提督「安価で暁にサプライズを仕掛けよう」 (204)

提督「最近さー暁がさー」

明石「はい」

提督「すげえおしとやかになったんだよね。レディっぽくなったというか」

明石「そうなんですか?」

提督「ちょっと前までは軽く口説いただけで顔真っ赤にして司令官のバカーとかって言っててかわいかったのに」

明石「今は軽くあしらわれてますもんね」


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提督「この前もさー。二人で温泉いったんだ」

明石「え!?」

提督「その時に混浴風呂があったからさ。二人で入ろうぜーって誘って」

明石「えぇ……」

提督「もちろん最初は断られるとおもってたからいろいろ言い訳を用意してたんだよ」

明石「どんな?」

提督「江戸時代は混浴だったーとか、かの宮本武蔵は無防備になることを嫌い風呂に入らなかったそれほど裸は危険なのだ、だから俺が守ってやるーとか」

明石「うわあ。軽くドン引きです」

提督「そしたらあいつ、ええいいわよって二つ返事でオーケーしちゃってさ」

明石「えぇ……。それで一緒に温泉に入ったんですか?」

提督「ああ。仕方ないから二人で頭洗いっこして、温泉で日本酒飲んで。で気がついたら二人とも布団で寝てた」

明石「仲良しか」

明石「というか提督と暁ちゃんはどんな関係なんですか?」

提督「んー。別に普通だよ。ケッコンカッコカリはしてるけど」

明石「あれ? でも二人とも指輪つけてないじゃないですか」

提督「邪魔だからな。ちゃんと大本営に呼ばれたときは着けてる」

明石「ケッコンカッコカリした人たちって指輪をみんなに見せびらかすものだと思ってました」

提督「そもそもケッコンした理由も大本営の会議のときにあいつだけ駆逐艦で肩身狭そうだったからだしな」

明石「ケッコンってそんな理由でするものでしたっけ?」

提督「でもあいつ根っこは変わってないと思うんだよ」

明石「そうですかね」

提督「もちろん今のあいつも好きだがな」

明石「さらっと好きっていいましたよこの人」

提督「たまには子供っぽいあいつが見たい。昔みたいに顔真っ赤にしてる暁が見たい」

明石「へー。なんか盛大な惚気を聞かされてる気分です」

提督「だからあいつにサプライズを仕掛けようと思う」

明石「サプライズですか?」

提督「そうだ。↓2をする」

提督「リコンカッコカリをしよう」

明石「……は?」

提督「このサプライズどう思う?」

明石「もう提督という人がよくわかりません」

提督「意外性はある気がしない?」

明石「それ以外がありませんよ」

提督「よし。暁に会ってくる」

明石「やめといたほうがいいですよ。ほんとに!」

提督「いや、ここでやめたらあいつに会わす顔がない」

明石「なんで変なとこだけ男らしいんですか」

提督「暁や」

暁「お帰り司令官。今度はどこ行ってたの?」

提督「明石のところにちょっとな」

暁「ああ、建造の件ね」

提督「……」

暁「どうしたの?」

提督「なあ暁。俺たちもう限界じゃないか?」

暁「なにが?」

提督「お前とはもうやっていけない」

暁「……」

提督「だからリコンカッコカリしよう」

暁「ええ、いいわよ。はい指輪」

提督「……」

暁「さて、お昼ごはんでも食べに行く?」

提督「なあ暁もうそろそろ限界なんだ」

暁「なにが?」

提督「お前がいない人生に耐えられない」

暁「はいはい」

提督「だからケッコンカッコカリしよう」

暁「ええ、いいわよ。はい指輪」

提督「ありがとう。きっと幸せにする」

暁「うーん。今日のお昼はなんにしよっかなー」

提督「とまあそんな感じだった」

明石「仲良しか」

提督「でもなーんか違うんだよなあ」

明石「奇遇ですね。私もそう思ってました」

提督「明石なんかいい知恵ない?」

明石「サプライズですか?」

提督「うん」

明石「そうですねえ。↓2なんてどうでしょうか?」

明石「捨て艦なんてどうでしょうか?」

提督「まじかお前」

明石「勘違いしないでください。これはいい意味でということです」

提督「いい意味の捨て艦ってなによ」

明石「こんな話があります。悪行三昧の不良が雨の日に子犬に傘をかけて上げた。そこにたまたま居合わせた女の子」

提督「うんうん」

明石「素敵! 彼ってこんな一面もあるのね! キュン!」

提督「なるほど。つまり今回はその逆をする」

明石「ええ! それでギャップを狙います!」

提督「よし! こういうことか! 善行三昧の俺が突如捨て艦作戦を決行! そこにたまたま居合わせた暁! 最低! 司令官ってこんな一面があるのね! ペッ!」

明石「そのとおりです!」

提督「だめじゃねえか!」

提督「だが、せっかく明石が出してくれた案だ。とりあえず暁に会ってくるか」

明石「はい! 吉報をお待ちしております!」

提督「やかましい」

明石(冗談だったんだけどな。まあたぶんあの提督だったら大丈夫でしょ)

(……)

提督「暁、話がある」

暁「なーに?」

提督「今日建造した新入り共だがな。捨て艦にしようと思う」

暁「そうなの?」

提督「うん。一から育てるにはこの鎮守府は向いていない」

暁「わかったわ。じゃあ新人の提督のところに派遣しておくわね」

提督「ああ、せっかくの戦力を捨てるのはおしいが、腐らせておくほうがあいつらのためにならん」

暁「うん。手配しておくね」

提督「くそっ。サプライズを仕掛けるつもりがどんどん違う方向に行っている気がする」

提督「これはもう相談相手が悪い。うん」

提督「こんなときはあいつしかいない」

提督「↓2のところに相談に行ってこよう」

提督「†天竜†」

天竜「人をハンドルネームみたいに呼ぶんじゃねーよ」

提督「相談があるんだけど」

天竜「今度はなんだ? 今年のクリスマスパーティーのネタの相談か?」

提督「いやそれはおいおい考えるとして」

天竜「じゃあ今度はなんだ」

提督「暁に日ごろの感謝をこめてサプライズを仕掛けようと思うんだけど」

天竜「いいんじゃねえか」

提督「なんかいい案ない?」

天竜「人任せかよ」

提督「いやー、俺が考えてもあんまいい案でなかったし」

天竜「しょうがねーな、↓2なんていいと思うぜ」

天竜「ポーラと隼鷹をよんでパーティーなんてどうだ?」

提督「おお、悪くないな。ポーラとは前に飲む約束してたし」

天竜「そうだろ? 暁も提督も酒好きだろ? たまには羽目はずせ」

提督「でもそれでサプライズになるか?」

天竜「もちろんそれだけじゃない。ちゃーんとケーキも用意する」

提督「なるほど! よしじゃあケーキを準備するか。天竜も参加するか?」

天竜「いや俺は酒弱いからいいや」

提督「わかった。ありがとよ! 天竜! こんど一緒に間宮行こうぜ!」

天竜「おうよ」

提督「さて、ケーキも買ったし、暁も呼んだ」

ポーラ「お酒もおっけ~」

隼鷹「クラッカーに飾りつけも問題ないぜ!」

提督「よし! 後は暁を待つだけだな」

コンコン

提督「!!」

暁「司令官? 入るわよー」

パンッパンッ

「「「暁! いつもお疲れ様!」」」

暁「!!」

暁「えーっと。ありがとう。なんなのこれ?」

提督「暁。俺はいつもお前に助けられている。その感謝の気持ちだ」

ポーラ「うんうん~。今日はいっぱいお酒を準備しているから思いっきり楽しみましょ~」

隼鷹「ヒャッハー! たまには息抜きも大事だぜー!」

暁「みんな……。そうね。ありがとう。今日は思いっきり騒ぎましょ!」

隼鷹「おうよ! 提督! 例のものを!」

提督「じゃーん! 見ろ! ケーキだ! それも俺が好きなイチゴのホールケーキだ!」

暁「なんで私のパーティなのに司令官の好きなものを買ってるのよ」

提督「イチゴのケーキが嫌いなやつなどいない」

暁「まあ私も好きだからいいけどね。ありがとね。司令官」

隼鷹「ヒャッハー! 歌えー! 騒げー! 今夜は無礼講だー!」

ポーラ「はーい! 一番ローラ歌いまーす!」

隼鷹「よし! 歌え歌え! 合いの手は私たちに任せろ!」

ポーラ「酒は飲んでも飲まれるな♪」

隼鷹「飲み足りねえならもう一杯!」

ポーラ「気がつきゃ海で魚のえさよ♪」

提督「栄養たっぷり! ミネラル豊富!」

ポーラ「あ、酒に溺れるかい? はたまた海に溺れるかい?♪」

暁「同じことなら飲むしかないっ!」

提督「……」ズキズキ

提督「頭いてえ」

暁「大丈夫?」

提督「なんでお前らは平気なんだよ」

暁「司令官がお酒に弱すぎるのよ」

提督「ウォッカとかウイスキーとか飲んでたのに」

暁「ああ、スピリタスとノッキーン・ポチーンね?」

提督「げ、あれをグビグビ飲んでたのか。化け物かよ」

暁「はい。お水」

提督「サンキュー」

暁「まあ、でも楽しかったわね」

提督「そうだろ? またやろう」

暁「うん、ありがと。司令官」

休憩しよう

天竜→天龍でした。申し訳ない

提督「よし、とりあえず暁は喜んでくれたみたいだな」

明石「よかったですね」

提督「でもまだ最初の目的を達成できてない」

明石「えーっとなんでしたっけ。子供っぽい暁ちゃんの顔を血の色に染めたいんでしたっけ」

提督「ちげえよ。そんな猟奇的な欲望はもってねえよ」

明石「で、次はどうするんですか?」

提督「俺が今までしくじって来たのは急ぎすぎたからだと思うんだよ」

明石「なるほど」

提督「だからまずは↓2をして様子を見よう」

提督「暁にオリョクルをさせて様子を見よう」

明石「正気ですか?」

提督「ああ」

明石「秘書艦の暁ちゃんがいなかったら業務が滞りますよ」

提督「そこは俺がすべてカバーする。問題ない」

明石「えぇ……。そこまでして暁ちゃんにオリョクルさせる意味って」

提督「とりあえず潜水艦たちに話をつけてこよう」

明石「いやいや、待ってください! 潜水艦たちと行ったら暁ちゃんが砲撃の的になりますよ!」

提督「……? 別に暁を出撃させるわけじゃないぞ?」

明石「え?」

提督「ただオリョールにクルージングに行ってもらうだけだ。安全なルートを通ってな」

明石「あー」

提督「でもすこし不安だからな。潜水艦たちも一緒に行って貰おうと思って」

明石「いいんじゃないですか。あの子達も働き詰めだったし。いい気分転換になると思いますよ」

提督「ああ。さっそく申請書だしてこよ。表向きはオリョールの偵察ってことにしておこう」

明石「なるほど。暁ちゃんと潜水艦に休暇をとらせるってわけですね」

提督「だがそれだけじゃない」

明石「え?」

提督「真の狙いは暁のいない鎮守府にこそある」

明石「なるほど! サプライズの準備ですね!」

提督「そうだ! ↓2をする!」

提督「鎮守府をもぬけの殻にしよう!」

明石「あほか! 職務放棄するつもりですか!?」

提督「まてまて、もぬけの殻にする振りをするってことだ」

明石「それに何の意味があるんですか?」

提督「よく考えてみろ」

明石「なにをですか?」

提督「暁たちがオリョクルから帰ってくるだろ?」

明石「はい」

提督「しかし帰ってきても鎮守府はもぬけの殻。暁はどうすると思う?」

明石「うーん。どうするんでしょう?」

提督「ほんとにどうするんだろうな?」

明石「知りませんよ!!」

提督「だが、すこしは戸惑うのは間違いない」

明石「まあさすがにそうでしょうね」

提督「そこで登場するのが俺様提督よ」

明石「素敵! 抱いて!」

提督「まだ早いって」

提督「そこで俺はこう言うわけよ。どうかしたのかい? レディ?」

明石「素敵! 抱いて!」

提督「どんだけ欲求不満だよ。頼むからちょっと黙っててくれ」

明石「はい」

提督「そこで暁は強がって言うんだ。べ、別に泣いてないし」

明石「素敵! 抱いて!」

提督「いや俺が抱いてほしいみたいになってんじゃねえか!」

提督「てな具合にいきたいっすね」

明石「いいと思いますよ」

提督「よし。暁に話しつけてこよう」

(……)

提督「暁、あなた疲れてるのよ。ゆっくり休暇をとったほうがいいわ」

暁「あらそう? じゃあいただこうかしら」

提督「ほれ、オリョール海クルージングの旅二泊三日のチケット」

暁「あ、ありがとう。準備がいいわね」

提督「はっはっは。何かたくらんでるからな」

暁「えぇ……。自分から白状しちゃうの……」

提督「ついでに潜水艦たちも連れて行ってほしいんだがいいか?」

暁「もちろん! こういうのは大勢のほうが楽しいからね!」

暁「じゃあ、いってきまーす」

提督「おう。行っておいで」

(……)

提督「さて、ここからだ」

明石「あっさり第一段階はクリアーですね」

提督「くくく、これであいつが顔真っ赤にしてる姿が拝めるぜえ」

明石「ぐへへ、楽しみですねえ」

提督「しかし登場するにしても、なにかひねりがほしいな」

明石「たしかに。では↓2なんてどうでしょうか?」

明石「電ちゃんと響ちゃんと不倫しながら登場!」

提督「馬鹿野郎! あほか!」

明石「えー。直球じゃ暁ちゃんを真っ赤にできませんよ」

提督「いやもうひねりすぎてジャイロ回転してるわ!」

明石「じゃあどうするんですか?」

提督「だがいい案かもしれない」

明石「えぇ……」

提督「あいつの余裕を崩すのは生半可な方法じゃだめだ」

明石「ぐへへへ。やっちゃいますか?」

提督「おうともさ!」

提督「電。俺と不倫してほしい」

電「いやなのです」

(……)

提督「響。俺と不倫しよう」

響「いやだね」

(……)

提督「全滅だ」

明石「まあ当たり前ですね」

提督「くそっ。だがここであきらめるわけにはいかない。希望は前に進むんだ!」

明石「おお! さすがは提督!」

提督「↓2をして電と響を説得しよう!」

提督「所詮は駆逐艦よお! 贈賄じゃい!」

明石「さすがは提督! ゲスの極みですね!」

提督「ちょっと話をつけてくる」

明石「はい! 吉報お待ちしてます!」

(……)

提督「電、不倫しない?」

電「いやなのです」

提督「間宮券をあげよう」

電「……いやべつに間宮とかそんなんじゃないですけど。司令官ってよくみたら素敵ですね!」

(……)

提督「響! 不倫しようぜ!」

響「いやだね」

提督「おおっと、ポケットのなかに間宮券が!」

響「ハラショー。そういえば今日は不倫しても大丈夫な日だった。問題ない」

提督「一丁上がりよ!」

明石「手馴れてますねえ」

提督「くくく、これであいつの戸惑う顔が見れるぜえ」

明石(ついのっちゃったんですが大丈夫でしょうか? いまさらながら心配になってきました)

提督「よーし、みんなにもいって一時的にもぬけの殻にしてもらおう」

明石「鎮守府的には大丈夫ですか?」

提督「平気さ。一時的に仮設基地を建てる」

明石「ええ……。職権乱用にもほどがありますよ」

提督「いやたまたま仮設基地を建てたいと思っていたんだ。いい訓練だ」

明石「やりたい放題ですね。ほんと」

暁「ただいまー」

伊58「ただいまでち!」

暁「あれ? やけに静かね」

伊19「も、もしかしたらイク達がいない間にみんなやられちゃった!?」

伊169「そんなはずないでしょ。もう」

暁「でもほんとにどうしたのかしら」

提督(くくく、戸惑っているようだな)ボソボソ

明石(作戦成功ですねえ)ボソボソ

伊19「ほ、本当に誰もいないのね。怖くなってきたの!」

暁「……」ハァ

伊8「どこにいってしまったのでしょう?」

暁「とりあえず、みんな部屋に戻ってて。後は私がなんとかするから」

伊168「えっ? でも」

暁「大丈夫よ。安心して。ね?」

伊58「……わかったでち」

明石(関係ない潜水艦たちはちょっと可愛そうですねえ)ボソボソ

提督(大丈夫だ。潜水艦たちの部屋に置手紙をしておいた)ボソボソ

明石(なんと?)ボソボソ

提督(みんな別会場にパーティにいってるから、帰り次第参加せよとな)ボソボソ

明石(さすが提督! 芸が細かい!)ボソボソ

暁「……さて」

暁「これはどういうことかしら? 司令官?」

提督「……ばれていたか」スタスタ

暁「……へえ。両手に花とはいい身分ね」

提督(あ、これ結構怒ってるときの暁だ)

