ぐだ男「あの三人には気をつけろ」 ぐだ子「え?」 (156)

ぐだ子「あははは、大丈夫ですよ、私は女の子ですし、そちらとは状況が違います」

ぐだ男「あの三人にはそんな理屈は通用しないよ」

ぐだ子「またまた~、びっくりさせようとしてるんでしょ?」

ぐだ男「いや、本気で忠告してるんだ」


ザッザザザッ


ぐだ子「あ、そろそろ通話限界時間だ」

ぐだ男「いいかい?どんな甘い言葉をザザザッされてもザザザザザザッ」

ぐだ男「油断ザザザザザザザザッ」


ザザザザザザザザザザザザザザザッ


ぐだ子「じゃあ、またね」


ピッ

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頼光「もう、耳掃除している時に動いてはいけませんよ?」

ぐだ子「は~い、ごめんなさ~い」

頼光「ふふふ、マスターは素直ないい子ですねぇ」

ぐだ子「えへへ」ニコ

頼光「……」

ぐだ子「頼光さんの膝あったかいねえ……」ゴロゴロ

頼光「……」

頼光「ああ、なんて可愛い笑顔……」

頼光「私の膝を通して感じられます、貴方の血潮が……」

頼光「トクン、トクンと、こんなにか細い身体なのにこんなに力強く……」

頼光「もっと、もっと感じたいです、私のマスター、私の子供、私の、私の……」ギュウ

ぐだ子「むぐぐっ、く、くるしいっ、胸が……」ジタバタ

頼光「あ、あら、すみません、私としたことが……」ハッ

ぐた子「あー、窒息するかと思った……」フー

頼光「も、申し訳ありません……」ショボン

ぐだ子「ま、けど頼光さんのはおっきいし、当たっちゃうのは仕方ないかも」

ぐだ子「私も頼光さんの半分くらいでもいいから大きく……」

頼光「……」

ぐだ子「頼光さん?どったの?」

頼光「あの、その……ですね、私達、お互いをよく知り合ったことですし……」モジモジ

ぐだ子「うんうん」

頼光「他人行儀に頼光さん、と呼ばれるのは少し、ほんの少し物足りないかなと……」モジモジ

ぐだ子「あー、そっか、それもそうだねえ……」

頼光「私も、『マスター』ではなく、アナタとお呼びするように心がけますので」

ぐだ子「アナタ、アナタ、ううーん、私は年下だし同じ呼び方だと失礼だよね」

ぐだ子「そうなると、あだなかな……ライちゃんとか?それもちょっと……むむむ」

頼光「……もし、もしお悩みなら、私の事は」

ぐだ子「……ママ?」

頼光「……!」

ぐだ子「うん、ママがいいかな?頼光さんお母さんっぽいし」

頼光「あ、あ……ああ……」ガクガク

ぐだ子「え、うわ、頼光さんめっちゃ震えてる?」

ぐだ子「あ、あれ?まずかった?そ、そうだよね、突然こんな呼び方したら失礼に……」


ガバァッ


ぐだ子「ひゃっ!?」

頼光「いいえ、いいえ失礼ではありません!それでよいです!」

頼光「ああ、私は本当に幸せです、望んでいた物をこんなにも与えてもらえるなんて」

頼光「繋がっていたのですね、私とアナタの心は繋がっていたのですね、こんなにも」

頼光「深く、強く結びついていたのですね、判りました、私はアナタの母になります」

頼光「母となってアナタを愛します、アナタの血も心も魂も全て全て全てこの母が」

頼光「愛します守ります暖めます捧げます絡みます舐ります溶かします混ざります」

頼光「ふ、ふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

ぐだ子(むぐぐ、頼光ママ喜び過ぎだって)

ぐだ子(なんか身体中に頼光ママの色んなところが当たって身動きできないし喋れない)

ぐだ子(……)

ぐだ子(けど、そっか、頼光ママは娘が欲しかったんだなあ、きっと)

ぐだ子(だからこんなに喜んでるんだ)

ぐだ子(うんうん、四天王も男ばかりだったって話だし、女性一人でさびしかったのかも)

ぐだ子(よーし、普段からお世話になってるし、恩返しの意味も込めてここは子供になりきっちゃおうっと)

ぐだ子(……えーと、けど子供ってどうすればいいのかな)

ぐだ子(他人行儀はだめだろうし……んー、金時さんみたいにぶっきら棒に接する、とか?)

ぐだ子(いや、けど金時さんとのやり取りを見ると邪険に扱うと悲しそうだったし)

ぐだ子(となると、思いっきり甘える方向かな)

ぐだ子(小学生くらいの感じで)

ぐだ子(……いや、最近の小学生は反抗的だって話だし、寧ろ幼稚園児くらいの勢いで)

ぐだ子(正直、幼稚園児の頃の私がどんなだったかまったく記憶にないけど、まあなんとかなるでしょ)

ぐだ子「んぐ、マ、ママ……」

頼光「何ですか、母はここにいますよ、ずっと、ずっと抱いていてあげます……」

ぐだ子「おなかすいたよ」

頼光「ふふふ、そうですか、では待っていてくださいね、いま母がおいしい夕食を……」ムクリ

ぐだ子「……」グイッ

頼光「まあ、どうしたのです?裾なんて引っ張って」

ぐだ子「……おっぱい」

頼光「……え?」

ぐだ子「ママのおっぱいのみたい」

頼光「……」

頼光「……」

頼光「……」

頼光「……」グラリ

~頼光脳内~


理性「いい加減にしてください、淫らにもほどがあります」

肉体「おっぱいは、出ません」

頼光「しかし!しかし我が子が欲しているのですよ!?あんな純粋な眼で!」

頼光「それを出さずして何が母ですか!」

理性「あれはマスターが貴方のレベルに合わせているだけです、実際に母子の関係にあるわけじゃありません」

肉体「おっぱいは、出ません」

頼光「違います!あれは、あれは確かに母を欲する子の叫び!魂の叫び!」

頼光「故に私は母であり、彼女は子なのです!」

理性「話になりません」

肉体「おっぱいは、出ません」

頼光「どうしても……どうしても、乳は出せない、そういう事ですか」

理性「当たり前です、恥を知りなさい」

肉体「おっぱいは、出ません」

頼光「……ならば私にも考えがあります」カチャッ

理性「き、貴様、それは童子切!?」

頼光「母としての心を失いしは既に人に非ず!それは鬼の所業!」

肉体「おっぱいは、出ません」

理性「や、やめるのです!そんな事をしたらどうなるか……!」

頼光「誅滅、執行!」

肉体「おっぱいは……」

理性「やめろおおおおおお!」

頼光「牛王招力・怒髪天衝……矮小十把、塵芥に成るがいい!」



ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

頼光「……」グラリ

ぐだ子「ママ?」

頼光「……勿論、勿論です、愛しい我が子」

頼光「今、今あげますからねぇ……」ゴソゴソ


プリンッ

プリンッ


頼光「……さあ、遠慮せずともいいのですよ」

頼光「どちらもアナタのものです……」

頼光「いっぱい、いっぱい、味わってくださいね?」

「彼女は、少し不思議そうな顔で私の顔を眺めています」

「その顔が本当に子供っぽくて」

「それを見ていると」

「私の胸に、何か不思議が感覚がともります」

「これは欲望なのでしょうか」

「愛欲なのでしょうか」

「彼女の顔が少し私に近づきます」

「息遣いが感じられる」

「自身に沸いた感情が何なのか判断がつかず、期待ばかりが高まって」

「彼女の手が、私の乳房に、まるで何かを確かめるかのようにそっと触れて」

「ああ、何という事でしょう、喜びが、私の中から湧き出してくる」

「身体の芯が熱くなってくる」

「早く、早く、早くほしい、彼女の」

「その口が、薄い唇が、欲しいのです」

「触れて欲しい、私の頂点に」

「そうすれば、私は、私は……」


チュッ


「……!」

「彼女の唇が私の頂点に触れた瞬間、私は悟りました」

「そう、私の胸に灯っていた感覚は欲望ではなかったのです」

「愛欲ではなかったのです」

「私の中から湧き出したのは」

「純粋な母性」



「狂化によって歪められた独占欲ではなく、本当の母性だったのです」

「どうして、どうして忘れてしまっていたのでしょう、この感覚を」

「私の乳房を吸う彼女を見て、幸せな気持ちが溢れます」

「ああ、この感覚、忘れたくない、そう、もう絶対に忘れはしない」

「愛欲と母性を混同してしまう私の中の狂化は、全て浄化されたのです」

頼光「あらあら、そんなに焦らずとも好いのですよ」ナデナデ

頼光「母は何処にも行きませんからねぇ」ナデナデ

頼光「ふふふふ」ニコニコ


チュッチュッチュッ


ぐだ子(……)

