狐娘「家に居候してやったわ」 (104)

狐娘「うむ」

青年「そうだな」

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*


狐娘「ぁいたたたたっ……」ヨロヨロ

青年「どうしたおばあちゃん」

狐娘「誰がババァじゃ……体の節々が寒さで痛くてのぅ」

青年「やっぱりおばあちゃんじゃん」

狐娘「うぅ…もうダメじゃぁ……きつねうどんを食べんと歩けん……」ガク

青年「うん」

狐娘「うん?」

青年「うん」コク

狐娘「うん」









青年「うん」

狐娘「いやきつねうどんを……」

 
   *― きつねうどん ―*


狐娘「ふんふん~♪」

青年「はい」スッ

狐娘「おほー!来たかっ―――む?」

狐娘「なんじゃ?わしの前に麺を置いて……」

青年「狐」ユビサシ

青年「うどん」

狐娘「ふんっ!」ベチンッ

青年「食べ物を粗末にするなよ」

狐娘「なら、まずわしを粗末に扱うでない」

青年「冗談だ。稲荷寿司もつけてやるよ」コト

狐娘「ふふん、それでよいよい」



狐娘「ひゅむふむ、美味ひゃのぅ!」ハムハム

青年「……」ジー

狐娘「んむっ……どうしたんじゃ?」

青年「可愛いなって」

狐娘「ようやくわしの魅力に気がつきおったか。遅いわ」

青年「そうかもな。麺は伸びると美味くない」

青年「狐娘の魅力に早く気がつけて良かったよ」

狐娘「ぬしにしては、やけに素直じゃな」

 
   *― くじ ―*


青年「んで、お互い三枚ずつこの折り紙に命令を書くんだ」

狐娘「待たんか。『んで』と言われても訳がわからんぞ」

青年「暇だからゲームしようぜ」

狐娘「ゲームならそこにあるじゃろ」

青年「あー……遊びだよ遊び。お前も、おはじきとかコマで遊んだことあるだろ?」

狐娘「うむ」

青年「そういった遊びの延長線をゲームって……多分言う」

狐娘「つまり……わしと遊びたいと?」

狐娘「くふふっ、ぬしもまだまだ子供じゃな」

青年「そうだよ。だからやろうぜ」スッ

狐娘「仕方が無いのぅ、付き合ってやるか」

青年「じゃ、狐娘は黄色、オレは青の折り紙な」

狐娘「ほいほい。何でもさせたいことを書けばよいのじゃろ?」

青年「あぁ……ただし」

狐娘「む?」

青年「その書いた紙は、自分が引くかもしれないという事だけは覚えておけよ」

狐娘「よぅわからんが……承知した」

 
   *― くじ その弐 ―*


青年「書けたか?」

狐娘「うむ!」

青年「じゃあこの箱の中に入れてくれ」

青年「よし、混ぜるぞ」シャカシャカ

狐娘「なるほど、互いの紙を混ぜてそこから引くというものか」

青年「そうそう」


青年「……お先にどうぞ」スッ

狐娘「……」



狐娘「……」グイッ

青年「……」グイッ


狐娘「……」グイッ




青年「…………」

狐娘「…………」





青年「じゃんけん!」

狐娘「ほい!」パー

青年「ぽん!」チョキ

狐娘「ぐぅ"ぅ"ぅぉ"ぉ……!!」

青年「っしゃ!」

青年「早く引けよ」ニヤニヤ

狐娘「……」



狐娘「勝ち負けが決まる闘いにおいて、一度で勝敗を分けるのは卑怯だと思わんか?」

青年「何言ってんだこの狐は」

狐娘「つまり……三回勝負にせぃ!」

青年「……」



狐娘「じゃんけん!」

青年「ぽん」パー

狐娘「ほい!」グー

狐娘「ぐぅ"ぅぁ"ぁ"ぉ"ぉ……」

青年「ひーけ、ひーけ」

狐娘「鬼じゃ……悪魔じゃぁ……」ゴソゴソ



狐娘「……よっと」

青年「おっ?黄色だからお前の紙だな」

狐娘「あわわわ……」フルフル

青年「開け、開けゴマ」


 ペラッ

『十程回って、わんと五程鳴け』

青年「これは、ざまぁみろとしか」

青年「しかも普通は三回回って一度わんだろ、盛るなよ」

狐娘「……」

青年「どうした?」



狐娘「あ、あれぇ…?おかしいのぅ……わしはこんなもの入れた覚えは無いんじゃがなぁ…?」キョロキョロ

青年「よく気がついたな」

狐娘「へ…?」

青年「この家にはオレとお前……そしてもう一人住んでるんだぜ」

狐娘「ほ、ほぅ……興味びゅかいのぉ…?」

青年「……」

狐娘「……」ゴクリ








青年「わっ!!」

狐娘「」ビクッッ

青年「まぁそんな訳無いけどな」

狐娘「」

青年「回って」

狐娘「……」クルクルクル…

青年「鳴け」カシャシャシャッ

狐娘「わんわんわんわんわん」

青年「これからはくだらん嘘をつくなよ」

狐娘「うっさいわ阿呆ぅ!」キー

青年「お前が無様に這いつくばり犬の様なってる姿の証拠」スッ

狐娘「意地悪なぬしじゃ……」グス

狐娘「わしはこんなにもぬしに尽くしていると言うのに……」ウルウル

青年「お前言ってたよな、泣き落としには自信があるって」

狐娘「忘れろ」


   *― くじ その参 ―*


青年「じゃ、次はオレだな」ゴソゴソ

狐娘 (わしのを引け!引け…!引けっ…!)

青年「んー、あ。オレのかぁ」

狐娘「ちっ」バン

青年「なになに……」ペラッ

『飲み物を二人分持ってくる』

狐娘「ズルい、不正じゃわ完全に」

青年「だから言っただろ?自分が引くかもしれないという可能性を考えろと」

青年「相手を貶めることしか考えてないお前は自業自得だぜ」

狐娘「くぅ……」

青年「次は狐娘だぞ」スッ

狐娘「……もうやめにせんか?この様な何も生まないくじ引きなんぞ時間の無駄じゃろ」

青年「怖いのか?」

狐娘「なに…?」

青年「お前、怯えてるのか。そんなんじゃいつまで経っても『くじ』と言う名の壁を乗り越えられないぞ」

狐娘「ふん!九時はとっくに過ぎておる!ゆくぞ!」ゴソゴソ


 ペラッ


『相手に可愛く甘える』


青年「おっ!来たな!」

狐娘「これは、ぬしのか……」

青年「そうだよ」

狐娘「仮にこれをぬしが引いた場合……」

青年「間違い無く地獄絵図だろうな」

青年「しかし……しかしだ!オレは賭けに勝ったのさ!」

狐娘「なるほど、のう」




狐娘「……青年よ」

青年「ん…?お、おう」

狐娘「わしは青年が好きじゃ」

青年「そうなの?」

狐娘「うむ。青年と居ると、わしは楽しいぞ」ソッ



狐娘「こうした寒い夜も、青年が居れば暖かい」ギュ

青年「おおうぅ……」ススッ

狐娘「これ、逃げるでない」ギュゥ


狐娘「わしに抱き着かれるのは嫌かや…?」

青年「せめて後ろからに……」

狐娘「わしは……わしは、青年の温もりを感じたいのじゃ」



狐娘「む…?耳が赤いではないか。寒いのか?」

狐娘「なら……ほぅひふぇ、くちであたためてひゃろう」ハムハム

青年「も、ももももういい!」ガバッ








狐娘「ふふん、わしが本気を見たか」フンス

青年「確かに、これは迂闊だった……」


   *― 仕返し ―*


青年 (昨日は油断しすぎたな……)

