希「クイズ!統堂英玲奈の100のコト優勝記念」 (142)

前回、クイズ!統堂英玲奈の100のコトで見事に優勝した絢瀬。今日は優勝した記念に統堂と二人で某所にある旅館で一泊する事に…

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希「と言う事で英玲奈さん」

英玲奈「ああ」

希「今日はえりちと二人であんじゅさんの知り合いの旅館を丸ごと貸しきって頂いたみたいで」

英玲奈「貸しきったわけではない。ただ、この時期はお客がいないだけだ。それよりも、絢瀬絵里は?」

希「ん~、昨日聞いたら笑顔で楽しみにしてると言ってたんやけど…遅刻かな?」

ピンポーン

亜里沙:お姉ちゃんが部屋から出てきません。

希「…すいません。ちょっと、迎えに行ってきます。すぐそこなんで」

英玲奈「ああ、なんだ?寝坊したのか?」

希「そんな所やね」

~1時間後~

希「と言う事でまずはえりちから謝罪を」

絵里「英玲奈さん。遅刻をしてしまい御迷惑おかけしました」

英玲奈「いや、気にするな。たかだか、1時間じゃないか。寝坊したのか?」

絵里「いえ…頭は起きてたのですが…心が…」

英玲奈「ん?どういう事だ?」

希「楽しみ過ぎてフリーズしてしまったんよね?」

絵里「…たぶん…今日は物凄く恥ずかしい所をたくさんお見せすると思います。何卒、見捨てないで下さい」

英玲奈「え?絢瀬絵里ってこんなキャラだったか?」

~某所旅館~

運転手「はい、着きましたよ」

絵里「あ、ありがとうございます」

英玲奈「いくらですか?」

運転手「お代は先に頂いてますので」

英玲奈「そうですか」

運転手「それよりも、よくこんな所まで来ましたね」

絵里「え?何?もう始まってるの?」

英玲奈「何を言ってる?」

運転手「…それでは、気をつけて行ってきて下さい」

プォーン

英玲奈「…行ってしまった」

絵里「…」

女将「…ようこそ…げほっ…お越し…げほっ…げほぉぉ…下さいました」

絵里「ひい。な、何?」

英玲奈「ん?」

女将「ここの女将の…ごほっ…山下でございます」

絵里「あおおお、お世話になります」

英玲奈「どうした?絢瀬絵里?」

絵里「い、いえ」

女将「今日はお客様はお二人様だけですのでゆっくりとしていってください」

英玲奈「おお!やはり、貸し切り状態なんだな」

女将「はい…人間のお客様は…お二方だけ…ごほっ」

絵里「え?今なんて?」

女将「さあ、それでは中にご案内致します」

女将「ツバサ?ツバサぁ?」

ツバサ「はい」

女将「荷物を持って差し上げなさい」

英玲奈「ツバサ?来ていたのか?」

ツバサ「お荷物をお預かり致します」

女将「早くおし。全く気の利かない子だね」

ツバサ「申し訳ありません」

英玲奈「ツバサは…一体何をやって…」

絵里「希の差し金よ。もう、始まってるのよ」

英玲奈「さっきから本当に何を言っているんだ?大丈夫か?」

女将「それでは…げほっ…こちらがお客様が今日1日お泊まりになる首なしの間でございます」

ギイギイギイ

絵里「なんで歩く度に床が鳴るのよぉ」

英玲奈「床に文句を言っても仕方ないだろ?」

絵里「そうなんだけど…うぅ」

ギイギイギイ

ペタッ

絵里「キャアアアアアアアア」

英玲奈「ななな、なんだ?」

絵里「イヤァァァァ。何か首筋にぃぃぃ。何か首筋に当たったぁぁぁぁ」

英玲奈「…こんにゃくだ」

女将「この廊下は上からこんにゃくが降ってくる事がありますので…お気をつけ下さいまし」

英玲奈「どんな廊下だ」

絵里「もういやぁ。帰りたい。だから来たくなかったのよ」

ペタッ

絵里「イヤァァァ」

英玲奈「学習しろ。こんにゃくだ」

絵里「で、でも」

ギイギイギイ

絵里「もう、嫌よ。進みたくない」

英玲奈「なんでそうなる?ここで過ごす気か?」

絵里「そんなの絶対に嫌よ。せめて…せめて、この廊下をもうちょっと明るくして」

女将「…申し訳…ありま…せん」

絵里「ええ?してくれないの?嘘でしょ?」

女将「申し訳ありません」

英玲奈「諦めろ。早く進めば部屋だから」

ぺちゃっ

絵里「イヤァァァァ」

英玲奈「だから、こんにゃくだ…いや…はんぺんだ」

絵里「ははははははんぺん?」

ガチャ

女将「首なしの間でございます」

英玲奈「首なしの間…嫌な部屋だな」

絵里「うぅ…帰りたい」

女将「…しばらく…ごほっ…ゆっくりしていて…ごほっ…ごほっ…[ピーーー]…ゴホン」

絵里「ええ?今なんて言った?」

英玲奈「やめとけ。聞き直さない方が良い」

女将「では…」

ガチャ

英玲奈「なんだ、部屋は思ったより良いじゃないか」

絵里「いやぁぁぁぁぁぁ」

英玲奈「…今度はなんだ?こんにゃくか?はんぺんか?」

絵里「ににににに日本…日本の…」

英玲奈「ああ、日本人形か」

絵里「なななななんでこんな物を飾ってるのよ」

英玲奈「ただの人形じゃないか」

絵里「不気味よ。今にも動き出しそうじゃない」

英玲奈「仮に動き出したとして自分より小さいのだぞ?何が怖いんだ」

絵里「違う。英玲奈さんは発想が違うのよ」

