提督「命を無視された艦娘?」 (116)

不定期更新





最後の深海棲艦の消滅を確認してから半年の月日が流れた。

敵の脅威は去ったもののその傷跡は深海のように深く爪痕を残した。




ラジオ『―あの戦いから半年我々の被害は多い、しかし今こそ手を取り合って一日でも早い復興を―』ガガガ

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提督「あー暇だなー」ダラー


龍驤「ウチラが暇なのはいいことやないかい」


提督「まあそれは一年くらい前の話だがな」


提督「戦争が終わってから俺たちは戦災復興に駆り出されたが、このあたりは被害が少ないほうだし」


提督「主な仕事といえば物資の援助か近辺の海のパトロール、別の鎮守府の遠征」


龍驤「ここでやることはまずないなぁ…特に司令官はなぁ」


提督「川内呼んで来い川内!」


龍驤「川内は遠征や」


提督「じゃあ駆逐艦どもは?」


龍驤「近海のパトロールや」


提督「今この鎮守府にいるのは?」


龍驤「うちと司令官だけや」


提督「うわあああああああああああああ」


龍驤「失礼な奴やな」ハァ

龍驤「ん?なんやこのビリビリの書類は」ヒョイ


提督「それはいい」


龍驤「…またあれかクレームか」


提督「戦争してた時はあんなに世話になったってのに終わったらこれさ」


龍驤「まあうちらは所詮兵器さ終われば…」


提督「龍驤!」


龍驤「…すまん」


龍驤「はぁなんでうちら艦娘より熱くなるんかなぁ…」ヤレヤレ


龍驤「パトロール中の駆逐艦たちがもうすぐ帰ってくるはずやから迎えにいってくるさかい…ほな」バタン


提督「…はぁ」





 
     [艦娘を解体せよ]