青年 (ここでやられっぱなしなのは癪だし、仕返しするっきゃない)


青年「おーい、狐娘」

狐娘「何用じゃ?」

青年「こっち来て」

狐娘「…?」スタスタ


青年「……」ギュ

狐娘「うん…?何か辛いことでもあったのかや…?」ヨシヨシ

青年 (あれ?なんだか慰められてる……)


   *― 仕返し その弐 ―*


青年「狐娘、お前の尻尾……凄く毛並みが良いな」

狐娘「ふふん、まぁの」ドヤ

青年「それに可愛い。抱きしめたくなる」

狐娘「うむうむ。存分にするがよい」

青年「なんなら一緒に寝るか」

狐娘「わしは構わんぞ?」

青年「実はもう布団は敷いてあるんだ」

狐娘「では、そろそろよい頃合いじゃし、寝るとするかのぅ」ヨッコイセ

青年「そうだな」










青年「あれれ?」


   *― 仕返し その参 ―*


狐娘「ぬしよ、もうちぃとこちらへ寄らぬか。布団から出てしまっているではないか」ギュ

青年「え、あ、あぁ……」

狐娘「ふあ…ぁ……んん。おやすみ」

青年「……おやすみ」

青年「……」


青年 (狐娘全く照れなかったな……)

青年 (いや、待てよ……)

青年 (そもそも相手がオレの行動で照れるとするなら)

青年 (大前提として、オレに対して好意がないと何をしても無理か……)

青年 (とするなら、狐娘はオレを何とも思ってないってことになるな)

青年 (まっ、その方がお互い楽かもしれないな……)


青年「おやすみ」ナデナデ

狐娘「……」スースー










狐娘「戯けが……///」ボソ

適当に酉つけておきます

今日はここで終わります
ネタが切れるまでゆるゆると…


   *― ごっこ ―*


青年「狐娘って彼氏は居ないの?」

狐娘「カレシとはなんぞ?」

青年「えぇと、恋仲の男性はいないのか?」

狐娘「おらんの」

青年「なんだ、居ないのか」

狐娘「仮に居るとすれば、ぬしの家になんぞ来る訳無かろう」

青年「それもそうだな……」

狐娘「なんじゃ、ぬしには恋仲の相手はおらんのか?」ニヤニヤ

青年「そういうお前だって居ないじゃん」

狐娘「わしは、‘‘敢えて’’作っておらんだけじゃ」

青年「じゃぁ……暇だし予行演習で恋人ごっこでもしてみるか?」

狐娘「ごっこじゃと…?」

青年「うん。試しに」

狐娘「ふぅむ……ま、よいじゃろう」

狐娘「恋人ごっこか……」

青年「じゃ、始め」


狐娘「……」

青年「……」





狐娘「…………」

青年「…………」





青年「何か喋れよ」

狐娘「と、言われてものぅ」

狐娘「ぬしこそ何か喋らんか」

青年「うーん……恋人って何をしてれば恋人になるんだ…?」

狐娘「っ!そうじゃ。恋仲と言えば、互いに食い物を食べさせ合うと聞いたことがある」

青年「あー、あれか。『あーん』ってやつな」

狐娘「それをしてみようではないか」


   *― ごっこ その弐 ―*


青年「とりあえず、アイスとせんべいを持ってきた」

狐娘「では、わしはアイスを食わせてやろう」

青年「ならオレはせんべいだな」


青年「……」








青年「……はい///」スッ

狐娘「ぬしの照れ顔は気持ち悪いのぉ……」

青年「チッ、おらよ」グイッ

狐娘「あむっ……んむんむ」バリバリ

青年「どうだ?」

狐娘「普通に美味じゃな」

狐娘「今度はわしじゃな。あーん」スッ

青年「ん……」シャクシャク

狐娘「どうじゃ?」

青年「普通にうまい」









狐娘「……のぉ、これをして何の意味があるのじゃ…?」

青年「お前から言い出したことじゃん……」


   *― ごっこ その参 ―*


青年「恋人と言えば、家デートなるものをする人達も居るらしいぞ」

狐娘「でーと?」

青年「要は一緒に遊ぶってことだ」

狐娘「それは……いつも通りと変わらぬのではないか?」

青年「恋人同士だと遊ぶって言葉も意味が少し違ってくる……らしい」

青年「例えば、二人で楽しく一時を過ごすとか」

青年「イチャイチャするってことだな」

狐娘「いちゃいちゃ…?乳繰り合うのか」

青年「若干間違ってはいない……ようなそうでないような……」

狐娘「ふむ……」

狐娘「ぬしよ、膝枕をしてやろう」ポンポン

青年「唐突だな」

狐娘「そのいちゃいちゃとやらをするんじゃろ?」

青年「……そうだな」スッ


狐娘「頭を撫でてやろうか」ナデナデ

青年「んー……」



青年「……ぁ…ぁぁ……眠い」

狐娘「寝てもよいぞ?」

青年「いや、次は狐娘の番だ」

狐娘「わしの?」

青年「膝枕でも何でもしてやるぞ」

狐娘「そうじゃなぁ……なら、尾の手入れをしてもらおうかの」フリフリ

青年「尻尾の手入れってどうやるんだ?」

狐娘「櫛で軽く梳けばよい」


*


*


青年「じゃあ梳くぞ」スッ

狐娘「んむ」フリフリ

青年「……綺麗だな」

狐娘「毎日手入れしておるからの」

青年「……」スッスッ…


狐娘「~♪」

青年「モフモフモフモフ!!ってしたい」

狐娘「ダメ」

青年「ちょこっと、先っぽだけだから」

狐娘「……はぁ。してもよいが、終わったあとは綺麗に梳いて貰うぞ?」

青年「任せろ」


   *― いつも通り ―*


青年「結局、いつも通りの方が楽だな」

狐娘「じゃのぅ……」

狐娘「無理に取り繕うより自然体が一番楽じゃわ」

青年「恋人同士でする事は、相手が出来た時に学べば良いや」

狐娘「わしはいつでもよいぞ」

青年「…?腹減ったしそろそろ飯にするか」

狐娘「くふふっ……うむ!」


   *― お遣い ―*


「いらっしゃいませー」

狐娘 (ぬしから遣いを頼まれ、店に来てみれば……)

