドルに……俺の家族に手を出す気なら、俺が全部退けてやる」

リョウ「もし今の俺にそれが出来ないなら、もっと強くなるまでだ。お前たちと一緒なら、それが出来る」

ロバート「……ちひろさん、今何時や?」

ちひろ「えっ?ええと、15時5分前です」

ロバート「くく、それで昨日のプロデューサー辞める発言が確か夕方くらいやったから……おいおいリョウ、3日坊主どころか1日持たへんかったな」

リョウ「そうだな。このままでは俺は言葉の軽い男だと思われちまう。これからの働きで挽回してみせるぜ」

リョウ(俺はもう、迷わん)

リョウ(こいつらを、何があっても絶対に守り抜いて見せる)

美波「……良かった」
ポロ

拓海「おお!?美波、お前泣いてんの!?あはは……ん?あれ、風邪かな……」
ズル

加蓮「あは、あんたも泣いてんじゃん、えへっ、あはは」
グスグス

有香「……良かったです、本当に」
ポロポロ

悠貴「本当に、良かったですっ……」
グス



茄子「……本当に良いプロダクションですね♪」

茄子(……あの人は、私たちと別れる時、涙を流してくれるでしょうか?)

リョウ「ああ、鷹富士さん、君にも迷惑をかけたな。すまない」

茄子「いえいえ、迷惑だなんて♪それでは、私はこれで失礼しますね♪」

リョウ「ああ……ん?ちょっと待ってくれ、君はギースの使いでここに来たんじゃなかったか?」

茄子「え?……ああーー!そ、そうでした!忘れてました!」

拓海(……なんかユルそうな姉ちゃんだな、こいつが本当にあのReppuの一員か?……いや、間違いねぇな)

茄子「これを渡すように頼まれたんです、はい、リョウさん」

リョウ「これは、封筒?中身は……招待状?……!」

ロバート「なんやリョウ、何の招待状や?」



リョウ「……クイーン・オブ・ザ・アイドルズ?」

今日はここまで


ついに格闘大会開催か(違

熱さあり涙あり
アテナさんは出るのかな?今回においては解説とかのゲストなイメージが何故かあるんだけど


違う作品思い出すな、ジェフに命の危機が上手くやればギースは簡単に奥義の書を入手できる模様
これ他の大物も参戦しそうだな、アイドルと格闘技を合わせた大会か普通だな

龍虎は街中あらゆる場所暴れ回る印象が強いせいで逆に格闘大会系が
異質に感じちゃうんだよな不思議と

街中で喧嘩するのが大会じゃろ?(元祖KOF感)

クイーンオブハート?(難聴

>>143
龍虎と同じくらい懐かしいな

>>143
俺もそれ思った

そこはネオポケのクイーンオブファイターズだろうがよ

ということはミスXが参戦か…

リョウ・サカザキ殿

怪我の具合は如何だろうか?
Mr.BIGの件は嘗ての同僚である私が代わりに謝罪しようと思う。
申し訳ない。
だがしかし、BIGがいくら卑劣な手を使ってこようとも、
もしそれに屈するようならば貴殿も所詮その程度の器であると静観していたのも事実だ。
だが、貴殿は見事それを打ち破ったようだ。
私も嘗ての好敵手が牙を失っていないようで嬉しい。

その礼ではないが、私が日本にいる間は貴殿はプロデューサー業に
専念して貰えると思う。醜い敗者は、もうステージに上がるべきではない。

さて、この度我が覇我亜怒プロダクションの主催で、
各プロダクションの枠を超えた一大フェスティバル、『クイーン・オブ・ザ・アイドルズ』を開催することとなった。
それにあたり、貴殿のプロデュースする『極限drea娘』にも出演して頂きたい。
詳細な日程や収益の分配方法に関しては別紙を参照されたし。

色よい返事を期待している。

――ギース・ハワード



ロバート「……リョウ、これはもしかすると……」

リョウ「……ああ、BIGや組織に対してギースが何か手を打った可能性がある。だが、これを100%信じるほど俺たちは奴を信頼しちゃあいない……今後も警戒はしておくべきだろうな」

ロバート「せやな…で、会場は……おいおいこのハコ、日本最大級のとこやんけ」

ちひろ「つまり、その条件でもコストをペイできる勝算があるんでしょうね……」

ギースかっけえ

リョウ「手紙には各プロダクションの枠を超えた、とあった。恐らくヤツの性格からして出演グループには妥協しないだろう」

ロバート「ってことは出演者に対するギャラだけでもエライ額になるはずや……」

ロバート「それに加えて、出演者のギャラ+イベントで出た収益をアイドルを出演させたプロに分配すると書いてある……こんなん出演するだけでこっちはぼろ儲けやで」

ちひろ「では、いったい何が目的なんでしょう?」

リョウ「アイドル界の頂点は自分たちだと、明確に示すためでしょう」

ロバート「日本最大級の収容数を誇るハコで、各プロダクションからアイドルを引っ張りだして、共演させる……」

リョウ「……以前ギースが開いたキング・オブ・ザ・ファイターズは言わば勝ち抜き制の、はっきりと勝ち負けをつけて、優勝者に賞金を、という物だった。今回はそういった旨は書かれていない……」

ロバート「下手に勝敗を明確にさせると、それを嫌うプロダクションも出てくるやろうからな」

リョウ「つまり、明確な勝ち負けを出さずとも、何万人の観客の前でReppuが最も優れたパフォーマンスが出来ると、確信しているんだ」

ロバート「……まぁ確かに前回あれだけのパフォーマンス見せとるからな……CDは未だ売れ続けて、露出は多くない割に仕事を厳選しとんのか知らんけど、新人グループのクセにもうなんか大物みたいな雰囲気になっとる」

ロバート「……リョウ、どうする?事務所的にはぼろ儲けの美味しい仕事やけど、もし共演して何万人の前でまた圧倒的なパフォーマンスされたら……今後極娘はReppuの日陰を強いられ続けることになるかも知れんで……」

ロバート「いや、それだけやない。今度こそ、あの娘らの心が折られるっちゅう可能性も……」

リョウ「いや、あいつらに限って心が折られることはまずない」


リョウ「……ただまぁ、どのみちあいつらと相談して決めないといけないな」

ロバート「……そうか。まぁ幸いなことに返事の期限はまだあるし、本番は3か月後や。じっくり考えて決めたらエエ……ところでお前、右腕の調子はどうや?」

リョウ「ああ、骨はもう繋がってる。少し痛みはあるし、万全には程遠いが動かせるぞ。力仕事か?」

ちひろ(ええ……どうなってるのこの人の身体……)

ロバート「いや、そうやない。ここ数日はお前もアイドル達も心身共にきつかったやろうし、ちょっと休暇をやろうと思ってな」

ロバート「それに、あんなことがあった後や。正直向こうにもお前にもわだかまりが残らんとも限らん。そこで……」

リョウ「そこで……?」

沖縄

拓海「っしゃあ!海だああああああああああ!」

悠貴「海、綺麗ですねっ!」

有香「そうですね……!透き通るようです!」

リョウ「……まさか、いきなり沖縄とはな」

美波「でも、この所本当に色々ありましたし、社長さんには感謝ですね」

加蓮「ね、ねぇ……水着とか今までほとんど着たことなくてさ……変じゃないかな?」

リョウ「何も変なことはないぞ、似合ってる」

加蓮「そ、そうかな?ふふ……私、水着で海にって……憧れてたんだよね」

リョウ「そうなのか?じゃあ今度そういう撮影の仕事ないか探してみるか」

加蓮「ホント!?えへへ、お願いね♪」

リョウ「……しかしあれだな、美波と拓海はこういう撮影が多かったからか、水着姿も堂に入ってるな」

美波「え、ええ!?も、もう、坂崎さん……///」

拓海「……お?セクハラか?セクハラなのかてめぇ?」

リョウ「い、いや、褒めたつもりだったんだが……難しいもんだな……」

拓海「まぁいいや。とにかく海だ!いくぜ!ヒャッハアアアア!!」
バシャバシャ

悠貴「みなさんも行きましょうっ!」

有香「押忍!」

加蓮「そうだね。ねぇ坂崎さん、後で泳ぎ方教えてね?私泳げないから」

リョウ「ああ、教えられる範囲で教える」

美波「……そういえば坂崎さん、右腕とか、お身体の方は大丈夫なんですか?」

リョウ「ああ、右腕はまだ万全じゃないが、動かす分には問題ない。身体の方も、2日寝てりゃ治るさ」

美波「そ、そうなんですか……でも、前も言いましたけど、無理はしないでくださいね」

リョウ「ああ、まぁ今回は慰安旅行だ。別に無理する場面もないだろう。それより美波もみんなの所に行って一緒に遊んできて良いぞ。俺も後から行くから」

美波「……そうですか?じゃあ、坂崎さん、先に行って待ってますね」
タタッ

リョウ「……」

リョウ(特に周囲に怪しい気配はない……)

リョウ(だが常に警戒しておくに越したことはないだろうな)

リョウ(ギースがどこまで手を回してくれてるかはわからんが、ヤツに頼り切るつもりもない)

リョウ(あいつらは、俺が守る)

今日はここまで

-R-って書いてなくてよかった(KOF並感)

沖縄で単身アイドルを守り奔走…。
これは龍虎版ファイナルファイト、もしくは龍が如くフラグ…

みんな日焼け止めは塗ってるかな?
食事は海の家かバーベキューか?アイスも食べさせたりしたいな

今どきのアイドルはシンデレラではなくクイーンを目指すのだッ!


加連水着の撮影に憧れてるんだっけ、前スレの終わり際に象徴的なセリフ出たな
リョウの決意フラグな気が

美波「それっ!」
バシッ

有香「何の!」
バンッ

悠貴「えいっ!」
バンッ

拓海「ッシャア!もらったぁぁぁぁぁ!」
ズバシュ

悠貴「ああっ」
ズザー

拓海「おおし!」
ガッツポ

有香「やりましたね!拓海ちゃん!」

拓海「おうよ!」


美波「まだまだ!これからだよ、取り返そう悠貴ちゃん!」

悠貴「はいっ!」


リョウ「これは、あれか。ビーチバレーって奴か。加蓮、お前は参加しないのか?」

加蓮「はじめちょっと参加したんだけど、無理無理……みんなレベル高すぎるよ。ね、それよりさ、泳ぎ方教えてよ。今ならみんなあっちに集中してるから坂崎さんフリーでしょ?」

リョウ「……そうだな。ここは海だし浮きやすいから練習にはちょうどいいな」





リョウ「はじめは顔を水に顔を出来るだけ長く着けていられるように訓練だ。水に慣れる事、泳ぎ方は二の次だ」

加蓮「……」
ブクブク

リョウ「……加蓮?」

加蓮「……」
ブクブ……

リョウ「オォイ!加蓮!?」
ワタワタ

加蓮「……ぷはっ」
バシャ

加蓮「……どうしたの?」

リョウ「……いや、なんでもない……」



リョウ「……そうだ、足は曲げずにまっすぐ伸ばして……」


加蓮「……」
バシャバシャ


加蓮「……ぷはっ、ねぇ。今私ちょっと泳げてたんじゃない!?」

リョウ「ああ、だが今はまだ俺が手を握ってるからな。これを離しても今のが出来たら泳げたといっても良い」


加蓮「ええー……それはまだ怖い、かな」


リョウ「だが、思ってたよりずっと筋が良いな。この少しの時間教えただけでだいぶコツを掴んでる。もう少しやればもう一人で泳げるようになるだろう」

加蓮「そうかな?ふふ、今まで泳いだことなんてなかったけど、もしかしたら私泳ぎの才能があるのかな?」

リョウ「……泳ぎだけじゃない。ダンスもそうだが、加蓮はやらせてみれば飲み込みが早い。スカウトした頃は『運動神経ない』だの、『体力ない』だのと言っていたが、結果的には『経験がない』ってだけだったな」

加蓮「も、もう、スカウト当時の頃は色々と捻くれてたんだから、言わないでよ」

加蓮「……そういえばさ、何で坂崎さんは私をスカウトしたの?ちゃんとした理由は聞いてなかったよね」

リョウ「ん?言ってなかったか?」

加蓮「いや、その時も燻っているように見える、とか漠然としたことは聞いてたけどさ、なんていうのかな……そもそも私の何に興味を持ってアイドルに誘ってくれたのかなって」

リョウ「ああ、そういう事か。……う~ん、理由か」

加蓮「……え?パッと思いつかないの?ひどーい!何かあるでしょ、可愛かったからとか、オシャレだったから、とか!」

リョウ「ああ、いや……なんていうか、抽象的というか、概念的というか……言葉にすると難しいんだが」

リョウ「今まで俺は色んな奴と闘ってきた。で、道場で指導もしてきた。要するに、色んな人を見てきた」

リョウ「そうするとな、人と対峙するとその相手の実力が分かってくるようになる」

リョウ「まぁわかるのは当然闘いの実力だが、最近は何かを秘めている人物っていうのも何となくだが、わかるようになってきた」

リョウ「で、ぶっちゃけた話、お前にもその『何か』を感じた。その上で、当時のお前は何もかもを諦めたような眼をしていた」

リョウ「素直に勿体ないと感じたよ。この娘は大きな才能を持っているのに、今はそれを諦めている。自棄を起こしかけているってな。そうしたら、もういつの間にか声をかけてた。まぁ1回目は断られたがな」

加蓮「……まぁ、ね。気持ち的には本当にあの時ってどん底だったし」

加蓮「入院ばっかりで体力はない、勉強は遅れがち、友達は少ない……私ってなんで生きてるんだろう、くらいの気持ちだったよ」

加蓮「……ね、坂崎さんが私の2回目のスカウトに来てくれた時……数日前から駅前で私の事探してたでしょ?」

リョウ「ああ、朝から晩までお前が通りがからないかって……なに?お前まさか、見てたのか!?」

加蓮「うん、最初見かけた時はさ、多分スカウトする別の娘を捜してるんだろうなって思ってた。けどその割には駅前から動かないし、誰かに声をかける様子もないし……だからもしかしたらって、私の方から声かけたんだ」

リョウ「そ、そうだったのか……実はお前をスカウトしたあの日、あれが最終の期限だったんだ。あの日もしお前が見つからなかったら、別の娘をスカウトする予定だったんだぞ」

加蓮「……ええ!?そ、そうだったの!?危なかったんだ実は……よ、良かったぁ、あの時声掛けに行って……」

リョウ「……まぁそういうのも含めて俺たちには縁があったんだろうな」

リョウ「まぁ、お前をスカウトした理由ってのを敢えて言葉にするとこんなところだ。納得してくれたか?」

加蓮「……正直良く分かんなかったけど、納得しておくよ。私たちが出会ったのは運命!ってことでね♪」

リョウ「……まぁいい」

加蓮「でも私の才能っていうのがあるんだとしたら、それを見出してくれたのも伸ばしてくれたのも、坂崎さんだよ」

リョウ「……」

加蓮「だけど、私ひとりじゃまだまだ危なっかしいみたい。ちょうどこの泳ぎみたいにね」

加蓮「というわけで、これからも坂崎さん、私の手を掴んで、引っ張っていってね。……おねがい♪」

リョウ「……ああ」





有香「……はぁ、はぁ、なかなかの死闘でしたね……あれ?坂崎さんと加蓮ちゃんは?」

美波「あ、あそこで一緒に泳いでる。加蓮ちゃん泳げないって言ってたから、坂崎さんが教えてあげてるのかな?」

悠貴「そうみたいですねっ!私たちもせっかくですから泳ぎませんかっ?」

拓海「な、なにィ!!?」

美波「!?ど、どうしたの拓海ちゃん?そんなに大きな声出して……」

拓海「……あ~、アタシはちょっとビーチバレーの死闘で疲れちまったな。ちょっと休んでるからみんなで泳いできてくれや」

悠貴「えっ?拓海さん、大丈夫ですかっ?何か冷たい飲み物でも……」

拓海「ああ~!いや!気を遣わなくていいから!アタシはちょっとパラソルの下で休んでるから!じゃ、じゃあな!」
ソソクサ

有香「……?」

美波「……!」
ハッ

美波「……有香ちゃん、悠貴ちゃん、拓海ちゃんもああ言ってることだし、私たちは泳ぎに行こう?」


有香「?は、はい」




リョウ「……良く泳いだな。それにしてもみんな泳ぎが達者だな」

悠貴「ありがとうございますっ!走ることほどじゃないですけど、泳ぎもけっこう得意ですっ!」

美波「泳ぐのってハードですけど……好きなんですよね」

有香「水泳は全身運動として効率がいいと聞いてました。だから良く鍛錬に取り入れてました!」

リョウ「ほう、そうなのか。だが加蓮も今日でだいぶ上達したしな」

加蓮「そうかな?えへへ~♪……ところで拓海は?姿を見ないけど」

美波「え?ええ、拓海ちゃんは……あれ?あそこの人だかりにいる……」




司会「さぁさぁ!どなたでも参加自由!第1回、ビーチで相撲大会だあ!!参加費無料!優勝者にはスイカとこの近くでグループで使えるレジャー参加チケットを進呈だ!」

司会「ルールは張り手などの打撃は禁止!それ以外は相撲と基本的に同じだぁ!」

加蓮「へぇ~、ビーチ相撲大会かぁ」

拓海「おう、お前ら。アタシは参加するぜ。お前らはどうだ?」

有香「参加したい所ですが、いっぱい泳いだから疲れてしまって……」


加蓮「私もパス。男女の区分もないし、なんか見た所けっこうゴツイ人も出るみたいだよ?」

拓海「なんだなんだ、情けねぇなお前ら……」

リョウ「俺も出る」

美波「ええ!?坂崎さん、一応病み上がりというか、すぐ前まで入院してたんですよ!?」

リョウ「ああ、だが相撲と聞いてはな。実は俺は相撲好きなんだ」



リョウ「新横綱の稀勢の里関はもちろんだが、関脇に落ちてしまった琴奨菊関にも頑張ってほしい。ケガを治せば、まだまだあのがぶり寄りで優勝を狙えるはずだ」

リョウ「そういえば以前闘った相手にテムジンというモンゴル相撲の使い手がいてだな、あいつも日本に来ればきっと横綱を狙えるほどの……」

拓海「す、相撲ウンチクは良いから出るならさっさとエントリーしようぜ」

いったんここまで


格ゲーに出てくる相撲ファイターはイロモノ感があるのは何故だろう

ヒムリオとか見ると、相撲のイロモノ感もかなり薄まるがねw

………ハカンのエントリーを期待(作品無視)

乙です
キセノン良かったよなぁ…
横綱として頑張って欲しいわ

そもそも現実の相撲はジャンプしないし

舞の海「せやな」

司会「さぁ!ついに始まりました!ビーチ相撲、8人の参加者!その中で唯一の女性参加者!タクミちゃんだーーー!!」

ヒューヒュー!イイゾー!チチデケェーー!
オイアレ、アイドルノ……
ソンナワケネェダロ・・・・・・イヤデモニテルナ・・・・・・

チャラ男「うひょー!彼女に頼まれて嫌々参加したけど、こんなマブい相手と相撲取れるなんてよぉ!身体に触れちまってもこれは相撲だからな?痴漢じゃねえからな?」

拓海「御託は良いからさっさとかかってこいや」

司会「それでは……はっきょい!」

チャラ男「っしゃああ!(おっぱーーーーい!!)」
ズアッ

拓海「……!」
スッ
ガシッ

拓海「どおりゃああ!」
ブオン

チャラ男「うっぎゃああああ!!」
ゴロゴロゴロ

司会「勝負あり!」

オオオオオオオ!!
イイゾネーチャン!

リョウ「相手の突進を逆手に取っての出し投げか……やるじゃねえか拓海!」

有香「ご、豪快ですね……」

悠貴「格好良いです!拓海さん!」

拓海「へっ、まぁな!」

リョウ「よし、なら俺も情けない所は見せられないな。行ってくる!」

加蓮「頑張ってね」

加蓮(……まぁ応援しなくても多分……)

司会「さぁさぁ優勝候補の登場だあ!今回の参加者中最も大きな体躯を誇るぞ!」

体格のいい男「へっ、ぶん回してやるぜ、兄ちゃん……ってなんだその面は……ふざけてんのか」

司会「対するは、天狗の面を着けた謎には包まれてるが身体はふんどし以外には何も包まれていない男!エントリーネームMr.SUMOUだああああ!」

Mr.SUMOU「でかいな」

オオオオオオオ!!
ヘンタイダ
ヘンタイダゾ

加蓮(ああ……坂崎さん、またアレ被ってるんだ……)

拓海「ていうかアレまだ持ってたのかよ……ていうかふんどし持って来てたのかよ……」

美波「な、何なんだろうあのお面……ていうか褌……さっきまで水着だったのに……」///

悠貴「あれ?坂崎さんは何処に行ってしまったんでしょうっ?ていうかふんどし……」///

有香「ゆ、悠貴ちゃん。あの天狗の人が坂崎さんですよ……多分……ていうかふんどし……」///

司会「さぁさぁ今大会ある意味一番の注目カードだあ!さあ……はっきょい!」

体格のいい男「……どおりゃあ!」
ガシッ

オオーーー!!
イキナリツカマエターーー!!
オワリダーー!!

体格のいい男「おらあ!……!?」
グワ

体格のいい男(び、ビクともしねえ!?)
グググ

ナンダナンダ?
ハヤクブンナゲチマエヨ!

司会「おおっとお!?早々に決着がつくかと思いきや、がっぷり四つの膠着状態だ!」

Mr.SUMOU「さすがに力があるな。だが足腰の強さなら負けん」
ズズズ

体格のいい男「ぬ……お、おおおお……」

体格のいい男(お、押されている!?この俺が、一方的に!?)
ズズズ

オ、オイ、ナンカオシコマレテネ?
テイウカアキラカニ・・・

Mr.SUMOU「……!」
ズズズズ

体格のいい男「あ、あ、ああああああ!!」
ズズズズズズ

司会「……勝負あり!決まり手は寄り切り!」

オオオオオオ!!

体格のいい男「ば、馬鹿な…この俺が完敗だと……」
ガックリ


Mr.SUMOU「ああ、病み上がりにちょうどいい運動だなこれは」

加蓮「……まぁそうなるよね」

悠貴「おおおっ!Mr.SUMOUさんもっ!格好いいですっ!」

拓海「ちっ……打撃が使えなくても完勝じゃねえか……やっぱアタシの最大の強敵はサカザキ、アンタみてえだな」






司会「さあ!ビーチで相撲大会もついに決勝だあ!」

司会「1回戦、準決勝ともに豪快な投げで派手な勝利を飾ってきた紅一点、タクミちゃんと!」

オオオオオオオ!!
ヒューヒュー!
アネゴオオオオオオオオオオオ!!


司会「1回戦、準決勝ともに相手を寄せ付けず寄り切ってきたMr.SUMOU!」

ブーブー!
カエレー!
ヘンタイヤロー!

Mr.SUMOU「……」

司会「この二人の決勝に……ん?なんです?……え?決勝をですか……いや、しかし……」


拓海「ん?なんだよ、どうしたんだ……」

司会「……はい!スポンサー様から急きょお達しがありまして、決勝は海上の特別土俵で行われることに決まりましたーーー!」

拓海「……はぁぁぁぁぁ!?」

オオオオオオオ!?

拓海「ちょっ、どういうことだオラァァァン!?こ、これじゃあ負けたら海の中にドボンじゃねェか!!」

司会「は、はい。まさにそれが狙いです。その方が盛り上がるってスポンサー様が……」

拓海「て、てめぇふざけんじゃねえ!そんなこと許されるか!!」
ブンブン

Mr.SUMOU「お、おいおいどうしたんだ拓海、そこまで怒るような事か?」

拓海「ああ!?そんなもんあたりめーだろが!!アタシはおよ……」
ハッ

Mr.SUMOU「およ?」

司会「およ?」

拓海「およ、およよ?よ、良く考えたらそんなに怒ることじゃねーかなぁ?あは、あははは……」

Mr.SUMOU「……?」

司会「……ハイ!本人に了承も得ましたので決勝は海上で行います!!」

拓海(……ちくしょう、なんでこんなことに……そうだ、相手はサカザキなんだからちょっとわざと負けてもらうか……)

拓海「……な、なぁサカザキ……」

Mr.SUMOU「思えばお前と勝負するのはスカウト前のバイク以来だな」

拓海「え」

Mr.SUMOU「あの時は俺は負けちまったが、負けっぱなしってのはやはり悔しいもんだな」

拓海「え?あ、ああ、はい」

Mr.SUMOU「まぁ思わぬ形にはなったが、勝負だ。俺も全力でいかせてもらうぜ!」
ズオオオオオ


拓海「お、おう……」

拓海(だ、だめだーーーーー!八百長を言い出せる気配じゃねえええ!!ていうかなんか大人げなくね!?)
ガビーン


拓海(ち、ちくしょう、ならどうする!?ってそりゃ勝つしかねえ!全力のサカザキに!)
ゴゴゴゴ

拓海「ッシャア!!」
パンパン

有香「……なんか、少し遠い所にお二人いますけど……」

美波「……なんだか遠目からでもわかるほど二人とも気合入ってるね……特に拓海ちゃんは些か気合が入りすぎている感があるほど……」



司会「はい、では負けたら海にドボンの海上相撲!決勝!……はっきょい!」

Mr.SUMOU「……!」
ザッ

拓海「……!」
ザッ

拓海(チッ……さっきまでの奴らみたいに勢いで突っ込んでくりゃ出し投げ?っての?あれでブン投げてやろうと思ったが……流石にそんな簡単じゃねえか……)
ジリジリ

拓海(だが、もしも組まれたらアタシはどうしようもねえ……せいぜい投げられるか寄り切られるかだ……)
ジリジリ

Mr.SUMOU「……」
ジリジリ


加蓮「……なんか、とてもお遊びの大会って緊迫感じゃないんだけど」

悠貴「真剣勝負ですねっ!」

拓海(組ませず、尚且つアタシが有利に仕掛けられるポイント……つまり、アタシの勝ち筋は……)


拓海(サカザキの万全じゃねえ右腕!そこからスピードを活かして持っていく!これっきゃねえ!)




Mr.SUMOU(……万全じゃない右腕……ここを狙ってくるだろう……組みは筋力で劣る拓海が絶対不利……しかも打撃も禁止……その上俺が勢い任せに突っ込んでこないとなれば、拓海の攻めるポイントはここしかない)

Mr.SUMOU(だがそれを俺が警戒してるのも当然解かっているだろう……さて拓海、どう攻めてくる?)
ジリジリ

司会(なんか……緊張感が……俺の流れ出る汗は、決して太陽の日差しによるものだけではない……)
ゴクリ

拓海「……」
シュパッシュパッ


Mr.SUMOU「……」
ザッ

拓海「……くっ」

拓海(隙が!ねえ!)

拓海(クッソ……一応動きでかく乱したつもりなのにビクともしねえ!この程度の動きじゃ闘い慣れしてるあいつを惑わすことなんてできねえってか……!)

拓海(……ん?慣れ……)

拓海(……くっそおおおおお!!正直死ぬほど嫌だけど、海の中に落ちるのはもっと嫌だ!……やるしか……ないのか……)
ピタッ

Mr.SUMOU(……ん?動きが止まった……?諦めたか?)
ジリジリ

Mr.SUMOU(だったら、決めさせてもらうぜ!)
ズイ
ガッ

司会「ああーーーっと!ついにMr.SUMOUとタクミちゃん、組んだーーーー!!!」

オオオオオオオ!!
ウラヤマシイゾコラアアアアア!!
ブーブー!
デモビショヌレニシタラユルスゾコラァァァ!!

Mr.SUMOU「……拓海、このまま、決めさせてもらうぜ」

拓海(おうっふ……サ、サカザキ、近……息が……耳に……やばい……)

拓海「……い……」

Mr.SUMOU「……い?」

拓海「い、イやん!!(裏声)」


有香「!?」

美波「!?」

悠貴「!?」

加蓮「!?(笑)」

!?

Mr.SUMOU「……なぁっ!!!?」
バッ
ザザザザ

Mr.SUMOU「お、俺はもしかして触ってはいけないところに!!!……え?」
ツルッ

ザポーーーン

拓海「……え?」

司会「……勝負あり!勝負ありだあ!決まり手は……嬌声?いや……勇み足?勇み足だ!」

司会「第一回ビーチで……いや、海上相撲大会はタクミちゃんの優勝だあああ!!」

オオオオオオオオ!!
イイゾオオオオオ!!
アネゴオオオオオオ!!

拓海「あ、はは、ははは……」

拓海(想定してた以上の効果だったぜ……)


ザバザバ
バシャ

Mr.SUMOU「……拓海、恐れいったぜ。まさか精神(こころ)の方を崩してくるとは……俺の完敗だ」
ビショビショ

拓海「お、おお……ま、まぁ作戦勝ちって奴だ……」

拓海(まぁ声の方はあながち演技じゃなかったんだが……)

司会「それでは優勝のタクミちゃん、何かコメントをどうぞ」

拓海「え?あ、ああ……まぁアタシの無敗伝説は終わらねえってこったな」

拓海(以前香澄に負けたけどアレは非公式だからセーフ……セーフだ)


加蓮「拓海ーーーー!そうじゃないでしょーー?アレもう一回叫んでよ、『イやん♡』って!」
ニヤニヤ

拓海「!?」///
カーッ

拓海「~~~~~っ、てめえええ!加蓮んんんん!!」
グワ
ツルッ


拓海「あ」

Mr.SUMOU「あ」

司会「あ」

ザッポーーン

オオオオオオオ!!
イイゾイイゾーーーー!!
オマチカネノビショヌレダ!!

加蓮「あははは!もう、拓海、動揺しすぎ!落ちちゃった!」

美波「……だめぇ!坂崎さん、拓海ちゃんを、助けてあげて!」

有香「……へ?美波さん、どうしたんで……あれ?」

悠貴「……拓海さん、浮かんできませんねっ……」

美波「拓海ちゃんは……拓海ちゃんは……っ!」

美波「拓海ちゃんは泳げないんですっ!!」




Mr.SUMOU「……おい、拓海?」

ブクブクブクブク

Mr.SUMOU「……拓海いいいいいいいいいいい!!」
ザッポーン




加蓮「あはははははは、ふっ、ふふふふふ……あははははは」

拓海「もう一生笑ってろよ……アタシは……終わりだ……一度にあれだけの醜態を……」

美波「ま、まぁ加蓮ちゃんもそれくらいにしてあげて……拓海ちゃんも元気だして……」


有香「そ、そうだ!拓海ちゃんが優勝してくれたおかげで貰ったこのスイカで、スイカ割りしませんか?」

悠貴「あっ、良いですねそれっ!やりたいですっ!」

リョウ「スイカ割り?氷柱割りみたいに、スイカを素手で叩き割るのか?だが、スイカじゃ修行にならんと思うが……」

美波「い、いや、違います。目隠しをして、棒でスイカを割れるかっていう一種のゲームみたいなものですよ。素手では割りません」

加蓮「そうだね、いつまでも笑ってても悪いし、拓海、やってみなよ」

拓海「……そうだな、スイカでも叩き割って、汚名返上させてもらうとするか……」

今日はここまで


拓海ちゃんはカナヅチかわいい

いイやん

>>191
出たな技のデパート


拓海カナヅチかwwww変装の正体バレバレで笑った
加連が楽しそうでなにより、強気な子は可愛い声してるな


リョウの褌姿なら、極娘も赤面せざる負えない

氷柱割れることサラリと告白したリョウに美波さんが軽くドン引いてる件
目隠し程度だとリョウ達なら普通にスイカの場所を察知しそう

何の参考にもならんと思うが

https://www.youtube.com/watch?v=Ly_OIq7LyNc



美波「……よし、と」

悠貴「美波さん、なにしてるんですかっ?」

美波「うん、スイカ割りをする時はね、あらかじめこうやってスイカに切り込みを入れておくと、棒で叩いた時にきれいに割れるんだよ」

悠貴「わ、そうなんですねっ!でも確かにそのままだと棒で叩いてもなんだかきれいに割れずに飛び散っちゃいそうですねっ」

拓海「っしゃあ、目隠ししてこっちも準備OKだぜ!」



加蓮「右、右!もっと!」

悠貴「ちょっと行き過ぎですよっ!もう少し左ですっ!」

美波「うん、それでそのまま4歩くらいまっすぐだよ、拓海ちゃん」

有香「ああ、あと半歩くらいです!そこです!」

拓海「……ッオラァ!!」
ブォン
ドザァ

拓海「……あ、あれ?」

加蓮「……もう、拓海、誘導完璧だったのに何でそんなに違うところ叩いてんの」

拓海「お、おかしいな……」

加蓮「そんなんだから慌てて海に落ちちゃうんじゃないのー?」

拓海「テメエ上等だコラァ!じゃあお前が割って見せろや!」

加蓮「ふふん、任せといてよ」



加蓮「よし、準備OKだよ!」

美波「はい、じゃあ加れ……」
スッ
美波「……拓海ちゃん?」

拓海「……まぁまぁ、ここはアタシに任せてくれや……」

ヒソヒソ

拓海「はぁ~い、加蓮ちゃん!そのまま大きく右に向かって歩いて!(高音)」

加蓮「右、右……」
トテトテ

美波(ちょ、ちょっと拓海ちゃん、それ私の声真似なの?)