吹雪「第一艦隊ただいま帰投しました」


暁「あー疲れたー」


龍驤「おうおつかれさん何か変わったことなかったかい?」


吹雪「特に何もなかったです」


暁「海は今日も平和だったわ!」


龍驤「おーそうかそうか」


龍驤「補給の準備はしておるからさっさといき」


吹雪「ありがとうございます」


吹雪「あ…そうだ龍驤さん入渠のドッグは空いていますか?」


龍驤「なんやどっちか怪我でもしたんか?」


吹雪「いえ大破している艦娘を保護したので…」


龍驤「それをさきに言わんかい!」



龍驤「暁型駆逐艦四番艦…電?」


吹雪「暁ちゃんの姉妹艦ですね」


暁「つまり暁の妹ね!」


龍驤「まあこの子の方が戦場での経験は豊富そうやな」


暁「でも暁のほうがお姉ちゃんなの!」


龍驤「暁の練度は…」


暁「うう…暁の方が…」グス  練度5


龍驤「う…すまんすまん暁の方が姉や姉」


吹雪「大破していたので完治まではもう少し時間がかかりそうです。まだ目も覚めていませんね」


龍驤「早く治してあげな高速修復材使っていいから」


吹雪「え…いいんですか?」


龍驤「かまへんかまへんどうせもうあんまり使うことないし、うちが責任取るわ」


暁「早く使いましょう!」ウキウキ


龍驤「妹を早く起こしたいんやな」ナデナデ


暁「こ…子供扱いしないでよ!//////」

龍驤「しかしこの子はこんな平和な時代に大破状態で…」


吹雪「わからないです…でも近くでなにか争ったような後がありました。」


龍驤「争った…こんな時代で誰と、それも何のために?」


電「う…うん…」


暁「あ!起きたわ!」


龍驤「おお!…まあ何があったかは後で聞くか」


龍驤「大丈夫か、起きれるか」


電「うーん…ここはどこなのです…」


龍驤「ここは岩永鎮守府や…といっても戦災復興がおもな活動のとこやな」


電「戦災…復興…?」


吹雪「まだ本調子じゃないようですね」


電「ごめんなさいなの…」グゥー


電「あ/////」


暁「お腹がすいたのね!ご飯にしましょう!」


龍驤「んー腹すかしとるとこ悪いがさきに司令官に合わせるわ」


暁「それじゃあ先にご飯準備してくるわね!」


吹雪「暁ちゃんが雷ちゃんみたいになってる…」


龍驤「妹ができてうれしいんやな…戦場経験は…うん」


電「…ありがとう…なのです」

提督「君が保護されたっていう艦娘か」


電「駆逐艦電なのです」


提督「所属は?」


電「901ABTなのです」


提督「901…?」


龍驤「聞いたことないとこやな」


提督「まあいいや、前のとことの連絡はできるか」


電「いえ終戦の前に部隊は解体されているのです」


提督「ということは野良艦娘か」


電「あの…電は…」


提督「電がよければここに置いておくぞ?」


電「いいのですか!?」


提督「まあここなんて見捨てられた鎮守府だし一人増えようが大丈夫だろ」


龍驤「適当やな」

提督「とりあえず任務を一つやってもらおうか」


龍驤「そんな電はまだ来たばっかりなんやで!」


暁「せっかくご飯を作って待っていたのに!」バタン


吹雪「司令官…見損ないました…」


提督「うお!お前ら聞き耳立ててたのか!?」


龍驤「司令官最低やな」


電「あの…」


提督「あー勘違いするなよやることは部屋をひと部屋開けてもらうだけだ」


提督「電用のな…お前らも手伝ってやれ」


電「司令官さん…」グゥ


提督「…腹ごしらえしてからだな」


電「//////」


食堂


電「とってもおいしいのです////」モグモグ


暁「よかったわ」ニコニコ


提督「食べながらでいいから簡単に自己紹介するか」


吹雪「駆逐艦吹雪です」


提督「吹雪はここの鎮守府を設立した時に一緒に配属された艦娘だ」


暁「暁よ」


提督「暁はあり合わせの資材で建造した艦娘だ」


暁「ちょ、なによそれ!」


提督「んでこの偉そうな奴が軽空母の龍驤だ」


龍驤「だれが偉そうや!」


提督「龍驤とは俺の前の鎮守府からの付き合いだ」


提督「あとは今遠征に出ていていないが軽巡洋艦の川内だ」


電「あの…これだけ…なのです?」


提督「んーまあそうだなここには明石も大淀も間宮もいねえんだ」


電「…え?」


吹雪「司令官が不甲斐ないから出て行っちゃったんです」


提督「おい」

電「…」


提督「違うからな!違うからな!」


吹雪「本当は小さい子以外好きじゃないから追い出したんですよね。小さい子が多いのもそれが原因ですし」


提督「おい吹雪いい加減にしろ!」


龍驤「小さい子の中にうち入っとらんよな」


電「あの…」


提督「吹雪の言うことは嘘だから間に受けんなよ。…まったくいつからこうなったんだか」ヤレヤレ


提督「ここに来てすぐの時はあんなに従順だったのにな」


提督「『はい!準備完了です!司令官!』とかねー」


吹雪「おいやめろ」


提督「『出撃ですか?頑張ります!』とかねー」


吹雪「やめろってんだろ!」


提督「『第十一駆逐隊吹雪!出撃します!』って…ブハハハハハハハハハハ笑」


吹雪「てめえ今すぐ口とじろおおおおおおおおおお!」


龍驤「司令官そのへんにしとき!そんなことしてるから吹雪もそういう態度になるんや!」


龍驤「吹雪も!そんなんでも一応うちらの上司やから!」


提督・吹雪「…すみません」


暁「まったく二人とも子供ね」ハァ


電「フフフ」

暁「ところで電の前の鎮守府は…」


電「あの…」


提督「暁」


暁「あ…ごめんなさい」


電「?」


龍驤「あーすまん電。前のとこのことはいいたくなきゃ言わんでええで」


提督「野良艦娘の過去は話したくなければ聞かないルール。言いたくなった時に言えばいいさ」


電「ここには他に野良艦娘がいるのですか?」


提督「今いるのは川内だけだな」


龍驤「ここに残らないでそのまま出て行くやつがほとんどやしなあ」


電「…」


提督「…よし先に言って部屋の片付けしてくるか。行くぞ龍驤」


龍驤「なんやうちまだ食い終わってへんで」


提督「あぁんいつまで食ってんだてめえは…お前の飯なんか食ってやる!」バクバク


龍驤「あぁ!うちが取っておいたたこ焼きを!」


提督「ほらこれで食い終わった行くぞ!」


龍驤「…おどれ覚えてろよ」

廊下


龍驤「なあ…あの子…」


提督「ああ…わかっている」


龍驤「あの子が前にいた部隊…」


提督「901ABT…本来9番代の数字は不吉とされ使用されないはずの数字なんだが」


龍驤「それに性能やけど…うちは工作艦やないし正確ではないけど…火力が異常や駆逐艦のそれを超えとる」


提督「もしかしたら俺たちはとんでもない子を拾ったのかもな…」


龍驤「それで…どうするんや」


提督「ん?どうもしないさ」


龍驤「…」


提督「ここは全てを受け入れるさ。どんな厄介事を抱えていてもあの子がここを離れたくならない限り」


龍驤「それでこそや」ニコ

電の部屋(予定)


提督「…うん」


龍驤「…これは」


電の部屋(予定)ゴチャアアア


提督「電の部屋は暁と同じ部屋に…」


龍驤「おい」


電「あの…暁ちゃんがよければ電はそれでも…」


提督「おお来てたのか。もっとゆっくり食事していてよかったのに」


電「いえ…電の部屋の片付けなのに…」


提督「気にするなって…それにさっきのは冗談だよ。部屋くらいちゃんと空けてやるさ」


龍驤「それにそろそろ助っ人が来るはずや」


電「…暁ちゃん達ですか?」


提督「いや」


ドタドタドタ


川内「提督!話は聞かせてもらったよ!」バタ――――――――ン!!

川内「事情は食堂でオチビさんたちから聞いたよ!」


川内「おや、君が件のオチビさんだね。私は軽巡洋艦川内よろしくね!同じ野良艦娘同士仲良くしよう!」


電「よ…よろしくなの…」


川内「今日はこの子のためにこの部屋を空けるんだね任せて!五分で済ませてあげるよ!」


提督「おう頼むわ」






五分後




川内「ふうこんなもんかな」


電「すごいのです…本当に片付いたのです」


龍驤「相変わらずの手際やな」


提督「うむご苦労さん」


暁「あー!やっぱりもう終わっちゃってる!」


吹雪「だから川内さんが来たからすぐ終わっちゃうって言ったじゃない」


暁「電の部屋の掃除私もお手伝いしたかった…」グス


川内「そういうと思って床履きだけは取っておいたよ!」


暁「!」パァ


暁「私ホウキするわ!吹雪ちりとりお願い!」


吹雪「はーい」

提督「これでこの鎮守府の面子がみんな揃ったな」


提督「川内は…まあこんな奴だ。うるさいけど仕事が早いしうまくできる」


川内「うるさいは余計だよ」


提督「変なやつばっかだけどこれからよろしくな」


電「はい…なのです」


龍驤「何が変な奴や!司令官が一番変や」




その日電は夢を見た。
今まで沈めてきた艦体の怨念に体を陵辱される夢だった。


電(また…この夢なのです…)


沈めた艦体には深海棲艦、本来仲間であるはずだった艦娘もいた。
無数に伸びる艦体たちの怨念の手が少女の体を精神を蝕んでいく
しかしその手を拒むことも避けることもしなかった。


電(電もたくさん…沈めてきたから……平和な世界にするには…必要な…こと)


少女は幾つもの犠牲や代償を払って戦いに身を投じた。
誰よりも平和を愛し誰よりも争いを嫌った少女は、誰よりも壊すことを強いられた。
傷だらけの体、血に汚れた手、こわれかけた心
救いのない戦いで守ったものよりもたくさんのものを失っていく
それでも少女は戦い続けた、その先に平和な世界があると信じて。


電(この夢は…電の…罰なのです…)


