後輩「せっ、生徒会室にこたつですか」先輩「乙だろ?」 (26)

後輩「先生には何も言われないんですか、これ」

先輩「バレなきゃ問題ないんだよバレなきゃ」ウケケッ

後輩「えぇ……」

先輩「まぁまぁ、ほら、後輩も入ってみなって」

〈後輩さんがこたつにログインしました〉

先輩「ひひっ……バレなきゃ問題ないだろ?」

後輩「うへ、うへへへ……おぬしも悪よのうです……うへへ……」

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後輩「しかしこたつに積まれているこれはなんですか」

先輩「生徒会の仕事の書類。ちょっと最近は放置して遊びすぎたな」

後輩「なるほど。それで先輩からの呼び出しLINEですか」

先輩「うん、そうそう。昨日の帰り際に先生に"私は生徒会顧問だから色々言われるんだぞさっさとやれ"って怒られちった」

後輩「うへぇ。冬休みも始まって早々これですかぁ。他の方々は?」

先輩「みんなデートだと。ほら、今日イヴだし。ほんとは昨日やれたらよかったんだけど、祝日は学校自体開いてなくてさぁ」ハハハ

後輩「イヴなのにここに来ることのできた自分が悲しいです」

先輩「まぁ大体は生徒会承認の判子を押すか、目を通したってサインするだけだし適当にやっとくれ。生徒会庶務さん」ドサッ

後輩「はいはい。わかりました。副会長さん……しかし、会長さんも彼氏さんとかいたんですね」

先輩「そんなに意外か?会長、美人だしまさにみんながほっておかないって感じじゃないか」

後輩「いや、そうなんですけどなんというか高翌嶺の花って感じが強いといいますか」

先輩「あはは。たしかに。俺が生徒会に入ったときとか会長っつーか女目当てって言われまくったしな」

後輩「へぇ。まぁ先輩以外みんな女性ですしね。今の生徒会。実のところは何目的だったんですか?」

先輩「女子高生に囲まれたかった」

後輩「それが女目的ってやつです」

先輩「まぁ会長さんは実家に帰ってるだけなんだけどな」

後輩「へぇ。もう実家に帰ってるんですか。早いですね」

先輩「年末年始は田舎に親族が集まるんだと。パーティをするからクリスマスから集まる親族もいるらしくて、先輩の家も例に漏れずってやつらしい」

後輩「あぁ、なるほど。育ち良さそうですし親戚付き合いとかすごそうですよねぇ」

先輩「"俺もご両親に挨拶しに行きましょうか?"って言ったら無視されたよ」

後輩「ナチュラルに結婚しようとしないでください」

ペタンペタンッ……カリカリ

後輩「……あの」

先輩「ん?どうした?」

後輩「こたつ暑くないですか?」

先輩「あぁ、少し下げるか」

…………

ペタンペタンッ……カリカリ

後輩「あの」

先輩「ん?どうした?」

後輩「今度はちょっと寒いです」

先輩「わがままだな!我慢しろ!」

後輩「先輩が温度設定大雑把すぎるんですよ!」

先輩「仕方ねぇな!じゃあ俺が抱き締めて暖めてやるからそれで文句ないだろ!」

後輩「それはちょっと文句しかないです」

後輩「そもそもあれですね。こたつだけだと背中が少々寒いですね」

先輩「だったら俺が後ろからだな」

後輩「いらないです」

先輩「……じゃあ確か倉庫にだな」

トコトコ……ガララッ

ガサゴソガサゴソ

先輩「おーあったあった」

カラカラ……

先輩「ほら、コスプレ衣装」

後輩「なんでそんなもんが生徒会室の倉庫にあるんですか……」

先輩「何代前のだったかなぁ。手芸が得意な生徒会員がいたらしくて、文化祭のときに気合い入れまくった結果の産物らしい。まだ文化祭とかで使えるからって置いてくれてるんだと。会長が言ってた」

後輩「なるほど。今年の文化祭も使えばよかったですね」

先輩「俺もそう思ったんだけど会長にスクール水着とニーハイ勧めたら無言で倉庫の一番奥にやられたんだよ」

後輩「それコスプレになります?」

先輩「スクール水着とニーハイ、後輩もどう?」

後輩「防寒にならないです」

先輩「あぁ、胸のあたりとかスカスカになって風通りが……」

後輩「先輩、死体のコスプレします?」

先輩「しません」

先輩「うむむ……じゃあこれとかいいんじゃないか?」

後輩「ミニスカサンタですか」

先輩「時節柄ぴったしだし暖かそうじゃん?」

後輩「ミニスカですよ、ミニスカ」

先輩「下半身はこたつにinする訳だし問題はないだろ」

後輩「むむむ……確かに。じゃあ着てみますので先輩は生徒会室から少し出ててください」

先輩「え?なんで?寒いじゃん?」

後輩「先輩は乙女を目の前で着替えさせるつもりですかっ!」

先輩「謎の光でそんなに見えないから大丈夫だよ」

後輩「頭がアニメに毒されてます!」

後輩「とにかくっ!外で待っててくださいっ!」グイグイッ

先輩「はいはいわかったよ押すなって押すなって」

グイッガララッバタンッ

後輩「絶対覗かないでくださいよ!」

先輩「三分間待ってやる」

後輩「微妙すぎる時間設定ですね」

先輩「だったら40秒で支度しな!」

後輩「先輩がゴミのようです……」シュルル

…………

後輩「はい、いいですy

ガララッ

先輩「……!」サムズアップ

後輩「……」ポカーン

先輩「めりー……くりすます……!」

後輩「あ、はい。メリークリスマスです」

先輩「サンタ帽もきっちり被ってあるあたりがナイスだ」

後輩「ありがとうございます」

先輩「あの、でもこたつから出てもらってもいいかな?ミニスカが見えないからさ」

後輩「仕方ないですねぇ」ガサゴソ

先輩「ふむふむ!ふむふむふむ!」

後輩「先輩、いつもどおり気持ち悪いですね」

先輩「そこはいつもよりって言うところだぞ」

先輩「クリスマスプレゼントは俺の名字とかどう?」

後輩「先輩がもう少し誠実かつ一途になっていただければ考えます」

先輩「俺は誠実極まりないだろ、電車で痴漢とかしないし」

後輩「それは人類として最低限のラインです」

先輩「俺は一途極まりないぞ。かわいくない子には目もくれないからな」

後輩「ある意味潔いですが、印象としてはほぼ最悪の発言ですよそれ」

先輩「しかし、いいな、ミニスカサンタ。クリスマスムード溢れてて」

後輩「そんなにじろじろ見ないでください。刺しますよ」

先輩「ツンが過激すぎない?」

後輩「デレはないですけどね。先輩も何かコスプレしてみてはいかがです?」

先輩「うーん、それもいいんだが女性ものばかりなんだよなぁ」

後輩「別にいいじゃないですか。スクール水着にニーハイとかいかがです?」

先輩「後輩は俺をどうしたいの!?」

後輩「現行犯逮捕ですかね」

先輩「俺のハートなら既に後輩の手錠に絡め取られてるよ」

後輩「もうこれセクハラで現行犯逮捕してもいいんじゃないですかね?」

先輩「やめて」

先輩「というかそもそもその格好さぁ」

後輩「はい、かわいいですよね?」ニッコリ

先輩「かわいいのはかわいいが……後輩も衣装もかわいいが」

後輩「素晴らしい補足ありがとうございます」

先輩「……制服の方が暖かくね?」

後輩「まぁ正直着る前からわかってましたよね」

先輩「ですよねー」

後輩「ということで先輩も同じ目に遭ってください」

先輩「理不尽すぎる要求だ」

後輩「わたし、大好きな先輩のコスプレが見たいんですっ!」ウルウル

先輩「よっしゃ、なんかあるか倉庫見てくるわ!!!」ガタガタ

後輩「ちょろいです」ニヤリ

…………

先輩「…………」

後輩「…………」

先輩「…………どう?」

後輩「トナカイって無難すぎません?」

先輩「まぁ、ほら、クリスマスだし?」

後輩「そんな王道に甘えるなんて……先輩には失望しました……」

先輩「仕方ねぇなぁ……実はこの中はよ……!」チャックジジジジ……

後輩「……!」

先輩「スク水ニーハイだぞ!完璧だろ!」ドヤァ

後輩「……」ピッポッパッ

先輩「やめて。無言で110押すのやめて」

後輩「トナカイの角を頭につけてスクール水着にニーハイってもうなんかいろいろ忙しい格好ですね」

先輩「素敵だろ」

後輩「敵ですね。主に女性の」

先輩「はっはっは。まぁそれはそうとこんなんも倉庫にあったんだよ」

後輩「ほう、イルミネーションですか」

先輩「校舎のクリスマスの飾りつけの余りだろ。クリスマス感あっていいじゃん?」

後輩「しかしこの生徒会室にはクリスマスツリーとかありませんよ?どうするんですか?」

先輩「後輩が身体に巻きつけるんだよ」

後輩「先輩の頭の中はイルミネーションですか?」

先輩「ごめんちょっと意味がわからないぞ」

後輩「お互い様です」

先輩「じゃあもうこたつをイルミネーションにするか」

後輩「イルミネーションこたつですか」

先輩「七色に輝くこたつって神々しくてよくない?」

後輩「最高ですね」

先輩「よし、じゃあ後輩はそっち側な。ぐるぐるするぞ」

後輩「先輩着替えなおさないんですか?寒そうですけど」

先輩「後で着替えるよ。それに後輩も似たようなもんだろ」

後輩「まぁそれもそうですね。ちゃちゃっとやっちゃいましょう」

…………

キラキラ……

後輩「ふぅ。こんなもんですかね」

先輩「やばくない?イルミネーションこたつやばくない?」

後輩「語彙がなくなるくらいすごい達成感ですね」

先輩「めっちゃクリスマス満喫してる気がするぞ」

ガララッ

先生「うぃーっす差し入れ持ってきた……ぞ……」

〈生徒会顧問が生徒会室にログインしました〉

先輩「」

後輩「」

先生「……」ピッポッパッ

先輩「やめてください先生。ぼくは何も悪くないんです。この格好は流れというか、天命で」

先生「先輩くん、わたしはわかっているよ……」カタポンッ

先輩「先生!」

先生「犯罪者はいつもそう言うのさ」

先輩「何もわかってないです先生!」

先生「というかなんだ、そのやたら光ってるこたつは」

後輩「イルミネーションこたつです」

先生「そこのミニスカサンタは」

先輩「天使です」

先生「そこの変態は」

後輩「変態です」

先輩「ちょっと待って」

先生「先輩くんの性癖はさておき。そもそもなんだ、このこたつは。どっから来た」

先輩「その誤解はさておかないでください。……それは倉庫にあったんですよ。あぁ、ここの倉庫じゃなくて部活棟の方の倉庫ですけど」

後輩「へぇ、部室棟のものだったんですね。こたつを使う部活なんてあるんですか?」

先生「部室棟?……あぁ、天文部のやつだな。校舎の屋上で流星群観察なんかをするときに使ってるやつだ」

後輩「天文部?」

先輩「そんな部活ありましたっけ?」

先生「あぁ、あるぞ。といっても部員は今の生徒会長だけだし、生徒会長もこっちで忙しいから実質あってないようなもんだがな」

後輩「へぇ、会長さん星好きなんですね」

先生「わたしにはよくわからんがね。まぁその話はいい。とりあえずそのこたつは部室棟に返してこい」

先輩「えー」

先生「えーじゃない」

先輩「この格好じゃ捕まりますよ」

先生「わかってるならさっさと着替えろ」

…………

先輩「さてと、入っていいですよ」

ガララッ

後輩「トナカイの角ははずさないんですね」ガサゴソ

先輩「クリスマスムードはなくさずに抱いていきたい」ガサゴソ

先生「なに自然に二人ともこたつに入ってるんだ。はやくそのイルミネーションを外せ」

先輩「えー、あったかいですよ。こたつ」

後輩「そーですそーですー」

先生「他の先生に見つかったら何言われるかわからんだろ。私がどやされるんだぞ」

先輩「バレなきゃいいんですよバレなきゃ」ウケケッ

後輩「あったかいですよーきもちいいですよー」フフフ

先生「う……うぅ……」

〈先生がこたつにログインしました〉

先輩「うひひっ、こたつ、いいもんでしょっひひっ」

後輩「こたつは人類のユートピアです……うへへ……」

先生「ほっとするな……あぁ、そういえば差し入れなんだがみかんと缶コーヒーだ」

先輩「食べ合わせ最悪ですね」

 寒い寒い、クリスマスイヴ。

 その生徒会室には、他の場所にはない確かな温もりが溢れていて。

 居心地のいいその空間は、僕らを放さそうとしなくて。放れようと思えなくて。

 月並みだけど、ずっと続けばいいな、なんて思ってしまったんだ。

 その日の生徒会室の窓から漏れる明かりは一際遅く、夜まで灯り続けていた。



 いや、まぁ、生徒会の仕事のこと完全に忘れてて夜になってから急いで片付けただけなんですけどね。

ハーレムじゃないか(憤怒)

おしまい。

読んでくださった方はお付き合いいただきありがとうございます。
衝動的な書き納め。
少し早いけどメリークリスマス。

素敵なクリスマスを過ごしてるリア充な方々はイルミネーションに絡まって海に流されてください。

ゆきの(Twitter:@429_snowdrop)からのお届けでした。

炬燵の中で先輩と後輩が手を繋ぐ所までやろ!

変態が間違えて先生の足を弄って受け入れられちゃって後輩がそんなーするまでや


だがツイッター垢を載せたのはきらい

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