狐娘 (近頃のすーぱーとやらはこんなにも大きいんじゃな)キョロキョロ

狐娘「ふむぅ……うどん…うどん……」

狐娘「何がどこにあるのか全く検討もつかん」

狐娘「っ!そうじゃそうじゃ。ぬしが、わからぬ時は店の者に問えと言っておったな」

狐娘「それらしい服装……それらしい? それらしいとはなんじゃろう……」キョロキョロ

狐娘「っ、そうか。銭を払う場に行けばよいのか」


*


狐娘「すまんの、銭を払う場はどこじゃろうか?」

客「レジ? ほら、あそこにあるよ」ユビサシ

狐娘「おぉ、かたじけない」ペコ


   *― お遣い その弐 ―*


狐娘「すまんが、少し訪ねたいことがある」

「少々お待ちください」

「くまちゃーん、お客さんお願い」


 タッタッタッ


「はいはい、どうしましたー?」

狐娘「品が何処に置いてあるかわからんのじゃが……」スッ

「ほうほう。ここに書いてある物だけかな―――こほん……だけでしょうか?」

狐娘「うむ。すまんが教えてはくれぬか」

「りょーかいっ―――んん。かしこまりました!」


   *― お遣い その参 ―*


「はい、あとこれも」ススッ

狐娘「おぉ、すまんの」

「玉ねぎとネギはあそこね」

「卵と鶏肉は……置いてる場所バラバラだから一緒に行こうか」

狐娘「何から何まですまぬ……」

「気にしないで」ニコ


*


狐娘「これと、これで終わりじゃな……」ゴソゴソ

「レジ打ってあげるから行こうか」

狐娘「よいのか…?」

「うん。丁度お客さんが増えてきたから、どうせレジにボクも入らなきゃいけないしね」

狐娘「助かる」ペコ

「どういたしましてっ」


*


「毎度ありがとうございましたー」

狐娘「助かった。この恩は必ず」ペコ

「あはは、またねー」







*


「もぅ、帽子の隙間から耳が見えそうになってる時はハラハラしたよ」

「この近くでは見かけない子だったなー」

「まさか、ボクと同じ様な子が居るなんてね」

「いつか友達になれると良いな……」

今日は終わります、ありがとうございました

続編と言っていいのか怪しいですけど、短編的な感じでいきます


   *― 恋愛ゲーム ―*



狐娘「これはなんじゃ?」

青年「ん……あぁ、恋愛ゲームか」

狐娘「れんあいげーむ?」

青年「あんまりお前には向いてなさそうだとは思うけど……」

狐娘「そう言われると気になると言うものじゃろう」

青年「じゃあやってみるか」



*


 『START』ピッ


>はじめから ピッ

 つづきから





?『お兄ちゃん!お~き~て♪』

狐娘「む…?箱から声が聞こえるぞ」

青年「テレビを知らんのかこの狐は」

青年「進めるときはこのボタンを押すんだ」ユビサシ

狐娘「これ、か」ポチ

?『ほ~らっ!起きないと遅刻しちゃうよ~!』

主人『んん……』

『俺は公主人(おおやけ しゅひと)、どこにでもいる、ごく一般的な高校生だ』

狐娘「おおやけしゅひとぉ?変な名前じゃな」ププ

青年「こういったゲームは適当に決められてるか、開発が決めたデフォルトの名前ってのがよくあるな」


『そしてさっきから寝ている俺に馬乗りをしているコイツは公妹子(おおやけ まいこ)、俺の妹だ』


狐娘「なんじゃなんじゃ。こ奴、独り言を言っておるぞ」

青年「この物語は主人公視点で進んで行くんだよ」

妹子『起きてよぉっ。お~に~い~ちゃんっ♪』


 ―うるさいなぁ

 ―引っ込んでろクソアマ!


狐娘「これは…?」

青年「選択肢だな。どれを選ぶかによって今後の物語に影響がある……かもしれない」

狐娘「なるほどのぉ。して、クソアマとはなんぞ?」

青年「それは……まぁ、簡単に言えば罵ってる言葉だな」

狐娘「ほぉ……」

 
 うるさいなぁ

>引っ込んでろクソアマ! ピッ


青年「初っ端からそっち選ぶのかよ」

狐娘「先程からキンキン五月蝿くての」

主人『引っ込んでろクソアマ!』

妹子『えっ……そんな……』




妹子『でも、お兄ちゃんに罵られると興奮する…!』ハァハァ

好感度↑↑ 30


青年「おいおい……罵って好感度上がったぞ……」

狐娘「ぬしはこれをやった事は無いのかや?」

青年「これをやってた頃、他のゲームにハマってしまって結局一周しかしなかった思い出……」

狐娘「ほーん」

『二階から降りると、既に温かい朝食が並べられていた』

?『おはようっ。ようやく起きたんだね、ねぼすけさんめ~』

『この人は俺の姉、公姉子(おおやけ あねこ)だ』

姉子『お弁当作っておいたから、忘れないでね?』

主人『ありがとう』

『父さんは転勤でこの地を離れ、母はその父へ着いていった……』

『どうやら、父一人だと心配でいてもたってもいられないからだそうだ』

『幸い、家事全般が出来るしっかり者の姉子が居るお陰で何とか回っている感じだ』


姉子『主人くん……その……』モジモジ

姉子『いつもの、良いかな…?///』


 ―良いよ、おいで

 ―調子に乗るなよこの野郎!


