【ローゼンメイデン】まかなかったジュン「アリスゲームの真実?」 (12)


悪魔「左様。これからドールの所有者の方々に、真実をお話したいと思います」


※これはSS速報Rに投稿した「【ローゼンメイデン】まかなかったジュン「オナホを作って欲しい?」」からの抜粋です。
※既にそちらを読んだ方は、特に読む必要はありません。


ここはnのフィールド。

大きな円卓があり、ドール所有者たちと、身なりのよいダンディな中年紳士が座っている。


悪魔「本日は、急遽お呼びたてし、まことに申し訳ございません。

これからアリスゲームの本当の目的をお話します」


ざわつくドールの所有者。


悪魔「申し遅れましたが、わたくし、悪魔と申します。世に言う、いわゆる悪魔をやっております。

魂と引き換えに望みをかなえる、あれでございます」

まかなかったジュン(以下、ジュン)「なんで俺たちにそれを話すんだ?」

悪魔「それは追々……アリスゲームのことを話す前に、私とローゼンの出会いを話しましょう。

このスクリーンをどうぞ……」


悪魔がリモコンを操作すると、スクリーンに動画が映った。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482074669


ここはローゼンの家。

錬金術の研究のはて、ついに悪魔を呼び出すことに成功したのだが……。


ローゼン「足りない? 足りないとはどういうことだ?」

悪魔「あなたの魂の価値では、娘さんを生き返らせるには足りない、ということです」

ローゼン「な!?」

悪魔「汚れなき貴重な少女の魂と、歪んで濁りきった中年男性の魂と等価な訳がない。

いうなれば、高価な宝石と、ただのガラス玉とを交換しようとするようなもの。取引になりませんな」


それを聞いたローゼンは、一つの考えに行き着く。


ローゼン(娘を蘇らせないなら……作ってしまえばいい……)

ローゼン「では、私の魂に見合う分の、人形作りの技量をくれ!」

悪魔「それなら。ではこの契約書にサインを」


動画を一時停止する悪魔。


悪魔「そもそもの始まりは、こういうものでした。皆さん、疑問に思いませんでしたか?

