【まほいく安価】キーク「18人目はクリアしてくれる」【魔法少女育成計画restart】 (227)


前スレ

【まほいく安価】キーク「18人目もゲームに入れよう」【魔法少女育成計画restart】
【まほいく安価】キーク「18人目もゲームに入れよう」【魔法少女育成計画restart】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484376232/)

の続き


・なんどめだまほいく並何番煎じ
・安価とコンマで進行
・突然原作QUEENSまでのネタバレが出ても責任はとれないぽん

・魔法少女育成計画restart(原作2、3巻)が舞台
・これから原作読もうと思っている人はバリバリのネタバレ注意

・頑張って生き残ってほしいぽん


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1484914963

魔法少女「美しい妖精のシャナ」のステータス

本名:龍崎紗南(りゅうざき さな)

魔法:【いつでも消えることができるよ】


身体能力……57 ★★★
知力……53   ★★★
精神力……97  ★★★★★
幸運……96   ★★★★★
自己主張……  ★
野望・欲望…… ★★★
魔法のポテンシャル……★★★

スキル「豪運」……身体能力・知力ロール時に+15
スキル「剣道」……刀を使ったときのみ身体能力ロール+5

持ち物
「太刀」

 前スレキャラ

魔法少女「キノ」のステータス

【魔法の銃で撃ったものを強くしたり弱くしたりするよ】


身体能力……70 ★★★★
精神力……78  ★★★★
知力……36   ★★
幸運……78   ★★★★
自己主張…… ★★★★★
野望・欲望…… ★★★
魔法のポテンシャル…… ★★★★★

スキル「幸運」
スキル「射撃」
スキル「逃げ」

持ち物
「ラピッドスワロー」
「四次元袋」
「カラミティ・メアリ特製重火器」


魔法の国監査部門所属の魔法少女
リップルとコンビを組んでおり、突如送信されたメールによってゲームの招待を受ける


 あらすじ

魔法少女≪美しい妖精のシャナ≫は魔法の国にその魔法と剣術を買われ、数々の人々を手にかけた殺し屋である
彼女は記憶を失い、「魔法少女育成計画」という名のSRPGへと参加させられ、仲間を失いつつもついに魔王メルヴィルを討ち果たす
だが、メルヴィルは魔王ではなかった
疑心暗鬼へと駆られていく仲間達。ついには親友すら疑い始める者も現れる
暗躍する魔王、信用できない仲間、知力30、女神ペチカ様……
魔王は誰なのか。そして、命を懸けたドンパチの勝利者は――


 参加メンバー
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira126311.jpg

+ 美しい妖精のシャナ、キノ


 現在の生存者

シャナ、キノ、プフレ、シャドウゲール、@娘々、ペチカ、ディティック・ベル、ラピス・ラズリーヌ



 前回精神力ロール
 61……成功!

 
 
シャナ「(ペチカ様が、魔王? そんなわけあるか!)」


シャナ「(仮にペチカ様が魔王ならここにいる全員殺して私も死のう)」

ベル「こっちだってラズリーヌを疑いたくなんてないよ! だけど……もう、分からないんだ! 誰が味方で、誰が敵なのか……」

ラズリーヌ「………………敵は倒す……誰が魔王でも構うもんか! 誰かかかってくるっす!」

キノ「ラズリーヌ、落ち着いて……」

ペチカ「うう……」

シャナ「(駄目だ……この状況をまとめることはできない……せめて、プフレ……!)」


@娘々「シャナ、私、もう…………嫌アル……」

シャナ「……(私だって嫌に決まってんだろ……)」

キノ「(誰が魔王だ…………魔王は、どうやって見分ければいい……!)」

シャナ「(魔王は…………魔王は……)」


 シャナは……>>21
 
 1.気分を落ち着かせるためにその辺をぶらついた
 2.ベルとラズリーヌをいさめた
 3.プフレと連絡をとった
 4.ファルに質問をした
 


シャナ「…………」

ペチカ「どこに?」

シャナ「……その辺を」

ペチカ「あの……私も……」

シャナ「…………(マジかよ、それってアレだよな? 命の危険が迫ってる時に2人きりって、つまりそういう展開でいいんだよな!?)」

キノ「私も……」

シャナ「お前はついてくんな」

キノ「…………」

シャナ「いいな? ここにいろ。邪魔するな」


キノ「…………(アイツホント気に入らない)」

キノ「(師匠……どうしたらいいんですか…………師匠……)」

キノ「(教えてください……師匠……)」

ラズリーヌ「――!」

ベル「――!」

キノ「(…………プフレからは、あれから連絡が無い……)」

キノ「(@娘々という魔法少女は塞ぎ込むように噴水のふちに座ったまま……)」

キノ「(…………どうする。疑わしい。皆、この中の1人が魔王のはずなのに、まるで……自分以外が全員魔王みたいに)」


 キノは……>>25
 
 1.ベルとラズリーヌをいさめた
 2.プフレと連絡をとった
 3.ファルに質問をした

3


キノ「…………ファル」

ファル「なんだぽん?」

キノ「このゲーム、クリアさせる気はあるの?」

ファル「マスターはずっと同じことを言ってるぽん。『本物の魔法少女ならクリアできる』って」

キノ「本当の魔法少女ってなに? 何で本当の魔法少女ならクリアできるの?」

ファル「…………マスターはこうも言ってるぽん。『それは本当の魔法少女が自然に知るものだ』って」

キノ「……意味わかんない……」


 キノの知力(30)ロール……直下コンマ二桁
 
 成功→魔王の手がかりをつかんだ
 失敗→疑う心は深まるばかり
 


キノ「…………チッ」

キノ「(……舌打ちしちゃった…………まるで昔の師匠みたい)」

キノ「(……師匠って? ああまただ……また、頭が……)」

キノ「(誰も信じられない…………自分の記憶さえも……)」


@娘々「…………………………いつまで、続くのかな」ボソッ


シャナは噴水広場から離れ、ショップの近くを歩いていた。何もない世界だが、散歩くらいの楽しみはできる

歩いている内に気分が晴れてきた。少なくともさっきよりはまとまった思考ができるようになってきた


シャナ「………………」

ペチカ「………………」

シャナ「(ハァ……望んだシチュエーションなのに、どう言葉をかければ……)」


ペチカ「…………クランテイル……」

シャナ「……クランテイルは、勇敢だった。正々堂々とメルヴィルに立ち向かって、正々堂々……」

ペチカ「………………みんな、なんで……」グスッ

シャナ「……(今更、泣くのか……いや、今だから泣けるのか)」

ペチカ「私……なにも……できな……っ……」

シャナ「その理由で泣くのはもうやめましょう。皆が喜びません」

ペチカ「皆……って、もう、誰もいない! いるのは、私だけ……私だけが取り残された……もう、皆なんていない!」

シャナ「…………」

ペチカ「………………怒ってくださいよ……私、今……魔法少女らしくないことしか言ってないんですよ!」

シャナ「…………怒ったら、あなたは私を頼ってしまうから……」

ペチカ「……酷いんですね…………」

シャナ「どう思ってくれても構いません……私はあなたの支えにはなれない…………あなたを支えられるのは、自分自身なんですよ。ペチカ様」


ペチカ「っ……! そうですよ……あなたは私の支えになんかならない! あなたは最初から変で、いきなり現れて、カレー食べて……」

シャナ「……」

ペチカ「お礼言ってどこかに言って、図書館で私のことを、助けてくれて……変な言動なんかして…………さっき、助けてくれて…………今は、私を救ってくれない……」

シャナ「……あなたは誰にも救われない。あなたを救えるのはあなただけ。魔法少女を救うのは、魔法少女だけなんです……」

ペチカ「私に、自分で自分を慰めろって言うんですか!?」

シャナ「(なに今のエロい)」

シャナ「……そうです。本物の魔法少女はあなただけ。本物の魔法少女は貰わない。与えるのみ。本物の魔法少女は聖人君子。本物の魔法少女は、1人」

ペチカ「励ましてくださいよ…………怒ってくださいよ……無理……私、無理ぃ……」グスッ

シャナ「(叱咤激励なんて簡単だ。『あなたがクヨクヨしていたら皆も浮かばれない』『私がついている』『それでも魔法少女か』……言葉なんてするする出てくる。でも駄目なんだ……)」

