【安価・コンマ】あなたの歩む旅路【FGO】 (128)


 それはマスターが歩む旅路――即ち、希望の物語。
 それは少女が進む旅路――即ち、勇気の物語。
 それは数多のサーヴァントが紡ぐ旅路――即ち、絆の物語。
 それは幾多の人々が育む旅路――即ち、愛の物語。
 それは那由多の歴史を巡る旅路――即ち、ヒトの物語。

※ここはスマートフォンアプリ【Fate/Grand Order】を題材としたスレです。
※安価とコンマで遊びながらストーリーを追体験していくことを目的としているため、ネタバレが多分に含まれます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483335679


アナウンス『――塩基配列 ヒトゲノムと確認』

アナウンス『ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。ここは人理継続保証機関、カルデア』

アナウンス『指紋認証 声帯認証 遺伝子認証 クリア』

アナウンス『改めて確認する事項が幾つかあります。お答えください』

あなたは男性or女性?

安価↓


貴女「女性、だね」

アナウンス『確認しました』

アナウンス『次に、貴女のフィジカル・魔術回路を測定させていただきます』

アナウンス『スキャンを開始致しますので、少々お待ちください』

貴女(スキャンでわかるものなんだ……)

フィジカル(身体能力) コンマ一桁測定 高いほど優秀 0でスペシャル
↓1

魔翌力回路(魔術師としての腕) コンマ一桁測定 高いほど優秀  0でスペシャル
↓2

z

魔術回路

※いきなり間違えた。魔術回路です。失礼

>>5 フィジカル:5 平均的な身体能力。こもりがちな魔術師としてはそれでも優秀だろう。

>>6 魔術回路:8 非常に優秀な魔術師である。名家の生まれかそれとも突然変異か……・。

アナウンス『霊長類として平均的なフィジカルですが、多くの魔術回路を確認。あなたはカルデアであっても優秀なマスターになりそうですね』

貴女「……どうも」

アナウンス『最後の行程です。貴女は運命を信じますか?』

貴女「運命……」

選択肢

1:信じている
2:信じていない
3:まだわからない

安価↓

3

>>8 選択:3

貴女「まだわからない、かな」

 そう感じたこともあるかもしれない。そう感じたこともないかもしれない。

 そうだと確信したことがない。運命と言われても、ピンと来ないのがわたしとしての所感だ。

アナウンス『――霊器属性 善性・中立と確認』

アナウンス『以上で行程は完了です。貴女を霊長類の一員である事を認めます』

貴女(……どういうことよ、それ)

 今の今まで人間であると認められていなかったのかと、アナウンスの発した言葉にムッとする。

 アナウンスはそんなわたしの心情など知るはずもなく、淡々と音声を紡ぐ。

アナウンス『はじめまして。貴女は本日、最後の来館者です。どうぞ善き時間をお過ごしください』

――――――――――――

―――――――――

――――――

――――

――




パーソナルデータ

名前:貴女
属性:中立・善
フィジカル:5 平均的な身体能力。こもりがちな魔術師としてはそれでも優秀だろう。
魔術回路:8 非常に優秀な魔術師である。名家の生まれかそれとも突然変異か……・。

所持補正

優秀な才能:魔術師としての才能を持つ。魔術を使った判定に+1の補正を得る。

――――――――――0――――――――――――

          Fate/Grand Order

            序章 開始

――――――――――0――――――――――――




 何かの鳴き声と、頬を舐められたような感覚で意識を覚取り戻す。

貴女(冷たい……)

 そして遅れてきた、冷えていて硬い感触。瞼を開けば、自分が床でうつ伏せになっていることに気がついた。

 頭に走る鈍痛と、少しだけ感じる倦怠感を押しのけて体を起き上がらせる。

 すると、目の前には――

「……あの」

 メガネを掛けた少女が、わたしを心配そうに見下ろしていた。

「朝でもなければ夜でもありませんから、起きてください、先輩」

貴女「……・先輩?」

 いきなりそう呼ばれたせいか、脳内に疑問符が生じる。

 わたしは彼女の事を見たこともないし、先輩と呼ばれる覚えもない。なにせ、このカルデアに来たのは今さっき、昨日の今日という話でもないのだ。

貴女「えっと……」

 混乱していても仕方ないし、ハッキリとしてきた記憶を整理するように目の前の少女に色々と尋ねてみることにしよう。

選択肢

1:君は誰? なんでわたしが先輩?
2:ここはカルデアだよね? 君はここの職員?
3:そこのリスみたいな動物は……?

安価↓

1

>>12 選択:1

貴女「君は誰? なんでわたしが先輩?」

「……」

 尋ねてみれば、彼女は悩むような表情を浮かべ、默してしまった。

 わたしは何かおかしな事を聞いただろうか。一度に二つの質問をしてしまったのがいけなかったのだろうか。

貴女「えっと、答えられない事情でもあったのかな。だったら、ごめんね?」

 こんな雪山の奥に存在する施設だ。もしかしたら、そういうこともあるのかもしれない。 

「ああ、いえ、名前はあるんです。あるのです、ちゃんと」

貴女「あ、そう、そうなの」

「でも、あまり口にする機会がなかったので……印象的な自己紹介ができないというか……」

 少女の継いだ言葉に、杞憂だったと胸を撫で下ろす。お茶目、なのかな?

貴女「普通に自己紹介してもらって大丈夫だから」

「先輩がそうおっしゃるなら」

 わたしの進言に、彼女は微笑んでそう言った。

マシュ「マシュです。マシュ・キリエライトといいます」

貴女「マシュ……マシュね。わたしは貴女です」

 自己紹介を交わして、右手を開いて差し出す。マシュは驚いたのか、一瞬だけ目を見開くがすぐに笑みを浮かべて、

マシュ「はい、よろしくお願いします、先輩」

貴女「よろしくね」

 わたしの手を握る。うん、そうそう、挨拶したら握手で第一歩よね。


 それから、マシュからフォウというわたしの意識を呼び戻したリスのような不思議生物――マシュ曰く、カルデアを自由に散歩する特権生物――の紹介がされた。

「フォウ」と鳴くからフォウさん。マシュはこのフォウさんに誘導されて、わたしを発見したらしい。

 彼(?)はわたしの掌とか肩とかに乗ったあと、自由奔放にどこかへ行ってしまったが。

マシュ『おめでとうございます。カルデアで二人目の、フォウのお世話係の誕生です』

 と、マシュに笑顔を浮かべてそう言われた。その理由だが、フォウさんは今までマシュ以外にはあまり近寄らないらしい。わたしは気に入れられたようだ。

 まぁ、可愛いし……ああいう小動物は嫌いじゃない。だから、むしろ歓迎と言えるだろう。

貴女「それで、マシュ。なんでわたしが先輩?」

マシュ「それは――」

「ああ、そこに居たのかマシュ。だめだぞ、断りもなしに移動するのはよくないと……おっと、先客がいたんだな」

 ようやく、最初の質問の二つ目を答えてもらえようとした時、ふさふさとした癖の強い長髪を持つ、緑を貴重とした服装の紳士が横から声を掛けてきた。

 タイミングが悪いとは思ったけど、この紳士はマシュの知り合いのようだ。口ぶりからして、彼女を心配して探しに来たのだろう。

 彼はわたしの顔をまじまじと見ると、ひとり納得して口を開く。

「君は……そうか、今日から配属された新人さんだね」

 紳士はレフ・ライノールと名乗り、このカルデアで働く技師のひとりだと自己紹介をしてくれた。

 わたしがソレに返すと、レフさんは「招集された48人の適正者、その最後のひとり」という言葉を口にした。

レフ「ようこそカルデアへ。歓迎するよ。それで、君は一般応募のようだけど、訓練期間はどれくらいだい?」

わたし「えー……っと」

選択肢

1:ご想像におまかせします
2:しっかり、とだけお答えします
3:……実は
4:その他(内容明記)

安価↓



 



