悪魔「せめて安らかに」 (24)

男「夢ってのは起きてる時の記憶を整理するプロセスだ」

男「その追体験を俺達は夢っていう風に認識してる」

男「事実ついさっきまでの夢は俺がなんかよく分からんもんを作ってた」

男「昼間に作ってた発明品(笑)の記憶がそのまま頭の中にあるんだなぁ」

悪魔「…」

男「だから有り得ないんだよ」

男「なんだその羽は、尻尾は、角は!」

男「悪い夢なら覚めてくれ!何でもするから!」

悪魔「お前が今これは夢だと言ったんじゃないか」

悪魔「つまりお前は今日どこかで悪魔に出会っていたことになる」

男「いいやそんなはずが無い!そんな事実は存在しない!」

悪魔「なれば私は現実だということだ」

男「悪魔はもっと存在しねえええんだよ!!」


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男「…はぁ…」

悪魔「落ち着いたか?」

男「…いいや、でもまぁ…呼吸は整った」

男「…で?もう一度言ってくれよ」

悪魔「うむ、この度冥界で正式にお前の殺処分が決まった」

男「ふざけんなカス!ファッキューデビル!」

悪魔「せめて一思いにやってやろう」

男「わぁあああ!待て待て!何で!?まず何でそんなことが決まったんだよ!」

悪魔「ふぅん…これから死ぬお前にそれを言う必要はあるか?」

男「あるだろ!尊き命だぞ!」

悪魔「…」

悪魔「なに、大したことではないよ」

悪魔「私達の食料源は貴様らの魂だ」

悪魔「だから人間に滅んでしまっては困る」

男「…へ、へえぇ~…魂が飯ね…」

悪魔「そうだ、家畜を殺して食うお前らの何ら変わらんよ」

悪魔「生かしておる代わりに好きな時に食われろ、というのだろう?」

悪魔「悪魔の契約も似たようなものだ」

男「…そ、そんなもんなのか…」

男「…って、うん?」

男「いや結局俺が殺される理由にはならねぇじゃねえか」

悪魔「…」

悪魔「…人間が滅ぶと言っただろ」

男「…?」

悪魔「お前は将来、大量の人間を[ピーーー]」

男「…んなっ…」

男「い、意味がわからん…なんで俺が…!」

悪魔「直接殺すのか、間接的に殺すのか、それは知らん」

悪魔「知らんが少なくともお前は多くの人間を殺す」

悪魔「お前が居なければ、数十億の人間は死なずに済む」

悪魔「…簡単な話だろう?」

男「ふっ…ふざけんな!」

男「俺が大量殺人犯だったならまだしもまだ何もしてねぇのに殺されるだと!?」

男「俺が未来で多くの人間を殺す!?」

男「なんでそんなこと言いきれるんだよ!?」

悪魔「私は未来を覗けるからだ」

男「…」

男「…けっ、馬鹿馬鹿しい」

男「お前悪魔なんかじゃなくて、頭のおかしいイカレ野郎だよ」

男「未来が見える?」

男「お前の言ってること矛盾しまくってるぞ、だったら何で直接的にか、間接的にか分からねえ?」

悪魔「…」

男「それ見ろ、言えね…」

悪魔「未来が覗けるというのは少し違ったな」

男「…?」

悪魔「悪魔は、魂を覗けるんだ」

男「…魂を覗く…?」

悪魔「歴史に名を残す人間どもは凡夫と違い魂に色がついている」

悪魔「赤なのか、緑なのか、青なのか」

悪魔「色と魂の性質の関係性は確定的ではないよ」

悪魔「同じ色の魂も、似たような人生を歩むとは限らない」

男「…だったら…!」

悪魔「けれど、おまえは違う」

男「…」

悪魔「真っ白に、蛇が巻き付くが如く縛られた、怨嗟の魂だ」

男「…何を…」

悪魔「浄化しきれなかったんだよ、前世の恨みをな」

悪魔「白色なのは単にお前の魂の性質だ、だがお前の魂に巻きついたそれは、違う」

悪魔「この世の全てを恨み、妬む魂」

悪魔「歴史上にも、そんなに多くはないぞ、そしてそのような魂を持つ奴は」

悪魔「ただ一人の例外なく、この世を幾度となく傾けている」

