【時々安価】吸血鬼「暇つぶしに世界征服をしましょうか」 (85)


吸血鬼「お腹がすきました」


2000年ぶりに目が覚めた
まず感じたのは空腹だった
長い長い眠りから覚め、まず思ったのは若く、新鮮な血をたらふく飲みたいということ

そして体を起こし鈍った身体を無理やり起こしていく
身体が覚醒を始め力が戻ってくる

だがやはり空腹の限界をとっくに超えているのだ、力はまだ十分には取り戻せない

とりあえず地中深くに掘った穴、つまり寝床から出る必要がある
天井を一睨みすると、まるで火薬が連鎖していくかのように爆発していく


吸血鬼「よっと」


そのままその爆発の流れに乗るかのように吸血鬼は地上を目指して文字通り跳んだ



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481532292



吸血鬼「これは、死体ですか」

地上に飛び出した瞬間強く鼻腔を刺激する血の甘い香り
それにつられるように歩を進めるとそこには林道に転がる男の死体があった

肩口から背中にかけて大きく斜めに斬られた傷口から見るに、逃げる背後から斬りつけられたということは想像に難しくない

そう、これは野生動物や魔物などに、やられたのではなく人間に斬られたのだろう
厄介事の匂いがプンプンする

ただでさえ異様な存在感を放つ死体だが、2000年分の空腹を堪える吸血鬼にとってはこの異常事態はさほど問題ではなかった


吸血鬼「どうしましょうか」


吸血鬼の頭の中にあるのはこれを食うか否か
幾ら人の血肉を食す種族であるとはいえ、食べるものは選ぶものだ
人間が新鮮な食材を好み、腐ったものは食べずに捨てるように吸血鬼は基本的に生きた人間や動物を喰らう


吸血鬼「さすがに久しぶりの血が死体というのは気が引けますが」


だが転がってる死体は絶命してそう時間も経っていないように見受けられる

この男を殺した何者かを喰らってもいいし、ここでこの死体を食べてもいいように思う


だが彼は歩みを進めることにした
厄介事の嫌な予感もするが、そんなことよりも
もっと血肉湧き踊る活力に溢れた血が待っている
そんな気がしたから彼は飛ぶように走り出した

いやまさに文字通り背中から黒い翼を生やし、飛んだ




少女「はぁっ! はぁっ!」

少女「だ、誰か! 助けて!」

盗賊「ははは! いいぞせいぜい頑張って逃げろや」


少女は都市部からは遠く離れた小さな小さな村で暮らしていた
田畑と沢山の家畜と、少しの人間だけがある小さな村だ

そんなのんびりとしていて、しかし澄んだ空気のこの村が少女は大好きだった

いつも牛乳を分けてくれる隣のおじいちゃん
時々都市の方に行き、土産を買ってきてくれる恰幅のいいおじさん
みんな大好きだった

しかしそんな大好きな彼らが突如現れた賊に目の前で殺された

何かの夢だと思った

ただイタズラに人を殺す賊の行動の意味が彼女には分からなかった

なぜ? そんな思いで頭の中は支配されている

なぜ盗賊はこんな小さな村に現れた?
なぜおじさんたちは殺されなければいけなかった?
なぜ私は賊に追われている?
なぜ私は今まさに殺されようとしている?


少女「あっ!」


人殺しの賊に追い回され必死の思いで走り続けていたが元々運動が得意ではない少女の体力はすぐに限界がきた
足がもつれ、勢いそのままに地面に転ぶ

転んで膝を擦りむき血が出る
痛みに息が詰まるがそれどころではない
後ろからは盗賊が追いかけてきているのだ

涙が浮かぶのを堪えながら痛む足に鞭を打ち立ち上がる




盗賊「もう追いかけっこは飽きたんだよ」

少女「いたっ…!」


盗賊はいつの間にか既に背後にいた
長い少女の髪を掴み、ぐっと力任せに引き寄せた


盗賊「なぁ、ここで又開けばよ? 殺さずに見逃してやってもいいぜ?」

少女「……!?」

盗賊「顔だけは悪くねえしなー? 胸がもう少しデカけりゃ文句もねえんだけどよぉ」

少女「……バカにしないで」


少女はただひたすらにムカついた
汚い息を吹きかけられ、あまつさえ自分と交われば命を助けるなどとほざいた
誰がこんなクソみたいな奴に犯されなきゃならないんだと
こんなクソ野郎に犯されるくらいなら死んだ方がマシだ

本気でそう思った


だから


臭い息を吐くイカれた野郎の顔面に右ストレートをぶち込んだ




生まれて人を始めて本気で殴った

右手がじんじんと痛むけど胸がスッと軽くなった気がする

前歯が折れ、口から血を流した盗賊が、一瞬驚きの表情をしたかと思えばすぐに怒りに震え、真っ赤な顔に変わる



盗賊「このくそあまぁーー!!」

少女「がっ!?」


盗賊の本気の蹴りが少女の腹を嫐る
人二人分転がった少女は今やっと自分の行ったことの重大さに気がついた

殺される!

