穂乃果「私ね、前世でスクールアイドルやってたんだ」 (565)

ラ!板からの移動です

公開済みの第1話から第5話まで
一度に掲載していきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482624994

第一話「Music ReS.T.A.R.T!!」

――河原

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「ほっほっほっほっ」

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「...おわっ!ととっ」

ドサッ...

彩佳「ったく、ぜんっぜん上達してないじゃん」

彩佳「難しいステップじゃないはずだよ?」

彩佳「ほら立って。もう一回!」

孝彦「無茶言うなって」

孝彦「お前と違って、ダンス未経験なんだぞ...あーいてえ」

彩佳「はあ」

彩佳「なっさけない」

彩佳「中学時代はエースストライカーだったくせに」

孝彦「うるせー」

彩佳「...足、まだ痛いの?」

孝彦「...」

孝彦「んなわけねーだろ。もう二年前の話だよ」

孝彦「気にすんな」

彩佳「...」

孝彦「ほら、練習再開すっぞ」

孝彦「ラブライブ、出たいんだろ?」

――教室

菜々美「"あれ"、まだやってるの?」

彩佳「あれって?」

菜々美「スクールアイドルごっこ」

彩佳「ごっこじゃない」

彩佳「バカにしないで」

菜々美「ごめんごめん」

菜々美「怒らせるつもりじゃなかったの」

菜々美「でも」

菜々美「彩佳だってわかってやってるんでしょ?」

彩佳「...」

菜々美「スクールアイドルはもう流行らない」

彩佳「...!」

菜々美「だって」

菜々美「今年で終わりだもんね」

菜々美「ラブライブ」

――教室

裕太「でさー、次のページで」

孝彦「まっ、ネタバレすんなよっ!」

孝彦「まだ読んでねーんだから」

裕太「なんでさ」

裕太「昨日発売だろ? お前、いっつも発売日に買うじゃん」

孝彦「買ったけど読んでねーんだよ」

裕太「...?」

裕太「あー」

裕太「なるほど。そういうことね」

裕太「お前さあ」

孝彦「なんだよ」

裕太「彩佳のこと好きなの?」

孝彦「はあ?」

孝彦「唐突になんだよ」

裕太「だって、無駄だぜ」

孝彦「なにが」

裕太「スクールアイドルなんてさ」

裕太「たしかに全盛期は戦国時代とさえ呼ばれていた」

裕太「老若男女問わず熱狂した。憧れた」

裕太「でもよ」

裕太「もう何十年も昔の話だぜそれ」

孝彦「...」

裕太「数が増えれば質が落ちる」

裕太「世間の風当たりが強まって、いつしか人気は降下」

裕太「後ろ指さされるくらいまで落ち込んだ」

裕太「みんな、わかっちまったんだよ」

裕太「アイドルはひと握りいればいい」

裕太「レプリカはいらない」

孝彦「...で?」

孝彦「それと彩佳になんの関係があんだよ」

裕太「ラブライブ目指す、なんて戯言に付き合ってるじゃんか」

裕太「そもそも箸にも棒にもかからない結果に終わると思うが」

裕太「仮に出場して、結果を出して、それでどうする?」

裕太「首の皮一枚でつながっているコンテンツに未来なんてない」

裕太「下手したら汚名にだってなりかねない」

孝彦「そんなことっ」

裕太「やめろ」

裕太「そんなバカげたこと」

裕太「やめちまえ」

――河原

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「はっはっはっはっ」

彩佳「よーし、オッケー!」

彩佳「いったん休憩~」

孝彦「ふぅー、いい汗かいたぜ」

彩佳「だいぶ動けるようになってきたね」

彩佳「この調子ならラブライブ予選間に合うかも」

孝彦「...あのさあ」

彩佳「なに?」

孝彦「どうしてお前、スクールアイドルになりたいの?」

彩佳「へぇっ?」

彩佳「なによ急に」

彩佳「ダ、ダンスが好きだからって前にいわなかった?」

孝彦「聞いたよ」

孝彦「だったら」

孝彦「別にラブライブ出る必要ないじゃん」

孝彦「ダンスサークルの仲間と踊ってろよ」

彩佳「...」

孝彦「お前さあ」

孝彦「ガキのころから楽観的すぎんだよ」

孝彦「いくらスクールアイドルの人口が減ったからって」

孝彦「こんな短兵急にことを進めていいわけ?」

彩佳「だって、今年で最後なんだよ」

彩佳「今年やらなかったら、いつやるのよ」

孝彦「だーかーら」

孝彦「なんでラブライブにこだわるのさ」

孝彦「いままでいろんなワガママに付き合ってきたけど」

孝彦「たまにはちゃんと説明してくれよ」

彩佳「...そうだよね」

彩佳「ごめんね、いつも振り回してばっかで」

孝彦「慣れてる」

孝彦「でも」

孝彦「今回だけは別だ」

孝彦「周りは誰も賛同していない」

孝彦「そんななか、続ける道理があるのか」

孝彦「俺を諭してほしい」

孝彦「じゃなきゃ、ここで解散だ」

彩佳「うん」

彩佳「私のお母さんがね、スクールアイドルだったの」

孝彦「え?」

孝彦「8年前に亡くなった、おばさんが?」

彩佳「うん」

彩佳「高校時代のときだから...かれこれ25年前かな」

彩佳「あのころはまだ、スクールアイドルも日当たりが良かったって」

彩佳「第三次黄金時代、最後の世代だった」

彩佳「それから先は、孝彦も知ってるよね」

孝彦「...」

彩佳「主催側もいろいろ手を尽くしたけど」

彩佳「参加者はみるみる減っていった」

彩佳「お母さんはね」

彩佳「優勝の一歩手前まで行ったんだ」

孝彦「!...じゃあ」

彩佳「うん、ラブライブに出場できたの」

彩佳「入賞だったけど」

彩佳「お母さん、私が小さいころからよく言ってた」

彩佳「彩佳が高校生になったら、アイドルやらせるって」

彩佳「ダンスを習ってたのも、このためだったの」

彩佳「だけど」

彩佳「私は興味なかった」

彩佳「高校入学しても、アイドル目指す気はなかった」

彩佳「実際、去年までラブライブなんて忘れてたよ」

彩佳「でも」

彩佳「今年で終わりだと発表があった」

彩佳「なんかわかんないけど」

彩佳「このままスルーしたらお母さんに怒られる気がした」

彩佳「お母さん、悲しむ気がした」

彩佳「だから...」

彩佳「ラブライブに出て、お母さんの夢、叶えてあげたい」

彩佳「そう思った」

彩佳「...えへへ」

彩佳「ごめんね」

彩佳「もっと早くいうべきだったよね」

彩佳「こんな大事なこと...」

孝彦「...」

彩佳「ワガママだってわかってた」

彩佳「孝彦はいつも不平ひとつ漏らさないで付き合ってくれるから」

彩佳「勝手に頼ってた」

孝彦「...」

彩佳「やっぱ無理だよね」

彩佳「いまから始めたところで」

彩佳「ラブライブ出られるわけないよね」

彩佳「ごめん...」

孝彦「おばさん」

彩佳「?」

孝彦「おばさん、亡くなる前に俺にいったんだ」

孝彦「孝ちゃんがそばにいてくれるから、彩佳は真っすぐ生きられるんだって」

孝彦「だからこれからも見てあげてねって」

彩佳「お母さんが?」

孝彦「彩佳の気持ち、よくわかったよ」

孝彦「残念だけど、ラブライブ出場は無理だ」

孝彦「俺にはダンスの才能も、歌唱力も、人を惹きつける魅力もない」

孝彦「おばさんの願いを叶えてやることはできない」

彩佳「...」

孝彦「だけど」

孝彦「おばさんとの約束は守るって誓った」

彩佳「!」

孝彦「スクールアイドル」

孝彦「目指してみるだけなら、俺はかまわないよ」

――自室

孝彦「そうは言ったものの...」

孝彦「俺なんかにできるのか?」

孝彦「いまどき男女混合ペアも珍しくない」

孝彦「噂によれば、話題集めのために運営が用意した枠だともいわれているが...」

孝彦「それに」

孝彦「上位に食い込むのはもっぱら女子だけで編成されたグループで」

孝彦「男子高生のアイドルは需要が低い」

孝彦「過去、ラブライブ本戦に出場できた男女ユニットはたったひとつ...」

孝彦「やっぱ無理だー」

孝彦「彩佳の夢、おばさんの願い、叶えてやりたいけど」

孝彦「現実的に考えて、予選落ちだな」

孝彦「周りから嘲笑されるんだろうな...」

孝彦「まあ、でも」

孝彦「俺はやりたいことをやる」

孝彦「それだけだ」

――自室

彩佳「ねえ、お父さん」

父「うん?」

彩佳「私ね、ラブライブ目指すことにしたから」

父「彩佳が? どうしたんだ突然」

彩佳「お父さんも知ってるでしょ。今年で最後なこと」

彩佳「お母さんが出場経験あること」

父「もちろん知ってるよ」

父「でも」

父「彩佳はほかにやりたいことあるんじゃないか?」

父「無理してお母さんの遺志を受け継ぐことないんだよ」

父「好きなことをしなさい」

彩佳「ううん」

彩佳「違うの」

彩佳「私の好きなことは、いつも同じなの」

彩佳「小さいころから変わってないんだよ」

――河原

彩佳「孝彦って楽器なんか弾ける?」

孝彦「弾けるように見えるか?」

彩佳「無理だよねー」

彩佳「サッカー以外特技ないもんねー」

孝彦「そのサッカーですら」

孝彦「もうできないけどな」

彩佳「ギターは?」

孝彦「触ったことない」

彩佳「ピアノ」

孝彦「論外」

孝彦「そういうお前はどうなんだよ」

彩佳「弾けるように見える?」

孝彦「無理だな」

彩佳「うーん、曲作りどうしよう」

彩佳「そろそろ基礎練習やめて、実践に移ってかないと」

孝彦「菜々美に頼んでみたら?」

孝彦「あいつ、ピアノやってるだろ」

彩佳「やってるけど...」

孝彦「なんだよ」

彩佳「スクールアイドル馬鹿にしてるんだよ」

彩佳「話せるわけないよ」

孝彦「だな...」

――自室

彩佳「そういえば」

彩佳「小さいころ、お母さん言ってたな」

彩佳「演者だけじゃ、アイドルは成り立たない」

彩佳「きっと」

彩佳「いまの私たちに足りないものは音楽じゃない」

彩佳「それよりもまず」

彩佳「私たちを真正面から見てくれる監督だ」

彩佳「探そう」

彩佳「私たちと」

彩佳「スクールアイドルと向き合ってくれる人を」

――体育館

菜々美「ほんと田畑先生ってウケるよねー」

彩佳「うんうん。おっちょこちょいって感じ」

女子A「ごめーん、とってー!」

彩佳「...?」

彩佳「あ、バレーボール」

彩佳「はい」

女子A「ありがとー」

ピピーッ

女子A「やっば、ゲームセットじゃん」

女子A「まーた、D組に負けたあ」

菜々美「次、私たちの番だね」

彩佳「うん....あれ?」

菜々美「彩佳、どうかした?」

彩佳「C組のコート見て...」

彩佳「ねえ菜々美、あんな生徒いた?」

菜々美「ん? 誰のこと言ってるの?」

彩佳「ほら、髪を片側でとめてる子」

彩佳「転校生?」

菜々美「なーに、いってるの」

菜々美「入学当時からずっといるでしょ」

菜々美「記憶障害?」

彩佳「うーん...?」

彩佳「見覚えないなあ」

――音楽室

孝彦「曲作りかあ」

ポロン♪ピロン♪

孝彦「楽譜もろくに読めない俺がピアノ弾けるようになるまで」

孝彦「いったいどれだけかかるっていうんだ」

ポロン♪ピロン♪

孝彦「かといって」

孝彦「アイドル活動するので、曲書いてください」

孝彦「なんていえるわけないよな~」

孝彦「自分たちでどうにかしなきゃいけない」

孝彦「はあ」

孝彦「おばさん、あんたの娘、とんだ厄介者だよ」

ガラガラ

孝彦「!」

女生徒「失礼します」

孝彦「す、すいません」

女生徒「?」

女生徒「急に謝って、どうかした?」

孝彦「いや、あの」

孝彦「吹奏楽か合唱部の人っすよね」

孝彦「勝手にピアノいじってすいません...」

女生徒「ううん」

女生徒「違うよ」

女生徒「吹奏楽部でも合唱部でもないよ」

女生徒「ただの、通りすがり」

女生徒「ピアノ、弾けるの?」

孝彦「弾けないっす」

孝彦「...って」

孝彦「その襟章、おんなじ学年...?」

女生徒「そうだよ」

女生徒「神田孝彦くんと同じ二年生」

女生徒「先輩だと思った?」

孝彦「ええ、いや、うん」

女生徒「ここ」

女生徒「生徒の数、多いもんね」

女生徒「羨ましいな」

孝彦「?」

孝彦「...あ」

孝彦「なんで俺の名前」

女生徒「ふふっ」

女生徒「知ってて当然だよ」

孝彦「え?」

女生徒「あなたに会いに来たんだから」

――廊下

彩佳「孝彦からメッセージきてた」

彩佳「音楽室にいる...って」

~♪

彩佳「ん? 歌声が聞こえる」

彩佳「誰だろう」

ガラガラ

孝彦「おう、彩佳。遅かったな」

~♪

彩佳「きれいな声...」

女生徒「いらっしゃい、辺見彩佳さん」

彩佳「あっ、あなた!」

彩佳「C組の」

女生徒「うん」

女生徒「体育のとき、一緒だったよね」

彩佳「どうして孝彦と音楽室に...?」

彩佳「それに、さっきの歌...」

女生徒「私の」

女生徒「ううん、私たちがつくった歌なんだ」

彩佳「つくった?」

彩佳「あなた、歌手?」

女生徒「違うよ」

女生徒「私の名前は高坂穂乃果」

穂乃果「私ね、前世でスクールアイドルやってたんだ」

彩佳「ス、ス、スクールアイドルぅ!?」

孝彦「突っ込むとこそこじゃないだろ」

彩佳「え、なんて?」

彩佳「ああ、前世? 冗談に決まってるでしょう」

穂乃果「あはは、冗談じゃないんだけどな~」

彩佳「そんなことどうでもいいっ」

彩佳「穂乃果さん!」

穂乃果「はい!」

彩佳「スクールアイドルのこと好きですか!?」

穂乃果「うん、大好きだよ」

彩佳「だったら」

彩佳「だったら、私たちに協力してください!」

孝彦「彩佳」

彩佳「なによ」

孝彦「この人は」

彩佳「穂乃果さん!」

孝彦「...穂乃果さんは、最初からそのつもりらしい」

彩佳「え?」

穂乃果「うん」

穂乃果「私と一緒に、ラブライブ目指そう」

穂乃果「そして」

穂乃果「ラブライブを存続させよう」



第一話「Music ReS.T.A.R.T!!」終

( ゚Д゚)y─┛~~

第2話「LIVELESS WORLD」

ザアアァァァ....

こころ「本日はご多忙のなか」

こころ「矢澤にこのためにご弔問いただき」

こころ「まことに感謝しております」

こころ「生前より、にこは皆様の笑顔を第一に」

こころ「アイドル活動を務めておりました」

こころ「どうか彼女の、彼女の...旅立ちを」

こころ「明るい...明るい笑顔、で...」

..........

......

...

――夜

絵里「こころちゃん、お疲れ様」

こころ「絵里さん、今日はいろいろとありがとうございました」

こころ「おかげさまで、とても助かりました」

こころ「母の葬儀の時は姉が率先していたので...」

絵里「気にしないで」

絵里「こういうときはお互い様よ」

絵里「でも」

絵里「68歳で亡くなるなんて」

絵里「早すぎないかしら」

絵里「にこ...」

ことり「こうして集まるの、何年振りかな」

海未「穂乃果の一周忌以来かもしれませんね」

海未「あれからみんな、それぞれ忙しくなって」

海未「時間を合わせられませんでしたから」

ことり「じゃあ、もう五十年近くなるんだ...」

ことり「でもまさか」

ことり「にこちゃんが2番目になるなんて、思わなかったな」

凛「100歳まで生きると思ってたにゃ...」

花陽「にこちゃん...」

希「人はいつか死ぬ」

希「それが早いか遅いか、それだけ」

希「こころちゃんも言ってたやろ」

希「笑顔で見送ってやらな」

真姫「そうよ」

真姫「どうせ、天国いってもにこにーしてるんだから」

真姫「悲しんだら」

真姫「悲しんだら...泣き損よ...」

凛「そういう真姫ちゃんが一番悲しそうにゃ...」

花陽「μ's、7人になっちゃったね...」

希「でも」

希「にこっちらしいな」

海未「どういう意味ですか?」

希「今年でラブライブ終わっちゃうやろ?」

希「ひとつの時代に幕が下りたって気する」

ことり「たしかに」

ことり「にこちゃんで始まって、にこちゃんで終わったのかも」

海未「そういわれると」

海未「なんだか微笑ましいですね」

海未「もう、いまごろは穂乃果と再会してるころでしょうか」

凛「お婆ちゃんのにこちゃん見たら、穂乃果ちゃん驚いちゃうね」

凛「って、凛も人のこといえないや」

花陽「凛ちゃんはまだいいよ」

花陽「私なんて、最近字が見えなくなって...」

希「そういう話はやめよ」

希「うちら、昔はアイドルだったんやで」

絵里「みんな、今日はありがとう」

こころ「ありがとうございます」

こころ「姉...いえ、お姉さまも喜んでおります」

希「お疲れさん」

真姫「こころちゃん、立派だったよ」

こころ「お姉さまの前で、恥ずかしい姿は見せられません」

こころ「それに」

こころ「こうして皆様...みんなに支えてもらいましたから」

こころ「ここあと虎太郎のぶんも、重ねて感謝します」

こころ「ありがとうございました」

海未「お二人は...?」

こころ「向こうで片づけをしております」

こころ「私も一息したら、明日の準備をしなければいけません」

ことり「無理しちゃだめだよ」

こころ「大丈夫です」

こころ「μ'sがついてます」

こころ「それでは」

こころ「失礼します」

こころ「ゆっくりなさってください」

絵里「こころちゃんがね」

絵里「にこの遺品は、みんなで整理してほしいって」

絵里「μ'sの思い出がいっぱい詰まってるから」

絵里「自分にはできないって」

真姫「いいんじゃない?」

真姫「私たちも、もう若くない」

真姫「残された時間を」

真姫「μ'sで過ごそうよ」

真姫「次会うときは6人だなんて」

真姫「絶対にイヤ」

凛「凛も賛成」

凛「穂乃果ちゃんが早くに旅立ってから」

凛「みんなで集まること、避けてきたけど」

凛「これからの思い出を」

凛「別れだけで埋めたくない」

花陽「凛ちゃん...」

花陽「私もにこちゃんの遺品整理、手伝いたい」

花陽「また泣いちゃうかもしれないけど」

花陽「作業が進まないかもしれないけど」

花陽「最後までやります」

花陽「やらせて」

海未「ことり」

ことり「うん」

ことり「私たちも、最初から答えは決まってるよ」

絵里「そっか」

絵里「よかったわ」

絵里「それじゃあ、あとで日時を決めましょう」

希「うちには聞かないの?」

絵里「聞いたら聞いたで、怒るでしょう?」

希「当然」

こころ「あ、あの...」

絵里「あら、どうしたの」

絵里「手伝えることあったらなんでも言って」

絵里「私たち、最後まで付き合うから」

こころ「いえ、そういうわけじゃなくて」

こころ「ちょっとご相談したいことが...」

こころ「いいですか...?」

希「?」

希「どうしたん、改まって」

希「気軽にいってくれてええよ」

絵里「そうよ、私たち仲間でしょ」

こころ「ありがとうございます」

こころ「ですが...」

こころ「その...」

こころ「なんというか...」

真姫「歯切れ悪いわね」

こころ「変な話なんです」

海未「変な話?」

海未「わかるように説明してください」

こころ「はい」

こころ「お姉さまが息を引き取る間際に言ってたんです」

こころ「穂乃果、いま助けに行くよ...って」

海未「助け?」

ことり「穂乃果ちゃんの?」

こころ「はい」

こころ「聞き違いではありません」

こころ「お姉さまはたしかに言いました」

こころ「穂乃果、いま助けに行くよ...」

こころ「うわごとのようでもありましたが」

こころ「私には、その言葉が頭に焼き付いて離れません」

こころ「穂乃果さんは50年前に亡くなりました」

こころ「交通事故でした」

こころ「私はまだ小学生でしたが、そのときの記憶」

こころ「しっかり残っています」

こころ「雪道でスリップした車が、穂乃果さんに突っ込んだのです」

こころ「ドライバーのかたも、亡くなりました」

こころ「それだけの事故です」

こころ「いえ、それだけ、という表現はよくありませんね」

海未「問題ありません。事情がわかってきました」

海未「穂乃果を助けに行く、という言い回し」

海未「そこに引っかかるのですね」

こころ「はい」

こころ「お姉さまは事故に関りがありません」

こころ「それなのに、なぜ、50年経った今」

こころ「あのようなことを口にしたのでしょう」

こころ「まるで、悔やんでいるような...」

絵里「悔やんでいる...?」

絵里「にこが...?」

希「にこっち...」

こころ「私の思い込みなのかもしれません」

こころ「いえ、きっと思い込みなのでしょう」

こころ「なにか、お姉さまの心残りがあったのではないか」

こころ「そんな気がして」

こころ「落ち着かなかったのです」

こころ「ごめんなさい」

こころ「みなさんにお話するようなことではありませんでした」

海未「そんなことはありません」

ことり「うんうん」

ことり「もしかしたら、本当に」

ことり「にこちゃんに何かしらの心当たりがあったのかもしれないし」

ことり「話してくれてありがとう、こころちゃん」

こころ「はい」

こころ「では、私は戻ります」

凛「...」

凛「助けに行くよ、か」

凛「どういう意味だろう」

花陽「事故を防げなかったことに罪悪感を抱いてるんじゃないかな」

真姫「でも、にこちゃんが責任感じる部分はないはずよ」

真姫「あれは不慮の事故で」

真姫「誰のせいでもないんだから」

希「そうやね」

希「それに」

希「事故のことやったら」

希「なにも50年経ったいまやなくてええやん」

希「これまでいくらでも費やす時間があったんやから」

絵里「となると...」

絵里「死後の世界かしら」

海未「はい?」

海未「絵里、なにをいって...」

絵里「ありえなくはないでしょ」

絵里「にこは、穂乃果を追っていったのよ」

――帰り道

海未「絵里はいいました」

海未「穂乃果を追っていったと」

海未「ことり、あなたはどう思いますか?」

海未「にこが言った言葉の意味」

ことり「うーん」

ことり「私には深い意味があるとは思えないな」

ことり「穂乃果ちゃんもにこちゃんも天国に行ったんだよ」

ことり「それだけのこと」

海未「それはそうですが...」

ことり「ううん、ちゃんとわかってるよ」

ことり「こころちゃんの気持ちも、絵里ちゃんの気持ちも」

ことり「どこかに別の世界があって」

ことり「そのなかでは、昔のような楽しい時間が流れていて」

ことり「夢の続きが見られる」

ことり「そんな世界の存在を、疑いたくないって気持ち」

ことり「ちゃんとわかるよ」

ことり「でも」

ことり「物語には必ず終わりがあるの」

ことり「いつまでも続くわけないんだよ」

ことり「だから私たちはあのときの大切な時間を」

ことり「いまも昨日のことのように思い出せる」

ことり「永遠にできるんだよ」

海未「そうですね」

海未「ことりの言う通りです」

海未「それじゃあ、助けに行くっていうのは」

ことり「穂乃果ちゃんだって、天国じゃ寂しいでしょ」

ことり「9人でやってきたんだもん」

ことり「1人になったら、私だったらなにもできないな」

ことり「だから」

ことり「にこちゃんは穂乃果ちゃんを助けに行った」

ことり「空の向こうで、廃校を救おうとしてるヒロインの手を」

ことり「それじゃ、ダメかな」

海未「ことり...」

海未「やっぱりあなたも、物語の続き見たいんじゃありませんか」

ことり「え?」

ことり「えへへ」

ことり「当り前だよ」

ことり「私たちは、やっぱ9人そろわないと」

ことり「始まらないし」

ことり「終われない」

――帰り道

凛「なんだか、高校時代に戻った気がしたにゃー」

花陽「50年だって」

花陽「信じられないね」

花陽「こうして、凛ちゃんと歩いてると」

花陽「まだ歌って踊れるような気がしてくるよ」

凛「さすがにもう無理だよー」

花陽「ねえ、覚えてる?」

凛「なにを?」

花陽「これSomeの振り付け」

花陽「イントロがこうでー、こうこうこう!」

凛「それでこうなって、こうにゃー」

凛「って、足上がんないっ」

花陽「あはは」

花陽「やっぱ忘れられないよね」

花陽「一度染み付いたものは」

花陽「忘れたくても忘れられない」

凛「このころ、にこちゃんがμ'sに入ったんだよね」

凛「ねえ、かよちん」

花陽「なあに?」

凛「死んじゃったら、記憶はどうなるのかな」

凛「死んじゃったら、思い出も消えちゃうのかな」

花陽「凛ちゃん?」

凛「もう、穂乃果ちゃんも、にこちゃんも」

凛「凛たちのこと、忘れちゃってるのかなあ...」

花陽「凛ちゃん」

花陽「そんなこと、絶対にないよ」

花陽「歌ったじゃん」

花陽「思い出だけじゃないからねって」

花陽「あたらしい夢が生まれてくるんだって」

――帰り道

真姫「正気なの? 絵里」

絵里「冗談に聞こえた?」

真姫「...」

絵里「あなただって、私と同じ考えだと思ってたけど」

絵里「勘違いだったかしら」

真姫「...」

希「絵里ちの気持ちは痛いくらいわかる」

希「うちだって、信じたい」

希「でも、だからって」

希「死のう、なんて軽々しく言ったらうち許さんから」

絵里「...」

希「死後の世界があったら何?」

希「こっちとどう違うん?」

希「ちょっと冷静になったほうがええよ」

絵里「わかってるわよ!」

真姫「絵里...」

絵里「でも」

絵里「穂乃果はずっと1人だったのよ」

絵里「誰もいない、暗い場所で」

絵里「1人だったのよ...」

希「そんなんわからんって」

希「想像に陥ったらあかん」

絵里「私がにこに続いてあっち行くの、そんなにおかしなこと?」

絵里「2人に会いたいと思うこと、おかしくないでしょ!?」

真姫「絵里!」

絵里「...ごめんなさい」

希「...」

絵里「また明日」

たたた...

