廃墟と化した鎮守府の夜明け (404) 【現行スレ】

「廃墟と化した鎮守府を見つけて」「廃墟と化した鎮守府の秘密」の続きです
今回は解答編となる為、安価は少なめになります


※注意
艦隊これくしょんのSSです。安価あり
また作中には艦娘の轟沈や死に関する内容や表現が含まれます
そういう内容が苦手な方は十分ご注意ください


前スレ
【廃墟と化した鎮守府を見つけて】
廃墟と化した鎮守府を見つけて - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480178936/)

【廃墟と化した鎮守府の秘密】
廃墟と化した鎮守府の秘密 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482651397/)



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1484409241

-地下施設 電子ロックされた扉の前-

時雨「再びここに来たね」

初霜「やっぱりこの扉が最後に来る場所になりましたか……あとはあのカードキーで開くかですけど」

不知火「他に電子ロックされた扉もありませんし、あのカードキーで間違いないはずです」

吹雪「この扉の先には、いったい何があるんだろう……?」

阿武隈「とにかく開けてみよう。時雨ちゃん、お願い」

時雨「うん。扉の横にあるこの機械に……あった。ここにカードキーを通せば」カチャッ

ピーッ

ガコンッ! ヴィィィィィィン

不知火「! 扉が自動で上がっていく……」

初霜「カードキーの認証システムもそうですけど、ここだけ明らかに管理が厳重になっていますね」

時雨「うん……これだけ厳重な設備を施す必要がある部屋。この先にあるのはおそらく……」

ヴィィィィィィン ガコンッ

夕立「扉は完全に開いたっぽい」

阿武隈「それじゃあ、みんな……いってみよう」

来てたのか

BCは司令官の命令(実験体の確保?)で動いてて
Aはそれとは別に本能(他の艦娘の吸収)で動いてたんじゃないかな
時雨BAD以外では割と問答無用でヤられてるし

-地下実験場-

夕立「なんだか広いところに出たっぽい」

阿武隈「何なの、ここ……。すごく広い空間になってるみたいだけど」

初霜「地下にこんな広大な空間があるなんて……」

吹雪「薄暗いですけど、照明が幾つか点いていますね。天井もかなり高い位置にあります」

不知火「ここも我々が電源を復旧させたから電気が点いたのでしょうか?」

時雨「いや、配電室で電源レバーを操作した部屋はすべて回ったから違うはずだ。ここは元から非常電源が機能していたか……」

時雨「そうか非常電源と一緒に元から機能していた特別区画っていうのは、ここの事だったのか」

阿武隈「じゃあ、ここは初めからずっと電源が生きていたって事……?」

時雨「うん……今までずっと、ね」

初霜「よく見えませんけど、色々な機械や物がそこら中に置かれているみたいですね」

吹雪「ほんとだ。ここは機械や兵器の保管場所か何かかな?」

時雨「いや、多分違う。ここは恐らく……『地下実験場』だ」

初霜「地下実験場?」

時雨「地下施設で見つけた資料の中に書かれていたんだ。実験に必要な設備の整った実験場が地下のどこかに存在してるらしいけど、おそらくここがそうだ」

時雨「ここで何らかの実験を行う計画だったらしいけど……」

阿武隈「それにしても、ここからどう進んだものかしら」

初霜「空間の全体像がはっきりとは掴めませんけど、まだまだ奥がありそうですね」

不知火「行きますか?」

時雨「もちろん。この先には……この鎮守府で見つけた秘密、その答えがあるはずだ」

夕立「答え?」

吹雪「何か心当たりがあるの、時雨ちゃん?」

時雨「うん……あまり当たっていて欲しくはないけどね」

阿武隈「なんだか嫌な予感がする……みんな、気をつけて行こう!」

吹雪「奥の方に行くほど物が増えてきてるね」

初霜「作りかけの機械みたいですけど、バラバラにされたまま無造作に放置されてますね」

夕立「あっちにあるのって兵装じゃない?」

吹雪「ほんとだ。砲身みたいなのが付いてるし艦娘用の兵装かな」

初霜「ここにあるのは……艦娘用の艤装ユニット? 内部まで分解して、何らかの調整をしていたのかしら……?」

不知火「もしかしてこれらは、あの開発室で研究されていた試作兵器では?」

時雨「たぶんそうだ。ここは試作兵器の実験を行うための場所だったんだろうね」

阿武隈「何か灯りが見えるよ!」

阿武隈「なんだろう、これ……大きな機械が光を放ってるけど……?」

時雨「……大型のコンピューターだ」

阿武隈「コンピューター?」

不知火「近くにあるのは何かの大型バッテリーのようですね。あちらにはパソコンのような物もあります」

初霜「全て電源は生きたまま……今もなお作動してるみたい」

阿武隈「これはいったい……?」

時雨「……」

夕立「あれ? このパソコンの前に何かあるっぽい」ゴソゴソ

吹雪「それ……手記だ。でも随分新しいような……」

時雨「夕立、見せて」

夕立「ぽいっ」

時雨「たしかに……今まで見てきた資料類と比べて痕跡が新しい。つい最近書かれたみたいだ……」ペラッ

阿武隈「つい最近……」ゾクッ

初霜「手記には何が書かれているんですか?」

時雨「……」


『まさかこのような事になってしまうとは。』

『「Z計画」最終段階は入念な準備とシミュレーションを重ね万全の状態で進めていたが、最後の段階で予想外の出来事が発生した。』

『前段試験の結果を基に改×を重ね、検体生存率及び深海化の影響範囲に関して現理論上最小限までリスクの軽減を行い、その確率は数%代にまで抑えられていた。』

『しかし本試験ともいうべき最終実験。その最後の最後で数%の確率が起こってしまった……』

『失敗の原因は×自身の適性が予想以上に深海に傾いてしまっていたことだろう。』

『万が一に備え用意していた緊急用ワクチンの効力により完全な深海化こそ防げたが、深海化の影響は決して軽度ではない。』

『検査の結果、予想以上に深海化の影響は大きく、その影響なのか×××の感情も殆どが失われてしまった。』

『さらに深海化の状態も今までに確認されていないパターンで進行しており、今の×の状態は艦娘でも深海棲艦でもない。あの化け物たちとも異なるまったく未知の存在になってしまったと言わざるを得ない。』

『しかしそれ以上に深刻なのは、すぐにワクチンを投与したにも拘らず、×の中で緩やかだが確実に深海化が進んでいることだ。』

『このままでは深海化が進み、いずれは完全な深海棲艦……いや、それ以外の怪物になってしまう恐れは捨てきれない。』

『やむなく緊急措置として、×を化学的に仮死状態にし生命機能と共に深海化も止める措置を取り、深海化はなんとか食い止められた。』

『だが状況が極めて深刻であることは依然として変わりない。』

『当面はZ計画を含む全計画を一時中断し、×の状態を改善させることに全力を注ぐ他ないだろう。』

『今となってはこの計画にあ××を使ってしまった愚行を悔やむしかない。私は何と愚かな××をしてしまったのか……』

初霜「Z計画……?」

時雨「この名前には見覚えがある。確か……そう、検体保管室で見つけた『第三次強化実験』ってメモに書いてあったんだ」

阿武隈「そういえば実験室でも似たようなメモを見つけなかった?」

時雨「『第四次強化実験』ってメモだね。恐らくあれらの実験は全てこのZ計画に繋がるものだったんだ」

不知火「強化実験……」

吹雪「深海化ってことは、この実験に使われたのって」

阿武隈「深海棲艦の細胞……」

不知火「他の資料にも艦娘への深海細胞の移植実験という記録などもありましたし、間違いありませんね」

吹雪「それじゃあこのZ計画っていうのは、深海棲艦の細胞を使った艦娘の強化が目的ってこと!?」

初霜「なんてことを……」

時雨「第四次強化実験のメモによれば、実験はここ地下実験場で行うって書いてあった。この手記に書かれている失敗っていうのは第四次強化実験のことだろう」

時雨「実験は失敗し、その結果として実験体になった艦娘は深海化し計画も中断することになった」

時雨「この記述の後はよく分からない事が乱雑に記されてる……。たぶん深海化してしまった艦娘を元に戻すための研究についてだ」パラパラパラ

時雨「……っと、最後の方だけど再び纏まった文が書かれてるね」


『幸いなことに×の状態を安定化させる目途は付いたものの、実行にはまだ細かな調整と更なる研究が必要だ。恐らく安定化には1年は必要になる。』

『このことから考えても、Z計画の失敗により生じた本計画の遅れは最低でも数年規模に及ぶだろう。』

『終末計画の成功により奴らの目がこちらを再び捉える心配は薄いだろうが、実行が長引くほど不測の事態が生じるリスクは高まることを留意しておかなくては。』

『終末計画実行から間もなく1年。外の世界がどのような状況かはわからないが、強力な力を持った新型の深海棲艦が次々と出現していることだろう。』

『どちらにせよもう時間はあまり残されていない。×の件で中断していた本計画を再開し、一刻も早く奴らを絶滅させなくてはならない。』


阿武隈「本計画の遅れ……?」

初霜「Z計画とは別に、他にも複数の計画があったのでしょうか?」

時雨(……遅れが数年規模?)

