優花里「誘惑に打ち勝て!」華「戦車道ストイック暗記王ー!」 (80)


♪~RUSSIAN ROULETTE(布袋寅泰)


優花里「皆さんこんにちは! 秋山優花里です!」

華「五十鈴華と申します。この番組は、戦車道をお茶の間により広める為の広報バラエティー企画です」

沙織「MCは私達、大洗女子のあんこうチームが務めますっ! 私は武部沙織! 絶賛彼氏募集中だぞ☆」

ナレーター(麻子)『ははっ(嘲笑) それでは企画の説明だ』

麻子『挑戦者にはテーマに沿った10個の暗記問題を出題』

麻子『制限時間内に全て暗記し、見事全問正解すれば賞金10万円だ』

麻子『ただし挑戦者には様々な誘惑が襲いかかる』

麻子『果たして挑戦者たちは誘惑を振り払い、ストイックに暗記出来るのかー……』

麻子『……これでいいのか。はぁ、茶番だな……』

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※テレ東のバラエティ番組『ゴッドタン』の企画をガルパンでやってみるSS

※キャラ崩壊がなんのその。草も生やすぞ

※元ネタもそうだけど、分かりやすい茶番を全力で楽しむのが作法です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482486298

沙織「あれ? そういえばみぽりんは?」

優花里「はて、企画初っぱなから遅刻ですかねぇ?」

華「心配ですね」

\フフフ…フハハハ…ファーッハッハッハァ!/

優花里「こ、この高笑いは……!?」

沙織「だ、誰なの……!?」

???「ハーッハッハッハッハ!」

仮面とマントを着けた女が高笑いしつつ登場
後ろには水着姿で、同じく仮面を着けた女性たちを引き連れている

???「フフフ……フフハハ……ハーッハッハッハッハ! ハハッ! ハハハハハハーッ!」

???「……(スーッ)」

???「ヌァーッハッハッハッハッハーァ!」

沙織「高笑い長いよ!」

華「何奴!」

???「フッフッフ……私達は――」

仮面女子s「気をそらせ隊だ!」ドーン

???「貴様ら、私達がいる限り暗記など出来ないと思え! グァーッハッハッハ!」

優花里「というかどう見ても西住殿ですよね?」

沙織「ノリノリだねぇみぽりん。何か悩みでもあるのかな」

華「お話ならいつでも聞きますよ?」

みほ「やかましーぃ! こういうのを本気でやるのは割りと好きな方なのだ!」ガーッ

みほ「とにかく! 暗記などくだらないわ! 貴様らが覚えておくことはただひとつ!」

みほ「戦車道を楽しむ心と、仲間の大切さだよ」ニッコリ

沙織「なぜ急に優しさを見せるの」

華「ただひとつじゃなくて2つではないですか」

優花里「まあこの企画、戦車道と微塵も関係ないですけどね」

麻子『それでは今回のストイックな挑戦者の紹介だ』

華「まず一人目は、アヒルさんチームのキャプテンこと、磯辺典子さんです」

パチパチパチパチパチパチ!

典子「こんにちはー!」

優花里「磯辺さんなら、まさにストイックという感じなので期待できますね」

沙織「自信のほどは?」

典子「ストイックさと根性なら負けません! 一発目から賞金獲っちゃいますけどいいですよね?」

沙織「これはいけそうじゃない!」

華「磯辺さんへの暗記問題はこちらです」


【ロンドン五輪女子バレーボール代表メンバー10人】
 中道瞳
 竹下佳江
 荒木絵里香
 井上香織
 狩野舞子
 佐野優子
 大友愛
 新鍋理沙
 迫田さおり
 木村沙織


優花里「銅メダル獲った時のメンバーですね。これはいけるでしょう!」

典子「楽勝です! 有名選手もいるし、あとは根性で覚えます!」

沙織「それでは暗記部屋へ移動してくださーい!」

典子「はい!」スタスタ

麻子『暗記部屋には問題と、エンピツとノートと机と椅子の一式が置かれている。入ると暗記スタートだ』

麻子『まあ、その他いろいろとセットが用意されてる場合もあるがな』

典子「部屋の前に着きました!」

沙織「それでは、暗記スタート!」

プァー!