真姫「...」

希「...」

真姫「ねえ、希」

希「うん、言わなくてもわかる」

真姫「もし穂乃果だったら」

希「言わなくてもわかるから!」

希「もう、穂乃果ちゃんもにこっちもいないの」

希「私たちで考えないといけない問題でしょ」

真姫「そうね」

真姫「絵里のこと」

真姫「絶対に目離しちゃダメよ」

希「もちろん」

ザアアアァァァァ.......

こころ「また雨ですか...」

こころ「お姉さま」

こころ「時間を巻き戻せないこと、わかってます」

こころ「ですが」

こころ「このまま」

こころ「μ'sの物語は終わってしまうのですか?」

こころ「μ'sは」

こころ「もうみんなに笑顔を届けられないのですか?」

こころ「教えてください」

こころ「お姉さま...」

.....................

............

.....



第2話「LIVELESS WORLD」終

( ゚Д゚)y─┛~~

第3話「No brand boys & girls」

――河原

穂乃果「まずは、二人のことたくさん教えて」

穂乃果「なにが好きか、なにが嫌いか」

穂乃果「なにが得意か、なにが不得意か」

穂乃果「そうすれば、ラブライブで勝てる方法、わかるかも」

彩佳「好きなものはアイスクリームで」

彩佳「嫌いなものはトマト!」

彩佳「得意なことはダンスで」

彩佳「不得意なことは...」

孝彦「勉強だろ?」

彩佳「うっさい!」

穂乃果「孝彦くんは?」

孝彦「好きなものは...」

孝彦「...」

彩佳「?」

孝彦「ああ、いや、なんでもない」

孝彦「サッカー、サッカー」

彩佳「私たちの自己紹介はこれで終わり」

彩佳「次は」

彩佳「穂乃果さんの番だよ」

穂乃果「うん」

穂乃果「その前に」

穂乃果「穂乃果、でいいよ。私たち同級生なんだから」

穂乃果「ね、彩佳、孝彦」

彩佳「そうだね」

彩佳「よろしく、穂乃果!」

孝彦「...」

彩佳「ほらっ、あんたも」

孝彦「穂乃果...」

穂乃果「うん、こちらこそよろしくね」

穂乃果「それで...ええと、私のことだっけ」

穂乃果「元スクールアイドルです」

彩佳「もしかして、前の学校でやってたとか?」

穂乃果「あはは...まあそんなところかな」

彩佳「やっぱり! 私たちのこと、知ってたんですか?」

穂乃果「うん」

穂乃果「だから声をかけたの」

孝彦「つっても」

孝彦「ご期待に添えるかどうか」

孝彦「俺ら、穂乃果と違ってド素人だし」

穂乃果「スクールアイドルなんて最初から素人の集まりだよ」

穂乃果「そのなかで、輝くためにあきらめない」

穂乃果「強い意志を持った人たちが上へ登れるの」

穂乃果「二人はどうかな」

穂乃果「鉄のように固い意志、持ってる?」

彩佳「はい!」

彩佳「お母さんの夢を叶えてあげたいから」

彩佳「絶対に、ラブライブに出たいです!」

孝彦「俺だって」

孝彦「志くらいは持ってます」

孝彦「だけど...」

穂乃果「大丈夫」

穂乃果「その気持ちがあるなら」

穂乃果「私が全力でサポートするよ」

穂乃果「...よかった」

彩佳「穂乃果?」

彩佳「泣いてる?」

穂乃果「ううん、ごめん」

穂乃果「安心しただけ」

孝彦「...?」

穂乃果「いつもここで練習してるの?」

穂乃果「学校の敷地...じゃないよね」

彩佳「うちの学校、スクールアイドル部ありませんから」

孝彦「そもそも、斜陽なんだ」

孝彦「部活動として容認する学校のほうがいまじゃ少ない」

穂乃果「そっか...」

穂乃果「そんな時代なんだね...」

彩佳「?」

彩佳「穂乃果がいたところはどんな感じだった?」

彩佳「みんなスクールアイドル好きだった?」

穂乃果「私の学校?」

穂乃果「うん」

穂乃果「みんな大好きだったよ」

穂乃果「みんなスクールアイドルに虜だった」

穂乃果「アイドルでもあり、ヒーローでもあった」

穂乃果「そんな学校かな」

孝彦「ありえない」

孝彦「いまどき周囲から礼賛されるスクールアイドルなんて」

彩佳「ちょっと孝彦っ」

彩佳「言い過ぎだって」

彩佳「ごめん穂乃果」

穂乃果「いいよ、気にしてないから」

穂乃果「孝彦の言ってること、もっともだよ」

穂乃果「だから、ラブライブの開催が終わっちゃうんだもんね」

穂乃果「なにも間違ってない」

彩佳「そういえば」

彩佳「穂乃果、ラブライブを存続させたいって言わなかった?」

彩佳「あれ、どういう意味?」

穂乃果「そのまんまの意味」

穂乃果「私たちの力で、ラブライブを後世に残そうよ」

穂乃果「それだけの可能性、二人から感じるな」

孝彦「買いかぶりすぎ」

孝彦「穂乃果」

孝彦「理想を口にするのは簡単だよ」

孝彦「俺だってよくする」

孝彦「でも」

孝彦「それを目標と混同しちゃだめだ」

穂乃果「ううん」

穂乃果「目標じゃない」

穂乃果「私は、ラブライブを存続させなきゃいけない」

穂乃果「仲間のために」

孝彦「仲間?」

孝彦「なにを言って...」

彩佳「そうだよね!」

彩佳「これからもスクールアイドル仲間増やしたいもんね!」

彩佳「後輩や、次の世代のために」

彩佳「頑張らなきゃだよね!」

穂乃果「うん」

穂乃果「頑張ろう!」

孝彦「...」

――自室

孝彦「なんだろう」

孝彦「なにか腑に落ちない」

孝彦「高坂穂乃果」

孝彦「俺たちに隠し事をしている気がする」

孝彦「前世から来た...? 仲間のため...?」

孝彦「あいつの目的はいったいなんなんだ」

孝彦「わからない」

孝彦「でも」

孝彦「俺たちのために練習メニューをつくったり」

孝彦「楽曲の作成に協力してくれたり」

孝彦「すべてにおいて好意的で協力的だ」

孝彦「悪い奴ではないらしい」

孝彦「それに」

孝彦「絶対的な自信を持っている」

孝彦「なんだか、ほんとにラブライブ出場できそうな」

孝彦「そんな気さえする」

孝彦「...」

孝彦「バカバカしい」

孝彦「夢、見すぎだ」

――教室

裕太「おっす」

孝彦「おう、おはよ」

裕太「なあなあ」

裕太「あの美少女何者だ?」

孝彦「あん? いきなりなんだ」

裕太「高坂穂乃果だよ」

裕太「最近やけにお前らとつるんでるじゃないか」

孝彦「スクールアイドルだったらしい」

裕太「んなアホな。あんなかわいい子が」

裕太「スクールアイドルなんて恥になるようなことするわけない」

孝彦「俺もそう思ってた」

孝彦「でも、妙に論理的で、戦術的で、あらゆることに精通してる」

孝彦「並大抵のスキルじゃない」

裕太「ふうん」

裕太「アイドルのことはわからないけど」

裕太「悪くないな」

孝彦「は? なにが」

裕太「いや、高坂穂乃果が歌って踊るんだろ?」

裕太「健全な男子としては、一度見てみたいよ」

孝彦「ばーか」

孝彦「...」

――河原

穂乃果「じゃあ、今日はこれぐらいでおしまい」

穂乃果「続きは明日にしよう」

彩佳「ねえ」

穂乃果「うん?」

彩佳「私たちのレッスンしてくれるのはうれしいけど」

彩佳「穂乃果はやらないの?」

穂乃果「どうして?」

彩佳「どうしてって...」

彩佳「穂乃果が私たちより技術があることは知ってるけど」

彩佳「私たちの面倒みてばかりじゃ」

彩佳「穂乃果のためにならないよ」

孝彦「俺もそう思ってた」

孝彦「穂乃果」

孝彦「俺と彩佳は幼馴染だ」

孝彦「性格はバラバラだが、なんとなく互いのことがわかる」

彩佳「た、孝彦っ」

孝彦「それに引き換え」

孝彦「穂乃果とは出会ったばかり」

孝彦「歩調を合わせるべきは、お前となんじゃないかな」

孝彦「三人で1チームなんだから」

穂乃果「なに言ってるの」

穂乃果「私はやらないよ?」

彩佳「えっ?」

穂乃果「私はスクールアイドルやらないよ」

彩佳「え? え?」

彩佳「冗談? どゆこと?」

穂乃果「出場するのは彩佳と孝彦の二人だけ」

穂乃果「私は...顧問みたいな感じかな」

孝彦「ちょっ」

孝彦「それ話が違うんじゃ...!」

穂乃果「なんで?」

穂乃果「一緒に出るなんて、一言もいってないけど」

彩佳「うそっ」

穂乃果「全力でサポートするっては言ったけど」

彩佳「なんで? ケガしてるの? 病気?」

穂乃果「あはは、大げさだなあ」

孝彦「ごまかすなよ」

穂乃果「...出られないの」

孝彦「出られない?」

穂乃果「うん」

穂乃果「スクールアイドルとして、活動はできない」

穂乃果「それが、条件だから」

――帰り道

孝彦「なあ、彩佳」

彩佳「なに?」

孝彦「穂乃果のこと、どう思う」

孝彦「俺たちは彼女を信じていいんだろうか」

孝彦「あいつがなにを企んでるのか、俺にはよくわからない」

孝彦「不安なんだ」

彩佳「...そうだね」

彩佳「孝彦のいうとおり、穂乃果はちょっと変わってるよ」

彩佳「でも、打ち明けられない事情があるんだよ」

彩佳「だって、まだ友達になって日が浅いんだよ」

彩佳「なんでもかんでも話せるほうがどうかしてる」

彩佳「私は、穂乃果を信じたい」

孝彦「彩佳...」

彩佳「それに」

彩佳「どのみち、穂乃果を頼らないとにっちもさっちもいかないんだから」

彩佳「こっちが利用するぐらいの気持ちでいいじゃん」

彩佳「一緒に出られないのはほんと残念だけど」

彩佳「その理由も」

彩佳「きっといつか話してくれる」

彩佳「それまで待とう?」

孝彦「お前がそう言うなら」

孝彦「俺はついていくよ」

彩佳「ありがとう」

孝彦「そうと決まれば、彩佳」

彩佳「なに?」

孝彦「おばさんの高校時代のもの、なにかあるか」

彩佳「どうしたの急に」

孝彦「穂乃果におんぶにだっこされてるだけじゃ面目が立たない」

孝彦「俺は俺でいろいろ調べたり勉強しようと思う」

孝彦「おばさん、ラブライブ本戦で入賞したんだろ?」

孝彦「それだけの実力があった」

孝彦「参考にすれば、俺たちの成長につながる手がかりを得られるかもしれない」

孝彦「どうかな」

孝彦「悪くない案だと思うんだけど」

彩佳「いいね」

彩佳「孝彦らしい」

彩佳「たぶんアルバムとか、当時のノート大事に保管してあるから」

彩佳「すぐに渡せると思う」

孝彦「助かる」

彩佳「...孝彦」

孝彦「ん?」

彩佳「ありがとう」

孝彦「おう」

――自室

孝彦「おばさんの私物を借りてきたわけだが」

孝彦「なんだこのノートの量...」

孝彦「アイドル日誌?」

ぺらぺら

孝彦「すげえ」

孝彦「毎日の練習メニューと、各部員のコンディション」

孝彦「食事の内容...げげっ生活習慣まで細かく記載されてる」

孝彦「徹底してんなー」

孝彦「これだけやっても、優勝できないんじゃ」

孝彦「25年前はずいぶんレベルが高かったんだなー」

孝彦「部員数は30人!?」

孝彦「大会に出るため、校内でオーディションを開催、かあ」

孝彦「現在と雲泥の差だな」

孝彦「男子部員は...0」

孝彦「まあ、驚くことじゃない」

孝彦「俺みたいな奴のほうが稀有なんだ」

孝彦「...で、こっちがアルバム」

孝彦「こっちはこっちで、すごい写真の量だ」

孝彦「練習風景、予選の様子、ラブライブ本戦の...」

孝彦「!」

――翌日、彩佳宅

ピンポーン

孝彦「ごめんくださーい」

孝彦「...」

孝彦「留守か?」

孝彦「休日だし、しかたないか」

孝彦「だったら、データで画像を送ればよかった」

孝彦「帰ろう」

ガチャ

彩佳父「はーい」

彩佳父「おや? 孝彦くんかい」

孝彦「あ、こんにちは」

彩佳父「彩佳は買い物にでかけたよ」

彩佳父「なかに入って待つかい?」

孝彦「ええと...」

孝彦「そうさせていただきます」

彩佳父「どうぞ、くつろいでって」

孝彦「すんません」

彩佳父「そうそう、二人でスクールアイドル始めたんだって?」

孝彦「ぶっ」

孝彦「知ってたんすか」

彩佳父「彩佳が楽しそうに話してくれるからね」

彩佳父「孝彦くんがー、孝彦くんがーって」

彩佳父「世話になってるね」

孝彦「そんな、こちらこそ、あの」

彩佳父「ははは、謙遜しなくていいよ」

彩佳父「私も孝彦くんには期待してるんだから」

孝彦「?」

彩佳父「それはそうと」

彩佳父「順調かな? 最近またメンバーが増えたとかなんとか」

彩佳父「高坂...穂乃果さん?」

彩佳父「いいねえ、青春は」

彩佳父「妻がスクールアイドルだった時代を思い出すよ」

孝彦「あ、あのっ」

彩佳父「なんだい?」

孝彦「おじさんは25年前のラブライブのこと」

孝彦「なにかご存知ですか」

彩佳父「まあ...妻から聞いた程度には」

彩佳父「私はすでに大学生だったからね」

彩佳父「この目で見てたわけじゃないから」

孝彦「じゃあ、あの」

孝彦「これ...」

彩佳父「これは...妻のアルバムだね」

孝彦「この写真を見てほしいんです」

彩佳父「どれどれ」

彩佳父「ああ、大会が終わった後の写真だね」

彩佳父「私もよく見せられたよ」

彩佳父「ここで泣いてる子が、妻の恵美だ」

彩佳父「そうとう悔しかったんじゃないかな」

彩佳父「アイドルらしからぬ、ひどい顔だ。あはは」

孝彦「そのとなりっ」

孝彦「この人っ」

孝彦「この人のこと知りませんかっ」

彩佳父「うん? ぼやけてるし、横顔だし、誰かな」

彩佳父「恵美と同じ学校の制服だけど...」

彩佳父「わからないな」

彩佳父「妻からも聞いたことない」

彩佳父「彼女がどうかしたかい?」

孝彦「すごく似てるんです」

孝彦「高坂穂乃果って子に」

彩佳父「高坂穂乃果...?」

彩佳父「ああ、最近仲間に加わったっていう」

彩佳父「へえ、こんな感じの子なのかい」

彩佳父「かわいい系だね」

孝彦「そっくりなんですよ」

孝彦「この写真の彼女と」

彩佳父「そりゃあ、世の中に似てる子はたくさんいるだろう」

孝彦「でも...」

彩佳父「もしかしたら、親子だったりね」

孝彦「親子...?」

彩佳父「恵美と彩佳がいい例じゃないか」

彩佳父「二世代でアイドル」

彩佳父「素敵じゃないか」

孝彦「親子、か」

彩佳父「それより、びっくりしたのはこっちだ」

孝彦「?」

孝彦「それはなんの写真ですか」

彩佳父「開会式の写真だよ」

彩佳父「この人、孝彦くんは知らないかな」

孝彦「どの人ですか」

彩佳父「ほら、来賓席に座ってる、黒髪の女性」

孝彦「40くらいのおばさんですね」

孝彦「いや、知らないですけど」

彩佳父「あはは、そりゃそうだ」

彩佳父「孝彦くんの世代じゃ、名前をみかけることもないだろう」

孝彦「?」

彩佳父「でも」

彩佳父「アイドルに興味ない私も」

彩佳父「彼女のことは知っている」

孝彦「誰ですか」

彩佳父「妻からもよく聞かされた」

彩佳父「彼女の、彼女たちの伝説を」

彩佳父「まあ、彼女がゲストで来たのは」

彩佳父「この年、一回きりだったけどね」

孝彦「だから、誰なんすか!」

彩佳父「矢澤にこさん」

彩佳父「スクールアイドルの頂点に立った人だよ」



第3話「No brand boys & girls」終

( ゚Д゚)y─┛~~

第4話「MIRAI RESET(1)」

――静岡県、沼津市

バンッ

千歌「果南ちゃん!」

曜「大丈夫!?」

果南「ちょっと、しぃーっ」

果南「ここ、病院だよ?」

果南「ほかの患者さんの迷惑になるから、静かにして」

千歌「だって、だって」

千歌「果南ちゃん、海で溺れたって...」

千歌「すごく...心配だったんだよ...」

千歌「うわーん」

果南「ほら、泣かないの」

果南「見ての通り、ぴんぴんしてるよ」

曜「こんなこと、いままで一度もなかったのに」

曜「いったい何があったの?」

果南「うーん...」

果南「私もよく覚えてないんだ」

果南「普段通り、海に潜ってたら、体が不自由になって」

果南「それで...」

果南「気づいたらここにいた」

果南「私がもがいているのを」

果南「岸にいた人がたまたま目撃したらしくって」

果南「どうにか助かったよ」

曜「風も穏やかだし、潮の流れも速くない...」

曜「なんだか、気味が悪いね」

千歌「果南ちゃん、死んじゃうんじゃないかって」

千歌「ここにくるまですごく怖かったよ...」

千歌「うえーん」

果南「もう千歌ったら」

果南「せっかく予選を通過して」

果南「これからだってときに、倒れるわけないでしょ」

曜「スクールアイドル、続けられそう?」

果南「うん」

果南「お医者さんも大したことないって言ってたし」

果南「一日安静にしたら、帰っていいってさ」

果南「これまで通り、みんなで頑張ろう」

バンッ

鞠莉「果南!」

ダイヤ「果南さん!」

果南「うるさいのが増えたよ...」

――病院外

鞠莉「あっ、そこ段差」

ダイヤ「果南さん、私の肩をしっかりつかんでください」

果南「二人とも大げさだよ」

果南「別に、どこも異常ないんだから」

ダイヤ「なりません!」

ダイヤ「あの果南さんが海難事故に遭うなんて」

ダイヤ「のっぴきならない事態です!」

鞠莉「そうよ」

鞠莉「明日、雪が降ってもおかしくないわ!」

果南「海難事故って...」

果南「私は船か」

たたた...

