刑務官「出ろ」 死刑囚「いよいよ俺の死刑執行か……」 (26)

コツッ… コツッ… コツッ…


刑務官「108番、出ろ」

死刑囚「いよいよ俺の死刑執行か……」

刑務官「覚悟はできているな?」

死刑囚「ああ」

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刑務官「我が国では、死刑囚への温情として、なるべく本人が処刑を処刑と認識しないよう」

刑務官「死刑を執行せよ、という決まりがある」

刑務官「よって、これより君には、数ある処刑方法から、どれで死ぬかを自分で選んでもらう」

死刑囚「はぁ……」

刑務官「なぜ、首をかしげるのだ?」

死刑囚「だって、なんかおかしくありません?」

死刑囚「自分で選んだら、余計“ああ俺は処刑されるんだな感”が増すというか」

刑務官「そんなことはない」

刑務官「自分で選ぶことで、その死刑囚は胸を張ってこの世を旅立つことができるのだ」

死刑囚「なるほど、そんなもんですか」

刑務官「ではさっそく処刑方法を紹介していく。ついてきなさい」

刑務官「まず、これは絞首刑を行う台だ」

死刑囚「これが……」

刑務官「あのロープに首をかけると床が開き、死刑囚の体が落下し、首が絞まる」

死刑囚「……」ゴクッ

刑務官「苦痛もないとされるし、おすすめの処刑法の一つといえるだろう」

刑務官「続いて、これが電気椅子だ」

死刑囚「電気椅子……」

刑務官「あの椅子に死刑囚をくくりつけ、ヘルメットをかぶらせ、高電圧を浴びせる」

刑務官「これも、一瞬で気を失うとされているな」

死刑囚「でも、ものすごく痛いんでしょうね」

刑務官「まあ、痛みが先か、気を失うのが先かは保証しかねるな」

刑務官「ギロチンだ」

刑務官「見て分かる通り、あの穴に死刑囚の首をはめ、上から刃を落として斬首する」

死刑囚「ううっ……」

刑務官「残酷な処刑法のようにも見えるが、一瞬で死ねるから人道的な処刑器具ともいわれている」

刑務官「とはいえ、やはり首と体が離れた死体を片付けるのは気が引けるし」

刑務官「個人的にはこれを選んで欲しくはないかな」

死刑囚「テーブルの上に、錠剤が置いてありますね」

刑務官「うむ、毒薬だ」

死刑囚「なるほど」

刑務官「あの錠剤を一つ飲めば、一分もすれば呼吸困難になり、死に至る」

刑務官「その一分間が、死刑囚にとっては辛いものになるだろうな」

グツグツ… グツグツ…


刑務官「大きな釜に油が煮えたぎっているだろう?」

死刑囚「これはまさか……」

刑務官「うむ、あの中で煮えた油の熱さに苦しみながら死んでいく、という処刑法だ」

刑務官「苦しいが、自分の罪を悔いて、この処刑法を選ぶ受刑者も多い」

死刑囚「俺は絶対これにはしませんよ」

ブロロロ…


死刑囚「車が走ってますね」

刑務官「うむ、これはあの車で受刑者をはね、処刑するという方法だ」

死刑囚「……ずいぶん乱暴な方法ですね」

刑務官「しかし、あのドライバーの腕は確かだから、動かなければ確実に一撃で仕留めてくれるそうだ」

死刑囚「いい景色ですねー」

刑務官「ここは受刑者をここから飛び降りらせることで処刑する場所だ」

死刑囚「ああ……どうりで見晴らしがいいわけだ」

刑務官「この高さなら、間違いなく即死することができるだろうな」

刑務官「万が一生き延びても、下には大勢の人間を待機させてあるから逃げることはできん」

ボクサー「シッ、シッ、シッ」シュッシュッ



死刑囚「あれは誰ですか?」

刑務官「ボクサーだ」

死刑囚「あの人に殴られまくって死ぬ、というわけですか」

刑務官「その通りだ」

刑務官「彼はかなりのハードパンチャーだからな。一分もすれば死刑囚は死を迎えることだろう」

牛「モォ~……」



死刑囚「何頭も牛がいますね……なんでです?」

刑務官「あの牛たちに、ロープでつないだ死刑囚の四肢を引っぱらせるためだ」

死刑囚「え、そんなことしたら……」

刑務官「受刑者の四肢は引きちぎれ、体はバラバラになるだろう」

死刑囚「こんな処刑方法は絶対イヤだ!」

刑務官「次はここだ」

刑務官「あそこに受刑者を吊るし、火であぶるという処刑法だ」

刑務官「これを選ぶと、かなり苦しむことになるだろうな。ドラマチックな死に方ではあるが」

死刑囚「あの……」

刑務官「ん?」

死刑囚「だんだん気が滅入ってきたんですけど、まだ終わらないんですか?」

刑務官「ああ、処刑法はまだまだあるからな」

……

……

……

……

刑務官「じゃあ次の処刑法を……」スタスタ

死刑囚「ハァ……ハァ……ちょっと待っ……休ませて……」フラッフラッ…

刑務官「待たない。処刑法の紹介はまだ終わってないからな」

死刑囚「ううっ……」ドサッ…

刑務官「……」

刑務官「えー、もしもし。たった今、執行を完了しました」

刑務官「108番は疲労と飢餓で死亡しました。いつも通りです」

刑務官(この処刑法で一番難しいところは、死刑囚に気づかれないように水とパンを食べるところだな)





おわり

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