【モバマス】ちひろのスタドリ計画 (37)

勢いで書いたので設定がガバガバです
キャラ崩壊、ちょっとだけシリアス?

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忘れてた、地の文ありです

乃々「ちょっと通らせて欲しいんですけど……」

雑踏の合間を縫うようにして少女――森久保乃々は足早に歩いていく。

客A「ふざけるな!どうしてスタドリが売り切れてるんだ!」

店員A「どうしてと言われましても…売り切れは売り切れですから…」

客A「子供が腹空かせて待ってるんだよ!」

客B「スタドリがないとティッシュペーパーも買えないじゃない!」

店員B「申し訳ございません、現在本社に在庫を確認しておりますので、入荷まで今しばらくお待ちください」

人々の喧騒を聞きながら、彼女はいつからこんな社会になってしまったのだろう、と考える。
小さな兆候がなかった訳ではなかった。
ただ、はっきりと気づいた時には既に手遅れだった。
そして、あの人も。

乃々(悔やんでいる場合ではないんですけど)

彼女を止めなければならない。この事件の一番近くにいた者達として、自分達が。
…きっと、それがあの人のためでもあると思うから。

『美城芸能プロダクションビル』
この近辺で最も高いビル、その名を知らぬものは今の日本にはいない。
乃々はいつも通りにその中へと入っていく。ガードマンや受付は、顔パスか名前を言えば通してもらえる。
そのままエレベーターに乗り込み、最上階のボタンを押して。

乃々(……気合い入れましょう)

フッ、と息を吐いて、気持ちを落ち着ける。
数字が増えていく階数表示を見ながらこれからの流れを考えていた。

ピンポーン

エレベーターを降り、正面の部屋。大会議室の扉を開ける。

その部屋はほぼワンフロア全てを使った会議室。もっとも、今は使われておらず、椅子も机もない室内はあまりにがらんとしている。
壁は三面がガラス窓になっておりほぼ沈みかけの夕日と付き始めた街の明かりが一望できた。
そして、何も無い室内に浮かび上がるシルエットが一つ。

??「乃々ちゃん、待ちましたよ」

乃々「ちひろ…さん」

部屋のほぼ中央に陣取る千川ちひろ。
森久保は彼女と5メートル程の距離を取って止まる。

ちひろ「それで…お話って何ですか?
……やっぱり、プロデューサーさんのことですか?」

乃々「………」

ちひろ「……プロデューサーさんの事は、私も悲しく思っています。ですから、乃々ちゃんにも気持ちを整理する時間が必要だと思って、休暇を出したんですが」

乃々「………」

ちひろ「の、乃々ちゃん?」

乃々「五年前、あなたはアイドルのライブチケットに特典としてドリンクを付けました……」

ちひろ「え…?」

乃々「それが、『スタミナドリンク』、略してスタドリ、そうですよね?」

乃々「そして、このスタドリで、あなたはある計画を実行しました」

ちひろ「と、突然何を言い出すんですか?」

乃々「最後まで聞いてください……」

森久保乃々の語った『計画』とはこうであった。

まず、ちひろはスタドリを美城プロダクションの全ての商品の特典に付けた。最初は彼女が事務員をしていたアイドル部門の商品からであった。

同時期に、そのドリンクを集めて賞品と交換するショップをオープンした。
ポイントを貯めて景品と交換する、よくあるポイントカードの亜種であった。

次に、美城財閥の全ての社員の月給が最低賃金分とスタドリ支給に変わった。
変化に戸惑う者もいたが、スタドリで交換する景品の相場は普通の市場より安かったため、大きな批判はなかった。
その頃には、スタドリで交換できる景品は、生鮮食品から土地などまで含めた、ありとあらゆるものに広がっていた。
そして、美城財閥は、スタドリの単品販売を始めた。

さて、世界経済は毎日変化している。
為替や株価も変化する中で、金の様な価値の変動のあまり無いものは富を貯蓄するには最適だ。
スタドリはまさにそうであった。
何が起ころうとその価値が変動しなかったのだ。
だから、自らの富をスタドリに変えて貯蓄する者が現れるのは当然であった。

その後もスタドリはその安定性でじわじわと投資家などの信用を得ていった。
給与をスタドリに変える会社も増え、世間的にもメジャーになっていく。
また、いざとなれば飲むことで非常食にもなるため、災害時にも役に立ったという経験談なども出、評判は上がる一方であった。

そして、美城財閥は現在最も大きいサービス、『フリートレード』を立ちあげる。

これは、一般の人が出した品を財閥仲介の元スタドリで購入出来るというサービスであった。
端的に言うと物々交換である。
このようなサービスは他でもあったが、美城財閥は全く仲介料を取らなかった。