電(こ、怖いのです)

響(怖い)

提督「響、電。例のものを」

電「はい!」

暁「……」

提督「ほら、暁」スッ

暁「なにこれ?」

提督「指輪だ。お前達の部屋から持ってきた。さすがに無断ではいるわけにはいかないから電と響にも協力してもらってな」

暁「ふーん。それで?」

提督「ここに俺の指輪とお前の指輪がある」

暁「そうね」

提督「ケッコンカッコカリしよう暁。正式に」

暁「……はあ。だからこの鎮守府にだれもいないのね?」

提督「そうだ。みんなに見られるのは恥ずかしい」

暁「しょうがない人ね。まったく。もうちょっとムードとか考えてよね」

提督「……悪いな。返事は?」

暁「……ええ。喜んで。今度はちゃんと指にはめてよね?」

提督「もちろんだよ。ありがとう暁」

伊168だよ。間違えたよ。

今日はここまでにしておこう。安価くれたみんなありがとう

いまさらながら訂正

>>29
ポーラ「はーい! 一番ローラ歌いまーす!」

ポーラ「はーい! 一番ポーラ歌いまーす!」

明石(今です。紙吹雪を!)

電(了解なのです)バッサバッサ

明石(パーティ会場に連絡を!)

響(了解)ピポパ

明石(ふー。なんとかうまくいきましたかね)

提督「さて、暁。パーティ会場に行くか」

暁「パーティ会場?」

提督「ケッコン祝いパーティだ。披露宴ともいう」

暁「披露宴? そこまで準備してたの?」

提督「いまから一時間後でいいか?」

暁「……うん。わかった」

提督「じゃあそういうことで」

電(これ紙吹雪意味あるのでしょうか?)バッサバッサ

「「「提督! 暁ちゃん! ケッコンおめでとー!」」」

提督「ふははは! 出迎えご苦労! 今日の主役のお通りよ! ええい頭が高いわ!」

ヒッコメー! タキシードニアッテナイゾー! ヘタレー! ナキムシー!

提督「やかましい! 最後の方ただの悪口じゃねえか!」

暁「あ、あははは……」

提督「それにしても、見ろ暁。みんな俺たちを祝福してくれている。俺たちはなんて幸せなんだろうな」

暁「ええ、本当にね」

ナニカッコツケテンダシレイカーン! ニアッテナイゾー! ヘタレー!

提督「てめえ! さっき言ったのも青葉だな! そこで待っとけ! 今からしばきに行くから!」

暁「何やってるのよもう」

雷「暁! おめでとう!」

暁「あら雷、ありがとう」

雷「やっとちゃんとケッコンしたのねー。カッコカリとは言えいつするのかとヤキモキしてたわ」

暁「ふふ、心配かけてごめんね?」

雷「ふーん。すっかり一人前のレディらしくなっちゃってまあ」

暁「そんなことないわよ。……でもこの鎮守府内で指輪つけてるのって変な感じね」

雷「これからはどんどん見せびらかしていいのよ!」

暁「じゃーん! どうだー!」キラキラ

雷「うわっ! まぶしい! 幸せが眩しい!」

雷「あ、見て! 司令官が戦艦と飲み比べしてるわ! どっちもがんばれー!」

暁「何やってるんだか。でもやっぱり司令官はみんなに慕われているわね」

雷「そうねー。なんだかんだ言って親しみやすいからねー」

暁「……私も」

雷「?」

暁「私も司令官に相応しくなれるように頑張らなくっちゃね」

雷「さすがは暁ね! レディの鑑!」

暁「あははは、そんなことないわよ」

暁「……ほんとうに」

提督「さて明石よ」ニヤニヤ

明石「なんですか?」

提督「今日の俺は昨日までと違うところがあるんだけど気付いた?」ニヤニヤ

明石「……あっ! 指輪を付けてますね!」

提督「その通り! いやー隠してたんだけどなー。やっぱりばれちゃうなー」

明石(うわあ、めんどくさっ!)

提督「で、ここからが本題なんだけど」

明石「はあ」

提督「俺はまだ目的を達成できてない。暁の子供っぽいところを見てない」

明石「もういいじゃないですか」

提督「いーやよくない。次は↓2をしよう」

提督「響と電にも指輪をあげよう」

明石「なんでやねん!」

提督「リデル・ハートの間接アプローチ戦略を知っているか?」

明石「間接的に相手を無力化させる戦略でしたっけ?」

提督「そうだ。戦略の完成とは激烈な戦闘なしで決着を付けることだ。それには運動と奇襲が重要だ」

明石「はあ」

提督「そして奇襲とは敵の意思に影響を与える心理的側面に関することだ」

明石「つまり?」

提督「不倫して暁の精神的な動揺を狙う」

明石「クズか!」

提督「だがどうやって響と電に近づくかだな」

明石「あー暁ちゃんとケッコンしたのが昨日ですからね」

提督「うーん。難しいな」

明石「昨日の今日で不倫の相談ってなにしてるんでしょうね私たち」

提督「これもすべて暁の笑顔が見るためだ。そのために俺は阿修羅にでもなろう」

明石「たぶん阿修羅になるのは暁ちゃんのほうだと思いますけど」

提督「なんかいい策ない?」

明石「そうですねえ。↓2がいいと思いますけど」

明石「雷ちゃんに頼ったらいいと思います」

提督「人に丸投げすんのかよ」

明石「正直、共犯だと思われたくないですし」

提督「いや待って。もちろん不倫ってのは冗談だよ」

明石「本当に?」

提督「ただ電と響に指輪を渡そうと思ってるだけで」

明石「世界はそれを不倫って呼ぶんじゃないでしょうか」

提督「雷ちゃーん」

雷「あら、おかえり司令官。ごはんにする? お風呂にする?」

提督「いや今日はまじめな話」

雷「どうしたのよ」

提督「うーん、なんていったらいいものか」

雷「司令官の言葉でいいのよ。ちゃんと聞いてるから」

提督「電と響に指輪渡そうと思ってるんだけど」

雷「……は?」

提督「たぶんあいつら受け取ってくれないんだよな。どうしたらいいと思う?」

雷「……本気で言ってるの?」

提督「ああ、もちろん本気だ」

雷「……司令官には失望したわ。こんな人だとは思わなかった」

提督「待て。お前らはそもそも勘違いしてる」

雷「なにを?」

提督「指輪を渡すって意味だよ」

雷「……? ケッコンするって意味じゃないの?」

提督「もちろん。そういう意味もある。でももう一つ指輪には効果があるんだ」

雷「?」

提督「実はな指輪をつけたらパワーアップするんだ」

雷「……え?」

提督「具体的には燃費が良くなって、限界を超えた強さが手に入る」

雷「本当に? 初めて聞いたわ」

提督「そうだろうな。大本営の会議に出てるやつしか知らない」

雷「そうなの? つまり響と電に指輪を渡すって言ってもパワーアップのほうが目的ってこと?」

提督「ああ。今の暁は戦闘も秘書艦も両方こなしている。少しでも負担を減らしてあげたいんだ」

雷「そういうことだったの……。わかったわ司令官! 私が力になるわ!」

提督「ありがとう雷」

提督(なんか必死で浮気の言い訳をしてるクズみたいだったな俺)