英玲奈「はあ…これは疲れそうだな」

英玲奈「まあ、落ち着け。お茶をいれるからこっちに来い。そんな端の方で丸くなるな」

絵里「じゃあ、お願いがあります。その人形の顔をあっちの方に向けてください」

英玲奈「…はあ。ほらっ、あっちに向けたから」

絵里「ありがとう」

英玲奈「ほら、お茶だ」

絵里「………」ズズズッ

英玲奈「おお!美味しいじゃないか。な?」

絵里「…美味しいです」

英玲奈「ん?なんだ?ボタンが置いてあるな」

絵里「…ボタン?」

英玲奈「トイレに行きたくても行けない時に押して下さいと書いてあるな」

絵里「…トイレに行きたいです」

英玲奈「…押してみるか?」

絵里「でも、何かの仕掛けかも」

ポチ

絵里「え?押しちゃったの?」

ガチャ

にこ「にっこにっこに~」

絵里「キャアアアアア」

英玲奈「落ち着け。矢澤にこだ」

絵里「え?にこ?キャアアア」

英玲奈「本当に落ち着け。そっちは日本人形だ。矢澤にこはあっちだ」

にこ「どうやったら間違えるのよ」

英玲奈「それで?矢澤にこは何しに来たのだ?」

にこ「…さあ?スイッチ押されたら行って来いって希に言われただけよ」

絵里「…にこ…トイレ」

にこ「はあ?」

絵里「いや…だから…トイレ…私一人じゃ無理でしょ?」

にこ「なんでよ」

絵里「知ってるじゃない」

英玲奈「トイレに行きたい時はこのボタンを押せと書いてあったんだ」

にこ「にこは何にも聞いてないんですけど」

絵里「お願いします」

にこ「いやよ。あんたのおもりは疲れるのよ」

絵里「死人が出るわよ?」

にこ「出ないわよ」

絵里「このままじゃ、私が社会的に死ぬわ」


にこ「じゃあ、英玲奈さんに行って貰えばいいじゃない」

絵里「カッコ悪い所見せたくないじゃない」

にこ「既に手遅れよ」

英玲奈「別に私は気にしてないぞ」

絵里「お願い。希もこれを見越してにこを呼んだのよ」ダキッ

にこ「わかった。わかったから抱きつかないで」

絵里「にこぉ」ぱぁぁ



英玲奈「…それにしても、絢瀬絵里は物凄く怖がりなのだな。何か…悪い事をしてしまったな」

ドンドンドン

英玲奈「…なんだ」

………

英玲奈「なるほど。私を怖がらせようとしているのだな」

………

英玲奈「…私はそこまで怖がりではないからなぁ」

………

ギイギイギイ

絵里「ああ、もう。にこ?手を離さないでね?」

にこ「分かってるわよ」

絵里「手を離したら」

にこ「離したら何よ?」

絵里「きっと…漏らしちゃうから」

にこ「なんでよ…全く…キリッとしたあの頃の絵里が懐かしいわ」

絵里「うぅ」

にこ「ほら。早く行ってきなさい」

絵里「だから…中まで来てよ」

にこ「嫌だって言ってるでしょ」

絵里「泣くわよ」

にこ「もう泣いてるじゃない」

絵里「お願いだから来て。私が年甲斐もなく泣きじゃくる所見たいの?」

にこ「じゃあ、こうしましょ?…私が先に行って何も居ないの確認してくるから…」

絵里「にこぉ…にこが男の子だったら私、今完全に心を奪われてるわ」

にこ「あっそ」

にこ「じゃあ、見てくるから」

絵里「待って」

にこ「…なによ?」

絵里「にこが行ったら私はここで一人よね?」

にこ「そうね」

絵里「やっぱり、一緒に」

にこ「なんでよ。ほんの少しの間じゃない」

絵里「どうせ行くんだから一緒でもいいじゃない」

にこ「中に入ってからが面倒だから嫌なのよ」

絵里「お願い、後生だから。本当に…お願いします」

にこ「…はあ」

絵里「にこぉ」

にこ「行くわよ」

絵里「にこぉ」

にこ「…誰も居ないわ」

絵里「本当?」

にこ「本当よ」

絵里「嘘つかない?」

にこ「帰るわよ?」

絵里「ごめんなさい」

にこ「はあ」

絵里「…手は?」

にこ「繋がないわよ。扉を閉めてしなさいよ」

絵里「…じゃあ、ずっと声出してて」

にこ「とても同級生と会話してるとは思えないわ」

絵里「…にこいる?」

にこ「いるわよ」

絵里「本当?」

にこ「本当だから早くして。寒いのよ」

ジャー ガチャ

絵里「にこぉ」

にこ「私の手を握るのは手を洗ってからにして頂戴」

絵里「はい」

にこ「はあ…疲れる。私は関係ないのに…」

ギイギイギイ

絵里「どうして軋むのかしら」

にこ「古いんでしょ」

絵里「もう嫌なのよ…ねえ?目の前に誰かいる」

にこ「え?」

絵里「なんか…座り込んでるわ」

にこ「…無視して行きましょう」

絵里「そ、そうね」

ガシッ

絵里…ちゃん…にこ…ちゃ…ん…

絵里「イヤァァァァァァァァァァ」

にこ「キャアアアアア」

…絵里…ちゃん

にこ「ん?…ことり?」

ことり「絵里ちゃん…にこちゃん…」

絵里「こ、ことりなの?ねえ?なんで、俯いてるの?ねえ?」

ことり「…いよ」

絵里「え?」

ことり「痛いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。助けてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