ぐだ子(うーん、おっぱいとか、絶対怒られると思ったけど)

ぐだ子(頼光ママ機嫌がいいみたいだし、何とか上手くいったってことかな)

ぐだ子(まあ、頼光ママも大人なんだし、ほんとにダメな時は「こらっ」って言ってくれるよね)

ぐだ子(……)

ぐだ子(ううん、成功したのはいいけど、ちょっと問題が……)

ぐだ子(これはちょっと我慢できそうにないかも……)

ぐだ子(ちょっと中断して行ってこようかな……)

ぐだ子「ママ……」

頼光「はぁい、母ですよ、どうしましたか♪」

ぐだ子「えっとね、えっとね」

頼光「もうお腹いっぱいですか?」

ぐだ子「……」

頼光「私は母なのですから、遠慮なく何でも言ってくださいね?」

ぐだ子「……うん、あのね」

頼光「はい♪」

ぐだ子「おしっこ」

頼光「……」

頼光「……」

頼光「……」プシュッ

~頼光脳内~


ゴゴゴゴゴゴゴゴ


理性「こ、こんなにも私の精神が揺すぶられるなんて……!」

理性「否定と肯定がせめぎ合い、まるで暴風です……!」

理性「くっ、立っている事すらできない……」ガクッ

頼光「……」スタッ

理性「待ちなさい!何処に行くのです!」

頼光「……前へ、あの暴風の中心へ」

理性「馬鹿な!この嵐に立ち向かうと言うのですか!」

理性「不可能です!こんなものに呑まれたら……貴女は戻ってこれなくなってしまいますよ!」

頼光「それでも……」ザッ

頼光「それでもいいのです……」ザッ

頼光「例え私の魂がどうなろうとも……!」ザッ

頼光「私はあの子の声に応えてあげたいのです……!」ザッ

理性「貴女は……それほどまでに……」

「私は嵐の中を進む」

「凄まじい奔流に眼を開ける事すら困難な中を」

「一歩進むたびに、心が削れる」

「精神が、悲鳴を上げる」

「その先に進むなと、私の中の何かが訴えかけてくる」

「取り返しがつかない事になるぞ」

「今まで築き上げてきた物が全て無為になるぞ」

「……判っています、判っているのです」

「きっとこれが境界線」

「ここから先に進めば戻れない」

「けれど、けれど……」

「それでも私は……私は……」

「気がつくと、風は止んでいた」

「そうだ、嵐を抜けたのだ」

「私は、到達したのだ」

「目の前に、ソレがある」

「私が、求めたもの」

「彼女が、求めたもの」

「眩く輝く黄金……」





「……黄金を満たした聖杯が」

~現実現在進行形~


頼光「あらあら、まあまあ、大丈夫ですよ、私は母ですから、勿論経験があります」

頼光「私に任せておいてもらえれば安心です、そう、照れる事はないのです」

頼光「ですから、ぐずらないで、ほら、腰を上げて、腰巻をはずして」

頼光「もう、駄目ですよ、足をバタバタさせては、ちゃんと出来ないではないですか」

頼光「ほら、こうやって押さえてあげればもう足は動かせませんね、うふふふ」

頼光「まるで赤子のような格好です、いいえ、赤子なのでしょうね」

頼光「今、布おむつを巻いてあげますからね、これをつければ安心ですよ」

頼光「ああ、けれど何て綺麗な腿なのでしょうか」

頼光「早くおむつをしてあげないといけないのに、いけないのに」

頼光「駄目な母ですね、私は、こうして触れたくなる、指を這わせたくなる」

頼光「駄目ですか?構いませんよね?だって母子ですもの、子供の成長を確認するのは」

頼光「ははのやくめです……だから……」

ぐだ子「あ、ちょ、ママ、駄目」

頼光「だめではありません、母子ですから、母子ですから」ハァハァ

ぐだ子「駄目だって、ホント」

頼光「本当に、赤ん坊の肌のように滑らかで……」スリスリ

ぐだ子「……」

頼光「大丈夫です、傷つけたりしませんから、もう少し、もう少し……」スリスリ

ぐだ子「……ごめんなさい」プルプルッ

頼光「え……?」


チョロッ


頼光「……え?」

~頼光脳内~


「何という事でしょう、聖杯が揺れて、揺れて……」

「こぼれてしまう、中身がこぼれてしまう」

「聖なる杯の中身がこぼれてしまう」

「遠からずあの中身は私に降り注ぐでしょう」

「けれど、不思議と避けるつもりにはなりません」



「私の中で何かが高ぶってきます」

「これは何でしょうか」

「恐怖ではありません、不安ではありません、これは、これは寧ろ」

「……歓喜」

「私の身体が聖杯の中身によって汚されると言う背徳が呼ぶ、歓喜です」

「聖なる物に汚されてしまうという絶対的な矛盾」

「ああ、私はこれを」

「これを望んでいたのです」

「ずっと望んでいたのです」

「さあ、受け入れましょう、両手を開いて」

「身体中で」

「あの聖杯の中身を!」

~現実現在進行形~ 




チョロッ


チョロロロロロロロロロロッ



 