飯食って風呂入ってくるか。休憩する

提督「さて、雷の協力は得た」

提督「明石にもちゃんと説明しておいた」

提督「青葉にも、指輪の効果のことを鎮守府に広めるように言っといた」

提督「指輪も用意した」

提督「完璧だ。我ながら完璧すぎる」

提督「しかしこうもうまくいくとはな」

提督「俺の目的は最初からサプライズよ」

提督「暁にケッコンの報告をすると同時に↓2を仕掛けるのが真の目的よ」

提督「暁ー。そろそろジュウコンしようと思うんだけど」

暁「もう? 早すぎない? 昨日の今日じゃない」

提督「戦力の増加は早いほどいいのだ」

暁「あー、そっちの意味ね」

提督「そうそう。とりあえず響と電とケッコンする」

暁「なんで駆逐艦ばっかりなのよ。戦艦とか空母の方が戦力的にはいいんじゃない?」

提督「黙っていたが俺はロリコンだからな!」

暁「え? そうなの?」

提督「そうだ。ロリコンなのだ」

暁「でも昔は年上のお姉さんみたいなタイプが好きって言ってなかった?」

提督「男子三日会わざれば刮目して見よっていうだろ? 俺も成長するんだ」

暁「間違いなく退化してると思うんだけど」

提督「ええい、やかましい。とにかく俺の好みのタイプは年下の娘に変わったんだ」

暁「えぇ……」

提督「子供っぽい娘が好き。超好き」

暁「ふーん。大人っぽい娘は?」

提督「えーっと、結構好き」

暁「なんなのよ」

提督「とにかく! 俺の好みは子供っぽい娘に変わったんだ! ロリコンだからな! それだけだ! じゃあな!」ガチャ

暁「……」

暁「子供っぽい娘かあ……」

今日は寝る。続きは明日か明後日。付き合ってくれたみんなに感謝

提督「……」

提督「うーむ」

鳳翔「何かお悩みですか? 提督」

提督「いやね、カウンター席からだと鳳翔さんのミニスカートが見えにくいんですよ」

鳳翔「真剣な顔して何をおっしゃているんですか」

提督「これは由々しき事態です。セクハラ提督の汚名を受け、せっかく鳳翔さんをミニスカにしたというのに。これではその甲斐がない」

鳳翔「あら? そのお陰でこうしておいしい料理が食べられて、おいしいお酒が飲めるのに。まだ満足できませんか?」

提督「確かに絶品です。一口食べると舌が喜び、二口食べると体が震えだします」

鳳翔「あら大変。もっとお酒をお出ししましょうか?」

提督「いやアル中ではないです」

提督「しかし人はパンのみにて生きるにあらず、ともいいます」

鳳翔「つまりミニスカート最高……ということでしょうか?」

提督「つまり……。あ、その通りです」

鳳翔「しかし提督は本当にミニスカートがお好きですね」

提督「ミニスカではなく鳳翔さんが好きなんですよ」

鳳翔「へえ。ではもう満足ですね」

提督「え? いやまだミニスカを見ていませんが」

鳳翔「ミニスカートではなく私がお好きなんでしょう?」

提督「ぐぬぬ……」

鳳翔「はい、私の勝ちです」

提督「鳳翔さんにはかないませんね」

鳳翔「では勝者の権利です。本当は何に悩んでるのかお聞かせくださいますか?」

提督「ええ。実は……」

(……)

鳳翔「なるほど。サプライズですか」

提督「そうです。何かいい知恵はありませんか?」

鳳翔「では↓2なんてどうでしょうか?」

鳳翔「ピクニックなんてどうでしょう?」

提督「最高です。早速準備してきます」

鳳翔「早いですよ。どんだけ私に全幅の信頼を寄せてるんですか」

提督「真面目な話、ピクニックという案はグッドです」

鳳翔「でしょう? 大自然の中、恋人同士で二人きり。ああ、なんて浪漫溢れるんでしょう」

提督「うむ。素晴らしい。この時期は少し寒いかもしれませんが」

鳳翔「この時期だからこそ、ですよ」

提督「……ああ、なるほど」

鳳翔「しっかり暁ちゃんの子供らしい一面を見てきてくださいね?」

提督「ええ。鳳翔さんに相談してよかったです。ありがとう」

鳳翔「いえいえ、がんばってください」

提督「暁、ピクニックに行こう」

暁「ほんと司令官はいっつも唐突ね」

提督「ただし条件が三つある」

暁「自分から誘っておいて条件ってなんなのよ」

提督「一つ、お互いが手作り弁当を持ってくる」

暁「手作りかあ」

提督「一つ、おさないはしらないしゃべらない」

暁「避難訓練か」

提督「以上だ」

暁「最後の一つは?」

提督「あるさ、僕たちの心の中に」

暁「なんなのよ。そのざっくりしたオチ」

提督「ってことで、明日の九時だからな! こなかったら泣くからな!」

暁「はいはい、ちゃんと行くわよ」

(……)

暁「っていっても手作りかあ」

暁「それなりに料理はできると思うけど、お弁当はあんまり自信ないわね」

↓2暁の料理スキル

コンマが高いほど上手

提督「……ああ、俺だ。ああ、確かお前に借りがあったよな?」

提督「なんだっけじゃねえよ。前に絵のモデルになってやっただろうが」

提督「それを返してもらおうと思ってな。なあに簡単なことさ」

(……)

提督「ふふふ、準備は整った。料理はまあ一人暮らしのときそれなりにやったから食えるレベルには出来る。弁当くらいなら普通に作れる」

提督「明日は暁の手作り弁当かー。なんだかんだで料理作ってもらったことないから楽しみだな」

提督「よし、明日は朝を抜いて腹を空かしておこう」

提督「あ、そういやレンタカー借りるの忘れてたわ。電話しとこ」ピポパ

提督「……」

暁「……」

提督「さあ、ピクニックに行こうか? レディ」

暁「軽トラで?」

提督「軽トラを馬鹿にすんじゃねえよ。山道あぜ道田んぼ道これ一台で楽勝よ」

暁「いや馬鹿にはしてないけど。司令官マニュアル車運転できるの?」

提督「なめんな。これでもコンビニバイト時代マニュアル人間と呼ばれてた男だぞ」

暁「それたぶん意味違うわよ」

提督「……」ガタンガタン

暁「……」ガタンガタン

提督「なんと! この軽トラは振動マッサージ機能もついておるのか! 天晴れ! 天晴れじゃ!」

暁「そうそう! この硬いシートに狭い車内! 日ごろの疲れも吹き飛ぶわね!」

提督「そして隣に見えますのは可愛い奥さん! いやあお若い! 若作りの苦労が口元ににじんでますなあ」

暁「おほほほ! 苦しゅうございませんことよ!」

提督「でへへー」

暁「……ところで今日はどこにピクニックに行くの?」

提督「もうちょっとノってくれよ。大楠山ってとこ」

暁「ふーん、初めて聞いたわね。どんなところなの?」

提督「なめんな。俺が下調べしてるわけねえだろ」

暁「いやそこはしておいてよ」

暁「ふん、ふん」スヨスヨ

提督「どうだ?」

暁「景色がいいらしいわね」

提督「素晴らしい」

暁「あ、関東100名山の第100番目 だって!」

提督「素晴らしい。まるで俺たちを祝福しているようだ」

暁「……? どういう意味?」

提督「まあマジやばくね? みたいな」

暁「語彙力のなさがここにきて響いたわね」

提督「よし! 到着!」

暁「うーん。空気が澄んでるわね」ノビー

提督「うむ。空気がうまい!」

暁「たまにはこうしてピクニックもいいものね」

提督「よし。早速登るか! なぜって? そこに山があるからだよ!」

暁「登りましょうか。なぜって? ピクニックにきたからよ」

提督「……」ゼェゼェ

暁「……大丈夫?」

提督「……いやもう無理。休も、ね?」

暁「仮にも軍人なのにその体力の無さはどうなのよ」

提督「最近は事務仕事しかしてないから体力落ちてんだよ」

暁「わかったわ。じゃあここでお弁当を食べましょ?」

提督「待ってたぜぇ! この”瞬間”をよぉ!」

暁「言っとくけどあんまり期待しないでね」

提督「いやいや俺のもあんま期待すんなよ。所詮は男の料理レベルだから」

暁「……」パカ

暁「わあ……」

暁「三色そぼろ弁当ね! こっちはジャーサラダまで! おかずはから揚げにミニハンバーグにミニトマトと定番ものを揃えてて彩りもいいから食欲をそそられるわ! それだけじゃない! 二人で食べやすいようにピッグまで!」