絵里「キャアアアアアアアア」

にこ「イヤァァァァ」

バタバタバタ



ガチャ

英玲奈「ん?お帰り」

絵里「イヤァァァァァァァァァァ」

にこ「ギャァァァァァァァァ」

英玲奈「ど、どうした?何があった?」

絵里「こここここここここ」

英玲奈「落ち着け。こんにゃくか?また、こんにゃくなのか?」

にこ「あ~、あれはびっくりしたわ」

絵里「ことりがぁ」

英玲奈「南ことりか?」

絵里「…」コクッ

英玲奈「何があったんだ?」

にこ「トラウマ級の仕掛け人がいただけよ」

英玲奈「トラウマ級の?」

ガチャ

絵里「キャアアア」

にこ「何?」ビクッ

英玲奈「なんだ?」

女将「お食事の仕度が出来ました。ご案内致します」

絵里「な、なによ…食事の…」

英玲奈「絢瀬が大きな声を出すからだろ」

絵里「だって…うぅ」

女将「矢澤は用済みなので帰って下さいまし」

にこ「え?何よその言い方?」

女将「ツバサ?ツバサぁ?矢澤を帰しなさい」

ツバサ「はい、ただいま」

女将「早くしなさい。本当にトロいんだから」

英玲奈「ツバサは…これも仕掛けなのか?」

絵里「たぶん、そうよ。きっとそう」

ツバサ「こちらへ」

にこ「はあ?たょっと。引っ張らないで」

~宴会場~

英玲奈「宴会場に来るだけでこんなに時間が掛かるとは」

絵里「…ごめんなさい」

英玲奈「まあ、誰でも苦手な物はあるからな。絢瀬絵里が怖がりと言うのは意外だったがギャップがあっていいと思うぞ」

絵里「そ、そうですか?」

英玲奈「ただ…こんにゃくにはいい加減慣れろ」

絵里「そんな事を言われても…不意に来るから…」

英玲奈「それにしても…広い宴会場に二人は寂しいな」

絵里「前もそうでした」

英玲奈「さっきから気になっていたが前にも似たような事をやったのか?」

絵里「はい…箱根でにこと」

バタン

女将「お待たせしました。それでは料理の説明を…ツバサ…ツバサぁぁぁぁ…ごほっ…早くおし」

ツバサ「申し訳ありません」

女将「矢澤にかまってる暇があるなら仕事をしな」

ツバサ「ですが…大女将が矢澤を帰せと…」

女将「言い訳はいい。この役立たずが…」

英玲奈「だ、大丈夫ですから」



ツバサ「それでは、まず…前菜の…」

英玲奈「いや…ツバサ?大丈夫だぞ?私は演技でもお前のそう言う姿を見たくない」

ツバサ「…お仕事ですから」

女将「喋ってる暇があるなら早くしな…ああ、もう…使えないわね…あんじゅ?あんじゅ?」

あんじゅ「は~い」

女将「あんじゅ?ツバサの代わりに料理の紹介を」

ツバサ「いえ…わたしが…」

あんじゅ「分かるでしょ?あなたは役立たずなの。どきなさい」

英玲奈「わ、私にはこの光景は酷すぎる」

絵里「え、演技ですから」

ツバサ「いえ、やらせてください」

あんじゅ「あなたはトイレの掃除でもしてなさい」

ツバサ「そんな…」

あんじゅ「それでは料理の説明を…」

英玲奈「お、おい。あんじゅ…」

ツバサ「…」

あんじゅ「…まだいるの?早く行きなさい」

ツバサ「…お父様。私くじけません。何があっても我慢してゆきます」

絵里「ええ?お父様?どんな設定なの?」

女将「ツバサぁ。早く行きなさい」

ツバサ「はい」

英玲奈「…いったいなんだったんだろうな」モグモグ

絵里「そうね。ツバサさんの行く末が気になるわ」

ブー

絵里「キャア」ビクッ

英玲奈「なんだ?何が始まるんだ?」

ヒデコ「こんばんは」

絵里「え?…こんばんは」

英玲奈「こ、こんばんは」

ヒデコ「お食事中ですがここでμ'sの皆様から絢瀬様にお手紙を預かっております」

ヒデコ「それでは読ませて頂きます」

絵里「あ、はい」

ヒデコ「絵里ちゃんへ いつも凛と遊んでくれてありがとう。練習も教えてくれてありがとう。凛は優しい絵里ちゃんが大好きです。かっこいい絵里ちゃんも大好きです。ちょっと、おっちょこちょいな絵里ちゃんも大好きです。いつまでも絵里ちゃんとお友達でいたいです。星空凛」

絵里「え?な、なによ?なんなのよ、急に」

ヒデコ「絵里ちゃん、いつもお世話になってます。絵里ちゃんはダンスも歌も上手で綺麗でしっかりしていて私の憧れです。絵里ちゃんにはこれからも迷惑とか掛けちゃうかもしれないけどよろしくね。
花陽」

絵里「…花陽」

ヒデコ「絵里へ。こうして絵里に手紙を書くのは初めてですね。私は面と向かって感謝を伝えるの事が得意ではないのですが手紙でなら伝えられそうです。私は絵里に感謝してます。個性的なメンバーをまとめるのはとても大変なのに絵里は率先してやってくれています。そういう姿を見て絵里の事をずっとかっこいいと思ってました。絵里は私の憧れです。尊敬しています。西木野真姫」

絵里「グズッ」

英玲奈「大丈夫か?ハンカチ使うか?」

絵里「…グズッ」コクッ

ヒデコ「絵里、いつもお世話になっております。絵里と出会ってから随分と時が流れたような気がします。不思議ですね?出会ってまだ一年も経っていないのに。μ'sで過ごす時はそれだけ濃かったのかもしれません。とは言うもののμ'sはまだまだこれからです。頑張っていきましょう。頼りにしてますよ?園田海未」

絵里「なんか…海未らしいわ…グス」

ヒデコ「絵里ちゃんへ。絵里ちゃんにこうやってお手紙を書くのもなんか変な感じです。最初に出会ったのはもう随分と前のようですね。正直、絵里ちゃんの最初の印象は怖い生徒会長って感じでした。でも、絵里ちゃんがμ'sに入って一緒に活動してこんなに優しくて頼もしくって気づいたら絵里ちゃんの事が好きになってました。まだまだ、絵里ちゃんに話したい事はあるけど長くなってしまうので…絵里ちゃん、いつもありがとう。これからもよろしくね。ことり」

絵里「グスン…ことり」





ヒデコ「絵里ちゃんへ。絵里ちゃんとは色々とあったよね。最初は対立してたしお互いいがみ合ったりもしたかな?ダンスのレッスンをしてもらったり今や一緒にアイドル活動もしてるね。気がついたら穂乃果は絵里ちゃんと同じ生徒会長だよ?絵里ちゃんと同じ道を辿ってるような気がするね?なんか嬉しいな。だって、穂乃果は絵里ちゃんの事を凄く尊敬してるんだもん。本当に嬉しいです。これからも迷惑とか掛けちゃうかもしれないけどよろしくね?
ほのかより」

絵里「うぅ…グズッ…ぼのがぁぁぁ」

英玲奈「いいチームだな」

ヒデコ「絵里とは3年生になってからの付き合いで最初なんかは苦手だったけど今はまあ…それなりに好きよ?これからも一緒にμ'sを盛り上げていきましょう」

絵里「これは…にこの手紙ね…グズッ…名前くらい書きなさいよ」

ヒデコ「えりちへ。えりちに手紙を書くのはなんだか照れくさく感じます。長い事一緒にいると感謝を伝える事もなかなかないもんね?もう、3年かぁ…早いね?えりちと出会ってから今日まで本当に早いです。ウチはずっと友達がいなかったからえりちと過ごす時間が新鮮で自分の味気ない人生に色が付いていく様でした。それが今では当たり前になってかけがえのない宝物になっています。これ以上書くとなんか…色々と溢れ出ちゃいそうなのでやめます。
えりちの親友その1より。PS.海未ちゃんがえりちへ手紙を書く事を提案した時、ウチとにこっちは断固反対したんやからね」