そう本能がサイレンを鳴り響かせるが身体は動いてくれない
それどころか痛みのあまりに呼吸が出来ず、全身の細胞が酸素を求めている

水面に浮かぶ鯉のように口をパクパクさせ、目は焦点を合わせられず視界がぼやける


盗賊「ぶっ殺す」


盗賊が湾曲した刃のサーベルを引き抜く
横目にそれを見た少女は死を悟った



少女(あぁ、もう死ぬんだ)


振り上げられたサーベルがやけにスローモーションに見える

全てがどうでもよくなった
まだやりたいことが沢山あった
でもここで死ぬならもうどうしようもないんだ。 しょうがない
運がなかっただけ



いいや、そんなわけない

どうでもよくなった?
しょうがない?

そんなことある訳ないじゃないか!

なんでこんな奴にいきなり殺されなきゃならない!?

納得がいくわけがない


せめて

せめてもう一度

こいつをぶっ飛ばさなきゃ気が済まない!!


だが現実は無情だった
そんな本の中の出来事のように体がいきなり軽くなるわけもない

ぶん殴ってやろうと思っても
逃げようとしても
体はピクリとも動かない


ただ瞳に映るのは振り下ろされるサーベルと
少女と盗賊の間に体を滑り込ませてくる、真っ黒な翼を生やした全裸の男だった



盗賊「な、なんだてめぇは!?」

吸血鬼「お姉さん、失礼ですが」

吸血鬼「血を吸わせて頂けませんか」

少女「へ……?」

吸血鬼「まさに若く、生きる力に、活力に溢れた熱血」

吸血鬼「本当はあなたのその血を全て頂きたいところですが、私も鬼ではありません」

吸血鬼「ただの鬼ではなく吸血鬼。 見たところあなたはピンチのようですし……あなたの血を少し頂けるのであれば、代わりに力をお貸ししましょう」

少女「はい……?」


突然まくし立てられた少女の頭は全く理解出来ない
ただでさえ意味もわからず殺されるところで、さらに現れた人外の存在感を放つモノ

背中に翼を生やしてることから恐らく魔物の類だろうが、というか吸血鬼といったか?
そんなイカれた野郎2号(全裸)がいきなり私に血を寄越せと言ってきているのだ

ちんぷんかんぷんとはこの事だろう

だけど、待って

今この人はなんと言った?


力を貸してくれる?

この吸血鬼ならこの盗賊を倒してくれる?


これは期待


盗賊「なんだてめぇ!! 邪魔すんならぶっ殺す!!」


少女の理解が追いつく前に盗賊は既にサーベルを振り上げられていた
思わず少女は咄嗟に目を瞑る

だがあがる血飛沫も、悲鳴もなかった
ただただ広がる静寂

恐る恐る目をあけるとそこには

サーベルの逆刃を人差し指と親指で後ろからつまんで止めている全裸の男の姿だった


盗賊「は……?」

吸血鬼「一体いつになったらそのサーベルは振り下ろされるんですか?」

吸血鬼「欠伸が出ちゃうかと思いましたよ」


大人の力で振り下ろされたサーベルをいとも容易く指2本で、しかもサーベルの後ろからつまんで止めてみせた吸血鬼の実力は人外のそれということを闘いに関してはド素人の少女の目からも明らかだった



盗賊「ひ、ひぃ! 化け物ぉ!」


殺す気満々でサーベルを振るった盗賊にとってみたらパニックそのものだろう
明らかに自分よりも一回り、二回り、いや人間というレベルの強さではない相手が目の前にいるのである
しかも全裸で翼生やしているのだ

恐怖以外の何物でもないだろう


吸血鬼「さて」


そういい吸血鬼が2本の指に力を入れた瞬間サーベルの刃はパキインという小気味いい音を立てて砕けた
力の行き場をなくした盗賊は体勢を崩し、たたらを踏む
そして今目の前で起きたことをやっと頭が理解し、戦慄した


盗賊「ひぃぃぃぃやあああああ」


叫び声をあげながら必死に逃げようとする盗賊
さっきまでの威勢はどこへやらだ

笑い声をあげながら村人や少女を追い掛け回していた立場が一転、情けない姿で逃げようとする敗者へと成り下がった



そんなみっともない姿に吸血鬼は微塵も興味を感じない
感じたのはただ煩わしいという感想

非日常的な今この瞬間に、なんとも日常的な感情が思い浮かんだ


何気なく立てた人差し指
それを指揮棒を振るかのように軽やかに横一文字に振るう


盗賊「な……


必死に逃げようとした盗賊の身長が真っ二つになる
バランスを崩した下半身は地面に勢いよく倒れこみ、とてもつもない力で吹き飛ばされた上半身は側に生えている木に激突した

一瞬の間を置いて噴水のように噴き出す血
その匂いが吸血鬼の、吸血鬼としての種族の血を滾らせた




吸血鬼(食べたい! 食べたい食べたい食べたい!!!)

吸血鬼(このおいしそうな若い少女の血を!! 肉を!! 臓器を!!!)