典子「……」カチャ

優花里「さあ部屋に入りましたが……」

華「一見何もないようですね……」


典子「……」スッ カタン


沙織「磯辺さん席につきました。今のうちに覚えて!」

優花里「ここがチャンスですよー!」


典子「……」φ(..)カキカキ

 スタスタ…スタスタ…

典子「……!」ビクッ


華「おや、誰か登場しましたよ」


 妙子「会長、本当にバレー部復活させてくれるかな……」

 あけび「大丈夫だよ! 約束したんだもん!」


優花里「バレー部の1年生3人組ですね」

沙織「なんか深刻そうな雰囲気」

 忍「バレー部復活……その悲願がついに……!」

 あけび「まだ人数不足だけど、正式な部になればきっと新入部員も来てくれるはず!」

 妙子「……キャプテン、喜んでくれるかな」

 あけび「うん、きっと喜んでくれてるよ!」

 忍「今は亡きキャプテンの遺志、私達がしっかりと受け継いでいきますから……!」

典子「!?」ガタッ


沙織「えっ!? 磯辺さん死んでるの!?www」

優花里「初っぱなから大胆な設定できましたねぇw でも惑わされちゃダメですよー」

華「磯辺さん覚えてくださーい」


 妙子「キャプテン、草葉の陰から見守っていてください!」

 あけび「天国から応援しててくださいね! 私達の根性を!」

 忍「せーの!」

 3人「そーれそれそれーっ!」

 【暗転】

典子「……?」キョロキョロ


優花里「場面転換あるんですかw」

華「何幕あるんでしょう」

 【点灯】

 杏「……」

 桃「……」

典子「……?」


沙織「会長さんと河嶋先輩だ」

優花里「ということは生徒会室でしょうか」

華「覚えてくださーい。暗記の時間ですよー」


ガチャ

 忍「失礼します!」

 杏「お、いらっしゃ~い」

 妙子「会長! バレー部復活の件なんですが……」

 杏「はいはい、その話なんだけどさぁ……かーしま、干し芋」

 桃「はい」つ芋

 杏「サンキュー」モグモグ

 あけび「会長!」

 杏「あーうん……その話、やっぱ無かったことにしてくんない?」

典子「……っ!?」ビクッ

 あけび「……えっ?」

 妙子「そ、そんな……!」

 忍「どういうことですか!? 約束してくれたじゃないですか! 大学選抜に勝って学校の存続が決まったらバレー部復活させてくれるって……!」

 杏「んー、そうだったっけ?」

 妙子「そうです! 確かに会長はそう言って――」

 杏「言っただけでしょ? 残念だけど口約束だけじゃねぇ。誓約書も無しに詰め寄られても困るんだよ」

典子「!?」


沙織「会長さんがそれ言っちゃうの!?」

優花里「もう気をそらすために何でもやるんですね。磯辺さん覚えてくださーい」

華「そらされないでくださーい」

 あけび「なんで……なんでそこまでバレー部復活を許してくれないんですか!」

 杏「えー、だってもしバレー部復活させたら、君たちバレーに熱中しちゃうでしょ? 困るんだよねぇ、戦車道を疎かにされちゃ」

典子「……」ジー

 忍「そんな! バレー部も戦車道も両立出来ます! 根じょ」

 杏「根性でってか? あのさ、私の目を誤魔化せるとでも思ってるのかな」

 忍「えっ……?」

 杏「アヒルさんチームさ、最近ちょっと弛んでない?」

 忍「そ、そんなこと……!」

 妙子「……」

 あけび「……確かに、そうかも」

 忍「ちょっと!? 何言って……」

 杏「やっぱりどっかで自覚してるよね。なんとなく身が入ってないでしょ」

 杏「……彼女が亡くなってからさ」

 3人「……」

典子「……」


優花里「熱演ですねぇw」

沙織「磯辺さん完全に見入っちゃってるもん」

華「磯辺さーん。覚えてくださいねー」

 杏「困るんだよねぇ。大洗女子はとりあえず存続できたけど、学園艦の統廃合計画が消えたわけじゃないし、またいつ廃校の話が持ち上がるか分からないわけよ」

 杏「だからこれからも常に結果を出し続けなければいけない。つまり来年も、その次も、戦車道で優勝を狙っていかなきゃならないんだ」

 杏「アヒルさんチームには、部隊の中心として頑張ってもらわなきゃ困るわけ。分かるよね?」

 妙子「うう……」

 あけび「そんなぁ……」

 忍「でも確かに学校が無くなるのも困る……」

典子「……」ウデグミ

 杏「……分かってくれたみたいだね」

 桃「ふん、やはり磯辺のいない貴様らなど御するのは容易いな。奴を消したのは正解でしたね、会長」ペラペラ

 杏「ちょ、おまっ……」

典子「!?」ガタッ


優花里「ここにきて急展開!」

華「悪の組織ですねぇ」

沙織「磯辺さんもう暗記する気ないよね」

 忍「消した……? 消したってどういう意味ですか!?」

 杏「……はぁー……かーしま、お前ホントやってくれるね」

 桃「うぅ……」

 妙子「そんな……まさか……!」

 杏「ああ、ご想像の通り。磯辺典子はうちの手の者が殺した」

 あけび「こ、殺……した……?」

典子「そんな……」カタカタ


沙織「真に受けないで! 茶番だから!」

優花里「もう熱演に入り込んじゃってますね」

華「暗記の時間ですよー。覚えてくださーい」

 杏「人一倍のバレーへの情熱と根性を持つ磯辺ちゃんがいると、君たちが戦車道に集中出来ないと思ってさ。学校のために消えてもらったよ」

 忍「そんな……許せない!」ガバッ

 妙子「よくもキャプテンを!」ガバッ

 あけび「キャプテンの仇!」ガバッ

 桃「ええいやかましい!」ドカバキドゴッ

 あけび「きゃっ!」ドタッ タユユン!

 妙子「ああっ!」ドタッ バルルン!

 忍「ぐあっ!」ドタッ ……

 桃「根性の足りない貴様らごとき、我々の敵ではないんだ! 大人しく従って戦車道をやっていればいいのだ!」

典子「ううっ……!」

 桃「ほら会長に土下座しろ! 土下座して言うんだ! 『私達はバレーボールを捨てます』ってなぁ!」

 3人「ぐっ……」グスグス

 泣きながら土下座の体勢になる3人

 桃「ふははははは! キャプテンを欠いた貴様らなぞ所詮その程度なのだ! さあ言え! 言うんだ!」ゲシゲシ

 3人「うう……私達は……バレーボールを――」

典子「……!」ググッ

 桃「ふはーははは! 誰も助けになど来ない! 根性の足りない貴様らに根性を叩き込みにきたりなどしないぞ! もし居たら机をバーンと叩いて『そこまでた!』とか言ってくるからな!」

 3人「私達は……バレーボールを――」グスグス

典子「……!!」ググッ


沙織「我慢してー磯辺さん」

優花里「暗記ですよー」

華「覚えてくださーい」


 桃「さあほら言え! バレーボールをどうするって? ええ!?」ゲシゲシ

 3人「私達は……バレーボールを――捨て」







バンッ!!!

典子「そ こ ま で だ ッ!!!」







優花里「あちゃー」

沙織「まんまとハマっちゃったね」

華「残念です」

3人「キャプテン……!!」パァァァァ

桃「な、なぜお前がここに……!」

典子「佐々木、近藤、河西……顔を上げろ!」

♪~キセキ(GReeeeN)

典子「バレーボールを捨てるだなんて言うな!」

3人「はい! キャプテン!」スック

典子「よし! 私達はまだまだ根性が足りない! みんなで水平線までダッシュだ!」

3人「はい! キャプテン!」

典子「目指せ2020東京オリンピック! 目指せ有明アリーナ!」

妙子「あれ? 横浜アリーナじゃなかったっけ?」

あけび「そうだっけ?」

忍「いや、その前に春高の東京体育館を目指そうよ……」

カンカンカンカーン!

優花里「タイムアーップ!」

華「はい、磯辺さん戻ってきてくださーい」


麻子『一応回答したが、まーったく暗記出来ておらず、磯辺さんは達成ならず』

典子「いやー……騙されたー」

沙織「ダメだよちゃんと暗記しなきゃw」

典子「だって、ねぇ……暗殺されてましたし私」

華「そういう突飛な内容も罠ですから、あの……あの隊の皆さんの」

沙織「気をそらせ隊ね。覚えててあげて」

典子「次こそは根性で頑張ります!」

優花里「次の機会は無いんじゃないですかねぇ多分」

麻子『続いて2人目の挑戦者の紹介だ。今度こそ暗記できるのかー』

優花里「2人目の挑戦者は、カバさんチームのカエサル殿です!」

パチパチパチパチパチパチ!

カエサル「来た! 見た! 勝った!」ローマ式敬礼ビシッ

華「カエサルさんはストイックさには自信はおありで?」

カエサル「まあそれなりにはな。全てを歴史研究に注ぎ込んでいる私だからな」

沙織「歴史って暗記科目みたいなところあるし、得意分野なんじゃないかな」

優花里「なるほど、これは期待が持てますね」

華「カエサルさんに覚えていただくのは、こちらです」


【ローマ帝国の軍人皇帝10人】
 マクシミヌス・トラクス
 プピエヌス・マクシムス
 マルクス・アエミリウス・アエミリアヌス
 ウラニウス・アントニウス
 ムッシウス・アエミリアヌス
 クラウディウス・ゴティクス
 ルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス
 マルクス・クラウディウス・タキトゥス
 マルクス・アウレリウス・カルス
 サビヌス・ユリアヌス


沙織「うわっ、もうワケわかんない」

優花里「いかがですかカエサル殿」

カエサル「ふっ、私を誰だと思ってるんだグデーリアン。カエサルだぞ?」

優花里「そんな斎藤さんだぞみたいに言われましても」

カエサル「これはもう10万円手に入れたも同じだ。楽勝だな」

沙織「すごい自信だねぇ。得意分野だもんね」

華「それでは暗記部屋へ向かってください」

カエサル「うむ」スタスタ

麻子『自信満々のカエサルこと鈴木貴子。気をそらせ隊の誘惑を振り払い、見事暗記できるのかー』

沙織「それでは、暗記スタート!」

プァー!

カエサル「……」カチャ

優花里「さあ部屋に入りましたが……このセットは何でしょう。ちょっと豪華な調度品が並んでますね」

沙織「お金持ちのお屋敷って感じ? こういうとこに住んでるイケメン御曹司って憧れるよね~♪」

華「『花より男子』でも読んでいればいいのでは?」ムスッ


カエサル「……」スッ ガタン


沙織「席に着いたね。今のうちだよー」

優花里「気をそらせ隊が来る前に出来るだけ覚えちゃいましょう」

華「チャンスですよー」


カエサル「……」φ(..)カキカキ

 【暗転】

カエサル「!?」ピクッ


沙織「お、なんだなんだ」

 【スポットライト点灯】

 カルパッチョ(メイド服)「……」シャン…

カエサル「!!」ガタッ


優花里「おおっと! やはりというかなんというかカルパッチョ殿です!」

華「カエサルさんを崩すにはうってつけの方ですからね」

沙織「メイド服似合ってるよ~」


 カルパッチョ「――幼い頃に両親に捨てられ、ロンドンの路地裏で生まれ育った私。この広い世界の片隅、最も薄汚い場所で一生を過ごし、誰に知られることなく消えてゆくのだと思っていました……」

 カルパッチョ「でも、そんな私に手を差し伸べてくれる方が現れたのです! 暖かい慈悲の心を持つ、美しく高貴なあの方……!」

 カルパッチョ「私は、この命をあの方に捧げると決めたのです!」

 【照明点灯】

 カルパッチョ「スーッ……ハー……よしっ」

 コンコンコン ガチャ

 カルパッチョ「失礼いたします」ペコリ

 ダージリン「どうぞ」

カエサル「マジか……」


沙織「ダージリンさんまでいるの!? 豪華メンバーだね気をそらせ隊」

優花里「カエサルさん頭抱えちゃってますよ。頑張って暗記してくださーい」

華「いるだけで注目を集める方ですからね、ダージリンさんは」

 カルパッチョ「その……私のような者を雇っていただき、本当にありがとうございます!」

 カルパッチョ「しかし、よろしかったのですか……? 私などがダージリン様のお屋敷で働くなど……」

 ダージリン「ふふっ、こんな言葉を知っている? 『輝くもの、必ずしも金ならず』」

 カルパッチョ「……いえ、その……無知な私をお許しください」

 ダージリン「構わないわ。貴女を試す気はないの」

 ダージリン「これはシェイクスピアの言葉。例え生まれが賤しくとも、家が貧しくとも、学が無かろうとも、それが貴女の価値を決めるわけではない」

 ダージリン「私は貴女に価値を見出だしたのよカルパッチョ。これからの働き、期待しているわね」ニコッ

 カルパッチョ「……っ! はいっ! ダージリン様!」パァァァァ

カエサル「フー……」フルフル φ(..)カキカキ


優花里「お二人とも雰囲気ありますねー。舞台女優みたいです」

華「しかしカエサルさんも気を取り直して暗記していますよ」

沙織「今のところ良い勝負……なのかな」

 ダージリン「それでは、初仕事を言い付けましょうか。これから大切な客人が来るの。お茶の用意をしてくださるかしら」

 カルパッチョ「はい! かしこまりました!」タタタ

 ダージリン「…………さて」

 リンゴーン……!