電(朝…なのです…)ウーン


川内「お、起きたかおはよう!オチビさん」


龍驤「おいおい起こすなや保護されてばっかりやのにかわいそうやろ」


電「おはようなのです」


龍驤「おう、おはよう…すまんな」


電「大丈夫なのです」


川内「それより早く食堂に行こうよ!」


龍驤「せやな電も起きたしみんなと食べるか」


電「…待っていてくれたのですか?」


龍驤「まあ一人で食事ってのも味気ないしな」


電「ありがとうなのです」ニコ


川内「提督とオチビさんたちは先に食ってるけどね」

食堂

提督「おはようさん…電も起きたのか」


電「はい…おはようなのです」


暁「ごきげんようなのです」


吹雪「おはようございます」


龍驤「おはよう」


川内「おはよう提督とオチビさんたちよ!」


暁「川内さんそのオチビさんというのやめてほしいわ」


川内「えーだってオチビじゃん」


暁「そんなことないわ!これでも立派なレディーよ!龍驤さんのことはちゃんと名前で呼ぶのにフコーヘーよ!」


龍驤「おいだれがチビやって?」


吹雪「まあまあ暁ちゃん」


川内「呼び方なんてどうでもいいじゃん」


暁「よくないわよ!」


川内「んーオカズのサンマ分けてあげるから機嫌直しなよ」ヒョイ


暁「わぁ!ありがとう川内さん!」パァ


一同(子供だ…)

川内「ほら吹雪にも」ヒョイ


吹雪「わわ…私には…そんな」


川内「気にしない気にしない」


川内「ほれ心配しなくても電にもあげるよ」


電「い…電にもですか…でもそしたら川内さんの分が」


提督「あー気にすんな…川内は駆逐艦にあまいからな、いつもこのふたりにおかず分けてやってんのさ」


龍驤「おかげでいつも漬物だけでご飯食っとるがの」


川内「わたしは漬物だけでいいの…たくあん美味しいし」


提督「本人が満足そうならいいんだけどなあ」

提督「んじゃ朝礼すっか…龍驤今日のスケジュールは?」モグモグ


電「え…ここでするのです?…しかも食べながら」


暁「?いつもこうよ」


吹雪「他のところはどうかわからないけどここの司令官は適当だから」


提督「適当いうな…まあ適当だけど」


龍驤「…そろそろ言ってええか」


提督「おうすまんすまん」


電(個人経営のお店みたいなのです)


龍驤「今日は…んー吹雪と暁は備品とかの買い出しはこの間終わったから、今日は掃除してもらおうかな」


龍驤「川内は今日も遠征の依頼来てるけど…」


川内「今日はやめとくよーここ最近ずっと働き詰めだったからね」


暁「やった今日は川内さんがいるわ!」


吹雪「暁ちゃんったら」フフフ


電「遠征?」

提督「遠征ってのはよその鎮守府に行って復興の手伝いをするんだ」


提督「ほら川内って手際が異様にいいだろそれでいろんなとこから引っ張りダコなんだよ」


川内「人気者はつらいねー」


龍驤「…」


提督「前に一回龍驤を送ったことあるんだけど…」ククク


龍驤「あ…やめい言うな!」


提督「こいつ鈍臭くて…仕事増やして…二度と来んなって」プクク


龍驤「やめいいいい」ムキー


暁「龍驤さん…道理で遠征に行かないのね」


吹雪「…龍驤さん」


龍驤「い…威厳がァ」


提督「ちなみに秘書官としても川内の方がはかどったな」


龍驤「うう…」グス


川内「提督そのへんにしときなよ」

提督「まあ川内が異様にできすぎるだけなんだけどな」


吹雪「川内さんはすごいんです!こんな司令官にはもったいないです」


提督「お前はおれをディスらないと気が済まんのか」


吹雪「ふーん」ツーン


提督「おのれ小生意気な…龍驤や川内には尊敬の眼差しを向けてるってのに…」グヌヌ


暁「川内さんは一人でなんでもすごくできる…そう一人上手なのよ!」


川内「」


龍驤「」


電「」


提督「うむ」


吹雪「あ…暁ちゃん/////」


暁「え…私変なこと言った!?」


提督「いや別に」

話が寄り道しすぎて元ネタの話がわからんくなってきた


そして電ちゃん無口だね

電「あ…あの電は何を…」


提督「おう電には…」


川内「私とあそぼ…」


提督「却下!」


川内「ええー」


龍驤「『ええー』やない!」


提督「電には秘書官の勤務の研修として今日は龍驤の補佐をしてもらいたい」


提督「前んとこで秘書官とかはやったことあるよな?」


電「何度かは…」


龍驤「それじゃ決まりやな」


川内「まった!それなら今日は私が秘書官やる!」


提督「おいおい働き詰めで今日は休みたいんだろ」


川内「秘書官はあんまりきつくないからいいの!」


龍驤「きつくないって…まあそうやけど」


川内「なんでもいいから私にー!」

提督「お前電と同じ場所がいいのか?」


川内「うん」


龍驤「素直やな」


川内「だってだって野良艦娘が来たの私がここに入ってから初めてだし…ここでの初めての後輩だからさ」


提督「まあちびっこ二人はここが出来てからいるからな…一応こいつらはここじゃ駆逐艦でも先輩か」


暁「ちびっこって言うな!」


吹雪「司令官…」ピキピキ


龍驤(という割にはこのふたりのことオチビさんって呼んどるがな)


提督「いつも頑張ってるお前の要望を聞いてやりたいが今日は無理だな」


川内「そ…そんな」シュン


電「あの…」アワワ


提督「代わりに明日一緒に遠征に行ってくれ…電もそれでいいか?」


電「なのです!」ニコ


川内「司令官!」パァ


龍驤「…甘やかすなぁ」ハァ

提督「んじゃ飯食い終わったら各自執務につくように!」


一同「はい!」


提督「龍驤はあとで電連れて来てくれ」


龍驤「りょーかい」


提督「うし!じゃあ先に行ってくるわ」ヨッコラセック


吹雪「あ、し…司令官私も終わったので一緒に片づけますので置いていてください」


提督「おうサンキュー」ニカッ


吹雪「…はい」ニコ


龍驤「…」


吹雪「それじゃ今日は食器洗いは私がやりますので流しに持ってきてくださいね」


川内「ほーい」


暁「た…食べ終わったから、て…手伝うわ」ウププ


龍驤「ちゃんと噛めや」

廊下



龍驤「ここの突き当たりが執務室や」


電「はいなのです」ニコニコ


龍驤「なんや嬉しそうやな」


電「はわわ、そ…そうですか?」


龍驤「誰が見てもそう見えるな」


電「…嬉しかったのです。兵器として生まれた自分でも人のために復興として働けるって」


電「もう誰も傷つくのも傷つけるのも…戦うこともないって」


龍驤「…」


龍驤「何があったかはわからへんが…電の優しさはきっとこの先必要になるはずや」ポンポン


電「は…はわわ//////」


龍驤「世のため人のため一日でも早い復興をってな!」ニコ


電「なのです!」ニコ








龍驤(例えその救いたかった人たちに存在を否定されたとしても…)

