巴父「わが家へようこそ」(モバマスSS) (94)

・村上巴SSです
・書き溜めをどんどん投下していきます
・ちょっと長めです
・誤字脱字、特に広島弁の間違いがありましたら申し訳ございません


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~機内~

巴「あとどれくらいかのう」ソワソワ

巴P(以下、P)「さっき離陸したばっかじゃないか」

巴「そ、そうか?」

P「あと1時間くらいだと思うぞ」

巴「おう・・・」

P「楽しみか?」

巴「な、なに言うとるんじゃ! そんなことないわ!」

P「あはは!」

巴「笑うな!///」

P「ごめんごめん」

P(久しぶりだもんな、嬉しいに決まってるか・・・)

P(巴の実家か~)

P「・・・」

P(不安になってきた・・・)

――――――――――――――――――――
― 一週間前 ―
~事務所~

ちひろ『プロデューサーさん宛にお中元が届いてますよ』

P『え、俺にですか?』

ちひろ『はい、巴ちゃんのご実家から』

P『これまたご丁寧に・・・おっ! お好み焼きだ』

ちひろ『良かったじゃないですか、プロデューサーさん粉物大好きですもんね』

P『よーし、今日はお好み焼きで一杯やるかな~!』

巴『贈り物か?』

ちひろ『あら、巴ちゃん』

P『巴のお父様から頂いたんだ』

巴『・・・お好み焼きか』

P『巴が言ってくれたのか? 俺が粉物好きなこと』

巴『・・・・・・知らん』

P『ありがとな巴』

巴『・・・知らん///』

P『そうそう、巴宛の手紙も入ってたぞ』

巴『うちに?』

P『お母様からだな』

巴『・・・』

P『いや~、早く家に帰りたいですねぇ・・・今日は早く帰ってもいいですか?』

ちひろ『ダメですよ?』ニッコリ

P『じょ、冗談ですって~』アハハ・・・

P『・・・ん?』

巴『・・・』

P『・・・巴?』

巴『・・・』

P『あれ・・・もしかして泣いてる?』

巴『な、泣いとらん!』

P『いや・・・目、真っ赤じゃん』

巴『知らん! こっち向くな!』プイッ!

P『お、おう・・・』

巴『っ・・・』ゴシゴシ

ちひろ(まだ13歳ですから・・・無理もありませんよ)ヒソヒソ

P『・・・』

巴『うちは泣いとらん! ふざけたことぬかすな!』ゴシゴシ

巴『これでどうじゃぁ!』

P(真っ赤だよ)

P『・・・』

巴『これのどこが泣いとるのか言うてみぃ!』

P『ちひろさん、俺の有給って結構ありましたよね?』

ちひろ『え?・・・そうですね。結構貯まっているかと』

P『じゃあ有給使って広島に行くかな』

巴『は!?』

ちひろ『あぁ、良いんじゃないですか?』

巴『P! うちに同情しとるんか!?』

P『違うよ』

P『そろそろ契約更新の時期だし、お中元のお返しもしたいからな』

巴『・・・』

P『俺は有給使って巴の実家に行くよ。巴はどうする?』

巴『ぐっ・・・!』

―――――――――――――――――――――――――

P(いや、俺から誘ったんだけどさ・・・)

P(いざ行くとなるとやっぱ怖いんだよなぁ)

P(だって巴の家って・・・)チラッ

巴「~♪」

P「・・・」

P(いかんいかん、何を弱気になってるんだ!)

P(まだ行ってすらいないじゃないか!)

P(それに実際、巴の家だって普通かもしれないだろ!)

P(日頃からちょっと思わせるような言動があるけど、親子でそういうのが好きなだけという可能性もあるし・・・)

巴「あいつら全員生きとるじゃろか・・・」ボソッ

P「」

P(・・・なるほど、『あいつら全員来とるじゃろか』ね! 親戚の人達でも来てるのかな?)