絵里「のぞみぃぃぃぃぃぃ」グス

英玲奈「うん。本当にいいチームだ。なんか、私まで泣きそうだ」

ドカァァァァァァン

絵里「キャアアアアアアアア」

英玲奈「な、なんだ?」

絵里「…………」

英玲奈「こ、このタイミングで普通やるか?大丈夫か?照れ隠しなのか?」

絵里「ら…らいじょぶ」

英玲奈「凄い顔をしてるぞ?」

絵里「………」

英玲奈「色んな感情が溢れでているな」

ー20:00ー

英玲奈「なあ?もう、元気だせ」

絵里「だって…もう…色々と泣きつかれて…怖くて嬉しくて悲しくて…自分の感情がわからない」

ばぁーん

穂乃果「ワァァァァァァァァ」

絵里「キャアアアアアアア」

英玲奈「な、なんだ?」

穂乃果「引っ掛かった~」

英玲奈「こ、高坂穂乃果」

絵里「な、なんなのよ」

穂乃果「いやぁ、頑張ってる?」

絵里「お、驚かさないでよ。死ぬかと思ったわ」

穂乃果「大袈裟だよ。こないだと同じ手口じゃん」

英玲奈「こないだも同じ事をしたのか?」

ばぁーん

海未「わぁ」

絵里「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ」

英玲奈「ま、またか」

海未「大成功です」

穂乃果「だから、こないだと同じだって言ったじゃん」

絵里「わ…だっ…わかってても…分かってなかったけど…分かってても怖いのよ」

英玲奈「大丈夫か?言ってることが変だぞ?」

海未「絵里は驚かしがいがありますね」

穂乃果「そうだねぇ」

穂乃果「どう?今回も大変?」

絵里「…大変よ。怖いのよ。二人には色々と聞きたい事があるんだけど…私、優勝したのよね?なんで、罰ゲームを受けてるの?」

英玲奈「そうだな。これは最早罰ゲームだな」

絵里「前回は小田原を探索出来たけど今日なんかいきなりよ?心臓が持たないわ」

海未「私は反対したんですけど…力及ばずで」

穂乃果「その割には驚かすの成功して嬉しそうじゃん」

海未「そんな事は…」

ばぁーん

凛「にゃあああああ」

絵里「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

穂乃果「わぁぁぁぁぁぁぁぁ」

海未「き、キャアアアアアアアア」

英玲奈「ま、またか」

凛「大成功にゃ」

絵里「あっ…あっ…り、凛…」

穂乃果「え?凛ちゃん?…居たの?」

海未「び、びっくりしました」

凛「海未ちゃんってキャアって言うんだね?」

海未「わ、忘れて下さい」

英玲奈「二人も知らなかったのか」

凛「敵を欺くにはまず味方からにゃ」

穂乃果「必要性を感じなかったけど」

英玲奈「で?何をしに来たのだ?」

穂乃果「あっ、そうだったね。怖い話を持って来ました」

絵里「いや、いい。いいです。楽しい話をしましょう?」

穂乃果「いや。でもね?希ちゃんに言われてるからさ」

凛「…このボタンなに?」

絵里「あっ、それは…」

凛「えいっ」ポチ

海未「ええ?押したのですか?」

英玲奈「まだ何も答えてないのにな」

絵里「これは…にこが」

ガチャ

にこ「………またトイレ?」

凛「あっ!にこちゃんにゃ」

海未「にこも来ていたのですか?」

にこ「…そうね。私だけ何をするかも知らされずに」

穂乃果「え?にこちゃんも打ち合わせの時いたじゃん」

英玲奈「そんな事をしてるのか」

絵里「なんか…もう…」

にこ「私は絵里に手紙を書くとしか聞いてなかったわよ?それも反対したはずなのに」

絵里「あっ…その事なんだけど」

にこ「それよりも…トイレなの?」

絵里「いえ…今は平気よ…また、後で…」



にこ「はあ?なんで呼んだのよ」

凛「呼んでないよ?にこちゃんが勝手に来たにゃ」

英玲奈「いや、ボタンを押しただろ?」

凛「え?ボタン押すとにこちゃんが来るの?」

穂乃果「あっ、それは便利だね?穂乃果も欲しいかも」

凛「凛も」

ガチャ

女将「矢澤を迎えに来ました」

にこ「は?」

女将「ツバサ?ツバサぁ?矢澤にお帰り願いなさい」

ツバサ「はい」

女将「早くおし。トロい子だね」

ツバサ「ごめんない…さあ、矢澤。お帰り下さい」

にこ「な、なんなのよ」



穂乃果「連れてかれちゃったね」

凛「うん」

海未「なんだったのでしょうか?」

英玲奈「あれはだな。絢瀬が怖くてトイレに行けない時に」

絵里「あ、あ~、怖い話!怖い話をするんでしょ?」

穂乃果「あっ、そうだったね」

凛「はっじめるにゃ」

海未「凛が居ると怖い雰囲気もぶち壊しですね」

痛いよぉぉぉぉぉぉ 助けてよぉぉぉぉぉ

キャアアアアアアアア

絵里「え?なに?何の声?」ビクッ

海未「にこの声ですね」

英玲奈「これはさっきの南ことりの仕掛けに引っ掛かったな。それかこんにゃくか」

穂乃果「び、びっくりしたねぇ」

凛「なんで、仕掛け人側のにこちゃんが引っ掛かるのかな」

穂乃果「まあ、穂乃果も凛ちゃんに驚かされたけどね」

凛「そう言えばそうだね」

穂乃果「まあ、いいや。怖い話を始めようか?」

絵里「や、やるの?」

英玲奈「さっきはやろうと言ったのにな…」

絵里「だって、あれは…」

海未「では私から。小学三年生の頃ですね。四年生になるまで私は両親の寝室で寝ていたのですが高学年なると言うのもあって自分の部屋を初めて貰ったんです。私の家は空部屋が結構あるのですがその中でもその部屋は長年誰も使用して居ない部屋だったんです。」

絵里「………やめない?」

穂乃果「しっ。良いところだよ」

絵里「で、でも」

海未「初めてその部屋で寝た日の事は今でも鮮明に覚えてます。子供ですし私の家は雰囲気もありますから一人で寝ることが不安で不安で仕方なかったのです。ですが、私は元々寝付きも良い方なので直ぐに寝てしまったのですが…夜中急に目が覚めたのです。何故急に目が覚めたのか?誰かの視線を感じるんですよね?部屋の中に誰か居るんです。辺りを見回すと部屋の隅の方に白装束の男が立ってるんですよ。恨めしそうにこちらを睨み付けながら」

絵里「………ほのかぁ。手を握ってて」

穂乃果「うん。わかったから静かにして」

海未「この世の者ではない。直ぐにわかりました。私は怖くて目を瞑りたかったのですが体が言う事を利かないのです。男はそのうち私の方にゆらゆらと体を動かしながら近づいて来るんですよね。もう…怖くて…怖くて…逃げたくても体か動かないし…」

海未「どうしよう…お経…お経を唱えるしか…しかし、小学生ですからお経なんて南無阿弥陀仏くらいしかわからないんですよね。それでも、藁にもすがる思いで唱えたんです。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。すると、男が唸りだして体も言う事が聞くようになったんです。私は目を瞑ってしばらく唱え続けました。すると、完全に部屋の中から気配が消えたんです。恐る恐る目を開けるとやはり男はいないなです」

絵里「お、終わり?」

海未「……ほっと、胸を撫で下ろしていると耳許でボソッとそんなのは効かないよって」

絵里「キャアアアア」

穂乃果「おお…」

凛「け、結構怖いにゃ」

海未「気がつくと朝だったのですがその後私は直ぐに別の部屋に移りました。ちなみにその部屋はまだ空き部屋です」

絵里「なんで…なんで…そんな怖い話をするのよ」

穂乃果「いや、怖い話だから…」

英玲奈「金縛りにあっているのに口は動くのか?お経を唱えられるのか?金縛りにあっているのに辺りを見回す事が出来たのか?」

海未「あの…それは…」

穂乃果「それを言っちゃ」

英玲奈「実話なのか?」

海未「…昨日考えて来ました」

英玲奈「自分で考えたのか?一晩で?」

海未「…はい」

英玲奈「凄いな。流石はμ'sの作詞担当だな」

海未「え?そうですか?」

英玲奈「ああ。流石だ」

絵里「なんで?なんで海未はそんな話を作ったのよ」

穂乃果「だから、それは…もういいや」

穂乃果「え~…これは穂乃果の叔父さんから聞いた話なので実話かどうかは分かりません」

英玲奈「なるほど」

凛「冒頭でそれを言っちゃうんだね」

穂乃果「うん。穂乃果の叔父さんがね高校を卒業して一人暮しを始めたんだって。知らない土地に引っ越したから最初の方は友達もいないし知り合いもいなくてやる事もなかったんだって。だから、よくレンタルビデオショップに行ってたんだって」

