三船美優「一歩、踏み出して」 (17)

初投稿です。

モバマスP×三船美優のR18SSです。

地の文あり。

>>1の名前間違えました……。気にしないでください

 運転手に一万円を渡してタクシーから降りた。
 俺ともう一人、同乗する人を運転手には顔が見えないよう注意して、意識のはっきりしていない体を支えつつ降ろす。
 その人は酒に弱いせいであっさりと潰れてしまった。量としてはあまり飲んでない分すぐ復活してくれるかと淡い期待を抱いたが、叶わなかったようだ。
 走り去るタクシーを見送り、思わず嘆息した。

 今日はプロダクション単位の大きなライブがあった。
 俺の担当アイドル――三船美優もそれに漏れず出演し、色眼鏡抜きに見ても盛り上がったと思う。新ユニットのシャイニーナンバーズの一員として、会場を沸かせてくれた。
 ライブが無事終わって、打ち上げがあった。まあ自然な流れだと思う。大きなプロジェクトだったし、企画は大成功といって差し支えない。一息つきたかったしこのプロダクションには酒好きが多い。プロデューサーの先輩後輩たちに設営スタッフ、千川さん、高垣さんや川島さん、片桐さんに柊さん。あと安部さん。
 とにかく挙げれば切りはないが、飲み会に集まるメンツは多かった。そこで盛り上がって、普段以上の勢いで飲酒して、酔っぱらうのはしょうがないだろう。俺もあまり飲めるたちではないが今回は場の空気に飲まれていつもより酒を飲んだ。
 そして集まったメンバーの半分近くがつぶれたのもまあ仕方のないことだと思う。
 むしろ、これ以上のカオスの陥る前に解散を決意した部長の英断を俺はたたえたい。下手したらはしごをして二件三件と回った末全員潰れていた可能性は否定できない。

 とにかく。
 酔っぱらったとはいえなんとか意識のあるメンバーがつぶれたメンバーを連れ帰ることになった。ここに異存はない。問題は俺の担当が三船さんだったことだ。
 なにが問題かって、俺は三船さんの家を知らないことだった。
 さらに問題だったのは、三船さんの家を知っている人は全員潰れていたことだった。
 泥酔した三船さんとタクシーに乗った時は、ひやひやしたものだった。半分以上酔いがさめてしまったほどだ。人生で一番緊張したかもしれない。
 千川さんには、様々な理由がありホテルに泊まってはダメというお達しは受けていた。酔った頭で考えた結果、いける場所は自宅のみと結論つけてしまった。タクシーを降りて少し冷静に考えて女子寮に送ればよかったのに気づくが後の祭り。
 仕方がないと心中で繰り返し三船さんを家に連れ込む再決心がついたのが数分前の事だった。

 ようやく家に辿りついてなんとか三船さんをベッドに寝かせ、布団をかける。
 思った以上に疲れた。というか精神がすり減った。下手したらスキャンダルものだ。
 自分の頭の悪さに頭を抱える。いくら酔っていたとはいえどういうプロセスを経たら、こんな状況になるのだろうか。今以上にタイムマシンが欲しくなったこともない。

 顔を赤くして、無防備に俺のベッドに寝ている姿をみて何も思わないわけではない。なんとなく頭を撫でた。こういう行為が頭の悪さの現れな気がする。なにをやっているのだと自問自答。
 ……自分自身も酔っているのを自覚している。行ってる行為の一つ一つが間違っている気がしてならない。なにかこれ以上変な行動を起こす前にとにかく早く寝たい。
 煩悩を振り切り部屋を出ようとしたところで一瞬動きが止まる。袖を引っ張られていることに気づいた。

「……三船さん、起きちゃいました?」

「えぇ……ここ、は……?」

 三船さんが体を起こす。酒のせいか頬は赤く、軽く息も上がっていて、俺が雑に運んだせいだろう、服が乱れていて目のやり場に困った。
 なんと言うべきか……ホテルというのはまずいだろう。
 嘘をついてもしょうがない、後々の事も考えて正直に言う事にした。