P(まいったなぁ、親戚の方の分までお土産買ってきてないのに)アハハ・・・

巴「おぉ、そうじゃ! サブのやつも務め果たしとる頃じゃけぇ、何か買うて行かなきゃ
いけんのう!」

P「」

P(さ、サブ・・・務め・・・)

P(・・・巴のお父様が経営している会社に勤務しているサブさんという人が長いこと遠くに出張していたけど、最近帰ってきたから何かお土産でも買っていこうということだな!)

P(なるほど、たまに会話で出てくる【若い衆】っていうのも、お父様の会社に勤務している若い社員さんということだったんだな!)

P(巴は良い子だなぁ!)

P「・・・」

P(よし、やっぱ帰ろう)

― 数時間後 ―
~タクシー車内~

P(ああああああ! 来てしまった!!)カタカタカタ・・・

タクシー「」チラッ・・・チラッ・・・

P(なんで俺をチラチラ見るんですか・・・?)

――――――――――――――――――――――――
~数分前~

運転手『あい、どうぞー・・・どこまで?』

P『○○まで』

運転手『・・・え、○○?』

P『え?・・・はい』

運転手『・・・』

P(え?)

巴『おっちゃんよろしゅう』

運転手『え!? アイドルの村上巴・・・村上?・・・・あっ』

運転手『・・・』キュッ!

P(なんでネクタイ絞めなおしたの!?)

運転手『ほ、本日はよろしくお願いいたします』

――――――――――――――――――
P(・・・まぁ、そういうことなんだろうけどさ)

巴「~♪」

~数十分後~

運転手「こ、ここでよろしいでしょうか・・・?」

巴「おぉ、ここじゃ!」

バ―――――ン!!

P(でっか・・・)

巴「おっちゃん、世話になったのう」

P「えっと、おいくらですか?」

運転手「いえいえ、大丈夫ですよ! アイドルの巴さんが乗ってくれただけでお釣りが来ちゃいますから!」

巴「そういうわけにはいかん、しっかり受け取ってもらわんと・・・そうじゃ、待っとれ。ウチのもん呼んでくる」

運転手「ひぃ!? ほ、本当に大丈夫ですので!!」

ブ―――ン・・・・

巴「な、なんじゃ・・・?」

P「巴の熱狂的なファンなんだよ・・・」アハハ・・・

巴「うちの熱狂的な・・・ま、悪い気はせんのう///」ポリポリ

巴「後でどこの会社か調べて礼せんとな」

P(やめたげて)

P「さて・・・それじゃ」

P(門も立派だなぁ・・・)

P「・・・」ドキドキ

巴「怖いか?」

P「・・・え?」

巴「・・・」

巴「もうPも分かっとるじゃろ?・・・ウチがどんな所か」

巴「あの運ちゃんの反応通りのとこじゃ」

P「と、巴・・・」

P(気づいてたのか・・・)

ガチャ

P「!」ビクッ

「お待ちしておりましたP様」

P「え・・・?」

巴「お袋!」

巴母(以下、母)「巴、久しぶりですね」

P「巴・・・さんのお母様ですか!?」

母「初めまして、村上巴の母です。娘がお世話になっております」ペコリ

P「い、いえ! こちらこそ!」

母「ささ、どうぞお入りください」

P「では、お邪魔します」

P(着物が似合ってるなぁー・・・)

