廃墟と化した鎮守府の夜明け (354)

「廃墟と化した鎮守府を見つけて」「廃墟と化した鎮守府の秘密」の続きです
今回は解答編となる為、安価は少なめになります


※注意
艦隊これくしょんのSSです。安価あり
また作中には艦娘の轟沈や死に関する内容や表現が含まれます
そういう内容が苦手な方は十分ご注意ください


前スレ
【廃墟と化した鎮守府を見つけて】
廃墟と化した鎮守府を見つけて - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480178936/)

【廃墟と化した鎮守府の秘密】
廃墟と化した鎮守府の秘密 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482651397/)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1484409241

-地下施設 電子ロックされた扉の前-

時雨「再びここに来たね」

初霜「やっぱりこの扉が最後に来る場所になりましたか……あとはあのカードキーで開くかですけど」

不知火「他に電子ロックされた扉もありませんし、あのカードキーで間違いないはずです」

吹雪「この扉の先には、いったい何があるんだろう……?」

阿武隈「とにかく開けてみよう。時雨ちゃん、お願い」

時雨「うん。扉の横にあるこの機械に……あった。ここにカードキーを通せば」カチャッ

ピーッ

ガコンッ! ヴィィィィィィン

不知火「! 扉が自動で上がっていく……」

初霜「カードキーの認証システムもそうですけど、ここだけ明らかに管理が厳重になっていますね」

時雨「うん……これだけ厳重な設備を施す必要がある部屋。この先にあるのはおそらく……」

ヴィィィィィィン ガコンッ

夕立「扉は完全に開いたっぽい」

阿武隈「それじゃあ、みんな……いってみよう」

来てたのか

BCは司令官の命令(実験体の確保?)で動いてて
Aはそれとは別に本能(他の艦娘の吸収)で動いてたんじゃないかな
時雨BAD以外では割と問答無用でヤられてるし

-地下実験場-

夕立「なんだか広いところに出たっぽい」

阿武隈「何なの、ここ……。すごく広い空間になってるみたいだけど」

初霜「地下にこんな広大な空間があるなんて……」

吹雪「薄暗いですけど、照明が幾つか点いていますね。天井もかなり高い位置にあります」

不知火「ここも我々が電源を復旧させたから電気が点いたのでしょうか?」

時雨「いや、配電室で電源レバーを操作した部屋はすべて回ったから違うはずだ。ここは元から非常電源が機能していたか……」

時雨「そうか非常電源と一緒に元から機能していた特別区画っていうのは、ここの事だったのか」

阿武隈「じゃあ、ここは初めからずっと電源が生きていたって事……?」

時雨「うん……今までずっと、ね」

初霜「よく見えませんけど、色々な機械や物がそこら中に置かれているみたいですね」

吹雪「ほんとだ。ここは機械や兵器の保管場所か何かかな?」

時雨「いや、多分違う。ここは恐らく……『地下実験場』だ」

初霜「地下実験場?」

時雨「地下施設で見つけた資料の中に書かれていたんだ。実験に必要な設備の整った実験場が地下のどこかに存在してるらしいけど、おそらくここがそうだ」

時雨「ここで何らかの実験を行う計画だったらしいけど……」

阿武隈「それにしても、ここからどう進んだものかしら」

初霜「空間の全体像がはっきりとは掴めませんけど、まだまだ奥がありそうですね」

不知火「行きますか?」

時雨「もちろん。この先には……この鎮守府で見つけた秘密、その答えがあるはずだ」

夕立「答え?」

吹雪「何か心当たりがあるの、時雨ちゃん?」

時雨「うん……あまり当たっていて欲しくはないけどね」

阿武隈「なんだか嫌な予感がする……みんな、気をつけて行こう!」

吹雪「奥の方に行くほど物が増えてきてるね」

初霜「作りかけの機械みたいですけど、バラバラにされたまま無造作に放置されてますね」

夕立「あっちにあるのって兵装じゃない?」

吹雪「ほんとだ。砲身みたいなのが付いてるし艦娘用の兵装かな」

初霜「ここにあるのは……艦娘用の艤装ユニット? 内部まで分解して、何らかの調整をしていたのかしら……?」

不知火「もしかしてこれらは、あの開発室で研究されていた試作兵器では?」

時雨「たぶんそうだ。ここは試作兵器の実験を行うための場所だったんだろうね」

阿武隈「何か灯りが見えるよ!」

阿武隈「なんだろう、これ……大きな機械が光を放ってるけど……?」

時雨「……大型のコンピューターだ」

阿武隈「コンピューター?」

不知火「近くにあるのは何かの大型バッテリーのようですね。あちらにはパソコンのような物もあります」

初霜「全て電源は生きたまま……今もなお作動してるみたい」

阿武隈「これはいったい……?」

時雨「……」

夕立「あれ? このパソコンの前に何かあるっぽい」ゴソゴソ

吹雪「それ……手記だ。でも随分新しいような……」

時雨「夕立、見せて」

夕立「ぽいっ」

時雨「たしかに……今まで見てきた資料類と比べて痕跡が新しい。つい最近書かれたみたいだ……」ペラッ

阿武隈「つい最近……」ゾクッ

初霜「手記には何が書かれているんですか?」

時雨「……」


『まさかこのような事になってしまうとは。』