~頼光脳内~


理性「私は……無力です」

理性「彼女を止める事が出来なかった」

理性「あれはもう……彼女ではありません」

理性「聖杯の中身と結合してしまったアレはもう、丑御前ですらない」

理性「あれは……あれは……」




 ビ ー ス ト




理性「あれを外に出してはいけない」

理性「もしそうなれば、マスターは腹上死してしまう」

理性「意識が混濁して動きが止まっている今!ここで!食い止めるしかありません!」

肉体「おっぱいは、出ません」



ガチャッ




理性「……これは父上が私の肉体に仕込んだ安全装置です」

理性「霊基に刻まれたこの術式は今も有効なはず」

理性「これを作動させれば私の肉体は一時的に動作を止める」

理性「具体的に言うと2時間程度」

理性「これを使うと理性である私も意識を失ってしまいますが……もうこれを使うしかないのです」

肉体「おっぱいは、でません」

理性「お願いします、マスター、その間にどうか……どうか逃げて……」

肉体「おっぱいは」

理性「御武運を……」



ブツンッ


~廊下~

エレナ「ふーんふっふふーん♪」

エレナ「珍しい本を発見したわ、これもマハトマのお導きかしら?」

エレナ「よーし、ちょっと弟子に見せに行こうっと」

エレナ「えっと、この時間なら居間にいるわよね?」


コンッコンッ


エレナ「居る~?入るわよ」


ガラッ

エレナ「じゃーん!ぐだ子ちゃんほら見てみて、珍しい本を……」




ぐだ子「ごめんね、頼光ママごめんね?」ユサユサ

頼光「……」ボー

ぐだ子「うう、どうしよう動かなくなっちゃった」ユサユサ




エレナ「……」

ぐだ子「あ」

頼光「……」ボー

エレナ「……」

ぐだ子「えっと、これはね?」


エレナ「下半身丸出しのぐだ子ちゃんに赤ちゃんプレイのポーズをさせた状態で頼光さんが硬直してる!?」

エレナ「しかもぐだ子ちゃんの下半身とか頼光さんの身体とか床がなんだかちょっと濡れてる!?」

エレナ「そして大気中が少しアルコール臭い!?」


ぐだ子「あ、あははは、えっとこれはね」

エレナ「……待って」

ぐだ子「え?」

エレナ「私に判らない事なんてないんだからね?」

ぐだ子「う、うん、エレナさんは確かに物知りだけど……」

エレナ「だから少し時間をちょうだい」

エレナ・ブラヴァツキーは独自の魔術形態を確立した魔術師である。

彼女は高次の存在「マハトマ」と通信を行う事で未知の叡智を受け取る事が出来るのだ。



エレナ「ねえ、マハトマ、私の弟子が頼光さんとこんな状況になってたんだけど、どうしてかしら」

マトハマ「頼光さんが君の弟子に赤ちゃんプレイ要求したからだよ」

エレナ「あー、やっぱりかー」



尚、マハトマが実在するかどうかは誰にも証明できない。

故に、彼女が得た叡智は全て「彼女自身が考えついた物」である可能性が存在する。

エレナ「……状況は全てつまびらかに理解できたわ」

ぐだ子「ほんとに!?」

エレナ「もう、頼光さんにも困ったものね?」フゥ

ぐだ子「いや、半分くらい私が悪いと思うんだけど……」

エレナ「んー、いいわ、とりあえずぐだ子ちゃんはお風呂に入ってきて?」

ぐだ子「え、けど……」

エレナ「けどじゃありません、女の子がアルコール臭させてるのってよろしくなくてよ?」

ぐだ子「う……それは頼光さんも同じじゃ……」

エレナ「頼光さんは私が拭いておいてあげるから、ね?」

エレナ「ほら、ちゃんと下着も持って」

ぐだ子「あ、ちょ、押さないでっ」

ぐだ子「はー、追い出されちゃった」

ぐだ子「まあ、頼光ママはエレナさんに任せるしかないか……」

ぐだ子「……」ブルルッ

ぐだ子「うう、良く考えたら下着はいてないから寒い……」

ぐだ子「お言葉に甘えて、お風呂はいらせてもらおっと……」

~浴場~


ぐだ子「ううう、早く湯船に浸かりたい……」

ぐだ子「けど、まずは身体を洗わないとね」

ぐだ子「あんな事があったあとだし」

ぐだ子「えっと、せっけんせっけん~と……」

ぐだ子「……あれ」

ぐだ子「せっけんないや」

ぐだ子「おっかしいなあ、昨日はまだ残ってたのに……」

ぐだ子「んー、棚の方には」ガサゴソ

ぐだ子「えー、ないよ」ガサゴソ

ぐだ子「どこー」ガサゴソ


「……ここに、あります」

静謐「……」

ぐだ子「あれ?静謐ちゃんもお風呂?」

静謐「はい……」

ぐだ子「そっか、じゃあ静謐ちゃんのせっけん借りちゃおうかな?」

静謐「……」コクリ

ぐだ子「ありがとね~♪」ナデナデ

静謐「あ……」

「私に触れる物は、全て、全て死んでしまいます」

「魔物も、人間も、動物も、虫も、微生物すら」

「みんな……みんな殺してしまいます」

「それが私の能力、それが私の宿業」

「私は、一生、誰にも触れられることなく、終わる」

「そう思っていました」

「けど、貴女は、違った」

「私に触ってくれる」

「私に触れて死なないでいてくれる」

「笑いかけてくれる」

「柔らかいねと言ってくれる」

「はじめてです」

「そんな存在は初めてです」

「私の……唯一の人です」

「ただ一人の大切な人です」

「もっと役に立ちたい」

「もっと触れていた」

「だから、だから私は」

「貴女の為の……になります」

「……として、貴女に尽くします」

ぐだ子「静謐ちゃーん、身体洗ったげるからせっけん貸して~?」

静謐「……いえ、私には、せっけんは不要ですから」

ぐだ子「え?」

静謐「私は……自分の身体についたばい菌や泥を殺す事が、出来る、のです」

ぐだ子「おー、すっごいねえ静謐ちゃんは」

静謐「……私は、この力で」

ぐだ子「うん」

静謐「せっけんとして……マスターに尽くします……」

ぐだ子「ん?」

静謐「薬用静謐せっけん、です……」

ぐだ子「は?」

静謐「除菌効果が、あります……」

ぐだ子「せっけんって……何言ってるの静謐ちゃん!」

静謐「……!」ビクッ

ぐだ子「そんな自分を物みたいに言っちゃダメ!」

静謐「……」

ぐだ子「もっと自分を大切に……」

静謐「……」

ぐだ子「静謐ちゃん?」

静謐「……なん……ですか」

ぐだ子「え?」

静謐「……だめ、なんですか、私なんかじゃ」

静謐「私なんかじゃ、マスターのお役に、たてないんですか……」ウルッ

ぐだ子「せ、静謐ちゃん、泣かないで」オロオロ

静謐「やっぱり、私なんかじゃ、だめ、ですよね」

静謐「きたない、ですよね」

ぐだ子「き、汚くなんてないよ!?」

静謐「いいんです、それが、自然な反応ですから……」

静謐「いつも、いつもそうでしたから、慣れてます……」

静謐「みんな、みんな、離れていく……」

ぐだ子(ううー、失敗したな、静謐ちゃんは自己評価が低い子だってわかってたのに)

ぐだ子(彼女がやりたいことを安易に否定しちゃった)

ぐだ子(せっかく、自分の意志で一歩前へ進んでくれたのに)

ぐだ子(彼女は、私にとって、なんだか妹みたいな感じなんだし)

ぐだ子(力になってあげたいなあ)

ぐだ子(……)

ぐだ子(そうだよね、まずは肯定から入ってあげないと)

ぐだ子(うん、急ぐのは良くないし、徐々に自信がつくように導いてあげないとね)

ぐだ子「もう、仕方ないなあ静謐ちゃんは……」ナデナデ

静謐「マ、スター?」

ぐだ子「身体洗うものがないと困っちゃうし……今回は、薬用静謐せっけん使っちゃおうかな?」

静謐「……!」パァッ

ぐだ子「んー、けど使うって言ってもどうすればいいんだろう」

静謐「は、はい、私は身体から分泌する毒の量を、調整することが、できるんです……」

ぐだ子「ほうほう」

静謐「私の手を、見ていて、ください」


ニュルニュル

トロトロ


ぐだ子「あ、何か透明なヌルヌルした液が手から湧き出してきた」

静謐「これは毒液ですが、耐毒スキルを持つマスターには、無毒です……」

静謐「逆に、ばい菌や垢、泥などは……毒で溶かすことが、出来ます……」

ぐだ子「髪の毛とか溶けちゃわない?」

静謐「マスターの身体から分離しない限りは……大丈夫です……」

ぐだ子「そっかぁ……んー、確かに指につけてもツメとか溶ける様子ないね」ヌルヌル

ぐだ子「けど、これ、何か水飴みたいで美味しそうだねえ、舐めても平気かな」ペロッ

静謐「あ……」

ぐだ子「うん、ちょっとしょっぱい?」

静謐「……」ハワワワ

静謐(ま、マスターが私の毒液を、舐めてしまった)

静謐(私の身体から分泌された、毒を)

静謐(言い方を変えると、私の体液を)

静謐(いま、いま、ペロッて……ペロッて……)プルプル


ニュルニュル

トロトロ


ぐだ子「うわあ……せ、静謐ちゃん?何かすごく沢山液が出てきたよ?」

静謐「あ……す、すみません、つい体が熱くなってしまって……」

ぐだ子「体が熱くなると湧いてくるんだ……まるで汗みたいだね?」

静謐「恥ずかしいです……」

ぐだ子「よし、じゃあ静謐ちゃんが垂らしてくれたせっけん(仮)を使わせてもらうね~」

静謐「あ……待ってください」

ぐだ子「え?」

静謐「床に落ちた物を使うのは、その、問題があるかと……」

ぐだ子「あ、そっか……じゃあ、何かの容器に貯める感じで?」

静謐「いいえ、私の毒は、時間がたつと効果が薄まりますので……」

ぐだ子「そうなの?じゃあどうしよっか」

静謐「……直接」

ぐだ子「え?」

静謐「私の身体から、ちょくせつマスターの身体に塗れば……」

静謐「……良いと思います」

ぐだ子(これは、もしかして私の身体を静謐ちゃんが手でごしごししてくれるって事かな?)

