渋谷凛「プロデューサー(女性)のことを恋したみたい……」 (52)

・プロデューサー(女性)が結構出番があります。
・百合一応注意


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渋谷凛「そう、プロデューサー。女の人で、私より背が高くて、スタイルもよくて、美人で、スーツがきまっていて、とても気配りのできる、かっこよくて……」

凛「……うん、なんか自分で言ってて恥ずかしくなった」

凛「でも、プロデューサーのこと、意識しちゃうんだよね。なんか最近、プロデューサーの顔もちゃんと見れない感じ」

凛「朝起きると、まずプロデューサーのことを考えるんだ。それから、プロデューサーのことを考えて身だしなみを整えて……」

凛「プロデューサーに会うと、まともに近くで顔を見れないんだけど、遠くからプロデューサーをみたりするんだ」

凛「でも、他の人にはこんなこと言えないよ……ハナコ」

ハナコ ワンッ

凛「うん、皆のこと信用しているけど、女の人が女の人のこと好きって思ったら、皆ひくだろうな……」

次の日 事務所

凛(プロデューサー、今事務所だよね……なんかプロデューサーのこと考えていたら、事務所に入るのも緊張する)

凛(髪、乱れてないよね……)サワサワ

凛(……よし、行こう)

ガチャ

凛「おはようございます……って、あれ?」

凛(プロデューサーも、ちひろさんもいない……)

女性プロデューサー(以下、P)「凛、おはよう」

凛「ひっ」ビクッ

P「何、そんな悲鳴あげなくてもいいじゃない」

凛「あ、ごめん。プロデューサー。あと、おはよう」

P「うん、おはよう」ニコッ

凛 カァッ

P「あっ、凛、肩になんかついてる」

凛「えっ、あっ、ほんとだ。なんだろう……」

P「なんかのくずかな。今日、風強いからねえ。寒いし。おばさん、困るよ」

凛「まだ、お姉さんでしょ。プロデューサー」

P「へへっ、これでもおばさん初心者だよ。でも、確かにお姉さんの方が好きかな……」

凛(あ、プロデューサーが近い……)

P「ゴミ、とったよ。どうもなんかのビニールのかけらみたい」

凛(プロデューサー、良い匂いだなぁ……どこの香水使っているんだろう?)

島村卯月「えっ、プロデューサーさんがどこの香水を使っているか、ですか?」

凛「うん、なんかハーブティーみたいな、さわやかな香りがしたんだ」

本田未央「うーん。しきにゃんに聞けば一発だと思うけど、私たちのプロデューサーと接点あんまないからなあ」

卯月「ところで、何でプロデューサーさんの使っている香水が気になったんですか?」

凛「えっ、あ、いや、たまたま良い匂いがしたから、気になっただけで……」

未央「ふーん……」

別の日 Pの運転する社用車の中

P「三人ともラジオのゲストの仕事、お疲れ!」

TP「お疲れ様ですー!」

P「今日は私も現場いけなくてごめんねー。でも、私も車の中でラジオきけたから、きいていたよ。3人とも良かったよ」

北条加蓮「そうなんだ。でも、プロデューサー、私のトークきいて、なんか思うところあったら詳しく聞きたいんだけど」

P「うーん、加蓮はもうちょっと積極的に話しても大丈夫だと思う。でも、凛や奈緒、パーソナリティさんのトークを聞きながら、ちゃんと自分らしさが出ていたトークをしていたよ」

加蓮「そっか……ありがと」

神谷奈緒「ねえ、プロデューサーさん。あたしは?」

P「奈緒は今日はちょっと積極的に話し過ぎたね。もうちょっと、周りのトークを聞きながら話したほうがいいかも」

奈緒「うぅん、そっかぁ……」

P「今日のトークテーマは『好きなもの』で、好きなアニメの話を振られたからしょうがないよ。でも、周りが困るほどトークしていたわけではないし、
まあ、そこが奈緒っぽくて、かわいいから、大切にした方が良いよ」

奈緒「ううっ、かわいいは余計だ……」カァ

凛(……聞けない)

凛(……プロデューサーの意見、聞きたいけど、ちょっとこわくて聞けないな……)