大財閥が仲介をする信頼性と、あらゆる物が手に入る利便性、仲介料すら取らない姿勢。スタドリによるフリートレードが広まらないはずが無かった。

そして現在では、日本経済は円がほとんど意味をなさず、スタドリで回る社会になっている。

乃々「……間違い無いですよね?」

ちひろ「たしかに美城財閥はスタドリで成長しましたけど… それが何か?」

乃々「……スタドリで経済が回っているということは、美城財閥が経済を自由に動かせると言うことです」

乃々「実際、『異物混入したスタドリの自主回収』『在庫切れ』などで世に出回る本数を調整してますよね?」

ちひろ「それはちょっと疑いすぎでは?」

乃々「……ここに証拠となる資料もあります」

乃々「……ですが、気付かぬうちに政治にも財閥が入り込み、もはや裁くことは出来ません」

乃々「……だから私はここに来たんです」

ちひろ「なぜ私のところなんですか?
私と財閥にどういう関係が?」

乃々「知らばっくれても無駄です…」

乃々「最初にも言いましたが……五年前、商品にスタドリを特典に付けたのはあなたです」

乃々「そして、あなたこそがスタドリの製造元…そうでしょう?」

ちひろ「………」

乃々「もちろん裏も取りました…
あなたが既に美城財閥の影の支配者となっている事も…」

森久保はちひろの顔を伺う。暗くてよく見えなかったが、彼女は全く動揺しておらず……むしろ微笑んでさえいた。

ちひろ「それを知って、どうなるんですか?」

乃々「もうあなたの好きにはさせない、と言っているんですけど……」

ちひろ「……けれど、乃々ちゃんが言った通り、現在の法律では私は裁けませんよ?」

乃々「………」

ちひろ「返す言葉がありませんか… では私はこれで失礼しますね」

乃々「……プロデューサーさんがどうして襲われたか、分かりますか」

ちひろ「!?……いいえ」

乃々「プロデューサーさんの日記がありました…そこに先程までの資料が挟まれていました……」

乃々「あなたは、サスペンスで最もよくある罪で裁かれるんですけど…!」

ちひろ「………それは全て憶測です、証拠が全くありませんよね」

乃々「……証拠ならあるんですけど」ポチッ

森久保が取り出したボイスレコーダーのスイッチを押すと、音声が流れ始める。
それはちひろの声であった。

ちひろ『ええ、○○(プロデューサーの名)は無事に消せましたよ、はい、証拠も残っていません。』

ちひろ『全く問題はないでしょう。ええ、ええ……、それにしても、彼も知らなければ消されずに済んだのですけど…
有能だっただけに、残念です』

乃々「……これが証拠です」

乃々「それから、あなたが雇った実行犯もこちらで保護してあなたの関与を白状させました…」

乃々「もう言い逃れは出来ないんですけど……」

ちひろ「…………そうですねえ…」

ちひろ「でも、私は捕まりませんよ?」パチンッ

ガッ!

彼女が指を鳴らすと、会議室の扉が開き、黒服の男が多数入ってくる。
彼らは森久保を取り囲み、手に持った銃を向けた。

乃々「まあ、そうですよね…」

ちひろ「乃々ちゃんはもっと賢いと思っていたんですが……こんな所に一人で来るなんて、ダメですねえ」

ちひろ「プロデューサーさんの仇だと思うと耐えられなかったんですかね…
心中お察しします……」

ちひろ「ですがまあ、すぐに彼の元へ連れて行ってあげますよ」

乃々「……………馬鹿はどっちだ、ですけど……」

ちひろ「な…?」

乃々「……こんなところに一人で来るとか…むーりぃーなんですけど」

ババババババババ

突然、窓の外から室内が照らされる。そこには1台のヘリコプターがあった。

まゆ「見えてますよぉ…?ちひろさん…」

輝子「大人しく投降するんだなぁ!ヒャッハァーーー!!!!」

ちひろ「いつの間に…?」

乃々「もりくぼみたいな弱いのが一人で来たと油断しましたね……」

ちひろ「まだです、証拠を隠滅すればまだ……」

乃々「……それが遅いと言っているんです」

乃々「これが何だか分かりますか…」

そう言うと彼女は、自らの縦ロールから何かを取り出す。

ちひろ「それは……カメラ?」

乃々「このカメラは、私が来た段階からあなたの自白までしっかり記録しています…」

乃々「そしてそれは、この場にいないアイドル達によって全てのテレビ、ラジオで生放送されていたんですけど……」

ちひろ「……そ、そんな……」ガクッ

ちひろ「こんな事で……私の計画が……」

その後、到着した警察によりちひろは逮捕された。
スタドリ製造元の逮捕。財閥の解体。それは社会に大きな混乱を引き起こした。
だが、それもやがて復興し、世界は元に戻っていった。

乃々(プロデューサーさん…)

ただ1人を除いては。

乃々(もりくぼ、頑張りますから……だから……、見守ってて欲しいんですけど……)


以上です
誰かちひろさんが天使なSSを書いてください
依頼出してきます

ちひろさんずっと事務員だと勘違いしてました

>>10修正
森久保乃々の語った『計画』とはこうであった。

まず、ちひろはスタドリを美城プロダクションの全ての商品の特典に付けた。最初は彼女がアシスタントをしていたアイドル部門の商品からであった。

同時期に、そのドリンクを集めて賞品と交換するショップをオープンした。
ポイントを貯めて景品と交換する、よくあるポイントカードの亜種であった。

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