ぐだ子(……うん、いいかも)

ぐだ子(私って一人っ子だし)

ぐだ子(妹みたいな子に背中洗ってもらうのとか、まるで家族みたいで正直嬉しい)

ぐだ子(これで静謐ちゃんも自分に自信が持てるかもしれないし、一石二鳥だね!)

ぐだ子「ありがと!静謐ちゃん!じゃあお願いしようっかな?」

静謐「……はい」

静謐「では、あの……お背中失礼します……」

ぐだ子「は~い♪」

静謐「……」ドキドキ


ニュルニュル

トロトロ


静謐「……い、いきます」

ぐだ子「うん」


ピトッ

ヌルッヌルッ

ピチャピチャ


ぐだ子(……ん、あれ、これ、手じゃないような)

ぐだ子(何だろう、何だか柔らかいな、スポンジ?)

ぐだ子(スポンジ二刀流?)

ぐだ子(けど、スポンジにしては何か平べったい気もするし)


ヌルヌルヌル

ピチャピチャ

ハァ…ハァ…


ぐだ子(んー、それになんだか)

ぐだ子(平べったくて柔らかい物の真ん中くらいに何か)

ぐだ子(突起物が)

ぐだ子(小さな突起物の感触が)

ぐだ子(それぞれ1つずつ)

ぐだ子(それが背中にあたって何だかこそばゆいなあ)

ぐだ子「静謐ちゃーん」

静謐「ひゃっ!?」ビクッ

ぐだ子「ど、どったの普段出さないような声あげて」

静謐「す、すみません、熱中してしまっていたので……」

ぐだ子「そっか」

静謐「そ、それで、あの……ご気分はいかがですか」

ぐだ子「うん、すっごく柔らかくてきもちいい、何かスポンジとか使ってるの?」

静謐「スポンジ……ある意味、間違っては、いません、ね」

ぐだ子「ふへへ~、その調子でお願いね?」

静謐「は、はい……!」パァッ

静謐(マスターが、褒めてくれた)

静謐(きもちいいよって、嬉しがって、くれた)

静謐(こんな私に、そんな声をかけてくれる人がいるなんて)

静謐(うれしい、凄く、嬉しい)

静謐(体が、体の芯が熱く、熱くなってくる)

静謐(ど、どうしよう、我慢できない)

静謐(出ちゃう、いっぱい、いっぱい出ちゃう)


ニュルニュル

トロトロ

ニュルニュル

トロトロ


静謐(ああ、制御がきかない、手や胸だけじゃなくて、色んな所から)

静謐(毒液が、いっぱい、いっぱい)

静謐(あ、あああ、あああああ……)

静謐「はぁ……はぁ……」

ぐだ子「せ、静謐ちゃん?どうしたの私の肩に顔をうずめて」

静謐「す、すみません、わ、わたし、我慢、できなくて、もう……」ハァハァ

ぐだ子「大丈夫?顔が赤いよ?」ペタリ

静謐「ああ、マスターの手が、私の、頬に……」ハァハァ

ぐだ子「凄い汗……いや、汗じゃなくてせっけん?」

ぐだ子「うわ、よく見たら静謐ちゃん身体中からせっけんが?」

静謐「はい、はい、せっけんです、私は、私はマスターのせっけんなんです、ですから……」

静謐「マスターの、体の隅々まで、洗わないと、洗わないと……」


ガバッ

ニュルルッ


ぐだ子「ひゃっ!」

ぐだ子「ちょ、どうしたの静謐ちゃん伸し掛かってきて」

静謐「はぁ……はぁ……」トロトロ

ぐだ子「うわっ、身体中せっけんだらけになっちゃった……」

静謐「はぁ……はぁ……」トロトロ

ぐだ子「と、取りあえず静謐ちゃん立って」


ツルンッ


ぐだ子「ダメだ、静謐ちゃんの身体からどんどんせっけんが湧いて出てくるから滑って立ち上がれない……」

静謐(はぁ……はぁ……気が付くと、マスターを押し倒してしまっています……)

静謐(私も、マスターも、同じ毒にまみれて……)

静謐(一緒です、私たちは一緒です……)

静謐(一緒の毒液にまみれて、絡み合って……)

静謐(こんなになってまで、私と一緒にいてくれる、マスター……)

静謐(お互いの吐息が触れ合うくらい近くにいてくれる、マスター……)

静謐(好きです、大好きです……)

静謐「……マスター」

ぐだ子「あ、静謐ちゃん大丈夫?立ち上がれる?」

静謐「……私達、ヌメヌメ、ですね」

ぐだ子「あー、うん、ちょっとせっけんが多すぎるかな」

静謐「……まるで、なめくじ、みたいです」

ぐだ子「えー、なめくじってかわいくないなあ」

静謐「……かわいくないですか」

ぐだ子「あ、もちろん、静謐ちゃんは可愛いよ?」

静謐「……」モジモジ

ぐだ子「あ、照れてる、可愛いなあ静謐ちゃんは」

静謐「……なめくじは」

ぐだ子「え?」

静謐「……同性で、子を作るらしいです」

ぐだ子「あー、聞いたことある、正確には雌雄同体とか……」

静謐「……私たちも」ニュルッ

ぐだ子「ひゃっ、ダメだって静謐ちゃん、あんまり無理に動くと」

静謐「……こうしてヌルヌルなまま絡み合っていれば」ヌルリッ

ぐだ子「ああ、もう、くすぐったいよ」

静謐「……できてしまうんでしょう、か」ニュルルッ

ぐだ子「ううう、静謐ちゃんわざとやってるよね、じゃあ私もっ……」

静謐「え……」

ぐだ子「ほーら、コチョコチョコチョ~♪」

静謐「あ、ま、マスター」

ぐだ子「静謐ちゃんって相変わらずほっそいねえ~♪」コチョコチョ

静謐「だ、だめ、です……んんっ」モジモジ

ぐだ子「身をよじっても、逃がさないよ~♪」コチョコチョ

静謐「んっ……あっ……はっ……///」モジモジ

ぐだ子「ほら、もう逃げられない」ガシッ

静謐「駄目ですマスター、そ、そこは///」モジモジ

ぐだ子「あれ?ここ弱かった?じゃあもっとこちょこちょ♪」

静謐「ひゃうぅっ///」ビクッ

静謐(マスターが、マスターが私を、さわってくれてる……)

静謐(身体じゅう、さわってくれてる……)

静謐(肩も、腕も、背中も、足も、首も、胸も……)

静謐(きもちいい、です、きもちいい……)

静謐(自分でさわるより……)

静謐(自分で慰めるより……)

静謐(もっと、もっと、もっと……)

静謐(もっともっと気持ちいい……)

静謐(意識が、ふらふらになっちゃう……)

静謐(ふらふら、に……)