海未「レンタルビデオショップですか」

穂乃果「うん。レンタルビデオショップでビデオを借りてたんだって。当時はDVDとかないからさ。でね、冬の日かな?いつもの様にビデオを借りに行って新作の映画を手に取ったの。で、家に帰って見たら中身がレンタルしたのと違うビデオが入ってたんだって。なんか…録画用のテープが入ってたんだって。普通だったら返しに行くでしょ?」

英玲奈「そうだな」

穂乃果「でも、内容が気になってそのテープを再生したんだって。そしたら、男の人が道路を走ってる映像が流れたの。ずっと、走ってるんだよね」

海未「なんだか、不気味ですね」

絵里「ねえ?ここでやめましょう?ねえ?」

穂乃果「…やめないよ。永遠と走る男の栄蔵をボーッと見てたらねある違和感がしたんだって。あれ?この道見覚えがある。その道…叔父さんの住んでるアパートから直ぐの道だったんだって」

絵里「ちょっ…ちょっと」

穂乃果「嫌な予感…するよね?案の定、その男は叔父さんのアパートまで走って来たの。叔父さん焦ってさテレビを消そうとしてるんだけど何故か消えない。そうこうしてるうちに男は階段を上り始めてる」

凛「ゴクリ」

穂乃果「コツ、コツ、コツ。実際に階段を上がってくる音が聞こえてくるんだよね。テレビにも男が静かに上がってくる映像が映ってる。どうしよう。もう、上がってしまう…どうしよう。その時、ガチャガチャガチャ」

絵里「キャアアア」

凛「にゃああああ」

穂乃果「叔父さんの部屋を開けようとしてるの。鍵を閉めてて良かったよね。しばらくしたらさ音が鳴りやんだの。叔父さんは安心したんだけどテレビを見たら男が叔父さんの部屋の隣の空き部屋を空けてるの。鍵が締まってなかったみたいで…ガチャ…バタン…今…隣の部屋に…男がいる…するとさ…ドンドンドンドンドンドン…隣の部屋から壁を叩く音が…」

絵里「いや…いやぁ」

穂乃果「叔父さんはもうパニックになっちゃって…ビデオデッキのコンセントを外して窓からえいっと…するとね…壁を叩く音も消えたんだってさ」

絵里「いやぁぁぁ。もう、いや。おうち帰る」

穂乃果「どうだった?」

海未「ちょ、ちょっと怖かったですね」

凛「うん」

英玲奈「なかなかだったな」

穂乃果「へへえ」

ドンドンドンドンドン

穂乃果「わぁぁぁぁぁぁ」

絵里「キャアアアアアアアア」

海未「キャアアアアアアア」

凛「にゃああああああ」

英玲奈「うわぁ」

穂乃果「び、びっくりしたぁ」

凛「こ、このタイミングは卑怯にゃ」

絵里「あっ…ああ…ああ」

海未「絵里?大丈夫ですか?絵里?」

英玲奈「大丈夫ではないだろ」

凛「じゃあ…気を取り直して…ふう…最後は凛の怖い話だね」

絵里「ねえ?もう良いでしょ?充分怖かったから」

凛「だめだよ。凛のも聞いて。こたいだ凛はね家でカップラーメンを作ってたんだ」

海未「カップ…」

英玲奈「ラーメン…」

凛「うん。カップラーメン。味噌味だったかな?蓋を開けてヤカンの中のお湯をカップに注いで3分間。凛はお腹空いたなぁお腹空いたなぁと思いながらずっと待ってたの。そしたらね、プルルルルル」

絵里「キャアアア」ビクッ

穂乃果「わっ…急に大きな声を出さないでよ」

絵里「だって…」

凛「かよちんからの電話だったの」

凛「凛はラーメンの事なんて忘れてずっとかよちんと電話で話してたの」

穂乃果「……うん」

凛「…かよちんとの電話が終わってカップラーメンの中身を見ると…それまでカップの中にちょうどいい量の麺が入ってたのに明らかに量が増えてたんだ………あれは一体なんだったのでしょう?」

穂乃果「え?終わり?」

海未「……ラーメンが伸びたお話ですか?」

英玲奈「…怖い話なのか?」

絵里「よ、良かったぁ」

凛「凛は怖かったよ?楽しみにしてたラーメンが…あんな姿に…」

英玲奈「私も話して良いか?」

絵里「ダメです」

英玲奈「ダメか?」

穂乃果「良いですよ?英玲奈さんも怖い話を持ってるんですか?」

絵里「ちょ、ちょっと…穂乃果さん?」

海未「私も聞きたいです」

絵里「あれ?海未も?」

凛「ワクワクするよね」

絵里「しないわよ」

英玲奈「まだ、私が小学生の頃だったな…5年か…6年生か…そのくらいだな。当時私は親の教育方針でまだ携帯電話を持っていなかったのだがクラスの何人かは携帯電話を持っていたんだ」

穂乃果「穂乃果も中学三年からだったなぁ。海未ちゃんなんか高校に入ってからだよね?」

海未「そうですね」

英玲奈「まあ、携帯電話を持っているとクラスでも結構、こう言ってはなんだが威張れると言うか…人気者なんだよ。携帯を持っているだけで」

穂乃果「まあ…小学生だしね」

凛「うん。小学生なんてそんなもんだにゃ」

英玲奈「そうなるとやはり子供は携帯電話を欲しがるのは必然。私の隣の席の…仮にAとしておこうか。Aも例に漏れず携帯を欲しがっていたんだ」

英玲奈「だが、Aも私と同様親の方針で買ってもらずにいたんだ…がある日、Aが携帯電話を学校に持ってきたんだ」

絵里「……買って貰えたんですね」

英玲奈「と皆思ってたんだが」

絵里「え?」

英玲奈「Aは授業中も隠れてずっと携帯をいじってた。私は携帯でゲームでもやっているのかと思ってな、こっそり注意してやろうと思ったんだ。本来は携帯を持ってくる事事態いけないのだからな」

穂乃果「なるほど」

英玲奈「おい、流石に授業中はまずいだろって。するとAはメル友からメールが来るから仕方ないと言ってきたんだ。私からしてみればそんな事は関係ないがAは言う事を利かないしな…見つかって怒られれば良いと思って放っておいたんだ」