狐娘「先程から主人の口の悪さが気になるんじゃが……」

青年「オレは安定を求めて上を選んだ」

狐娘「……」


  良いよ、おいで

 >調子に乗るなよこの野郎! ピッ


主人『調子に乗るなよこの野郎!』

姉子『おい今なんつった』

主人『良いよ、おいで』

『俺は最大限の笑みを浮かべながら姉子を抱擁する』

『そういえば、姉子は怒らせると半端なく怖かったんだった……』

狐娘「なら何故怒らせることを言うのか……」

青年「家事全般任せてる上、弁当まで作って貰ってこのセリフは、どっちが調子に乗ってるんだって話だよな……」


   *― 恋愛ゲーム その弐 ―*


『朝の日差し……この季節の太陽の温かさは冷えた体を優しく包み込んでくれる』

妹子『見て見てお兄ちゃん!にゃんこさんだよ~っ』


  可愛いな

 >うるせぇ黙れ ピッ


主人『うるせぇ黙れ』

妹子『んっ……黙りましゅ///』ハァハァ


好感度↑ 40


青年「罵るだけでMAX100まで行きそうだな……」

?『よーっす。可愛い彼女と朝からデートですかい』

『軽快な挨拶をしつつ肩をポンと叩いてくる』

『コイツは俺の友人、人友悪(ひと ともあく)だ』

妹子『やだもぅっ!彼女だって!』キャッキャッ


  からかうなよ

 >俺はお前の方が好きだけどな ピッ


主人『俺はお前の方が好きだけどな』

友悪『えっ……』トゥンク

狐娘「む…?」

青年「ん…?」


   *― 恋愛ゲーム その参 ―*


友悪『そ、そうかそうか!オレもお前が好きだぜ!』


  ありがとう

 >なら付き合うか ピッ


主人『なら付き合うか』

友悪『えっ……?』

青年「ま、まぁ……」

狐娘「……ほぅ」

友悪『な、なに言ってんだよ。オレ達男同士だぞ…?』


 ―冗談だよ

 ―そうだよな、ごめん

 ―俺は本気だ


青年「ちょ、え?最後の選択肢初めて見たぞ」


  冗談だよ

  そうだよな、ごめん

 >俺は本気だ ピッ


主人『俺は本気だ』

友悪『主人……』

主人『いつもお前は側に居てくれた。どんな時も』

主人『いつしかそれが当たり前だと思っていた』

主人『でも……最近さ、お前の側に居ると、時々胸が苦しくなるんだ』

主人『そしてその度に思う。女に産まれてくればどんなに救われたか、と』

主人『俺……友悪のこと、好きだ』

主人『でも……やっぱり、男同士だから……ダメ、かな……?』


友悪『……』

友悪『ダメ―――』





友悪『―――なんて言えるわけ無いだろ』ニッ

青年「いやダメだろ」


   *― 恋愛ゲーム その肆 ―*


青年「軽く調べたら、どうやら友悪と出会った最初の選択肢で友情ENDへと分岐出来るらしい」

青年「二周目からの特別仕様らしいからオレの記憶に無いわけだ」

狐娘「……」

青年「どうした?」

狐娘「……つまらん」

青年「えぇ……」



狐娘「少なくともわしは、こうやって……」ギュ

狐娘「ぬしに抱き着き、雑談をしている方が何倍も楽しい」

青年「まあ……オレも狐娘と話してる方が楽しいよ」

狐娘「くふふっ。うむうむ♪」





狐娘「では、次はこの全裸の女が写っているげーむとやらを―――

青年「それはやめろ」


   *― 飼い猫の追憶 ―*


青年 (証拠は手に入ったし、そろそろ戻るか……)

青年 (んんー……予想通り浮気してて、なんだかなぁ)

青年 (コーヒーでも飲んで休もう……)


 ピッ

 ガコン

青年 (今の季節は夜になると冷えるな……)カシュ

青年 (ん…?)チラ







青年「こんな夜の公園で日陰ぼっこか?」

「……誰?」

青年「コーヒー飲んでるただの通行人」

「通行人なら放っておいてよ」

青年「じゃ、今から君の知り合いになろうかな」トス

「何か用でも?」

青年「見たところ、女性でしょ?」

「……そうだね」

青年「夜の公園のベンチなんかに居ると危ないぞ」

「マフラーと帽子で素顔を隠してる、いかにも怪しい貴方に言われたく無いです」

青年「そりゃそうか」ハハッ

「……」

青年「……」ズズ
 


「貴方は何がしたいんですか」ウツムキ

青年「ベンチで休んでるだけ」

「休むなら帰れば良いじゃないですか」

青年「君こそココで何してるの?」

「何だっていいでしょう」

青年「じゃあオレだって好きにする」

「……変な人ですね」

「女の子をナンパしたければ、他の方を当たってください」

「私なんかを誘っても後悔するだけですよ」

青年「やー、女の子なら家にいるやつで十分だなー」

「浮気ですか」

青年「付き合っては無いよ」

「その人とは遊びですか」

青年「遊び……と言うより、心の拠り所かな」

「……」




「良いな……」ボソ



青年「……君もそういう人に出会えるよ、きっとね」

「そんなの、ありえませんよ……」

青年「だと思ってた。昔のオレも」

青年「でもさ、意外とひょんな事が出会うキッカケになったりするもんだ」

「例えば?」

青年「己の命を絶とうとした時、とかな」ハハッ

「自殺しろって言うんですか」スク

青年「ん?まぁ、例えばの話な」

「なら……今ここで目の前の柵を超え、飛び降りようとすれば出会えるんですかね」

青年「それだと、君が必要としている人がオレになっちゃう可能性が大きいな」

「……冗談ですよ」

青年「おいおい、別にオレは全然構わないぞ?」

「口説いてます?」

青年「そうかもな―――




青年「―――オレは君の耳、可愛いと思うよ」

「どうして―――






「どうしてわかったんですか……」

青年「家にさ、君と同じ様な子が居るんだ」

青年「そいつが言うには、感情が昂ぶったり、大きく変わる時は無意識に動いてしまうらしい」

青年「ま、暗いから耳以外はよく見えてないんだけども……」

「っ……」

青年「尻尾だって、多分あるんだろ」

青年「頑なに見られないようにしてたみたいだけど……」

青年「オレは好きだけどな」

「……なんで」






「なんでそんなこと言うんですか…!」ポロ…

青年「っ……ご、ごめん……」

「 ぁ……」ゴシゴシ




「にゃはは……。ぅぅん、こっちこそごめんね。そんなこと言われたの久しぶりだったから……」グス

青年「そっか」


「はー…ぁ……お兄さんにナンパされてたら惚れてたかもにゃー」クスクス

青年「今から惚れても遅くはないぞ」

「ううん。迷惑掛けたくないから、遠慮しとくよ。ありがとね」

青年「帰るのか?」

「うん。私、もう少し頑張ってみる……」

青年「……そうか。気をつけてな」

「お兄さんも、またどこかでっ」タッ

青年「おーう」フリフリ


今日は終わります、ありがとうございました

一応前作

狐娘「家に転がり込んでやったわ」
狐娘「家に転がり込んでやったわ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475752304/)


   *― 料理教室 ―*


青年 (狐娘が住む様になってから、食事には気をつけてるが、レパートリーの少なさに無理が出てきた)

青年 (近年では料理が出来る男性はモテるらしい)

青年 (それならオレ以外にも来てるんじゃないかと淡い希望を抱いていた)

青年 (そんな訳で料理教室とやらに来てみたんだが……)チラ

青年 (オレ以外、見事に女性だけしかいな―――――居た!男性居たよ!)


青年「あ、あのぅ……」

「おや?初めまして……でございましょうか?」

青年「は、はい!見た感じ、同姓が貴方しか居なく……」

「これはお気遣いありがとうございます」

「私めも、周りがご婦人方ばかりでしたので少々心細ぅございました」

青年 (凄いジェントルマンな人だな……)

執事「私は執事と申します」スッ

青年「ぇ、あっ。青年です」ギュ

青年「執事さんも料理を習いに…?」

執事「いいえ。私はお手伝いをしに伺いました」

青年「お手伝い…?」

執事「はい。この料理教室を開いた方に御恩がありまして……」

執事「予想以上に人が集まったみたいで、人手が足りないから、と」

青年「そうなんですね」



 ガチャ

「皆さんこんにちは~」

「今日は来てくれてありがとうございますっ」

青年「あれが先生か……若いな」

「ではではっ早速作っていきましょ~!」

「今日は定番の煮物、それと食後のデザートですよ~」

青年「煮物か……ここの料理教室って会費を予め渡すだけで材料を用意してくれるのは助かるな」


   *― 料理教室 その弐 ―*


青年「すみません、これの分量はどのくらいですかね…?」

「濃い目であれば大さじ二杯、普通なら大さじ一杯くらいがちょうど良いですよ~っ」

「この段階の味付けで大きく味も変わっちゃいますけど、お好みで決めちゃいましょ~☆」

青年「な、なるほど……」

青年 (若干適当だな……)

青年 (しかし先生が作ったのを味見させて貰ったが、相当美味かったので信じるしかない)

執事「我が師よ、今日はお呼び頂きありがとうございます」ペコ

「こちらこそっです!執事さんのお陰で順調に進められて助かってますよ~!」ギュ

>スミマセーン


「っとと、呼ばれちゃったので行ってきますね~!」タッ

青年「……師匠って、どういうことなんです…?」

執事「ふふっ。私はあの方に料理を教わったのです」

執事「特に師の菓子類は絶品ですよ。今ではお嬢様も好物でして」

青年 (お嬢様…?)