P「凛、どうしたの? 具合悪い?」

凛「えっ、いや、そんなわけじゃ」

P「そう、ならいいけど。なんかあったら言ってね」

凛「うん、ありがとう……」

また別の日

奈緒「……ということがあったんだ。凛だったら、自分が調子悪くても、そこらへんはちゃんと聞くと思うけど、その時は黙っちゃってさ」

卯月「そんなことがあったんですね。凛ちゃん、最近様子がちょっと変ですよね……」

未央「そうだね。私も気になっているんだけど、ちょっとそこには触れちゃいけないオーラが出ている感じがしてさ……」

加蓮「……あのさ」

卯月「はい?」

加蓮「直接、本人に聞いてみない?」

奈緒「えっ、それはちょっと強引じゃないか?」

加蓮「うん、私もそう思う。でも、このままお互い黙っていても、変によそよそしくなっちゃうだけだと思う。
   凛も、何があったか知らないけど、凛もあのまま悩みを溜めちゃうタイプだから、ちょっと強引にでも話をきいた方が良いと思う」

未央「……そっかあ。そうだね。私も賛成」

奈緒「うん、あたしも良いと思う」

卯月「私も賛成ですが、凛ちゃんも敏感になっているので慎重にいかないと……」

加蓮「そうね。あくまで遊ぶていにして、まあ、そこから凛に聞いちゃう感じの流れで……みんな予定あいてる? 凛には私から予定きいておくけど……」

休日 カラオケ

奈緒「はー! 久しぶりにこれ歌えてすっきりしたぁ!」

凛「この歌、歌いやすそうだね。アニメソングだからかな」

未央「確かに、子供向けの特撮とかアニソンとかって歌いやすいよねぇ。小学生の頃、兄弟で一緒に歌っていたなー」

卯月「私も何かアニメソング歌おうかなぁ」

加蓮「皆がそれなら、あたしはこれにしようかな」


凛(……凄く楽しいんだけど、なんか皆どこか気を使っている感じがする)

凛(私が悩んでいるの、バレバレなのかな……)

凛(……こういう時、プロデューサーならどうするんだろう?)


加蓮「……凛?」

凛「ん、あ、なに?」

加蓮「最近どうしたの? 何か悩んでる?」

凛「え?」

奈緒「ちょっとあたしたちも気になってたんだ。もしよければでいいけど、相談にのりたいんだけど……」

未央「話しにくかったら、大丈夫だよ。でも、もしできるなら、しぶりんの悩みをちょっとでも解決できたなあ、と思って……」

凛「……」

卯月「無理はしなくていいですからね」

凛「……ありがとう。正直に話すね。実は……」

卯月「プロデューサーさんに恋した、って。あの、プロデューサーさんにですか?」

凛「うん、あの、女性のね」

未央「そっかぁ……そりゃ、大変だね……」

凛「大変という感じはないかな。でも、最近どんどん思いが強くなって、プロデューサーのこともまともに見れない。大変というか、やっぱ、ちょっとつらいかな……」

奈緒「うーん、相手は女性だろ。男の人へでも、告白するとか難しいのに……」


加蓮「……いいんじゃない?」

凛「え?」

加蓮「相手の人に思いをぶつけるのが、今の凛にとって一番じゃないかな?」

卯月「確かに、今の凛ちゃんはずっと思い詰めてて辛そうです」

未央「それなら、言っちゃった方が早い、か」

凛「でも、相手は大人の女のひとで、私は女子高生、女の人同士で、しかもアイドルとプロデューサーだよ? 
  プロデューサーも困るだろうし、それで関係がギクシャクしちゃったら、仕事にも影響出て、皆に迷惑かけちゃう」

加蓮「うちのプロデューサー、そんなにヤワじゃないでしょ」

凛「……!」

奈緒「確かに、あたしたちのプロデューサーだもんな」

加蓮「まあ、ここまで話聞いちゃって、アドバイスしちゃったし、いざとなったら、連帯責任で何とかするからさ」

凛「なんとかって?」

加蓮「奈緒が次のライブで魔法少女の格好して、アニメソングメドレーを歌うってことで」

奈緒「えー! それ、連帯って言わないぞ、あたしだけじゃん!」

凛(私は、加蓮のアドバイスと、皆の後押しをきいて、告白しようと思った)

凛(確かに、私たちのプロデューサーはそんなことで、他の人の態度が変わるような人じゃない。それは、今まで仕事をしてきて、私が一番知っていること)

凛(でも、これで変な方向行っちゃったら、私がプロデューサーと顔合わせにくい気もする……)

凛(……)

凛(それでもやろう。このままもやもやしていても、だめだ。やろう)

翌日 事務所 屋上


P「凛、どうしたの。二人きりで話がしたいなんて」

凛「あ、あのね、その……」

P「うん、どうしたの?」

凛(うわあ、プロデューサーがこっちずっと見てる……恥ずかしい……けど……!)