時雨(それにここに書かれている終末計画の文字。ってことは、終末計画っていうのは……)パラパラパラ

時雨(……あれ? 最後の方にまだ少しだけ記述があったのか)ペラッ


『準備は整った。あとは完成品である「γ-13号弾」の最終実験を行いその結果が良好であれば、遂に我が本懐が成就するのだ。』

『本計画「絶滅作戦」に向けた試作兵器の最終実験は明日16.11.27を予定日として実行する。』


時雨(11月27日? 確か今日の日付って……)

時雨(えっ……)ゾクッ

夕立「んー……? こっちにあるのは何だろう?」

吹雪「あっ、夕立ちゃん。1人でふらふら動いたら……」

夕立「吹雪ちゃん、こっちにも何かあるっぽい」

吹雪「? なにこれ、大きなカプセルみたいだけど……」

吹雪「!?」

吹雪「み、みんな! こっちに来てください!」

阿武隈「どうしたの吹雪ちゃん?」

吹雪「こ、このカプセルの中……」

不知火「カプセル……!?」

初霜「!!」

阿武隈「こ、これって……」

時雨「……電」


電「――――」

すみません生存報告です
前回の更新から何の報告もなく2か月以上放置が続いてしまい本当に申し訳ありません

少し準備をして4月頭から再び再開し、4月中の完結を目指したいと思います

少し遅れましたが明日より再開します
諸々の事情により今までに比べてかなりスローペースになると思いますが、
時間を見つけて進めていき、完結まで持っていきたいと思いますのでよろしくお願いします

遅くなりましたが再開します
整合性を取るためにある程度書き進めてから投下するのでペースは遅めになりますがご容赦を

あと安価は当分は無い予定です

・あらすじ
任務からの帰還途中、廃墟と化した謎の鎮守府跡地がある島に流れ着いた吹雪たち6人の艦娘。
散り散りなってしまった他の仲間を探しつつ廃墟の探索を進めていく吹雪は、途中謎の怪物による襲撃に見舞われながらも、
廃墟と化した鎮守府の工廠内で阿武隈と、本庁舎で時雨・不知火と、そして鎮守府の地下に存在する謎の施設の中で夕立・初霜らと無事に合流を果たす。
仲間たちと合流し島からの脱出が可能になった6人だったが、未だ残るこの廃鎮守府の謎を明らかにするべく再度鎮守府の探索を行い、
この地で行われていた『何か』を裏付ける証拠を手に入れることに成功。
そして吹雪たちは、最後に残された謎の場所『地下実験場』に足を踏み入れた。

阿武隈「まさか……そんな……」

時雨「だいぶ容姿が変わってるけど、あの髪型、胸に付いてるⅢのバッジ。間違いない」

吹雪「白い身体と毛髪。それに頭に生えた赤黒い角……この姿ってまるで……」

不知火「……深海棲艦」


電「――――」ゴポポッ


初霜「カプセルの中は何かの溶液で満たされているみたいですけど、亡くなっているんでしょうか……?」

時雨「……いや、生きてるみたいだ。恐らく仮死状態のような形で眠ってるんだ」

不知火「ではこのカプセルや周囲の機械は、電を仮死状態のまま保管する為の……?」

時雨「うん。一種の生命維持装置か何かだと思う」

初霜「じゃあ、この手記に書かれている深海化してしまった艦娘って……」

阿武隈「電ちゃんだったのね」

吹雪「でもどうして電ちゃんがこんなところに……?」

時雨「…………」

夕立「んー……」キョロキョロ

初霜「夕立さん?」

夕立「この機械をいじれば電ちゃんを出してあげられるっぽい?」

初霜「あっ、だめです! 下手にいじっては――」


「それに触れるな」

全員「!?」ビクッ

阿武隈「誰っ!?」ピカッ


??「…………」


初霜「人? まさか、こんなところに生きた人が残っていたなんて……」

夕立「白衣を着た……おじいちゃん?」

不知火「いえ、髪と髭は伸びきっていますが……40代くらいにみえますね」

吹雪「もしかして、この施設の人……ですか?」


??「…………」

阿武隈「見たところ武器とかは持ってないみたいだけど……」

不知火「友好的な雰囲気とは言い難いですね」

時雨「夕立、その機械から離れて。武器は持ってないみたいだけど刺激しないほうがいい」

夕立「う、うん……」


??「…………」コツ コツ コツ...

??「……」カタカタカタ


時雨(! あの電が入った機械を操作してる……?)

阿武隈「あの、あなたは……いったい?」

??「…………」カタカタカタ

??「……どうやって、ここまで入ってきた?」


阿武隈「ど、どうって……」

時雨「地上の――庁舎の中に置かれていた金庫の中に保管されていたカードキーを使ったんだ」


??「…………」ピタッ

??「……あの金庫には鍵が掛かっていたはずだ。その鍵も、失われていたはず……」


時雨「……庁舎の入り口近く作られていた石碑の下に埋まっていたんだ。妙な手紙と一緒にね」


??「…………そうか」

??「…………」カタカタカタ

阿武隈「何なの、この人……?」

時雨「……そうか。やっぱりあなたが」

時雨「これで……ようやく全てが繋がったよ」

吹雪「……時雨ちゃん?」

時雨「あなたが黒幕だったんだね」


??「……」


時雨「1つ断っておくけど、僕たちはあなたの考えてるような立場の者じゃないよ。偶然ここに迷い込んでしまっただけさ」


??「……」

吹雪「し、時雨ちゃん?」

不知火「この男が黒幕とは……どういうことです?」

時雨「言葉の通りだよ。この人がこの鎮守府で起こった全ての出来事の当事者」

時雨「この地下施設で秘密裏に艦娘を使った人体実験を行い、そして地上を廃墟にした張本人」

時雨「そしておそらく今も、研究を続けている……いや、続けていた、のかな?」


??「……」


初霜「今も研究を?」

夕立「時雨が何を言ってるのかよくわかんないっぽい……」

吹雪「時雨ちゃん、どういうことなの?」

時雨「そうだね。まずは――この鎮守府について。そこからにしようか」

今夜はここまでで一旦終わります
明日お休みなのでそこで出来るだけ進めたい……

お付き合いありがとうございました

休みなんて無かった()
すみません今日はもう無理そうなので続きは木曜日に書きます

私事で恐縮ですが予告した日に更新できそうにない場合はこうして報告させて頂きます
不定期になりますがお付き合い頂ける方はよろしくお願いします

時雨「この鎮守府――いや、鎮守府跡というべきか。明らかに通常の鎮守府とは異なる様相だ」

時雨「未踏の海域内に存在し、僕たちの知る海域図にも記載されていない。友軍の施設だというのに今日まで僕たちの誰も存在を知らなかった鎮守府」

時雨「何より異質なのは、こんなに大規模な地下施設が存在する点だ。それもここにいた艦娘たちにすら知らされていないような秘密の施設がね」

時雨「これだけを見てもここが普通の鎮守府じゃない事は明白だ」

時雨「問題はここが一体何なのかって事さ」

吹雪「それは……」

不知火「これまで見てきたことから考えれば、ここでは艦娘を実験台にして何かの研究が行われていた……。ここが何らかの研究施設であることは確実でしょう」

夕立「研究施設……」

不知火「表向きは普通の鎮守府を装い、裏では艦娘に対して人体実験などを施すなどして、何かの研究を行っていた」

不知火「地下施設の規模などから考えて、ここは初めから艦娘への実験や研究を目的に造られた施設なのかもしれません」

時雨「確かに表面だけを見たらそうなるね」

阿武隈「表面?」

時雨「僕たちが今まで見てきた物事から考えれば、不知火の言う通りここは何かの実験施設だった。って推測に行きつくのは自然なことだ」

時雨「でも、そうだとすると不自然な点が多いんだ」

不知火「不自然な点……?」

時雨「まず、ここが初めから艦娘への実験を目的に造られた施設なら、ここにいた艦娘たちの様子は少しおかしい」

時雨「ここが艦娘を使った実験施設で艦娘は実験材料として集められていたのなら、当の艦娘たちが何も知らず比較的自由な環境で生活していたって言うのは妙な話だ」

時雨「そもそも初めから艦娘への実験が目的だったなら鎮守府に偽装する必要なんてないんだ。それこそ収容所のような施設を作って実験用の艦娘を投獄し纏めて管理していたほうがよっぽど合理的さ」

時雨「艦隊運用なんてリスクの塊だ。出撃させれば脱走のリスクになるし、何より実験体に武器を持たせたりしたら反乱に繋がる可能性すらある」

初霜「確かに……その通りですね」

時雨「次に鎮守府として艦隊を運用しつつ、裏で艦娘への人体実験を行っていた可能性。これも合理性で疑問が生じる」

時雨「下手をすれば艦娘たちに秘密が露見してしまうなんてリスクを負うくらいなら、僻地に造った実験施設に外部から実験に使用する艦娘をその都度送り込む形態にするとか、他に幾らでもいい方法はあるはずさ。わざわざそんな回りくどいことをする意味がない」