P「和服美人ってやつか・・・」ボソッ

巴「・・・」

テクテク・・・

P「庭も広いな」

巴「そうか?」

P「こんな広い庭、高級な料亭でしか見たことないって」

巴「ほぉ、Pがそんな所に行くことがあるとはな」

P「お見合いで一回だけ・・・」アハハ・・・

巴「な、なんじゃと!? うちに内緒でそんな事しとったんか!?」

P「上司に無理やり・・・って巴には関係ないだろ!」

巴「ぐぬぬ・・・っ!」

母「仲が良いんですね。私安心いたしました」ウフフ

P「いやぁー」アハハ

巴「フンッ!」

母「こちらです。中に主人もおりますので」

P「は、はい!」

母「お父さん、P様がいらっしゃいましたよ」

巴父(以下、父)「ん・・・? おぉ、Pさん!」

P「お久しぶりです! 本日はお忙しい中、お時間を作って頂きましてありがとうございます」

父「いやいや、こちらこそ。わざわざ遠くからありがとうございます」

巴「久しぶりじゃの、親父」

父「あぁ、お帰り巴」ニコッ

母「どうぞお掛けください」

P「あの、先日はお中元ありがとうございました! それでこれ・・・お中元と東京のお土産です!」

母「まぁ! そんなお気を使わなくても・・・」

父「お好み焼きは口に合いましたかな?」

P「それはもう! ビールと一緒に食べると最高で・・・ってすみません」アハハ・・・

父「ハハハ! それは良かった! 巴が『Pは粉物が好きだ』と教えてくれましてね」

巴「そ、そんなこと言うとらんわ!///」

父「ニコニコしながら教えてくれたじゃないか」

巴「ニコニコなんかしとらんっ!///」




母「そろそろお昼の時間ですね」

父「おっ、もうそんな時間か・・・Pさん、食べて行ってください」

P「あ、はい! ではお言葉に甘えて・・・」

母「では、私は一旦外させて頂きます」スッ

巴「お、お袋! うちも手伝ったる・・・」モジモジ

母「あら・・・ありがとう巴、それじゃあ一緒に行きましょうか」ニコッ

巴「おうっ!」

パタン・・・

父「・・・」

P「・・・」

P(か、会話が・・・)

父「巴も大きくなった・・・」ボソッ

P「え?」

父「Pさんは覚えていますか? 私が事務所に行った時の事・・・」

P「あ、あー・・・覚えてますよ」アハハ・・・

父「無理矢理巴をPさんに押し付けてしまって・・・」

P「あの・・・前から疑問に思っていたのですが、何故巴さんをアイドルに?」

P「巴さんと初めて会った時、お父様のお願いで仕方なく来たと言っていました」

P「本人はアイドルになりたくなかったのに、それを押し切ってまで何故アイドルを・・・?」

父「・・・」

P「す、すみません・・・他人の家の事なのに」

父「巴を遠くに離したかったんです」

P「え・・・?」

父「Pさんもお気づきかと思いますが、我が家は世間に認めてもらえないような事をしております」

父「ここにいる限り巴は世間から冷たい目で見られますし、危ない目に合わせてしまうこともあるでしょう」

父「もちろん自分たちが悪いということは分かっています・・・しかし、巴にはそんな思いをさせたくなかったんです」

P「そうでしたか・・・」

父「それに巴ならアイドルとして十分やっていける素質を持っているかなぁ・・・なんて、親バカですね」アハハ・・・

P「いえ! 巴さんはトップアイドルになれる素質を持っています!」

父「ありがとうございます・・・やはりPさんにお任せして正解でした。これからも娘をよろしくお願いいたします」ペコリ

P「はい! 巴さんのことは私に任せてください!」

母「お待たせしました」

父「おっ、できたか」

母「あら巴? ほら、いらっしゃい」

P「?」

巴「・・・///」スッ

P「おぉ・・・」

父「母さんが昔着ていた着物か? 似合ってるじゃないか」

母「本当に」

巴「そ、そうか・・・似合っとるか・・・///」チラッ

P「・・・・!」

P「すごく似合ってる・・・綺麗だよ」

巴「お、おう・・・///」

母「さぁ、冷めないうちにどうぞ」

ガララ!

P「!?」

黒服「親父! 失礼します!」

父「・・・どうした?」

黒服「御隠居がお見えになります・・・」

父「なんじゃと!?」ガタッ

P「どなたかいらっしゃるんですか?」

父「・・・」

巴「お、なんじゃ? 爺さんが来るんか?」

P「爺さん?」

父「はい・・・私の父、つまり巴の祖父です」

P「あぁ! でしたらぜひご挨拶を・・・」

父「いや! それはっ・・・」

P「え?」

父「実は巴を広島から離れさせたのにはもう一つ理由がありまして・・・」ボソボソ

父「私の父が―――――


「とーーーもーーーえーーーちゃーーーーーーーーーん!!!」

P「!?」

父「来たか・・・」

巴「まったく・・・うるさいのう」

バタン!