 スタスタ……ポロロン……

 ミカ「やあ」

カエサル「……!」


優花里「ミカ殿まで出てきましたよ。国際色豊かですねぇ」

沙織「全員日本人だけどね」

華「気をそらせ隊のリーダーはみほさんですから、大学選抜戦の時と同じく皆さん喜んで協力してくれるのでは?」

沙織「人望の使いどころはそれでいいのみぽりん……」

 ダージリン「いらっしゃい。こういう用件の時ばかり時間通りなのね。憎らしいわ」

 ミカ「私だって、こんな話はしたくありません。あなたの身から出た錆なのでは?」ポロロン……

 ダージリン「……」ギリッ…

 ミカ「5万ポンドでどうです?」ポロン…

 ダージリン「なっ……それはいくらなんでも……!」

 ミカ「出したくないなら構いません。そのかわり明日の朝には、貴女の秘密は国中の知るところとなっているでしょうね」ポロロン…

 ダージリン「くっ……」ワナワナ

カエサル「……?」


沙織「なんか雲行きが怪しくなってきたよ……?」

優花里「カエサルさん話が気になってますねあれ」

華「ちゃんと覚えてくださーい」

 カチャ

 カルパッチョ「お待たせしました。お茶のご用意が……」

 ダージリン「ありがとうカルパッチョ。そこに置いておいて。あとは私がやるわ」

 カルパッチョ「え、し、しかし……」

 ミカ「おや、新しい使用人ですか。ダージリン、もしや彼女もあなたの――」

 ダージリン「お黙りなさい。口が過ぎますわよ。カルパッチョ、ここはいいから、席を外しなさい」

 カルパッチョ「か、畏まりました……」カチャ

 ダージリン「ふぅ……厭な話は後にして、先にお茶にしましょう」

 ミカ「ありがたい。今週は唇の皮しか食べてなくて腹ペコなんです」グー

 カチャカチャ トポポポポポ…

 ミカ「うん、いい香り。さぞ高級な茶葉を使っているのでしょうね」ポロロン…

 ダージリン「……そんなこと、ありませんわ……」チラリ

 トポポポ……サッ……

カエサル「……?」


沙織「ん? 今なんか……」

優花里「これは……」

 ダージリン「さ、お召し上がりになって」

 ミカ「いただきます」カチャ

 クイッ ゴクッ

 ダージリン「…………」

 ミカ「……うん。やっぱりあなたの家の紅茶はとても……ん……ぐっ……ッ!?」ガタッ

カエサル「っ!?」ビクッ

 ダージリン「…………」

 ミカ「ダ……ダージリン……君、は……まさか……ッ!」ガクガク

 ダージリン「『敗北? 私はその言葉の意味を存じ上げません』――マーガレット・サッチャーの言葉ですの」

 ダージリン「――私の勝ちよ、ミカさん」ニヤリ

 ミカ「き、さま……ッ!」ガクッ ドサッ

 カサッ……フワー……

カエサル「!」

優花里「あーあー、毒殺されちゃいましたよ。また暗殺ネタですか」

華「今、倒れたミカさんの懐から紙のようなものがカエサルさんの許へ飛んでいきましたよ?」

沙織「なんだろ」


スッ ペラッ

カエサル「……ッ!!!」ガタッ


沙織「すごい動揺してる!?」

 カチャ

 カルパッチョ「あの、ダージリン様? 何か大きな音が――な、なんですかこれは……!?」

 ダージリン「――カルパッチョ……貴女、やってくれたわね」ワナワナ

 カルパッチョ「な、何のことですか……? それよりも早く医者を呼ばないと――」

 ダージリン「無駄よ。もう死んでいるわ。貴女の目論見通りね……!」

 カルパッチョ「はい……?」

 ダージリン「貴女が入れたお茶を飲んで彼女は死んだのよ……!? 私はまだ口をつけていなかったから助かったけれど……」

 ダージリン「貴女、毒を入れたわね」キッ

カエサル「ッ!?」ガタン

 カルパッチョ「ッ!? そんな! あり得ません!」

 ダージリン「さしずめ、私を殺してこの家の財産を奪い取ろうという魂胆ね……なんて恐ろしい! やはり下賎な生まれの人間は心まで腐っているのね……!」フルフル

 カルパッチョ「ひ、酷い……!」ウルッ

カエサル「……っ」ガタガタ

 【暗転】


沙織「うわぁ……汚いよダージリンさん。全部カルパッチョさんに擦り付ける気なんだ」

優花里「最初からこのために雇い入れたんですね」

華「カエサルさーん。暗記してくださーい」

 【点灯】

 ケイ「……」

 カルパッチョ「グスッ……ヒグッ……」

 絹代「……」

 ダージリン「つまり、その女は我が家の財産を狙って使用人として入り込み、私達を亡きものにしようと企んだのです!」

カエサル「!」ワナワナ


沙織「うわっ! ケイさんに西さんまでいるよ! もうオールスターじゃん!」

優花里「これは裁判ですね。ケイ殿が裁判長で、西殿が弁護人のようです」

華「カエサルさんはもう完全に見入ってしまっていますね」

 ケイ「ふむ……確かに被告人の服のポケットからは毒物のビンが見つかってるわね」

 カルパッチョ「そんな! 私はやっていません! お金のために人を殺すだなんて……」

 ダージリン「お黙りなさい! スラム育ちの言葉を信じる者などいるはずがないわ」

 ケイ「……弁護人、何かある?」

 絹代「えーと、いえ、特に無いかと」

 カルパッチョ「そんな……!」

 ケイ「OK、では判決を述べるわね」

 ケイ「被告人は死刑に処す!」カンカンッ

 カルパッチョ「……っ」

カエサル「ぐっ……!」ワナワナ


沙織「あーこらえてこらえて」

優花里「無視ですよー。茶番劇ですよー」

華「暗記してくださーい」

 ダージリン「うふふふっ、おーっほっほっほ! 所詮貴女のような身分の女は、私達持てる者の為に死ぬのがお似合いなのよ!」

 カルパッチョ「ううっ……グスッ……」

 ダージリン「目撃者でもいれば違うかもしれませんけれど! でもそんなものはいないのよ! もしいれば『異議あり!』って名乗り出るはずですものね!」

 ダージリン「薄汚い路地裏育ちの捨て子風情が一人死んだって誰も哀れに思ったりなどしないのだから当然よ! 勝負は私の勝ち! 正義は勝つのよ!」

カエサル「ぐぐ……!!」ワナワナ

 カルパッチョ「たかちゃん……!」

 ダージリン「あるなら出てきなさいな! 『異議あり!』って勢いよく右手挙げて! どうせいないでしょうけど! それならこの女はこのまま死刑よ! 『異議あり!』がなければね! ふーっふっふっふ! おーっほっほっほっほ!」





バンッ!!!