拓海「はいっ!良いですよ加蓮さんっ!そのまままっすぐ歩いてくださいっ!!(裏声)」

悠貴(そ、それって私ですかっ?)

加蓮「まっすぐ……」
スタスタ
ザッポーン

拓海「……よし、これで邪悪の化身は海に還ったな」


ギャーギャー

美波「ま、まぁまぁ加蓮ちゃんも拓海ちゃんも落ち着いて……」

リョウ「なるほどな……目隠しをして目標を割るってところに、修行になりそうな要素を感じるな」

リョウ「よし、有香。次はお前がやってみろ」


有香「え?私ですか?」

リョウ「ああ。で、誘導は俺がやる。いいか?みんな」

美波「はい。あっちの二人はケンカ中ですから……悠貴ちゃんも良いかな?」

悠貴「はいっ!有香さん、頑張ってくださいっ!」

有香「は、はい!では中野有香、いきます!」



リョウ「有香、そのままとりあえずまっすぐだ」

有香「はい!」

スタスタ

リョウ「そして、そこで右を向く」

有香「……」
クルッ

リョウ「その場からお前の歩幅で前7歩、左右5歩の間にスイカがある。感じて見るんだ」

有香「……!?」

拓海「……えらく大雑把すぎじゃね?そんなんで割れるわけないだろ」

加蓮「誰かさんはあれだけ正確に案内しても外したもんね」

拓海「てめぇまた海に還らせてやろうか?」

加蓮「だったら道連れにしてあげる……言っとくけど私は坂崎さんのお陰で少しは泳げるからね」


美波「ちょ、ちょっと二人ともケンカしないで……」

有香(感じる……感じるって言ったって……)

有香(……そういえば普段でも視覚を閉じて稽古なんてしたことなかったな……)

有香(……)
シーン
ザザーン

有香(……周囲の音が……波の音くらいしか聞こえなくなってきた)

有香(潮の香り……それと……)

リョウ(そうだ……視覚を閉じると案外余計な情報が頭に入ってこない分、集中出来て感覚が研ぎ澄まされることがある)

有香「……」
スタスタ

悠貴「あっ……歩き始めました」

美波(スイカに……向かってる?なんの誘導もないのに……)

有香(……なんだろう、見えないけど……何となく、感じる。このあたりにある気がする……)
ピタ

有香「……ここっ!覇ァ!」
ブン
バシッ
パカァ

拓海「……おおおおおお!ジャストミート!」

加蓮「すごい!有香!」

悠貴「どうしてスイカの位置がわかったんですかっ!?」

有香「えっと、それは……」

リョウ「匂い、だな?」

有香「……はい」

美波「……匂い、ですか?」

リョウ「ああ、目隠しをすると当然視界はなくなるだろ?だが人間てのは五感のどこかを封じると、その他の感覚でそれを補おうとする。集中すればなおさらな」

拓海「……ってことは有香は視覚を嗅覚で補ったってのか?けど、はっきり言って割る前のスイカの匂いなんて全然しねえぞ」

悠貴「……あっ」

悠貴「さっき美波さんがスイカ割りする前に割れやすいようにって切り込みを入れて来てくれましたけど、まさかそこから匂いがっ……!?」

有香「はい、すごく神経を研ぎ澄ませたら、ほのかに甘い香りが……それを頼りに動きました」

リョウ「当然、誰にでも出来る事じゃない。この集中力も、有香の今までの鍛錬の賜物だ」

リョウ「まぁ普通に空手をやる分には視覚を奪われて、なんて状況はないだろうが、集中力や感覚を研ぎ澄ます訓練としてはこのスイカ割りも悪くないってことだな」


拓海「……なあ、講義はまたにして、早くスイカみんなで食おうぜ!」

リョウ「それもそうだな」

美波「あ、じゃあ人数分に切り分けますね」

加蓮「うん、甘い匂いで、美味しそう♪」



有香「……」


ホテル


拓海「ふいーっ、いい湯だった……なかなか良いホテルだなここ」

美波「うん、海も目の前にあるし、社長さんが良いところを抑えてくれたんだね」

加蓮「なんだかんだで、色々と動いてくれるんだよね、ロバート社長」

悠貴「なんていうか、距離感も近いですし、本当にいい社長さんだと思いますっ!」


拓海「……あれ?サカザキと有香は?」

加蓮「二人なら、浜辺でランニングしてくるって」

拓海「か~っ、こんなところでまでトレーニングかよ……ストイックだなオイ」

浜辺

リョウ「……」
ザッザッザッザ

有香「……」
ザッザッザッザ


リョウ「……やはり浜辺のランニングは良い足腰の鍛錬になるな」

有香「はい……」

有香「……あの、坂崎さん」

リョウ「ん?どうした?」

有香「あたしは……強くなってるのでしょうか?弱くなってるのでしょうか?」


リョウ「……そりゃどういう意味か、によって返答が変わるな」

有香「いえ、アイドルになったことで色々な経験が出来ました。そういった人間として、ならばあたしは強くなれたと思います」

有香「だけど、この前の事件……あの時、あたしは何も出来ませんでした……坂崎さんが殴られている間もずっと……」

リョウ「こないだの件に関しては下手に動かなくて正解だ。なんせ相手は銃を持ってたからな……」

有香「ですが……」

リョウ「……まぁ肉体的な強さだけで言ったら、アイドルやるよりかは空手の鍛錬だけずっとしていた方が強くはなるだろうな」

有香「……」

リョウ「俺もどっちかというと今まで空手ばかりやってたからそっちの方が正しいと思ってた」

リョウ「だが、俺もプロデューサーをやって、色んな人間の色んな強さを見られた。それは空手の鍛錬だけをやってたら、きっと出会えない強さだった」

リョウ「そういった、鍛錬以外で得られた強さってのは、お前も感じてるんじゃないのか?」

有香「……はい。今やっている色んな活動は、あたしに今まで知らなかった景色をみせてくれました」

リョウ「だったら、今は迷わずにこの道を進んでいければいいさ。……まぁ、今の自分の強さがどんなもんなのかっていう武道家心は良く分かるけどな」

有香「は、はい……」

リョウ「……よし、わかった。有香、構えろ」
ザッ

有香「……え?」

リョウ「久しぶりの組み手だ。お前の現在地、それを俺に見せてくれ」

有香「……!……押忍!」
ザッ

有香「……覇ッ!」
ズバ

リョウ「……」
スッ

有香「ふっ……せい!覇!」
ビュッ
ズバッ

リョウ「……!」
ヒュッ
パシィ

有香「……」
ハァハァ

リョウ「……気づいてるか?」

有香「……え?」


リョウ「お前がプロに入るときにやった組み手……その時よりお前の間合いは半歩近い」

リョウ「前の組み手の時は……緊張か、それとも俺に恐れを持ったのか、遠い間合いから無茶な攻撃を繰り返してた」

有香「……!」

リョウ「つまりお前はこの期間で、その半歩踏み込める強さを手に入れたんだ」

有香「あ……!」

リョウ「それがどれだけの進歩か……お前ならわかるな?」

有香「はい……!前は本当に、坂崎さんとの実力差に足は竦んで、気は逸って……」

リョウ「……どうだ?これでもまだ、自分は弱くなったと思うか?」

有香「いえ……!あの、坂崎さん!ご指導、ありがとうございました!」

リョウ「俺は何も指導してないよ。お前が自分で学んで、自分で努力して身に着けた強さだ」

リョウ「それに……お前はまだまだ、強くなれる」

リョウ(空手家としても、人間としても)

有香「はい!これからも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!坂崎プロデューサー!」




リョウ「さ、ホテルに戻ろう。明日もまたたくさん動くぞ!」

有香「押忍!」

>>227
何これしゅごい……

今日はここまで


拓海ちゃんと加蓮ちゃんは仲良しかわいい
それにしても空手的には浜辺は絶好のランニングポイントとはいえ二人ともすごいな

熱血的青春の浜辺

翌日
ホテル

拓海「……んで、今日の予定はどうすんだ?明日帰るんだろ?」

美波「また海に行くのも良いですし、街の方に出てみるのも良いですね」

加蓮「そういえばさ、昨日拓海が相撲大会でもらったあのレジャーチケットってもう使えるの?」

拓海「ん?ああ、そういえばもらったなそういうの……」
ガサガサ

有香「ええっと…ダイビング、シュノーケリング、フライボード……」

拓海「……」

加蓮「拓海泳げないから無理なやつばっかりだね」

拓海「ぐっ……お、お前もそんなにアタシと大差ねえだろうが……」

悠貴「……あっ!これはどうですかっ?これなら海の中に入らなさそうっ!」
ピッ

美波「えーっと……『ビーチ乗馬』?」

リョウ「……ほう、浜辺を馬に乗って散歩か……楽しそうじゃないか」

拓海「乗馬って、馬に乗るのか?ってか沖縄に馬なんているんだな」

美波「離島の牧場が開催してるんだね。どう?拓海ちゃんがもらったチケットだから拓海ちゃんが決めてもらえたら……」

拓海「海の中に落ちねえで済むならなんでも良いよ。それに最近バイク乗ってねえからな……アタシのライダー魂が疼いてきたぜ」

リョウ「よし、じゃあ今日はこのビーチ乗馬に行ってみるか」

離島

スタッフ「ようこそビーチ乗馬へ!馬はそれほど大きくなくて大人しいですけど、原則として乗るときはヘルメットとプロテクターを着けてくださいね」

拓海「プロテクターって聞くとバイクの教習を思い出すぜ」

リョウ「いろいろコースがあるんだな……初心者用のコースに経験者用のコースに」

スタッフ「ちなみに、みなさんの中で乗馬の経験がある方はいらっしゃいますか?」


リョウ「ああ」
スッ

美波「はい」
スッ

加蓮「えっ?二人ともあるの!?」

リョウ「ああ、あっち(アメリカ)にいる時に、修行で良く山籠もりしてた時に牧場の手伝いをしててな……そこの親父さんから馬を貰ったんで、良く乗ってた」

拓海「……ってことは馬主!?馬主なのか!?」

リョウ「……ま、まぁそうなるのか」

リョウ(タツマキも元気にやってるだろうか……後で牧場に電話してみるか)

美波「わ、私はそんなにすごい経験じゃないですけど……家族と行ってた避暑地のレジャーに乗馬があったので、何回かだけ」

悠貴「ひ、避暑地……」

有香「なんだか言いようの知れない威圧感のある言葉ですね……」

リョウ「まぁわざわざコースで別れるほどじゃないし、全員まずは初心者コースでいいんじゃないか」

美波「そうですね」

スタッフ「はい、じゃあ初心者コースご案内!」

短いけどいったんここまで


毎日更新センキュー


カウボーイハットを被ったリョウを想像してみたがなかなか様になってるなと思った
Mr.BAIKUやらMr.SUMOUやらのせいで天狗面が脳裏をよぎってしまったが私は謝らない

拓海「へへ、いつもバイクで鍛えてるアタシなら乗馬程度軽くこなして……うおわぁ!」
ズテッ

加蓮「ちょ……ちょっと誰か助けて……」
プルプル

有香「比較的小さい馬という事ですが……やはり……乗ると高い……(というよりあたしが小さい……)」
プルプル

リョウ「……まぁ乗馬は運動神経とは別の慣れがいるからな……最初は苦労するかもな……お?」

悠貴「おっとっと……あっ、大丈夫みたいですっ!」
カポカポ

美波「悠貴ちゃん、すごい!初めてなのに上手だよ!」

拓海「おお……?マジかよ……乗るまでは出来たけど、全然言う事聞かねえんだけど……」

スタッフ「拓海さんはバランス感覚は良いんですけど、ちょっと馬の上で動きすぎですね。馬は繊細なのですぐ伝わって、いう事聞かなくなっちゃいますよ」

拓海「な、なんだって……?」

美波「……坂崎さん、もう少し時間かかりそうですし、先に悠貴ちゃんと一緒に浜辺の方お散歩してきてください。私もまだ少し不安ですし、後でみんなと一緒に合流しますから」

リョウ「そうか?じゃあお言葉に甘えて、ちょっと行ってみるかユウキ」

悠貴「あっ、はいっ!」

悠貴「……」
カッポカッポ

リョウ「……安定してるな。本当に初めてか?」

悠貴「はいっ!この子がすごく大人しくて、いう事聞いてくれるお陰だと思いますっ!」

リョウ「馬の気性も少しは関係あるかもしれないが、それだけじゃないだろう」

リョウ「乗馬に大切なのはバランス感覚と身体の柔らかさ……特に股関節の柔らかさが大事とされている……と聞いた」

リョウ「ユウキは確か部活ではハードルをやってるんだったな?そういった所も関係してるんだろう、驚くほどスムーズに乗れてる」

悠貴「そ、そうなんですかっ?」

悠貴「そういえば、坂崎さんはお馬さんを飼ってるんですよね?」

リョウ「まぁ飼ってるって言っても牧場に預けきりだから普段から世話してる訳じゃなかったが……」

リョウ「その馬も気が荒くてな……最初の方はなかなか苦労したぜ。だが根気強く接していれば分かり合えるもんだ。その辺は馬も人間も一緒だ」

悠貴「へえ~……でもっ、やっぱり馬に乗った坂崎さん、様になってますっ!いつもよりかっこいいですねっ!」

リョウ「そうか?ありがとうな」

カッポカッポ

悠貴「……わあ……きれいですねっ!」

リョウ「ああ。馬に乗って普段より高い目線で見ると……海もまた違った表情に感じるな」


悠貴「……そうですね……あの、坂崎さんっ、私がプロダクションに入れてもらうときにお話ししたこと、覚えてますかっ?」


リョウ「ああ……色々話したが……どの話だ?生野菜が食えない話か?」

悠貴「そ、そっちじゃないですっ!」

リョウ「ははは、冗談だ、身長の方の話だろ?」

悠貴「は、はい。昔の私は、周りの娘と比べて一回り身長が高くて……それがちょっと悩みでした」

悠貴「おしゃれは好きなんですけど、気に入った服はサイズが合わなかったり、クラスでは男の子よりも身長高いことが多いからなんだか怖がられちゃってたみたいだし……」

悠貴「でもっ、アイドルになってからは色々と考えが変わりました」

悠貴「背が高いとLIVEの時遠くまで見渡せるんです。色んなファンの人たちの顔が見えて……それにダンスでも褒めてもらえましたしっ」

悠貴「背が高いからこそ見える景色……今の、馬に乗って見てる景色もそうですけど、この景色を身長で悩んでた頃の私に見せてあげたい……今はそんな風に思えるんですっ!」

悠貴「……えっと、それで、色んな経験をさせてくれる坂崎さんには改めてお礼が言いたくって……ありがとうございますっ!えへへっ……」

リョウ(……)

リョウ(素直で良い子だ……)
ホワワ

リョウ「かわいくてしょうがない……俺の妹にならないか?」

悠貴「えっ!?」

リョウ「……いや、間違えた。なんでもない」


リョウ「成長したなユウキ。いや、してるな、の間違いか」

リョウ「ユウキがその素直で前向きな気持ちを失わない限り、お前はどこまでも大きくなれるよ。もちろん、人間的な意味でな」

悠貴「……はいっ!」

リョウ「後は生野菜を食えるようにならねえとな」

悠貴「……は、はいっ……でもでもっ!それなら坂崎さんもお漬物をっ!」

リョウ「ぐっ……」




加蓮「あっ、二人ともいたいた。やっと追い付いたよ」
カッポカッポ

有香「ようやくコツを掴んできました!」

悠貴「みなさんっ!」

美波「みんな早くもコツを掴んで……追い付けました」

リョウ「ん?拓海はどうした?」

加蓮「あれ?さっきまで……」


拓海「ヒャッハアアアアアアア!!」
パカラパカラ

有香「だ、ダッシュしてますね、猛烈に……」

拓海「潮風超気持ちいいいいいいい!!いや、アタシこそが風!潮風だ!!」
パカラパカラ
バシャバシャ

スタッフ「拓海さん!ダメです!走るのは危険なので禁止です!!」


拓海「アッハッハッハッハ!大丈夫だっつの!もうアタシらは人馬一体、一心同体……うわっ」
グラッ
バシャーン


リョウ「……」

いったんここまで

オチ担当乙w


拓海ちゃんの落ちを見てるともはや安心感すら感じる

落馬はガチで危険なんだよなぁ…

落馬かスーパーマンの主役俳優がそれで下半身不随になったんだっけ

ま、まぁ幸いに海に落ちたから大丈夫やろ(震え声)

こないだ褌一丁のリョウに助け出されてるからな。
たくみんだってもう一回位お姫様抱っこ(推定)されたいんだろうさ。

リョウうっかりシスコン発動しちゃってるやん

加蓮「結局海に落ちたね、拓海」

リョウ「しかし、本当に気をつけろよ拓海。一歩間違えれば大怪我だからな」

拓海「う、うるせーっての……けどまだ昼過ぎか。こっからどうすんだ?」

有香「えーっと、イベント情報によると……あっ、今日は夕方からお祭りがあるみたいですね」

悠貴「お祭りですかっ!」

拓海「へえ~!良いじゃねえか!行こうぜ行こうぜ!祭り!」

加蓮「あっ、それならさ、その前に街の方に行って浴衣買わない?お祭りと言ったら浴衣でしょやっぱり」

拓海「おっ、良いこと言うじゃねえか加蓮!この旅行で初めてお前と同じ意見だぜ!」

リョウ「よし、じゃあ街の方に行くか」

市内
デパート

悠貴「わあっ!浴衣って色々あるんですねっ!どれも可愛いなぁ……」

有香「やはり浴衣は和服ですから、普通のファッションよりも落ち着きますね……」

加蓮「本当に色々あるねえ……えっ、こんな裾が短いのもあるんだ」

拓海「おっ、こりゃなかなかマブイ柄だなオイ。やっぱり日本の夏は浴衣だぜ」

美波「いろいろあって目移りしちゃう……あっ、この柄……」

スタッフ「気に入ったものがあれば、ご試着も出来ますからね」

リョウ「……」

美波「あれ?坂崎さんは浴衣、選ばれないんですか?」

リョウ「ははは、俺が浴衣着たってしょうがないだろ?お前たちは領収書切っとけば事務所に帰ったときに経費で落ちるかもしれないぞ、衣装代として」

美波(ま、まさか坂崎さんから経費なんて言葉が出るなんて……!じゃなくって!)

加蓮「えー?坂崎さん浴衣着ないのー?」

拓海「んだよ、ノリわりいな……あ、あっちなら良いんじゃねえか、そんなに金かからねえだろ」

有香「あ、レンタルですか!」

悠貴「そうですよっ!せっかくですし、坂崎さんも浴衣着ませんかっ?」

リョウ「うーん、確かにレンタルなら……いや、しかしなぁ」

加蓮「まぁまぁ良いじゃない♪私たちが似合うの選んであげるから♪」





リョウ「……お、おい、これ変じゃないか。大丈夫か」

加蓮「全然!似合ってるよ、うん!」

拓海「……色はやっぱりオレンジなんだな」

美波「普段から空手着を着られてますから、違和感ないですよ」

悠貴「わあ!かっこいいですよっ!」

有香「どうですか?むしろ普段着より落ち着きませんか?」

リョウ「ど、どうだろうな。足が動かしにくいから俺としては違和感を感じる」

加蓮「大丈夫大丈夫、すぐに慣れるって」


拓海「よっしゃ、じゃあアタシらも着替えるか。なんでもそこの店で着付けに髪のセットまでやってくれるんだってよ」

加蓮「そうなんだ。じゃあ坂崎さん、ちょっと待っててね、お色直ししてくるから♪」

美波「加蓮ちゃん、ご機嫌だね?」

加蓮「えへへ、浴衣着るのも憧れてたんだよね~♪」
ヤンヤヤンヤ

リョウ「……」
ポツーン

リョウ(お、おいおい、一人でこの恰好だとなんだか恥ずかしくなってきたぞ)

リョウ「……しょうがねえな」


1時間後

加蓮「おっまたせ~♪どう坂崎さん……アレ?いない」

拓海「なんだよ、待ちくたびれてどっか行っちまったのか」

美波「一体どこに……あら?あそこに人だかりが……」

有香「あのオレンジの着物に金髪の後ろ姿は間違いなく坂崎さんですが……何やら写真をせがまれてるみたいですね」

悠貴「格好いいからでしょうかっ?」

加蓮「……なんか嫌な予感してきたけど……」

拓海「お~い!サカザキ~!」

リョウ(天狗面)「おうお前たち!やっと終わったか!」
クルッ

加蓮「やっぱり!」

拓海「またそのお面かよ!もうそれいい加減止めろよ!」

リョウ「い、いや、この恰好で一人だと妙に気恥ずかしくてな……思わず顔を隠したら、なんだか名物キャラに勘違いされたみたいだ」
カポ

美波(そ、そのお面は恥ずかしくないんですね……)

リョウ「それよりもみんな、浴衣似合ってるじゃないか。うんうん、絵になるなやはり」

加蓮「そうでしょそうでしょ?厳選したんだから♪」

悠貴「ピンクの浴衣、可愛くてお気に入りですっ!」

リョウ「髪型も……美波のアップは普段見ないから、新鮮味があるな」

美波「あ、はい。着付けの先生にかんざしを貸して頂けたので、せっかくだから」

拓海「お、なかなかいい時間だな。そろそろ祭りの会場に向かおうぜ。確か海の近くの公園だったな」

有香「はい、ここから歩いてでも行ける距離ですよ」



スタスタ

有香「こうして見ると、あたし達以外にも浴衣を着てる人たちが結構いますね」

拓海「ってことはアタシらと同じく祭りに向かってるんだろうな」

加蓮「けっこう人が多くなりそうだね」



???「……ねぇ?あの娘たち、極娘の人達じゃないかな?」

???「え?あ、本当だ……私たちみたいに仕事で来てるのかな?」

???「どうなんでしょう?でも、浴衣着てるってことは極娘の人たちもお祭りに向かってるんじゃないでしょうか」

???「それならさ、声かけてみようよ!おーい!そこのお嬢さんたち!」

???「あっ、未央!……もう」

拓海「ん?誰だ……ってお前たちは!」

未央「どうもー!ニュージェネレーションズの本田未央でーす!」

リョウ「君たちは……確か美城プロダクションの所の娘たちか」

凛「あ……私はニュージェネレーションズの渋谷凛……です。どうも」

卯月「あ、あなたは極限drea娘さんのプロデューサーさんですよね?初めまして、ニュージェネレーションズの島村卯月です♪」

凛「加蓮、何してるの沖縄で」

加蓮「あー、私たちは……まぁ慰安旅行ってやつかな。そっちは?」

拓海「え!?加蓮、お前知り合いなのかよ。いや、アタシもニュージェネ自体は知ってたけどよ、今まで共演したことなかったよな?」

加蓮「うん、凛とは中学の時同級生だったんだ。まぁ私は入院がちでほとんど絡みは無かったんだけど、こないだドラマの撮影でスタジオに入ったときにたまたまニュージェネと鉢合わせてさ。それ以来メールとかしてたんだよ」

卯月「それに、私たちも極娘さんの事は良く知ってます!この前のLIVE映像見せてもらって、感動しました!」

美波「え、本当?それは嬉しいな」

凛「それで加蓮、さっきの質問だけど、私たちは沖縄の地方公演でこっちに来てたんだ。で、公演は昨日で終わったんだけど……」

未央「今日お祭りがあるって聞いてプロデューサーに無理言って、一日だけお休みもらったって寸法なのさ!どうだい!」
フフン

拓海「なんでお前が威張ってんだ」

卯月「それで、私たちもこれからお祭りに向かってるんですけど、もし良かったらご一緒しませんか?色々お話しもお伺いしたいですし、私、みなさんとお友達になりたいです!」

拓海「良いんじゃねえか?祭りは人数多い方が盛り上がるだろうし。良いよな?サカザキ」

リョウ「それは全く構わないが、君たちの所のプロデューサーにあいさつしておきたいんだが、どこに?」

未央「あ~、私たちのプロデューサーなら、多分ホテルだよ。『片づけなければいけない事務仕事があるので……みなさんだけで楽しんできてください』って言ってた」

リョウ「ああ、そうなのか……じゃあとりあえず俺の名刺を渡しておくから、君たちのプロデューサーにも渡しておいてもらって良いか?」
スッ

凛「はい。預かっておくよ」

未央「よし!それじゃお祭りへレッツGO!」

今日はここまで


美城プロが出るとは思ってなかった


ぽよさんとかと絡んだりするのかな。
それにしても続きが気になるぜ


天狗面の魔翌力に魅入られてないかリョウ

346ならやっぱりニュージェネのPは武内さんかな?

餓狼伝説のイケメンことアンディかもしれない。

>>305
時期的にアンディはまだ子供時代だな

(○・▽・○)モチョダヨー



>>305
プロフェッサーはテリー、アンディの養父のジェフかな?
テリー・アンディの関係は当時の資料が散乱して分からないだっけ

これが後にLIVEバトルと呼ばれる戦いの原型になるのか、後は奈緒が揃えば例の曲メンバー勢揃いか

福山舞ちゃんが不知火流忍術を学ぶと餓狼時代にはバインバインに…

後の不知火舞である

祭り会場
ガヤガヤ

拓海「おお!なかなか賑わってんじゃねえか!」


美波「人がたくさん……!」

未央「出店もいっぱいあるよ!よーし、食べるぞ~!」
ダッ

拓海「んなっ!?チッ、アタシらも負けてられるか!行くぞ有香!」

有香「ええ!?は、はい!」

加蓮「あっ、ねえねえ見て、変なポテトが売ってる。なにこれ?」

凛「えっと、ハリケーンポテト?だって」

悠貴「へえ~っ、面白い形ですねっ!」

加蓮「よし、今日はここのジャンクなフードを制覇する勢いで行ってみよう!」

卯月「お付き合いします♪」

リョウ(……みんな楽しそうで何よりだ)

リョウ(祭り、か)

リョウ(ギースのフェスの誘い……そろそろあいつらに伝えねえとな……)



リョウ(まぁギースの奴はただの祭りで済ます気はないだろうが)



拓海「ああ~!祭りで食う焼きそばって何だか知らねえけど美味えよな~!」
ズルズル

未央「うんうん!わかるわかる!」

有香「なんでしょうね……お祭りで気持ちが高ぶっているせいもあるんでしょうか」

リョウ「あんまり食いすぎるなよ。腹壊しても知らんぞ」

拓海「おっ、サカザキ。楽しんでるか?これやるよ」
ヒュッ

パシッ
リョウ「おっ……これは、ラムネか?」

拓海「おう、夏に、祭りと言えばやっぱこれだぜ!気分が大事だからな、気分が」

リョウ「…ありがとうな。頂くぜ」
スタスタ


未央「……ねぇねぇ、たくみん。ちょっと聞いてもいいかな?」

拓海「誰がたくみんだ。なんだよ?」

未央「うん、たくみん達ってさ――――――」



加蓮「……えいっ」
パシュ

凛「外れだね」

卯月「それっ!」
パシュッ

悠貴「卯月さん、惜しいですっ!」

リョウ「……ん?ジャンクフード制覇するんじゃなかったのか?」

加蓮「あっ、坂崎さん。そのつもりだったんだけどさぁ、ポテト食べたら割ともうお腹いっぱいになっちゃって」

リョウ「それで、今は射的か」

美波「坂崎さんもどうですか?」

リョウ「……よし、じゃあ一回やってみるか」

リョウ「……そこだ!」
パシュ
スカ

リョウ「……なかなか難しいもんだな」

美波「じゃあ、私もやってみますね……えい!」
パシュ
パタン

悠貴「おーっ!」

卯月「美波さん、お上手です!」

凛「……一発だったね」

リョウ「器用だな……まぁみんなで楽しんでくれよな」
グビ
スタスタ


凛「……ねぇ。聞いても良い?」

加蓮「ん?何を?」

凛「加蓮たちは……いや、極限drea娘はさ――――――」

浜辺

リョウ「……」
グビ

リョウ(昼間は賑わってた浜辺も、祭り中には静かなもんだな)

リョウ「……ん。ラムネ、飲み切っちまったか」

スタスタ

リョウ「……美波か。お前も人混みから逃げてきたクチか?」

美波「あはは……少し苦手なんです、人の多いところ……」

美波「こんな静かな海を見ているのも、私らしい夏祭りかなって思います」

美波「あの、坂崎さん。もし良かったら、ちょっと海辺……歩きませんか」

リョウ「……そうだな」



スタスタ
ザッザッザ



美波「……」

リョウ「……そういえば、ここ2日は太陽に当たりっぱなしだったな。肌とか、大丈夫か?」

美波「ちゃんと日焼け止めも塗ってましたから、大丈夫ですよ。それに私、夏生まれですから」

リョウ「へえ?ってことは誕生日近いのか?」

美波「はい、私、7月27日生まれなんです。もう少しですね♪」

リョウ「奇遇だな。俺も8月2日生まれで、もう少しだ。まぁ俺はもう誕生日をいちいち喜ぶような歳でもないけどな」

美波「そんなことありませんよ。今度また、お祝いしましょうね?お互いに。……あ、っていうことは坂崎さんも獅子座なんですね……ちなみに坂崎さん、血液型は、何型なんですか?」

リョウ「血液型?え~、確か……O型だ」

美波「……!……ふふっ」

リョウ「どうかしたのか?」

美波「いえ、なんでもありません。ただ、お揃いだなって」

リョウ「?」

美波「……夏生まれだからって言うわけじゃないですけど、この夕日を照り返す静かできれいな海を見てたら、しみじみ感じます。やっぱり私は、海から離れられないんだなって」

リョウ「……俺も結構騒がしいのは苦手でな。良く修行のために静かなところに行ってたが、大概は山籠もりだった。だが、こういう静かな海ってのは良いもんだな。次からは修行で海籠りってのも良いかもな」

美波「ふふ、海、オススメですよ」

リョウ「そういえば美波のその名前も、もしや」

美波「はい。パパが海洋学者なんですけど、『ときに激しく、ときにやさしい、波のように』って、付けられた名前なんです」

リョウ「ピッタリじゃねえか。ただ、俺の感覚からすると、この波はやさしく感じることが多いかもな」

美波「ふふ、それなら激しい波は、LIVEでお見せしますよ。きっと、ね」



美波「あっ、坂崎さん、襟がちょっと乱れてますよ。じっとしてて……」
キュッ

リョウ「そういう美波も、ちょっと乱れてるぞ」
キュッ

美波「あっ……ふふ、まぁ誰も見てませんから、良いですよね」

リョウ「……その浴衣の柄、どこかで……最近見たような」

美波「ええ。あそこの茂みを見てみてください」

リョウ「……ああ!そうだ、あの花だ。美波の浴衣の柄の花だ」

美波「ええ、そうです。琉球朝顔……。いろいろ考えて、浴衣はこれに。青くて強い、絆の花……」

リョウ「絆?」

美波「はい。琉球朝顔の花言葉は『愛情の絆』……坂崎さんが愛情を込めて育ててくれた、固い絆。そんな気持ちも籠ってます」

リョウ「……なんだか、照れちまうな。だが俺は、特に美波には迷惑というか、逆に世話になりっぱなしだ。なんとか恩を返せればいいんだが」

美波「そんな、恩だなんて……。坂崎さんには色んな新しい世界も見せてもらってて、危ない所も助けてもらってて……恩を返したいのは、こっちの方ですよ」

リョウ「いやいや、そんな風に言ってもらえるのは嬉しいがな……」

美波「いえいえ、私の方こそ……」

美波「……ふふっ、やっぱり私たち、こういう所は似ているのかもしれませんね」

リョウ「……ああ、そうかもな」

リョウ「……なぁ、美波。俺はお前に……いや、お前たちに伝えなきゃならないことが……ん」
ピッ

美波「そこまで、です、坂崎さん。私たちに伝えなきゃいけないことなら、みんなが集まってからじゃないと」

リョウ「……そりゃそうだ」



拓海「―――――だったら、発表してくれていいぜ、サカザキ」

リョウ「……!」

美波「……みんな……!」

加蓮「なになに、騒がしいお祭りを抜け出して、静かな海で秘密の逢引?妬けちゃうな~」

美波「えっ!?こ、これはそういうのじゃ……!」
オタオタ

悠貴「あ、あいびき……っ!」
ドキドキ

有香「合い挽き?」

リョウ「……美波、拓海、有香、ユウキ、加蓮。お前たちに伝えなきゃいえないことがある。本当は明日伝えようと思ってたんだが」

リョウ「今から3か月後、プロダクションの垣根を超えたアイドルの一大フェスティバル、『クイーン・オブ・ザ・アイドルズ』が開催される。主催はReppuのとこの事務所、覇我亜怒プロダクションだ」