「あー……僕の家です。三船さん酔いつぶれちゃって……ほかの人にも頼れなかったので、しょうがなく」

 言い訳ぽくなっていないだろうか。
 いや、事実言った通りではあるのだが、客観的に見れば酔っぱらったのにあかせて部屋に連れ込んでいるので、糾弾されたらなにも言い返せない。

「え……? あ、す、すみません。私ったら、そんな」

「お構いなく。明日は僕も休みで三船さんもオフなので、案内してくれれば家まで送りますよ」

「ごめんなさい、なにから……なにまで。……じゃあ、このベッドも?」

「え、あー、僕のです。嫌かも知れませんが、風邪を引かれても困りますし……」

 それを聞いた三船さんの頬がさらに赤くなった気がする。
 いけない。酔っているせいか、浮かれている。都合のいい解釈をしている気がする。

「嫌なんてことは……ないです。むしろ……」

「むしろ?」

 むしろ?

「えっと……、いえ、なんでもないです」

「あ……はい」

 なんと言うつもりだったのだろうか? むしろ、嬉しいです。とか?
 等と考えて、心中で否定しないのは酔いのせいしたくなる。ここまで築いてきた関係を崩してはたまらない。バカな考えも一晩寝れば治る、早く寝てしまおう。

「……じゃあ、僕はリビングの方行きますんで、おやすみなさい」

「え? リビングって……Pさん、どこで寝るつもりですか?」

「まあ、ソファですかね……会社で慣れてますし。僕がいるのが不安なら、ネカフェかなにか探しますが……」

「嫌なんてことは……、私がベッドで寝ているのにそんな」

「とにかく、心配しなくて大丈夫ですから」

「いえ、それなら……一緒、とか、でも……」

 言いながら、どんどん顔が赤くなっている。
 三船さんの突拍子のない発言には毎回どきりとさせられる。
 一瞬、勢いで「是非!!」と叫びそうになるのをぐっとこらえ、
「ばっ、あのですね、三船さん。そういう風に言ってると勘違いを……!?」

 腕を引っ張られる。近くに三船さんの赤い顔。
 酒か、この状況のせいなのか。頬が赤く染まっているのがわかる。軽く息が当たってくすぐったい。

「勘違い、じゃないとしたら?」

「っ、三船、さん?」

「今日はクリスマスイブ。特別な日です。ですが、私たちのとってはそれだけじゃない……ですよね」

「そ、それは、ええ。僕らが出会った日ですから」

 三船さんとはまだ出会って数年、とはいえそれなり以上に密度の濃い日々を過ごしてきたと思う。当然、鈍感ではないつもりだったし、ある程度の好意には気づいている。……、向こうも同じなのだろうか。
 だが。
 まだ、酔っていたからでごまかせる。でも、それ以上は。
 それ以上言われては、ごまかせない。
 しかし、それ以上に、三船さんに誘惑されているという疑いようがない事実にいやでも気分が高翌揚してしまう。

「Pさんに出会えて、本当に感謝しています」

「ありがとう、ございます……」

「……、あの、全部言わないと……だめ、ですか?」

「いや、でも、ぼくらは、アイドルと、プロデューサーで」

 ほんの少しだけ残った職業意識を口にする。
 だが本能と、この状況が理性を溶かしていく。
 ああ、どうにかしなくては。
 このまま部屋を出ていけばいい。ただそれだけのはずなのに、それすら出来なくなっている。ここにいる口実を探し続けている俺の姿は心底、滑稽に映っているだろう。
 三船さんに握られている指が震えているのがわかる。きっと、相当の勇気を振り絞っているのだ。感情を表に出すのが未だに苦手な三船さんが、酒の力を借りているとはいえ、ここまで言ってくれている。
 これまでの積み重ねを台無しにする可能性を孕みながらも、三船さんは俺との関係を進めようとしていて。
 それを、どうして無下に出来よう?

