世界がおわるそのまえに (11)

「はじめての世界のおわりに」はじめての世界のおわりに - SSまとめ速報
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の続編というか、前日譚みたいななにかをテロっていきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481814578

期待

少年「やぁ」


少女「・・・」


少年「君が被験体256だね?今日から同室の363だ、よろしく。研究員からはザムザって呼ばれてる」


少女「・・・わたし、虫はきらい」


少年「グレゴールじゃないから変身はしないよ」


少女「・・・」


少年「・・・」


少女「・・・よろしく」


少年「うん、よろしく」

1日目


少女「・・・ねぇ」


少年「ーーーん、あぁごめん、音漏れてたかな?」


少女「・・・いいえ」


少年「そう?ならよかった」


少女「・・・」


少年「・・・」


少女「・・・なんであなた、服がわたしとちがうの?」


少年「あぁ、体質でね。君や他の被験体のはリネンだけど、僕が来たら腐っちゃうから。僕の肌もぼろぼろになるし」


少女「・・・そう」


少年「そう、だから合成繊維なんだ。エコだね」


少女「・・・エコ」


少年「リサイクル可だからね」


少女「・・・」


少女「・・・音楽」


少年「?」


少女「音楽、なに聴いてたの?」


少年「うぃーうぃる、うぃーうぃる」


少女「・・・ろっきゅー」


少女「・・・あなた」


少年「?」


少女「わたしに、触る?」


少年「・・・どういう意図でその質問をしたのかは気になるけれど。触ってほしいの?」


少女「・・・触らないでほしいから、訊いた」


少年「なら触らないよ、多分」


少女「・・・そう」


少年「僕もさ、あまり生きてるものに触れたくないんだ」


少女「・・・なら、よかった」

被験体363 
性別:男性 年齢:16

血液分類:B,RH+  
 
症名;後天的接触性有機損壊症(以下βと呼称)


症例;被験体363が有機質に接触した際、363、及び被接触有機質の表面組織が破壊される。
363の意思、及び被接触物の生命活動の有無はβの発生及び促進になんの影響差も生じない。
363の体内組織、粘膜などはβの影響下にないため、食事は研究員及び他の被験体と同様のものが支給される。

概要
被験体363は常にポリエステル合成繊維製の衣服、及び手袋を装着する必要あり。
研究員が被験体363に直に接触した場合、懲戒免職あるいは減給の対象となる。
被験体363は7歳の半ばにβを発症、その後機関により保護。プランDにより、現在抗原の分析・抽出が進行中。




付記
プランDの長期化にわたり、プランE(他被験体との対照観察)を実施。
βの危険性をある程度無視できると予想される被験体256との共同生活を開始した。
(担当研究員は被験体256の観察記録及び概略を参照のこと)


今日はここまで
>>2
ありがとー

三日目


少年「・・・♪」


少女「・・・」


少年「・・・そういえば君、音楽は好きなの?」


少女「・・・きらいじゃない、くらい」


少年「そう」


少女「・・・」


少年「・・・♪」


少女「・・・え」


少年「?」


少女「絵は、すき」


少年「見るのが?描くのが?」


少女「・・・両方」


少年「そりゃいい」

少年「ねぇ」


少女「?」


少年「君のその、眼帯の下ってどうなってるの?」


少女「・・・」


少年「・・・」


少女「どうして?」


少年「いや、別に深い意味はないけど・・・」


少女「・・・けど?」


少年「右目の緑が綺麗だったからさ、左はどうなのかなって」


少女「・・・きれいじゃない。すごく、きたない」


少年「・・・そう?ならいいや」


少女「・・・」


少年「・・・」


少女「・・・ありがとう」


少年「なんのことやら」

10日目



少年「メリークリスマス!」


少女「・・・」


少年「・・・メリークリスマス!!」


少女「・・・聞こえてないわけじゃ、ない」


少年「なら反応ぐらいしてくれよ、せっかくの生誕祭なんだ」


少女「・・・あなた、クリスチャン?」


少年「いや、まぁ、なんというか・・・「日本人」、とだけ」


少女「・・・あなた、日本人だったの?」


少年「こんなナリでも一応、ね。むしろ君みたいに、海外出身で日本支部(ここ)にいる被検体のほうが珍しいーーーそら」


少女「・・・?」


少年「クリスマスプレゼント。研究員一同からだってさ、開けてごらん」


少女「・・・絵具と、キャンバス」


少年「いいじゃないか、君の趣味嗜好はリサーチ済みってわけだ・・・野郎より美少女へのリサーチに熱が入るのは分かるけどさぁ、もうちょっとなんとかならなかったかなぁ」


少女「?」


少年「CD。貰ったはいいけど、僕もうこれ持ってたんだ」


少女「・・・」


少年「・・・君、CD持ってたっけ」


少女「・・・持ってない」


少年「じゃ、メリークリスマス、だ」


少女「・・・いらない。悪い」


少年「いいよいいよ、どうせプラマイゼロだしーーーあ、じゃあ」


少女「?」


少年「絵、完成したら見せてくれよ」


少女「・・・わかった」


少年「ありがと。いやぁたのしみだなぁ」





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