青年「っと、それより教わったとは…?」

執事「……私がまだ若い頃、あの方に惚れてしまいまして」フフ

青年「惚れる…?料理の味にってこと?」

執事「……そうですね」ニコ

青年「ん?ちょっと待てよ……失礼ですが、御年齢は……」

執事「五十と七程重ねました」

青年「57!?」

青年 (いやいや、若い頃って一般的に10代~20代だよな)

青年 (となると、ざっと計算しても30年以上も前になるぞ……)

青年 (一体何者なんだあの先生―――

「大丈夫ですか~?」

青年「え、あ……はい!」

「ふふっ。困った事があったら何でも聞いてくださいね~っ」

青年「わかりました」





青年「あの……」ヒソヒソ

執事「はい。何でございましょう?」

青年「先生ってお幾つなんですか…?」

執事「実は私めもご存知ありません」

青年「え、知らないんですか…?」

執事「はい。ですが……」

執事「一つだけ言える事が。」

執事「我が師は、私が若い頃から殆どあのお姿から変わっておられません」

青年「マジっすか」

執事「それと、ああ見えて結構怖い所もありまして……」

青年「あんなに優しそうなのに?」

執事「青年様は、テレビゲームと言うものは嗜んで?」

青年「うん、かなり」

執事「私もその手のものが昔から好きでして、少々嗜んでいますが」

執事「某RPG風に例えるなら、『レベル1で魔王に躊躇無く挑む』と言いましょうか」

青年「そ、そりゃまた凄いな……」

執事「青年様も怒らせないよう―――

「執事さ~ん、あっち手伝ってもらっても良いかな?」ニコ

執事「かしこまりました」ススッ










「まったく、執事ちゃんは昔からお喋りが好きなんだから……」ボソ


   *― 捨て猫 ―*


青年「だから捨ててこいって言ったろ」

狐娘「めんどい」

青年「あのなぁ……」

青年「いつまでも置いてるとオレも嫌なんだよ」

狐娘「あ奴も、きっとこの家が居心地よいんじゃろ」

青年「オレは良くなんて無ぇよ」







猫娘「す、捨てるって……?」

青年「ん…?あぁ、猫娘か。ちょっと聞いて―――

猫娘「私……やっぱり迷惑だったの…?」グス

青年「な、なにが…?」

猫娘「いつまでも居ると……迷惑だって……」

猫娘「居心地良いから、甘えてたけどやっぱり……」ウル

青年「ちげーよ!ゴミ捨てだよ!!」

青年「昨日のゴミ当番が狐娘だったの!」

狐娘「昼寝してもよいか?」

青年「はっ倒すぞ狐野郎」

狐娘「わしは野郎では無く乙女なのじゃがなぁ」

青年「はっ倒すぞ狐乙女」

狐娘「おぉ怖い。襲われるわ~」オヨヨ




猫娘「……私…出て行かなくていいの…?」グス

青年「むしろ、いつまで居る気なんだ?」

猫娘「えっ……」

青年「待て待て、迷惑とかじゃなくて」

青年「恋人とか居ないのか?」

猫娘「居ないよ」

青年「居ないのかよ……」

青年「オレが言いたいのは、恩を感じてこの家に居てくれなくても良いぞって事なんだ」

青年「出て行きたい時はいつでも好きにしてくれよ」

猫娘「そんな時、無いもん……」

青年「無いのもどうかと思うんだが……」

狐娘「猫娘よ、ずっとここに居てもよいぞ。わしが楽できる」

青年「ぐーたら狐め」

狐娘「ぐーたら気を遣わぬ方が可愛いんじゃろ?」

青年「……うっせ」


   *― 恋仲 ―*


猫娘「ね、ねぇ青年くん……」

青年「んー?」

猫娘「その、青年くんは好きな人って居るの…?」

青年「居ないよ」

猫娘「かっ、彼女とかも…?」

青年「居ないね」

狐娘「恋仲と言えば、前にわしらはやったことがあるのぉ」

青年「あー、懐かしいな」

猫娘「ちょっと待って!どういうこと!?」バン

狐娘「いやー、恋仲ごっこをな」

猫娘「恋仲……ごっこ……///」

狐娘「そうじゃっ。ぬしと猫娘で試しにやってみるればよい」ポン

青年「おっ、あの時から成長したオレを魅せる時が来たか!」

猫娘「えっ……えぇ!?」

猫娘「せ、青年くんと私で…?」

狐娘「うむ。もちろん無理にとは言わんがの」

狐娘「ぬしを生理的に受け付けぬのであれば―――

猫娘「する!!」

狐娘「そ、そうか」タジ…


   *― ごっこ (猫娘) ―*


青年「あくまで『ごっこ』だからな」

猫娘「私はごっこじゃなくても良いのに……」ボソ
 
*


青年「……」

猫娘「えと……」モジモジ

狐娘「とっとと始めんか」

青年「狐娘と違って猫娘だと、その……緊張するな……」

猫娘「狐娘ちゃんは、そこに居るの…?」

狐娘「うむ。ぬしが成長したか見届けねばならぬからの」

猫娘 (見られると凄く恥ずかしいんだけど……)