4 4時間くらいです、車の免許取るより短い時間ですが

※貴女の明記がわたしになってた。

>>15 選択:4

貴女「四時間くらいです、車の免許を取るより短い時間ですが」

 実際、それくらいだろう。訓練時間としては、付け焼刃と言うしかない。備え付けの知識はないわけじゃないけど……・。

レフ「最短の三ヶ月でもなく、数時間か……」

 淡い希望で素直に答えてみれば、レフさんは訝しげに眉をひそめて言う。

 そうよね、こんな隠してますと言わんばかりの場所に来る人間が、数時間の訓練ではい、頑張ってとはいかないよね。

レフ「ああ……そういえば、数合わせに採用した一般枠があるんだった」

 数合わせ。その言葉になんで自分がここにいるのか、その理由を知る。

 そうよね、ええ、そう。入館する前にアナウンスさんが『優秀なマスター』になるって言ってくれたけれど……。

 所詮は、数合わせ。偶然、てきとうに、手頃に選ばれた存在。それがわたしがここにいる理由なのか。

マシュ「大丈夫ですよ、先輩。そんなに落ち込まないでください」

貴女「マシュ……」

レフ「マシュの言うとおりだ。配慮に欠けた質問をしたことを、謝罪させてくれ」

 そう言われても、となる。実際、わたしは此処がどういう施設なのかすらわからないのだ。それはつまり、説明の必要もない存在なのだから、だろう。

 いや、これは穿ちすぎた見方か。いけないいけない、これじゃあ空気が悪くなってしまう。

レフ「けど一般枠だからって悲観しないでほしい。今回のミッションには、君たち全員が必要なんだ」

 レフさんが言うには、魔術の名門から38人、才能ある一般人から10人。合わせて48人のマスター候補が集められているらしい。

『量子ダイブ』という単語に首を傾げそうになったが、我慢した。




 それから、レフさんにわたしとマシュが此処で何をしていたのかを説明した。

 というか、わたしは正面ゲート前の通路(ここ)で熟睡していたのか……。

 最初に見つけてくれたのがマシュでよかった。これがレフさんだったら、悲鳴をあげていたかもしれない。これは胸に秘めておくことだが。

レフ「さては入館時にシミュレートを受けたね? 量子ダイブは慣れていないと脳にくる」

 その言葉に、そう言えばと思い出す。誰かもわからない人たちに指示を出しながら、仮想敵らしい何かと戦っていたような気がする。

……そうだ、サーヴァントだ。たしか、そういう存在を使役するのがマスターと呼ばれる魔術師で、わたしにもその適正があって。

 その量子ダイブというのに慣れていないせいで、わたしは一種の夢遊病患者よろしく無自覚にここまで歩いてきて、眠ってしまったようだ。

 恥ずかしい。やっぱり最初に見つけてくれたのがマシュでよかった。うん、よかった。同じ女の子だもの。

 それから、レフさんにこのカルデアの所長による説明会があるという話を聞く。

 万が一ということもあり、医務室には向かった方が良いらしいが――それよりも説明会を優先するべきだと言われた。

 ここの所長は神経質な人らしく、ここで遅刻でもしたら一年は睨まれるとはレフさん談である。

 説明会のある管制室までマシュとレフさんが案内してくれるということで、移動中に何度も聞き逃していた質問をすることにした。

貴女「そろそろ聞きたいんだけど……」

マシュ「あ、そうでしたね。私が何故、先輩を先輩と呼ぶか、でしたっけ」

 そうそう、と頷くと興味ありという風にレフさんが興味を示してくる。

レフ「そんな質問をしていたのかい? そう言えば、マシュがはっきりと『先輩』と口にするのは初めてのことだよね」

貴女「そうなんですか?」

 わたしの問いに、レフさんはマシュにとってわたしぐらいの年頃の人間はみんな先輩なのだと答える。

 言っていてその理由が気になり始めらしく、彼はマシュに理由を教えてほしいと催促した。

マシュ「……先輩が今まで出会った人の中でいちばん人間らしいからです」

 それはつまり、とレフさんが相槌を打つ。

 マシュはわたしに脅威を感じず、敵対する理由が皆無だからと言った。

 二人の会話を聞くに、このカルデアに居る人間は癖の強さが一際のようだ。

 レフさんはマシュに賛同を示し、わたしといい関係が築けそうだと言うけれど……。

選択肢

1:「そう、ですね。わたしも、そうなれればと思います」
2:「そうですか? わたしは、なんとも言えません」
3:その他(内容明記)


書き忘れた。安価↓

>>21 選択:1

貴女「そう、ですね。わたしも、そうなれればと思います」

 マシュともそうだし、レフさんがそう言ってくれる以上わたしはその言葉に応えたいと思う。

 そもそも、わたしに何が出来るかはわからないけれど……。

貴女(助けてもらったし、案内してくれてる。その恩もあるし、ね)

 マシュが居なければわたしはあのまま正面ゲートの前で寝たままかもしれないし、レフさんが居なければ説明会っていうのにも行けなかっただろう。

 だったら、彼らは恩人だ。心の中で、これからの未来に少しだけ浮かれる。

マシュ「……レフ教授が気に入るということは、所長が一番嫌うタイプの人間ということですね」

 不意に呟いたマシュの言葉に、説明会に向かう気持ちが少し萎えたというか、恐ろしくなったのは秘密である。




 頭が朦朧とする。眠気が鋭く瞼を突き刺し、わたしの視界を奪おうとしている。

 が、目の前に居る少女――オルガマリー・アニムスフィア所長の説明会が始まった今。

 この眠気に打ち克たなければ、なるまい。

オルガマリー「あなたたちは各国から選抜、あるいは発見された稀有な――」

 あ、ヤバイ。これ、ヤバイ。このままだと、完全に意識が持っていかれるかも。

オルガマリー「――」

 オルガマリー所長が何やら言葉を発しているが、それも耳に入らない。このまま、だと……。

選択肢

1:マシュに頼る
2:レフに声をかける
3:開き直って居眠りする
4:その他(内容明記)

安価↓


>>24 選択:1

貴女「ごめん、マシュ……限界、かも」

 流石にこのまま居眠りするのは気が引ける。意識が落ちる前に、マシュを頼ることにした。

マシュ「シミュレーターの後遺症ですね。すぐに医務室へお連れしたいのですが……あの……」

 申し訳なさそうにそう言った彼女の視線は、わたしの肩を越えて奥の方を向いている。

 それに倣って、後ろを向く。そう言えば、わたしの座っていた席は前の方だった。そして、マシュは隅っこで見学しているような立ち位置に居る。

貴女(……やばい)

 それはつまり、まぁ、言ってしまえば、マシュに頼ろうと思った時点で前の席から立ち上がったということで。

 そこから導き出されるのは、説明している所長の話を無視して、フラフラとその前を歩いたということで。

 背中に刺さるような視線を、わたしは今気付いたわけで。

オルガマリー「……何か言いたいことはあるかしら?」

 振り向いてみれば、こめかみに青筋を浮かべた所長が仁王立ちしていた。

 冷や汗がダラダラと流れる。弁解の余地など、わたしにあるはずもなく。

オルガマリー「出て行きなさい」




 フォウさんを抱きしめるようにしながら、わたしは個室のベッドに座っていた。

 この個室は前もって用意されていたらしく、追い出されて眠気が覚めたあと、マシュに案内してもらったのだが……・。

Dr.ロマン「うん、つまりボクは友人の部屋に遊びにきたって事だ! ヤッホゥ、新しい友達が出来たぞぅ!」

 目の前で呑気に笑っている青年――Dr.ロマンになんて言葉を掛ければ良いのか戸惑っていた。勝手に友達認定されても困るというか、なんというか。

 Dr.ロマンとは彼の愛称で、本名はロマニ・アーキマン。愛称で呼んでくれと、先に交わした自己紹介で言われたのでわたしもドクターと呼ぶことにする。

 さて、ドクターが何故この部屋にいるかと言えば、わたしがこの部屋に入った時点で既に居たからだ。

 彼も所長から叱咤を受けて待機中であり、つまりはわたしとご同類らしい。

 ドクターは医療部門のトップらしく、正直現場でやることがなかったそうだ。そんな現場にドクターが居ると空気が緩むと、追い出されたと。

 一緒かどうかと言えば、わたしはやむおえない事情(と言えなくはないと思いたい)があってのことだし、ドクターの同類とは言いたくはないのだが。

 まぁ、うん。悪い人ではないと判断したから、部屋から追い出すことも出来ず。フォウさんを抱えて、彼の話を一方的に聞くスタンスを取っているわけで。

フォウ「フォウ! フォウフォーウ!」

Dr.ロマン「え、なんでボクのほうを見て鳴いてるの? ご飯がほしいとか?」

フォウ「……フゥ」

貴女「どうやら、違うみたいですよ」

 何を求めているのかはわたしにもわからないが、なんとなく意思をもっているような気がする。

 ドクターは難しい顔をしていて、わたしの顔をマジマジと見てくる。

Dr.ロマン「君はまだここに来たばかりだよね。何か聞きたいこととかないかい?」

貴女「え、っと」

Dr.ロマン「ほら、さっきまでボクは自分のことばかり話してたからさ。君とちゃんと会話したいなー、なんて」

 彼はそう言って、後頭部をかきながらニヘラと笑って見せる。人懐っこい笑顔だった。

 どうやら、彼はわたしとの会話を――質疑応答でもしたいらしい。しかし、なら、何を聞こう。少し考えて出てきたのは……。

選択肢

1:カルデアについて
2:マシュについて
3:レフについて
4:所長について
5:その他(内容明記)

安価↓

※ご飯抜けしてきます

5ドクターは彼女は居ますか?、もし居ないなら私立候補しても良いですか?