~10分後~

ぐだ子「ふー、いいお湯だねえ、静謐ちゃん」

静謐「……ハイ」グッタリ

ぐだ子「あ、けどそろそろ上がらないと」

静謐「……ハイ」グッタリ

ぐだ子「静謐ちゃんはどうする?まだ入ってる?」

静謐「……ハイ」グッタリ

ぐだ子「そっか、のぼせる前に上がってね?」

静謐「……ハイ」グッタリ

ぐだ子「じゃあね~♪」ザバァ


静謐「……」グッタリ

静謐「……」グッタリ

静謐「……」ズルズル

静謐「……」ブクブクブク



ぶくぶくぶく


 

~廊下~

ぐだ子「ふー、静謐ちゃんとのスキンシップ、楽しかったなあ」ホカホカ

ぐだ子「ああいう友達感覚も大切だよね?」ホカホカ

ぐだ子「ふんふふ~ん♪」


「随分楽しそうですね」


ぐだ子「え?」クルッ

ぐだ子「あれ、誰かの声が聞こえた気がしたんだけど……気のせいかな」


「まぁすたぁ♪」ガバッ


ぐだ子「ひゃっ!?」ビクッ


「ふふふ、驚かせてしまいましたわね♪」


ぐだ子「あー、もうびっくりしたなあ、背中から突然抱きつくのやめてよ」

ぐだ子「清姫さん」

清姫「うふふふ、振り返らずとも私だと判るなんて、流石は旦那さま、これはもう夫婦と言っても過言ではありませんね♪」ギュー

ぐだ子「もう……短い付き合いって訳じゃないし、それくらい声で判るよ」

清姫「まあ、付き合いだなんてそんな……恥ずかしいですわっ///」モジモジ

ぐだ子「恥ずかしがる事ないんじゃないかな、当たり前の事だし」

清姫「ふふふ、確かに恥ずかしがるなんていけませんわね、流石はますたぁです♪」ダキッ

ぐだ子「んきゅっ、く、苦しいよ清姫さんっ」


「まぁすたぁ♪」ギュッ


ぐだ子「うわっ!」ビクッ

清姫「あら、貴女は……」

清姫「私じゃないですか」ギュー

清姫/槍「は~い、私です!」ギュー

清姫/槍「通りかかったら私が旦那様といちゃいちゃしていたのでご一緒しようかと思いまして♪」ギュー

清姫「ああ、それはいいですわね、これで二倍ますたぁを愛せると言う物です!」ギュー

清姫/槍「旦那様、あったかいです、ほかほかです♪」ギュー

清姫「私達でもっと温めてあげましょう、幸い、そういうのは得意ですから!」ギュー


ギュッギュッギュー


ぐだ子「うう、前後から挟まれてあつい……」グッタリ

ぐだ子(スキンシップは好きだけど、このままじゃ汗かいちゃう)

ぐだ子(折角お風呂に入ったんだから、それは避けたいなあ)

ぐだ子「むぐ、き、清姫さん、何か私に用事があったんじゃないのかな」

清姫「用事?いえ特には……偶然マスターを見かけてので声をかけただけです」

清姫/槍「ああ、けれどもそういえば旦那様に少しお聞きしたい事がありましたよね」

清姫「あ、そうです、私とした事が忘れていました」

ぐだ子「なになに、聞きたいな」

清姫「ええ、実は……」

ぐだ子(ふう、やっと離れてくれた)

ぐだ子(清姫さん達は友達に対しても情熱的だしなあ)

ぐだ子(まあ、そういうところが可愛いんだけど)

清姫「実は、マスターにお聞きしたい事がありまして」

ぐだ子「ん?何だろ」

清姫/槍「はい、そろそろ結婚式の予定について、お話をしたいかなと思いまして」

ぐだ子「結婚式」

清姫「やっぱり、こういうのって事前の話し合いが重要思うんです」

清姫/槍「一生に一度の問題ですしね」

ぐだ子「……」

ぐだ子(あー、なるほど)

ぐだ子(女子トークか)

ぐだ子(あー、何かいいかも)

ぐだ子(サーヴァントの子達はみんな私と仲良くはしてくれけど)

ぐだ子(みんな個性的すぎて、こういう一般的な友達がするような話はあんまりしないしね)

ぐだ子(何だか嬉しい)

ぐだ子(ふっふっふ、じゃあ私もちょっと本気で応えないとね?)