シャナ「(ペチカ様の助けになりたい……ペチカ様のために何かしたい…………でもそれはペチカ様を堕落させる)」

シャナ「(魔法少女なんて、自分を虐めるだけの存在なんだ。そして私は、そんな存在であることをペチカ様に強いてしまっている……私は、魔法少女じゃない)」


シャナ「(今ペチカ様の記憶を消してあげられたら、どんなにいいことか……でも、それは駄目だ。それは以前の『穢れを知らない魔法少女』だ)」

シャナ「(本物の魔法少女……それは穢れを知らない魔法少女なんかじゃない。元々皆白いんだ。誰もが魔法少女になりたくて、憧れて、そして成る)」

シャナ「(だけどそれは誰かの……時に自分の都合、欲望、状況、そういったものにさらされて、染まって、穢れていく。そして本当の魔法少女になれなくなる)」

シャナ「(本当の魔法少女は、どれだけ汚しても汚しても、誰が何をしても染まらない。白のままの存在。それが、本物の……)」

シャナ「(そして、ペチカ様はなれる。本物の魔法少女に……それは…………彼女が誰にも頼らず、自分だけを頼りとしたときに)」

シャナ「(彼女の中で、私はきっと『頼りになる存在』なんだろう……なら、それを消してしまえば……)」


 シャナは……>>39
 
 1.ペチカから自分の記憶を消した
 2.できなかった
 

2


シャナ「………………」スッ

ペチカ「……何を……」

シャナ「…………………………(やれ、私……ペチカ様を『本当』にするために……)」

シャナ「(触れれば、触れて脱げば、彼女の記憶から私は消えるんだ。そうすれば……)」

シャナ「(後は私が誰も彼もから消えて……いつか、プフレなりキノなり……誰かが魔王を……)」

シャナ「(……畜生)」

シャナ「………………っ……」ポロポロ

ペチカ「……なんで、泣いているんですか……」

シャナ「…………泣きたくて、泣いてるわけじゃ……ごめんなさい…………私には、できない…………あなたを、救うことが……っ……!」

ペチカ「…………シャナさん………………」

シャナ「……魔王、探さないと…………」


ペチカ「…………私、自分が魔王じゃないかって思ったんです………………」

シャナ「ッ、そんなはず……!」

ペチカ「……だから、私が魔王なら……どうするんだろうって…………周りは皆敵で、頼れるのは自分だけで……」

シャナ「(頼りは自分だけ……まるで私が思った『本当の魔法少女』じゃないか)」

ペチカ「沢山敵がいて、自分は1人。ならどうしようって……多分、私だったら……なんとかして、仲違いをさせて……」

シャナ「……仲、違い………………ッ!」

ペチカ「勝手に敵が潰れていってくれれば、勝つのは簡単なのかなって……」

シャナ「それだ!」

ペチカ「えっ?」

シャナ「……この状況そのものが、魔王の望んだものだとしたら……魔王は、絶対に姿を現さない」


シャナ「ペチカ様はまたどこかに隠れててください。私は魔王を……」

ペチカ「……私も、行きます」

シャナ「駄目です。あなたにもし何かあったら……私は……」

ペチカ「…………守ってくれるんですよね?」

シャナ「…………(魔法少女って……)」


シャナは急いで広場へと戻った。魔王はこの状況をさらに激化させ、こちらの同士討ちを狙っている

プフレにそのことを送った。誰もが誰もを疑うこの状況こそが魔王の狙いであり、このまま続けばいつかこちらが負けると

返信は速かった。その分内容は短かった

『よくやった』


広場についた。ベルとラズリーヌはかなり離れて適当に地面に座っている。@娘々は相変わらず、キノも同じ場所で突っ立っている。でくの坊もいいところだ

彼女達は全力疾走のシャナを見てどうしたと聞いてきた。そこでまた疑念が湧いてくる

この中の誰かが魔王なら……仮にペチカも魔王で今のはネタバラシに過ぎず、今こうして自分が誰かに教えるのもペチカの思惑通りなら……この考えを今ここで話すことは、魔王をさらに有利にしてしまうのではないか


シャナ「………………なんでも……」

シャナ「(違うだろう……本当は、言いたい…………魔王はこの中なんかにいない。どこかに姿を隠してる……でも)」

シャナ「(魔王がここにいて、違うところを探させるのが狙いなら……)」

シャナ「(クソッ、我ながらブレブレだ……なんでこんなに、弱いんだ……私……)」


 精神力(97)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→いや、言うべきだ
 失敗(ファンブル)→だめだ、言えない


シャナ「…………(いや、言うなら今だろ……このまま誰かがまた1人でも殺されてから言っても遅いんだよ!)」

シャナ「………………魔王は、この中にはいないんだ」

キノ「は?」

@娘々「……何をバカなこと言ってるアルか、魔王はこの中にいるって……!」

シャナ「そう思わせるのが狙いだ。魔王の目的はなんだ? 自分以外のプレイヤーの全滅だ。全滅させるにはどうする? 同士討ちだろう」

シャナ「メルヴィルみたいなのが魔王なら確かに1人ずつ自分の手で殺していった。だけどプフレが言うように魔王は自分で手を下さない。かといって、魔王が狡猾な奴であることにはならない!」

キノ「ごめん、もうちょっと分かりやすく言って」

シャナ「殺すぞ」


シャナ「変に思ったんだ。このゲームのマスターとかいうクソ野郎は『本物の魔法少女ならクリアできる』とか言っていた。それは魔王を討伐する私達だけのクリア条件だと思っていた」

シャナ「だが、魔王の勝利条件もまた『本物の魔法少女』なんだ!」

キノ「全然分かりやすくなってないんだけど」

シャナ「じゃあ口を閉じろ!!」

キノ「……」

シャナ「本物の魔法少女ってなんだ? 皆が思う魔法少女ってなんだった!?」

キノ「……ぁ」

シャナ「…………いいよ、発言して。全然喋って。はい、本物の魔法少女って?」

キノ「……清く正しく美しく」

シャナ「そうだ。清く正しく美しく。それが本物の魔法少女だ」


@娘々「けど、魔王は……魔法少女なんかとは真逆で……」

シャナ「誰が魔王が魔法少女と対なる存在と言った?」

@娘々「えっ?」

ベル「じゃあ……なんだっての?」

シャナ「魔法少女は正義だ。だが、魔王は悪か? 魔王と言っても様々だろ。弱い者を助け、清く正しく美しくしていれば魔王であっても正義だ。そして、善悪なんて個人によって異なるもの。魔王が『本物の魔法少女』なら、悪は魔王以外なんだ」

ラズリーヌ「じゃあ、私達が悪だっていうんすか!」

シャナ「だから、肝心なのはそこじゃない!」

シャナ「魔王は本物の魔法少女らしく悪を断ずる。魔王は本物の魔法少女らしく悪と相容れない。魔王は本物の魔法少女らしく醜い感情を抱かない!」

シャナ「魔王は、誰かを疑ったりなんかしないんだ!」


シャナ「だから、今こうして誰かを疑っている自分は魔王じゃないということなんだ!」

プフレ「その通りだ」

キノ「っ、プフレ、シャドウゲール……魔王城にいたんじゃ……」

プフレ「誰かのご高説が聞こえて来たものでね。たまらず出てきてしまった」

シャナ「……間違っているか? 私の考えは」

プフレ「いいや、私の言いたかったことの半分を言われてしまって逆に残念だ」

シャナ「……」

プフレ「いいところを持って行きやがってと思うのなら、私の代わりに魔王の名前を言ってくれ」

シャナ「…………いや、私には、魔王の正体なんか分からない……私は、皆が魔王じゃないって……証明したかっただけだ」


プフレ「なぁ、私達の中に魔王がいるなら、その魔王が『今この場にいる者でない』のなら……そこから導き出されるものはなんだと思う?」

キノ「……?」

プフレ「今回ログインしてから死んだ者は?」

シャナ「ッ……」

プフレ「ペチカ、答えてくれ」

ペチカ「えっ……」

シャナ「私が言う」

ペチカ「…………いえ、私が言います」

シャナ「ペチカ様……!」

ペチカ「…………………………リオネッタ、クランテイル、メルヴィル、のっこちゃん……」

プフレ「そうだ。リオネッタ、クランテイル、メルヴィル……その3人は、誰もが……『誰かが見ている前で死んだ』な?」

@娘々「ッ……」



プフレが今挙げた者は確かに、誰かが見ている前で死んだ。そこから動いてないし、生き返るわけもない

だが、待て……なら、残った1人は……彼女は、どうだっていうんだ


シャナ「待ってくれ、プフレ…………頼む……のっこちゃんは、私が見つけたんだ……のっこちゃんは黒焦げにされてて、手には、これが……魔法の端末があった。のっこちゃんなわけないだろ!」