ルビィ「果南さん!」

花丸「大丈夫ずらかぁ!」

善子「ごめんなさい、すぐに駆け付けれなくて」

果南「また賑やかなのが...」

果南「外に出てきてよかった」

――中庭

果南「それで?」

果南「Aqoursが全員揃ったわけだけど」

果南「誰一人、お見舞いの品がないって、あんまりじゃない?」

千歌「えへへ」

千歌「すっ飛んできたからね」

曜「てっきり鞠莉さんかダイヤさんが持ってくるかと」

鞠莉「オーマイガッ」

ダイヤ「私としたことが...」

ダイヤ「いまからでも遅くありませんわ」

ダイヤ「お花、買ってきます」

果南「いや、いいって」

果南「冗談だから」

ルビィ「ルビィもお姉ちゃんと一緒に行く!」

花丸「じゃあ、まるはお饅頭買ってくるずら!」

花丸「行くよ、善子ちゃん!」

善子「ヨハネ!」

果南「聞いてよ...」

――夕方、駅

ダイヤ「それでは、私とルビィ」

花丸「まるは内浦に戻ります」

ダイヤ「ほんとはお供したいのですが」

ダイヤ「家の都合がございますので...」

ダイヤ「ごめんなさい」

千歌「大丈夫だよ」

鞠莉「私たちに任せて」

鞠莉「四人のぶんも」

鞠莉「いや、果南を合わせて五人のぶんね」

鞠莉「手を合わせてくるから」

ルビィ「お願いします」

善子「堕天使ヨハネ、天界より祈りを捧げます」

花丸「いってらっしゃい」

ダイヤ「お気をつけて」

曜「よぉーし」

曜「それじゃあ、全速前進~!」

――東京、駅

梨子「千歌ちゃーん、こっちよー!」

千歌「梨子ちゃん!」

梨子「曜ちゃん、鞠莉さん、いらっしゃい」

梨子「って、私もう東京人じゃなかった」

曜「急に連絡してごめんね」

梨子「いえ、いいの」

梨子「恩師との面会は、昼に済ませたから」

梨子「今日はもう、予定が空いてるわ」

梨子「それより」

梨子「よく東京行きを即断したわね」

鞠莉「理事長の辞書に不可能はないのでーす!」

梨子「...はは」

梨子「冗談に聞こえないわね」

――墓地

梨子「こっちよ」

千歌「お寺には来たことあったけど」

千歌「お墓見るのは初めてだな」

曜「穂乃果さんのお墓、こんなところにあったんだ」

梨子「ファンが押しかけないように」

梨子「ご家族の許可がないとお墓参りできないようになってるの」

梨子「音の木坂の縁で、今回は特別に了承いただいたわ」

梨子「神聖な場所だから」

梨子「不用意にいじったりしちゃダメよ?」

千歌「わかってるよ、梨子ちゃん」

千歌「だって」

千歌「穂乃果さんは私の女神なんだから」

鞠莉「彼女が亡くなって5年」

鞠莉「スクールアイドルの勢いは衰えるどころか」

鞠莉「年々、増していっている」

鞠莉「まさに、ゴッド」

鞠莉「いえ、ヴィーナスかしら」

千歌「ううん」

千歌「ミューズだよ」

千歌「曜ちゃんお水」

曜「はいさー」

千歌「鞠莉さん、お花」

鞠莉「はいどーぞ」

梨子「年中きれいになさってるのね」

梨子「汚れひとつない」

梨子「これが、μ'sのリーダー」

梨子「高坂穂乃果さんのお墓なのね」

千歌「この下に、眠ってるんだね」

千歌「なんだか不思議な感じ」

千歌「いつもμ'sの曲聞いて」

千歌「μ'sの真似して、背中を追いかけて」

千歌「目を閉じると」

千歌「彼女たちの面影がそこにあった」

千歌「でも」

千歌「本当に、この世にはもういないんだね...」

千歌「現実感ないな」

鞠莉「それだけ影響力を持った人物だから」

鞠莉「こうしてお墓参りできることを」

鞠莉「神様に感謝しないとね」

千歌「穂乃果さん」

千歌「私たち、無事に地区予選を突破しました」

千歌「今回はその報告とお願いをしに来ました」

千歌「私たちの大切な仲間が、災難に遭いました」

千歌「幸い、大事には至らなかったけど」

千歌「こんなこと、二度と起きてほしくありません」

千歌「どうか」

千歌「どうか、私たちのことを見守ってください」

千歌「私たちAqoursは」

千歌「μ'sのようにラブライブで優勝してみせます」

千歌「そして、穂乃果さんのように」

千歌「いつまでも輝ける存在になりたいです」

千歌「安らかに」

千歌「お眠りください...」

曜「...」

梨子「...」

鞠莉「...」

――ホテル

梨子「なにも宿泊場所まで一緒じゃなくても」

鞠莉「水臭いことはなしなし」

鞠莉「それに」

鞠莉「ちょっとみんなの耳に入れておきたい情報があるの」

曜「?」

千歌「情報? 観光? グルメ?」

鞠莉「ナッシング!」

鞠莉「ラブライブのことに決まってるでしょ」

鞠莉「私の財力で集めたデータが」

鞠莉「この端末に入ってるから、ごらんなさい」

梨子「さらっとすごいこと言ったわね」

梨子「って、えっ?」

曜「これって...!」

千歌「すごい!」

千歌「他校の成績や戦歴がすべてまとまってる!」

千歌「鞠莉さん、見直したよ!」

曜「うんうん」

鞠莉「お口のすぎるガールたちね...」

鞠莉「これからは激戦よ」

鞠莉「最終予選なんか、しょせん通過点」

鞠莉「私たちが目指す場所は全国大会!」

鞠莉「そこで勝ち上がるためには、他校の情報収集は不可欠」

鞠莉「とくに」

鞠莉「私たちみたいな弱小田舎スクールアイドル部にはね!」

梨子「ひどい言い方ね...」

曜「事実だし」

鞠莉「過去のデータを散見したところ」

鞠莉「東京の優勝が最多」

曜「まあ、まだ数回しかやってないし」

鞠莉「そんな甘いこというから田舎者は嫌いなのよ」

千歌「鞠莉さんだって内浦の生活長いよね...」

鞠莉「と・に・か・く!」

鞠莉「Aqoursの実力向上はもちろん」

鞠莉「敵の戦力を把握しておかなければ」

鞠莉「本戦で泣きを見ることになるわ」

曜「それなら」

曜「鞠莉さんが集めたこのデータがあれば」

曜「怖いものなしだね!」

鞠莉「ノンノン」

鞠莉「こうやってデータを収集している学校はうちだけじゃない」

鞠莉「いまの時代、スポーツもアートもデータでするもの」

鞠莉「他校だって、こうやってリサーチしてるのよ」

千歌「まさか!」

千歌「だって、部活だよ?」

千歌「努力、友情、汗じゃないの?」

梨子「鞠莉さんのいうこと、一理あるわ」

梨子「ピアノコンクールですら、そうだもの」

梨子「ほかの出場者のプロフィール、略歴、過去のコンクール動画」

梨子「癖、得手不得手、プライベートまで」

梨子「なにもかも対戦相手に筒抜けなの」

千歌「うそぉ!」

千歌「じゃあ、私がぬいぐるみ抱いて寝てることも」

千歌「他校のひとはみんな知ってるの!?」

曜「あのダイオウグソクムシ抱いてるんだ...」

鞠莉「このページを見て」

曜「ええと」

曜「山梨県のスクールアイドル部だね」

梨子「山奥の学校なのね」

千歌「へえ」

千歌「私たちのように」

千歌「田舎で頑張ってる子たちいるんだー」

鞠莉「注目してほしいのはここ」

鞠莉「過去の成績」

曜「どれどれ」

曜「えっ」

梨子「過去、出場経験0?」

梨子「でも、この学校、今年地区予選突破したのよね?」

梨子「まるで私たちみたいじゃない」

千歌「ライバル登場だね!」

千歌「ええと、光森高校?」

千歌「覚えておかなきゃ」

鞠莉「地区予選突破したユニットで」

鞠莉「かつ初登場、地方高校なのは」

鞠莉「浦女とこの光森高校のみ」

鞠莉「なので」

鞠莉「明日、みんなで偵察に行きましょう」

曜「はい?」

梨子「偵察?」

鞠莉「どんな山奥でも」

鞠莉「ヘリを飛ばせば一瞬よ」

梨子「心強いような、恐ろしいような...」

曜「敵に回したくないね...」

千歌「...」

曜「千歌ちゃん?」

千歌「鞠莉さん」

鞠莉「はい」

梨子「...」

千歌「そういうの待ってた!」

梨子「やっぱり...」

――山梨県、光森高校

梨子「ねえ」

梨子「この恰好...」

梨子「おかしくない?」

曜「潜入ヨーソロー!」

鞠莉「敵校の実態を探るのよ」

鞠莉「目立つ恰好するわけにはいかないじゃない」

千歌「ここが、光森高校か」

千歌「私たちの高校とおんなじ感じ」

千歌「山の上にあって、大きくなくて、ちょっと静か」

千歌「それでも、地区予選を初出場で突破した」

千歌「...」

千歌「曜ちゃん」

曜「なに?」

千歌「スクールアイドルやってよかった!」

千歌「私たちみたいな人、頑張ってる人」

千歌「ほかにもいるんだね!」

曜「うん!」

鞠莉「えーっと」

鞠莉「基本練習場所は、体育館の裏」

鞠莉「スクールアイドル部なるものはなく」

鞠莉「みんな掛け持ち」

梨子「掛け持ちぃ?」

曜「まあ、珍しくはないんじゃない?」

曜「うちだって、そうだし」

千歌「μ'sも掛け持ちのメンバーいるもんね」

千歌「でも」

千歌「私たちと環境の違いはほとんどない」

千歌「いや」

千歌「もしかしたら、うちよりひどい」

鞠莉「そうね」

鞠莉「なにか秘策があるに違いない」

鞠莉「ちょうど、部活の時間帯ね、ちょっと練習場所いってみましょ」

千歌「待って」

鞠莉「?」

千歌「緊張してきた」

千歌「トイレ、行ってくるね」

梨子「千歌ちゃん、しっかりして...」

――光森高校、トイレ

千歌「あー、ドキドキする」

千歌「自分たち以外のスクールアイドルの様子」

千歌「覗き見るなんて、いいのかなあ」

千歌「まあでも」

千歌「鞠莉さんもいってた」

千歌「甘いことは言ってられないって」

千歌「気合入れていきますか」

千歌「よぉーっし!」

千歌「いくぞぉー!」

女生徒「ひえっ」

千歌「うわあ! ごめんなさい」

千歌「いるの気づきませんでしたっ」

女生徒「いえ」

女生徒「それでは...」

千歌「はい!」

千歌「...」

千歌「はあ...」

千歌「変なところ見られちゃった」

千歌「いまの人、すごくかわいかったなあ」

千歌「もしかしたらスクールアイドル部の子かなあ」

千歌「なんか芸能人に似てた」

千歌「...」

千歌「芸能人?」

千歌「うそ、まって」

千歌「いまの人」

千歌「いまの人って」

千歌「穂乃果さん...?」



第4話「MIRAI RESET(1)」終

( ゚Д゚)y─┛~~

第5話「MIRAI RESET(2)」

――浦の星、屋上

善子「ラグナロクよ」

善子「ついに最終章への扉が開くとき」

善子「我を明星の果てへ導きたまえ!」

花丸「善子ちゃん、言葉の意味わかっていってる?」

花丸「いま、昼休みだよ」

善子「いいのよ! 雰囲気が出てれば!」

善子「ふふ...」

善子「冥界の囀りが聞こえます」

善子「こちらヨハネ」

善子「使命は滞りありません」

善子「まもなく、この器ともお別れのときでしょう」

花丸「最終予選突破したことを」

花丸「そこまで大げさにいう必要あるずら?」

善子「だーかーら!」

善子「雰囲気よ雰囲気!」

善子「ずらまる」

善子「あんただって、嬉しいでしょ?」

善子「ラブライブ、本戦出場が決まったのよ!」

――部室

ダイヤ「ついに...ついに...」

ダイヤ「ついにここまで来ましたわ!」

ダイヤ「ラブライブ! ラブライブですのよ!」

ルビィ「お姉ちゃん!」

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「お姉ちゃ~ん!」

ダイヤ「ルビィ~!」

果南「相変わらずだね...」

ダイヤ「果南さんも、もっと喜んだらいかがです?」

鞠莉「そうよ、私たちが叶えられなかった夢に」

鞠莉「大きく近づいたのよ!」

果南「そりゃ、私だって嬉しいよ」

果南「でも...」

ダイヤ「?」

ダイヤ「どうしました?」

ダイヤ「あっ、まさか」

ダイヤ「事故の後遺症が!?」

鞠莉「ワッツ!? ほんとなの果南?」

果南「違う違う」

果南「私のことじゃなくて...」

――教室

曜「今日は練習休みだし」

曜「沼津に遊びに行かない?」

千歌「...」

曜「おーい、千歌ちゃん?」

千歌「...」

曜「千歌ちゃん!」

千歌「え?」

千歌「ああ、ごめん」

千歌「なに、曜ちゃん」

曜「沼津に遊びに行かないって」

曜「聞いたんだけど...」

千歌「ああ、うん」

千歌「ごめん」

千歌「ほかに用事があるんだ」

千歌「先、帰るね」

曜「...そっか」

曜「ばいばい」

曜「...」

梨子「千歌ちゃん」

梨子「光森高校に行ってから」

梨子「様子がおかしいわよね」

梨子「突然上の空になったり」

梨子「かと思えば、狂ったように練習に打ち込んだり」

梨子「どうしちゃったのかしら」

曜「よっぽどショックを受けたんじゃないかな」

曜「光森高校に」

梨子「こういっちゃなんだけど」

梨子「特別すごいとは思わなかったわ」

梨子「どこにでもいる高校生」

梨子「ううん、別に批判してるわけじゃなくて」

梨子「私たちと変わらない」

梨子「スクールアイドルだった」

曜「だよね」

曜「でも、千歌ちゃんはなにかを感じとったんだ」

梨子「なにかって...?」

曜「わからないよ」

曜「私でも、千歌ちゃんのことわからないときあるよ...」

――部室

果南「それにしても」

果南「鞠莉の分析は正しかったね」

果南「例の光森高校...だっけ?」

果南「最終予選突破して、山梨代表になったじゃん」

果南「本戦でぶつかることになるんだね」

果南「強敵だ」

鞠莉「ノープロブレムよ果南」

鞠莉「彼女たちのデータはこの目でしっかりとってきたわ」

ダイヤ「あまり褒められた行為ではありませんけど」

ダイヤ「形式的に質問してよろしいでしょうか」

鞠莉「ほんとダイヤって」

鞠莉「ツンデレさん」

ダイヤ「はいぃ?」

ダイヤ「私がいつ、どこで、だれに、デレたのです?」

果南「突っ込むとこ、そこじゃないでしょ」

鞠莉「敵のこと」

鞠莉「気になるなら、気になるって素直に言えばいいのに」

ダイヤ「ぐぐ...」

ルビィ「鞠莉さん、ルビィは気になります!」

ルビィ「光森高校のみなさんは」

ルビィ「どんなスクールアイドルだったんですか?」

鞠莉「んん~♪、ルビィは偉い子ね」

鞠莉「お姉ちゃんとは大違い」

ルビィ「えへへ」

ダイヤ「鞠莉さん!」

ダイヤ「勝手に私の妹を撫でまわさないでくださる!」

鞠莉「単刀直入にいって」

鞠莉「無駄がなかったわ」

鞠莉「イッツ、パーフェクト!」

ダイヤ「完璧ですって...?」

ダイヤ「だって」

ダイヤ「出場経験0の高校ですのよ?」

ダイヤ「そもそもスクールアイドル部もなくて...」

ダイヤ「信じられませんわ」

ルビィ「どんな練習をしてたんですか?」

鞠莉「よく言えば計算しつくされていた」

鞠莉「悪く言えば、機械的」

果南「機械的?」

鞠莉「なんていうのかしら」

鞠莉「思い出や、享楽を度外視して」

鞠莉「優勝へのみ驀進する、暴走特急」

鞠莉「クレイジーよ」

果南「そんな、大げさな...」

鞠莉「そうね、いまのは大げさだった」

鞠莉「でも」

鞠莉「同じこと、千歌も感じ取ったんじゃないかな」

――千歌、自室

千歌「はあー」

千歌「考えても、考えてもわからない」

千歌「考えても、考えても、考えてもわからない~!」

千歌「あれは」

千歌「あれは絶対に穂乃果さんだった」

千歌「光森高校のスクールアイドル部は、穂乃果さんがつくったんだ」

千歌「でも...」

千歌「穂乃果さんは、選抜メンバーじゃなかった」

千歌「どういうこと?」

千歌「どういうこと~!」

千歌「他人のそら似とは思えない」

千歌「だって」

千歌「ずっと追っかけてきたんだもん」

千歌「見間違えるはずがない」

千歌「あれは本物だ」

千歌「穂乃果さんは、この世界にいる」

――ダイヤ宅

ピンポーン

ダイヤ「あら、こんな時間に誰かしら」

ダイヤ「って、千歌さん」

ダイヤ「どうしてこちらに?」

千歌「こんばんわ」

千歌「いきなりごめんなさい」

千歌「ダイヤさん」

千歌「ちょっと、お話聞いてもらっていいですか?」

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「かまいませんけど」

ダイヤ「もしかして...」

ダイヤ「悩みのタネを打ち明けてくださるの?」

千歌「まあ、そんな感じで」

千歌「...」

ダイヤ「とりあえず、なかに入って」

千歌「こんな話」

千歌「信じてもらえるとは思ってません」

千歌「私自身、ありえないと」

千歌「心のどこかで思ってます」

ダイヤ「はあ」

千歌「ダイヤさん」

ダイヤ「なんでしょう」

千歌「一度死んだ人が、現世に還ることってあるんですか?」

ダイヤ「はい?」

ダイヤ「ずいぶん、突拍子もないこといいますのね」

ダイヤ「し、死人...?」

ダイヤ「話が読めませんわ」

千歌「ごめんなさい」

千歌「私も頭のなかがこんがらかってて」

千歌「話、整理しますね」

..............

.......

...

千歌「...ということなんです」

ダイヤ「...」

千歌「どう、思いますか?」

ダイヤ「...」

ダイヤ「...はぁ」

ダイヤ「ありえませんわ」

ダイヤ「千歌さんにはガッカリしました」

ダイヤ「まさか、あの高坂穂乃果さんが」

ダイヤ「蘇ったなんて」

ダイヤ「荒唐無稽すぎますわ」

千歌「ですよね...」

ダイヤ「μ'sを愛するものとして一言言わせてください」

千歌「はい...」

ダイヤ「それは、死者への冒涜です」

ダイヤ「奇禍とはいえ、穂乃果さんはまっとうに生き抜いて」

ダイヤ「そして亡くなったのです」

ダイヤ「いかなる理由をつけようと」

ダイヤ「この世に留まっているなどと」

ダイヤ「くだらない世迷言を、ぺらぺらと喋るものではありません」

――千歌、自室

千歌「そりゃ、そうだよなあ」

千歌「ダイヤさんが怒るのも無理ないよ」

千歌「だって」

千歌「ありえないんだもん...」

千歌「私だって、わかってるよ」

千歌「そんなこと」

千歌「ああ~!」

千歌「やっぱ誰も信じてくれないー!」

千歌「ダイヤさんなら、もしかしたらって思ったけど」

千歌「考えが甘かったよ...」

千歌「かといって」

千歌「曜ちゃんや鞠莉さんに打ち明けるのもなんか違うし」

千歌「これは、個人で解決しなきゃいけないことだ」

千歌「...」

千歌「荒唐無稽...か」

千歌「光森高校」

千歌「もう一度行ってみよう」

千歌「穂乃果さんに会って」

千歌「直接聞くしかない」

――光森高校

千歌「ここ、けっこう景色いい」

千歌「町がぐるっと展望できる!」

穂乃果「こんにちは」

穂乃果「待たせちゃって、ごめんなさい」

穂乃果「あなたが、浦の星女学院の、高海千歌さん?」

千歌「は、はい!」

千歌「ごめんなさい、忙しいのに」

千歌「わざわざ時間とっていただいて」

穂乃果「それは千歌さんもおんなじでしょ」

穂乃果「Aqours、いいユニットですね」

穂乃果「実力もあり、ニーズもあり」

穂乃果「ときには敵情視察もする」

千歌「あはは...先日の、バレてたんですね」

穂乃果「まさか、あのときトイレであった人が」

穂乃果「これからラブライブ決勝で戦う相手だとは」

穂乃果「夢にも思いませんでした」

穂乃果「それで」

穂乃果「今日はどんなご用件で?」

千歌「穂乃果さん」

穂乃果「...」

千歌「あなた、高坂穂乃果さんですよね」

千歌「不躾にごめんなさい」

千歌「失礼だとはわかってます」

千歌「でも、確かめなきゃいけないんです」

穂乃果「...」

穂乃果「...いえ」

穂乃果「私は、岩田美月」

穂乃果「高坂穂乃果さんとは無関係ですよ」

千歌「嘘です」

千歌「それは嘘です!」

穂乃果「よく、言われるんです」

穂乃果「μ'sの人に似てるって」

穂乃果「でも、穂乃果さんは」

穂乃果「5年前に亡くなっている」

穂乃果「違いますか?」

千歌「違いません」

千歌「穂乃果さんは5年前に亡くなりました」

千歌「だから」

千歌「いま、私の目の前にいるのは」

千歌「死んだ高坂穂乃果さんです」

穂乃果「うふふ」

穂乃果「おかしなことを言うんですね」

穂乃果「死んだ人間が、どうやってこの世界で生きられるんですか」

穂乃果「体は透けてないし、足も生えている」

穂乃果「正真正銘、別人です」

千歌「認めません」

千歌「私はずっとあなたを見てきました」

千歌「あなただけを見てきました」

千歌「周りの目はごまかせても」

千歌「私は違う」

穂乃果「...」

千歌「光森高校にスクールアイドルはありません」

千歌「だからμ'sのあなたが認知されてなくても不自然ではありません」

千歌「それが理由ですか?」

千歌「それが、この高校を選んだ理由ですか?」

千歌「あなたは、再びラブライブ優勝を狙っている」

千歌「そうですよね」

穂乃果「...」

穂乃果「別に、そういうわけじゃないよ」

千歌「...!」

穂乃果「私が選びたくて選んだんじゃないんだ」

穂乃果「運命が勝手に決めたの」

穂乃果「私はその運命に従っているだけ」

千歌「じゃあ」

千歌「本人だと、認めるんですね!」

穂乃果「千歌さん、あなたの熱意には負けたよ」

穂乃果「よくぞ見破った」

穂乃果「なーんて、いったら怒られるかな?」

穂乃果「そうです」

穂乃果「私、高坂穂乃果です」

千歌「やっぱり...」

千歌「やっぱりそうなんだ!」

穂乃果「しぃーっ」

穂乃果「これは二人だけの秘密」

穂乃果「私の正体を知ってる人は、ここにはいないんだから」

千歌「ご家族には? ほかのメンバーには?」

穂乃果「待って、待って」

穂乃果「質問はなし」

穂乃果「聞きたいことは山ほどあるよね」

穂乃果「私も、言いたいことは山ほどあるよ」

穂乃果「でも」

穂乃果「あなたを巻き込むわけにはいかないの」

千歌「なんでですか?」

穂乃果「だから...ね?」

千歌「あ...」

千歌「ごめんなさい」

穂乃果「いまの私は」

穂乃果「光森高校のスクールアイドルを優勝へ導くことしか頭にない」

穂乃果「そして千歌さんは」

穂乃果「私にとって障害でしかない」

穂乃果「それだけが、明白な事実」

穂乃果「あとのことは、どうでもいいんだよ」

千歌「...」

千歌「わかりました」

穂乃果「わかったって...ほんと?」

穂乃果「私、なにも説明できてないよ」

千歌「いえ」

千歌「これでいいんです」

千歌「私が知りたかったことは、解決しました」

千歌「穂乃果さん、あなたがこの世界にいる」

千歌「それだけわかれば、あとはどうでもいいです」

穂乃果「千歌さん...」

千歌「あの」

千歌「質問がだめなら」

千歌「いっこ、お願いしていいですか?」

穂乃果「なに?」

千歌「私のこと、千歌って呼んでください」

千歌「穂乃果さんのほうが年上なんですから」

穂乃果「...わかった」

穂乃果「じゃあ、千歌ちゃん」

千歌「はい」

穂乃果「私のことは穂乃果でいいよ」

穂乃果「いまは、おんなじ学年なんだから」

千歌「えっ」

千歌「じゃ、じゃあ...穂乃果ちゃん」

穂乃果「うん」

穂乃果「今日のこと...」

千歌「わかってます」

千歌「誰にも言いません」

穂乃果「ありがとう」

千歌「もし」

穂乃果「?」

千歌「もし、いつか事情を打ち明けられるときがきたら」

千歌「また会ってくれますか?」

穂乃果「...」

穂乃果「うん」

穂乃果「約束するよ」

千歌「それじゃあ、手出してください」

穂乃果「うん? 指切り?」

千歌「いえ、握手です」

千歌「これからは、優勝を争うライバルになるんですから」

穂乃果「そうだね」

穂乃果「負けないよ、千歌ちゃん」

千歌「こちらこそ、穂乃果ちゃんを絶対に超えてみせます」



第5話「MIRAI RESET(2)」終

( ゚Д゚)y─┛~~

このあと、作者亡くなったんだよね...