暁「女子力高すぎて正直引くわ!」

提督「……」パカ

提督「わあ……」

提督「一色弁当だな! サラダ類が一切ない! おかずはから揚げに白身魚のフライにハンバーグと茶色一色で食欲を削られる! それだけじゃない! 食べにくいようにバランもあえてつけてない!」

提督「女子力なさ過ぎて正直引くわ!」

暁「も、問題は味よ! 食べてみてよ!」

提督「その通りだな。いただきまーす!」パク

提督「……!!」

暁「ど、どう?」

提督「……」パクパク

暁「どうなのよ」

提督「……」ガツガツ

暁「なんとかいいなさいよ」

提督「……」ムシャムシャ

暁「ねえねえ」

提督「……ごちそうさま」

暁「どうだった?」

提督「不味い」

暁「や、やっぱり……」

提督「から揚げもフライも中まで火が通ってない。揚げ物はまずは低温で揚げたほうがいい。その後に高温で二度揚げするといい」

暁「うう……」

提督「あとハンバーグも外は焦げてんのに中が生焼けだ。たぶん蒸してないだろ? ハンバーグを焼くときは中まで火を通すようにアルミホイルを上にかぶせて蒸したほうがいい」

暁「……ごめんなさい」

提督「野菜も多少はあったほうがいい。彩りがいいほうが食欲もわく」

暁「……」

提督「……ところでこれ全部手作り?」

暁「そうだけど」

提督「そっか。すげえうれしかった。ありがとうな」

暁「でも美味しくなかったんでしょ?」

提督「ああ。すごい不味かった」

暁「だったらなんで嬉しいなんて」

提督「だからだよ」

暁「え?」

提督「暁はたぶん弁当、作ったことないだろ?」

暁「うん」

提督「その暁が一生懸命用意して、早起きして、不慣れなのに冷凍食品も使わずに作ってくれた弁当だからこそ、うれしかったんだよ」

暁「……」

提督「だからありがとう。暁。俺はそうやってひたむきに努力する暁が一番好きだよ」

暁「……どういたしまして」

提督「だがまあ味はヤバイ。基本料理くらいは作れるようになったほうがいい」

暁「うう、やっぱりそうかあ」

提督「俺に任せろ。何を隠そう俺は料理の鉄人28号!」

暁「さっすが司令官! 頼りになる!」

提督(いやほんとに料理を教えないとこれが蓄積していったら命にかかわる)

寝ます。今日はすげえまともな安価でびっくりした。

続きは明日とか。付き合ってくれたみんなに感謝

>>114

訂正、ピッグじゃなくてピックだわ。なんだピッグって豚か

暁「む、司令官のお弁当おいしいじゃない」モグモグ

提督「まあな。鉄人だからな」

暁「悔しいけど認めざるを得ないわね」ムグムグ

提督「ほら、お茶が入ったよ」

暁「あ、ありがとう」ゴクゴク

提督「……」ジー

暁「どうしたの?」モゴモゴ

提督「いや暁が弁当食べる姿に見惚れてた」

暁「あっ。……はしたなかったかしら」

提督「誰も見ちゃいないさ。ほら、周りには俺と暁だけ」

暁「司令官がみてるじゃない」

提督「別に気にしないよ」

暁「私が気にするの」

暁「司令官も食べてよ。まだ食べられるでしょ?」

提督「別にいいよ。朝少し多めに食べてきたからもう腹いっぱい」

暁「あ、そうなんだ」

提督(今なんか食べたら間違いなく吐く。平静を装ってるけど体のダメージは尋常じゃねえ)

暁「このたこさんウインナーおいしい」モグモグ

提督「そうだろ? それは割りと自信作でな」

(……)

暁「ごちそうさま」

提督「お粗末さま」

暁「この後はどうするの? 頂上を目指すの?」

提督「そうだな。それもいいがせっかく山に来たんだし↓1をしよう」

提督「日向ぼっこをしよう」

暁「あら、司令官にしてはまともな提案じゃない」

提督「そうだろ? 食休みも兼ねてな」

提督(あと、俺の内臓の休憩も兼ねて)

暁「今日は割りと暖かいから気持ちいいわねー」

提督「そうだな。俺が晴れ男だからな」

暁「そういえば、司令官と出かけるときはいつも晴れてるわね」

提督「晴れ男過ぎてマラソン大会の日は休んだくらいだからな」

暁「それは単に嫌だっただけでしょ」

提督「そういえば」

暁「何よ」

提督「世間のカップルはこういうときは膝枕をするらしいよ」

暁「そうなの?」

提督「そうそう。クラウゼヴィッツがいってた。『戦争論』の」

暁「いや絶対言ってないから」

提督「だから膝枕してくんない?」

暁「もう、しょうがないわね」ポンポン

提督「サンキュー」

暁「寝心地はどうですか?」

提督「最高だ。ずっと俺の枕になってくれ」

暁「最低のプロポーズね」

提督「……それにしてもこうして二人でいると、最初のころを思い出すな」

暁「あのころは大変だったわね。何かの手違いで私が初期艦になって」

提督「ほんとだったらもっとベテランの駆逐艦が初期艦になるらしいな。はじめてあったときは大丈夫かこいつって思ったよ」

暁「あら、司令官だって頼りなかったわ」

提督「でも二人で一緒にがんばって、今じゃ戦艦だって空母だっている。大所帯だ」

暁「本当にね。これで司令官がもっと真面目だったら出世もしていたでしょうに」

提督「やかましい。これでも最初と比べたら雲泥の差だよ」

暁「たまーに真面目になるもんね」

提督「まあな。暁は最初のころに比べてすごい変わったよな」

暁「そうかしら?」

提督「ああ、おしとやかになったというか。レディっぽくなった」

暁「ふふふ、ありがと。ほめ言葉として受け取っておくわ」

提督「……」

提督「さて、食休みも終わったし出発するか」

暁「そうね。もう体力は大丈夫?」

提督「任せとけ。でも限界がきたら休ませて」

暁「はいはい」

提督「せっかくだから山の中とかいろいろ見てみたいな」

暁「それじゃあゆっくり頂上を目指しましょうか」

提督「ああ」

↓1 登山中のイベント

提督「……」ゼェゼェ

暁「……近くに川があるからそこで休んでく?」

提督「名案だ。さすがわが鎮守府のヘッド」

暁「頭脳っていいなさいよ」

(……)

暁「綺麗な川ね。私もちょっと水分補給しておこ」

提督「自然の川の水は安易に飲まないほうがいい。腹壊すから」

暁「こんなに綺麗なのに?」

提督「綺麗に見えても大腸菌とかいたりするからな。あれだ。可愛いアイドルもおなかの中にうんこたまってるみたいもんだ」

暁「もうちょっとましなたとえは無かったの?」

提督「あれ? あっこにいるの潮じゃない?」

暁「あ、ほんとだ」

潮「……」ジャブジャブ

提督「よー潮なにやってんの?」

潮「ひゃあああぁあああ!?」

提督「うわ! びびった!」

潮「て、提督。暁ちゃんも」

暁「奇遇ね。潮もピクニックかしら?」

潮「いえ、私は曙ちゃんと渓流釣りです。今は土で汚れた竿を洗ってるんですよ」

提督「曙も来てんのか」

曙「潮ー、そろそろポイント移動しない?」

曙「げっ! クソ提督じゃん!」

提督「よお曙」

提督「釣れてる?」

潮「実はあんまり……」

曙「何が悪いのかしら、道具?」

提督「ちょい貸してみ」

潮「えっ、はい」

曙「はん! 私と潮が苦戦してんのにクソ提督ごときが釣れるわけ無いじゃない!」

提督「よく見てな。よっと」シュ

提督「……」

提督「……」

提督「……」

提督「ほんとにぜんぜん釣れねえわ。これたぶん道具が悪いわ。クソが」

曙「何のために出てきたのよ!」

提督「暁もやろうぜ」

曙「あたしたちの道具じゃない! 返しなさいよ!」

暁「私はいいわよ。こうやって楽しそうなみんなを見てるだけで幸せだから」

潮「さ、さすが暁ちゃん。素敵ですね」

曙「ほんとクソ提督にはもったいないわね」

提督「やかましい」

提督「……」

提督「じゃ、俺たちは頂上にいくよ」

暁「また鎮守府でね。曙、潮」

潮「はい、さようなら」

曙「冬眠明けの熊に襲われたらクソ提督を囮にして逃げるのよ暁」

(……)