@娘々「そうアル! のっこちゃんはそんな……魔王なんて……ことはないアル! ずっとパーティーだった私が保証するアル!」

プフレ「その保証も、今じゃ意味が無いんだ……私だって、のっこちゃんが魔王なんてありえない。絶対に無いと思っている。だが、冷静に突き詰めろ。感情で事実は変わらない」

シャナ「だから、違うって言ってるだろ! 見ろ、これがのっこちゃんの端末だ! 見えるだろ!」

プフレ「ああ、見える。見えるさ。だがそれが事実だ! この中で誰一人、のっこちゃんの死ぬところを見ていない!」

シャナ「メルヴィルに襲われたんだ! ログイン直後に、メルヴィルがのっこちゃんを殺したんだよ!」

ペチカ「…………違い、ます……」

シャナ「ッ……なんで……」

ペチカ「メルヴィルは……ログインしたすぐの私を…………襲って来たんです」


プフレ「ファルに確認はとった。ログインに個人の時差は無い。全員が同時にログインしている。メルヴィルにのっこちゃんを襲い、火炎放射器で黒焦げにする時間は無い」

シャナ「じゃあ他の誰かだ!」

プフレ「私とパーティーを組んでいたシャドウゲール、ディティック・ベル、ラピス・ラズリーヌは魔王城からのスタートだった。ログインしてからクランテイルのメッセージが来るまでずっと一緒にいたさ」

ペチカ「キノさんは、すぐに私を助けに来てくれました……」

シャナ「……じゃあ、じゃあ………………@娘々が……」

@娘々「…………」

シャナ「そうだ、お前がやったんだ……お前がのっこちゃんを!」

@娘々「私じゃないアル! シャナだってログインしてから何してたアルか! シャナがのっこちゃんを……!」

プフレ「どちらでもない!」

シャナ「ッ、なわけないだろ! じゃあのっこちゃんは誰に殺されたっていうんだよ!!」

プフレ「…………のっこちゃんは、誰にも殺されていない。今でも生きているんだ」


プフレ「それに考えてもみろ。のっこちゃんは確かに人畜無害で可憐な魔法少女だった。彼女こそ本物の魔法少女に相応しいだろう……だが、そう思って誰かを疑う我々はなんだ? 魔王か? 魔王じゃない。誰かを疑う醜い感情を持った者が魔王であるはずはないと、君はそう言っただろう」

シャナ「……………………じゃあ……じゃあ……私だ……私が魔王だ…………私が魔王だから、早く……私を殺してくれ……」

プフレ「…………ああそうだ。私も魔王だ。だから殺せ」

シャナ「は? 何を……」

プフレ「そうだよ。私も魔王だ。だが、おかしくはないか? 魔王だと主張する者が2人いる。のっこちゃんを庇うあまり、自分の身を差し出そうとしている。のっこちゃんのために死んでも構わない……そう思うのはおかしいことではないのか?」

シャナ「……………………」

プフレ「……否定しろ…………自分の感情を」

シャナ「じゃあ……なんだってんだ……のっこちゃんは……どこにいるんだよ……」

プフレ「この荒野の街のどこかだ。我々を監視するなら、今この場所しかない」


プフレ「探すんだ。のっこちゃんを」

@娘々「…………」

キノ「どこにいるんだ……ビルのどこか?」

プフレ「なにか変わったことは無かったか? この街に、なにか変わったところは」

ペチカ「……そういえば、噴水の水……」

シャナ「っ……」


そうだ、この街に来た時、いつもは水であふれていた噴水が枯れていた。最初は最終局面から来るグラフィクの演出だと思っていた

よく考えればこんなところで演出する意味が無い。こんな時に、誰が荒野の街なんかに来る


プフレ「なら、噴水か……調べよう」

@娘々「ッ……!」ザッ

ラズリーヌ「@娘々、何してんすか!?」

@娘々「…………のっこちゃんを、どうするアルか」

プフレ「……彼女は魔王だ。我々の役目はなんだ?」

@娘々「のっこちゃんは殺させないアル!」

プフレ「@娘々、目を覚ませ。のっこちゃんは――」

@娘々「のっこちゃんは私の仲間アル! 仲間を殺すなら……!」ギロッ


@娘々がお札を取り出し、構える

何故だ、何故……今更立ちはだかる。何故、シャナの体も@娘々の横へと動こうとする


 精神力(97-20=77)ロール(どうしてものっこちゃんを守ろうとするため-20)……>>直下コンマ二桁
 
 成功→シャナは感情に負けない
 失敗→@娘々と共に魔法少女達と対峙する


シャナ「…………@娘々、私も守りたい。のっこちゃんを守りたい。ここにいる全員殺して、のっこちゃんが魔王なら、自分も死んでのっこちゃんを勝たせてあげたい」

@娘々「ならこっちに来るアル! 私はとっくにその覚悟は……!」

シャナ「けど、そう強く思えば思うほど、それが証明になるんだよ……っ、のっこちゃんは、魔王だって……私達は、やっちゃいけないことをしようとしてるんだって……!」ポロポロ


感情というものは、いかに俯瞰しようと御し難い

人間の行動原理は感情だ。どんな損得があろうと、感情で覆してくる場面など数えるまでもない

だから、自分がそう思ってしまえばしまうほど、首を絞めているのだ

@娘々にもそれは分かっている。だけど、それでも……


シャナ「もうやめよう……私、たち……っ……戦う、理由なんて…………無い、んだ……っ……もうっ、どうしようもないんだ……!!」

@娘々「……分かってる…………わかってるけど……!」


シャナ「……頼む、どいてくれ…………じゃないと、私は、お前と…………戦わなきゃ……!」

@娘々「なら戦うアル! 戦って……私を殺してのっこちゃんを殺せ!!」

シャナ「殺さない……絶対、殺さない…………私は……お前を、殺さない!!」

ラズリーヌ「……戦うっすよ。シャナ。@娘々をぶっ飛ばして、目を覚まさせるっす」

シャナ「目は覚めてるよ……けど、納得しないんだよ。私も、@娘々も……したくないんだ」

プフレ「キノ……」

キノ「……できない。できるわけない……」

プフレ「……そうか。なら、いい。シャナ達に賭けようか」

シャナ「(@娘々は強い。太刀を使わないわけには、いかない……!)」

ラズリーヌ「行くっすよ!」


 身体能力(56+15+5+10=86)ロール(ラズリーヌとの共闘により+10)……>>直下コンマ二桁
 
 成功→@娘々を気絶させる
 失敗→@娘々を殺してしまう
 
 (ファンブル時……ラズリーヌが死ぬ)
 


シャナはラズリーヌに賭けていた。峰打ちにするとはいえ、太刀を使わなければいけない状況だ。思い切り振れば殺しかねない

ラズリーヌにその視線を向けると、頷き返してくれた。意図は理解してくれたらしい

シャナは涙を流していた。@娘々もまた、涙を流していた

@娘々の繰り出す岩やミサイルを避け、頭上に現れたビルに押しつぶされそうになるとラズリーヌが魔法で助けてくれた。彼女の魔法は宝石の間をテレポートする魔法だとかで、戦闘時にも大量の宝石の入ったゴムボールを放ってテレポートを連発。避け、撃ち込み、避け、撃ち込み、なるべくシャナと戦わせないようにしてくれた

@娘々が叫ぶ。仲間は殺させない。自分が悪いのは分かってる。だが、悪くなろうとこの思いだけは負けない

シャナも叫ぶ。仲間は殺させない。自分が悪いのは分かってる。だが、悪くなろうとこの思いにだけは負けない

決着はラズリーヌがもたらしてくれた

シャナが繰り出す斬撃を避けた@娘々の首筋に手刀というなんともあっけない終わり方だった。だが、それでいい。仇敵同士というわけではない。どうでもいい戦いなのだ。これは本来、あってはならない戦いなのだ。ならば、それ相応のくだらない終わり方でなければならない