巴「爺さん! 元気しとったか!」

巴祖父(以下、祖父)「!」

祖父「巴ちゃん! 本物の巴ちゃんじゃあ!!」

祖父「よお帰ってきたのう!」ダキッ

祖父「巴ちゃんがおらんくなって、わしゃあ寂しくて寂しくて・・・」

巴「爺さん苦しい・・・」

P「優しそうな良いお爺さんじゃないですか」

父「巴には・・・ね」

祖父「巴ちゃんはあいどる? がやりたいんじゃろ!? そんならわしがどうにかしたる!」

祖父「東京じゃなくて、ここでアイドルやったらええ! 決まりじゃ!」

P「・・・あれ?」

父「マズいな・・・」

巴「ちょ、爺さん・・・そう言うわけにはいかん」

祖父「な、なんで!?」

巴「うちはただアイドルをやりたいわけやない、Pと一緒にアイドルをやりたいんじゃ」

P「巴・・・」ジーン・・・

祖父「P・・・?」ピクッ

巴「おう、そこにおるうちのプロデューサーじゃ」

祖父「ぷろでゅーさー・・・じゃとぉ?」ギロッ・・・

P「は、初めまして! 巴さんのプロデューサーをさせていただいております、Pと申します!」ペコッ

祖父「おどれか!? わしの可愛い巴ちゃんを誑かしおったんは!」ズンズン

P「え、えぇ!?」ビクッ

父「親父! 巴にアイドルやらせたんは俺じゃ! Pさんは何もしとらん!」

祖父「おどりゃあ、だあっとれ!!」ズンズン

祖父「おう、Pさん」ズイッ

P「ひっ・・・!」

巴「爺さん! Pは何もしとらん!」

祖父「ここからは大人同士の話じゃけぇ、巴ちゃんは待っちょってな」ニコッ

祖父「そうじゃ、Pさん・・・アンタから言うてくれや」ボソッ

P「は、はい・・・?」

祖父「アンタから『巴のプロデュースを辞める』って言えばええんじゃ」

P「え!? そ、それはちょっと無理です・・・巴さんの気持ちだってありますし・・・」

祖父「言えば無事に東京へ帰してやるけぇ・・・な?」ポンッ

P「!?」ゾクッ

祖父「今までの事は巴ちゃんに免じて許したる・・・じゃが、これ以上歯向かうなら・・・わかるじゃろ?」ボソボソ

P「そ、そんな・・・」チラッ・・・

巴「P・・・?」

祖父「ほれ、言うてこんかい」ドンッ

P「うっ・・・」ヨタヨタ

祖父「Pさんから大事な話があるそうじゃ」

P「・・・」ガクガク

P(お、俺・・・殺されるのか?)

祖父「はよ言わんかい!」

P「」ビクッ

P「あ、あのな巴・・・」ビクビク

巴「P・・・」

P(そんな顔で見ないでくれ・・・俺だって・・・・)

P(でも・・・やっぱ怖いんだよっ・・・・!)プルプル

P「」ガクッ

巴「P、膝なんか着いたらスーツが汚れるじゃろ・・・」

P「と、巴・・・大事な話なんだ、聞いてくれ」ガシッ

巴「・・・」

P「お、俺な・・・今まで巴のプロデューサーとしてやってきたけど・・・俺・・・」カタカタ

母「P様・・・」

父「・・・」

巴「・・・」

P「俺、巴のプロデューサーを・・・プロデューサーを・・・」

P「っ・・・・」

巴「コラぁっ! P!」グイ!