冬だけに、未完

ラ!板で読んでいただいた方へ

dat落ちした理由はお察しの通りです

あえて誘導はしませんでした
イタチごっこになるのは避けたいので

第6話はそのうち

第6話「最低で最高のDesiderio」

――あの、もしかして○○さんですか?

――音の木坂の...

――ああ、やっぱり!

――面影があったので

――そうではないかと思ってたんです

――ああ、いえ

――怪しいものではありません

――私、こういうもので...

――そうです! 今度のラブライブに

――と、いっても

――まだ、予選の途中ですけどね

――その、

――お願いがありまして

............

......

..

――図書館

絵里「ベルナール・ヴェルベール」

絵里「『タナトノート』」

ぺらり

絵里「昔、人類は死を恐れていた」

絵里「誰も死を一瞬も忘れられなかった」

絵里「死とは何か永遠に底なしの響きのようなものだった」

絵里「人が死すべきものであるかぎり、」

絵里「人は心底からのんびりすることはできないであろう」

ぺらり

絵里「わたしは直接的に死と接触することになった」

絵里「ブレーキが長く軋む音」

絵里「鋭くて軽いショック」

絵里「わたしは宙に吹き飛ばされた」

絵里「わたしが弾き飛ばされるのを見て、一人の女性が悲鳴を上げた」

絵里「わたしのズボンから血がしたたり落ちて、」

絵里「アスファルトの上に血の海を作った」

絵里「わたしは非常に高いところに飛ばされた」

絵里「そして、たちまちのうちに落下した」

絵里「人びとの怯えた顔がわたしを覗き込んだ」

絵里「わたしは何か言いたかったが、どうすることもできなかった」

絵里「口を利くことも、動くことも」

絵里「わたしはちょうど七歳だった」

絵里「生まれて初めて死んだのだった」

ぺらり

絵里「暗黙と沈黙は非常に長く続いた」

絵里「とうとうわたしは目を開いた」

絵里「不透明な光の輪のなかに」

絵里「ほっそりした姿が現れた」

絵里「たしかに天使だった」

絵里「天使はわたしのそばにかがみこんだ」

絵里「天使がわたしに微笑みかけているのだから、」

絵里「ここは〈天国〉にちがいなかった」

絵里「ここはどこなの? 天国?」

絵里「いいえ、サン=ルイ病院の蘇生室よ」

絵里「あなたは死んではいないは」

絵里「ちょっと打撲傷を負っただけよ」

絵里「...」

絵里「はぁ...」

絵里「...」

絵里「穂乃果...にこ...」

――真姫邸

真姫「そんな下らないことを言いに」

真姫「わざわざうちに来たの?」

真姫「希」

希「...」

真姫「私はてっきり」

真姫「あなたのアニミズム信仰は」

真姫「高校時代のキャラづくりのためだと思っていたけど」

真姫「勘違いだったみたいね」

真姫「真性の宗徒だった、そういうことでしょ」

真姫「信仰の自由は医学と関係ない」

真姫「あなたがいかなる思想や啓蒙に傾倒していようが」

真姫「いっこうにかまわない」

真姫「だけど」

真姫「だからといって」

真姫「なにもこんな大事なときに」

真姫「そんなことをいう神経が信じられない」

希「私は本気だよ」

真姫「本気?」

真姫「ふざけないで」

真姫「臨死体験なんて、私は認めない」

真姫「あなたこの前、絵里にいってたじゃない」

真姫「死後の世界、それがなに? って」

真姫「あれは嘘だったの?」

希「嘘をいったつもりはないし」

希「この数日で、考え方や価値観が変わったわけでもない」

希「ひとつの可能性として、提示しているだけ」

希「真姫ちゃんのいうとおり」

希「高校時代、友達をつくるため」

希「たくさん精神世界のこと勉強したよ」

希「最初は単なる手段として、知識を得ていたけど」

希「だんだんと、目的になっていった」

希「スピリチュアリティの虜になった」

希「それは事実」

希「けれど、その反面」

希「その存在を疑っている冷静な自分もいた」

希「書物を紐解けば紐解くほど、色あせていった」

希「だって、そうでしょ」

希「書店に行けば、同じような本が何種類も積んであって」

希「ネットを見れば、似たような話があちこちから聞こえる」

希「そんなものの、どこに希少性を感じればいいの?」

希「時代とともに、オカルトは普遍的なものとして」

希「身の回りに存在するようになってしまった」

希「いつしか、自己嫌悪に陥っていた」

希「私が魅了されたものは」

希「特別なものじゃなく」

希「社会に氾濫する情事と同等のものだって」

希「でも」

真姫「わかったわよ」

真姫「あなたの言いたいこと」

希「真姫ちゃん...」

真姫「誤解しないで」

真姫「共感してるわけじゃないわ」

真姫「理解を示しただけ」

真姫「あなたの言ってることは」

真姫「つまり、こういうことでしょ」

真姫「この世界にサンタはいない」

真姫「サンタの正体は、ファンタジーでもロマンでもない」

真姫「理性を逆手にとった法螺話」

真姫「けど」

真姫「心のどこかで」

真姫「やっぱいるんじゃないか」

真姫「いや」

真姫「いてほしい」

真姫「そう思ってる」

希「うん...」

――図書館

ぺらり

絵里「あることについて何ひとつ知らない場合は、」

絵里「さほど疑問は起こらない」

絵里「だが、ひとたび解釈のきっかけをつかんでしまうと、」

絵里「なんとしてもすべてを知りたくなる」

絵里「今や、死は、わたしの脳神経の届く範囲にある謎となり、」

絵里「私の脳は、死についていっそう多くの情報を求めている」

ぺらり

絵里「ブレッソンの一件があってからというもの、」

絵里「私たちは、長期間にわたる深刻なスランプに陥っていた」

絵里「みな、死と、ジャンの語った言語を絶する悪夢を恐れていた」

絵里「次々に寄せられるタナトノートの証言は、」

絵里「ますます恐ろしいものになっていった」

絵里「腐った毒液を吐きかける巨大毒蜘蛛の大群を見たと言う者」

絵里「鋭い牙を持つ飛びネズミの大群を見たと言う者」

絵里「わたし自身、死を恐れるようになった」

絵里「周囲に蔓延する〈死恐怖症〉ともいうべき症候群にかかったのだ」

絵里「死とは罠だ」

絵里「光がわたしたちを惹きつけて、」

絵里「最初のカーテンの陰からすぐ悪魔が現れる」

ぺらり

絵里「『創世記』によると天国の位置はメソポタミアの」

絵里「チグリス・ユーフラテス両河の水源が合流するところとなっている」

絵里「詩人ダンテは、天国は固い地の上になければいけないと考え」

絵里「イエズス会修道士のドレクセルは」

絵里「神に選ばれた者たちは、」

絵里「地球から正確に161,884,943マイルのところへ飛んでいくと断定した」

絵里「トーマス・マーチンは天国はすべての天体にあると言った」

絵里「神父ハミルトンは、」

絵里「天国は、五百光年の彼方のプレヤデス星団のなかのひとつ、」

絵里「アルキオンにあると断定した」

絵里「物理学者フィギエは、自ら〈死者の宮殿〉と名づけた場所が」

絵里「太陽にあるとした」

絵里「彼は、もっと遠くにあるはずがない」

絵里「神に選ばれた者たちがたどり着くには、」

絵里「あまりに時間がかかりすぎる、と断定した」

ぺらり

絵里「神は、ブラックホールの奥に隠れているのだろうか?」

絵里「あの世とは、ただのブラックホールなのだろうか?」

絵里「〈モッハ3〉をすぎると、途方もなく広く、」

絵里「人であふれ返っている区域が広がっていた」

絵里「円柱形の巨大な平原は、尾の切れた心霊体でごった返していた」

絵里「そこでは数十億の死者たちが、」

絵里「空港のトランジット客のように、オレンジ色の野で待っていた」

絵里「彼らは長い河のような列を作ってゆっくりと移動してた」

絵里「河の中央では、死者たちがひと魂になって体をくっつけ合っていた」

絵里「彼らは、寄り集まって〈前世〉ことを語り合いながら」

絵里「端にいる人たちより少しばかり早く進んでいた」

絵里「つまり、〈第三の昏睡の壁〉の向こうには、」

絵里「長大な列があるということだ」

絵里「死者たちは時間の試練を受けているのだろうか?」

絵里「彼らに忍耐を学ばせようとしているのだろうか?」

絵里「時間の試練...もしかして地獄?」

――真姫邸

真姫「それで」

真姫「仮に、仮によ」

真姫「自分が間違っていることを肯定したうえで」

真姫「希に問うのだけれど」

真姫「人は死んだら、どうなると考えてるわけ?」

希「私はキリスト教徒ではないから」

希「決して、人間の霊魂のみを特別視してるわけじゃない」

希「万物の生命が行きつく先は同じ」

希「無...だよ」

希「死後の世界を認めるなら」

希「生前の世界も認めなきゃいけない」

希「だけど」

希「生前の世界を言及している人間なんていない」

希「なぜなら」

希「生前は無だから」

希「私たちは無の空間に出現した、たんなる物質の塊にすぎない」

希「だったら」

希「死んだら、やっぱり無に戻るんだよ」

真姫「ふうん」

真姫「合理的なのね」

真姫「私と同意見で安心したわ」

真姫「でも」

真姫「あなたは最初に」

真姫「穂乃果は臨死体験のさなかにいるかもしれない」

真姫「そういったのよ」

真姫「これって矛盾してると思うけど」

真姫「いったいどう話を帰結させるつもり?」

希「にこっちが言ったよね」

希「穂乃果ちゃんを助けにいくって」

希「そこに真相のフォーカスを当てるなら」

希「論理的な結論だと思うけど?」

真姫「それじゃあ」

真姫「死後は無だと知っていながらも」

真姫「死後は存在すると...」

真姫「おかしなこと言ってるって、自覚してるわよね?」

希「私はこう思うの」

希「無、にたどり着くまでの旅路があると」

希「それは、三途の川だとか、そういうことじゃなく」

希「線香からのぼる煙が空気中に溶け込むようなもの」

希「完全な無になるまで」

希「わずかな時間がある」

希「穂乃果ちゃんは」

希「そこに閉じ込められているのよ」

真姫「閉じ込められている?」

真姫「いったい誰によ」

希「そんなことわからないよ」

希「あくまで、論理的に回答するなら」

希「いまの想像を仮定にするってだけ」

真姫「それが、にこちゃんとどう関係するの?」

希「きっと」

希「...これも憶測」

希「これも、仮定」

真姫「うん、わかったわ」

希「にこっちは」

希「生前に会ってたんだよ」

希「臨死体験中の穂乃果ちゃんに」

――図書館

ぺらり

絵里「進化は、ますます神に近づき、知能を高め、」

絵里「幸福になっていくことにあるのではない」

絵里「進化は、ますます意識を高めていくことにある」

絵里「前世の真実に耐えられるようになるまでは」

絵里「多くの時間が必要である」

絵里「肉体が成長すればするほど」

絵里「心のなかのさまざまな前世の記憶も鮮明になってくる」

絵里「もやは、死は、私たちがここにいなくなることを」

絵里「思い出させる渋面のマスクではない」

絵里「死は、ひとつの存在形態から、」

絵里「もうひとつの形態への穏やかな通過である」

絵里「肉体に充分な意識を注ぎ込めるほどに成長した暁には」

絵里「魂は不滅のものとなる」

ぺらり

絵里「死んだ人の悪口を言ってはいけません」

絵里「亡くなってまもない人の場合はとくにそうです」

絵里「なぜなら、この人たちはまだわたしたちの世界で」

絵里「活動を続けているかもしれないからです」

絵里「〈オレンジの国〉で長い行列を作って待っている死者たちは」

絵里「何もすることがないわけではありません」

絵里「彼らはそっと生者たちを観察しているのです」

絵里「彼らはしばしば、」

絵里「地上で愛していた人たちとコミュニケーションを図ります」

絵里「亡くなった人を懐かしむ波動を出せば、」

絵里「その人の魂はわたしたちの計画の実現を助けにきてくれます」

絵里「反対に、その人に対して恨みしか持ってないとき」

絵里「その人の魂はわたしたちを助けてくれません」

絵里「〈オレンジの国〉で忍耐の試練に耐えている間、」

絵里「死者は〈あの世〉から、自分の愛した人、」

絵里「自分を愛してくれた人と、必死で連絡を取ろうとします」

絵里「このコミュニケーションは、生きているほうが」

絵里「死者に対してつねに愛情を感じていなければ成立しません」

絵里「ときには、死者が、愛した人とのコミュニケーションを図るあまり、」

絵里「相手を衰弱させてしまうこともあります」

絵里「これを〈焦がれ死に〉と言います」

絵里「これは、必ずしも悪いことではありません」

絵里「愛しあう二人の魂はこうして、」

絵里「〈オレンジの国〉の長い行列に加わるのです」

ぺらり

絵里「カバラによれば、さまざまな精神的、身体的変化が、」

絵里「物理的な死の瞬間に生じると言われている」

絵里「辺縁系あるいは生体エネルギーは、」

絵里「肉体の損壊とともに消滅するとしている」

絵里「視床下部は生命エネルギーの流れと関係しており、」

絵里「もう少し長くとどまるが、最終的には消える」

絵里「超越的な部分、皮質は、肉体的な形態を完全に捨て去る」

絵里「この自我の高等な部分は、このとき、」

絵里「地上に生きている間彼を愛していた者たちの魂に迎え入れられる」

絵里「死の瞬間には、あの世の両親や友人に会うことができる」

絵里「死者の徳が高ければ、彼らは喜んで迎えてくれる」

絵里「そうでなければ、煉獄に投げ込まれた者たちにしか」

絵里「気づいてもらえない」

絵里「ここで魂たちは自分の穢れを洗い流すのである」

ぺらり

絵里「わたしたちは〈光の山〉の前にいた」

絵里「大天使たちはわたしたちの過失を列挙した」

絵里「おまえたちは、天国の地図を作成し、販売した」

絵里「おまえたちは、旅行のガイドブックを出版した」

絵里「おまえたちは、死ぬための機会を作り出した」

絵里「おまえたちは、われわれの言葉を公表した」

絵里「おまえたちは、自殺を奨励し、さまよえる魂を生み出した」

絵里「おまえたちは、恐れることなくわれわれを見た」

絵里「おまえたちは、われわれに対する礼を欠いた」

ぺらり

絵里「わたしは〈光の山〉を越えた」

絵里「その向こうに見たものは、本当にすばらしかった」

絵里「それは、」

絵里「天国のほかの領域で見たものを遥かに超えていた」

絵里「わたしはブラックホールの奥の奥の奥を見た」

絵里「ただただ圧倒されるばかりだった」

絵里「今まで信じてきたこととはまったく違っていた」

絵里「わたしは感動に打ち震えた」

絵里「今、わたしは知っている」

絵里「死の反対側にあるもの、それは...」

――ご相談に乗っていただいて感謝します

――いやあ、○○さんの力を借りられれば

――百人力だ

――...って、どうしました?

――顔色が悪いですよ

――あっ

――だ、大丈夫ですか!?

――ちょっと、しっかりしてください!

――気を失ってる!

――救急車! 救急車だ!

.............

......

...



第6話「最低で最高のDesiderio」終

第7話書いてくれる人いません?

第一話「Music ReS.T.A.R.T!!」

――河原

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「ほっほっほっほっ」

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「...おわっ!ととっ」

ドサッ...

彩佳「ったく、ぜんっぜん上達してないじゃん」

彩佳「難しいステップじゃないはずだよ?」

彩佳「ほら立って。もう一回!」

孝彦「無茶言うなって」

孝彦「お前と違って、ダンス未経験なんだぞ...あーいてえ」

彩佳「はあ」

彩佳「なっさけない」

彩佳「中学時代はエースストライカーだったくせに」

孝彦「うるせー」

彩佳「...足、まだ痛いの?」

孝彦「...」

孝彦「んなわけねーだろ。もう二年前の話だよ」

孝彦「気にすんな」

彩佳「...」

孝彦「ほら、練習再開すっぞ」

孝彦「ラブライブ、出たいんだろ?」

――教室

裕太「でさー、次のページで」

孝彦「まっ、ネタバレすんなよっ!」

孝彦「まだ読んでねーんだから」

裕太「なんでさ」

裕太「昨日発売だろ? お前、いっつも発売日に買うじゃん」

孝彦「買ったけど読んでねーんだよ」

裕太「...?」

裕太「あー」

裕太「なるほど。そういうことね」

裕太「お前さあ」

孝彦「なんだよ」

裕太「彩佳のこと好きなの?」

孝彦「はあ?」

孝彦「唐突になんだよ」

裕太「だって、無駄だぜ」

孝彦「なにが」

裕太「スクールアイドルなんてさ」

彩佳「...」

孝彦「お前さあ」

孝彦「ガキのころから楽観的すぎんだよ」

孝彦「いくらスクールアイドルの人口が減ったからって」

孝彦「こんな短兵急にことを進めていいわけ?」

彩佳「だって、今年で最後なんだよ」

彩佳「今年やらなかったら、いつやるのよ」

孝彦「だーかーら」

孝彦「なんでラブライブにこだわるのさ」

孝彦「いままでいろんなワガママに付き合ってきたけど」

孝彦「たまにはちゃんと説明してくれよ」

――自室

彩佳「ねえ、お父さん」

父「うん?」

彩佳「私ね、ラブライブ目指すことにしたから」

父「彩佳が? どうしたんだ突然」

彩佳「お父さんも知ってるでしょ。今年で最後なこと」

彩佳「お母さんが出場経験あること」

父「もちろん知ってるよ」

父「でも」

父「彩佳はほかにやりたいことあるんじゃないか?」

父「無理してお母さんの遺志を受け継ぐことないんだよ」

父「好きなことをしなさい」

彩佳「ううん」

彩佳「違うの」

彩佳「私の好きなことは、いつも同じなの」

彩佳「小さいころから変わってないんだよ」

――教室

菜々美「"あれ"、まだやってるの?」

彩佳「あれって?」

菜々美「スクールアイドルごっこ」

彩佳「ごっこじゃない」

彩佳「バカにしないで」

菜々美「ごめんごめん」

菜々美「怒らせるつもりじゃなかったの」

菜々美「でも」

菜々美「彩佳だってわかってやってるんでしょ?」

彩佳「...」

菜々美「スクールアイドルはもう流行らない」

彩佳「...!」

菜々美「だって」

菜々美「今年で終わりだもんね」

菜々美「ラブライブ」

女生徒「ピアノ、弾けるの?」

孝彦「弾けないっす」

孝彦「...って」

孝彦「その襟章、おんなじ学年...?」

女生徒「そうだよ」

女生徒「神田孝彦くんと同じ二年生」

女生徒「先輩だと思った?」

孝彦「ええ、いや、うん」

女生徒「ここ」

女生徒「生徒の数、多いもんね」

女生徒「羨ましいな」

孝彦「?」

孝彦「...あ」

孝彦「なんで俺の名前」

女生徒「ふふっ」

女生徒「知ってて当然だよ」

孝彦「え?」

女生徒「あなたに会いに来たんだから」

絵里「みんな、今日はありがとう」

こころ「ありがとうございます」

こころ「姉...いえ、お姉さまも喜んでおります」

希「お疲れさん」

真姫「こころちゃん、立派だったよ」

こころ「お姉さまの前で、恥ずかしい姿は見せられません」

こころ「それに」

こころ「こうして皆様...みんなに支えてもらいましたから」

こころ「ここあと虎太郎のぶんも、重ねて感謝します」

こころ「ありがとうございました」

海未「お二人は...?」

こころ「向こうで片づけをしております」

こころ「私も一息したら、明日の準備をしなければいけません」

ことり「無理しちゃだめだよ」

こころ「大丈夫です」

こころ「μ'sがついてます」

こころ「それでは」

こころ「失礼します」

こころ「ゆっくりなさってください」

彩佳「...」

孝彦「お前さあ」

孝彦「ガキのころから楽観的すぎんだよ」

孝彦「いくらスクールアイドルの人口が減ったからって」

孝彦「こんな短兵急にことを進めていいわけ?」

彩佳「だって、今年で最後なんだよ」

彩佳「今年やらなかったら、いつやるのよ」

孝彦「だーかーら」

孝彦「なんでラブライブにこだわるのさ」

孝彦「いままでいろんなワガママに付き合ってきたけど」

孝彦「たまにはちゃんと説明してくれよ」

――教室

裕太「でさー、次のページで」

孝彦「まっ、ネタバレすんなよっ!」

孝彦「まだ読んでねーんだから」

裕太「なんでさ」

裕太「昨日発売だろ? お前、いっつも発売日に買うじゃん」

孝彦「買ったけど読んでねーんだよ」

裕太「...?」

裕太「あー」

裕太「なるほど。そういうことね」

裕太「お前さあ」

孝彦「なんだよ」

裕太「彩佳のこと好きなの?」

孝彦「はあ?」

孝彦「唐突になんだよ」

裕太「だって、無駄だぜ」

孝彦「なにが」

裕太「スクールアイドルなんてさ」

裕太「たしかに全盛期は戦国時代とさえ呼ばれていた」

裕太「老若男女問わず熱狂した。憧れた」

裕太「でもよ」

裕太「もう何十年も昔の話だぜそれ」

孝彦「...」

裕太「数が増えれば質が落ちる」

裕太「世間の風当たりが強まって、いつしか人気は降下」

裕太「後ろ指さされるくらいまで落ち込んだ」

裕太「みんな、わかっちまったんだよ」

裕太「アイドルはひと握りいればいい」

裕太「レプリカはいらない」

孝彦「...で?」

孝彦「それと彩佳になんの関係があんだよ」

裕太「ラブライブ目指す、なんて戯言に付き合ってるじゃんか」

裕太「そもそも箸にも棒にもかからない結果に終わると思うが」

裕太「仮に出場して、結果を出して、それでどうする?」

裕太「首の皮一枚でつながっているコンテンツに未来なんてない」

裕太「下手したら汚名にだってなりかねない」

孝彦「そんなことっ」

裕太「やめろ」

裕太「そんなバカげたこと」

裕太「やめちまえ」

――教室

菜々美「"あれ"、まだやってるの?」

彩佳「あれって?」

菜々美「スクールアイドルごっこ」

彩佳「ごっこじゃない」

彩佳「バカにしないで」

菜々美「ごめんごめん」

菜々美「怒らせるつもりじゃなかったの」

菜々美「でも」

菜々美「彩佳だってわかってやってるんでしょ?」

彩佳「...」

菜々美「スクールアイドルはもう流行らない」

彩佳「...!」

菜々美「だって」

菜々美「今年で終わりだもんね」

菜々美「ラブライブ」

彩佳「...」

孝彦「お前さあ」

孝彦「ガキのころから楽観的すぎんだよ」

孝彦「いくらスクールアイドルの人口が減ったからって」

孝彦「こんな短兵急にことを進めていいわけ?」

彩佳「だって、今年で最後なんだよ」

彩佳「今年やらなかったら、いつやるのよ」

孝彦「だーかーら」

孝彦「なんでラブライブにこだわるのさ」

孝彦「いままでいろんなワガママに付き合ってきたけど」

孝彦「たまにはちゃんと説明してくれよ」

――自室

彩佳「ねえ、お父さん」

父「うん?」

彩佳「私ね、ラブライブ目指すことにしたから」

父「彩佳が? どうしたんだ突然」

彩佳「お父さんも知ってるでしょ。今年で最後なこと」

彩佳「お母さんが出場経験あること」

父「もちろん知ってるよ」

父「でも」

父「彩佳はほかにやりたいことあるんじゃないか?」

父「無理してお母さんの遺志を受け継ぐことないんだよ」

父「好きなことをしなさい」

彩佳「ううん」

彩佳「違うの」

彩佳「私の好きなことは、いつも同じなの」

彩佳「小さいころから変わってないんだよ」

女生徒「ピアノ、弾けるの?」

孝彦「弾けないっす」

孝彦「...って」

孝彦「その襟章、おんなじ学年...?」

女生徒「そうだよ」

女生徒「神田孝彦くんと同じ二年生」

女生徒「先輩だと思った?」

孝彦「ええ、いや、うん」

女生徒「ここ」

女生徒「生徒の数、多いもんね」

女生徒「羨ましいな」

孝彦「?」

孝彦「...あ」

孝彦「なんで俺の名前」

女生徒「ふふっ」

女生徒「知ってて当然だよ」

孝彦「え?」

女生徒「あなたに会いに来たんだから」

絵里「みんな、今日はありがとう」

こころ「ありがとうございます」

こころ「姉...いえ、お姉さまも喜んでおります」

希「お疲れさん」

真姫「こころちゃん、立派だったよ」

こころ「お姉さまの前で、恥ずかしい姿は見せられません」

こころ「それに」

こころ「こうして皆様...みんなに支えてもらいましたから」

こころ「ここあと虎太郎のぶんも、重ねて感謝します」

こころ「ありがとうございました」

海未「お二人は...?」

こころ「向こうで片づけをしております」

こころ「私も一息したら、明日の準備をしなければいけません」

ことり「無理しちゃだめだよ」

こころ「大丈夫です」

こころ「μ'sがついてます」

こころ「それでは」

こころ「失礼します」

こころ「ゆっくりなさってください」

第一話「Music ReS.T.A.R.T!!」

――河原

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「ほっほっほっほっ」

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「...おわっ!ととっ」

ドサッ...