吸血鬼「食べたいッ!!!」

少女「ひっ!?」


何から何まで突然すぎる出来事に少女の頭の中は真っ白だった
汚い盗賊に殺されるかと思えば、その盗賊は吸血鬼と名乗る変態に殺された

殺されたのかどうかすらわからない
彼が指を一振りしただけで盗賊の体が二つに千切れたのだ

その光景を思い出し、思わず胃液が上がってくる
グッとそれをこらえ、焼け付く食道の気持ち悪い感覚を意識から追い出し、今目の前にいる変態をどうするか彼女は頭をフル回転させる


少女「ま、待ってください!!」

吸血鬼「んんッ!?」

少女「あたな、仮に吸血鬼だとして確かに私の血を飲めるなら力を貸すといいました」

少女「ですが私はそれを了承した覚えはありません!」

吸血鬼「……はっ?」

少女「つ、つまり! 今の賊くらい私は自分の手でなんとかできました! あなたの手なんか必要がありません!」

吸血鬼「…………」

少女「で、ですがもし私のこの村全体に盗賊が来ていたら私の手ではどうにもできません! 私のピンチです!」

少女「そこであなたの力を借りたいのです!」

吸血鬼「……えぇ」

少女「あたなが力を貸してくれるまで! 私は血を飲ませるつもりはありません!」


吸血鬼(何を言っているんでしょうこの少女は)

吸血鬼(どう考えてもあれはピンチでした)

吸血鬼(確かに私が勝手にやったことではありますが、納得がいかない)

吸血鬼(どうしましょうか)


>>16
①「うるさい肉ですね」

②「なるほど…ならば仕方がありませんね手を貸しましょう」

③「調子に乗るなよ小娘。私がいつでもお前を殺せるのだということを分からせてやる必要があるようですね」

④「自由安価」

お前が私の眷属になるなら力を貸してやろう


吸血鬼「お前が私の眷属になるなら力を貸してやろう」

少女「はい?」

吸血鬼「いえ、確かにあなたの言う通り結果的には私が勝手にあなたを助けたのでしょう」

吸血鬼「しかしそれではあまりに不本意すぎるとは思いませんか?」

少女「ぐっ…!」

吸血鬼「私はあなたの血さえ飲めればいい」

吸血鬼「私にとってあなたの村人、家族のことなどどうでもいいのですよ」

少女「……!」

吸血鬼「そこで取引です。 あなたの助けてほしいと望む家族、村人」

吸血鬼「それらを渡しが救って見せましょう」

吸血鬼「ですが、あたなは私の眷属となるのです」

少女「眷属…?」

吸血鬼「えぇ。 眷属、つまりあなたは人間から吸血鬼という上位の種族へと変貌する」

吸血鬼「吸血鬼となれば再生能力も高くなる。つまり私があなたの血を飲んでもあたなはすぐに回復する」

吸血鬼「私はあなたの血を飲み放題ということです」

少女「なっ…!?」

吸血鬼「さぁ、どうしますか? あなたの一生を私に捧げるか」

吸血鬼「自分の一生を人間として過ごす代わりにこの村人を見殺しにするか」

少女「…………」


少女「いいでしょう。 私があなたの眷属になれば村人はみんな救ってくれるんですね?」

吸血鬼「えぇ、約束しますよ」

少女「なら、早くしてください」

吸血鬼「ふふ、なかなか度胸が据わっているのですね」

吸血鬼「では、唇を失礼」

少女「は、はぁ!?」

吸血鬼「なにか?」

少女「ちょ、ちょっと待ってください!! 唇ってどういうことですか!?」

吸血鬼「捕食の意味での吸血とは違い、眷属にするには手順というものがあるということです」

少女「だ、だとしても! それはおかしいじゃないですか! いきなり見ず知らずの人とき、ききききキスをするなんて!」

吸血鬼「何を言っているのです? あなたは犬とキスをするのに抵抗があるのですか? ないでしょう?」

吸血鬼「それと同じように下位種族との間のキスに深い意味などありませんよ」

少女「その考え方はおかしいです!!」



吸血鬼「煩わしい。 眷属になる方法はこれしかありません」

吸血鬼「眷属になるのか! ならないのか! はっきりしなさい」

少女「怒られるの納得いかない…… 私のファーストキスがこんななんて」

少女「分かりましたよ~… もう覚悟を決めます」

少女「んっ」


目を瞑り口を突き出す少女
それに応えるべく、彼女の体に手を回し、後頭部に手を添え、唇を重ねた


少女「んっ…」


柔らかく、少し濡れた温かい感触が唇に伝わる


少女(キスってこんな感じなんだ)


少し頬を赤らめた少女に、ギラリと光る吸血鬼の犬歯が唇を突き刺す
そのまま唇をついばむ様に血を吸いだす

鋭い痛みに一瞬表情を曇らせた少女であったがすぐにそれは快感の波へと変わる
吸血される側のとてもつもない快感
性感とは別の、新しい快感は津波のように全身を打ち付けた

頭がボーっとし、目はチカチカ、手足はビリビリとしびれる
しかし体の芯は燃えるように熱くなり、なんともいえない、嬌声をあげたくなるような不思議な感覚

彼女もまた貪るように吸血鬼の唇を求めた



だがそれもまたすぐに変わる
全身を内側から破壊されるような激痛

目玉を抉られ、体中の骨を万力で砕かれ、皮膚を火で炙られるようなこの世のものとは思えない痛み

あまりの痛さに声も出ず、ただただ恐怖が思考を支配する


吸血鬼「大丈夫ですよ、あなたの体が吸血鬼のものへと作り替えられている」

吸血鬼「それが終わればあなたの体は吸血鬼として最適化される」

吸血鬼「人間などという窮屈なものではなく、より上位の存在としてあなたは生まれ変わる」

休憩します

安価なので書きためはないので変な文章になったり表現が緻密だと思いますがご容赦ください

おつおつ
きたい


逆刃を親指と人差し指でつまむ吸血鬼……いったい何ャルティアなんだ


吸血鬼「ここですか」

少女「……そう」


村の中心部につく
広場のような一角には村人と思わしく十数人がロープで一括りにされ、それを囲むように盗賊が4人ほど警備をしていた

怪しい

ただ殺しを楽しむだけなら先ほどの賊のように手あたり次第殺せばいい
金品がほしいだけなら捕まえるなどという手間のかかることなどせずに殺せばいいし、そもそもこんな辺鄙な村を襲う必要はない