P「うぐっ・・・」

巴「うちのプロデューサーじゃろうがっ! ボソボソ喋らんと、うちの目を見て腹から声出して言うてみぃ!」

巴「うちはPに何言われても受け入れる覚悟はできとる!」

P「巴・・・」

巴「・・・」パッ

巴「・・・つもりじゃった」

P「え?」

巴「初めはアイドルなんてもん全く興味がなかった」

巴「そもそもヤクザの娘がアイドルなんて、絶対に上手くはいかん。と・・・」

P「そんなことない!」

巴「こういう家柄じゃけぇ、いつか突然辞める日が来るじゃろう・・・それまでは親父の顔を立ててやろうと、アイドル活動を始めたんじゃ」

父「巴・・・」

巴「・・・じゃが、Pはそんなうちにアイドルの楽しさを教えてくれた」

巴「楽しいことだけじゃない・・・悔しい時や、悲しかった時もあった。それでもPが笑ってくれたから、Pが怒ってくれたから、Pが一緒にいてくれたから・・・乗り越えることが出来たんじゃ」

巴「その時、うちの中ではアイドルをやり続けたい・・・Pと一緒にアイドル界で天下を取ったりたいと強く思うようになった・・・すると途端に、いつか来るであろうこの日が怖くなった」

巴「覚悟しよう。でも来ないでほしい・・・いつもそれの繰り返しで、結局覚悟なんて出来やしなかった」

P「巴・・・」

巴「はは、やっぱ来てしまったんか・・・」プルプル

巴「残念じゃ・・・・・本当に・・・残念じゃのう・・・」ポロポロ

P「!」

『あいどる? そんなチャラチャラしたもん興味ないわ』
『P、アンタが本気なのは伝わったけぇ。しゃあない、やるからには天下取ったるわ!』
『まったく、アンタが緊張してどうするんじゃ・・・行ってくる。うちの初ステージしっかりとその目に焼き付けとけや!』
『アイドル道・・・華やかな道だけではないのは分かっとる。でも、Pと一緒なら突き進めそうじゃな』
『うちはただアイドルをやりたいわけやない、Pと一緒にアイドルをやりたいんじゃ』

P「巴・・・!」

巴「・・・」ゴシゴシ

巴「P、今までありがとうな・・・うちはアイドルを辞めr・・P「辞めないっ!」

巴「・・・え?」

P「お、俺は・・・」

P「スーーーッ、ハァーーー・・・・」

P「・・・すまん巴、大事な話なんだ。もう一度聞いてくれるか?」ガシッ

巴「お、おう・・・」コクン

P「お、俺は・・・俺は辞めないっ! これからも巴のプロデューサーを続ける! 絶対にだっ! だから巴、俺とずっと一緒にいてくれ!」

巴「!」

祖父「」ピクッ

巴「うちも・・・うちだって・・・うちだって一緒にいたいっ!」ポロポロ

P「巴!」ダキッ

巴「!?」

P「心配かけてごめん。それと・・・ありがとう」ギュー

巴「・・・///」

巴「気にすんなや・・・うちら一蓮托生じゃろ?」ギュッ

P「お爺様・・・」チラッ

祖父「・・・あ?」

P「私はどんなことが起きようと、巴さんのプロデューサーを絶対に辞めません!」

祖父「・・・」

P「・・・」ビクビク

祖父「フッ・・・」パチパチ

P「え?」

祖父「こんな啖呵切られちゃあ・・・Pさん、漢じゃったよ」パチパチ

P「そ、それじゃあ・・・!」

祖父「あぁ・・・」ザッザッザ

祖父「Pさん・・・」ポン

祖父「東京は遠いけぇ・・・事故起こさんよう、帰り道には十分気ぃつけてな?」ギロッ

P「」

祖父「おい、行くぞ」  ヘイッ

ブーン・・・

P「あぁ・・・」ヘナヘナ

父「Pさん! 大丈夫ですか!?」

P「お、お父様・・・・・・はっ!? は、はやく帰らないとっ!」アタフタ!