カエサル「異 議 あ り ッ!!!!」ビシッ





沙織「あーやっちゃったぁw」

優花里「ダージリン殿どんだけ大熱演するんですかwww」

華「たかちゃんと呼んでしまっていますからねカルパッチョさんw」

♪~追求 ~追いつめられて(逆転裁判)

カエサル「異議ありです裁判長!」

カルパッチョ「たかちゃん!」パァァァァ

ダージリン「な、なんですの貴女は……早く摘まみ出しなさい!」

カエサル「『理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性のたち入るすきはなくなる』」

ダージリン「ガイウス・ユリウス・カエサル……!」

カエサル「法廷の皆様! 身分の上下、生まれの良し悪し、どうかそのような先入観を捨てて、この事件を考えていただきたい!」


華「完全に世界観に飲まれてますねw」

優花里「なんで熱演し返してるんですかwww」

沙織「ノリノリだね!」

ダージリン「ふんっ! そうは言っても、あの女が紅茶に毒を入れたに決まって……」

カエサル「紅茶ねえ……」スタスタ

カエサルは証拠品のティーセットに歩み寄り、ダージリンのティーカップに入ったままの紅茶を一気に飲み干した。

ケイ「なっ……正気!?」

絹代「その紅茶には毒が……!」

カエサル「…………この通り、私はピンピンしている!」

ダージリン「…………!」ギリッ

カエサル「もし被告人がダージリンを殺すつもりだったなら、こちらのカップにも毒が入ってなければおかしい!」

カエサル「つまり真犯人は、ダージリンではなく、ミカのみを殺すことが目的の人間だ!」

カエサル「そして今日屋敷で働き始めたばかりの被告人に、そのような動機があるとは思えない!」

ケイ「でも、それじゃ真犯人は一体……」

カエサル「こちらをご覧下さい!」ピラッ

ケイ「それは……写真?」

ダージリン「ッ!!! それをどこで……!」

カエサル「これらは被害者が持っていたもの。この数枚の写真を見ていただければ、被害者を殺す動機のある人物が分かる。さあ裁判長。そして弁護人のあなたも」

絹代「私もでありますか?」

ケイ「…………これはどういうこと」プルプル

絹代「な、なんと……!」プルプル

カエサル「そう、その写真は、ダージリンと複数の女性との逢い引きの証拠写真! そしてその中には裁判長と弁護人も含まれている!」

カエサル「被害者はこれをネタにダージリンを脅迫していた。つまり被害者を殺す動機があるのは、ダージリン! あなただ!」

ケイ「ちょっとダージリン! どういうこと! 私というステディがいながら浮気してたの!?」

絹代「そんな……貴女は『私には絹代さんしかいない』と、あの言葉は嘘だったのでありますか!?」

ダージリン「あ、いや、その……こ、こんな言葉を知ってる? 『不倫は文化』」

ケイ「死刑! ダージリンを死刑に処す! 連れていきなさい!」カンカンカンカンッ

ダージリン「チクショー!! チクショオオオオオオオオ!!!!」ズルズル…

カンカンカンカーン!

沙織「タイムアーップ!」

華「カエサルさん戻ってきてくださーい」

麻子『完全に場の雰囲気に飲まれてしまった鈴木さん。案の定まったく暗記出来ておらず、チャレンジは失敗』

カエサル「いやー……騙されたー」

優花里「全然ダメだったじゃないですか。もう明日から歴女名乗れませんよ」

カエサル「いやいや……だってあんなに熱演するとは……ねぇ?」

沙織「確かにダージリンさんとかキャラ崩壊ってレベルじゃなかったけどw」

華「ですがカエサルさんも結局、ねぇ。熱演の方を……」

カエサル「いやー……やられたね」

優花里「なんですかそれw」

麻子『CMの後は後半戦だ』

【CM】

木曜SS劇場


♪~Someday, Somehow, Someone's Gotta Pay(Power Station)

 アリサ「私達に協力しなさい。OK?」

 みほ「OK!」ズドン!

はじけろ!装甲!! 飛び散れ!砲弾!!
これがザ・西住流! 西住みほの神髄だ!!

 みほ「……あなたは最後に殺すと約束しましたね」

 ミカ「そ、そうだよ西住さん……助け……!」

 みほ「あれは嘘です」

戦車に轢かれても、飛行機から落ちても、ビクともしねぇ!
鉄骨隊長はタフネス設計!

 アンチョビ「はっはっはー! この私が怖いか! 当然だな! このドゥーチェ・アンチョビに勝てるものか!」

 みほ「試してみますか? 私だって元黒森峰の副隊長です」

愛する愛里寿を救うため、独り敵のアジトに殴り込む!

 エリカ「これから死ぬ気分はどうかしらみほぉ! あなたはもう終わりよぉ!」

 みほ「……ふざけやがってぇ!!!」

その強さは、もうどうにも止まらない!!
全員まとめてかかってきてください!!

 エリカ「野郎ぶっ殺してやぁぁぁる!!」

 みほ「地獄に堕ちてください、エリカさん!」

これぞ豪快!! スーパーバトルアクション!
ガールズ&コマンドー 絶賛掲載中!!

 愛里寿「みほ……!」

 みほ「!」ニコッ

戦う隊長は、かっこいい。

エリカ「野郎ぶっ殺してやぁぁぁる!!」みほ「地獄に堕ちてください、エリカさん!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463745623/)

麻子『前半戦では2人の挑戦者が気をそらせ隊の策略にはまり失敗したが、後半戦では果たしてどうなるのかー』

華「3人目の挑戦者は、プラウダ高校の副隊長、ノンナさんです」

♪~Катюша(プラウダ高校ver)

パチパチパチパチパチパチ!

ノンナ「こんにちは」

優花里「いやーついに学外から挑戦者が」
(どうせカチューシャ殿が出てきますね)

沙織「まさにストイック! って雰囲気だから期待出来そうだね!」
(絶対カチューシャさんでしょ邪魔するの)

華「ですがカチューシャさんが気をそらせにきたらワンパンなのでは?」

優花里沙織「!?」

ノンナ「ふふっ、大丈夫です。例え敵がカチューシャであろうと、今日は鉄の意思で暗記を遂行します」

華「なるほど、『カチューシャなんかに絶対負けたりしないんだからっ!』ということですね」

ノンナ「そういうことです」

沙織(見えてたオチが一層強化された)

優花里「では暗記部屋へどうぞ」

ノンナ「はい」スタスタ

麻子『完璧なフリを見せたブリザードのノンナ。そんな彼女の暗記問題はこちら』


【世界の子供服ブランド10】
 Burberry children
 petit bateau
 familiar
 Bompoint
 jacadi
 NEXT
 ZARAbaby
 fafa
 GYMBOREE
 Marie Chantal


麻子『……あえて何も言うまい』

沙織「それでは暗記スタート!」

プァー!

ノンナ「……」カチャ

カチューシャ「あ、やっと来たわね!」

ノンナ「!?」


優花里「うわもう居る!」

華「隣の席に着いて準備万端ですね」

沙織「電撃作戦だね」

ノンナ「え、か、カチューシャ……なぜここに……」

カチューシャ「ノンナが暗記に挑戦するっていうから、応援に来たのよ! さあ一緒に頑張りましょ!」

ノンナ「は、はい」カタッ


優花里「並んで座って暗記始めましたよ」

華「どうなるのでしょうか……」


カチューシャ「子供服ブランド? そんなの覚えてノンナはどうするの?」

ノンナ「そ、それは……カ、カチューシャに――」

クラーラ「探しましたよカチューシャ様」スタスタ

ノンナ「クラーラ……?」

カチューシャ「何よ日本語堪能なクラーラ。今暗記中だから後にして」

クラーラ「緊急の案件なので。カチューシャ様こちらへ」

カチューシャ「仕方ないわね……ノンナ、私が居なくてもしっかり暗記するのよ、いい?」

ノンナ「はい」

 クラーラとカチューシャ、2・3歩離れる

ノンナ「……」カリカリ…

 クラーラ「……カチューシャ様、貴女には次の衆議院選挙に出馬してもらいます」

 カチューシャ「はぁ?」


優花里「はぁ?」

沙織「年齢とかツッコんじゃいけないとこかなこれは」

華「どこへ向かうのでしょうか」

 カチューシャ「選挙て……プラウダの戦車道チームはどうするのよ! 私はまだみんなと――」

 クラーラ「カチューシャ様が出馬することが、皆の為になるのです」

 カチューシャ「ほ、本当に……?」

 クラーラ「本当です。私達で政党も作ります。カチューシャ様には、その『カチュー社会民主労働党』の党首として政界に進出していただきます」

 カチューシャ「……本当にそれがプラウダの為になるなら、カチューシャはーー」

 クラーラ「……素晴らしいご決断です」ニヤリ

 【暗転】

ノンナ「……」カリカリ…


沙織「これは……どうなるの?」

優花里「そんな展開にもかかわらずノンナ殿は黙々と暗記を続けていますね」

華「ストイックですね」

 麻子『そして衆議院選挙が行われた』

 【点灯】

 クラーラ「カチューシャ様の当選を祝して、Ураааааааа!!」

 同志諸君「Ураааааааа!!」

 カチューシャ「……」


沙織「当選したんだ!?」

華「間違いなく最年少でしょうね」


 カチューシャ「ねえクラーラ、ノンナはどうしてるの? あの日から一度も会ってないけれど……元気?」

 クラーラ「心配はご無用です。同志ノンナは今も元気に暗記しています」

ノンナ「……っ」カリカリ…


沙織「まだ暗記してるんだw」

優花里「時の流れわけわかりませんw」

 クラーラ「カチューシャ様が議員として立派に働くことが、同志ノンナの為にもなるのです」

 カチューシャ「そう……ノンナの為になるなら……」

 クラーラ「さあ、同志達へお言葉を」

 カチューシャ 「ええーー」

 スッ

 カチューシャ「同志諸君! 私についてきなさい! やるからには目指すは与党! 政権奪取よ! プラウダ万歳!」

 同志諸君「プラウダ万歳! 同志カチューシャ万歳! カチュー社会民主労働党万歳! Ураааааааа!!」

ノンナ「……」カリカリ

 【暗転】

 麻子『そして、5年の月日が流れた』


沙織「さらに5年!?」

華「ノンナさんは5年も暗記を……」

 【点灯】

 カシャ! カシャカシャカシャ! カシャカシャ!