『「Z計画」最終段階は入念な準備とシミュレーションを重ね万全の状態で進めていたが、最後の段階で予想外の出来事が発生した。』

『前段試験の結果を基に改×を重ね、検体生存率及び深海化の影響範囲に関して現理論上最小限までリスクの軽減を行い、その確率は数%代にまで抑えられていた。』

『しかし本試験ともいうべき最終実験。その最後の最後で数%の確率が起こってしまった……』

『失敗の原因は×自身の適性が予想以上に深海に傾いてしまっていたことだろう。』

『万が一に備え用意していた緊急用ワクチンの効力により完全な深海化こそ防げたが、深海化の影響は決して軽度ではない。』

『検査の結果、予想以上に深海化の影響は大きく、その影響なのか×××の感情も殆どが失われてしまった。』

『さらに深海化の状態も今までに確認されていないパターンで進行しており、今の×の状態は艦娘でも深海棲艦でもない。あの化け物たちとも異なるまったく未知の存在になってしまったと言わざるを得ない。』

『しかしそれ以上に深刻なのは、すぐにワクチンを投与したにも拘らず、×の中で緩やかだが確実に深海化が進んでいることだ。』

『このままでは深海化が進み、いずれは完全な深海棲艦……いや、それ以外の怪物になってしまう恐れは捨てきれない。』

『やむなく緊急措置として、×を化学的に仮死状態にし生命機能と共に深海化も止める措置を取り、深海化はなんとか食い止められた。』

『だが状況が極めて深刻であることは依然として変わりない。』

『当面はZ計画を含む全計画を一時中断し、×の状態を改善させることに全力を注ぐ他ないだろう。』

『今となってはこの計画にあ××を使ってしまった愚行を悔やむしかない。私は何と愚かな××をしてしまったのか……』

初霜「Z計画……?」

時雨「この名前には見覚えがある。確か……そう、検体保管室で見つけた『第三次強化実験』ってメモに書いてあったんだ」

阿武隈「そういえば実験室でも似たようなメモを見つけなかった?」

時雨「『第四次強化実験』ってメモだね。恐らくあれらの実験は全てこのZ計画に繋がるものだったんだ」

不知火「強化実験……」

吹雪「深海化ってことは、この実験に使われたのって」

阿武隈「深海棲艦の細胞……」

不知火「他の資料にも艦娘への深海細胞の移植実験という記録などもありましたし、間違いありませんね」

吹雪「それじゃあこのZ計画っていうのは、深海棲艦の細胞を使った艦娘の強化が目的ってこと!?」

初霜「なんてことを……」

時雨「第四次強化実験のメモによれば、実験はここ地下実験場で行うって書いてあった。この手記に書かれている失敗っていうのは第四次強化実験のことだろう」

時雨「実験は失敗し、その結果として実験体になった艦娘は深海化し計画も中断することになった」

時雨「この記述の後はよく分からない事が乱雑に記されてる……。たぶん深海化してしまった艦娘を元に戻すための研究についてだ」パラパラパラ

時雨「……っと、最後の方だけど再び纏まった文が書かれてるね」


『幸いなことに×の状態を安定化させる目途は付いたものの、実行にはまだ細かな調整と更なる研究が必要だ。恐らく安定化には1年は必要になる。』

『このことから考えても、Z計画の失敗により生じた本計画の遅れは最低でも数年規模に及ぶだろう。』

『終末計画の成功により奴らの目がこちらを再び捉える心配は薄いだろうが、実行が長引くほど不測の事態が生じるリスクは高まることを留意しておかなくては。』

『終末計画実行から間もなく1年。外の世界がどのような状況かはわからないが、強力な力を持った新型の深海棲艦が次々と出現していることだろう。』

『どちらにせよもう時間はあまり残されていない。×の件で中断していた本計画を再開し、一刻も早く奴らを絶滅させなくてはならない。』


阿武隈「本計画の遅れ……?」

初霜「Z計画とは別に、他にも複数の計画があったのでしょうか?」

時雨(……遅れが数年規模?)

時雨(それにここに書かれている終末計画の文字。ってことは、終末計画っていうのは……)パラパラパラ

時雨(……あれ? 最後の方にまだ少しだけ記述があったのか)ペラッ


『準備は整った。あとは完成品である「γ-13号弾」の最終実験を行いその結果が良好であれば、遂に我が本懐が成就するのだ。』

『本計画「絶滅作戦」に向けた試作兵器の最終実験は明日16.11.27を予定日として実行する。』


時雨(11月27日? 確か今日の日付って……)

時雨(えっ……)ゾクッ

夕立「んー……? こっちにあるのは何だろう?」

吹雪「あっ、夕立ちゃん。1人でふらふら動いたら……」

夕立「吹雪ちゃん、こっちにも何かあるっぽい」

吹雪「? なにこれ、大きなカプセルみたいだけど……」

吹雪「!?」

吹雪「み、みんな! こっちに来てください!」

阿武隈「どうしたの吹雪ちゃん?」

吹雪「こ、このカプセルの中……」

不知火「カプセル……!?」

初霜「!!」

阿武隈「こ、これって……」

時雨「……電」


電「――――」

すみません生存報告です
前回の更新から何の報告もなく2か月以上放置が続いてしまい本当に申し訳ありません

少し準備をして4月頭から再び再開し、4月中の完結を目指したいと思います

少し遅れましたが明日より再開します
諸々の事情により今までに比べてかなりスローペースになると思いますが、
時間を見つけて進めていき、完結まで持っていきたいと思いますのでよろしくお願いします

遅くなりましたが再開します
整合性を取るためにある程度書き進めてから投下するのでペースは遅めになりますがご容赦を

あと安価は当分は無い予定です

・あらすじ
任務からの帰還途中、廃墟と化した謎の鎮守府跡地がある島に流れ着いた吹雪たち6人の艦娘。
散り散りなってしまった他の仲間を探しつつ廃墟の探索を進めていく吹雪は、途中謎の怪物による襲撃に見舞われながらも、
廃墟と化した鎮守府の工廠内で阿武隈と、本庁舎で時雨・不知火と、そして鎮守府の地下に存在する謎の施設の中で夕立・初霜らと無事に合流を果たす。
仲間たちと合流し島からの脱出が可能になった6人だったが、未だ残るこの廃鎮守府の謎を明らかにするべく再度鎮守府の探索を行い、
この地で行われていた『何か』を裏付ける証拠を手に入れることに成功。
そして吹雪たちは、最後に残された謎の場所『地下実験場』に足を踏み入れた。

阿武隈「まさか……そんな……」

時雨「だいぶ容姿が変わってるけど、あの髪型、胸に付いてるⅢのバッジ。間違いない」

吹雪「白い身体と毛髪。それに頭に生えた赤黒い角……この姿ってまるで……」

不知火「……深海棲艦」


電「――――」ゴポポッ


初霜「カプセルの中は何かの溶液で満たされているみたいですけど、亡くなっているんでしょうか……?」

時雨「……いや、生きてるみたいだ。恐らく仮死状態のような形で眠ってるんだ」

不知火「ではこのカプセルや周囲の機械は、電を仮死状態のまま保管する為の……?」

時雨「うん。一種の生命維持装置か何かだと思う」

初霜「じゃあ、この手記に書かれている深海化してしまった艦娘って……」

阿武隈「電ちゃんだったのね」

吹雪「でもどうして電ちゃんがこんなところに……?」

時雨「…………」

夕立「んー……」キョロキョロ

初霜「夕立さん?」

夕立「この機械をいじれば電ちゃんを出してあげられるっぽい?」

初霜「あっ、だめです! 下手にいじっては――」


「それに触れるな」

全員「!?」ビクッ

阿武隈「誰っ!?」ピカッ


??「…………」


初霜「人? まさか、こんなところに生きた人が残っていたなんて……」

夕立「白衣を着た……おじいちゃん?」

不知火「いえ、髪と髭は伸びきっていますが……40代くらいにみえますね」

吹雪「もしかして、この施設の人……ですか?」


??「…………」

阿武隈「見たところ武器とかは持ってないみたいだけど……」

不知火「友好的な雰囲気とは言い難いですね」

時雨「夕立、その機械から離れて。武器は持ってないみたいだけど刺激しないほうがいい」

夕立「う、うん……」


??「…………」コツ コツ コツ...

??「……」カタカタカタ


時雨(! あの電が入った機械を操作してる……?)

阿武隈「あの、あなたは……いったい?」

??「…………」カタカタカタ

??「……どうやって、ここまで入ってきた?」


阿武隈「ど、どうって……」

時雨「地上の――庁舎の中に置かれていた金庫の中に保管されていたカードキーを使ったんだ」


??「…………」ピタッ

??「……あの金庫には鍵が掛かっていたはずだ。その鍵も、失われていたはず……」


時雨「……庁舎の入り口近く作られていた石碑の下に埋まっていたんだ。妙な手紙と一緒にね」


??「…………そうか」

??「…………」カタカタカタ

阿武隈「何なの、この人……?」

時雨「……そうか。やっぱりあなたが」

時雨「これで……ようやく全てが繋がったよ」

吹雪「……時雨ちゃん?」

時雨「あなたが黒幕だったんだね」


??「……」


時雨「1つ断っておくけど、僕たちはあなたの考えてるような立場の者じゃないよ。偶然ここに迷い込んでしまっただけさ」


??「……」

吹雪「し、時雨ちゃん?」

不知火「この男が黒幕とは……どういうことです?」

時雨「言葉の通りだよ。この人がこの鎮守府で起こった全ての出来事の当事者」

時雨「この地下施設で秘密裏に艦娘を使った人体実験を行い、そして地上を廃墟にした張本人」

時雨「そしておそらく今も、研究を続けている……いや、続けていた、のかな?」


??「……」


初霜「今も研究を?」

夕立「時雨が何を言ってるのかよくわかんないっぽい……」

吹雪「時雨ちゃん、どういうことなの?」

時雨「そうだね。まずは――この鎮守府について。そこからにしようか」

今夜はここまでで一旦終わります
明日お休みなのでそこで出来るだけ進めたい……

お付き合いありがとうございました

休みなんて無かった()
すみません今日はもう無理そうなので続きは木曜日に書きます

私事で恐縮ですが予告した日に更新できそうにない場合はこうして報告させて頂きます
不定期になりますがお付き合い頂ける方はよろしくお願いします

時雨「この鎮守府――いや、鎮守府跡というべきか。明らかに通常の鎮守府とは異なる様相だ」

時雨「未踏の海域内に存在し、僕たちの知る海域図にも記載されていない。友軍の施設だというのに今日まで僕たちの誰も存在を知らなかった鎮守府」

時雨「何より異質なのは、こんなに大規模な地下施設が存在する点だ。それもここにいた艦娘たちにすら知らされていないような秘密の施設がね」

時雨「これだけを見てもここが普通の鎮守府じゃない事は明白だ」

時雨「問題はここが一体何なのかって事さ」

吹雪「それは……」

不知火「これまで見てきたことから考えれば、ここでは艦娘を実験台にして何かの研究が行われていた……。ここが何らかの研究施設であることは確実でしょう」

夕立「研究施設……」

不知火「表向きは普通の鎮守府を装い、裏では艦娘に対して人体実験などを施すなどして、何かの研究を行っていた」

不知火「地下施設の規模などから考えて、ここは初めから艦娘への実験や研究を目的に造られた施設なのかもしれません」

時雨「確かに表面だけを見たらそうなるね」

阿武隈「表面?」

時雨「僕たちが今まで見てきた物事から考えれば、不知火の言う通りここは何かの実験施設だった。って推測に行きつくのは自然なことだ」

時雨「でも、そうだとすると不自然な点が多いんだ」

不知火「不自然な点……?」

時雨「まず、ここが初めから艦娘への実験を目的に造られた施設なら、ここにいた艦娘たちの様子は少しおかしい」

時雨「ここが艦娘を使った実験施設で艦娘は実験材料として集められていたのなら、当の艦娘たちが何も知らず比較的自由な環境で生活していたって言うのは妙な話だ」

時雨「そもそも初めから艦娘への実験が目的だったなら鎮守府に偽装する必要なんてないんだ。それこそ収容所のような施設を作って実験用の艦娘を投獄し纏めて管理していたほうがよっぽど合理的さ」

時雨「艦隊運用なんてリスクの塊だ。出撃させれば脱走のリスクになるし、何より実験体に武器を持たせたりしたら反乱に繋がる可能性すらある」

初霜「確かに……その通りですね」

時雨「次に鎮守府として艦隊を運用しつつ、裏で艦娘への人体実験を行っていた可能性。これも合理性で疑問が生じる」

時雨「下手をすれば艦娘たちに秘密が露見してしまうなんてリスクを負うくらいなら、僻地に造った実験施設に外部から実験に使用する艦娘をその都度送り込む形態にするとか、他に幾らでもいい方法はあるはずさ。わざわざそんな回りくどいことをする意味がない」

時雨「なら艦娘への実験が後天的なきっかけ――つまり元は普通の鎮守府だったけど、ここの提督が独断で実験行為を始めたのか? これもノーだ」

時雨「提督の独断にしては、ここは設備が整い過ぎてる。艦娘たちに気付かれず秘密裏にこれだけの地下施設を作るのもまず不可能だ」

不知火「確かに……普通の艦隊司令官がこんな地下施設まで急増且つ一存で用意出来るとは到底考えられませんね」

時雨「少なくとも、この地下施設は艦娘たちが来る前から存在していた。って考えたほうが自然だろうね」

時雨「そう考えると、ここが初めから艦娘の実験施設だった。とは考えにくい」

時雨「つまり、ここが秘密裏に設けられた艦娘を使った研究を行う為の施設なら、地上に鎮守府という形態を作ったこと自体が不自然なんだ」

時雨「地上と地下。それぞれの施設のコンセプトが大きく食い違っているからね」

阿武隈「じゃあ、ここはいったい何なの……?」

時雨「僕の推測だけど……元々ここにあった『施設』と、今の廃鎮守府は全く別の物だったんじゃないかな?」

限界、いったん寝ます
明日こそ休みとれたので可能な限り進めます

吹雪「別のもの……?」

時雨「うん。地下施設と地上の鎮守府。この2つの施設が1つの目的の下で造られたもので、同時期に運用されていたとすると整合性が合わないけど……」

時雨「これが建設された時期や用途、運用していた時期も全てが異なる別の施設だったとしたら、どうだろう?」

阿武隈「どういうこと、時雨ちゃん?」

時雨「まず、この地下施設についてだ」

時雨「巧妙に仕掛けが施された出入口。それにここの艦娘たちが存在を知らなかったこと等から考えて、地下施設の事は意図的に隠匿されていたのは間違いない」

時雨「しかし、さっき言ったように後から地下施設を増設したとは考えにくい。これ程の施設を鎮守府の誰にも気付かれずに作るのは不可能に近いからね」

時雨「そうなると……この地下施設は初めから存在していた可能性が高い」

夕立「初めから?」

時雨「うん。艦娘たちが鎮守府に着任する前から既にこの地下施設は存在していた。そう考えたほうが自然じゃないかな?」

時雨「僕はむしろ鎮守府自体が後付けで作られた施設じゃないかとすら疑ってる」

不知火「後付けとは?」

初霜「つまり、鎮守府に地下施設が造られたのではなく、地下施設の後に鎮守府が造られたと……?」

時雨「そう。僕の予想では、元々この島にはこの地下施設を主体とした『施設』が存在していた」

時雨「でも何らかの理由で施設は閉鎖することになった。そして、その後に出来たのが地上の鎮守府施設だった」


??「…………」

夕立「でも時雨の言う通りなら、この地下施設は過去に閉鎖された施設ってことになるよね?」

夕立「それがどうして今もこうして残ってるの? ちょっとおかしくない?」

時雨「おそらく潰さずに残す程の価値か……もしくは必要があったんだろう。鎮守府になる前の前身施設には」

時雨「あるいは鎮守府を造った経緯そのものが、前身となった施設の隠蔽にあるのかもしれない」

時雨「だから出入口に仕掛けを施して容易に発見できないように隠し、半ば封印に近い状態にしてこの地下施設を残したまま鎮守府を開設した」

初霜「確かに……そう考えれば辻褄は合いますね」

時雨「さて、ここまでの僕の仮説が正しかったとして……次に見えてくるものが2つある」

時雨「1つは、2つの施設の設立に関わる存在だ」

時雨「鎮守府が出来る前の前身施設だけにしても、これだけの規模と設備の充実ぶりを考えると、施設の設立には大きな力が働いている事は明白だ」

時雨「そして鎮守府とその前身施設……2つの施設は用途こそ違えど、設立に関わった組織は共に同じである可能性が高い」

吹雪「まさか……その組織って」

阿武隈「……大本営ね」

時雨「そう。もしこの施設の設立に大本営が関わっていたとしたら、僕たちが感じていた様々な疑問にも辻褄が合うんだ」

時雨「ここに来るまで誰もその存在を知らなかったこと、僕たちが知る海域図にこの島と鎮守府の存在が描かれていないこと」

時雨「これらは全て大本営によって組織的に情報を操作され隠匿されていたとしたら説明が付く」

時雨「さらに言えば、大本営まで絡んで造られたこの施設で行われていた事……それは相当やましい事なんだろうね」

時雨「それこそ、施設の存在そのものから組織的に徹底して隠匿しなければならない程にね」

初霜「この施設で行われていた事……」

時雨「そしてもう1つは、この鎮守府にいた提督のことだ」

時雨「僕たちが集めた情報によって、この鎮守府には2人の提督が居たことがわかってる」

時雨「1人は初期からここで艦隊の指揮を執っていた『中将司令官』」

時雨「そして中将司令官が失踪し、その後任として派遣されてきた『少将司令官』の2人だ」


??「……」


時雨「今言ったように、ここが大本営によって設立され隠匿されていた施設だとしたら、その地に責任者として置かれる提督の存在は重要だ」

時雨「海域図の件を考えると、海軍の組織内でもここの存在を知っていたのはごく一部の人間に限られ、一般向けには隠されていたんだろう」

時雨「だとすると、大きな秘密を隠したこの地にまったく無関係の人間を配置するとは考えにくいよね」

阿武隈「それじゃあ、やっぱりここの提督は知っていたのね……この隠された施設の存在を」

時雨「うん。僕は、むしろ鎮守府の責任者には前身施設に関係する人間を置いた可能性が高いとも思ってる」

時雨「重大な秘密を外部に漏らさず保持し続けるなら、秘密そのものを知る存在自体を一定に止めておくのが定石」

時雨「わざわざ何も知らない者に秘密を話すより、秘密を知る者を任に充てたほうが漏えいのリスクは減らせるからね」

不知火「だとしたら、それに当てはまる人物は……」

時雨「そう。この鎮守府の最初の司令官である中将司令官。彼は前身施設とも関係のある人物……大本営によって配置された秘密の守り人だったんじゃないかな」

吹雪「秘密の……守り人?」

初霜「ただの提督ではなく、この地に隠された秘密を守る役目を帯びていた……ということですか?」

時雨「うん……。そう考えると、ここを鎮守府にしたのも、秘密の守り人となる人間を常に置いておける形態として鎮守府が最適だった。って理由かもしれない」

時雨「こんな未踏の海域内に意味もなく常に人を置く奇妙な施設を造るよりは、鎮守府にしたほうが違和感はないし逆に妙な目が向くことも無いだろうからね」

不知火「灯台下暗し、という訳ですか」

時雨「さて、ここまでがこの鎮守府と地下施設に関する僕の推理だけど……合っているかな、当事者さん?」


??「……」


時雨「……感想は頂けないか。まあ、いいさ」

阿武隈「時雨ちゃん、そろそろ教えてくれないかな……この人の正体を」

阿武隈「今までの口ぶりからすると、既に見当はついているんでしょ?」

時雨「……」

不知火「もっとも、この男の容姿を見ればおおよその見当はつきますが……」チラッ

初霜「白衣の下に見えるのは海軍士官の制服……。やはりこの方は……」

時雨「この人の正体を考える上で鍵になるのは、『提督の私室』で見つけた『提督の手記』だ」

阿武隈「私室の手記?」

時雨「そういえば、直接あの部屋に入って手記を読んだのは僕と不知火だけだったね」

時雨「不知火。本庁舎で見た『提督の手記』のことを覚えてるかい?」

不知火「ええ、覚えています。確か、失踪した中将司令に代わり着任した少将が書いたと思われる手記でしたね」

時雨「うん。不知火の言う通り、あの手記の内容から書き手は後任者――つまり少将提督だ」

時雨「あの手記からは、少将は大本営からの命令で失踪した中将に代わって着任し、中将の生死を確かめるよう命じられていたこと」

時雨「そして中将の捜索とは別に、この鎮守府で何かを調べていたことが伺える。ここが重要だ」

時雨「少将と大本営がこの鎮守府でいったい何を調べていたのか?」

時雨「それはおそらく……この地下施設のこと。ここを探し出そうとしていたんだ」

吹雪「えっ?」

阿武隈「ちょっと待って……さっき時雨ちゃんは、鎮守府の前身施設の設立には大本営が関わってた可能性が高いって推理してたよね?」

阿武隈「なのに大本営が地下施設を探していたって……おかしくない?」

時雨「確かに、大本営が施設の設立に関わっているのにその場所を知らない。これだとさっきの推理と矛盾があるのは承知の上さ」

時雨「正直この辺りに関しては確たる情報が無いから完全に僕の推測になってしまうけど……」

時雨「あくまで大本営は施設の設立に助力しただけ。パトロンのような立場に過ぎず、現場の詳細までは把握していなかったとしたら、どうだろう?」

時雨「存在ごと隠蔽するほど徹底した機密保持が行われていたのなら、関係者も最小限に止めていて、ここを知る人の絶対数自体が少ない可能性もあるし」

時雨「ここの関係者がどれくらい居たのかはわからないけど、既にその多くが死んでいるか話を聞けない状況にあったとしたら……」

不知火「だから大本営と少将提督は、手探りで探索せざるを得なかった。ということですか?」

時雨「まあ、推測である以上真相ははっきりしないけど……少なくとも大本営が地下施設の詳細を知らなかったのは間違いないはずだ」

時雨「着任した少将の手記の中に地下施設に関することは書かれてなかったし」

時雨「この地下施設の各所で見つけた資料にも、大本営との直接の連絡や関連を匂わせるものは一切出てこなかったからね」

時雨「ここで少し話を戻すけど、この地下施設は何らかの理由で閉鎖し封印されたものじゃないか。って話したよね?」

時雨「だけど僕たちが見てきたように、ここでは鎮守府の艦娘を使った実験が行われていた。一度は封じたこの施設を再び開いた人が居たんだ」

吹雪「それって……やっぱり少将司令官……?」

不知火「艦娘を物同然に扱っていた少将なら……地下施設を発見し、そこで何かの野心に駆られて狂気の実験に手を出したとも十分に考えられますね」

時雨「いや、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかったみたいなんだ」

時雨「それに少将は優秀な人だったらしいけど、いくら優秀でも一朝一夕であんな研究を行えるはずがない」

時雨「少なくとも医学薬学や生物学などにかなり深い造詣があり、艦娘のことにも詳しくないとあれだけの研究や実験は出来ないと思う」

阿武隈「それじゃあ……この人は……」

時雨「そう……。研究に関して造詣がある可能性があり、大本営すら知らないこの地下施設への入り口を知っている人物はただ1人」

時雨「前身施設の関係者で秘密の守り人だった前任の提督――いや、中将司令官だ」


中将「……」

吹雪「ちゅ、中将司令官って」

阿武隈「この鎮守府にいた前任の提督……。でもここが廃墟になる前に突然失踪したって……」

時雨「失踪した。だけど死んではいなかったんだ。むしろ何らかの事件に巻き込まれて自分が死んだように見せかけていた」

初霜「まさか、そんな……」

時雨「前任――つまり中将提督は失踪扱いのまま、大本営側もはっきりとした生死は確認出来ていない。と聞いた時から疑ってはいたよ」

時雨「もし中将の失踪に大本営が関与しているのなら、わざわざ後任の少将に生死の確認を命じる必要はないはず」

時雨「そうなると、中将の失踪は何らかの事件や事故に巻き込まれたか……もしくは意図的に自ら姿を消したって可能性に絞られてくるからね」

吹雪「意図的に姿を……」

時雨「中将提督が生きていたとすれば、この鎮守府で起きていた数々の異変の真相も見えてくる」

時雨「すべてのきっかけは中将提督の失踪――その直前の解任騒動辺りから端を発しているんだ」

時雨「青葉さんの新聞によれば、中将の解任決議という話が出てきたのは2013年の7月頃のことだ」

時雨「新聞でも解任の詳しい理由は不明とされていたけど、大本営からの命令無視や作戦行動に消極的な姿勢等が原因と推測されてもいた」

時雨「それ以前の新聞記事では、この鎮守府は開戦初期から戦っていて、解任騒動の数か月前に発令された大規模作戦でも大きな功績を挙げたと書かれていた」

阿武隈「その時期に行われた大規模作戦って……確か、深海棲艦に対して初めての反攻になったっていう奇襲反攻作戦だったはずだわ」

不知火「今こそ数ある鎮守府の中でも最古参の部隊が参加したという、今となっては伝説的な戦いの1つですね」

時雨「そんな最前線で活躍していた艦隊が、この数か月の間に突如方針を転換し作戦行動に消極的になった。新聞からはそう読み取ることが出来る」

時雨「大本営からの命令無視というのも、おそらく消極的な姿勢というのに関係すること。察するに発令される作戦の拒否とかだったんじゃないかな?」

時雨「まあ、その辺りは想像するしかないんだけどね……」

時雨「問題は、この数か月の間に何があったのか? ってことだけど」

時雨「その理由は、地下施設にあった一室。あの『オフィス』でみつけた日記の内容から窺い知ることが出来た」


中将「……」ピクッ

不知火「日記?」

時雨「あのとき一緒にいた皆には言わなかったけど、あそこで僕は幾つかの資料を見つけていたんだ」

時雨「その中の1冊に日記のような物があったんだけど、あれは多分この人が書いたものだ」

阿武隈「じゃあ、あそこは……この人が使っていた部屋だったのね」


中将「……」


時雨「あの日記に日付のようなものは一切記載されてなかったけど、内容から考えて深海棲艦との戦いが始まった頃からの記述だってことがわかった」

時雨「さらに内容からは、深海棲艦との戦争やその戦況を不安視していたことも窺えた」

時雨「興味深いのはその後の記述。日記の主が怒りを露にして何かを糾弾……あるいは絶望するかのように、激しい文体で記されている部分があったんだ」

時雨「その記述こそが、数か月の間に中将に起こった変化を示していたとしたら、どうだろう?」

初霜「怒り……糾弾……」

吹雪「いったい何が書かれていたの?」

時雨「残念ながら、その箇所は殆ど読み取れなかったから詳しい内容までは解らない……」

時雨「だけど日記にはまだ続きがあった……。そこに書かれていたことが重要なんだ」

時雨「日記の最後は、その前の激しい怒りが一転して吹っ切れたような、そして何かを決意したような記述を残して途絶えていた」

時雨「ここも文字の判別が難しい所が多かったけど……『深海棲艦を根絶やしにする』、『その為には研究を進める必要がある』って読める部分があったんだ」

吹雪「深海棲艦を……根絶やし!?」

初霜「それじゃあ、ここで行われていた研究っていうのは……」

時雨「そう。ここで中将提督が行っていたのは『深海棲艦を絶滅させる為の研究』」

時雨「おそらく中将は深海棲艦との戦いの中で何かを知ってしまったんだ。あるいは中将が突然作戦行動に消極的になった理由もその辺りにあるのかもしれない」

時雨「その結果、深海棲艦を絶滅させることを考えるようになり、そのための研究を開始した」

時雨「一度は封鎖されたのであろうこの地下施設を再び開いたのも、深海棲艦を絶滅させる為の研究を進めるため」

時雨「これは地下施設の各所で見てきた物から考えてほぼ間違いないはずだ」

吹雪「じゃあ……深海棲艦の細胞を使った実験や、艦娘への人体実験っていうのも」

不知火「すべては、深海棲艦を絶滅させるための研究の一環だった……」

時雨「しかし、直後に大本営が中将提督の解任を議論し始める。おそらく中将の異変を察知したんだろう」

時雨「深海棲艦を根絶やしに。という中将の考えを知り危険と判断したのか……それとも何か別の理由があったのかは分からない」

時雨「でも、明確な理由も無くいきなり艦隊司令の解任という話が出ている辺り、この解任騒動と中将の異変が関連しているのは明白だ」

時雨「同時にこのことから、中将が行っていた事と大本営の意思は異なる……つまり僕たちが見つけた研究や実験に関して、大本営は関係していないことが窺える」

阿武隈「深海棲艦の細胞や艦娘を使った実験は、中将の独断だったってこと?」

時雨「うん。中将は大本営に対しても秘密の内に研究に着手し始めたんだろう。何故独断だったのかは、確たる情報が無いから詳しくは解らないけど……」

時雨「もしかすると、前の記述で怒りを露にしていた理由もその辺りにあるのかもしれないね。大本営への反抗……もしくは不信感か……」


中将「……」


時雨「しかし実際には中将が解任されることはなかった。解任決議の最中に中将が失踪してしまったからだ」

時雨「そしてこの失踪も……中将が仕組んだ工作だったんだ」

時雨「おそらく中将は、大本営が自分の行動に気付いて司令職を解任しようとしていることを察して、先手を打ったのさ」

時雨「中将に変化が起こり始めた時期と解任決議のスパンから見て、まだ研究はほとんど進んでいなかったはず」

時雨「もし解任が決まり強制的に提督の任を解かれれば、当然この鎮守府からも離されてしまう。そうなる前に何としてでも手を打つ必要があったんだ」

時雨「その結果、中将が打ち出したのが……自身の失踪を装うという手段だった」

夕立「全部中将さんの自作自演だったってこと?」

時雨「そうさ。この地には、身を隠し更には人知れず研究を続けることも出来る場所も存在しているからね」

初霜「! この地下施設ですね!」

時雨「その通り。施設の存在こそ認知していても、出入りする為の方法までは知らなかった大本営の目を晦ますことができ」

時雨「尚且つ研究設備も整っているこの地下施設は、まさに絶好の隠れ家だ」

時雨「こうして中将は自らが突然失踪したように見せかけ、実際は秘密の地下施設へと潜って秘かに研究を継続していた」

時雨「これが中将の失踪騒動の真相だ」

時雨「中将が失踪し、次に起こったのは後任の提督――少将の着任だ」

時雨「少将に関しては『少将の手記』の内容や今までの流れからも分かるだろうけど、間違いなく大本営の息が掛かった存在だ」

時雨「彼がこの鎮守府に派遣された目的は、失踪した中将の捜索と、中将が行っていた研究に関する調査と抹消。地下施設の捜索」

時雨「そして、中将に代わる秘密の守り人の継承も極秘任務として命じられていたんだろう」

阿武隈「じゃあまさか、少将が着任早々から艦隊の規則とか行動を異常なほど厳しく制限したのは……」

吹雪「艦娘たちに気付かれずに、それらの任務を実行するため……!」

時雨「そう。ここの鎮守府では夜間の出撃などは一切行われず、既定時間以降は全ての艦娘たちが寮の部屋から出ることも禁じられていたみたいだからね」

時雨「たぶん艦娘たちを寮へ追いやり無人になった深夜の時間帯を使って、少将はそれらの任務にあたっていたんだ」

時雨「これら一連の流れや少将の手記の記述からみて、大本営は余程この施設の存在を隠したいらしい」

時雨「更に中将が行っていた深海棲艦に関する研究も、抹消したいほど危険視して少将に捜索を命じていた……」

不知火「……」ゴクリ

時雨「ところが、ここで少将の行動に異変が起こったんだ」

初霜「異変?」

時雨「不知火。僕と一緒に『少将の手記』を読み、執務室や提督の私室の様子を詳しく見ているのは、君だけだったよね?」

不知火「はい。そのはずですが」

時雨「不知火は、この手記の内容と着任後に少将が生活していた2つの部屋の様子を見て、何か感じたりしなかった?」

不知火「え……?」

不知火「…………いえ、特に気になることはなかったと思いますが」

時雨「僕はあの手記を読んだ後、執務室に入って……妙な違和感を感じたんだ」

阿武隈「妙な違和感?」

時雨「僕も最初はその違和感の正体が分からなかった……。だけど、後になって少将提督のことを思い出していた時に気付いたんだ」

吹雪「いったい何が気が付いたの?」

時雨「矛盾だよ。手記の内容と執務室の様子のね」

阿武隈「矛盾?」

時雨「そう。少将の手記の内容を読み解くと、少将は鎮守府内の捜索を行う為に艦娘たちに対して厳格な規則を課していたようだけど」

時雨「実はそれを除いても……少将個人としての性格や思想といった面においても、かなり神経質なところがあったみたいなんだ」

時雨「手記の中で少将は、仕事環境の整理整頓がどうとか、艦娘の公私混同がどうとか……そういう細かなことをかなり気にしていた」

不知火「そういえば……確かにそのような記述がありましたね」

時雨「おそらく少将が厳しい規則を課して風紀を徹底したのも、大本営命じられた任務の為の環境づくりという理由以外に、少将個人としての考え方に基づくところもあったんだろう」

時雨「少将は艦娘を兵器と割り切っていたような記述もあったし……入渠ドックの娯楽施設などの状態を見ても、彼は僕たち艦娘を人として見てはいなかったのかもしれない」

初霜「……」

時雨「それを踏まえた上で、執務室や提督の私室の様子を思い出してみると……何か引っかからない? 不知火」

不知火「私室や……執務室……」

不知火「どちらの部屋も荒れた形跡も少なく、比較的綺麗なままでしたが……」

不知火「…………あれ……ちょっと待ってください。そういえば、執務室の机……」

時雨「そう。僕と不知火が執務室に足を踏み入れたとき、執務室の中は綺麗なままだった」

時雨「だけど室内を探索した時にみた提督の執務机。その上は、本や書類がごちゃ混ぜになってて、かなり散らかった状態だった」

時雨「わざわざ愚痴を書き記すくらい神経質な性格が読み取れる手記の内容と、それとは裏腹に散らかったままの執務机……」

時雨「この2つの奇妙な矛盾が、僕はずっと引っかかっていたんだ」

時雨「もっと言えば、手記に関しても奇妙な点はある」

時雨「少将の手記は着任直後から毎日こまめに記されていたのに、9月12日を最後にぱったりとそれが途絶えていたんだ」

時雨「これも、窺い知れる少将の性格から考えてかなり不自然なことだ」

阿武隈「それが少将の異変?」

初霜「確かに妙な点は多いですけど……でも、それがいったい何を意味していると……?」

時雨「初霜。僕がさっき、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかった。って言ったのを覚えてる?」

初霜「えっ?」

時雨「僕が……今、目の前にいるこの人が中将提督である。とする根拠の1つが、この少将の異変なんだ」

夕立「うーん……。時雨の言ってることの意味、よくわかんないっぽいぃ」

時雨「そうだね。なら単刀直入に言おう」

時雨「中将提督の後任として着任した少将提督。彼は途中からあなた――中将提督によって操られていたんじゃないかな?」

やり直したほうがいい感じ?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年01月27日 (金) 03:26:19   ID: u5QsddBH

おう、つづきあくしろよ

2 :  SS好きの774さん   2017年01月27日 (金) 15:28:19   ID: qYuX-r2f

米1
ホモはせっかち、ハッキリわかんだね

3 :  SS好きの774さん   2017年04月10日 (月) 20:21:39   ID: HAQ7KnxN

打ち切っちゃった?

4 :  SS好きの774さん   2017年04月12日 (水) 23:16:39   ID: It0F3i5a

頼む、続きを見させてください。

5 :  SS好きの774さん   2017年04月22日 (土) 07:39:32   ID: mafnIAQ_

もう終わりも近そうだな

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