シャナ「………………っ(だめだ……また泣いちゃだめだ…………これは偽りの気持ちなんだ……きっと、魔法の……)」


散々涙を流した。広場に血は流れなかったが、地面にはたくさんの涙がしみ込んだ

プフレは他の魔法少女達に噴水を調べさせた。まず中心のオブジェを取りその中を覗く。見つからない。次に普段は水が溜まっているはずの砂利まみれの地面を調べる。砂利をどかし、奥に何かないか調べる

その間にも、何も無くていいという思いが全員にはあった。全員が、間違いであってくれと思い探した

そして、それはあった

不自然に出来た直径1mほどの穴。人1人が通るには十分な穴

蓋を外した。いた。彼女はいた

スコップを手に、既に止血し終わった右手首を庇うように座り込んでいたのっこちゃんが、そこにはいた


のっこちゃん「…………見つかって、しまいました、ね……」

プフレ「………………すまない……我々の、勝ち……なんだ……」ポロポロ

ペチカ「ひっく……グスッ……」

キノ「…………」

ベル「そんな……嘘だ……のっこちゃんが……」

シャナ「(…………嘘だ。そうだ……嘘だよ…………)」

ラズリーヌ「っ、本当はのっこちゃんじゃないっすよね!? 魔王は本当は、この中には……誰か別の!)」

のっこちゃん「…………私が、魔王です」

シャナ「ッ……!」


嘘だと叫んだ。誰も責めない。誰にも責められない。のっこちゃんが魔王だなんて、誰もが嘘だと思っていた

のっこちゃんの魔法は感情の伝播だった。自分の思ったことがそのまま相手の感情になる。今まで普段の自分らしくない行動をとっていたことも、喧嘩っ早くなっていたことも、皆を疑っていたことも、最後までのっこちゃんを庇おうとしたことも……全部、のっこちゃんの魔法による感情操作だった


@娘々は、このログイン時にのっこちゃんが魔王だと本人の口から明かされた。そして思った。たとえのっこちゃんが魔王だろうと守り切ってみせると

死体の隠ぺいに協力した。ファル曰く、死体はずっとゲーム内にデータとして残るらしい。2人はチェルナー・マウスの死体を掘り起こし、フードを取り、火炎放射器を使って誰か分からないようにした。そしてのっこちゃんの右手首から先を切り落とし、魔法の端末を持たせのっこちゃんの死体だと偽造した

シャナがやってくるまでにそれをやらねばならず、ギリギリだった。@娘々の魔法の端末は攪乱のために違う場所に置いてあるから後で回収しにいけばいい。2人はシャナがビルに入るのを確認すると荒野の街に移動し、噴水に簡易なシェルターのような隠れ場所を作った

ログアウト時にはどこにいようと荒野の街の噴水広場に移動される。なら最初から最後まで広場にいれば移動判定はかからないのではないかと考えたのだ。だがこうして見つかってしまった以上、その検証ももうできない


のっこちゃん「…………あの、待ってください。皆さん。お願いが…………」

プフレ「……言ってみたまえ」

のっこちゃん「私は……自殺します。魔王を倒せば100億円なんですよね? そのお金を、私の…………家に……お母さんに……」

プフレ「……約束しよう」


 知力(52)ロール(今回シャナの幸運は関わってこないので補正無し)……>>直下コンマ二桁
 
 成功→殺すことがクリアかと叫ぶ
 失敗→泣きながらのっこちゃんの提案を飲んだ
 


シャナには何もできなかった

かつてないほどの感情の揺らぎを感じた。自然と、涙が出た

自分は人のことを気遣わないわけではない。だが、ここまで誰かのためというのは無かった。ペチカに対してのそれと匹敵した

のっこちゃんは魔法を既に解いているはずだ。今更やる意味が無い。なのに、何故……こんなに彼女を庇おうとするのか。簡単だった。仲間だからだった

できることなら、今すぐのっこちゃんに勝利を捧げたい。ここにいる連中を殺して自分も死んでのっこちゃんに生きていてほしい

そんなことが許されるはずがない

のっこちゃんがシャナの目を見て、それでいいかと確認をする

シャナは言葉が出ない。大粒の涙を流しながら、シャナは首を縦に振った


・・・・・・


キーク「待っていたんだよスノーホワイト! ささ座って! あ、ラ・ピュセルとハードゴアアリスも……どうもどうも。お噂はかねがね」

リップル「……」

キーク「あ、リップルはもういいよ。こうしてスノーホワイトに会わせてくれたんだから感謝してる」

スノーホワイト「…………ひとつ、聞かせて」

キーク「なに? なんでも聞いて!」

スノーホワイト「あなたは、クラムベリーの子供達は本当に魔法少女に相応しいかどうかテストしてたんだよね?」

キーク「そうだよ。あ、スノーホワイト達は別。ちゃーんとその資格があると思う!」

スノーホワイト「あなたの資料を調べさせてもらったの」

キーク「へぇ、よくあの管理部門から持って来たもんだね。でも何もなかったでしょ? だって悪いことはなにもしてないんだから」


スノーホワイト「ついでに、参加者の資料も持って来たんだけど……ブルーコメットって名前に心当たりはある?」

キーク「ん? なにそれ」

スノーホワイト「知らないはずがない。あなたがこのゲームに巻き込んだ魔法少女の名前なんだから」

キーク「はぁ? このゲームにはクラムベリーの子供達しか招待してないよ。ブルーコメットなんて魔法少女はあたしは知らない」

スノーホワイト「ブルーコメットは、現在師匠である魔法少女の名を襲名して『ラピス・ラズリーヌ』と名乗っていることも、知らない?」

キーク「………………は?」

スノーホワイト「この顔に見覚えはあるよね?」

キーク「……これ、ラピス・ラズリーヌじゃ……」

スノーホワイト「そう。正確には2代目ラピス・ラズリーヌ。彼女はクラムベリーの子供達でもなんでもない」

キーク「………………これは手違いだった。でもそれがなに? これは本当に魔法少女として相応しいかどうかの試験なんだ。このゲームで彼女が死ねば、彼女は本物の魔法少女じゃなかったってことだし、ラズリーヌは見事生き残った」

スノーホワイト「……そう、そういうことを言う」


スノーホワイト「ひとついい? 私はクラムベリーの影響を受けた魔法少女を取り締まって来た。彼女達はクラムベリーの試験らしく、魔法少女達に殺し合いをさせていた」

キーク「さっすが! 正義の魔法少女!」

スノーホワイト「あなたは、仮にそういう魔法少女が殺し合いをさせてたら、どうする?」

キーク「決まってるじゃん。ソッコー始末するよ。あたしにその力があればね」

スノーホワイト「そう……ところで、あなた、師匠の名前は思い出せる?」

キーク「え? ああ、あたしの師匠は………………………………あ、えっと……」

スノーホワイト「あなたの師匠は、ピティ。ピティ・フレデリカ。資料にそうあった」

キーク「ピティ…………フレデリカ…………」

スノーホワイト「クラムベリーの影響を受けて、生徒に殺し合いをさせた魔法少女。そして、私が最初に捕まえた……魔法少女」

キーク「ぁ………………あ……ぁ……!」

スノーホワイト「もう1度聞くよ。クラムベリーの影響を受けて殺し合いを試験で採用した彼女の弟子であるあなたは、クラムベリーの影響を受けた人間からすべてを教わったあなたが殺し合い試験をさせてたら……魔法少女育成計画をさせてたら、あなたはどうする?」


キークがその場に崩れ落ちる。慟哭が響き、空間にヒビが入る。この空間の主であるキークの精神にヒビが入っている証だった

キークの足場が崩れ、その奈落へと落ちかけた彼女の手を掴んだのは、リップルだった


キーク「あ……ぁ……! ああ……っ、あ……!!」

リップル「これは……私の相棒を巻き込んだ分だ……!」


リップルの拳がキークの頬を砕いた。それと同時に手を放す。キークは闇へと落ちていった


リップル「………………あとの処理、よろしく」

ラ・ピュセル「ああ」

アリス「キノのところへ……行くんですか?」

リップル「…………うん」


・・・・・・


リップルはキノのマンションへと向かった。右手にはラピッドスワローが握られている

キノは――結衣はここにいる。きっと


 リップルは……>>直下
 
 1.変身を解いてキノの部屋を訪ねた
 2.変身を解かず、ベランダからお邪魔した
 


・・・・・・


インターホンが鳴った。誰かは分からない。だけど、出たくなかった

宅配なら不在伝票を置いて行ってくれるからいい。押し売りとかも諦めて帰ってくれるからいい。キノ――木野結衣にはもっと違うことを考えているからだ

キノはすべてを思い出した。記憶を失ってゲームに参加させられていたこと。リップルに酷いことを言ったこと、攻撃し、スタングレネードを使い気絶させたこと。許されない。リップルが許してくれても、自分が自分を許せない。だがあれは記憶を書き換えられての行動だから自分だけど自分じゃないし……ああもう分からない