リョウ「会場の規模、参加の条件、どれをとっても断る理由はない」

リョウ「だが、俺は主催者の男の事を知っている。恐らく今回のフェスはReppu以外の出演グループを当て馬にする腹積もりだろう。いや、引き立て役か。それくらいの事は考える男だ」

リョウ「もし下手を踏めば今後はずっとReppuの日陰に追いやられるかもしれない」

リョウ「どうす……」

拓海「やるよ。やる。決まってんだろ」

加蓮「ふふっ、坂崎さん。もうそれなりの付き合いになってきたんだから、本当は聞かなくてもわかってたでしょ?」

リョウ「……お前ら」

拓海「っていうかよ、実はさっき未央達に聞かれて、知ってたんだよ、もう。あいつらも招待状もらったらしくてな」

悠貴「私たちも、凛さんに聞いてましたっ!」

美波「坂崎さんのお話しを聞いても、私たちは出たいと思っています。怖さはあっても、やっぱりそれ以上に楽しみの方が大きいですから」

有香「でも、やっぱり出る以上は負けたくありません!Reppuにはもちろん、ニュージェネの皆さんにも、それ以外のところにも!」



リョウ「それについてだが、俺から一つ案がある。この案で行くならこの旅行から帰ったらきついレッスンが始まるだろう。しかも、失敗したらお前たちは大観衆の前で恥をかくかもしれない」

加蓮「……」
ゴク

リョウ「……だが、もし成功すれば、俺はReppuのパフォーマンスに対抗できると思う」

リョウ「ギースは……Reppuは天才達だ。前回のパフォーマンス……あれを超えるレベルのモノを出してくるだろう。自分らで開くフェスだからな」

有香「前回のレベルを超えてくる……!」



リョウ「だったら、俺たちが勝つには限界を……極限を超えなきゃいけない」

拓海「上等だよ!むしろそうでなくっちゃな!」

加蓮「私たちは今までも壁を越えてこられた……今回もきっと大丈夫だよ」

有香「気合が入りますね……押忍!」

悠貴「精一杯、頑張りますっ!」


美波「……坂崎さん。私たちも一見すると、無謀に見えるかもしれません」

美波「だけど、それは無謀じゃないんです。だって事務所には、社長が、ちひろさんが、キングさんやトレーナーさん……そして坂崎さんがいる」

美波「帰る港がある……それだけで、私たちはどんなに厳しい海にだって、漕ぎ出していけるんです」

美波「だから、坂崎さんは港の灯台であり続けてください。それだけで、私たちは強くなれる」

リョウ「……ああ。もちろんだ。お前たちが強くなるんだったら……俺はなんでもやってやる」

リョウ「……よし!お前ら、あっちに帰ったら地獄の特訓が始まるぞ!今のうちに思い残すことが無いように、祭りを楽しんで……おっ」

ヒュ~
パアン
ドン

拓海「おいおい花火かよ!おいみんな!もっと近くに見に行こうぜ!」
ダッ

有香「あっ、拓海ちゃん!待ってください!」

加蓮「もう、あんなにはしゃいじゃって……私も行こ」
タッ

悠貴「あっ!みなさん、待ってくださいっ」
タタッ

ヒュ~
パアン
ドドン

美波「……これから、ですね」

リョウ「ああ、これからだ。この花火はさしずめ景気づけの一発ってやつだな」

リョウ(残り3か月。俺の伝えられる全てを、皆に伝える)

今日はここまで


美波さんのヒロイン力すごい


有香ちゃん……

一体どんな特訓になるんだ……(゚A゚;)ゴクリ


どんな特訓するんだ…美波のヒロイン力高いな、それに匹敵する加連も中々

これは正妻の貫禄ですね……ていうかリョウと美波さんは星座と血液型同じなんだな

https://imgur.com/a/BUWGP

地獄の特訓を乗り切るにはまず気力のため方から伝授しないと

翌日
空港

リョウ「よし、次の便で東京に戻るぞ。あっちに戻ったら解散だ」

拓海「ついにこの沖縄の熱い海ともお別れか……」

加蓮「本当に楽しかったよね。色々と憧れが実現しちゃったし」

有香「得難い経験をしました!」

悠貴「またみんなで来たいですねっ!」

美波「みんな、忘れ物は……あら?向こうから走ってくるのは……」

未央「おーい!みんな~!」
タッタッタ

拓海「ニュージェネじゃねえか」

卯月「お見送りに来ました!」

加蓮「ニュージェネのみんなは東京帰らないの?」

凛「いや、次は広島で公演があるんだよ」

美波「ニュージェネのみんなはツアー中でしたね……広島に行ったら、是非宮島にも行ってみてね♪」

悠貴(そういえば美波さんは広島のご出身でしたねっ!)

未央「ねえ、ところでさ、極娘も今度のフェスは出るんだよね?」


有香「はい。ニュージェネレーションズの皆さんとは初共演になりますね」


未央「ふむふむ、なるほど……ねえねえたくみん、ちょっとこっち来て」

拓海「あん?なんだよ」


未央「……」
ゴニョゴニョ

拓海「……」
ゴニョゴニョ

拓海「……面白え話だけど、上手くいくかは分かんねえぞ?」

未央「そこをなんとか!あの娘たち最近ますますメディア露出減ってるからさ、接点がないんだよ。だからさ、なんとか、お願い!」

拓海「……まぁやってはみるぜ。内容自体はアタシも賛成だからな」

リョウ「そろそろ飛行機の時間だ。行くぞ」

卯月「それじゃあみなさん!またフェスでお会いしましょうね!」

悠貴「はいっ!それではまたっ!」






加蓮「……拓海、さっき未央と何話してたの?」

拓海「ん?あぁ、また後でな……」

美波「?」

東京
空港

ロバート「おう!みんなおかえり!」

リョウ「ロバート」

ロバート「おうリョウ……ていうか色黒っ!もう色黒金髪あんちゃんとか完全にチンピラやんけ!」

リョウ「そ、そうか?」

ちひろ「沖縄旅行はどうでしたか?」

悠貴「社長さんっ!ちひろさんっ!」

加蓮「楽しかったよ、色々と。ね、拓海?」
ニヤニヤ

拓海「やめろや!」

美波「社長さん、改めて今回の旅行を手配していただいて、ありがとうございました。本当に得難い体験が出来ました」

ロバート「ははは、ええんやええんや。色々と土産話も聞きたいところではあるが……リョウ、例の話は?」

リョウ「ああ、フェスの事は伝えてある。みんなやる気だ」

ロバート「お、おうそうか!それなら……」

リョウ「そのことだが、俺から話がある。お前たちはここで解散だ、明日から体力的に厳しくなるから、今日は早く帰ってゆっくりしてくれ」

ロバート「話……?まぁええわ、外にカーマンを待たしとる、家に送るようにいってあるから、みんな今日はまっすぐ帰るんやで」

有香「はい」



事務所
ロバート「……で、なんや話ってのは?」

キング「またプロデューサーを辞めるってな話かい?」

リョウ「カンベンしてくれ、キング……話ってのは他でもない、今度のフェスについてだ」

ロバート「ああ……彼女らがやる気になってくれたらしいのは嬉しいし、条件面でも事務所的には願ったりかなったりやけど、その、実力的なところやな」

キング「もちろんあの娘たちのパフォーマンスも素晴らしいよ。伸びしろもある。ただ……」

リョウ「ただ、このまま3か月後のフェスに臨めば確実にあいつらはReppuの踏み台に終わる……ってんだろ?」

ロバート「……ああ、厳しいこと言うようやけど、3か月って期間はこっちだけじゃなくてあっちも同じや。前回の時点であのパフォーマンスが、3か月の期間で一体どんな恐ろしいモン仕上げてくるんか、正直想像もつかん」

キング「ましてや、利益度外視で自分たちから仕掛けてきたフェスだしね。相当の自信があるんだと思うよ」

リョウ「確かに残り期間を真っ当にレッスンに当てても相手を上回るのは難しいかもしれない。だから、だ。俺から提案がある」

ロバート「なんぞReppuに対抗できる案があるんか?」

リョウ「ああ。実は―――――」




ロバート「……な、なんやと……」

キング「あんた……正気かい?」

リョウ「あいつらと張り合うなら、正気じゃ無理だろう」

ロバート「お前、自分が何言うてんのかわかっとるんか……?そんなん、出来るわけないやろ!?あと3か月やぞ!?」

ロバート「いや、3か月っていうか、そんなん3年やったって無理や!それこそ人生を捧げるくらいでやっとどうかってレベルの話やろ!」

リョウ「正確にはその境地まではいけなくてもいい……その一歩手前のところにでもいければ、あるいは」

キング「……仮にそこまでいけたとしてもだよ。それが観衆に伝わらなかったらどうするのさ。もしそうなったら、あの娘たちは良い道化だよ」

リョウ「伝わるはずだ。それが完成までいければ、間違いなくな」

キング「なんだいその自信は……まぁわからなくはないけどね。本当に完成までいけば、の話だけど」

ロバート「な、なんにしても成功の見込みが低いし、リスクがでかすぎる!そんな危ない橋渡らんでも……」

リョウ「なら、お前たちは他にあいつらがReppuに3か月で対抗できる手を思いつくか?さっきお前が言った通り3か月であいつらももっとでかくなるぞ」

ロバート「……むう」

キング「プロデューサー辞めるって言ったかと思えば沖縄行って、帰ってきたらとんでもないことを言い出すんだからね……あの娘たちもつくづく大変な事務所に入っちまったもんだよ」

リョウ「……キング、協力してくれないか?」

キング「……どうせ私は雇われの身だしね。雇い主がやれというならやるだけだよ。ロバート、どうなんだい」

ロバート「……」

ロバート「……リョウ、一つだけ確認させてくれ。もしこの案でいって、本番これが大失敗して、最悪アイドル生命断たれるようなことになったら、お前はどうする気や」

リョウ「一生あいつらの面倒を見る。それくらいはさせてもらう」

ロバート「……わかった。なら、エエ。せやけど、この案で行くなら今後のスケジュールとかはお前が動いやすいように決めぇ。あの娘らの仕事とかも絶対に外せないもの以外は基本的に減らしていく」

リョウ「ああ。すまないな、みんな」

キング「別に礼を言われる筋合いはないよ。私たちだって、あの娘らを勝たせられるなら勝たせてやりたい。それくらいの愛着はあるからね」

ロバート「そういうこった」

都内
覇我亜怒プロダクション事務所


ギース「……フフフ」

つかさ「お、ボス、一人で不気味に笑ってんな。なんか良いことあったか?」

ギース「フッ、なに、今度の『QOI』の参加の返事が返ってきたのだ。これで私のほぼ狙い通りの出演者を確保できた」

志希「QOI?……ああ、クイーン・オブ・ザ・アイドルズの略の事ね~」

ギース「これで舞台は整った。後はお前たちがあの曲をマスターすれば、アイドル界は我々を天に頂くことになるだろう」

レナ「大げさな人ね」

真奈美「まぁそれくらいの気概を持てという事だろう。確かにこの曲は難解だ」


茄子「とんでもない組み合わせですもんね~」

ギース「だからこそ、だ。お前たちには何としてもマスターしてもらうぞ!ハッハッハッハ!」

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード


約半年前

周防辰巳「ぐ……は……ギース……貴様……」

ギース「我が師よ……安心しろ。この当て身投げを私が会得した瞬間、私は最強の男となった」

ギース「貴様の技は私の最強伝説とともに永遠に生き、語り継がれるのだ」

周防辰巳「貴様……は……何も……わかって……いない……」

ギース「何?」

周防辰巳「この技は……当て身投げは……大切なものを……守るための……技だ……」

ギース「……」

周防辰巳「断じて……他人の命を奪う……殺人のための技では……ない」

ギース「なにを言うかと思えば……この技は正真正銘の殺人拳だ。今まさに無様に果てようとしているその身が一番わかっているだろうに」

周防辰巳「……貴様を……いずれ……正しい心を持つ者が……止めてくれることを……」
ゴホッ

ギース「……遺言はそれだけか?ただ技を奪うためだけだったとは言え、仮にも我が師だったのだ。今私の手で楽にしてやろう」
スッ

周防辰巳(……すまん……マリー……願わくば……お前は復讐などに……囚われず……)

ギース「……[ピーーー]ぃ!」
ズアッ


周防辰巳「幸せに生きよ!マリー!!!」

ズン

ギース「……大切なものを守るためだと?紛れもない殺人拳の使い手が、くだらん事を言うものだ」

ギース「周防辰巳……貴様は確かに強かったが、心から鬼がいなくなった時、即ち牙を失った時に既に飢狼としての貴様は死んでいたのだ」

ギース「だが、この当て身投げはまさしく無敵の技……この技に私の見切りと気の力が合わされば、ジェフもクラウザーも最早恐るるに足らん!ハッハッハッハ!」

ギース(……試したい。この技を……私の強さを……誰でもいい……)





ギース「空手道場か……大した獲物はいないだろうが、実験台となってもらおうか……」
ザッ

空手家「……ああ。極限流の龍虎が今日本に来ているらしい」

空手家B「一体何をしに?日本に道場でも作る気なんだろうか?」

ギース(……極限流?)

空手家「ぐ……は……ば、馬鹿な……たった一人で……ば、化け物め……」

ギース「安心しろ、全員おそらく死んではいるまい」

ギース「それよりも聞きたいことがある。極限流が日本に来ているというのは本当か?」


空手家「……本当だ……今、東京に来ているらしい……」

ギース「ふむ。そうか……なるほどな。邪魔をしたな」
スタスタ

空手家「ハァ……ハァ……」

空手家「……」

ギース「……」
スタスタ

空手家「……このまま帰すか!食らえええ!!」
グワ

ギース「……フッ」
ニヤリ

空手家「うおおおおお!」

ガッ

空手家(馬鹿な、後ろからだったのに、受けられた!?いや、いや、これは――――)


ズガン

空手家「――――」
ガクッ


ギース「……くくく、ハッハッハッハッハ!当て身投げ、この技は完全に私のものだ!」

ギース「……しかし、極限流だと?」

――――大切なものを、守るため――――

ギース「……フン、リョウ・サカザキ。そういえばヤツもそんな甘いことを言っていたな」

ギース「良いだろう!サウスタウンに帰る前に、先のキング・オブ・ザ・ファイターズでの借りを返してやろう!」



東京

ギース「確か極限流は東京に来ていると言っていたな。情報を集めなければな」

BAR

格闘家風の男「兄ちゃん、もう一杯」

マスター「今日は飲みすぎですよ……ていうか今日こそはツケを払って頂けるんですか?」

格闘家風の男「ああ!?テメェ、お客様に酒を出せねえってのか!?ここは酒場、酒を出すための店だろうが」
ギロ

マスター「ひ、ひい……」

ギース「……そこまでだ。マスター、ここは私が支払おう、彼の分の酒を出してやれ」

格闘家風の男「……あんちゃん、あんた、俺の知り合いかい」

ギース「いや。だが、聞きたいことがあってな。その酒は情報料、というわけにはいかないかな」

格闘家風の男「あんちゃん、おめぇもかなり使うんだろ。わかるぜ。だったら表に出な、聞きたい事は身体に聞けや」

ギース「やれやれ……手荒な真似をするつもりはなかったが、仕方ない。だが確認だ。お前はこの東京にきている極限流のことを知っているか?」

格闘家風の男「極限流?……ガハハハハ!極限流、よりにもよって極限流のことを嗅ぎまわってんのか!」

格闘家風の男「良いぜ!俺に勝てたら極限流のことを教えてやるよ!勝てたらの話だけどなぁ!」

格闘家風の男「馬鹿な……この俺が、手も足も……」

ギース「さて、約束だ。その為にわざわざ加減してやったのだ、話してもらおう」

格闘家風の男「……信じられねえかもしれねえが……極限流は……今……」

ギース「……」

格闘家風の男「……アイドル事務所をやっている……」


ギース「……」
ゴキィ

格闘家風の男「ぎゃあああああ!」
ビクビクゥ

ギース「私がジョークを好むような男に見えたのか?二度目はない、次は首を折るぞ」

格闘家風の男「ほ、本当だ!なんなら今から言う住所に行ってみろ!そこに事務所もある!」

ギース「……」

ギース(アイドルだと?どういうことだ)

ロバートプロダクション事務所前


ギース(……まさか、本当にあるとはな)

ガチャ

ギース(むっ、誰か出てくるな)


師匠「……」


ギース「失礼、そこの御仁。この事務所に、リョウ・サカザキという方がいると聞いてきたのだが、お会いできただろうか?」


師匠「……!」

ギース「……」

師匠「……いえ。ここにいらっしゃった方はそのようなお名前ではありませんでしたな」

ギース「そうでしたか。どうやら私の勘違いのようでした」

師匠「……」

ギース「……そう警戒されずとも良い。今ここで貴方と立ち会う気はない」

師匠「……そうですか。では」
ザッザッザッザ

ギース「……フン。その闘気こそここにリョウがいた何よりの証拠だ。……しかし、本当とはな」

ギース「フッ……極限流、日本まで来て何をやっているかと思えば、まさかアイドル事務所とはな」

ギース「大方、ロバート・ガルシアの気まぐれだろうが、随分と呑気なものだ」

ギース「……ハハハ、しかしアイドルか。なるほど、それもまた一興か。ハハハハハハ!」

ギース(良いだろう、ならばその余興に私も乗ってやる。アイドルのプロデュース、まずこれで貴様を打ち負かしてくれる!)




外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
序章

終わり

今日はここまで


師匠ギースに遭遇してたのか……!

今さらだけどギースんとこのアイドルは天才とカリスマを揃えたのか。
ギースらしいっちゃらしいけど

乙!
極娘達はどんな魔改造、もとい気改造を受けてどう変わるのか?

真奈美さんとレナさんは出会いが明らかになっているけど、ギース編で他三人も語られるのか期待

翌日
事務所

リョウ「よし、みんな集まったな。昨日はしっかり休めたか?」

美波「はい、レッスンに全力で取り組めます!」

加蓮「もう10時間くらい寝たからね」

拓海「ていうかサカザキ改めてみると日焼けしすぎだろ!」

リョウ「そ、そうか?……って、拓海。余計なことは言わなくていい。体力は大丈夫かと聞いてる」

拓海「な、なんだよ……体力は全然平気だぜ」

リョウ「よし、それならいい。有香もユウキも大丈夫か?」

有香「は、はい!」

悠貴「大丈夫ですっ!」

美波(サカザキさん、少しピリピリしてる……?)

リョウ「さて、ここで最終の確認だ。一昨日、今度のフェスに向けて、俺から案があると言ったな。それを本当にやるかどうか、だ」

拓海「それだ。一昨日はやるって言ったけど、内容自体は聞いてないぜ、アタシ達」

加蓮「そうだね。なんか失敗したら大恥かくとか、レッスンが相当きついとか、そんなのしか聞いてないよ」

リョウ「そうだな。それも今から伝える」


リョウ「今度のフェスでお前たちがReppuに対抗するための案。それは……」

リョウ「お前たちには、龍虎乱舞を会得してもらう」


拓海「……は?」

美波「……え?」

悠貴「……?」

加蓮「……え、ちょっと」

有香「あの、坂崎さん、よく意味が……」

リョウ「だから、お前たちには残りの3か月間で、極限流奥義の龍虎乱舞を会得してもらう、と言ったんだ」

リョウ「いや、正確に言えば乱舞に至る無我の境地、それを掴んでもらう、ということになるな」

拓海「い、いやいや、丁寧に言い直されてもわかんねえんだけど。乱舞って、こないだのハゲ親父が襲ってきたときにサカザキが最後にやったアレだよな……?」

加蓮「あんなの、どう考えても人間業じゃないと思うんだけど」

リョウ「乱舞の概要については聞いてるか?」


美波「は、はい。坂崎さんが乱舞に入ったときに社長さんから……」

有香「極限流を極めたものだけが使える究極奥義……無意識に入り、鍛えた拳を、蹴りを、相手が倒れるまで打ち続ける……そう聞きました」

リョウ「そうだ。だからそれをLIVE用に応用する」

悠貴「応用、ですかっ?」

リョウ「ああ。極限状態の時に意識は無我に至る。その状態で自然に湧き上がってくるステップをターンを、ステージで踊り続ける」

リョウ「乱舞を相手を打つ為ではなく。ダンスに使うわけだ」

リョウ「この乱舞状態の時に出る動きは身体にしみ込んだ動きだけだ。当然自分が最も練習した、鍛え続けた動きが出ることになる」

リョウ「つまり、自分の最も得意な動きが出ることになる」

リョウ「それを維持できれば、Reppuのパフォーマンスに対抗できるはずだ」

加蓮「ちょっ、ちょっと待ってよ。それって、つまり決まった振り付けがないってことでしょ。ステージ上でバラバラの動きをするってことになるんじゃないの?」

リョウ「そうだ。だから今度のステージに関しては振り付けはもちろん、衣装も統一する予定はない」

拓海「そ、そんなの滅茶苦茶じゃねえか。もし万が一、乱舞が成功してもそれじゃあ勝てっこねえだろ!」

リョウ「ああ、これがもし審査員がついてての採点方式ならぜったいに勝てないだろう。滅茶苦茶だからな」

リョウ「だが、今回のフェスは表向きは争う形式ではないから審査員なんかいない。ようするに優劣を判定するのは観客たちの心ひとつだ」

リョウ「つまり、客の心を一番動かした奴が勝つんだよ」

美波「……!」

拓海「客の心を……」

悠貴「動かす……っ!」

リョウ「……それに、何もずっと乱舞し続けろって話じゃない。あくまで乱舞に入るのは曲の終盤からだ。それまでは共通の振り付けで踊って、最高潮のところで乱舞に入る……ような構成の曲を作ってもらう予定だ」

リョウ「……以上が、俺の持ってる案だ。もし一人でも反対の者がいるならこの案は止めようと思う。それだけリスキーで、望みの薄い案だ」

リョウ「それに、代案がある奴はどんどん発表してくれていいぞ。みんなで話し合って、どうするか決めよう」

リョウ「……この案に、反対の者は?」


美波「……」

拓海「……」

有香「……」

悠貴「……」

加蓮「……」

リョウ「……いないのか?」

美波「無責任かもしれませんけど、私は坂崎さんの案に挑戦したいと思います」

拓海「もうここまで来たらどうにでもなれってんだ。その案に付き合ってやるよ」

有香「正直、極限流の奥義なんて、その一端でも私が掴めるか不安ですけど、やるだけやってみたいと思います」

悠貴「大丈夫ですよっ!私たちが全員で力を合わせればっ!」

加蓮「どうせ普通にやってたらReppuには勝てないもんね。良いよ、無理する時は今しかないもんね」

リョウ「……悪いな。俺の我が儘に付き合わせちまって……」

リョウ「それじゃあ……新田美波!」

美波「はい!」

リョウ「向井拓海!」

拓海「おう!」

リョウ「中野有香!」

有香「押忍!」

リョウ「乙倉悠貴!」

悠貴「はいっ!」

リョウ「北条加蓮!」

加蓮「はーい」

リョウ「『極限drea娘』以上5名、今日から乱舞習得のための修行……いや、レッスンに入る!もう待ったはなしだ!いいな!」

全員「はい!」




ロバート(……しかし、一体どんな特訓をやるつもりなんやろか……)

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード

街角

ギース「……」

ギース(フン……ひとまず街中にて良い人材はいないかと探してみたが、この街には飢狼も天才もいないか)

ギース「……くだらんな」
ザッ

はーい!OKでーす!

ギース「……アイドルの番組の撮影か……フン、アイドルのレベルはあの程度か」

ギース(あの程度の水準では私がスカウトするに値しない……)

スタスタ
???「みんなー、こんにちわぁー♪今日は志希ちゃんが、みんなの刺客やに刺激的なヤツを焼き付けて、夜も眠れなくさせて、あ・げ・る~♪チラッ☆」

ギース「……!」

???「さっきマイク持ってた子、こんな感じだったかな。男子の視覚に一過性の刺激を与えて、充足させるヤツだよね。やってみたら案外ソレっぽいかもー」

ギース「……君は、どこかに所属しているアイドルかね?」

???「いや~?志希ちゃんはふつーのJKだよ」

志希「それよりもお兄さん、なんだか刺激的な匂いがするね?」

ギース「……なに?身だしなみには気を付けているつもりだったが」


志希「いやいや、確かに表面的な匂いは香水の匂いだよ。うんうん、これはジェントルマンかな?」
ハスハス

ギース「……」

志希「……けど、あたしが言ってるのはお兄さんの身体に染み付いた匂い。とっても刺激的で、危険な匂いがするよ」

ギース「……君の名は?」

志希「あたしは志希ちゃん!一ノ瀨志希だよ」

ギース(シキ……イチノセ……ああ、なるほど。どこで聞いた覚えがあると思ったが、ギフテッドか。まさか、日本に帰っていたとはな)

ギース「シキ。お前は今何に興味を持っている?」

志希「んー……今一番興味があるのはお兄さんの匂いかな。あたしの今までの人生で、ここまで甘くて、なおかつ危険な香りは嗅いだことないかも」

ギース「そうか……私はギース・ハワード。今は日本でアイドル事務所を始めたばかりだ」

志希「……ギース・ハワード?……聞いたことあるかも」

ギース「シキ、私はこれからアイドル界の頂点を獲りに行く。所詮は余興ではあるが、その為に最高の人材を集めなければならない」

ギース「もし、お前にこの危険な匂いを嗅ぎ続ける覚悟があるのならば、この住所の事務所まで来い」
ピッ

ギース「もしここに来れば、お前には最高の栄誉と、退屈しない時間……それを与えてやろう」

志希「へ~?キミ、匂いだけでじゃなくて、いう事も面白いんだね?」


志希「……だけど、あたしは栄誉なんてものには興味ないな」

志希「欲しいのは刺激的な時間と体験……それさえあれば、他はいらないよ」

ギース「フッ……約束しよう。だがそれはお前が私の要求に応えられれば、の話だが」

志希「良いよ~♪だったら事務所に行くまでもない、この場で約束しちゃう。だけど、あたし失踪癖があるからさ、そこは大目に見てね?」

ギース「フンッ、かまわん。つまらなくなったらいつでもどこへでも消えるがいい」

ギース「いいか、これは契約だ。私はお前に最高に刺激的な時間を、そしてお前は最高のパフォーマンスを。いずれかが不履行になった時、この契約は終了だ」

志希「にゃははっ、それは退屈しなさそうだね♪」

志希(……思えばアメリカの学校に行っても全然退屈だった。キミならあたしをトリップさせてくれるかもね?)


外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
一ノ瀬志希 スカウト編

終わり

今日はここまで


本編もすごいことになってるが外伝も負けず劣らず危険なことになってる…


ギースのアイドル事務所は個人の暇つぶしでやってるのね
龍虎乱舞の平和な使い方、加連、美奈達マスターすれば嫁の道が開けるのか?

765や876の皆はQOIに出るんかね?
後輩たちがアイドルらしからぬ気を纏って出るんですが……。

やるとは決めたが、実際やってみてどうなるのか

完璧なパフォーマンスをする奴が相手なら覇王翔吼拳を使わざるを得ないと思ったけど龍虎乱舞の方だったか

覇王翔吼拳がHELLO成層圏になったから龍虎乱舞はどうなるか?

リョウ「みんな!龍虎合一だ!」

かなり変則的だけど極限流の門下生が増えたな。
そろそろ藤堂の娘さんが乗り込んでくる。

拓海「……それでよ、サカザキ。やるとは決めたけど、どんなレッスンになるんだ?」

リョウ「ああ。乱舞の覚醒に必要なのは『極限状態』と『気の力』だ。どちらか片方だけでもいけない」

リョウ「だから、レッスンをパートに分ける。まず、ダンスの基本的な動作を繰り返し繰り返し、とにかく繰り返し反復練習する。体力的に限界まで追い込まれるまでな」

加蓮「うわあ……」

リョウ「基本的にはそれを一日やってもらう。だが、毎日そんなことやっていたらすぐに潰れちまう。絞るとはいえ、どうしても外せない仕事もあるしな」

リョウ「だから、1日ダンス練習の次の日、あるいは仕事が入っている日には、気の訓練に当てる」

リョウ「こっちの訓練は逆に体力的な消耗は少ない……が、かなり難しいものになると思う」

美波「1、体力を限界まで使うダンスレッスン→2、体力回復を兼ねた気のレッスン」

美波「これを本番まで順に繰り返していくということですね」

リョウ「ああ。だがLIVE用の曲が完成したら、1のダンスレッスンの内容がLIVE曲のレッスンに切り替わる。曲自体の完成度も上げなければならなくなる」

拓海「……とんでもなくきつそうだな」

リョウ「とんでもなくきついぞ。無駄にできる時間は一時もないから、無駄にしないように組んだつもりだ」


スタスタ
キング「まぁ、そういうことだよ。引き続きダンスパートは私が見るからね、手を抜いてる奴がいたら、容赦なく叩き出すよ」

有香「き、キングさん!」

キング「まぁ私もかわいそうだとは思うけどね……恨むならあんた達のプロデューサーを恨みなよ?」

リョウ「キング、頼むぞ」

キング「ああ、任せときな。この娘たちをキッチリ極限まで追い込んでやるよ」

拓海「お……鬼……」

レッスンルーム

キング「加蓮!動きが鈍ってきてるよ!動きを鈍らすくらいならぶっ倒れるまで全力で踊りな!」


加蓮「そ、そんなこと言ったって……身体が……」
フラフラ

キング「まだ喋る余裕があるじゃないか!その体力をダンスに回しな!」

キング「美波!あんたもだ!体力を持たそうとして動きを緩めるな!八分の力で長々やったって意味がないんだよ!100%でやってすぐぶっ倒れる方がずっとマシさ!」

美波「は、はい!」
タンタン



美波「はぁ……はぁ……」

悠貴「うう……」

加蓮「……」

有香「ああ……」

拓海「ダメだ……もう動けねえ……」


キング「うん、皆一通り潰れたね」

キング「よし、じゃあ30分休憩したら第2部始めるよ」

有香「!?」

拓海「な、なんだよ第2部って!?もう終わりじゃねえのか!?」

キング「なにを言ってるんだい、言っただろ?あんた達を極限まで追い込むってね」

キング「それより拓海、あんたまだ元気がありそうだね。あんたは休憩はなしだ、私が30分ダンスを見てやるよ」
ガシ

拓海「はぁ!?あ、アタマおかしいんじゃねえのかあああ!?」
ズルズル

ヒイイイイイイ

悠貴「ひい……っ」

有香「はぁっ……はぁっ」
フラフラ

悠貴「はぁっ……うぅ……」
タンタン

加蓮「……」
フラッ
ガクッ
有香「!」

悠貴「!」

美波「……加蓮ちゃん!?」

キング「いい!美波、ほっときな!それとも他人をかまう余裕があるのかい?」

美波「で、でも!」


キング「ユリ!」

ユリ「はぁーい!医務室に運びまーす!よいしょ!」
ガシ
加蓮「……」
グッタリ

キング「こんな風に、全員倒れるまでやるよ!」

拓海(く、狂ってやがる……!)