青年「こほん……。猫娘」

猫娘「は、はい……///」
 
青年「……はぁぁ……ふぅ~……」







青年「今日は良い天気だな。これなら外でデートもよかったかもな」キリッ

猫娘「で、ででデート!?」

青年「何言ってるんだ。オレ達は付き合ってるんだしデートくらい普通だろ?」

猫娘「ぁっ……ぅん」カァァ

青年「ま、家でも……」ススッ


青年「こうして……猫娘が側に居てくれるだけで幸せだけどな」ギュ

猫娘「はわわわわ///」ワタワタ

青年「猫娘は……オレのこと、嫌いか?」

猫娘「そんなこと…!無いよ!!」

青年「なら…抱きしめ返して欲しい……」

猫娘「う、うん……///」ギュ



青年「耳、くすぐったい?」ナデナデ

猫娘「少し……でも、青年くんになら……///」

青年「毛並みも綺麗だしフサフサしてて気持ち良いな」ナデナデ

猫娘「にゃふ~……」

青年「今日はまだまだ時間あるし、これから何する?」

猫娘「私は…青年くんがしたいことなら何でも……」

猫娘「あっ…でも、もう少しだけこのままいさせて……///」ギュゥ










狐娘「おほん!!!」

娘「ぬしらはわしの存在を忘れてはおらぬか?んっ!?」

狐娘「見ておるこっちが恥ずかしくなるわ」

青年「これからベッドに……」

狐娘「おっ始めるのは止めんが、わしが居らぬ時にせい」

猫娘「し、しないよ…!///」

青年「ごめんごめん、冗談だ」



青年「でもこれで証明されたはずだ」

青年「オレは前より成長したと…!」

狐娘「そうじゃな。こっ恥ずかしくなるくらいにな」

狐娘「あの頃の初心で可愛らしいぬしは遠くへ行ってしもうた……」


今日は終わります
>>52までは過去の話です

>>48
URLありがとうございます


   *― お誘い ―*


熊娘「ありがとうございましたー!」ペコ

青年「そろそろ閉店だな」

熊娘「片付けやっとくから、先に上がっても良いよー」

青年「いや、手伝うよ。ついでに少し話したいこともあるし」

熊娘「話したいこと…?」



*


熊娘「それで、話って?」カチャカチャ

青年「熊娘ってイブの日は空いてるか?」ゴソゴソ

熊娘「イブ……クリスマスだよね?」

青年「そうそう」

熊娘「え、えと……空いてる、けど……///」

青年「空いてるのかよ、寂しいやつめ」ハハハ

熊娘「ちょっとぉ、何なのぉっ!」ムスー

熊娘「予定聞いてくるからお誘いかと思ったのにぃ……」ボソ

青年「ごめんごめん。イブの日にさ、クリスマスパーティでもしようかなって」

熊娘「青年の家で?」

青年「うん」

熊娘「良いけど……当然ボク以外も来るんでしょ?」

青年「来る、のか断言は出来ない……」

青年「実は熊娘にしかまだ声をかけてないんだ」

熊娘「ボクが最初…?」

青年「そうなるな」

熊娘「そ、そっか……えへへ///」



青年「狐娘は確定として、後はいつもの三人くらいかな」

熊娘「何か用意するものとかってある?」

青年「んー、特に無いな」

青年「パーティって言っても、あんまり変わったことはするつもり無いしな」

青年「鍋と……まぁケーキ食うくらいか」

熊娘「鍋ホント好きだね」

青年「嫌いか?」

熊娘「ううん……好きだよ」

青年「そうか。なら良かった」

熊娘「明日、用事があって羊娘に会うからついでに誘っておこうか?」

青年「おぉ助かる。じゃ、頼むよ」

熊娘「ほいほい、おっけー」


   *― 疑惑 ―*


蛇娘「それで?相談って何よ。珍しいわね」

猫娘「うん……」

猫娘「狐娘ちゃんと熊娘ちゃんは論外として、羊娘ちゃんはそういう事わからなさそうだから……」

蛇娘「ま、妥当ね」

猫娘「それでね、えっと……」







猫娘「蛇娘ちゃんは異性とお風呂に入る?」

蛇娘「この猫は何を言ってるのかしら」

蛇娘「当然入る訳無いでしょう」

猫娘「だ、だよね!うん!」

蛇娘「貴方は入ってるの?」

猫娘「えぇと……一度だけ……」

蛇娘「随分と貞操観念がガバガバね」

猫娘「ガバガバ……」ズーン

蛇娘「誰と入ったのよ」

猫娘「青年くんと……///」

蛇娘「どうしてそうなったか経緯が知りたいところね」

猫娘「成り行きと言いますか……」

蛇娘「……まぁいいわ。で、そのお風呂がどうしたのよ」

猫娘「うん……」


*―――


オユハリガ シュウリョウシマシタ


狐娘『ぬしよ、風呂が沸いたと言っておる』

青年『先に行って良いぞ』

狐娘『戯け。わしだけ行ってどうする』

青年『どうするもなにも、体を洗ってこいよ』

狐娘『面倒じゃから洗ってくれ』

青年『今日もかよ。どこまでもぐーたら狐だな』

狐娘『ぬしは甘えられる方が好きなんじゃろう?』ニシシ

青年『そういった甘えは必要無いんだがなぁ……』

狐娘『では先に入っておるから、早く来るのじゃぞ~』スタスタ

青年『はぁ……』

猫娘『せめてタオルは巻いてね……』


―――*


猫娘「どう思う?」

蛇娘「どうかしてるわね」

猫娘「だよね」

猫娘「後ね、もう一つ気になることがあるの」

蛇娘「それは…?」


   *― 疑惑 その弐 ―*


猫娘「最近、青年くんにゲームソフトを借りたの」

蛇娘「うん」

猫娘「青年くんがオススメしてくれたゲーム、せっかくだからやってみた」

猫娘「一見ファンタジーなRPGかと思ってたら、気づいたら野菜ばっか作ってたんだけども」

蛇娘「うん…?」

猫娘「そのゲームってさ、登場キャラ全員に好感度あるの」

蛇娘「ファンタジーで野菜…?」

猫娘「そうそう。主人公はアースマイトっていう不思議な力―――

蛇娘「あぁ……。あの農奴の……」

猫娘「知ってるの?」

蛇娘「まぁ、ね」

猫娘「それでね、ふと青年くんのセーブデータを見てみたの」

蛇娘 (バカねあの猿。セーブデータ残してたら趣味趣向がバレるじゃないの……)