そしてなにより、見てしまったのだ。リップルの正体を――華乃を


5回目のインターホンが鳴る。しつこい。放っておいてくれ


「……キノ?」

結衣「ッ!」


一番聞きたくて、一番聞きたくない声が聞こえた


結衣「師匠…………師匠!」ガチャ

華乃「…………結衣」

結衣「華乃、ちゃん…………っ、あ…………ああぁ……! っ、師匠ぉぉ……!」グスッ

華乃「…………っ、おかえり」ポロポロ


抱き合って泣いた。華乃は嬉し泣きだったが、結衣は華乃の何倍も泣いた。嬉しさと、申し訳なさでいっぱいだった

華乃は全部説明してくれた。スノーホワイトと共に事件を解決してくれたと

結衣も全部説明した。ゲームの中で頑張ったと、書き換えられた記憶ではキノは一匹狼だと

笑い話になった

その日、華乃は泊っていってくれた。一緒のベッドで寝て、師弟としてなのか親友としてなのかよく分からない絆を確かめるように、強く抱き合って寝た


・・・・・・


あのゲームから数週間が経った

アニメの原作が出来上がり、それをアニメ会社に持って行った。「パーフェクトだ」と言われた。だが紗南はあまり嬉しくなかった

自分の体験を、仲間達の生きざまを……悪い言い方をすれば名声と金のために利用しているのだ。最初は全部書き直そうと思った。けど、それもまた彼女達への冒涜だと感じた

スポンサーに案を持って行った。庚江は自宅に招待してくれた。バカデカかった。町がまるまる1つ、彼女の家の敷地だったのだ。嘘だろと思った

庚江は以前言っていた友人を紹介してくれた。魚山護というこれまた庚江と同い年の少女だった


庚江「ふむ……なかなかどうして、魅力的な話だ。なぁ護?」

護「……は、い……!」

庚江「なにを驚いている。龍崎先生の作品に感銘でも受けたか?」

護「いえ、でも、これ……あの……!」


ああ、なるほど……と察した。口には出さないが、そういうことかと思った

確かに似ている。面影がある

紗南はいかがでしょうと尋ねた


庚江「ああ。魅力的だ。実に素晴らしい……が、ラストが意外だったな」

紗南「そうですか?」

庚江「魔法少女の数が18人ではなく16人なのにはどんな意味が? それに、ラストも違う。生き残ったのが3人というのも」

紗南「…………私の思った、ラストに、不満が?」

庚江「いやそうではない。ただ、意外だと思っただけさ」

紗南「……下半身が獣になる魔法少女は生き残るべきでした。それと、車椅子の魔法少女と黒ナースの魔法少女も、死ぬビジョンが見えません」

庚江「他は大量に死んでいるが、なにか意図が?」

紗南「………………ただ、なんとなく……です」


その1週間後に、プフレからオフ会の招待があった

あの過酷なところを生き残った同士、仲良くしようじゃないかというものだ。ハッキリ言って、紗南も同感だ

気のいい連中だ。死んでいった仲間達も、いい連中だった。メルヴィルは本当はどんな魔法少女だったのか、アカネは本当に最初からあんな狂っていたのか、知りたくても知れないことはたくさんある。が、彼女達は死んだ。死んだ者にいつまでも引っ張られていては、特にシャナの職業には向いていない

だが、日時が……明後日というのも急だな


 シャナはオフ会に……>>140
 
 1.出席した
 2.出席しなかった

1


結局出ることにした。魔法の国からの暗殺依頼は蹴った

明後日……それはプフレからの招待を含めれば3つの用事があった

1つは魔法の国からの暗殺依頼の対象に手が出せる日がその日だけだった。外国だったため1日潰れる

1つはアニメのキャストオーディション。これにはスポンサーである庚江も立ち会うらしいので紗南も原作として呼ばれた。行かないという選択肢もあるが、行かないわけにはいかない。事実をもとにしたとはいえ、紗南のお話なのだ


あっという間に2日が流れた。都内の某スタジオに関係者と役を勝ち取るべく集まった声優が集う

東京すげー、スタジオすげー、都会すげー、マイクすげー、ミキサー室すげーとか思っている内にオーディションが始まった。監督が手際よく進めていく


「はい、じゃあアニメ『Pestilence』のオーディションを始めます。まず主役から……木野さんからね」

「はい! 木野結衣です。よろしくお願いします!」


オーディションが終わった後、同じく都内某所のとある喫茶店に様々な種類の人間が集まった。共通点はひとつ。性別:女だということ


「あれ、さっき会ったような……」

「やぁ。君の演技は素晴らしかった」

「声優だったんですか……」

「そういうあなたこそ、スポンサーとその従者じゃ!?」

「おーっす! 久しぶりっすー!」

「ちょ、ちょっと……いきなり席を立って叫んじゃだめだって!」

「あの……あなたが……」

「ッ、ペチカ様ー!!」


紗南の魔法の端末には次の依頼のメールが来ている。無視した。なによりも、優先するものがあった

シャナは闇の世界の住人だ。中学生特有の表現とかそういうのではなく事実だ。だが、ペチカと会っている自分は常に光とある。光が強くなれば闇も深くなる。だが、今は闇など気にしない。目の前に、大切なものがあった



 ~魔法少女育成計画 restart 完~

遅くまでお疲れ様でした
limitedは多分今回と同じスタンスで……勢力が明確に分かれているので、どの所属にするかで色々運命が決まると思います

とりあえず書いてる途中に想定していた結末をIFとして、2つだけ小話(途中ロールが1回だけあります)


  ~IFその1「もしキノがメルヴィルとの戦いで死亡したら」~

  
  
 
 ・・・・・・

 
 
キークが慟哭と共に崩れ落ちる。これで事件は解決した

 
だが、スノーホワイト達は遅かった


リップル「キノ、キノは!?」

ファル「………………キノは……死んだぽん」

リップル「ッ、う、嘘だ……! そんなの嘘だ!!!!」

ファル「……キノの死ぬ間際の記憶を再生することができるぽん」

スノーホワイト「…………お願い」


いくつもある画面の内、もっとも大きなモニターに、銛をモロに喰らい腹から血を流し、息絶えようとしているキノの姿が映し出される

そして別のモニターに、キノの見ていた光景とキノの頭の中の光景が映され、キノは記憶を取り戻しつつあると分かった


リップル「キノ……キノぉ!」

『そうか……私…………師匠に……っはは……駄目、な、弟子……だなぁ……』

リップル「そんな……いやだぁ……!」

『ごめんなさ、い…………し、しょ、う………………………………………………』


リップルは画面にかじりつく勢いで顔を押し付ける。が、その中へ届くことはない

それきり、画面は黒一色になった


・・・・・・


それから、細波華乃は木野結衣のマンションへと向かった

結衣はベッドに倒れていた

ガラス細工を扱うような手つきで結衣の死体の腕を開き、抱きしめ、泣いた

スノーホワイトもラ・ピュセルもハードゴア・アリスも、友の死に涙を流さないわけがない。だが、華乃はその何倍も何十倍も泣いた。三日三晩だった

流石にこれ以上はまずいと思ったスノーホワイトは通報し、声優・木野ユイの死がネットニュースで大々的に報じられ、ファンの涙を誘った

警察や救急隊員を振り払おうとし、叫ぶ華乃の姿は痛々しかった。彼女の目はまるで何かにとり憑かれ、最後の光を奪われたかのようだった

それ以来、華乃は自宅で塞ぎ込むようになった


華乃「……………………………………」


キッチンが目に入る

よろめく足でキッチンへ向かい、包丁を手に持ち、自分の左手首に突き立てた


スノーホワイトが姫河小雪として華乃のお見舞いに来た時、華乃が左手首を包丁で切ろうとしているのを目にしたのは幸運だった


小雪「リップル! なにしてるの! やめて!!」

華乃「放せ、放せぇっ! キノ、キノのところにっ、結衣のところに行かせてぇ!!」


華乃はそのまま、魔法少女や魔法使いも使う病院の精神科送りとなった

だがそこでも、華乃は腫れ物扱いだった

食事が出されるなり、食器として付属していたフォークを手首に突き刺したのだ。安全のためにプラスチック製だが、勢いよく突き刺せば皮膚を突き破ることもある。華乃の手首からは血がにじんだ。看護師がそれを慌てて止めようとしたが華乃はそれを蹴飛ばし、結果華乃は手足を拘束され点滴と栄養ゼリーだけの生活になった