再開します

>>27 選択:5

貴女「ドクターは彼女は居ますか? もし居ないなら、わたし。立候補しても良いですか?」

 なんて、からかうように尋ねてみた。正味、初対面の相手になんて質問をしているのか――とも思うが。

Dr.ロマン「うぇぇええッ――!!? 待って待って! そんないきなりで脈絡もない質問するかい!?」

 こう、飛び上がって綺麗にリアクションされると、少し面白くも感じる。

 というか、わたしも少なからず言った後恥ずかしかったが、彼のリアクションが思ったよりも良くて胸の奥をくすぐられるような気持ちになった。

 なので、

貴女「どうなんですか、ドクター」

 調子に乗って、そんな催促みたいな言葉を掛けてしまう。

Dr.ロマン「彼女って言われても、ボクにそんな相手が居るように見えるかい!? あと、大人をからかうのはやめなさい、やめなさい」

貴女「じゃあ、ドクターには彼女がいないと?」

Dr.ロマン「そうなるけど! そうなるけどさ! ボクにはこう、裏切れない相手がだね……」

フォウ「フォーウ……」

Dr.ロマン「あ、あれ。噂の怪生物にまでボクを憐れみの目で見ているような……」

 フォウさんのドクターに向ける視線が、とても生暖かいような気がした。

 しかし、彼の裏切れない相手とは誰だろう。少し気になる。

Dr.ロマン「……ゴホン、と・に・か・く。ボクに彼女はいないけど、立候補されても困るという話だ。あれだよ、一応言っておくけど、ボクなんて碌でもない人間なんだからね」

貴女「いやいや、そんなそんな」

 わたしもからかっていると認めるが、それでも真面目にドクターの見た目は悪いわけではない。むしろ、好青年と言えるルックスだ。髪の毛がふわふわでてきとうなセットをしているみたいだけど、

間違って途中送信した。

 わたしもからかっていると認めるが、それでも真面目にドクターの見た目は悪いわけではない。むしろ、好青年と言えるルックスだ。

 髪の毛がふわふわでてきとうなセットをしているみたいだけど、それだって悪い方向どころか、彼の愛嬌に加算している。

 性格も碌でもないどころか、こうやってしばらく話してわかっている通りいい人だ。所長に追い出された理由も、それは場を和ませる力を持っているという意味で取ってもいいはず。

 だから、うん。この人が碌でもないなんてわたしには思えない。

貴女「欺瞞ですよ、それ」

Dr.ロマン「会ってすぐの相手に欺瞞だって言われるとはね……」

 それはそれ、これはこれです。

Dr.ロマン「……まぁ、そうだね。もし、万が一、そういうことになっても――」

レフ『ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないか?』

 嘆息を吐いた後、ドクターが発しようとした言葉を遮ったのはレフ教授の声だった。ドクターの持っている端末から、あの紳士の声が言葉を続けて聞こえてくる。

 どうやら、ファーストミッションに赴くメンバーに変調が出ているらしい。ドクターは麻酔をかけに行くようだが――。

レフ『ああ、急いでくれ。いま医務室だろ? そこからなら二分で到着できる筈だ』

 いや、違いますレフさん。ドクターが居るの、わたしの部屋です。彼、思いっきりサボってたので。

 ドクターは慌てて引きつった表情で立ち上がると、こちらを向いて言い訳をするように口を開いた。

Dr.ロマン「ま、少しぐらいの遅刻は許されるよね。Aチームは問題ないようだし」

 それで良いのか、Dr.ロマン。


Dr.ロマン「ああっと、そんな哀れんだ表情でボクを見ないでくれよ。これでも責任感は持ってるんだから」

貴女「……だったら、早く行かなくて良いんですか」

Dr.ロマン「まぁ、少しくらいは、ね?」

 話の途中で切り上げるのは、なんだか勿体無いし。そう継いで、ドクターは先の通信相手であるシバ教授やこのカルデアのことを話し始める。

 レフ教授が、擬似天体(カルデアス)を見るための望遠鏡――近未来観測レンズ・シバを作った魔術師であること。

 シバはカルデアスの観測だけでなく、この施設のほぼ全域を監視して写し出すモニターでもあること。

 レイシフトと呼ばれるシステムの中枢を担う召喚・喚起システムを構築したのが前所長であること。

 その理論を実現させた擬似霊子演算器――いわゆるスパコンを提供してくれたのが、アトラス院という場所だということ。

 全体を通して、うん。わたしの耳に馴染みのまったくない単語ばかりで正直チンプンカンプンではあるが、多分今後聞く機会もあるのだろう。ちゃんと覚えておかないと。

Dr.ロマン「このミッションに、ボクみたいな平凡な医者が立ち会ってもしょうがないけど……お呼びとあらば行かないとね」

貴女「思ったより長話でしたけど、大丈夫なんですか?」

Dr.ロマン「……大丈夫だよ、たぶん」

 良くないのではなかろうか。いい人だけど、どこか抜けてるなー、って思う。

Dr.ロマン「ま、兎に角。お喋りに付き合ってくれてありがとう。落ち着いたら医務室を訪ねてくれ、今度は美味しいケーキぐらいはご馳走するよ」

貴女「あ、もしかしてデートのお誘いとかですか?」

Dr.ロマン「友人への招待だと思ってほしいな」

 最後の最後に上手くいなされたような気もするが、まぁ、ここら辺でからかうのはよそう。立ち会いに向かうドクターを引き止めても仕方ない。

 そう思って大人しく見送ろうとしたその時、部屋の明かりが突然消えた。




選択肢

1:考える前に駆け出す
2:ロマンに状況を聞く
3:突然の暗闇に体を震わせる

安価↓

2


>>33 選択:2

 爆発音が聞こえた。胸騒ぎがした。不安が押し寄せて、息苦しくなった。肺が酸素を欲して、それでも上手く呼吸ができなくて。

Dr.ロマン「しっかりして!」

 そんなわたしを現実に引き戻したのは、ドクターの声だった。

 ようやく出来た酸素の供給から、引き絞るように言葉を発する。

貴女「ド、ドクター。何が……起こって」

Dr.ロマン「カルデアの中央発電所と管制室で爆発と火災が発生したらしい。モニターで今、管制室の様子を見たけど……」

 目を伏せ、言葉を遮るドクター。それだけで、どんなことが起こったかは容易に想像することが出来た。

 それって、レフさんや、マシュが……。

Dr.ロマン「君はすぐに避難してくれ。ボクは管制室に行く」

 隔壁がもうすぐ閉鎖されるらしい。ドクターはわたしに、逃げろと言ってくれたが……。

 腕の中にいるフォウさんが顔を見上げて、わたしの目を見つめてきている。

 ……わかってるよ、フォウさん。

選択肢

1:わたしたちも管制室に行こう
2:マシュを助けに行かないと
3:わたしに何が出来るかはわからないけど……
4:その他(内容明記)

安価↓


――マシュを助けに行かないと。

 そう思った時、フォウさんが頷いた気がした。

 あの子は通路の真ん中で眠っていたわたしに、手を差し伸べてくれた。

 あの子は会ったばかりのわたしを、先輩と呼んで目に見えて慕ってくれた。

 マシュが居なければ、わたしは今もカルデア内を彷徨っていただろう。もしかしたら、まだ眠ったままだったかもしれない。

 彼女には恩があって、知り合って間もないけど、それでも見捨てるようなことが出来ない感情があって。

 だから、わたしは避難口――第二ゲートの方向ではなく、ドクターの背中を追いかけるように管制室へと駆け出した。

貴女「ドクター!」

Dr.ロマン「いや、なにしてるんだ君!?」

貴女「わたしも管制室に行きます。マシュを、助けないと!」

Dr.ロマン「そりゃあ、人手があったほうが助かるけど……」

貴女「言い争ってる暇はないはずです」

Dr..ロマン「……わかった。でも、隔壁が閉鎖する前に戻るんだぞ!」

貴女「……はい!」

 




 管制室にたどり着いたわたしたちを迎えたのは、惨状だった。

 燃え盛る炎が管制室中からあがり、崩れた瓦礫が散乱している。

 ファーストミッションに参加しようとした人たちが入った、コックピットのような霊子筐体(コフィン)がいくつも割れていた。

 ドクターは、カルデアスだけが無事で生存者がいないと口にした。ここが爆発の起点で、事故ではなく人為的な破壊工作ならばそこに居た人々の生存率なんて――。

 アナウンスが動力部の停止を告げ、ドクターは予備電源への切り替えに向かった。隔壁の封鎖まで残り時間は僅かで、閉まる前に戻って外部からの救援を待てと言われたけれど。

フォウ「フォウフォウ!」

 それでも、フォウさんがわたしの着ている服の袖を口で引っ張って、意識をはっきりとさせてくれる。

貴女(……マシュを探さないと)

 逃げたい気持ちがないわけじゃない。でも、彼女が生きている可能性を捨てたくなかった。レフさんも心配だし、まぁ、一応、所長だって無事だったら助けないといけない。

 そんな中で、アナウンスが告げる。



                  ―― システム レイシフト最終段階に移行します ――


                   ―― 座標 西暦2004年 1月30日 日本 冬木 ――


                     ―― ラプラスによる転移保護 成立 ――


                      ―― 特異点への因子追加枠 確保 ――


           ―― アンサモンプログラムセット マスターは最終調整に入ってください ――


 様子がおかしい。レイシフト、冬木、転移保護、特異点、アンサモンプログラム、そしてマスター。

 聞き覚えがあったり、なかったり、そういう単語の羅列。それでも、異常事態だってことはわたしだってわかる。

 何かが起ころうとしている。その前に、マシュたちが見つけられなければ――。

貴女(……弱気になっちゃだめ。そうよね、フォウさん)

