喜多日菜子「輝子さんはキノコが大好きなんですねぇ♪」 星輝子「う、うん」 (15)

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http://i.imgur.com/Bq00Bre.jpg 喜多日菜子と星輝子のぷちデレラ

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 初冬、天高く晴れた鮮やかな青空が窓ガラスに映し出されている。

 時折寒風が窓を揺らすが、室内はとても暖かい。

 暖房が付いているのもあるが、そこには温度には表れない、熱気の源があった。

「ずっと、お待ちしておりました」

 ショートヘアの少女は虚空に手を伸ばしながら、戸惑いと喜びの入り混じった笑顔を浮かべる。

「貴方と出逢えることを。貴方が、私を迎えに来てくれることを」

 宙に浮いた手は、何かを掴んだような形になったかと思うと、そっと胸の前に引き寄せられる。

「さあ、行きましょう」

 少女は一瞬だけ瞳を閉じ、

「どこまでも付いていきます。たとえこの身が……夢幻(ゆめまぼろし)のごとく消えようとも……」

 揺らぎえぬ決意だけを残した笑顔を浮かべたのだった。

「ひ、日菜子さんは、やっぱりすごいな……フヒ」

 数瞬の後、控えめな拍手と共に、長い銀髪の少女が演者である少女を褒め称える。

「むふ、ありがとうございます、輝子さん~♪」

 先ほどまでの真剣な表情はどこへ行ったのか、日菜子はゆるゆるの笑顔で輝子に応えた。

「うん、特に問題も無くバッチリ、っと……こういった演技に関しては、日菜子ちゃんが事務所一ね」

「褒められちゃいました~。トレーナーさんも、ありがとうございますぅ♪」

 トレーナーにも褒められた日菜子は、笑みをより深める。

「それじゃ、次は輝子ちゃんの番ね。同じシーンから初めてください」

「輝子さん、頑張ってください~」

「フ、フヒ……が、頑張る……」

 輝子は若干ひきつった笑みを浮かべながら、レッスン場の中央へと移動していった。

日菜子「大丈夫ですかぁ、輝子さん?」

輝子「ぼ、ボッチは打たれ強くないんだ……うううっ」

日菜子「輝子さん、トレーナーさんにたくさん注意されましたもんねぇ」

輝子「演技とか、ずっと人付き合いのなかった私には……は、ハードルが高いぞ……」

日菜子「むふ、大丈夫です。輝子さんもテンション高い演技は出来ているんですし、すぐ上手くなりますよぉ」

輝子「だ、だと良いのだけれどな……」

日菜子「さて、今日のレッスンの終わりですねぇ。日菜子は帰ろうと思うんですけど、輝子さんはどうするんですかぁ?」

輝子「私は、キノコの世話をして……帰るのはそれから、かな」

日菜子「キノコのお世話、ですかぁ?」

輝子「それじゃあ、日菜子さん。また……ね」

日菜子「えっとぉ、輝子さん。良かったら日菜子にも、そのキノコのお世話をさせていただけませんか?」

輝子「え?」

日菜子「日菜子、あまり輝子さんのこと知らないんですよねぇ。だから輝子さんのこと、もっと知りたいなって思ったんです~」

輝子「で、でも……キノコだぞ? ジメジメ、しているし……ヌメッとしてたりも、するんだぞ?」

日菜子「むふっ、でも輝子さんは可愛がって育てているんですよねぇ?」

輝子「う、うん……まあ、トモダチだから……」

日菜子「なら、大丈夫ですよ~」

輝子「そ、そうなのか……? そ、そうなのかも……」

日菜子「もちろん、輝子さんがダメだって言うなら諦めますけど」

輝子「ううん……ダメじゃない、ぞ。ちょっとビックリしただけ……だから」

日菜子「むふふ、良かったですぅ♪」

輝子「じゃあ、日菜子さん……こっち、フフ……」

――――

――


モバP「よう、日菜子と輝子。レッスンお疲れさん」

日菜子「Pさんもお疲れさまです~、むふふふ♪」

輝子「し、親友もお疲れ……」

モバP「今日は表現力レッスンだったよな。出来はどんな感じだったんだ?」

日菜子「日菜子はバッチリだって、トレーナーさんに褒められちゃいましたぁ♪」

輝子「わ、私はいっぱい叱られた……フ、フフフ……」

モバP「そっか。まあ人には得手不得手があるんだ、おいおい上達していけばいいさ」

輝子「う、うん……頑張る、ぜ……」

モバP「それで二人してどうしたんだ。もう今日の予定は無かったよな?」

日菜子「輝子さんがキノコのお世話をするというので、日菜子もご一緒しようと思いまして~」

輝子「と、いうことになった……フヒ」

モバP「ほほ~。輝子のキノコ趣味に興味を示したのは、日菜子が初めてじゃないか?」

日菜子「そうなんですかぁ?」

輝子「……見たいって言ってくれたのは、日菜子さんが、初めてだな……フヒッ」

モバP「仲良きことは美しきかな。まあ、ちょっと狭いけど二人行けるだろ。ほい、中へどうぞ」

日菜子「中へ……? ところで輝子さん、キノコはどこにあるんですかぁ?」

輝子「こ、ここだよ……」

日菜子「ここ?」

輝子「Pの机の下に、置いてあるんだ」

――――

――

日菜子「Pさんの机、前々から大きいなとは思っていましたけど、中はこうなっていたんですかぁ」

輝子「よ、ようこそ日菜子さん……キノコワールドへ。フフフ……」

日菜子「いくつも小鉢が置いてあって、色んな種類のキノコが植えてあるんですね~」

輝子「事務所には加湿器もあって机の下はジメジメしてるから、キノコたちも喜んでる……フヒッ」

モバP「じゃあ俺は仕事をしてるから、あまり騒がないように頼むぞ。(トゥルルルル~ ガチャ)
 はい、こちらパッションプロダクションです! あ、どうもいつもお世話に――」