ぐだ子「結婚式の話かあ……やっぱり和風とか洋風とか?」

清姫「はいっ♪」

清姫/槍「旦那様は、どちらがお好みですか?」

ぐだ子「うーん、私はやっぱり洋風かなあ……ウェディングドレスとか憧れるよね」

清姫「マスターはうぇでぃんぐどれすが好きなのですね……清姫覚えました!」

ぐだ子「うん、結婚して新居を作る時も、洋風の方が好きかも」

ぐだ子「あ、けど瓦がある和風の家もいいかなあ……」

清姫「ま、ますたぁ……そんな先の事まで考えていただけてるなんて……」

清姫/槍「ご一緒できるならば、和風でも洋風でも水の中でも火の中でもかまいません!」

ぐだ子「清姫さんは情熱的だなあ」

ぐだ子「あ、そうだ、子供は何人がいい?」

清姫「こ……」

清姫/槍「……ども」

ぐだ子「うん、こども」

清姫「……」

清姫/槍「……」

ぐだ子「?」

清姫「……」

清姫/槍「……」

ぐだ子「清姫さん?」





清姫「///」ボシュッ

清姫/槍「///」ボシュッ

清姫「子供、子供、子供///」

ぐだ子「ど、どうしたの清姫さん」

清姫/槍「す、すみません突然の事で興奮を抑えられず///」

清姫「へいびぃ、べいびぃ、べいびぃ///」

清姫/槍「だ、旦那様は何人くらいがいいですか///」

ぐだ子「私は、んー、やっぱり1人がいいかな、愛情を注いで……」








ぐだ子「……」

清姫「ますたぁとの子供、ますたぁとの子供、ますたぁとの子供///」

清姫/槍「旦那様?どうかしましたか?」

ぐだ子「え、あ、ごめん……うーん、やっぱり子供は3人がいいかなぁ」

清姫/槍「あら、でも先ほどは1人と」

ぐだ子「うん、最初はそう思ってたんだけど……何か3人って数字が頭をよぎって」

清姫「子供が1人、子供が2人、子供が3人///」

清姫/槍「3人ですか、ふふふ、頑張らないといけませんわ///」

ぐだ子「うーん、けど良く考えると結婚式とか新婚生活よりももっと大切な事があったよね」

清姫/槍「大切な事、ですか?」

ぐだ子「もー、判んない?」

清姫/槍「むむむ、な、なんでしょうか」

ぐだ子「それはね、プロポーズだよ」

清姫/槍「プロポーズ……」

ぐだ子「そうそう、やっぱりそれが無いと始まらないよね」

清姫/槍「た、確かに……」

ぐだ子「ロマンチックな場所で、素敵な指輪を差し出されて、素敵な言葉を囁かれるの」

ぐだ子「やっぱり、女の子の夢だよねぇ」ウットリ

清姫/槍「……」

清姫「ますたぁ、ますたぁ、ますたぁ///」モジモジ

清姫/槍「正気に戻ってください、私」ユサユサ

清姫「ふあ、あれ、私、確か結婚して新居で生活を……」

清姫/槍「それは私の夢です、それよりも作戦会議をしないといけません」

清姫「作戦会議?」

清姫/槍「はい、素敵なぷろぽぉずを考えないと」

清姫「……な、なるほど、確かにそれは重要ですね、大体状況は把握しました」

清姫/槍「さすがは私、話が早い」

清姫「……あれ、私がぷろぽぉずを受けるのでしょうか」

清姫「それとも私がプロポーズをするのでしょうか」

清姫/槍「恋は戦争、先制攻撃をした方が有利にきまっています!ここは攻勢に出るべきです!」

清姫「そうですね、流石は私」

清姫/槍「任せてください、バーサーカーである私よりはランサーである私の方が少しだけ理知的なのです」

ぐだ子「あー、何か二人で盛り上がってるなあ」

ぐだ子「邪魔するのは申し訳ないかも」

ぐだ子「それに、明日はマシュの手伝いをしないといけないしそろそろ寝ないと……」


清姫「ここは作家勢のサーヴァントを脅迫してろまんちっくを文章を仕上げては」

清姫/槍「何を言うのです、他人の手を借りた文句なぞぷろぽぉずに使えません」

清姫/槍「拙くとも、自分で精いっぱい考えるべきです」

清姫「しかし!」


ぐだ子「私はそろそろ寝るね~、おやすみ~」トテトテ

~マイルーム~

ぐだ子「ううーん、今日もいろいろあったなあ」ゴロン

ぐだ子「けど、皆と仲良くやれてるのはいいことだよね」

ぐだ子「目覚まし時計をセットして……と」





ぐだ子「明日も良い日でありますように」

ぐだ子「……」

ぐだ子「……」

ぐだ子「……」zzz

~深夜~

清姫「完成しましたね」

清姫/槍「完成してしまいましたわ」

清姫「まずロマンチックな場所、これはどう考えてもますたぁのお部屋です」

清姫/槍「素敵な指輪は、私達の尻尾です、決して離れません」

清姫「そして素敵なプロポーズの台詞は……」



貴女の眼は素敵な目、皆を魅了する素敵な目

貴女の声は素敵な声、皆が振り返る素敵な声

貴女の足は素敵な足、皆の元へ行く素敵な足

貴女の手は素敵な手、皆に触れる素敵な手

けれど私はそんな物が無くとも貴女を愛するのです

例え目も口も手も足もないみの虫だったとしても貴女を愛するのです

そんな事が出るのは私だけです

証明します

証明します

その事を今から証明します

だから

だから私と

ずっと一緒にいてください

ずっと愛して下さい

私だけを

私だけを

私だけを

清姫「完璧ですね」

清姫/槍「完璧でしょう」

清姫「流石私ですね」

清姫/槍「流石私です」

清姫「では、そろそろ行きましょうか」

清姫/槍「そうですね、もう旦那様も寝入ってる頃でしょうし」

清姫「ふ、ふふふふ……」

清姫/槍「ふふふふふふ……」

清姫「さあ、到着しました、ますたぁの部屋の前です」

清姫/槍「少しドキドキしてしましたね///」

清姫「私もです///」

清姫/槍「で、では扉を」

清姫「あけましょう」ポチッ




プシュー



清姫/槍「旦那様~♪」

清姫「ますたぁ~♪」

清姫/槍「……」

清姫「……」

清姫/槍「……」

清姫「……」





清姫/槍「あら……」

清姫「……あなたは」

~廊下~

静謐「ふぅ……気がつくと浴場で寝てしまっていました……」

静謐「危うく溺れるところでしたが……」

静謐「……おぼれる、おぼれる」

静謐「///」

静謐「あの時、マスターが触れてくれた場所……」

静謐「凄く、切なくて、気持ち良くて……どきどきして……」

静謐「……溺れるかのような感覚でした」

静謐「……」

静謐「もう一度、してほしいです……」

静謐「マスターのお部屋に行けば、してもらえるでしょうか……」

静謐「いえ、贅沢は言いません……」

静謐「一緒に寝てもらえるだけでも、私は……私は……」

静謐「……そうです、マスターの部屋に、いけば」フラフラ


「ちょっと待って下さーい!」


静謐「え……」

静謐「……あなたは」

~頼光ルーム~


頼光「……あら」

頼光「私、何時の間に自分の部屋へ戻ったのでしょう」

頼光「確か、私は……」


「さあ、受け入れましょう、両手を開いて」

「身体中で」

「あの聖杯の中身を!」


頼光「……」

頼光「……そう、でした、私は」ゾワッ

頼光「私は、汚されたのでした、我が子に、我が子によって、私の身体は」ゾワゾワゾワ

頼光「ふ、ふふふふふ、あははははははははははははは」ゾワゾワゾワ

頼光「何という屈辱、なんという悦楽!」

頼光「愛する者に汚されるのがこんなにも心地よいとは!」

頼光「ああ、母は、母は幸せです!幸せです!」

頼光「……そう、です、この幸せを」

頼光「……あの子にも、味あわせてあげないと」

頼光「あの子も母の事を愛してくれているのですから」

頼光「母も、あの子を、ふふふふ、汚して……」

頼光「心も、身体も、めちゃくちゃに……」フラリ

~マイルーム前~


頼光「さあ、母ですよ……開けてください……」

頼光「母子の絆を、深めましょう?」

頼光「……」

頼光「……あら、なにか」

頼光「……」

頼光「妙な残り香りが……」

頼光「もしや、我が子の香りに惹かれたムシが?」

頼光「……許しませんよ、許せません、誰であろうとも」

頼光「我が子に手を出す事は……」ピッ


プシュー


頼光「……許しません」

~廊下~


静謐「……あなたは、ジャンヌリリィさん?」

ジャンヌリリィ「はい!ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィです!」

ジャンヌリリィ「以下、長いのでリリィと呼んでください!」

静謐「は、はい……」

リリィ「静謐さん!」

静謐(ううう、ジャンヌリリィさんは押しが強いので少し苦手です)

静謐「な、なんでしょう……私は少し用事があるのですけど……」オドオド

リリィ「浴室の石鹸、静謐さんどこかに持って行ってないですか?」

静謐「……」ギクリ

リリィ「静謐さん?」

静謐「……えっと、実はあれ、全部使ってしまって……」

リリィ「嘘です!昨日は私が補充当番で、ちゃんと10個ほど補充しました!」

リリィ「1日で使いきるなんてありえません!論破です!」

静謐「……す、すみません、実は倉庫の方に戻してしまって」

リリィ「どうしてそんなことするんですかー!」

静謐「あ、あ、すみません、すみません……」オドオド

リリィ「倉庫の物資はちゃんと記録をつけて管理してあるんですから、勝手に戻したりしちゃだめなんですー!」

静謐「すみません、うう……」


ガミガミガミガミ


 

~マイルーム~


頼光「……む」



清姫「……」

清姫/槍「……」


頼光「やはり、虫が入り込んでいましたね……」ピキッ

頼光「……貴女達は、一体何をしているの、ですか」ピキッ

頼光「私の大切な、大切な……」ピキピキ



清姫「……あら、丁度よい所に」

清姫/槍「ええ、良いところにいらっしゃいました」



頼光「問答無用です……貴女達は、塵芥に!」カチャッ



清姫「あの、ここは一体どこなのでしょう」

清姫/槍「私は、一体だれなのでしょう」

頼光「……何を言っているのですか貴女達は」

清姫「困りました、私は何か重要な用事があってここに来たはずなのですが」

清姫/槍「この森に入ってから、何故か忘れてしまいまして」

頼光「……森?」

清姫「はい、森でしょう、ここは」

清姫/槍「日の光も差さないような深い森ですね」



頼光「……」

頼光(……確かに、ここは森)

頼光(けれど、何故?)

頼光(私は確か、部屋の扉を開けて入ってきたはずなのに)

頼光(……)

頼光(……部屋?一体だれの?)

頼光「いえ、それ以前に……」



頼光「……なぜでしょう、思い出せません、私は」

頼光「私の名は、何といいましたか」



小さな扉、くるくるお茶会

白黒マス目の虹色草原

お喋り双子の禅問答

でもでも、お気に入りはやっぱり一つ

全てを忘れる、名無しの森にご招待!