彩佳「ったく、ぜんっぜん上達してないじゃん」

彩佳「難しいステップじゃないはずだよ?」

彩佳「ほら立って。もう一回!」

孝彦「無茶言うなって」

孝彦「お前と違って、ダンス未経験なんだぞ...あーいてえ」

彩佳「はあ」

彩佳「なっさけない」

彩佳「中学時代はエースストライカーだったくせに」

孝彦「うるせー」

彩佳「...足、まだ痛いの?」

孝彦「...」

孝彦「んなわけねーだろ。もう二年前の話だよ」

孝彦「気にすんな」

彩佳「...」

孝彦「ほら、練習再開すっぞ」

孝彦「ラブライブ、出たいんだろ?」

――夜

絵里「こころちゃん、お疲れ様」

こころ「絵里さん、今日はいろいろとありがとうございました」

こころ「おかげさまで、とても助かりました」

こころ「母の葬儀の時は姉が率先していたので...」

絵里「気にしないで」

絵里「こういうときはお互い様よ」

絵里「でも」

絵里「68歳で亡くなるなんて」

絵里「早すぎないかしら」

絵里「にこ...」

――教室

菜々美「"あれ"、まだやってるの?」

彩佳「あれって?」

菜々美「スクールアイドルごっこ」

彩佳「ごっこじゃない」

彩佳「バカにしないで」

菜々美「ごめんごめん」

菜々美「怒らせるつもりじゃなかったの」

菜々美「でも」

菜々美「彩佳だってわかってやってるんでしょ?」

彩佳「...」

菜々美「スクールアイドルはもう流行らない」

彩佳「...!」

菜々美「だって」

菜々美「今年で終わりだもんね」

菜々美「ラブライブ」

――自室

彩佳「ねえ、お父さん」

父「うん?」

彩佳「私ね、ラブライブ目指すことにしたから」

父「彩佳が? どうしたんだ突然」

彩佳「お父さんも知ってるでしょ。今年で最後なこと」

彩佳「お母さんが出場経験あること」

父「もちろん知ってるよ」

父「でも」

父「彩佳はほかにやりたいことあるんじゃないか?」

父「無理してお母さんの遺志を受け継ぐことないんだよ」

父「好きなことをしなさい」

彩佳「ううん」

彩佳「違うの」

彩佳「私の好きなことは、いつも同じなの」

彩佳「小さいころから変わってないんだよ」

彩佳「...」

孝彦「お前さあ」

孝彦「ガキのころから楽観的すぎんだよ」

孝彦「いくらスクールアイドルの人口が減ったからって」

孝彦「こんな短兵急にことを進めていいわけ?」

彩佳「だって、今年で最後なんだよ」

彩佳「今年やらなかったら、いつやるのよ」

孝彦「だーかーら」

孝彦「なんでラブライブにこだわるのさ」

孝彦「いままでいろんなワガママに付き合ってきたけど」

孝彦「たまにはちゃんと説明してくれよ」

女生徒「ピアノ、弾けるの?」

孝彦「弾けないっす」

孝彦「...って」

孝彦「その襟章、おんなじ学年...?」

女生徒「そうだよ」

女生徒「神田孝彦くんと同じ二年生」

女生徒「先輩だと思った?」

孝彦「ええ、いや、うん」

女生徒「ここ」

女生徒「生徒の数、多いもんね」

女生徒「羨ましいな」

孝彦「?」

孝彦「...あ」

孝彦「なんで俺の名前」

女生徒「ふふっ」

女生徒「知ってて当然だよ」

孝彦「え?」

女生徒「あなたに会いに来たんだから」

裕太「たしかに全盛期は戦国時代とさえ呼ばれていた」

裕太「老若男女問わず熱狂した。憧れた」

裕太「でもよ」

裕太「もう何十年も昔の話だぜそれ」

孝彦「...」

裕太「数が増えれば質が落ちる」

裕太「世間の風当たりが強まって、いつしか人気は降下」

裕太「後ろ指さされるくらいまで落ち込んだ」

裕太「みんな、わかっちまったんだよ」

裕太「アイドルはひと握りいればいい」

裕太「レプリカはいらない」

孝彦「...で?」

孝彦「それと彩佳になんの関係があんだよ」

裕太「ラブライブ目指す、なんて戯言に付き合ってるじゃんか」

裕太「そもそも箸にも棒にもかからない結果に終わると思うが」

裕太「仮に出場して、結果を出して、それでどうする?」

裕太「首の皮一枚でつながっているコンテンツに未来なんてない」

裕太「下手したら汚名にだってなりかねない」

孝彦「そんなことっ」

裕太「やめろ」

裕太「そんなバカげたこと」

裕太「やめちまえ」

絵里「みんな、今日はありがとう」

こころ「ありがとうございます」

こころ「姉...いえ、お姉さまも喜んでおります」

希「お疲れさん」

真姫「こころちゃん、立派だったよ」

こころ「お姉さまの前で、恥ずかしい姿は見せられません」

こころ「それに」

こころ「こうして皆様...みんなに支えてもらいましたから」

こころ「ここあと虎太郎のぶんも、重ねて感謝します」

こころ「ありがとうございました」

海未「お二人は...?」

こころ「向こうで片づけをしております」

こころ「私も一息したら、明日の準備をしなければいけません」

ことり「無理しちゃだめだよ」

こころ「大丈夫です」

こころ「μ'sがついてます」

こころ「それでは」

こころ「失礼します」

こころ「ゆっくりなさってください」

――教室

菜々美「"あれ"、まだやってるの?」

彩佳「あれって?」

菜々美「スクールアイドルごっこ」

彩佳「ごっこじゃない」

彩佳「バカにしないで」

菜々美「ごめんごめん」

菜々美「怒らせるつもりじゃなかったの」

菜々美「でも」

菜々美「彩佳だってわかってやってるんでしょ?」

彩佳「...」

菜々美「スクールアイドルはもう流行らない」

彩佳「...!」

菜々美「だって」

菜々美「今年で終わりだもんね」

菜々美「ラブライブ」

第一話「Music ReS.T.A.R.T!!」

――河原

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「ほっほっほっほっ」

彩佳「イチニサンシッ!イチニサンシッ!」

孝彦「...おわっ!ととっ」

ドサッ...

彩佳「ったく、ぜんっぜん上達してないじゃん」

彩佳「難しいステップじゃないはずだよ?」

彩佳「ほら立って。もう一回!」

孝彦「無茶言うなって」

孝彦「お前と違って、ダンス未経験なんだぞ...あーいてえ」

彩佳「はあ」

彩佳「なっさけない」

彩佳「中学時代はエースストライカーだったくせに」

孝彦「うるせー」

彩佳「...足、まだ痛いの?」

孝彦「...」

孝彦「んなわけねーだろ。もう二年前の話だよ」

孝彦「気にすんな」

彩佳「...」

孝彦「ほら、練習再開すっぞ」

孝彦「ラブライブ、出たいんだろ?」

――自室

彩佳「ねえ、お父さん」

父「うん?」

彩佳「私ね、ラブライブ目指すことにしたから」

父「彩佳が? どうしたんだ突然」

彩佳「お父さんも知ってるでしょ。今年で最後なこと」

彩佳「お母さんが出場経験あること」

父「もちろん知ってるよ」

父「でも」

父「彩佳はほかにやりたいことあるんじゃないか?」

父「無理してお母さんの遺志を受け継ぐことないんだよ」

父「好きなことをしなさい」

彩佳「ううん」

彩佳「違うの」

彩佳「私の好きなことは、いつも同じなの」

彩佳「小さいころから変わってないんだよ」

女生徒「ピアノ、弾けるの?」

孝彦「弾けないっす」

孝彦「...って」

孝彦「その襟章、おんなじ学年...?」

女生徒「そうだよ」

女生徒「神田孝彦くんと同じ二年生」

女生徒「先輩だと思った?」

孝彦「ええ、いや、うん」

女生徒「ここ」

女生徒「生徒の数、多いもんね」

女生徒「羨ましいな」

孝彦「?」

孝彦「...あ」

孝彦「なんで俺の名前」

女生徒「ふふっ」

女生徒「知ってて当然だよ」

孝彦「え?」

女生徒「あなたに会いに来たんだから」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

――予選会場

~♪

花陽「ああ!」

花陽「もう1組目始まってる!」

花陽「ええと、席は席は...」

花陽「あっちに、ちょうど二人分あいてるね」

花陽「凛ちゃん、向こう行くよ」

凛「ええぇ?」

凛「まだ走るのー?」

凛「かよちん、元気ありすぎ」

凛「凛はもうクタクタだよぉ」

花陽「泣き言いわないの」

花陽「ラブライブ、今年で終わりなんだよ」

花陽「しっかりとこの目に焼き付けなきゃ」

花陽「ああほら!」

花陽「2組目始まっちゃう~!」

――矢澤家

ピンポーン

こころ「はーい」

こころ「...?」

こころ「...真姫さん、希さん?」

こころ「どうしたんですか?」

こころ「お姉さまの遺品整理は、まだ先だと伺ってましたが」

希「急に押しかけてごめんなこころちゃん」

希「ちょっと事情が変わって」

真姫「にこちゃんの遺品整理は後日、きちんと行うわ」

真姫「けれど」

真姫「その前に、私たちだけに見せてほしいの」

こころ「?」

こころ「ええと、どういうことでしょう」

こころ「μ'sのほかのメンバーの都合が悪くなって...?」

希「ううん」

希「そういうこと違うんよ」

希「うちらの独断や」

希「あとのメンバーには知らせてない」

こころ「?」

こころ「あの、いったいどういうことでしょう...?」

希「話はなかでしよっか」

............

......

..

こころ「...要するに」

こころ「お二人は、お姉さまの遺言にひとつの結論を示された」

こころ「それで、その推察を裏付ける何かが見つからないか」

こころ「ここに探しに来られたんですね」

こころ「ほかの方に内緒で」

希「うん」

希「海未ちゃんとことりちゃんは穂乃果ちゃんの大親友や」

希「この解釈には乗ってくれへんと思う」

希「凛ちゃんと花陽ちゃんには」

希「あまり耳打ちしたくない」

希「それだけ浮世離れした問題なんや」

こころ「絵里さんは...?」

真姫「絵里には絶対話せない」

こころ「どうしてでしょう」

こころ「信憑性の有無はともかく」

こころ「真面目に取り合ってくれると思いますが」

希「真面目すぎるんや」

希「こんな話聞いたら」

希「簡単に引きずり込まれる」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

希「危険なんや」

希「いまの絵里ちは」

希「慎重に扱わんと」

希「取り返しのつかないことになる」

こころ「そうだったんですね」

こころ「ごめんなさい」

こころ「あのとき、自分を治めたいがために、あんな話をしてしまって...」

こころ「非常に軽率な行いでした」

こころ「反省しております」

希「ううん」

希「こころちゃんが謝ることやない」

真姫「そうよ」

真姫「おかげで、穂乃果のこと、にこちゃんのこと」

真姫「なにかわかるかもしれなんだから」

真姫「絵里のことは大丈夫」

真姫「私たちがなんとかする」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

希「さっきもいったけど」

希「ほかのメンバーが背負うには重すぎるんや」

希「うちらは比較的冷静やけど」

希「あとのみんなは、けっこう感情的やから」

希「事実が浮き彫りになったとき」

希「正気でいられるとは思えない」

希「まだ仮説の段階やけど」

希「これが真実やったとしたら」

希「ほんとに、ダメなんや」

こころ「ダメ...?」

真姫「誰もが空想したことのある世界の存在」

真姫「そんなものが実際にあると知ったとき」

真姫「こころちゃんだったらどうする?」

こころ「...」

こころ「私は...」

真姫「行ってみたいと、思うんじゃない?」

こころ「...!」

こころ「そんなことっ」

真姫「否定しなくていいわ」

真姫「私も希も、行ってみたいと思ってるから」

真姫「しかも」

真姫「そこに愛する人、大切な人がいるなら尚更ね」

希「だから、ダメなんや」

希「これ以上はいわなくても、わかるやろ?」

希「こころちゃん」

こころ「...はい」

こころ「それじゃあ」

こころ「穂乃果さんは、お姉さまはどうなりますか」

希「そうやな」

希「まずは」

希「うちらの仮説が正しいどうか」

希「にこっちの遺品を見させてもらってええかな」

真姫「判断はそれからでも遅くない」

真姫「それに」

真姫「まだ、死後の世界があると決まったわけじゃないから」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「学校の応援も来てないみたいだし」

凛「ほんとに、スクールアイドルの時代は終わっちゃったんだね」

花陽「うん...」

花陽「寂しいけれど」

花陽「しかたないよ」

花陽「50年続いただけでも、すごいと思わなきゃ」

凛「会場もいまいち盛り上がってない」

凛「こんなのライブとはいえないよ」

花陽「悪循環の結果だよ」

花陽「スクールアイドルの人気が下がる」

花陽「相対的にお客さんが減る」

花陽「すると演者のモチベーションが下がる」

花陽「もちろん、そんなもの見たい人なんていない」

花陽「劣悪な状況に歯止めがかからなくなる」

花陽「結果、もの好きだけの集まりになった...」

凛「凛たち、恵まれてたんだね」

花陽「うん」

花陽「いまの時代に、生まれなくてよかった」

花陽「こんな環境じゃ」

花陽「やらないほうがましだよ」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

花陽「運営だってそのつもりだよ」

花陽「そうやって、参加者のプロフィールを渡して」

花陽「スポンサー料をもらってるんだから」

花陽「だから」

花陽「こんなイベント」

花陽「なくなっていいんだよ」

凛「かよちん...」

花陽「...って、ごめん!」

花陽「楽しまなきゃいけないのに、ムキになっちゃった...」

凛「ううん、いいよ」

凛「むしろ、嬉しい」

花陽「え?」

凛「かよちんが」

凛「いまでもスクールアイドルの誇りを忘れないでいること」

凛「凛はすごく嬉しい」

凛「今日は来てよかった」

凛「目標に向かって熱くなれた、昔の自分を思い出せたから」

凛「誘ってくれてありがとうね、かよちん!」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

――矢澤家

希「なんなのこれ...」

希「こんなこと」

希「こんなこと、あっていいわけない!」

真姫「希? なにが、書かれてるの...?」

希「待って」

希「まだ」

希「読んでる途中だから...」

真姫「...」

こころ「...」

希「...」

希「...嘘だ」

希「嘘だよ」

希「ありえない」

希「こんなこと...」

希「こんなことって...!」

――矢澤家

真姫「...」

真姫「...」

真姫「...はは」

真姫「あははっ」

真姫「なによ」

真姫「なんの冗談よ」

真姫「...」

真姫「なにいってんのにこちゃん」

真姫「まさか...」

真姫「そんなわけ」

真姫「...」

真姫「あははっ」

真姫「意味わかんない」

真姫「意味わかんない!」

真姫「ふざけないでよ」

真姫「性質悪いよ」

真姫「にこちゃん...」

――矢澤家

希「こころちゃん」

希「こころちゃんに、これを読む覚悟ある?」

こころ「お姉さまの」

こころ「遺書...」

希「ううん」

希「これは」

希「遺書なんて生ぬるいもん違う」

希「この世に存在してはいけない」

希「悪魔の書や」

真姫「こころちゃん」

真姫「あなたに」

真姫「真実を知る勇気があるのなら」

真姫「読みなさい」

こころ「...」

こころ「お姉さま...」

こころ「...」

こころ「...」

こころ「...」

こころ「...読みます」

こころ「読ませてください」

こころ「お姉さまが、残した言葉を」



第7話「after life NAVIGATORS」終

第8話「アクムノトビラ」

拝啓、親愛なる妹たち。そして、μ'sのみんな

この手紙を手にしたということは、

私、矢澤にこは既にこの世に現存せず

安らかな眠りについたということでしょう。

しかし、実際のところは違います。

私、矢澤にこは、

いいえ、矢澤にこと高坂穂乃果は

永遠なる眠りとは無縁の

光、満ち溢れる楽園とは無縁の

おそろしく暗い、

深い深い闇の底へと出発したのです。

この手紙を記すにあたって、

私は25年前の出来事を振り返らねばなりませんでした。

それは、あまりにも衝撃的で、また荒唐無稽で、

いま思い返しても、まったく真実味にかける絵空事のようなのに、

ときに鋭利で、冷徹で、残酷で、

心臓がえぐられるような、現実味がありました。

またたくまに、心労の閾値が限界を振り切って

その場に留まることができず、

あろうことか、穂乃果を前にして

私は気を失ってしまいました。

そのときのこと、悔やんでも悔やみきれません。

目が覚めると、穂乃果はいませんでした。

それは、姿が見えなくなったという、物質的な話ではありません。

その世界から存在が消えていた。

それ以来、彼女に会うことは、こんにちまでありませんでした。

夢のような時間だったと、記憶しております。

実際、夢だったらどんなによかったろうと、

当時の様子を何度も何度も反芻してみますが、

そのたびに、穂乃果の形が、声が、告白が、

鮮明な波となって襲い掛かり、

ああ、あれは夢うつつではなく、やはり現実だったのだと、

繰り返し繰り返し私を苛みました。

私はそれまで第一線で芸能活動を行っておりました。

しかし、穂乃果との再会がきっかけで、

引退を決断するほど、

この身は、この心は、擦り切れて、力を失っていきました。

その後の私は、ご存知の通りです。

日々、生きていることが罪のように思え、

笑顔も減っていきました。

そして、余力がなくなりつつ身体に、そろそろ見切りをつけるため、

この手紙を残そうと決意したのです。

これから書き記すことは、すべて事実です。

受け取ったあなたが何者なのか、私にはわかりません。

こころ、ここあ、虎太郎、

お姉ちゃんは死にました。

ですが、本当に成仏するまでに、やらなければいけないことができました。

絵里、希、真姫、凛、花陽、海未、ことり、

にこは穂乃果を助けに行きます。

穂乃果のために、私のために、μ'sのために。

どうして、誰にも相談せずに、

こうも遠回りをして、手記にしたのか、それは理由があります。

私は穂乃果の言葉を信じます。

しかし、やはり心のどこかに懐疑的な自分がいました。

そんなわけない。ありえない。

ですから、

決して、みんなのことを蔑ろにしたわけではありません。

決して、自らの美徳、偽善を優先したのではありません。

そのことだけは、あらかじめご理解ください。

前置きが長くなってしまいました。

ですが、もう少しだけ、お付き合いください。

本題に入る前に、

どういった経緯で、私と穂乃果が再会したのか

説明する義務があります。

25年前、その年は一時期低迷していた

スクールアイドル界隈が、久々に賑わいを見せた年でした。

その日、突き抜ける青い天井が空いっぱいに広がっていて、

少しばかり肌寒さを感じ始めた、晩夏のことです。

私は事務局から、ラブライブ本戦へのゲスト出演依頼を受けておりました。

なんてことはない、ただ来賓席へふんぞり返って、

ふふん、と不敵な笑みを浮かべてればいいだけのお仕事でした。

その時分、すでに四十路の階段を二つ、三つのぼったころだったので、

年不相応のことは控えて、慎ましくライブを観覧していました。

ときおり、もっともらしいことをコメントすると、

会場から笑いや感嘆が聞こえ、有意義な時間を過ごしました。

優勝校が決まり、優勝旗を会長が、盾を私が、

優勝したグループの方に贈呈しました。

感涙した彼女たちを見ていると、思わず自分がそうだったころを思い出し、

ついつい涙ぐんでしまいました。

人は年齢を重ねるごとに涙もろくなるといいますが、

このときばかり、その通りだと感じたことはありません。

蓄積された過去の時間が膨らむほど、

琴線に触れるきっかけが、増えていくのでしょう。

それはさておき、人前で涙を流すのは気恥ずかしく、

終幕するや否や、会場の裏手へ回りました。

そこでは、優勝を逃したユニットの子たちが集まって、

私とは違う味のする涙を流しておりました。

それもまた青春なんだと、肌で感じたとき、

さらに涙があふれてきたことは言うまでもありません。

そんななか、私の目は、入賞したとある高校に惹きつけられました。

ほんの一瞬でしたが、50年前、

μ'sで大会を制覇したときの光景が、フラッシュバックしたのです。

おかしいことではありませんでした。

郷愁に浸り、否が応にも当時を振り返らざるえない、

そんな状況でしたので、見ず知らずの高校生を見て、

ふとμ'sのメンバーに似てると思っても、不自然ではありません。

しかし、見れば見るほど、その生徒は私の知っている人間に見えてきました。

私はこう見えて、真面目に仕事をこなします。

ですので、来賓席で頬杖ついていたときも、

舞台で輝く演者たちから目を離しませんでした。

そのなかに、彼女の姿がなかったことは、はっきりしています。

だったらなぜ、こんなところに彼女がいるのだろう。

そのときは、あまりの出来事に、思考が追いつかず、

私は正常な判断ができていませんでした。

着ている制服は音の木坂ではないから、やはり他人なのかと、

見当違いなことを脳内で浮かべていました。

しかし、秋の足音を告げる、寒々とした風が、

ビュオッとこの身に吹き付けたとき、視界がクリアになりました。

それは紛れもない、昔に死んだはずの友人、

高坂穂乃果、本人でした。

そのとき地べたに踏ん張れた自分を褒めなければなりません。

貧血のように頭がくらくらとし、動悸が激しくなり、

転倒しそうになったのを、すんでのところで食いしばったのです。

私は食い入るように穂乃果の横顔を注視していましたが、

向こうが気づく風はありませんでした。

泣き崩れるチームメイトを慰め、その表情は相手を労うため、

温かさに満ちた微笑みをしていましたが、

彼女自身もどこか辛そうで、激励を述べる唇は小刻みに震えていました。

気づくと私は、穂乃果に駆け寄っていました。

近づいてくる私を、やはり彼女は気づいていませんでした。

いまになってわかります。

穂乃果はチームメイトを励ますことに夢中になっていたのではなく、

自らの運命、未来に絶望し、周囲が見えていなかったに違いありません。

私がなんて言葉をかけようかと、立ち止まって悩んでいると、

やっと穂乃果がこちらに目を向け、そしてこういいました。

――見つかっちゃったね。

それを聞いたとき、私は世界が覆る様子を全身で感じました。

例えは悪いかもしれませんが、恋人の浮気現場を目撃したような、

あるいは家臣の謀反が発覚したような、

要するに、なにもかもが価値を失い、モノクロへと回帰したのです。

――久しぶり、にこちゃん。

彼女はこともなげに、二言目を発しました。

25年前から変わらない、声と笑顔でした。

記憶を手繰っていくなかで、唯一こぼれている部分は、

穂乃果と再会し、接触したあとのことです。

というのも、あまりの仰天に冷静さを失っていたので、

それからどういった言葉を交わして、

どんな経路で、どこへ向かったのか思い出せないのです。

気づくと私は公園のベンチで、穂乃果と並んでいました。

さて、

ずいぶんと引っ張りましたが、ここからが本題です。

これより先は、穂乃果が語った言葉を、

でき得る限りそのままの形で文章に起こしたものです。

以下、私というのは高坂穂乃果その人です。

しつこくなるようですが、

ここまで述べたことは事実であり、ここから先も事実です。

それを読んだあなたがどう捉えるかは、私の埒外です。

どうか、気を確かに...