 心の中で決意を固めて、抱いていたフォウさんに視線を送ろうとした。

 だが、わたしの腕の中にはフォウさんの姿はなく。

貴女「え、あれ、フォウさん?」

フォウ「フォウ! フォウフォーウ! フォーウ!」

 大きな瓦礫が積み重なった場所から、フォウさんの鳴き声が聞こえてきた。

 いつの間にわたしの腕から、と思ったがフォウさんは意外と小さいので戸惑っているうちにすり抜けたのだろう。

 わたしはフォウさんの鳴き声のした方に急いで移動する。

マシュ「……、あ」

 フォウさんが居た。そこにはマシュの姿もあった。フォウさんが床を賢明に掘ろうとしていた。そこには徐々に赤い液体が注がれ始めていた。

 マシュは、そこに居た。ただし、下半身を瓦礫に潰された形で。マシュは、そこに居た。そこに居た。居た。生きてた。“まだ生きてた”。

選択肢

1:駆け寄って瓦礫をどかそうとする
2:魔術を使ってどうにか出来ないか思案する
3:その場に腰を下ろす
4:その他(内容明記)

安価↓

所長などの人が居ないかどうかも確認しつつ近づいて、2


>>42 選択:4

 大丈夫。大丈夫。まだ、大丈夫。死んでない。マシュは死んでない。だったら、他にだって死んでない人がいるかもしれない。

 でも、マシュから離れるわけにもいかない。周囲を見渡す。少しずつ、用心しながら歩く。居ない。居ない。居ない。居ない。

 フォウさんの必死な鳴き声が聞こえる。マシュのなだめる声が聞こえる。それ以外には聞こえない。聞こえない。聞こえない。聞こえない。

貴女(……レフさん、所長)

 誰がこんなことをしたのか。誰がどんな目的でこんなテロを起こしたのか。わたしには皆目検討がつかない。きっと、関係のない話なのだろう。

 でも、だからって、目の前に広がる惨状は許せるものではない。せめて、だったら、マシュだけでも。マシュだけでも、助けないと。

 思案する。わたしに出来る魔術を選択する。思い出す。利用方法を考える。わたしに出来ることはなんだ。わたしが今出来ることは、なんだ。

 そもそも、わたしに出来る魔術はなんだ。それを今どう活用する。利用する。行使する。考えろ。考えろ。考えろ!

募集

貴女の魔術の系統は?(フレーバーです。好みでお願いします)

ルーン魔術(現代に残る文字を習得しており、行使することが出来る。原初は無理)
宝石魔術(お馴染み凛やルヴィアが得意とする魔術。たぶん手持ちに幾つかは持ってるはず)
錬金術(ゴーレムなど使い魔を作るのが得意)

現在思いつくのはこの程度くらいしか……何かあれば、募集します。ある程度集まったらその後に安価で決めます。


そろそろ決めます。今日はこれを決めてお休みとします。サーヴァント召喚まで出来ればやりたかったですが……明日出来ればやります。出来なかったら木曜日に。

選択肢

1:ルーン魔術:現代に残る文字を習得しており、行使することが出来る。原初は無理
2:宝石魔術:お馴染み凛やルヴィアが得意とする魔術。たぶん手持ちに幾つかは持ってるはず
3:錬金術(使い魔作成):ゴーレムなど使い魔を作るのが得意である。
4:錬金術(理導/開通):シュトラセ/ゲーエン。手で触れた物体の組成を瞬時に解析し、魔力を変質・同調させ、最適な破壊を行う強力な攻撃魔術。 アインツベルンの錬金術を元にしているもの。アポクリファでジークくんが使っていた。
5:数秘紋:カバラを元にした魔術。今回は青子さんベースとして変換・加工・出力とする(ただしフレーバー性能は低め)
6:霊媒:東洋における魔術。霊視や呪術といったものを得意とする。

途中でまた送ってしまった。せっかくなので夢限召喚も入れましょう

選択肢

1:ルーン魔術:現代に残る文字を習得しており、行使することが出来る。原初は無理
2:宝石魔術:お馴染み凛やルヴィアが得意とする魔術。たぶん手持ちに幾つかは持ってるはず
3:錬金術(使い魔作成):ゴーレムなど使い魔を作るのが得意である。
4:錬金術(理導/開通):シュトラセ/ゲーエン。手で触れた物体の組成を瞬時に解析し、魔力を変質・同調させ、最適な破壊を行う強力な攻撃魔術。 アインツベルンの錬金術を元にしているもの。アポクリファでジークくんが使っていた。
5:数秘紋:カバラを元にした魔術。今回は青子さんベースとして変換・加工・出力とする(ただしフレーバー性能は低め)
6:霊媒:東洋における魔術。霊視や呪術といったものを得意とする。
7:置換(夢限召喚):一時的に英霊の力を体に降霊させる、一種の降霊術。一時的な擬似サーヴァント化とまでは言わないが、切り札足り得る。だが、これを使用するには制限も存在する。

↓一番早く3票とったの

おやすみなさいませ。また次回お会いしましょう。


急遽暇が出来たので、19時半頃からやります


ちょっと時間が過ぎましたが、そろそろ始めます。
そう言えば、現在のピックアップは皆様誰か狙って引きましたでしょうか。それともこれから引くのでしょうか。
私は11日に引く予定です。福袋は術で孔明がきてくれました。


多数決:7 置換(夢限召喚):一時的に英霊の力を体に降霊させる、一種の降霊術。一時的な擬似サーヴァント化とまでは言わないが、切り札足り得る。だが、これを使用するには制限も存在する。

    思考する 思考する 思い出す 思い出す
 ――思い返す。思い出す。思考する。定義する。わたしが何故、カルデア(ここ)に来たのかを。ここ(カルデア)に居るのかを。

 ……煙を吸わないように背を低く屈め、息を大きく吸って精神を落ち着かせる。
  フラッシュ・エア
 “置換魔術”――それがわたしに何よりも許されたもの。他の魔術は、ハッキリ言えばからっきしだ。これだけを教えられた。これだけを叩き込まれた。これだけを使うことを許された。

 わたしにとっての魔術とはこれが全てであり、わたしにとって今出来ることはこれしかない。マシュを助ける為に、魔力回路から魔力を汲み上げる。

貴女「待っててね、マシュ。今、助けるから」

マシュ「……いい、です。助かりません、から。それより、はやく、逃げないと」

 そんなことを言われても、彼女を置いて逃げる気などさらさらない。まだ助けられる可能性があるのだから、助けないわけにもいかないのだ。

 手をかざし、マシュの上にある大きな瓦礫に近づく。火で熱されているため触れれば火傷ではすまないだろうが……。

コンマ判定:魔術・置換 6以上で成功 

補正:+1

判定↓


>>65 コンマ:5+1=6 成功!

  フラッシュ・エア
 “置換魔術”は錬金術から派生した魔術だ。対象を別のものに置き換える魔術であり、原理的には等価交換かそれよりも劣化したものにしか出来ない魔術。

 わたしの行使する置換も、“限定的な条件下”以外ではその例に漏れない。だが、今はそれで十分だ。十分なのだ。瓦礫をより軽いものに置換する。それでよかった。

貴女(……何、これ)

 ――だが、違和感があった。手応えは完璧で、行使に問題などまったく無く、出来すぎていた。まるで、特別な“工房”に入って使った時のように。

フォウ「フォウ! フォフォーフォウ!!」

 手を開いては握ってと違和感に戸惑っていると、フォウさんがわたしを呼ぶように鳴いた。我にかえったわたしは、ハッとしてマシュの近くへと駆け寄る。

マシュ「せん、ぱい……」

貴女「大丈夫だよ、マシュ。きっと助かる、医療班のひとが治してくれる」

 マシュの近くにある瓦礫の隙間に手をいれて、ゆっくりと持ち上げながら声をかける。

 希望的観測なのはわかっている。それでもそう言わずにはいられなかった。半身が潰れて、血が流れ続けるマシュに。まだ生きているのだから、諦めて欲しくなかったから。

 言葉をかけ続ける。これは押し付けなのだろう。偽善だと言われるかもしれない。無意味な行為だと、笑われるだろうか。無駄なことだと蔑まされる可能性もある。

 それでも、彼女を死なせたくない。そう、思った。だからわたしは行動する。


 それでも、現実というものはいつだって非情なものだ。

 瓦礫をどかせて、改めて見てしまった。見えてしまった。マシュは助からない。その言葉が脳裏をよぎる。

貴女(わかってた。わかってたけど――!)