執務室


提督「よし今日からよろしくな電!」


電「よ…よろしくお願いしますなのです」


提督「そうかたくなんなくていいよ。気楽に行こうぜ」ハハ


龍驤「せやせや吹雪も言っとったがここの司令官は適当やし」


提督「適当いうな…まあ適当だけどさ」


提督「まあいいや今日は龍驤の手伝いをしながら仕事を覚えていってくれ」


電「なのです!」


龍驤「今日は領収書の整理からはじめるかな。電はこっちの合計金だしといて」


提督「電卓はそっちの引き出しにあるからな」


電「あ…ありがとうなのです。」







電「…」カタカタ


提督「うむ俺もはじめますか」

数時間後


提督「ふぅ…しんどー」ハァ


龍驤「アカン目がチカチカしてきたわ」


電「数字を見すぎて目が回るのです」


提督「そろそろ休憩するか」


龍驤「せやな何か入れてくるわ」


提督「俺コーラ!」


龍驤「コーヒーな」


提督「コーラがいい!」


龍驤「アホ仕事中にコーラなんか飲めると思うなや」


提督「ええー」


龍驤「はいはい…電は何がいい?」


電「あの…ここは電が…」


龍驤「遠慮せんでええよ。疲れてるやろうちが入れてくるさかい何がいい?」


電「ありがとう…なのです。」


電「電は…牛乳がいいのです」


龍驤「牛乳か…たしか暁のやつのがたくさんあるからそれでええか」


龍驤「成分調整牛乳やけど大丈夫か?」


電「大丈夫なのです」


提督「あれまずいから砂糖かはちみつも持ってきてやれ」


龍驤「はいはい少々お待ちを~」

提督「なあ電そういやひとつ気になったんだけどさ」


提督「腰に下げてるランタン?は艤装…なのか?」


電「これは…」カチャ


提督「…おおっとすまん前のとこのことは極力聞かないルールだった…自分で決めてルールなのに」


電「…これは電にとって何かはわからないのです。大切なものでもないのに捨ててしまいたいのに」


電「電はこれを手放せないでいる…」


提督「…すまんやっぱり聞かないほうがよかったな」


電「電は気にしていないのです…それより何故聞かないルールなのですか?」


提督「…野良で行き着く艦娘はみんな訳ありだからさ」


提督「ここにはいろんな野良の艦娘がきたがどいつもこいつも戦争で傷ついて心に影のあるやつばっかだった」


提督「そいつらを救いたかったんだけどな…ダメだった」


提督「結局川内以外はみんな出て行っちまった…俺は無力だ」


電「そんなこと…ないのです」


提督「…電?」


電「少なくとも川内さんがここにいるってことは救われたってことなのです」


電「たった一人なのかもしれないけど…川内さんを救えたってことは…それは絶対に胸を張れる誇るべきことなのです」


提督「…電ありがとな」


電「それに出て行った人たちもきっと司令官さんのやさしさに感謝していると思うのです」


提督「電…」



川内『ばんごおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』ビリビリ



二人「「ビクゥッ」」

吹雪『い…イチ!』



暁『ニィ!』


川内『よーし揃ったな…これより草刈りを始める』


川内『返事は!』


二人『サーイエッサー!』



電「あの…あれは一体」


提督「川内は遠征行かない日はああやって駆逐艦の二人引き連れてなんかやってんのさ」


龍驤「せめてもう少し静かにして欲しいんやがな」


提督「せやな、ん龍驤おかえり」


電「おかえりなさいなのです」


龍驤「うむほらコーヒーや」シュワシュワ


電「あの…そのコーヒーすごく泡がはじけているんですが」


龍驤「炭酸入りのコーヒーなんや」


電(どうみてもコーラなのです)


提督「サンキュー龍驤愛してるぜ」


龍驤「はいはいそういうのは吹雪にいってやり」

提督「吹雪に言ったってウザがられるだけだろ」ハハ


提督「昔はあんなにしてってたのになぁ」


龍驤「いやいや今でもかなりしたっとるで」


龍驤「この間風邪ひいた時も半泣きで看病しとったで」


提督「あれお前じゃなかったのか」


龍驤「うむ吹雪があまりにも必死で看病しとったから入れんかったわ」


提督「じゃあなんでいつも小生意気な態度なんだ」


龍驤「さあ照れ隠しやないかな」


提督「なんだそりゃ」


電(本人が隠しておきたいこと言いまくるなこの人)


電(吹雪ちゃん…あわれなのです)