男「…」

悪魔「今はまだ何も感じないか?だとすればお前の周りの人間は幸運だな」

悪魔「いずれ、お前は衝動的に人を殺したくなる、もしくは、夢物語を信じ込んでとんでもない事をしでかす」

悪魔「その怨嗟すらも性質といえばそうなのだろうな」

男「…んな、馬鹿な…」

悪魔「馬鹿なお前にもわかりやすく言ってやる」

悪魔「お前の魂は危険だ、必ずこれから先の未来で大量の人間を殺す」

悪魔「そうなってしまっては手遅れだから、悪魔として責任をもって、お前の魂を殺してやる」

悪魔「…理解はできたか?」

男「…」

男「…」

悪魔「…」

男「…一つ、聞いてもいいか?」

悪魔「何だ?」

男「魂を殺すってどういう事だ?」

悪魔「…」

悪魔「…冥土の土産、という奴か」

悪魔「お前の魂を、完全に消滅させる」

悪魔「肉体が死んでも魂は天界に回収されて、また新しい器に入り込む」

悪魔「天使共は皆馬鹿だ、たかだかあれだけの浄化で怨嗟が消えると思っている」

悪魔「ろくに地獄を知らぬくせに希望だけを語る偽善者は滑稽で厄介だな、私たちにとっては」

悪魔「いや、お前達にとってもな」

男「…はは、次は天使か…」

悪魔「希望馬鹿共がお前の魂を回収する前に、私たちが消滅させる」

悪魔「正直に言おう」

悪魔「喰いすらしない、お前の魂は、何の役に立つこともなく消え去る」

悪魔「…さぁ、準備は…」

男「…」

男「…」

ガシャァァァン!!

悪魔「…!」

男「そんなのうのうと死んでやるわけねぇだろうが」

悪魔「…楽に死にたくはないか」

男「はっ、どうせ死ぬなら不細工にあがいてやるよ」

悪魔「…これは、お前ら人間のためでもあるんだがな」

男「…人間皆が人類の幸せを願うわけねぇだろ」

男「死んでやるわけには行かないね、悪魔」

悪魔「…この…バカが…」

男「…」ジリッ



コンコン



男「…」

妹「…お兄ちゃん?」

男「…妹」

妹「何してるの?物凄い音がしたけれど…」

男「…いや、これは…その…」

妹「けほっ…けほっ…!もう…変なことしないでよね」

男「…」

男(…見えて、無いのか?)

悪魔「なかなか普通の妹だな」

悪魔「綺麗でうまそうな魂だ」

男「…」

悪魔「契約してやってもいいな、お前を生かすとかでなければ」

妹「…お兄ちゃん?」

男「…あぁ、悪い悪い」

男「…ちょっとふらついてな、何もねぇから部屋もどれ、な」

妹「…?…うん、分かった」

男(…妹に関わってみろ、楽には死なねぇぞ)

男(周りの人間全部ぶっ殺して回ってやる)

悪魔「その前に私がお前を殺すほうが早いけれどな」

悪魔「別に急ぎではない」

男「…ふー…」

悪魔「余計なことをするからだ、馬鹿め」

男「…」

悪魔「…大きい、とは言えない家だ、清潔とも言えない」

悪魔「綺麗で純粋な、真っ白な魂だったな」

悪魔「それでいて、いや、それだからこそか弱い」

悪魔「…そういえば両親はいるのか?」

男「急に身の上話始めてどうしたよ」

悪魔「いいや、だがお前のことを知っておくのはお前の魂に対しての攻めてもの礼儀だろ」

男「…見ての通り貧乏でよぉ、俺は一応バイトしてるけど大して稼げるわけもなくてさ」

男「母親は死んだ、父親は滅多に帰ってこねぇ」

悪魔「オマケにあの妹か」

男「…」

悪魔「死んでしまうんじゃないか?もうそろそろだな、長くはなさそうだぞあの病気」

男「…やっぱか」

299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
>>285
そりゃそうでしょ
とにもかくにも無気力なんだよ ここに集まってんのは
正直、ssもうほとんど書いてないんじゃねーの?
2017/01/06(金) 04:21:06.60ID: 235p+7+U0 (11)