 足掻きたい。足掻かなくちゃ。助かる。助ける。助けたい。せめて、彼女だけでも。

 そう心の中で叫び続け、マシュをなんとか瓦礫から引っ張り出した時、追い打ちをかけるように管制室に変化が訪れる。

 鳴り響くのは警告音と、アナウンス。

アナウンス『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました』

 シバによる近未来観測データが書き変わり、煌々とした太陽のような色に変化する擬似天体。

 そして告げられる、

アナウンス『近未来百年までの地球において、人類の痕跡は発見できません』

 人類の滅亡。保証されることのなくなった、人類の未来。

 そして、呆気にとられるわたしたちを死へと追い込むように、隔壁が閉ざされた音が入口から聞こえた。

マシュ「……隔壁、しまっちゃい、ました。もう、外に、は」

 肩にもたれ掛かるようにしているマシュの口から出た言葉に、わたしは静かに頷くしかなかった。


 立ち尽くすわたしたちをよそに、アナウンスが続く。

アナウンス『コフィン内マスターのバイタル、基準値に達していません。レイシフト、定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。適応番号48――』

貴女「どうしよっか、マシュ」

マシュ「せん、ぱい……?」

 その場にマシュを寝かせて、膝枕をしながら呟く。

 レイシフトをするマスターとして、わたしが選ばれて再設定された。アナウンスの言葉が正しいなら、わたしはこのままどうなるのだろう。

 マシュを助けることも出来ずに、こんな状況でまだ詳しくも知らないミッションに参加させられる。どうしろというのだ。まったく、わからない。

 少しずつ、足元から粒子のような光が浮かび上がってくる。アンサモンプログラム――霊子変換というのが始まったのだろう。

 このまま、マシュが死んでいくのを看取ることしか出来ないのだろうか。それが悔しくて、悲しくて、わたしを見上げるマシュに小さく声をもらす。

選択肢

1:ごめんね、助けられなくて……
2:諦めたく、ないなぁ……
3:大丈夫だよ、マシュ
4:その他(内容明記)

安価↓

2


>>69 選択:2

貴女「諦めたく、ないなぁ……」

 このまま終わっても良いのか。まだ足掻けることがあるのではないか。出来ることがあるんじゃないか。そんな言葉たちが、頭の中を過ぎっていく。
                               少女
 死にたくないのは勿論のことだし、目の前にいるマシュを助けたくて、わたしは管制室まで来た。

 ドクターの忠告を無視して、一緒に脱出したくて。レフさんや所長のこともそうだ、諦めて終わるくらいなら――

マシュ「……あの……せん、ぱい」

貴女「どうしたの、マシュ」

マシュ「……わたし、も」

 マシュのか細くなっている声を聞きながら、わたしはその手を握る。一字一句聞き漏らさないように、体を屈めて彼女に耳を寄せる。

マシュ「わたし、も……せんぱいが、そう言ってくだ、さるなら」

 アナウンスが響く。レイシフト開始のカウントダウンが始まる。

マシュ「――」

 そして、世界は光に包まれた。

 


 




 光の中だ。真っ白で、何も見えない。思考や感覚もあやふやで、まるで大海に漂っているようだった。

 いや、どちらかと言えば、流されているというべきか。それだけは不思議とわかった。

 ある一定方向へと、わたしは流されている。どこへ向かっているかはわからない。その行き着く先で、わたしはわたしを取り戻すのだろうか。

 それとも、このまま溶けるように消えてしまうのか。それは困る。諦めたくないとマシュへ言ったばかりなのに。そんなのはお断りだ。


                        『――告げる』

 その時、聞こえてきたのは誰かの声だった。これは誰の声だ。感覚があやふやなせいで、確認することが出来ない。


               『汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に』


 白い景色の中に、流される誰かの輪郭が生まれ始める。わかりにくいが、徐々に誰かが近づいているのだとハッキリとわかった。


           『聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 』


 言葉は続けられる。まるで詠唱――いや、詠唱なのだろう。淡々と言葉が紡がれていく。その声も、近づいてくるにつれて大きく聞こえ始める。


       『誓いを此処に 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者』


 それは聞き覚えのある声だった。いや、違う。聞き覚えのある声というのは間違いだ。白い輪郭が目の前にまで迫った時、ようやく自覚する。


                 『汝三大の言霊を纏う七天』


 これは、わたしだ。わたしの声だ。わたしの口から発せられている声だ。勝手に、まるであらかじめ決められた言葉を自動的に紡ぐように、わたしは唱えている。



         『抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――』


 白い輪郭が形を成す。光の中であっても、その輝きを増していく。白の中を更に白く染めていく。そして――

※募集

 初期サーヴァントを募集します。まずは一体、今後も召喚枠は増えていく予定です。また、召喚されたサーヴァントは貴女の『夢限召喚』で纏う対象にもなります。
 一応、現在の制限として

※現在FGOに登場していること(今後、この制限は解除予定です)
※章クリアで追加されるサーヴァント以外(例:アルトリアオルタなどは現在NGです)
※武蔵やサンタオルタなどのイベント限定鯖もNG(今後この制限は解除予定です)

 質問があれば受け付けます。ある程度集まったら、安価で決めます。


※締切※

選択肢作ります


選択:現れた英霊は?

1:ロビンフッド(弓) シャーウッドの森に住む義賊。顔のない、名前のない者。
2:アストルフォ(騎) シャルルマーニュ伝説の登場人物。理性が半分蒸発している。
3:玉藻の前(術) 平安時代末期、鳥羽上皇に仕えた絶世の美女。巫女呪術師。
4:ナイチンゲール(狂) 奉仕と献身を信条とするクリミアの天使。狂化しているため、“人の話を全然聞かない”
5:サー・ランスロット(剣) 円卓の騎士のひとり。アーサー王にして、理想の騎士と評価された。
6:エレナ・ブラヴァツキー(術) 十九世紀の女性オカルティスト、神智学の祖。現代魔術の母的存在。
7:佐々木小次郎(殺) 日本有数の剣豪・宮本武蔵の好敵手として語られる剣士。風流人。

↓~5まででコンマ一桁が一番大きなサーヴァント


2


>>82 選択:2 アストルフォが召喚されました。

__ /\                                                      __

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.   \      ヽ=ミ          {ニ/:i/:i|:i:|:i:i:i:i:i:i:Ⅵ:i:i寸ミ7       ___   ´  \\ ノー
      \   / /{......ヽ         </:i:i:i:i:i:i|Ⅵ:i:i:i:i:i:ヽハ:i:i:i:i:iV\     /..........{\\     ´
         __,ノ.............. ゝ--=ミ>- /:iイ:i:i:i:i:i十ヽ从才´ i:i:iⅥ::i:ミシ     ノ......... 人   /
        /:|.....................}  < ヽ〃/:i:i:i:i:i:i:ix= 、ヾ=x|:i:i:iV:i:∧   / |、................\)
        , :人.................∧  <  { /:i:/:i:i:i:i:从   - v  |:i:i:i:i:i:i:i∧ /  |: \............./
        : : : : : ̄ ̄:\:i|  /  /:i/ {:i:i:ii {∧ 乂:::::::/ 从:i:i/:i:i:|ヾ-''   ∨/\ ̄
          i: : : : : : : : : : : i|   ̄\ ,:i:i' |:i:从 V_ ≧ - イィ }/:i:i从ハ :i /   V: /: :.\
         : : : :|: : : :/: : : i|     'i:/(八:i  ヽ}洲洲洲洲{ ノ:i:i:/:i:i}:i:i:|,/'    V: : : : :.:\
       |: : : :|: : :/: : : : i|      、 >ヾ   }   |   {´ /:i/:i:iヾ:i:/、    /! : : : : : : :.ヽ
       |: : : :|: :/: : : : : i|     ----- >\/≧=--=≦、// ヽ:i:i:Y:i:i} -=彡, : : : : : : : : : i
       |: : :.:.し': : : : :.:.:i|        ><: : : : : 人)/ ': :\八:i:i:i:ハ  /: : : : : : : : : :.:|

       |: : : :/: : : : :.:.:i|       :≦i }\: : ̄(rァ ): : /:/ }ヽ:i:i:i:i}/: : : : : : : : : : : : ,
       |: : , : : : : : : : :.八_ , 斗≦: : : : :| / ヘ ≧: : _: ≦ヘ: :{  ,八:i:i:i:}: : : : : : : : : : : : : :/
       |: /: : : : : : : : : : : : : :: : : : : : : : :} Y     r-ィ ´   r' /: : ハ:i:i:|: :\: : : : : : : : : /
       |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i v   乂乂    ノ , : :.人:i:i:il : : : \: : : : : :.,
    ノ⌒ヽ|: : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : | :    |    /  i /_{:i:iY:il : : : : : \ : :.:/
 ̄´       |: : : : : : :./: : : : : : : : : ---=ミ:ノ /   ,      {\{/:i:i:i:i:ノ: : : : : : : : : :/
       | : : : : /: : : : : : : :./ 〃> ⌒ヽ=ミ_   i    _{_ -ゞ {彡(==彡: : : : : : : :./
  __     i|: : :/: : : : : : : : : /  {{ { Eシ }: ヾ 弋r、 r-= /:i:i:i:i:人==\ : : : : : : : : /__
     \ 八: --------- /i   ミ{ ゝ-r ´ \ 、~~ノ  ̄/ ̄  \/ : : : : : : : / ̄ ̄ ̄ ̄    、
.     彡/:/        /' 人. 八  ∨ /: \} r=\ ̄/     ̄  ヽ: : :_: : : /          \
     /'           /   \_,ァ ∨: : :/__\: : :Y'      -=ミi/   ヽ/   \
\    /         /=--- ////∧   v'  ̄ ̄ ヽ /   /                 \       |i
  \ ノ          {     /////,'∧  ∨..................v  / ヽ____|i             \       |i