父「安心してください、大丈夫ですよ」

P「え・・・?」

父「ああは言いましたが、親父はそんなことをする人間ではありません。もし、本気だったらその場で事を起こしているはずです」

父「なので安心してください」

P「ほ、本当ですか・・・?」

父「えぇ」

P「よ、良かった・・・」ガクッ

父「それより・・・Pさん! あなたは本当に凄いお方だっ!」ガシッ

父「親父に啖呵を切るなんて・・・そんな勇敢な人間は見たことありません!」

P「啖呵を切ったつもりは・・・もう、とにかく巴のプロデューサーを続けたいと伝えたかっただけです」

P「それに、お父様達も助けてくれるんじゃないかという甘い気持ちもどこかにあったのかもしれません・・・」アハハ・・・

父「・・・」

父「えっと・・・確かに親父は引退した身ではありますが、その気になったら我々にも止められないんですよ」

P「え・・・」

父「組を動かす力こそありませんが、発言力は親父の方が遥かに上なんです」

P「ということは・・・」サーッ

父「で、でも何もありませんでしたし・・・! いやー、良かった良かった!」アハハ

P「・・・」

P「」バターン!

巴「P!?」

父「Pさん!? 大丈夫ですか!? おいっ、誰か医者呼んでこいっ!!」  ヘ、ヘイッ!

~車内~

ブーン・・・

祖父「・・・」

祖父「まさか、このワシに盾突くとはのう・・・しかも堅気のガキとは」ボソッ

黒服「・・・」チラッ・・・

祖父「生意気なヤツじゃ・・・」ニヤ

―――――――――――――――――――――
―――――――――――――――
――――――――

― 数日後 ―
~事務所~

P「―――ということがありまして・・・」

ちひろ「それは大変でしたね」

P「もう生きた心地がしませんでしたよ・・・」

プルルルルルル

ちひろ「はい、千川です・・・Pですか?」

P「?」

ちひろ「おります・・・はい、分かりました。お通ししてください」ガチャ

P「どうしたんですか?」

ちひろ「Pさんにお客様です。巴ちゃんのご家族の方だそうです」

P「巴の・・・? ま、まさか俺を消しに・・・」ガタガタ

ちひろ「大丈夫ですよ、巴ちゃんも一緒だそうなので」

ガチャ

巴「Pおるかー?」

P「は、はひっ!」ビクーン!

巴「な、なんじゃ・・・変な声出して」

P「いや別に・・・」コホン・・・

黒服「P様、お忙しいところ申し訳ございません」スッ

P「い、いえいえ! 全く問題ありませんですよ、はい!」ペコッ

巴「落ち着けや、P・・・」ハァ

巴「・・・で、なんのようじゃ?」

黒服「はい・・・実はP様にお話がありまして」

P「私に、ですか・・・?」

巴「まさか、またPを脅すつもりか?」ギロッ

黒服「ま、まさか! それでしたらお嬢もご一緒に・・・お嬢にも関係のある話ですので」

巴「?」

~応接室~

黒服「こちらなのですが・・・」ペラァー

P「これは・・・家の見取り図ですか?」

黒服「実はこの度、御隠居が東京に家を建てることになりまして」

P・巴「え!?」

P「こ、こちらに住むんですか・・・?」ビクビク

黒服「いえ、御隠居は広島から出るつもりはないと・・・」

P「そうですか・・・」ホッ

巴「だったら誰が住むんじゃ?」

黒服「・・・お嬢です」

巴「う、うちが住むんか!?」

黒服「はい、お嬢が寮に住んでいると御隠居が聞いて『巴ちゃんのために家建てたる!』と・・・」

P(やっぱじじバカだな・・・)