 

清姫「ああ、また歌が聞こえます、何でしょうこの歌」

清姫/槍「聞いていると、何か意識が、意識から何か」

清姫「重要な物が、大切なものが」

清姫/槍「抜けていく、気がするの」

清姫「私は貴女、貴女は私」

清姫/槍「貴女は私、私は貴女」


「ああ、滑り落ちる、私の意識が、記憶が」

「貴女の記憶が、意識が、滑り落ちる、ああ」

「もうなにも」

「かんがえられない」

「だからぐっすりねむりましょう」

「きっとあしたはおもいだす」

「ゆめはわすれておもいだす」

「おやすみなさい」

「おやすみなさい」

頼光「この歌は、この森は……」

頼光「幻術?いいえ、もっと異質な……」

頼光「私の、意識から、記憶が、抜けて……」


「あわれで可愛いトミーサム」

「いろいろここまでご苦労さま」

「でも、ぼうけんはおしまいよ」

「だってもうじき夢の中」

「夜のとばりは落ちきった」

「アナタの首も、ポトンと落ちる」

「さあ、嘘みたいに殺してあげる」

「ページを閉じて、さよならね!」


頼光「誰かが、歩いてくる、森の中を、小さな誰かが」

頼光「あれは……誰……」

頼光「意識が……薄れて……」

私はね、色んな力を持っているの。

童話を題材にした特異な能力。

その中の一つに「名無しの森」と呼ばれる固有結界が存在するわ。

この森に取り込まれた者は、まず「自分の名前」を忘れる。

それを皮切りに、徐々に、他の記憶も忘れ始めてしまうの。

まるで消化されるみたいに。

最後に残るのは肉体だけよ。


この森で記憶を無くさずに済む方法は簡単。

私のお友達になるか。

もしくは……。

 