日菜子「むふふ……Pさんの足だけ見えて、声だけ上から聞こえてくるのは不思議な感覚です~」

輝子「ここにいると、し、親友が私たちのために頑張ってくれているのが分かって、少しくすぐったいけど、嬉しい……フフフ」

日菜子「そうですねぇ、日菜子、ここだととても妄想が捗りそうです~♪」

輝子「気に入ってもらえて、良かった、フフ……なんなら、これからもここ、来てもいい、ぞ?」

日菜子「えっ、いいんですかぁ?」

輝子「う、うん。私も間借りしているだけで……別に私の場所じゃないしな。もちろんPが、良いって言えば、だけど……」

日菜子「むふっ、とても魅力的な提案ですねぇ♪ あとでPさんに訊いてみますぅ」

輝子「シイタケくんたちも、賑やかなのは嫌いじゃないし……な」

日菜子「そういえばキノコのお世話があるんですよね。どうやるんですかぁ?」

輝子「あ、うん。世話って言っても、普段は乾かないよう水をやるだけでいいんだ。この霧吹きで……」(プシュプシュゥー)

日菜子「お花とかと同じなんですねぇ。あ、ここって暗いですけど、お日様とかは必要ないんですかぁ?」

輝子「キノコの種類に、よるけど、基本は無くても大丈夫……必要なのは、水分と栄養だけなんだ」

日菜子「なるほど~」

輝子「こっちがシイタケで、こっちがエリンギ……他にはなめこ、ぶなしめじ、ヒラタケ……」

日菜子「色んな種類があるんですね~。どのくらいあるんです?」

輝子「じ、事務所には23種類のキノコが、置いてあるかな、フフ……」

日菜子「わぁ、そんなに! 輝子さんはキノコが大好きなんですねぇ♪」

輝子「う、うん。キノコは、トモダチだから」

日菜子「そういえば先程も言ってましたが、キノコが『トモダチ』ってどういうことなんですかぁ?」

輝子「……わ、私は昔からボッチで、一人で遊んでいたりして……そんな時、公園で見かけたキノコが話しかけてくれたんだ……」

日菜子「……」

輝子「『ショウコチャン、コンニチハ! ボクハキノコダヨ! ヨカッタラ、ボクトオトダチニナッテヨ!』って。……あっ、ご、ゴメン……気持ち悪かった、かな……」

日菜子「……むふふ、キノコとお友達になれるなんて素敵ですねぇ♪」

輝子「えっ……へ、変だとは、思わない、のか……?」

日菜子「むふ、輝子さんが変なら、いつも妄想している日菜子も大概変ですよぉ? それに……ここにあるキノコを見れば分かりますよぉ」

輝子「キノコを……?」

日菜子「日菜子が見てもわかります。とても生き生きしていて、輝子さんに大切に育ててもらっているんだなぁって。友達だからこそ、ですよぉ♪」

輝子「そ、そうか……フヒッ、照れるな……フフフ……」

日菜子「むふふふ♪」

日菜子「むふ、それでは、日菜子は帰りますぅ。またね、輝子ちゃん~」

輝子「あ、うん。私はもう少しここにいるから……ま、またね、日菜子さん……」

日菜子「あ、ん~……」

輝子「ど、どうかしたのか?」

日菜子「せっかくお友達になれたんですし、“さん”付けじゃない方が日菜子は嬉しいですねぇ」

輝子「うえっ!? 日菜子さんと私が、と、友達……」

日菜子「あ、すみません~。ご迷惑でしたか……」

輝子「う、ううん! そんなことはないぞ! ま、またね……ひ、日菜子、ちゃん」

日菜子「むふふ♪ はい、またね、輝子ちゃん♪」

~後日、街のブティック~

http://i.imgur.com/2GfU57j.jpg

輝子「う、ううう……。ひ、日菜子ちゃん……やっぱり私にこういうお店は……」

日菜子「むふ♪ ダメですよぉ、輝子ちゃん。今日は日菜子に付き合ってくれるって約束したじゃないですかぁ」

輝子「でも、こんな可愛い服、私には……似合わない……」

日菜子「そんなことありませんよぉ。そういう恰好の輝子ちゃん、とっても可愛いんですから♪」

輝子「この格好……か、かわいい……!? う、嘘だぁーッ!! フヒ! フヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

日菜子「しょ、輝子ちゃん!?」

 この後、暴走した輝子を止められる者がおらず、店内でぷちゲリラライブが起こるのだが……それはまた、別の話。

まずはここまで読んでいただき、ありがとうございました。
日菜子、むふふかわいいですよね。輝子、キノコ可愛いですよね。
今回改めて二人の身長を調べてみたら日菜子と輝子、同い年なのに9センチも身長が違うんですね。
ちなみに冒頭の二人のぷちデレラは、大きさを調整してない公式ママです。
日菜子は自分より小さい子にはお姉さん属性が発動すると思っているので、これからも輝子を可愛がって欲しいですね。

▽別の時間軸の過去作
喜多日菜子「今日は何の日かご存知ですかぁ?」 モバP「コンビーフの日だろ」

では依頼出してきます。

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