提督「……」ハァハァ

提督「ようやくついたか」ハァハァ

暁「お疲れ様司令官」

提督「おお、いい眺めだな。ここまでがんばった甲斐があった」

暁「本当ね。あ、あれって私たちの鎮守府じゃない?」

提督「そうみたいだな。こうしてみるとちっぽけだなあ我が鎮守府は」

暁「そうかしら?」

暁「ねえ、司令官」

提督「なんだ?」

暁「司令官は子供っぽい娘が好きなの?」

提督「おうとも。超好き」

暁「ふーん。そっか」

提督「……」

暁「……」

提督「なあ、暁」

暁「なに?」

提督「頂上から見る景色は綺麗だな」

暁「ええ、そうね」

提督「俺たちの鎮守府が見えて、俺たちが通ってきた道が見えて。周りには誰もいない」

暁「うん」

提督「まるで世界に俺たちだけみたいだな」

暁「何気障なこといってるのよ。似合わないわよ」

提督「……なあ暁」

暁「なにかしら?」

提督「ここには俺しかいないのに。それでも暁はレディでいようとするのか?」

暁「どういう意味?」

提督「たまには腹を割って話そうってことだよ」

暁「……」

提督「最初はさ、すげえうれしかったんだよ。暁が秘書艦をやってくれて。こんなボンクラな俺にもちゃんと付き合ってくれてな」

提督「でも同時に不安でもあった。暁に余分な負担をかけてないか。無理させてないかってな」

提督「大本営の会議でも大型艦に囲まれて、鎮守府に帰っても戦艦や空母に指示を出して。駆逐艦の暁がだ」

提督「少しでも負担が軽くなればいいと思ってケッコンカッコカリも申し込んだ。でも逆にそれが重荷になったんだな」

提督「その時くらいから、グンと大人っぽくなった。レディレディ言ってたのが嘘みたいに」

暁「私は、司令官に相応しくなりたかったの。子供のままじゃいられなかった」

提督「ああ、わかってたよ。暁は誰よりもひたむきで、一生懸命だから」

提督「怖かったんだ。レディっぽく振舞う暁を見るたびに。俺のせいで無理させてるんじゃないかと思ってな」

提督「少しでも暁の子供っぽい一面が見たくて、いろんなサプライズを仕掛けた」

提督「サプライズパーティーをしたり、動揺を誘うためにいろんなことを言ったりしてな」

暁「リコンカッコカリとかジュウコンとか?」

提督「そうだ」

暁「……あれはちょっとだけショックだった。ちょっとだけね」

提督「ごめんな」

提督「なあ暁、今の俺はそんなに頼りないか? 俺の前でもずっと肩肘張らなきゃいけないほど信用ないか?」

提督「もう、無理はしないでくれ」

提督「今のお前を見ているのはすごく辛いんだ」

暁「なによ。それ」

暁「私は頑張ったのよ。司令官の隣に立てるように」

暁「司令官が私を選んでくれてすごくうれしかったの」

暁「だからたくさん我慢した。たくさん努力したの。司令官に相応しくなれるように」

暁「今日だって、必死ではしゃぎたいのを我慢してたのに」

暁「それを全部否定するの? この努力は全部無駄だって言いたいの?」

提督「違う。そうじゃない」

提督「俺は……」

↓1~3くらい 説得の言葉

提督「俺は仕事のオンオフをきっちりするのも仕事だと思ってる」

提督「お前の努力は無駄なんかじゃない。その証拠にお前はみんなから頼られてるじゃないか」

提督「暁のひたむきで健気なところはすごく好きだよ。だから遊ぶときくらい力を抜け」

暁「でも、私は……」

提督「ええい、じゃあこうしよう」

提督「俺はロリコンなんだ。レディのお前よりも、子供っぽいお前のほうが好きなんだよ」

暁「!!」

提督「それだけなんだよ。性癖なんだよ。俺だって頼られたいんだよ」

提督「お前が誰よりも努力してレディになろうとしてるのは知ってる」

提督「だからこれはただの俺のわがままだ」

提督「俺の前でくらいありのままの暁でいてくれ。頼む」ギュ

暁「急に、抱きしめないでよね」グスッ

暁「しれいかんのばか、ばか。しれいかんの隣にたてるように頑張ったのに。なんで今度はこどもっぽい娘がすきなんていうのよ」ポカポカ

提督「ああ、ごめんな」ギュウ

暁「しれいかんはいっつもそうなのよ。振り回されるこっちのみにもなってよ」ポカポカ

提督「うん、うん」

暁「しれいかんのばか、あほ、ろりこん」ポカポカ

提督「ああ、返す言葉もねえよ」

提督「ごめんな、暁」

暁「……ゆるしてあげない」

提督「……そっか」

暁「そう簡単には、ゆるしてあげないもん」

提督「じゃあどうしたらいい?」

暁「あ、頭なでてくれたら許してあげる……かも」

提督「うん、お安い御用だ」ナデナデ

暁「……えへへへ」

提督(こうして暁をなでるのも久しぶりだ)ナデナデ

(……)

提督「……もう大丈夫?」

暁「うん。ありがとう司令官」

提督「ああ」

暁「……さて!」

暁「帰ろっか! 司令官!」ニコッ

提督「おう!」

提督「色々あったが、無事下山できたな」

暁「また来ようね司令官。今度はお弁当もおいしく作るからね!」

提督「おう。また来よう。紅葉の時期にでもな」

???「おうおうおう、ずいぶん”ゴキゲン”じゃん?」

暁「!?」

提督(あ、やべ。こいつのこと忘れてた)

???「へっへっへ。なかなか”パリピ”気取ってんなあ。兄ちゃんよお」

提督「ごめん。いまそんな感じじゃないんだわ」

???「え?」

???「峠バトルするっていう話は?」

提督「いやもう帰ろうかなって。疲れたし」

???「ええ……。せっかくRX-7乗ってきたのに」

暁「何この車! すっごいかっこいい!」キラキラ

???「あれー? なんか暁キャラちがくない?」

提督「おうおうおう!俺と峠バトルしようってか!? 望むところよ!」

???「ええ……。もうなにがしたいのよ」

提督(暁が興味持ってるからやっぱ峠バトルしよう)ボソボソ

???(まあいいけどさ)ボソボソ

???「へっへっへ。彼女の前で威勢のいいのは”ケッコウ”だがよお。後で吠え面かかねえようになあ?」

提督「あ? なんだとてめえこら」

???「この”謎の走り屋A”こと”オータムクラウド”に勝てるといいがなあ? 今から尻尾を巻いて逃げたほうがいいんじゃねえかあ?」

暁(あ、この人秋雲の変装なんだ)

提督「あ? てめえこそ”鎮守府のパシリ屋”こと俺様に勝てると思ってんのか?」

???「へえ。ドエレー”クール”じゃんよお!」

提督「俺の脳内ではもう”Gamble Rumble”が鳴り響いてんだよお!」

???「ドエレーことじゃん?」

提督「てめえこそ今から帰ってイラストでも描いてたらどうだあ? 新作超良かったからよお! ”楽しみ”にしてんぜえ?」

???「え? ほんとに? いやーあれは自信作でねぇー」

暁(隠す気あるのかしらこの人たち)