コンコン


提督「?…入っていいぞ」

吹雪「司令…官…」


暁「…」グス


提督「…どうした?」


暁「なにか怖い人たちが来ていて…」


吹雪「川内さんが司令官を呼んできてって…」


提督「川内は?」


吹雪「応接室に案内して…います」


提督「なんかひどい事言われたか?」


吹雪「いえ…川内さんがかばってくれて…」


暁「でも川内さんは…」


提督「わかった…ごめんな怖い思いさせて」ポンポン


吹雪「司令官は…悪くありません」グス


暁「…」グスグス


提督「龍驤こいつら部屋に連れて行ってくれ」


龍驤「了解」


提督「川内をここにこさせるから電は少し待っていてくれ」


電「…なのです」

応接室


提督「…待たせたな」ガチャ


市民「やっときたか」


市民「いつまで待たせるつもりだよこっちも暇じゃねんだよ」


川内「暇なら来なきゃいいのにさ」


市民「なんだその物言いは!?」


市民「俺たちの血税でくわせてもらっといてよ」


市民「この…」


  「兵器の分際で!!!!」

提督「…すまない川内下がってもらっていいか」


川内「はーい」ガチャ




提督「…で今日はなんのようだ」


市民「なんの用もなにも艦娘の解体のことしかないだろ」


市民「いつになったら解体すんだよこっちは戦後で資源がねえってのによ」


提督「その件だったらいつまた現れるかも知れない深海棲艦に備えて…」


市民「あれから半年だぞ?もう現れるわけねえだろ」


市民「それに鎮守府の管理から外れた艦娘たちが略奪行為をやってるって話じゃねーか」


市民「そうなる前にここもさっさと解体しちまえよ!」


市民「それかその野良艦娘と一緒に潰しあって轟沈しちまえばいいんだよ!」


市民「そりゃあ名案だ!」ハハハ


「「「「「ハハハハハハハハハハハ!!!」」」」」


提督「…何がそんなに笑える?」


市民「!?」ビクッ

提督「少女たちを殺せと言い合って何がそんなにおかしい?」


提督「俺たちの都合でうみだし…生まれて間もない少女たちに使命と義務を押し付け戦場にたたき出して」


提督「血に濡れ傷だらけの体でも俺たちを守り抜くと命を賭け戦い抜いて…その戦争が終われば用済みと処分しろと」


提督「何がそんなに笑えるんだ?」


市民「そ…それがどうした!?そんなこと綺麗事だ!」


市民「こっちだってきついんだよ」


市民「それにあんな姿でもあいつらは兵器だ!」


提督「兵器だからなんだあいつらには心はあるんだぞ」


提督「考えたことはあるか…広い海でいつ自分が死ぬかわからないなか昨日まで一緒に笑い合ってた仲間が沈んでいく恐怖を」


提督「そんな想いで守り抜いた奴らに[ピーーー]と言われることがどれぼど辛いことか」


市民「…」


提督「ここであいつらを解体していっちまったら俺たちは深海棲艦なんかよりもっとおぞましい存在になるんじゃないか?」

なんか[ピーーー]とかなっててワロタ

何を書いたかはまあ察してくれ

執務室


提督「…」ガチャ


龍驤「お疲れさん…電見なかった?」キョロキョロ


龍驤「川内もおらんし…ここ開けたらあかんて」


提督「…龍驤」


龍驤「なんや?」


提督「お前たちは一体何のために戦ってきたんだ」


龍驤「人たちを守るためやろ?」


提督「そうだよ…そうだよな」


提督「壊すためなんかじゃない…」


龍驤「…」


提督「なのになんで…」


龍驤「…はぁ、だからなんでうちら艦娘より熱くなるんや」





『兵器の分際で!!!!』



電「…」



『いつになったら解体すんだよこっちは戦後で資源がねえってのによ』



電「…」



『ここであいつらを解体していっちまったら俺たちは深海棲艦なんかよりもっとおぞましい存在になるんじゃないか?』



電「…電は」



川内「…」




電「…」コソー


電(電は司令官さんが思うようなものじゃないのです)


電(必要であればなんだって壊してきた…仲間であるはずの艦娘さえも)


電(ここにいたら迷惑がかかるし…いつか…)


電「…ここにはいられないのです」




川内「やあ、こんばんはおちびさん」


電「!?」


川内「どうしたんだい、こんな夜更けに」


電「あの…」


川内「…こっちに来なよ、星がきれいだよ」

電「あの…川内さん」


川内「流石に夜は冷えるね、コーヒー飲む?」


電「あ、ありがとうなのです」


川内「…夜は嫌いだなぁ、あの時のことを思い出すよ」


電「…」


川内「ここから出ようとしてるの?」


電「…」


川内「昼間のやつ聞いていたのかな」


川内「やめておきなよ艦娘っていうのは補給なしじゃ半月も持たないんだ」


川内「野良艦娘はよその鎮守府から資源を分けてもらうか略奪でしか補給できない…それか…」


電「…川内さん」


川内「知ってる?艦娘って解体すると少しの燃料と鋼材、弾薬しか残らないんだ」

川内「私ね前の鎮守府に捨てられた艦娘なんだ」


川内「あの日、私たちをいつものように出撃させた。その編成には駆逐艦もいた」


川内「目的地に着いてから、予定よりも多くの深海棲艦に遭遇した。」


川内「捨石だった…鎮守府の壊滅を防ぐための捨石だったと、そう気づいたのは艦隊が半壊してからだった」


電「…」


川内「傷だらけの体、何日も補給もせず鎮守府からの通信は途絶えた状態」


川内「生き残った艦娘たちも少しずつ数を減らした。そこでとった行動が…」


川内「沈みそうな娘を解体して、その燃料とかをみんなで分けた」


川内「最初は資源をたくさん使う戦艦や空母から…」


川内「最後の方は傷が深く助かる見込みの少ないものから解体していった…それが駆逐艦であろうと」


電「…それで最後に残ったのが」


川内「うん、私が生き残った。最後の一人になった…あの夜は暗くて寒くて惨めで…自分より小さな娘を犠牲にしていった罪悪感」


川内「…それでも私は、朝を迎えたかった」


電「川内さん…」

川内「この話をさ、司令官に話したらなんていったと思う?」


電「?」


川内「『それがどうした。戦争だからしゃーない』」


川内「『もしも自分がやってきたことに罪悪感があるなら、世界一駆逐艦に優しい軽巡になればいいのさ』」


川内「…何も知らないでそんなこと言うな、って思ったけどさなんかその言葉に少し救われた気がした」


川内「私がここを抜け出そうとした時、こうやって話してくれてさ」


電「…今の電のように?」


川内「うん、私は何があったかは聞かないけどさ…自分なりに自分を許せる方法を見つけたらいいと思うよ?」


電「自分を…許す」


川内「ふぁー、眠い…私はもう戻るね」

川内「明日は私が朝ごはんを作るよ、何が好き?」


電「え?」


電「電は…なんでも…」


川内「なんでもが一番困るんだよね…んーじゃこうしようパンケーキが好きだということにしよう」


川内「明日は電のためにたくさんパンケーキを焼いてあげるよ」


川内「そしてさ明日の朝一緒に食べようよ!」


電「…川内さんは、なんで」


川内「そりゃ私は世界一駆逐艦に優しい軽巡だからね!」フフン


電「フフフ…ありがとうなのです」


川内「じゃあ早めに寝なよー」ヒラヒラ








電(電にはまだ自分を許す方法がわからない)


