芽衣子「だらだらホリデイ、ちょっぴり甘口」 (67)


・並木芽衣子さんのSSです



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モバP(※以下表記P)「……」

芽衣子「へぇ~」キョロキョロ

P「……今日、俺は休みだ」

芽衣子「うん、知ってるよ?」

P「休む予定はなかったけど、ほぼ強制的に有給消化させられた」

芽衣子「ここのとこ、ずーっと働き詰めだったからねー」

P「今日は特にやることがないからとりあえず寝られるまで寝ようとおもったが、なぜか今現在の時刻は午前7時。俺はこうやって、起きている」

芽衣子「お休みでも早起きなのはいいことだとおもうよ!」

P「……」


P「ここはどこだ」

芽衣子「私は誰?」

P「ここは俺の家」

芽衣子「正確には賃貸だね」

P「俺はひとり暮らしだ」

芽衣子「私もそうだよ?」

P「……じゃあどうしてここにいるんだ」

芽衣子「んー、休みだから?」


P「休みだからってここに朝っぱらから? 非常識だとおもわないのか?」

芽衣子「今日はそういう日にしようかなーって」

P「まず家教えてないだろ」

芽衣子「ふふーん」ドヤッ

P「……なんだよ、その表情」

芽衣子「年賀状」ピラッ

P「真面目にやった自分を今初めて恨んだ」


芽衣子「プロデューサー、なんだかダウナー?」

P「寝起きだからな」

芽衣子「すっごい寝癖」

P「寝起き」

芽衣子「顔洗ってきたら?」

P「あぁ、寝させてくれないってことか」

芽衣子「一緒に寝る?」

P「寝ない」

芽衣子「返しに遊びがないよ、遊びが!」

P「休ませてくれ」


芽衣子「そもそもですね」

P「はい」

芽衣子「私のオフって1ヶ月くらい前から決まってたものじゃないですか?」

P「なんで敬語なの」

芽衣子「流れ」

P「あぁ、流れ」

芽衣子「それで、プロデューサーのお休みが決まったのは?」

P「昨日」

芽衣子「そう、昨日!」

P「朝から大きい声出さないで」


芽衣子「これはプロデューサーが合わせてきたとしかおもえないよね?」

P「言っただろ、この休みは俺のタイミングで取ったわけじゃない」

芽衣子「またまたー」

P「朝からハイテンションだな」

芽衣子「だって5時起きだからね?」

P「無駄に早起きだな」


芽衣子「いやぁ、偶然にしては出来すぎっていうか、これはもう運命って言っちゃう?」

P「故意だろ」

芽衣子「恋だなんてもー♪」

P「酔ってんのか?」

芽衣子「朝から飲む人なんて……いたね、うちの事務所に」

P「あの人らはもうしょうがない」


芽衣子「イヴとかクリスマス当日がいいなーっておもってたんだけど」

P「年末はな」

芽衣子「そうそう。私もプロデューサーもお仕事でねー」

P「おやすみ」

芽衣子「あっ、まだ話の途中ー!」

P「久しぶりの休みなんだから寝させてくれ」

芽衣子「しゃべってるときに寝るのは失礼だとおもわない?」

P「こんな時間に訪ねてくる方が非常識だろ」


芽衣子「むむむ」

P「ほら、人が多くなる前に帰りなさい」

芽衣子「ああ言えばこう言う」プクーッ

P「拗ねるのは帰ってからでもできるだろ」

芽衣子「食べてないだろうとおもって朝ごはん作ってきたのに」

P「寝る」

芽衣子「サンドイッチ。それ用のパンも買ってさぁ」

P「……」

芽衣子「タマゴフィリングもちゃんと作ったんだよ?」

P「……」


芽衣子「確かに具をパンにはさむだけなんだけど、意外と手間かかってね」

P「……」

芽衣子「栄養とか見た目のバランスとか結構考えたんだけどなー」

P「……置いて帰れ」