凛「私、プロデューサーのことが好き! プロデューサーとアイドルとかの間じゃなくて、その、私、プロデューサーに恋してるの! だから、その……」

凛(うわあ、言っちゃった。しかも思いっきり大きな声出ちゃった、恥ずかしいぃ……わかっていたけど、返事とか聞きたくない……どうせ、だめって……)

P「じゃあ、さ、明日、一緒にどっか行かない?」

凛「……へ?」

P「ちょうど私と凛、明日で休み被るんだよね」手帳ペラッ

凛「え、あ」

P「昼すぎから夜まで付き合ってほしいな。夜の食事をするときに答え返しても良い?」手帳パタン

凛「う、うん。明日は用事ないし、その時でも、大丈夫……」

P「じゃあ、そうしましょう。なんか、ごめんね」

凛「いや、その……」

千川ちひろ「プロデューサーさん、ここにいた! テレビ局の人から電話が来てます!」

P「はーい、わかりました、今行きます!……あの人かな……私の業務用携帯にかけろっていつもいってるのになあ」

P「じゃあ、凛、明日の午後1時に事務所の駐車場で待っててね」

凛「……」

凛「……あれ?」

夜 凛の部屋

凛「なんか予想してない展開になった……」

凛「どうしようか、ハナコ」

ハナコ ワンッ

凛「……悩んでいてもしょうがないか」

凛「もう寝よう」

翌朝 事務所 駐車場

凛「眠れなかった……」

凛「……ほんとは服装ももうちょっと考えていきたかったけど……」

ブロロロ…

凛(一台、車が止まった。車よくわかんないけど、青がおしゃれだな)

P「凛、おはよう!」

凛「あ、おはよう、プロデューサー……って、その車、プロデューサーの?」

P「うん、そうだよ」ニコニコ

凛(……相変わらず、笑顔がまぶしい)

P「早速乗りなよ」

凛「うん」

車内

P「さあ、今日は遊ぶぞー!」

凛(……結局、返事はどうなるんだろう。というか、プロデューサーの私服ってはじめてみるな……)

凛(私服、意外とラフなんだ。ロングスカート似合ってるなあ)

P「今日のその凛の格好、いいね」

凛「えっ、そうかな」

P「すごくいいよ。やっぱ凛は綺麗で大人っぽいよね。女子高生とは思えないくらい。ほんと美人さんだよ」

凛「そ、そんなこと言われても……」カァッ

凛「ぷ、プロデューサーだって、その服、すごく、似合って、る……」ゴニョゴニョ

P「あはは! そんな声小さくしなくていいじゃん、もっとしっかり褒めてよ!」

凛「で、どこいくの?」

P「あ、そうそう。まずは買い物かなあ」

凛「買い物?」

……………

P「どう、このお店?」

凛「へぇ、なんか私好みのレディースばっかだ……こんなお店があるんだ……」

P「うん、凛の家とか、うちの事務所から離れているけど、シックな感じのファッションが結構品揃えいいんだよね」

凛「見て、いいの?」

P「うん、気に入ったのあったら持ってきて」

凛「え、プロデューサーが買ってくれるの? なんか悪いよ」

P「いーの、いーの。凛にはいつもお世話になっているから、私からのお礼だよ」

凛「う、うん」

凛(お世話になっているって、お世話になっているのはこっちのほうなんだけどな……)