時雨「なら艦娘への実験が後天的なきっかけ――つまり元は普通の鎮守府だったけど、ここの提督が独断で実験行為を始めたのか? これもノーだ」

時雨「提督の独断にしては、ここは設備が整い過ぎてる。艦娘たちに気付かれず秘密裏にこれだけの地下施設を作るのもまず不可能だ」

不知火「確かに……普通の艦隊司令官がこんな地下施設まで急増且つ一存で用意出来るとは到底考えられませんね」

時雨「少なくとも、この地下施設は艦娘たちが来る前から存在していた。って考えたほうが自然だろうね」

時雨「そう考えると、ここが初めから艦娘の実験施設だった。とは考えにくい」

時雨「つまり、ここが秘密裏に設けられた艦娘を使った研究を行う為の施設なら、地上に鎮守府という形態を作ったこと自体が不自然なんだ」

時雨「地上と地下。それぞれの施設のコンセプトが大きく食い違っているからね」

阿武隈「じゃあ、ここはいったい何なの……?」

時雨「僕の推測だけど……元々ここにあった『施設』と、今の廃鎮守府は全く別の物だったんじゃないかな?」

限界、いったん寝ます
明日こそ休みとれたので可能な限り進めます

吹雪「別のもの……?」

時雨「うん。地下施設と地上の鎮守府。この2つの施設が1つの目的の下で造られたもので、同時期に運用されていたとすると整合性が合わないけど……」

時雨「これが建設された時期や用途、運用していた時期も全てが異なる別の施設だったとしたら、どうだろう?」

阿武隈「どういうこと、時雨ちゃん?」

時雨「まず、この地下施設についてだ」

時雨「巧妙に仕掛けが施された出入口。それにここの艦娘たちが存在を知らなかったこと等から考えて、地下施設の事は意図的に隠匿されていたのは間違いない」

時雨「しかし、さっき言ったように後から地下施設を増設したとは考えにくい。これ程の施設を鎮守府の誰にも気付かれずに作るのは不可能に近いからね」

時雨「そうなると……この地下施設は初めから存在していた可能性が高い」

夕立「初めから?」

時雨「うん。艦娘たちが鎮守府に着任する前から既にこの地下施設は存在していた。そう考えたほうが自然じゃないかな?」

時雨「僕はむしろ鎮守府自体が後付けで作られた施設じゃないかとすら疑ってる」

不知火「後付けとは?」

初霜「つまり、鎮守府に地下施設が造られたのではなく、地下施設の後に鎮守府が造られたと……?」

時雨「そう。僕の予想では、元々この島にはこの地下施設を主体とした『施設』が存在していた」

時雨「でも何らかの理由で施設は閉鎖することになった。そして、その後に出来たのが地上の鎮守府施設だった」


??「…………」

夕立「でも時雨の言う通りなら、この地下施設は過去に閉鎖された施設ってことになるよね?」

夕立「それがどうして今もこうして残ってるの? ちょっとおかしくない?」

時雨「おそらく潰さずに残す程の価値か……もしくは必要があったんだろう。鎮守府になる前の前身施設には」

時雨「あるいは鎮守府を造った経緯そのものが、前身となった施設の隠蔽にあるのかもしれない」

時雨「だから出入口に仕掛けを施して容易に発見できないように隠し、半ば封印に近い状態にしてこの地下施設を残したまま鎮守府を開設した」

初霜「確かに……そう考えれば辻褄は合いますね」

時雨「さて、ここまでの僕の仮説が正しかったとして……次に見えてくるものが2つある」

時雨「1つは、2つの施設の設立に関わる存在だ」

時雨「鎮守府が出来る前の前身施設だけにしても、これだけの規模と設備の充実ぶりを考えると、施設の設立には大きな力が働いている事は明白だ」

時雨「そして鎮守府とその前身施設……2つの施設は用途こそ違えど、設立に関わった組織は共に同じである可能性が高い」

吹雪「まさか……その組織って」

阿武隈「……大本営ね」

時雨「そう。もしこの施設の設立に大本営が関わっていたとしたら、僕たちが感じていた様々な疑問にも辻褄が合うんだ」

時雨「ここに来るまで誰もその存在を知らなかったこと、僕たちが知る海域図にこの島と鎮守府の存在が描かれていないこと」

時雨「これらは全て大本営によって組織的に情報を操作され隠匿されていたとしたら説明が付く」

時雨「さらに言えば、大本営まで絡んで造られたこの施設で行われていた事……それは相当やましい事なんだろうね」

時雨「それこそ、施設の存在そのものから組織的に徹底して隠匿しなければならない程にね」

初霜「この施設で行われていた事……」

時雨「そしてもう1つは、この鎮守府にいた提督のことだ」

時雨「僕たちが集めた情報によって、この鎮守府には2人の提督が居たことがわかってる」

時雨「1人は初期からここで艦隊の指揮を執っていた『中将司令官』」

時雨「そして中将司令官が失踪し、その後任として派遣されてきた『少将司令官』の2人だ」


??「……」


時雨「今言ったように、ここが大本営によって設立され隠匿されていた施設だとしたら、その地に責任者として置かれる提督の存在は重要だ」

時雨「海域図の件を考えると、海軍の組織内でもここの存在を知っていたのはごく一部の人間に限られ、一般向けには隠されていたんだろう」

時雨「だとすると、大きな秘密を隠したこの地にまったく無関係の人間を配置するとは考えにくいよね」

阿武隈「それじゃあ、やっぱりここの提督は知っていたのね……この隠された施設の存在を」

時雨「うん。僕は、むしろ鎮守府の責任者には前身施設に関係する人間を置いた可能性が高いとも思ってる」

時雨「重大な秘密を外部に漏らさず保持し続けるなら、秘密そのものを知る存在自体を一定に止めておくのが定石」

時雨「わざわざ何も知らない者に秘密を話すより、秘密を知る者を任に充てたほうが漏えいのリスクは減らせるからね」

不知火「だとしたら、それに当てはまる人物は……」

時雨「そう。この鎮守府の最初の司令官である中将司令官。彼は前身施設とも関係のある人物……大本営によって配置された秘密の守り人だったんじゃないかな」

吹雪「秘密の……守り人?」

初霜「ただの提督ではなく、この地に隠された秘密を守る役目を帯びていた……ということですか?」

時雨「うん……。そう考えると、ここを鎮守府にしたのも、秘密の守り人となる人間を常に置いておける形態として鎮守府が最適だった。って理由かもしれない」

時雨「こんな未踏の海域内に意味もなく常に人を置く奇妙な施設を造るよりは、鎮守府にしたほうが違和感はないし逆に妙な目が向くことも無いだろうからね」

不知火「灯台下暗し、という訳ですか」

時雨「さて、ここまでがこの鎮守府と地下施設に関する僕の推理だけど……合っているかな、当事者さん?」


??「……」


時雨「……感想は頂けないか。まあ、いいさ」

阿武隈「時雨ちゃん、そろそろ教えてくれないかな……この人の正体を」

阿武隈「今までの口ぶりからすると、既に見当はついているんでしょ?」

時雨「……」

不知火「もっとも、この男の容姿を見ればおおよその見当はつきますが……」チラッ

初霜「白衣の下に見えるのは海軍士官の制服……。やはりこの方は……」

時雨「この人の正体を考える上で鍵になるのは、『提督の私室』で見つけた『提督の手記』だ」

阿武隈「私室の手記?」

時雨「そういえば、直接あの部屋に入って手記を読んだのは僕と不知火だけだったね」

時雨「不知火。本庁舎で見た『提督の手記』のことを覚えてるかい?」

不知火「ええ、覚えています。確か、失踪した中将司令に代わり着任した少将が書いたと思われる手記でしたね」

時雨「うん。不知火の言う通り、あの手記の内容から書き手は後任者――つまり少将提督だ」

時雨「あの手記からは、少将は大本営からの命令で失踪した中将に代わって着任し、中将の生死を確かめるよう命じられていたこと」

時雨「そして中将の捜索とは別に、この鎮守府で何かを調べていたことが伺える。ここが重要だ」

時雨「少将と大本営がこの鎮守府でいったい何を調べていたのか?」

時雨「それはおそらく……この地下施設のこと。ここを探し出そうとしていたんだ」

吹雪「えっ?」

阿武隈「ちょっと待って……さっき時雨ちゃんは、鎮守府の前身施設の設立には大本営が関わってた可能性が高いって推理してたよね?」

阿武隈「なのに大本営が地下施設を探していたって……おかしくない?」

時雨「確かに、大本営が施設の設立に関わっているのにその場所を知らない。これだとさっきの推理と矛盾があるのは承知の上さ」

時雨「正直この辺りに関しては確たる情報が無いから完全に僕の推測になってしまうけど……」

時雨「あくまで大本営は施設の設立に助力しただけ。パトロンのような立場に過ぎず、現場の詳細までは把握していなかったとしたら、どうだろう?」

時雨「存在ごと隠蔽するほど徹底した機密保持が行われていたのなら、関係者も最小限に止めていて、ここを知る人の絶対数自体が少ない可能性もあるし」

時雨「ここの関係者がどれくらい居たのかはわからないけど、既にその多くが死んでいるか話を聞けない状況にあったとしたら……」

不知火「だから大本営と少将提督は、手探りで探索せざるを得なかった。ということですか?」

時雨「まあ、推測である以上真相ははっきりしないけど……少なくとも大本営が地下施設の詳細を知らなかったのは間違いないはずだ」

時雨「着任した少将の手記の中に地下施設に関することは書かれてなかったし」

時雨「この地下施設の各所で見つけた資料にも、大本営との直接の連絡や関連を匂わせるものは一切出てこなかったからね」

時雨「ここで少し話を戻すけど、この地下施設は何らかの理由で閉鎖し封印されたものじゃないか。って話したよね?」

時雨「だけど僕たちが見てきたように、ここでは鎮守府の艦娘を使った実験が行われていた。一度は封じたこの施設を再び開いた人が居たんだ」

吹雪「それって……やっぱり少将司令官……?」

不知火「艦娘を物同然に扱っていた少将なら……地下施設を発見し、そこで何かの野心に駆られて狂気の実験に手を出したとも十分に考えられますね」

時雨「いや、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかったみたいなんだ」

時雨「それに少将は優秀な人だったらしいけど、いくら優秀でも一朝一夕であんな研究を行えるはずがない」