 ナカジマ「カチューシャさん! 政権交代と総理就任おめでとうございます! 今のお気持ちは?」

 カチューシャ「国民の皆様の期待を一身に受け止め、身が引き締まる想いです」

 ホシノ「総議席の8割をカチュー社会民主労働党が獲得する大勝利でしたが、勝因は?」

 カチューシャ「それだけ国民の皆様が今の日本の停滞を憂いているということであり、我が党がその解決策をしっかりと提示し、真摯に訴えかけた結果だと思います」

 スズキ「以前から訴えてきたロシアとの外交関係強化については、今後も重視していく予定でしょうか」

 カチューシャ「ロシアはあくまで最も我々が重視すべき隣国の1つとして認識しているということはこれまでと変わりありません。外交面、あるいは経済面で、綿密な議論を重ねていく必要があると感じております」

 ツチヤ「総理! カチュー社会民主労働党には様々な黒い噂が存在しますが、それについて説明を――」

 クラーラ「失礼、貴女はどこの新聞社の方ですか?」

 ツチヤ「え、大洗スポーツですが……」

 クラーラ「そうですか、覚えておきます。会見は終了です。皆様お気をつけてお帰りください。さ、カチューシャ様、行きますよ」

 カチューシャ「ええ」

 ツチヤ「ちょ、待ってください! 総理説明を――な、なんですかあなた達は……やめ、やめて……どこへ連れてく気なの!? やだ! 離して! 離し――」

ノンナ「……」カリカリ


沙織「ヒエッ……」

優花里「これは……w」

華「恐ろしい国になってしまいましたね」

 カチューシャ「……これで良かったのよね」

 クラーラ「もちろんです、カチューシャ様」

 カチューシャ「これで本当に、プラウダのみんなの為になるのよね?」

 クラーラ「当然です、カチューシャ様」

 カチューシャ「……ねえ、ノンナは今どうしてるの?」

 クラーラ「ノンナ……? はて……ああ! あの方ですか。ご安心ください。今も元気に、暗記していますよ」

ノンナ「……」カリカリ


優花里「やっぱりまだ暗記してたんですねwww」

沙織「5年も暗記してればもう覚えてるんじゃないの?w」

 カチューシャ「そう……それなら、良かったわ。ノンナが元気なら私は……でも――」

 カチューシャ「――久しぶりに、ノンナに肩車してもらいたかったな」

ノンナ「!!!」ガタン

ノンナ「くっ……!」スッ

ヒュッ ドスッ!


沙織「うわっ!?」

優花里「ペンを自分の手に突き立てました……!」

華「そこまでして気をそらされまいと……」

優花里「こんな茶番にねぇwww」

ノンナ「…………!」ギリギリギリッ

ノンナ「ハァ……ハァ……」カリカリ…

 カチューシャ「それにしても、カチューシャが総理大臣だなんて……今更だけどびっくりよね」

 クラーラ「……それについてですが、カチューシャ様」

 カチューシャ「何よ、日本語堪能なクラーラ」

 クラーラ「この国をカチューシャ様のものにしたくはありませんか?」

 カチューシャ「……は? ど、どういう意味?」

 クラーラ「革命ですよ。国民からの支持盤石な今ならば可能かと」

 カチューシャ「そんな……馬鹿なこと言わないの!」

 クラーラ「既に党の同志達は出撃準備を整えています。カチューシャ様の号令1つで、貴女様は国を手にする」

 カチューシャ「……あなた、これ以上カチューシャに何をさせる気なのよ……?」

 クラーラ「カチューシャ様、これもすべてプラウダの為なのです。それにきっと……ここに同志ノンナがいらっしゃれば、同じことを言うはずです」

ノンナ「……」カリカリ…

 カチューシャ「……そう、なのかな……」

 クラーラ「カチューシャ様、ご決断を。同志ノンナの気持ちに報いるのです」

 カチューシャ「……そう、ね……ノンナの為になるなら、私は――」

 カチューシャ「この国を、奪い取る」

 クラーラ「仰せのままに」ニヤリ

 【暗転】


優花里「ゾクゾクしますねぇ!」

沙織「クラーラさんのあれって演技なんだよね? ガチじゃないよね?」

華「そんな中でも暗記を続けるノンナさんはストイックですね」

 【点灯】

 ニーナ「同志諸君! 我らが共産革命の英雄カチューシャ書記長の言葉である! 傾聴せよ!」

 同志諸君「Ураааааааа!!!!」

 カチューシャ「――同志諸君、皆々は望んだのだ。資本家共のみが幸福を貪る腐りきった構造の崩壊を」

 カチューシャ「皆々は望んだのだ。我ら等しく労働者が、共に幸福を分かち合う社会の構築を」

 カチューシャ「此度の我々の勝利は、その熱烈な結末である。皆々で分かち合うべき、甘美な未来への展望である」

 カチューシャ「数々の敵と、同志達の流した血によって今、この極東に、最も先進的な、最も進歩的な、最も未来的な、我々の、皆々の国家が誕生する」

 カチューシャ「私はここに、カチュー社会主義共和国連邦の建国を宣言する……!」

 同志諸君「Урааааааааааааааааааааааа!!!」

ノンナ「…………」


沙織「革命成功しちゃったよ」

優花里「未来的っていうかむしろ思いっきり過去の遺物感が……」

華「ノンナさん、カチューシャさんの演説姿に少し見惚れていましたね」

 カチューシャ「……」

 クラーラ「お疲れ様でしたカチューシャ様」

 カチューシャ「ええ」

 ニーナ「素晴らしい演説でございましたカチューシャ様」

 アリーナ「流石は偉大なるカチューシャ様。堂々たるお姿でした」

 カチューシャ「ええ」

 クラーラ「……まだまだ、ここからがスタートなのです。カチューシャ様は世界のトップに立つべき御方。ここからカチューシャ様の世界革命が始まるのです」

ノンナ「……」カリ…カリ…

 クラーラ「ではさっそく核実験のプランを――」

 カチューシャ「クラーラ」

 クラーラ「何でしょうカチューシャ様」

 カチューシャ「私を肩車して」

ノンナ「!」

 クラーラ「……何を仰っているのか分かりかねますね」

 カチューシャ「ニーナでもアリーナでもいい。私を肩車しなさい」

 ニーナ「そそそそんな畏れ多い!」

 アリーナ「カチューシャ様を肩車だなんて、そげな無礼なこつでぎねべさ!」

 ニーナ「アリーナ方言出てるっぺ……!」

 アリーナ「ああうっがり!」

ノンナ「……」

 カチューシャ「……の、ノンナ……ノンナは、どこ……?」

ノンナ「……っ」グググッ

 カチューシャ「ねえクラーラ……ノンナは、今どうしてるの……?」

 クラーラ「ノンナ……? 存じ上げませんね。同志ニーナ、党員名簿にノンナという名は?」

 ニーナ「ありませんね」

 カチューシャ「そんな……」

ノンナ「カチューシャ……」ガタガタ

 クラーラ「さあカチューシャ様、この核軍備命令にサインを」

 カチューシャ「ノンナならカチューシャを肩車してくれるの……ノンナなら……ノンナがいないとカチューシャは……」ホロホロ…

ノンナ「ぐっ……ううっ……!」


華「ノンナさん我慢ですよー」

沙織「誘惑に負けないでー」

優花里「芝居ですよ芝居ー」


 カチューシャ「ノンナ……どこなのノンナ……カチューシャもう、あなたに会えないの……?」

ノンナ「カ、カチュ、カチューシャ……!」

 クラーラ「……こうなれば力ずくでもサインしていただきます」ガシッ

 カチューシャ「……ああ……もう一度だけ、もう一度だけでいいから……あなたに肩車されたかった――」スッ






ズダンッ!!!