つまりただの盗賊の行うことにしては計画性があるように思えた


吸血鬼(まぁ私には関係ありませんが)


下等生物のやることに一々考えを巡らしても無駄なだけだ
それより先の約束通り村人をさっさと救って暇つぶす方法を考えなければ

いや、その前に眷属になったこの子の力を見ておくのも悪くないかもしれない


少女「みんな! 大丈夫!?」

村人「少女!? 来ちゃだめだ早く逃げろぉ!」

盗賊A「おうおう? なんだ女がまだいたのか。 おい、捕まえるぞ」

盗賊B「へいへい。 おいお嬢ちゃん、痛い目あいたくなかったら、おとなしくしてな?」

村人「少女ちゃん! いいから逃げてー!」

少女「いやだ! 私はみんなを助ける!!」

村人「何言ってんだ! こいつらは武器を持ってるんだぞ! 早く逃げろ!!」

盗賊A「おうおう泣けるねーこりゃ。 感動しすぎて盛り上がっちゃうじゃないの」

盗賊B「こりゃあれだな? 処す? 処すぅ~?」

盗賊C「くはは! お前本当そればっかだな! あとで俺にもやらせろよ?」

盗賊B「おめぇと穴兄弟とか簡便してほしいわー」

盗賊「おうおう、おめえらもういいだろ。 で、おい盗賊? お前なにしてんだ? その女早く縛れよ」

吸血鬼「私ですか?」

盗賊「おうおう? どうしたお前? なんか痩せた?」

吸血鬼「あぁ、この服の持ち主のことですね」

吸血鬼「この服を拝借させて頂いた方は私が先ほど殺しましたよ」


盗賊B「は?」

盗賊A「……おうおう。お前一体どういうことだ?」

吸血鬼「いえ、ですから目障りだったので殺しました」

盗賊C「……こりゃーつまらねえ冗談だな。 その返り血は盗賊の血ってことかい」

吸血鬼「えぇ、そうですね。 臭い血ですね、一体どんな生活をしたらこんなまずそうな血になるのか不思議です」

盗賊A「……おうおうおめぇー、いっぺん死ねや」


盗賊Aが懐から銃を取り出す
慣れた手つきでロックを外し、銃口を吸血鬼に向け、引き金を引いた

パンと乾いた音が鳴り、煙が立ち上った
銃弾が脳天を突き破ったのだろう、血と髄液をまき散らし、吸血鬼が地に倒れる


一瞬の静寂
光景を見ていた村人の一人が悲鳴を上げた

一気に高まる緊張のボルテージ
誰もが冷や汗を流し、次に狙われるであろう少女の身を案じた


少女は至って冷静だった
先の圧倒的なまでの強さを持っていた吸血鬼がこんな簡単に死ぬわけがない

銃弾が頭を撃ち抜いていようがきっと大丈夫

そんな根拠のない自信が彼女にはあった

ただ吸血鬼にしたのと同じように銃を向けてくる盗賊Aをじっと見据える

あいつらを倒してみんなを助けたい
ただその一心だった

みんなが私に逃げろと言ってくれる
そんな優しさが少し嬉しいけど
私がみんなを助けるんだよ



盗賊Aが再び引き金を引いた

カチッと引き金が引かれる音
火薬が爆発する瞬間
それと共に高速で回転しながら飛び出してきた弾丸
一直線に私めがけて飛んてくる死の一発

それが全て少女の目は捉えられていた


なるほど、これが吸血鬼の眷属になるということか


発射された弾丸を握るように手で受け止める
少し痛かったが、弾の勢いはすぐに弱まり掌の中に収まった

普通に人間には何が起きたか見ることすら出来なかっただろう

盗賊Aは血を噴出して倒れない少女を不思議そうな目で見ている
他のみんなも同様だ

心配そうに見守る村人
その中に自分の両親がいることに安堵した

よかった殺されていないんだ


その安堵が彼女の気を緩める
その隙を逃す戦いに身を置いているごろつきたちではなかった


すかさずの一発
人間であれば反応することもできない弾丸のスピードをやはり彼女は見切っていた


次は指2本で受け止める
ちょっと自分でもかっこいいと思うほどの余裕があった

弾丸を受け止めたということをようやく理解した盗賊たちは額から脂汗を滲ませる

思わず一歩後ずさりしてしまうほどの未知な存在への恐怖
只者ではないことは今ので嫌というほど認識させられた


少女「みんなを助けなきゃ」


>>29
①銃弾を投げ返す

②とりあえず皆殺し

③帰らせる

④自由安価

再安価>>31

1


少女「おかえしだよ~!」


ボールを投げるように銃弾を指にかけ、力いっぱい振りかぶる
人間の力とは比にならない、吸血鬼の力で発射されたそれは文字通りの弾丸

盗賊Aの身体にあたると同時に弾丸は衝撃に耐えられず破裂した


盗賊B「ひ、ひぃぃ!! なんだお前は!?」

少女「私?」

少女「私はね、吸血鬼の眷属だよ」


彼女は背中から翼をはためかせた
吸血鬼とは違い、片翼の黒い翼

体2つ分はありそうな大きな翼は、黒という色に相応しく見るものの視線を吸収する


盗賊B「きゅ、吸血鬼だと…?」

盗賊C「ば、馬鹿言うな! 吸血鬼なんて種族は遥か昔に絶滅したって」

吸血鬼「ほう? それは一体どういうことか詳しく聞かせていただきたいですね」

盗賊B「ひ、ひひひひひああああああああ生き返ったあああああああ」


先ほどまで額に穴を開けて横たわっていた吸血鬼が、まるでゾンビのように盗賊Bの足を地べたに這いつくばりながら掴んでいた


少女母「あんた、一体これは…」

少女「ごめんなさいお母さん。私、人間じゃなくなったの」

少女「だから、もうさようなら。 私ここにはいられないんだ」

少女母「どういうことだいあんた! ちっとも分からないよ!」

少女「私ね、みんなを助けるために吸血鬼になったの。 それで私はこの人の眷属」

少女「この人にはもう逆らえないんだよ」

吸血鬼「えぇ、そういうことです。 なのでこの少女といいましたか? この子はもうあなたたちのものではありません」

吸血鬼「少女は私の食料であり、眷属。 私の手となり脚となり、そして腹に収まる血肉となる」

少女母「な、なにがなんだかさっぱりだよ!」

少女「ふふ、心配しないでお母さん。 さっき見たでしょ? 私こんなに強くなったんだよ」

少女「だから、心配しないで」

少女母「心配しない!? そんな親がどこにいるっていうんだ!」