猫娘「なんかもう、色々とやり尽くした感なデータだったんだけど」

蛇娘「あの作業感にハマる人はハマるわね」

猫娘「ここからが重要なの…!」バン

蛇娘「えぇ」

猫娘「住人一覧を見たら、コハクっていうキャラの好感度だけがずば抜けて高かったの!!」ワナワナ

蛇娘「『はんはんふ~』とか言ってるあのロリっ子ね」

猫娘「そうなの…!」

猫娘「狐娘ちゃんとお風呂に入ったり、ゲームでもこんな……」

猫娘「ねぇ、蛇娘ちゃん」



猫娘「青年くんってロリコンなのかな…?」グス

蛇娘「アホらしすぎて椅子から転げ落ちそうになったわよ」

猫娘「私は崖から転げ落ちそうになるくらい崖っぷちに立たされてるの!」

蛇娘「あの猿……んんっ。青年がどういう趣味を持とうが、貴方に関係があるの?」

猫娘「大アリだよ!!もしロリコンだったら……私……」

猫娘「恋愛対象に見てもらえないじゃん……」グス

蛇娘「はいはい、落ち着きなさいな」ナデナデ

蛇娘「そんなに気になるなら聞いてみれば良いじゃない」

猫娘「無理だよぉ……『お前ロリコン?』って聞かれて『はいそうです』って言う人なんて居ないよ……」

蛇娘「もう少しオブラートに包みなさいよ」

猫娘「だってえぇぇ~」ェェェェ

蛇娘「語尾にビブラートかけるんじゃないわよ」

   
   *― 証明 ―*


蛇娘「仕方無いわね」ゴソゴソ

猫娘「どうするの…?」

蛇娘「直接聞くわ」スス…タンッ


*


青年『もしもし』

蛇娘「私よ」

青年『ようやく繋がったか……』

蛇娘「何を言っているの。かけたのはこっちでしょ」

青年『お前の友人の身柄は預かった!返して欲しくばクリスマ―――――

蛇娘「声」

青年『え…?』

蛇娘「私の友人とやらの声を聞かせなさい」

青年『え、えぇ……お、おい熊娘ゴニョゴニョ……』

熊娘『えっと……たすけてー』

蛇娘「処分して構わないわよ」

熊娘『ひどい!』

青年『こいつを返して欲しくば―――

蛇娘「ふぅん。いくら?」

青年『ぇ……な、なにが…?』

蛇娘「だから、いくら必要なのって聞いてるのよ猿」

青年『い、いやお金じゃなくてパーティ―――

蛇娘「なに?聞こえないんだけど」

青年『っ……じゃ、じゃあ……100万くらい?』

蛇娘「はああぁぁぁ……ため息と共に魂が出そうになるくらい呆れたわ」

蛇娘「誘拐なんてハイリスクなことで金銭を手に入れたいなら、それなりの額をもっと要求しなさいよ」

蛇娘「誘拐して100万ってローリターン過ぎるわ」

青年『じゃぁ……どのくらいが…?』

蛇娘「そうね、例えば一億とかは急に用意できるか人によって怪しいわね」

蛇娘「ま、3000万くらいにしときなさい」

猫娘 (3000万もなかなかだと思うケド……)

青年『じゃあ3000万で……』

蛇娘「はいはい3000万渡すわよ。その代わり今から私の質問に答えなさい」

青年『は、はひぃ……』

蛇娘「貴方ロリコンなの?」

青年『ええぇ!?』

猫娘「ええぇ!?」

猫娘「ちょ、ちょっと…!今まで黙って聞いてたけど、もう少しどうにかならなかったの!?」ヒソヒソ

蛇娘「これでも変化球は上手い方よ」

猫娘「上手くないよ!ド真ん中ド直球だよ!」

青年『ロリコン……では無いと思ってる』

青年『しかし自覚が無いだけで、ロリコンの可能性も否定できなくは無い』

蛇娘「ハッキリしなさいよ変態」

青年『ロリコンじゃない!』

蛇娘「そ。なら良いわ」

青年『あの、それで……』

蛇娘「クリスマスパーティ、誘ってくれるのかしら?」

青年『う、うん。良ければなんだけど……』

蛇娘「……まっ、行ってあげても良いわよ」

蛇娘「でも、次くだらないドッキリの足元にも及ばない事をしでかしたらタダじゃおかないから」

青年『しゅいませんでした……』

蛇娘「じゃ、切るわね」




蛇娘「はぁ。全く、こんなことしなくても誘われたら行くわよ……」ボソ

蛇娘「良かったわね。ロリコンじゃないみたいよ」

猫娘 (青年くん泣いてるにゃぁ……)

今日は終わります

ちなみにコハクというキャラは↓です
http://imgur.com/71ApIN4.jpg


   *― 散歩 ―*


青年「んんー……ふぅ。ここは落ち着くな……」

青年「……」ボー





「やはりここに居たか」



青年「狐娘か。どうした?」

狐娘「どうしたも何も、今日は正月の買い出しを手伝うんじゃろうが」

青年「あー、忘れてた……すまん」

狐娘「他者を気にかけることを、そろそろ覚えて欲しいものじゃがな」ハァ

狐娘「ぬしはもう一人では無いのじゃぞ」

青年「……そうだな。その辺はお前に感謝しておくよ」

狐娘「ならもう少し、わしのことを丁重に扱わんか」

青年「それとこれとは別だな」

青年「もっとお前に可愛げがあれば改めてやるよ」

狐娘「気を遣って接すれば止めろと言い」

狐娘「気を遣わず接すれば態度を改めろと言い、本当に我儘な小童じゃな……」

狐娘「ぬしにまた血迷ったことをされては、寝覚めが悪いからのぅ?」

青年「こいつずっと居座る気じゃ無いだろうな」

狐娘「安心せい。ぬしが亡くなった後もあの家にはわし住んでやろう」

青年「オレが死ぬまで居る気かよ」

狐娘「人間はだいたい八十年かそこらの寿命じゃからな」

狐娘「ぬしが亡くなるであろう残り約五十と余り程度、余裕じゃわ」

青年「もう亡くなった後の話ししてるし……」

狐娘「わしの様な者と人間では時の流れが違う」

狐娘「例えば、ぬしには十年と言う時間は長く感じるじゃろうが……」

狐娘「わしからすれば、昨日みたいなもんじゃ」

青年「ならオレと――――――




狐娘「じゃが……ぬしと積み重ねた一日一日は数年分と同等、濃くわしの記憶に刻み込まれておる」

狐娘「心配せずとも、今後も忘れることは無いじゃろうな」クスクス

青年「へいへい、そうですかい」

狐娘「さて。そろそろ猫娘も待ちわびておるじゃろう、帰るとするぞ」スッ

青年「……そうだな」ギュ


   *― 疑惑 その弐 ―*


青年「……」ジー

狐娘「何か用かの…?」 

青年「やっぱり可愛いな、お前」

狐娘「褒めてもやれるものは無いぞ?」

青年「いや、何もいらないよ」

狐娘「ふあぁ……気持ちの悪いぬしじゃな……」ノビー


*


青年「昨日からずっと考えていた」

青年「オレはロリコンなのか、どうか……」

青年「確かに狐娘は『可愛い』」

青年「でも『可愛い』と『エロい』は違う、よな」

青年「狐娘は愛でる対象ではあるが、性的興奮は刺激されはしない……はず」

青年「つまり、外見が幼くない人に性的に興奮すればオレは健常者だ」




青年「ということで皆、裸を見せてくれ」

蛇娘「生き埋めにしても良いかしら、良いわよね」

熊娘「急に語りだして何事かと思ったら……」

猫娘「みんなの前は、ちょっと……恥ずかしぃかな……///」ポッ

蛇娘「受け入れるんじゃないわよ」

羊娘「でもでも~、私達に性的に興奮して、更に狐娘ちゃんにもしたらどうなるのかな~」

蛇娘「いきなり裸になれって言う時点でカナリの変態でしょ」

青年「だが待ってほしい!」バン

蛇娘「なによ」

青年「もし、もしだ……。今ここで確認せず、オレがロリコンだった場合どうする…?」ゴクリ

猫娘「っ…!」ハッ

熊娘「…??」

羊娘「クッキー、少しお砂糖入れすぎたかな~……」モグモグ

蛇娘「いや、どうもしないでしょ」

青年「どうもしないか」

熊娘「今ここでわかったことは、青年がところ構わずアレな発言をしちゃうってことだけだね」

蛇娘「狐娘が寝てて良かったわね。幻滅されずに済んだわよ」

青年「じゃあ今のうちに狐娘の服を剥ぐか」

蛇娘「何が『じゃあ』なのかサッパリなんだけど」

青年「服を脱がせてサッパリさせる」

青年「やっぱりロリコン容疑は晴らしたいじゃん?」スッ

蛇娘「ちょっ、何触ろうと―――








狐娘「んん…………あむっ」ガブ

青年「げっ」

狐娘「んむ…んみゅ…んむ…………む?」ペッ

狐娘「なんじゃ、ぬしの指か……」ボケー

青年「……」

蛇娘「……」










青年「甘噛みもなかなか良いな」

蛇娘「ふんっっ!!」ドスッ

青年「ぐぇ……」

熊娘「うわ……蛇娘、流石に肘はマズイよ……」

猫娘 (なるほど、甘噛みね)メモメモ


 ボォォォーーン…… ボォォォーーン……


蛇娘「最っっ悪の年越しだわ!」


   *― 初詣 ―*


青年「蛇神様……どうか一生遊んで暮らせる程度の金銭を……」パンパン

蛇娘「……」ドスッ

熊娘 (もはや無言で肘打ちかー)