ノンナ「カチューシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」ガタン






優花里「あちゃー」

沙織「ダメだったねぇ」

華「残念でしたねー」

♪~Катюша(プラウダ高校ver)

カチューシャ「ノンナ……? ノンナなの……?」

ノンナ「はいカチューシャ……! ノンナはここにいますよ!」

カチューシャ「ノンナ……ノンナぁ!」ムギュ

ノンナ「さあカチューシャ……登ってください……!」

カチューシャ「うん!」ヨジヨジ

ノンナ「――いかがですか、私の上からの景色は」

カチューシャ「……やっぱり、ここがカチューシャの居場所よね!」

ノンナ「はい!」

カンカンカンカーン!

優花里「タイムアーップ!」

沙織「はいノンナさん戻ってきてくださーい」

麻子『5年以上も真面目に暗記し続けたブリザードのノンナだが、結局挑戦失敗』

ノンナ「いやー……騙されましたー」

沙織「もー! あれだけ自信満々だったのに!」

華「結局カチューシャさんにやられましたね」

ノンナ「やはりカチューシャは偉大です」

優花里「結論はそこなんですね」

麻子『悉く気をそらせ隊の毒牙にかかる挑戦者たち。ついに最後の一人だ』

優花里「最後の挑戦者は、黒森峰の副隊長、逸見エリカ殿でーす!」

♪~Erika Marsch(Herms Niel)

パチパチパチパチパチパチ!

エリカ「どうも」

優花里「逸見殿はどうでしょうか、ここまでの惨状を見て」

エリカ「私はね、情けないわよ」ハァ

華「といいますと?」

エリカ「戦車道を嗜む女子ともあろうものが簡単に誘惑に屈して暗記すら出来ないなんて、恥さらしもいいところね」

沙織「おお、言うねぇ」

優花里「そこまで豪語するからには、逸見殿はもう余裕だと」

エリカ「当たり前でしょ? たった10個暗記するだけなのよ? 出来ない方がどうかしてるわ」

麻子『そんなビッグマウスな逸見さんへの問題はこちら』


【世界のワニ10種類】
 アメリカアリゲーター
 メガネカイマン
 アフリカクチナガワニ
 モレレットワニ
 イリエワニ
 インドガビアル
 ヨウスコウアリゲーター
 コビトカイマン
 オリノコワニ
 ヌマワニ


沙織「では逸見さん準備はいいですかー?」

エリカ「いつでもいいわよ」

沙織「それでは暗記スタート!」

プァー!