ほぼ毎日カウンセリングをしていた魔法少女の患者も受け持ったことのある精神科医も匙を投げ、今では月に1回、形だけのカウンセリングが行われるのみである

スノーホワイトはもう見ていられなかった。魔法の国にリップルの記憶を消して元の生活に戻すよう申請すると、既に使い物にならないと判断されていたのかアッサリ通った

資格の剥奪実行はスノーホワイトが買って出た。これがせめてもの、仲間に自分がしてやれることだと


リップルの資格を剥奪しようと病院に行ったところで、B市の事件の報を聞き後始末に駆り出されることになるとは予想外だった

スノーホワイトは歯噛みして、仕事を終えてからリップルに会いに行こうと決めB市へ飛んだ

その日の夜だった。華乃の病室に1人の魔法少女が現れたのは


「こんばんは」

華乃「…………」

「まさか、スノーホワイトの近くにこんな魔法少女がいたなんて、運命とも呼ぶべきでしょうか」ザクッ

華乃「っ…………」ビクッ

「さぁ、変身してください。そしてこれからは私の駒となって働いてくださいね。リップル」

リップル「……はい、マスター…………」


B市で事後処理にあたっているスノーホワイトがリップルが行方不明の報を聞くことになることも、とある地下施設を巡る事件にてスタンチッカと名を偽った彼女に出会うことになるのも、今はまだ知る由も無い――



   ~IFその1 終~


  ~IFその2「もしキノが最初の戦闘でリップルに気絶させられていたら」~

  
  
 
 ・・・・・・

 

グツグツと何かを炊き込む音と、漂ってくる胃を喜びに震わせる匂いで結衣は目を覚ました

見覚えの無い天井だ。周りを見る。簡素なアパートの部屋だろうか。キッチンには見覚えのある少女が立っていた


結衣「……華乃、ちゃん…………?」

華乃「気が付いた? もうすぐおかゆ出来上がるから」

結衣「………………あれ、私……っ、そうだ……!」

華乃「驚いたよ。まさか、結衣が……キノだったなんて」

結衣「ッ! どうしてそれを……!」

華乃「私はリップル」

結衣「リッ、プル………………えっ、華乃ちゃん……リップル……!?」

華乃「驚くのも分かるよ。私だって驚いたもん。まさか長年連れ添った相棒が結衣だったなんて……とりあえず、食べて。美味しいと思うよ」


リップルの出す料理など、何が盛られているか分からない。そう思い警戒していた結衣に気付いたのか、華乃はおかゆを一口食べてみせ、ほら。と結衣に差し出した

その瞬間、結衣にはおかゆが「華乃が出す優しい料理」に見え始めた。するともう止まらなかった。空腹の結衣にとって、それは何よりものご馳走だった

だが、長年連れ添った相棒? そんな覚えはない。だって、リップルなんて魔法少女、知らない…………なんだ、これは。記憶がおかしい。華乃はこんな嘘を言う子じゃない。なら、私の記憶はなんなのだ


結衣「私……なんなの……? 記憶、変…………リップルなんて、しらない……」

華乃「結衣、落ち着いて。結衣は……キノはどこかからメールを受けて、それで気を失って、起きてたらおかしくなってたの」

結衣「本当……?」

華乃「本当だよ……信じられない?」

結衣「じゃあ、この記憶は何? リップルって一体何なの!?」

華乃「……リップルはね、キノの…………」

結衣「…………」ゴクリ

華乃「ママだよ」

結衣「ママ」


 キノの知力(30)ロール……>>直下コンマ二桁

 成功→何言ってんだお前
 失敗→マ゛マ゛ーッ!!


結衣「……華乃ちゃん」

華乃「なぁに?」

結衣「変な事言って、熱でもあるの?」アハハ

華乃「私は結衣を産んだ」

結衣「……さよなら」

華乃「……」ガシッ

結衣「放して! 誰かー!!」

華乃「…………逃げないでよ」

結衣「やめて! 誰かたすけてええええぇぇぇ!!」


結衣の困った声を聞きつけたスノーホワイトに助け出されてから、キノは名実ともに監査部門の一匹狼となった

ごめんなさい・・・どうせ成功しないだろwwwwwとか思って書き溜めていた元々の文にちょっとお遊びで知力ロール入れただけなんです・・・失敗時のもせっかくなので書き込ませてください・・・お願いします・・・


翌日、スノーホワイトは久々に監査の仕事から帰って来たN市で「キノとずっとこういう関係じゃないと困る」という声を聞いた。キノ……確かにキノと言っていた。つまり、魔法少女だ。リップルだろうか。そうだ、サプライズ訪問なんてしてみちゃおう

スノーホワイトはラ・ピュセル、ハードゴア・アリスと共に、とあるアパートの一室を訪れた。声はここから聞こえてくる。ドアにカギはかかっていない。不用心だなぁと思いつつも「お邪魔します」と声をかけてから扉を開けた


キノ「ままぁ、ちゅー! ちゅーしれ、ちゅーしれ!」

リップル「チューしたいの? いいよ」チュッ

キノ「キャッキャッ」

リップル「あ、そろそろご飯の時間だね」

キノ「おっぱい、おっぱいのみたい」

リップル「おっぱい飲みたいの? ごめんね……キノの赤ちゃんを産むのにはあと10ヶ月かかるから、おっぱいはまだ出ないの……吸うだけならいいよ」

キノ「すう! すう! 吸いむ吸いむ!」チューチュー


スノーホワイト「」

ラ・ピュセル「」

アリス「…………………………………………………………………………これはひどい……」



  ~IFその2 了~


今日はここまでです

@娘々はこの後オフ会に参加し、気持ちに向き合って結論を出してから魔法少女を正式に辞めました
辞める前、キノつながりでラ・ピュセルとサッカー対決もしました。ラ・ピュセルが負けてスノーホワイトに折檻されました

のっこちゃんのお金についてはプフレが責任を持って対応しています

生き残った魔法少女は暇を見つけては死んでいった仲間達のお墓参りに回っています


limitedについてはまた新スレで
ここまで来てしまったらこの世界線を続けるしかない……気がする
ちなみにlimitedではキノとリップルは出ません。3馬鹿(白いのと黒いのと騎士)は考え中


外ヨコ層×内タテ層のクロス Ruler で
君の タマ が叫ぶ!
ミナギル ユダネル 吸いむ吸いむ!