穂乃果「バレたんですか?」

英玲奈「いや…要領の良いやつでな。バレなかったよ。だから、ずっといじりっぱなしだ。昼休みになると同じく携帯をこっそり持ってきていた奴がアドレスを交換しようってAに話しかけてて」



英玲奈「私はそれを隣で聞いていたんだが…あれ?おかしいな?Aちゃんにメール送信出来ないよ?って」

穂乃果「え?」

英玲奈「Aもそんなはずはない。さっきまでメル友とメールをしていたしと言っている。だけどな…そんなはずはないんだよ。Aの持ってきた携帯と言うのは親が機種変更をして中のカードを抜き取った…電話やメールの出来ない携帯…いわばおもちゃのような物だったんだ」

凛「じ、じゃあ…」

英玲奈「けど、Aのその携帯にはしっかりとメル友からメールが届いてるんだ。今度会いに行くねとはっきりと書かれていたよ」

絵里「い、いやぁぁ。もうやめて」

海未「こ、これも…創作ですか?」

英玲奈「ん?実話だが?」

海未「ええ?」

絵里「なんで、実話なんか話すの?作り話にしてよ」

穂乃果「言ってることがめちゃくちゃだよ?」

ジリリリリリリリリリ

絵里「キャアアアアアアアア」

穂乃果「わぁぁぁぁぁぁぁぁ」

凛「にゃああああああ」

海未「キャアアアアアアアア」

英玲奈「…」ビクッ

絵里「なななななな、なに?」

穂乃果「で、電話だ」

英玲奈「もしもし」カチャ

女将『お風呂の用意が出来ました』

英玲奈「お風呂の準備が出来たそうだが…」

絵里「お風呂…」

穂乃果「…じゃあ、穂乃果達は帰ろうか?」

海未「そうですね」

絵里「居ればいいじゃない」

凛「そう言う訳にはいかないにゃ」

絵里「どうして?私を置いていくの?」

英玲奈「私がいるじゃないか」

絵里「そうなんだけど…そうなんですけど…大勢の方が…怖くない…」

穂乃果「まあ、行ってきなよ。ボタン持っていきなよ。怖かったら押せばいいから」

英玲奈「矢澤にこからしたらたまったもんじゃないな」


ギイギイギイ

絵里「…こんにゃく降って来ないわよね?」

英玲奈「それはわからないな」

絵里「ことりも居ないわよね?」

英玲奈「それもわからないな」

絵里「…何も出てこないですね」

英玲奈「出てきて欲しいのか?」

絵里「欲しくない」

英玲奈「じゃあ、なんなんだ」

絵里「喋ってないと怖くて」

英玲奈「答えになってないぞ?」


女将「なにやってるよぉ」

絵里「キャア、な、なに?なんなの?」

英玲奈「女将の声だな」

ツバサ「た、確かにお風呂の準備を…」

あんじゅ「実際に出来てないじゃない?良かったわ。私が気がついて」

ツバサ「そ、そんな…」

英玲奈「ま、またか…」

絵里「び、びっくろ…びっくらした」

英玲奈「呂律が回ってないぞ」



女将「全く…お前の父親がこの旅館を支援してくれると言うから…全く…お前の父親はおお嘘つきだよ」

ツバサ「そんな…父は…父は嘘つきなんかじゃありません」

女将「口答えをするんじゃないよ。わかったら、早くお風呂の準備をしな」

ツバサ「…はい」

英玲奈「あの…」

女将「全く…あっ、申し訳ありません。もう少しお待ち下さいね」

絵里「はあ」

英玲奈「おい、ツバサ」

ツバサ「…私だって~泣こうと思ったら~声を上げていつでも泣けるけど~この胸の花びらある限り強く生きてみようと思う~」

絵里「え?な、なに?」

英玲奈「私たちは何を見せられているんだ?」




ツバサ「直ぐに用意致しますので…少々お待ち下さい」

絵里「え?ここで?」

英玲奈「いや、いったん部屋に戻るだろ」

絵里「で、でも…また来なくちゃいけないし…こんな所出来るだけ歩きたくないのに…」

英玲奈「ここに居るのはいいのか?」

絵里「それも嫌です」

英玲奈「じゃあ、どうするんだ」

絵里「…」

英玲奈「絢瀬絵里は結構面倒だな」

絵里「怖いのがいけないのよ」

バンバンバン

絵里「キャアアアア。ななななななに?なんの音?」

英玲奈「び、びっくりしたな」

絵里「き、キャアアア…ま、また…」

英玲奈「ど、どうした?」

ことり「えりぢゃゃゃゃゃん。どうじて助けてくれなかったのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。痛いよぉぉぉぉぉぉ」