時雨「少なくとも医学薬学や生物学などにかなり深い造詣があり、艦娘のことにも詳しくないとあれだけの研究や実験は出来ないと思う」

阿武隈「それじゃあ……この人は……」

時雨「そう……。研究に関して造詣がある可能性があり、大本営すら知らないこの地下施設への入り口を知っている人物はただ1人」

時雨「前身施設の関係者で秘密の守り人だった前任の提督――いや、中将司令官だ」


中将「……」

吹雪「ちゅ、中将司令官って」

阿武隈「この鎮守府にいた前任の提督……。でもここが廃墟になる前に突然失踪したって……」

時雨「失踪した。だけど死んではいなかったんだ。むしろ何らかの事件に巻き込まれて自分が死んだように見せかけていた」

初霜「まさか、そんな……」

時雨「前任――つまり中将提督は失踪扱いのまま、大本営側もはっきりとした生死は確認出来ていない。と聞いた時から疑ってはいたよ」

時雨「もし中将の失踪に大本営が関与しているのなら、わざわざ後任の少将に生死の確認を命じる必要はないはず」

時雨「そうなると、中将の失踪は何らかの事件や事故に巻き込まれたか……もしくは意図的に自ら姿を消したって可能性に絞られてくるからね」

吹雪「意図的に姿を……」

時雨「中将提督が生きていたとすれば、この鎮守府で起きていた数々の異変の真相も見えてくる」

時雨「すべてのきっかけは中将提督の失踪――その直前の解任騒動辺りから端を発しているんだ」

時雨「青葉さんの新聞によれば、中将の解任決議という話が出てきたのは2013年の7月頃のことだ」

時雨「新聞でも解任の詳しい理由は不明とされていたけど、大本営からの命令無視や作戦行動に消極的な姿勢等が原因と推測されてもいた」

時雨「それ以前の新聞記事では、この鎮守府は開戦初期から戦っていて、解任騒動の数か月前に発令された大規模作戦でも大きな功績を挙げたと書かれていた」

阿武隈「その時期に行われた大規模作戦って……確か、深海棲艦に対して初めての反攻になったっていう奇襲反攻作戦だったはずだわ」

不知火「今こそ数ある鎮守府の中でも最古参の部隊が参加したという、今となっては伝説的な戦いの1つですね」

時雨「そんな最前線で活躍していた艦隊が、この数か月の間に突如方針を転換し作戦行動に消極的になった。新聞からはそう読み取ることが出来る」

時雨「大本営からの命令無視というのも、おそらく消極的な姿勢というのに関係すること。察するに発令される作戦の拒否とかだったんじゃないかな?」

時雨「まあ、その辺りは想像するしかないんだけどね……」

時雨「問題は、この数か月の間に何があったのか? ってことだけど」

時雨「その理由は、地下施設にあった一室。あの『オフィス』でみつけた日記の内容から窺い知ることが出来た」


中将「……」ピクッ

不知火「日記?」

時雨「あのとき一緒にいた皆には言わなかったけど、あそこで僕は幾つかの資料を見つけていたんだ」

時雨「その中の1冊に日記のような物があったんだけど、あれは多分この人が書いたものだ」

阿武隈「じゃあ、あそこは……この人が使っていた部屋だったのね」


中将「……」


時雨「あの日記に日付のようなものは一切記載されてなかったけど、内容から考えて深海棲艦との戦いが始まった頃からの記述だってことがわかった」

時雨「さらに内容からは、深海棲艦との戦争やその戦況を不安視していたことも窺えた」

時雨「興味深いのはその後の記述。日記の主が怒りを露にして何かを糾弾……あるいは絶望するかのように、激しい文体で記されている部分があったんだ」

時雨「その記述こそが、数か月の間に中将に起こった変化を示していたとしたら、どうだろう?」

初霜「怒り……糾弾……」

吹雪「いったい何が書かれていたの?」

時雨「残念ながら、その箇所は殆ど読み取れなかったから詳しい内容までは解らない……」

時雨「だけど日記にはまだ続きがあった……。そこに書かれていたことが重要なんだ」

時雨「日記の最後は、その前の激しい怒りが一転して吹っ切れたような、そして何かを決意したような記述を残して途絶えていた」

時雨「ここも文字の判別が難しい所が多かったけど……『深海棲艦を根絶やしにする』、『その為には研究を進める必要がある』って読める部分があったんだ」

吹雪「深海棲艦を……根絶やし!?」

初霜「それじゃあ、ここで行われていた研究っていうのは……」

時雨「そう。ここで中将提督が行っていたのは『深海棲艦を絶滅させる為の研究』」

時雨「おそらく中将は深海棲艦との戦いの中で何かを知ってしまったんだ。あるいは中将が突然作戦行動に消極的になった理由もその辺りにあるのかもしれない」

時雨「その結果、深海棲艦を絶滅させることを考えるようになり、そのための研究を開始した」

時雨「一度は封鎖されたのであろうこの地下施設を再び開いたのも、深海棲艦を絶滅させる為の研究を進めるため」

時雨「これは地下施設の各所で見てきた物から考えてほぼ間違いないはずだ」

吹雪「じゃあ……深海棲艦の細胞を使った実験や、艦娘への人体実験っていうのも」

不知火「すべては、深海棲艦を絶滅させるための研究の一環だった……」

時雨「しかし、直後に大本営が中将提督の解任を議論し始める。おそらく中将の異変を察知したんだろう」

時雨「深海棲艦を根絶やしに。という中将の考えを知り危険と判断したのか……それとも何か別の理由があったのかは分からない」

時雨「でも、明確な理由も無くいきなり艦隊司令の解任という話が出ている辺り、この解任騒動と中将の異変が関連しているのは明白だ」

時雨「同時にこのことから、中将が行っていた事と大本営の意思は異なる……つまり僕たちが見つけた研究や実験に関して、大本営は関係していないことが窺える」

阿武隈「深海棲艦の細胞や艦娘を使った実験は、中将の独断だったってこと?」

時雨「うん。中将は大本営に対しても秘密の内に研究に着手し始めたんだろう。何故独断だったのかは、確たる情報が無いから詳しくは解らないけど……」

時雨「もしかすると、前の記述で怒りを露にしていた理由もその辺りにあるのかもしれないね。大本営への反抗……もしくは不信感か……」


中将「……」


時雨「しかし実際には中将が解任されることはなかった。解任決議の最中に中将が失踪してしまったからだ」

時雨「そしてこの失踪も……中将が仕組んだ工作だったんだ」

時雨「おそらく中将は、大本営が自分の行動に気付いて司令職を解任しようとしていることを察して、先手を打ったのさ」

時雨「中将に変化が起こり始めた時期と解任決議のスパンから見て、まだ研究はほとんど進んでいなかったはず」

時雨「もし解任が決まり強制的に提督の任を解かれれば、当然この鎮守府からも離されてしまう。そうなる前に何としてでも手を打つ必要があったんだ」

時雨「その結果、中将が打ち出したのが……自身の失踪を装うという手段だった」

夕立「全部中将さんの自作自演だったってこと?」

時雨「そうさ。この地には、身を隠し更には人知れず研究を続けることも出来る場所も存在しているからね」

初霜「! この地下施設ですね!」

時雨「その通り。施設の存在こそ認知していても、出入りする為の方法までは知らなかった大本営の目を晦ますことができ」

時雨「尚且つ研究設備も整っているこの地下施設は、まさに絶好の隠れ家だ」

時雨「こうして中将は自らが突然失踪したように見せかけ、実際は秘密の地下施設へと潜って秘かに研究を継続していた」

時雨「これが中将の失踪騒動の真相だ」

時雨「中将が失踪し、次に起こったのは後任の提督――少将の着任だ」

時雨「少将に関しては『少将の手記』の内容や今までの流れからも分かるだろうけど、間違いなく大本営の息が掛かった存在だ」

時雨「彼がこの鎮守府に派遣された目的は、失踪した中将の捜索と、中将が行っていた研究に関する調査と抹消。地下施設の捜索」

時雨「そして、中将に代わる秘密の守り人の継承も極秘任務として命じられていたんだろう」

阿武隈「じゃあまさか、少将が着任早々から艦隊の規則とか行動を異常なほど厳しく制限したのは……」

吹雪「艦娘たちに気付かれずに、それらの任務を実行するため……!」

時雨「そう。ここの鎮守府では夜間の出撃などは一切行われず、既定時間以降は全ての艦娘たちが寮の部屋から出ることも禁じられていたみたいだからね」

時雨「たぶん艦娘たちを寮へ追いやり無人になった深夜の時間帯を使って、少将はそれらの任務にあたっていたんだ」

時雨「これら一連の流れや少将の手記の記述からみて、大本営は余程この施設の存在を隠したいらしい」

時雨「更に中将が行っていた深海棲艦に関する研究も、抹消したいほど危険視して少将に捜索を命じていた……」

不知火「……」ゴクリ

時雨「ところが、ここで少将の行動に異変が起こったんだ」

初霜「異変?」

時雨「不知火。僕と一緒に『少将の手記』を読み、執務室や提督の私室の様子を詳しく見ているのは、君だけだったよね?」

不知火「はい。そのはずですが」

時雨「不知火は、この手記の内容と着任後に少将が生活していた2つの部屋の様子を見て、何か感じたりしなかった?」

不知火「え……?」

不知火「…………いえ、特に気になることはなかったと思いますが」

時雨「僕はあの手記を読んだ後、執務室に入って……妙な違和感を感じたんだ」

阿武隈「妙な違和感?」

時雨「僕も最初はその違和感の正体が分からなかった……。だけど、後になって少将提督のことを思い出していた時に気付いたんだ」

吹雪「いったい何が気が付いたの?」

時雨「矛盾だよ。手記の内容と執務室の様子のね」

阿武隈「矛盾?」

時雨「そう。少将の手記の内容を読み解くと、少将は鎮守府内の捜索を行う為に艦娘たちに対して厳格な規則を課していたようだけど」

時雨「実はそれを除いても……少将個人としての性格や思想といった面においても、かなり神経質なところがあったみたいなんだ」

時雨「手記の中で少将は、仕事環境の整理整頓がどうとか、艦娘の公私混同がどうとか……そういう細かなことをかなり気にしていた」

不知火「そういえば……確かにそのような記述がありましたね」

時雨「おそらく少将が厳しい規則を課して風紀を徹底したのも、大本営命じられた任務の為の環境づくりという理由以外に、少将個人としての考え方に基づくところもあったんだろう」