短いけど今日はここまで

狂ってやがるってw
石川賢の餓狼伝説みたいだ

リョウ「……ただいま。戻ったぞ……キング、だいぶしごいてくれたみたいだな」

キング「ああ、あんたがしごけって言ったからね」

美波「……」

拓海「……」

有香「……」

悠貴「……」

加蓮「……」

リョウ「全員ぐったりしてるな……一応聞いておく。残りLIVEまでの期間の3か月、約半分くらいの期間は今日みたいな感じになる」

リョウ「どうだ?止めるなら今の内だぞ。やれるか?」

拓海「……やめ……ねーよ……」

美波「やめ……ません……」

加蓮「絶対……やめない……」

リョウ「……」
フッ

リョウ「……まぁさっき言った通り、これをキングに頼んだのは俺だ。恨むなら俺を恨め」

リョウ「ロバート、彼女たちを家まで送ろう」

ロバート「ああ、せやな……」




加蓮母「どうも……送っていただきましてありがとうございました。あの、プロデューサーさん、お顔が腫れてますけどどうされたんですか……?」

リョウ「いえ、お気になさらず……加蓮、立てるか」

加蓮「……」

加蓮母「!?……か、加蓮!?」


リョウ「……眠っちまってるか。お母さん、すみませんが加蓮を部屋まで運びます。良いですか?」

加蓮母「は、はい……」

加蓮の部屋


加蓮「……」
スースー

リョウ「ひとまずはこれでよし、と……」

加蓮母「……あの、プロデューサーさん、加蓮は一体どうしたんですか?今まで疲れて帰ってきたことはあっても、ここまでの事はなかったのに……」

リョウ「ええ、お話しします。実は……」



加蓮母「そうですか……3か月後にLIVEが……」

リョウ「はい、それまではこういう感じで帰ることが多くなるでしょう。ハッキリ言って、大変な負担を加蓮に掛けることになります。もし、ご両親が許容できないようでしたら、止める準備もありますが」

加蓮母「……いえ。この子自身はやると言っているのでしょう?だったら私たちが止めたって聞きませんから」

リョウ「……すみません。ご心配と迷惑をかけます」

加蓮母「いえ、私たちは貴方たちを信じて事務所にお預けしていますから……今回も、信じています」

リョウ「……」

車内

ロバート「……」

ガチャ
バタン

リョウ「……ふぅ」


ロバート「おう、お疲れ。どうやった?」

リョウ「やっぱり心配されてたな。そりゃそうだ、いきなり娘があんな状態で帰ってくりゃな」

ロバート「まぁ穏便に話が済んだみたいで良かったやん。美波ちゃん家に行った時なんか親父さんの怒鳴り声が車ん中まで聞こえてきたで」

リョウ「ああ、顔面に一発貰うとは思わなかったが、それだけ心配したんだろう。そりゃそうだ、自分で言うのもなんだが、今の俺みたいな風貌の男が眠ってる美波抱えて家に現れりゃ、俺が美波の親父さんでも多分殴る」

ロバート「まぁ冷静に考えりゃ厳しい親父さん言うとったからな。むしろ良く納得してくれたな、親父さん」

リョウ「目を覚ました美波と美波のお母さんがとりなしてくれたお陰だ。美波なんかはすごく怒ってて、親父さんちょっとショック受けてたからな。悪いことをした」

ロバート「……まぁ美波ちゃんとこの家程やないけど、悠貴ちゃんの家のご両親も心配されてたみたいやな」

ロバート「逆に拓海ん家と有香ちゃん家はそんなでもなかったみたいやけど」

リョウ「ああ。拓海は良くケンカでもっとボロボロになって帰ってきてたと言ってたし、有香も空手の稽古でよくこういう状態になってたと親御さんは笑ってたが……悠貴はまだ年齢も幼いし、特に心配なんだろう」

ロバート「まぁなんにせよ今の加蓮ちゃんで最後やろ?ワイらも帰ろか、事務所まで送ったるで」

リョウ「ああ、すまないなロバート」

ブゥゥン

リョウ「……」

ロバート「……なぁ、リョウ」

リョウ「なんだ?」

ロバート「ワイらの決めたことは本当に正しいんやろうか」

リョウ「……なに?」

ロバート「龍虎乱舞の会得がReppuに対抗する唯一の手段……この考えはワイも同じや。これしかないと思っとる」

ロバート「せやけど、その為に成功の望みの薄い、心身ともに負担のでかい特訓を彼女たちに課すのは……ワイらのエゴやないか?」

リョウ「……ああ。エゴだな」


リョウ「だが、彼女たちはやる、と言ってくれた。だったら、俺はそれを全力で支える……もう決めたんだ。迷いはしない」


ロバート「……せやな。なにが正しい判断でなにが誤った判断やったかなんてのは後になってみないとわからん」

リョウ「ああ。だったら、俺らはその場その場において、一番後悔しなさそうな選択をしていくしかない」

リョウ「お前も、協力してくれロバート。頼む」

ロバート「……改めて頼まれるまでもない。ちょっと確認しときたかっただけや」

ロバート「……リョウ……地獄に落ちる時は……」

リョウ「ああ。お前にも付き合ってもらうぜ」

ロバート「……せやな。お前とやったら、地獄の閻魔にも負ける気せんわ」

いったんここまで


三ヶ月で極限流奥義を会得しろといわれればこうもなるか

なるほど、極限状態=体力ゲージ4分の1以下、気の力=気力ゲージ最大というわけか

ガチ勢「気力なしコマンド技の通常技の方が強いぞ」

厳しいとはいえ相手の意思を無視した上っ面だけの精神論や根性論押しつけるだけの
無能脳筋な連中よかリョウ達はよっぽど優しいとは思うけどね

翌日

リョウ「おはよう。みんな、体調は大丈夫か?」

拓海「……まったく大丈夫じゃねーよ。筋肉痛がやべぇ」

加蓮「ほんと身体痛い」

有香「このレベルの筋肉痛は久しぶりです……」

悠貴「久々に朝走れませんでしたっ……!」

美波「えっと……今日は気のレッスンになるんですか?」

リョウ「ああ。一口に『気』といっても、簡単じゃあない。そうだな……有香、いいか?」

有香「え?あ、はい、なんでしょう?」

リョウ「お前は空手の稽古やLIVEに臨むとき、よく気合を入れるな?」

有香「はい。よく『覇っ!』って気合を声といっしょに乗せて発してます」

リョウ「うん。それが『気』だ。じゃあ次に、俺が以前お前たちの前で使った……覇王翔吼拳ってのは覚えてるか?」

拓海「……忘れられるわけねえだろあんなもん」

美波「大きなトラックを吹き飛ばしていた……大砲ですよね……」

リョウ「ああ。あの技も『気』だ」


加蓮「……え?私たちがLIVE前に入れる気合と、坂崎さんが前に撃った大砲が、同じモノだっていうの?」

リョウ「突き詰めればな。『気』は誰の身体の中にもあるものだし、この辺の空気にも存在している。普段の何気ない動作にも含まれているもんだ」

リョウ「おれの翔吼拳は『それ』を練って、収束して、放出する技だ」

拓海「なに!?ってことはアタシたちもこのレッスンでアレを撃てるようになるってのか!?」

リョウ「ちょっと違うな。確かにお前たちに身に着けてほしいのは気をコントロールする術だ」

リョウ「だが、同じコントロールでも俺の翔吼拳は気を集めて、外に放出する技。お前たちに身に着けてほしいのは、外から気を集めて、体内に取り込んで五体に行き渡らせる技術だ」

リョウ「似ているようで全然違う。乱舞のカギになるのは『気』の充実だからな」

拓海「……正直なに言ってんのかぜんぜんわかんねーんだけど」

リョウ「まぁ俺も口で言ってすぐにわかってもらえるとは思ってない。とりあえずやってみよう」



レッスンルーム

リョウ「まずは『気』の存在を意識してもらう。……まぁ座禅みたいなもんだな」

リョウ「まずは各々座って、意識を自分の中に向けるんだ。それではじめの方は自分の中に流れる血の感覚というか……そういうものを感じ取れれば良い」

加蓮「……よくわかんないな」

リョウ「まぁとりあえずやってみろ。はじめ!」


美波(意識を自分の中に……)

悠貴(流れる血の感覚……っ)

有香(集中……集中……)

加蓮(……)

拓海「……」




拓海「ぐがー」

美波「すぅ……」

悠貴「すやすや」

加蓮「……」
スヤスヤ

有香「……」

リョウ「みんな疲れ溜まってるもんな……そりゃ寝るよな……」

有香「確かに眠くなってしまうかもしれませんね……」

リョウ「おお!?有香、お前は起きてたか」

有香「はい、以前にも空手の稽古でこういった黙想はやっていましたから」

リョウ「そうか……で、どうだ?なにか『気』は掴めたか?」

有香「……いえ、お恥ずかしながら……いったい何が気で、何が気じゃないのかわからなくて……」

リョウ「……そうか……」

リョウ(気に関しては本当に人によって感覚が違うから『これ』と言い切れるものがない……だが気を身に付けさせなければ乱舞には至れない……)

リョウ「……有香以前お前が事務所に入るとき、組手をやったよな」

有香「はい。最後に坂崎さんに正拳突きを打って合格にしてもらった……」

リョウ「そう、それだ。あの時のお前の正拳突き、今だから言うが、かなり明確に『気』が籠っていた」

有香「え、ええ!?あたしの正拳突きに気が!?」

リョウ「ああ、あの時の感覚、思い出せないか?」

有香「う、うぅ~ん、いきなりそう言われましても……」

有香「あの時は無我夢中だったのと……あとは、気持ちを……とにかくいろいろな気持ちを乗せて……」

リョウ「気持ちを乗せて……」

リョウ「……じゃあ次はそれで行ってみるか……」




拓海「……ふぁああ、よく寝……ってうおおお!寝ちまってたぁぁあ!」

美波「……ふぇ」
パチ

悠貴「……あれ、私なにして……」

加蓮「う~ん……拓海うるさい……」

拓海「いや、起きろって!ガッツリみんなして寝ちまってんじゃねーか!……あれ、有香は……」

リョウ「……有香、どうだ?」

有香「いえ……特に何も感じないです……」

リョウ「そうか……いろいろと考えてもらいながら瞑想……少し変わるかと思ったが」

リョウ「あ、お前ら。起きたか」

拓海「起きたか……じゃねーよ!なんで起こしてくれねーんだ!」

リョウ「正直気のコントロールは難解極まる。それこそ、眠っちまうくらいの集中力なら出来るはずがない。だったら明日のレッスンのために少しでも眠らせといた方が建設的かと思ってな」


美波「う……」

加蓮(……キングさんとはまた違ったタイプの厳しさだ……)

リョウ「それに、お前たちに気のコントロールを教えるに当たってどういうやり方が正解なのか俺にもわからん。だから、有香に協力してもらって、やり方を模索中だが……」

有香「やっぱり、難しいですね……」

拓海「い、いやいや、寝ちまったのは悪かったから、その有香がやってみたやり方をアタシらにもやらせろや!誰かにはそのやり方が合うかもしれねえだろうが!」


リョウ「それもそうか……じゃあみんな座ってくれ」





リョウ「いいか、最初は意識を自分の中に向けて……と言ったが、今度は自分の中にある強い思い、気持ち……そういったものを思い返してみてくれ」

美波(自分の中の、強い思い……)

悠貴(気持ち……っ)

加蓮(……)

拓海「……」




加蓮「……はっ」
ガバッ

加蓮「あ、あれ?ここ、私の部屋?」

ガチャ
加蓮母「あら、加蓮起きたのね。あなた、また眠ったままプロデューサーさんに抱えられて帰ってくるんだから……あんまり無理しちゃだめよ……」

加蓮「……」

加蓮「また寝ちゃってたの私!?」
ガビーン





リョウ「……気の特訓日は体力回復も兼ねて瞑想をメインに据えようと思ったが、これじゃあだめだ。みんな前日の疲れでどうしても寝ちまう」

ロバート「まぁ……そらしゃーないやろな……」

リョウ「かといってあんまり激しい特訓は翌日のダンスレッスンに響くから無理だ……2日目にして早くも俺の見通しの甘さを露呈する形になっちまった……」

ロバート「ま、まぁ落ち着けやリョウ……」

リョウ「ああ……だがまた何か考えねぇとな……」

ロバート「……あ。それやったらリョウ、これはどうや」

リョウ「?」

2日後

リョウ「さて、みんな今日もしんどそうだな」

拓海「……絶賛筋肉痛だぜ」

リョウ「そうみたいだな……だが前回みたいな形式だとみんな寝ちまう。だから今日は講師を招いた」

美波「講師、ですか?」

リョウ「ああ。いいぞ!」

ガチャ

ユリ「はーい!特別講師のユリでーすっ!」


悠貴「ユリさんですかっ!?」


リョウ「ああ、このユリは極限流を習い始めて1年で気功技をほとんどマスターしちまった。認めたくないが、気功だけで言えば間違いなく天才だ。お前たちと年齢もあまり変わらないし、性別も同じだし、感覚が近いだろう」

ユリ「あ~!お兄ちゃん、なに気功だけって!」

リョウ「だから、気功だけだ。空手の方はまだてんでなっちゃいない。そもそもわけのわからないアレンジを加えたり……」

リョウ「大体だな、俺はまだお前が極限流を習うのは反対なんだぞ。親父がコロッとお前に言いくるめられちまったからこんなことに……」

ユリ「ちょっと!一体いつまでそんなこと言うつもりなの!?私が極限流を習い始めてもう3年くらい経つんだよ!?今じゃ道場で私より強い人なんてそういないんだから!」

美波「あ、あの……」

加蓮「ちょっと……ふたりとも……」

リョウ「いーや!そもそもお前は心技体の心がなっちゃいない!才能頼みで身に付けた強さで調子に乗ってると、いつか手痛いしっぺ返しを食らって取返しのつかないことに……」

ユリ「むっかー!もう怒った!だったらお兄ちゃん、今からここで私の強さを見せてあげるよ!」


リョウ「上等だ!お前が外で酷い目に合う前にここで目を覚ましてやるのが兄としての……」

拓海「お、おいお前らいい加減に……」

キング「ベノムストライク!」

ズン


ユリ「……へ」

リョウ「……キング?」

キング「いい加減にしなよあんた達……遊んでる暇があるのかい?」

ユリ「い、いえ……」

リョウ「す、すまん……」



美波(こ……)

悠貴(怖いですっ!!)

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード



客船
カジノコーナー

ギース「……」



男「ハハハ……この勝負もらった!19!スタンドだ!」

???「……私の手札は……21!ブラックジャック!私の勝ちね。残念でした♪」

???「ブラックジャックはたしかに経験がモノを言うゲーム。でも一番大切なのはそれじゃないの。分かるかしら?」

???「それはね。……勝負所を見極める勘、そして運よ」

オオオオオオーーー!

客「いやあ、すごいな彼女は!大見栄切るだけあって、ほとんど負けなしだ。確かレナさんといったかな」

客2「いやあ美人だし、性格もこざっぱりしてるし、優秀だし、私の個人の秘書として欲しいくらいだよ」

客「いやあそれは難しいだろう?なんせ彼女がディーラーになってからはこのカジノコーナーの収益がだいぶ増えたらしいからな」

レナ「さて、次に私とお相手したい方はいるかしら?」

ギッ

ギース「……一勝負お相手願おう」

レナ「……貴方、ずっと私の勝負を見ていたわよね。そろそろ観客でいるのは飽きたかしら?」

ギース「ほう?気づいていたか」

レナ「当然よ。お客さんの動きを見るのもディーラーの仕事よ。これでも本場で腕をならしてきたんだもの」

レナ「ちょうど退屈してたところだし……貴方は私を楽しめませてくれるのかしら」

ギース「フッ……Come on」





ギース「Blackjack……私の勝ちだな」

レナ「なっ……!」

客「おお!レナさんが負けたぞ!」

客2「は、初めて見たかもしれない……で、でも一度だけならマグレかもしれないし……」

レナ「……なかなかやるじゃない。もう一回よ」

ギース「良いだろう。Take it again and again」




客「……おい、これで何連敗だ?」

客2「信じられない……あのレナさんが……」

レナ「そ、そんな……!」

レナ(ウソ……!?イカサマをしてるような形跡も無かった……こんな、ことって……!)

ギース「……フン。失礼する」
ガタ

レナ「あ……!待って!勝ち逃げする気!?」

ギース「君は先ほど語っていたな。ブラックジャックに大切なものは、勝負所を見極める勘、そして運だと」

ギース「なるほど、君の勝負勘、それは一流だと言ってやろう。だがな、運などという不確かなものを根拠に挙げているようでは超一流とは言えん」

レナ「いいえ……!だって現に貴方は私を相手に圧倒的なツキを味方に……!」

ギース「それは運で勝利したのではない。『私だから』勝利したのだよ」

レナ「……!」

ギース「敢えて君が納得できるように言い換えてやるならば……運というものは常に強者にこそ味方するのだ。つまり、私の勝利は必然だったのだよ」
コツコツコツ

レナ「な……なんなの……」゙

男「……なんだか今なら俺でも勝てそうな気がする!一勝負だ!」

レナ「……」




レナ「……はい、私の勝ち……」
ピッ

男「何故だ!何故一回も勝てない……!!」

レナ「……」
ボケー

客「な、なんだ……やはりレナさん強いじゃないか……」

客2「で、では先ほどのはいったい……」

男「……サマだ」

レナ「……はい?」

男「イカサマだ!」

レナ「……は?」

男「だってそうだろう!?さっきの男にはあれだけ勝てなかったのに、相手が変わると一度も負けないなんて!こんなバカげた話があるか!」

レナ「……ちょっと。何を根拠にそんな……ほかの人もこれだけ見てて、イカサマなんてできるはずないでしょう」

男「……ははーん。なら分かった。あんた、あの男の女なんだろ。それであの男に勝たせるために、あの男の時だけ手を抜いてたんだ」

ザワザワザワザワ

レナ「な、なにをバカなことを……!私はあの人とは初対面よ!」

男「じゃああの男に惚れたのか!?どっちでも良い!とにかくお前はイカサマディーラーだ!公平じゃないディーラーは、カジノから出ていけ!」

ザワザワザワザワ



オーナー「み、みなさん!落ち着いてください!我々は常に公平です!……兵藤くん、ちょっと私の部屋まで来なさい」

レナ「……!」

オーナー「……兵藤くん。君はここで働き始めてからずいぶん貢献してくれた……だが、カジノは信用が第一だ」

レナ「……」

オーナー「もちろん私は君がイカサマをしたなどとは思ってないが、あんな評判が広まった以上、君をここに置いておくわけにはいかない」


オーナー「……わかってくれるね?」

レナ「……はい。今までありがとうございました」

レナ「はぁ……まさかクビになるなんて……これからどうしょうかな……」

レナ「……ちょっと海の風でも当たろうかな……あ、あれは……?」





ギース「……私に何か用かな?」

男「しらばっくれるな。お前とあの女が結託してイカサマをしてくれたお陰で俺は死ぬほど恥を搔いたんだ」

ギース「……それで?私をどうしようというのかね?」

男「知れたこと、俺に土下座で謝ってもらう。そのあとはカジノに戻って公衆の前でイカサマを宣言してもらう」

ギース「……断れば?」

男「断れないさ。……おい!」

屈強な男「はい」

屈強な男2「お呼びでしょうか」

男「この通りだ。お前は土下座をするか、魚の餌になるか、どっちかしかないんだ」


レナ(な……なんてことなの!オーナーに知らせなくちゃ……!)
タッ

ギース「……フッ」

男「貴様、何を笑っている!死にたいようだな!」

ギース「……いや、なに。もし本当に運の良し悪しというものがあるのなら、貴様たちこそ本当の不運だと言うのだろうな」

屈強な男「何を言っている……?状況が見えてないようだな」

男「もういい!お前たち、やってしまえ!」

ギース「嘗て、Mr.KARATEという道化がいた。あの道化は私を心から楽しませてくれたものだったが……度を過ぎた道化は不快だな。せいぜい己の愚かさを恨むがいい」

レナ「ハァ、ハァ……オーナーの部屋……早く伝えなきゃ」
スッ


「……しかしオーナー、とんでもない目に遭いましたね」


「まったくだ。あの女、見た目が良いから働かせてやったのに、何処ぞの若造に色目を使われてあのザマとは。何が本場で腕をならしてきた、だ」


レナ「……!?」



船長「でも、実際あの女が来てから収益は良かったんでしょう?」

オーナー「ふん、大方客に色目を使って金を使わせていたんだろう。それが今回は逆になったわけだ。まったく、くだらん」

船長「はっはっはっは!でもあの女、見た目は良いですからちょっとクビはもったいなかったですね」

オーナー「どの道、あの女はもう二度とこの業界では働けん。悪評はすぐに伝わるからな。だが……そうだな。どうしてもとあの女が頼み込んでくるのなら、愛人くらいにはしてやってもいいかもな」

船長「あっはっはっはっは!間違いないですな!」



レナ「……っ!」
ダッ



レナ「……はぁ。私の今までの人生ってなんだったんだろう」

レナ「女だてらに単身アメリカに渡って、本場で勉強して、腕を磨いて」

レナ「……けど、全部無意味になっちゃった」

レナ(……もう、いっそのこと海に----)



ギース「随分浮かない顔をしているな、Ms.ヒョウドウ」

レナ「……貴方は、さっきの……」

レナ「……っ!」
ハッ

レナ「そ、そうだわ!貴方、さっきの連中に……!」

ギース「ん?」

レナ(傷どころか……スーツに乱れ一つない!?)

レナ(っていうことは……さっきの人たちとは和解したのかしら……そ、そうよねきっと……)

レナ「いえ、何でもないわ……それより私のことは放っておいて」

ギース「そうはいかん。今にも船から飛び降りそうな雰囲気だったからな。私にもそれで寝覚めが悪くなる程度の心はある」

レナ「……どうでもいいでしょ」

ギース「……やれやれ。あの勝負師の目はもう見られそうもないか。私は、アレが好きだったのだがな」

レナ「……え?」

ギース「だったら、私もお前に何の用も無い。海に飛び込むなり何なり好きにするが良い」
コツコツ

レナ「……」

レナ「待って」

ギース「……まだ何か?」

レナ「……どうしても納得できない。私と最後の勝負をしてほしい」

レナ「でないと……私はこれからの人生を歩んでいけない気がするの」

ギース「……」
ニヤリ

ギース「……では、何を賭けるのだ?賭けるもののない勝負などという下らん事をするほど私はヒマではない。君は、何を賭ける?」

レナ「っ……そ、それは……」

ギース「……どうしてもと言うのなら君の人生を賭けてもらおう。私に負け続けて、もう他に賭ける物もないだろう?」

レナ「!!」

レナ「……それは、当然貴方も同じ物を賭ける、ということよね?」

ギース「もちろんだ。君が勝てば私の命を持っていくが良い」

レナ「……」
ゴク

レナ「それは……刺激的ね。面白いじゃない」

ギース「……フフ、そうだ、その眼だ……!」

ギース(その眼をしていてこそ、お前を頂く価値がある……!)

レナ「……それで?勝負は何にするの?ポーカー?それともさっきと同じブラックジャック?」

ギース「いや……勝負はこれで決めよう」
ピーン

レナ「……コイントスね。いいわ」

ギース「ああ、トスは君がしろ。ただし、コインはこれを使え」
ポイ


パシィ
レナ「……!こ、このコインは!?」

ギース「どうした、早くトスをしろ。それとも、私が渡したコインに何か問題が?」

レナ「……いいえ。じゃあ行くわよ」
ピーン

パシ

ギース「表だ」

レナ「……」
スッ

ギース「私の勝ちだな。だから言っただろう?運は常に強い方に味方するのだとな……」

レナ「……ちょっと、貴方……」

ギース「おっと、そこまでだ。お前の人生は最早私のものだ。……この船に小型艇を隠してある、客船から脱出するぞ」

レナ「え?ちょ、ちょっと!ええーーーー!?」





都内
ビリヤードルーム

レナ「豪華客船、乗客同士の喧嘩か、3名重傷……また、客船内で不法行為が横行か、責任者の容疑を追及へ……」
ガサッ

レナ「これ、全部貴方がやったの?」
カコン
コン

ギース「さて、何のことかな?私はたまたま勘であの船から脱出しただけだ」

レナ「どうだか……貴方は立派なイカサマ師でもあるからね」
カコン
コン


ギース「……あの客船に乗る前、ある女性ディーラーの噂を聞いた」

ギース「彼女は若くしてアメリカに渡り、本場のディーラーの技術を吸収していった」

ギース「その女性ディーラーは美しく、勝負強い……そして、ひとつ矜持というか、独自のルールようなものを持ち合わせていた」

レナ「……」
カコン



ギース「それは、『自分は決してイカサマをしないが、相手のイカサマは一回だけ見逃す』というものだった」
カコン
コン

レナ「……!」

ギース「私に言わせれば、甘い。相手が本当の狼ならば、その一度だけで、喉を食い破るからだ」
カコン

レナ「……」
カコン
コン

ギース「……だが、同時に誇り高い、とも感じた。だから欲しくなったのだよ。その女性ディーラーがな」

レナ「……だけど貴方、このコイン……両方表じゃない。こんなあからさまなイカサマコインを相手に堂々と渡すなんて、どんな神経しているのかしら」
カコン
コン

ギース「噂が本当ならば、イカサマの精巧さは問題では無い。初犯か、否か。それだけだ」

ギース「私は本当に勝たなければならない勝負には、手段を選ばないタチでね」

レナ「……じゃあ、このビリヤード勝負は取るに足らない勝負、ということかしら?……はい、これで私の5連勝」
カコン
コン


ギース「フッ……酒の一杯や二杯、私にとっては痛くないのだよ」
ピッ

レナ「そう……ん、名刺?」
クイ

レナ「覇我亜怒プロダクション、社長兼プロデューサー……」

レナ「ギース・ハワード……!?」
ガタッ

ギース「フンッ……流石にアメリカでディーラー修行をしたのなら、私のことは知っているか……だが、今の私はアイドルのプロデューサーだ

レナ「え?だってギースって……え?アイドル?え?」

ギース「……おい、何を呆けている」

レナ「え?だって……え?」

ギース「ビリヤードの続きだ。次こそは、私が勝つ」



外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
兵藤レナ スカウト編

終わり

今日はここまで



ギースってメチャクチャ人相悪いマッチョなオッサンのイメージあったけど、
ググったら若い頃はロン毛のイケメンなのね



両面表にイカサマしたコインのくだりは素直に感心したわ


レナさんは本編で語られた粗筋だけかと思ってたけど外伝書いてくれたんだ
ギースの愛人みたくなってるけど相手が相手だけにしょうがないというか納得せざるを得ないというか


ロバートプロの皆に気を教えるためにユリに指導を頼むというのはかなりハイリスクな予感……性格が変な風に変わってしまうかもしれないという意味で

魅力があり過ぎる

しかし龍虎時代の時点でギースってまだ技も力も全盛期じゃないから
恐ろしいよなあ…

特別講師と漢方薬膳の提供を兼ねてリー・パイロン氏を招聘しよう

本編より外伝のほうが気になんぞ!

その全盛期ギースを倒すテリーの才能の凄まじさ
タンの八極正拳も末期の弟子は色々と関係が複雑だよな

>>489
KOFじゃなく、『龍虎』設定のユリみたいだから大丈夫じゃないかな?

ユリ「BIG一味に誘拐されてたから内気っぽくなってただけで元々明るい性格だッチ」

龍虎や餓狼は技の血脈?を感じるからすき。
たまにドロドロするけど。
ユリは「気を練ってからジャンプしよ」の柔軟さがあるから教えるのはうまそう。
いざとなったらどっかの念みたくリョウの気を直接アイドルにうちこんでだな……

自覚無いだろうけどリョウも十分格ゲー主役のセオリーぶっ壊す柔軟な人なんだけどなあ。
壁飛びやコンボゲー程じゃないとはいえ空中で何度も攻撃が出来る性能とか。
女の子の気持ちに関してはラノべ主役並にアレだが

ユリ「え~っと改めて、特別講師のユリ・サカザキです!みんなよろしくね!」

有香「よ、よろしくお願いします」


ユリ「詳しい話は聞いたよ!残り2か月半で龍虎乱舞会得なんて、みんなも無理難題をふっかけられたよね」


美波「……ユリさんは極限流を習い始めて3年くらいと言われてましたけど、龍虎乱舞はどれくらいで会得されたんですか?」

ユリ「……いや~……それがね……」

拓海「ん?なんだよ……」

ユリ「実は私も龍虎乱舞は使えないんだよね。テヘッ」

加蓮「ちょ、ちょっと教えてもらう立場で言うのもなんだけど、それ大丈夫なの講師として?」

ユリ「それは大丈夫!私がお兄ちゃんに言われたのは乱舞を教えろ、じゃなくて気功を感じさせろ、だったから!」

ユリ「さっきお兄ちゃんも言ってたけど、私は気功に関してはちょっと自信あるからね!まぁ大船に乗った気分でいてね!」

拓海「まぁまぁ不安だぜ……」

ユリ「拓海ちゃんなんか言った?」

拓海「いや何も」

ユリ「……で、気を認識する上で一番わかりやすいのはやっぱり気合だと思うんだよね」

ユリ「というわけで、声出し行ってみよー!」

加蓮「こ、声出し!?」


ユリ「うん。なんかテキトーに気合が入る言葉を叫んでみて。じゃあ有香ちゃんから」

有香「あ、あたしからですか!?お、押忍!」

有香「……」
スクッ

有香「……お、押忍っ!!!」
クワッ

ユリ「はい!次!拓海ちゃん!」

拓海「うえええ!?」

拓海「……!」
スクッ

拓海「……や、やんのかオラァァァァァァァァ!」
クワッ

ユリ「こわっ!次美波ちゃん!」

美波「は、はい!」
スクッ

美波(……えーとっ……)

美波「み、みなみ、やりますっ!!」
クワッ

ユリ「はい!次加蓮ちゃん!」

加蓮「……!」
スクッ

加蓮「……え~っと」

加蓮「……お、お~!」

拓海「なんだそりゃ!!」
クワッ

ユリ「最後!悠貴ちゃん!」

悠貴「はいっ!」
スクッ

悠貴「……」

悠貴「が、頑張りますっ!!」
クワッ

ユリ「うん、みんな正直気合よりも恥ずかしさが勝ってるね」

拓海「そ、そりゃいきなり叫べって言われたらこんな感じになるだろ!」

ユリ「う~ん、それだとだめなんだよね。正直叫ぶ内容自体はどうでもよくて、気合が入ればいいわけだから」

ユリ「まぁ恥じらいながら叫んでるみんな可愛かったけど♪」

加蓮(この人楽しんでない……?)

ユリ「……けど、どうしようかなぁ。なんか叫ぶ言葉を合わせればいいのかな……」

リョウ「……だったら、アレはどうだ?お前たちがLIVE前に円陣組んで叫んでるやつ」

加蓮「あ、坂崎さん」


ユリ「あ、お兄ちゃん。いたんだ」

リョウ「別室で打ち合わせ中だったが、なんか絶叫が聞こえたから様子を見に来たんだよ」

リョウ「で、どうだ?例のアレ」

美波「……そうですね」




ユリ「……え~っと、じゃあ私が『きょくげん』って叫んだら、みんなが『FIGHT』って叫ぶんだね』


ユリ「じゃあいくよ~……きょくげ~ん!!」

全員「FIGHT!!!」
クワッ

ビリビリ

ユリ「……おお!良いんじゃない!?今のかなり気合を感じたよ!」

拓海「……なんだかんだ言って、気合が入るよなこの掛け声……」

ユリ「じゃあ今度は一人ずついくよ!きょくげ~ん!」

ファイト!
キョクゲ~ン
ファイト!
キョクゲ~ン




夕方


拓海「ぜぇ……はぁ……」

美波「はぁ……はぁ……」

ユリ「はぁ、はぁ……というわけで、自分の中に気合が入る感覚はわかってもらえたかな……?」

悠貴「な、なんとなくわかった気がします……っ!」

ユリ「うん、これでスタート地点だね……あとはこの気合を「気」としてコントロールするのがこの気のレッスンの目的になるの」

加蓮「……まだまだ先は長そうだね……」

スタスタ
ロバート「いや、大きな進歩やで。おぼろげながらも自分の中の気の存在を認識できたんや。これが出来ないとお話しにならんからな」


美波「社長さん!」

ロバート「そして指導一日目にしてそれを成し遂げたユリちゃん最高や!どや?この後食事でも……」

ユリ「え!?ロバートさん良いの?」

ロバート「そんなんエエに決まっとるがな!あ、そや、先日ワイが発見した夜景の綺麗な……」

ユリ「やったねみんな!今日はロバートさんがごちそうしてくれるって!何食べたい!?」

ロバート「え」

拓海「っしゃあああ!マジかよ!肉肉!よっ!社長!ゴチになりやす!」

ロバート「ちょ、待っ」

リョウ「おーい、キング、トレーナーさん、ちひろさん、ロバートがご馳走してくれるそうなので準備を」

ロバート「……」

ヤッター
ハヤクシャワーアビテキガエナキャ
ワイワイ

ロバート「……まぁええか」

いったんここまで


ロバートさんすてき!抱いて!