芽衣子「それひどくない?」

P「……」

芽衣子「ていうか寒いよ! エアコンつけないの?」

P「……」


芽衣子「今朝は寒いって言ってたんだからタイマーつければよかったのに」

P「……」

芽衣子「うー、さむっ。部屋でコート着るのもなぁ」

P「……」

芽衣子「……お布団あったかそう」

P「……」

芽衣子「おじゃましま~す」

P「待て待て待てちょっと待て、ステイ」

芽衣子「ぴたっ」

P「ぴたっ、じゃないよ」


P「人の、それも異性の布団って、そんな居酒屋感覚で入っていいものじゃないだろ」

芽衣子「職員室くらいかな?」

P「関係者以外立ち入り禁止レベルだよ」

芽衣子「座ってるから大丈夫!」

P「とんちを聞きたいわけじゃない」

芽衣子「ちゃんとおじゃましますって言ったのに」

P「声かけたらどこでも入れるなんてことはないだろ」

芽衣子「だって寝たふりするんだもん」


芽衣子「こたつは冷たいし、エアコンついてないしってなったら必然的に」

P「動物か」

芽衣子「わんっ」

P「いや、そういうのはいい」

芽衣子「さっきステイって言ったから」

P「サンドイッチ食べたら帰るのか」

芽衣子「確率でね?」

P「帰る気ないな」

芽衣子「まぁーねぇー」

P「なんなんだよ」


芽衣子「せっかくのオフだよ?」

P「あぁ」

芽衣子「しかも偶然重なって」

P「言ったらキリないからスルーするぞ」

芽衣子「神様が『ふたりで出かけなさい』って言ってるものじゃない?」

P「その神様とやらは随分身近にいるような気がしないでもないな」

芽衣子「運命には身を委ねるものだよ」

P「この運命は他者の介入が感じられる」


芽衣子「もう、ガンコだなぁ」

P「どっちがだよ」

芽衣子「とりあえず朝ごはんどうぞ?」

P「……飲み物は」

芽衣子「モーニングコーヒー!」

P「ミルク入れて砂糖は1個な」

芽衣子「よろしく~♪」


* * *


芽衣子「さて! 朝ごはんも食べ終わりました!」

P「帰るか」

芽衣子「まだ8時だよ?」

P「とりあえずの用事は済んだだろ」

芽衣子「デートがまだ!」

P「だんだん暖まってきたのに外へ行くわけないだろ」

芽衣子「まだお店も開いてないからね」

P「平日の明るい時間にアイドルと出かけるわけないだろ」

芽衣子「普通、家にもあげないよね」

P「……」

芽衣子「勝った~♪」


P「本当になにしにきたんだよ……」

芽衣子「デートだけど?」

P「間に合っている」

芽衣子「プロデューサー、彼女いたんだ?」

P「……いないけど」

芽衣子「なら大丈夫だねっ!」

P「全然大丈夫じゃないから」


芽衣子「芽衣子さんとデートだよ? きっと楽しいよ?」

P「自分で言うのか」

芽衣子「飽きさせないよっ」

P「楽しいのはわかってるから、それ以外の問題だって言ってるだろ」

芽衣子「……私がアイドルじゃなかったら、してた?」

P「そもそも出会えているかどうか怪しい話だな。まぁ、断る理由はすぐ出てこないな」

芽衣子「……」


芽衣子「プロデューサーって」

P「なんだよ」

芽衣子「結構チャラい?」

P「なんでそうなるのかわからない」

芽衣子「そういう言葉がすんなり出てくるから」

P「普通だろ、普通」

芽衣子「そうなの?」

P「男なんてそんなもんだ」

芽衣子「ふぅーん……」


P「なんだよ、その反応」

芽衣子「ん~……ん、ううん。なんでもなーい」

P「そうか」

芽衣子「キレイだよね、部屋」

P「わざわざ散らかすこともないしな」

芽衣子「ちょっと意外かも?」

P「失礼だな」

芽衣子「ふふっ、ごめんなさーい」


