女「また、来たんですか…?」(27)

男「あぁ、また来た」

女「監視に見つかれば殺されてしまいますよ?」

男「そんなヘマはしないさ」

女「何しに来たんですか」

男「お前と話に来たんだ」

女「私は話したくありません」

男「そういうなよ、決死の覚悟で会いにきてるんだぜ?」

女「貴方も物好きですね、私と話したいなんて」

男「美人と話したいなんて男からしたら普通だ」

女「もう汚れていますよ」スッ

ジャラ

男「…その鎖、いつ外れるんだ」

女「利用価値がある限り外れません」

男「俺が外してやろうか?」

女「そういう言葉は聞き飽きました」

男「何だ、他にもそんな奴がいたのか」

女「えぇ、私を助けようとして下さる殿方はたくさんいますから」クス

女「その全てが私の身体目当てで…全員殺されてしまいましたけど」

男「まだ鎖で繋がれてるんだから、そうだろうな」

女「貴方も私の身体が目当てなのでしょう?」

女「なら、今私を抱いて…それで満足して帰って下さい」

男「確かにお前を抱けたら最高だろうな」

男「でも、俺は身体目当てで抱くなんてしない」

男「そんなクズと一緒にするな」

女「それなら、貴方はどういう目的があれば私を抱いてくれるんですか?」

男「そんなもんお互いが愛し合ってる時だろ」

女「愛…?ふふ、ふふふ」クス

女「随分とロマンチストなんですね」

女「私は十分、愛でられていますよ」

男「アイツ等に愛なんてない、それはお前が一番分かってるだろ」

女「そうですね、私は本当の愛を知りません」

女「そして、これからも知ることはありません」

男「俺が教えてやるよ」

女「あは…本当に格好いいですね貴方は」

女「もう消えて下さい、貴方とは話したくありません」

男「そうかい、そろそろ監視してる奴等が戻って来そうだし…もう帰るよ」スタスタ

ガチャ

男「じゃあ、また明日な」

───
──

ガチャン

女父「女、まだ起きているな」スタスタ

女「はい、お父様」

女父「体調の方はどうだ?」

女「とても調子が良いです」

女父「そうか、なら良い」

女父「お前に相手してもらわんといけない方達が大勢いるからな」

女父「病には気を付けるんだぞ」

女「分かっています、お父様」ニコ

女父「ふむ、しかし…」ピト

女「…………………」

女父「本当に美しく育ったものだ」サワ

女父「こうして豊かな生活をおくれるのも全てお前の美しさ故よ」

女「いえ、そんなことは───」

ドサッ

女父「お前の美しさは男共を狂わせる」ギシ

女「お父様……」ジャラ

女父「拒みはしないな、女?」

女「………………はい」

───
──

翌日

メイド「おはようございます、お嬢様」

女「おはよう」

メイド「お着替えを……お、お嬢様?!」

女「どうしたの?」

メイド「あ、いえ…お洋服が…その…乱れてらっしゃるので」

女「…これは、昨夜お父様が来られたからよ」

メイド「そう…でしたか」

女「まずは、お風呂に入りたいわ」

メイド「かしこまりました、直ぐにご用意します」

チャポン

女「ふぅ……」

メイド「湯加減はいかがですか、お嬢様」

女「丁度良いは、気持ちいい」

女「貴女も入ったら?」

メイド「そんな、お嬢様と一緒のお風呂に入るなんて…」

女「こんな大浴場、一人じゃ勿体ないわ」

女「それにお風呂場にメイド服を着てるなんておかしな話でしょ?」

メイド「私にはお嬢様のお背中を流す役割がありますので」

女「メイド服じゃなくていいじゃない」

メイド「いけません!お嬢様にご奉仕する際は必ずメイド服でないといけないんです」

女「そう、私とは一緒にお風呂に入りたくないのね」

メイド「そ、そういうことではなくて……」

女「朝から悲しい気持ちになったわ」

メイド「お嬢様~!」

女「ふふ、冗談よ」クス

女「それじゃ、役割を果たして貰おうかしら」ザバ

メイド「痛くないですか?」サワ

女「えぇ、平気よ」

メイド「では、これくらいで洗っていきますね」

メイド「んっしょ…んっしょ…」