時雨「少将は艦娘を兵器と割り切っていたような記述もあったし……入渠ドックの娯楽施設などの状態を見ても、彼は僕たち艦娘を人として見てはいなかったのかもしれない」

初霜「……」

時雨「それを踏まえた上で、執務室や提督の私室の様子を思い出してみると……何か引っかからない? 不知火」

不知火「私室や……執務室……」

不知火「どちらの部屋も荒れた形跡も少なく、比較的綺麗なままでしたが……」

不知火「…………あれ……ちょっと待ってください。そういえば、執務室の机……」

時雨「そう。僕と不知火が執務室に足を踏み入れたとき、執務室の中は綺麗なままだった」

時雨「だけど室内を探索した時にみた提督の執務机。その上は、本や書類がごちゃ混ぜになってて、かなり散らかった状態だった」

時雨「わざわざ愚痴を書き記すくらい神経質な性格が読み取れる手記の内容と、それとは裏腹に散らかったままの執務机……」

時雨「この2つの奇妙な矛盾が、僕はずっと引っかかっていたんだ」

時雨「もっと言えば、手記に関しても奇妙な点はある」

時雨「少将の手記は着任直後から毎日こまめに記されていたのに、9月12日を最後にぱったりとそれが途絶えていたんだ」

時雨「これも、窺い知れる少将の性格から考えてかなり不自然なことだ」

阿武隈「それが少将の異変?」

初霜「確かに妙な点は多いですけど……でも、それがいったい何を意味していると……?」

時雨「初霜。僕がさっき、少将提督は最後までこの地下施設を発見することは出来なかった。って言ったのを覚えてる?」

初霜「えっ?」

時雨「僕が……今、目の前にいるこの人が中将提督である。とする根拠の1つが、この少将の異変なんだ」

夕立「うーん……。時雨の言ってることの意味、よくわかんないっぽいぃ」

時雨「そうだね。なら単刀直入に言おう」

時雨「中将提督の後任として着任した少将提督。彼は途中からあなた――中将提督によって操られていたんじゃないかな?」

やり直したほうがいい感じ?

吹雪「ええっ!?」

阿武隈「操られて……でも、いったいどうやって?」

時雨「『薬品保管庫』で見つけたメモに、自我を奪う効能を持つ試薬のような物を使っていたって記述があったのを覚えてる?」

時雨「おそらくその薬を使って実験に使っていた艦娘たちの自由を奪っていたんだろうけど、それを少将にも使っていたとしたら……」

不知火「待ってください。仮に少将がその薬とやらを使われていたとしても、疑問が残ります」

不知火「自我を喪失などして正常な行動なんて出来るとは思えません。仮に少将が薬で自我を奪われていたとしても、他の艦娘たちが異変に気付くはずでは?」

時雨「確かに。メモの中でも投与した対象は廃人化してしまうような事が書いてあった」

時雨「しかしメモの最後の方には問題点を改善した試薬の改良型に関する記述もあったから、もしかすると廃人化という点は改善されていたのかもしれない」

不知火「少々強引ではないですか?」

時雨「まあ……実際にその薬の現物も見つけられなかったし、正直確証があるかと問われると微妙な所であることは否めない」

時雨「あるいは少将を取り巻く環境も要因の1つって可能性も考えられるよ。ここの艦娘たちの少将への心証はかなり悪かったみたいだからね」

時雨「艦娘たちと少将の接触が少ない……いや、少なくなるように仕組んでいたのかもしれない」

初霜「だとしても、どうやって少将提督に薬を盛ったんです?」

初霜「時雨さんの仰る通りだとして……中将提督は少将提督の目を逃れる為に地下に潜った」

初霜「そんな状況で地上に出るのはリスクが高過ぎると思います。仮に人目を避けて地上に出たとしても、提督に薬を盛るなんて芸当……とても実行できるとは思えません」

時雨「そうだね。せっかく潜伏したのに頻繁に出入りしていたら露見するリスクは高くなる。中将もそんな愚は犯さないだろう」

不知火「では、どうやって?」

時雨「中将が地下から動けない以上、地上にいる少将に接触を図る方法はただ1つ……。地上に協力者がいたんだ」

吹雪「協力者?」

時雨「うん。中将には、自分が地下に潜伏した後も鎮守府の状況を窺い、時にはコンタクトを取るための協力者が存在したんだ」

時雨「その人物を少将に接触させ、彼に最も近い位置である秘書艦の座に就かせて……薬を盛るチャンスを窺わせた」

阿武隈「じ、じゃあ……その協力者って」

時雨「そう。中将と最も付き合いが長い存在といわれ、さらに中将失踪後すぐに少将の秘書艦に抜擢された艦娘」

時雨「今もそこで眠っている電。彼女が中将の協力者だったんだ」


中将「……!」


電「――――」ゴポポッ

吹雪「電ちゃんが……」

初霜「中将提督の、協力者……」

時雨「少将の手記によれば、少将は着任後の秘書艦選びに難航していたらしいけど、前任の代でも秘書艦を務めていた電の手腕に着目し高評価していた」

時雨「対する電も、少将への不満などは口にせず彼に従っていた。長門さんら他の艦娘達が不審がるほど忠実にね……」

時雨「おそらく電は少将に接近する為に、彼に気にいられるよう演技していたんだ。秘書艦の日誌や他の資料等でも、この頃から電の様子が変わったことが示唆されていたしね」

時雨「そうやって電は見事に少将の信頼を得て彼の秘書艦に任命された。秘書艦になれば少将に薬を盛るチャンスはいくらでもあったはずだ」

時雨「少将が中将たちの手に落ちたのは、あの手記が途絶えた頃……9月の中旬頃には、既に操られていたんだろう」

不知火「しかし、どうしてそんなことを……?」

時雨「理由は大本営の捜索から逃れるため」

時雨「地上で自分の生死と地下施設を探っている少将は、中将にとって目下の脅威であり邪魔な存在だったんだろうけど、だからといって下手に手出しも出来ない」

不知火「強引に排除なんてすれば、それこそ大本営に怪しまれてしまいますね」

時雨「そこで薬を使って少将を操ることで、少将という存在は排除せず脅威だけを取り除くことを思いついた」

阿武隈「なるほどね。少将を操っていたのなら、少将を装って大本営に偽の報告を上げるなんて事も出来るだろうし……。始末するより利用価値があったって訳ね」

時雨「うん。そうやって目下の脅威を除き、さらには地上に便利な代理人を置くことまで成功した中将は、地下での研究に専念できる環境を手に入れた」

時雨「細部まで合ってるとは思ってないけど、だいたいの流れとしてはこんな感じのはずだ」


ピピーッ ピピーッ ピピーッ


時雨「!」

阿武隈「なに……?」


中将「……」カタカタ...ピタッ


時雨(機械の操作を止めた……?)


中将「…………」

中将「……お前は駆逐艦時雨か?」

時雨「! ああ……そうだよ」

中将「大したものだ。まるで見てきたかのようだ」

阿武隈「じゃあ、やっぱり……!」

時雨「僕の推理は正解だった。ってことでいいのかな?」

中将「ああ。まさか時雨がここまで頭が切れるとは……」

中将「私の元にいた時雨はすぐに使ってしまったが……惜しいことをした。いや、個体ごとの差かもしれんがな……」

時雨「!」

不知火「こいつ……っ!」

時雨「なるほどね……。この艦隊の僕は、既にあなたの実験に使われていたから居なかったのか」

夕立「……!」

中将「そこまで分かっているのなら、その先のことも突き止めているのか?」

時雨「……ああ。だいたいのことは、ね」

時雨「少将を支配下に置き、大本営の目をかわせるようになったあなたは、本格的に研究を進め始めた」

時雨「その研究とはさっきも言った『深海棲艦を絶滅させる』為の研究」

時雨「たぶん最初は深海棲艦を倒す糸口を探る為に、深海棲艦に関する研究から始めたんだろう」

不知火「『検体保管室』にあった深海棲艦の標本や資料は、やはり深海棲艦のことを調べていた痕跡だったのですね」

時雨「少将を介して艦隊にも指示を出せるようになったことを利用して、艦娘たちに深海棲艦の残骸等の実験に使う素材を集めさせていたんだろう」

時雨「実際、執務室に残されていた『極秘命令書』にも、それを匂わせる記述があったからね」

時雨「だけど深海棲艦の残骸程度の素材で研究が捗っていたとも思えない……。おそらく研究は直ぐに暗礁に乗り上げたはずだ」

時雨「そこであなたが目をつけたのが……」

吹雪「鎮守府の艦娘、だね?」

時雨「そう。生物の生死に関わる研究なら当然生きた素材が必要になるはずだ。あなたはその素材に艦娘を利用することを思いついた」

時雨「少将を操っていたなら、地上の艦娘たちを秘密裏に攫うことくらいそう難しくはないはず」

時雨「しかも鎮守府では、少将が敷いた厳格な行動規定が設けられていたんだから尚更さ」

吹雪「そうか。任務以外の鎮守府内での行動が制限されてて、人が居ない状況を作り易い環境だったなら」

不知火「他の艦娘たちに知られることなく、特定の艦娘を攫うことも可能……」

初霜「少将提督が敷いた体制を逆に利用したんですね」

時雨「うん。僕の予想通りなら、少将は比較的早い段階で操られ始めたはず」

時雨「しかしその後も鎮守府の自由は制限されていった……これは少将に成り替わった中将の思惑で、実験に使う艦娘を攫い易くする環境を作ることが目的だったんだ」

阿武隈「つまり地上で起きていた『神隠し事件』の真相は、中将によって艦娘たちが次々と拉致され……地下で実験に使われていたってことね」


中将「……ふん」

夕立「でも深海棲艦を絶滅させることと、艦娘への実験っていうのにどういう関係があるの?」

時雨「それに関しては、検体保管室にあった記録から考えることが出来るけど……夕立と初霜は実際に見てはいないね」

夕立「ぽい」

時雨「検体保管室には『深海棲艦細胞に関する記録』が残されていたんだけど、その内容を見ると中将は深海棲艦の細胞に注目していたようなんだ」

時雨「同時にその記録の中には、深海細胞を素に何かを生成したという記述も残っていた」

初霜「何かを生成……?」

時雨「その記録から分かる限りでは『γ17』って名称の物質が実際に深海細胞から生成されたらしい」

吹雪「γ……あれ、これってどこかで……」

時雨「気付いたかい? そう……僕たちが見つけてきた資料の中にもう1つ。同じγという記号の入った物について書かれている資料があるんだ」

時雨「それは……ここにある『真新しい手記』。ここに書かれているγ-13号弾という物にも同じγの記号が使われているんだよ」

時雨「この手記に書かれているγ-13号弾という物は、おそらく『開発室』で研究されていた深海棲艦に対する新型の特殊弾。それの完成品だ」

時雨「そしてこの特殊弾の名称に使われているγという記号が、深海細胞から生成したというγという物質を示すものだとしたら……」

阿武隈「まさか……中将提督が作っていたのって」

時雨「深海細胞を使った対深海棲艦用の生物兵器。これが中将が目論んでいた『深海棲艦の根絶やし』の鍵。その正体だよ」

時雨「地下に連れてこられた艦娘たちは、この兵器を作るための人体実験に使われたんだ」

吹雪「生物、兵器……」

初霜「そんな物を作っていたなんて……しかも実験の為に艦娘たちを……失踪する以前には一緒に戦ってきたはずの艦娘を使うなんて……」

不知火「この男も少将と同類……我々艦娘のことなど、消耗品程度にしか思っていなかったのでしょう」


中将「……」ピクッ


時雨「……だけど、その兵器が完成するまでの間にもう1つ。事件が起きていたんだ」

阿武隈「もう1つの事件?」

時雨「この手記にも書かれている通り、この生物兵器はまだ最終実験というものも済んでいない。完成に至ったのは本当にごく最近のことなんだろう」

時雨「つまり、生物兵器の開発にはかなりの時間が掛かっていた。その間に起きたのさ……この鎮守府を廃墟に変える出来事が」

時雨「操った少将を使って大本営に偽の報告を送り追及をかわし続けていたんだろうけど、やがてそれにも限界が来てしまったんだ」

時雨「不知火、執務室のゴミ箱に捨てられていた命令書を覚えてる?」

不知火「ええ。あのクシャクシャにされた……何かの催促状のような書類ですね」

時雨「そう。不知火の言った通りあの命令書は、大本営から送られてきた少将への報告の催促だったのさ」

時雨「命令書の日付は2014年の1月。この頃にはもう少将を使った時間稼ぎは限界を迎えていたんだろうね」

時雨「一向に調査に進展を見せない少将を不審に思い始めた大本営は、たぶん少将に代わる新たな人間の派遣か、もしくは本格的な調査の手を入れるくらいの検討に入っていたんだろう」