街中

P「あー、楽しかった! もっと買わなくてよかったの?」

凛「うん、ありがとう。むしろ、色々とコーディネートしてくれてありがとう。やっぱプロデューサーは服装選びとかもうまいよね」

P「いやいや、そんなことは……ん?」

凛「? どうしたの?」

P「ちょっと、ここも寄って良い?」

凛「香水のお店?いいけど」



P「あっ、あった。これ買っていくね」

凛「それ、いつもつけているやつ?」

P「そうそう。よくわかったね。職場でもつけているんだ。そんなにきつい匂いじゃないから、結構好きなんだよね」

凛「ふーん、そうなんだ」

車内

P ~♪

凛(なんか、いつもの仕事の時のプロデューサーと違うな。なんか楽しそう)

P「ん? なんか私の顔についてる?」

凛「いや、なにも……」

P「やっと凛がこっち見てくれた。うれしいな」

凛「えっ」

P「最近、うつむいてる凛ばかり見るからさ」

凛「あっ、ごめんね」

P「ううん。好きな人の顔を見れないのは、当然のことだと思うよ」

凛「ううっ……」

博物館 ドレス展

P「ここの特別展、見たかったんだよねー。ヨーロッパからの、昔の貴重なドレスも多数展示してあるってさ、気になってて」

凛「へぇ、意外」

P「そう? 私、結構こういう服好きよ」

凛「そうなんだ」

P「これでもね、小さい頃の夢はお姫様だったの」

凛「似合いそうだよね」

P「私はその時、そう思わなかった。お姫様の夢をあきらめた後は、ウエディングプランナー、ドレスメーカー、洋服屋さん、古着屋さん……結局、どれにもならなかったけどね」 

P「凛には夢があるの?」

凛「うーん、今はアイドルの仕事でもっと色んなことやってみたいかな。
  でも、小学4年生くらいまではいろんな仕事になりたいって言ってたな。
  はじめは近所のローソンの店員さん、婦警さん、飛行機のANAのキャビンアテンダント。
  一番周りをびっくりさせたのは、曲芸飛行のブルーインパルスのパイロット」

P「……」

凛「なんか、何になっていいか、わかんない感じだよね。プロデューサーの夢は、なんか統一性があるっていうか、一直線だよね……」

P「くくっ……あははは!」

凛「?」

P「ご、ごめん。凛の夢を笑うつもりは全然ないんだ。でも…ふふっ!」

凛「何がおかしいの?」

P「気づかないの……? ローソンの店員さんは青を基調とした服だし、警察官の制服も青いし、ANAのカラーは青……ふふふっ」

凛「あっ……」カァ

P「それで、『ブルー』インパルス……ひひひっ! ははは!」

凛「もう、笑い過ぎ!」

車内

凛 ムスッ

P「まだ怒っているの?」

凛「別に……」

P「はは、怒っているね」

凛「でも、ドレス、綺麗だったな。プロデューサーも色々と教えてくれたから、楽しかった」

P「よかった」

凛「プロデューサーって、色んなこと知ってるよね。気配りもできるし、かっこいいし……」

P「買いかぶりすぎだよ。私は、凛や、他のアイドルのほうが輝いて見えるな」

凛「え」

P「私はお姫様になりたかったけど、背が高いし、そもそもお姫様って何だと思って、その夢をあきらめた。ウェディングプランナーも大変そうで、なんか自分と違うとか思って……」

P「そうやって、夢が小さくなって、消えちゃったんだよね……」

凛「……」

P「私ね、凛の小さい頃の夢、ほんとに素敵だなと思う」

P「青ばっかなのはちょっと面白かったけど、夢が広がっていく感じがしたんだよね。それで、今アイドルで夢見てるって、ほんとうにきれいで、素敵だよね」

P「夜はレストランで食事をとってあるけど、その前に寄るところがあるんだ。少し歩くよ」

凛「うん、ここに車止めるの?」

P「そう。夜は私、お酒飲むから。帰りはタクシーで帰ろう」

凛「ええ、なんか色々と悪いね……」

P「いいの、気にしなくて。私も楽しいし」


P「……今日も寒いよね」

凛「プロデューサーって、もしかして寒がり?」

P「というか、気温にちょっと敏感なんだよね、着込めば暑くなるし……ックション!」

凛「(くしゃみかわいい)……大丈夫?」

P「うん、もうちょっと暖かいと思っていたんだけどなあ。もっとちゃんと着込めばよかった」

凛「じゃあ、私のマフラー、使う?」

P「え、いいの? 凛は寒くない?」

凛「いいよ。私、着込んでるし」

P「ありがとう……へへっ、あったかーい」

凛(かわいい……というか、私のマフラーをプロデューサーが巻いてるってちょっとドキドキする……)