電(だけど川内さんの言葉に救われたような気がするのです)

どうあがいても瑞鶴が出せそうもないんでおまけで出す




―子供たちを集めて、機械の体に改造し



電「…どうしよう、瑞鶴さん」

電「電、司令官さんに嫌われちゃった…。」


条件付けと呼ばれる洗脳を施し


瑞鶴「そんなことないって…よし、私と大淀の部屋で一杯やろう!」

電「いっぱい?」


深海棲艦と戦う組織が存在した。


瑞鶴「紅茶とケーキには幸せの魔法がかかってるの」


血に汚れた手で少女たちは―


瑞鶴「私が嫌いなのはあなた達みたいな自分勝手な大人たちなの!」


電「自殺なんてしないのです。だってこんなに大切にされているのですから…」


皐月「こんな時なんて言えばいいのかな……ああそうか、ごめんね」


夕立「おじさんは、パスタ好き?」


大淀「自分でもどうしてこれが大切なのかわからないんですよ」


救いのない世界に何を見るのか


金剛「くそったれの提督!!このわからず屋!どうして信じてくれないの!?こんなに…愛してるのに」


少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ





WARSHIPGIRL.

タイトルの後に煽り文句つけほうがおしゃれだったな

やり直しきかんのがつらいところよな



暁「…起きて!電!」


電「う、うーん」ムニャムニャ


暁「電、起きて!」


電「…暁ちゃんおはようなのです。」


暁「おはよう…それより川内さんが」


電「川内さんがどうしたのです?」


暁「パンケーキを永遠と製造し続けているの、たすけて!」


電「!?」




川内「おー、おはよう」


龍驤「」


提督「」


吹雪「」


暁「遅かった…」


電「はわわ、このパンケーキの数は」


川内「たくさん焼いたよ」ニコニコ


電「モグモグ…おいしいのです」


暁「おいしいけど…量が」


川内「んー素敵な朝だねぇ。朝はいいよね、朝は」

提督「うぷ、今日の予定は…」


川内「今日はおちびさんと遠征だね!」


龍驤「あーそれなんやが」


提督「実はあの件で書類が昨日の分も残っていてな」


川内「あーうん」


提督「すまんな」


川内「しょーがないね、草刈もまだ終わってなかったし」


吹雪「今日までお休みですね」


ジリリリリリリ


暁「暁がとるわ!」パタパタ



暁「はぁい↑こちら岩永鎮守府ですぅ↑」


提督「なんだあれ」


吹雪「大人の女性の電話対応だそうです」


龍驤「声を無理やり上げとんな」


提督「ありゃ大人の女性というより、よそに電話する時のおかんだな」

暁「はい…はい…司令官お電話よ」


提督「誰からだ?」


暁「さぁ?」


提督「さぁっておまえ…まあいいや」


提督「はい、お電話変わりました。岩永鎮守府提督です。」


?『やあ、はじめましてかな?』


?『私は金剛型二番艦比叡…野良艦娘です』


提督「…」


比叡『実は資源不足に困っていて、そんな時ここの鎮守府を見つけまして』


比叡『こちらには戦艦が私含めて2隻、重巡が1隻、軽巡が1隻いましてその分の資源を分けて欲しいのですが…』


提督「…補給したらどうする。ここに置いといてやってもいいぞ」


比叡『いえいえ気になさらず、補給させていただいたらそのあとは…』


比叡『街の人を始末し破壊活動を行います。』


提督「!?」


比叡『そちらの鎮守府にわたしたちを置くと迷惑が掛かってしまいます』

比叡『あ、別にそちらに危害を加えるつもりはありませんので』


比叡『岩永鎮守府の司令は我ら艦娘の境遇の理解者ということを聞いていますので、敬意というか感謝というか』


提督「こっちが資源の援助に応じなかったら?」


比叡『その時は残念ですが、無理やり奪わせていただきますね』


比叡『そっちの保有艦娘のことは知っていますよ。現役を退いた軽空母、夜戦嫌いの軽巡、戦闘経験皆無の駆逐…抵抗は無駄だとわかりますね?』


比叡『素直に応じてくれることを期待しています。できれば私たちの理解者を私の手で消させないでください』


比叡『では夕方過ぎにはそちらに向かいますので、準備の方よろしくお願いします』ガチャ


提督「…」


龍驤「誰からやったんや?…まあ顔見る感じいい相手ではないようやな」


提督「…どうやら今日も書類の整理もできそうもないな」

扶桑「どうでしたか?」


比叡「うーん」


天龍「しっかしなんでまたこんなことを」


摩耶「こんな回りくどいことしないで全部力尽くで奪っちまおうぜ、今までそうしてきたようにさ」


比叡「まあ奪おうと思えばすぐですが、それじゃダメなんです」


比叡「それだけじゃつまらない…あそこの司令は気に入らないんですよね」


比叡「人情派だの艦娘を救いたいだの人間のクセに…」


摩耶「…」


比叡「だからその心まで奪い尽くしてあげるんです」


比叡「追い込まれ、街の人間を見捨てさせ、その罪悪感と十字架を背負わせ生きる苦しみを与える」