「Pさんが、私とは、……アイドル達とは、仕事との関係以上には、できるだけしたくないと思っている。……であろうことは、分かります。でも、せめて今日だけは」

 三船さんの顔が見えなくなる。違う、近づいたのだ。と、気づいたと同時に、唇にやわらかい感触。


「…………、Pさん。……せめて、今日だけでも、私に夢を、」

「三船、さん」

「夢を、見せてくれませんか……?」

 三船さんは羞恥と恐怖で泣き出しそうな声で言う。
 酒のせい、誘惑のせい、今日だけ。
 あらゆる大義名分が用意され、いや用意させてしまったのだ。

 
 ここまでさせて、誤魔化すわけにもいかない。できるわけがない。 


「三船さん、ぼくは……」

「……………………、」

「いや、美優、さん。……俺は、貴女の事が、好きです」

「Pさん……はい、私も……、貴方の事が……」

 酒のせいにはもうできないなと思いながら、ベッドに足をかけて、左腕を背中に回す。一瞬びくりとしたが、それだけ、なにも抵抗はなかった。

「美優さん……」

 顔を近づけると美優さんは目を閉じた。頭に手を添え、そのままキスをする。

「……ん」

 数秒、そのまま動きが止まる。数回、啄むような口づけ。段々と体が密着していく。
 舌を出すとそれに呼応して美優さんも遠慮がちに絡めてきた。その期を逃さず、舌を美優さんの口内に送る。唾の音がいやらしい。
 数時間前にのんだ酒の味、だが舌を絡めれば絡めるほど美優さんの味に変わっていく気がして。体が熱くなるのがわかる。心地いい。
 
「ん、ちゅ、ちゅうう……はぁ、はぁ……」

 美優さんはすでに蕩けた顔になっている。人の事は言えないかもしれない。息が荒くなっている。
 ごくりと二人の混じりあった唾液を飲み込むと同時、美優さんの喉が鳴るのも分かった。

「美優さん……脱がしても?」

 聞きながら、すでに服には手をかけている。
 ゆっくりと服を上げていくと、張りのある肌、雪のようにきれいなお腹、そして黒い下着に包まれた胸。思わず生唾を飲み込んだ。

「美優さん、大胆ですね……」

「えぇ、まぁ……」

 苦笑いしながら肯定してくる。彼女の意志ではなく誰かにおすすめされたのだろうか?
 アイドルとしての美優さんは俺が衣装のプロデュースをしていることもあり、様々なイメージがあると思う。
 だが普段の美優さんの清楚なイメージとは真反対。自分の意志でこんなに派手な下着を身に着けることはなかったはず。しかし、ここまで直接露骨に誘惑してくるような衣装をされても萎える事は全くない。あまりにも妖しく、そして扇情的で、少し残っていた理性も全て溶かされる。
 優しく押し倒しつつ、さりげなく暖房をつけておく。後々寒さでムードが壊れてしまいそうだ。

「すごいです……こんな……」

「喜んでくれたなら……、私も勇気を出してみた甲斐があります」

「もしかして……自分の意志で?」

「Pさん……貴方が私を変えてくれて……」

 美優さんが胸に手を当て告白する。

「自分を着飾る衣装を、身に着ける気に、なって……」

「私服だけじゃなく、下着まで……?」

「えぇ……、それに、最近は胸が少し、きつく……」

「……プロフィール……いくつでしたっけ……?」

「ええと、85、ですね……」

 アイドルとしては少し大きい、というくらいだろうか。だが今見てみると、十時愛梨や三浦あずさといったアイドルにさえ引けを取らない気すらする。

「あの……、Pさん、そんな見られると……」

「……、ああ、ごめんなさい。続けますね?」

 美優さん、むしろ墓穴を掘っている気がする。誘っているのだろうか?
 とはいえ俺はその誘われている虫なのだが。
 お腹に手をつけると、柔らかさで吸い付きそうになる。そのまま軽く指を滑らせ、上へ、胸へ進んでいく。