          「やっほー! ボクの名前はアストルフォ! クラスはライダー!」
               「それからそれから……ええと、よろしく!」


パーソナルデータ更新

名前:貴女
属性:中立・善
フィジカル:5 平均的な身体能力。こもりがちな魔術師としてはそれでも優秀だろう。
魔術回路:8 非常に優秀な魔術師である。名家の生まれかそれとも突然変異か……・。
スキル
置換魔術(フラッシュ・エア):錬金術から派生した魔術。対象を別のものに置き換える魔術であり、原理的には等価交換かそれよりも劣化したものにしか出来ない。
夢限召喚(インストール):“置換魔術”を利用した反則技。一時的に英霊の力を体に降霊させる、一種の降霊術。一時的な擬似サーヴァント化とまでは言わないが、切り札足り得る。だが、これを使用するには制限も存在する。
所持サーヴァント
アストルフォ(騎) シャルルマーニュ伝説の登場人物。理性が半分蒸発している。

所持補正

優秀な才能:魔術師としての才能を持つ。魔術を使った判定に+1の補正を得る。

――――――――――0――――――――――――

          Fate/Grand Order

             特異点F
           炎上汚染都市
              冬木

              開始

――――――――――0――――――――――――




 暗闇だ。今度は、真っ暗だ。何も見えない。変な夢を見ていたような気がする。

 だが、先ほどとはまるで違って――そう、感覚がハッキリとある。体に少々の倦怠感があるけれど、それでも動くことは出来そうだ。

「フォウ。フー、フォーウ……」

 そして、わたしの意識の覚醒を促すように聞こえてきたのは独特すぎる鳴き声と。

「マスター、ねぇ、マスター! 起きてー、ねぇ、おーきーてー」

「そんな乱暴に揺すらないでください! 万が一のことがあったら大変ですから!」

 その直後に襲ってきた激しい振動、そして焦りながらそれを止めようとする声だった。

貴女「な、何!? 何事!?」

「あ、やっと起きた。おはよー、マスター!」

マシュ「大丈夫ですか、先輩。具合が悪いところとかありませんか?」

 慌てて目を見開くと、目の前にはわたしの顔を覗き込むようにしている“二人の少女”の姿があった。

 片方は、マシュだ。たぶん、マシュだ。え、マシュ? マシュなの?

選択肢

1:怪我は!? 大丈夫なの!?
2:どうしたの、その格好!? というか、盾!?
3:誰、え、誰!?(二人の“少女”を交互に見ながら)
4:その他(内容明記)

安価↓

2


>>92 選択:2

貴女「どうしたの、その格好!? というか、盾!?」

 見れば見るほど、頭が混乱する。

 わたしの目の前に居るのは、マシュだ。見た目こそ大きく変わっているが、わたしを先輩と呼んだ声を間違えようがない。

 しかし、まるでコスプレというか、際どい服装で、眼鏡もかけていないし、何より驚くべきはその手に握られた十字のような装飾がなされた巨大な盾だ。

 彼女の身長よりも大きなそれを軽々と持っているし、何よりもなんだろう、纏う雰囲気が全然違うと感じた。

マシュ「……それについては後ほど説明します」

「そうそう、マシュの言うとおりだよー、マスター。ほらほら、周り見てみて」

 真剣な表情で話すマシュとは対照的に、飄々とした笑顔を浮かべた桃色の髪の少女が言葉を継ぐ。

 彼女の言葉に促されて、わたしは周囲を見渡してみる。すると、そこはカルデアの管制室ではなく――。

貴女「……どうなってるの」

 現在進行形で燃え盛る、瓦礫と廃墟の連なる街の中だった。




 マシュの提案で、一息つけそうな場所を探して移動することにした。移動手段はもちろん、徒歩。

 火の手が広がり、いつわたしたちを包むかもわからない現状に不安はあるが、それでもマシュとフォウさんが居るのは心強い。

 だが、しかし、ピクニックに行くような軽い足取りで前を歩いている少女は何者なのだろう。そう言えば、最初から一緒に居るけど……。

貴女「……えっと、今更になるんだけど」

「なになに? マスター、ボクとお話したいの?」

 だから、声をかけてみた。その反応は陽気なもので、言ってはなんだが今のわたしたちの雰囲気から浮いているように感じる。

貴女「……ん、マスター? わたしが?」

「そうだよ、ボクは君の声に応えたサーヴァントなんだから」

 その言葉に、わたしは呆気に取られた。彼女が、サーヴァント? えっと、たしか、サーヴァントって、英霊のことよね。

 四時間という短い訓練の中で覚えた単語を思い出しながら、わたしは彼女をみる。

「んー、一応自己紹介はしたんだけど、覚えてないみたいだね。特殊な状況だったからかな?」

貴女「えっと、ごめんなさい」

「別に謝らなくてもいいよ! 気にしてないし!」

 笑顔で、本心からそうなのだろう彼女は言い切った。

 ……そういえば、あの真っ白な夢? のような中で彼女の声を聞いたような。

「というわけで、足を止めたらマシュも止まっちゃうし。改めて歩きながらだけど、自己紹介するね!」

 少女の言葉に、わたしは立ち止まっていることに気付く。隣にはマシュが周囲を警戒するようにしていて、申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。

貴女「あ、ごめんなさい、マシュ……」

マシュ「いえ、お気になさらず。突然のことばかりで、混乱しているのもわかりますから」

 ……強いな、と思った。こんな状況でも、わたしに気をかけてくれているのがわかったから。

 歩行を再開する。

「ボクの名前はアストルフォ! クラスはライダーだよ!」

貴女「……ライダー?」

 たしか、サーヴァントのクラスのことだっけ。


コンマ判定:アストルフォの名前を知っているか

シャルルマーニュ伝説の登場人物:+1

判定直後


っと、目標値設定するの忘れてました。5以上で成功なので、3+1で失敗です。

貴女「アストルフォ、ね。わたしは『貴女』、よろしくね」

アストルフォ「うんうん! よろしくね!!」

 ニコニコと人懐っこい笑顔を浮かべるアストルフォにつられて、思わずわたしも笑みを見せる。

 可愛いなぁ、この子。なんだろう、見ていて明るくなれるというか。いや、マシュが暗いとかそういうわけでもなく。

 可愛さのベクトルがそもそも違うというか……何考えてるんだろ、わたし。

マシュ「……先輩は、アストルフォさんのことをご存知ではないようですね?」

 ギクッ、となる。

貴女「えっと、あれなのよ。知っている英雄は居るは居るけど、たまたまアストルフォのことは知らなかったというか」

アストルフォ「待った! ボクの話はボクが後で詳しく話すから、マシュ」

 ぬぅ、と唸るような声を出しそうになったが、飲み込む。

 まぁ、アストルフォのことを知る機会は後に用意できそうだし、今は安全そうな場所を探すのが先よね。
                                             スマートウォッチ
 そんな風に、街の中を歩いていると――腕につけていたカルデア支給の通信装置が突如鳴り始めた。