絵里「イヤァァァァァァァァァァァァ」

英玲奈「うわぁぁぁぁぁぁ」

英玲奈「はあ…はあ…はあ……さ、流石に…あれは…さっきも…矢澤にこが引っ掛かっていたようだが……はあ…はあ…これは…思わず走ってしまったな」

絵里「うぅ…うぅうぅうぅ」

英玲奈「これは泣くなと言う方が無理だな」

絵里「怖い…怖いわ…もう帰らせてよぉ。ホームシックよ。ホームシックなの。お家に帰らないと死んじゃうのよ」

英玲奈「そんなにか」

絵里「そんなにです。ねえ、お願いしますから」

シーン

英玲奈「無反応だな」

ポチ

英玲奈「あっ、またボタン押したのか?トイレなのか?」

絵里「一人でも多く人が」

ガチャ

にこ「なによ?また、トイレ?」

絵里「違うの。にこもここに居て?もう、怖いの」

にこ「はあ?英玲奈さんがいるでしょ?一人じゃないんだし」

英玲奈「少しでも人数を増やしたいらしいんだ」

にこ「なんでよ」

絵里「お願いだからぁ。こう言う時はにこなのよぉ。こう言う雰囲気の時は私にとってはにこなのよぉ」

にこ「意味わかんないわよ」

絵里「お願いします」

にこ「わかったわよ。わかったから」



ガチャ

女将「お風呂の用意が出来ました」

英玲奈「え?も、もうなのか?」

女将「はい。…矢澤はお帰りください」

にこ「はあ?なんなのよ?」

絵里「お願い。帰らないで」

にこ「いや、私は…」

女将「矢澤、お帰りください。あんじゅ?」

あんじゅ「矢澤?お帰り願います」

にこ「な、なんなのよ?」

英玲奈「矢澤にこはあくまでもトイレの時限定なのだな」

絵里「にこぉ」

ギイギイギイ

絵里「ここここことりはもう出て来ないわよな?」

英玲奈「さあな?私が企画してるわけじゃないからな」

ガチャ

絵里「え?なんの音?」

ツバサ「一枚…二枚…三枚…四枚…五枚…六枚…七枚…八枚…九枚…」

英玲奈「ツバサ?」

ツバサ「一枚足りない……」

絵里「あ、あの」

ツバサ「…一枚足りない」ギギギ

絵里「き、キャアアアアア」

ツバサ「…お風呂はこちらです」

英玲奈「え?あ、ああ」

カポーン

英玲奈「しかし、ツバサの設定はどうなってるんだろうな?あれってお菊だよな?」

絵里「……」

英玲奈「最初は世界名作劇場かと思ったが…」

絵里「……」

英玲奈「…聞いているのか?」

絵里「あっ、ごめんなさい。ボーッとしちゃって…」

英玲奈「まあ…疲れたもんな」

絵里「そうですね…なんか…もう…」

英玲奈「流石に浴場の中では脅かして来ないな。危ないものな」

絵里「箱根の時は凛が浴槽の中にずっと潜んでいて…」

英玲奈「床が滑るから下手したら怪我するだろ」

絵里「そうですね。だから、今回はないのかな」

英玲奈「まあ、お風呂くらいはゆっくりしたいしな」

絵里「この後まだ続くのかしら…考えたくない」

英玲奈「言ってももういい時間だからな…」

絵里「今日は早く寝ましょう」

英玲奈「そうだな」

ギイギイギイ

絵里「もうこの廊下の軋む音…いや」

英玲奈「いい加減慣れないか?」

絵里「…無理です」

ダーダーダーダダーダーダーダー

絵里「キ、キャア、な、何?」

英玲奈「何だ?」

亜里沙・花陽「どうも~」

花陽「花陽です」

亜里沙「亜里沙で~す」

花陽「二人合わせて亜里…」

亜里沙「ハラショー娘で~す」

花陽「ええ?アリパナでいこうって言ったのにぃ」

亜里沙「ハラショー」

絵里「な、何が始まったの?」

亜里沙「あの、突然なんですけど」

花陽「うん。本当に突然だね?どうしたのかな?」

亜里沙「花陽さんはμ'sってしってますか?」

花陽「うん。私もμ'sのメンバーだから」

亜里沙「薬用石鹸じゃないですよ?」

花陽「う、うん。知ってるよ」

亜里沙「実は私、μ'sについてインターネットの検索サイトヤフーで調べて来ちゃいました」

花陽「あの…亜里沙ちゃん?そこはヤホーじゃないかな?」

亜里沙「え?ヤフーじゃないですか?」

花陽「あの…合ってるんだけど…一度亜里沙ちゃんがヤホーって間違えってそれを私がツッコミを…ってそれを言ったらダメなんですけど…」

亜里沙「なるほど。じゃあ、ヤホーについてヤフーで調べて来ます」

花陽「そ、そうじゃなくてぇ」

亜里沙「ん~日本語は難しい。ヤフーじゃなくてヤホー。じゃあ、タイフーはタイホー?」

花陽「違う違う、全然違うよ?台風は台風だよ?そんな、手錠が似合いそうな名前にはならないよ?ふーがホーになる文法は日本語にはないから」

亜里沙「え?じゃあ、カンフーもカンホーにならない?」

花陽「ならないならない。だって、カンフーは日本語じゃないよ?」

亜里沙「…じゃあ、クンフー?」

花陽「そ、それは日本人の中国語の発音の捉え方が違うだけだと思うよ?」

亜里沙「ん~、中国語は難しい」

花陽「そうだね。私達中国語話してないけどね」

亜里沙「ハラショー。今度、ゴーゴエで調べて来ます」

花陽「うん。グーグルだね?アルファベットの読み方間違えてるね。それだよ?ヤフーの時もそれをやって欲しかったの」

亜里沙「え?ゴーゴエはグーグル?全然違う。日本語難しい」

花陽「うん。日本語じゃないからね。英語だよ?なんなら、ヤフーの時点で…ああ…なんか、なんか違うよ。亜里沙ちゃん」

亜里沙「亜里沙の勘違い?」

花陽「うん…勘違いと言うか…そうだね」

亜里沙「それじゃあ、ワラサがブリになるのも勘違い?」

花陽「ううん。それは合ってる。それは合ってるよ?なんなら、イナダもそうだよ?」

亜里沙「え?それは正解?日本語難しい」

花陽「これは日本語はまた違うんだよ?」

亜里沙「それじゃあ、コイがリュウになるのも正解?」

花陽「ええと…それは…間違いだけど…間違いじゃなくて…あの…伝説なんだよ?それはね?もう、日本語とか全然関係ないんだよ?」

亜里沙「ハラショー。何がなんだかわからない」

花陽「全然ハラショーじゃないよ。亜里沙ちゃん、ちゃんとやらないと怒られちゃうよ?希ちゃんに貰った台本と全然やってる事が違うよ?」

亜里沙「花陽さん。ハラショーの発音が全然違いますよ」

花陽「ええ?ロシア語には凄く厳しいよ。誰か助けてぇ」

ダーダーダーダダーダーダーダー

絵里「すいません。小さくて可愛い金髪の子は私の妹です」

英玲奈「そうか…あれは、台本通りなのか?」

絵里「多分、天然ボケとツッコミのコンビです」

英玲奈「なるほど。納得だ」

ー22:00ー

絵里「どうします?もう、寝ますか?というかもう寝たい」

英玲奈「そうだな。起きてると色々とありそうだもんな」

絵里「すいません。せっかくの旅行なのに」

英玲奈「大丈夫だよ。気にするな」

ガチャ

ツバサ「お布団のご用意を…」

絵里「あっ、ツバサさん。大丈夫ですよ?自分でやりますから」

ツバサ「いえ…」

あんじゅ「あら?お客様にやらせる気なの?」

ツバサ「あんじゅ…さん…その…」

あんじゅ「これは大女将に報告が必要ね」

英玲奈「おい、あんじゅ。何を言ってるんだ。ツバサは仲間だろ」

あんじゅ「あっ、え、英玲奈ちゃん…」

絵里「演技…演技ですから」

英玲奈「演技だろうと私はこう言う曲がった事が大嫌いなんだ」

ツバサ「あの…お仕事ですから。大丈夫です」