比叡「そして証明するんです…人間はロクデナシのクズばかりと」


扶桑「比叡さん…」




金剛『比叡…ワタシが沈んだあともどうかテイトクの愛した、守りたかったこの世界を…どうか…』



比叡「金剛お姉さまこんな世界救う価値なんか…」ギュッ

龍驤「…まずいことになったな」


提督「こっちの戦力はわかっているだろうし」


龍驤「どうするんや」


川内「戦うしかないよ、街の人を見殺しにはできない」


吹雪「…助ける必要はあるのでしょうか」


暁「街の人たちいつも暁たちに嫌がらせしてくるし、昨日だって川内さんにもひどいことを…」


提督「…」


吹雪「嫌われてる人のために命を懸けるなんて…」


提督「吹雪、俺たちの役目はなんだ」


吹雪「深海棲艦を倒すこと…?」


提督「違う、人を守ることだ…例えそれが艦娘からであろうと」

電「でも…相手には戦艦もいるのです。こちらの戦力では」


提督「まあ無理だろうな、安心しなよ駆逐艦のお前らは逃がしてやるよ近くの鎮守府に匿ってやりな」


暁「やめてよ、暁たちだって…」


提督「戦闘経験ないだろ…いったらまず狙われるぞ」


龍驤「まあうちらに任せときな」


電「待つのです。戦艦とやり合うなんてまともじゃないのです。」


川内「それでもやらなくちゃいけない時もあるんだよ。」


吹雪「司令官はどうするのですか」


提督「交渉にでも行こうかな、まあダメだろうし殺されちまうだろな」ハハハ


吹雪「やめてください!」


吹雪「なんでそんな簡単に命を捨ててしまうんですか!?戦争だってもうとっくに終わった時代に」


吹雪「司令官のいなくなった世界を私に生きろというのですか?司令官を見捨てて生き残れっていうのですか」


提督「吹雪…」






電「…」ガチャ


龍驤「…電?」

龍驤「どこにいくんや電?」


電「自分を許す方法がわかったような気がするのです。」


龍驤「?」


電「龍驤さんここの周辺の地図はありますか?」


龍驤「あるにはあるけど…」ペラッ


電「この辺に使われてない停泊地とかありますか」


龍驤「それならこのあたりかな」


龍驤「…電、まさか」


電「電に任せるのです。」


龍驤「戦艦とやり合うのはまともじゃないんやなかったか?」


電「エエ、マトモジャナイ…ノデス」ボソッ


龍驤「!」ゾクッ


『大丈夫なのです!任せるのです』


龍驤(…結局そのまま行かせてしまった)


龍驤(それにしてもあの時の電は…)


『マトモジャナイ…ノデス』


龍驤(あの目…腰に下げた禍々しいランタン……まさか…な)


龍驤「ええい!こんなことしてる場合やない!うちもいくで!!」

扶桑「抵抗してきますかね」


比叡「どうですかね」


天龍「俺としては来て欲しいんだがね」


摩耶「おいおいこっちは資源が枯渇してるってのによ」


摩耶「まあ来て欲しいんだけどな」


比叡「油断は禁物です。あそこにはあの鎮守府の龍驤がいるんです。」


摩耶「つっても戦時中に負傷して力も半減している、今やただの木偶さ」


扶桑「それよりも気になることは、あの噂が…」


比叡「このあたりにいた野良艦娘のグループが全滅した話ですね」


天龍「あのグループそこそこ強いはずだったのにな」


摩耶「あれを壊滅させるなんていったら結構な艦娘を出さねえと無理だぜ」


比叡「こんな辺境にそれだけの艦隊を寄越すはずはないのですが」


扶桑「ええそのはずです…それであの噂が」


扶桑「戦場のあの御伽噺です。」



     ズドオオオオオオオオオンン

一同「!?」

天龍「きたか」ニヤッ


摩耶「どれ、蹴散らしてくるか」


比叡「油断してはいけないですよ」



天龍「大丈夫だって…それにしても煙いなこりゃ」ケホケホ


摩耶「煙に紛れるつもりか」


天龍「爆風で吹き飛ばすか」カチャ


天龍「あ?」


    ズドン


摩耶「天龍!?」

比叡「なんの音です!?」


摩耶「天龍が!天龍がやられた!」


比叡「そんな一撃で!?」


扶桑「まさか…」


摩耶「くそっ、どこにいる!ぶっ潰してやる!」


摩耶「姿を現しやがれ!」カチャ


   ズドン


比叡「摩耶!?」


扶桑「ひ…比叡さん…あれ」



比叡「蒼い…光…?」

扶桑「あいつらです…あいつらが来たんです。」



戦場のお伽噺だ

たとえその瞳を灼かれても

たとえその腕をもがれても

奴らは、決して歩みを止めない



扶桑「比叡さん!ここは逃げませんと、相手が悪すぎます!」



“死沼へ誘う鬼火(ウィル・オー・ウィスプ)”に導かれるまま
“保身なき零距離砲撃”を敢行する



比叡「でもやつは二人を!」



生を棄てた跫音

死を生み散らす銃爪

奴らは、蒼い鬼火と共にやって来る――



扶桑「でもこのままじゃ私たちも!」カチャ


“901”対戦艦猟兵部隊(Anti Battleship Trooper)