下心を持つとろくな事がない
まぁロバやんだと下心無くても毎度こんな扱いなんだろうけど

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード


事務所

レナ「……それで?この事務所には私しかアイドルがいないわけ?」

ギース「いや、所属しているのはもう一人いる。が……彼女は奔放だからな。来たい時だけ来るだろう」

レナ「なにそれ……良いのそんなルーズな感じで……」

ギース「能力と、私の要求に応えられるのであれば普段どこで何をしていようが構わん」

レナ「……ってことは要求に応えられなくなったときが縁の切れ目ってことね」

ギース「そういうことだ……わかっているではないか」

ギース「それにメンバーはまだ集めている最中だ。今から私が興味を持っている者がテレビに出る。見てみようではないか」

レナ「……」

司会『本日はここ福井から、話題の人物をお呼びしています!女子高生社長、桐生つかささんです、どうぞー』

つかさ『女子高生社長?なに、そのアオリ。そんなんじゃバズんないでしょ』

つかさ『ども。美人ギャル社長で最強JK、桐生つかさです』



レナ「……え?この娘が貴方が興味を持ってる娘?」

ギース「フッ……まぁ見てみよう」



つかさ『仕事はブランドのプロデュース、それからSNSを使ったバイラルコミュニケーション。ま、分かる人に伝わればいいや』

つかさ「アタシとビジネスしたいっていう強者がいたら、アポちょーだい」

つかさ「女子高生だからってナメないで。本気のヤツだけ求めてるんで」

ギース「……フッ」

レナ「なに笑ってるのよ……ていうかすごい自信ねこの娘……」

ギース「自負が強い故だろう。ただのビッグマウスにも見えるが、TVの電波に乗せて言うからには並大抵の覚悟ではあるまい」

ギース「……まぁ世の中には何も考えていない馬鹿もいないではないが、社長をやっているくらだ。期待させてもらおう」
ピッピッピ

レナ「……?どこに電話して……え!?もしかしてあの娘のところ!?」

ギース「もしもし。Ms.キリュウか?私はギース・ハワードという者だ」

つかさ『お、放送見て早速アポくれたのか?いいね、フットワークが軽いところとは仕事がしやすいよ』

ギース「フッ。私は芸能事務所のプロデューサーをしている。そちらとビジネスの話をしたいのだが、いつならば会えるだろうか。ちなみにこちらは東京だ」

つかさ『芸能事務所?ふ~ん……あ~、東京なら、3日後だな。別の仕事でそっちに行く予定があるから、16:00からなら時間が取れる』

ギース「いいだろう。住所は東京都……」

レナ「……なんかトントン拍子に進んでる……」

3日後

つかさ「……声で聞いた感じより若いんだね。アタシが桐生つかさ。よろしく」

ギース「ギース・ハワードだ」

レナ「……どうぞ」
コト

レナ(なんで私がお茶汲みを……)

つかさ「で、芸能事務所のプロデューサーがアタシとどんなビジネスしようっての。衣装のプロデュースでも依頼したいとか?」

ギース「単刀直入に言おう。ツカサ・キリュウ、我が覇我亜怒プロダクションのアイドルになれ」

つかさ「は?」

レナ(そりゃ、は?ってなるわよね)

ギース「私の下で、私のプロデュースを受けろ。それだけの価値がお前にはある」

レナ(上から過ぎるでしょ!何様!?)

つかさ「……はっ、なかなか面白い事言うなお前。ウケる」

レナ(この娘も大概だな!お前って)


ギース「何も可笑しい事はない。私がジョークを好むような男に見えるか?」

つかさ「……本気ってワケ?だとしたら本気で頭沸いてんな。大体、美人でギャルで社長って時点でアタシの人生勝ちパなの。それでアイドルをやることにアタシになんのメリットがあるっての?」

ギース「何事も頂点をとってこそ初めて真に価値があるのだ。どれもつまみ食い程度にかじって勝ち組気取りとは笑わせる。これはとんだ見込み違いだったかな」

つかさ「……なに?お前、アタシの何を知っててつまみ食いなんて言ってんだよ。ナメてんのな」

レナ(……一気に険悪ムードじゃない。っていうか喧嘩腰すぎるでしょ)

ギース「知らんな。だがお前も私の何を知ったわけでなく私のプロジェクトを否定しただろう。お互いさまだ」

つかさ「……ガキかっての。いいよ、じゃあそのプロジェクトとやらを話してみろよ。聞くだけは聞いてやるからさ」

ギース「では聞かせてやろう。まず、私が目指すのはアイドル界のトップだ。それ以外は無意味だ」

つかさ「……!」

レナ「……!」

ギース「それにあたり、アイドルの指導方針、期間、作詞作曲の依頼先候補リスト、プロモーションの際のパートナー企業候補など、概ねの計画がこの資料にまとめてある。目を通せ」
ドサッ

つかさ「な……!」

レナ(厚っ!ていうかこんな資料いつの間に!私見てないけど!?)

つかさ「……」
ペラ

つかさ(……育成方針のレッスン時間ごとの進捗目標、順調に推移した場合とそうでない場合のパターンごとの対策と計画)

つかさ(作詞作曲者の候補者リストとその場合の見積もり、CD販売における成功・失敗・中間の3パターンのその後の露出の方向性と計画……)

つかさ「……!」

つかさ「おい……この衣装プロデュースの会社って……!」

ギース「ん?ああ、そこの会社はなかなか良い衣装をプロデュースをする。感性というのかな、そういった物が今の若者の心を捉えるのだろうな」

ギース「特に女性物の化粧品の……何と言ったかな、あのCMの衣装は良く出来ていた。あのレベルのものができるのであれば、私のアイドルグループの衣装も充分任せられる」

つかさ(……アタシの仕事はしっかりリサーチ済ってことね……)

つかさ「けどさ、もしこの会社に断られたらどうすんだよ。例えば、ここの社長に別の仕事が急に入ったりしたらさ」

ギース「フッ、その心配はないだろう。その会社の社長は、両方必ずこなして見せるだろう。それだけのバイタリティがあると、私は踏んでいる」

つかさ「はっ……両方って……アイドルと衣装のプロデュース、どっちもやらせる気なのな」

ギース「私はその人間が出来ると思った仕事しか任さん。ただ、その『出来る』というのはその人間の限界値まで使っての仕事になるがな」

ギース「それに、お前も会社を率いる立場なのだろう?ならば、私から大いに盗み、学べ。何なら踏み台にしてくれても構わん。出来るものならばな」

つかさ「……いいね。分かった。だったらこの仕事をやる間はお前をボスと呼んでやるよ。さっさと契約書出して。当然、隅から隅まで確認してやるから」

ギース「フッ、交渉成立だな」

つかさ「……それと、アタシのことはつかさで良いから。パートナーに遠慮は罪だろ?」

レナ(……なんだかよくわからないうちに成立してる……)





レナ「……ねぇ、なんで初めあんなに喧嘩腰だったの?結果成功したから良かったものの……」

ギース「フンッ、あちらの流儀に合わせてやったまでだ」

レナ「あっちの流儀?」

ギース「そうだ。ツカサは社長をやっているだろう?あの不遜な態度はヤツの交渉術なのだろう。恐らくは相手に呑まれないための、な」

レナ「……そういうこと。確かにポーカーなんかの心理戦でも、手札が貧弱なのを表情や態度で隠すことはよくある……あの娘の態度もそういう類ってことね」

ギース「如何に不遜な態度を取ろうとも、まだ彼女は成人もしていない少女だ。表向きほど内面は不遜でもないのだろう」

レナ「……まぁあの娘の場合、素の性格もあんな感じのような気はするけど」


ギース「それで、精一杯の虚勢を張ってくるのだから、私もそれに乗ってやったのだ。交渉のコツは、理解と共感だ」

レナ「ああそう……」

ギース「フフフ、それにしてもこれで三人目か。もう一息だな」

レナ「ねえ、別に私が心配するようなことでもないんでしょうけど、私たちってレッスンとかしなくていいの?それとも、勝手にどこかでやってこいってこと?」

ギース「レッスンはメンバーが揃い次第、然るべき講師を招いてスタートする。もしレッスンについてこれないようならクビだから、不安なら自主トレーニングなどをしても構わんぞ。もちろん自信があるならば好きに過ごすが良い」

レナ「ご忠告、どうも」

レナ(この事務所の近く、ジムとかあったかしら……)

ギース(ふむ……講師か。外部から招いても良いが、それだけではつまらんな)

ギース「レナ。私は明日から少々事務所を空ける。そうだな……期間はひと月程度か。その間は自由に過ごすといい。別にこの事務所のものを使っても構わん」

レナ「え?ひと月も?……わかったわ」

レナ(悪い顔……なにか思いついたのかしら)

ギース(フッフッフ、所詮は極限流への当てつけ、暇つぶし程度だと思っていたが、なかなかに面白い。待っていろアイドル界よ、安穏とした業界の空気を、私のアイドルたちで切り裂いてくれる!)

今日はここまで


ギースさんがアイドルプロデュースに順調にハマっていってらっしゃる……これはジェフ命拾いするかもしれん


ギースがプロデュースにハマった理由はこういうことか…気の色も変わりそう



正直ギースの方が面白いというw



>>539
そういう言い方されてスレ主がやる気なくして本編進まなくなると嫌なんで少し自重してもらえないか

>>537
ジェフって今でこそギースとはタン先生のとこで同門だったとか色々と因縁あるけど、
もう25年以上前になるけど初代餓狼の頃はそんな設定無かったよね?
単にギースが悪党でジェフはギースの悪行を探ってる内に邪魔だから消された程度

最初はざっくりで人気出たから色々と後付けするのはどこも一緒だもんなあ
ガンダムなんか一年戦争中にどんだけMS出たんだよって成ってるし
今なんかガンダムは8号機まであるもんなぁ…

このプロダクション経営が後のハワードコネクションに繋がるのか。
しかしこの時代設定だとテリー達が活躍するのがかなり未来になってしまう気が…。

テリー「この街にギースの奴が…!!」(スマホ片手に)
アンディ「この格闘大会で優勝すれば…!!」(タブレットで調べながら)

テリーがリョウより年上になってる世界線もあるし、それもまた止む無し

スマホや携帯有っても結局餓狼メンバーも龍虎メンバーも原作通り敵の本拠地殴り込んでぶっ潰すスタンス
変わらないだろうしなあ。初代&龍虎外伝や餓狼3みたいなオープンワールドぽいストーリーでも基本
サウスタウン中放浪して情報収集しながら敵潰し続ける→ボスだけに  ギースタワー炎上&軍施設殴り込みはクスりと来たけど

やはり龍が如くだな
桐生さん「遥はどこだ!」敵「ここにはいない……」

リョウ「ユリはどこだ!」敵「娘の居場所はわしにもわからん……」

桐生さん・リョウ「なんだと?」

事務所

リョウ「ユリ、気の特訓の方はどんな調子だ?」

ユリ「うーん、みんな気の溜め方は身に着いたんだけど、気のコントロールはやっぱり難しいみたいなんだよね」

リョウ「まぁ気のコントロールがすぐできる奴なんてそうそういない。気の意識が出来てるなら上等といえば上等だが……時間も減ってきている」

ユリ「私的にはわかりやすく説明してるつもりなんだけど、うまく伝わってないのかなぁ」

リョウ「明日は気の特訓日だろ?明日は曲の打ち合わせがないから、俺も参加させてもらうぞ」

翌日

レッスンルーム

ユリ「……よーし、みんな気合は一通り入ったね?」

拓海「おう!」

加蓮「最近はここまではスムーズに来れるようになってきたけど……ここからがね」

リョウ(さて、ユリはどんな指導を……)

ユリ「はい!じゃあいつも通りグッとお腹に力入れて!」

美波「……!」
グッ

悠貴「……!」
グッ

ユリ「そこにジワジワ~っと来たら、グイっと腕に集中!そこでバシッと感じたらコントロール出来てるよ!」

リョウ「は?」

拓海「じわじわ……じわじわ……」
ググ

有香「グイ……バシッ……」
グググ

リョウ「い、いやいや、待て。待ってくれ」

ユリ「ん?なあに、お兄ちゃん」

リョウ「いや、確かに気は感覚的なものだし言葉にするのは難しいが、感覚的にも程があるだろ。誰がわかるんだその説明で」

ユリ「私は普段その感覚でやってるよ」

リョウ「……」

リョウ「……あ~、みんな。気を充実させたら、まず丹田に気を込めてだな」

拓海「タンデム?」

加蓮「気を込めるって?」

リョウ「丹田だ。タンデムじゃない。気を込めるってのは充実した気合を集中させて……」

リョウ「……いや、そもそもその集中させるのだってコントロールだもんな……なんて言えば……」

リョウ「……こう、内の中の熱いものを……グッっと……」
ハッ

ユリ「ね?そうなるでしょ?」

リョウ(なんてこった……確かに空手の指導はやってても気の指導はやってない……!そもそも道場で教えているのは護身術程度が多いし、気功技は空手が身に着いてからだ……)


有香「はぁ、今日も結局コントロールには至りませんでしたね」

ユリ「まぁしょうがないよ!私も説明考えておくから!」

悠貴「ありがとうございましたっ!」

美波「おつかれさまでした」



リョウ「……有香、ちょっと待ってくれ。少し教えてほしいことがある」

有香「え?あたしですか?」



リョウ(……出来れば、頼りたくはなかったが……もう四の五の言ってられないな)

翌日
公園


リョウ「……よう。悪いな、学校帰りに」

ザッザッザッザ
香澄「……わざわざ呼び出して、やっと闘う気になったか、リョウ・サカザキ」

リョウ「まぁ聞いてくれ。俺の……というかあいつらに関わる話だ」

香澄「あいつら?事務所のみなさんのことか」



香澄「なるほど。そのLIVEでライバルに対抗するために、極限流の奥義を会得させる必要がある、と」

リョウ「ああ、で、そのためには気のコントロールが必須なわけだが、俺たちでは上手く教えられない」


香澄「……それで、私に気の指導をしろと?」

リョウ「ああ。藤堂流の気の扱いについては俺も承知している。それに、こと指導に関しては俺たちよりも藤堂流のほうが得手だと考えてる」

香澄「ふん、ずいぶんと都合のいい話だな。最終目標は我らが仇の流派、極限流の奥義なのにその土台作りを私に頼むなんて」

リョウ「勝手なのも都合のいい話なのも百も承知だ。だが……俺たちはどうしてもLIVEに間に合わせたい」

香澄「……断る。いくら有香ちゃんたちのためといっても、それが極限流に関わることならば私は受けるわけにはいかない」

リョウ「……藤堂の」

香澄「……もうわかってるだろう?」

リョウ「……」

香澄「私に言うことを聞かせたいなら……」
スッ

香澄「私と闘え、リョウ・サカザキ」

いったんここまで



コブシを交わして理解り合う
じつに格ゲーらしい展開だ

(これはアイドルマスターシンデレラガールズのSSですww)

公園から避けた虎煌拳が飛び交い通行人や車に致命的な被害が…

格ゲーステージにそんな心配はいらないよ

そんなんが怖くて格ゲーキャラが務まるかってんだ!むしろオーバーにブレイクする気でドーンと行けい!


格ゲー世界では巻き添えに吹き飛ばされたら箔が付くとくらい考えられてそう

つまり、筋骨隆々の日焼けで真っ黒な金髪オレンジスーツと、セーラー服のロングヘアー女子高生が公園で対峙している図な訳だな?

警察呼ばなきゃ……(使命感)

香澄「気の教え方は私にも分からん…」

2002umの香澄だったら逆にリョウの心配をするレベルなんだよなぁ

いったんここまで

まちがえた

リョウ「……おいおい、本気か?お前、制服だろう」

香澄「お前もスーツだろう、関係ない」

香澄「お前が闘わないというならこの話はここまでだ。他を当たれ」

リョウ「……頼んでるのは俺の方だからな……仕方ないか……」
スッ

香澄「やっとその気になったか。……お覚悟、よろしいな」

リョウ「……」


香澄「……てやっ!」
ビッ

リョウ「ふっ」
バッ

香澄「はっ!てやあ!」
ガッ

リョウ「くっ……うわ!」
ガッシ

リョウ(基本に忠実な当身の連打……だが、鋭い!)

リョウ「ちっ……破ァ!」
ブオ

香澄「……はっ!」
ガシ

リョウ「!?」

香澄「たああ!」
ブン

リョウ「ぐっ!」
ドサァ

リョウ(あえて攻撃を受けてから、投げた……!これがあいつの古武術の、合気の真骨頂か……!)

リョウ「やるな、藤堂の……この2年で腕を上げた」

香澄「当然だ……!すべてはリョウ・サカザキ、お前に勝つために!」


香澄「食らえ!藤堂流、重ね当て!」
ズ

香澄「いやぁーっ!」
ズバッ

リョウ「うおおお!」
ズン

リョウ(……強烈!)

香澄(さすがに気の防御は確かか……!)

香澄(ならば!もう一度!)
ズズ

リョウ「ちっ……とりゃあ!」
ガシッ
ブン

香澄「うわっ!」
ドサァ

香澄(くっ、投げで間合いを取られた……!気の飛び道具が……!)

リョウ「……」
フー

香澄(……来ない……)


香澄「……リョウ・サカザキ。何故本気で来ない?」

リョウ「……なに?」

香澄「極限流の神髄は気功の技だろう、なぜさっきから気功を……いや、技を使ってこない?」

リョウ「……!」

香澄「……よもや、私を、藤堂流を愚弄しているのか!」

リョウ「……いや……」

香澄「おのれ!どこまで私たちを侮るのだ!許せん!」
ダッ

リョウ「!」

香澄「超……!」

香澄「重ね当て!」
ズズズン

リョウ「うおああああ!」
ズシャア



香澄「はぁ、はぁ……」

香澄「……思えば、2年前のグラスヒル・バレーでもそうだった」

香澄「サカザキ!なぜ私と本気で闘わない!」

香澄「一体何を考えているのか知らないが……私が今まで一度でもお前に手を抜いてくれ、負けてくれなどと頼んだことがあったか!」


リョウ「……元はと言えば、お前の親父が失踪しちまったのは俺と闘ったせいだ」

リョウ「そんな俺が、お前に本気の拳を向けるなんてことが……」

香澄「!!」

香澄「いい加減にしろ!お前は、父様を破ったのだろう!?」

香澄「その父様を破った男がこの有様で、今もきっとどこかでお前を打倒するために修行をしている父様に無礼だとは思わないのか!」

リョウ「……!」

香澄「こんな男を私は2年待ち続けたのか……!」

香澄「もういい!これで止めだ!超!」
ズズズ

リョウ「……」

香澄「重ね当て!」
ズババ

リョウ「!」
ダン

香澄「!?」

香澄(跳んだ!?)

香澄(跳び蹴りか!ならば、殺掌陰蹴で!)
バッ

リョウ「……虎煌拳!」
ドン

香澄「ああっ!」
ズドン

香澄「そんな……!空中から気を……!?」



リョウ「……お前の言う通りだ、藤堂の」

リョウ「お前が2年前、藤堂の娘を名乗って俺の前に現れたとき、俺は内心気が気じゃなかった」

リョウ「それまで俺は何かを守るために力を振るってきたつもりだった。それは今も変わらない」

リョウ「だが、お前から藤堂の失踪を聞いて、そしてそれを追ってきたお前を見て、気づいちまった」

リョウ「俺も、他人の大切なものを奪っちまったんだって」

香澄「……」

リョウ「そう考えると、俺はお前と立ち合うのが怖くなっちまったんだろうな。当然本気なんか出せるわけがない」

リョウ「だが、お前はさっきお前が言った通り、俺に負けてくれなんて一言も言わない」

リョウ「それはお前が親父さんを、藤堂流を何より誇りに思ってるからだ」

リョウ「だったら、俺が本気で闘わないことが良いことなはずがない」

リョウ「ありがとよ、藤堂の……いや、香澄。おかげで目が覚めたぜ」

香澄「……!」

リョウ「そしてここからは、本気だ。今まで悪かったな」
スッ

リョウ「オラオラァ!」
クイクイッ

香澄「!」
キッ
香澄「望むところだ、リョウ・サカザキ!もっと本気で来い!」
ビシッ

リョウ「うおおおおお!」

香澄「はああああ!」




香澄「……はぁ、はぁ……」
フラッ

リョウ「……どうした、ここまでか?」

香澄(つ、強い……!これが極限流の、リョウ・サカザキの真の実力……!)

香澄(父様はこんなにも強い男と真っ向から挑んだのですね……!)

香澄(父様……香澄に最後の力を貸してください……!)

香澄「行くぞ……!リョウ・サカザキ……!」

香澄「超……!」
ズズズズ

リョウ(お、おお……限界まで気を重ねて……!)

香澄「重ね当て!!」
ズバババババ

リョウ(この威力……!やむを得ないか……!)

リョウ「覇王……!」
ゴゴゴゴ

リョウ「翔吼拳ーーー!!」
ズアッ

カッ
ドオオオン

香澄「ああーーーっ!!」
ドォ



リョウ「……!香澄!」
ダッ

香澄「……」

リョウ「香澄!大丈夫か!」
ガバッ

香澄「……うっ……くっ……」
ポロポロ

リョウ「……香澄」

香澄「み、見るな……!私の顔を、見るな……!」
ポロポロ

リョウ(重ね当てと衝突した分、いくらか翔吼拳の威力が殺されて大怪我にならずに済んだみたいだな)

リョウ「……最後の重ね当て、見事だった。思わず翔吼拳を撃っちまう程にな。威力、気迫、ともにお前の親父と遜色なかったよ」

香澄「……本当か?」

リョウ「ああ。あれを食らってたら俺がやばかった。見事だったよ」

香澄「……えへへ」
ニコ

リョウ(泣きながら笑って……ひどい顔だぜ)

リョウ(だけど、最高にいい顔だ)

香澄「……リョウ・サカザキ。今回は私の負けだ。負けた以上は、お前の言うことを聞く」

リョウ「……ってことは」

香澄「ああ。事務所のみなさんへの気の指導……私で良ければ引き受けよう」

リョウ「本当か!香澄!」

香澄「あ、ああ……この通りすぐには無理だが、傷が癒えたら指導をする」

リョウ「……すまん、恩に着るぜ」

香澄「……それで、その代わりと言ってはなんだが……聞いてくれるか」

リョウ「ああ、なんだ?できる限りのことはする」

香澄「私がお前に預けている鉢巻、まだ預かっていてくれ。そしてまた私が力を付けた時に……」

リョウ「ああ、何度だって相手をしてやるよ。お前と俺はもうライバルだもんな」

香澄「ライバル……」

香澄「……ふふっ」

リョウ「……どうした?」

香澄「……!」
ハッ

香澄「ず、図に乗るな極限流!お前がわ、私たち藤堂流の仇であることは変わらないんだからな!」

リョウ「……まぁそんだけ減らず口が叩けるなら心配ななさそうだな……ん?」

警察「はーいごめんなさいねーお取込み中」

リョウ「警察?なんのよ……」
ガチャン

警察「はい、15時32分。とりあえず傷害の現行犯で逮捕ね」

リョウ「……なあああ!?」

香澄「ええええ!?」

警察「いや、言い訳できないでしょ?お嬢さん、可哀想に……怖かったでしょ?そんな……服も……ビリビリに……」

香澄「え……ああ!?」

リョウ(さ、さっきの覇王翔吼拳で香澄の制服がボロボロに!気づかなかった!)

香澄「う、うぅ……」///
カーッ

香澄「うわ、うわああああ!!」
ダダダダダダ

リョウ「ええ!?か、香澄!!ど、どこにそんな走っていく元気が!?」

警察「まぁとりあえずアンタは警察署まで行くぞ。もしもし、パトカー一台手配されたし……」

藤堂家

香澄「はぁ、はぁ……だめだ、もうお嫁にいけない……」

志津子「香澄、やっと帰ったのですか、生け花の稽古の時間はとっくに……!」

志津子「な、なんて恰好ですかそれは!一体何をしでかしてきたのです!」

香澄「か、母様!?い、いえ!これには深いわけが……!」

志津子「香澄!!」

香澄「ひいいい!」


事務所

リョウ「……というわけで、藤堂の母上が香澄を連れて警察署まで来てくれなかったら、俺はもう完全に犯罪者だった」

ロバート「いやもう本当に堪忍してくれや……ここでお前が逮捕されとったら全部おしまいやでホンマ……なぜ公園で……」

リョウ「いや、しょうがないだろう……あっちが闘わなきゃ断るってんだから……」

ロバート「……ほんで、今度からは藤堂の娘が気のコントロールのレッスンを見てくれるってことでええんか?」

リョウ「ああ。なんでも藤堂流では門下生の気の指導は行ってたみたいで、香澄も実際に指導していたらしい。これでうまくいけば次の段階に入れる」

ロバート「そうか……まぁでもLIVEまで残り1か月半……残り期間も少なくなってきた。こっから先は時間との勝負や」

リョウ「ああ、曲の方ももうすぐ完成する……いよいよ大詰めだ……!」

今日はここまで

あぶねーw
社会的に終わる所だったw


まさかの警察エンドにならなくて本当によかったww

この警察おっぱい大きいひとじゃないかしら

スーツと制服で戦うグラが見たくなる

もしバトルを目撃してたら、リョウ達に捜査協力依頼来てたろうな…
仲間アイドルの中にフラグ立ちそうなメンバーいるしなwww

やはり香澄はカワイイ

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード



ギース「……!」
タタタン

ダンサー「ば、馬鹿な……!」

ダンサー(私のところに『ダンスを教えてほしい』と言ってこの男が現れたのがわずかひと月前……)

ダンサー(もともと才能はあるように感じた……それにこの男、どこで鍛えたか知らないが、動きに凄まじいキレがある……)

ダンサー(そう思ったから指導してやることにした……だが)

ダンサー(この男は別に私の指導を受けるわけでもなく、ただ私が見せた動きを完全に吸収していった……!)

ギース「さて先生……これで先生が私に今まで見せてくれた動きはマスターさせて頂いたわけだが……他にまだお見せ頂いてないステップなどはありますかな?」

ダンサー「……」

ギース「……どうやらなさそうですな」

ギース「では、最後に私のダンスを見ていただけますかな?」



ギース「……!」
ザッザッザ
ズパッ

ダンサー「……!」

ダンサー(難易度の高いステップやターンを当然のように連続で組み込み……!)

ダンサー(さらにあって私のものより精度を高め、自己流にアレンジを……!)

ギース「……これが、今現在の私の実力です」

ダンサー「ばかな……ありえない……わたしは……いったい……」
ブツブツ

ギース「……心を折られたか。ならばもう貴方に用はない。ダンスの技術、確かに私が頂いた」
ザッ



ギース(さて、これでダンスは私が指導できるくらいにはなっただろう……後は歌の方だな)

ギース(こちらも私が指導出来るくらいになれば良いのは良いが……また全て私がやるのも効率的ではないか)

ギース(どこかに良い人材はいないものか……)

ギース「ふむ、こういう時は実際に見に行くべきだな」

音楽スタジオ

ギース「……」
スタスタ

???「……」
スタスタ

ギース(む……?)


???「……!」

ギース「……」

???「……」
スタスタ

ギース「……」

ギース(今の女……動作に全く無駄がない……)

ギース(……刺客か?)

???「やあ、ちょっとスタジオを借りてもいいかな?歌いたいんだ」

スタッフ「あっ木場さん、お疲れさまでーす!どうぞ使ってください」

ギース「……歌?」

真奈美「~♪」

ギース(……!)



ガチャ

真奈美「ふぅ、こんなもんか……」

パチパチパチ
ギース「驚いた。どこぞの刺客かとも思ったが、歌が本業だったとはな」

真奈美「……おや、アンタはさっきの……廊下ですれ違った」

真奈美「私の自意識過剰じゃなければさっきは妙に鋭い眼で私を見ていたようだが……私に何か?」

ギース「ああ、先ほどは無礼を働いた。こういう者だ」
スッ

真奈美「ああ、ご丁寧に……!」

真奈美「ギース・ハワード……!?」

ギース「おや、私の事をご存知かね」

真奈美「……これでもこないだまで3年間、アメリカに歌の勉強に行っていてね。アンタはここ2年間は表舞台に出てこなかったが、まさか日本に来ていたとはな」

ギース「2年……ああ、私がキング・オブ・ザ・ファイターズを開いたのが約2年前だったな」

真奈美「あちらに友人がいてね。彼女からその大会のとんでもない内容も、主催者の名前も聞いてるよ」

真奈美「それで、血生臭い格闘大会を開いた青年実業家のアンタが、何の用かな」

ギース「やれやれ、私の第一印象は最悪だな……それに、名刺に書いてあるだろう、私は今アイドル事務所をやっている」

真奈美「……それも冗談にしか聞こえないがね」

ギース「事実だ。……それで、今私のプロダクションでボーカルトレーナーを探していた」

真奈美「……悪いが今はもう交渉中の事務所があってね。ボーカルトレーナーだったら他を当たってくれないか」

ギース「いや、そんな些末事はどうでもいい。君、名前はなんという?」

真奈美「木場……真奈美だが」



ギース「そうか。ではマナミ、私のプロダクションのアイドルになれ」

真奈美「……なんだって?」

ギース「先ほどお前は『ボーカルトレーナー』として交渉中の事務所があると言ったな?だがら私は『アイドル』としてお前をスカウトしているのだ」

真奈美「……おいおい、アイドルをさせるなら私じゃなくても良いだろう?アイドル業界というのは人材不足なのか?」

ギース「そうだな、アメリカで磨かれた歌唱力、日々の鍛錬で鍛えているのであろう身体能力、そしてその精悍な顔立ち……これに勝る人材の数というのであれば、不足していると言わざるを得んな」

真奈美「……えらく褒めてくれるじゃないか」

ギース「私は世辞など言わん。客観的事実を述べているだけだ」

真奈美「……だが、私がアイドルなど……」

ギース「……マナミよ。お前の能力は裏方のそれではない。自らが表舞台に立ち、そして称賛されて然るべき能力だ」

真奈美「……!」


ギース「お前は一体なんのためにアメリカで歌唱力を磨いてきた?自己満足の為か?他人に指導するためか?」

ギース「違うだろう。自らの歌を、他者に認めさせる為だろう」

ギース「私はその場を設けてやろうというのだ。アイドルとしてのな」

真奈美「……少し、考えさせてくれ」

ギース「良かろう。だが、3日だ。それ以上は待たん。その気になったらその名刺の連絡先に掛けてこい」




真奈美(……)

真奈美(裏方の仕事が嫌なわけではないし、劣っているとも思わない)

真奈美(指導もプロの仕事だ。喜びもある)

真奈美(だが……私は元々、人を喜ばせるために歌い始めたのではなかったか?)

真奈美(本当は私は、舞台に立って大勢の人に自分の歌を届けたい……そう思っていたはずじゃなかったか?)

真奈美(しかし、先に交渉している事務所……あそこには大きな不義理を働いてしまう……ボーカルトレーナーとして熱心に私を誘ってくれた)

真奈美「……私は……」

事務所
ガチャ
ギース「……私だ」

レナ「あ、ハワードさん。戻ったのね」

ギース「ああ、当初の目的は果たしたからな。私がいない間、何か変わったことはなかったか?」

レナ「そうだ、ちょっと貴方、連絡がつかなくなるならちゃんと私以外の娘たちにも伝えておいてよ。あのつかさって娘が連絡がつかない、どうなってるんだって私のところ……っていうかこの事務所に怒鳴り込んできたんだから」

ギース「別に問題ないだろう。君が対処すれば済む話だ」

レナ「……ちょっと、私はアイドルのスカウトは受けたけど、貴方の秘書になった覚えはないわよ」

ギース「お前も私のところのアイドルならば、秘書くらい同時にこなして見せろ」


レナ「……貴方、碌な死に方しないわよ」

ギース「フン……」

レナ「ところでこのひと月、なにしに行っていたの?スカウト?」

ギース「色々とだ。そういえば今日が期限だったな」

レナ「期限?一体何の……」
プルルルル

レナ「あ、電話……はい、覇我亜怒プロダクションですが……え?はい、社長なら丁度いま……はい、少々お待ちください」

レナ「……貴方に電話よ。木場さんって女性の方、スカウトの件だって」

ギース「うむ、私のいない間に多少仕事を覚えたようだな」

レナ「……」
イラッ

ギース「私だ。マナミか?」

真奈美「木場真奈美だ。よろしく頼む」

レナ「よろしく、木場さん」

ギース「やはり舞台に立つことを選んだか。それで良い」

真奈美「……あんたの思い通りになるのは少々癪だが……私を評価してくれて嬉しかったのは事実だ。プロとして、仕事には全力を尽くさせてもらう」

ギース「ああ、それとマナミ、お前にはこのプロダクションのボーカルトレーナーも同時に努めてもらう」

真奈美「……おいおい、アイドルとしてのスカウトじゃなかったのか?」

ギース「出来ることはなんでもやってもらうというのが私の方針だ。もちろん、無理だというのなら外部から招聘するが?」

真奈美「……いや、やらせてもらおう。そういう言い方をされるとな……しかし、釈然としないものはあるが……」

レナ「こういう奴よ。これから気を付けていきましょう」

ギース(これでメンバーは4人……あと一人、欲しいところだが、私の眼に適う者は見つかるかな?)