P「着いた、ここだよ」

凛「ここって、ドレスのレンタルしているお店?」

P「そう……ここでね……」


凛「……どう?」

P「わぁ、綺麗! 青いドレスが冴えるね」

凛「こんなの、はじめて着たよ……プロデューサーも赤いドレスいいなぁ」

P「ふふ……こういう大人っぽいドレス、凛に着せたかったんだよね」

凛「あんまり着たことなかった……結婚式とかも小学生以来だし、パーティにいくみたいね」

P「まあ、似たようなものよ」

高級レストラン 個室

ウェイター「どうぞ」

P「ありがとう」

凛(すごいなあ……こんな凄いお店はじめてだ)

ウェイター「これから、シェフがいらっしゃいますので、少々お待ちください」

P「わかりました」

スレタイの日本語がおかしい

P「一応コース料理を頼んであるからね」

凛「ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」

凛「あの……告白の答え、夜の時に聞かせてくれるんだよね?」

P「うん。そうだね」

凛「聞きたいんだけど……」

P「うん。じゃあ、早速言おうか」

凛 ドキドキ

P「あのね……」

シェフ「失礼いたします」

凛「あ……」

P「あ、どうも~」

シェフ「わたくし、当店のシェフでございます。私から、今回のコース料理のご紹介と、飲み物を承ります」

シェフ「では、まず前菜から……」

凛(あああ……聞きかけていたのに……余計にもやもやする)

P「……今日のメインディッシュ、お肉はどこのを使っているの?」

シェフ「ええ、今日は……」

凛(プロデューサー、色々ときいてるけど、私にはわからないな……)

凛(でも、プロデューサー、なんか楽しそう。今日はプロデューサーの色んな顔がみれて良いなあ)

凛(香水何を使っているのかもわかったし、ドレスが好きなとこも見れた。嬉しそうに笑っているところ、普段見ない服装、昔の夢の話……)

凛(……)

P「うん、やっぱりワインはその料理に合うのを選ばなきゃね。でも、凛にはまだ早いよね」

凛「……」

P「あのね、私、結婚するの」

凛「え……」

P「ちょっと前に、彼からプロポーズされて決めたんだ」

凛(嘘……)

P「だから、まだ皆には話してない。上司やちひろさんにもね」

凛(いやだ……)

P「でも、この機会だから、凛には言っておこうと思って――」

凛「やだ!」ガタン!