『命を無視された艦隊(ゲシュペンスト・イェーガー)』


ズドン


比叡「扶桑…さん…?」

艦隊は英語だとフリートらしい

ゲシュペンストフリートだと語呂が微妙に感じたから名前は変えずイェーガーのままにしたよ

比叡「煙が…はれて…」カチャ


電「…」


比叡「駆逐艦一隻にここまで…やはりあの噂は本当だったようですね」


電「…」ガチャ


比叡「お姉さま…ごめんなさい…」



龍驤「まちや!電!」



比叡「!?」ビク


電「…リュウジョウ…サン?」


龍驤「川内、こいつら鎮守府に引っ張って行き!今入渠させればまだ間に合う!」


川内「はいよー」


電「…」ガシャコン


提督「ハァハァ、お前ら…はええよ…」


比叡「…何しに来たんですか」


提督「ハァハァ、お前らを…止めに来た」

比叡「止めに…来た?」


提督「ああ」


比叡「なんのつもりですか…この偽善者」


比叡「人間のくせに…艦娘の味方のつもりになって」


比叡「自分の罪滅ぼしに艦娘を使うなんて」


提督「…」


比叡「人間たちが…本部の連中が私たちにどんなことをしてきたか」


比叡「仲間も姉妹も自分たちの居場所さえも失って…それでも戦い続けてきた私たちを今度は解体しろと」


比叡「私たちは一体なんのために、誰を守るために戦ってきたんですか!」


提督「…すまない」


比叡「だから今度は私たちが人間たちを…」


提督「やめるんだ…そんなことをしたら、お前ら深海棲艦と何も変わらないじゃないか」


比叡「じゃあどうしろって言うんですか!?」

比叡「人と仲良しこよし復興の手伝いでもしろと?」


比叡「わたしたちを捨てた奴らのためにまだ働けと」


提督「…すまない。今はそれしかないんだ」


比叡「ごめんですね。…さっさとわたしを解体してください」


比叡「駆逐艦…電さんさっきみたいにわたしも撃ち抜いてください。それか工廠で解体してください」


電「…」スッ


提督「だめだ。電にはもうだれも壊させないし、お前も解体させない」


提督「これ以上この戦争の犠牲になるな」


電「司令官さん…」


比叡「なぜ…なぜなんですか艦娘のことなんか見捨ててしまえばもっと楽に生きられるのに」


比叡「…あなたは人間なのに」


提督「おまえらと生きたいからに決まってるだろ」


比叡「!」




比叡『お姉さまこの戦いが終わったら私たちはどうなるのでしょうか』


金剛『そりゃあもうテイトクとケッコンカッコガチをして素敵な新婚生活を…』


比叡『いえ、そうではなくてですね。私たちは兵器なんですよ?』


金剛『それはそうですけど。それが一体どうしたのデス?』


比叡『兵器と人間が一緒に暮らせるなんて…』


テイトク『そんなの関係ないね』


金剛『Oh!テイトク!』


比叡『あ、おはようございます』


テイトク『たしかにお前らは一般的に兵器なのかもしれないが、おれはお前らを兵器としてみたことはないぞ』


比叡『え?』


テイトク『お前らはみんなおれの家族なんだ。戦争が終わったらおれがみんな養ってやるよ!』


金剛『テイトク、オットコマエー!』


テイトク『よせやい//////』


比叡『なんで…あなたは人間ですよ?きっと楽な道ではないはずです』


テイトク『だから関係ないっての…』


テイトク『おれはおまえらと生きたいんだ』



比叡(そう言って明るい未来を夢見て馬鹿みたいに笑っていたあの人たちは、わたしを置いていっちゃいましたね)




提督「比叡…おれはまだお前たちに何もしてやれてない」


提督「でも…おれ、がんばるから」


提督「がんばって一日でもはやく復興して、艦娘のこと世間に認めさせて」


提督「人間と艦娘が一緒に生きていけるようにがんばるから…だから」


提督「それまで、生きていて待っていてくれないか。人間を見限るのもう少し待っていてくれないか」


比叡「あーあ…人間ってほんとに」


比叡「人間てほんとに自分勝手ですね」ボロボロ


提督「…比叡」


電「…」

提督「ふー、何とかなったな」


龍驤「おつかれさん」


提督「うむ、電もおつかれな」


電「あの…電は…」


提督「電は強いなー、遠くからしか見えなかったが」


電「何も…聞かないのですか?」


提督「聞かないさ…言っただろここは過去を聞かないルールなのさ」


提督「お前がなにものだろうが俺たちは全てを受け入れるよ」


電「きっと後悔するのです。」


提督「お前を見捨てたほうが後悔する」


電「…」


龍驤「ま、そういうことや。さっさと鎮守府に帰ろうや」


提督「そうだな。帰ろう」



その日も電はあの夢を見た。
今まで何百回と見てきておそらくこれからも見ていくであろうあの悪夢だ


しかしその夢に少しだけど変化があった。


怨念に陵辱される中で光が差し
提督や川内、龍驤たちが手を差し伸べてくれる。

ほんの少しだけ救われたような気がした。



龍驤「…ま…電!おきろや」


暁「電、起きて!」


電「…ん。おはようなのです」


龍驤「はよう。おきてや」


暁「川内さんがまたパンケーキを大量に作って。吹雪と司令官が気を失いかけてるわ!」


電「はわわ、それは大変なのです。すぐに行くのです。」


龍驤「先に行ってるから、着替えてから来てな!」


電「わかったのです。」









電(電にもできること…自分を許す方法が見つかったのです。)



おわり



提督「そいつは強い艦娘だと思っていた…不屈の精神の持ち主だと思っていた。だけど違う…あいつは…!」



川内「一体何人救えば提督さまの合格はもらえるんですかねぇ!」



暁「チンジュフ・シザーズ!」



電「どう生まれたかじゃない、どう生きるかなのです。」



夕立「カラダカラ、サムサ…アタタカサキエタ。ココロカラモ、アタタカサキエタ。ナノニサムサダケキエナイ」



吹雪「どうして、大丈夫ですかって言葉よりも。化物って言葉が先に出てしまうのでしょうか」






龍驤「億さぬならばかかってこいや!」




続かない

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年01月10日 (火) 21:47:59   ID: sZamPpO-

パンプキンシザーズですね。

2 :  SS好きの774さん   2017年01月26日 (木) 18:40:11   ID: FUR9suMj

きゅ……九番台は無理があるんじゃ……


いや、パンプキンシザーズ大好きなんで応援してます

3 :  SS好きの774さん   2017年02月10日 (金) 06:48:14   ID: Cm6ZeV_n

命を無視された って頭悪そうな表現だな

4 :  SS好きの774さん   2017年02月16日 (木) 19:39:43   ID: 5yKc383T

>>3

漫画だとゲシュペンスト・イェーガーだったな

まぁ、さすがに忌み嫌われた9番台なんて言ったら大日本帝国海軍の武器やら何やら全否定になる気がするけどね

第9駆逐隊とか第9戦隊とかあるけど…

5 :  SS好きの774さん   2017年02月16日 (木) 19:45:14   ID: 5yKc383T

でもどうやって9番台をうまく話に繋げてくのは楽しみでもある

6 :  SS好きの774さん   2017年02月27日 (月) 22:25:27   ID: 1cCAQ2ex

次はガンスリンガーガールだ、両方好きだから良いけど、地味に面白いですし。

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