外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
木場真奈美 スカウト編

終わり

今日はここまで

>>>ギース(今の女……動作に全く無駄がない……)

>>>ギース(……刺客か?)



クソワロタ まあ木場さんは身長が172cmとタッパあるし
学生駅伝くらいのペースでランニングしてケロッとしてるし
普通じゃないのは確かだけどさ

後は……茄子(ギースはナス呼びしてたが)ちゃんか

NEOWAVEギースのドゥアーの謎の強さはダンスをやっていたからだった…?

ジェフ「ギースはダンスやってるからな」

殺陣は剣道ではなくて日舞だって言うし、時代劇小説だと能や猿楽の足運びが剣術と共通だったりするしな

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード


事務所

ギース「……」

ギース(……マナミが加入してついにレッスンが行えるようになったは良いが……あれから私が欲しいと思えるメンバーが見つからん)

ギース(別に無理をしてメンバーを加え入れるつもりは毛頭ないが……当初の私の構想である5人組グループは考え直さねばならんか)

つかさ「お、ボス。なんか思案事か?」

ギース「ツカサか……今日のレッスンはもう終わりか」

つかさ「ああ、真奈美さんの分はな……今日はアンタはダンスの指導はやらねえの?」

ギース「今日はな……ふむ……」

つかさ「いつも全て思い通りだ、みたいな顔してるボスが珍しく煮詰まってそうじゃん」

ギース「……そう見えるか」

つかさ「見えるっての。まぁ煮詰まってんならさ、旅行っていうか、気分転換にでも行ってみたら良いんじゃね?環境を変えたら案外すっと問題が解決することもあんだろ」

ギース「……フッ、やはり社長をしているだけはあるな。私に仕事の方で提案をしてくるのはお前くらいだ」

つかさ「提案じゃなくて助言だっつの……ったく。お前、なんか趣味とかねえの?ぬか漬けとか」

ギース「趣味か……今は私の興味はこのアイドルプロデュースに全て注がれているな」

つかさ「それじゃあ行ってみたいところとかは?」


ギース「……そういえば、この国の文化はなかなか素晴らしいな。寺や神社、城……そういったものは非常に好ましく感じる」

つかさ「……渋いな……ならそういうものを見に行って来れば。1週間ありゃ目ぼしいところは見て回れるんじゃね?」

ギース「ふむ……まぁその間はお前たちはボーカルレッスンと自主トレをやっててもらうか……」

つかさ「ああ、しっかりリフレッシュするのも大事な仕事だしな」

ギース(私も少々疲れているらしい。ツカサの案を聞いてみるか……)

小田原城

ギース「ほう……これが天守閣からの眺めというわけか……悪くない……」

ギース「ハッハッハッハッハ!!」

客「……!?」
ザワザワ

ギース「屏風……甲冑……素晴らしい……いずれ私が自分の城を持てばこれらを大量に仕入れよう」

日光東照宮

ギース「おお……!和風建築物がこれほどに……!素晴らしい……!」

ギース「巨大な鳥居だ……これを作るのに一体どれほどの犠牲を出したのだろうな……!」


ギース「なんという数の彫刻だ……!この仕事は正気の沙汰ではあるまい」

東大寺

ギース「ふむ……鹿がその当たりをうろついているな……フンッ、餌をねだるなど、野生の獣の本分にそぐわん、欲しくば奪って見せるがいい!この鹿せんべいをな!」

ギース「……この2体の鬼神……吽形、阿形……金剛力士像か……」

ギース「なんとも力強い……金剛不壊、か……」

ギース「……これが、大仏というやつか……巨大だな……」

ギース「確かに圧倒的だが……表情に覇気が感じられん。悟っているかのような……」

ギース「それならば、私は先ほどの金剛力士像の方が好みに合っているな。まさにあれこそ鬼、修羅の闘気よ」

島根

ギース(さて……ここでは数多くのこの国の神がいると言われている出雲大社が有名らしい)

ギース(最も、私は神など信じてはいないが)


ギース「……どうなっている。歩いても歩いても目的地が見えてこない……人も全くいない」

ギース(……どうやら道を間違ってしまったらしいな。何処だここは)

ギース(……仕方ない、引き返すか。旅の期間も今日までだ)

ザッザッザッザ

ギース「……ム?行きにこんな神社などあったか?」

ギース(……だが丁度いい、せっかくこんなところまで来て何も見ずに帰るのも癪だ。出雲大社の変わりには到底ならんだろうが、少し見ていくか)

神社

ギース(……ずいぶん寂れた神社だな。人の気配も無い)

ギース(……特に見るべき物もなさそうだな、とんだ無駄足……む?)

???「……」

ギース(……女?)

???「……あら?珍しいですね、人と会えるなんて」

ギース「……女、いつからそこにいた?」

???「はい?私は前からここにいましたよ~?」

ギース「……」

ギース(なんだ?この女……)

???「あの、ご参拝に来られたんですか?それでしたら、こちらに……」

ギース「ふん、私は神になど興味はない。何か視覚的に面白いものが無いか見に来ただけだ」

???「あ、そうなんですか~……それなら、見て面白いものはあまり無いかもしれませんね……」

ギース「……だが、お前には今少々興味がある。私はこういうものだ」
ピッ

茄子「あっ、お名刺、どうも……ギース・ハワードさん、芸能事務所のプロデューサーさんですか。私は鷹富士茄子と申します」

ギース「タカフジ……カコ?今まで私が聞いた日本人の名では異質だな……どういう字を書くんだ」

茄子「え?字ですか?こういう風に……」
サラサラ

ギース「……この下の字は確かナスと読むのではなかったか?」

茄子「もう、ナスじゃなくてカコですよ~!それはそうとハワードさん、せっかく神社に来られたのですから、ご一緒におみくじ引きませんか~?」

ギース「オミクジ?」

茄子「ご存じありませんか?おみくじは、吉凶を占うために引くくじで、まぁ運試しみたいなものなんですよ~」


ギース「……いいだろう」

茄子「それでしたら私から引いて見せますね」

茄子「この木の箱を振って、出た木の棒に書いてある番号の引き出しから一枚おみくじを引くんです」
ガシャガシャ

茄子「7番……あ!見てください!大吉です!一番良い結果ですよ!」

茄子「ふむふむ……待人来る……」

ギース「……」

茄子「さあ、貴方も引いてみてください!大丈夫!きっといい結果が出ますよ」

ギース「……」
ガシャガシャ

茄子「はい、1番ですね……これです、どうぞ開けてみてください」

ギース「……」
ピラ

茄子「……わっ、大吉ですよ~!一番いい結果ですね、おめでとうございます!貴方も強運の持ち主なんですね♪」

茄子「内容はなんと書いてありましたか?もし見かたがわからなければ私が読んであげますよ……えっと、待人来る……あら?」

茄子(争事……勝てども後に恨みあり……?)

ギース「……くだらん」

茄子「え?」

ギース「先ほどから黙って聞いていれば……こんな紙切れの結果が良かろうが悪かろうが、一体どうしたというのだ」

ギース「運、などというモノは存在しない。人の運命を決めるのは本人の意思、能力がすべてだ。決してこのようなくだらん紙切れに左右されるようなものではない」

茄子「あ、あの、ごめんなさい、お気に障ってしまいましたか……?」

ギース「フンッ……装いや建築物の文化は私好みだが、この迷信めいた精神的信仰は私には受け入れられんな。縁?運?馬鹿馬鹿しい、目に見えぬ不確定要素を盲信して縛られるなど、愚者そのものだ」

茄子「……!」


ギース「それよりもナス、アイドルになる気はないか?お前のそのルックス、そしてその妙な神秘性……十分な素質を……」

茄子「……待ってください」

ギース「……なに?」

茄子「確かに貴方の言う通り、すべての物事の決め手は最後は自分自身かもしれません」

茄子「ですけど、人と人との縁……それらを全て否定することは、出来ないと思います」

ギース「……ほう?では、お前は目に見えぬ、証明することも出来ぬものに価値があるというのか?」

茄子「はい。今だって、私とあなたはこうして出会えたじゃないですか。これだって、縁です」

ギース「……面白い。では、どうする?」

茄子「……あなたはアイドル事務所をやっているんでしょう?なら私にお手伝いをさせてください。あなたにきっと、この縁を良いものだったと思わせてみせます」

茄子「そして、もしあなたがそう思ったなら、考え直してください。人同士の絆の大切さを……」


ギース「フンッ、私はお前がアイドルをやるというならば別にどうでもいい。……だが、そうだな」

ギース「お前が、アイドルとして少しでも私の心を動かせたなら、考え直そう。その目に見えない、縁とやらを少しは信じてやる」



ギース(フフフ、この女、やや得体が知れんがアイドルとしては十分すぎる素質を感じる……やはりたまには遠出をしてみるものだな)

レナ「……それで、自分からアイドルになりたいって?」

茄子「はい♪これからよろしくお願いしますね、皆さん♪」

真奈美「……見た目はおっとりとしているが、肝が据わっているというか、芯がしっかりしているというか……」

つかさ「まぁ理由はなんでもいいよ。要はアタシらはアイドルとしてのパフォーマンスをこなせるかどうかってとこだけだしな」

ギース「その通りだ。だが……私が各地を出向いてスカウトしてきた甲斐があった……」

ギース(そうだ、このメンバーは運や縁などという目に見えぬもので集まったのではない)

ギース(私が、私の眼で選び、連れてきたのだ)

ギース(ナスよ、お前にもじきにわかるだろう。純粋な力の前に、運などという言葉はあまりにも脆弱なのだと)

ギース(そしてナス……お前もその力を持っているのだとな)


外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
鷹富士茄子 スカウト編

終わり

今日はここまで

恨みを買うか、従えるかして、狼を増やしていく人だからなぁ、ギースは

おつです

日本の伝統を満喫するギース氏


なんのかんの言って買ってるんじゃねえか鹿せんべいww

このスレギースは「んんんんー、許る(ry」って言いそうと初めて思えた

後に復讐と言う敵討ちで同門の弟子に滅ぼされるからなギース…少し未来の話だけど

社長、「煮詰まる」の使い方が間違ってますよ

ギース様ウッキウキで草 このあと骨董趣味に目覚めてしまうんだな

普段クールなヤツがテンション高い時ほど笑えるものはないw

天才だけど人間臭過ぎるのがギース様の魅力の一つだなあ。…というか天才キャラなのに技の一つ一つにエピソード無駄に
有るせいで良い意味で泥臭い御方でも有る。影の努力家というかツンデレ(殺意)というか

こう見るとジェフに憧れと嫉妬持ってたのかもなギース
と言うかわざわざ全員スカウトするギースも律儀と言うより対抗心かもな



リョウ「よし、みんな集まったな」

拓海「なんだよ、今日は気のレッスン日だろ?」

リョウ「ああ、それでコロコロ変わって申し訳ないんだが、今日からまた別の奴に講師を頼んである」

美波「えっ、ユリさんじゃないんですか?」

ユリ「うん、私も一緒に参加するけど、ちょっと私じゃあこれ以上教えられそうにないしね……」

加蓮「坂崎さんでもユリさんでもないとしたら……社長?」

リョウ「いや、違う。おーい、入ってきてくれ!」

スタスタ

香澄「……どうも」

拓海「香澄!?」

有香「香澄ちゃん!」

リョウ「ああ、今回からは香澄に講師を頼んだ。気の指導に関しては確実に俺たちよりわかりやすくやってくれるはずだ」

ユリ(……あれ?お兄ちゃん、香澄ちゃんを名前で呼んでたっけ)

リョウ「というわけで、頼むぞ香澄」

香澄「……」
プイッ

有香(……坂崎さんにそっけないのは前からですけど……)

美波(……何か……以前と雰囲気が違うような……)

香澄(うう……あんなはしたない恰好を見られて……顔が見れない……)

香澄「……コホン。では、僭越ながらこの藤堂流、藤堂香澄が皆さんの気のコントロールについての指導を務めさせて頂きます」

悠貴「よろしくお願いしますっ!」

香澄「あ、はい、よろしくお願いします」

香澄「聞けば皆さんは既に気を身体に溜める事は出来るとの事ですが……」

拓海「ああ、気合を入れたらなんとなく身体に気力が漲ってる……ぽい感じはわかるんだけどよ、その溜まった気合を身体のどこそこに……ってのがわかんねぇんだよな」

香澄「ふむふむ……あと、皆さんは平行してダンスをとにかく繰り返し練習しているとか」

美波「うん。基礎的な動作ではあるけど、とにかく身体に染み込ませる為に、反復練習をしてるよ」

加蓮「お陰で最近はもう毎日筋肉痛みたいな感じだよね……初めに比べれば体力もまた付いてきたと思うけど……」

香澄「……その反復練習を始めてもう一月半くらいでしたね?それでしたら皆さん、それぞれ一番得意な動きが出来ているのではないですか?」

悠貴「……確かに、一番自信があるというか、好きな動きはありますっ」

拓海「個人的に一番気合が入るステップはあるな」

香澄「それです。気が充実した時に最も得意な技を繰り出せば、自ずと気が乗る可能性が高まる。そしてそれを繰り返し、『動きに気が乗る』という感覚を掴めば、気のコントロールは成ったも同然です」

リョウ「なるほど……だが、みんなは前日にそれこそ倒れるまでのダンス特訓をこなしてる……身体は、動くか?」

加蓮「やるよ。やる。もうそんなこと言ってられる段階じゃないしね」

有香「もうここまで来たら根性です!」

リョウ「……そうか」

香澄「それじゃあ皆さん、気合を溜めてください。そこから、ぞれぞれ一番得意なステップや動きを、出来るだけ気持ちを込めて行ってください」


ガチャ
ロバート「リョウ、ちょっとええか?」

リョウ「どうした?」

ロバート「曲……届いたで」

リョウ「なに?わかった、行こう。香澄、頼んだぜ」

香澄「……わかってる」



リョウ「……激しい曲だな」

ロバート「いうて乱舞用の曲やからな、そうならざるを得ん」

キング「構成としては終盤までは激しくいって、最後のラスサビあたりから乱舞演技……ってことだね」

リョウ「ああ、体力的にそのあたりで限界を迎えるような構成になってる。乱舞は追い込まれないと発動しないからな」

ロバート「ただ、体力的に追い込まれるだけでなく、逆に気力は限界まで充実してないとアカン……こら難儀やなぁ、わかっとったけど」

リョウ「キング、明日からはこの曲のダンス指導に移ってくれ。これを繰り返し練習してれば、自ずと体力も追い込まれるはずだ」

キング「ああ。で、気のレッスンの方はどうなんだい?」

リョウ「ああ、香澄がやってくれてるはずだ。見に行ってみるか」



美波「はぁっ!」
タタン

有香「覇っ!」
ダン

悠貴「それっ!」
スパッ

リョウ「……!」

リョウ(驚いた……!個人差はあるが、みんな気が乗っている……!)

ロバート「おお……!」

香澄「……どうですか皆さん?気が込められている感覚はわかりますか?」

加蓮「……なんだかステップしてる間、足がじんわりあったかいような……」

有香「……あたしははっきり『熱い』と感じます」

拓海「そうだな、アタシもけっこう熱いって感じたぜ」

香澄「その辺りは個人差があるようですが、先ほど見た感じでは皆さん、気が乗っていました」

悠貴「ほ、ほんとですかっ!?」

美波「この暖かさが……気……」

香澄「はい。そして、気を込めたステップやターン……何も込めてない時と比べると、かなり疲れたと思います」

拓海「確かに……こりゃ連日の疲れとは別もんだぜ……」

香澄「それは気力を消費したからです。気力の消費は体力の消費とはまた別のもの……精神的な疲れとでも言いましょうか」

香澄「気を伴った動きは何をするにしても気力を使うものです」

リョウ「その通りだ。そして乱舞を使うにはこの気力を充実させていなければならない」

加蓮「坂崎さん」

リョウ「この短期間での気の習得、見事だ。お前たち、本当に頑張ってくれたんだな」

拓海「おいおい、まだ肝心の乱舞が成功したわけじゃねえだろ……」

リョウ「それでも、本当に凄いことなんだこれは。ウチの道場で気を使える門下生も数えるくらいしかいない」

リョウ「……でも、そうだな。乱舞だったな。乱舞は身体は極限まで追い詰められて、しかし気力は極限まで充実して初めて条件が揃う」

リョウ「ヘロヘロの身体を、気力が動かす。そんなイメージだ」

リョウ「お前たちは連日の特訓で、自分たちの身体の限界を知ったはずだ。残りの乱舞会得のカギは、気力」

リョウ「あと、さっき今度のLIVE用の曲が届いた。明日からは、ダンスレッスンはこれの完成に向けて切り替える」

美波「曲が……!」

リョウ「あともう少しだ……あともう少し、俺たちについてきてくれ」

悠貴「はいっ!」

拓海「ったりめーだ!」

ハンバーガーショップ

加蓮「……それにしても、本当に私たち、気なんてものを使ったんだね……なんか信じられないかも」

拓海「普通に生きてる分にはおおよそ関わりがねぇだろうからな……」

加蓮「ホント、アイドルになってからは信じられないことばっかりだよ……もちろんいい意味でね」
モグモグ

拓海「ほんとお前ポテト好きだな……」

加蓮「いいの、これが私の元気の源……あれ?」

拓海「どした?」

加蓮「あそこに座ってるの、Reppuの娘じゃない?」

拓海「……なに?」
クルッ



つかさ「つまりさ、これをアタシらがやれば絶対バズると思うんだよ」

志希「うんうん、バズるバズるー♪」
モグモグ

つかさ「ちゃんと聞いてるか!?」




拓海「……いい所で会えたもんだぜ。きっちり話、つけなきゃな」
ガタッ

今日はここまで


拓海さんが話をつけるというとケンカというイメージがどうしてもチラつくのはなぜだろう

乙!
さて、気になる曲の名前は

作者さんもしかしてスポーツのゾーンとかフロー状態とか、もしくは音ゲーの覚醒に造詣がある?

加蓮「拓海?……ちょっと、喧嘩はやめてよね」

拓海「ちげーっての!」




拓海「よう、邪魔するぜ」

つかさ「……ん?アンタ、確か極限drea娘の向井拓海か」

拓海「……思ったより覚えてんだな、アタシらの事。もう忘れられてんのかと思ったぜ」

つかさ「前共演したことがあって、また今度共演する予定がある同業者の顔くらい覚えてるっつーの。馬鹿にすんなよ?」

志希「そうそう。一度嗅いだ良い匂いはそうそう忘れないよー?あっちの、加蓮ちゃんもね」

加蓮「!?」

加蓮(うそ……私そんなに体臭きついの……!?)

つかさ「それより、何か用か?別に和気あいあいと談笑する仲でもないだろ?」

拓海「つれねえなオイ……まぁいいや。ちょっとこっちから提案があるんだよ。今度のLIVE……QOIの事でさ」

つかさ「……へえ?」






つかさ「……まぁまぁ面白い提案だけど、そりゃアンタの案か?」

拓海「んにゃ、美城のニュージェネレーションズの奴からだよ。本当はそいつがお前らに直接提案したかったらしいけど、お前ら最近全然番組とかに出てこねぇから共演の機会がないからって事で共演歴があるアタシが代わりに頼まれた」

つかさ「ふーん……まぁいいや、一回ウチのボスに話を通して……」

拓海「あー、それなんだけどよ、この件は内密のうちに進められねぇか?プロデューサー連中も含めてサプライズって事でさ」

つかさ「……そりゃいくらなんでも無謀なんじゃね?QOIはウチのボスの主催で開催すんのにそのボスに内密でやるのは筋が通らなくね」

拓海「別に何もLIVEをめちゃくちゃにしようってんじゃねえ、ファンサービスの一環みたいなもんなんだしさ、なんとかなんねえか?こんな機会もう今後二度とないかもしれないだろ?」

志希「うんうん、良いんじゃないの♪」

つかさ「……確かにウチの事務所のアイドルにも反対する奴はいないと思うけどな……まぁいいや。じゃあ他のメンバーには伝えといてやるよ」

つかさ「それと、コレはアタシの個人アドレス。必要なデータとかはこれに送れよ」

加蓮「あ、じゃあそれは私がやるよ。拓海あんまりメールとかわかんないでしょ」

拓海「……」

つかさ「じゃあそろそろアタシらは行くわ……けど、忘れんなよ。今度のLIVEも一番のパフォーマンスをするのはアタシたちReppuだからな」

拓海「……へっ、言ってろ。目にもの見せてやるぜ」



加蓮「……とりあえず、なんとか乱舞を完成させないと目にもの見せられないね」

拓海「わかってるっつーの。明日からはいよいよ本番曲のレッスンだろ!このまま完成まで突っ走ってやるぜ」

翌日
キング「さて、昨日リョウからあったように、今日からは本番用の曲の完成を目指していく。これまたキツイ曲だが、あくまでこの曲の根幹は乱舞だからね……まずは振付を覚えるんだ」

悠貴「はいっ!」



拓海「……ハードだなこれは」

有香「ですけど、後半部分の何も振付が設定されてない部分……そこが……」

キング「ああ、肝心の部分さ。この当たりからはあんた達はもう乱舞に入って、自分たちの本能に従ったダンスをしている……予定さ」

キング「ま、とにかくLIVEはもう少しだ!気合いを入れな!」




香澄「集中力を切らしてはいけません!気力を十全に、全身に満ちるような感覚を!」

美波「……!」

悠貴「えいっ……!」

拓海「うおおお!身体が熱いぜ!」



ギース「……完成だな。Reppuよ、良くやった」

レナ「はぁ、はぁ……ようやく、お墨付きを貰えたわね……」

志希「……今回の曲はさすがに難しかったねー!」

真奈美「全く……無茶をさせるな、私たちのボスは」

ギース「お前たちなら出来ると思ったからやらせたのだ。そして事実、お前たちは完成させた。あとはこれをQOIでやればお前たちの勝利は揺るぎない」

茄子「……でも私たちが本当にほしいのは勝利じゃなくて、ファンの皆さんや見てくれる人たちの感動ですよ」

ギース「心配するな、これを見て魂が打ち震えぬ者はいないだろう」

茄子「それは貴方も、ですか?」

ギース「フン、どうかな。それは本番でのお前たちの出来次第だ」

茄子「……」

ギース「ハッハッハッハ!待ち遠しいなQOI!いや、我らがアイドル界のトップに立つ日が!」




リョウ「……みんな、集まったな」

美波「はい、5人、集まりました」

拓海「……おいおい、キングさんも香澄も、みんな集まってんじゃねえか。何事だよ」

リョウ「……ここ3か月、みんな本当によく頑張ってくれている。キングからも、香澄からもいい報告を聞いてるよ」

悠貴「ほ、本当ですかっ?えへへっ」

リョウ「……だが、本番まで残りは一週間だ。というわけで、ここいらで一つ仕上げに入りたい」

加蓮「……っていうことは」

リョウ「ああ。お前たちがこの段階で乱舞に至ったかどうか、確認をしたい」

リョウ「今から本番の時と同じように曲を通しでやってもらう。その中で乱舞が発動するかどうか……みせてもらう」

美波「……リハーサル、ですね」

リョウ「ああ。キングと香澄、トレーナーさんにも一緒に見てもらって、曲と気……両方の完成度を測る」

リョウ「準備ができたら、始めてくれ」


美波(……振付は、もう何度も練習した。確かにハードなダンスだけど……)
タッタン

有香(この辺りはもう……モノにしています!)
タッタッタ

加蓮(……あとは気力を霧散させないように)
スパッ

悠貴(だけど、ダンスは全力で……!)
タン

拓海(乱舞に、入ってやる!!)
ダン

美波「はぁ……はぁ……」

拓海「……クソ……なんで……」

有香「……」

悠貴「……乱舞に……入れませんっ……!」

リョウ「……いや、みんなご苦労さま。キングたちと少し話し合うから、今日はもう上がって身体を休めてくれ」

加蓮「……」

キング「……曲の完成度は十分だよ。最近の特訓のお陰でダンスのキレが本当に増してる」

香澄「気のコントロールも皆さんかなり上達しました。……今なら得意の動きならかなりの精度で気を乗せられる」

キング「……ただ」

香澄「ただ……」

リョウ「……乱舞には、未だ至らない……か」


ロバート「はぁ~……イケると思たんやけどな……」

キング「実際ダンスの方は乱舞部分以外ほぼ完璧だよ。この短期間でよくぞここまで仕上げたと思う」

香澄「……気の方も、皆さん最後まで集中を切らさず、乱舞パートまで持続させていました」

リョウ「何が足りない……って言っても最初から上手くいく保障はなかったんだが……俺の目から見ても乱舞発動の足りない要素が見当たらなかった……」


キング「ダンスや気は指導出来ても、乱舞に関しては私たちはわからない……リョウ、ロバート、わかるのはあんた達だけだよ」

リョウ「……ロバート、レッスンルームに来てくれ」

ロバート「……おう」

レッスンルーム


リョウ「……どう思う?ロバート」
ヒュッ

ロバート「どうもこうもあらへんがな……何が足りひんのやら」
ブン

リョウ「……乱舞発動に足りないもの……」
シュッ

ロバート「……」
パシッ

リョウ「……待てよ。そもそも、乱舞発動と言ってるが、俺もお前も、今まで自分が狙ったタイミングで乱舞を発動出来たことがあったか?」

ロバート「……ワイはワイラーとやった時やな……あの時もかなり追い込まれて、もうアカンってなった時に自然に……」

リョウ「それだ。俺はMr.KARATE……親父と闘った時、ギースと闘った時、そしてこの前のBIGと闘った時……いずれも発動しようと思って発動出来たわけじゃない……極限まで追い込まれて、自然に発動した……」

ロバート「……ってことは」

リョウ「……ああ」

ロバート「せやけど、いよいよ一か八かになるで。本番前なんやから、万一ということもあるし試すというわけにもいかんからホンマにぶっつけになる」

リョウ「……だったら、あとはもう少しでも確率を上げる為に動くだけだ。明日からのレッスンは軽めの調整にして、本番にすべてを賭けるしかない」

翌日
悠貴「……えっ?」

美波「振付の動作を確認して、終わり……ですか?」

キング「ああ。リョウからの指示でね。これから本番までは、とにかくケガだけないように、心身をピークに持っていけるように調整だとさ」

香澄「同じく、気のレッスンも気の持続の訓練のみです」

拓海「なんだそりゃ!?昨日アタシらがしくじったからって、もう乱舞は諦めんのか!?」

有香「まだ、あと6日あるじゃないですか……!」

キング「落ち着きな。リョウは諦めるとは一言も言ってなかった」

加蓮「……あれ?そういえば坂崎さんは?」

ロバート「リョウならちょっと交渉に行っとる。乱舞を成功させるためにな」

美波「交渉……?」

覇我亜怒プロダクション事務所

リョウ「……」

ギース「……ようこそ覇我亜怒プロへ。LIVEも目前だというのに、一体何のようだ、リョウ・サカザキ」

リョウ「……今日は、交渉に来た」

ギース「交渉だと?」

リョウ「……ああ。今度のQOI……ステージに上がる順番はもう決まってるんだよな?」

ギース「無論だ。お前たち極限drea娘はトリのReppuの一つ前だ。中々良い位置を用意してやったと思っているが」

リョウ「……無理を承知で、頼む。極限drea娘をトリに置いてくれないか」

ギース「……なんだと?」

リョウ「……」

ギース「これは大胆に来たものだ。私が主催するこのQOIで、私のReppuをトリから外せというのか」

リョウ「……ああ」

ギース「言っておくが、ステージに上がる順番を後にすればReppuを上回れると考えているのなら、勘違いも甚だしいぞ。今度のReppuの新曲はその程度の小細工でひっくり返るような完成度ではない」

リョウ「Reppuは関係ない……俺たち側の都合だ……」

ギース「フン……だが、聞けんな。QOIはReppuが最高のパフォーマンスをして、最高の盛り上がりのまま終幕を迎える。これは決定事項だ」

リョウ「……」

リョウ「トリまで待ってもらえたら……ウチもそれに対抗出来るモノを見せられるとしたら?」

ギース「なに?」

リョウ「詳しくは話せないが、ウチは今パフォーマンスが完成するかどうかの瀬戸際のところにある。もし成功すれば、あんた達に勝る……かどうかは約束出来ないが、見劣りしないモノを見せられる」

リョウ「そして、その成功率を上げるには少しでも本番直前に時間が欲しいんだ……頼む」
バッ

ギース「……頭を下げてまでか」

ギース「……なるほど、それだけのモノが見られると言うのなら私も再考しないこともない。どのみちReppuが最高のパフォーマンスをするのは揺るがんだろうがな」

リョウ「……本当か!」

ギース「だがリョウ、これは交渉だ。もし貴様が言うパフォーマンスが失敗し、私を失望させたとしたら、貴様は一体どう落とし前をつける」

リョウ「……それは……」

リョウ「……もし極限drea娘がパフォーマンスを失敗すれば……俺は、拳を捨てよう」

ギース「……!」

ギース「……一体、何をそんなに必死になる?リョウ。極限流空手はお前の人生そのものだろう」

ギース「そしてこのアイドルのプロデュースなど、ただの片手間、お遊びのようなものだろう。その為に、貴様は命とも言える拳を捨てられるというのか」

ギース「それとも、貴様にとって拳はその程度の価値しかないか?今後はずっとアイドルプロデュースで食っていく気か?」

リョウ「……極限流は俺の人生……お前の言う通りだ、ギース」

リョウ「アイドルのプロデュースが片手間……それもお前の言う通りだ。この前まではな」

リョウ「だが、今の俺にとってはあいつらは家族も同然……かけがえのないものになった。それこそ、極限流と秤にかけられるくらいにな」

リョウ「それに、俺はあいつらは条件さえ整えてやれば、必ず成功させると信じてる。だから、拳を捨てる気も本当はさらさら無いのさ」

ギース「……大した自信だな。良いだろう、ステージに上がる順番は調整してやる」

ギース「そこでもし、極限drea娘がReppuに匹敵するパフォーマンスを見せなければ、私自らお前の格闘家生命を断ってやろう」

リョウ「……ああ。礼を言うぜ、ギース」

ギース「礼などいらん。せいぜい今のうちに成功率を少しでも上げる努力をすることだ」

リョウ「ああ……じゃあこれで失礼するぜ。……ああ、そうだ」

ギース「……なんだ?まだ何かあるのか?」

リョウ「……いや。だが、あんたのReppuを語るときの顔……悪党とは思えん、無邪気な顔だと思ってな。まるで自慢の娘を紹介する父親のような……俺も大概だと思うが、あんたも大概だぜ」
ガチャ
バタン

ギース「……戯言を」

ギース「……」

ギース(……私が、無邪気……?)