あの、クラムベリーの試験から2年が経った。ある日、キノがおかしくなったとリップルから連絡が入り、まわりまわってキークという魔法少女の逮捕に繋がった

そこからである。キノの正体……木野結衣を見てから、年上に目覚めたのは

ラ・ピュセルこと岸辺颯太は閉め切った自室で『日課』を終え、一息ついた


颯太「ふぅ……」


颯太とスノーホワイトこと姫河小雪は、あの試験が終わってからなるべくして恋人となった。どちらともなくだった。多分、両想いだったのだろう

お互いに奥手で初心だった。キスだってまだしていない。健康な男子中学生の颯太には、健康な女子中学生の小雪に何度も悶々とした日々を送ったものだ

だが時間は颯太を大人にした。もう高校1年生だ。サッカーは続けている。男として人に言えないようなことも、少しレベルアップした

たとえ小雪とそういうことができなくても、いつかするときに備えてのイメージトレーニングを欠かさない


まず、中学の頃のような突っ走り具合ではなく、『数より質』を重視してじっくりこってり楽しむことを覚えた

そしてたまに見かける際どい魔法少女を見ても簡単に心を動かされなくなった。大きい胸、スリット、目を奪われないわけがないが、以前ほど動揺が表に出なくなった。というか、むしろ貪欲になった。動揺する暇があったらじっくり見て脳内SSDに保存した

脳内設定を作りまくった。小雪とのそういう妄想は言わずもがな、小雪以外……例えば、リップルとか、シスターナナとか、ヴェス・ウィンタープリズンとか……

とある事情で2人組になって活動しなければならず、絆を深めようと…………メチャクチャ捗った

百合百合しい仲の2人が自分に目を付けて、2人で颯太をいじめる…………ありえないほど捗った


最近のトレンドはキノだ。リップルが仕事かなにか、とにかく遠くに行ってしばらく帰ってこないところを、キノが心配だからと護衛を頼んでくる

護衛なら、自宅にも上がらないとね……とキノの方から誘ってくる

(本当は作ったことがないが)「任せてくれ、料理は得意なんだ」という自分への脳内設定を活用し、料理を作って来るところをキノに後ろから抱きしめられる

『ど、どうしたの?』『……私って、魔法少女っぽくないよね……服も地味だし、髪も、黒くて短いし……』『そんなことない! キノはとても魅力的だ』『ホント……?(トゥンク)』

そしてなし崩し的にベッドへ………………アルティメット捗った


小雪が知れば、仲間で妄想に耽るとはなんと情けないと嘆くだろうか。私という彼女がありながらと怒るだろうか。まぁ会っている時にこんなことを読まれれば間違いなくそうなるだろう。颯太は小雪が変身していない時に限り、会っている時も隙あらば道行く人や仲間の姿を目に焼き付けて、家に帰ってから再生した

そして、スノーホワイトと会っている時も妄想できるのではないかと思った

颯太は中学の時、正確にはクラムベリーの試験が始まる前くらいにとある方法によって鋼のメンタルを得た。それは「困った時にはお母さんの顔を思い浮かべる」だ。これによりイケナイ妄想をスノーホワイトに聞かれずに済む

だがスノーホワイトの魔法は変わった。たとえ具体的に思わなくても思考の裏まで聞けるようになってしまったのだ。故にスノーホワイトの前で母親の顔を思い浮かべたところで「母親の顔を見ることによってスノーホワイトにイケナイ妄想しているのがバレないようにしてるけどもしバレたら困る」という声が聞こえるようになってしまったのだ

颯太は対策を考えた。そして閃いた。「そうだ、困らなければいい」

困らなければ、スノーホワイトに聞かれることは無い。颯太はメンタルをさらに鍛え上げることに成功し、なんの罪悪感も無く仲間を妄想で汚せる図太い神経の持ち主になった


キノ曰く、記憶が戻ってからはリップルと同居しているらしい

同居……ひとつ屋根の下。シスターナナ達を思い出させ、当然そういうことも……と耽る。そしてキノとリップルは同い年――つまり颯太の年上――で、現実でも親友同士だったようだ

キノとは個人的にも魔法の端末と通して会話することが多い。リップルの正体、細波華乃が可愛いとか、リップルには頭が上がらないが華乃ならいくらでもお姉さんになれるとか……そこからあくまで妄想だが、あくまで精度の高い設定を作り上げた


『ほら、どうしたのキノ……ラ・ピュセルが見てる前なのに、いけない子』『い、いやぁ……師匠……』

『あれぇ華乃ちゃん、いつものツンツンはどこにいっちゃったの? 颯太君見てるよ? 師匠なのに情けないなぁ』『あ、う……許してぇ……結衣ぃ……』


この上なく捗った。これは日課の助けになる。素晴らしい。100点満点の設定だ

ほどなくして小雪が家に来てくれた。お邪魔しますと消臭済みの颯太の部屋に入り、彼氏彼女の時間を過ごす――はずだった


小雪「変身してない時と変身してる時で攻守が逆転するのって良いと思うよ、そういうの」

颯太「えっ…………」

小雪「現実じゃそうちゃんに任せたいけど、スノーホワイトがラ・ピュセルにされるがままっていうのじゃつまんないもんね」ニコニコ


スノーホワイトの魔法は颯太の想定を超えて進化していた


新スレ誘導
【まほいく安価】プフレ「19人目が事件に介入したか」【魔法少女育成計画limited】
【まほいく安価】プフレ「19人目が事件に介入したか」【魔法少女育成計画limited】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1485012235/)

restartはぶっちゃけあんなに死人が出ないで終わるなんて思わなかったので原作とかなり違ってしまいました
原作は心理戦頭脳戦などなど、これよりとっても面白いのでぜひ読むことをオススメします

limitedは死人出やすいからいっぱい殺せるぽん


  ~後日談 「華乃が結衣の家に引っ越してきた水曜(どうでしょう)の夜」~

  
  
・・・・・・


~深夜0:50 とあるマンションの402号室~


結衣「私と華乃ちゃんはもう、明日の早朝にある監査部門の報告会議のために電気を消して寝てたんだよ! そこに、死んだはずの陽気なあなたがだ! ねぇ!? ドンドンドーンとしてきて、なんですかーい? って言ったらね、『寝てるのかーい?』とドカドカドカドカ夢枕に立ってきたと思ったら電気を点けて」

トップスピード「ハッハッハッハッハ!!」

結衣「『腹を割って話そう』と! 言い出したんじゃないか!」

結衣「じゃあ、じゃあ説明しよう。今日今ここで何が起こったのかを、ね? 私は今日アレですよ、皆さんご存知の華乃ちゃんとの同居初めての夜を迎えたわけですよぉ」

結衣「皆さんもうご覧になったでしょう? 私はあの地獄の中主人公をやっていたキノですよ。監査部門のキノですよ」

結衣「華乃ちゃんの重い荷物を持って、私はやっとこの自宅に着いたわけですよ。そしたらもう時間もなくて、急いでお風呂に入ってお食事をして、その後私はイチャイチャしました。リップルと共に2時間のイチャイチャをして、写真を撮ってもう私はヘトヘトですよ」

結衣「さぁ、寝ようかと思った時にまだ華乃ちゃんは足りなかった! そこに私は相手をしてやっと寝れるって決まったのが12時ですよ、皆さん!」

結衣「私が寝ようと思ったの、12時なんですよ。いいですか、12時に私は布団に入って寝ようとしたんですよぉ! すると現れたのがこの魔女なんですよぉ!」


結衣「何の気か知らないけども、幽霊が現れて、私は別に何にも思ってないのにぃ! 腹を割って話そうとこの女は私の部屋に乱入してきたわけです」

結衣「私は別に彼女にわだかまりも何も持ってない、仲が良いですよ。尊敬してる先輩だ。別に彼女と腹を割って話すことなんて何もないですよ。ところが彼女は私に腹を割って話そう! と言って、何を話したいのか知らないが、私の部屋に居座って……」

結衣「時計見てください。12時52分です。もうかれこれ彼女は1時間私の部屋を離れようとしないんですよ。そうでしょう? それで、私は! それで視聴者の皆さんまだ聞いてください」

結衣「私は再三『帰れ』って言ってるわけですよ。もう大先輩だ、魔法少女の。その人にさっきから私は『バカヤロー! 帰れ! 即刻帰れ!』と、再三罵声を浴びせかけているにも拘らず、帰らないんですよ!』

結衣「そして私は、苦肉の策で、このトップスピードさんと同じ死人の……これもまたバカな女なんだけども、ねむりんに、今電話をしたわけですよ!」

結衣「トップスピードさん帰らないから、連れて帰ってくれ。と言ったら、そのねむりんは、皆さん何て言ったと思います?」

結衣「『あぁそうか、分かった分かった。じゃあカメラ回そう』と言って! それでねむりんは今カメラを回しているんです! どうですか!? 視聴者の皆さん、おかしいでしょう!? この人達はぁ!!」

ねむりん「はははははははははは!!」


結衣「私はぁ! 寝かしてくれと言っているんですよ! 視聴者の皆さん、ご存じのはずですよね? 私が明日何時に起きなきゃいけないか!」

結衣「先ほどお話ししたとーりだ! 私は5時にィ! 監査部門の会議に出席するためにィ! 私は5時にぃ変身をしなきゃいけないんです。この時点で私の睡眠時間はあと4時間だ」