エリカ「……」カチャ

優花里「今のところ特に変わったものはありませんが……」

沙織「チャンスだよ逸見さん!」

華「今のうちに覚えてしまうわに!」


エリカ「……」φ(..)カキカキ

 トコトコ…アハハ…キャッキャ…

エリカ「……?」チラリ

 カルパッチョ「今日も訓練頑張りましょうね!」

 カチューシャ「このカチューシャの力を見せてやるわ!」

 ダージリン「あら、やる気満々ねカチューシャ」

 杏「頼もしいねぇ」


優花里「おおっと、ここで今まで出演してきた気をそらせ隊が総登場ですか?」

沙織「ラストだから大盤振る舞いだね!」

華「逸見さん頑張ってくださーい」

エリカ「……フン」カキカキ…

 カルパッチョ「しかし、西住さんは遅いですね……何かあったんでしょうか」

 ダージリン「お寝坊でもしたのかしら。お茶でも飲んで待っていましょう」

 カチューシャ「あら、この干し芋って紅茶にも合うわね!」

 杏「でしょ~?」

 タッタッタッタ…

 みほ「ごめんなさい! 遅れました!」ハァハァ

エリカ「……」


沙織「満を持してみぽりん登場!」

華「やはり逸見さんには直々に気をそらせにくるのですね」

優花里「逸見殿には頑張ってもらいたいですねえ」

 みほ「鍵を閉めたかどうしても気になっちゃって……」

 杏「あーあるある~」

 カチューシャ「まったく! このカチューシャを待たせるなんて!」プンプン

 みほ「ごめんなさい……」

 梓「みほは細かいことを気にしすぎるアズ!」ヒョコ

エリカ「……?」


沙織「ん? 澤さん今どこから出てきた?」

優花里「西住殿の陰からひょこっと」

華「何やらキャラクターが違うような」

 梓「もっと自分に自信を持つべきアズ」

 カチューシャ「そうそう! このカチューシャみたいにね!」

 ニーナ「カチューシャはちょっと自信過剰ニナ」ヒョコ

 カチューシャ「な、なによ!」

 ダージリン「ふふっ、2人ともそのままでも十分素敵だと思うけれど」

 オレンジペコ「ダージリンも大人の余裕があって素敵ペコ……♡」ヒョコ

 アンチョビ「う、うちのカルパッチョだって美人だし可愛いんだチョビ!」ヒョコ

 カルパッチョ「うふふ♪ ありがとうチョビ」

 杏「今度干し芋スコーンとか作ってみるかな~」モグモグ

 柚子「杏はもうちょっと干し芋以外にも興味を持つユズ……」ヒョコ


沙織「なんかいっぱい出てきた! これどういう世界観!?」

優花里「みんな動物の耳みたいのつけてますね」

華「……これはもしや――」

 みほ「そうだよね……私もダージリンさんやカルパッチョさんみたいに、大人の余裕を持った人にならないと!」

 カチューシャ「ちょっと! カチューシャは!?」

 ニーナ「まあまあ」

 ダージリン「『人には余裕というものが無くては、とても大事はできないよ』」

 オレンジペコ「勝海舟ペコ」

 杏「ま、普段の生活でも戦車道でも、余裕は必要だよねん」

 梓「それだけじゃないアズ! みほ達にはいつもしっかりしてもらわなきゃ困るアズ」

 梓「だってみんなはこの世界の平和を守る、プリキュアなんだからアズ!」

エリカ「!?」


沙織「そうきたかー……!」

優花里「では語尾が特徴的な面々は妖精ポジなんですね」

華「これは先が楽しみです!」

沙織「お? 華こういうのわりと好き?」

華「プリキュアが嫌いな女子なんていません!」

 梓「こことは別の世界――ガルパニア王国は、悪の戦車乗り達・モンチャークに支配されてしまったアズ」

 オレンジペコ「モンチャークの振り撒いたダークオーラによって、平和だったガルパニア王国は戦乱渦巻く死の世界になったペコ」

 ニーナ「モンチャークを倒せるのは、伝説にのみ記された戦士・プリキュアだけニナ」

 アンチョビ「戦車を戦争ではなく、平和な乙女の嗜みとして乗りこなす正義の戦車道女子こそが、聖なるパンツァーパワーを手にしてプリキュアになれるチョビ」

 柚子「この世界をも支配しようとしているモンチャークを倒し、二つの世界を救わなくてはならないユズ」

 カチューシャ「何度も聞いたわよ! それに今までだってちゃんとモンチャークを追っ払ってきてるじゃない」

 カルパッチョ「でも油断はできません……もっと強力なモンチャークが現れるかも……」

 杏「まあまあ、ここでそんなにうだうだ言っても仕方ないって。とりあえず今は練習行こっか」

 ダージリン「そうね。プリキュアも戦車道も手を抜いてはいられないわ」

 みほ「はい! それじゃあ行きましょう! パンツァーフォー!」

 【暗転】

エリカ「……」……カキカキ

 【点灯】

 しほ「伝説の戦士プリキュア……くだらぬ」

 千代「あら、負け惜しみですか?」

エリカ「!?」ガタッ


優花里「ええええマジですか!?www」

沙織「日本戦車道界の二大巨頭が何やってるのwww」

華「しかもあのような少々セクシーな衣装を着て……」

沙織「悪の組織の女幹部風だね」

 しほ「やかましい! くそっ……どうすれば奴らに勝てるのだ……!」

 千代「正面からぶつかることしか知らないシポリーが悪いのでは?」

 しほ「なんだと? 我が流派を愚弄する気かチヨキッツ!」

エリカ「ブハッ!www」プルプル


優花里「シポリーwwwチヨキッツwww」ゲラゲラゲラ

沙織「なんであんなにノリノリなの!? 一片の恥も見せないよ!」

華「家元たるもの、何事も完璧にこなすのですね」


 千代「次は私がいきますわ。我が忍者戦法で、見事憎きプリキュア共を葬ってみせましょう」

 しほ「ふん……貴様の姑息なやり方がどこまで通用するか、見せてもらおうか」

 千代「どうぞ。私には切り札がありますの」

 【暗転】

エリカ「フー……フー……!」カキカキ…


優花里「さあ気をそらせ隊も力入ってますね。逸見殿頑張ってくださーい」

沙織「ファイトだよー」

華「落ち着いて覚えてくださーい」

 【点灯】

 みほ「みなさーん! そろそろ昼休憩にしましょう!」

 カルパッチョ「お腹ペコペコですね」

 杏「いっぱい食べなきゃ大きくなれないよカチューシャちゃん」

 カチューシャ「あんたに言われたくないわよ!」

 ダージリン「それじゃあお茶の用意もしましょうか」

 みほ「……あれ?」ガサゴソ

 杏「どったの西住ちゃん」

 みほ「お弁当が……朝確かに入れたと思ったのに……ないんです……」ショボーン

 ダージリン「あら、鍵を気にしすぎてそちらがおろそかになってしまったのかしら」

 みほ「うう……」

 \待ったー!/

 みほ「その声は……!」

 まほ「西住まほ、みほのお弁当を届ける為に参上した」

 みほ「お姉ちゃん!」

エリカ「!」ピクッ


優花里「おお、ついに登場ですね」

沙織「まあそのうち出てくるとは思ってた」

華「逸見さん気をそらされないでくださーい」

 まほ「ほら、玄関に置きっぱなしになっていたぞ。菊代さん特製ハンバーグ弁当だ」つ【弁当】

 みほ「ありがとうお姉ちゃん!」

エリカ「ジュル……」

 カルパッチョ「よかったですねみほさん♪」

 みほ「はい!」

 まほ「では私は用事があるのでここで失礼する。しっかりな、みほ」

 みほ「うん、またあとでね」

 【暗転】

エリカ「……」カキカキ…

 【点灯】

 まほ「……」テクテク…

 まほ「……みほはメキメキと戦車乗りとしての腕を上げているな」

 まほ「このままだと、いつか私はみほに追い越されるのかもしれない」

 まほ「……西住流を継ぐのは、私ではなくみほの方が相応しいのでは――」ギリッ…

 まほ「――いやいや! そんなことを考えては駄目だ! 私は妹に対して何を……」ブンブン

 ??「感じますわぁ……燃え滾る闘争の心を……」

 まほ「!? 誰だ!」

 ??「貴女、妹のことを邪魔に思っているのではなくて? 自分の立場を脅かす唯一の存在を――」

 まほ「馬鹿な! そんなわけが……」

 ??「いいえ。私はお見通し――妹に負けたくないという貴女の対抗心……そして恐怖」

 まほ「……ッ」

 ??「その心、私が解き放って差し上げましょう」スッ

 まほ「やめっ……何を――」

 千代「解放せよ! モンチャーク!」バッ

 ズオオオオオオオオオオ……!

 まほ「ぅぐっ! ぐあああああああああああああああっ!!」

エリカ「……!」ハラハラ…

 【暗転】


沙織「なんかもう普通に気になるんだけど」

優花里「逸見殿も入り込んできてますね」

華「やっぱり皆さんプリキュア好きなんですね。嬉しいです」

 【点灯】

 カチューシャ「そろそろ練習に戻りましょ」

 杏「えー、もう一杯だめかな」

 ダージリン「もうポットも空よ」

 カルパッチョ「少しのんびりしすぎたかもしれませんね」

 杏「さっき言ったばっかじゃん? 余裕持った方が良いってねん」

 カチューシャ「余裕と怠惰は違うわよ」

 みほ「それじゃあ、片づけが終わったらフォーメーションの復習を――」

 梓「みほ! 闇の闘志を感じるアズ!」

 みほ「えっ! モンチャークが!?」

 オレンジペコ「あっちの方角ペコ!」

 ダージリン「あちらは……まほさんが向かった方ではなかったかしら」

 みほ「そんな……お姉ちゃん!」タタタタッ

 カルパッチョ「ああっ! 待ってください!」タタタタッ

 【暗転】

エリカ「……」ジーッ

 【点灯】

 みほ「――! あれは……」

 まほ「モンチャアアアアク!!」ズズゥ

 カチューシャ「現れたわねモンチャーク! このカチューシャがぎたんぎたんにしてやるんだから!」

 みほ「待ってカチューシャさん! あのモンチャーク……」

 まほ「モンチャアアアアアク!」ガオー キラッ…

 みほ「やっぱり……! あの形、きっと素体はティーガーⅠ。そして胸に光る鉄十字は……お姉ちゃん!」

 カルパッチョ「そんな! まほさんがモンチャークにされてしまうなんて!」

 杏「あのお姉さんでも、心に隙があったなんてねぇ」

 ダージリン「迷っている暇はないわみほさん。辛いかもしれないけれど、彼女を解放できるのは私達だけなの」

 みほ「……はい。分かっています。待っててお姉ちゃん――皆さん、変身です!」

エリカ「……」ドキドキ…


 喉に装着したキュアタコホーンに手を添える5人

 『プリキュア・パンツァー・フォー!!』


 ピカーン ラーラーラーラー

 シュルルルルル パーン パーン パーン

 キュッ シャシャン

 スーッ ジャーン

 みほ「実れ! 友情の果実! キュアアンコウ!」ダーン!

 ダージリン「優雅に、華麗に、勝利をわが手に。キュアチャーチル!」ダーン!

 カチューシャ「シベリアに吹く偉大なる地吹雪! 風の子雪の子! キュアカーベー!」ダーン!

 カルパッチョ「心に満ちる大きな愛! あなたのもとへ! キュアセモベンテ!」ダーン!

 杏「快調快調絶好調! やるときゃやるよ! キュアヘッツァー!」ダーン!

 みほ「回る履帯は無限のリズム! 火を噴く主砲は無敵の咆哮!」

 5人『強き乙女の生きる道!』

 5人『出撃! パンツァー・プリキュア!!』ドドーン!!


優花里「ヒヤッホォォォウ! 最高だぜぇぇぇぇ!!」

沙織「かわいー!! かっこいいよみぽりーん!!」

華「がんばれー! がんばれプリキュアー!!」

エリカ「……」ジックリ

 ダージリン「キュアアンコウ、時間の都合もあるから、さっさとまほさんを浄化してあげましょう」

 みほ「はい! 皆さんいきます! キュアターレット!」ピロリン

 5人『プリキュア・エターナル・シューティン――』

 ??「おおっと、そうはいきませんわよプリキュア」

 カチューシャ「! 誰!?」

 千代「ふふふ……私はチヨキッツ。先日はシポリーが大変お世話になりましたねぇ」

 カルパッチョ「モンチャークの幹部ですか!?」

 杏「そっちから出てくるなら話は早いね。一緒にやっつけちゃうよ!」

 千代「おっと、これを見ても同じ事が言えますかしら」スッ

 みほ「それは……」

 透明なクリスタルの中で眠っている愛里寿

 みほ「女の子……?」

 梓「あ、あれは……アリス!」

 みほ「知ってるの?」

 梓「ガルパニア王国から脱出した時に、一緒にこっちの世界に来た仲間アズ!」

 アンチョビ「途中ではぐれて行方不明になっていたチョビ……」

 柚子「まさかモンチャークにつかまっていただなんて……!」

 千代「おほほほ……これこそがあなた達に対する切り札! 私はシポリーとは違うのです!」

 千代「プリキュア、私達に抵抗すれば……この妖精がどうなるか分かっていますかしら?」

 カルパッチョ「なんて卑怯な……!」

 ダージリン「美しくありませんわね」

 千代「方法などどうでもよろしいのですわ。最も正しく美しいのは勝者のみ。この世界を戦乱で満たすために、私はどんな手でも使いますわ」

エリカ「……」ウデグミ


華「チヨキッツ……なんと恐ろしい!」ワナワナ

優花里「しかし妖精を人質にとられては……くっ、どうすれば!」

沙織「がんばれー! プリキュアがんばれー! あと逸見さんは暗記してー」

 千代「さあ! やってしまいなさいモンチャーク!」

 まほ「モンチャアアアアク!」ゴォッ

 ドガァ! ドバァァン!