提督「でもよお」

???「あ?」

提督「こんな道路で走ってたら”不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまうんじゃねえのか?」

???「へっ! ”臆病者(チキン)”野郎が。安心しな。この近くに”お祭り会場(サーキット)”があるからよお!」

提督「はっ! あそこのことか……。”無礼(ナメ)”るなよ……。ちゃーんと”貸し切”っておいたからよお!」

???「ふへへへへ。ドエレー”クール”じゃん?」

提督「そこに行くまでは”安全運転”しろよお?」

???「いわれるまでもねえ。”シートベルト”も締めてやんぜ?」

暁(仲良しか)

???「あ、ここ峠仕様のサーキット場なんだ」

提督「そうそう、峠を攻めたい人専用」

???「いいねぇ~」

暁「もうあのキャラやめたの?」

???「いやー、もう疲れちゃってさ」

提督「正直あのテンションだるい」

???「あ、わかる。話しかけて五分後くらいにキャラ失敗したと思ったもん」

提督「それな」

???「まっ! それはおいといて、レースでは手を抜かないよ!」

提督「当然だ。完膚なきまでに叩きのめしてくれるわ」

提督「あ、当然ハンデくれ。俺初心者だし」

???「カッコ悪っ! さっきまであんなに自信満々だったのに!」

提督「いいじゃん。くれよ」

???「まあいいけどさ。じゃあ100メートルくらいでいい?」

提督「いや、そこまでしなくていい」

???「50メートルくらい?」

提督「いやいや」

???「じゃあどうするのさ」

提督「ただ俺がRX-7でお前が軽トラってだけでいい」

???「ハンデ重っ!」

提督「……」グオングオン

提督「……」ガコン

暁「なんかすごいたどたどしんだけど。大丈夫?」

提督「問題ない。このタイプの車運転したことないけど」

暁「そ、そうなの!?」

提督「そうだ。でもたぶん大丈夫。妖精さんの不思議パワーで絶対に事故らないらしいから」

暁「ほ、ほんとに大丈夫かな」

提督「見せてやんよ。スピードの向こう側ってやつをな」

暁(本当に不安しかない)

提督「……!」キャキャキャキャ

暁「すっごい! 何今の!? ドリフトってやつ?」

提督「ひゃーははは! ちょろいもんよ!」

暁「ジェットコースターみたい! いっちゃえー! 司令官!」

提督「さあてそろそろひとつギアをあげるとするか!」

暁「まだ速くなるの!?」

提督「もうちょっとだけだけどな」

暁「……じゃあ秋雲には勝てそうにないね」

提督「なんであいつあんなに速いんだろ。軽トラなのに」

暁「……」スゥスゥ

提督(あんにゃろ完全に八百長のこと忘れてやがった)

提督(まあ、いいか。暁も楽しそうだったし)

暁「……」クゥクゥ

提督(……こうやって助手席で寝てる暁も久しぶりだなあ)

提督(最近は俺が運転中のときはずっと起きてたからな)

暁「……」スヤスヤ

提督(なんだろ。それだけのことなのにすっげえうれしい)

提督(……)

提督(さて今度はどんなサプライズすっかな)

ちょい休憩。今日中に終わらせる予定なんで、暇だったら付き合ってください

提督「最近さー暁がさー」

明石「はい」

提督「すげえ可愛くなったんだよね。子供っぽくなったというか」

明石「そうなんですか?」

提督「そうなんだよ。この前もさー」

明石(また始まりやがった)

(……)

提督「で、だ」

明石「なんですか? またサプライズの相談ですか?」

提督「いや今回は違う」

明石「はあ、じゃあなんなんですか?」

提督「デートに行こうと思う」

明石「だめよっ!提督とデートなんてっ! 私には将来を誓い合った人がっ! 誰もいないのっ!」

提督「何の問題もねえじゃねえか!」

明石「それでデートって暁ちゃんとですか?」

提督「そうそう」

明石「いいんじゃないですか。どうでも」

提督「なんか冷たくない?」

明石「だっていまさらデートって感じだし」

提督「そうは言っても正式なデートは久しぶりよ」

明石「前に山に行ったのは?」

提督「あれはサプライズピクニック」

明石「どう違うんですか」

提督「言葉の響きとか」

明石「あー、それでどこにいくんですか?」

提督「↓2だ」

提督「東京の繁華街だ」

明石「すくなくとも暁ちゃんと行くところじゃない気がするんですけど」

提督「おれっちパリピだし? 余裕よ」

明石「まあいいですけどー、東京の繁華街行ってどうするんですか?」

提督「現地着いてから決めよっかなって」

明石「だめです!遅いです! スローリィです! 大学落ちてから予備校決めるくらい遅いです!」

提督「それはべつにいいんじゃねえか?」

明石「ちゃんとデートは予定立ててから行ったほうがいいです!」

提督「確かに。お前の言うとおりだな」

明石「でしょう!」

提督「だからノープランでいこう」

明石「話が通じねえのか! ボンクラ!」

提督「……」

暁「ごめーん。司令官! 待った?」テテテ

提督「超待った。一日千秋の思いだった」

暁「そこは今来たとこだよっていいなさいよ」

提督「楽しみすぎて、一時間前から待ってたからな」

暁「わ、私だって楽しみすぎて昨日寝れなかったし!」

提督「もしかしてそのおかげで遅刻したの?」

暁「いやそれとは関係なくボーっとしてたら時間過ぎてた」

提督「もっと俺との時間を大切にしてくれ」

暁「あはは。冗談よ、冗談」クスクス

提督「このやろう。凹むぞ。泣くぞ」

暁「よしよし。ところで今日はどこに連れて行ってくださるのかしら?」

提督「東京の繁華街だ」

暁「東京かあ。いいじゃない!」

提督「自然を満喫した後、都会も味わいつくす。俺のデートプランはすべて隙を生じぬ二段構えよ」

暁「具体的にはどこに行くの?」

提督「↓2だよ」

提督「お台場だよ」

暁「お台場!?」

提督「そうそう」

暁「じゃあ、あそこ行きたい! アクアシティ!」

提督「俺もちょうどそこに行こうと思ってたんだ」

暁「やった! 早くいこっ! ねっ?」

提督「待って。今電車案内見るから」

暁「わぁ、ここがアクアシティお台場」キラキラ

提督「うむ。このアクア感。まさにアクアシティ」

暁「このアクア感は他じゃ出せないわね!」

提督「ああ、さすがは東京だ。かなわねえ」

暁「ねえねえ! なにする? なにする?」

提督「アクアシティに来たといったらすることは一つしかねえよ!」

暁「なになに?」

提督「↓2だ!」

提督「遠泳だ!」

暁「なんでアクアシティに来たのに遠泳なのよ!? 山に来たのにスイカ割するくらい意味わかんないわよ!」

提督「まてまて。このアクアシティの案内を見てくれ」

暁「えーっと、なになに。遠泳する魚の見れるレストラン?」

提督「そうだ。アクアリウムも見れて、魚も食える。わりかしいいんじゃねえか?」

暁「まずはお昼を食べるってことね?」

提督「ああ、そっからどうするか考えよう」

暁「腹が減ってはなんとやらっていうしね!」

提督「おお、ここはさらにアクア感がすごいな」

暁「アクアシティでもすごいのに。さらにその上をいってるわね」

提督「アクアリウムもいい感じだし、なにより机がガラス張りになってて星の砂やらサンゴが見えるのがいいな」

暁「すごく凝ってるわね」ワクワク

提督「よし、俺はイカ墨パスタにしよう。暁は?」

暁「えーっと私はムニエルにしよっと」

(……)

提督「いただきまーす」

暁「いただきまーす」

提督「……」スパスパ

暁「……」モグモグ

提督「うまい!」

暁「おいしいわね!」

提督「いやーうまいなあ。アクアリウムも見れてうまいって最高だ」

暁「うんうん。お魚さんを目でも舌でも楽しめるわね。すばらしいわ」

提督「……冷静に考えたら結構えぐい気がする」

暁「それは言っちゃ駄目よ司令官」

提督「はあー食った食った」

暁「おいしかったわね!」

提督「さて、次は何したい?」

暁「そうねー。さっきチラッと見て気になってたところがあるの」

提督「お、まじか。じゃあ次はそこ行こうぜ」

暁「うん! ↓2をするところなんだけど」

暁「結婚式をするところなんだけど」

提督「おお……。今日はめっちゃグイグイくんな」

暁「ほら、あの、下見? というかなんというか」

提督「いいじゃん。行こうぜ。ついでに衣装もレンタルしよう」

暁「え、ええ!? ほんとに行くの? 冗談のつもりだったんだけど」

提督「よし、今のうちに予約しとこ」ピポパ

暁「ほ、本当に行くんだ」

提督(なんか素の暁は新鮮でいいな。からかい甲斐があって)