『娘さんを生き返らせるために、魂を売り飛ばして、人形作りの技量を得るくらいなら、

そもそも娘さんを生き返らせればよいのでは?』と。こういう事情があったのです」

ジュン「ほほう」

悪魔「それを踏まえて、アリスゲームの本当の目的を話しましょう」ピッ


ここはローゼンの家。

魂は差し押さえられているので、自分の心と生命から、擬似の魂といえるローザ・ミスティカを作り、

ローゼンメイデンを作ったのだが……。


悪魔「久しぶりに来ましたが……。どうです? 娘さんは作れましたか?」

ローゼン「……私の中のアリス……夢の中にしか存在しない理想の少女……精神と物体の中間……。

nのフィールドでしか実体を持たない……永遠のイデア……完成したよ……」


それは第七ドール、雪華綺晶であった。


悪魔「それで……満足したのですか?」

ローゼン「……」

悪魔「まあ、しないでしょうね。結局のところ、あなたが本当に望んでいるのは、娘さんなのだから」

ローゼン「……」

悪魔「あきらめて、あなたの魂を差し出して、終わりにしたらどうですか?」

ローゼン「……いやだ……娘を生き返らせるまで人形を作る……」

悪魔「ここまでの人形を作って、他の手段は残っているのですか?」

ローゼン「……」

悪魔「ないでしょうね」


悪魔が工房の椅子に座る。


悪魔「そんなことだろうと思ってました。そんなローゼンさんに、一つの提案があります」


素焼きの人形の頭を手に取る悪魔。


悪魔「あなたの作ったローザ・ミスティカ。これは見込みがある。ほぼ魂と言えるこれを磨けば、

娘さんの魂に見合う価値を持つかもしれない」

ローゼン「……」

悪魔「魂は……苦難や絶望を乗り越えようとする度に、より大きく、より深い色合いに、より強く輝くようになる。

あの6体の人形……失礼、6人の娘さんたちに苦難を味合わせて、ローザ・ミスティカが磨かれたら取り上げるのはどうですか?」

ローゼン「……」

悪魔「考えたのですが、娘さんたちにローザ・ミスティカの奪い合いをさせるのが良いでしょう。

愛するローゼンさんがそれを望んでいる、と言えば彼女たちはやるはずです。

愛しあう姉妹同士で争うわけですから、それはそれは深い絶望でしょうな」


激高するローゼン。


ローゼン「娘たちに殺し合いをさせるのか!」

悪魔「殺し合いとは人聞きの悪い。人形は命を持っていませんよ。それに……あなたの目的を思い出してください。

あなたの目的は人形を作ることですか? 娘さんを生き返らせることですか?」

ローゼン「あ、悪魔め……」

悪魔「このまま人形を作って、望みがあるのですか?」

ローゼン「くっ……わかった。提案を受け入れよう」


動画を一時停止する悪魔。


悪魔「アリスゲームの本当の目的は、これだったのです」

ジュン「このクソ野郎!!!」


ジュン、みつ、まいたジュンが立ち上がり、悪魔に詰め寄ろうとするが、見えない壁に阻まれる。


悪魔「お怒りはごもっともですが、最終的な決断はローゼンさんがなさいましたので、私に怒りを向けるのは、お門違いですな。

では次、アリスゲームの結末です」ピッ


ここはnのフィールド。

アリスゲームが決着し、一つになったローザ・ミスティカ。


悪魔「素晴らしい! 想像以上です。あなたの娘さんたちは立派にやり遂げましたね」

ローゼン「……渡さん……」

悪魔「今、なんと?」

ローゼン「ローザ・ミスティカは渡さん、と言ったんだ」

悪魔「今更、約束を反故には出来ません。それに買い手ももう決まってます。

あなたの娘さんと、あなた自身の魂を取り戻して、まだおつりが来るほどの金額だ。

あなたにとって、最上の結果だと思いますが」

ローゼン「……真紅が……私の娘が望んだんだ……姉妹たちを生き返らせて欲しいと……もう娘たちを裏切れない……」

悪魔「娘さんを生き返らせたくないのですか?」

ローゼン「娘は……安らかに眠っている……そっとしておくべきだ……そう気付いたんだ……」

悪魔「……それは正しい判断ですが……それに気付くのは数百年遅かったですな……」

ローゼン「ローザ・ミスティカは、今、私の手にある。お前に渡すくらいなら、壊してしまうぞ」

悪魔「事の真相を娘さんに話しますよ?」

ローゼン「覚悟の上だ」


悪魔が押し黙る。


悪魔「力ずくで奪う手段はいくらでもありますが……まあいいでしょう。あなたが違約金を払うなら、

ローザ・ミスティカはあきらめましょう。違約金を払う契約書にサインを」


動画を止める悪魔。


悪魔「ローゼンに事の真相を話すと言った手前、皆さんにお話したというわけです」


絶句するドール所有者たち。


ジュン「力ずくで奪わなかったのはなぜだ?」

悪魔「正直、私もローゼンメイデンのファンなのですよ」

ジュン「」

悪魔「アリスゲームを悪魔界に実況中継して、賭けの対象にしていたのです。それを見ていたら、彼女たちのファンになってしまいました。

なお、私は蒼い子押しでね。彼女に掛けて、個人的には大損を……」

ジュン「」

悪魔「掛けの胴元は私で、結構、稼がせてもらいました。なおラプラスの魔はゲームの進行役。賭郎でいう立会人ですな」

ジュン「」

悪魔「だから、どちらに転んでも良かったのです。ローザ・ミスティカが手に入ればビジネスとして美味しい。

ローゼンメイデンが復活すれば、ファンとして嬉しい」

まいたジュン「ローゼンはどうなったんだ?」


ニヤリと笑う悪魔。


悪魔「彼は……もはや何も持っていないので、体で払ってもらってます。具体的に言うと、熟年ホモビデオに半永久的に出続けることに……」

まいたジュン「ホモビデオ?」

ジュン「それ以上いけない!」


悪魔が立ち上がった。


悪魔「これで終わりでございます。これをドールに話すかどうかは、皆様にお任せいたします」


結局、所有者たちは真相を話すことにした。


まいたジュン「……ということだってさ」

真紅「お父様は、一度裏切ったかもしれないけど……結局、私たちを愛してくださっていたのね……」

まいたジュン「……」

真紅「真相を話してくださっていたら……私たちはきっと、よろこんでローザ・ミスティカを差し出したのに……」

まいたジュン「……」

真紅「お父様のためのドールなのだから……」

まいたジュン「でも……僕は……真紅にいてほしい……」


ふっと笑う真紅。


真紅「そうね。下僕の面倒を見なくてはいけないものね」

まいたジュン「下僕っていうな!」

真紅「ジュン……」

まいたジュン「ん?」

真紅「抱っこしてちょうだい」


おはり

ローゼンメイデンを読んで、モヤモヤしたところを、自分なりに裏設定を考えてみた。
なお、あれだけの仕打ちをドールズにしたローゼンさんが、いい話っぽく逃げ切りそうなのがアレだったので、ケジメしてもらいました。
ありしゃした。

>>4
誤字があるので差し替えます。



悪魔が工房の椅子に座る。


悪魔「そんなことだろうと思ってました。そんなローゼンさんに、一つの提案があります」


素焼きの人形の頭を手に取る悪魔。


悪魔「あなたの作ったローザ・ミスティカ。これは見込みがある。ほぼ魂と言えるこれを磨けば、

娘さんの魂に見合う価値を持つかもしれない」

ローゼン「……」

悪魔「魂は……苦難や絶望を乗り越えようとする度に、より大きく、より深い色合いに、より強く輝くようになる。

あの6体の人形……失礼、6人の娘さんたちに苦難を味わわせて、ローザ・ミスティカが磨かれたら取り上げるのはどうですか?」

ローゼン「……」

悪魔「考えたのですが、娘さんたちにローザ・ミスティカの奪い合いをさせるのが良いでしょう。

愛するローゼンさんがそれを望んでいる、と言えば彼女たちはやるはずです。

愛しあう姉妹同士で争うわけですから、それはそれは深い絶望でしょうな」


激高するローゼン。


ローゼン「娘たちに殺し合いをさせるのか!」

悪魔「殺し合いとは人聞きの悪い。人形は命を持っていませんよ。それに……あなたの目的を思い出してください。

あなたの目的は人形を作ることですか? 娘さんを生き返らせることですか?」

ローゼン「あ、悪魔め……」

悪魔「このまま人形を作って、望みがあるのですか?」

ローゼン「くっ……わかった。提案を受け入れよう」

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