「美優さん、背中上げてもらえますか?」

 背中を上げてもらい、手を回す。ブラのホックを外すと、ぱちんと軽い音が鳴ったと同時、閉じ込められていた胸が揺れた。「おぉ」と声が出る。一瞬で情欲を掻き立てられた。

「……なんだか、慣れてますね?」

「気のせいですよ」

 軽く言いながら、下着を上にずらす。胸、おっぱいが全てあらわになる。思わず感嘆の声が出た。露出の多い仕事は数多くしたが、すべてを晒したことは当たり前だが一度もない。だが今、乳輪はもちろん乳首も丸見えになっていて、そしてそれを好き放題出来るという事実と背徳感でぞくぞくする。
 少女のような桃色、とまではさすがに言えないが色も形も綺麗そのもの。ヌードにして写真集をだしても、芸術のような作品に仕上がりになりそうだ。……絶対にしないが。

「あの……、さすがに明るいのは……」

「ん。あぁ、すみません……。これで大丈夫です?」

 さすがに電気を付けっ放しなのは無遠慮すぎた。部屋を暗くし電球だけ付ける。とはいえむしろこの状態の方が雰囲気が出てくる。
 そのままの勢いで美優さんに近づいて胸を揉む。柔らかい、このまま揉んでいるだけで他のものはいらなくなってしまいそうだ。とはいえさすがにそのままでは無反応。指でゆるく乳輪も愛撫して刺激する。

「ん……、ふぅ……、んん」

 さすがに抑えきれないようで艶やかな声が出てくる。乳首が硬さを帯びてきた。揉みこむたびに合間から乳肉がはみ出る光景に目が釘付けになってしまう。乳輪を円を書くように撫でる。もう声を出すのは抑えられないらしい、中々敏感だ。

 思わず乳にむしゃぶりつく、幼児に戻った気分。

「ん。あ……もう、赤ちゃんみたい、ですね?」

 なんとなく耳が痛い、無視して乳首を舌で転がす。口に含んで吸い出すと美優さんから漏れ出す声が大きくなる。心なしか太腿ももじもじとしている。ゆるくなでると震えて反応してくれる。至福の時間だ。
 続けて、ほんの少し歯をたてて甘く責め立てた。乳首がコリコリとしてくるのがわかる。
 自分の竿がこれ以上ないくらい膨張しているのが分かる。お互い、さらに息が荒くなってきていた。

「はぁ……ぁ、あの、Pさん……私ばかり、その……」

「なんですか?」

「恥ずかし……ですから」

「あぁ、ごめんなさい?」

 言われて自分は、まだ何も脱いでいない事に気づく。ワイシャツのボタンを外していると、美優さんがこちらに近づいてきた。

「あの、ここ……すごい、ことに……」

 股間を擦られ、体が震えてしまった。そのまま、ベルトを外されてズボンを下ろされていく。鮮やかな手口だった。

「なんか慣れてますね……」

「気のせい、です」

 さっきの仕返しのつもりだろうか。しかし、この年で童貞処女というのもお伽噺じゃあるまいに。とはいえそれを口に出すのも野暮だろう。
 下着越しでも、股間がこれ以上ないくらい勃起しているのが分かった。パンツもやや強引に下げられる。

「P さんの……その、大きい……」

 他人と比べたことがないからなんとも言えない。まぁ、言われただけでも男としては満足感がある。

「その……触ってもらえますか?」

 おそるおそる、といったような手つき。一本ずつ、ゆっくりと触れられて緩く握られる。
 美優さんに勃起したモノを握らせていると言う事実だけで射精が出来そうだった。事実、先走りが止まらなくなっている。
 指を軽く上下に動かし始める。細い指が、カリ首や亀頭を丁寧に責めていて、もう片方の手もマッサージするように玉を揉んでくれる。
 何をすればいいのかわからない訳ではないらしく、ゆっくりと、だが確実に快感を与えてくれる。緩い気持ちよさが丁度いい。激しくされたらすぐにでも出てしまいそうだ。

「P さん……」

 顔を見上げてくる。もう完全に雌の顔と言った感じで、普段から下がり気味の目尻はとろんと蕩けている。
 躊躇なくキスをする。今度は美優さんの方から舌を出してきた。多少驚きつつも好きにさせる。
 かなり積極的に口内を犯される。歯列を丁寧になぞられ、舌と舌が深く絡み唾液が送り込まれてくる。その間手を動かす事はやめず、二ヶ所からにちゅにちゅと卑しい音だけ鳴っている。