提督「似合ってますか? 私のタキシード姿」

「ええ。大変よくお似合いですよ」

提督「それはよかった。あの子も可愛くしてやってください」

「ええ、お任せください」

提督(なんか緊張すんな)ドキドキ

提督(ケッコンはしてるけど本当の結婚式となったらまた別だからな)

提督(まあこれはその予行みたいなもんだけど)

「新婦様のご準備ができたみたいですよ」

提督「ええ、わかりました。ただいま向かいます」

暁「あ、司令官」

提督「!!」

提督「暁、か?」ドキドキ

暁「当たり前じゃない。司令官も結構かっこよくなってるわね」

提督「いや俺のことは、置いといてなんていうかその」

暁「なあに?」

提督「すごくきれいだ」

暁「ほんと? うふふ、ありがと」ニコッ

提督「!!」ドキッ

提督(あーもう。クソ。何いちいちドキドキしてんだおれは)

提督(そんなキャラじゃねえだろほんとによ)

「では撮影しますね」

「いきますよー。あ、新郎様、ちょっと表情が硬いです」

「笑って笑って」

「ハイ、チーズ」

パシャ

(……)

暁「見てみて! 司令官へんなかおー!」

提督「やかましい。こんなのは慣れてないんだよ」

暁「でもほら、割とかっこよく写ってるわよ。当社比三倍って感じ」

提督「暁だってめっちゃきれいに写ってるよ。ここにいる実物よりは」

暁「えへへー。スタッフさんがとっても上手かったのよ!」

提督「素材がいいんだって褒めてたよ」

暁「ほんと? だったらうれしいなあ」ニコニコ

提督「……よし」

提督「あー、暁さんや」

暁「なに?」

提督「この戦争が終わったら結婚しない? ここで」

暁「それ言ったら叶わなくなるやつじゃない」

提督「愛は沈まないさ、きっと」

暁「もう、さらっと恥ずかしいセリフ言うんだから」

提督「三枚目キャラの特権だよ。さて、返事は?」

暁「うーん、そうね」

暁「考えといてあげるわ!」ニコッ

提督「!!」ドキッ

提督(くそう)

暁「そろそろ暗くなってきたわね」

提督「じゃあ最後の場所いって帰るか」

暁「最後はどこいく?」

提督「もう、決めてある」

暁「司令官にしてはめずらしく用意がいいじゃない」

提督「ほっとけ」

暁「じゃあいこっか?」

提督「ああ、↓2に行くぞ」

提督「着いた」

暁「わあ……!」

提督「ヴィーナスフォートってとこだ」

暁「すごい。何これ。すごい」

提督「幻想的な雰囲気が素晴らしい」

提督(明石にお勧めの場所聞いててよかった)

提督「ヴィーナスは美と愛の女神らしいからな。祈っておこう。愛が沈みませんように」

暁「沈みませんよーに!」パンパン

暁「すごい! これ噴水!?」

提督「エアミストってやつらしい」

暁「霧が出る! 霧が! すごい!」

提督「おお。ほんとにすごいな」

暁「司令官も一緒に来よ!」

提督「よし。ドライアイスの中から出てくる歌手ごっこをしよう」

暁「だったら私は乱入してきた謎の覆面レスラーの役をするわ!」

提督「その役目いる?」

提督「で、この先に東京の町が見渡せる砂場がある」

暁「イルミネーションがとっても綺麗ね……」

提督「だろ?」

(……)

提督「お待たせ。ここが砂場だ」

暁「……! 絶景ね。百万ドルの夜景っていうのかしら」

提督「ああ、空を見ても町を見ても星の海が広がっている。まるで天地が溶け合ってるみたいだ」

暁「……」

提督「……」ドキドキ

提督(結構いい雰囲気だ)

提督(よし、口説こう。最後くらいあたふたさせてやろう)

提督「なあ暁」

暁「……?」

提督「暁といたら、すごく月がきれいだな」

暁「ふふっ。だめよ司令官? 愛の告白に他人の言葉を使っちゃ駄目」

提督「……ぐうの音も出ねえ」

暁「それに、月なんて一月ごとに円い形を変えてゆくものよ? そんな不誠実なものに、愛を誓ってくださるのかしら?」

提督「お前だって他人の言葉じゃねえか」

暁「えへへ、わたしはいーの!」

提督(くそう。普通の口説き文句じゃ駄目だ。とうとう最後のサプライズを披露するときが来たようだな)

↓2最後のサプライズ

提督(よし、今は七時五十五分。東京タワーの点灯時間までもうちょっとだな)

提督「暁」

暁「はい」

提督「俺は暁が好きだった。初めて会ったときからずっと」

暁「だった?」

提督「でも今日デートして、この気持ちは違ってたってことがわかった」

暁「ど、どういうこと……?」

提督「……」ゴソゴソ

提督「俺は暁を愛している。いつの間にか、恋から愛になっちまってたらしい」

暁「!!」

提督「これからも俺の隣にいてほしい」

提督「俺が悲しいときも、嬉しいときも、そばにいてほしい」

提督「暁が怒ってるときも、笑っているときもそばにいるから」

提督「戦争が終わって俺が提督じゃなくてただの人になっても一緒にいてほしい」

提督「暁が駆逐艦じゃなくてただの女の子になっても隣で笑っていてほしい」

提督「だから、暁。俺と結婚してくれないか?」パカ

暁「ゆびわ……?」

暁「……」

提督「……」

暁「今日のデートは楽しかった」

提督「うん」

暁「レストランで司令官とランチを食べて、一緒に写真をとって」

提督「ああ」

暁「それでエアミストで司令官と一緒にはしゃいで、今は砂場で司令官と夜景を見てる」

提督「そうだな」

暁「それだけで私はすごく幸せだったのよ」

提督「そっか」

暁「それなのに」グスッ

暁「しれいかんのばか。ろりこん。そうやっていっつも私のことを戸惑わせて」ポロポロ

提督「悪いな」

暁「私も、私も愛してる。司令官。ずっと隣にいさせてください」ポロポロ

提督「暁。手を出してくれ」

暁「うん」

提督「……」スッ

暁「……」

パッ

暁「あ、東京タワーが」

提督「ダイヤモンドヴェールっていってな。七色に変化するんだ」

暁「……何から何まで準備がいいわね」

提督「それぞれの色にメッセージもあってな」

暁「じゃあ今見えてる赤色は?」

提督「愛と感謝だ。これまでありがとう暁。愛してるよ」

暁「ず、ずるいわよ……。もう」

暁「これで私と司令官は夫婦なのよね?」

提督「ああ、そうだよ」

暁「だ、だったらまだやってないことがあるんじゃないの?」

提督「……? なんかあったっけ?」

暁「もう! レディの口から言わせないでよ!」スッ

提督(目を閉じた? ってことはキスしろってことか)

暁「……」フルフル

提督「……」

暁「……」フルフル

提督「……」

暁(まだなのかな? ちょっとだけ目を開けてみよう)ソーッ

ちゅ

暁「!!」

暁「な、な、な」

提督「よし、誓いのキス完了」

暁「なんで、目を開けた瞬間にするのよー!」

提督「はっはっは。そうやって慌てふためく暁が見たかった」

暁「もう、ばか。本当にずるいんだから」

提督「……さて、帰るか。我らが鎮守府に」

暁「うん。帰りましょうか!」

提督「……ああ、そうだ」

暁「どうしたの?」

提督「今度こそサプライズ大成功、だな」

暁「うん!」

完!

今月の上限が来たのでここで終わっときます。付き合ってくれたみんなに感謝。

特に東京関連の情報くれた人ありがとう。お台場なんていったことねーよ。

関連作品↓

提督「安価で艦娘にパネエ質問をする」

提督「とある鎮守府のクリスマスかくし芸大会」

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