少女母「あんたがいくら強くなろうが! 翼が生えようが! あんたは私の娘なんだよ! 愛おしくてたまらない私の大事な娘なのよ!」

少女母「心配しないわけないじゃない!」

少女「……お母さん」

少女母「吸血鬼といったね!」

吸血鬼「はい」

少女母「もし少女になにかあったら許さないからね! なにかあったら私があんたを殺してやるんだからね!」

吸血鬼「なにを言っているんですかね。 そんなこと出来るわけがないのに」

少女母「分かったね!!」

吸血鬼「くふふ、はいはい」


少女母「風邪、ひくんじゃないよ」

少女「うん」

少女母「あんた、すぐ体調崩すし、間抜けだから心配だよ」

少女「うん」

少女母「ケガにも気をつけなよ。 年頃の女の子なんだからね」

少女「うん」

少女母「好き嫌いせずにちゃんと食べるんだよ。 人参も食べなさい」

少女「うん」

少女母「なーにがうん、よ。 本当に分かってるのかさ」

少女「……うん」

少女母「あんたが帰る場所はここにあるんだからね。ちゃんと帰ってくるんだよ」

少女「……うん」

少女母「元気でね。 吸血鬼だかなんだか知らないけどそんなものになってもあんたは私の大事な娘なんだからね」

少女「おかあさん……」

少女母「あ、そうだ待ってな。 ちょっとおにぎり作ってくるから」

少女「……うん」


吸血鬼「もう済みましたか? いきますよ」

少女「……うん」

村人「お、おいあんた! 少女ちゃんを無理やり連れ去ってくってのになんだそれは!」

村人「お母さんが今最後のおにぎりを作ってきてくれるって言ってるのに!」

吸血鬼「はい? 私がなぜそんなことを待たなければいけないのですか?」

村人「なっ…!? あんたには人情ってもんがないのか!!」

吸血鬼「誰も少女を永遠に私の側から離さないなどとは言っていません。 この子が帰りたいといえば帰らせますよ」

吸血鬼「そしたらまた母親の料理を食べればいいでしょう」

少女「……いいの、みんな」

少女「お母さん、私が離れられないの分かってるから。」

少女「ああやって自分から離れて行けるようにタイミングを作ってくれたんだと思う」

少女「だから行ってきます」

村人「お、おう……そうか」

村人「じゃあ、元気でな」

少女「……うん、みんなも元気でね」

吸血鬼「いつまで慣れ合っているつもりですか。早くいきますよ」

少女「はい、ご主人様」


吸血鬼「なるほど、少女が私の眷属ならば」

吸血鬼「少女にとって私は主。つまりご主人様というわけですね」

少女「そう、ですね」

吸血鬼「しかし、どうにもこう年端もいかない女子にご主人様と呼ばせるのは変態な香りがしますね」

少女「お言葉ですが、ご主人様は先ほど全裸で私の目の前に現れましたが」

吸血鬼「あれは不可抗力でしょう」

少女「やけに大きかったですけど」

吸血鬼「寝起きでしたからね」

少女「ところでこれからどちらへ?」

吸血鬼「そうですね……吸血鬼は寿命がないため暇を持て余すんですよ」

少女「寿命がない…?」

吸血鬼「えぇ。 私もかれこれ2万年近く生きていますからね。 人間がまだ猿のような時代から生きています」

少女「えぇ……」

吸血鬼「なのでもう毎日が暇で苦痛なので寝るしかないのですよ」

少女「では、なにか楽しいことをされては?」

吸血鬼「楽しいこと、ですか」

少女「例えば……牛の世話をしたり」

吸血鬼「それは最高に暇そうですね」

吸血鬼「そうだ、思いつきましたよ」

少女「ほう! それは」

吸血鬼「世界征服をしましょう」


少女「……スケールがデケえですね」

吸血鬼「伊達に歳くってませんからね」

吸血鬼「世界各地旅行はしましたが、それもこれもまだ人間の文明が発達していなかった頃」

吸血鬼「さっき久しぶりに人間を見ましたが、生活の水準が跳ね上がっていてびっくりしましたよ」

少女「……なるほど」

吸血鬼「今まで取るに足りない種族と思っていましたが人間たちに少し興味が湧きました。あいつらを従えるのも悪くはなさそうですね」

少女「えぇ……」

吸血鬼「なので世界征服をしましょう。そのためにもまずは>>38をしましょう」


>>38
①人間を片っ端から眷属化させる

②人間の文明で王となる

③人間社会を裏から破壊し王となる

④吸血鬼が私たちしかいなくなってしまったため、子作りでもしましょう

⑤自由安価

2


吸血鬼「そのためにもまずは人間の文明で王となりましょう」

少女「……そのためにもって言ってますけどそれ最終目標すぎませんか」

吸血鬼「ですから、寿命はないんですから、気長にやればいいんですよ」

少女「……ご主人様さてはアホですね?」

吸血鬼「ほう? 眷属の分際で私にたてつこうというのですか」

少女「…………」

吸血鬼「冗談ですよ。 私はフレンドリーな関係を望んでいます」

吸血鬼「あなたはもう下等種族ではないですからね。 眷属と言ってはいますが正直対等な関係だと思っていますよ」

少女「……>>40


>>40
①「そう? なら敬語やめるね」

②「ありがたいですが、眷属は眷属です。 主には敬意を払うのが常であると血が言っております」

③「え? いやご主人様こそ私の下だよね?」

④「自由安価」


吸血鬼「あなたはもう下等種族ではないですからね。 眷属と言ってはいますが正直対等な関係だと思っていますよ」

少女「ありがたきお申し出ですが、眷属は眷属です。 主には敬意を払うのが常であると血が言っております」

吸血鬼「ふむ……やはり血には抗えませんか」

少女「はい。 私はあなたの盾となり剣となるべく存在。 対等なものでは決してありません」

吸血鬼「あなたがそういうなら仕方がありませんね」

少女「話は戻りますが、ご主人様? 人間の王となるとのことですがどのようにして?」

吸血鬼「吸血鬼は血が全ての存在。 あなたは眷属でありますが、私は純度100%、真祖の血を受け継ぐ吸血鬼です。 このように他社より優れている点が吸血鬼の王としての素質がある」