「ちゅ、ちゅ……ぢゅ……ぅ……」

「ちゅ。ん……っ、ふ……」

 息が詰まりそうになるギリギリでようやく口を離された。苦しさからの解放より、名残惜しさの方が数段大きい。
 口からは唾液の糸が橋のようにかかっていて。それも一瞬でぷつりと切れた。
 数秒、見つめあう。
 今度はどちらともなく、もう一度唇を重ね合う。
 丁寧な前戯。お互い既にしたいことは一つだろうが、今この行為は勢いのセックスなのではなく、愛し合った上でのものだとお互いに意識し、確認し合う為の儀式のようなものだった。

「ぷは……Pさん……ここ、すごく苦しそうですね……一回、出しちゃいましょうか」

 妖艶な微笑みを見せる美優さん。愛おしそうに股間を眺めたかと思うと、そのまま髪をかき上げておそるおそるといった控えめさで先端をなめとった。

「うぁ……」

 思わず声が漏れた。剥け切った先端は既に我慢汁でいっぱいになっている。美優さんはそれを丁寧に舐めとっていく。先端だけの甘い口づけ。夢のような光景にさらに興奮して、舐められる量より新たに出てくる先走りの方が多いのではないかと思うほど。

「不思議な、味……Pさんに、濃い臭いが……」

「く、臭いですか……?」

「いえ……、一息吸うたびに、体が火照って……熱く……」

 そういえば美優さんの趣味はアロマテラピーだったか。こんなどぎつい臭いを嗅ぐ機会はないとは思うが、匂いを嗅ぐという行為においては、美優さんは他に人より数段意味を持っていそうだ。
 段々と慣れてきたのか亀頭全体を口に含んでいた。美優さんの口に肉棒が沈んでいく。すさまじい光景だった。あの美優さんがフェラチオをして、俺を奉仕しているのだ。
 口の中の暖かさに包まれたうえ、舌を器用に動かして刺激を与えてくれる。一気に射精欲が高まってきた。

「美優さん……も、出そうです……!」

「ん、じゅぷ……じゅる……、ぢゅ……」

「美優、さん……!!」

 口の中に出さまいと声をかけているのを全く意に介さず、それどころか美優さんは俺のモノを根本まで口に入れた。苦しいだろうに、喉がなっているのが分かる。んぐんぐんぐっと、何を言っているかはわからないが俺に意志を伝えてくれる。どうやら想像以上に貪欲だ、放してくれる気はないらしい。
 苦しいほどの快感が一気に駆け巡ってきた。このままもう出てしまいそうだが、刺激は続くばかりで背筋がゾクゾクと震えてきた。もう耐えられそうにはなかった。

「あ……出ます。出る……美優さんの……口、に!」

 そこからは何も考えられなくなる。快感を得ることにのみ脳が働いていて、無思考のまま、思い切り美優さんの喉に精液をぶちまけた。
 どぴゅ、どぴゅ、という力強い射精音が俺の方にまで伝わってくる。数秒、射精としてはありえないくらい長い時間をかけてようやく止まる。
 息を整える。美優さんの口からずるりと肉棒が解放される、まだ脈打つ感覚が残っていた。

「はあ……、はぁ……美優さん……?」

 美優さんは口をもごもごと動かして、恍惚とした表情を浮かべた。それも一瞬今度は喉が数回鳴る。

「ぷは……」

 美優さんがようやく息をつく。唾液と一緒に出した精液が溢れ、顎から胸へ。一瞬でもう一度勃起してしまいそうな光景だ。
 しかし、零した量が出した量と釣り合っていない気がする。そういえば、さっき、思い切り喉がなっていた。もしかして……。

「美優さん……、飲みました?」

「え……えぇ……、Pさんの、欲しくって……。駄目でしたか……?」

 駄目なんてことはない、むしろ最上級の奉仕行為といってもいいだろう。とはいえいきなりこんな高度な事をするとは思っても見なかったが。
 美優さんには清廉潔白な印象を持っていたが、人並み、いや、もしかしたらそれ以上に性欲を持っていることになんだか安心する。しかし、そのギャップはすさまじい。夢でも見ないような光景をもう既に何度見たか分からない。