 カチューシャ「きゃあっ!」ドサッ

 ダージリン「くっ……人質さえなければ……」フラッ

 みほ「お姉ちゃん……!」

 まほ「モンチャアアアアアク!!」グワッ

 ズドーーーン! バガァ!

 杏「うぐぅ……これはちょっとヤバいね……」

 カルパッチョ「このまま一方的に攻撃され続けたら……」

 みほ「でも、アズ達のお友達を危険な目には遭わせられない……」

 梓「みほぉ……」

 ニーナ「……でも、アリスほどの妖精が何もできず捕まるなんてありうるニナ?」

 オレンジペコ「アリスは私達の中でも最も強い力を持つ妖精ペコ。そんなアリスが捕まるなんて……」

 まほ「モンチャアアアアアアアアアアアアアアアク!!!!」ズガン

 ドドドドォ! ドゴン!

 みほ「きゃあああっ!!」ドサッ

 ダージリン「キュアアンコウ! ぐぅ……もう力が……!」

 
沙織「そんな……こんなのってないよ! やだもー!」

華「プリキュア……! 負けないでくださいプリキュア!」

優花里「頑張って! 諦めちゃダメです!」

エリカ「プリキュア……!」ググッ

 カルパッチョ「私たちは……このまま負けてしまうの……?」

 杏「最後に干し芋食べたかったなぁ……」

 カチューシャ「縁起でもないこと言わないの! うっ、ゲホッ! ゴホッ!」

 梓「……もしかしたら」

 アンチョビ「どうしたチョビ?」

 梓「アリスが捕まったのって、もう力を誰かに分け与えていたからなんじゃ……!」

 アンチョビ「そうか……! 奴らに狙われた時に、既に誰かに力を託していたとしたら……!」

 柚子「どこかにもう一人、仲間がいるかもしれないユズ!」

 杏「それホント……!?」


優花里「おお! 僅かですが光明が見えました!」

沙織「でもその仲間がどこにいるか分からないんでしょ? 助けに来てくれるかもわからないし……」

華「祈りましょう! 私達に出来るのは、プリキュアの勝利を祈って応援することだけ……!」

エリカ「……」

 カチューシャ「それが分かったところで何だっていうのよ! 私達はもうこれ以上は……!」

 ダージリン「私も……もう一発は耐えられそうにありません……」

 千代「おーっほっほっほ! 無様ですわねプリキュア! そのまま哀れに倒されなさい!」

 愛里寿「――――」

 みほ「! アリスが……何か言ってる……!」

 カルパッチョ「私たちに何かを伝えようと……!」

 愛里寿「――つくえの……なか……」

 みほ「机の中……? いったいどういうことなの……!?」

エリカ「……」チラリ


優花里「……ま、まさか……!」


エリカ「……」ガサゴソ ピクッ

エリカ「っ!?」スッ つ【キュアタコホーン】


沙織「い、逸見さんが……!」

華「6人目のプリキュア……!」


エリカ「え……ホ、ホントに……!?」アセアセ

 千代「言い残すことはありませんかプリキュア。ふふふっ」

 みほ「くっ……私は――私は信じます! 最後まで諦めません!」

 ダージリン「ふふっ……あなたらしいですわ」

 カチューシャ「でも……あなたが信じるなら、私達も信じるわ」

 カルパッチョ「一緒に戦う仲間が、きっとどこかにいる……!」

 杏「今にも変身して駆け付けてくれるよ……!」

エリカ「えっ……えぅ……!」キョロキョロ

 千代「ふん……最期まで気に食わないですわ。モンチャーク、一気に叩き潰してさしあげなさい!」

 まほ「モンチャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアク!!!!!」ズォォォォ!

エリカ「ああっ!」

 カチューシャ「ううっ……!」

 カルパッチョ「お願い……!」

 杏「こんなところで……!」

 ダージリン「どうか、私達を……!」

 みほ「助けて……!」

エリカ「みほっ……!」グッ


優花里「逸見殿!」

沙織「逸見さん!」

華「逸見さん!」






 チャキッ……!

エリカ「プリキュア・パンツァー・フォー!!」






沙織「キターーーーーー!!!」

優花里「ヒヤッホォォォウ!」

華「まあこれで暗記はダメですね」

沙織「そこで素に戻るの……!?」

優花里「もうちょっと楽しみましょうよw」

ピカーン ラーラーラーラー

着ている制服を脱ぎ去るエリカ
その下にはなんとプリキュアの衣装が!

エリカ「響け! 王者の咆哮! キュアティーガー!!」ダーン!


沙織「着てたの!?www」

優花里「やる気満々じゃないですかwww」


エリカ「はぁっ!」バッ

千代「なっ!? なんですかあなたは!?」

エリカ「人質は返してもらうわ!」バシッ

千代「ああっ!」

みほ「あ、あなたは……!」

エリカ「ふん……あなた達の戦いっぷりがあんまり情けないもんだから、助けてあげるわ」

エリカ「キュアターレット!」スチャ

エリカ「プリキュア! スティール・ティーガー・インパクト!!」

ピシュルルル カッ ドゴオオオオン!

まほ「モンチャアアアアアク!!?」ガシャアア

ダージリン「すごい力……!」

カチューシャ「あなたが6人目のプリキュアなの……!?」

エリカ「ぼさっとしない! 今がチャンスよ!」

カルパッチョ「は、はい!」

杏「やろうキュアアンコウ!」

みほ「分かりました! いきますよ!」

6人『プリキュア・エターナル・シューティング!!』

ピカッ ゴガガガガガガ シュゴオオオオオオオ!!

まほ「モ、モンッチャ~ク……!」シュワワワ…

まほ「うっ……」ドサッ

みほ「お姉ちゃん!」タタタッ

エリカ「隊長!」タタタッ

まほ「……わ、わたしは、なにを……」

みほ「良かったぁ……!」

梓「アリス!」

愛里寿「うーん……」ムクッ キョロキョロ

アンチョビ「アリス~! 心配したチョビ!」

愛里寿「……私の力、ちゃんと届いてたみたい」ニコッ

エリカ「!」ニッコリ

千代「なんてことなの……! ああもう信じられません! 撤収!」シュン


優花里「いやー普通にプリキュアを1話観ちゃいましたね」

沙織「日曜朝の気分だよ」

華「堪能させていただきました」

みほ「――エリカさん」

エリカ「みほ……」

みほ「これからもよろしくね! 一緒にこの世界を守っていこう!」

エリカ「ええ、もちろんよ!」

みほ「……あと、実はエリカさんに黙ってたことがあるの」

エリカ「え?」

みほ「実は私達――」スッ

仮面を被るみほ達

5人『気をそらせ隊だったのだー!』バーン

エリカ「な……」

エリカ「なんですって……ッ!?」ガビーン


優花里沙織「いやいやいやいやwww」

カンカンカンカーン!!

沙織「タイムアーップ!」

華「はい逸見さん戻ってきてくださーい」

麻子『すっかりプリキュアとしてこの世界を守ってしまった逸見エリカ。暗記の方はもちろんダメダメだった』

エリカ「いやー……騙されたわー」

優花里「いやいやwwwそんな衣装ばっちり着込んでおいてそれはないでしょwww」

エリカ「いやコレ楽屋に置いてあったのよ。偶然偶然。たまたま着てただけだから」

沙織「苦しい苦しいwww」

華「私も一度プリキュアになってみたいです」

麻子『CMの後、あの人がプリキュアに……?』

【CM】

玉田「よし撃て!」

ズダダダダダダ
ドドドドドドドド
ダダダダダダダダ

玉田「撃ち方やめ! 今まで書いたガルパンSSを見てこい福田!」

福田「了解であります! 突撃!」ガチャ


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みほ「ふっ!」ズシャッ

福田「ああああああっ!!」バタッ

しほ「撃てば必中! 守りは固く! 進む姿は乱れ無し! キュアシポリー!」ダーン!

一同『…………』

しほ「……いやコレ楽屋に置いてあったのよ。偶然偶然。たまたま着てただけだから」

沙織「いやいやいやいやwww」

みほ「お母さん……w」

まほ「お父様に送ろうw」パシャ! パシャ!

千代「月刊戦車道に送りましょうw」パシャシャシャシャシャシャ!

しほ「やめなさい!!」


~おしまい~

読んでくださった皆さんありがとうございました。
久しぶりすぎて前のトリップ忘れちゃった。
では良いクリスマスを!

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