6810プロ事務所

リョウ「……戻ったぞ」

ドドドド

拓海「オイ!てめえサカザキ!このレッスンメニュ-どういうことだオラァァァァァ!!」

有香「もう乱舞は諦めてしまったんですか!?坂崎さん!」

リョウ「うおおお!……脅かすな、乱舞を諦めたなんて、そんなことあるか」

美波「……ですけど坂崎さん、残りの期間は本番に向けて調整って……まだ乱舞は成功してないのに……」

加蓮「そうだよ。説明してくれなきゃ、諦めたと思われてもしょうがないんじゃない?」

拓海「それに交渉に行ってきたって聞いたけど、どこに何の交渉に行ってきたんだよ」

リョウ「……そうだな。順に話す」

リョウ「まず、交渉に行ってきた件だが、今度のQOI、極限drea娘はトリを務めることになった」

悠貴「……ええっ!?」

有香「い、一番最後ってことですか!?」

ロバート「ほ、ホンマか!?」

リョウ「ああ、今ギースの所に交渉に行ってきた」

キング「……よくそんな無茶をあの男が承諾したね」

リョウ「……まぁそれは俺の交渉力だな。成長してるんだ、俺も」

ロバート「……」

美波「……けど、私たちがトリを務めることと、乱舞の成功にどういう関係が?」

リョウ「それだ。……今まで俺たちは乱舞の発動に向けて厳しいレッスンを課してきた。それにお前たちは文句も言わずついてきてくれた。本当にありがとう」
ペコ

拓海「な、なんだよ……気持ち悪いな……」

リョウ「だが、俺は気やダンスの精度に注目し過ぎで、一番重要なことを忘れていた」

リョウ「今まで俺たちは狙って乱舞を出せたことはない。出せたのは、『本当に極限まで追い込まれた時』だけだった」

加蓮「……まさか」

リョウ「ああ。だから、今度のLIVE本番直前にお前たちを極限まで追い込む。その方法が……」



拓海「……マジで頭おかしいな」

加蓮「さすがの私もちょっと引くよ」

美波「……しかもここまでやって、成功するかどうかはわからない……」

有香「それどころか、これ本番ちゃんとあたし達ステージにまともに立てるんでしょうか……」

悠貴「うう……」

リョウ「俺も馬鹿げてると思う。だが……他に思いつかなかった」

リョウ「どうする?これが本当に最後の確認だ。この馬鹿げた案に乗るか。今からでも遅くない、乱舞を通常のダンスに差し替えてやるか。実際お前たちのダンスはこの3か月で飛躍的に上達した。むしろその方が良いパフォーマンスが出来るかもしれない」

拓海「……そうだな。流石に今回のこれは馬鹿としか言いようがねぇよ」

加蓮「おまけにそこまでやっても分が悪いしね」

リョウ「……」

有香「……けど」

拓海「けど、それを言うならこの事務所の、主にプロデューサーが散々馬鹿げた事を今までやらかしてきてるからな」

悠貴「そうですねっ!トラック吹き飛ばしたりっ!」

加蓮「人前で天狗のお面被ったり……命を懸けて私たちを守ってくれたり」

美波「だから坂崎さん、今更私たちは逃げたりしません」

有香「だから……あたしたちも最後まで坂崎さんについていきます」

リョウ「……よし!なら、プラン通り、本番当日までは今までの特訓で疲弊した身体の回復と調整だ!すべては当日、乱舞を成功させるために!」


ロバート「……それにしても馬鹿げた案やな」

リョウ「ああ……だが、あいつらは今や体力も相当なものになった。体力的に追い込もうとしたら、もう生半可なものじゃ無理だ」

ロバート「まぁそれはわかるけどな……」

ロバート「……なぁリョウ」

リョウ「なんだ?」

ロバート「正直に言うてくれ。お前、ギース・ハワードとどんな交渉をしたんや?あいつがトリを譲るなんて、半端な条件やないやろ」

リョウ「……お見通しか。参ったな」

ロバート「アホ、伊達に社長やないねんでワイは。……で、どうなんや?」

リョウ「……実は」




ロバート「はああ!?もし本番失敗したら、拳を、極限流を捨てる!?」

リョウ「声がでかいぞ……」

ロバート「そらでかくもなるわ!何考えとんねん!お前から極限流取ったら何が残るんや!」

リョウ「……酷え言い草だな。元々空手しか無いって俺にプロデューサーをやらせたのはお前じゃねえか」

ロバート「そ、そらそうやけども……いくらなんでもそれは……」

リョウ「心配するな。みんなが本番を成功させてくれれば済む話だ」

リョウ「……それに、今回の乱舞だって、あいつらにとってはリスクだらけの賭けだったんだ。それを首謀した俺がなんのリスクも背負わねえのは対等じゃないしな」

ロバート「……お前はアホやアホやとは思っとったけど、そこまでアホやとはな……ったく、何が交渉力や」

リョウ「すまないな」

ロバート「別にワイに謝られても……いや、無理言ってリョウを日本に連れ出して、帰ってきたら格闘家生命終わってました、なんてことになってたらワイ師匠に殺されるな……」

リョウ「……すまん」

ロバート「……もうエエわい!お前が格闘家生命賭けるってんならワイはモノホンの命賭けたる!本来なら責任取るのはトップの仕事やからな!」



香澄「……そんな……!」

本番3日前

リョウ「みんな、集まったな?本番用の衣装が完成して、今日届いたぞ」

悠貴「わあっ!可愛いっ……!」

拓海「おお……こりゃベースは空手着なのか……けど、アタシらそれぞれデザインが違うんだよな」

リョウ「ああ、基礎のベースは統一しつつ、細かいデザインは一人ひとりのイメージに合わせて変えてある。もちろん、お前らの希望に応じてな」

ユリ「デザインは私もちょこっと口出ししたんだよ!」

ロバート「その名も、『キョクゲンドレス』!金かかっとるで~デザイン料も個別やからな」

ロバート「ほら、みんなが加入した時にワイが最高にイカした2つ名を付けてたやろ?」

ロバート「美波ちゃんは女神、拓海は特攻隊長、有香ちゃんは黒帯、悠貴ちゃんは恐るべき13歳、加蓮ちゃんは純情かれん……」

ロバート「その2つ名をデザイナーに伝えてイメージさせて作った衣装や!どや!参ったか!」

キャイキャイ

リョウ「……聞いてないな」

ロバート「……」

リョウ「よし、衣装の確認も終わったな。あとは軽く調整して、今日は終わりだ」

ちひろ「あ、プロデューサーさん、ちょっと良いですか?領収書で確認したいことが」

リョウ「!?なんか間違えてましたか!?」
タタタタ

ロバート「おっと、ワイも会食の時間やな……ほなみんな、カーマン呼んどるから早いとこ帰るんやで」

美波「はい。お疲れ様でした」

拓海「……んじゃあ、アタシらも帰るか」

香澄「……待ってください。皆さんにお伝えしなきゃいけない事があります」

有香「香澄ちゃん?……どうしたんですか、改まって……」




加蓮「……私たちが失敗したら……」

有香「坂崎さんの格闘家生命が断たれる……!?」

香澄「はい。そういう話になっていると、先日聞きました。みんなに話すかどうか迷ったけどやっぱりみんな知っておいた方が良いと思って」

加蓮「なんでそんな……」

拓海「ほんとワケわかんねえ野郎だなアイツは……なんでそこまですんだよ……」

美波「……信じてくれてるからじゃないかな」

香澄「……え?」

美波「坂崎さんは私たちが絶対に成功させるって信じてるから、無茶な条件に応じたんだと思う」

悠貴「……そうですねっ」

拓海「……まぁそうだな。元々アタシらも失敗する気なんてねえ」

加蓮「……そうだね」

有香「香澄ちゃん、話してくれてありがとうございます。お陰で、ますます絶対に成功させるって気持ちが強まりました」

拓海「よっしゃあ!アタシらがやる事は変わらねえ!絶対に当日成功させんぞ!」

悠貴「おーっ!」


香澄(……余計な心配だったかな)

香澄(だけど、誰かの為、というのは最後の最後に力になることがある。願わくば、これが皆さんの背中を押す最後の力になれば……)

LIVE前日

リョウ「いよいよ明日が本番だ。みんな、今日はゆっくり休んで体調を整えてくれ。……明日は修羅場だからな」

「はいっ!」

美波(いよいよ明日……全部出し切るっ……)

拓海(ブッコむだけだ……アタシの全てを……!)

有香(坂崎さん……社長さん……事務所の皆さん……香澄ちゃん……師匠……見ててください……あたしの全身全霊……!)

悠貴(きっと成功させて……みんなで笑って終わるんですっ!)

加蓮(こんなところで終わらせない……坂崎さんのこれから……私たちのこれからを……!)

覇我亜怒プロダクション
事務所


ギース(私が無邪気だと?……何を言っているのだあの男は)

レナ「……ちょっと。こないだまでノリノリだったのに、6810プロのプロデューサーさんが来てから口数が減ったじゃない。本番は明日なのよ?」

つかさ「そうそう、何か景気付けの一言もないのかよ?」

ギース「……特に必要ないだろう?お前たちが今までやってきた事を出せば、栄光は向こうからやってくる」

真奈美「……」

茄子「……何か、ありましたか?」

ギース「別に、何もない」

ギース(……そうだ、私は何も変わってはいない。アイドルのプロデュースも所詮は余興だ。天下を取れば、それで終わりの余興……)

ギース(それが終われば私は再びサウスタウンへ、あの飢狼の街へと戻り、邪魔者を消す。その為に私は日本に来たのだ)

ギース(だが……なんだこの胸のざわめきは)

ギース(もしや私は、続けたいと思っているのか?このアイドルたちのプロデュースを……)

志希「……確かに、最近のボスの匂いは会った時から変わったかもね?」

志希「危険な、刺激的な感じは減ったけど、優しい匂いになった気がする。志希ちゃん的には、今の匂いの方が好きかも。にゃははははっ♪」

ギース「……!」

レナ「……ハワードさん?」

ギース「……無駄口は終わりだ。明日全力を尽くせるよう、今日はもう帰宅するが良い」

つかさ「……まぁそれもそうだな。じゃあ帰って休ませてもらうわ」

真奈美「ああ、明日は最高のパフォーマンスをしよう」

志希「それじゃ、おっつかれ~♪」

レナ「……」

茄子「……ハワードさん、明日……きっと貴方の心も動かして見せますからね」
ガチャ
バタン

ギース「……」

ギース(私は……)

今日はここまで


いよいよクライマックスか
ニュージェネの企みも含めて楽しみだ

様々な熱く、重く、大きい想いが会場に満ち、溢れる


様々な思いが熱く、躍動すると
ギースもP業が楽しんでるのが微笑ましい


確かに帰ってきたらリョウの格闘家生命終わってましたなんてことになってたらタクマブチ切れ待ったなしだな……

事と次第によっては帰ってこないまである。

翌日
会場
ワアアアアアアアア


ユリ「……すごい人の数だね」

ロバート「そうやな……まぁ箱のでかさも然ることながら、今回のは本当にアイドル達の祭典みたいな感じやからな……」

キング「この熱気……開演してからもう尋常じゃないね」

MC「さあ次のユニットは謎のプロデューサーHUHAが手掛ける圧倒的声量を誇る二人組ユニット、『G・S・G(グレート・シャウト・ガールズ)』!」

恵磨「さあ!!いくよ茜!!!」

茜「はい!!!恵磨さん!!!」

不破(忍隠れ)「ゆけいっ!!!声量こそパワー、パワーこそ絶対だということを見せつけてやるのだ!!!」


恵磨「ッシャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

茜「ボンバアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

不破(忍隠れ)「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

ビリビリ

ギース「……会場が揺れているようだが」

レナ「今歌ってる子たちの声とお客さんたちの歓声ね……何か野太い叫び声も聞こえる気がするんだけど」

ギース(ふむ……ここまで序盤を消化して、客の盛り上がりも上々……招待したアイドル達は皆良いパフォーマンスをしてくれているようだ)

ギース(だが、最も盛り上がるのは我がReppuのステージだ……それまでステージを温めてくれるが良い……しかし……)


ギース「……おい、極限drea娘は、まだ会場入りしていないのか?」

スタッフ「え?は、はい、引率のプロデューサーの方も含めて連絡がつかないようで……」

ギース(……リョウ、何を考えている……まさか逃げたのではあるまいな……)

路上

拓海「はぁっ……はぁ……」
タッタッタッタ

通行人「……おい、あの娘たちって、アイドルの……なんだっけ?」

有香「ふうっ……はっ……」
タッタッタッタ

通行人B「あれだよ、確か極限drea娘だ。なんでこんなところ走ってんだ」

加蓮「はぁ……はぁ……」
タッタッタッタ

通行人「しかもあの恰好……あれって多分LIVE用の衣装じゃね?」

悠貴「はっ、はっ」
タッタッタッタ

通行人B「……え?ってことは何?走ってLIVE会場向かってんのか?」

美波「はあ……はあ……」
タッタッタッタ

リョウ「出演予定時間まで2時間を切ったぞ!みんな、ペースを上げていくぞ!!」
タッタッタッタ


~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~
~~~~

6日前

リョウ「俺は気やダンスの精度に注目し過ぎで、一番重要なことを忘れていた」

リョウ「今まで俺たちは狙って乱舞を出せたことはない。出せたのは、『本当に極限まで追い込まれた時』だけだった」

加蓮「……まさか」

リョウ「ああ。だから、今度のLIVE本番直前にお前たちを極限まで追い込む。その方法が……」

リョウ「お前たちには、LIVE直前にフルマラソンを走ってもらう」

拓海「……は?」

美波「あの、坂崎さん、良く意味が……」

すさまじいまでの体育会系ぶり
加蓮さんよくここまで鍛え上げたな……

リョウ「この6810プロの事務所からQOIの会場までの距離が大体約40キロだ。そこまで、走って向かう」

有香「……え?その、走って会場入りして、そのままステージに立つってことですか?」

加蓮「いやいや、さすがに無理でしょ……色々と無理な点はあるけど……」

リョウ「お前たちがアイドルになってからというもの、徹底的な体力トレーニングと最近までやっていたダンスレッスンでお前たちの体力ははっきり言ってアイドルとしては破格のものだ」

リョウ「それはフルマラソンを走破出来るレベルになってると俺は見ている……だが、ただ完走するだけじゃ、逆にお前たちは極限までは追い込まれない。ちょっと鍛えすぎたな」

リョウ「悠貴、フルマラソンの女性ランナーの完走者の平均タイムはどれくらいだ?」

悠貴「え?えっとっ、確か大体5時間……10分くらいですっ」

リョウ「じゃあお前たちを限界まで追い込むには4時間くらいのペースだな」

拓海「待て待て待て!アタシらその後LIVEだぞ!?しかも曲自体も相当ハードだぞ!」

リョウ「そうだ、無茶な位じゃないと極限状態まではいかない。だから当日はこの事務所を出演予定時間から逆算して4時間前に出発する。その為に出演の順番を最後に回してもらった」

美波「あの……そんなギリギリのスケジュールだと、着替えやお化粧の時間が無いと思うんですけど……」

リョウ「もし予定より早く着けば時間は取れるが、間に合わない可能性もある。だから最悪会場に着いたその足でステージに立てるよう衣装を着たまま走る。化粧は……最悪、なしだ」

加蓮「ええ~……」


リョウ「我ながら馬鹿げていると思うし、最悪LIVEに間に合わないかもしれない。だが、乱舞が出るくらいまでお前らを追い込むにはこれくらいしないとだめだと思った」

リョウ「どうだ?」

~~~~
~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~


拓海「……やっぱり……冷静に考えると……頭おかしい……」
タッタッタッタ


リョウ「さあ!急げ急げ!」

えぇ・・・?(困惑)

会場

ロバート「ああ……しかし不安や……一応カーマンに張り付かせてるとは言え……」

キング「そもそも会場入りに間に合わないかもしれないってんだからとんでもない話だよ全く……」





MC「さあ次はこれまた謎のプロデューサーEIJIが手掛ける和武術系ユニット!『KISARAGI』の登場だ!」


あやめ「忍術!」

珠美「剣術!」

翠「きゅ、弓術……」

影二「往け……各々の技を持って、KISARAGIこそ最強であることを証明するのだ……!」

ギース「ほう、これはまた凝ったパフォーマンスだ……クナイに竹刀に矢が飛び交っているぞ」

真奈美「……いや普通に危険じゃないのか?」

ギース「盛り上がっているのだ、別に構わん」

つかさ「いいのか……」


加蓮「……」
タッタッタッタ

有香「……加蓮ちゃん……大丈夫ですか……」
タッタッタッタッタ


加蓮「はあ……はあ……」
フラッ

悠貴「あっ……!」


ガシッ
拓海「……シャキッとしやがれ。全員でステージに立つんだよ」

加蓮「……拓海……うん、ありがとう……」

美波「みんな、がんばろう……!もう半分は過ぎてるよ……!」

リョウ「そうだ!もし途中で倒れたら全員俺が背負ってく!心配するな!」


MC「さあ!次は最近人気急上昇中!美城プロからニュージェネレーションズの登場だ!」

卯月「それじゃあ……行きましょう!凛ちゃん!未央ちゃん!」

凛「うん、私たちの……ステージへ!」

未央ちゃん「よーし!それじゃあ行くよ!せーの!」

「「「生!ハム!メロン!」」」

ワアアアアアアアアアア


流れ星を探そうよ 夜が明ける前に
この物語は
一つ星たちの 出会いのキセキ

ギース「……」

茄子「……どうしましたか?ニュージェネレーションズの子たちに何か感じましたか?」

ギース「……フン、余計な詮索は良い……それより、もうすぐ出番だぞ。準備は万全か?」


レナ「……」


つかさ「……」


ギース「フン……出番が近づいてきて緊張してきたか」

真奈美「まぁ、流石にな」

志希「まぁ大丈夫じゃない?こないだもつかさちゃん本番前はガチガチだったけどちゃんとやってたし~」

つかさ「バッ、おま、余計な事言うな!」

志希「にゃはははは!」

レナ「……ふふっ」

ギース(フン、これなら心配はいらんな)

ギース(……極限流はまだ来ないか)



リョウ「頑張れみんな……あと少しだ……!」

有香「はぁ……はぁ……」

悠貴「うう……」

リョウ「……思い出せ。今までのレッスンを……!」

美波「……」

リョウ「思い出せ……!あの時の悔しさを……!」

拓海「……!」

リョウ「思い出せ!あの喜びを、達成感を!」

有香「……!」

リョウ「お前たちが経験した苦しさ、喜び!血の滲むようなレッスン!全てはステージで出し切るために!」

悠貴「……!」

リョウ「お前たちを待っているファンのために!そして何より……お前たち自身の努力に報いる為に!頑張れ!美波!拓海!有香!ユウキ!加蓮!」

加蓮「……!」

有香(……そうだ、立たなきゃ……!)

悠貴(待ってくれているファンの人たちの為にも……!)

拓海(これまでバカみてーなレッスンに耐えてきた自分のためにも……!)

美波(けど、それだけじゃない……)

加蓮(私たちを信じて自分の一番大切なものを懸けてくれた……坂崎さんの為にも……!)


リョウ「……!」

他のメンバーはなんとかなりそうだけど加蓮は死ぬだろこれ…

ロバート「……さて、次はいよいよ大本命、Reppuの出番やな……」

キング「前回の曲の時点で完成度や技術的なところはずば抜けていた……なら今回は一体どれほどのモノを出してくるのか……怖くもあり、正直楽しみでもあるね……」

ユリ「……なんだかお客さんたちもさっきまでの熱狂ぶりが嘘みたいに逆に静かになってきてるね」

ロバート「そんだけReppu目当てに来た客も多いんやろな……」






ギース「……まず、ひとつ。良くぞここまで私の要求に応えてきてくれたな。お前たちは間違いなく私が見込んだ通りの逸材だった」

レナ「……」

つかさ「……」

ギース「だが、それもすべては今日の為だ。今日もし失敗すれば今まで積み上げてきたものは全て水泡に帰すと言っていい」

志希「……」

真奈美「……」

茄子「……」

ギース「……しかしだ。お前たちに限ってそれはないと私は確信している」

ギース「何故なら、失敗する要素がないからだ。お前たちの研鑽の日々、そして今の表情……成功しか見えんよ」

ギース「これが私からの最後の要求だ。Reppuよ!今こそアイドル界をその風で席巻し、簒奪するのだ!」

志希(始めは暇つぶしくらいに思った。だけどその人に連れてきてもらったステージは今までのどんな匂いより刺激的で、いつのまにかここから離れられなくなった)

レナ(一時は自棄を起こした。だけどステージに立つうちに、ここにこそ私が求める刺激があると思った。いつしか、ステージに立つのが楽しみになっていた)

つかさ(始めは馬鹿げていると思った。だけど、本気じゃない奴なんて誰もいなかった。いつしか、本気でステージで輝きたいと思ってるアタシがいた)


真奈美(歌えればどこでも良いと思っていた。だが、思い出した。私は多くの人に自分の歌を聴いてもらいたいから歌い始めたのだと。ステージで歌うことこそが私の生きがいであると)

茄子(この人を心から笑顔にさせたいと思った。それは今も変わらない。変わったことと言えば、笑顔にしたい人の人数が増えたことくらいだった)



MC「さあ!ついにこの人達が登場だ!アイドル界に激震をもたらしたデビュー曲から謎の沈黙を経て、新曲を引っ提げて帰ってきた!覇我亜怒プロ、Reppu!歌う曲は、『キッスにしょうゆ』!」

ワアアアアアアアアア


ロバート「な、なんやその曲名!?全然わからん!」

キング「……!全員、和装してる……!?」

ユリ「かわいい!」



kiss me kiss me kiss me kiss me baby

kiss me kiss me kiss me kiss me baby

ロバート「こ、これは……」

ユリ「和ロック!和ロックだよロバートさん!」

キング「ダンスは……舞踊ベースだけど、激しい……!」

I want what, and you are a kiss, or is it soy sauce?

Because it which hands both is your wish

ロバート「和装で、和風音楽で、ダンスは舞踊で、歌詞は英語!?ど、どないなっとんねんこれは……!」

I want all of you in return

No, because I have value not to let you say same as it



ワアアアアアアアアアア

レナ「ハァ……ハァ……」

つかさ「……やった……」

志希「うん……完ぺき……」

真奈美「ふう……」

茄子(……どうでしたか、ハワードさん……!)


ギース「……」
パチパチパチ

ギース「……」


ギース「……よく、やったな。シキ、レナ、ツカサ、マナミ、カコ」

ワアアアアアアアアアアアア


ロバート「……」
パチパチ

キング「……」
パチパチ

ユリ「……すごかったね」

ロバート「ああ……これは認めるしかないわな……」

キング「私は日本舞踊には明るくないが……あの激しい曲調に一体となって融和する美しい舞い……尋常な訓練ではなかっただろうに……」

ワアアアアアアアアアア

ロバート「会場も盛り上がりまくっとる……しかしリョウたちは……」

香澄「いえ……みんな、着いたようです」

ユリ「香澄ちゃん!」





ギース「……何?今舞台裏に極限drea娘が到着した?フラフラで?」

スタッフ「は、はい……どうやら走って会場入りしてきたようで……どうしますか?化粧直しの時間などは……」

ギース「時間が押している。もしステージに上がる気があるようならもう今すぐ上げさせろ。化粧直しの時間など取れん」

スタッフ「は、はい!」
ダッ

ギース「フン……リョウ、何が狙いだ?」

舞台裏

ロバート「み、みんな!よ、予想は出来てたけどフラフラやんけ!」

美波「……」

拓海「……」

ユリ「汗だくだし、髪の毛も乱れてるし、ドレスもくちゃくちゃだよ!い、急いで直さないと……」

有香「……」

悠貴「……」

加蓮「……」

スタッフ「す、すみません!極限drea娘さん、もしステージに上がれるならもう出てください!時間が押してるので!」

リョウ「……いけるか?みんな……」

拓海「……ったりめー……だ……」

加蓮「なんの……ために……ここまで……きたと……」

キング「……」

美波「だい……じょうぶです……」

有香「……ぜったいに……ステージを……」

悠貴「乱舞を……っ」

リョウ「……極限drea娘!!」

「!」

リョウ「いいか!行くぞ!!」

リョウ「極限!!!」

美波「……ふぁい、と……」

ロバート「……極限!!」

拓海「……ファイト」

有香「ファイト……」

ユリ「極限!!」

悠貴「ファイトっ……!」

加蓮「ファイト……」


リョウ「極限!!!」

「FIGHT!!!」


MC「……おっと!ついに本日トリを務めます極限drea娘が姿を現しました……が……?これは……」

ザワザワザワ


「オイオイ、なんかボロボロじゃねえか?」

「みんなフラフラしてるし……」

「LIVEできんのかコレ」

「最後の最後にどうなってんだよ」

「るっせー!アネゴ達が舞台に立った以上、ハンパなモン見せるわきゃねーだろが!!」



ザワザワ

MC「あ~……本日トリを務めます極限drea娘、曲は『乙女乱舞』、どうぞ!!」


キング「……」

香澄「……」

ユリ「神様……お願い……」

ロバート「……」

リョウ「……」

乱るる花びら、髪、乙女

舞うは花びら、髪、乙女

命燃やして乱れ舞う

美波(つ、つらい……!い、意識が…)

加蓮(だめ……もう、もうもたないかも……)



ギース「……あの状態で、激しいダンスをよくやっていると評価は出来るが……」

ギース「……?」

誰がために乙女は舞うのか

何のために乙女は舞うのか



拓海(ああ……やべえ……音楽が聞こえなくなってきた)

加蓮(これ、やばいんじゃないの?死ぬの?)



ユリ「……あれ?これって……もしかして……」

香澄「もしや……」

誰の為でもない

何の為でもない

悠貴(私、今踊れてるのかな……?わからなくなってきた……)

有香(ああ、何も聞こえない……けど……身体は……動く……)

ただ乱れ舞うために在る

その為の命

ロバート「……おい、リョウ……」

リョウ「……ああ」

美波(自分がどんな顔をしているかもわからない……けど、身体の底から湧き出してくる、これが……)

ギース「……馬鹿な……!」
ガタッ

ギース「乱舞……龍虎乱舞……か!?」



乱るる花びら、髪、乙女

舞うは花びら、髪、乙女

命燃やして乱れ舞う

リョウ(パッと見ただけだと、5人が全員バラバラの動きをめちゃくちゃにやっているようにも見える)

リョウ(だが、会場にいる者は皆感じている……そうじゃないと)

リョウ(今ここで行われているのはまさに生命の、魂のパフォーマンス)

リョウ(もはや理屈じゃない。この乱舞は見る者の心を、魂を、燃やし尽くすまで打ち続ける!)



乱るる花びら、髪、乙女

舞うは花びら、髪、乙女

命燃やして乱れ舞う

ワアアアアアアアアアアアアアア

美波「……」

拓海「……」

有香「……」

悠貴「……」

加蓮「……」


ロバート「……見事や」

キング「……ああ」

ユリ「うう~……みんな……すごいよ……」
グスグス

香澄「やり遂げましたね、皆さん……」

リョウ「……本当にすごい奴らだよ、あいつらは……」

ギース「……」

ギース(技術的なところで語れば、Reppuと極限drea娘は比べるまでもない。というよりやつらのパフォーマンスは無茶苦茶だった。評価のしようがない)

ギース(だが、やつらは物差しで測れぬ人の感情の奥底……魂に訴えかけてきた)

ワアアアアアアアアアアアアアアア

ギース(その証拠がこの歓声……Reppuの時のモノに勝るとも劣らない……)

ギース(フン……認めてやろう、リョウ。貴様の、いや、貴様らのパフォーマンスはトリまで待ってやるだけの価値があったと……!)


ギース「……おい、今日の日程は終了した。早く幕を下げろ」

スタッフ「い、いえ、それが……」

ギース「……なんだ?」

リョウ「……おい、あいつら、動かないぞ……気絶してるんじゃ……」

ロバート「いや、待て、リョウ!なんや様子が……」



拓海「……最後に、もう一発だな」

悠貴「はいっ……!」



ゾロゾロ

つかさ「おう、お疲れ。流石の私たちもちょっとビビったぜ」

真奈美「とんでもないことをやってのけるな君たちは……」

レナ「遅れてやってきてボロボロだった時は何事かと思ったけどね」

志希「にゃはははは!すごい!よくわかんなかったけどすごいよキミたち!」

茄子「本当に、すごかったですよ~♪」

ギース(あいつら……?ステージに上がって何を……いや、Reppuだけじゃない……!)

未央「お疲れー!Reppuも極娘もすごいね!」

卯月「私、感動しました!」

凛「……けど、大丈夫?今にも倒れそうだけど……」

加蓮「大丈夫だよ……!せっかくの機会だしね……!」


ロバート「今日の出演グループが……全部ステージに?何する気や」

ザワザワ

~♪


リョウ「音楽が流れ始めた……!これは……全員で合唱するのか……!」

ユリ「この曲……美城プロの曲の……『つぼみ』だ……!」




ちらばった星屑ひとつ
拾い上げてくれた君の
手のひらの中
ひそかに輝きはじめてる

ギース「勝手な真似を……!奴ら全員共犯者か……」



いつもと同じ空なのに
感じていた 胸さわぎは
今日という未来を感じてたから



リョウ「……」

ロバート「……」




夢の 
夢の中の出来事じゃなく
この場所から 君へと歌うよ

歌詞は書かない方が良かったような

小さな光を 胸に抱いて
青空へと飛ばそう 希望の種
歩んできたみち 忘れないように
君がいれば
またひとつ花は咲く

ギース「……」

ギース(私は……)


リョウ(様々な想いが交錯し、そして発露したクイーンズ・オブ・アイドルズ……QOIは成功でその幕を閉じた)

リョウ(しかし、その後第2回QOIが開かれることは二度と無かった)

リョウ(運命の夜が終わり、新たなる宿命が始まる)

数日後


リョウ「おはよう、みんな」

美波「た、大変です坂崎さん!」

リョウ「どうしたんだ、そんなに慌てて……」

拓海「と、とにかくテレビを見ろって!」

ギース『ええ、先ほどから何度も申し上げております通り、我が覇我亜怒プロダクションは本日付で解体となり、当プロダクションに所属しているグループ『Reppu』及びそのメンバーたちは解散となります』

リョウ「……Reppuが、解散だと!?」

数時間前

つかさ「……は?よく聞こえなかったんだけど」

ギース「ならばもう一度言おう。Reppuは本日をもって解散だ」

レナ「……何を言っているの?正気?」

ギース「お前たちは先日のQOIで見事その力を証明した。もう私がやることは何もない。だから解散だ」

真奈美「……それは短絡的に過ぎるだろう」

ギース「今後のお前たちの身の振り方ならば心配することはない。お前たちほどの実績があればどこでも移籍は拒まんだろう。紹介状も書いてある。それとも、何ならツカサ、お前がそのまま社長になるか?それならば形は変わらずそのままだ」

つかさ「……要するに、アンタが出ていきたいだけってか。何だ?こないだのLIVEで何か気に食わない事でもあったのか?」

茄子「……最後の、合唱ですか?私たちが勝手な事をしたから……」

ギース「ふっ……そうではない」

つかさ「じゃあなんだっての!」
バン

ギース「……」

ギース「……飽きたからだ」

志希「……!」

レナ「……!」

つかさ「なん……だって?」

ギース「私の君たちに対する、アイドルに対する興味は尽きた。中々に楽しませてもらったが、生涯の仕事にするには足らなかった」

真奈美「……」

ギース「どうだ?ツカサ、納得したか?で、どうする?この覇我亜怒プロの全てをそっくりそのままお前に譲って……」

つかさ「ふざけんな。マジで失望したわ……こんなヤツを今までボスにしてきて、アタシ自身の見る目の無さに」

つかさ「じゃあな。もう二度とアタシの前に現れるなよ」
ガチャ
バタン


ギース「……というわけだ。お前たちももう自由にしてくれて構わんぞ」

志希「ん~……これからどうしょっかな?アイドルは結構楽しかったし、どこかに移ろうかな……」


志希「あ、ハワードさん?」

ギース「なんだ?」

志希「楽しかったよ?刺激的な体験、ありがとね?にゃはは♪」
ガチャ
バタン

ギース「……ふん」

真奈美「……私も失礼させてもらう」

ギース「これからどうするつもりだ?」

真奈美「さてね……私は歌えればどこでも良いさ。短い間だったが、得難い経験を与えてくれたことだけは、礼をいっておくよ」

ギース「礼などいらん。それはお前の力にふさわしい対価だった」

真奈美「……アンタ……いや、やめておこう。それではな」
ガチャ
バタン

ギース「……どうした?お前たちも、どこへでも行くがいい」

茄子「……ハワードさん。貴方こそ、この後どうするつもりなんですか?」

ギース「お前たちには関係ない……と言いたいところだが、私はサウスタウンに帰る。そこから先はお前たちは知る必要はない」


レナ「……それは、私たちには手伝えない仕事……なんでしょうね」

ギース「無理だ。お前たちは今後一切関わる必要もない。この国で、穏やかに過ごすがいい」

茄子「ハワードさん……最後にひとつ、聞かせてくれませんか」

茄子「私たちの歌は……パフォーマンスは……貴方の心に届きませんでしたか?」

ギース「……」

ギース「……そうだな」

ギース「もう行け。私もすぐにここを発つ」

茄子「……ハワードさん。貴方に幸運を」

レナ「……じゃあね。もう会うこともないでしょう」

ガチャ
バタン

茄子「……」

レナ「……」

茄子「うっ……」
グス

茄子「うええええええ……」
ポロポロ

レナ「……よしよし。泣かないで茄子ちゃん」

茄子「レナ……さん……私……あの人を……助けてあげられませんでした……うっ……」
グスグス

レナ「……自分を責めないで。あの人を縛っている鎖が何なのかはわからなかったけど……それを断ち切ってあげられるのは……私たちじゃなかったみたい」

レナ「あとは祈りましょう……あの人をいつか誰かが解放してくれるように……」



レナ(何も心に届かなかったですって……?)