光の海が広がっていた。

理科の時間、光とは粒子であるとか波動であるとか

聞いたことがあった。

たしかに、私の目の前に降り注ぐ光は、粒子であり、

私を包み込む光は、波だった。

まるで、光は口腔や耳から体内に侵入し、

細胞のすべてを支配していくように感じた。

私は光そのものだった。

そこがどこかはわからなかった。

寝起きのように、視野はぼんやりとしていた。

自分自身が何者なのか把握するまで時間がかかった。

私がまず生物であること。

そして、人間であること。

そして、高坂穂乃果という、高校生であること。

そこまで意識が順を追うと、

それまでなかった肉体が、突如現れた。

そのころには記憶も確かなものとなっていて

自分に降りかかった災厄を回想した。

3月、東京は冬だった。

なんの因果か、街は雪に覆われていた。

異常気象だと有識者はいった。

自然の摂理だと哲学者はいった。

どちらも正解で、どちらもハズレ

あれは、神の仕業だった。

私は何気ない道を、一人で歩いていた。

そこへコントロールを失った車両が衝突した。

私はすさまじいエネルギーで弾かれて、

コンクリート壁に全身を強打した。

そこで現世の記憶は途切れた。

感覚が光に慣れてくると、

光が広がって、道のようなものになった。

私はなぜか落ち着いていた。

光がそうさせたのだろう。

自分が死んだことに悲しみは抱かなかった。

当然のように、道のような光の束をたどり、

このまま天国へ行くのだと疑わなかった。

音はなかった、香りもなかった、

気候も、重力も、呼吸ですら、

そこには存在しなかった。

歩いている、という感覚ではなかった。

光の川を流れているだけのように思えた。

私は人間でありながら、人間ではなかった。

この世界では、有機物に意味はない。

いや、"世界"という認識すら、意味をもたない。

誰がいったわけでもないのに、なぜか理解していた。

しばらく進むと、自分以外の存在を見つけた。

それは美しかった。しかし、生き物じゃなかった。

ここに住まう、管理人のようなものだと解釈した。

――高坂穂乃果

はじめて音が聞こえた。

いや、音ではなかった。それは口がなかった。

――我はポリュムニアー

どこかで聞き覚えのある名前だった。

希がいっていた。μ'sの由来。ミューズという女神9柱のひとつ。

はじめまして、と口にしたかったが、声は出なかった。

そうだ、私はもう人間じゃない。

しかし、心のなかに描いただけで、意味は伝わった。

――この先に、天国がある

丁寧な印象を受けた。

神ならば、もっと圧力を感じるものだと思っていたから。

ポリュムニアーは天国の方向を指した。

ここでは感覚がないのに、向こうはここよりとても暖かいと、なぜかわかった。

布団のなかで夢を見るとき、

夢のなかで起きている状態を客観視することがある。

夢のなかだから当然、夢のなかだから安心、

それと同じことが、ここで起きていた。

私は生前、μ'sとして活動してたのだから

その1柱に迎えられて当然。

私以外のメンバーが死んだときは、

またほかの1柱が迎えに来てくれるのだろうと。

私はポリュムニアーに従うように、天国へ進もうとした。

――待って

――天国よりいいところがある

青天の霹靂だった。

天国が最上であることを疑わなかった自分を、

そのとき恥ずかしく思った。

脳内に質問が浮かぶ前に、回答があった。

――こっちの園に来ないか

それが意味していることを、なぜか理解できた。

ポリュムニアーは、私を女神にすると述べたのだ。

――そうすれば、あなたは本物のミューズになれる

またしても、言葉の意味を理解した。

園へ行けば、私は海未、ことり、絵里、希、にこ、花陽、凛、真姫と

また、ひとつになれると思った。

時間を巻き戻せるのだ。

私の意識に天国という存在がなくなった。

ミューズのいう園へ行きたいと強く思った。

私の願望は、すぐにポリュムニアーに伝わった。

そのとき、はじめて女神は笑った。

――ただし、条件がある

私は神を信じていた。

神が絶対であると、疑うことはなかった。

――もう一度、あなたの力を見せてほしい

――ミューズの名を借りたまがい物でないこと

――証明できるか

それは、リスタートを意味していた。

私は園へ行くため、

μ'sのメンバーと永遠を過ごすため、

試練を受けるのだと、

告げられるまでもなく心にしみ込んだ。

返事はいらなかった。

返事をする前に、光は消えていった。

おかえりなさい、あなたは再び現実へ帰ってきました。

穂乃果が述べた一切のこと、あなたは信じますか。

それから穂乃果は、唖然としている私をしり目に、現状を語りました。

この試練は、ラブライブで再び優勝することで果たされること。

これまで、何度も何度も何度も何度も何度も、同じことを繰り返したこと。

25年間、いや、いまとなっては50年のあいだ、

穂乃果は試練のなかにいるということ。

私は気が遠くなっていきました。

そして、冒頭の通り、その場で倒れてしまったのです。

穂乃果は私たちのために、選択をしました。

私たちと過ごすため、μ'sと過ごすため、

試練を受けているのです。

この話をいったいどれだけの人が信じてくれるのか、

はなはだ疑問ではあります。

しかし、私の心は決まっていました。

無限の地獄から彼女を救わなければいけない。

それが、私にできる、ひとつの恩返しなのだと。

長くなりました。私の手紙はここで終わりです。

頭が狂っていると思われてもかまいません。

私は、己の外聞よりも、1人の友人を大切にしたいのです。



矢澤にこより



第8話「アクムノトビラ」終

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

凛「それより...」

凛「音の木坂はまだかにゃー?」

花陽「音の木坂の予選会場はここじゃないよ」

凛「あれ、そうだっけ」

花陽「それに」

花陽「音の木坂の予選は昨日、終わってるし」

凛「知らなかったにゃー」

凛「見たかったなあ」

花陽「大丈夫、見れるよ」

花陽「地区予選、通過したみたいだから」

凛「それじゃあ、最終予選で見られるね」

凛「予選通過したってことは」

凛「強いんだね」

花陽「私たちには適わないけどね」

凛「じゃあ」

凛「試しに、凛とかよちんでエントリーしてみる?」

凛「あの子たち見てたら」

凛「なんだか踊りたくなってきたにゃー!」

花陽「凛ちゃんはしゃがないのっ」

花陽「やっぱ、凛ちゃんは私より若いなあ...」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」(o^^o)

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

第7話「after life NAVIGATORS」

――都内、某所

花陽「凛ちゃ~ん」

花陽「こっちこっち~」

凛「あ、かよちん!」

凛「ごめんね~、ちょっと遅れちゃったよ」

凛「バス待ってたら」

凛「救急車が近くに止まってさあ」

凛「つい、気になって」

凛「そっち見にいっちゃったにゃー」

花陽「救急車?」

花陽「事故でもあったの?」

凛「ううん」

凛「人混みがあってよく見えなかったけど」

凛「道端で人が倒れたらしいよ」

凛「凛が追いついたときには、倒れた人はなかに担ぎ込まれていて」

凛「どんな人かわからなかったけど」

凛「付き添い? の人が真っ青になってたのは覚えてる」

凛「雰囲気的に」

凛「学校の先生っぽい、男の人だったけど...」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」

花陽「学校の先生?」

花陽「それじゃあ、運ばれた人は生徒さんかなあ」

凛「うーん、どうだろう」

凛「よくわからないなあ」

凛「それより」

凛「時間大丈夫?」

花陽「えっ」

花陽「ああ、大変!」

花陽「もう開会式終わっちゃってる時間だ!」

花陽「凛ちゃん! 急いでいくよ!」

凛「って、かよちん走ってくの!?」

凛「ま、待ってっ」

凛「もう昔のようには走れないにゃー」

花陽「凛ちゃんだらしないよ!」

花陽「ほら、ワンツーワンツー!」

花陽「μ'sのころを思い出して!」

凛「無理無理ぃ」

花陽「今日ぐらい、アイドルのころに戻ろうよ」

花陽「だって」

花陽「地区予選大会の日だよ!」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

希「だから、今日はこっそり二人で来たんや」

希「にこっちが残した手がかりがあれば」

希「うちらで消そうと思って」

こころ「け、消す?」

こころ「それは、どういう...」

希「言葉通りの意味や」

希「なかったことにするんや」

こころ「待ってください」

こころ「希さん、真姫さん」

こころ「あなた方の目的がわからなくなってきました」

こころ「単に、お姉さまが残した謎の真相を探っているわけではなさそうですね」

真姫「ええ」

真姫「臨死体験、死後の世界」

真姫「もし、証拠があるのなら」

真姫「存在を認めてあげる」

真姫「だけど」

真姫「その見解を、ほかのみんなと一致させる必要はない」

こころ「...」

こころ「つまり」

こころ「なにかしらの結果が出ても」

こころ「μ'sのみなさんには内密にする」

こころ「そうなんですね?」

――予選会場

~♪

花陽「あっ、この曲、数十年前の人気アイドルのカバー曲だ!」

~♪

花陽「これは、あの曲!」

~♪ ~♪ ~♪

花陽「これはっ、これはっ、これはっ」

凛「かよちん、やっぱアイドル詳しいね」

凛「全然変わってない」

花陽「えへへ」

花陽「アイドル好きは死ぬまで変わらないと思うよ」

花陽「でも...」

花陽「いまは、オリジナル曲つかうことないんだね」

花陽「やっぱり、参加者が減ったから」

花陽「ハードルがガクッと下がってるのかな」

凛「たしかに」

凛「凛たちのころと比べると」

凛「客席も寂しい感じがする...」

凛「ええっ?」

凛「かよちん、アイドル好きなのに」

凛「そこまで言っちゃうの?」

凛「やらないほうがましって...」

凛「本気?」

花陽「だって」

花陽「見てよ」

花陽「いまステージに立ってるあの子たちだって」

花陽「どこまでが本気なんだか」

凛「うーん」

凛「凛には頑張ってるように見えるけど」

花陽「頑張ってるよ、たしかに頑張ってる」

花陽「でも、なんのためかっていうと」

花陽「あれだよ」

凛「テレビカメラ...?」

花陽「いまの子たちにスクールアイドルの誇りはないの」

花陽「人気になりたいだけ」

花陽「あわよくば、タレント、歌手にスカウトされるかもしれない」

花陽「そんな打算的な子たちばかりなの」


こころ「そんな...」

こころ「絵里さんは頼りになると思ったのですが」

真姫「頼りになるわよ」

真姫「実際に、これまでもいろいろ頼ってきた」

真姫「それがいけなかったの」

こころ「?」

こころ「いけなかった...?」

真姫「μ'sのころから」

真姫「面倒見がよくて、責任感があった」

真姫「そして」

真姫「いまも当時と同じ立ち位置にいる」

真姫「脱することができていないのよ」

真姫「50年間」

真姫「μ'sのなかにいる自分から抜け出せていない」

真姫「絵里はいまでも、穂乃果やにこが自分を頼っていると」

真姫「思い込んでいる」

真姫「自分がどうにかしなきゃ」

真姫「自分が動かなきゃ」

真姫「そういう風に、考えてるの」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

――教室

望愛「お疲れ様、雫」

望愛「まるでライブを見てるようだったわ」

雫「ありがとう、望愛」

雫「これもすべて、あなたのおかげよ」

望愛「なに言ってんのよ、照れるじゃない」

雫「うふふ」

雫「冗談じゃないわ」

雫「昨今、スクールアイドルの人気は落ち込んでいる」

雫「そんななか、ここ花み浜学園はずっと王座奪還を狙ってたんだから」

望愛「奪還?」

雫「あら、まだ言ってなかったかしら」

雫「xxSIESTAxxが誕生する遥か前」

雫「minamoっていう、グループがここに存在した」

雫「もう、数十年前の話よ」

雫「minamoはね、ラブライブで優勝したことがあるの」

望愛「すごいじゃない!」

雫「そう」

雫「すごかった」

雫「当時はまだ、スクールアイドルに勢いがあって」

雫「どこの地方大会も激戦区だったわ」

雫「でも、うちの学校は向かうところ敵なしだった」

雫「疾風迅雷のごとく本戦へ出場し、」

雫「そのまま優勝旗をかっさらった」

雫「それは、いまでも語り継がれるほど」

雫「伝説とうたわれたグループだったのよ」

望愛「すごい」

望愛「でも、待って」

望愛「そんな実力のある学校が、それから負けっぱなしって」

望愛「どういうことよ」

雫「さあね」

雫「勝者の歴史はいつだって都合よく描かれるの」

雫「minamoがどう衰退したかなんて知る由ないわ」

雫「ただ、予選通過すらままならない弱小高校へ」

雫「なり下がってしまったという事実だけ残った」

雫「でも」

雫「それも去年までで終わり」

雫「今年は、勝利をもぎ取りにいく年にしましょう」

――部室

季輝「見て見てー」

百合「季輝っち、どうしたの、そんなにはしゃいで」

百合「パソコン?」

季輝「これだよこれー」

季輝「もう、各地の予選大会の様子がアップされてるよん」

百合「へえー」

百合「やっぱ、最後の年ってだけあって」

百合「参加グループは例年より増えてるみたいだね」

百合「でも、どの学校もうちらより実力低いって感じ」

百合「下手くそばっかじゃん」

季輝「そうかなあ?」

季輝「この学校とか、ダンスきれっきれだよ?」

百合「まあまあ、ね」

百合「てか、オリジナル曲じゃない時点で」

百合「選考対象から外れてるってわからないのかな」

季輝「え? そんなルールあったっけ?」

百合「いや、ないけど」

百合「でも、少し考えればかわるじゃん」

百合「カバー曲より、オリジナル曲のほうが話題性あるって」

百合「こんなん、コピーよコピー」

百合「うちらの敵じゃない」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

季輝「あぁ...」

季輝「思い出しますね、去年のこと」

季輝「みんなで白い翼生やしてのぞんだ...」

百合「やめてー」

百合「あたし、それ思い出したくなーい」

里美「あれって、こよりの提案だったよね」

季輝「大体、目新しいこと始めようとするのはこより先輩です」

季輝「それを副部長が止めるって流れじゃないですか」

里美「そうだそうだ」

里美「でも、あのときは止めなかったな」

里美「なんでだろう」

百合「雫部長がそれでいくわって背中押したからですよー」

百合「あれマジではずかったんですからー」

百合「あんなのもう絶対いやー」

季輝「百合ちゃんはけっこう似合ってたけどなあ」

百合「うるさい」

里美「で、その本人は?」

里美「こより、いなくない?」

季輝「まだ部室に来てないですよ」

百合「あたしも見てませーん」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

こより「なんですって!」

こより「シロウトのあなたになにがわかるのよ!」

望愛「実際、去年、地区予選敗退だったんでしょ」

こより「...っ」

望愛「悪いことは言わないわ」

望愛「仲良くしましょう」

望愛「それがお互いのためじゃない」

望愛「ラブライブ、今年で最後なのよ」

望愛「花み浜学園の王座奪還」

望愛「私だって、望んでるわ」

こより「...」

こより「ふんっ」

こより「殊勝な態度とっちゃって」

こより「雫が認めたから、あなたはxxSIESTAxxにいられるのよ」

こより「あなたがすごいわけじゃない」

こより「人より顔がかわいいからって」

こより「それ以上調子に乗ったら」

こより「ぶん殴ってやる」

望愛「おーこわ」

望愛「望むところよ」

望愛「こっちだって、死ぬ気でやってやるから」

望愛「ついてこれなかったらおいてくわよ」

こより「勝手にして」

望愛「言われなくても」

――放課後

雫「どうしたのよ」

雫「そんなにぷりぷりして」

こより「知らないっ」

雫「あなたが怒るときって」

雫「相場が決まってるのよね」

雫「前回は、百合が加入したとき」

雫「その前は、三年生が卒業したとき」

雫「あなたって環境の変化に弱いんだから」

こより「だって」

こより「望愛のこと嫌いなんだもん」

雫「どうしてよ」

雫「いい子じゃない」

雫「スクールアイドル経験ないのによくやってるわ」

雫「素質がある」

こより「...」

雫「あなただって、認めてるんでしょ?」

こより「...」

雫「それとも」

雫「私を取られそうだからって」

雫「嫉妬してる?」

こより「知らないっ」

雫「うふふ」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――ハンバーガー屋

季輝「いきますよー!」

季輝「かんぱーい!」

百合「かんぱーい!」

里美「かんぱい!」

望愛「かんぱい」

望愛「祝賀会が100円バーガーってどうなの?」

季輝「今月お金なくって」

望愛「もう、これからトップの座に上り詰めようってアイドルが」

望愛「金欠なんて情けない」

望愛「いいわ」

望愛「二人の分、私が払ってあげる」

望愛「だから、じゃんじゃん食べなさい」

百合「いいんですか?」

季輝「やったー!」

里美「私の分は?」

望愛「あなた副部長でしょ...」

里美「そうだけど」

里美「くじ引きだったし」

里美「いまとなっては、のあのあのほうが副部長っぽい」

望愛「え? 私が?」

里美「うん」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

季輝「うわー、望愛先輩かっこいい」

季輝「なんだか優勝できそうです」

望愛「優勝するの」

百合「そうよ」

百合「音の木坂なんて目じゃない」

望愛「音の木坂?」

里美「今年の有力候補だね」

里美「東京の、音の木坂学院」

里美「あそこも、過去に優勝経験ある実力校でしょ?」

里美「地区予選も突破したっていうし」

里美「絶対本戦でぶつかることになるよ」

望愛「ふうん」

望愛「あなたたち、音の木坂をライバル視してるの?」

季輝「だって、あのμ'sがいたとこですよ」

望愛「そんなの50年前じゃない」

望愛「いまとなっては、関係ないわよ」

百合「そうですよね~」

百合「いまの花浜を止められるところなんていないですよ」

百合「全国制覇しましょう」

里美「そうだね」

里美「あとは、しいて言うなら、次の最終予選」

里美「注目株がひとつあるってことくらい」

望愛「注目株?」

季輝「あっ」

季輝「もしかして」

季輝「男女ペアの?」

里美「そうそう」

百合「百合も知ってます」

百合「初参加にして、地区予選を突破したペアアイドル」

百合「QQですよね」

百合「たしかに話題になってますが、注意するほどですか?」

里美「それがねえ」

里美「演技も歌も粗削りなんだけど」

里美「すごくフレッシュさがあって」

里美「審査員ってああいうのに弱いんだよ」

里美「だから、いまもっとも突破力を持ってるのはその二人」

望愛「ねえ」

望愛「その二人の動画ある?」

季輝「はい」

季輝「いま、ページ開きますね」

~♪

望愛「なるほどね」

望愛「曲はオリジナルだし、振り付け、衣装も凝ってる」

望愛「そしてなにより、魅せ方を理解してる」

里美「強敵だと思わない?」

望愛「なんなのこの子たち」

望愛「タレント? 子役?」

里美「ううん、そんなの全然ないよ」

里美「いうなればダークホース?」

望愛「ダークホース...」

望愛「あなどれないわね」

百合「ちょっと先輩~」

百合「なに弱気になってるんですかー」

百合「ぽっと出のアイドルが」

百合「伝統ある花浜に勝てるわけないですよ」

望愛「百合、それは違うわ」

望愛「アイドルは伝統や格式じゃないの」

望愛「目の前の大衆を魅了できるかどうかなの」

望愛「その素養が、この二人にはあるってことよ」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

――雫、自宅

パンパン!

雫母「どうしたの、神前に手を合わせて」

雫「だって」

雫「千載一遇のチャンスなんです」

雫「神にも仏にもすがりますよ」

雫母「アイドル、楽しい?」

雫「はい」

雫「これまでにないくらい高翌揚してます」

雫「お母さん」

雫母「なにかしら」

雫「生んでくれてありがとうございます」

雫母「なにを言い出すのかと思ったら」

雫母「大げさな子ね」

雫母「そのセリフは」

雫母「ラブライブ本戦で優勝してから言いなさい」

雫「はい!」



第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」終

第10話「錯覚CROSSOVER(後編)」

――孝彦、自室

カタカタ...