英玲奈「本当に大丈夫か?何か辛い事があったら私に言うんだぞ?」

ツバサ「ありがとうございます」

あんじゅ「なんか…今後の私に火の粉が降りかかりそうね」

英玲奈「さあ、寝るか?」

絵里「あの…待ってください」

ポチ

英玲奈「ん?トイレか?」

絵里「いえ…」

英玲奈「なんだ?」

ガチャ

にこ「今度は何よ?」

絵里「にこ。お願い。私の布団で一緒に寝て」

にこ「はあ?」

絵里「流石に英玲奈さんにはまだ頼めないわ。お願いします」

にこ「…わかったわよ」

絵里「いいの?」

にこ「あっちで寝るよりマシだものね」

英玲奈「あっち?」

英玲奈「じゃあ、灯りを消すぞ?」

絵里「…一番小さい奴はつけときません?」

にこ「それじゃあ、寝れないじゃない」

絵里「そうだけど…」

英玲奈「それにしても、今回は矢澤にこを連れ戻しに来ないな」

にこ「希もそこまで鬼じゃないでしょ」

英玲奈「そうか。トイレ限定と言う訳でもないのか」

にこ「あっ、あんた。トイレ行かなくていいの?夜中に起こされたらたまったもんじゃ…」

絵里「スースースー」

英玲奈「よほど疲れてたんだな」

にこ「寝顔もさまになるのがムカつくわね」

英玲奈「しかし、こうして見ると矢澤にこはお母さんだな」

にこ「いや…お母さんはちょっと…」

英玲奈「見た目は絢瀬絵里の方が大人っぽいのにな 」

にこ「今日が特別なだけで絵里も普段はもっとしっかりしてるわ」

英玲奈「なるほど。意外な一面と言うやつだな」

にこ「そう言う事」

英玲奈「……私達も寝よう。おやすみ」

にこ「おやすみ」

ー2:00ー

絵里「…にこ、にこ」

にこ「ん…んん…ん?」

絵里「起きて」

にこ「………いや」

絵里「お願い、起きて」

にこ「……なんで…よ」

絵里「トイレ」

にこ「だから…あれほど…言ったのに」

絵里「お願いします。トイレに一緒に行って下さい」

にこ「あんたは子供か」

絵里「高校生はまだ子供です。無理して大人ぶる必要はないわ」

にこ「そのセリフ…少し前のあんたに言ってあげたいわ」

絵里「ねえ、お願いだからぁ」

にこ「わかったから…ちょっと…待って」

絵里「結構限界なんだけど」

にこ「なんで寝る前に行かなかったのよ」

絵里「気づいたらねてたんだもん」

にこ「だもんじゃないわよ」

絵里「…早く」

にこ「はあ…行こう」

ギイギイギイ

絵里「希ぃ、今脅かされたら漏らすからね。今後の人間関係に影響でるわよ。ねえ?聞いてるんでしょ?」

にこ「はあ…もう、人間関係に影響は出てるわよ」

絵里「そんな」

にこ「さあ、早く行ってきなさい」

絵里「毎度の事ながらなんで中についてきてくれないの?」

にこ「何でって」

絵里「意地悪しないで。泣けばついてきてくれるんでしょ?だったら、泣き出す前から一緒に付いてきてよ」

にこ「なんで偉そうなのよ」

絵里「じゃあ、頭さげるから」

にこ「わかったから。頭なんて下げなくていいから」

絵里「ねえ?扉は…」

にこ「閉めなさいよ。当たり前でしょ?」

絵里「もう…今さらじゃない?」

にこ「最低ラインよ」

絵里「私とにこの間に隠し事なんて…」

にこ「アホなの?ねえ?あんたはアホなの?怖くなるとそこまで思考力が低下しちゃうの?今絵里が言って事って無茶苦茶よ?」

絵里「でもぉ」

にこ「賢い可愛いエリーチカはどこに行っちゃったのよ?」

絵里「そんなもの…最初からなかったような気がするわ」

にこ「もう、いいから。何回このやり取りしてるのよ?それこそ、どうせ扉を閉める事になるんだから諦めなさいよ」

絵里「それはにこが意地悪だから…」

にこ「…帰るわよ?」

絵里「ごめんなさい」

英玲奈「ここまで来るともはや幼児退行だな」

絵里「キャア」

にこ「ひぃぃぃ」

英玲奈「あ、す、すまない」

絵里「も、漏れるかと思った…」

にこ「え?どうして?」

英玲奈「二人が起きたのに気がついてな…私も行きたくなったので」

にこ「あっ…なるほど」

絵里「…一緒に入ります?」

英玲奈「…いや、いい」

ギイギイギイ

絵里「にこ、英玲奈さん、ありがとうございました」

英玲奈「なに、気にするな。私はついでだ」

にこ「気にしないからもう起こさないで」

ことり「………」じぃー

絵里「ひいっ」

にこ「なっ、なによ?」

英玲奈「南ことりだ…」

ことり「………」じぃー

絵里「あ、あの…ことり?」

ことり「……」

絵里「あのぉ」

ことり「………」

にこ「驚かされる前に行きましょ」

ー6:00ー

カンカンカン

絵里「な、何?」ガバッ

英玲奈「何だ?」

にこ「…な…何よ」

ガチャ

女将「おはようございます。チェックアウトの1時間前になりましたので」

絵里「え?も、もう?」

英玲奈「まだ、6時だぞ?」

女将「とりあえず矢澤はお帰りください」

にこ「…え?な、何?」

女将「ツバサ?ツバサぁ?…ゴホッ…ゴホッ…矢澤にお帰り願いなさい」

にこ「ま、まだ…目が覚めて…ないのに」

ツバサ「こちらです」

女将「それでは、フロントでお待ちしてますので」

ガチャン

英玲奈「普通の旅行はあんな事言いに来ないだろ?」

絵里「普通じゃないもの」

ーフロントー

絵里「あ、あの。お世話になりました」

女将「はい。今、荷物をお持ちしますので。ツバサ?ツバサぁ?早くおし。お客様がお待ちしてるわよ」

ツバサ「はい。ただいま」

女将「本当にノロマだね。ノロマで嘘つきでどうしようもない子ね」

ツバサ「私は嘘つきなんかじゃ」

女将「お前もお前の父親も嘘つきさ」

ツバサ「そんな…そんな事はありません」

絵里「…また、何か始まった」

英玲奈「くっ、どうにかしてツバサを助けてやりたい」

真姫「あの、すいません」

女将「はい?」

絵里「え?ま、真姫?」

英玲奈「西木野真姫か?」

ツバサ「あ、あなたは…」

女将「どちら様ですか?」

真姫「私は西木野真姫と言います。そちらの、ツバサさんのお父様が私の父の友人でして」

女将「ツバサの父親と?だから、なんなのです?」

あんじゅ「あっ、西木野真姫って…あの、西木野総合病院の…ご令嬢」

女将「え?…その西木野真姫のお嬢様が一体なんのご用件で?」

真姫「私の父がそちらのツバサの支援をしたいと言っているので様子を見に来たのですが」


女将「ツバサの?」

真姫「はい。なにやら、随分と大切に扱われているみたいで…」

女将「い、いえ。そんな…」

真姫「とりあえず、父がツバサと会いたがっています。どうぞ、ご一緒に…」

ツバサ「は、はい」

女将「そ、そんな…」

英玲奈「ツバサ…良かったな、良かったなぁ」

絵里「なんだったの、この茶番は…」

英玲奈「リトルプリンセスじゃないか」

絵里「はあ」

絵里「で、私達の荷物は?」

英玲奈「そうだな」

あんじゅ「あっ、こ、こちらに置いてあります」

絵里「あっ、こっちに?」

ことり「痛いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

絵里「キャアアアアアアアア」

英玲奈「わぁぁぁぁぁぁ」

あんじゅ「キャアアアア」

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