芽衣子「そういえば」

P「ん?」

芽衣子「こたつはあるのにみかんがない」

P「そうだな。コーヒー、飲むけど」

芽衣子「私も飲むー。これは和歌山県出身としては見逃せませんなー」

P「事務所で飽きるほど食べてるのに、わざわざ家で口にしないよ」

芽衣子「みかん飽きた?」

P「言葉の綾だ。それに腐らせる可能性があるから」

芽衣子「私が来たときに、みかんがなーい、って困っちゃうよ?」

P「今日だけだから次の心配はしてない。ほら」

芽衣子「会社のコーヒーよりおいしいね、これ」

P「インスタントじゃないからな」


芽衣子「はぁ~……日曜日の休日って感じ~」

P「俺は全然落ち着かない」

芽衣子「居心地いいよ~♪」ゴロゴロ

P「たまにいるよな。人の家で家主より全力でくつろぐやつ」

芽衣子「自分の家より落ち着くかもっ」

P「それは気のせいだから、ちゃんと帰りなさい」

芽衣子「まだなにも言ってないのにぃ」


* * *


芽衣子「そろそろいい時間だよね?」

P「帰るのにな」

芽衣子「まだ言う~」

P「ずっと言い続ける」

芽衣子「でも追い出そうとはしないんだよね」

P「……俺もそこまで鬼じゃない」

芽衣子「私も簡単には出て行かないからねっ」

P「そこは軽率に帰ってくれ」


芽衣子「出かけようよ~」

P「行けばいいだろ。ひとりで」

芽衣子「せっかくふたりでいるのに?」

P「並木が勝手にきただけだろ」

芽衣子「あっ、そういう言い方する!」

P「事実だろ」


芽衣子「ほらほら、着替えて着替えて」

P「何度も言うようだけど」

芽衣子「大丈夫! 変装もバッチリだから!」

P「ニットキャップにアラレちゃんみたいなメガネで、変装?」

芽衣子「ふふん♪」

P「ふふん、じゃないよ。まぁしないよりマシだけどさ」

芽衣子「似合ってる?」

P「大学生っぽい」

芽衣子「それ褒め言葉~?」

P「どうぞお好きに捉えて」


芽衣子「時間は有限だよ?」

P「あぁ、そうだな。大事な休日なんだから俺のやりたいことさせてくれ」

芽衣子「天気いいんだから出かけようよ~」

P「天気がいいからこそ出かけないんだろ」

芽衣子「どういうこと?」

P「そんなに噂になりたいって?」

芽衣子「プロデューサーと?」

P「一緒に出かけるって話なら必然的にそうなるだろ」

芽衣子「案外大丈夫じゃない?」

P「その自信はどこからくるんだよ」


P「繰り返しになるが……」

芽衣子「じゃあさ、スーツで出かければいいんじゃない?」

P「……はぁ?」

芽衣子「ほら、スーツ着たらお仕事関係かなーって見えるかも?」

P「なんで休みの日にスーツ着なきゃいけないんだ」

芽衣子「お出かけのため!」

P「そのために着替えろと?」

芽衣子「ダメ?」

P「ダメ」


芽衣子「ダメぇ?」

P「かわいく首をかしげてもダメなものはダメだ」

芽衣子「……」

P「ゆっくりしたいんだよ。社会人何年しててもスーツ着ると未だに……並木?」

芽衣子「えっ、な、なにか言った?」

P「いや、別に。呼んだだけだけど」

芽衣子「そ、そっかー。お出かけしたいんだけど、そこまで言うならお家デートで手をうとっか!」

P「なんだよ、お家デートって」


芽衣子「お昼はどうしてるの?」

P「適当に食べてる」

芽衣子「自炊?」

P「たまに」

芽衣子「へ~、ちゃんとするんだ?」

P「インスタントラーメンっていいよな」

芽衣子「むっ、ちゃんと食べなきゃダメだよ」

P「今日は外食すらできないからな」

芽衣子「私のせいにしちゃうー?」


芽衣子「まだ早いけど、お昼とかどうする?」

P「なんか適当に」