孝彦「これもそうだ」

孝彦「これも、これも」

孝彦「やっぱり」

孝彦「高坂穂乃果は50年前に死んでいる」

孝彦「前世から来たっていうのはマジだったのかよ」

孝彦「信じらんねえ」

孝彦「じゃあ」

孝彦「25年前から」

孝彦「いや、おそらく、50年前から」

孝彦「穂乃果は現世でさまよってるんだ」

孝彦「なんのために...?」

孝彦「あいつは言った」

孝彦「ラブライブで優勝したいと」

孝彦「ラブライブを存続させたいと」

孝彦「それが目的?」

孝彦「なんのために...」

――学校

裕太「おめでとさん」

孝彦「あん?」

孝彦「なんだよ唐突に」

裕太「いやさ」

裕太「結果を出したら、功績を褒めてやらんとな」

裕太「地区予選、パスしたんだってな」

孝彦「ああ」

孝彦「そうだよ」

裕太「まさかの連続だよな、ほんとに」

裕太「スクールアイドル始めたってのが、一つ目のまさか」

裕太「高坂穂乃果が助力を注いだってのが二つ目のまさか」

裕太「そして地区大会を制覇したってのが三つ目のまさか」

裕太「こりゃノストラダムスも予言できなかったろうよ」

孝彦「茶化してるのか」

裕太「ああ、いや」

裕太「はじめは冷やかしだったけど」

裕太「お前ら」

裕太「純粋にすげえよ」

裕太「二人のこと、見直してるやつ、校内に増えてきてるぜ」

裕太「ええと、QQだっけか」

孝彦「ほんとか? うそだろ」

孝彦「"あの"スクールアイドルだぞ」

孝彦「よもやま話の肥やしだぞ」

裕太「おいおい」

裕太「そこまで卑下すんなよ」

裕太「お前らが地区大会優勝したから、今度、学校に取材がくるらしいぜ」

孝彦「どうせ数行で片づけられる」

裕太「いくらなんでも冷めすぎだ」

裕太「期待に応えてやれよ」

孝彦「俺は別に目立ちたくてやってるわけじゃないからな」

孝彦「面目躍如に興味はない」

裕太「ふうん」

裕太「でもよ」

裕太「世間の波に乗ること、大事だぜ?」

裕太「勝ち抜くには、世論も味方につけないとな」

孝彦「それ、アイドルのすることか?」

――河原

彩佳「明日だね」

彩佳「あー、わくわくする!」

穂乃果「どうしたの彩佳、なんだか楽しそう」

彩佳「忘れちゃったの? 明日、最終予選の抽選会だよ?」

彩佳「いったい何番目になるのかな」

彩佳「一番目だったらやだなー」

彩佳「緊張しちゃうよー」

穂乃果「大丈夫だよ」

穂乃果「何番目になったって、負けないよ」

穂乃果「だって私たち」

穂乃果「この短期間で、いっぱい努力してきたじゃん」

穂乃果「二人とも、よく頑張ったよ」

孝彦「...」

彩佳「それもこれも、穂乃果のおかげだよ!」

彩佳「私たちにとって、穂乃果は神様だね!」

彩佳「ねえ、孝彦」

孝彦「...」

彩佳「孝彦?」

孝彦「え? ああ、なんだって」

彩佳「もう、明日のことで頭いっぱいなんでしょ?」

彩佳「わかりやすい」

孝彦「ちげーよ」

――帰り道

彩佳「じゃあ、私買い物してくから!」

彩佳「ばいばーい!」

穂乃果「ばいばい!」

孝彦「...」

穂乃果「それじゃ、私はこっちだから...」

孝彦「待てよ」

穂乃果「ん? どうしたの孝彦」

孝彦「俺、調べたんだ、μ'sってスクールアイドルの事」

孝彦「そして、事故で死んだお前のこと」

穂乃果「...」

穂乃果「そっか」

穂乃果「調べちゃったんだね」

孝彦「否定しないんだな」

穂乃果「まあ、ね」

穂乃果「嘘はつきたくないし」

孝彦「じゃあ」

孝彦「前世からきたってのは...」

穂乃果「言ったじゃん。ほんとだって」

穂乃果「でも、どうして」

穂乃果「彩佳がいる前で言わなかったの?」

孝彦「それは...」

孝彦「俺にもわからん」

孝彦「ただ、言わないほうがいい気がしただけだ」

孝彦「余計な心配をさせたくない」

穂乃果「孝彦にとっては余計な心配じゃないんだ」

孝彦「正直いうと、ものすごく戸惑った」

孝彦「信じられなかった」

孝彦「だが」

孝彦「現実に目の前で起きてるんだから、受け入れるしかないだろ」

穂乃果「冷静だね」

孝彦「リアリストなだけだ」

孝彦「それで」

孝彦「50年前に死んだお前が」

孝彦「現世でなにをしてるんだ?」

穂乃果「うーん...」

穂乃果「どこから説明したらいいのかな」

穂乃果「私にもわからないんだ」

孝彦「はあ?」

穂乃果「ううん」

穂乃果「そういう意味じゃなくて」

穂乃果「どう伝えれば、孝彦に影響でないか」

穂乃果「思案してる」

孝彦「それはつまり」

孝彦「ここにいる理由を真正面から聞くと」

孝彦「俺が正常でいられなくなるって、そういうことか?」

穂乃果「たぶんね」

穂乃果「これは、健全に生きている人に、言っちゃダメなことなんだと思う」

孝彦「死者の事情か」

孝彦「たしかに、あまり知りたくないな」

孝彦「内容によっては」

孝彦「いまの人生が無意味なことになりかねない」

穂乃果「うん」

穂乃果「そういうこと」

穂乃果「孝彦が話のわかる人で良かった」

孝彦「わかってるわけじゃない」

孝彦「無理矢理に正当化してるだけだ」

孝彦「たんなる自己暗示だよ」

孝彦「とすると」

孝彦「彩佳には口が裂けても言えないな」

穂乃果「ごめんね」

孝彦「まあいい」

孝彦「ラブライブで優勝する目的さえ見失わなければ」

孝彦「それでいい」

穂乃果「ありがとう」

――花み浜学園

季輝「心臓が張り裂けそうです~!」

百合「季輝うるさい」

季輝「だって百合ちゃん、抽選会、明日だよ」

百合「知ってるよそんなこと」

百合「たかが抽選会がなによ」

百合「強者は堂々としていればいいの」

里美「そういう百合ぽんも、膝、震えてるよ?」

百合「ええっ」

百合「って、嘘じゃないですかぁ!」

百合「副部長の意地悪~!」

雫「...」

こより「さっきから黙ってるけど、雫寝てる?」

雫「精神統一よ」

雫「こうして気を高めて、機運を集めてるの」

望愛「なんだか、武道の達人みたい」

こより「知らないの? 雫の家、代々、空手家の家系なのよ」

こより「歯向かってみなさい。小柄なあなたなんか、即一本背負いよ」

雫「それは空手じゃないわよ」

望愛「無知ね」

こより「知らないっ」

季輝「やっぱ、抽選は部長が引くんですよね?」

こより「当然でしょ」

こより「こういうのはリーダーの役目なの」

季輝「ですよね~!」

里美「なに、季輝っち引きたかったの?」

季輝「あっ、いえ、そういうわけじゃっ」

百合「図々しいよ」

季輝「違うよ! ち、違うんです部長!」

雫「うふふ」

雫「気にしないで」

雫「その気持ち、痛いほどわかる」

里美「去年は何番目だったっけ?」

こより「ちょうど真ん中」

こより「悪くないけど、おいしくもない」

雫「それで...」

雫「抽選会なんだけど...」

雫「みんなから、反対されるかもしれないけれど」

雫「私、辞退しようと思う」

季輝「ええっ?」

こより「はい? どういう意味?」

雫「私よりも適任な人がいるのよ」

雫「ね、望愛」

望愛「わ、私?」

望愛「なんでよ」

こより「そうよ、なんでよ!」

雫「いまの流れ、みんな実感してると思う」

雫「これまでにない、奇跡の力場が」

雫「花み浜学園に訪れている」

雫「これを断ち切ってはいけない」

雫「私の心はそう願っているわ」

こより「だかって、なんで望愛なのよっ」

こより「納得いかない!」

望愛「そうよ」

望愛「あまり賢明だと思わないけど?」

望愛「部長であるあなたが引くことで」

望愛「部員たちのモチベーションが上がるのよ」

望愛「新参者の私が水を差していいことじゃないわ」

こより「そうよ」

里美「なんだろう」

里美「意外なところでのあのあとよりっぺの意見が一致してる」

こより「副部長は黙って」

雫「難しいことかしら?」

雫「望愛という存在が、私たちに栄光のチャンスを与えた」

雫「その人に、次の運命を左右するクジを引いてもらう」

雫「まるで」

雫「神様に、導かれてるって感じしない?」

雫「私の心は、そう思っている」

雫「どうかしら」

季輝「...」

百合「...」

こより「...」

望愛「...」

里美「いいんじゃない?」

こより「ええっ?」

こより「いまので納得したわけ?」

こより「うそでしょ」

里美「ううん、誰が抽選するとかどうかじゃなく」

里美「望愛に託したいっていう、部長の決定でしょ」

里美「私はそれを支持してあげたい」

こより「それはそうだけど...」

雫「ほかのみんなはどう?」

季輝「いいと思います!」

季輝「部長がそう言うなら、賛成です!」

百合「...」

百合「私も、かまいません」

百合「望愛先輩に託します」

こより「ちょっと、ちょっと」

雫「こよりは反対?」

こより「...」

こより「雫がそうしたいってなら、すればいいじゃん」

雫「ありがとう」

雫「それで」

雫「望愛は?」

望愛「...」

望愛「断れる状況じゃないわね」

望愛「明日の抽選」

望愛「私が引くことにするわ」

こより「変な番号引いたら承知しないんだからっ」

望愛「だ、大丈夫よ」

里美「珍しく、のあのあが気おされてる...」

――翌日、抽選会場

ざわざわ...

彩佳「うわあ、いっぱいいるー」

孝彦「みっともないからきょろきょろすんな」

彩佳「だって、あの子たち動画で見たよ!」

彩佳「ほら、あれも! あれも!」

彩佳「みんな実在したんだねえ」

孝彦「はぁ...」

孝彦「来るんじゃなかった」

孝彦「そもそも、クジ引くのにみんなで来ることないだろ」

孝彦「彩佳一人で十分じゃねーか」

彩佳「なにいってんの」

彩佳「ここから最終予選は始まってるんだよ」

穂乃果「そうだよ孝彦」

穂乃果「それに」

穂乃果「彩佳一人だと迷うかもしれないって」

穂乃果「心配してたの孝彦だったじゃん」

彩佳「えっ」

彩佳「私のこと心配でついてきてくれたの?」

彩佳「優しい~」

孝彦「うるせえ!」

――それでは、次はQQの番です

――前にお越しください

彩佳「それじゃあ、行ってくるね」

穂乃果「ファイトだよ!」

彩佳「うん」

――QQの方ですね?

彩佳「はい、QQのリーダー、辺見彩佳です」

彩佳「よろしくお願いします!」

――それでは、抽選箱からのなかからボールを選んでください

――中を見てはいけませんよ

彩佳「わかってますよ!」

彩佳「うーん」

彩佳「どれにしようかな~」

彩佳「これだ!」

――数字を見せてください

彩佳「10です」

――わかりました、QQ、10番目に決まりました

彩佳「緊張したよ~」

穂乃果「お疲れ様」

孝彦「10番目って、どこらへんだ?」

穂乃果「前半のほうだね」

孝彦「可もなく、不可もなくってところか」

彩佳「なに、そのいいかた、ひどくない?」

彩佳「頑張ったのに」

孝彦「前に出てボールとっただけじゃねえか」

彩佳「ひどーい」

彩佳「穂乃果、孝彦ひどいよね?」

穂乃果「安心して、彩佳」

穂乃果「孝彦、ずっと横でお守り握りしめてたから」

穂乃果「彩佳のこと想って」

孝彦「ばっ」

孝彦「そういうわけじゃねえよ!」

彩佳「やっぱ優しいじゃん、孝彦」

孝彦「うるせえ!」

穂乃果「ほら、静かに」

穂乃果「次の学校だよ」

――抽選会場

こより「しくじったらただじゃすまなわよ」

望愛「はいはい、わかったから」

望愛「って、なんであなた来てるのよ」

望愛「部長でも副部長でもないのに」

望愛「二年生と一緒に、お留守番してればよかったじゃない」

こより「なんですって!」

こより「もうあったまきた」

こより「私が引いてくる」

里美「まあまあ落ち着いて」

里美「雫を見習いなさいよ」

雫「...」

里美「ここまで、精神が凪いでいる人、この会場に彼女だけだよ」

雫「...」

こより「これは逆に異常だと思うんだけど...」

――それでは、次、花み浜学園の方、お願いします。

こより「ほら、出番よ」

望愛「言われなくても」

――花み浜学園の方ですね?

望愛「はい、三年生の濱田望愛です」

――部長さんではありませんね

望愛「はい」

望愛「こちらの事情がありまして」

望愛「私が引くことになりました」

――そうですか、わかりました。

――では、箱の中に手を入れてください。

望愛「はい」

望愛「...」

望愛「...」

望愛「...」

望愛「これで」

――番号は?

望愛「1番」

――花み浜学園、トップバッターです!