「いえ……、美優さんも、なんていうか……ちゃんとエッチなんですね。少し安心しました」

「な、なんですか……。もう……」

 今度はこちらが責め手に回る。なんというか予想外の事が起きすぎてかなり後手に回ってしまった。軽く抱きしめて力を入れる。

「あ、P さん……っ」

「大丈夫です、優しくしますから」

 宣言通り優しく押し倒し、ストッキングをずり下げる。下着も当然というか黒だった。既に下着の上からでも濡れているのが分かる。
 美優さんの手が、所在無さげに動いている。パンティも下げたら抵抗されそう だ。下腹部に手を起き今度は下着の方へ、陰毛のざらざらとした感触が気持ちいい。筋に軽く指を触れただけでくちゅりと言う水音が響いた。

「美優さん、これ……濡れすぎ……」

「あ……その、貴方のを舐めていたら……、興奮してしまって……」

 美優さんが恥ずかしそうに腕で顔を隠した。
 ここまで反応してもらえると男冥利に尽きる。これを天然でやっているのだから恐ろしい。
 緩く指で筋を擦る度に、美優さんの嬌声が部屋に響いた。そのまま恐ろしい程簡単に指が膣に沈んでいく。

「は、ぁ……指……入っ……って……」

 入り口を中指と人差し指でほぐすように開く。性器には簡単に入ったが、それとは裏腹に中は思っていた以上に狭い。今度は慎重に指を進める。

「リラックスしててくださいね?」

「そ……そんなこと、言われても……」

 くいくいと指を鍵爪のように折り曲げる。美優さんが小さく震え始めた。そのまま円を書くように掻き回していく。手のひらまで愛液で濡れてきて、水音も大きく響いてきた。
 普段はおしとやかに閉じられている足も今はだらしなく開いている。さらなる快感を求めるかのようにこちらに腰を押し付けてくる。その支配感が心地よくて、わざと音がなるように指を動かして弄ぶ。
 指を動かすたびに足が、肩が、息が、性器がびくりと震えている。たしかに、 美優さんの気持ちもわかる気がした。反応が面白くて、愛おしくて。いろいろと試したくなってくる。もう、口でしか息を整える事が出来ないようだ。

「ふ、うぅ……そ、それ……、だめ……」

「駄目なんですか? じゃあやめちゃっても」

 加虐心を掻き立てられた。意地悪く笑いながら動きを止める。
 美優さんの泣きそうな声。

「あ……、ぁ……その、嘘……です。気持ち、いい……。続けて……」

「はっ、あ……ぁ……声、……だめ……でちゃ……」

「美優さん、可愛いですよ……」

 指でゆるくピストンするたびに、嬌声が漏れる。指は愛液でふやけてしまいそうだ。不躾に奥ばかり攻めず、手前の方にも刺激を与える。すこし疲れて動きを止めると、美優さん自ら快感を欲して腰を動かした。もう完全に性欲に溺れているようだ。
 とはいえ、かなり長い時間達するにも達せない快感を与えてしまっている。遠目に見ると足をピンと伸ばしているのが分かった。一度楽にさせてしまおう。

「は、あ……ふー……う、あー……!? Pさん、そこ……!?」

 さっきから弄っていて反応のよかった場所を重点的に擦ってみると、膣内が狭くなるのがよくわかった。とはいえ、愛液で滑りやすいのは変わらない。少しピストンの速度を上げる。

「あ、あんっ、P、さ、ぁん……だめ、わた、ひ……おか、しく……!」

「大丈夫です……。気持ちよくしますから」

「だえっ、も、……イっちゃ、から……!?」

 呂律すら回っていない美優さんの口を塞ぐ。一瞬驚いていたが、そのまま素直に受け入れてくれる。ピストンをは続けながら親指でクリトリスも一緒に刺激する。数秒、腰が思い切り跳ねた。どうやら絶頂を迎えたらしい。
 いきなり快感を送るのを止めることはせず、指をゆっくりと出し入れ。それに反応してびく、びくと体が痙攣している。大きく肩で呼吸して息を整えていた。