カチャッ


頼光「……」

ナーサリー「……もしくは、自分の名前を唱える事が出来れば」

ナーサリー「そうすれば、記憶を失わずに済むわ?」

頼光「そのようね」

ナーサリー「凄い凄い凄い!貴女はちゃんと自分の名前を唱えられたのね!」

ナーサリー「けれど、それも当然ね?」

ナーサリー「清姫達は、1人が2人だったわ」

ナーサリー「身体は2つでも、名前は1つ」

ナーサリー「けれど、貴女は違うのね」

ナーサリー「貴女は、2人で1人」

ナーサリー「1つの身体に、名前が2つですもの」

ナーサリー「片方が名前を忘れても、もう片方が思い出す!」

ナーサリー「楽しいを楽しいを楽しいわ!」

頼光「そう、名前を忘れたのは源頼光としての私」

頼光「そして、今こうして立っているのは丑御前としての私」

頼光「本来なら相対する人格だけれども……今の目的は一致する」

頼光「私は、我が子に会いに行くのです」

頼光「それを邪魔るのであれば……誰であろうと容赦はしません」

ナーサリー「まあ怖い!」

ナーサリー「けど、ざんねん……」

頼光「そこをどきなさい」

ナーサリー「1人じゃないのは、私も同じなのよ」

頼光「……何?」

ナーサリー「さあ!彼女が来るわ!貴女に会いに彼女が来るわ!」

ナーサリー「私の大切なお友達!彼女が貴女に会いに来るわ!」

ナーサリー「だから拍手でお出迎え!」

ナーサリー「ほら、もう足音が聞こえているわよ?」

「何を言っているのでしょうか、彼女は」

「頭がおかしくなってしまったのかもしれません」

「もう相手にする必要はないでしょう」

「彼女の首を切り落とせば、この結界も解けるでしょう」

「そうすれば、私は……」


  『おかあさん』


「……声が」

「後ろから声がしました、けれど」

「あり得ない、この私に気配を、匂いを察知されずに」

「私の後ろに近づくなんて」


 『おかあさん?』


「……」

「振り返ると、彼女が/誰かが/貴女が立っていました」

「……見覚えはあります」

「けれども、それが誰だったか」

「どうしても、思い出せない」

「まるで、頭の中に霧が、霧が差し込んだかのように」


  『おかあさん』


「声がする、彼女の/誰かの/貴女の声が」

「私を母だと呼ぶ声がする」

「けれど、顔が、彼女の/誰かの/貴女の顔が、認識できない」

「これはどうしたことでしょう」


 『おかあさん、いこ』


「……そう、です、もしかしたら彼女/誰か/貴女は、私が会いたかった子供なのかもしれません」

「きっとそうです、だってこんなにも請われているのですから」

「頭の中で警鐘がなっています」

「何かが違和感を訴えかけています」

「けれども、私は」


 『いっしょに、お茶会にいこう、おかあさん』


「私は、この声を無視する事が出来ない」

「だって、私の子供である可能性が1%でもあるのであれば」

「それを斬るなんて私にはとても」

「貴女は私の子供じゃないなんて、言い捨てる事は出来ない」

「だから」

頼光「……ええ、いっしょに行きましょう」

ジャック「うん!」

ナーサリー「そう、森の奥へ行きましょう」

ナーサリー「ちゃんとお茶会の準備はしてあるわ」

ナーサリー「椅子にテーブルにお茶とお菓子!」

ナーサリー「ジャバウォックや黒ひつじさんも着ているのよ?」

ジャック「たのしそうだね!」

ナーサリー「ええ、きっと楽しいわ?」

ジャック「おかあさん、解体してもいい?」

ナーサリー「駄目よ、そんな事をしたらマスターが悲しむわ」

ナーサリー「それに、きっと彼女もぷんぷん怒るわ」

ジャック「そっか、マスターがかなしむなら、やめておこうっと」

ジャック「それに、彼女がおこったらこわいしね?」

ナーサリー「そうよ、彼女はとても怖いの」

~マスタールーム~


ぐだ子「……んー」ムクッ

ぐだ子「おかしいな、誰かの喋り声がしたような……」ゴシゴシ


リリィ「トナカイさん……」


ぐだ子「あれ、ジャンヌリリィ、どうしたの?」


ナーサリー「ふふふ、ジャンヌは怖い映画を見て怖くて眠れなくなってしまったのだわ」

ジャック「わたしたちとナーサリーは平気だったのにね」


ぐだ子「あら、ナーサリーとジャックまで」


リリィ「あの、トナカイさん……」


ぐだ子「はあ、もう、しょうが無いなあリリィは」ナデナデ


リリィ「あ……」


ぐだ子「ほら、布団に入っておいで、眠たくなるまでお話してあげるから」


リリィ「……!」パァッ

リリィ「トナカイさーん!」ダキッ

ぐだ子「うわっ」ゴロン

リリィ「トナカイさんトナカイさんトナカイさーん!」

リリィ「だいすきでーす!」ギュウ

ぐだ子「も、もう、そんなに怖かったの?」

ナーサリー「私もなのだわー♪」ピョン

ジャック「わたしたちもー!」ダッシュ



ゴロゴロゴロー



ぐだ子「あははは、じゃあ、何の話しよっか?」

ナーサリー「さっき見ていた映画の話とかどうかしら」

ジャック「あのね、あのね、悪い三人が居てね、それを三人の正義の味方が倒してたの!」

ぐだ子「え、ホラーじゃないの?」

リリィ「トナカイさーん♪」グリグリ

ぐだ子「もう、ジャンヌはお前ん坊だなあ」ナデナデ

「好きです、大好きです、トナカイさん」

「私の大切なトナカイさん」

「本来は存在していけるはずのない私を受け止めてくれた」

「受け入れてくれた、守ってくれた、トナカイさん」

「愛してます、愛してます、愛してます」

「大人の手になんて渡しません」

「トナカイさんは私だけの物です」

「私達だけの物です」

「だから」

~翌朝~

~廊下~


ぐだ子「ううーん、昨日は結局明け方までお喋りしてて殆ど寝られなかったなあ……」

ぐだ子「今日はマシュの手伝いをしないといけないのに……」

ぐだ子「もう、ダヴィンチちゃんも、もう少し仕事分量減らしてくれればいいのに」

ぐだ子「……まあ、ロマンがいなくなっちゃったから仕方ないんだろうけど」


ピーピーピー


ぐだ子「あ、電話だ」


ピッ

ぐだ子「おはよー、私だよ」

ぐだ男「やあ、俺だよ」

ぐだ子「そちらの調子はどう?」

ぐだ男「順調……とは言い難いね、こちらではまだソロモンとの闘いが続いているし」

ぐだ子「そっかあ、長引いてるなあ」

ぐだ男「君の次元のソロモンと俺の次元のソロモンは目的も手段も存在自体も全然違うみたいだからね」

ぐだ男「うちのほうが凶悪なのかもしれない」

ぐだ子「ふーん、まあお互いレイアウトで接続する事が出来ないくらい位相のズレた世界にいるみたいだし、仕方ないかな」

ぐだ男「それで、先日の話の続きだけど……例の三人はどうかな」

ぐだ子「えー、こっちの三人は大人しくて可愛いよ?」

ぐだ子「そもそも、あんな子供達を怖がる意味がわからない」

ぐだ子「やっぱり、貴方が男だから警戒されてるだけなんじゃない?」

ぐだ子「あのくらいの子供は、年上の異性ってだけで怖がる時もあるよ?」

ぐだ男「いや、そのレベルの話じゃないんだ」

ぐだ男「こちらではサーヴァントが5人くらい意識不明の状態に追い込まれている」

ぐだ子「うーん、見てないからちょっと信じられないなあ」

ザッザザザザザ


ぐだ子「あら、もう通話限界時間か、やっぱり数分と持たないなあ、この通信」

ぐだ男「何もないならそれでもいいんだけどザザザザザザッ注意しておくに越した事はザザザザザザッ

ぐだ子「じゃ、またねえ」


ピッ

~頼光ルーム~


頼光「ふー、良い朝ですね、何か悪い夢を見た気もしますが……」

頼光「……」

頼光「何でしょうか、何か忘れているような気がします」

頼光「ええと、何でしたでしょう……ううん」

頼光「……」

頼光「……」

頼光「ああ、そうでした、思い出しました!」

頼光「今日はブーティカさんとエミヤさんに料理を教えてもらう日でした」

頼光「約束の時間に遅れてしまっては申し訳ないですね」

頼光「マスターにちゃんとした料理を食べてもらいたいですし、頑張らないと!」

~清姫ルーム~


清姫/槍「……あら」

清姫「……」zzz

清姫/槍「私、何時の間に自分の部屋に戻ったのでしょう」

清姫「……」zzz

清姫/槍「昨日、何か大切な事があったような……」

清姫「……」zzz

清姫/槍「……まあ、思い出せないという事は大したことではないのでしょうね」

清姫/槍「私が起きた時にでも聞いてみましょう」

清姫「むにゃむにゃ、ますたぁ♪」zzz

清姫/槍「ああ!私が夢の中で旦那様と会ってる!」

清姫/槍「わ、私も急いで夢の中に馳せ参じないと!」ゴソゴソ

清姫/槍「て、てやあ!」

清姫/槍「……」

清姫「ますたあ、くすぐったいです」zzz

清姫/槍「旦那様、私もなでてください、旦那様、むにゃむにゃ」zzz

~静謐ルーム~


静謐「……」

静謐「……」

静謐「……結局、ショックで寝られませんでした」

静謐「ジャンヌリリィさんに、めちゃくちゃおこられましたし……」

静謐「ううう、落ち込みます……」

静謐「けど、昨日は悪い事だけじゃなくて、良い事もありました……」

静謐「マスターの手が、肌が……」

静謐「///」

静謐「……あ、いけない」

静謐「ジャンヌリリィさんに、お風呂掃除しておくように言われていたのでした……」

静謐「ちゃんとやらないと、また怒られてしまいます……」

静謐「……良い思い出を糧に、頑張りましょう」

~廊下~


ぐだ子「またね~」ピッ

リリィ「トナカイさん!」

ぐだ子「あれ、ジャンヌリリィ起きたんだ」

リリィ「酷いです!私達を残して起きるなんて!」

ナーサリー「そうよ、あんまりなのだわ!」

ジャック「かいたいしていい?」

ぐだ子「ごめんね、良く寝てたし起こすのがかわいそうになって」

ぐだ子「あと解体は勘弁してね」ナデナデ

ジャック「わかったー!」

リリィ「……マスター」

ぐだ子「ん?」

リリィ「さっきの電話は、誰からだったんです?」

ぐだ子「ああ、あれ?」

ぐだ子「あれは、まあ、違う世界の私……かな」

リリィ「違う世界の?」

ぐだ子「うん、前に偶然回線がつながってね、けどレイシフトで接続できないくらい違う世界みたいなんだ」

ぐだ子「だから、直接的な支援とかはお互いできないんだけど」

ぐだ子「情報共有だけでもしようってことで、時々話してるの」

リリィ「……ふーん」

ナーサリー「そんな事より、今から三人でお茶会に行くのだわ」

ジャック「うん、だからおかあさんも行かない?」

ぐだ子「お茶会かあ、楽しそうだけど、今日はマシュの手伝いをしなくちゃならないの」

ぐだ子「だからね、また別に日に……」

リリィ「いやです」

ぐだ子「え?」

リリィ「いやです、私達は今日、お茶会をしたいんですー!」

ナーサリー「そうなのだわそうなのだわそうなのだわ!」

ジャック「おかあさん、行こうよ、ね?」

ぐだ子「ううう、まいったなあ」

リリィ「……それとも」

ぐだ子「え?」

リリィ「トナカイさんは、私達よりも、マシュの方が、大切なのですか」

ぐだ子「いや、そんな事は……」

リリィ「ならいいですよね、私達と一緒にお茶会に行っても」

ぐだ子「けど、マシュとは約束を……」

リリィ「約束?何時したんです?」

ぐだ子「……あ、れ、何時したんだっけ」

ナーサリー「思い出せないなら約束じゃないわね」

リリィ「そうですね」

ぐだ子「いや、けど確かに……マシュと」

リリィ「マシュ?それはどなたです?」

ぐだ子「……あ、れ、誰だっけ」

ナーサリー「思い出せないなら赤の他人ね」

リリィ「そうですね」

ぐだ子「……あれ、ここってどこだっけ」

リリィ「もう、トナカイさん、忘れちゃったんですか、ここは私達が住んでる森です」

ぐだ子「……森」

リリィ「はい、トナカイさんは、この森ではトナカイさんなんです」

リリィ「私の可愛いトナカイさんなんです」

ぐだ子「……そう、だったかな」

リリィ「さあ、トナカイさん、森の奥に行きましょう!」

リリィ「楽しい事がいっぱいですよ!」

ジャック「かいたいしてもいい?」

リリィ「駄目です、けどもっと楽しい事をしましょう」

リリィ「前みたいに、もうじゅうゴッコをしましょう」

リリィ「トナカイさんを追いかけて」

リリィ「捕まえて転ばせて組みついて」

リリィ「気持ち良くなるまでいじくって」

リリィ「涙が出るまでくすぐって」

リリィ「涙もよだれもなめとって」

リリィ「何度も何度もびくびくびくびく」

リリィ「全部終わったらやりなおし」

ナーサリー「ええ、疲れても大丈夫、最後には全部忘れるの」

ナーサリー「何をしても怒られない」

ナーサリー「何をしても嫌われない」

ナーサリー「ここはそんな、子供の国」

ナーサリー「楽しいわね、ジャンヌ、ジャック」

リリィ「はい!」

ジャック「うん!」

こうして、ぐだ子さんは

毎日毎日三人の弄ばれて

毎日毎日それを忘れて

幸せに暮らしましたとさ






めでたしめでたし

修正

アルコール→アンモニア

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年02月26日 (日) 22:59:29   ID: IE_u4i8J

ええやん

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