巴「うちが住むには広すぎると思うんじゃがのう・・・」

P「普通の一軒家くらいあるな」

黒服「えぇ、ですのでP様もご一緒にどうぞ」

P「いやー、二人でも広いですよ・・・・え、ご一緒に?」

巴「な、なんでPと一緒に住むんじゃ!/// 冗談も大概にせぇよ!」

黒服「御隠居がおっしゃったんです」

巴「爺さんが!?」

プルルルルルル

黒服「あ、失礼します・・・はい・・・はい、今目の前に・・・はい」

黒服「P様・・・」スッ

P「え、誰ですか・・・?」スッ

P「お電話代わりました。Pです」

祖父『おぉ、Pさんか?』

P「」

祖父『おいPさん?』

P「は、はひ! 先日は大変申し訳ございませんでした!」

祖父『あー・・・もうええ、もうええ・・・それより話は聞いたかのう?』

P「お聞きしましたけど・・・巴さんはアイドルなので男と二人で暮らすのはちょっと・・・」

祖父『いずれ巴ちゃんと結婚するんじゃけぇ、問題ないじゃろ?』

P「け、結婚!?」

巴「!?」

P「なんでそんな話になってるんですか!?」

祖父『あ?・・・ワレが巴ちゃんにずっと一緒にいてくれ言うたんじゃろうが! つまりそういうことなんじゃないんか!? おぉン!?』

P「っ・・・」キーン!

P「・・・た、確かに言いました。ですがそれはアイドルとs・・・祖父『まさか、その気もないのにこのワシに盾突いたんか?』

P「そんなつもりは・・・!  あ、お父様!・・・お父様達はこの事を知っているんですか?」

P(年頃の娘が男と同棲なんて、さすがのお父様も反対するはず・・・!)

黒服「そのことですが・・・親父と姉御は賛成しております」

P「」

巴「な、な、なにを馬鹿なこと・・・!///」ピッピッピ・・・プルル

父『おう、巴か・・・どうした?』

巴「どうもこうも・・・! Pと同居って・・・うちは何も聞いとらんぞ!」

父『あぁー、その話か・・・爺さんが巴はPさんと結婚させるー、言うもんじゃけぇ・・・』

父『俺と母さんもそのつもりじゃったし、ええかー・・・って』

巴「うちの気持ちは!?」

父『巴はPさん嫌いなんか?』

巴「べ、別にそんなこと言うとらんじゃろ!///」

父『なら決まりじゃ』

巴「まてまて! Pだって・・・その・・・困ると思うけぇ・・・」

父『Pさんはそこにおるんか? 代わってくれや』

巴「P」

P「なんだ!? いまお爺様と話してるんだ」 (コラ! キイトンノカ!?>

巴「親父が代わってくれ言うとるんじゃが・・・」スッ

P「えぇ!? お父様!?」

巴「そっちはうちが代わる・・・もしもし爺さんか?」  (ア、トモエチャーン♪>

P「・・・」

P「もしもしPです。先日は大変お世話になりました」

父『Pさん、色々お騒がせしてすみません』アハハ

P「もう何が何だか分かりませんよ! どういうことなんですか!?」

父『お話の通り、今建てている家に二人で住んで頂きたいと思っておりまして』

P「そのことですが、巴さんはアイドルですし・・・それ以前に巴さんはまだ中学生なんですよ!?」

父『えぇ、なにも今すぐにってことではないんですよ。二人が一緒に住むのは巴がアイドルを卒業した後でも全然構いません』

P「え、それってやっぱり・・・」

父『はい! 巴とずっと一緒にいて頂けるんですよね?』

P「いや・・・あれは・・・」

父『Pさぁん』

P「!・・・は、はい?」

P(な、なんだ・・・? いつもと雰囲気が・・・)ゾクッ

父『私は親父と違って結構しつこくてですねぇ』

P「・・・お父様?」

父『狙った獲物は絶対に逃さないんですよ・・・仕事でも、プライベートでも』

P「あ、あの・・・」

父『二人をくっつけるためならどんな手段も厭いませんので、お覚悟を・・・』

P「」

P(ヤクザこわい)

終り

以上です!
最後までご覧いただきましてありがとうございました

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