吸血鬼「では人間ならばどうか? 少女はどう思いますか?」

少女「……うーん。 政治的な力がある、とかでしょうか」

吸血鬼「それもあるでしょうが根本はもっと単純なものでしょうね」

吸血鬼「力があるということです」

少女「武力、ということでしょうか?」

吸血鬼「いえ、そうではありませんよ。 吸血鬼という種族では血という力が王に求められるものでした」

吸血鬼「では人間にとって血は重要でしょうか?」

少女「いえ」

吸血鬼「恐らく人間にとっては人気、というものでしょう」

少女「……人気?」

吸血鬼「えぇ、単純なものです。 人気があるから王に選ばれるのだと思いますよ」

少女「根拠は分かりませんが…なんとなく言いたいことは分かる気がします」

吸血鬼「人間は他の魔物などの種族とは違い、力は弱いが知能が高いのが特徴だ」

吸血鬼「それは他の種族とは異なり短絡的に力が強い個体がボスになるというものではなく、ある程度頭のいいみんなが考えた結果選ばれる存在ということです。」

吸血鬼「皆に選ばれるためにはどうすればいいか? そんな方法はいくらでもあるでしょう。 ですが結局は人気があるということが第一なのです」

少女「なるほど。分かったような気がします」

吸血鬼「そういうわけなので人気を勝ち得るためにどうすればいいのか考えてください少女」

少女「えぇ……」


少女「あぁ、そういえば現在のギルドの国王は元ギルドマスターでした」

吸血鬼「ギルドマスター?」

少女「はい。 ギルドというのは魔物や盗賊などと戦うエキスパート集団でいわゆる旅人に職業的地位を授けたものです」

吸血鬼「なるほど」

少女「ギルドメンバーにはランクがあって、その上位ランクになればなるほど難しく危険な仕事もあるため、必然的に民からの支持も多く有名な者が沢山おります」

吸血鬼「よし、ではそれにしましょう。 腕っぷしならだれにも引けを取りませんし」


少女「ですが仕事内容は多岐にわたります。 戦いばかりでなく、地味な仕事も多く、いわゆる困った時の何でも屋さんですよ」

吸血鬼「仕事内容を選べばよいのでしょう」

少女「まぁ、そうでしょうが…… そうもいっていられないのではないでしょうか」

吸血鬼「なんでもいいですよ。 まずはそのギルドにいきましょう」

吸血鬼「ギルドにはどうやって?」

少女「王国市街地にいけばギルドがあるとききます。 まずはそこへいきましょう」

吸血鬼「ふふ、頼もしいですね少女は」

少女「いえ……これくらい当然です」

吸血鬼「頭を撫でてあげましょう」

少女「か、からかわないで下さい!」

吸血鬼「おや手厳しい」

これは冒険者物語になるのかな


受付嬢「ではこちらにサインをしてくださいね」

吸血鬼「あー……少女お願いします」

少女「はい、ご主人様」


市街地まで文字通り空を飛んできた私たち
その大きな都市に目を丸くした二人は傍から見ればまさに上京したての田舎者

しかも吸血鬼は文字が読めないときた
今時文字が読めない人は珍しいらしく、ギルドの受付嬢が驚いていた

少女が文字の読み書きが出来て本当に助かっている


受付嬢「はい、吸血鬼さんと、少女さんですね」

受付嬢「以上でギルドの受付手続きは終了になります。 明日ちょうどランク試験がありますが受けられますか?」


ギルドのランクというのは全部でS、A、B、C、D、E、F、Gクラスまであるらしい
Sに近いほど危険度が高いが報酬もよく、舌に行くほどそれもまた比例していくというものだ

駆け出しギルドメンバーはもちろんGランクからだ


吸血鬼「ではS級にあがるための試験が受けたい」


ぷっ! と周りにいる人々から失笑が漏れた
まわりが一気に騒々しくなる。 ろくな内容が聞こえたものではないのだろう
少女は焦りながらも、それに苛立ちを覚えているようだ