時雨「もしそうなれば、せっかく作り出した研究環境は台無し。それどころか生物兵器が完成する前に全てが露呈してしまう危険すらあった」

阿武隈「進退窮まった、ってことね……」

時雨「追い詰められたあなたは、遂に最悪の手段に打って出た……それが『終末計画』だ」

初霜「終末計画?」

時雨「『オフィス』に残されていた書類の中に、そういう名称の作戦書があったんだ」

時雨「おそらく終末計画とは、大本営に中将の企みを察知された場合を想定した最終手段」

時雨「全てが露見する前に、全てを巻き添えに自爆する計画ってところだろう」

吹雪「じ、自爆!?」

時雨「正確には、自爆した風を装うのが目的。って言うべきか」

時雨「この頃にはまだ生物兵器自体は完成してはいなかったのだろうけど、試作品くらいは出来上がっていたんだろう」

時雨「開発室にあった報告書によると、特殊弾の実験自体は既に何度か行われていたみたいだしね」

阿武隈「じゃあ……それを使って」

時雨「試作段階の生物化学兵器を使い、大本営の手がこの施設に及ぶ前に鎮守府ごと崩壊させたんだ」

時雨「もちろん単なる事故――生物兵器が誤って使用されてしまった可能性も考えられるけど」

時雨「この計画の存在を考えれば、事故ではなく意図的なものだったとみてほぼ間違いないはずだ」

時雨「全ては大本営の目を今度こそ完全に逸らせる為……その為に地上で未知の生物化学兵器が使用されたんだ」

不知火「では、地上に残っていた艦娘たちは……」

時雨「開発室の報告書では、試作の段階でも艦娘と深海棲艦に対して何らかの強力な破壊作用が認められていたみたいだからね」

時雨「詳しい作用は分からないけど地上の惨状を見るに……鎮守府に残っていた艦娘たちは為す術もなく全滅したんだろう」

初霜「なんてことを……」

時雨「結果として計画は成功し、大本営も鎮守府は完全に崩壊したものと判断したんだろう」

時雨「後に大本営が調査の手を入れたかどうかは分からないけど、今日までこの地下施設が閉ざされていたことから、遂に発見されることはなかったんだろう」

時雨「あるいは、ここが崩壊した時点で下手に手出しせず、存在自体を本当に無かった事にしようとしたのかもしれない」

時雨「この地の存在そのものが、大本営にとってかなり都合の悪いものだったみたいだからね」


中将「……」


時雨「これが僕の考えるこの鎮守府で起きた異変の真相。そして鎮守府が廃墟と化した理由だ」

阿武隈「でも、あたしたちを襲ったあの怪物は……」

阿武隈「あれは一体何だったの? やっぱり、実験に使われた艦娘の成れの果てだったとか……?」

時雨「少なくとも初霜と夕立に化けていた2体に関しては、中将が意図的に作り出した物だろう」

時雨「だけどもう1体……。地上からずっと僕たちを襲ってきたあの怪物は、全く異なる経緯から生まれた文字通りの怪物だったんじゃないかな?」

吹雪「ど、どういうこと?」

時雨「地下の『資料室』で阿武隈さんと不知火が見つけたレポートに、あの怪物たちのことと思われる記述があったのを覚えてる?」

阿武隈「うん、覚えてるわ」

時雨「あの記述をよく読むと……深海棲艦化するパターンや、生身の人間に深海の力が作用するとどうなるか? ってことが書かれていると読み取れたんだ」

初霜「生身の人間……」

時雨「仮定だけど、これがもし終末計画実行後に確認されたものだったとしたら?」

吹雪「えっ」

時雨「生身の人間なんて鎮守府の環境上限られるよね。ここにいた人間は2人だけ……今目の前にいる中将でないとすれば、残るのは1人」

不知火「あの怪物の正体は……少将司令、だと……?」

時雨「おそらく終末計画が実行された際、既に用済みになった少将も他の艦娘と共に生物兵器によって始末される計画だったんだ」

時雨「だけどそこで生身の人間だった彼は、中将も予想していなかったような未知の変化を遂げ……結果、あの怪物に変貌した」

阿武隈「じゃあ、あれは少将提督の成れの果て……」


中将「……」パチ...パチパチパチ

時雨「!」

中将「見事だ。まさか部外者の艦娘にそこまで突き止められるとはな」

中将「本当に大したものだ。仮に大本営の手の者がこの場にまで辿り着くことが出来たとしても、そこまで突き止めることは当的無いだろうと思っていたが……」

中将「やはり艦娘にはまだまだ可能性がある。あるいはこの場を……人間ではなくお前たち艦娘が突き止め、足を踏み入れたことも……奇妙な宿縁なのかもしれないな」

阿武隈「何なの……この人」

不知火「イカレてる……」

時雨「……」

初霜「時雨さん、1つ聞いてもいいですか?」

時雨「なんだい?」

初霜「今までの話でこの鎮守府で起きていたことは分かりました。だけどまだ気になることがあります」

初霜「最初に言っていた『この地に初めからあったという前身の施設』という存在……。それは一体何なんですか?」

時雨「ああ、まだそれが残っていたね」

時雨「ここが鎮守府になる以前から存在していたもう1つの施設。鎮守府になった後もリスクを承知でわざわざ残しておく程に重要な存在だったことは間違いない」

時雨「正直、この部分に関しては僕自身まだ半信半疑……確証といえるものが無いんだけど。ここにあったのは恐らく……」

夕立「恐らく?」

初霜「……時雨さん?」

時雨「……」

中将「その様子では、お前は既に察しているのだろう? お前は頭が切れるようだ。何よりあの金庫の中身を見たのであれば、辿り着いているはずだ」

中将「この地で行われてきた悪魔の研究のことに。お前たち艦娘の原点に」

時雨「! それじゃあ……まさか……」

吹雪「艦娘の原点……?」

不知火「この男は、いったい何を言って……」

中将「言うなればここは始まりの場所。お前たちにとっては生まれ故郷ともいうべき場所なのさ」

阿武隈「生まれ……故郷……?」

時雨「やはりそうか……。ここは……ここにあったのは……」

時雨「艦娘の、開発施設」


中将「……素晴らしい」

阿武隈「艦娘の……開発って……」

不知火「待っ、待ってください……時雨さん……何を言って……」

時雨「僕だってまだ信じられない……信じたくない……でもあの金庫……」

時雨「あの中に入っていた10年以上も前の日付が記された資料……。あれはどう考えても、今まで僕が話したこの鎮守府での出来事とは辻褄が合わないんだ」

時雨「資料に書かれていた内容に、この地下施設の設備……それに地下施設で見たあの本……このことから考えられるのは……」

中将「そう……ここは全て元々はお前たち艦娘を生み出す為に用意されたもの。そしてあの金庫の中の資料は、その記憶なのさ」

時雨「!」

中将「お前たちも知りたいだろう? 自分たちがなぜ今ここに存在するのか? どうやって作り出されたのか?」

中将「せっかくここまで辿り着いたのだ……知りたいのなら教えてやろう」

中将「大義の名のもとに狂気の実験に手を染めた、罪深き人間たちの話を。その果てにお前たち艦娘が生み出された……血の歴史をな」

中将「全ての始まりは、ある日突然海の底から現れた謎の艦艇――後に深海棲艦と呼ばれる存在の出現」

中将「人類の持つあらゆる武器の効力を受け付けぬ未知なる存在を前に、人類は成す術なく世界中の制海権を失い、滅亡の危機に立たされた」

中将「その脅威に対抗できる唯一の存在。それが在りし日の戦船の魂を持つ娘――艦娘」

中将「その力と活躍により、人類は制海権奪還に向けた最後の希望を艦娘に託した」

中将「世に広く知られるこの戦争の経緯、お前たちも当然知っていよう?」

時雨「……」コクリ

中将「では不思議に思ったことはないか? 劣勢に立たされていた人類側に突然現れた深海棲艦への対抗手段……艦娘とは一体何なのか? いつ、どのような経緯で誕生したのかと」

中将「お前たち自身答えられるかね? 自分たちが一体何者なのか。どうやって生まれたのか?」

吹雪「そ、それは……」

阿武隈「……確かに、あたしたちは知らないわ。艦娘として今の鎮守府に着任した事以外……それ以前の事も、何も……考えたことも無かった」

中将「だろうな。知るはずがない。何せ今となってはそのことを知る者は殆どいない。お前たちの指揮官である提督も知り得ぬことなのだから」

初霜「何だって言うの……あなたは、何を知っているというんです!?」

中将「きっかけは些細な、誰も予期していなかった小さな出来事だったそうだ」

中将「その出来事の詳細は既に伝承が途切れ、もはや誰も知り得ぬことだが……劣勢に立たされていた人類はある事件をきっかけに、嘗て世界に巻き起こった大戦で用いられた戦船。その魂というべき物の存在と、それが深海棲艦に対する有効手段に成り得ることを知った」

中将「希望を得た人類はすぐに研究を始め、在りし日の戦船の魂を用いた兵器の開発を急いだ」

時雨「……」

中将「当初こそ開発は順調に進み、戦船の魂を機械を通じて伝達させる技術の確立や、それを用いた試作第1号の開発にまでこぎ着けた」

中将「だが開発計画は直ぐに暗礁に乗り上げた。1号を始め、試作される兵器はどれも戦闘での実用性はおろか安定した運用すらままならない失敗作ばかりだったからだ」

初霜「失敗作……」

中将「何故だと思う?」

吹雪「なぜって……」

時雨「……わからないね」

中将「器だよ」

阿武隈「器?」

中将「それまで開発計画を進めていた者たちは、戦船の魂を機械の器――人工物に適応させることで対深海棲艦用の兵器を作ろうとしていた。それ自体が誤りだった」

中将「戦船の魂という大いなる存在を収めるには人工物などでは到底不可能な話。つまりは器となる存在が重要だったのだよ」

初霜「! まさか……」

時雨「……っ、そういう…ことか」

中将「その結果考案されたのが人間を器とした兵器の開発。お前たち艦娘の原型となる研究が始まったのだ」

不知火「人間の……器……」

吹雪「それが……私たち艦娘の……?」

中将「そう、原点だ。そして思った通り人間を器に作り出した試作品はこれまでにない成績を叩き出した」

中将「これにより開発計画の方針が確定し、開発推進の為にさらに多数の人間が器として研究に投じられ、開発は飛躍的に進んだ」

阿武隈「……」

中将「だが計画はまたしても大きな問題に直面した。研究の為に必要不可欠な素材――器となる人間が不足したのだ」

吹雪「……!」ゾクッ

中将「それまでは国家が戦時動員した挺身隊と呼ばれる志願者たちが主に使われていたが、そんな人材はすぐに底を尽きた」

中将「何せまだ手探り状態だった研究では、使用した素材はほぼ使い捨て……再利用率が極めて低かったからな」

初霜「素材……再利用率……っ!?」

不知火「人をどこまで……どこまで愚弄すれば……ッ!」プルプル

中将「……ふん。その台詞はそれを勧めた国家に言うべきだな。我々は国家の命に従ったまでなのだから」

不知火「……貴様はッ!」

阿武隈「不知火ちゃん! 落ち着いて!」

時雨「……」

中将「フッ、フフフ……。この程度で頭を熱くしていては、この先の話はまともには聞けないぞ」

中将「この先こそ……人という愚かな生き物の業の極み。本当の地獄が始まるのだからな……」

中将「素材となる人間の不足により開発計画は中断寸前にまで追い込まれ、より多くの素材の確保は急務になった」

中将「だが自ら進んで生贄になるような志願者はそうそう居るはずがない。追い詰められた国家は、遂に禁忌に触れる決断を下した」

阿武隈「禁忌に触れる……?」

時雨「……それが、あのリストに書かれていた子供たちなのか……!?」

吹雪「リストって、あの」

初霜「金庫の中にあった……まさか、あの資料は……」

中将「そう。あれは狂気に駆られ禁忌に触れた国家により犠牲となった無数の命を記した唯一の記録であり、記憶」

中将「深海棲艦の脅威から国を護るという大義の為と銘打ち、この国は秘密裏に戦災孤児や重病等で回復の見込みがないと判断された子供を集め、兵器開発に利用するという悪魔の手段を計画したのだ」


~~~~~~~~~~


『これまでの研究の結果、器には大人の人間よりむしろ子供――特に少女に適性が高いことが判明しています』

『それはむしろ好都合だ。深海棲艦の襲撃により親を亡くし孤児となった子供、重傷を負った子供は国家が保護しているだけでも数百と居る』

『それだけ居れば、研究もより進展するだろう?』

『正気ですか? いくら何でもそのようなことは……』

『今は戦時下だ。それも国家……いや、人類存亡の危機といっていい情勢。人道だ人権だ等と平和だった時代の価値観を持ち出すのは筋違いもいいところだ』

『よいかね。これは必要な犠牲だ。子供たちには人類の生存と未来の為、今出来る最大の貢献を果たしてもらうのだ』

『それに使うのは身寄りのない孤児や、脳死などで植物状態になり回復の見込みもない子ばかり。未来の無い子供たちが人類の未来のための礎となる……素晴らしいことではないか』

『しかし……』

『海路を寸断され、これまで国家の生命線を他国との貿易に依存していた我が国に時間がないことくらい、君にも分かるだろう?』

『このままでは深海棲艦共の侵攻を待つ前にこの国は終わりだ。下らない議論で時間を費やす余裕は無い』

『…………』

『君とて自ら望んでこの研究に携わったのだろう? 人間を器にするという案も、君が発案したのではないか』

『……』

『実験に使う子供たちと必要な設備の手配は我々が何とかする。軍にも協力を仰ぐ手筈だ』

『君たちは一刻も早く、奴らに対抗しうる兵器の開発に全力を注ぐのだ。無駄な情など捨てたまえ』


~~~~~~~~~~

中将「そして造られたのがこの施設」

中将「表向きは孤児や重篤な障害を持つなど様々な理由で身寄りのない子供たちの為の保護施設を装い、裏ではその子供たちを使った人体実験を行う『艦娘開発施設』それがこの島の正体」