「はー、はー……すごい、です……。こんなの、はじめて……」

「美優さん、すごかったですよ……、あんなに濡らして……」

 美優さんに手のひらを見せつける。汗と愛液でびしょびしょだ。指を目の前でなめてみた。少し塩辛く、お世辞にも美味しいとはいえない。しかし美優さんのだと思うと美味しく感じるから不思議なものだ。

「……な、な、な……なにして……」

 恥ずかしさと焦りで真っ赤になったり青くなったり忙しそうだ。本気で怒られる前にふき取っておく。

「ごめんなさい。ついからかいたくなって……気持ちよかったですか?」

「み、見ればわかりますよね……?」

「ふふ。下着までにびしょびしょになってますから」

 使い物にならなくなった美優さんの下着を取り払いお互い裸に。
 寝転がる美優さんにまたがう。もうこれ以上は先伸ばさせそうにない。

「P さん……。あの……もっと……気持ちよく、なり、たい……です」

「はい……でも、あの……ゴムが……」

「今日は、その、大丈夫……です。だから、あの早くP さんの……その、……モノ、を……」

 くぱ、と自分の筋を広げる美優さん。ここまで言われて止まれるわけがなかった。生でいれることに一抹の不安がない訳ではなかったが、それでもう止まれるような状況でもない。
 自分の肉棒を美優さんの割れ目に擦り付ける。ヒダと毛が絡んできて既に気持ちいい。

「は、ふ……Pさ、……早く……っ」

 つぷり、と粘ついた水音が部屋に響いた。ゆっくりと欲望そのものを美優さんの秘部に沈めていく。

「き、つ…………」

「……ぁ……ふぅ……う……」

 中はほぐしていたこともあって進まない訳ではない。ゆっくりとではあるが、たしかに奥へ。進む度に美優さんが震えるのが分かった。膣がきゅうきゅうと刺激を与えてくる。
 全体が暖かく刺激されるような感覚に慣れることはない。一度だしたというのに油断をするとまたすぐに射精してしまいそうだ。

「Pさん……っ、中、まだ、入りきらな……?」

「も、すこし……」

 ようやく根本まで入りきる。実優さんと一つになったという幸福感に包まれる。
 美優さんは痛くないだろうか? いきなり動くことはせず、ゆっくりと抱きついてまずはこの状況を楽しむことにした。

「美優さんと一つに……、夢でも見てるみたいで……幸せです」

「はい。私も……」

「痛くはないですか?」

「えぇ……Pさんが丁寧にほぐしてくれたおかげです。……幸せと、その、気持ちいいのが、同時に」

「なら、よかったです。……、動いても」

「お願い、します……」

 了承を得て、奥まで入れた腰を引く。ずじゅり、と粘ついた水の音。

「ふー……」

 一息ついて、ピストンを始める。意識して遠慮はせず、肉と肉をこすり合わせる。ギシギシとベッドが鳴っている。

「んん! はっ、あぁっ」

 美優さんにはこの激しさは予想外だったのか、声を上げて快感から逃げるように身を捩った。しかし、ここで気持ちよくなってもらわないと困るというもの。体を抑えるように密着して逃げられないように、美優さんを全身で堪能しつつ腰を打ち付ける。段々とぱん、ぱんという肉を打ち合う音だけが部屋を支配していく。

「ふー……、ふー……」

「あ、はあ、あぁん……Pさ、気持ちい」

 漏れる喘ぎ声に合わせて、膣がうねる。快感を貪るような美優さんの動きで、こちらの動きも加速していく。限界まで体を密着させる。手を繋いで、指を絡める。思わず汗で滑りそう。
 快感が股間だけにとどまらず全身を支配する。油断をするとすぐに出てしまいそうだ。あまりの快感に逃げたくなるほどだが終わりたくない。ふざけた矛盾を抱えてどうすればいいのかわからなくすらなりそうだった。美優さんの嬌声がピストンの音に合わさって規則的になっていく。
 それに合わせて腰も動かす。いや、一定のつもりだったがどんどんと早くなる。ブレーキは既に壊れていて止まれそうになどない。