受付嬢「あ、あのいくらなんでもさすがに危険すぎます。 それにランク試験は1つ上のランクまでしか受けられない決まりになっておりますので」

吸血鬼「面倒です。 どうにかしてください」

受付嬢「そうは言ってもですね」


大柄な男「よう兄ちゃん。 あんた、さっきからずいぶんなこと言ってるじゃねえか」

吸血鬼「私の実力にあった舞台を用意しろと言っているだけです」

男「へっ、あんたいい度胸してるじゃねえか」

男「教えておいてやるよ? ギルドはランクが全てだ。 先輩後輩ってのもあるわけだ。 分かるよな?」

吸血鬼「何が言いたいんです? 回りくどい人だ。 知能の低さが知れますよ」

男「ははっ、おもしれぇ奴だ……」


おい、やべえぞ
周りがガヤつくが誰も止めようとはしない

おそらく少しは名の知れたギルドの一員なのだろう
それに絡まれた吸血鬼に対して同情の視線すらあるのだ


男「態度には気をつけろって言ってんだよぉ!!」


大柄な男が吸血鬼の胸倉を掴み、そのまま引き倒した
と誰もがそう思った

だが大柄な男の腕はピクリとも動かない
まるでその部位だけ時が止まっているかのように、寸分も動かすことが出来ないでいた


吸血鬼「やはり知能の低さも滲んでいましたが、力の弱さもさすがなものですね」

男「な、なにぃ!?」

吸血鬼「私は頭の固いこのギルドとかいうグループに嫌気が差しかけていたんです。 それをあなたみたいな下賤な輩がいるとは……もう気が滅入ってしまいますよ」

男「ぐっ、ああああああああ!!」


吸血鬼が男の腕を掴む
樽のように筋肉で盛り上がった腕へ、じわじわと力を入れていく
それは筋繊維を引きちぎり、骨にこれでもかという負荷をかける


男「や、やめろぉ!! 折れるッ!!」

吸血鬼「人に、いえ吸血鬼に売った喧嘩ですよ? 命を取られないだけマシと思ってくださいね」


ボキッ!
という鈍い音をたて、男は絶叫した
何が起きたのか、その場で分からない人は誰もいないだろう

誰もが生唾を飲み、その行く末を見届けていた中で少女だけは小さなため息を一つ吐いた

悪役っぽい主人公好き


ギルドというのは内容的なものだけを聞いた限り、吸血鬼はもっとヒーロー的なものを期待していた

しかし現実はどうやら違うようだ

世の中の武装したならず者たちを国がコントロールするためのまとまりをギルドとしたのだろう
役職的な面ではともかく、実情はあまり柄のいいものではないということだ

だがそんな中でもやはり人付き合いというものは大事なのだろう
目的は国王になることであって、ギルドで頂点に立つことではないのだから


だがそれはあくまでも最終的な目的だ
今まず我々に必要なのは


少女「お金です」

吸血鬼「そうですね」

少女「今晩泊まる宿すらありません」

吸血鬼「私は野宿でも構いません」

少女「嫌です……シャワー入りたいです」

少女「それにご主人様も匂いますよ」

吸血鬼「そうですか?」

少女「土臭いです」

吸血鬼「土の中に2000年いましたからね」

少女「宿に泊まるためのお金が必要です」

吸血鬼「最終手段はギルドのベッドがありますよ」

少女「シャワーはありませんよ!」

少女「明日のランク試験、その前に今日なにか依頼をこなしてお金を手に入れないとだめですよ」

吸血鬼「仕方ないですね。 下等な人間の手伝いなど気が引けますが」

少女「さっそく依頼を見に行きましょうよ」


>>49
①自由安価

②クエストなんかせずに街の外でごろつきを倒して追剥


今日はここまでにします

隊商の護衛

この世界ではザコ魔物を倒してお金ドロップせんのか

一時乙

二匹ともデイウォーカーなのか


少女「とは言ったものの、この時間で受けられそうな依頼はありませんね」

吸血鬼「私たちのランクではやはり夜の時間の依頼は厳しいですか」


国家が抱える傭兵団ともいえるギルドに求められるものは腕っぷしがほとんど
つまり魔物などとの戦闘がメインと言える

昼は人間たちの世界、しかし夜は魔物たちの世界というのがこの世の常
日中に活動する魔物もいることは事実だが、夜行性の魔物こそ凶暴であり、力が強いものだ

この最も基本的な世界のルールから分かるように人間は夜には活動しない
そのため夜の依頼は少なく、あったとしてもそれは上位ランカーが行うクエストがほとんどだ