女「汚いわね…私の身体」

メイド「何を言ってるんですか、凄くお綺麗です」

女「中身は腐ってるわ」

メイド「お、お嬢様…」

女「自分の身体を見るとね、思い出してしまうの」

女「今まで抱かれてきた殿方の顔を」

メイド「………………」

女「本当に汚くて醜い身体」

メイド「では、私が少しでも綺麗に致します」

女「えっ?」

メイド「汚れを落とすのは私の役目です」

メイド「お嬢様が少しでも思い出さないように、ご奉仕させて頂きますね」ニコ

女「…優しいのね、貴女は」

メイド「誰よりもお慕いする、お嬢様の為ですから」

女「…………ありがとう」

女の部屋

女「ふぅ、さっぱりしたわ」

メイド「お役目果たせて良かったです」

女「えぇ、貴女は良いお嫁さんになるわね」

メイド「お、お嫁さんですか?」

女「きっと幸せになれるわ」

メイド「今は、お嬢様にご奉仕するのが最優先なので…」

女「ふふ、それは私が幸せね」クス

メイド「そういえば今日は新しい監視役の方が来られるそうですよ」

女「……そう、また補充したのね」

メイド「この前入られた方、直ぐに来なくなりましたけど…どうなさったんでしょう」

女「………………」

メイド「新しい方はお嬢様と同い年らしいです」

女「同い年、若いのに監視役だなんて相当優秀な方なのね」

メイド「そうですね、どんな方なんでしょう」

───
──

上司「ここが、これからお前が働く屋敷だ」

男「広いですね」

上司「旦那様の事は知っているな?」

男「はい、存じております」

上司「お前は最年少の監視役だ」

上司「子供とはいえ、仕事は必ずこなせ」

男「分かっています」

上司「旦那様はお出掛けになっている」

上司「まずはお前が監視するお嬢様に挨拶に行くぞ」スタ

男「はい」

男「質問、よろしいでしょうか」

上司「何だ?」

男「何故、旦那様はお嬢様を監視するのでしょう?」

上司「監視役とは言うが、本来の目的はボディーガードだ」

上司「愛娘を守る父親の気持ちだよ」

男(そんな気持ちあの男にはないだろ)

男「お嬢様は誰に狙われるんでしょう」

上司「……お前もお嬢様に会えば分かる」

上司「あの方の前では理性なんてものは抑えられないだろうな」

上司「だから、一つ言っておく」

上司「お嬢様に手を出せばお前は死ぬ」

男「………分かっています、俺はただ役割を果たすだけです」

上司「なら、良い…期待しているぞ新人」

トントン

上司「お嬢様、新しい監視役をお連れしました」

女「どうぞ、入って」

上司「失礼致します」ガチャ

上司「こちらが新人の監視役です」

男「初めまして、お嬢様」

男「今日からお世話になります、男と申します」

女「………………」

メイド(わぁ、凄い格好いい方…)

女「……初めまして、男さん」

女「随分とお若い監視役ね」

上司「監視役の中では最年少です」

上司「子供ですが、監視役のテストでは十分な成績を修めています」

女「そう、優秀な方なのね」

男「いえ、私はまだまだ未熟です」

上司「では、新人がお嬢様の監視につくのは夜からになりますので」

上司「それまで屋敷を案内しておきます」

女「そう、男さん」

男「はい」

女「入ったばかりで慣れないことばかりでしょうけど」

女「『役割』だけはしっかり果たして下さいね」

男「…かしこまりました、お嬢様」

上司「では、失礼致します」

男「失礼します」

ガチャン

メイド「本当にお若い方でしたね」

女「…………」

メイド「お嬢様?」

女「………どうして」

女「メイド、あの新人の監視役…良く見ておいて」

メイド「それは構わないですけど…監視役を監視するんですか?」

女「えぇ、まだお若いからもしかしたら役割から外れたことをしてしまうかもしれない」

女「もしそうなったら、止めて欲しいの」

メイド「かしこまりました」

女「……………」

女(変なことは考えないで下さいね)

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