蛇娘「私に拝んでどうするのよ」

青年「けほ……ひゅ~っ蛇神様のお怒りだ」

蛇娘「……!」キッ

熊娘 (なんでボクを睨むの……)

猫娘「そろそろ着きそうだよー」


*


羊娘「やっぱり混んでますね~」

青年「クソ!年明けだと言うのにイチャイチャしやがってカップル共が…!」

青年「おらおら、どけどけ!蛇神様のお通りだぞ!」

蛇娘「迷惑をかけないの」ドスッ

狐娘「ぬしよ、遊んでおらんとアレを買え」ユビサシ

青年「んー、たい焼きか」

狐娘「それと……あれとあれも」ススッ

青年「どんだけ食うんだよ……」

狐娘「この匂いを嗅いで腹の虫を鳴らすなと言う方が無理というものじゃ」

青年「……一理ある」

熊娘「こういう屋台って何故か美味しそうに見えるよね」

青年「なら先ずは拝んでからな。流石に神様そっちのけで食い物に行くのは罰が当たりそうだ」

狐娘「よかろう」フンス

青年「なんでこいつはこんなに態度がデカイんだ…?」


*


 チャリンチャリンッ


 ガラララッ…


青年 (……)パン…パン



*


狐娘「済んだ様じゃな」

青年「うん」

狐娘「では、はよぅ行くぞっ」グイ

青年「お前は新年早々から遠慮というものを知らんのか……」ゴソゴソ

狐娘「遠慮するなとぬしは言ったではないか」

青年「……はぁ。じゃあとりあえず全員分買ってこい」スッ

狐娘「ふむ。これでは足りぬぞ?」

青年「何個食う気だよ」

狐娘「五つじゃな」フンス

青年「頭かち割るぞ」

狐娘「おー怖い怖い。甘えると頭を割られるとはのぅ」

青年「お前は甘いものが食べたいだけだろ」

狐娘「ケチ臭いぬしじゃ―――むぎゅっ」

青年「屁理屈ばかりこねるこの口は必要ないな」

狐娘「ぐむー!頬を掴むでないっ」ジタバタ

青年「とっとと買いに行くか……」

狐娘「最初からそうすればよいじゃろうが阿呆……」ボソ

青年「何か?」

狐娘「なーんにも」











蛇娘「相変わらず仲が良いわね……」

羊娘「喧嘩するほど何とやら、ですねぇ」

熊娘「というより、あれは喧嘩じゃなくてじゃれ合いかな~」

猫娘「む~……良いなぁ」


   *― 初詣 その弐 ―*


青年「ん。みんなも良ければ」スッ

猫娘「わ~!ありがとうっ」

熊娘「良い匂い……ボクこの香ばしい匂い好きなんだよねー!」スンスン

蛇娘「悪いわね、頂くわ―――って、何個買ったのよコレ……」

羊娘「いただきます~」

青年「コイツが十個も買えと駄々こねてたんだが……」

青年「たい焼き屋のおっちゃんが、どうやらオレと狐娘をあまり裕福じゃない兄妹だと思ったらしくてな」

青年「内緒と言うことでオマケで貰ったんだ」

狐娘「ふふん。わしにきっと惚れたんじゃろうな」

青年「馬鹿言え、おっちゃんオレ達見て泣いてたぞ……」

青年「『これでも食って元気出しな』って言葉、まさしくじゃん」

青年「後からちゃんと払ったけど、今度からは―――

狐娘「んむんむ!ほーっ美味じゃわぁ……」モグモグ

青年「……まぁ、いいか」

蛇娘 (ほんと甘いわね。……このたい焼きのように)ドヤ

羊娘「ふふっ ぷくく……」

蛇娘「……何よ」

羊娘「ううん、何でもな~い」


   ―  終  ― 


   おまけ


   *― もしも彼女だったら ―*


青年「ただいま」

猫娘「お帰りっ。ご飯食べてきた…?」

青年「外食する時はちゃんと連絡するよ」

猫娘「にゃはは……良かった~今温めるから待ってて」スッ

青年「良い匂いする」

猫娘「今日はね、青年くんの好きな―――

青年「いや、ご飯もだけど、猫娘も良い匂いするなって」

猫娘「えっ、えぇ!?」

青年「シャンプー変えた?」

猫娘「あ……うん、昨日の夜いつもと違うのを試しに使ってみたんだけど……どう…かな?」

青年「わからん。いつもと違うけど結局良い匂いなのは変わらん」

猫娘「にゃはは、そっか」

猫娘「青年くんは~……むむ…?」スンスン

猫娘「なんだか、香水の臭いがする……」

青年「あぁ、これは―――

猫娘「むー!女の子と会ったの…?」プクー

青年「会ったと言えば会った、かな」

青年「いつもオレは依頼人と話をしたりは殆ど無いんだけど、今日はちょっと頼まれてな」

青年「その相手が女性だったから香水の臭いがついたのかも」

猫娘「そぅ……」

青年「猫娘…?」

猫娘「む~……えぃっ!」ギュッ

青年「な、なに…?」

猫娘「こうやって抱きつけば、私の匂いで消せるかなーって///」

青年「そんな事しなくても風呂に入れば……」

猫娘「ダメ…?」

青年「……いいや。オレも猫娘の匂いの方が好きだ」

青年「でもその前にご飯だな。早く食べないと良い匂いどころか焦げ臭くなりそうだし」

猫娘「えっ…?わわっ、お魚が!」バタバタ




猫娘「うぅ~ちょっと焦げちゃった……」

青年「まぁ多少焦げたくらい何とも無いだろう。オレが食べるよ」

猫娘「ううん、私が食べるよ……焦げてない方を青年くんが食べて……」シュン

青年「……じゃあ、今日は寝る前に肩叩きでもしてもらおうかな」

青年「それと交換ってことで」

猫娘「そんなのいつでもしてあげるのに……」

青年 (流石に耳と尻尾が思いっきり垂れて落ち込んでるのに貰えんだろ……)

青年「猫娘、ご主人様の言うことが聞けないのか?」

猫娘「え…?」

青年「オレはあげると言ったんだ。それを受け取ってはくれないのか」

猫娘「……むぅ!ずるいよぉ」

青年「はいはい、冷めないうちに食べよう」

猫娘「はぁ~い……」

これで終わります
読んでくださった方、ありがとうございました

良いお年をお迎えください

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