レナ(……最後の最後で、嘘が下手なんだから)



ギース「……」

ギース「……貴様か」

リョウ「……ああ」

リョウ「聞いたぜ。どういうつもりだ」

ギース「別にどうもこうもあるまい。私はアイドルプロデュースの目的を果たした。だから終わりにした。それだけだ」

リョウ「……嘘つけよ。あんなに楽しんでたやつが……急にこんな心変わりを起こすか」

ギース「自分の物差しで私を測るな。初めから私にとってアイドルプロデュースなど単なる余興、暇つぶしに過ぎなかったのだ。興味が尽きれば、捨てる。それだけだ」

リョウ「……怖かったんだろう」

ギース「……なに?」

リョウ「はじめは余興だったかもしれない。だがプロデュースをしていくうち……その魅力に触れていくうち……」

リョウ「Reppuをみているうち、あんたはこの生き方も悪くないと思い始めた」

ギース「……黙れ」

リョウ「そして、この間のQOI……そこであんたは決定的な程心を動かされるのを感じた!それで、あんたは思ったわけだ!自分は牙を失いかけているんじゃないかと!」

ギース「黙れ!」
ズバッ

リョウ「ッツ!」

ギース「ずいぶんお喋りになったな、リョウ……!元々私はこの日本には最強の武術を得る為に来ていたのだ。サウスタウンに帰り、君臨する前に貴様の身体を使って最強の私を試してやろうか……!」

リョウ「……いつもの余裕はどうした?図星を突かれたか」

リョウ「……だが、どのみちこのままのお前を放っておくわけにはいかない……!俺が、力づくでもお前を止めてやる」

ギース「リョオオオオオオオオ!!!」

リョウ「ギィイイイイイイス!!」





リョウ「……」

ギース「……床がアスファルトでなくて命拾いしたな……貴様の奥義をもってしても私を止めることはできなかった……クッ……」
ヨロ

ギース「ハァ……ハァ……!」

リョウ「……どうしても、行くのか……」

ギース「……リョウ。私には、この生き方しか出来ん。今まで血に濡れた道を歩んできた。そしてこれから更に血に塗れるだろう」

ギース「全ては……あの男……クラウザーに抗うために……その為の道だったのだ……」

リョウ「……」

ギース「アイドル達と歩んだこの道は……悪くなかった。だが、やはり私にはこの道を歩み続けることは出来ん。この道は……あの娘たちは……私には眩しすぎたのだ」

リョウ「例え今は眩しくても……見つめ続ければそのうち目が慣れてくるだろう」

ギース「ハッハッハ……無理だな。目が慣れるには、些か私は暗い所に居すぎた」

リョウ「……」

ギース「さらばだ、極限流最強の男よ。私はサウスタウンに帰る。もし、私を止めたくばいつでもかかってくるが良い。その時こそは……どちらかが死ぬまで闘おう」

リョウ「ギース……」

ギース「……リョウ」

ギース「……礼をいう」
ザッザッザッザ

リョウ「……なんて顔しやがる……これじゃあお前を憎みきれねえじゃねえか……」


その後、俺が再びギースと生きて会うことはなかった

そしてReppuという伝説のアイドルユニットは、そのあまりにも短い活動期間の中で数々の痕跡をアイドル界に残した。まさにその名の如く、烈風のように。

そして、俺も……

数か月後

ちひろ「あ、プロデューサーさん?今ちょっとよろしいですか?」

リョウ「はい?どうしましたか?」

ちひろ「なんだか国際電話が掛かってきてて……タクマさんという方からみたいなんですけど」

ロバート「……んな!?」

リョウ「……親父!?」

タクマ『……リョウ、久しぶりだな』

リョウ「親父……急にどうしたんだ?何かあったのか?」

タクマ『いや、お前たちの活躍はこちらの方にも届いてきている……日本で大人気のアイドルだそうだな。先に帰ってきたユリに聞いてるぞ』

リョウ「ああ……おかげさまでな」

タクマ『うむ……お前たちの活躍のおかげで極限流の知名度も、収入も……ゲフンゲフン、お前もかなり成長したと聞いてる』

リョウ「……親父?」

タクマ『……ここいらが潮時だ。リョウ、お前に道場を任せようと思う。サウスタウンに、帰ってこい』

リョウ「……な、なんだって……!?」

いったんここまで

次更新で完結予定です

6810プロダクションも解体か…
で、極限drea娘+ちひろさんが美城プロへ…

…ラブライカとトライアドプリムスが大変な事になりそうだが(汗

この後にギースはテリーに引導を渡されると、テリーがこの件とロックを知るのは全てが終わった後か
ギースがロックに手を差し伸べられなかった理由付けとして違和感ない気も

ラブライカに巻き込まれた蘭子も大変なことになりそう
NZに加連+奈緒で歌うSTORYがこの上なく物語のエピローグに似合うな

超ハードなトレーニングを軽くこなす加蓮の後ろには息を切らせながらぶっ倒れている凛と奈緒の姿が。

奈緒「はぁ、はぁ、もうダメ…」ゼーハーゼーハー
加蓮「そう?私はまだまだいけるけど」
凛「…加蓮、そんな体力あったっけ?私達もトレーニングは欠かさなかったつもりだけど…」ゼーハーゼーハー
加蓮「まぁ6810プロにいた時は過酷なレッスンやトレーニングばっかりやってきたからねー」
奈緒「どんなトレーニングしたらそんなになるんだよ…」ゼーハーゼーハー
加蓮「えーと、確か(略)」
凛「」ゼーハーゼーハー
奈緒(もうアスリートでも通用するんじゃねぇのか…)ゲホッゲホッ

病弱アピールしてた加蓮ちゃんが氷柱割りやビール瓶切り余裕って本当ですか
幻滅しました346プロのファンになります

タクマ、最愛の妻が眠る地とはいえ、サウスタウンに拘らなくても……

>>802
普通に考えたら現代文明残ってる以外北斗の拳ワールドと治安レベル変わらんもんなサウスタウン


ギースは狼として生きる事を選んだか
いつかテリーと会うことがあったらreppuの面子はどんな顔をするんだろう

しかしタクマさんこのタイミングで呼び戻さなくてもいいじゃないですか(白目)
もう少し日本にいさせれば嫁さんだって見つかるだろうに

テリーも末期は復讐の虚しさ痛感してたよな…そして
出会うなら全て終えた後なんだろうな、テリーが引き取るまでロックはどうやって生活してたんだろうな

ロバート「……またエラく急な話やな……」

リョウ「ああ……俺ももう少し猶予をくれと言ったんだが……」

ロバート「……まぁ確かに先だってのQOI以降、極娘の人気も上がってトップアイドルの仲間入りしたと言ってエエからな」

リョウ「ああ、QOIな……結局、乙女乱舞はもうあれっきりの曲になっちまったな」

ロバート「そらそうやろ……1曲やるたびにフルマラソン走らせたらホンマ死んでまうで」

ロバート「……あれから、いろいろあったなぁ」

リョウ「そうだな……美波は最初のグラビア以降も撮影系の依頼はかなり入ってきてるし、なんというか……色んな……うん、色んな衣装を着てるな」

ロバート「それで言うたら拓海も大概衣装着とるな。まぁ主にかわいい系の……けどだいぶ慣れてきたみたいやな。最初のグラビア撮影の時は大変やったで説得するの……」

リョウ「有香はこの前拓海と一緒にテレビ出たな」

ロバート「ああ、バレンタイン企画のチョコ作るやつやな。有香ちゃんは意外とこう、バラエティ向きなんかもしれんな。空手技でスタジオ沸かせられるし」

ロバート「悠貴ちゃんはこないだバンビのコスプレしとったな」

リョウ「ああ、本人も楽しそうだったし、現場からの評判も良かった。あの娘にも今後はそういった仕事がたくさん入ってくるかもな」

ロバート「加蓮ちゃんはどうや?あのドラマ以降は?」

リョウ「そうだな。サブキャストとしては良く出演依頼が来てる。主役のオーディションも受けてるが、やはりなかなか難しい。だが、何より本人がやる気だ。落ちても腐らず、課題をもって普段のレッスンに取り組んでる」



ロバート「……なんていうか、若い娘の成長の速さってのは凄まじいなぁ。みんなこの約1年の内に別人のようや」

リョウ「そうだな」


ロバート「……まぁ、だからこそ6810プロはもう安定軌道に入ってるし、サウスタウンに戻ったキングの後のトレーナーも雇えてる」

リョウ「……つまり、プロデューサーも新しい人は雇えるってわけか……」

ロバート「人員としてだけの話で言えばな。……けど、あの娘たちに話せるか?」


リョウ「……話すさ。遅かれ早かれ、いつかは必ずこの時は来たんだ」

ロバート「ああ~、みんな、集まってくれたかいな?」


美波「はい、5人、集まりましたよ」

拓海「なんかこういう招集久しぶりだな!QOI以来のLIVEの仕事か!」

有香「最近はソロでのお仕事ばかりでしたからね」

リョウ「それだけみんなが世間に認知されたってことだな」

悠貴「えへへっ……でも、やっぱりグループでのお仕事もしたいですよねっ!」

加蓮「まぁ、確かにね。で、何の招集なの?」

ロバート「……え~と、その……まぁなんというかやな……」

リョウ「良い、ロバート」

リョウ「みんな、聞いてくれ」

拓海「……?」

リョウ「この度、俺、リョウ・サカザキはサウスタウンに帰って道場を継ぐ事になった。それに当たって、お前たちのプロデューサー職も降りることになった」

美波「……え?」

拓海「……おい?嘘だろ?」

有香「そ、そんな……!?」

悠貴「えっ?……えっ……?」

加蓮「……!!」

リョウ「いや、本当だ。急な話で申し訳ないが、後任は必ず見つかる。それまではロバートが兼任でやってくれる」

リョウ「みんな、1年間、頼りないプロデューサーだったが、数々の無茶についてきてくれて本当にありがとう」

拓海「い、いや!いやいやいや!何急に勝手な事言ってんだよ!アタシらに相談もなしで!筋が通んねえじゃねえのか!?」

ロバート「……拓海。しゃーないことなんや。もうお前も知っとるやろうけど、元々リョウは道場を継ぐ人間やったのを、ワイが無理言ってプロデューサーにしたんや。先代が今すぐ継げと言った以上、コレはもう覆らん」

美波「……それでも……急過ぎます……!」

悠貴「そ、そうですよっ……」

有香「……でも、しょうがないことなのかもしれません……」

拓海「有香……!?」


有香「道場の名は、それこそ創始者の方であれば何より重んずる物……坂崎さんのように強い後継者の方がいるなら、なるべく早く継いでもらいたいというのは当然だと思います……」

悠貴「有香さん……」




加蓮「……いつ、帰るの?」

リョウ「……明日だ」

加蓮「明日……」

拓海「だから早えって!アタシらもこれから仕事入ってんのに……これじゃロクに別れも……」

リョウ「……俺も引継ぎや整理があるからお前らの仕事には同行できない。こんな最後の最後までバタバタして迷惑かけるが……どうか仕事はいつも通り取り組んでくれ。それが俺のプロデューサーとしての最後の指示だ」




加蓮「……」

拓海「……」

美波「……ほら、加蓮ちゃん、拓海ちゃん……加蓮ちゃんはこの後ドラマの撮影でしょ?拓海ちゃんもイベントあるし……そんな暗い顔してたら、スタッフの人もファンの人も困っちゃうよ」

加蓮「……美波はさ、平気なの?もうすぐ坂崎さん、いなくなっちゃうんだよ」

悠貴「……」

拓海「明日……明日でアイツいなくなっちまうんだぞ!」

有香「……加蓮ちゃん……拓海ちゃん……」

美波「……本当は平気なんかじゃないよ。けど、もう1日しかないからこそ、残りの時間は笑顔で過ごしたいって、思わない?」

美波「坂崎さんも暗い顔してる私たちより、笑ってる私たちとお別れしたいと思ってるんじゃないかな」

拓海「……!」

悠貴「……うんっ、そうですよねっ!」

有香「きっと、そうですよ!」

加蓮「……ずるいよ。そんな事言われたら……もうウジウジしてられないじゃん」

拓海「……そうだな。正直文句は全く言い足りねえけど、それは帰った後に社長にぶつけるか」

有香「そ、それはどうなんですか……」





美波「……それじゃあちひろさん、坂崎さん、お疲れ様でした」

拓海「おつかれ~っす」

有香「お疲れ様です!」

悠貴「お疲れ様でしたっ!」

加蓮「……お疲れ」


リョウ「おう!みんな、お疲れ!」

リョウ「う~ん……」
カリカリ

リョウ「ええい!」
グシャグシャ

ちひろ「それじゃあお先に失礼しまーす……あれ?何を書いてるんですか?」

リョウ「ああ、ちひろさん、お疲れさまです……いや、あいつらに手紙……なんでもないです」

ちひろ「……ふふ、変に考えずに、素直に思った事を書いたらいいですよ」

リョウ「……どうも」

リョウ「……」
カリカリ

リョウ(……素直に思ったことを、か。まぁそりゃそうだな。俺は小細工は苦手だしな)

リョウ「……」
カリカリ

リョウ「……そういやこの万年筆……美波に貰ったものだったな……」

翌日
空港

リョウ「……さて、悪いなみんな、空港まで見送りに来てもらって」

ちひろ「いえいえ……1年でしたけど、プロデューサーさんとお仕事出来て良かったですよ」

リョウ「ちひろさん……俺も本当に迷惑をお掛けしました。いつまでたっても頼りっきりで申し訳なかった」

ちひろ「そんなことありませんよ。プロデューサーさんは本当に成長されてましたよ。最初は領収書を切るって事も知らなかったのに……」

リョウ「ははは……」

リョウ「美波、拓海、有香、ユウキ、加蓮。お前らも元気でな」

美波「坂崎さんも……お体に気を付けてくださいね」

拓海「……また日本に来たら連絡よこせよ」

有香「はい……道場にもきてください。師匠がよろしく言っておいてくれと」

悠貴「……また一緒に走りましょうねっ!」

加蓮「……絶対また私たちに会いに来てよ」

リョウ「もちろんだ」

有香「ああ、それと……香澄ちゃんから伝言が。『またいつかそちらに行くから、その時まで首を洗って待っていろ極限流』……だそうです」

リョウ「……香澄らしいな」



リョウ「……ああ、そうだ。これをお前たちに」
スッ

美波「お手紙……ですか?」

拓海「……何書いてあんだ?ていうか今すぐ口で言えよまどろっこしい」

リョウ「あー!待て待て!読むのは俺が飛行機に乗ってからにしろ!恥ずかしいから!」

加蓮「へ~?恥ずかしいようなことが書いてあるんだ?これは楽しみだねぇ」

リョウ「……まったくカンベンしてくれよ……」

悠貴「……ふふっ」

拓海「へへっ」

有香「ふふふ……」

美波「あはははは……」

リョウ「……っと、時間だな」

ロバート「おう。それじゃ向こう着いたらまた連絡くれや」

リョウ「ああ。じゃあな!みんな」

美波「はい。……みんな、いい?」

拓海「ああ」

美波「うん、じゃあ……せーのっ」

「ありがとうーーー!」

リョウ「……!」

サンキューなサカザキーー!

ありがとうございましたーーー!

また、絶対、帰ってきてねーーーー!



リョウ「……ああ!約束だーーーー!!!」

みんなへ


突然こんな事になってしまって本当にすまない。

俺は口下手だし、お前らに泣き顔も見られたくないから、手紙に書いて渡す。

男らしくないと、怒ってもらって構わない。

元々俺はプロデューサーになるのは乗り気じゃなかった。

今まで空手しかしてこなかった俺が、拳でしかモノを語れない俺が。

プロデューサーなんて出来るわけないと思っていた。

だが、お前たちと一緒に悩み、悲しみ、喜ぶ事によって、

いつの間にかこの場所は、お前たちは俺にとってかけがえのないモノになっていた。

それに俺自身も以前の何倍も成長出来たと思う。

頼りないプロデューサーだったが、ついてきてくれて本当にありがとう

拓海へ

初めて出会った時は、荒れてるな、と思った。

だがその内面に触れていくうちに、拓海という人間の懐の深さを知った。

今のお前は、真の強さを誰よりも知っていると思う。というより、最初から知っていたんだと思う。

これからもその強さで大切なものを守ってやってほしい。

それと、峠でのバイク対決、沖縄での相撲対決、俺は負けっぱなしだ。

日本に帰って来た時は、借りを返そうと思う。

有香へ

有香は真面目だ。

何事にも手を抜かず取り組むところ、ちょっと融通が利かないところ。

有香を見てたら、なんだか自分を見てるようだった。

外から見ていたら、ちょっと力を抜いても良いんじゃないかという周りの声も俺はやっとわかった気がした。

だが、その鋼の意思こそが、何よりも強い武器になる事を俺たちは知ってる。

これからもその強い意思を持ち続けてほしい。

俺が日本に来たときは、また組手をやろう。

悠貴へ

悠貴は素直だ。

その素直さを嫌う人間はこの世にはいないと思う。

素直に、ひたむきに。

その気持ちがある限り、周囲は悠貴への助力を惜しまないだろう。

それはお前自身の可能性も同じことで、お前はどこまででも成長できる。

また会う時は、一層成長した姿を俺に見せてくれ。

加蓮へ

加蓮は、この1年で本当に成長した。

初めて会った時、確かに燻っているのは感じたが、よもやこれほどの炎を秘めているとは正直思わなかった。

挫折を知っていて、そこから立ち上がった人間は本当に強い。

加蓮はこの先何があってもきっと乗り越えられる。

そう断言出来るほどの強さを、この1年で加蓮は俺に見せてくれたのだから。

やりたい事を、怖がらずにやりたいだけやってくれ。

美波へ

例えば俺が最初に着た空手の道着がオレンジだったように、最初というのは大事なものだ。

あの日、初めて俺がスカウトしたアイドル。

それが美波じゃなかったら、そして、美波にスカウトを断られていたら。

俺は、プロデューサーとしてここまでやれてなかっただろう。

いつでも俺を支えてくれていた。いつだって俺の味方でいてくれていた。

これからも、周りを助けてやってほしい。

ただ、たまには息抜きもしてくれ。

俺たちはどんなに離れていても家族だ。

それは変わらない。

だが、それと同時にこれからは俺たちはライバルだ。



俺は、極限流空手を広めることを。

お前たちはアイドルを。

競い合うことで得られる力の凄さを俺は知ってる。



勝負だ。


また会える時を楽しみにしている。

ありがとう。


リョウ・サカザキ

美波「……さか、ざきさん……」

拓海「……いつでも、かかってきやがれ。返り討ちに……してやんよ……」

有香「はい……!きっと、もっと強くなって見せます……!」

悠貴「……きっとっ、もっと成長してみせますからっ……!」

加蓮「……驚かせてやるんだから。絶対に……!」

道場

タクマ「よくぞ帰ったな、リョウ」

リョウ「ああ。本当に急に言い出しやがって……」

タクマ「ああ。……では、帰って早々だが、この1年でお前が本当に成長したのか……プロデューサー業で腕が鈍っていないか、儂に見せてみよ!」
スッ


リョウ「……おいおい、親父、あんまり無理するなよ……」

タクマ「……」
コォォォォォ

リョウ「……冗談じゃねえか。わかった。この1年で得た俺の強さ……見てもらうぜ!」

タクマ「それでこそ我が息子よ![ピーーー]気で来い!儂もその気で行くぞ!リョウ!」






タクマ「……ふふふ、見事だ、息子よ……」
ガクッ

リョウ「ハァ、ハァ……一体どこの世界に組手で覇王至高拳を撃ってくる奴がいるんだよ……」

タクマ「言ったであろう、[ピーーー]気で行くと……しかしお前は儂の本気の拳を超えていった……道場を託すに、文句は無い……」

リョウ「親父……」

タクマ「……それでは、正式にお前に道場を託す」

リョウ「……」

1週間後

拓海「あれからもう1週間後か……はえ~なぁ……」

加蓮「そうだね……で、今日やっと後任のプロデューサーさんが来るんでしょ?」

美波「うん、昨日社長さんが言ってたから……」

悠貴「どんな人なんでしょうねっ?」

有香「しっかりした人ならいいんですが……」

事務所

ロバート「あ~、みんな集まったかいな?」

美波「はい、全員集まりました」

ロバート「それでは新しいプロデューサーが決まったから、挨拶や。もう入ってきてええで」

加蓮(どんな人だろう……)

拓海(もしナヨナヨした奴だったら、一発ヤキ入れて……)

ガチャ

美波「……!」

加蓮「……!」

有香「……!」

悠貴「!!!!」

拓海「……」

拓海「……おい、何の冗談だ?」

ロバート「……あ~、新任プロデューサーの、2代目Mr.KARATEプロデューサーや」


2代目Mr.KARATE「……俺の名前は2代目Mr.KARATE……新しく君たちのプロデューサーとして……」





拓海「ふざけんなァァァァァァァ!結局その天狗面かああああ!!アタシらの涙返せゴラァァァァ!!」
ガッシャアアアアン

美波「た、拓海ちゃん!落ち着いて!!」

2代目Mr.KARATE「な、なにを言ってるのかサッパリだ。俺は2代目Mr.KARATE、新しくプロデューサーに……」

加蓮「もうバレてるから!今更そのお面で騙される人いないから!」


ギャーギャー

拓海「……で?どういうことなのか説明しろよ」

リョウ「……いや、それがな……」

~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~
~~~~

タクマ「……それでは、正式にお前に道場を託す」

リョウ「……」


タクマ「……リョウ。お前を、極限流空手日本支部の師範に命ずる!」

リョウ「押忍……ん?日本支部?」

タクマ「そうだ。お前たちの活躍により、日本支部設立の予算が……ゲフンゲフン。今こそ極限流世界進出の第一歩を進める時だ」

リョウ「……ここのサウスタウンの道場は?」

タクマ「引き続き儂が師範を務める。お前は何も心配せず日本に戻るが良い」

リョウ「……」

~~~~
~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~

リョウ「……で、こないだ別れたばっかりの手前、またすぐに顔出すのは恥ずかしかったからな……」

拓海「……ったく、お前ってやつは……」

有香「……でも、道場の師範のお仕事があるんですよね?それだとプロデューサーは出来ないんじゃあ……」

ロバート「ああ……それなら心配いらん。道場はこの事務所の裏に作って、ワイとリョウが交代で門下生の面倒も見る」

リョウ「まぁ確かに以前のようにお前たちに付きっ切りにはなれないが……お前たちも成長したからな」

今ならタクマさんに龍虎乱舞叩き込んでも許される気がする

悠貴「それじゃあ……本当に……っ」

リョウ「ああ……これからも、よろしく頼むぜ、みんな」

美波「……坂崎さん!」

加蓮「……よかった」

拓海「お前ら、泣いてんじゃねーよ!」

有香「もうお約束ですけど、拓海ちゃんも泣いてます!」

悠貴「もうみんな泣いてますっ!あははっ!」




リョウ「俺がアイドル達のプロデューサーだ」

外伝
プロデューサー・ギース・ハワード



15年後
ギースタワー



「パワァァァァ……!」

「レイィジング……」


「ゲイザァァァァァ!!!」

ズドオオオオオオオン

敗北か。

「ギイイイイイスゥゥゥ!!!」

フンッ。なんて顔だ、我が宿敵よ。

「グッバイ」

「ハッハッハッハッハ……」



……

これが走馬灯か。

ジェフ……クラウザー……

タクマ……リョウ……

そして……テリー・ボガード。

フフフ……いい強敵達と出会えた。

この飢狼たちとあいまみえ、そして我が愛したこの街を墓標に眠る……


出来過ぎではないか。何の悔いがあろうか……



……ロック。お前はお前の信じた道を往くが良い。決して間違えはしないだろう……この街には気高き狼たちがいるのだからな……。


……フン。完全に忘れたつもりだったが、まさか今際の際に脳裏によぎるとはな。

彼女たちは、幸せに暮らしているだろうか――――

数か月後


スラム

チンピラ「へっへっへ、ネエちゃん……良い女がこんな所を一人で歩くなんざ、襲ってくれと言ってるようなもんだぜ」

チンピラ2「そうだぜ。ギース・ハワードが死んでからこの街の王はいなくなった。今やそこらへんの誰も彼もが今まで抑圧されてきたモンを発散したくてしょうがねえんだからよ……」

女性「……」

???「ヘイ、そんなに発散したいのか?だったら俺が代わりに遊んでやるよ」

チンピラ「あ~ん?誰だか知らねえが邪魔……んな!?」

チンピラ2「……ま、まさか……お前は……サウスタウン・ヒーロー……」

チンピラ・2「「テリー・ボガード!!?」」

テリー「ヘイ!カモンカモン!」



ロック「……あ~あ……完全に気絶してる。テリー、やり過ぎだよ」

テリー「いや、つい力が入っちまった!お嬢さん、ケガはないか?」

女性「いえ、助かりました」

テリー「だけど、あいつらが言っていたのも一理あるぜ。この辺は美人のお嬢さんが一人で歩くには危険だ。……あんた、日本人か?俺の知り合いにも何人か日本人がいるぜ」


女性「ふふっ、ありがとうございます。けど、私はお嬢さんって歳じゃありませんし、たぶん貴方より年上ですよ」

テリー「……!?マジかよ……20代前半にしか見えねえが……」

ロック「ちょっと、テリー……女の人に年齢の事をズケズケ聞くのは……」

女性「ふふ……貴方は紳士的なんですね」
ニコ

ロック「……!ぁぅ……」
スス

女性「あら?」


テリー「ああ、コイツは女性に対してシャイなんだ。許してやってくれ!ハッハッハ!」

テリー「……それで、姉さんは何しにここへ?」

女性「……はい。先ほどの人も言われてましたが……ギース・ハワードさんのお墓を訪ねてきました」

テリー「……!」

ロック「……!」

テリー「……お姉さん。あんた、ギースの知り合いだったのかい?」

女性「ええ、昔お仕事を一緒にしていたことがあって……まぁ期間は1年足らずでしたけど……」

テリー「仕事……?」

女性「ええ、リョウさん……いえ、その時知り合った方に今回の訃報を聞いて……お花をお供えできないかと思ってサウスタウンに来たんですけど、迷ってしまって」

テリー「……そうかい」

ロック「……テリー」

テリー「いや、いいんだロック。……ギースの墓なら、ないぜ。この街が、サウスタウン自体があいつの墓標だ。そうアイツが望んでいた……らしい」

女性「え……?」




女性「そうですか……最期は笑って、あなたの手を……」

テリー「……だが、言い訳する気はない。アイツをこの手に掛けたのは俺だ。その様子なら、あんたはギースに恨みを持った人間じゃないんだろ?」

女性「……逆にその言い方だと、あの人は多くの人に恨みを持たれるような事をしていたということなのでしょう?」

テリー「……ああ。俺もそうだ。いや、かつてはそうだった。あいつは確かに悪人だった。けど、何度も闘ううちに、憎しみは自然と薄れていっていた……」


テリー「それはきっと、俺もアイツも楽しかったから、なんだろうな。闘うのが・・・・・・」


女性「……じゃあ、そっちの子は……」

テリー「ああ……アイツの子だよ」

女性「……ロック君、かな?もし良かったら、よく顔を見せてくれないかな」

ロック「……」

テリー「ロック」

ロック「……うん」
スス

女性「……」
ジッ

ロック「……」///

女性「……ふふっ」

女性「……日本に帰ります。私が欲しかった答えは、見つかりました」

テリー「……俺に罵声の一つも浴びせないのかい?」

女性「いいえ。逆です。……あの人を開放してくれて、ありがとうございました。これで日本で待ってるほかのメンバーにもいい報告が出来そうです」

テリー「……」

女性「ロック君。いつか、日本に遊びに来てね。それとテリーさんも……その時は私が案内しますから」

テリー「ああ……機会があれば、いずれ」

女性「それでは……」

ロック「……行っちゃった。なんだか不思議な人だったね、テリー」

テリー「……ああ」

さらに数年後


極限流道場


リョウ「……おっ、こりゃ懐かしいものが出てきたな」

マルコ「むっ、リョウ総帥!何ですかなそのDVDは!ムフフなヤツですか!?」

リョウ「……まだまだ雑念が多いようだなマルコ。この後俺と組手だ」

マルコ「ヒイイイイイ!ボケツを掘ったァァァァ!!」


道場

リョウ「……よう。大体20年ぶりくらいか?」

ギース?「……」

リョウ「昼間見つけたDVD……あの時の、QOIのDVDだった。それを見つけた途端出てくるとはな。あんたも結局コレは忘れられなかったか」


ギース?「……」

リョウ「……いや、今のあんたはいわば俺の夢……差し詰めナイトメア・ギースってか?このDVDを見て俺が真っ先に思い出したのがあんただった、てことか」

ナイトメア・ギース「……」

リョウ「あんたの育てたアイドル達はその後も立派に活動してたよ。あんまり完ぺきになんでもこなすもんだから、プロデューサー泣かせだったってな」

ナイトメア・ギース「……」
フッ

リョウ「あんたが死んだって聞いて……みんな悲しんでたよ。いや、つかさは怒ってたかな。だが、死んで一人でも悲しんでくれる人間がいる以上、あんたはやっぱりただの悪人じゃなかったってことだな」


ナイトメア・ギース「……」

リョウ「……俺か?俺はもちろん今もあいつらと付き合いはあるぜ。まぁ世界を飛び回ってるからそう日本ばかりには行けないが……顔出さないとうるさいしな」

リョウ「……本当に、色々あったぜ」

ナイトメア・ギース「……」

リョウ「……そうだな。あんたもただ俺とアイドル談義するためにあの世から出てきたわけじゃないか」
スッ

ナイトメア・ギース「……」
スッ

リョウ「……それじゃあ……久しぶりの再会を祝して……」

ナイトメア・ギース「……」

リョウ「来い!ギース!!」


外伝
プロデューサー・ギース・ハワード
さらば、ギース

終わり

ART OF PRODUCE
龍虎のP


これで終わりです。

長々とお付き合い頂いた方ありがとうございました。


懐かしい気分にひたれた


さらばギース
リョウはP業ずっと続けてるってことでいいのかなこれは

押忍乙

仮にRBでテリー達倒して世界進出したとしてもここのギース様は日本には
色々手心加えたかもしれないなあ。



笑いあり涙あり熱いバトルありのいいSSでした

いままでありがとうございます



傑作だった


リョウはPと格闘家共に続けてるのか

テリーとロックと会話したのは茄子だったのかな?
テリーもギースも各々が運命から開放されたのか、復讐鬼ながら不思議な主人公だなテリーは

長い間お疲れ様でした。

いつも楽しく読ませて頂きました。
更新が楽しみでワクワクしたSSは久しぶりでした。

本当にありがとうございました。


最後にリョウのラストは独身かそうじゃないかだけ教えてくれ

乙です
面白かったです
欲言うならリョウの嫁探しエピソードがあるなら外伝として読みたいです

乙!
完走お疲れ様でした
本当に面白かった!


最後は墓標ギースを想像した俺はダメかもしれん…

墜落死した翌日に日本に帰ってくるボヒョーギース様とか余韻がぶっ壊れってレベルじゃすまんわww

乙と言わざるをえない
次の戦闘舞台(バトルステージは)何処だ?

本編の補足
リョウは6810プロで数年プロデューサーを務めた後、道場の経営一本に移っています。
また、誰かと結婚はしていないようです。

勝手に後日談
美波:ミッキー・ロジャース復帰戦にラウンドガールとして出演。
悠貴:響チャレンジのマラソン企画で響に大差をつけて圧勝。
有香:極限流の稽古にも参加しだす。菊地真とあわせて「アイドル界の龍虎」と称されたとか。
加蓮:演技派アイドルを目指す一方、「気」の応用による健康法を模索。後に本として出版され大ヒットに。
拓海:独学で覇王翔吼拳を出そうとするも出ない。後の矢吹真吾である。

>>875
ラストで20年ぶり言うてるから40過ぎても独身かぁ
キングさん…………

>>876永遠に黙ってろ

結婚はしなかったのか
ということは道場はロバートとユリの子供に継がせるのかな

格ゲー主人公て基本結婚できないジンクスが有る気がする。他の作品でも超鈍感か放浪癖が凄まじいの
どちらかが多いし。

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