アストルフォ「なになに!? 敵襲!?」

マシュ「違います、落ち着いてください。先輩、スマートウォッチの使い方はわかりますか?」

貴女「それくらいは出来るって……」

 マシュの気遣いに苦笑を浮かべながら答えて、ウォッチのボタンを押す。

Dr.ロマン『やっと繋がった! もしもし、こちらカルデアの管制室だ、聞こえるかい!?』

貴女「ドクター!」

 わたしの前にカルデアの紋章を象った魔法陣が投影され、立体映像的にドクターの姿が映し出された。

 彼の驚く顔を見て、意地悪かもしれないがわたしは安堵の息を吐く。よかった、彼も無事だったんだ。


 今日はここまでで。明日は18時頃に出来ればと思います。
 端折りながらやっていきますが、まだしばらく説明が多めです。ご容赦を。
 では、おやすみなさい。

 アストルフォ可愛い。


こんばんは。もう三十分ほどお待ちください

再開します。本日もよろしくお願いします


 そんなわたしを横に置いて、マシュが冷静にドクターへと現在の状況を伝える。

マシュ「現在、同伴者は先輩と、サーヴァント・ライダーの二名です。心身共に問題ありません」

Dr.ロマン『……なんだって? マシュ、すまないがもう一度言ってくれないか』

マシュ「はい、Dr.ロマン。現在、同伴者は先輩と、サーヴァント・ライダーの二名です。心身共に問題ありません」

Dr.ロマン『サーヴァント!? ライダーだって!?』

 信じられないと言った風に、ドクターは素っ頓狂な声をあげて驚愕する。マシュの言っているサーヴァント・ライダーとはアストルフォのことだろう。

Dr.ロマン『こんな短時間で現地の協力者を見つけたのかい!? コフィンなしで意味消失にも耐えてくれていた嬉しさが、その豪運への驚きで吹き飛びそうだ!』

貴女「いや、待って、ドクター」

 意味消失という単語も気になるが、それよりも現地の協力者という言葉の方の意味を聞くためにストップをかける。

貴女「わたし、この特異点? がどういう場所なのかもわかってないの。レイシフトっていうのに巻き込まれて、ここに来たっていうのはわかるんだけど……」

Dr.ロマン『あ、ああ、そうなのかい? てっきり、そこはマシュやライダーが説明しているものだと思ったんだけど』

アストルフォ「んー、というか、ボクはこの土地で召喚されたサーヴァントじゃないよ?」

 アストルフォのさらっと出した言葉に、わたしとドクターは彼女の方を向く。

貴女/Dr.ロマン「『な、なんだってー!?』」

 そして、見事に叫び声を重ねた。




                                         冬木市
 アストルフォによれば、召喚されたタイミングはカルデアでもこの特異点Fでもなく、兎に角目が覚めたらわたしの近くに居たと語った。

 わたしは、朧気ながらその理由に覚えがある。あの真っ白な光に包まれた空間のことだろう。たぶん、その時に何かしたのだと思う。詳細については、思い出せないが。

 そして、その後の会話で発覚したのがマシュが“デミ・サーヴァント”という英霊と人間が融合した存在になっているということ。

 カルデアには元々、この特異点Fの調査・解決のために事前に用意されていたサーヴァントが居たらしい。

 そのサーヴァントが、管制室の爆破によってマスターを失い、消滅する前にマシュと契約をしたという。

 彼女と契約した英霊は、本当の名前――真名も宝具のことも告げずに消滅した。それがどのような存在だったかは知らないが、その英霊のおかげでマシュが今生きているのだから、感謝せずにはいられなかった。

 とは言え、ドクターの話ではこの周囲には敵性のある何者かが多く跋扈しているらしい。わたしたちがソレらと遭遇していないのは、単に運が良かったからなのだろう。

 最後に、ドクターによってわたしが正式に調査員として登録がされた。

 話を聞くに、ここへのレイシフトに成功したのはわたしだけで、他に誰もいないからというのも理由の一つだろう。

 アストルフォだけでなくマシュとも魔力パスが繋がっていて、わたしはいきなり二人の英霊のマスターになっている。

 令呪という、サーヴァントのマスターに許された三画の命令権もわたしの手の甲に刻まれていた。

 そして、アストルフォは友好的である。

 以上三つの要素も加味して、戦力的にも十分調査員として働けるというのもあるのだろう。
                                                マスター
 だが、安全が保証されたわけではない。マシュもアストルフォもわたしという 主 を失えば、魔力の供給源がなくなり消滅してしまうらしい。

 つまりは、一蓮托生なのだ。そのことを聞いた時、わたしはギュッと拳を握って息を飲んだ。不安と一緒に、生き残るための勇気を振り絞るように。

貴女(正直、まだわからないことの方が多いけれど……)

 火の手が脇で上がっている廃墟の中を、三人で歩く。ドクターとの通信は、向こうの出力が安定していないせいで既に途絶している。

 その前に指示された場所――二キロほど離れた霊脈の強いポイントを目指して。

貴女「頑張ろう」

フォウ「フォーウ!」

 せっかく生き残ることが出来たのだ。マシュとフォウさんが居て、アストルフォという新しい仲間も出来たのだから。

 さて、その地点までただ黙々と歩くのも退屈かもしれない。ちょっと話しかけてみようかな……。

選択肢

1:マシュと話す
2:アストルフォと話す
3:いや、それよりも早くポイントに向かわないと(誰とも話さない)

安価↓

2


>>106 選択:2

アストルフォ「ふんふんふーん♪」

 陽気に鼻歌を歌い、右隣を歩くアストルフォを見る。わたしの視線に気付いた彼女は、こっちを向くと嬉しそうにニンマリと笑った。

アストルフォ「なーに、マスター! ボクがそんなに気になるのかな?」

貴女「えっと、まぁね」

 事実、アストルフォについてわたしは見えているもの以外に知らないのだ。

 彼女がどんな英霊で、どんなことが出来るのか。彼女はかつてどんなことをして、どんな風に生きたのか。

 これはマシュにも当てハマるけど……。後で話してみよう。

▼コミュニケーション

選択肢

1:アストルフォは、どうして召喚されたの?
2:アストルフォって、昔は何をしていたの?
3:アストルフォは、緊張しないの?
4:その他(内容明記)

安価↓ 

2


>>108 選択:2

貴女「アストルフォって、昔は何をしていたの?」

アストルフォ「昔っていうのは、あれかな? 生前のことだよね?」

 わたしはその言葉に、首を軽く縦に振って答える。

 英霊とは、たしか英雄が死後に人々の信仰によって精霊化したもの、だったか。世界の法則から抜け出し、英霊の座と呼ばれる場所に本体がいる、と訓練で聞いたような気がする。

アストルフォ「そうだねー、何から話そうかな。理性が吹き飛んだ友人を慰めたとか、その失われた理性を求めて月に行った時にボクの理性が半分詰まった薬瓶を見つけた、とか?」

 いきなり凄い発言が聞こえた。友人の理性が吹き飛ぶというのはよくわからないが、慰めたということはよほど仲が良かったのだろうか。

 というより、後半の方だ。アストルフォの理性が半分詰まった薬瓶ってなんだ。

アストルフォ「いやー、なんだろうね。ボクってよく理性が蒸発してる、みたいに言われてたからさ。そういう逸話もあるんだよー」

 底抜けに明るい笑顔を浮かべられた。

 アストルフォが明るいのは、元来の性格云々の話ではなく、その理性が蒸発している、というのが起因なのだろうか。

 いや、まだ知り合ったばかりだからあまりそういう風に見えないが……。

貴女「そうなの……。あ、ついでに簡単なことも聞いておきたいかな。好きなものとかある?」

アストルフォ「好きなもの? 全部! この世界にあるものなら、嫌なこと以外全部!」

貴女「じゃあ、嫌いなことって?」

アストルフォ「嫌いなこと? うーん……ないな! 世界全部、大抵のものは好き!」

 こういうところが、そういうことなのだろうか?

 いや、まぁ、うん。きっと上手くやれる。やれるよね?

※アストルフォとの絆が少し溜まった。


 それから、しばらくアストルフォと会話をしていると、ふと何かに気付いたのかスカートに目線が向けられた。

アストルフォ「あれ、マスター。スカートのポケットから何かはみ出てるよ」

貴女「え? あ、本当だ。 ……これって、カード?」

 アストルフォに言われて確認してみると、ポケットに入っていたのは一枚のカードだった。
        チャリオット
 これは…… 戦車 にを操る兵士の絵? あ、下の方に“Rider” って書かれている。

貴女「裏は……アストルフォ?」

アストルフォ「あ、ホントだ。ボクだ!」

 掌を返して裏側を見てみると、そこにあったのはアストルフォの絵だった。絵、なのか? どちらかと言えば、写真のようなものに近い気が――

貴女「……ッ!」

 その時、突然わたしの脳に突き刺さるような痛みが走った。痛みは全身の魔術回路を駆け巡るように広がり、体の末端にたどり着くと消えていった。

 何が起こったのか分からず、思わず目を見開いて立ち止まる。一瞬の出来事だったから、錯覚のようにも思えてしまったが。

貴女(……置換出来るの? これを、使えば?)

 なぜか、このカードの“名称と使い方”が理解出来た。まるで、知識を無理やり刷り込まれたような、もしくは奥底から引き出されたような感覚。

 サーヴァントカード。アストルフォを――いいえ、サーヴァントをわたしと置換するための魔術礼装。何故、こんなものがわたしのポケットに?