芽衣子「出掛ける気満々だったからお弁当も用意してないよ」

P「なんかあるだろ」

芽衣子「冷蔵庫見ていい?」

P「お好きにどうぞ」

芽衣子「なにがあるかな~?」


P「……」ウトウト

芽衣子「プロデューサー?」

P「……なに?」

芽衣子「寝てた?」

P「寝てない」

芽衣子「冷蔵庫の中、見事になにもないね」

P「しばらく買い物にも行ってないから」

芽衣子「生活感ないよー」

P「最近はシャワー浴びて寝るだけの場所になっていたからな、ここ」


芽衣子「じゃあ、行かなきゃ!」

P「どこに」

芽衣子「スーパー」

P「却下」

芽衣子「えーっ、それくらいはいいでしょー?」

P「ひとりでなら」

芽衣子「一緒に!」

P「ほら、却下」

芽衣子「ぶーぶー!」


P「出前でいいだろ。楽だし」

芽衣子「そんなに私の作ったもの、食べたくない?」

P「……その聞き方は卑怯だろ」

芽衣子「どっち?」

P「そりゃあ……作ってもらえるのはありがたいけど、わざわざ買い物には……」

芽衣子「ならお出かけけってーい!」

P「なんでそうなる」


芽衣子「なに作ろっか? お昼だからそんなに重くないもの? それともガッツリ?」

P「出かける前提で話を進めるな」

芽衣子「買い物行かないの?」

P「今日は一日家」

芽衣子「強情だね」

P「どっちがだよ」


芽衣子「スーパーって、ここからそんなに歩くわけじゃないのに」

P「距離の問題じゃないといい加減気づいてほしい」

芽衣子「じゃあじゃんけんで決めよ、うらみっこなし!」

P「なんでだよ……」

芽衣子「私が勝ったら買い物に、プロデューサーが勝ったら出前で!」

P「……3回じゃなくて1回勝負な」

芽衣子「最初はグー、だからね。パー出しちゃダメだよ!」

P「俺の前世は武士だからそんな卑怯な真似はしない」

芽衣子「急にやる気出したね」

P「勝てば黙らせられるからな」

芽衣子「私だって負けるイメージないから!」


芽衣子「はい、最初はグー!」

P「じゃんけん……」

芽衣子「ぽんっ!」


P「……」

芽衣子「……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ」

芽衣子「これ3回」

P「却下」

芽衣子「えぇ~!」

P「言っただろ、1回勝負って」

芽衣子「聞いてないもん」

P「もん、じゃないよ。いい大人が言う台詞か」

芽衣子「うぅ~」


P「なにがいいかな。久しぶりにピザでも頼むか」

芽衣子「ピザ!」

P「チラシ捨ててなかったはずなんだけど……」

芽衣子「ピザいいかも~♪ ピザ、ピザっ♪」

P「さっきまで不満だらけだったのに現金な……あぁ、あったあった」

芽衣子「何枚頼む?」

P「そんなに食べるつもりかよ。ふたりだぞ。Lサイズ1枚でちょうどいいだろ」

芽衣子「おなかはペコちゃん!」

P「ハーフ&ハーフにするから好きなの選びなさい」

芽衣子「どれにしよっかなぁ~、ピザ久しぶり♪」


P「ピザそんなに好きなのか」

芽衣子「ピザもだけど、なによりあのチーズがうにょーんってなるのがいいよねっ!」

P「あぁ……その気持ちはわかる気がする」

芽衣子「でしょでしょ~♪ いつも食べるものじゃないから、なんだか特別感もあって。ピザいいよね」

P「ひとりで食べるものではないしな」

芽衣子「誰かと一緒に、だよねー」

P「今回は別に呼んでもいない人と食べるわけだけど」

芽衣子「楽しいを更新するから大丈夫!」グッ


* * *


芽衣子「おなかいっぱい~♪」

P「結構くるな……」

芽衣子「今年はもうピザいいかな~」

P「のびるチーズに翻弄される人間を初めて見たよ」