P「……」

凛「プロデューサー、ごめん。でも、お願い。まだ私や、私たちと一緒にいて」

凛「私、まだアイドルでやりたいこと、いっぱいあるっていったよね」

凛「それをプロデューサーと一緒にやっていきたいの。お願いだから、一緒にいて」

凛「わがままで身勝手だとわかってる。でも、私、今、プロデューサーが目の前からいなくなったら、ほんとに……」ポロ

凛「ごめんなさい……でも、でも……」ポロポロ

P「……あー、やっちゃったなあ……」

P「私、まだ、全然、凛のこと、わかっていなかったね……」

P「そうだよね、凛だって女の子だもんね、ごめんね……そりゃ、混乱するよね」

凛「ううっ……グズッ……ひっく」ポロポロ

P「ほら、ハンカチ。涙拭いて」

凛「ありがとう……」

P「ほら、座って。深呼吸してみ……」

凛「……うん」

P「落ち着いた?」

凛「……うん、ごめんなさい」

P「いや、私の言い方が悪かったね。はじめにいっておくと、仕事はやめるつもりはないよ」

凛「え、そうなの」

P「うん、まだやることいっぱいあるしね。事務所にも言うけど、やめるつもりはないよ」

凛「なんだぁ……」ホッ

P「……でもね、本当のこと言うと、すごく悩んだんだ」

P「彼とは、中学生の頃からの同級生で、腐れ縁なんだよね。高校の時に恋人になって、ずっと付き合ってた」

P「そんな彼と結婚したかったけど、仕事も大切にしたかった。彼も仕事で忙しかったし」

P「でも、こないだプロポーズされて、そこでちょっと考えちゃった」

P「仕事もしたいし、結婚もしたい。そのことを彼に話したら、『じゃあ、結婚してから考えないか』って」

スレタイ

凛「……いい人、だね」

P「うん、優しいよ。たまにドジだけど、基本しっかりしてるし」

P「彼、夢を追いかけていて、それでヨーロッパに行ったりして、私とも会ってない時期があったの。メールとかのやりとりはしていたけどね」

P「でも、正直、これから不安だよ。お互い忙しいと思うし、会える時間もどうなるか不安。結婚生活は不安だよ、できるかどうか……」

凛「……でも、私、できると思う」

P「……どうして?」

凛「わからない。わからないけど、プロデューサーならできそう。私も、さっきあんなこと言っちゃったけど、応援したい」

凛「……まだ、気持ちはまとまってないけど、いつか、私も、プロデューサーも、いつまでも一緒に仕事はできないんだね……」

凛「……私、今までプロデューサーに支えてばかりだったけど、私がいつか、プロデューサーを支えたいな、なんて……」

P「もうなってるよ」

凛「え……」

P「もうなってる。凛は私の支えだよ……みんなそう、加蓮も、奈緒も、未央も、卯月も……他のアイドルも……みんなそう」

P「私もそんなみんなの支えになりたいと思っている。あのね、私は、アイドルとプロデューサーはお互いを支えっていくものだと思うの」

P「そういう意味では、アイドルとプロデューサーは相棒とか、パートナー同士だと思うんだ」

P「だから、私は凛の支えになっているかもしれないけど、凛も私の支えになっているの」

P「だから、ごめんね。凛の恋する気持ちは、私は受け取れない。まどろっこしい真似をしてごめんね」

凛「ううん、いいの。そうじゃなかったら、私も納得しなかったと思うし」

凛「それに気が付いたことがあるんだ」

P「?」

凛「なんていうか、これは恋じゃなくて、憧れなんじゃないかって」

凛「私、これまで恋とかしたことないけど、今日、プロデューサーと遊んでみて、なんか違う気がしたんだ」

凛「それでね、婚約者さんの話をしている時のプロデューサーをみて、プロデューサーとその人が幸せになってほしいって思った」

凛「その時、ふと思ったんだ。ああ、私、恋してたんじゃなかったって」

凛「困ったとき『プロデューサーならどうするだろう』って思ってた。プロデューサーのしぐさや考えをみて、マネしたいと思った」

凛「そんな思いが膨らんで、好きになったんだと思う」

P「こないだ、ラジオでたよね。トライアドプリムスの3人で、トークテーマ『好きなもの』っていうの」

凛「あったね」

P「あれ聞いたときね、私うれしかった。ちょっと不器用な感じはしたけど、好きなことを一生懸命話そうとするところは良かった。凛らしかったよ」

P「私ね、凛は変わったと思った。はじめ会ったときの『ふーん、アンタが私のプロデューサー?』なんて言ってた頃と、ずいぶん変わった」

凛「ちょっと、恥ずかしいかな……」

P「それはそれでらしくてかわいいけどね。でも、今、一生懸命に歌とか、アイドルの仕事がとても好きで頑張ってますって言ったとき、本当に感動したよ」

P「……世の中、何があるかわからないなって改めて思ったよ。これから、どうなるかわかんないけど、凛には凛の人生をしっかり歩んでほしいな」

P「私は、あなたのプロデューサーだけど、凛のことは、たとえアイドルをやめても、何があっても応援するから」

凛「……うん!」