中将「ここは正に、人間の狂気を具現化したような、呪われた聖域」

中将「艦娘という未来を生み出すために……この地では数えきれない程の小さな命が、身勝手な国家と浅ましい人間の都合で無残に奪われたのだ」

吹雪「そん……な……」

中将「駆逐艦時雨。先ほどお前は、この地下施設を閉鎖したあと地上に鎮守府を造ったと推理していたが、それは正確ではない」

時雨「!」

中将「地上の施設自体は元からあった物なのだよ。この島に連れてこられた子供たちは、地上に設けられた施設で普通に生活していた……順番が来るまではな」

阿武隈「順番?」

時雨「……なるほど。あなたが鎮守府の艦娘たちに行っていたのと同じことを、前身の施設でも行っていたのか」

夕立「同じって……」

時雨「つまり、地上には連れてきた子供たちを収容するための施設が、地下には本来の目的である研究施設がそれぞれ存在していたんだ」

時雨「地上の子供たちは何も知らず普通に生活し、実験の順番が来ると地下に移され実験に使われた」

中将「そう。あの子たちは地下に連れられるまで、真実を知らされてはいなかった……」


~~~~~~~~~~


『ねぇ先生。今日の健康診断って、注射とかもあるの……?』

『……注射は嫌いかい?』

『うん……痛いし、きらい』

『……大丈夫。今日の健康診断に注射はないよ』

『ほんと!?』

『ああ……。だけど、注射の代わりにお薬を飲む必要があるんだ。それは平気かな?』

『うん! 注射に比べたらお薬飲むのなんてへっちゃらだもん!』

『……いい子だ』




『心拍数が急上昇しています。血圧も――』

『ユニットの出力が強すぎるんだ! 出力を弱めろ!』

『出力40まで低下。検体の心拍数、依然戻りません』

『くっ……もっと下げろ! 急げ!!』

『! 主任、検体の脳波が――――』




『やはり今の出力では検体がとても耐えられないようですね』

『……ああ。1度ユニットのほうを調整する必要があるな』

『わかりました。では今回の実験はこれで……この遺体はいつものように処理を――』

『…………』

『主任?』

『…………』


~~~~~~~~~~

中将「自分たちが元から殺される為に集められたということ……屠られる家畜のように生かされていたことを、子供たちはこの場所に連れられて初めて知らされた」

初霜「っ、なんて……酷いことを……」

中将「唯一救いと言えるのは、脳死や重篤な障碍を持つ者でも艦娘として適合すれば新たに健常な生を受けられるということ……。その場合は未来を与えられると言える」

時雨「……」

中将「そうして作り出されたのがお前たち、艦娘。数多の命の犠牲の果てに生み出された存在。それがお前たちの正体だ」

阿武隈「犠牲の、果て……」

不知火「馬鹿な……そんな与太話……信じるとでも」

中将「信じられぬかね? 私の言う事など」

中将「なら、そこの名探偵に聞いてみればいい。私の話は全て口からのでまかせ、妄言なのか? とな」

不知火「! 時雨さん!?」

時雨「……不知火」

不知火「なっ……そ……そん、な……」

中将「フッ、フフフフ……」

吹雪「それじゃあ、私たち……元は人間から……」ブルブル

中将「ふん……安心しろ。お前たちはそうではない」

吹雪「えっ?」

阿武隈「どういうこと……?」

中将「ここでの研究によって作り出されたのは、いわば艦娘の原型。艦娘という形態を確立するための試作品」

中将「しかし人間を器にする形式では量産性・安定性共に難があった……」

中将「その問題が解決し、最終的に艦娘が国家に承認され量産に至ったのは、人間に代わる器――『開発資材』と呼ばれている代替品が開発されたことが決め手になった」

中将「人間に限りなく近い人工の器。安価で大量生産でき、尚且つ安定性も高いそれは、まさに画期的な発明だった」

中将「それが出来たことで艦娘を作るのにわざわざ人間の器を使う必要は無くなった」

夕立「じゃあ、それがもっと早くあれば……!」

中将「もっと早くあれば、ここでの犠牲は必要なかった。が、ここでの犠牲が無ければ開発資材もまた生まれなかった……皮肉なものだ」

夕立「……」

中将「開発資材の導入により、今いるほぼ全ての艦娘は開発資材によって生み出された。人間を器に生成された艦娘は初期に生産された十数体ほどだ」

中将「その殆どは既に喪失している。今となっては僅かな記録と私の記憶に残るのみ……歴史の闇に、というやつだろうな」

不知火「っ!」ギリッ

時雨「……そうはさせないさ」ボソッ

訂正>>398

中将「開発資材の導入により、今いるほぼ全ての艦娘は開発資材によって生み出された。人間を器に生成された艦娘は初期に生産された十数体ほどだ」 ×

中将「開発資材の導入により、今いるほぼ全ての艦娘は開発資材によって生み出された。人間を器に生成された完成品といえる艦娘は初期に生産された十数体ほどだ」 ○

中将「やがて完成した艦娘は人類側の希望として大々的に公表され、本格的な配備が始まった」

中将「だが、同時にこの施設の存在と行われてきた非人道的な実験の数々は、決して表には出せない国家の暗部になった」

中将「国民に広く周知され、希望として持て囃されるようになった艦娘という存在は清廉潔白でなければならない」

中将「その為に払われた犠牲と経緯は、国家が喧伝する希望のイメージに相応しくない……そんな理由で、艦娘に関わる闇は徹底して隠蔽されることになったのだ」

初霜「っ、身勝手過ぎますッ!」

中将「ここを管轄していた大本営は、証拠隠滅の為に施設と研究にまつわる資料の全てを破棄することを考えたようだが……結果的には貴重な研究施設と記録の数々を捨てることを惜しみ、残すことを決めた」

中将「これだけの事をして……自ら暗部と認めてもなお、悔悟するどころかまだ利用価値があると打算し、そしてまた繰り返す……。人間の浅ましさ、愚かさ、ここに極まれりだ」

不知火「……くっ」プルプル

中将「そこから先はお前が推理した通り……。地上の施設は鎮守府へと改装され、地下施設は残したまま存在のみが隠蔽された」

中将「そして施設の職員だった私は秘密を守る管理人の役目を帯び、提督という肩書を与えられた」

中将「これが、この施設と……お前たち艦娘の真実だ」

吹雪「そんな……」

時雨「……」

阿武隈「……1つ、聞いてもいい?」

中将「……何だ?」

阿武隈「あなたは……実験に使われた子供や、ここにいた艦娘を……どう思っていたの?」

中将「……なに?」

時雨「阿武隈さん?」

阿武隈「時雨ちゃんの話と、今あなたが言った話の通りなら……あなたは、ここで艦娘開発用に集めた子供たちと指揮下の艦娘に実験を行っていた当事者だった」

阿武隈「でも、地上で見つけた艦娘たちの記述の中でのあなたは、どれも艦娘想いで優しい人。ってものだったわ」

阿武隈「入渠ドックの中にあった数々の娯楽施設だってそう。あれはあなたが艦娘の為に用意した設備……そうでしょう?」

中将「……」

阿武隈「あたしは、あなたが艦娘の前で見せていたっていう優しい顔が演技だったとは思えない……少なくとも、最初の頃は」

阿武隈「なのに……あなたは、艦娘たちを深海棲艦を根絶やしにする為って理由で実験に使い、殺した……」

阿武隈「あなたは本当はどう思っていたの? どれがあなたの本心なの?」

中将「フッ……フフ、フハハハハ!」

阿武隈「!」

時雨「!」

中将「本心……本心か……フッ、フフフフ」

中将「先ほどお前は……私があの少将と同じように、艦娘たちを道具のように思っているに違いないと言ったな」ギロッ

不知火「!」ビクッ

中将「あんな俗物と私を一緒にするなッ! あの若造は艦娘を道具として見ていたが、私は違う! 愛していたさ! 兵器や道具としてではなく、艦娘という人と変わらぬ存在としてな!」

中将「子供たちも同じだ。理不尽に未来のない者と決めつけられ、大義の為と言って本当に未来を奪われた、罪なき……哀れな子供たち……」

不知火「なにを今更……それを奪ったのは、あなたでしょう!」

中将「黙れッ! ……っ、分かっているさ、私の罪くらい……決して許されない罪を犯してしまったことくらいな。しかし私は……やらなければならなかったのだ!」

不知火「!」

中将「お前などに分かるものか……私の気持ちが……私を信頼する子たちを裏切り、手にかける気持ちが……」

吹雪「じゃあどうして……どうしてそんなことをしたんですか!?」

中将「確かに愛していた……子供たちも、艦娘たちも……心の底からな」

中将「だが、それ以上に、私には大切な存在が居る。その為に私は……他の全てを切り捨て、犠牲にしたのだ!」

中将「電……私の、愛しい愛しい電……この子の為に私は、他の全てを捨てた」


電「――――」コポッ


中将「この子を守る為なら……他の全ての艦娘……いや、人類の命であろうと、私にとっては軽いッ!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年01月27日 (金) 03:26:19   ID: u5QsddBH

おう、つづきあくしろよ

2 :  SS好きの774さん   2017年01月27日 (金) 15:28:19   ID: qYuX-r2f

米1
ホモはせっかち、ハッキリわかんだね

3 :  SS好きの774さん   2017年04月10日 (月) 20:21:39   ID: HAQ7KnxN

打ち切っちゃった?

4 :  SS好きの774さん   2017年04月12日 (水) 23:16:39   ID: It0F3i5a

頼む、続きを見させてください。

5 :  SS好きの774さん   2017年04月22日 (土) 07:39:32   ID: mafnIAQ_

もう終わりも近そうだな

6 :  SS好きの774さん   2017年07月20日 (木) 02:51:49   ID: g5mwu2Wo

再開ンゴ
うれしいンゴ

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