301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]
結局2016年もベストssは遠藤の書いたやつだったね………
2017/01/06(金) 07:06:56.17ID: 235p+7+U0 (11)

310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]
>>302
キニ速やマジキ○でもまとめられて人気だからね 実際悔しいが面白いし
2017/01/06(金) 13:13:44.58ID: 235p+7+U0 (11)

339: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします []
>>312
うわ嫉妬乙ー
2017/01/06(金) 19:22:55.72ID: 235p+7+U0 (11)

340: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
>>316
この人オリジナルでも面白いの書いてなかったけ?
センスあるわ
2017/01/06(金) 19:25:45.38ID: 235p+7+U0 (11)

346: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]
面白いの書く作者が多いからだよ ここの人らは気にくわないの
2017/01/06(金) 20:44:01.01ID: 235p+7+U0 (11)

357: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
深夜かVIPに移住するしかないね
2017/01/06(金) 21:43:30.78ID: 235p+7+U0 (11)

男「本人は良くなったから家に帰ってきたって言ってたよ」

悪魔「人間とは面倒くさいな、いずれ必ずバレてしまう嘘だろうに」

男「…」

悪魔「くく、なかなか良い状況だな」

悪魔「母は死に、父はクズ、妹は病気、お前は私に殺される」

悪魔「どうだ?どんな気分だ?悪魔に魂を売ってでもどうにか打開したいんじゃないのか?」

男「…」

悪魔「出来ればよかったのになぁ」

男「…お前は…さっきからおちょくってんのか」

悪魔「人の不幸は蜜の味、とはよく言ったものだ、まさに争いの絶えない愚かな人間だからこそ思いつく言葉だ」

悪魔「まぁ、私にとっては本当の意味で蜜の味なんだが」

男「…」

悪魔「ま、これを機に見させてもらおうとしよう」

悪魔「お前を殺すのに変わりはないが、数百年生きてきた中でなかなかに稀有な状況だ」

悪魔「不幸過ぎるお前は、どうやって死んでいくのか、見てみたい」

男「…猶予は、あんのか?」

悪魔「ふふ、キリよくお前の妹が死ぬまでにしてやろう」

悪魔「私の見立てでは後半年と言ったところだ」

男「…」

360: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]
潰されたってスレが?
誰でもハルヒでチヤホヤされる時代じゃないとはいえそんな酷いの?
2017/01/06(金) 21:58:02.20ID: 235p+7+U0 (11)

368: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
>>363
1レス目でってもう潰しにかかってるなそれ 運も大事な時代か でもssスレが多かった時はまだ甘かったよね

やっぱVIPで書けるの遠藤さんくらいかー
俺含めここのみんなVIPで書く技量も度胸もないしなあ
2017/01/06(金) 22:25:48.50ID: 235p+7+U0 (11)


373: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]
>>370
え急になにお前 VIPでやれないどころかここでも人気なくて愚痴ってる弱小が邪知すんなよ
まぁVIPでやってもあやめあたりにか俺達は載れんけどさ それか潰されるかw
2017/01/06(金) 22:37:54.48ID: 235p+7+U0 (11)

383: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
>>374
どっちも違うわ ままれは書籍化したとかで知ってるけど
オリジナルで人気でないとか言ってるくせになんで人が多いVIPでやらないのって純粋に思ってたからさ
遠藤凄いなって書き込んだらいきなり自演扱いだもんな
俺が遠藤って本気で思ってるならおめでてーわ
おまけに反応からして見下されるの凄いイラついてるくせに二次創作する奴は見下すという…
2017/01/06(金) 23:14:54.57ID: 235p+7+U0 (11)