「はぁ、あ、美優さん……、美優さん、美優……!」

「はっ、はっ、Pさん……、も、だめ、イく、イっちゃ……!」

「美優さ、おれも、もう……!」

 お互い限界が近い。中でのうねり、蠢きが激しくなる。美優さんが俺の精を取り込もうとしている。これ以上ないと思っていた情欲はさらに掻き立てられ、腰の動きがさらに加速する。

「あ、あぁん…イく、イく……あああ!?」

 美優さんが絶頂を迎えたらしい。膣がこれ以上ないくらい狭くなる。射精欲が限界まで来た。もう数秒しかもたない。しかし、この快感を終わらせたくない。ギリギリまで腰を動かす。

「あ、だめ、Pさん……動かれたら、また私……!!」

「は…、あ……うぁ……、美優さん……!?」

 美優さんの腰がもう一度激しく跳ね、俺のモノに激しい快感。それと同時、美優さんに腕を背中に回され、足を絡められる。動けなくなって、美優さんの一番奥へ。
 そこで、精を解き放った。びゅーっ、びゅという、二回目の射精とは思えない音。夥しい量の精液を美優さんの膣内に放つ。美優さんと目が合う。下品に舌を差し出してきた。それに対応して無遠慮に絡める。射精して、絶頂して。それでもなお快感を求めるディープキス。

「んっ、んん。ちゅ、ちゅ……ふ、ぅ」

「ぷは。はー……、ぁー」

 汗、唾液、愛液、精液、あらゆる体液が混ざって二人を淫らに塗りたくっている。ようやく射精が止まり、ずるりとモノを抜き取る。精液がどろりと垂れた。

…………………………

………………

……


 お互いベッドに寝転がる。シーツを変えたいしシャワーも浴びたいがもう一歩も動けない。考えてみればライブ、飲み会、性交と密度の濃い一日だった。疲れてはいるが、確かな満足感。思っていたより後悔の念はない。

「Pさん、私……幸せです。貴方にもらった勇気で、こんなにも、変わることができて……」

「変えた、つもりはあまりないんですけどね……もしも、変わったと思うならそれは美優さんが自分でやり遂げたことですよ」

「いえ、P さんが……私を見定めてくれたから。あの頃の、なにもない私を…………」

「それは違いますよ。…………出会った頃、スカウトをしたとき、既に貴女の中に輝くものを見つけたんです……様々な仕事をこなして、ファンを得て……今日のライブ…………、美優さんの力ですよ。俺はほんの少し手助けをしただけ」

「……私じゃあ、あんな衣装の応酬は……思い浮かびもしませんでしたから……当時はびっくりしましたが……」

「はは…………」

「アイドルになって、色んな仕事をして……一歩を踏み出す大切さを知ったんです……それで、今日も」

「……、」

「貴方が意識して、距離を作ってるのは知っていました…………。でも、欲しくなって、しまったんです。卑しい、ですよね」

「いえ。……俺はどこか期待していたのかも。自分から動くことが怖くて、全てを美優さんに押し付けて」

「ふふ。仕事のときとは大違い、ですね?」

「そりゃ、そうですよ。他ならぬ、美優さんの事ですから」

「…………もう、やっぱり口が上手いです」

 恥ずかしさを誤魔化すように抱きついてきた。肌が暖かい。呼応するように背中に手を回した。
 ぽつり、ぽつりと話してるうちに心地の良い眠気。一言言って、目を閉じた。
 美優さんもいつの間にか寝息を立てている。

 今日は驚かされっぱなしだったな。と自嘲気味に笑う。こんな関係はずっとは続けていられない、世間には認められないだろう。とはいえ、下手にスクープにされるのが一番困る。
 俺から関係を進めて美優さんの意思にそぐわないアイドル引退をするのは嫌だったというのも大きかった。

 次は俺が美優さんを驚かす番だろうか。どう切り出そう。今後の展望を考える。
 目の前の幸せを手にするにはなにが最良か思考していくうちに、俺は眠りに落ちていった。

終わりです。

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