ウサミンロボ食堂【モバマス】 (37)

 
 
 池袋晶葉の作り上げた、ダンゴを作りバックダンサーもこなす優れロボ、ウサちゃんロボ

 PLUMからプラキット絶賛発売中!!(ダイマ)

 そのウサちゃんロボにウサミン星の超科学による改良を加えたスーパーロボット!

 その名はウサミンロボ!!

 




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482839052


 うさ~

 シンデレラプロ事務所には、簡易宿泊施設があります。
 
 立派なお布団の置いてある仮眠室。
 簡単なキッチンのある食堂。
 一週間くらいなら泊まることだって出来ます。

 モバPは、お仕事がいそがしくなると泊まり込むことが多いです。
 夜でなくても、忙しくてお昼ご飯が食べられないときもあります。

 うさ~

 そんなとき、ウサミンロボはモバPのためにご飯を作ります。


 ウサミンロボはアイドルの味方です。アイドルのお世話をするのも大好きです。
 だから、モバPはウサミンロボにとっては同志なのです。

「腹減った……」

 どうやら今日もまた、買い物に行く暇も無く頑張っているようです。
 シンデレラプロに何人もいるプロデューサー、その頂点に立つモバPのお仕事も大変です。

 うさ~~

 ウサミンロボはパトロール中のロボに連絡すると、いくつかの材料を買ってきてもらいました。
 そのうちの一つが、サッ○ロ一番味噌ラーメンです。
 サッ○ロ一番味噌ラーメンは、エー○コックのワンタンメンと双璧をなす存在なのです。
 せめてもの癒やしに、サッ○ロ一番味噌ラーメンにタマゴを落としました。

 完成直前に入れてからとじ蓋をして少し蒸らしたので、見事な半熟です。
 さらにモヤシはしゃきしゃきで、なんとメンマまで入っています。
 チャーシューはあえてハムです。
 インスタントラーメンにまともなチャーシューは今一あわないと、ウサミンロボは教えてもらっています。
 インスタントにはあえてハムなのです。

 うさっうさっ

 ついでと言ってはなんですが、炒飯をつけました。
 小エビの入った炒飯です。
 炒飯です。
 チャーハンではないのです。

 メニューにチャーハンと書かれているのを注文したら刻んだチャーシューを混ぜただけのご飯」が出てくる。
 そして、「チャーシューご飯の略でチャーハンですよお客さん」
 などとふざけたことを言うお店にはウサミン竹槍百連撃をお見舞いするべきです。


「お、ラーメンとチャーハンか、いいねぇ」

 うさ~

「いただきます」

 モバPにはしっかり食べてもらって、アイドル達をしっかりと支えて欲しいのです。

「美味い」

 うさ~

 ウサミンロボは少し照れてしまいました。

「美味い美味い、インスタントでこんなに美味いなんて、流石ウサミン科学」
 
 うさ~


「いやぁ、ありがたいありがたい。ここで食べると無料だし」

 うさっ!?

 何か今、聞き捨てならないことを言われたような気がします。

「流石だな、ロボ」

 うーさー

 モバPは食べ終わると車に乗って出かけてしまいました。多分お仕事です。
 ウサミンロボはパトロールに出撃する僚機を見送ると、事務所内のお掃除と、晩ご飯の準備を開始します。 

 夜になると、仕事を終えたアイドル達がぞくぞくと戻ってきます。
 どうやら、今夜は皆のお仕事の終わる時間が偶然似かよってしまったようです。
 勿論ほとんどのアイドル達は食事を終えているのですが、中にはご飯にありつけなかった人もいます。
 ご飯はもう食べたけれど、何か物足りないなぁと言う人や、お酒や夜食を欲しがる人もいます。


 ウサミンロボたちの出番です。

 台所では既に、枝豆を塩茹でしたり、一口大に切って表面を焼いたささみ肉にもみじおろしと浅葱を散らします。
 ツナと刻みタマネギをマヨネーズで和えてクラッカーに乗せたりもしています。

 勿論、がっつり食べたい人のためのメニューも準備しています。

 今夜はオムライスです。
 モバPに出したチャーハンの具の材料が沢山有るのでピラフをつくります。

 エビピラフです。そして、エビピラフでオムライスを作るのです。
 エビピラフの味付けは塩こしょうのみです。その代わり、オムライスにはたっぷりのデミグラスソースをかけます。

 そして、ほんのちょっとだけアクセントにツナを入れた、キュウリとレタスと水菜のサラダです。


 カツ丼もあります。
 夜遅くにカツ丼というと眉をひそめるアイドルもいますが……眉と言っても佐久間まゆではありません。

 とあるボンバーなアイドルはいつでもどこでも丼物を愛しています。どんぶりすと・どんぶりゃーです。

「いただきます!!」

 食べています。カツ丼を食べています。ウサミンロボの作ったカツ丼を食べています。

 誤解の無いように言っておきますと、いくら日野茜でも、毎晩毎晩仕事から帰ってくるたびにカツ丼を食べているわけではありません。

 昨夜は天丼で、その前は親子丼でした。
 明日は牛丼の予定です。
 無論、その次は豚丼です。


「ごちそうさまでした!」

 ロボはすぐさまお茶を準備して届けます。

 うさ

「ありがとうごさいます!」

 お茶を飲んだ日野茜はその場を去り、入れ替わるように別のアイドルがやってきます。

 ウサミンロボは大忙しです。

 うさっうさっ

 せっせと働きます。


 うさー

 九時を過ぎると、ようやくアイドルの数も減り始め、食堂も静かになってきました。
 残っているのは静かにお酒を飲んでいる人たちだけです。

「ロボ、まだなんかあるか?」

 モバPがお仕事から戻ってきていました。

 うさ?

「俺じゃない、仁奈の晩ご飯だ」

 うさ~

 モバPの後ろには、アイドル市原仁奈がついてきていました。


「ウサミンロボにも、こんばんわでごぜーますよ」

 うさうさ

 だけど、市原仁奈にはちゃんとお家があります。お家には帰らないのでしょうか。
 大人のアイドルであれば、夜にお仕事が入るときもあるので仕方ないのですが。

「ママはお仕事で帰ってこられねーです」

 仁奈ちゃんの言葉をモバPが補完します。

「急に連絡があってな、家に帰っても一人だから、却ってここに居た方が親御さんも安心だ」

 うさっ!

 勿論です。この事務所、いえ、ウサミンロボの眼の届く範囲にいる限り、アイドルには危険はありません。
 ロボが全力で守り抜くのです。
 

 
 ぐーっ

 うさ?

 仁奈ちゃんのお腹が鳴っています。

「すまん。アクシデントが続いて、コンビニのパンくらいしか食べてないんだ」

 うさっ!

 それは大変です。すぐに市原仁奈にはご飯が必要です。
 子供はご飯を食べるもの。遊ぶもの。寝るもの。とウサミンロボは教えられています。

 エビピラフはまだあります。タマゴだってあります。
 やはり、オムライスです。

 ウサミンロボ特製オムライスを超速で仕上げると、仁奈ちゃんの前にコトリと置きます。


 うさ~

「おう、オムライスか、美味そう……」

 手を伸ばしたモバPの胸元にウサミン竹槍が突きつけられます。

 うさっ

「どういうことだ、ウサミンロボ」

 オムライスは市原仁奈のものです、例えモバPといえども、それを奪うのは悪です。
 アイドルに対する悪を、ウサミンロボは絶対に絶対に許しません。

「つまみ食いは許さない、そう言いたいんだな」

 うーさー


 ウサミン竹槍先端に刺さっていた安全装置代わりのソフトボールがぽろりと落ちました。
 切っ先が剥き出しです。
 
 でも、相手はモバPです、あっさりと刺したりは出来ません。

「だがな、ウサミンロボ、よく考えろ、この俺は……」

 うさっ
 ぷすり

 容赦はありませんでした。

「すいませんでした。僕もオムライスが食べたいです」

 うさ~

 ウサミンロボは笑顔で了承します。しかし、今は仁奈ちゃんのオムライスが先決です。


「美味しいでごぜーます。ウサミンロボは名コックでやがりますね」

 仁奈ちゃんはぱくぱくとオムライスを食べ始めました。
 小ぶりの子供用オムライスでしたが、お代わりまでしてしまいました。
 お代わりを作る時間を待たせるわけにはいかないので、モバP用に作った物を持っていきます。

「待て、ウサミンロボ、それは俺のじゃないのか。仁奈のお代わりにするのか、待て」

 うさっ
 ぷすり

 仁奈ちゃんのオムライスが優先なので、容赦はありません。

「うう……痛い……ああ、ところでウサミンロボ」

 うさ?


「仁奈は明日から冬休みだから、二三日ここにお泊まりする」

 うさぁ

 わかりました。ウサミンロボは直ちに仮眠室の準備をします。

「小学校の終業式までには、お母さんも手が空くから必ず迎えに来るってよ」

 うさうさ

 それは良かった、とウサミンロボも思います。

「ママが迎えに来やがるんですよ」

 嬉しそうな仁奈ちゃんを見ているとウサミンロボもとても嬉しくなって、くるくる回ってしまいました。
 食後のアイスを食べていたライラさんも釣られて回っています。


「行って来やがります」

 うさー

 翌朝、ウサミンロボは仁奈ちゃんのために朝ご飯をつくりました。
 スクランブルエッグとトースト、ソーセージとサラダです。そして、砂糖多めの温かいカフェオレ。

「俺もそろそろ行ってくる」

 同じメニューを食べた(ただしカフェオレではなく、熱く苦い狂おしいブラックコーヒー。トーストは二枚)モバPも出かけます。
 結局、モバPも泊まっていたのです。

「あー、……しんどいな。ずる休みしようか」

 うさっ
 ぷすり

「お前本当に、俺には容赦ないな」


 慌ててモバPは出て行きました。

 入れ替わるように出社してきたのがちひろさんです。

「あら、プロデューサー、また泊まったんですか?」

「ははは、もう家に帰るのも面倒くさくて」

「駄目ですよ。ちゃんと帰らないと」

「昨日は仁奈もいましたからね。仕事仕事」

「仁奈ちゃんの件ももう少しなんとかしないと行けませんね」

「じゃあ、行って来ます」

 うさうさ~

「うん、ロボちゃんもご苦労様」


 ロボはちひろさんが事務室に入るのを見届けるとお掃除を始めます。
 お客さんが来るとご挨拶して、案内します。
 ウサミンロボの案内はとても好評で、わざわざ案内を見に来る人もいるくらいなのです。

 その夜も、仁奈ちゃんは事務所に泊まることになりました。
 今夜はモバPではなく、ちひろさんがお泊まりです。
 ウサミンロボはパスタ料理を作りました。少し前に、イタリア風の学園で教えてもらった料理です。

 次の日もお泊まりです。
 さすがに、三日目の朝にモバPはどこかに電話していました。

「はい……いえ、迷惑などということはありません。確かに、お預かりすることも含めての契約でした」
「しかし、市原……仁奈ちゃんが寂し……いえ、すいません、出過ぎたことを言っています」
「はい。それはわかっています。申し訳ありませんでした」

 うさ……?

「……ウサミンロボ」


 うさ

「重大な使命がある」

 うさ!

「今日は仁奈の学校の終業式だ。明日から冬休みだ」

 うさ

「だから、今夜は御馳走だ。特製お子様ランチ、いや、お子様ディナーを頼む!」
「仁奈には内緒で、帰ってきたらビックリさせてやろうぜ!」

 お子様ディナー!!

 ウサミンロボは突如の重大な使命に震えます。
 これはウサミンロボの能力の粋を尽くして遂行すべき問題だと確信しました。


 うさっうさっうさっ!!

 ウサミンロボは頑張ります。
 簡易キッチンでご飯を作ります。
 しかし、簡易キッチンは所詮簡易なので本格的な御馳走を作るには火力が足りません。

 そんなときにはウサミンファイヤーです。
 ウサミンファイヤーには二種類あります。

 飛ばせ鉄拳ウサミンパンチ、今だ出すんだウサミンファイヤー。
 逆巻くたてがみ怒りに燃えて、きっと地球を守るのだウサミンファイヤー。

 両方とも水木一郎なので区別しにくいのです。

 因みに前者はウサミンロボの胸のUSAマークから出ます。
 後者は、ウサミンロボが頭を回すと耳の先から出てきます。


「ただいまでごぜーます」

 調理を進めていると仁奈ちゃんが帰ってきました。
 
 他のアイドル達はほとんどがクリスマス特番や新春特番、年末特番の生放送や公開録画のお仕事です。

 モバPとウサミンロボが仁奈ちゃんを迎えました。

「お帰り、仁奈。今日は特別なゴチ……」

 うさ?

 迎えに出ようとしたウサミンロボは、突然止まったモバPの足にぶつかってしまいました。

 うさ?

「市原さん……間に合ったんですね」


 仁奈ちゃんの後ろには女の人が立っています。
 もしかすると、仁奈ちゃんのお母さんでしょうか。

「はい……そうですか、いえ、仁奈ちゃんも嬉しいでしょう。な、仁奈」

「えへへ、ママがお仕事を頑張って終わらせてくれたのでごぜーますよ」

「そうか」

「これから、お家で、ママが晩ご飯を作ってくれるんでごぜーます」

 ウサミンロボは振り向きました。
 その向こうのキッチンでは、今夜のための御馳走が調理中です。

 うさ……


「あ、あのな、仁奈、夕食だけでも……」

 うさっ
 ぽすん

 ウサミンロボは、安全装置のついたウサミン竹槍でモバPの足をつきました。
 先端のソフトボールが当たっただけなので痛くありません。

「ロボ……」

 うさっ
 ぽすん

 早くバイバイするウサ
 仁奈ちゃんはママと二人一緒がいいウサ


 ウサミンロボにもわかります。
 ウサミンロボも菜々ママや、ウサちゃんロボだった自分を作ってくれた博士が大好きです。
 仁奈ちゃんだって、ママが大好きに決まっています。
 だから、早く二人で帰してあげた方が良いのです。

 ウサミンロボにだって、それくらいはわかります。

 ロボットだけど、わかります。

 だから、早く。

 うさっ
 ぽすん


「市原さん、では仁奈ちゃんをお返しします。少し早いですけれど、よいお年を」

「良いお年ー!」

 頭を深々と下げて、仁奈ちゃんのお母さんは仁奈ちゃんを連れて行きました。

 後にはウサミンロボとモバP。そして御馳走が残ります。

「ロボ、御馳走、無駄にはしないぞ。食べようじゃないか」

 キッチンに戻ると、そこには……

「美味しいな、これ」

 うさっ!?


 池袋晶葉がつまみ食いをしているではありませんか。

「……何やってんだ、晶葉」

「地下のラボにいたんだが、ちょっと外の空気を吸おうと思って上がってきたんだ」
「そうしたら、美味しそうな匂いがしたもので、つい、な」
「ロボが作ったんだろ? じゃあ私が食べてもいいじゃないか」

「……ロボのモニターチェックして、慌てて駆けつけたな?」

「そんなことはしない」

「急いできただろ。白衣が裏返しになってるぞ」

「ばかなっ、ちゃんと確認……あ」

「やっぱり、そうか」


「助手……悪辣だな」

「ロボの作った御馳走だ、無駄にせずに食べちまおう」

「仁奈基準だと、私たち二人には少ないな」

 うさっうさっ!

 ロボはキッチンへ急ぎます。
 今作っているのは仁奈ちゃんの分だけですが、材料は余ってるのです。
 博士とモバPの分だって、今から作れば充分です。

「もうすぐ、ウサミンも来るからな」

「なにっ、流石に三人分の材料はないだろ、さっさと食わないと」


「いや、あるだろ。ちゃんとウサミンの分は残せよ」

「待て、ロボ、それは取り置きするんじゃないっ、俺が食べ……」

 うさっ
 ぷすり

 そしてウサミンロボは、三人分の御馳走を作ったのでした。

 以上、お粗末様でした


 ウサちゃんロボのプラキット、可愛いです



 あー、コミケ91三日目にて、以前ここで投下させてもらった

【菜々「ウサミンロボ」】の改訂版(新刊)
【ウサミンロボ郵便局】の改訂版(既刊)

 それぞれ置いてます。
 良かったらよろしくです。

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