結衣「もう1つ言いましょう、私は風邪を引いています! 私は今具合が悪いんだ。熱があるんだ。なのにぃ! この魔女ルックは大爆笑しながら、まだ私と腹を割って話そうとしてるんですよ!」

結衣「このっ状況を、視聴者の皆さんはどう思いますか!!」

トップスピード「だから俺が言いたいのはぁ」

結衣「おぉんぉぉぉん(頷き)」

トップスピード「明日朝5時に起きなきゃいけないからっていう確認に来たんだよ」

結衣「ぉぁそうですかそうですか、あぁ分かった分かった」

トップスピード「朝5時だから」

結衣「あぁあぁそう、そうですね、それならそう言ってくれればいいんですよ。なにもそのっ、腹を割って話そうと息巻いてぇ、夢枕に立たなくてもいいわけでしょぉ!?」


トップスピード「改めてキノにぃ、明日5時だぞと。5時だから決して寝過ごさないよーにと!」

結衣「そうですよぉ」

トップスピード「言いに来たんだよ。そしたらね、キノがね、なんか、こう俺と、腹を割って話そうと」

結衣「違うでしょ! それはまったく違うでしょぉ!」

 ~10分経過~

結衣「いいかい、ある魔法少女がだ。夜中12時にだ。あさ、朝5時に起きなきゃいけない女だその女は。そしたらもう12時になってしまってぇ、寝ようとしているところに『腹を割って話そう』と言って私を庇って死んだ先輩が1時間居座ったんですよ」

トップスピード「ハハハハハハ!!」

結衣「その女に、『オイ帰れ!』と言ったことは別に何の不思議も無い!」

トップスピード「いやだからな?」

 ~さらに5分経過~

結衣「分かりました。あぁ、明日、5時に起きるんですか? 私は」

トップスピード「5時に起きるんだよ?」

結衣「あぁ……」


結衣「分かりました。ではぁていうことはもう? あ、あぁあと、あと4時間ですね?」

トップスピード「そうだな」

結衣「ああこれはいけないですよ。これはいけない。これは申し訳ございませんでした」

トップスピード「そうだろ? そりゃ、早く寝なさいって言いに来たんだよ」

結衣「早く寝なさいって言いぃにきて!?」

トップスピード「ハハハハハハハハハハ!!」

結衣「だははははは! 5時なんだからぁ、君は早く寝なさいと! ということをあなたはぁ、12時から1時までの間にぃ、私に語ってくれたんですね! 今やっと分かりました。ありがとーございました」

トップスピード「明日5時にスタンバイしないとぉ、もしな? スタンバイ5時に遅れて――」

 ~さらに40分経過~

トップスピード「もう話すことは無いな?」

結衣「そうですね」


トップスピード「そうだろ? 頑張れよキノ」

結衣「頑張りますよー明日ーやりますよぉーやりますよぉー明日はー……そのためにももうあと3時間タップリ寝て! やりますよぉーそりゃーいよーし、よし、よし、よし……何してやろうかなぁ?」

トップスピード「じゃあその色んなプランを練りながら――」

結衣「練りながらぁ、じっくりとぉ」

トップスピード「じっくりと」

結衣「寝かしてもらいますよぉー」

トップスピード「それじゃ、電気消しとくから。おやすみ」

結衣「おやすみなさーい」


~深夜2:30 402号室~


トップスピード「ぷっくっくっくくく!!」

ねむりん「ひひひひひひひ!!」

華乃「うぅん……」Zzz

結衣「あれっ、どうしたんですか?」

 ~5分経過~

結衣「帰りなさいよ!」

トップスピード「帰りなさいよじゃねぇよだから!」

 ~10分経過~

トップスピード「トランプでも持ってこよっか?」

結衣「そうですねぇ~まぁあの、トランプでもあれば……またトランプでもやって夜を明かせたんだろうけど………………クラムベリーあの世で何してんでしょうね。ちょっと腹割って話したいですねぇ」


~深夜2:50 402号室~


結衣「グオオオオ……」Zzz

トップスピード「キノごめん、さっきクラムベリーと話したいって言ってたから。連れて来たけど」

 ~5分経過~

クラムベリー「あの試験はねだからね!」

結衣「あの試験はだからね! 私は言ったじゃないですか! 死人が出る時点で論外だって」

 ~さらに5分経過~

結衣「ああそうですか……」

トップスピード「じゃあじゃあクラムベリーの話はね? 別にいいにしてもぉ、キノほら、さっき『寝られない』って」

結衣「ふぁっはぁっはっはっは! ひははははははは!!」

トップスピード「こんな時にトランプでもって言ってたじゃねーか! トランプ持って来たからさぁ」


 ~さらに10分経過~

トップスピード「楽しいかキノ?」

結衣「いやぁぁ~もう、ババ抜きって私が言い出したんだからぁ?」

トップスピード「そぉーだろぉー?」

 ~さらに10分経過~
 
結衣「…………うっし」

トップスピード「寝るか?」

結衣「寝ましょうか、したら……そろそろ」

結衣「クラムベリーごめんなさいね? なんか……」

クラムベリー「いやーほんとですね、安らかに寝てたんですけどね寝てたところを。トップスピードがガンガンガンガン! って、何事かと思いましたよ」

トップスピード「あぁ? キノぉ、俺に対してなにかあるのかぁ?」


結衣「『腹を割って話そう』って言うわけ! 私のところに、クラムベリーね、コイツがね、私のところに来たのがクラムベリー、12時ですよ」

クラムベリー「ハハハハハハハッ!!」

 ~さらに5分経過~
 
結衣「腹を割って話すことなんてもうないでしょぉ! さっきからもう、話はもう終わってるじゃないですか!!」

トップスピード「ハハハハハハッハハッハハッ!」

結衣「 出 て け よ ! ! 」

クラムベリー「はっはははははは!! トランプはもういいんですかぁ?」

結衣「トランプなんかもうやりたくねーよ!! こんな夜中にぃ」

トップスピード「ゴメンゴメン、もう、帰るよ本当に」

ねむりん「あともう(5時まで)2時間しかないから~」


結衣「ごめんなさいね、メルヴィルもなんか来ていただいちゃって」

メルヴィル「かまうごったねだ。不満でもあっが?」

結衣「あのね、違う。メルヴィルね~この女(トップスピード)はねぇ~! メルヴィルが来るまでぇ~! 12時ですよ、この女が私の夢枕に立ったのは!!」

結衣「そうでしょ? だからねーおかしいの。メルヴィルこれおかしいと思わない? これちょっと言った方がいいと思うよ。主人公寝かせないってどういうこと!?」

クラムベリー「ははははははは!!」

結衣「話すこと無ぇっつってんのに腹を割って話そうとか言うんだよ?」

クラムベリー「俺もいるこっだけん、この際不満全部言っぢまえ」

結衣「いやいや無い無い無い無い無い無い、不満なんか無いよ。私はこの生活が大好きだし魔法少女も大好きだし朝4時(錯乱)に起きることに何の不満も無い!」

結衣「もう問題何もないです! 問題ナシ! 問題ナシ!!」

結衣「ごめんなさいね! 私の言葉がなんか色々こう行違ったみたいで! 皆さんになんか心配かけたみたいで!」

結衣「次々に皆さんに心配かけたみたいだけどハッキリと言いましょう、問題ナシ!! スッキリした! オールクリアです!! ノープロブレム」


結衣「迷いが消えました。晴れ晴れとした気分です」

クラムベリー「あ、迷いはあったんですね」

トップスピード「迷いがあったんだったらちゃんと――」

結衣「いやいやだから、それが、だから今ね、すべてが解消されましたぁ。オールクリア!」

結衣「ホントにね、道が見えました。本当に」

トップスピード「キノ顔がっはっはははは! 顔が!! だははははは!! 『問題アリ』の顔になってるぞ!!」

結衣「問題ナシ。私は本当にぃ……」

トップスピード「怒ってない?」

結衣「怒ってるわけないじゃないですかぁ。全然大丈夫」


結衣「私は一生魔法少女します」

トップスピード・ねむりん・クラムベリー・メルヴィル「うははははははははははははは!!」

 ~現在時刻午前3時~

 
翌日キノは寝過ごした


華乃「結衣、大丈夫? もうお昼なんだけど……」

結衣「………………………………寝かせて」

元ネタ
『腹を割って話そう』
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