芽衣子「おもったより伸びたからびっくりしちゃった」

P「ピザ食べるのヘタクソだな」

芽衣子「久しぶりだからね。うん、しょうがない!」

P「そういう問題かよ」


芽衣子「たまにはこういうオフもいいなぁ」

P「いつもはやっぱり外か」

芽衣子「そだね。次の日次第だけど、日帰り旅行とかカンタンにできちゃうから」

P「せわしないな」

芽衣子「プロデューサーがのんびりしすぎじゃない?」

P「ストレス解消の方法が真逆なだけだ」


P「ところで」

芽衣子「どうしたの?」

P「重い」

芽衣子「胃が? 食べ過ぎだよ~」

P「違う、足」

芽衣子「足がどうしたの?」

P「俺の足は箸置きじゃないからな」

芽衣子「うん、知ってるよ?」

P「なら上に乗ってる足をどけてくれないか」


芽衣子「ちょうどいいところにあるから」

P「だからって乗せていい理由にはならないだろ」

芽衣子「これ、座ってる位置が悪いよね?」

P「足伸ばさなければいいだけだろ」

芽衣子「だって気持ちいいんだもーん」ゴローン

P「食べてすぐ寝転ぶと太るぞ」

芽衣子「その分明日頑張るから大丈夫!」

P「今日行動を改めれば無理する必要ないんだけど」

芽衣子「こたつの魔力には勝てないよ~」


芽衣子「あっ」

P「なんだ」

芽衣子「上半身が寒いから足伸ばしてごろーんってなるんだよ」

P「そうですか」

芽衣子「ということで」

P「…‥狭い」

芽衣子「こうやって隣にいけば上もあったか~♪」


>>45 修正


芽衣子「あっ」

P「なんだ」

芽衣子「上半身が寒いから足伸ばしてごろーんってなるんだよ」

P「そうですか」

芽衣子「ということで」

P「……狭い」

芽衣子「こうやって隣にいけば上もあったか~♪」


P「離れろ」グイッ

芽衣子「いーやー」グイグイ

P「誰も見てないからってなにしてもいいわけじゃない」

芽衣子「冬だからね、しょうがないよ」

P「話聞いてるのか? 伝わってくる体温から考えるに寒いとはおもえない」

芽衣子「やーん、恥ずかしい~♪」

P「そう言って体を寄せてくるのやめてくれ」

芽衣子「前より慣れてきた?」

P「……取り乱しはしなくなった」

芽衣子「じゃあもっと行っても?」

P「さすがに怒るぞ」


芽衣子「まったく、しょうがないから肩で我慢してあげよう」

P「どの位置から言ってるんだよ。重い」

芽衣子「女の子に重いなんて言っちゃダメだよ!」

P「頭が重い」

芽衣子「前になにつけても一緒!」

P「なんで俺は怒られてるんだ」


芽衣子「こうしてると」

P「……なんだよ」

芽衣子「恋人みたいだね?」

P「……」

芽衣子「プロデューサーはどうおもう?」

P「……」

芽衣子「なにか言ってよー! 結構恥ずかしいんだよ」

P「……ノーコメントで」


芽衣子「プロデューサーも拒否すればいいのにさ、そうしないから私もこうやって調子に乗っちゃうんだよ?」

P「さっきから言ってるしやってるだろ」グイッ

芽衣子「ふふふ、私がN極でプロデューサーがS極だからね! 剥がしても戻ってくる!」

P「どうしようもねぇ」

芽衣子「体温高いね?」

P「暑苦しいんだよ」

芽衣子「ん~、私はまだ温もりが足りないかなぁ」

P「こたつの温度上げるから離れて。もしくは半纏着て」

芽衣子「そうやって道具ですぐ解決するのはどうかとおもうかなっ」

P「文句が多い」


ピンポーン

芽衣子「はーい」

P「なんでだよ。座ってなさい」

芽衣子「むぅ」


芽衣子「んー……あったかい……」

芽衣子「気抜いたら寝ちゃいそー……」

P「……なにやってんだ」

芽衣子「ぬくもりを感じてるの」

P「人の座っていたところに、やめなさい」

芽衣子「むぅー……あっ」

P「今度はなんだ」


芽衣子「マフラー」

P「ん、あぁ、そうだ、そうだった。これ、ありがとうな。並木だろ? わざわざ事務所の机の上に置いていって」

芽衣子「なんで私って?」

P「そりゃご丁寧に直筆のクリスマスカードなんか付けて。字を見たらな」

芽衣子「そんなに特徴的かなー、私の字って」

P「自分の担当の字くらい記憶してるから」

芽衣子「へぇー……」

P「綺麗な字してるからな」

芽衣子「……そういうところっ」

P「は?」

芽衣子「なんでもないよーっだ」


P「さて」

芽衣子「なに届いたの?」

P「ちょっとな」

芽衣子「通販とか使うんだね」

P「そりゃ現代人ですから」

芽衣子「ほらっ、開けて開けて」

P「はいはい」

芽衣子「Amazonの箱ってちょっとかわいいよね」

P「言いたいことはわかる」


芽衣子「お? 包装?」

P「あぁ」

芽衣子「もしかして、自分へのクリスマスプレゼントとか? なに買ったの? 見たい見たい!」

P「はい。メリークリスマス。遅れたけど」

芽衣子「えっ」


P「えっ、て。はい、クリスマスプレゼント」

芽衣子「え、あ、えっ?」

P「受け取ってくれないのか、そうかー」

芽衣子「え、い、いや、もらうもらう! あ、ありがとう……」

P「あんまり嬉しそうじゃないな」

芽衣子「あの、えっと、驚いてるのっ!」

P「サプライズに弱いんだな」

芽衣子「だってこんな突然だったら誰だってこうなるってば~」


芽衣子「開けていい?」

P「もちろん」

芽衣子「なんだろ、えへへ。ドキドキする」

P「気に入ればいいけど」

芽衣子「……」ゴソゴソ

P「本当は当日に渡すべきだろうけど、いろいろタイミングがな。まぁ、言い訳にしかならないか」

芽衣子「これって……万年筆?」

P「あぁ」

芽衣子「えっ、こんなに高そうなもの……」

P「値段なんかどうでもいいだろ」

芽衣子「だって私、マフラー」

P「それはそれ」


芽衣子「こっちは……インク?」

P「手紙、書いてるって言ってたろ」

芽衣子「……」

P「ボールペンもいいけど、万年筆だと格好つくというか、なんかいいじゃん。いろいろ不便なものだけど、並木の言葉を借りるなら『ロマンがある』ってね」

芽衣子「……」

P「どうした?」

芽衣子「……去年は渡せなくて、今年も仕事でタイミング合わなくて、それでクリスマスも過ぎたから……」

P「泣いてんの?」

芽衣子「泣いてないっ! 感激してるだけ!」


P「使うものだからな。大切だからって保管するなよ?」

芽衣子「うん、ありがとっ。次書くときにさっそく使うね」

P「おう。ガンガン使って、どんどんインク減らしてくれ」

芽衣子「……でもAmazonの箱って、風情ないね。ふふ」

P「まさか本人がここにいるとはおもってもいなかったからな」

芽衣子「でもそのおかげで一日の遅刻で済んだんだよ?」

P「怪我の功名だな」


芽衣子「……もしかして、これが届くから出かけなかったの?」

P「理由のひとつでしかないけどな」

芽衣子「ふぅーん……」

P「……なんだよ」

芽衣子「なんでもぉー」

P「含みのある言い方」


芽衣子「じゃあこれからお出かけ!」

P「却下」

芽衣子「なんでさー!」


おわり


こちらのサンタも遅刻しているみたいで、早く芽衣子さんに会わせてくれないかなぁ


読んでいただきありがとうございます。
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