こより「ったく、あいつ!」

こより「なんてことしてくれたのよ!」

こより「ト、トップバッター!?」

こより「終わった...」

こより「私たちのラブライブ、終わった...」

こより「これもぜんぶ雫の責任なんだからっ」

雫「まあ、そう声を荒げずに」

雫「これもきっと運命なのよ」

こより「運命? 1番が?」

こより「どう見たって貧乏くじじゃない!」

里美「終わったことはあきらめよう?」

里美「最初だろうが、最後だろうが」

里美「私たちの、最高のパフォーマンスをするだけじゃん」

里美「なにも変わりはないはずだよ?」

雫「その通り」

雫「望愛、よくやったわ」

雫「この流れ、絶対に断ち切らせない」

――抽選会場

彩佳「一番手、花み浜学園だって」

彩佳「どんなとこ?」

孝彦「知らないのかよ」

孝彦「一応常連校だぞ」

孝彦「トップバッターだからって安心しちゃだめだ」

孝彦「それから後ろが全部かすむ可能性だってある」

彩佳「へえ、そうなんだ」

彩佳「穂乃果は知ってる? 花み浜学園」

穂乃果「...」

彩佳「聞いてる...?」

穂乃果「なんで...」

穂乃果「どうして...」

彩佳「ねえ、穂乃果?」

穂乃果「うそ」

穂乃果「嘘だよ」

――花み浜学園、濱田望愛さん、ありがとうございました。

穂乃果「いまのは」

穂乃果「濱田望愛なんて子じゃない」

穂乃果「いまのは...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「...」

穂乃果「にこちゃんだ」



第10話「錯覚CROSSOVER(後編)」終

第11話「!←BRAINSTORM」終

絵里「わかったわ」

絵里「このなかにいる、嘘つきさんの正体が」

こころ「...」

海未「...」

ことり「...」

真姫「...」

凛「...」

花陽「...」

希「...」

絵里「それは...」

絵里「あなたよ!」

こころ「お姉さま...」

こころ「どうしてこんなことになってしまったのでしょう」

こころ「時を遡って考えてみます」

ガチャ

希「うちが最後なんやね」

希「絵里ち」

絵里「座って、希」

絵里「私とあなたの仲よ」

絵里「不要なやりとりは省きましょう」

希「そうやね」

希「それで?」

希「うちが隠していることないか、そういう話やんね」

絵里「そうよ」

絵里「あなたがにこから聞いたこと、あるいは預かったもの」

絵里「あるのなら、いまここで白状して」

希「そんなもの、あるわけないやん」

希「絵里ち、あてが外れたんと違う?」

希「いくら、にこっちに義侠心があったとしても」

希「遺書がないことを」

希「疑う理由にはなってないやん」

絵里「でも、今日の遺品整理で、これは出てきた」

希「エンディングノートやね」

希「いくつになっても、妹弟想いの、いいお姉ちゃんやん」

希「それがなんやの」

希「死人を悪く言うもんやないよ?」

絵里「ふざけないで」

絵里「こっちは真剣なのよ」

希「うちだって真剣やよ」

希「絵里ち」

希「もっと冷静にならんと」

絵里「エンディングノートのことは」

絵里「こころちゃん、知ってたわ」

絵里「当然よね。これをもとに、葬儀からなにから行うのだから」

絵里「でも、中身は形式的なことばかり」

絵里「にこの心情は、なにも描かれてないわ」

希「そんなん当り前やん」

絵里「それが、私には気がかりなのよ」

絵里「ここまで、事細かに記した彼女が」

絵里「形式ではない、本心を綴った、メッセージを残していないなんて」

絵里「不思議で仕方ないわ」

希「そうやろか」

希「うちには不思議でもなんでもないけど」

絵里「それじゃあ、なにか腑に落ちる回答を示せるの?」

希「簡単や」

希「エンディングノートっていうのは、元気なうちに書くもので」

希「遺書は、死期を悟ったときに、はじめて書こうとするものや」

希「にこっちに、遺書を書く余力がなかった」

希「それでええんやない?」

希「遺書はなかった。それが事実」

希「事実なんや」

ガチャ

花陽「し、失礼します」

花陽「あの、わ、私なにも知りません...」

絵里「とりあえず、席について」

絵里「ゆっくり話しましょう」

花陽「はい...」

絵里「ねえ、花陽」

絵里「にこから、なにか預かっていたり、聞いていたりしない?」

絵里「些細なことでもいいの」

絵里「たった一言でも、たった一枚でも」

絵里「なにか、にこの痕跡を持っていたら」

絵里「私に教えてほしい」

花陽「そう言われても...」

花陽「私、本当になにも知らない」

花陽「にこちゃんと会うことはたまにあったよ」

花陽「けれど」

花陽「いまこの場で話できるような、内容はなくって」

花陽「いつも近況報告からはじまって、」

花陽「最近のアイドルの話とか、にこちゃんの芸能活動のこととか」

花陽「趣味の話ばっかりで」

花陽「その...」

花陽「穂乃果さんについて、触れたことは一度もないの」

絵里「嘘じゃないわね?」

花陽「は、はい!」

花陽「嘘じゃないです」

絵里「じゃあ、これについて、どう思う?」

花陽「ノート...?」

絵里「にこが残したエンディングダイアリー」

絵里「葬儀の日程や、お墓のこと、費用、もろもろ記載されてるわ」

絵里「ほら、こんな感じに」

花陽「うわあ、丁寧に指示してる」

花陽「さすが、にこちゃん」

絵里「こんなものを残しておきながら」

絵里「妹弟に、お別れの手紙も、なにもないなんて」

絵里「にこにしてはらしくないと思わない?」

絵里「普通だったら、遺書を書くわよね」

絵里「だって、人一倍家族想いの子なのよ?」

花陽「そう言われても...」

花陽「今日、遺品整理してでてこなかったんだから」

花陽「はじめからなかったんだと思うけど」

花陽「絵里ちゃんは、どう考えてるの?」

花陽「その...遺書がない理由を」

絵里「そうね」

絵里「書かれている、という条件を前提にするなら」

絵里「誰かが隠しているんでしょうね」

ガチャ

凛「お邪魔しますにゃー」

絵里「...」

凛「え、絵里ちゃん、顔が怖いにゃー」

凛「リラックスリラックス」

絵里「凛」

凛「はい!」

絵里「あなたに質問していいかしら」

凛「い、いいけど」

凛「いったい何事なの?」

絵里「とにかく、腰かけて」

絵里「にこと仲が良かったあなたなら」

絵里「なにか、にこのこと知ってるんじゃないかと思ってね」

凛「な、なにかって?」

凛「さっぱり思い当たらないけど」

絵里「間接的に、花陽から相談されたことは?」

凛「例えば?」

絵里「にこからの伝聞を、花陽があなたに吹き込まなかった?」

絵里「穂乃果のことでも、穂乃果のことじゃなくても」

凛「それはあるよ」

凛「久しぶりに、にこちゃんに会ったら元気だったよーとか」

凛「この前、にこちゃんとご飯食べてきたよーとか」

凛「でも、それがなに?」

凛「凛には、絵里ちゃんが何を知りたいのかわからないよ」

絵里「私が知りたいことはただ一つ」

絵里「にこが、メッセージを残していないか」

凛「それは、穂乃果ちゃんを助けに行くっていう...?」

絵里「ううん、それ以外でよ」

絵里「別に、穂乃果のことに関してじゃなくていいの」

絵里「引っかかってるのは」

絵里「"なにも残っていない"という状況なのよ」

凛「なにもって」

凛「μ'sのころの写真や、芸能活動の記録とか」

凛「いっぱいあったにゃー」

絵里「じゃあ、遺書は?」

凛「遺書...?」

凛「そんなもの、なかったよね」

絵里「凛はおかしいと思わない?」

絵里「にこだったら、書いてると思わない?」

絵里「妹や弟に、一言でも二言でも残すでしょう」

絵里「それとも」

絵里「私の思い込みなのかしら」

凛「うーん」

凛「そういわれると、なにもないのは」

凛「にこちゃんらしくないなあ」

ガチャ

真姫「...」

絵里「いらっしゃい」

真姫「これは」

真姫「どういうつもり?」

真姫「みんな戸惑ってるし、」

真姫「不愉快だと思ってるわよ」

絵里「わかってるわ」

絵里「でも、やらなきゃいけないことだと」

絵里「言い切ってもいい」

真姫「不毛だと思うけど?」

真姫「にこちゃんのこと、なにか隠してないか」

真姫「ひとりひとり詰問してるんでしょ」

真姫「質が悪いわよ」

真姫「こんなの」

真姫「疑うのは勝手だけど、疑われてる身になってよ」

真姫「あなたはμ'sを崩壊させたいの?」

絵里「今日はやけに饒舌なのね」

絵里「真姫」

真姫「はあ?」

真姫「そうやって決めつけるの、不本意なんだけど」

絵里「本題に移りましょ」

絵里「にこにとって、真姫はお気に入りの後輩だった」

絵里「そうよね」

真姫「どうかしら」

真姫「確認したことないからわからないわ」

真姫「仮にそうだったとして」

真姫「なにか問題あるの?」

絵里「にこがあなたに何かを託したとしても、ごく自然な行動だと思う」

真姫「何かってなによ」

絵里「それを、教えてほしいのよ」

絵里「私たちには知らない」

絵里「あなたとにこの秘密」

絵里「この際だから、話してくれてもいいんじゃない?」

真姫「意味わかんない」

真姫「そんなもの、最初からないわよ」

真姫「それに、にこちゃんは」

真姫「私と同じくらい、あなたのこと見ていたわ」

真姫「絵里」

真姫「あなたこそ、にこちゃんから何か受け取ってないの?」

絵里「ないわよ」

絵里「そんなもの」

絵里「だから、こうして、損な役回りを演じてるの」

絵里「野鼠の尻尾を掴むためにね」

ガチャ

ことり「失礼しまーす」

ことり「絵里ちゃん」

ことり「こういうの、あまりよくないと思うよ?」

ことり「海未ちゃん、怒ってたし」

絵里「仕方ないわ」

絵里「通らなければいけない道なのよ」

絵里「それで、ことり」

絵里「あなた、にこと会って話すこと、あった?」

ことり「ううん」

ことり「にこちゃんと会うこと、なかったな」

ことり「よく考えてみたら」

ことり「私たちって、あまり接点ないし」

ことり「テレビで見かけることはあったけど」

ことり「コンタクトをとったことはないかな」

絵里「そうよね」

絵里「私でさえ、めったに会う機会なかったんだもの」

絵里「あなたがにこから何か受け取るようなこと、ないわよね」

ことり「受け取る?」

ことり「絵里ちゃん、なにか探してるの?」

絵里「そんなところよ」

絵里「それじゃあ」

絵里「ことりは、穂乃果のこと、なにも聞いたりしてないのね」

ことり「うん」

ことり「むしろ、知りたいよ」

ことり「穂乃果ちゃんのことについて、なにか情報があるなら」

絵里「そうね」

ことり「絵里ちゃん」

ことり「ちょっと考えすぎだと思うな」

絵里「私が? そうかしら」

ことり「穂乃果ちゃんも、にこちゃんも、心配ないよ」

ことり「むこうで仲良くやってるよ」

絵里「そうだといいんだけど...」

絵里「そういえば」

絵里「にこが入院したことある病院、あなたの家の近くよね」

絵里「お見舞いとかは?」

ことり「病院? ああ、あそこね」

ことり「にこちゃんのお見舞い、海未ちゃんと行ったよ」

絵里「そう」

絵里「そのときはなにも?」

ことり「うん、なにも」

ことり「それに、海未ちゃんと一回行ったきり」

ことに「そこには訪れてないから」

ガチャ

海未「失礼します、絵里」

絵里「ようこそ、海未」

海未「こんなの、間違ってます」

海未「仲間を疑うようなこと」

海未「正直、心外です」

絵里「わかってる」

絵里「非難されるのは承知の上よ」

絵里「どうしても、みんなに聞かなきゃいけないことがあるのよ」

海未「にこのこと、いいえ、穂乃果のことですか」

絵里「どっちもよ」

絵里「私はね、納得いってないのよ」

海未「そんなこと言ったら」

海未「誰一人、納得してませんよ」

海未「ですがそれを」

海未「あなたの一任で、こんな風にしなくても」

海未「まるで事情聴取です」

絵里「その通りよ」

絵里「これは事情聴取なの」

絵里「手がかりを探すためなんだから、正攻法でしょ?」

海未「そうですか」

海未「信じていたのは、私のほうだけだったみたいです」

絵里「なんとでも言いなさい」

絵里「四の五の言ってる時間はないのよ」

海未「こころちゃん、後悔してました」

海未「自分があんなことを言い出したからって」

海未「いまからでも遅くありません、取りやめてください」

絵里「ダメよ」

絵里「最後まで行うわ」

絵里「だから、海未、あなたに聞かないといけない」

絵里「にこと、会うことあった?」

海未「...ありません」

海未「そういう仲ではありませんでしたから」

絵里「そう」

絵里「でも、お見舞いくらいは行ったでしょ?」

絵里「あの病院、ことりの家の近くにあったのだし」

海未「お見舞い? ええ、行きましたよ」

海未「ことりと一緒に」

絵里「病院に行ったのはそれだけかしら」

海未「そうですね、にこのお見舞いを除けば」

海未「ことりのお見舞いくらいですから」

絵里「そっか」

海未「これ以上は聞いても、なにも出てきませんよ」

海未「塵ひとつとも」

ガチャ

こころ「あの...」

絵里「こんなこと言い出してごめんなさい」

絵里「時間はとらせないわ」

こころ「はい...」

絵里「遠慮しないで、座って」

絵里「ここは、あなたの家でしょう」

こころ「失礼します」

絵里「こころちゃん」

こころ「はい」

絵里「もう一度、よく思い出してほしいの」

絵里「にこが間際に口走ったこと」

絵里「もしかしたら、その前後があるんじゃないかしら」

こころ「そういわれましても」

こころ「思い出せる限り思い出して、」

こころ「先日伝えたのがすべてです」

こころ「すみません...」

絵里「ううん、謝らないで」

絵里「それじゃあ、質問を変えるわ」

絵里「こころちゃん」

こころ「はい」

絵里「にこは、遺書を残さなかった?」

こころ「えっ」

こころ「い、遺書ですか?」

こころ「これとは、違うんですか?」

絵里「それは、エンディングダイアリー」

絵里「遺書とは別物よ」

絵里「私が探してるのは、にこの真意が詰まった言の葉」

絵里「そんな無機質なものじゃなくてね」

こころ「真意が詰まった、言の葉...」

絵里「ここあちゃんや虎太郎くんにも聞いてみてほしいの」

絵里「にこが遺書を残さなかったかどうか」

こころ「は、はあ...」

こころ「おそらく、ないと思います」

絵里「不思議には感じない?」

絵里「あなたたちのことを一番に考えてるお姉ちゃんがよ」

絵里「手紙の一枚も残さないなんて、ちょっと信じられないわ」

絵里「あなたはどう思う?」

こころ「どうでしょう」

こころ「たしかに、お姉さまはずっと私たちの面倒見てくれました」

こころ「昔から、現在まで変わることなく」

こころ「ですが」

こころ「遺書のあるなしとは関係があるかどうか」

絵里「そう」

絵里「あなたならムキになって、主張するかと思ったけど」

こころ「なんて、ですか?」

絵里「遺書がないなんておかしいです!ってね」

こころ「...」

絵里「ごめんね、お話はこれで終わりよ」

絵里「次、海未を呼んでもらえるかしら」

こころ「そうです」

こころ「皆さんでお姉さまの遺品を整理した後」

こころ「絵里さんの面談が始まったのでした」

こころ「遺書のこと」

こころ「バレてないといいですが...」



第11話「!←BRAINSTORM」

雫「当時はまだ、スクールアイドルに勢いがあって」

雫「どこの地方大会も激戦区だったわ」

雫「でも、うちの学校は向かうところ敵なしだった」

雫「疾風迅雷のごとく本戦へ出場し、」

雫「そのまま優勝旗をかっさらった」

雫「それは、いまでも語り継がれるほど」

雫「伝説とうたわれたグループだったのよ」

望愛「すごい」

望愛「でも、待って」

望愛「そんな実力のある学校が、それから負けっぱなしって」

望愛「どういうことよ」

雫「さあね」

雫「勝者の歴史はいつだって都合よく描かれるの」

雫「minamoがどう衰退したかなんて知る由ないわ」

雫「ただ、予選通過すらままならない弱小高校へ」

雫「なり下がってしまったという事実だけ残った」

雫「でも」

雫「それも去年までで終わり」

雫「今年は、勝利をもぎ取りにいく年にしましょう」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

里美「お邪魔―」

季輝「あ、副部長!」

百合「お疲れ様です!」

里美「なになに? なに見てるの?」

季輝「他校の動画です」

季輝「これとか、すごくないですか?」

季輝「バック転できる人なんて、うちのメンバーにいないですよ」

里美「うへえ、ほんとに飛んでる」

里美「たまげたなあ」

百合「でもでも副部長、これ、アイドルと違くないですか?」

百合「なんかストリート系っていうか」

里美「そだね、近年、アイドルのイメージが多岐にわたってるからね」

里美「パンクっぽいのもいれば、ただのコスプレ集団もいるし」

百合「それに比べて」

百合「うちは王道ですよね」

百合「かわいい系っていうか、元祖アイドル路線っていうか」

里美「百合ぽんのいう元祖がいつかはわからないけど」

里美「望愛が加入してから、方向性が定まったって感じ」

里美「それまでは、うちらだって人のこと言えなかったし?」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

――講堂

生徒「続きまして、表彰式へ移ります」

生徒「次に呼ばれた生徒は、登壇してください」

生徒「花み浜学園スクールアイドルグループ、xxSIESTAxxのみなさん」

パチパチパチパチ!!

\シズクサーン!/ \ノアー!/ \ユリチャーン!/

生徒「お静かに願います!」

生徒「これより、先日行われた、ラブライブ地区予選の結果発表、」

生徒「ならびに、表彰式を執り行います」

生徒「それでは、xxSIESTAxxのみなさん、お願いします」

雫「...」ぺこり

\ワー!!/ \キャー!!/ \シズクサーン!!/

生徒「お静かに!」

雫「いいの」

雫「私たちがこうして、舞台に立てているのは」

雫「皆様の声援のおかげなのだから」

\ヒュー!/ \イイゾー!/

雫「皆様、本日はまず、先週土曜日に開催された」

雫「ラブライブ地区予選の結果をご報告させていただきます」

雫「私たちxxSIESTAxxは結成10年目のスクールアイドルグループです」

雫「しかし、過去、一度も最終予選へ進むことなく」

雫「地区予選で敗退し、苦汁をなめてきました」

\オーウ.../

雫「ですが、今年の私たちは違います」

\ザワザワ.../

雫「10年目にして、悲願の予選突破を果たしました!」

\ウオーッ!!/

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

雫「当時はまだ、スクールアイドルに勢いがあって」

雫「どこの地方大会も激戦区だったわ」

雫「でも、うちの学校は向かうところ敵なしだった」

雫「疾風迅雷のごとく本戦へ出場し、」

雫「そのまま優勝旗をかっさらった」

雫「それは、いまでも語り継がれるほど」

雫「伝説とうたわれたグループだったのよ」

望愛「すごい」

望愛「でも、待って」

望愛「そんな実力のある学校が、それから負けっぱなしって」

望愛「どういうことよ」

雫「さあね」

雫「勝者の歴史はいつだって都合よく描かれるの」

雫「minamoがどう衰退したかなんて知る由ないわ」

雫「ただ、予選通過すらままならない弱小高校へ」

雫「なり下がってしまったという事実だけ残った」

雫「でも」

雫「それも去年までで終わり」

雫「今年は、勝利をもぎ取りにいく年にしましょう」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――放課後

望愛「って、うわわ」

望愛「引っ張らないでよ~」

季輝「いいじゃないですか先輩たまには」

百合「そうですよ~」

里美「あはは、のあのあ人気者」

望愛「そこ、笑ってないで助けなさいよ」

望愛「ねえ」

望愛「季輝ちゃん、百合ちゃん」

望愛「どこ連れてくの?」

季輝「ハンバーガー屋さんですよ」

百合「地区予選突破を祝して、パーティするんです」

望愛「そんなの初耳っ」

里美「私が提案したのよ」

里美「のあのあなら乗ってくれるだろうって」

望愛「ちょっと、乗るもなにも強制じゃない」

望愛「それに雫は? こよりは?」

里美「あの二人は、こういうの苦手っていうか」

里美「あんま馴れ合わないっていうか」

百合「二人には二人の世界があるんですよー」

望愛「へ、へえ...」

――トイレ

望愛「なに、話って」

こより「私は別に、あなたに感謝してないから」

望愛「はあ? なによ急に感じ悪い」

こより「xxSIESTAxxが予選突破できたのは」

こより「あなたのおかげじゃないって言ってるのよ」

こより「雫、里美、季輝、百合、私」

こより「この5人がいたから、この結果が出た」

こより「あなたが加入するまでもなくね」

望愛「あっそう」

望愛「だったら、いまからでも遅くない」

望愛「私は手を引くわ」

こより「けっこう」

こより「あなたのアドバイス抜きでも、優勝できる」

こより「それだけの実力がxxSIESTAxxに備わっている」

こより「いつだって退部していいのよ」

望愛「ふうん」

望愛「ずいぶん強気じゃない」

望愛「去年の大会の動画見たわよ」

望愛「Angelic song」

望愛「なにあれ、パクり?」

望愛「衣装もどっかで見たようなものだし」

望愛「あれが実力だってなら、うぬぼれすぎじゃない?」

望愛「QQね」

望愛「覚えておくわ」

里美「今度、最終予選の抽選会あるから」

里美「そこで会えるかもね」

望愛「抽選会?」

百合「はい」

百合「発表順を決めるんです」

季輝「やっぱり、印象に残るには最後が一番いいなあ」

里美「一番最初に歌って、ほかを怖気づかせるっていうの、よくない?」

季輝「かっこいいです!」

望愛「ちょっとちょっと」

望愛「あなたたち気が早いわよ」

望愛「それに、次の予選は一筋縄じゃ行かない」

望愛「ラブライブ本戦前に、一山ありそうよ」

百合「またまたぁ」

望愛「私は真剣よ」

望愛「この二人」

望愛「とんでもない力を秘めてる気がするの」

第9話「錯覚CROSSOVER(前編)」

登場人物

スクールアイドル「xxSIESTAxx」

間宮雫
…花み浜学園3年生 部長

鵜久森里美
…花み浜学園3年生 副部長

濱田望愛(のあ)
…花み浜学園3年生

東堂こよみ
…花み浜学園3年生

佐々季輝(きき)
…花み浜学園2年生

尾形百合
…花み浜学園2年生

里美「のあのあが入ってから、あんま経ってないけど」

里美「もう校内で熱狂的なファンがいるって聞くよ」

里美「うらやましいぞこのこの」

望愛「やめなさいよ」

望愛「...それにしても、珍しいわね」

望愛「こんなに全校生徒がヒートアップしてるなんて」

望愛「いまどきないわよ」

里美「仲間意識が高いのかな」

里美「身内意識っていうか」

里美「その、なんていうか」

里美「特別、蔑視してないのよ」

里美「アイドルもスポーツも勉強も一緒って感じ?」

里美「頑張ってるやつがいたら応援するって」

里美「昔っから変わってないんだよね」

里美「いいとこでしょ、花浜」

望愛「花浜?」

里美「花み浜学園、略して花浜」

望愛「素敵ね」

望愛「きっと、数週間後には、その名前が全国に知れ渡ってると思うわ」

雫「当時はまだ、スクールアイドルに勢いがあって」

雫「どこの地方大会も激戦区だったわ」

雫「でも、うちの学校は向かうところ敵なしだった」

雫「疾風迅雷のごとく本戦へ出場し、」

雫「そのまま優勝旗をかっさらった」

雫「それは、いまでも語り継がれるほど」

雫「伝説とうたわれたグループだったのよ」

望愛「すごい」

望愛「でも、待って」

望愛「そんな実力のある学校が、それから負けっぱなしって」

望愛「どういうことよ」

雫「さあね」

雫「勝者の歴史はいつだって都合よく描かれるの」

雫「minamoがどう衰退したかなんて知る由ないわ」

雫「ただ、予選通過すらままならない弱小高校へ」

雫「なり下がってしまったという事実だけ残った」

雫「でも」

雫「それも去年までで終わり」

雫「今年は、勝利をもぎ取りにいく年にしましょう」

向かい風が気になるので
風が止むまで中断します

世にしたがへば、身、くるし
したがはねば、狂せるに似たり

ID:SsrbnDBSO氏のような
知悉な探究家が増えたころに
またお目にかかりたいと思います

フリーズ、した。
もう、うん。
……え?
なに?



果南「……は?」



もう言葉が出なかった。
というか、理解が追い付かなかった。

いや、だってさ。
目の前で、ダイヤとルビィちゃんが……えっと、その……///



キス、してるんだよ?



しかも、下着姿で。
部室に入ってきた私にも気付かず一心に……。

……………………。

って!




果南「ストーーーーーップ!!!」




ダイルビ「「へ?」」



私の出した大声でやっと気づいた二人。

よ、よかった。
これで気付かなかったらどうしようかと……。
いや、今はまず……。



果南「えっと……服、着よう」



そう言った。
その……うん、流石にちょっと目のやり場に困る、かな。



ーーーーーー

ーーーーーー



果南「………………ん」



今までぼんやりとしていた意識が浮上する。

目を開けると、そこはいつもの教室。
浦の星女学院の3年生の教室だった。

窓から射し込む西日。
それから、私以外に誰もいない教室。
そんな状況から考えるに、どうも机に突っ伏して眠ってしまっていたみたい。

珍しい。
自分でもそう思う。



果南「んっ……痛っ……」



伸びをしたら、肩にちょっとした痛みが走った。
慣れないせいなのか、少し身体が痛い。

こういうのは千歌に聞いたら、身体が痛くない寝方を教えてくれるかな?
ふふっ、なんてね。



果南「……さて」



帰ろう。
……っと、その前に部室に顔出そっか。
ダイヤ辺りが怒ってそうだもんね。

果南さん!
こんな時間まで、しかも、教室で居眠りをするなんて!
たるんでいますわ!

……なんてね?



果南「ははっ、うん。素直に謝ろう」



プリプリと怒るダイヤの姿を思い浮かべて。
それから、それを受け入れる覚悟、というほど大層なものじゃないけど。
とにかく私は立ち上がった。



…………。




そういえば。
私、いつの間に寝たんだっけ?



ーーーーーー



善子「…………そ、そっか」

果南「……っ」



梨子ちゃんとは対照的に、俯く善子ちゃん。

それを見てると、なんだか申し訳なくなる。
自分が偽物だって言われるなんて……そんなの想像がつかない。



果南「……ごめん」

梨子「果南ちゃんが謝ることじゃない」



気にしないで。
そう言って、梨子ちゃんはまた微笑む。

……うん。
ありがとう、梨子ちゃん。



梨子「よっちゃん」

善子「……うん。大丈夫」

梨子「…………うん」



善子ちゃんが大丈夫だってことを確認してから、梨子ちゃんは私に向き直る。
そして、話を続けた。



梨子「この世界が果南ちゃんの夢の中の世界。それは間違いないの?」

果南「うん。それはたぶん間違いないと思う」



意識を失った後、必ず私の部屋に移動してること。
そして、私が知らないものや人がこの世界に存在しないこと。

それが証拠になるはず。

そう言うと、梨子ちゃんは軽く頷いた。

フリーズ、した。
もう、うん。
……え?
なに?



果南「……は?」



もう言葉が出なかった。
というか、理解が追い付かなかった。

いや、だってさ。
目の前で、ダイヤとルビィちゃんが……えっと、その……///



キス、してるんだよ?



しかも、下着姿で。
部室に入ってきた私にも気付かず一心に……。

……………………。

って!




果南「ストーーーーーップ!!!」




ダイルビ「「へ?」」



私の出した大声でやっと気づいた二人。

よ、よかった。
これで気付かなかったらどうしようかと……。
いや、今はまず……。



果南「えっと……服、着よう」



そう言った。
その……うん、流石にちょっと目のやり場に困る、かな。



ーーーーーー

ーーーーーー



果南「………………ん」



今までぼんやりとしていた意識が浮上する。

目を開けると、そこはいつもの教室。
浦の星女学院の3年生の教室だった。

窓から射し込む西日。
それから、私以外に誰もいない教室。
そんな状況から考えるに、どうも机に突っ伏して眠ってしまっていたみたい。

珍しい。
自分でもそう思う。



果南「んっ……痛っ……」



伸びをしたら、肩にちょっとした痛みが走った。
慣れないせいなのか、少し身体が痛い。

こういうのは千歌に聞いたら、身体が痛くない寝方を教えてくれるかな?
ふふっ、なんてね。



果南「……さて」



帰ろう。
……っと、その前に部室に顔出そっか。
ダイヤ辺りが怒ってそうだもんね。

果南さん!
こんな時間まで、しかも、教室で居眠りをするなんて!
たるんでいますわ!

……なんてね?



果南「ははっ、うん。素直に謝ろう」



プリプリと怒るダイヤの姿を思い浮かべて。
それから、それを受け入れる覚悟、というほど大層なものじゃないけど。
とにかく私は立ち上がった。



…………。




そういえば。
私、いつの間に寝たんだっけ?



ーーーーーー



善子「…………そ、そっか」

果南「……っ」



梨子ちゃんとは対照的に、俯く善子ちゃん。

それを見てると、なんだか申し訳なくなる。
自分が偽物だって言われるなんて……そんなの想像がつかない。



果南「……ごめん」

梨子「果南ちゃんが謝ることじゃない」



気にしないで。
そう言って、梨子ちゃんはまた微笑む。

……うん。
ありがとう、梨子ちゃん。



梨子「よっちゃん」

善子「……うん。大丈夫」

梨子「…………うん」



善子ちゃんが大丈夫だってことを確認してから、梨子ちゃんは私に向き直る。
そして、話を続けた。



梨子「この世界が果南ちゃんの夢の中の世界。それは間違いないの?」

果南「うん。それはたぶん間違いないと思う」



意識を失った後、必ず私の部屋に移動してること。
そして、私が知らないものや人がこの世界に存在しないこと。

それが証拠になるはず。

そう言うと、梨子ちゃんは軽く頷いた。

1番近くにある相違点。
だから、少し期待してたんだけど……。



果南「……ふぅ、開かないか」



ま、いいや。
誰かから着信とかあれば進展するだろうしね。

……さて。
時計を見れば、もう夜の7時を指してるし。



果南「ご飯にするかな」



幸いなことに、両親がいなくても、食材とお金はあったようだった。
だから、軽くなにか作ろうかな。

そう思って、ベッドから起き上がったところで。



それは起きた。




~~ グニャリ ~~



果南「あ、れ……?」




立ちくらみ、にも似た感覚。
世界が回るみたいに、視界が歪んで。



ーーーーーー

フリーズ、した。
もう、うん。
……え?
なに?



果南「……は?」



もう言葉が出なかった。
というか、理解が追い付かなかった。

いや、だってさ。
目の前で、ダイヤとルビィちゃんが……えっと、その……///



キス、してるんだよ?



しかも、下着姿で。
部室に入ってきた私にも気付かず一心に……。

……………………。

って!




果南「ストーーーーーップ!!!」




ダイルビ「「へ?」」



私の出した大声でやっと気づいた二人。

よ、よかった。
これで気付かなかったらどうしようかと……。
いや、今はまず……。



果南「えっと……服、着よう」



そう言った。
その……うん、流石にちょっと目のやり場に困る、かな。



ーーーーーー

ーーーーーー



果南「………………ん」



今までぼんやりとしていた意識が浮上する。

目を開けると、そこはいつもの教室。
浦の星女学院の3年生の教室だった。

窓から射し込む西日。
それから、私以外に誰もいない教室。
そんな状況から考えるに、どうも机に突っ伏して眠ってしまっていたみたい。

珍しい。
自分でもそう思う。



果南「んっ……痛っ……」



伸びをしたら、肩にちょっとした痛みが走った。
慣れないせいなのか、少し身体が痛い。

こういうのは千歌に聞いたら、身体が痛くない寝方を教えてくれるかな?
ふふっ、なんてね。



果南「……さて」



帰ろう。
……っと、その前に部室に顔出そっか。
ダイヤ辺りが怒ってそうだもんね。

果南さん!
こんな時間まで、しかも、教室で居眠りをするなんて!
たるんでいますわ!

……なんてね?



果南「ははっ、うん。素直に謝ろう」



プリプリと怒るダイヤの姿を思い浮かべて。
それから、それを受け入れる覚悟、というほど大層なものじゃないけど。
とにかく私は立ち上がった。



…………。




そういえば。
私、いつの間に寝たんだっけ?



ーーーーーー

1番近くにある相違点。
だから、少し期待してたんだけど……。



果南「……ふぅ、開かないか」



ま、いいや。
誰かから着信とかあれば進展するだろうしね。

……さて。
時計を見れば、もう夜の7時を指してるし。



果南「ご飯にするかな」



幸いなことに、両親がいなくても、食材とお金はあったようだった。
だから、軽くなにか作ろうかな。

そう思って、ベッドから起き上がったところで。



それは起きた。




~~ グニャリ ~~



果南「あ、れ……?」




立ちくらみ、にも似た感覚。
世界が回るみたいに、視界が歪んで。



ーーーーーー

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年01月07日 (土) 03:02:37   ID: TYk8A16a

同じ内容繰り返し投稿して見づらいから新しく上げ直すか辞めちまうことをお勧めする

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom