アンチョビ「さくらんぼの実る頃」 (148)


 ―アンツィオ高校―


 ザッ!

 「・・・・・・ついに・・・」


安斎「ついにやって来たぎゃー!アンツィオ高校!」バーン

安斎「おっと、つい訛りが・・・やりなおしやり直し」イソイソ


安斎「ついにやって来たぞ!アンツィオ高校!」バーン

安斎「フッフッフ、とうとう私も今日から高校生だ!『アンツィオの戦車道を立て直してほしい』だなんてスカウトが来た時は驚いたが、この私に目を付けるとはイイ学校に違いない!」

安斎「私が来たからにはこのアンツィオの戦車道を日本一・・・いや、世界一のチームにしてみせる!」グッ

 キーンコーンカーンコーン・・・

安斎「アッ!マズイ!入学初日から遅刻なんて格好がつかないぞ!急げいそげ~!」ピュー

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安斎「フー、なんとか入学式に間に合ってよかったよかった。クラスの皆とも仲良くなれそうだぞ!」エガッタエガッタ

安斎「さて、いよいよ放課後だ!これから私の高校戦車道が始まるんだ!」

 ザッ・・・

安斎「ここが戦車倉庫か・・・思ったよりもボロっちいな・・・それに新入生で戦車道の見学に来たのは私だけみたいだ・・・」

安斎「とにかく、まずは行動だ!お邪魔しまーす!」ガチャ


 CV33<・・・

 セモヴェンテ<・・・

安斎「閑散としてるナア・・・戦車もなんだかワビシー感じだ。修理待ち戦車を置いてる倉庫なのかな?」

安斎「入学式はあんなに大賑わいだったからここも騒がしいと思ってたのに、意外と静かだ。きっと練習前の作戦会議中なのかな!」

安斎「ム!倉庫の奥に人影が!挨拶に行かねばー!」タタター

 ペチャクチャ「それ誰が作ったの?」 「私わたしー」 「ちゃんと下準備したんでしょうね」ペチャクチャ

安斎「こんちわー!」

3年生「・・・あら、新入生かしら?こんな所に来るなんて迷子になったか、何か食べ物が欲しくてきたのかしら?」

安斎「はじめまして!今日からアンツィオ高校に入学しましたピカピカの一年生!安斎千代美です!戦車道をやるために来ました!」ビシッ

3年生「戦車道を?・・・物好きもいたものね。わざわざウチに入学して戦車道を履修するなんて、なにか弱みでも握られてるのかしら?」

安斎「フッフッフ、何を隠そうスカウトされて来たんですよ!アンツィオの戦車道を立て直してくれって!見込まれてきました!」フフーン

3年生「そう・・・それは・・・なんというか・・・苦労するわね」

安斎「はい!自分新入りなんで他のセンパイ方にも挨拶してきますね!で、みなさんいつごろ集合するんですか?」

3年生「全員揃ってるわ」

安斎「へ?」

3年生「この倉庫にいる子達、これで全部。ウチの戦車道履修者」

安斎「・・・」チラ

 ペチャクチャ「このカルボナーラ美味しいな!何入れたの?」 「隠し味は隠してるから隠し味なのよ」 「アクアパッツァでけたよー」ペチャクチャ

安斎「・・・エート、ひーふーみー・・・」


安斎「すくねェ!」

3年生「私が今の隊長で、3年の椎名よ。ジーナって呼んでね。3年が私入れて4人、2年が1人、で、1年があなた1人ってことね」

安斎「た、たったこれだけ!?指で数えられるくらいしかいないんですか!?」

ジーナ「ここではあなたの地元より、戦車道がもうちょっと複雑なの。宴会だったらいつでもできるけど」

安斎「ううっ・・・立て直してくれと言われたくらいだから少しは覚悟していたがここまでとは・・・でも大丈夫!いっぱい履修者を増やせばいいんだ!戦車さえあれば人は集まるもん!」

ジーナ「前向きね。ウチの保有車輛はここにあるのが全部よ」

安斎「ほぁ!?こんなボロボロの豆戦車と自走砲のセモヴェンテだけ!?」

ジーナ「CV33じゃ試合で有効打はほぼ取れないから、マトモな火力は自走砲のセモヴェンテだけね」

安斎「・・・だ、騙されたァーッ!」


2年生「ジーナさーん、セモヴェンテの修理終わったよー」ガラガラ・・・ フー

ジーナ「御苦労様。さ、こっちに来て休んで。みんなでご飯にしましょ」

 \ワーイ!/

ジーナ「あなたも食べるでしょ?新入りちゃん」

安斎「食っとる場合ですかァー!こんな絶望的戦車道チームでやっていける訳がない!お先真っ暗だよ~!」ヒーン

ジーナ「まあまあ、美味しいものを食べたらなんとかなるわよ。さ、座って座って。ウチのパスタは美味しいわよー」

安斎「パスタなんかいらないですよ!入る学校間違えたァ~!どうすればいいんだよォ~!」オロロ~ン!


安斎「このパスタ美味いすね」モフモフ

2年生「新入りの一年ね。私は二年で戦車整備やってるフィオ!二年は私だけだし、やっと後輩ができてうれしい!」

安斎「ハイ!アンツィオにスカウトされて入学しましたピッカピカの一年生、安斎千代美です!」

フィオ「アンザイチヨミ・・・あだ名はアンチョビね」

安斎「あ、あんちょび!?なんですかそのニオイがきつそうな名前!イヤですよ!」

フィオ「アンツィオの生徒はあだ名で呼ぶのが通なの。私のフィオって呼び名もあだ名だし」

ジーナ「新入生のアンチョビちゃん、ウチの戦車道を立て直すためにスカウトされたんですって」

3年生B「へー、じゃあ未来の統帥(ドゥーチェ)ってやつか。頑張りなよ!」ポン

安斎「どぅーちぇ?」

3年生C「統帥はアンツィオを率いる偉大な指揮者のことよ。皆に尊敬されるすっごく立派な隊長のことなの。ジーナは戦車道のやる気なんて全然ないから、あなたが頑張ってね」

3年生D「そうそう。もう私達の代じゃマトモな戦車道なんてできないけからね」

安斎「・・・?」

ジーナ「私達が引退した後はあなたが統帥として頑張るのよ、アンチョビちゃん」

安斎「だからアンチョビってのはやめてくださいよ!」


安斎「アンツィオ高校に入学して一週間」

安斎「戦車道の訓練はまだ一度もない」

安斎「センパイはみんな戦車倉庫に来るけど、毎日料理を作っては試食をするばっかり。2年のフィオさんは戦車の整備をしてくれるけど、戦車道の練習も何もやらない」

安斎「隊長のジーナさんがレコードをかけて、皆で料理をつつくだけ・・・気分がノってくると歌を歌ったり・・・この倉庫の片隅でこじんまりと騒ぐだけ」

安斎「食べて歌って騒ぐことしかしてない!」ナンテコッタ!

安斎「こ、これは思った以上に深刻だぞ・・・こんなに戦車道に無関心だなんて・・・私は本当に立て直せるんだろうか・・・」ゴクリ

フィオ「このカマンベールフライ美味しいね~」ングング

3年生B「ワインに合うツマミってことでお母ちゃんに教えてもらったんだ~」

3年生C「じゃーん、私はミートスパゲティを作りました~」ホカホカ

安斎「センパイ方!」ガタ

フィオ「わ」

安斎「毎日毎日食べて飲んで歌って踊って・・・このままじゃダメです!私達は戦車道チームなんだから、しっかり戦車道をやらなきゃ!私はそのためにアンツィオに来たんです!」

3年生C「まあまあそうカッカしないで。アンチョビちゃんもどう?ミートスパおいしいわよ~」

安斎「そのアンチョビってゆーのやめてくださいってば!スパゲティなんか食べてる間は――」モフ


安斎「美味しいッスね!」モフモフ

3年生C「フフ、後でレシピ教えてあげるから、自分でも作ってみるといいわ」

安斎「――って違ぁう!」バァン!

安斎「みなさん戦車道チームなのに戦車にも乗らず、怠けてばかりじゃないですか!私はアンツィオの戦車道を立て直すために来たんです!みなさんにはしっかりしてもらわないと!」

ジーナ「アンチョビちゃん、実はね・・・私達は戦車に乗れないの」

安斎「ふぇ!?」

ジーナ「私達も昔は戦車道に熱心だったの。でもちょっと・・・校内で無茶な運転をしたり、騒ぎを起こしたりしてね・・・戦車に乗るのを禁止されてるの」

安斎「ど、どういう無茶なことをしたんですか・・・」ゴクリ

3年生B「ホラ、ノリと勢いでちょっと暴れちゃって、ハメを外しすぎたというか・・・な」アハハ

3年生C「つい勢い余っちゃって像やら建物を壊したり、校舎を撃破しちゃったり・・・ね」アハハ

安斎「・・・めっちゃんこおそぎゃー(とても恐ろしい)」

3年生D「まあちょっとしたボヤを起こして戦車を動かしちゃダメって言われちゃったという訳。ここにいる者で戦車を動かしていいのはアンチョビちゃんだけよ」

安斎「・・・」タラ~

フィオ「そういう訳で、私達は戦車道履修者でありながら戦車を動かすのはダメなの」

ジーナ「3年は引退まで戦車搭乗禁止なの。フィオも来年まで禁止だから、実質戦車道チームはあなた一人ね」

安斎「・・・転校しよ」


安斎「結局戦車道の練習は1カ月経った今も一度もやってない・・・」

安斎「このままではイカン!イカンぞぉ!センパイ方が戦車に乗れないのであれば、私一人でやるしかない!」

安斎「私だけでアンツィオの戦車道を復興させてみせる!」バーン


安斎「だがその前に腹ごしらえだ」ペコグゥ~

安斎「学園艦が寄港してることだし、せっかくだから陸で食材を買おう。センパイに教えてもらったレシピを試すにちょうどいいや!」

 ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ

安斎「やっぱり陸地だと色んな物が売ってるな~。学園艦の上よりずっと種類が豊富だ。今の内にたくさん買い込んでおかなきゃだな!」

安斎「えーっと、キノコにエビ、ブルーチーズ、あさりにベーコン、それから・・・」

安斎「あったあった!セール時間で値段が下がってるパスタ!」

 スッ・・・

 安斎「あ」

 少女「あ」

安斎(ウッ・・・同じタイミングでパスタに手を伸ばしてしまった・・・この子もコレを狙っていたとは・・・ど、どうしよう・・・今晩の献立にパスタは欠かせないし・・・)

安斎「・・・あ、あはは・・・」ニガワライ

少女「へへへ」

 少女<スッ ガサ

安斎「アッ!パスタをカゴに・・・」

少女「んじゃ」シュタ

安斎「まてーーーい!」

少女「ん?」

安斎「いやいやいや!同時にパスタ取ろうとしたろ!なんで持ってくんだ!ちゃんと話し合おう!」

少女「いやー、いいかなーって」

安斎「よくない!私だってソレほしいんだから!とにかく、勝手に取るなんてズルいぞ!」バッ ガサ

少女「人のカゴから抜きとって自分のカゴに入れないでよねー」バッ ガサ

安斎「そっちだって!そんな態度ならこれはもらってくぞ!」バッ ガサ

少女「私のだよ」バッ ガサ

安斎「私のだ!」バッ ガサ

少女「私の」バッ ガサ

安斎「私のものだ!」バッ ガサ

少女「あなたの」バッ モドシ

安斎「お前の!」バッ ガサ

少女「あなたの」バッ ガサ

安斎「アンタのものだ!」バッ ガサ

少女「ん、ありがとね。じゃね~」バイバーイ

安斎「まったく、ずーずーしい子供もいたもんだ!でももう高校生なんだし譲ってあげる大人らしさも持つべきだったかな?・・・まあいいや!とにかくパスタは手に――」


安斎「アッ・・・!」


 ――翌日

3年生B「それでまんまと持ってかれたってのか!アンチョビはアホだな~」アッハッハ

安斎「ウウ・・・くやしいっ・・・生活費カツカツで少しでも安いのを買わないとやってけないのに・・・」クゥ~

3年生D「まあ相手は小さい女の子なんでしょ?お姉さんなんだから譲ってあげなきゃ」

ジーナ「まだ数日は出港しないし、学園艦が寄港してる間に安いのを買い込んでおくことね。今日も買いに行くんでしょ?」

安斎「はい!今日こそはパスタ買い溜めします!必ずや手に入れてみせるぞ!パスタァ!」グッ


 ~~~

安斎「売り切れだった・・・」ズーン

安斎「せっかくセンパイ方にパスタ料理のレシピを教えてもらったのに・・・調味料や食材は買えても肝心のパスタが無いなんじゃ世話ないぞ・・・」

安斎「フウ・・・しかしパスタ以外の食材をついついたくさん買ってしまった・・・ちょっとそこのベンチで休憩でも――」


安斎「アッ!」

少女「あ」

安斎「お前は昨日の!ここであったが百年目だ!」クワ

少女「やあやあどうもどうも」モグモグ

安斎「呑気に干し芋なんか食べてられるのも今のうちだ!よくも私のパスタを奪っていったな!」コノヤロー!

少女「そっちがくれたんじゃん」モグモグ

安斎「あんな卑怯な手を使うなんてズルいぞ!いくら小学生でもこの私を騙そうなんて――」

少女「小学生じゃないけど」

安斎「えっ・・・」

少女「小学生と思ってた?」

安斎「あ・・・ご、ごめんな・・・小まっこいからてっきり・・・い、いやいや!中学生でもそれくらいの子は普通にいるし!き、気にすることはないぞ!うん!」

少女「高校生だよ」

安斎「」

安斎「あ、あの・・・ご、ごめん・・・」オロオロ

少女「いーよー、別に気にしないし」

安斎「・・・き、昨日の件はこれでオアイコにしよう・・・しかし高校生とは・・・確かに言われてみれば制服だものな。どこの高校なんだ?」

少女「大洗女子だよー。大洗一年の角谷杏」スッ

安斎「!・・・私はアンツィオ高校の一年、安斎千代美だ!よろしくな!」ガシッ

杏「なんだ、同い年じゃん。アンツィオってイタリア風のトコだっけ」

安斎「そうそう!私はスカウトされて入学したんだ!アンツィオの戦車道を再建してくれとな!」

杏「ふーん、戦車道ねー。アレってまだやってる人いるんだね」

安斎「なっ!失礼な!やってる人はやってるぞ!まあアンツィオじゃ私一人だけど・・・」

杏「ありゃ。そりゃ大変だね」

安斎「うん・・・センパイもいるけど、戦車乗っていいの私だけなんだ」

杏「干し芋、食べる?」スッ

安斎「あ、うん。もらう。ありがと」モグ

杏「私干し芋好きなんだー」モグモグ

安斎「ウマイな」モグモグ

杏「戦車道って楽しいの?」モグモグ

安斎「杏もやってみるか?たっのしいぞ~!戦車がギャラギャラギャラーって走ってズドーンって撃つんだ!たしか大洗には戦車道なかったよな!ウチに来ればいい!きっと楽しいぞ!」

杏「んー、遠慮しとく。あんまり興味ないし」

安斎「え~、せっかく仲間になれると思ったのに」

杏「どうしてもやらなきゃならないような必要に迫られでもしない限りやらないかな。ごめんねー」

安斎「ちぇっ、まあいいや。これから新しい仲間がドっと増やしてやるからな!」

杏「おおー、やる気だねー」

安斎「仲間を増やして、みんなで練習して、楽しく戦車に乗って・・・そして、きっと立派な統帥になるんだ!がんばるぞー!」グッ

杏「ふーん。まっ、がんばりなよチョビ子」

安斎「ちょ、チョビ子ぉ!?なんだその呼び名は!」

杏「千代美だからチョビ子。ピッタリじゃん」

安斎「やめろやめろ!かっこ悪いからやめてくれ!」

杏「いいじゃんチョビ子~、がんばれよチョビ子~」

安斎「や~め~ろ~!」

今回はここまでで
このSSは安斎千代美がアンツィオの立派なドゥーチェになるまでの軌跡を妄想するお話です
更新は非常に非常にゆっくりになるかと思います

 ガチャ

安斎「ふ~、なんだかんだで話し込んでしまったな。結局パスタは買えなかったが・・・今日はセンパイに教えてもらったリゾットを作ってみよう!」

安斎「エート、レシピメモによると、材料は玉ねぎ、きのこ、ゲーコン、バター、オリーブオイル、お米と粉チーズ、ブイヨンとコンソメだな」

安斎「まず、玉ねぎをみじん切りにしてー、他の具材も適当な大きさに切りまーす」トントントントンワシントーン!

安斎「次にコンソメスープを作る。用意したお米の二倍くらいの水に分量分のコンソメを入れて沸騰させまーす」アチチ

安斎「その間にフライパンで玉ねぎやら具材を炒める。玉ねぎは弱火だと甘くなっちゃうから中火くらいでサっと炒める、と。出来たら皿にどけてー」ズズイ

安斎「フライパンにバターとオリーブオイルを入れて溶かして、米を入れて中火で炒める。米が半透明か、ちょっと白っぽくなるまで炒めるのだー」ジャンジャンジャジャーン

安斎「こうすることで煮崩れしなくなるんだとか。そこに白ワインを少し入れてアルコールを飛ばすのが一工夫ポイント」チョビーッ

安斎「皿にどけてた具材を米に加えて混ぜ、コンソメスープを半分ほど入れる。それから中火で米を茹で上げだー」アチチチチ

安斎「かき混ぜすぎると粘り気が出ちゃうから混ぜすぎないようにイイアンバイで。焦がさないように軽くでいいらしい」ネルネルネルネ

安斎「水分が米に吸われて無くなったら、残りのスープのさらに半分を入れる。で、また水分が無くなったら残りのスープを全部入れる。隙を生じぬ三段構え!」ババン!

安斎「10~15分くらい煮たら粉チーズをかけてサックリ混ぜ合わせ、塩コショウで味を調えてー」トントントントンヒノノニトン!

安斎「できたー!これぞアンツィオ流リゾットだー!温かい内にごしょうみあれ!」パンパカパーン!


安斎「うん!ウマイ!」テーレッテレー


安斎「ボンジョルノ!」パァー

先輩B「おー、今日はゴキゲンだな未来のドゥーチェ」

安斎「うん!昨日センパイ方に教えてもらったリゾットを作ってみたらすんごくおいしくって!朝から調子イイんスよー!」ルンルンキブン

先輩D「それはそれは。我がアンツィオは代々先輩達からイタリア料理を教えてもらってきたんだよ。アンチョビちゃんも次世代の後輩達に伝えていってね」

安斎「はい!センパイ方、もっともっと色んな料理を教えてください!」

先輩C「もちろん。アンツィオ秘伝の絶品レシピをたくさん伝授してあげるね」

安斎「わーいやったー!」ピョンピョン


安斎「ちがぁう!」バァン!

 ∑先輩達<ビクッ!

安斎「戦車道しなきゃならないんスよ!アンツィオの戦車道をシャンとさせなきゃならんのですよ!料理のことばっかりじゃ私までダメになっちゃうよー!」バタバタ

先輩B「まで?」

安斎「でもセンパイ方は戦車乗っちゃダメだし、私一人じゃ戦車道はできないし、どぉすればいいんだぁ~!」ワーン

ジーナ「嘆かないのアンチョビちゃん。人生は坂道がたくさんあるんだから、あんまり急ぐとすぐ疲れちゃうわよ」

安斎「あっ!ジーナさんがワイン(風)飲みながら大人っぽいこと言い始めた!」

ジーナ「来年度に新しい履修者をたくさん増やすためにも、今から準備をしておけばいいのよ」

安斎「・・・じゅんび?」

ジーナ「戦術の勉強をして、戦車の整備方法を覚えて、そして料理をたくさんマスターするの。それがアンツィオの統帥たるものの持つべきスキルよ」

フィオ「なるほど。アンツィオの統帥になるための修行期間って訳だね」

安斎「・・・なるほど・・・たしかに!よーし!明日から戦車道の授業の時間に戦術と整備の仕方を学んで、放課後に料理の勉強をするぞー!」

フィオ「驚くほど素直」

ジーナ「さ、そうと決まればご飯にしましょ。ミラノ風カツレツを作ったわ。イタリアで言う、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼよ」ジュンジュワ~

安斎「わーい!おいしそー!」ジュルリ


安斎「エート、『兵法三十六計』によると、相手が一筋縄ではいかない場合の作戦のことを『攻戦計』と呼ぶ・・・と。その中で使えそうなのは~・・・」

安斎「敵を本拠地から誘い出し、味方に有利な地形で戦う『調虎離山』という作戦!これはイイぞ!火力が低い戦車ばっかりのアンツィオだからこういうのやってかないとな!」

安斎「他には・・・相手がかなり手ごわい時の作戦、『混戦計』!これは見逃せないな!」

安斎「あたかも現在地に留まっているように見せかけ、主力を撤退させる作戦、『金蝉脱穀』・・・これは是非実戦で使わないと!」

安斎「よーし!今日も色々学べたぞ!明日は孫子の兵法とハンニバル・バルカの戦術を勉強するぞー!いっぱい戦術を学んで立派なドゥーチェになるんだもんね!」フンス


ジーナ「♪~・・・♪~♪~・・・」

安斎「!・・・わ・・・綺麗な歌声・・・」

先輩C「驚いた?ジーナの歌声はアンツィオでも随一なのよ。アンチョビちゃん勉強に夢中すぎて聞こえてないのかと思ったわ」

安斎「これ、なんて歌なんです?」

先輩C「『さくらんぼの実る頃』っていう、フランスの曲よ」

ジーナ「♪~・・・アンチョビちゃん、がんばるのはいいことだけど、詰め込みすぎるのはよくないわ。適度に空気を抜かないと破裂しちゃうわよ」

フィオ「そうそう、おじいちゃんがよく言ってた。徹夜はするな、睡眠不足はいい仕事の敵だ。それと美容にも良くないって、ね」

安斎「はーい」

先輩D「白身魚のムニエルが出来たよー」ホカホカ

安斎「わーい!」タタタ


フィオ「――で、そこを閉めたらオッケーだよ」

安斎「こう?」キュッ

フィオ「そうそう。これでとりあえずの整備は覚えられたかな」

安斎「やったー!明日からどんどん練習してジャンジャン壊してビシバシ直すぞー!」

フィオ「いやいやいや、私が教えたのは応急の整備法だからガッツリの故障は直せないわよ。それから・・・私、もうすぐ学校辞めるわ」

安斎「・・・・・・え?えぇ!?はぁ!?」

フィオ「ウチの実家は戦車整備の工場でね、おじいちゃんが経営してるんだけど父さんも兄さん達も皆出稼ぎに出て行っちゃって、私が家の手伝いをすることにしたの」

フィオ「まあどっちにしろ卒業したら家で働くつもりだったし、ちょっと前倒しになっただけなんだけどね。夏休み明けと同時に学校辞めるの」

安斎「な、な、なんだってぇー!秋になったら三年のセンパイ方も引退だし・・・そっから私は一人っきりなのかぁ~!?」

フィオ「まあ私が高校辞めるまでにそれなりのことは教えてあげるから、ゆっくり少しずつ行こっ」

安斎「うぅ・・・そ、そんなぁ・・・」オヨヨ・・・

先輩B「おーい二人ともー!おいしいおいしいグラタンができたぞー!アツイうちに食べなきゃ損だーっ!」

安斎「おおーっ!フィオセンパイ聞きました!?グラタンですよグラタン!早く食べに行かないと!」タタタ

フィオ「すっかりアンチョビちゃんもアンツィオに染まったなぁ」


杏「おーチョビ子ー」

安斎「チョビ子じゃない!安斎千代美だ!」

杏「どうよ、そっちは」イモグモグ

安斎「順調じゅんちょぉー!今日も島津の戦術書を図書館で借りてきて10ページも読んだんだぞ!」

杏「ほー」

安斎「昨日は私一人だけど戦車で射撃の訓練もしたし!」

杏「へー」

安斎「もう30品くらいレシピ覚えたもんね!」

杏「ふーん。がんばってるんだ」モグモグ

安斎「着々と立派な統帥ステップを登ってるんだ!きっと来年には全国ベスト8・・・じゃなかったベスト4だって狙えるぞ!」

杏「ま、がんばってねー」

安斎「杏もアンツィオに来ないか?今からでも遅くはない。一緒に戦車道やらないか?」

杏「んー・・・遠慮しとく。私、今の学校スキだし、友達と離れたくないしー」

安斎「チェッ、いい戦友になれると思うのにナア・・・」

杏「それよりさ、おいしい料理をマスターしたんなら御馳走してくれない?アンツィオのイタリアンは有名だもんね」

安斎「おお!もちろんいいですとも!フッフッフー、そんなにこの私の手料理が食べたいのかー!」フフーン

杏「うん、食べたい」

安斎「うっ・・・そうハッキリと言われるとちょっとテレるじゃないか・・・」

杏「チョビ子のおいしい手料理が食べたい。お腹いっぱい食べたい。楽しみたのしみ」

安斎「な、なんだそれ!からかうんじゃない!それとチョビ子ってのはやめろー!」

杏「友達も呼ぶから3人前は作ってね」

安斎「えんりょないな!」


安斎「夏休みも終わった」

安斎「今年の優勝校、黒森峰の試合をテレビで見たけど・・・すごかった。特に同じ一年の西住まほ・・・アイツは大物になるな!」

安斎「でも・・・3年のセンパイ方は戦車道を引退、フィオセンパイは学校を辞めて・・・私はとうとう一人ぼっち」

安斎「履修者が私一人だからってことで学校からもらえる戦車道資金も大幅カット・・・先生もゴメンねって言ってくれたけど、これからは弾薬も燃料も節約しないと・・・」

安斎「アルバイトのシフト増やして、戦車の整備費を稼がないとナア・・・」

安斎「でも塞いでたってしょうがない!私はメゲないぞ!戦車の練習をして、戦術の勉強して、整備の練習をして、料理の腕を磨いて・・・」

安斎「立派なドゥーチェになるんだ!」


 セモヴェンテ<ドワ! ドーン!

杏「おー、当たった当たったー」

安斎「す、すごいぞ杏!初めて戦車に乗ったのに標的ど真ん中に命中なんて!才能あるぞきっと!」

杏「ていうか部外者の私がこんなトコ来て、戦車に乗ったりしても良いの?」

安斎「ヘーキヘーキ!なんか言われたら戦車道の偵察に来たって言えばいいんだから。それよりスジがいいぞ!やっぱりアンツィオに来ないか!?」

杏「んー、転校は無理だけど、戦車道やってみるのもいいかもなー」

安斎「おおっ!だったらやってみるといい!いいライバルがいれば私も成長できるからな!」

杏「やっぱやめとく。『戦車道をやる!』って意気まいてるチョビ子と『戦車道でもやるかー』って気構えの私とじゃモノが違うよ。ライバルなんて無理無理」

安斎「むぅ・・・誰かを戦車道に引き込むのって案外難しいんだナア・・・来年の新入生を勧誘するのは大変そうだ・・・」

杏「戦車道やってれば男子にモテるとか言えばいいんじゃない?」

安斎「えっ!?そ、そうなのか!?私そういうのぜんぜんわかんないから・・・」

杏「チョビ子カレシいないの?かわいいし料理上手だしいいおヨメさんになれると思うのにな~」

安斎「なっ!そ、そんなこと・・・」カァ~ッ

杏「あははー、チョビ子はからかいがいがあるなー」ケタケタケタ

安斎「こ、このからかい上手の角谷さんめ!ドゥーチェを笑いものにするなー!」


安斎「うぶるるる・・・さ、さむい!冬の学園艦はめっちゃんこ冷え込むな!」ブルル・・・

安斎「今日は節約して簡単に作れる里芋のブルーチーズグラタンを作るか!」

安斎「茹でて皮むいて適当なサイズに切ってー」トントントントンワシントーン!

安斎「生クリーム、ブルーチーズ、塩を温めて混ぜたものに加えてー」マゼマゼ

安斎「グラタン皿に入れて上にとろけるチーズ、その上にパン粉をパラパラかけてー」パンパンココジャパーンパン!

安斎「イイ塩梅に焼き上げると・・・ハイ!できあーがりー!うンめェ~っ!」モグモグ

安斎「・・・でも前にセンパイ方と一緒に食べた時はもっと美味しかったのに、一人だとあんまりおいしくないナア・・・」

安斎「・・・絶対にたくさん仲間を作るぞ!絶対に!」


安斎「センパイ方!卒業おめでとうございます!」パンパカパーン!

ジーナ「ありがとう。なんとか全員留年せずに済んでよかったわ。わざわざフィオまで駆けつけてくれたのね」

フィオ「先輩達の卒業式ですから当然です!ご卒業おめでとうございます!」

先輩B「引退してから戦車倉庫にあんまり寄れなくてゴメンな。でもアンチョビちゃんが頑張ってるのは知ってるぞ。エライエライ」ナデナデ

先輩C「明日からは本当にアンチョビちゃん一人だけどがんばってね。応援してるから」

先輩D「アンチョビちゃんにこれを託そう。アンツィオ代々伝わる『P-40貯金』だ!気も遠くなるくらい昔から貯金されてるんだよ」

安斎「わ・・・豚さんの貯金箱だ」

先輩B「重戦車を買うための貯金だけど、どうしても困った時は使ったらいいぞ。普通にやっててもまだしばらく目標額には届かないし」

安斎「わかりました。お腹が空いた時はえんりょなく使わせてもらいます!」

先輩C「いいドゥーチェになってね」

先輩D「アンツィオの未来を任せたよ!」

安斎「ハイ!・・・アンツィオ戦車道チームは未来の統帥(ドゥーチェ)が・・・」

アンチョビ「このアンチョビが切り開いてみせる!」パァー

フィオ「おおっ!・・・がんばれドゥーチェ!」


アンチョビ「よーし!今日はアンチョビ特製スペシャルカルボナーラを御馳走するぞー!」

 \オオ~!/ \ワーイ!/ \ウマソー!/


アンチョビ「新入生諸君!入学おめでとう!ようこそ我がアンツィオへ!」

アンチョビ「君達の未来は無限に広がっている!まずは戦車道をやってみないか?と~っても楽しくてカッコイイぞ!」

アンチョビ「戦車道は淑女のたしなみ!戦車に乗れば良妻賢母になれるぞ!・・・なれるカモ!」

アンチョビ「おいしいご飯も食べれるし、戦車道チームに入ればいいことばっかりだ!せっかく高校に入ったんだから楽しもう!人生は踊らなきゃ!」

アンチョビ「さあ!一緒に戦車に乗って楽しもう!」


 ・ ・ ・

アンチョビ「だれもこねぇ!」

 アンチョビ「ちょ、ちょっとそこの新入生!君だよ君ィ!戦車道やらないか!?」

    アンチョビ「きみ、いいからだしてるね。戦車道チームにはいらないか?」

  アンチョビ「・・・君、新入生だよね。戦車道やらないかって誘うとみーんな逃げちゃうんだけど、なんでか知ってる?」

一年生「ひっ・・・戦車道・・・アンツィオの戦車道チームって不良だって中学生の間でも噂だったんですよ。校内ムチャクチャにして回ったって・・・戦車禁止にもされたって」

アンチョビ「・・・センパイ方め、とんでもない置き土産を・・・」


 ―戦車倉庫

アンチョビ「うう・・・結局だ~れも参加してくれなかったよ~・・・」オヨヨ・・・

アンチョビ「切ったカマンベールに小麦粉つけて溶き卵に通してパン粉つけて高温油で10秒ほど揚げたカマンベールフライも用意してたのに・・・一人で食べることになるとは」

アンチョビ「わーん!一人じゃ戦車道できっこないし、新入生はビビって来ないし、どうすればいいんだぁ~!」ワーン

 ガチャ

 「あの~、すみませ~ん」

アンチョビ「・・・?・・・なんだ?迷子の一年坊か?・・・職員室ならそこの角を曲がって――」

 「いえ、戦車道チームに入隊したいんですけど・・・」

アンチョビ「入隊・・・・・・!!?」ガタッ

アンチョビ「確保ォーーーッ!」ガバッ

アンチョビ「ようこそアンツィオ戦車道へ!私が隊長の、ドゥーチェアンチョビだ!」バーン

 「ドゥーチェアンチョビさん・・・それって本名なんですか?」

アンチョビ「いいや、センパイに名づけてもらったんだ。アンツィオはあだ名で呼ぶのが通なんだぞ!」

 「へぇー、私はひな――」

アンチョビ「あーイヤイヤ!待て待て!君の名前はうーんそうだな~・・・カルパッチョ!カルパッチョでどうだ!?」

 「えー・・・どうしてですか」

アンチョビ「私はカルパッチョが大好きなんだ!イイあだ名だと思うぞ!」

 「えっ・・・」

アンチョビ「あっ!違う違う!カルパッチョが好物ってことだ!それくらい君が来てくれてウレシイってこと!」

 「うーん、まあいいかなーって思うようになったらカルパッチョって名乗りますね」

アンチョビ「よし!じゃあ私も勝手にカルパッチョと呼ばせてもらうぞ!改めてアンツィオにようこそ!来てくれて本当にウレシイぞ!よろしくな!」

カルパッチョ「はい、こちらこそよろしくです、ドゥーチェ」

アンチョビ「おっ・・・おお・・・おおー!後輩にドゥーチェと呼ばれるのも悪くないな!」アッハッハ!

アンチョビ「よーし!せっかく仲間ができたんだ!パーティをするぞ!ワインと料理をごちそうしてやろう!」

カルパッチョ「わー」パチパチ

アンチョビ「そうと決まれば買いだしだ!今日は卵がお安い日!すぐに買ってくるから待っててくれ!」ガチャ

 ドッ

アンチョビ「わっ!・・・とと、危ない。倉庫のすぐ外になにか転がって――」

 「・・・ぅ・・・ぅぅ・・・」

アンチョビ「わー!誰か行き倒れてるー!」

カルパッチョ「わあ、ほんと!」ビクッ

 「だ・・・だれか・・・水・・・パンを・・・」ウウ・・・

アンチョビ「な、なんだ?・・・お腹減ってるのか?」

カルパッチョ「とにかく中に入れてあげましょう。なにか食べ物は残ってますか?」

アンチョビ「ここをどこだと思ってる。アンツィオだぞ!ないわけがない!」フンス

 「ガツガツバクバクムシャムシャゴクゴクンプハァーッ!」

アンチョビ「ムチャクチャ食べるな・・・私が作ったペペロンチーノとカニのソースのニョッキがおいしいのはわかるが、そんなに慌てて食べると喉につっかえるぞ」

 「――ングッ!?ググッ!・・・グマ!グママッ!グ~・・・マッ!」ウグ~

アンチョビ「ほれみろ!いわんこっちゃない!」

カルパッチョ「背中トントンしますね」ドム!

 「ぐぶっ!・・・ゴクン!・・・・・・ップハァ~!あ~、おいしかった!」パァー

アンチョビ「お、おお・・・安堵よりもオイシイが先に来るとは・・・」

 「あ、ウマイご飯を食べさせていただいてありがとうございます!いやースンゲー腹減っちゃってフラフラしてる内にブっ倒れちゃってさー。でもウマイ料理食べれたんで結果オーライッス!」アッハハハ

アンチョビ「そうかそうか!お腹が減っている人を見過ごしたりできないからな!」

カルパッチョ「ドゥーチェ、この子一年生の子ですよ。せっかくですし戦車道に勧めてみたらどうですか?」

アンチョビ「!名案だカルパッチョ!よし、今日からカルパッチョには私の副官をやってもらおう!」

カルパッチョ「二人しかいませんからね・・・」

アンチョビ「君ィ!ここで会ったもなにかの縁だ!一緒に戦車道をやらないか!?」

 「せんしゃどー?なにそれオイシイんスか?」

アンチョビ「たっのしいぞ~!戦車をドドドーって動かしてガガガーって撃ってドーンって勝つんだ!」

 「ドドドー・・・ガガガー・・・ドーン・・・ヤッベェー、スッゲー楽しそう」ウズウズ

カルパッチョ「それに美味しい料理もたくさん食べれるわよ。ね、ドゥーチェ」

アンチョビ「ム?・・・!・・・おお!そうだそうだ!我がアンツィオ戦車道では食が大事!毎日色々な料理を作るんだ!」

 「!・・・さっきのみたいにオイシイの食べれるんスかァ!?」

アンチョビ「ああ!アンツィオ伝統のイタリアンはぜーんぶ作れるからな!どうだ?一緒に戦車道やるか?」

 「やります!食べます!戦車道やりまーす!」ピョンピョン

アンチョビ「ぅわーい!ヤッター!二人も仲間が増えたー!でかしたぞカルパッチョ!」

カルパッチョ「やりましたねドゥーチェ!」

アンチョビ「ぃよーし!君の名は今日からペパロニだ!一緒に楽しく戦車道しような!」

ペパロニ「ハァイ!よろしくしてやってください姐さん!」


アンチョビ「今日この日から私達の戦車道はスタートするんだ!やるぞカルパッチョ!ペパロニ!我がアンツィオの覇道を突き進むぞー!」

 カルパッチョ&ペパロニ『オオー!!!』

今回はここまでで


 CV33<ギャラギャラギャラ!

 ペパロニ「ヒャッホォーウ!たんのしいィーッ!」

アンチョビ「トバしてるなーペパロニ!どうだ!戦車って楽しいだろー!」

 ペパロニ「ハイ!もうたまんねぇッスよコレェー!」ギャラギャラギャラ

カルパッチョ「随分スピード出してますねー。大丈夫かな」

アンチョビ「へいきへいき!車内は特殊なカーボンで加工されてるからよっぽどのことでもない限りケガなんてしな――」

 CV33<ギャラギャラギャラドガッ!ガンッ!ガンガンガンゴロゴロゴローッ

アンチョビ「わー!すんごい勢いでスっ飛んだァー!ぺ、ペパロニィー!」タタタ

カルパッチョ「何回転も転がり回りましたよ!だ、大丈夫ペパロニ!?」タタタ

ペパロニ「――・・・はー、ビックリしたー」ピヨピヨ

アンチョビ「ペ、ペパロニ!平気か!?ケガしてないか!?」

ペパロニ「ハイ!へっちゃらッス!っていうかめっちゃくちゃ楽しかったんでもっかいやっていいッスか!?」

アンチョビ「ダメに決まってるだろ!ケガしたらどーするんだ!いくら特殊カーボンでも危ないじゃないか!もうあんな無茶な運転するんじゃないぞ!」

ペパロニ「あはは、姐さん大げさッスよー」

アンチョビ「私にとっては試合で勝つよりもお前達がケガ無く無事でいてくれるほうが大事なんだ!わかったな!」

ペパロニ「・・・へへへっ、ハーイ」

アンチョビ「あっ!なに笑ってるんだ!こっちは真剣なんだからな!」


ペパロニ「うめぇ!」パァー

カルパッチョ「ホント、おいしいです」ングング

アンチョビ「フフーン!そうだろそうだろー。センパイ方から受け継いだイタリアンだ!お前達もこれくらいできるようになるんだぞ!」

ペパロニ「えー、でも私は食べる専門がいいなー」

アンチョビ「なに言ってるんだ。料理はアンツィオ必須スキルだぞ。それに自分で作れるようになればいつでも自分で食べれるんだぞ!」

ペパロニ「!・・・スゲェ・・・ホントだ・・・さすがドゥーチェかしこいッス!」

カルパッチョ「でも私こんなに美味しく作れる自信ないですよ」

アンチョビ「安心しろ!私がちゃーんと教えてやるからな!アンツィオ伝統を紡ぐのもドゥーチェの役割だ!」

ペパロニ「こんなに美味しいのが作れるならがんばるッスよー!その前におかわりー♪」

アンチョビ「あ、あんまり食べ過ぎるなよ。料理だってタダじゃないんだから・・・3人に増えたのに戦車道予算チョビっとしか増えなかったんだ」

カルパッチョ「えっ・・・まさかこの材料費はドゥーチェが?」

アンチョビ「ま、まあな。戦車の燃料や弾薬や整備費もカツカツだから・・・だからって食を切るわけにもいかないもんね」

カルパッチョ「・・・ドゥーチェ、苦労してるんですね・・・私もアルバイトします。食費の足しくらいは稼ぎます」

ペパロニ「なんかわかんないけどおいしい料理食べれるならアタシもがんばるッス!」

アンチョビ「お・・・お前ら・・・グスン・・・私はイイ後輩に恵まれた・・・よーし!どんどん食べろ!食べることを我慢する必要なんかない!好きなだけ食べろー!」


アンチョビ「よーし、今日の練習はここまでー!」

ペパロニ「おつかれっしたァー!」バッ

カルパッチョ「だいぶ戦車の操縦が上手になったね、ペパロニ」

ペパロニ「カルパッチョこそ!めちゃくちゃ装填早いし狙った的を外さないよなー!」

カルパッチョ「私達、ちょっとずつだけど強くなってるのね。ドゥーチェの指導のおかげだね」

アンチョビ「そ、そうか?そうなのかなー?」テヘヘ

カルパッチョ「ドゥーチェのような強くて賢い隊長がいればアンツィオは安泰だよねーペパロニ」

ペパロニ「ああ!よくわかんねーけどそうだな!」

アンチョビ「デヘヘヘ・・・そ、そんなにホメるんもんじゃないぞ!まったくー!」デヘヘ

カルパッチョ「ドゥーチェって本当にいい先輩だよねー。憧れちゃうな~」

アンチョビ「ぃよーし!今日はドゥーチェ機嫌がイイから特別にティラミス作っちゃうぞー!」

ペパロニ「うひょぉー!やったぁー!」

カルパッチョ「フフフ」


アンチョビ「今年の戦車道全国大会、まさかプラウダが優勝するとはな」

カルパッチョ「黒森峰は強かったけど10連覇を逃しちゃいましたね」

ペパロニ「あーあ~、ウチもあんな風にド派手に試合したいな~」

アンチョビ「心配するな!来年こそ我がアンツィオは全国大会に参加するぞ!そして日本中に旋風を巻き起こしてやるんだ!」

カルパッチョ「今年は3人しかいないから参加できませんでしたね・・・来年はいっぱい履修者来るといいなぁ」

アンチョビ「うーむ・・・そうだな。履修者を増やすにはどうすればいいんだろう・・・今年も結局カルペパの二人だけだったし・・・」

ペパロニ「美味しい料理を御馳走するって言われたらアタシすぐついて行っちゃうけどなー」

カルパッチョ「!・・・それです!ドゥーチェ、料理を振る舞えばみんなやって来るんじゃないですかね!不良だってイメージも拭えるかもしれません!」

カルパッチョ「それにお店を出して料理を売れば戦車費用も稼げるんじゃないでしょうか!」

アンチョビ「へ?・・・!・・・そ、そうか!そんなこと考えもしなかった!すごいぞカルパッチョ!さすが我が右腕!」

カルパッチョ「えへへー」

アンチョビ「よーし!そうと決まれば明日から屋台を出して私の自慢の料理の腕前を振るってやるぞー!」

 \オオー!/


アンチョビ「・・・今月の生活費・・・ガス代や電気代モロモロを引いて、手元に残るのは3126円・・・」

アンチョビ「屋台でけっこう稼いだおかげで、今まで戦車費用に使っていたアルバイト代を自分用に使えるようになったぞ!う、ウレシイ!」ジーン

アンチョビ「これで今月こそ久々に大好きな恋愛小説を買えるぞ!・・・買い溜めてた分を一気に買うんだもんね!」グフフ

ペパロニ「ドゥーチェおまたせーッス!さ、帰りましょー」

アンチョビ「おう!でもちょっとだけ寄り道させてくれ」

カルパッチョ「なにかお買い物ですか?」

アンチョビ「へへーッ、その時まで秘密だっ」


アンチョビ(フフフ、本屋さんに近づくごとに心テンションが上がってきてるぞ!長い間楽しみにしてたからな~!)

ペパロニ「あ、見てください姐さん!映画館で『紅の豚』やってますよ!特別リバイバル上映でスって!」

アンチョビ「お、ほんとだ」

カルパッチョ「へー、小さいころに見たけど、どんな映画だったか覚えてないなぁ」

ペパロニ「マジかよカルパッチョ!アンツィオの女なら・・・いや、日本人なら『紅の豚』は必須だろぉ~!よーし!じゃあ皆で見ようぜ!」

アンチョビ「!」

カルパッチョ「うーん、見たいけど私あんまり手持ちが無くて・・・特別上映だから料金1000円ですごく安いけど、アルバイト代も戦車道にほとんど使ってるし」

ペパロニ「あっ・・・アタシも200円しかねェ・・・チェッ、3人で映画見れると思ったのにな~」

アンチョビ「・・・」

アンチョビ「心配するな!こんなこともあろうかとドゥーチェは多めにお金持ってるのだー!」ペカー

ペパロニ「マジッスか!!!」

アンチョビ「3人で3000円!それくらいこの私が払ってやるさ!先輩として、隊長として、統帥として後輩にオゴるのもたまにはいいだろう!」

カルパッチョ「そんな!悪いですよ」

アンチョビ「フフン!ドゥーチェをみくびるんじゃない!こんな出費なんともないさ!それに私もお前達と一緒に映画見たかったからな!」

カルパッチョ「ドゥーチェ・・・」

ペパロニ「さっすが姐さん!一生ついてくッスー!」

アンチョビ「さァ!そうと決まったらチケット買いに行くぞ!ドゥーチェにつづけー!」ワー

ペパロニ「オー!」ワーイ

カルパッチョ「はい!」


ペパロニ「すんません、ポップコーン塩バター味特大サイズとフィギュア付きドリンクのメロンソーダ特大サイズとハーゲンダッツください」

アンチョビ「ちょっとはえんりょしろ!」

今回はここまでで。あんまり山も谷もないけど短めにシュっと終わるつもりなので温かい目で見守ってくださス


アンチョビ「――で、ペパロニが一気に走りだしたんだ!だがカルパッチョは冷静に照準をカルロヴェローチェに定めて・・・」

杏「ふふっ」

アンチョビ「ん?なんだ?なんで笑うんだ?まだオチまでいってないぞ」

杏「いやぁ~、チョビ子楽しそうだな~って思ってさ」

アンチョビ「チョビ子と呼ぶな!」

杏「ちょっと前まではさ、先輩も引退して一人でさみしーって言ってたけど、後輩が来てからは毎日楽しそうだよね~」

アンチョビ「まあな!一緒に笑い合える人がいるってのはイイことだ!杏も毎日楽しめよ!」フンス

杏「・・・」

アンチョビ「・・・?・・・あ、あれ?なにか悩みごとか?」

杏「んや、友達と一緒にいれるのは楽しいよ。でも・・・最近風の噂で聞いてね。ウチの学園艦・・・」

アンチョビ「・・・?」

杏「・・・やっぱなんでもない」

アンチョビ「な、なんだそりゃ!気になるじゃないか!」

杏「それよりこのフォカッチャおいしいね。食べやすくていいなー」

アンチョビ「おっ!そうだろそうだろー!作り方も簡単で手軽に食べれるからな!作り方教えてやろっか?」

杏「んー、いい。めんどうだし。あたしは食べる専門だから」

アンチョビ「えーっ」


アンチョビ「えーっと、燃料補給をしてー、弾薬の在庫を補充しといてー、それからー」エート

ペパロニ「あっ!ドゥーチェなにしてんスかー?つまみ食いはナシッスよー!」

カルパッチョ「なにを書いてるんです?」

アンチョビ「これはな、『やることリスト』だ。やらなきゃならん大事なことを、こうやって書いておくと忘れないだろ?」

ペパロニ「はぇ~、さっすが姐さんやることが違うッスね~」カンシン

カルパッチョ「見せてもらっていいですか。・・・戦車整備品や食材の買い出しメモ、次のテストの範囲までメモってますね」

ペパロニ「あれ?この『全国大会で勝つ!』ってのはなんスか?」

アンチョビ「あっ、それは・・・まあ、目標というかなんというか・・・」ゴニョゴニョ

カルパッチョ「フフ・・・これは『やることリスト』とはちょっとテイスト違いますね」

アンチョビ「い、いいだろべつに!やらなきゃならん大事なことに変わりないんだし!」

ペパロニ「んじゃアタシもリストに追加しよ~っと!」カキカキ

アンチョビ「アッ、勝手に・・・ん?・・・『めちゃくちゃおいしいパスタをつくる!』・・・ってなんだこれは!」

ペパロニ「やらなきゃならん大事なことッス!」ニカー

カルパッチョ「じゃあ私も追加しよー」カキカキ

アンチョビ「『みんなで楽しく戦車道をする』・・・お前ら、リストの趣旨を勘違いしてるんじゃないか?」

ペパロニ「まだまだ書くことあるッスよー!」カキカキ 『つよくなる!』 『みんなで笑ってすごす!』

カルパッチョ「これも追加でー」カキカキ 『全員ケガなく元気に毎日過ごす』

アンチョビ「・・・ず、ずるいぞ!私も付け足す!」カキカキ

カルパッチョ「『P-40を買う』、『最高の戦車道チームを作る』・・・ドゥーチェらしいですね」

ペパロニ「この『戦車道履修生を増やす』ってヤツなら任せてくださいッ!新入生が入るころにはサイキョーに美味いパスタ作れるようになりまスから!いっぱい呼び込みますよー!」

アンチョビ「うむ!いいかお前ら!このリストに書いた項目は必ずやり遂げるんだ!私達なら出来る!いや、すべきだ!がんばるぞー!」

 カルパッチョ&ペパロニ『おおー!!!』


 ドゥーチェのお腹<ペコグゥ~・・・

アンチョビ「・・・お、お腹すいた・・・」ヘロヘロ

アンチョビ「ここ最近出費が続いたから私の食費も削ったからな~・・・あと三日なんとか乗り切ればバイト代が入るんだが・・・」グゥ~

アンチョビ「空腹を紛らわしたいが、カルパッチョもペパロニも社会科見学でいないし・・・一人はやっぱり寂しいな・・・」

アンチョビ「・・・」チラ

 貯金箱<・・・

アンチョビ「P-40貯金・・・」ソッ・・・

アンチョビ「っ・・・だめだだめだ!これはセンパイ方から受け継いだんだ!その前のセンパイ方も、そのまた前のセンパイ方も頑張って貯めてきたお金だ!」ブンブン

アンチョビ「露店で稼げるようになったから、私の代で目標金額まで到達できるかもしれないんだ!ここは我慢のしどころだで!千代美!」グッ

 スマホ<LINE!

アンチョビ「あ・・・誰からだろ」スッ


 杏<チョビ子ー

 杏<寄港してるし今日どっか食べにいこー

                         すまん!申し出はうれしいがちょっと
                         金銭的問題があってだな・・・>

 杏<おごるからさー

                         40秒で支度する>

>>40>>41の間に入る部分で抜けてるのがあったのでちょっと書きくわえます


 ―戦車道全国高校生大会抽選会場

 ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ

カルパッチョ「わー・・・人でいっぱいですねー」

アンチョビ「戦車道はマイナーな武芸だとか言われているが、熱心なファンは多いからな!」

ペパロニ「こんなにたくさんの人達が見る中で試合すると思うと・・・かぁーっ!燃えてくるッスね~!」

アンチョビ「言っておくが今日は抽選会の様子を見学に来ただけだぞ。私達3人だけで出場なんて出来ないからな。だが来年は来る!」

ペパロニ「いよっ!夢見る乙女のドゥーチェ!」パチパチ

アンチョビ「へへーん!」ムン

 「あら、アンタ達みたいなのがどうしてこんなとこにいるのかしら」

ペパロニ「?・・・誰?」

カルパッチョ「その制服は・・・えーっと」

アリサ「フン、私は天下のサンダース大付属高校の生徒よ。それより、戦車道全国大会は弱いチームは出場しちゃダメっていう暗黙の了解を知らないの?」

 ペパロニ「えっ、そうなんスか」ヒソヒソ アンチョビ「ルールブックには載ってなかったぞ・・・」ヒソヒソ カルパッチョ「古いルールブックだったからでは?」ヒソヒソ

アリサ「私達の時間を無駄にしないためにも、弱小校には出場御遠慮してもらいたいわねぇ。ねぇ、アンツィオ高校さん?」

アンチョビ「!?・・・弱小校だと~!その言葉取り消せー!」クワ!

アリサ「ヒッ」ビクッ

アンチョビ「アンツィオを弱いと言うのかお前ー!」

カルパッチョ「ドゥーチェ落ち着いてください」

アンチョビ「止めるなカルパッチョ!これは私達の戦車女子としての名誉の問題だ!」

ペパロニ「気持ちはわかりますけど今年はウチらどっちにしろ出場できないッスよアンチョビ姐さん」

アリサ「・・・あ、あんちょびぃ?ッハ!そんなマヌケな名前の隊長なんて・・・あなたみたいなのが戦車道のイメージを堕落させてるのよ」

アンチョビ「なんだと!?アンチョビという名はセンパイ方に名づけてもらった名前だぞ!バカにするなー!」

アリサ「ヒッ・・・な、なによ。ぼ、暴力はいけないから戦車で勝負しなさいよ」ビクビク

 ザワザワ・・・ ナニナニ?ケンカ? ザワザワ・・・

カルパッチョ「ドゥーチェ、周りがざわつき始めてますから落ち着いてください」

アンチョビ「落ち着いてられるか!私をコケにするのは百歩譲って我慢できるが、学校やセンパイ方や仲間のことをけなされるのは勘弁できん!」

ペパロニ「さっすが姐さん!カッコイイッス!」

アリサ「ぅひっ・・・わ、私とやる気!?私のサンダース仕込みのナイフ捌き見せちゃうわよ!これで切られるとムチャクチャ痛いのよ!私なんか指何度も切ってるんだから!」ブルブル

まほ「待て」

アリサ「!・・・あ、あなたは黒森峰の・・・」

まほ「これ以上コトを荒げるな。周囲に迷惑だ。君達も戦車女子なら礼節をわきまえろ」

アリサ「んぐっ・・・」

ケイ「ちょっとちょっと、何の騒ぎ?」タタタ

アリサ「せ、先輩!じ、実はコレコレシカジカ・・・」

ケイ「カクカクウマウマ・・・ということね。アリサ、あなたが悪いわ。いつも言ってるじゃない。人を傷つけるようなことは言っちゃダメって」

アリサ「で、でも・・・」

ケイ「アリサ、ちゃんと謝りなさい」

アリサ「うっ・・・ごめんなさい」ショボン

アンチョビ「うん!ちゃんと謝ったからゆるしてやるぞ!」ケロッ

アリサ「優しっ」

ケイ「ごめんなさいね。この子、初めての大会で緊張してるのよ。だから自分を奮い立たせようとやたらケンケンしてるの。ほら、行くわよ」グイッ

アリサ「っ・・・はい・・・」ショボン

アンチョビ「まったく、血気盛んなオトシゴロだな」ヤレヤレダナ!

カルパッチョ「あ、あの・・・仲裁してくださってありがとうございます」

まほ「気にするな。それより、君は安斎千代美だな」

アンチョビ「むむ!この私を知っているのか・・・その通り!私がアンツィオ校の統帥アンチョビだ!」バーン

ペパロニ「スゲー!アンチョビ姐さん有名人みてー!サインくださいッス!」

まほ「中学の頃から名は聞いていた。アンツィオに入学したということもな。だがアンツィオは戦車道が出来ないほど人員が少ないと聞いていたが・・・」

アンチョビ「うむ。残念ながら今年は出場は見送ることにしたんだ。だけど来年は必ず出るぞ!西住流だろうが島田流だろうが負けないからな!」

まほ「フ・・・楽しみにしているぞ」

>>40から>>41
 の間に
>>52から>>54
 が入ることになるのですが書き忘れてたので脳内補完してください。特に重要ではないけど


アンチョビ「えーっと、やることリストのこっからここまでは完了・・・っと。うぶるる・・・しゃみぃ~」ブルル

カルパッチョ「冬ですからねー。戦車の整備も冷たくておっくうになりますよね」

ペパロニ「できたぁーーー!」バーン

アンチョビ「どぅわ!?な、なんだペパロニ!」

ペパロニ「オリジナルの新パスタがとうとう完成したんスよー!ズバリ!名づけて鉄板ナポリタン!」ジャーン

カルパッチョ「わぁ・・・美味しそう」ヨダレズビッ

アンチョビ「アツアツの鉄板でナポリタンとは・・・いいセンスだペパロニ!」

ペパロニ「さあごりょうにん!お一つ食べてみてくんさい!」

アンチョビ「では実食!」パク

アンチョビ「!・・・ボーノ!」パァー

ペパロニ「っしゃオラァー!」グッ

カルパッチョ「おいしい!これなら春に入ってくる新入生もたくさん呼び込めそう!」

アンチョビ「でかしたぞペパロニ!お前が以前やることリストに書いたことを実行できたな!リストに完了のチェックをいれとこう」スッ

 【めちゃくちゃおいしいパスタをつくる!】✓

ペパロニ「へっへっへー!明日から露店で売ってガンガン稼ぐぞー!」

カルパッチョ「たくさん売れて『P-40を買う』の項目もクリアできるかもね」

アンチョビ「フッフッフ!順調じゅんちょぉー!我がアンツィオの覇道は渋滞知らずでスイスイ進行中だな!」


アンチョビ「すまん!待ったか?」

杏「んや。50分くらい待っただけだよ」

アンチョビ「どぉえええ!?ほんとか!?スマン!ほんとスマン!」

杏「嘘だよ」

アンチョビ「なっ!ドゥーチェをおちょくるなコラ!」

杏「あはは」

アンチョビ「まったく・・・で、話ってなんだ?」

杏「んー・・・まあ大したことじゃないんだけどさ、あたし、戦車道やるよ」

アンチョビ「どぉえええ!?ほ、ほんとか!?」

杏「・・・」

アンチョビ「あっ!これ嘘だな!」

杏「いや、ほんとだよ」

アンチョビ「ほ、ホントか!?ホントにホントか?・・・でもなんで?・・・あ!ふっふーんわかったぞ!このドゥーチェのお話を聞いててあんまりにも楽しそうだったんだな!」

杏「いや、違うよ」

アンチョビ「そこは嘘でもホントって言え!」


アンチョビ「で、戦車道を始める理由はなんだ?必要に迫られでもしないかぎりやんないって言ってたじゃないか」

杏「んー・・・必要に迫られたからかな」

アンチョビ「・・・もしかしてあんまり追求しないほうがいいか?」

杏「そこはチョビ子に任せるよ」

アンチョビ「そうか・・・チョビ子ってゆーな」

杏「まあマイナスに捉えないでよ。むしろ戦車道やることで私達に希望が出てくるんだからさ。これから戦車準備したり履修生集めたりで大変なんだよね~」

アンチョビ「おお!その気持ちわかるぞー!私もがんばってるから杏もがんばれ!な!」

杏「うん。ありがとね」

アンチョビ「それにしても私達って妙な関係だよな~。偶然出会ってから友達になって、学園艦が近くに来たらこうやって落ち合って、今度は戦車道のライバルになるんだもんなー」

杏「そうだねー。夏の全国大会で戦うことになるかもね」

アンチョビ「その時は容赦しないぞ!そっちにどんな事情があれ、手加減なんかしないからな!」

杏「こっちだって負ける気なんかないからね~。覚悟しろよーチョビ子ー」フッフッフ

アンチョビ「受けて立つ!あっ!チョビ子って呼ぶな!」

今回はここまでで。山もなく谷もないけどそろそろ戦車戦に向かいます


 ラジカセ<♪~♪~・・・♪~

アンチョビ「♪~・・・♪」

カルパッチョ「あれ?ドゥーチェ、なんの音楽ですかそれ」

アンチョビ「ん、ああ、これは『さくらんぼの実る頃』って曲でな、よくセンパイが歌ってくれてたんだ。いい曲だからテープに録音してたまに聞いてるんだよ」

ペパロニ「なんかムツカシー感じの歌ッスね~」

アンチョビ「フランスのシャンソンだからな。儚い恋と失恋の歌だが、当時の政治的な意味合いも付加されて――」

ペパロニ「よくわかんねーけどいい曲なんスね」

カルパッチョ「さくらんぼの実る頃・・・春は私達にとっても大事な時期ですね。新入生をどれだけ戦車道に誘えるか、がんばらないといけませんから」

アンチョビ「ウム!さらに言うならサクランボは品種によっては夏にも実るからな!夏は戦車道全国大会!一世一代の大舞台だ!」

カルパッチョ「アンツィオにとって『さくらんぼの実る頃』は大切な時期ということですね」

ペパロニ「フーン、でもアタシはもっとゴーゴーしてる歌のが好きだなー。踊れない音楽は音楽じゃないッスよ。アタシのオススメはコレ!『EARTH WIND&FIRE』ッス!」ガチャ

アンチョビ「あっコラ!勝手にカセットを変え――」

 ラジカセ<♪ッ!♪ッ!♪ッ!♪♪ッ!

アンチョビ「!・・・お、おお・・・なんかカッコイイなこの曲」

ペパロニ「そーっしょそーっしょ!?ホラホラ姐さん!アンツィオらしく踊ってハシャぎましょう!」♪~

カルパッチョ「でももうそろそろ午後の授業が・・・」

ペパロニ「聞こえなーい!もう誰にも止められなーい!いくぜぇー!」♪~

アンチョビ「よーし!ドゥーチェも負けてれんないぞー!」♪~

カルパッチョ「・・・」ウズウズ・・・

カルパッチョ「・・・っ~!・・・私だって負けてませんよー!」♪~


アンチョビ「――と、必要なものはこんな感じだな。このメモの通りに戦車を手入れしておかないとすぐ故障しちゃうから気をつけるんだぞ」

桃「感謝する。戦車道を始めるに当たって必要な物や手入れの仕方まで教えてくれるとは」

柚子「それもわざわざ大洗に出向いてまで教えてくれるなんて・・・会長は別件でいませんが、もうすぐ来られると思いますから。お待たせしてすみません」

アンチョビ「かまわないさ!初心者に道を示すのは当然だ。それに私も杏には助けられたからな」

桃「会長に?」

アンチョビ「センパイ方がいなくなって一人ぼっちだった頃、杏と会うのは大事な楽しみの一つだったんだ。杏に戦車のことを説明したりするのが楽しくってな」

アンチョビ「そりゃクラスに友達はたくさんいるけど、戦車道の仲間はいなかったから・・・とても寂しかったんだ。でも杏には内緒だぞ。またからかわれるのがオチだからな」

柚子「ふふふっ、千代美ちゃんも素直じゃないんだから」

アンチョビ「私のことを呼ぶならアンチョビと呼べ!」

桃「だが、もし試合で戦うことになればその時は互いに情けは無用だ。私達はどうしても勝たねばならんのだからな、安斎」

アンチョビ「アンチョビだ!ア・ン・チョ・ビ!私だって負けるわけにはいかない。手を抜くのはかえって失礼だからな」

桃「うむ」

杏「おまたせ~。チョビ子から色々教えてもらった~?」ポテポテ

柚子「はい。とりあえず戦車道復活に必要なことはわかりました。後は私達の力だけでやるしかありませんね」

桃「後は自動車部に戦車整備の仕方を勉強するように言っておかないといけませんね。それから春には履修者を集め始めないと・・・やることは山積みです」

杏「そだね。ありがとねチョビ子。おかげで戦車道はじめられそうだよ」

アンチョビ「気にするなアンチョビだ!杏、これで一つ貸しだからな!」

杏「うん。お返しに寂しかったらいつでも話くらい聞いてあげるよ」

アンチョビ「アレ!?聞いてたの!?」ハズカシッ!


 ――・・・春

アンチョビ「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!おいしいイタリアンはいかがかな~?戦車道チームに入ってくれればサービスするよ~!」パンパン

ペパロニ「特製の鉄板ナポリタンだよ~!おいしいパスタだよ~!」ジュンジュワ~

カルパッチョ「はい、どーぞ。食べ終わった容器はそこのカゴに捨ててね」ニコッ

新入生A「ありがとうございます!・・・おいしい!」ングング

新入生B「こんなにおいしいパスタがこんなに安いなんて・・・やっぱアンツィオに入学してよかった~!」パァー

アンチョビ「どんどん食べてけ~!ちなみに戦車道チームでは毎日いろんな料理が食べられるぞー!カッコイイ戦車に乗れてオイシイ料理も食べれて最高だよー!」

 \ワイワイガヤガヤ/ \ドヤドヤオイオイ/ \ドンチャンドンチャン/

 「鉄板ナポリタンください!」 「カルボナーラひとつ!」 「おいしければなんでも!」 「お熱いのがお好き!」 「ピザとペペロンチーノと鉄板ナポリタン大盛りで!」

アンチョビ「はいはい並んで並んで~!戦車道のチラシを受け取ってから料金を払ってな~!」

 \ワイワイガヤガヤ/ \ドヤドヤオイオイ/ \ドンチャンドンチャン/

 新入生C「あたし戦車道やろっかな~」 新入生D「私も~。こんなオイシイの食べれるなら最高だもんー」 新入生E「なんかカッコイイよねー」

カルパッチョ「評判は上々ですねドゥーチェ。みんなおいしいって言ってくれてるし、戦車道にも興味持ってくれてるみたいです」

ペパロニ「売れ行きもすんごいことになってるッスよ!大繁盛ッス!」

アンチョビ「うむ!戦車道資金も稼げて履修生も呼び込めて一石二鳥!この一年、この日のためにがんばってきたかいがあったってもんだ!よーしもっとたくさん人を集めて――」


役人「君達、勝手に商売してもらっては困るよ」

ペパロニ「あ、新入生の親御さんッスか?ウチのパスタに年齢制限はないッスから遠慮なく食べてってくださいッス!」

役人「勘違いしているようですね。私は文科省の者だ。・・・君達、即刻店をたたみなさい」

アンチョビ「え!?・・・な・・・ど、どうして!」

役人「文化祭等の特別な催し物でも無いのに、高校生が校内で飲食物を売買しているなど当然認められるものではない。衛生面やモラル等、多くの問題を抱えている」

ペパロニ「なに言ってんスか。ちゃんと石鹸で手ー洗ってから調理してるし、具材もキチンと洗ってるッスよ」

役人「事故が起こってからでは遅いのですよ。火の不始末で火事が起こるかも、集団食中毒になるかも、不当な値段でボったくるかも・・・」

 \ザワザワ・・・/ \ナンダナンダ?/ \ナンカモメテルヨ・・・/

アンチョビ「(マズイ、新入生達が不審に思い始めてる・・・)ちょ、ちょっと待った。私達はちゃんと学校から許可もらって商売してるんだ。問題なんかなにもないぞ」

役人「証拠はあるのですか?もしそれが嘘ならこの件は大きな問題になりますよ」

ペパロニ「調理師免許証でも見せろってんスか」

カルパッチョ「ペパロニ、噛みついちゃダメ。ちょっと待っててください。ひとっ走りして先生に相談してきます。認可証か何かくらいすぐ書いてくれるでしょう」

役人(フフ・・・適当にアラを出してあげ足を取ればコトは大事になる。そうすればこの学校も簡単に廃校にできるさ・・・私は文科省役人!その仕事は学園艦を廃艦にすることなのだ!)

ペパロニ「チェッ、へんなイチャモンつけてきて、私達なーんにも悪いことしてないのに。後悔するのはそっちッスよ。ベーッ」イーッダ

役人「なっ・・・やれやれ、高校生にもなってそんなアッカンベーをするとは・・・一体どんな教育を受けてきたんだ。親の顔が見てみたいものだ・・・」

アンチョビ「!」

役人「何も考えない無責任な子に育てるような親だ。どうせ子供と同じようになんにも考えていない能天気な御両親なのでしょうね。こういう生徒を正しく指導するのが我々の役目――」

アンチョビ「さっきの言葉取り消せ!!!」グワ!

役人「!?」ビクッ

アンチョビ「よく知りもしないくせにペパロニの親御さんを侮辱するな!言うにことかいて人の親を罵倒するなんていい大人がすることじゃないぞ!」

 カルパッチョ「ドゥーチェ~、先生から証拠の許可証をもらって来――・・・!」ピタリ

役人「な、何をそんなに怒ってを立てているのですか・・・あなたにとっては赤の他人じゃないですか」

アンチョビ「他人じゃない!こいつの姉は私の姉貴分!こいつの兄は私の兄貴分!こいつの友達は私の妹分!こいつの親は私の親!」

ペパロニ(姐さん・・・)

アンチョビ「アンツィオに関わる全ての身内は私の身内でもあるんだ!その身内を罵倒するのはゆるさん!」クワ!

役人「うぐっ・・・!(こ、こわい・・・最近のキレやすい10代そのものだ・・・)」ガチガチ・・・

カルパッチョ「・・・・・・ドゥーチェ、先生に許可証を書いてもらって来ました。文科省の方、これで満足ですか?」スッ

役人「む・・・た、確かに・・・」

カルパッチョ「これで何も問題はありませんね?今日はもうお引き取りください。この鉄板ナポリタンを差し上げますので」ジュワ~

役人「・・・ま、まあ・・・今回は見逃してあげましょう。くれぐれも事故の無いように気をつけてください。それでは私はこれで・・・」

アンチョビ「コラ!帰る前にペパロニと親御さんに謝れ!」

役人「・・・ご、ごめんなさい」

アンチョビ「うん!ちゃんと謝ったからゆるしてやる!」

 役人(お、おのれ・・・アンツィオ廃校は容易ではないか・・・やはり大洗一本に絞ることにしよう・・・あそこは確実に廃校に追い込めるからな・・・・・・モグ・・・あ、このナポリタンおいしい)ソソクサ~


アンチョビ「こんど来る時はちゃんとお客として来るんだぞ~!・・・まったく、ひどい大人もいたもんだ。でもちゃんと謝ったからゆるしてやろうな?ペパロニ」ポン

 \ワアアアアーーー!/ \スゲー!ドゥーチェカッコイイー!/ \サスガドゥーチェー!/

アンチョビ「わわっ!?な、なんだなんだ!?新入生達が・・・」

カルパッチョ「・・・お疲れ様でしたドゥーチェ。お見事でしたね」

アンチョビ「おみごと?なにが?」

ペパロニ「アンチョビ姐さ~ん!ありがとうございやす~!アタシのためにメガネに立ち向かってくれて~!やっぱり姐さんはサイコーッスよ~!」ダキッ

アンチョビ「おわっ!やめろペパロニ!ケチャップソースが制服についちゃったぞ!」


 ――・・・翌日

 \ワイワイガヤガヤ/ \ドヤドヤオイオイ/ \ドンチャンドンチャン/

アンチョビ「・・・」ボーゼン

ペパロニ「・・・こ、こんなに履修者が来るなんて・・・」アゼン

カルパッチョ「きっと露店のイタリアンがおいしかったのと、ドゥーチェの人柄のおかげですよ」

ペパロニ「ひとがら?」

カルパッチョ「文科省の人とのやりとりでドゥーチェがどんな人か・・・どれだけ仲間思いな人か知れ渡ったからね」

ペパロニ「なるほど!よくわかんねーけどやっぱ姐さんはサイコーだな!」

アンチョビ「・・・~~~っ!こ、こんなに仲間が増えるなんて・・・」ウルウル

カルパッチョ「さ、皆に挨拶しないといけませんよドゥーチェ」ポン

アンチョビ「・・・うん・・・うん!これもお前達のおかげだ!ありがとうカルパッチョ!ペパロニ!」ギュ

ペパロニ「?どーいたしまして」

カルパッチョ「まだ感動するのは早いですよ。私達の本当の戦いはこれから始まるんですから」

アンチョビ「うん!そうだな!ぃよーし!アンツィオ高校の統帥の姿を見せてやるかー!」バッ

 「あっ!ドゥーチェだ!」ワイワイ 「隊長のドゥーチェが出てきたー!」ガヤガヤ 「カッコイイー!」ドヤドヤ

アンチョビ「みんな揃ってるな!私がアンツィオ校の統帥アンチョビだー!」バッ

 \オオオーーー!!!/

アンチョビ「よくぞ我が戦車道チームの門を叩いてくれた!まずは礼を言わせてくれ。皆には本当に感謝している!」

アンチョビ「知ってる者もいるかもしれんが、我がアンツィオ戦車道チームはつい最近まで解体の危機に瀕していた。私が1年の頃はセンパイも数人しかいなかったんだ」

アンチョビ「そのセンパイ方が引退してから、私は一人ぼっちだった・・・ドゥーチェは強いからさみしくはなかったが・・・・・・いや・・・一人で寂しかった」

アンチョビ「だが春になると、新しく入学してきたこのカルパッチョとペパロニが仲間になってくれた!すんごくうれしかった!本当にうれしかった!やっと仲間ができてな!」

アンチョビ「それから3人で戦車道の練習したり、料理したり、遊んだり、履修者を増やす方法を考えたり・・・楽しかったぞ!試合は全然やってないけどな!」

アンチョビ「そしてこの一年の努力は今日!この日!ついに実を結んだ!君達が仲間に加わってくれた!君達が来てくれたおかげでこのチームは存続できるんだ!」

アンチョビ「私達の努力は無駄じゃなかったんだ・・・君達が来てくれたおかげで・・・本当にありがとう!ほんとうに・・・」グスン

 カルパッチョ(ドゥーチェ・・・)

 \・・・・・・/

アンチョビ「・・・スマン、ちょっと鼻炎でな・・・グスン・・・とにかく!お前達は今日から我がアンツィオ戦車道チームの仲間だ!家族だ!これから一緒に楽しく毎日を過ごすぞー!」

 \オオオオオーーー!!!/

ペパロニ「よーしお前らー!我らがドゥーチェを称えるぞー!ぁそーれっドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!」

カルパッチョ「ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!」

 \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/ \ドゥーチェ!/


 【戦車道履修生を増やす】✓

今回はここまでで


 CV33<ギャラギャラギャラギャラギャラ!

アンチョビ「うーむ、一年生達の戦車技能はナカナカのものだな。元々戦車道をやってた子ばっかりらしいし、これなら十分試合でもやっていけるぞ」

ペパロニ「アタシらが一年の頃よりよっぽどウメェや!」ズルズル

カルパッチョ「パスタ食べながらだとどっちのことを言っているのか・・・」


アンチョビ「よーし!今日の練習はここまでだ!皆よくやってるな!」

 \オオ~!/ \ヨクヤッテルッテ~!/ \テレルナ~!/

アンチョビ「ここ最近毎日戦車の練習をしているが、全員ケガなく練習を終えられてえがったえがった!きっと全国大会ベスト8・・・じゃなかった優勝も狙えるぞー!」

 \オオ~~~!/ \ユウショウダッテ~/ \マジヤバクネ!?/

アンチョビ「さあさ、練習の後にやることは何かわかる奴はいるかな~?」

 \パスタ!/ \ピッツァ!/ \モッツァレラ!/

アンチョビ「そう、その通り!丸いお皿に料理を盛って、みんなで食べよう美味しいご飯!アンツィオ高校戦車道チーム!レシピ通りに調理開始ー!」

 \オオオオオオーーー!!!/

カルパッチョ「練習でヘトヘトなハズなのに元気ー」

 【全員ケガなく元気に毎日過ごす】✓


アンチョビ「う~~~~~~ん・・・」

ペパロニ「ドゥーチェなにウンウン唸ってるんスか?今朝食べた賞味期限切れのトマトやっぱダメだったんスか?」

アンチョビ「いや・・・もうちょっとで待望のP-40重戦車が買える額まで貯金がたまるんだが・・・このままだと全国大会に間に合いそうになくてな・・・」

カルパッチョ「もっと節約すれば何とかなりそう・・・という感じですか?」

アンチョビ「一日三度のオヤツを二度に減らせばなんとか大会期間中にギリギリ間に合いそうなんだが・・・さすがに皆がかわいそうでな。心が痛むんだ・・・」

カルパッチョ「オヤツを減らすなんて皆には言いづらいですよね」

ペパロニ「そういうことなら心配ご無用ッス!このペパロニに任せてください!」ドン

アンチョビ「えっ、どうする気だ」

ペパロニ「まあ任せて下さいよ」ニッ

アンチョビ「フシン・・・」

ペパロニ「あっ!不信に思ってますね!?私だってやればできるってことを見せてやるッスよ!」

アンチョビ「ホントにできるのか?ペパロニに・・・」

ペパロニ「チョー余裕ッス!」(^v^)b☆

アンチョビ「ホントかなぁ・・・」

カルパッチョ「ぜんい~ん、気をつけっ」

 \ザッ!/

ペパロニ「今日はみんなに悲しいお知らせがある!」

 \エッ・・・/ \ザワザワ・・・/ \パスタネアガリシタノカナ・・・/

ペパロニ「本日よりアンツィオ伝統の三度のオヤツを二度に減らすこととなった!」

 \エエ~~~!!!/ \ソンナ!/ \ドウシテ!/

ペパロニ「その理由は、我がアンツィオに強力なジューセンシャ、ピーヨンジューを加えるためだ。オヤツを一度減らせば、チョー強力な戦車が増えるんだ!」

 \オオ~~~!/ \ジューセンシャダッテー!/

ペパロニ「気の遠くなるくらい昔から受け継がれてきた貯金がもう少しで目標額に届く。そのためには皆の協力が必要だ!一回分オヤツを我慢してもらう他ない!」

ペパロニ「だが安心しろ!空腹とは最高のスパイスだ!オヤツの回数を減らすことで、一回分のオヤツがより美味しく感じられるぞ!」

ペパロニ「とはいえこの決断にドゥーチェもヒジョーに頭を悩まされた。お前達の悲しむ顔が見たくないからだ!」

 \・・・・・・/

ペパロニ「諸君に問う!お前達は一日二度のオヤツで我慢できるか!ドゥーチェの・・・アンツィオの・・・我々の野望のために我慢できるか!」

 \オオーーー!/ \モチロンデスゼ!/ \トーゼンッスヨ!/


アンチョビ「・・・」アゼン

カルパッチョ「すごい!みんな納得してくれた!」

ペパロニ「まっ、こんなもんスよ」ニカッ

アンチョビ「・・・ペパロニ、お前政治家にでも向いてるんじゃないのか・・・」


 ―戦車道全国高校生大会抽選会場

アンチョビ「西住!」

まほ「む」

アンチョビ「久しぶりだな!私だよ!アンツィオ統帥のアンチョビだ!」

まほ「ああ、久しぶりだな」

エリカ「ちょっとアナタ、何様よ。隊長に馴れ馴れしくしないで」ズイ

まほ「いいんだ。安斎、今年のアンツィオは人員を揃えられたようだな」

アンチョビ「ウム!去年は大会に出場すらできなかったが・・・今年こそやってやるぞ!順当に行けば私達が当たるのは決勝になる。首を洗って待っていろ!」

まほ「返り討ちにしてやるさ」

アンチョビ「フフフ・・・我々を甘く見ないことだ!じゃあな!」

エリカ「・・・決勝って・・・本気で言っているのでしょうか・・・アレ」

まほ「あの目を見ていなかったのか。彼女は本気だ。ああいう戦車乗りを決して侮ってはいけない」

エリカ「ほ、本気ですか?リップサービスですよね・・・」

まほ「・・・」フッ・・・


 アンチョビ「あ、サンダースの」

 アリサ「ヒッ・・・あ、アンツィオの・・・」

 アンチョビ「お前達もがんばれよ~!」ブンブン

 アリサ「・・・あ・・・はい。ありがとう・・・」


アンチョビ「――と、これが私が考えた作戦、通称『マカロニ作戦』だ!」

一年生A「スゲー!さっすがドゥーチェ!」

一年生B「よくこんな作戦思いつきますね~!」

アンチョビ「ふふーん!私は一年の頃から戦術書をたっくさん読んだからな!色んな戦略を知っているのだー!」

ペパロニ「やっぱドゥーチェはサイキョーだ!」

アンチョビ「この作戦がうまくいけば一回戦は確実に勝てる!そのためには皆がもっともっと練習を積まなければならない。それからマカロニ・・・デコイ(ハリボテ)を作らなきゃな」

一年生C「やることいっぱいだぁ~」

ペパロニ「だがやりがいがあるってもんだ!燃えるぜ!」メラメラ

カルパッチョ「みんな~、マルゲリータピッツァと三種のチーズピザが焼けたわよ~」

ペパロニ「わーい!音楽かけながら食べよー!」

 一年生D「うひょー!」 一年生E「ピザだピザー!」 一年生F「待ってましたー!」

アンチョビ「お、おいお前ら!これからデコイを作らにゃ――」

カルパッチョ「それからドゥーチェの好物のカルパッチョも作ったわよ~。カルパッチョ特製カルパッチョよ~」

アンチョビ「わぁい!やったー!」


 CV33<ギャラギャラギャラ!ギュルン!ギャラギャラギャラ!

ペパロニ「よーし上出来だ!いいぞお前ら!完全に『ナポリターン』をモノにしたな!」

一年生A「ウッス!ありがとうございやすペパロニ姐さん!」

一年生B「ペパロニ姐さんのゴシドーのおかげです!」

                           ごはんですよ~>カルパッチョ

ペパロニ「!聞いたか皆!ごはんだごはん!すぐに片づけて食卓へ向かうぞ!」

 \オオー!/


アンチョビ「うーんオイシイ!今日の海鮮盛りチケッティも絶品だな!」

ペパロニ「ドゥーチェ!ドゥーチェ!言われてた練習メニュー全部やっときましたよ!ドゥーチェがサボってた間に!」

アンチョビ「サボってない!戦術を練ってたんだ!マカロニ作戦だけじゃなくていっぱい考えないといけないの!」

ペパロニ「そうなんスか~。あっ、そういえばみんなCV33ターンマスターしましたよ!走りながら戦車を360度方向転換する技!」

アンチョビ「180度だこの歴史的バカモン!」

 一年生C「ハハハ!やっぱドゥーチェとペパロニ姐さんのやりとり面白いッスね~」 一年生D「見てるだけで自分らも楽しいッス!」

アンチョビ「そ、そうか?・・・でへへへ、照れるナア」

ペパロニ「ドゥーチェは皆の笑い者ッスからね!」

アンチョビ「聞こえが悪いぞ!」

 \ハハハハハ・・・/

 【みんなで笑ってすごす!】✓


アンチョビ「さー!今日も授業が終わった!放課後は戦車道の時間だ!」

カルパッチョ「練習の前にご飯ができたわよ~」

 \ワーイ!/

アンチョビ「さー!ボリボリ食べてビシバシ練習しよう!ハッハハハハハ!」モフモフ

ペパロニ「よーしカルパッチョ!今日もドンドン撃ってこいよ!カルロヴェローチャはどれだけ撃たれてもへっちゃらなんだから!」

カルパッチョ「車体が軽いから衝撃を緩和できるけど、あんまり無茶はダメよ」

アンチョビ「そうだぞペパロニ。白旗が出ないとはいえあれだけすっ転がるのは危ないからな。ケガしてからじゃ遅いんだぞ」

ペパロニ「んなモン気にし過ぎッスよドゥーチェ!一年の皆も何度もぶっ飛ぶ経験積んでるんスから!試合でもガンガンぶっ飛ばされるッスよー!」

アンチョビ「だからダメだって!勝つことよりもケガなく終わることが大事だ!それにぶっ飛ばされることを予定に入れるな!」

ペパロニ「なに言ってんスか姐さん!これくらいのガッツがなきゃ試合で勝てやしないッスよ!」

アンチョビ「うっ・・・」タジッ

 一年A「私達だって根性あるんスよ!」 一年B「アンツィオのために身体張れます!」 一年C「やるならやらねば!」

ペパロニ「心配してくれるのはありがたいッスけど、アタシらだっていつまでもドゥーチェにおんぶにだっこじゃないんスよ!」

アンチョビ「・・・私が思っている以上にお前達は強くなっていたんだな・・・よーし!そのド根性を試合でも存分に発揮するんだぞ!」

 \オオーーー!/

アンチョビ「フッ・・・『やることリスト』のこの項目はもうクリアだな」スッ 【つよくなる!】✓

アンチョビ(だけどやっぱり無茶はさせたくないナア・・・)


 ―マジノ女学院

フォンデュ「――・・・以上が入手できたアンツィオ高校に関する情報の全てです」

エクレール「・・・これがデマだという可能性はありますの?我々を謀るために流した嘘の情報では・・・」

フォンデュ「いえ、おそらくそれはないかと」

エクレール「本気なの!?セモヴェンテとカルロヴェローチェしか車輛がありませんの!?これで全国大会に参加してますの!?」

フォンデュ「勇気と無謀は違いますのにね。車輛数と人員はあるようですが・・・あ、そういえばアンツィオの隊長さんはこの前の抽選会であの西住まほさんと言葉を交わされてましたよ」

エクレール「!・・・あの西住まほさんと・・・」

フォンデュ「偶然近くで声が聞こえたのですが、西住まほさんを前にして全く動じず、逆に宣戦布告していました」

エクレール「・・・」

フォンデュ「決して強いとは言えない戦車しかなく、まして前年まで人数不足で出場すらできなかったのに・・・肝が据わっているのか能天気なのか・・・」

エクレール「・・・いえ、自信があるのですわ。全国トップレベルの強豪校にも負けないという自信が・・・」

エクレール「戦車の性能なんて気にしない。どんな相手だろうと物怖じしない。日々の努力と自分達の戦車道に絶対の自信と誇りを持っているのですわ。真っ直ぐ、素直に、純粋に・・・」

エクレール「すごいですわね・・・あの方達、すごいですわね・・・」

フォンデュ「・・・」

エクレール「フォンデュ、すぐに主だった者を集めて。情報を基に作戦を練り直しますわよ」


 ―アンツィオ高校大浴場

 カポーン

 一年D「はぁ~~~・・・」 一年E「ごくらくごくらく・・・」 一年F「心が洗われるんじゃあ~・・・」

アンチョビ「アンツィオ名物古代ローマ公衆浴場(テルマエ)!戦車道の練習の後はこれに限るな!」イイユダナッ!

カルパッチョ「ご飯は美味しいし大きなお風呂もあるし戦車道は楽しいし・・・アンツィオに入学して本当に良かったー」ホー

ペパロニ「ホントホント!戦車道チームに入ってから毎日がキラキラ輝いてるみたいに楽しいよなー!」バシャバシャ

アンチョビ「ヘンな勧誘みたいに言うな!だがそう思ってくれているのなら私にとってこれ以上の賛辞はない。皆が戦車道を楽しめてるのなら万々歳だ!」

ペパロニ「そりゃーもう楽しいったらないッスよー!なんつーかさァー!戦車道やってるとさァー!今スゲー青春してるーって感じるッスもん!なーみんなー!」

 一年G「ペパロニ姐さんの言う通りッスよドゥーチェ!」 一年H「ここに入学して戦車道やって良かったです!」 一年I「アンツィオ最高ー!」

アンチョビ「お、お前達・・・~~~っ!・・・グスン・・・いいか!明日はいよいよ全国大会の一回戦だ!今までの練習の成果を存分に発揮するぞ!」

アンチョビ「勝つことは大事だ!だがそれよりも戦車道を楽しもうじゃないか!純粋に戦車道を楽しむ者は、おのずと勝利を掴むものだ!」

アンチョビ「全力で戦い!全力で楽しみ!全力で勝つぞー!!!」

 \オオーーーーー!!!/

今回はここまでで


 ―戦車道全国高校生大会 第一回戦―

 ―アンツィオ高校 対 マジノ女学院―

エクレール「――よろしいですわね?手筈通りに・・・決して豆戦車とて油断してはなりませんわ。必ず勝ちますわよ!」

 「「「Compris!(了解)」」」

アンチョビ「たのもー!」ザッ

エクレール「ゎひゃあ!?・・・ビックリした・・・あ、あなたはアンツィオの・・・」

アンチョビ「統帥アンチョビだ!試合前の挨拶に来たんだ!よろしくな!」グッ

エクレール「!・・・え、ええ・・・こちらこそ。私はマジノ女学院を率いさせてもらってます、エクレールですわ」グッ

アンチョビ「今日は正々堂々と勝負だ!伝統あるマジノ女学院とはいえ負けないぞ!」

エクレール「・・・フフ、こちらこそ」

アンチョビ「じゃあな!」ブンブン

フォンデュ「不思議な方ですね。これから真剣勝負をする相手に対してあんな笑顔で・・・」

エクレール「・・・本当に」

アンチョビ「いいか皆!いよいよ試合だ!作戦を確認しておくぞ!カルパッチョ!説明を!」

カルパッチョ「今回の試合会場は平地と広い森林地帯です。惜しいことにP-40はこの試合に間に合わなかったけど、二回戦までには確実に買えるのでたのしみにしててね」

カルパッチョ「噂ではマジノは防御主体の戦法から機動力に重きを置いた戦法に切り替えているそうです。我々も機動力重視なのでスピード対決ですね」

カルパッチョ「相手のスピードを封じるためにも、分厚い装甲を突破するためにも、地形を利用する必要があります」

カルパッチョ「森林地帯の中にある山道のここ、Y字路が作戦ポイントです。この左側の道にデコイを2枚ほど設置してください。相手に偵察部隊と思わせるんです」

カルパッチョ「重要なのは、相手に『左の道は罠だ』と思わせることです。二輌が偵察にいて、その奥で本隊が待ち構えてると思わせるんです」

アンチョビ「デコイは二枚置くんだぞ!二枚だからな!いっぱいあったら偵察っぽくないからな!」

カルパッチョ「そこで相手は私達の背後に回り込もうと右側の道に進むはずです。せっかくだから右を選ぶぜ!って感じで」

カルパッチョ「ところがパッチョン!右側の道の奥で、ペパロニ率いる部隊に待ち伏せをしてもらいます」

カルパッチョ「さらに、右に進んだ敵部隊の後ろをドゥーチェ率いる部隊が追いかけます。つまり、道の真ん中で挟み撃ちの形になるというわけです」

アンチョビ「こちらの火力でマジノの装甲を抜くのは難しい。だが挟み撃ちならきっとうまくいく!」

ペパロニ「なんかむつかしくてよくわかんないッス」

カルパッチョ「Y字路の左側に看板立てて、右側で待ち伏せしてね」

ペパロニ「あー、そーゆーことッスね!完全に理解したッス!」

アンチョビ「私とカルパッチョの乗るセモヴェンテをフラッグとし、もう一輌セモヴェンテとCV33が三輌のチームが、『マリオチーム』だ」

カルパッチョ「待ち伏せチームにはペパロニの乗るCV33と、同じくCVを四輌、セモヴェンテを一輌で、『ルイージチーム』です」

アンチョビ「よーし!それじゃあ手筈通りにやってくれ!一所懸命やれよ!」

 \オオーーー!!!/

エクレール「では試合前に作戦の再確認をいたしますわ。フォンデュ」

フォンデュ「はい。相手は機動戦を得意とするアンツィオ高校です。エクレール様の判断により、今回我々は機動力重視のサン・シール流を封印します」

フォンデュ「我々はサン・シール流に移行してまだ日が浅く、経験不足は否めません・・・そんな状態で相手の土俵で戦うのはかなり不利です」

フォンデュ「故にこの試合は防御主体の戦術で戦います。そちらの方が身体にしみついていますし、何より火力不足のアンツィオ相手には非常に有効です」

フォンデュ「エクレール様のソミュアをフラッグ車とし、各車輌並走して常にフラッグを守り続けてください。敵と遭遇次第、しらみ潰しに撃破していきましょう」

フォンデュ「マジノの鉄壁の防御力なら、アンツィオの攻撃など寄せ付けません。単純な戦法ですが、故に確実と言えますね」

エクレール「相手はきっとこの森林地帯で罠を張っていますわ。真正面から攻めてくることはないでしょう。我々は防御を固めながらこの森林地帯を捜索しましょう」

エクレール「さあっ、本番ですわよ皆さん。これまでの練習を思い出して、持てる力の全てを出し切りましょう」

エクレール「今までの努力は決して裏切りませんわ。マジノ女学院は全国大会で勝つことだってできますの。それを証明いたしましょう!」

 \Compris!/

エクレール(私が隊長になってまだ日が浅い・・・まだまだ練習、実戦不足なのは否めませんわ。だけれど勝たなければなりませんわ!絶対に!)

アンチョビ(とうとう全国大会・・・一年の頃からの努力の成果を見せてやるぞ!センパイ方から託された夢に挑むんだ!必ず勝つ!)


審判《これより、全国大会一回戦、アンツィオ高校対マジノ女学院の試合を開始します!》


エクレール「En avant!(アナ ヴァン ※前進せよ!)」

アンチョビ「Avanti!(アヴァンティ ※前進!)」


 ドドドドドドドドドドド!!!


アンチョビ「ペパロニ、聞こえるか?状況の報告をしてくれ」

ペパロニ【はいもしもしペパロニですが】

アンチョビ「家の電話に出る感じはいいから!今どこにいる?」

ペパロニ【言われた通りY字路の右の方にマカロニ設置するトコッス!】

アンチョビ「よし、敵が来るまでおおよそ20分だ。それまでに待ち伏せポイントに配置できるだろうな?」

ペパロニ【んなもんチョー余裕ッスよ!残った時間はコンビニでも寄って弁当買って昼飯だぁ!】

 <オオー!

アンチョビ「フフッ、頼もしい限りだな。通信越しでもお前達の士気の高さが聞こえるぞ」

カルパッチョ「我々も負けていませんよ。ねー?みんなー?」

 \オオオオオーーー!/

アンチョビ「よぉし!いい元気だ!作戦通りに敵をサンドイッチしてやるぞ!足りない火力は頭脳で補うのだー!」


アンツィオ生徒「ペパロニ姐さん、マカロニ何枚設置するんでしたっけ?」

ペパロニ「えっ?うーん、どうだっけか。まあいいや、いっぱい置いとこう!たくさんあった方がいいに決まってる!飯だって多い方がいいもんな!」

 ソミュアS35<ドドドドド・・・ ルノーB1<ドドドドド・・・ ルノーR35<ドドドドド・・・ ルノーFT-17<ドドドドド・・・

エクレール「敵はおそらく待ち伏せをしているはず。警戒しつつ敵を炙り出しますわよ」

ガレット【フフッ・・・たとえ遭遇しても、豆戦車の機銃じゃ何もできませんわ。セモヴェンテにさえ気をつければいいだけのことですわ】

フォンデュ【こちらハートブル。敵を発見いたしました】

エクレール「!・・・全車停止!」

 <ギャギャギーッ

エクレール「アンツィオの偵察部隊ですの?何輌見えます?」

フォンデュ【前方のY字路の左側の道に・・・10輌です。CVが7輌とセモヴェンテ3輌。まだ我々には気付いていない模様です】

ガレット【!?・・・敵の全車輌がそこにいるということ!?・・・まさかここで一気に勝負をつける気なのかしら】

フォンデュ【全車で待ち伏せとはアンツィオらしくない・・・何か罠では】

エクレール「・・・明らかにおかしいですわ。こっちに気付いていないのなら、この場で待機し、少し様子を見ましょう」

アンチョビ「よーし!そろそろマジノ達はY字路を右に進んでるころだろう!行くぞみんな!マジノの後ろを追っかけて挟みうちだー!」

 セモヴェンテ<ギャラギャラギャラ! CV33<ギャラギャラギャラ!

アンチョビ「ふっふっふーん、こんなに順調に作戦が進むとはな!この調子で二回戦もサクサクいっちゃうかー!?なんて!なーんて!ワハハハハ!」

カルパッチョ「ドゥーチェったらゴキゲンですね。そろそろY字路地点に着きますよ」

アンチョビ「うむ!奴らをビックリさせてやるぞ!」

 ギャラギャラギャラギャラギャラ!

 バァーーーンッ

 ギギギィーーーッ


アンチョビ「あ」

エクレール「え」


 セモヴェンテ<・・・ CV33<・・・

 ソミュア<・・・ B1<・・・ R35<・・・ FT-17<・・・


アンチョビ「・・・」

エクレール「・・・」

アンチョビ「どぅぉえええ!?な、なんでY字路でマジノが止まってるんだ!?」

エクレール「ど、どうして後ろに!?前方でアンツィオ10輌が待ち伏せしているハズでは・・・!?・・・ま、まさかアレは偽物!?」

アンチョビ「なんかヤバイがとりあえず撃てうてェー!」

 セモヴェンテ(フラッグ)<ドワ! セモヴェンテ<ドワ!

 FT-17<グワ! シュポ R35<ボガァ! シュポ

エクレール「し、しまった!(驚きのあまり反応が遅れてしまいましたわ!)撃ち返しなさい!」

 ソミュア<ドワ! B1<ドワ!

アンチョビ「あぶにゃい!退避退避ー!」

 セモヴェンテ<ゴワァ! シュポ

 セモヴェンテ(フラッグ)<ギャギャギャ!ギャラギャラギャラ!

アンチョビ「ああっ!セモヴェンテが!大丈夫か!?」

 セモヴェンテ車長【平気でーす!すみませんドゥーチェ!やられちゃいました!】

エクレール「逃がしませんわよ!追撃しますわ!」

 セモヴェンテ(フラッグ)<ギャラギャラギャラ! CV33<ギャラギャラギャラ!

 ソミュア<ギャラギャラギャラ! R35<ギャラギャラギャラ! B1<ギャラギャラギャラ! FT-17<ギャラギャラギャラ!

セモヴェンテ操縦手「ケツに着かれた!ケツに着かれた!」

アンチョビ「コラ!女の子がおけつなんて言うんじゃない!」

カルパッチョ「ドゥーチェ!マジノの全車におっかけられてます!」

アンチョビ「うう~!どーして奴らはY字路を右に進んでいなかったんだ!おかげで貴重なセモヴェンテがやられてしまった!」

アンチョビ「ペパロニ!ペパロニィ!応答しろ!緊急事態だー!」オーイ


ペパロニ「スパゲッティ~のうえ~に~♪こんもりチーズー♪デカイくしゃみ~で~♪ミートボール消えた~♪」クシュン

一年A「ペパロニ姐さん、通信入ってますよー」

ペパロニ「えっ、なになに?」スッ

アンチョビ【ペパロニィ!すぐルイージチームはこっちに来てくれ!Y字路をそのまま下るんだ!】

ペパロニ「はぁ、え、どうしてスか?」

カルパッチョ【現在我々はY字路を引き返してるんだけど、後からマジノの全車に追われてる状況なの。そこで待ち伏せしてても敵は来ないのよ】

アンチョビ【とにかく早くこっちに来い!このままじゃ――】

 <ゴワァン!

アンチョビ【わひゃあ!だじげで~!】

ペパロニ「あっ!ヤベェ!なんかよくわからんが全車出撃ー!ドゥーチェの危機だ!マッハで行くぞ!」

 \オオオーーー!/

フォンデュ「まさかデコイに騙されていたとは・・・少し慎重すぎましたね」ドドド

エクレール【うう・・・胃が痛いわ・・・お薬飲まなきゃ】ング

ガレット【しかし結果的に我々が有利。アンツィオフラッグ部隊を後ろから追っているんですから】ドドド

エクレール【油断してはいけませんわ。相手はデコイで我々を足止めし、急襲を仕掛けてきたんですもの。まあ、どうして逃げたのかわかりませんが・・・】ドドド

フォンデュ「深読みしすぎでは?」ドドド

エクレール【いえ・・・あちらの隊長さんはすごいお方ですわ。きっと何か裏に狙いがあるに決まってますの。過度に攻撃し過ぎないように適度に撃ちながら追いかけますわよ】ドドド

 「「「Compris(了解)!」」」ドドドドド

フォンデュ「・・・」ドドド


アンチョビ「くう~!我々は逃げることしかできんのか~!」クヤシー!

カルパッチョ「固定砲塔じゃ追いかけっこは不利ですね」ドドド

 CV33<ギャワアッ!ギャルギャルギャル! セモヴェンテ<ドドドドド!

ペパロニ「およびとあらばペパロニ参上ー!お待たせしましたアンチョビ姐さァん!」ギャギャギャー!

アンチョビ「おおっ!チームルイージが駆け付けてくれたか!」ドドド

 ガレット「後方からCV33が四輌とセモヴェンテ!」ドドド

 フォンデュ【!・・・これは・・・挟みうちの形・・・!】ドドド

 エクレール【最初からこれが狙いでしたのね・・・っ!】キリキリ

アンチョビ「チームルイージ!後ろから敵を撃破するんだ!」ドドド

 アンツィオ一年達「「「Si(了解)!」」」ドドドドド

 CV33<ギュルン! ドパタタタタタ!

ガレット「くぅっ!豆戦車めっ!・・・機銃でこちらの妨害をっ・・・これでは前方のフラッグを狙いが定まりませんわ!」ドドド

 セモヴェンテ<ドワ!

 R35<ゴガァン! シュポ

ガレット【CVで牽制して後方のセモヴェンテが狙い撃ち・・・!】ドドド

フォンデュ【エクレール様!このままでは!】ドドド

エクレール(なんてことですの・・・私達は最初から手の平の上で踊らされていたのですわ・・・そんなこととはつゆ知らず・・・私は隊長としてあまりにも未熟っ・・・)

エクレール(まさかフラッグを餌にし、走行しながらの挟撃なんて・・・そして、それにまんまと釣られてしまうなんて・・・私は隊長失格ですわ・・・)

ガレット【隊長!指示を!】ドドドドド

エクレール「・・・思えば・・・試合が始まる前から私は負けていたのかもしれませんわ。アンツィオのドゥーチェさんの・・・器の大きさを目の当たりにした時から・・・」ドドド

フォンデュ【!?・・・エクレール様・・・?】ドドド

エクレール「人としての大きさというのでしょうか・・・隊長としての格とでも言うのでしょうか・・・戦うまでもなく、私はあの方に負けていたのですわ・・・」ドドド

ガレット【何を言っているんですの?・・・こんな時に】ドドド

エクレール「ごめんなさい皆さん・・・ふがいない隊長で・・・マドレーヌ様なら、こんなことには・・・」

 マジノ生徒「「「・・・」」」ドドドドド

ガレット【エクレール・・・】ドドド

フォンデュ「・・・何が今度は必ず勝つ、ですか・・・何が持てる力を全て出す、ですか・・・」ドドド

エクレール【!・・・】ドドド

フォンデュ「隊長のあなたがそんなことでは勝てるものも勝てませんよ!半端な気持ちの人間に誰がついていくんですか!」ドドド

エクレール【フォンデュ・・・】ドドド

フォンデュ「マジノは強くなる、全国大会で勝つこともできるなんて言っておきながら・・・エクレール様は自分自身に負けているじゃないですか!」ドドド

フォンデュ「マドレーヌ様から隊長の座を譲って頂いたのに・・・そんな情けないことを言うようでしたら・・・」ドドド


フォンデュ「夢見させるようなことを言わないでください!」

エクレール「!」

エクレール「・・・まさかフォンデュに叱咤されるとは予想外でしたわ・・・」

フォンデュ「・・・」

エクレール「皆さん、もう一度だけ謝らせてくださいませ。ごめんなさい・・・私が間違っていましたわ」

エクレール「私は未熟かもしれませんが・・・何より心が未熟でしたわ。勝ちたい気持ちが無い者が成長などできる訳がありませんのに・・・」

エクレール「ドゥーチェさんの器にあてられて、戦車道を楽しむ心すら忘れてしまっていましたわ・・・」

エクレール「もう弱気にはなりません。皆さんと一緒に勝ちたい・・・強くなりたい・・・戦車道を楽しみたいですわ!」

フォンデュ「エクレール様・・・!」

ガレット「まったく、世話の焼ける隊長ですこと」フフ・・・

エクレール「さあ、ここからが本番ですわ!Strategie《Chateau de Vaux-le-Vicomte》(ヴォー=ル=ヴィコント城作戦)を発令!陣形を組め!」

 「「「Compris!!!」」」

 ドドドドドドドド! ギャギャギャ! ドドドドドドド!

今回はここまでで

あ、フランス語で書いてるとこあるけど間違ってるかもしれんので真に受けないでください

アンツィオ一年C【ドゥーチェ!マジノの様子が変わりました!なんか横に広いひし形みたいな隊列を組みましたよ!】

アンチョビ「えっ、ほんと」

ペパロニ【んなもんカンケーねー!撃って撃って撃ちまくれー!】

 CV33<ドパパパパパ! セモヴェンテ<ドワ!

 <ガァン! ギャラギャラギャラ!

ペパロニ【効かねェ!】

カルパッチョ「あれは・・・全車がピッタリとくっつくように陣を組んでフラッグの盾になってます!綺麗なひし形陣形を組んだまま、一糸乱れず前進して・・・まるで動く要塞です!」


エクレール「ヴォー=ル=ヴィコント城とはフランスの名城・・・横に広く戦車の並ぶ陣形に似てるからそう名付けましたわ!装甲の厚い戦車を前面に配置した鉄壁防御!」

エクレール「統制の取れた密集陣形で整列し、そのまま前進し続けるのは日々の練習のたまもの!この完璧な隊列はそう簡単に崩せませんわよ!」

エクレール「全車、砲塔旋回!後方のセモヴェンテに一斉射!」

 \ドワドワドワ!!!/

 セモヴェンテ<ズドドドーン! シュポッ

アンチョビ「ああっ!だ、大丈夫か!?」

 アンツィオ一年D【すみませんドゥーチェ!集中砲火をくらってしまって・・・】

カルパッチョ「ドゥーチェ、残るセモヴェンテは私達だけです。敵の後方に着いてるのはCV33だけ・・・機銃では装甲は抜けません」

アンツィオ「ぐ~っ・・・つまりこっちは手も足も出ない状態か!」グヌヌ

 ガレット「勝負はついたも同然ですわね!残り一輌のセモヴェンテは前方で私達に追いまわされ、後方には豆戦車しかいない。アンツィオはもう手も足も出ませんわ!」ドドド

エクレール「油断してはダメですわよ。B1二輌とFT-17は後方のCVをそのまま撃破してください。他は前方のフラッグを狙いますわよ!」ドドド

エクレール「CVは車体が軽く、真芯で捉えないと白旗判定は出ません。エンジン冷却部等のウィークポイントを狙撃して!」ドドド

エクレール「かつてフランスで起こった革命のように、私達も変わるのです。強いマジノ女学院に・・・勝利を掴むマジノ女学院に!」ドドド

 「「「Compris!!!」」」

 \ドワ!ドワドワ!/ \ズドォ!/ \ドグワア!ゴワアン!/

 アンツィオ一年E「うわ~!砲弾の雨だ~!」 アンツィオ一年F「やっべぇーッ!」 アンツィオ一年G「アッチョンプリケ~!」

カルパッチョ「ドゥーチェ!このままではやられる一方です!」ゴワアン!

ペパロニ【こっちも撃たれてるッスよー!どーすりゃいいッスか!?なにも手はないんスかーッ!】ズドオーン!

アンチョビ「ぐぐぐっ・・・実は・・・手が無いことは無い。一つだけ打開策がある・・・が、かなり分が悪い賭けだ」ゴガン!

カルパッチョ「他に手が無い今、分が悪くても賭けるしかありません。どういう作戦なんですか?」ドドド

アンチョビ「・・・それは――」

アンチョビ「――・・・という作戦だ」ドドド

カルパッチョ「それはまた無茶な作戦ですね」ドドド

アンチョビ「ああ、かなりな。こんな危ない賭けに巻き込んで・・・すまん」ドドド

セモヴェンテ操縦手「謝んないでくださいよドゥーチェ!仲間のためならそれくらい平気ッス!それに戦車は特殊カーボンで守られてるから安全ッスよ!」ドドド

カルパッチョ「この状況を打破するにはそれしかありませんね」ドドド

ペパロニ【ちょぉーっと待ったァ!その役目はウチらに任せてください!】ドドド

アンチョビ「!?・・・ダメだ!こんな無茶な作戦をやらせれるもんか!私が考えたんだ。私がやらないでどーする!」ドドド

 エクレール「Feu(撃て)!」ドワ!

 ガレット「豆戦車を吹き飛ばしますわよ!」ドワ!

 \ドゴォン!/ \ボガァン!/

アンチョビ「わぁ!」グラグラ

ペパロニ【フラッグ車の姐さんがそんな無茶したらヤバイっしょ!それにCV33の方がスピードも小回りも効くッス!その作戦はウチら向きですぜ!】ドドド

アンチョビ「だがCVは軽いんだぞ!一歩間違えたらどれだけ吹っ飛ぶかわからん!危険すぎる!」ドドド

 ソミュア<ゴワア! B1<ドォン! \ドォン!/ \ズガァン!/

カルパッチョ「ドゥーチェ!私達もペパロニ達も砲撃にさらされています!もうこれ以上は・・・」ドドド

ペパロニ「やらせてくださいドゥーチェ!心配なんざ無用です!」ドドド

アンツィオ一年A(CV33操縦手)「ペパロニねえさんの言う通りッス!私だって腹くくってます!きっとやりとげますよ!」ドドド

 \ドォン!/ \ゴワァン!/ \ドゴォン!/

ペパロニ「ドゥーチェ!アタシ達に任せてください!」ドドド

アンチョビ「ダメだ!絶対にそんな危険なコトはさせないぞ!お前達に――」

 \ガガァン!/ \ズドォン!/ \ドガァン!/

ペパロニ「チクショー!!!一度くらいアタシらを信じてくれってんスよー!!!そんなにアタシらは頼りないんスかー!!!」

アンチョビ「!」


カルパッチョ「・・・ドゥーチェ、ペパロニの言う通りです。この作戦にセモヴェンテは不向きです」

アンチョビ「・・・」

 \ズドォン!/ \ガン!/ \コォーン!/

カルパッチョ「あの子達を信じてあげてください」

 \ギィン!/ \ガガガガガ!/ \ゴォン!/

アンチョビ「・・・っ・・・・・・ペパロニ、やってくれるか!」


ペパロニ「ッ!」パアーッ


ペパロニ「はいッ!」

 CV33<ギュオオォォオ! ギャラギャラギャラ!

マジノ一年「後方のCVが一輌急接近してきます!」

ガレット「返り討ちにしてあげますわ」

 B1<ドッ! \ドーン!/

アンツィオ一年A(CV33操縦手)「うひー!」ギャラギャラギャラ

ペパロニ「運転変わってくれ!アタシがやるぜ!」グゥン! ギャラギャラギャラ!

 \ガン!/ CV33<ドパパパパパパ!

ガレット「なっ・・・車体をぶつけて機銃を接射!?至近距離で直に駆動系を壊しにかかるなんて・・・豆戦車なりに抵抗する気ですわね」

ペパロニ「へっへーん!くやしかったらここまでおいでー!」ギャラギャラギャラ!

マジノ一年「CV、距離をとります!」

ガレット「隊長!あの豆戦車は放っておくと面倒ですわ!私に追撃の許可を!」

エクレール【やれますの?】

ガレット「陣形は私が抜けてから再編成してくださいませ。私はCVを追います!」

エクレール【・・・わかりましたわ。ガレット、任せます】

ガレット「Compris!」ドドド

 B1<ドドドドドドド!

ガレット「逃がしはしないわよ豆戦車!」

ペパロニ「来た来た!しっかり着いて来いカモ野郎ー!」ギャラギャラギャラ!

B1操縦手「森の中に逃げて行きますよ。山道と違って走りづらいけど、追いますか?」

ガレット「当然。本隊が追いかけっこしてる山道はこの先カーブになってる。おそらく豆戦車は森を抜けてショートカットして本隊に攻め込むつもりよ」

ガレット「それまでに撃破する!森の中で豆戦車を仕留めますわ。あの子に・・・エクレールに花を持たせてやりたいもの。砲撃!」ドドド

 B1<ドオ! \ズドーン!/

ペパロニ「ハーズレー!」ベー

ガレット「おのれ!ちょこまかと!」ドドド

ペパロニ「うおっしゃー!」ギャラギャラギャラ

 <ギャラギャラギャラ! ペパロニ「どしたどしたァー!」 ペパロニ「舐めんじゃねェぞー!」 ペパロニ「どおりゃあー!」 ギャラギャラギャラ!>

  ギャラギャラギャラ!> ペパロニ「ヒャッホォーウ!」 ペパロニ「おらおらおらー!」 ペパロニ「チョー余裕ッス!」 ギャラギャラギャラ!<

ガレット「お、おちょくって~!」ムキー

エクレール「Feu(撃て)!」

 ソミュア(フラッグ)<ドッ! CV33<ズドーン! シュポ ソミュア<ズド! CV33<ドーン! シュポ

アンチョビ「ああっ!だ、大丈夫かお前達ー!」

 アンツィオ一年E【平気でーす!ごめんなさいドゥーチェ!】 アンツィオ一年F【ケガ無しです!ドゥーチェがんばってー!】

エクレール「さあ、護衛のCVはやっつけましたわ。残るはフラッグだけ・・・Feu(撃て)!」

 ソミュア<ドワ! \ドォーン!/

セモヴェンテ操縦手「うおあ~!間一髪~っ!」ドドド

アンチョビ「なんとか持ちこたえるんだ!このままの速度を維持して、後はペパロニ達を信じる!カルパッチョ、作戦が上手くいったら一気に決めるぞ!」ドドド

カルパッチョ「はい。任せてください。きっとやってみせます」ドドド

 エクレール「中々粘りますわね・・・ですがいつまで保つのでしょうかね」ドドド

 フォンデュ「無駄弾を撃たせようという作戦かもしれませんがそうはいきませんわ。誤差修正、右30、上10」キリキリキリ

アンチョビ「・・・砲撃が緩くなった・・・狙いを定めてるのか!つまりピンチ!だが同時にチャンスだ!私が合図したら車体を180度反転させろ!」ドドド

セモヴェンテ操縦手「セモヴェンテでCV33ターンしろってんでスか!?」ドドド

アンチョビ「お前なら・・・お前達ならやってやれないことはないハズだ!そうだろう!」ドドド

セモヴェンテ操縦手「っ!・・・はい!っしゃぁ!やぁってやるぜ!」ドドド

 CV33<ギャラギャラギャラー!

ガレット「くっ・・・戦車の軽さと速度もだけど、操縦手もいい腕してる。当てがいがあるわ!」

 B1<ズオ! \ズドーン!/

アンツィオ一年A(CV33操縦手)「うおっと!・・・今のはアブなかった」ギャラギャラギャラ

ペパロニ「そう簡単にやられやしないぜ!風よりも速い翼!炎より熱い心!それがアンツィオの戦車道だー!」ギャラギャラギャラ!

ガレット「速いッ・・・あの動き・・・例えるなら・・・空を駆ける一筋の流れ星!」グッ

B1操縦手(ガレット様、なんか熱くなっちゃってる・・・)

ペパロニ「今だ!チョーマッハッ!」ギュオォン!ギャラギャラギャラ!

ガレット「!・・・最後にアクセル全開にしたってもう逃がしませんわよ!こちらも全速力よ!」

 CV33<ギャラギャラギャラ! B1<ドドドドド!

ガレット「くっ!なんてスピードッ・・・!狙いが定められない!」ドドド!

ペパロニ「生まれつきのスピード狂なのさ!」ギャギャギャギャギャ!

 セモヴェンテ<ドドドドド! ソミュア<ドドドドド! R35<ドドドドドド!

カルパッチョ(ドゥーチェの作戦、上手くいくかは運次第でもある・・・勝負は水物・・・勝てるか負けるか、後は勢いに任せるしかない)ドドド

アンチョビ「もう少しだ・・・!ポイントまでもう少し・・・!」ドドド

カルパッチョ(気を緩めてはダメ・・・ほんのちょっとでも隙を見せると一瞬で勝負が着く・・・なにせ今、この場にいる誰もが『勝ち』を狙っているもの・・・)ドドド

アンチョビ「来るぞ!」ドドド

カルパッチョ(その中で、今日、一番強い者が勝つ)ドドド


エクレール「フォンデュ、最後の一手は任せますわ」ドドド

フォンデュ「この一撃が、新たなマジノの門出です・・・」ドドド

 セモヴェンテ<ドドドドド! ソミュア<ドドドドド! R35<ドドドドド!


ガレット「――照準に・・・入った」ドドド


ペパロニ「こっから大逆転の始まりだぜッ!」グンッ!

 CV33<ギュオォォォン!!!

ガレット「取ったわ!」

 B1<ドッ!


フォンデュ「Feu(撃て)!!!」


エクレール「勝ちましたわマドレーヌ様!」


 ――ギュォォォォオオオン!

ペパロニ「やったぜ・・・ッ!」

 ――~~グオオオォォォオオオッ! CV33<バァァアアアーーーッ!


ペパロニ「姐さぁぁぁぁぁーーーん!!!」


 バァァァ――ッ! [CV33] >ガンッ!< [ソミュア]


フォンデュ「ッ!?」

 \ズドオオォォォンッ!!!/


 <ドッ! \ドォン!/

 R35<シュポッ

 ソミュア<シュポッ

エクレール「ッ!・・・CVをフォンデュのソミュアにぶつけて砲身の向きを無理矢理変えた!?ソミュアが砲撃するその瞬間に・・・隣のR35に砲撃させられた!」

エクレール「そして・・・森の中を抜けて来たCVを狙ったガレットのB1の砲撃を、フォンデュのソミュアに押し付けたというの!?」

 ガレット「し、しまった!豆戦車を狙った砲弾がソミュアに・・・!」

 フォンデュ「ううっ・・・味方に誤射させられるなんて・・・」

エクレール「ガレットの砲撃、フォンデュの砲撃、CVの突貫・・・三つのタイミングを同時に合わせるなんて・・・!」


アンチョビ「大丈夫か!」

 ペパロニ【・・・・・・よゆーッス・・・】ブイ

アンチョビ「よぉし!お前達の根性を無駄にはしまい!いくぞみんな!ここから乙女の花道ぃ!」バッ!

セモヴェンテ操縦手「だっしゃぁぁぁ!」グオオォォォン!

 セモヴェンテ<ギャリリリリリリリ!!!

エクレール「!セモヴェンテが反転――」

アンチョビ「装填!連撃でいくぞ!ここが腕の見せ所ォ!」

カルパッチョ「はい!」ガコン!

アンチョビ「撃て!」

 セモヴェンテ<ドワ! \ドゴォ!/ FT-17<バキン!

カルパッチョ「はいっ!」ガコン!

 セモヴェンテ<ズド! FT-17<ガィン!

カルパッチョ「はいぃ!」ガコン!

 セモヴェンテ<グワ! \ボガァ!/ B1<シュポ

エクレール「ま、まさかそんな!なんて装填速度!?・・・くっ!撃ち返して!」

 ソミュア<ドッ!

セモヴェンテ操縦手「なんとぉー!」ギャギャギャギャギャ!

 セモヴェンテ<ギィン!

エクレール「は、外された!装填を――」

アンチョビ「後はフラッグだけだ!カルパ――」

カルパッチョ「ハアッ・・・!ハアッ・・・!・・・くうぅ!」ガコ・・・

アンチョビ「!・・・だ、大丈夫か!無理を――」


ガレット「あんなスピードで連射すれば装填手も保たないのは明白・・・その一瞬の隙を見逃したりはしない」

 B1<キリキリ・・・

アンチョビ「!・・・しまっ――」

ガレット「エクレールをやらせるものか!てぇーっ!」

 CV33<ギュオオオォォォオオオン!!!

ペパロニ「まぁだ!カルロヴェローチェが!残ってるぜぇぇぇぇぇ!!!」

ガレット「!?」

 B1<ドッ! CV33<ドカァアン!

ガレット「なッ・・・!フラッグをかばった!」


カルパッチョ「ううぅ~~~っ!」グッ・・・

 ガコン!

カルパッチョ「ドゥーチェ!」

アンチョビ「ああ!」

エクレール「勝負っ・・・!」

 ソミュア<ドドドドドド!

 セモヴェンテ<ドドドドドド!

 ソミュア<ドドドドドド!

 セモヴェンテ<ドドドドドド!


アンチョビ「この瞬間を・・・二年間追いかけて来たんだ!」


 ド ッ !!!


 ド ガ ァ ン ッ !!!


 ―――~~~ッ・・・・・・

 ソミュア<シュポッ


 【全国大会で勝つ!】✓

審判《マジノ女学院フラッグ車、走行不能!よって・・・アンツィオ高校の勝利!》


アンチョビ「・・・」

アンチョビ「・・・」

アンチョビ「・・・や・・・やっ・・・やっ・・・!」


アンチョビ「やったぁぁぁーーー!!!」

 \ワー!ワー!/ \ヒュー!ヒュー!/ \ヒャッホォーウ!/

アンチョビ「勝った!勝ったぞぉぉお!とうとう勝ったんだー!」ヤヤア!

カルパッチョ「やりましたねドゥーチェ!」ワー!

アンチョビ「ああ!お前達みんなよくやってくれた!ぃよーし!今日はお赤飯でお祝いだー!三日三晩騒ぎ倒すぞー!」

 \オオオオ~~~!/ \ワー!ワー!/ \イエーーーイ!/

エクレール「・・・負けてしまいましたわ・・・今度こそ勝てると思いましたのに・・・」ウルッ・・・

エクレール「くっ・・・」グシグシ

フォンデュ「エクレール様、ハンカチを」スッ

エクレール「っ・・・ありがとう」ズビー

フォンデュ「鼻をかむのはやめてくださいよ」

アンチョビ「みんなケガしてないな!どこも打ってないか!?なんかめまいとかしないだろうな!?」

 アンツィオ一年B「ドゥーチェ心配しすぎッスよー」アハハ アンツィオ一年C「勝利して最初にするのがケガの心配でスかよー」アハハ

エクレール「おめでとうございます。素晴らしい戦いでしたわ」パチパチ

アンチョビ「おお!こちらこそ礼を言わせてもらう!いい試合だった!」ギュッ スッ スッ

エクレール「勉強させてもらいました。まだまだ私は未熟。隊長として、仲間を率いる者としての覚悟を学びましたわ」

アンチョビ「私だってそうさ。統帥たるもの、仲間を信頼してナンボだってな。つまりこういうことだ。この試合はお互いにとって良い経験になったんだな!」

エクレール「ふふ、そうですね。私も・・・もっと勝ちに貪欲になれそうですわ。あなた方のように、負けを恐れずに勝利を掴みに行く姿勢を目の当たりにしたのですから」

エクレール「『恋の終わりを恐れるなら、さくらんぼの赤い実を愛してはいけない』・・・フランスの名曲、『さくらんぼの実る頃』という曲の歌詞ですわ。失恋ソングですけどね」

アンチョビ「おおっ!その曲、私も好きな曲だ!センパイがよく歌ってくれて、今でも聴いてるんだ!」

エクレール「まあ、アンツィオの方々がフランスの曲を・・・なんだか急に親近感が湧いてきましたわ」クスクス

アンチョビ「よーし!試合が終わったらみんな友達!これからおつかれさんパーティーを開こう!お前ら宴会の準備だー!」

 \オオオ~~~!/

エクレール「え、宴会・・・ですの?」


アンチョビ「えー、ではアンツィオ高校とマジノ女学院の健闘をたたえましてぇーッ」

カルパッチョ「かんぱーい!」

 \カンパ~~~イッ!!!/

アンチョビ「あっコラ!乾杯音頭を横取りするんじゃない!」

 \ハハハハハ!/ \ワイワイガヤガヤ/ \ドンチャンドンチャン/

フォンデュ「よろしいんでしょうか・・・私達までこんな御馳走を頂いて・・・」

アンチョビ「遠慮するな!勝負が終われば試合に関わった選手スタッフをねぎらう!それがアンツィオ流ぅーっ!じゃんじゃん食べろ!ほら、よそってやるから」モリモリ

フォンデュ「あ、ありがとうございます。では・・・!・・・おいしい!」パアー

アンチョビ「そうだろそうだろー!アンツィオは料理の腕なら天下無敵だ!」エッヘン

エクレール「料理道全国高校生大会があればアンツィオは優勝候補間違いなしですわね」

アンチョビ「そう・・・その通り!丸いお皿に料理を盛って!咲かせ皆に笑顔の花を!アンツィオ高校戦車道チーム!ご期待通りに宴会満喫!」バーン

フォンデュ「こちらのブドウ酒、ノンアルコールのはずですよね?」

カルパッチョ「ドゥーチェはシラフでこれですよ」

ガレット「・・・」モグモグ

B1操縦手「ガレット様、お疲れ様でした。あの・・・」

ガレット「やれるだけはやった・・・悔しいけど、悔いはないわ」

ペパロニ「よぉーっ」

ガレット「!・・・あなた、あのCV33の子ね。完全にノせられたわ・・・まさか、味方の戦車を撃たされることになるなんてね。あんなタイミング狙ってできるものなの?」

ペパロニ「いやぁ~、おかげさまでー。まーなんていうか、ノリにノってガーってやってバーってやって、後は勢いに任せたら全部うまくいったって感じかな」

ガレット「・・・天を味方につけたのね。でも、味方の位置に気を配れなかったのは私・・・あなた達の狙い通りにはめられたわ・・・」

ペパロニ「アンタらも強かったぜ!無敵でサイキョーのアンツィオをここまで苦戦させるたぁな!アタシはペパロニ!アンタは?」

ガレット「名乗るほどでもないわ・・・相手の策にまんまと嵌り、敗因のきっかけになってしまった未熟な私なんてね」

ガレット「いつか・・・私がもっと強くなって、あなたに好敵手と認められたその時、初めてあなたに呼んでほしいから・・・私の名を」

ペパロニ「そっかー」

B1操縦手「ガレット様、あちらでエクレール様がお呼びですよ」

ガレット「ええ。では・・・またどこかで・・・」スッ・・・

ペパロニ「おいっ」

ガレット「!・・・なに?」


ペパロニ「またな、ガレット」

ガレット「ッ・・・!」

ガレット「・・・・・・さ、さんを付けなさいよ」

ペパロニ「ハハハ、アッハハハハ!」

ガレット「・・・ッフ・・・フフフフ・・・ハハハハハ」

エクレール「あら、落ち込んでると聞いたけれど、スッキリした顔ですわね」

ガレット「ええ、まあ」フフッ

エクレール「ガレット、あなたが最後まで私を守ろうと頑張ってくれたのは聞きましたわ。ありがとう」

ガレット「ッ・・・そ、それは当然ですわ。あなたは隊長で、フラッグ車なのですから・・・」

エクレール「でもうれしかった。これからも私を支えてくれます?」

ガレット「・・・そんなこと聞くまでもないでしょう」

エクレール「フフ・・・よろしくねガレット」

フォンデュ「素直じゃないんですからまったく・・・」

エクレール「アンツィオの皆さん、改めまして、この度は二回戦進出おめでとうございます。負けた私達がこのような事を言うのもおかしな話ですが」

アンチョビ「ありがとう!だが勝負は水物だからな。マジノだって十分勝てる可能性はあったんだぞ。まあ私達も強いがな!」

エクレール「フフ、アンツィオの皆さんがどこまで行けるか、楽しませてもらいますわ」

アンチョビ「期待していろ!今の私達はノリにノってるからな!西住まほ率いる黒森峰にだって勝ってみせるさ!ハッハッハー!」

フォンデュ「それはまた大きく出ましたね・・・」

エクレール「でも、皆さんならやってのけるかもしれませんわね」クスクス

 ペパロニ「ドゥ~チェ~!鉄板ナポリタン持って来――」ガッ! ドンガラガッシャア~ン!

アンチョビ「ああっ!なにやってんだペパロニー!」タタタ

フォンデュ「試合直後だというのに元気ですね」

カルパッチョ「あはは・・・」

 アンチョビ「あーあー、服がベタベタじゃないか。ヘイキか?すりむいてないか?」フキフキ

 ペパロニ「でへへへ、ドゥーチェにパスタ食べさしてあげようとハリきりすぎちまいました」タハハー

エクレール「ドゥーチェさん、まるでお母さんですわね」クスクス

カルパッチョ「私達にとって、ドゥーチェは立派なドゥーチェですからね」

エクレール「ドゥーチェさんがいれば、アンツィオが黒森峰にだって勝つという話もあながち夢物語でもないかもしれませんわね」

カルパッチョ「はい。私達もそう思っています」ニッコリ

フォンデュ「黒森峰は高校戦車道で間違いなく最強の一角ですよ。いくらアンツィオの皆さんががんばっても、戦車の性能差も圧倒的・・・さすがに無茶では?」


カルパッチョ「黒森峰女学園が最強のチームなら、アンツィオ高校は最高のチームです。たかが最強程度で、最高に勝てるわけがないじゃないですか」


フォンデュ「!・・・・・・そう・・・そうかもしれませんね」

エクレール「フフ・・・」





 ―アンツィオ高校

アンチョビ「お・・・おお・・・おおおおおお!」パァー

 \ P-40 /

アンチョビ「つ、ついに・・・ついに買ったぞ!イタリアの重戦車!P-40!」バーン

アンチョビ「苦節ウン十年・・・何代も前のセンパイ方から受け継いできた貯金がとうとう貯まって・・・ううっ・・・ドゥーチェ感激・・・」グスン

カルパッチョ「やりましたねドゥーチェ。それもこれも一回戦に勝てて、校内も盛り上がったおかげでパスタやピザがたくさん売れたからですね」

ペパロニ「一日三度のオヤツを二度にしたかいがあったッスね!」

アンチョビ「ぐすん!・・・ああ!まったくだな!よしっ、『やることリスト』にチェックを入れるぞ!」サッ

 【P-40を買う】✓

カルパッチョ「それからドゥーチェ、お客さんが来ていますよ」

アンチョビ「え?」

ジーナ「一回戦突破おめでとう、アンチョビちゃん」

先輩B「まさかホントに勝っちゃうとはなー!いやー、OGとしてハナが高いな~!」

アンチョビ「せ、センパイ方!」

先輩C「久しぶりね。私達も試合会場で見てたのよ」

先輩D「すっかり立派な統帥になっちゃって。私達もうれしいよ」

フィオ「元気に戦車道してるみたいでよかったよかった」

アンチョビ「み、見てたんですか・・・」

ジーナ「当然じゃない。かわいい後輩の晴れ舞台なんだもの。よくがんばったわね」

 ペパロニ「なあ、あの人ら誰?」

 カルパッチョ「ドゥーチェが一年だった頃の三年と二年の人達。つまり私達にとっても先輩ね」

ペパロニ「!・・・っしゃーす!御苦労さまです!自分、アンツィオ高校二年のペパロニッス!しゃーっす!」ペコー

先輩B「おっ、アンツィオらしい子だなー。どーだ?ちゃんと戦車トバしてるかー?」ナデクリナデクリ

ペパロニ「ウッス!そりゃーもうハデに!」

先輩D「試合で相手の戦車に突っ込んでた子でしょ。いいガッツだよねー」

カルパッチョ「同じく二年のカルパッチョです。ドゥーチェがお世話になりました」ペコ

先輩C「アンチョビちゃんやペパロニちゃんみたいな子には、あなたみたいな落ち着いた子が必要よ。二人を・・・アンツィオをよろしくね、カルパッチョちゃん」

カルパッチョ「はい。お任せください」

アンチョビ「こ、こらカルパッチョ!私が後輩に心配されるような統帥だってセンパイ方に誤解されちゃうだろ!格好悪いこと言うな!」

フィオ「大丈夫、アンチョビちゃんがお笑い隊長ってことはちゃーんとわかってるからね」

 \ハハハハハ・・・!/

アンチョビ「ぐぐぐっ・・・・・・でも・・・ま、いっか!皆笑顔になってくれるなら!」

 フィオ「あっははは!」 先輩C「ハハハ」 先輩B&ペパロニ『だーっはっはっはっは!』 先輩D「ハッハハハ!」 ジーナ「フフフ・・・」 カルパッチョ「あははは」


アンチョビ「・・・と・・・素直に笑えんのは私だけか」イジケイジケ

カルパッチョ「さ、ドゥーチェ、お昼になる前にまだ一仕事ありますよ。みんなにP-40のお披露目しないと」

アンチョビ「そうだな!それに二回戦を前にして気を引き締めないとな!」

ペパロニ「アタシも後輩達にナメられないようにビシっとやりますよ!」キリッ

カルパッチョ「こういう場ではキリっとするものね」フフフ

アンチョビ「あっ!いいこと考えた!みんなが集まる前に後ろにP-40隠しとこう!シーツで覆ってさ!で、私が合図したら二人がシーツをめくってP-40登場ってのはどうだ!?」

ペパロニ「最高ッスよ姐さァん!エンターテイナーの鑑ッス!いよっ!盛り上げ担当!」ヒューヒュー!

アンチョビ「そうと決まれば善は急げ!膳はゆっくり噛んで食べろだ!準備にとりかかろう!みんなをビックリさせるぞー!」

 カルパッチョ&ペパロニ<オオー!


ジーナ「フフ・・・アンチョビちゃん、立派な統帥になっちゃって・・・」

先輩D「ジーナ嬉しそうだね。先輩というよりお母さんみたい」

先輩C「アンチョビちゃん達が戦車道楽しんでるみたいでよかったわね」

先輩B「くっそ~、あんなの見てると私達も戦車に乗りたくなるよなー」

フィオ「皆さんは大学に戻ったら山ほど乗れるじゃないですか。あっ、戦車整備はウチに持ってきてくださいね!サービスしますから!」

ジーナ「フフフ・・・私達も後輩達に負けてられないわね」


 ―戦車道全国高校生大会

アンチョビ「たーのもー!」

杏「おー、チョビ子ー」

アンチョビ「チョビ子と呼ぶなアンチョビ!」バッ スタッ

桃「で、何しに来た安斎」

アンチョビ「アンチョビ!試合前の挨拶に決まってるだろう」

アンチョビ「私はアンツィオの、統帥アンチョビ!そっちの隊長はー!?」

桃「おい、西住」

みほ「はい」ポテポテ

アンチョビ(ほー、この子が西住まほの妹の・・・)

アンチョビ「ほー、アンタがあの西住流か」

みほ「西住みほです」

アンチョビ「フン!相手が西住流だろうが島田流だろうが、私達は負けない。じゃなかった勝つ!」

アンチョビ「今日は正々堂々勝負だ!」

みほ「はい。こちらこそよろしくお願いします」



 P-40<シュポ

アンチョビ「・・・う・・・ううっ・・・ぅぁっ・・・」パタリ


審判《大洗女子学園の勝利!》





アンチョビ「全国大会も終わって、私の高校戦車道はこれまでだな~」

アンチョビ「だがまだ卒業じゃない!あと半年、たくさん後輩達に戦車道を教えてたくさん美味しい料理を作ってたくさん楽しい思い出を作るぞー!」

アンチョビ「そうと決まればまずは腹ごしらえだ!今日はパスタがお安い日~♪」ルンルン

ペパロニ「ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥチェドゥチェドゥ~チェ~!」ドタバタドタバタ

アンチョビ「ぉわぃ!?なんだそーぞーしい!廊下を走ると危ないっていつも言ってるだろう!」

ペパロニ「それどころじゃないッスよ!なんかよくわかんねーけど聖グロから電報ッスよ!急ぎの要件らしいッス!」バッ

アンチョビ「なんだと!もしかしたら特売セールの情報共有か!?見せてみろ!」

 《アキノヒノ ヴィヨロンノタメイキノ ヒタブルニミニシミテ ウラカナシ キタノチニテ ノミカワスベシ》

アンチョビ「・・・」?

ペパロニ「・・・」?

アンチョビ「カルパッチョ!カールパーッチョー!」


アンチョビ「それじゃあ行ってくる!」

 \オオー!/ \ガンバレー!/ \マケナイデー!/

 一年A「大洗のことは頼みましたぜ!」 一年B「仲間のピンチは己のピンチ!がんばってくださいぃ!」 一年C「救うために傷つくのが友情ッス!」

ペパロニ「心配するな!アンツィオの名に懸けて、必ず大洗に勝利をもたらしてくる!」キリッ

アンチョビ「しかしタンケッテに三人乗るのはけっこう無茶だな」

カルパッチョ「ホントはP-40で助っ人に駆け付けたかったけど、この前の聖グロとの一件で壊れちゃいましたからね。でも、きっとなんとかなりますよ」

アンチョビ「うむ!なんとかするのが我々アンツィオだ!それじゃあお前達!私達が留守の間を任せるぞ!戦車の鍵と火の安全確認を忘れるな!」

 \ハーイ!/

アンチョビ「よーし!仲間のため、友のため!アンツィオ高校出発進行ー!まっていろ西住、杏ー!」





 Fiat-SPA 38Rトラック<ドッドッドッドッド・・・

アンチョビ「いやぁ~、いい試合だったな~」

カルパッチョ「大洗が廃校せずに済んでよかったですね。皆さん本当に喜んでましたねー」

ペパロニ「まあそれもこれもアタシらの活躍があってこそだな!」

アンチョビ「私も高校最後の戦車道にいい思い出ができたよ。もうすぐ3年生は引退だからな」

カルパッチョ「・・・そうですね・・・ドゥーチェがいなくなるなんて・・・寂しくなります」

アンチョビ「おいおい、まだ卒業するわけじゃないし、引退してもチームに顔を出すつもりだぞ。お前達にはまだまだ教えることがたくさんあるからな!」

ペパロニ「そんな暗い話はヤメにしましょうよ!せっかく勝ったんだ。ムードを変えてお祝いしましょう!」カセットテープ ガチャ

 ≪ Earth Wind & Fire:SEPTEMBER ≫ ♪~

アンチョビ「いいか、私が教えたことはキチンと後輩達に伝えていくんだぞ。アンツィオの伝統を継いで行くんだ」♪~

カルパッチョ「はい。色んなアンツィオ秘伝レシピはキチンと保管しておきますから」♪~

アンチョビ「戦車道もだ!」♪~

ペパロニ「アタシ、アンツィオに入って、戦車道やって本当に良かったッス!めっちゃ楽しかったッスよ!」♪~

アンチョビ「そうだ!それでいい!高校生活も戦車道も満喫してこそアンツィオだ!よぅし!『やることリスト』にチェックだ!」【みんなで楽しく戦車道をする】✓

カルパッチョ「そのリストの項目も、いよいよ最後の項目ですね」♪~

ペパロニ「どれどれ?・・・なぁんだ!こんなのとっくに完了してるじゃないッスか!」♪~

アンチョビ「・・・そうか・・・そうだな。うん・・・もう完了していたんだな・・・・・・ぃよーっし!『やることリスト』完了だ!お祝いに歌でも唄うか!」♪~

 ペパロニ&カルパッチョ『おー!』




 【最高の戦車道チームを作る】✓

     FINE

 おまけ

カルパッチョ「ぜんい~ん、きをつけっ」ザッ

アンチョビ「皆揃ってるな!驚いている者もいるようだが無理もない!なぜ私がここにいるのか!それは留年しちゃったからだー!」

 \オオー!/

ペパロニ「さっすが姐さん!ダブって高校生活を長く満喫できるって寸法ッスねー!」

アンチョビ「もう一年お前達と一緒に戦車に乗れるぞー!さあ唄って踊って飲んで騒げー!」

 \ワーーー!!!/

 ―――~~~・・・・・・

アンチョビ「どぉわああああああ!」ガバッ

アンチョビ「はぁ・・・はぁ・・・ゆ、夢か・・・」ドキドキ





ペパロニ「あれ?ドゥーチェ何してんスか?」

アンチョビ「べんきょだ勉強!いくら卒業したくないからって留年は困るんだ!」プンプン

ペパロニ「はー、ドゥーチェが勉強だなんて世も末ッスねー」

アンチョビ「どーゆう意味だ!とにかく邪魔をするな!明日から定期テストなんだからな!一分一秒一刻も無駄にできないんだ!」

カルパッチョ「おいしいパスタが出来ましたよ~」オーイ

アンチョビ「わーい!食べる食べるー!」タタタ

カルパッチョ「今日は定期テスト前夜祭だからたくさん作りました。みんなたっくさん食べてね」

アンチョビ「おおほほー!さすがだカルパッチョ!ぃよーし!明日からの激闘を前に今日は最後の宴だ!みんな歌って踊って飲んで騒げー!」

 \オオー!/ \ワイワイガヤガヤ/ \アッハハハハハ・・・/





 チュンチュン

アンチョビ「・・・Zzz・・・うぅ~ん・・・」ムニャムニャ

アンチョビ「・・・!!!」ガバッ

アンチョビ「しまった!寝過した!」

 FINE

完結です。アースウィンド&ファイアーのSEPTEMBERはノリにノれていい曲なので聞いてみてくらさい
このSSにはいたるところに色んなアニメや漫画や映画からの引用がありますのでご注意ください
それではここまで読んでくださった方、ありがとうございました
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1173885.jpg_6HbpqK0yBLrkILVxHVJg/www.dotup.org1173885.jpg


このレスに貼られているイラストは全て>>1が描いたものではないけど、描いた本人に許可を得ています

まほ「泥まみれの虎」
まほ「泥まみれの虎」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1465821220/)
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しほ「時には昔の話を」
しほ「時には昔の話を」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477649163/)
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またイラストをもらったので貼らせてもらいます。序盤の一場面
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1178718.jpg_vpnk57rLEn4QqHHE4Iy6/www.dotup.org1178718.jpg

こちらのスレッドはHTML化申請したのでそのうち落ちます

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