よかったな、イッチ
基地外が応援してるぞ

男「…半年ね」

男「長いのか短いのか、よく分からんな」

悪魔「ちなみに言っとくが、お前の魂なぞ食料にならないことは当然分かっているよな?」

男「…」

悪魔「契約して妹を治そうなどと無駄なことは考えないことだな」

男「分かってるっつーの」

悪魔「…だったらいい」

男「…」

悪魔「それで?あと半年でお前は何をするつもりだ?」

男「…別に」

男「何をするつもりもねーよ、お前の言うこと何一つ信じちゃいねーけど、それがどうであれ俺は今までどうり生活するだけだ」

悪魔「…」

男「いつも通り学校に行って、バイトして、妹と飯でも食って」

男「…」

悪魔「…」

男「そんでおしまいだ」

学校


男「お前、学校でもついてくんのな」

悪魔「まぁな、当然お前の監視が一番の理由だが…そうか、くく」

男「…?」

悪魔「お前ら人間の発展ぶりにはほとほと声が出ない」

悪魔「数十年前とは大違いじゃないか」

男「…ああ、お前ババアなのな」

悪魔「これも、これもこれも、私が昔降りてきた時には無かったぞ」

男「もしかして、そういうのが目的か?」

悪魔「悪魔が好奇心旺盛ではいかんか?」

男「いいや、別に」

「おっはよ!男」

男「お、部長、おはよう」

部長「相変わらず今日も死んだ目してるね」

男「いやいつも通りなんだが」

部長「いつも死んだ目ってわけだ!」

悪魔「何だ?この女」

男(俺の入ってる部活の部長)

悪魔「お前部活に入っているのか」

男(部活って言ってもいわゆる文化部ってやつだけどな、運動は嫌いだし)

悪魔「くく、懸命な判断だ、道具を使う部活をしていたらお前は犯罪者だったかもしれん」

男(…んなことしねぇっての)

部長「どしたの?ハイライトのない目をして」

男「…さっきと言ってること同じじゃねーか…」

悪魔「やはり汚れを知らぬ女は良い、魂が綺麗だ」

男(汚れ?)

悪魔「生娘というやつだ」

男(…ああ、部長は処女なのか)

悪魔「私がお前の担当になってよかった、こうして改めて食欲をそそられる」

悪魔「俄然契約したくなったぞ」

男「…」

男(その魂の性質がどうのこうの言うの止めてくれねぇか)

悪魔「ん?」

男(大切なやつを飯扱いされると腹が立つんだよ)

悪魔「…」

部長「ちょっとちょっと、本当にどうしたの?顔色悪いよ?」

男「…ん、ああ、何でもない」

部長「…ならいいんだけど…それで、今日は来るの?」

男「あー…」

部長「…もう、あんたが来ないと後輩に示しがつかないじゃない」

男「…そんなもんか、昼でいいなら」

部長「ん、待ってるから」

悪魔「…」

男「…ふぅ」

悪魔「何部なんだ?」

男「発明部」

悪魔「発明部?」

男「別に取り立てて説明するほどのもんじゃねーよ、皆で集まってワイワイいろんなもん作んのさ」

悪魔「ほう」

男「一応副部長だから顔ださねーといけねーんだけど…」

悪魔「出せばいいじゃないか」

男「そう簡単なもんでもねーんだよ」

悪魔「…?」

男「にしても、どうするかな…」

男「部活にバイト、妹に魂、考えること多すぎんだろ」

悪魔「くく、前世でどれほどの罪を犯したのだろうな」

男「それも分かるんだろ?」

悪魔「ああ」

男「…聞く気はねーけどな」

悪魔「それがいい」

男「…んじゃ、俺は適当に過ごしとくから、お前はどっか行け」

悪魔「…」

男「逃げたりしねーし、どうせ出来ねーんだろ?四六時中お前に付きまとわれるのなんてまっぴらなんだよ」

悪魔「それもそうか」

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