P「あ……そうそう」ガソゴソ

凛「?」

P「これ、凛にプレゼント」

凛「これ……香水」

P「うん、凛に合うな、って思ったの? どう?」

凛「うん、これ、ほしいと思っていたんだ。ありがとう」ニコ

シェフ「お待たせいたしました。前菜でございます」

P「わー、おいしそう!」

シェフ「きっとお口に合うと思いますよ」

P「うん」

凛「……あの」

シェフ「はい、いかがされましたか?」

凛「もしかして、そのシェフさん、プロデューサーの婚約者?」

P「!?」

シェフ「……え、喋っちゃったの?」

P「えー、いや、婚約したことは話したけど……どうしてわかったの?」

凛「いや、なんかプロデューサーもシェフの人とよく話していて幸せそうだと思ったし。シェフさんも、プロデューサーと話していて、嬉しそうだなと思ったから……」

P「……ふふ、はは、あっはっは!!」

シェフ「いやー、凄いね。君。鋭いなあ……」

P「凛はすごいなあ。かなわないよ!」


凛「それから、その日はプロデューサーとは二人でしかできない話をしたよ、すごく楽しかった……」

凛「次の日は仕事だったけど、プロデューサーの目をみてちゃんと話せるようになった」

凛「プロデューサーもそれからしばらくして、皆に結婚することを伝えていた」

凛「私も、他のみんなにも、ちょっと印象が変わったって言われた」

凛「加蓮、奈緒、未央、卯月……みんなにもちゃんとどうなったか話したよ」

凛「みんな、ほっとして、よかったね、っていってくれた」

凛「プロデューサーとも、しっかりやっているよ。色々と忙しいけど、皆で支え合ってやってる」

凛「そう。それで、明日はプロデューサーの結婚式なんだ」

凛「プロデューサーの花嫁衣裳しっかりと見なきゃ」

ハナコ ワンッ

凛「だから今日はもう寝なきゃ……ね、ハナコ」

結婚式 教会前

卯月「プロデューサーの花嫁姿ドキドキします」

未央「早く見てみたいなあ……」

奈緒「ブーケトス、緊張してきた……」

未央「なんでかみやんが緊張するの?」

奈緒「いや、だって、ほら、飛んで来たらどうしようかと思って……」

未央「受け取る気まんまんだね!」

卯月「奈緒ちゃんはかわいいですね!」

奈緒「なっ、そんな、違……!」



凛「なんかあの三人、すごく盛り上がってる……」

加蓮「ほんと。凛も緊張しているでしょ」

凛「うん、まあ、正直……」

加蓮「今日、いい香水つけているね」

凛「うん、プロデューサーからもらったんだ」

加蓮「へえ、いいなあ」

凛「あのね、加蓮、ありがとうね」

加蓮「? 何が?」

凛「告白すればいいってアドバイスしてくれたから、私、告白できた。あとで未央にもきいたけど、あの時も加蓮が言って、私に悩みを打ち明ける場をセットしてくれたんだね」

凛「そうじゃなきゃ、私もずっともやもやしっぱなしで、何も変わらなかったと思う」

加蓮「……あのね、実は私も、凛と同じ気持ちだったんだ」

凛「えっ」

加蓮「凛が告白する前だよ。私の体のこととか気を使ってくれて、他にも気配りしてもらって、それからすごくいいなって思ったの」

加蓮「でね、二人きりになって、プロデューサーに思いをぶつけてみたの。そしたら『私には彼氏がいるんだ』って言われた」

加蓮「最初はびっくりした。で、私もその後、ちょっと二人で遊びにいって、私の話をきいてもらったり、プロデューサーからの話もきいたんだ」

凛「そうなんだ……」

加蓮「凛はもやもやしたかもしれないけど、私、なんかちょっとうらやましく思っちゃった。なんか態度が違うな、と思って」

凛「まあ、プロデューサーもあの時期にあんなこと言われたから、動揺したんだと思う。プロデューサー、ああみえて不器用なところあるから……」クスクス

加蓮「そうそう……」クスクス

未央「あっ、花嫁きた!」

卯月「プロデューサーさん綺麗……」

奈緒「ああ、なんか普段のプロデューサーさんと全然違うなあ……」


加蓮「綺麗だね……」

凛「そうだね……」

P「ブーケトス、いきまーす! えい!」ヒョイ


凛「えっ……」ポン

未央「おっ、しぶりんが受け取った!」

卯月「凛ちゃんやりましたね!」

奈緒「あー! いいなあ!」


加蓮「凛、やったじゃん。次に結婚できるって」

凛「うーん、まだそのつもりはないかな。でも……」

加蓮「でも?」

凛「うれしいから、とっておこう」



おわり

以上です。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

HTML化依頼を出してきます。

>>27 >>34
作者ですが、今頃ご指摘に気づきました。
ご指摘ありがとうございます。遅れてしまい、申し訳ありません。
確かに日本語がおかしいですね。

正すなら『渋谷凛「プロデューサー(女性)に恋したみたい……」』ですね。

以後、気を付けます……

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