アストルフォ「ちょっと、どうしたのマスター! 大丈夫? 顔色悪いよ!?」

マシュ「どうかなさったのですか、先輩!」

 疑問と先の痛みのせいで混乱して立ち止まったわたしを心配するように、マシュとアストルフォが駆け寄ってくる。

貴女「ごめん、二人共。ちょっと立ちくらみがしちゃって」

マシュ「レイシフト時の負荷によるものでしょうか。問題がなければ、先輩を私が抱えて移動することも可能ですが」

アストルフォ「むー! ボクだって出来るぞ、マシュ!」

貴女「大丈夫だから、気にしないで。ごめんね、騒がせちゃって」

 ……ハッキリとした原因と答えが出ない以上、ドクターと通信出来る時に切り出した方が良さそうだ。

 アストルフォやマシュと相談するのは、その後にしよう。わたしはそう思いながら、ポケットの中にサーヴァントカードをしまった。



 




           マナ
マシュ「大気中の魔力濃度も異常です。まるで、古代の地球のような……」

 思案顔のマシュの言葉を聞く。アストルフォとの会話の後、わたしは彼女にこの冬木市について知っていることを話してもらっていた。

 わたし達が今居るのは、2004年の冬木市。マシュは自分が見た資料と、この現状があまりにも食い違っていると言う。

 平均的な地方都市であり、見渡す限りの炎に包まれるような災害が起きたこともない。つまり、それがここを特異点と呼ぶ理由なのかもしれない。

 本来、起こり得なかったことが起きている。その原因の調査がわたしたちの仕事なのだろう。

マシュ「あ、先輩。もうすぐドクターに指定されたポイントに到着します」

アストルフォ「そうなの? よーし、じゃあ誰が一番早く着くか競争――」

 マシュの報告に、アストルフォが今にも走り出そうとポーズを取る。

 それにわたしが無理だから! 勝てないから! とツッコミを入れようとしたその時だった。

「キャア――――!」

 わたしたちが目指していた方向から、女性の悲鳴が聞こえてくる。

 アストルフォが警戒するように表情を変え、マシュが盾を握りなおす。

貴女「誰か居る!」

アストルフォ「助けに行こう、マスター!」

マシュ「アストルフォさんに賛成です。急ぎましょう、先輩!」

 言うが早いか、わたしが提案に賛成すると二人は驚くべき速度で駆け出す。

 わたしも遅れて走り出し、二人の背中を追った。


アストルフォ「ふんふんふーん。さぁ、かかってこい! てりゃあ!」

マシュ「アストルフォさん、気を引き締めていきましょう」 

 遠くで甲高い音と聞こえ始め、火花が散る光景と何かが砕ける様子が見て取れた。

 アストルフォがどこからか取り出した騎乗槍を振り回し、マシュが装備している盾を力強く叩きつける。

 敵は……骸骨!?

オルガマリー「なに、何なの? いったい何がどうなっているのよ!?」

貴女「所長!?」

オルガマリー「貴女は……! マシュと知らないサーヴァントも居るし、どうなってるの説明しなさい!」

 説明しろ、と言われても。周囲に瓦礫が散乱した道路の真ん中で座り込み、叫ぶ所長に心の中で呟く。

 わたしだってわからないことだらけで、それよりも現状するべきこともあるわけで。
                    スケルトン
 所長の前に走り出て、武装した骸骨たちと戦闘を繰り広げているマシュたちを見る。

 なるほど、英雄だ。まるで目に追えない速さで動き回っている。

選択肢

1:所長! 詳しい事は後で説明するんで、そこを動かないでください!
2:マシュ! 頑張って!!
3:アストルフォ! 期待してるよ!!
4:その他(内容明記)

安価↓

1


>>114 選択:1

貴女「所長! 詳しい事は後で説明するんで、そこを動かないでください!」

オルガマリー「動かないでって、誰に言ってるのよ!」

 あなただよ! あなたに言ってるのよ!

 せっかく生きてる相手と出会えたのだ。それが燃え上がる管制室の中で見つけることすらも出来なかった相手なら、なおさらだ。

 助ける。ただその一心で、マシュたちの戦いを見る。

オルガマリー「素人の貴女に何が出来るのよ! こっち来なさい! 巻き込まれたいの!?」

貴女「え、ちょっ!?」

 だが、そんな思いを抱いているわたしの腕を掴み、所長が後ろへと引き下がらせる。何するんですか、あなたは!

オルガマリー「言われなくったって最初から動く気なんてないわよ。せっかくサーヴァントを連れたマスターが居るんだもの、これ以上に安全なところなんてどこにもない」

貴女「……所長?」

オルガマリー「情けないわ、本当に。こんな素人マスターに縋るしかないってところが、特に」

 親指の爪を噛みながら、所長は呟く。

 酷い言われようだった。わたしが何をしたって……いや、そもそも所長は神経質な人だとレフさんが言っていたっけ。素人に優秀な自分が助けられるという状況が気に食わないのだろうか。

オルガマリー「いい、マスターの役目は後ろか遠所でサーヴァントに指示を出すこと。必要に応じて令呪を使ったり、魔術や礼装で彼らの動きを援護することよ。今のあなたに何が出来る?」

 答えられない。何も出来ないというのが、事実だ。サーヴァントカードという礼装があるにはあるが、使える手札ではない。

オルガマリー「……本当に素人ね。だったら、見守ってなさい」

 吐き捨てるように言われた言葉に頷いて、マシュたちの方を見る。敵の数もそこそこ減っているが、まだまだ襲いかかってきていた。


▼戦闘に入る前に▼

基本は通常の判定と大差がありません。補正を加味したコンマ一桁を参照として、状況を決定します。
基本的に演出を優先とします。あまり凝ったシステムではないので、ご了承ください。

以下、目安です。

1:ファンブル。状況が大きく悪くなる
2~:主人公勢が不利である
5~:拮抗
7~:主人公勢が有利である
0:クリティカル。状況が大きく良くなる

宝具・令呪・礼装について

判定前に使うかどうかの確認を行い、決定します。現在、マシュの宝具と夢限召喚は使えません。

礼装は今後にコミュニケーションパートを作りますので、行動選択肢の中に作成の項目を入れます。その後、消費アイテムとして管理し、使用可能になります。

令呪は一画で『判定に+2の補正』、『判定の振りなおし』、『サーヴァント一体の宝具を即時使用可能にする』のいずれか一つの効果を使用できます。
三画消費で『全滅からの復活』を行えます。

宝具の使用は原則『3ターン終了後』に使用可能となります。これは令呪、または今後入手出来る概念武装や礼装の効果で短縮が可能になります。
また、使用後に特殊な補正が付くなどあります。

今後ルール改訂や、他聖杯戦争系スレの戦闘システムを参考に戦闘の構築をするかもしれませんが、今はこれでやっていきますのでよろしくお願いします。

質問、スキルはどうするの?


>>117

 あー、そうですね。スキル。スキルがあった。

 スキルに関しては現状、フレーバーとさせてください。強い補正は、宝具使用後に付随するものとします。

 甘いのは承知しておりますが、初心者故、精進させてください。


※戦闘開始※

マシュ「落ち着いて、落ち着いて……!」

 骸骨が振り上げた無骨な剣を、マシュがぎこちなく盾で受け止めて横に流す。所長の言うとおり、わたしには見守っている以外のことは出来ないだろう。

 悔しく思うが、下手に動いて危機を招いては元も子もない。今はマシュとアストルフォを信じる他に、わたしに出来ることはないのだ。

アストルフォ「おぉー、初陣らしいのにやっるー」

 一方で、アストルフォは先ほどと変わらない軽快な笑顔で骸骨たちを打ち砕いていた。今は腰に刷いている剣を使っている。使い分けているのだろうか。

判定前

令呪を使いますか?(残り三画)

安価↓

使わない


>>120 使用しない

 うーん、人がいないとテンポが悪いなぁ、これだと。令呪の使用は判定後に変更でも良い様な気がしてきた

判定

1:ファンブル。状況が大きく悪くなる
2~:主人公勢が不利である
5~:拮抗
7~:主人公勢が有利である
0:クリティカル。状況が大きく良くなる

注:判定が9の時、最終補正値が+2以上で0(クリティカル扱い)とする
  判定で有利が出る度に補正が+1(クリティカルは+2)される。補正値が+5以上になった時の判定で勝敗判定を行う。

補正

骸骨集団:-1
怪力C-:+1
理性蒸発:+1

直後


補正値が+-5で勝敗判定だ。うん。あと、補正も加えます

>>122 コンマ:4+1=5

アストルフォ「っと、危ない危ない!」

マシュ「あ、ありがとうございます、アストルフォさん」

 戦闘経験の無いマシュを、アストルフォがフォローに入ることによって上手く補っている。

 どこからか現れては消える騎乗槍による突撃の破壊力、剣を使った際の小回り。腕は……お世辞にも高いものではないように見えるが。

オルガマリー「アストルフォ……シャルルマーニュ十二勇士の“最弱”ね。とは言え、相手がスケルトンなら問題はない、かしら」

貴女「知っているんですか?」

オルガマリー「一応はね。というか、よそ見しない」

 思わず尋ねてみれば、叱られる。はい、すいません。しっかりします。

判定

1:ファンブル。状況が大きく悪くなる
2~:主人公勢が不利である
5~:拮抗
7~:主人公勢が有利である
0:クリティカル。状況が大きく良くなる

注:判定が9の時、最終補正値が+2以上で0(クリティカル扱い)とする
  判定で有利が出る度に補正が+1(クリティカルは+2)される。補正値が+5以上になった時の判定で勝敗判定を行う。

補正

骸骨集団:-1
対非英霊戦:+1
怪力C-:+1
理性蒸発:+1

直後


>>124 コンマ:5+2=7

令呪を使いますか?(残り三画)

安価↓

ごめんなさい、眠気がそろそろ限界なのでここで一旦の区切りとします。
次回は明日(というか今日)の20時頃から、続きをやります。
もうちょっと仕組みを簡単にするかなぁ……

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