そのため夜の時間にもっともランクの低いGランクの吸血鬼たちに受けられるクエストなどあるはずがないのである



吸血鬼「これは少女に今日のシャワーを我慢してもらうしかないでしょう」

少女「嫌ったら嫌です」


当てもなくギルドを後にする2人
夜も深まり、町人がみな自宅に帰り、あるいは酒場で騒ぎを行う時間

人通りも少なくなり、静けさの中に虫の鳴き声が耳につく大通りに、今から出発をしようとする商人の一行がいた


商人の朝は早い
まだ皆が夢見心地の時間から街を出、次の街へと移動する

これは夜の魔物が活動を終える時間を見計らい、昼の内に危険な街の外を走り抜けるという商人の生きるための最も基本的な知恵のひとつだ

しかしこの商人の一行は夜が更けようとする時間に街を出ようとしているように見える

怪しい

だがこれは金をゆするチャンスかもしれない
そう吸血鬼は血ではなく金の匂いを感じ取った


吸血鬼「ごきげんよう旅の商人のお方」

筋肉男「あぁ?」


商人に雇われた護衛だろう、筋骨隆々の片眼を眼帯で覆った男がいやにドスの聞いた声で返事をする
返事、など生温いものではない、もはや威嚇である

その一声だけで少女はすくみ上ってしまうが吸血鬼はどこ吹く風か、話を続ける


吸血鬼「こんな夜更けに街の外へ行かれるのですか」

商人「えぇ、急用が出来てしまいましてな。 今すぐに隣町へ行く必要があるのですよ」

吸血鬼「夜の平原は危険に思えますが?」

筋肉男「おい、急いでんだ。 どきな」


どつかれただけで骨が折れてしまうのではないかと想像させるほどに逞しい腕が、吸血鬼を突き飛ばす
並みの人間であればそれだけで体が吹き飛んでしまい、立っていることなど到底できはしないだろう

しかし吸血鬼は涼しい顔でそれをいなし、筋肉男の腕を掴むと同時に足を払う
きれいな半円を描くように背中から落とされた筋肉男は鈍い音をならし地面に伏せた


吸血鬼「危険な夜道、少しでも護衛がいた方が心強くはありませんか?」


夜の平原は驚くほどに暗い
いくら月明かりがあるといってもそれは人間にとっては十分な光量とはいえない

普段であれば視界が開けている平原でもほんの10メートルも前は闇の中だ

ランプに光を灯し、申し訳程度の明かりを頼りに一行は道を進む


吸血鬼「それにしてもこんな闇夜の中で旅をするとはいい度胸をされていらっしゃる」

商人「はっはっは。 商人たるもの金のためなら命を捧げるものです」

商人「もしそこに大金を掴むチャンスがあるのならば、暗い夜道であろうが、燃え盛る砂漠であろうが突き進むものなのですよ」

吸血鬼「そこまでの覚悟がありながら護衛が一人だけだったというのも不思議な話ですね」


痛いところを突かれた商人は一瞬たじろぎはするものの、努めてそれを顔に出さんとする
それはやはり商人の生きていくためのスキルなのであろう。 弱みを見せたら付け込まれる世界に生きているものの武器なのだ


筋肉男「あんまりベラベラ喋ってんじゃねえよ。 余計な詮索はするな」

吸血鬼「ということは何か如何わしい事でもあるのですか?」

筋肉男「てめぇ……死にてえようだな」


極めて冷静に相手の嫌がることをしたがる吸血鬼に、短気な筋肉男は早くも臨戦態勢だ
見えない火花を散らす2人の様子に少女は肝が冷えるばかり
腹ペコのせいもあり胃がキリキリと痛むのは気のせいではないだろう


商人「まぁまぁお二人とも。 商人たるもの、金のためであれば命をかける。 金を得るためには薄汚い考えを持つことも当然ではありませんか」

吸血鬼「ふふ、それはその通りですね。 勉強になりますね」


商人「まぁ先ほどは筋肉男も、あなたに手痛い一撃を貰ってしまいましたが彼の腕は本物ですよ」

商人「私の古くからの友人でもありますし。 信頼はできる人ですよ」

筋肉男「ふん」

吸血鬼「なるほど。 では彼を一瞬で組み伏せた私はもっと信頼して頂いて結構ですよ」

筋肉男「てめぇ……本当にミンチにしてやろうか」

少女「ご主人様、いい加減にしてください」

吸血鬼「おや? 何か来ましたね」

筋肉男「おい! 話を逸らすんじゃねえ!!」

吸血鬼「あはは、これはすごい。 ウルフの群れがまっすぐにこっちに向かってきますよ」

筋肉男「はぁ?」


商人や筋肉男があたりの気配を探っても感じることなど何もできない
まして歴戦の戦士である筋肉男がいくら夜とはいえ気付けないはずがない

自分よりも魔物の気配を鋭く感じることの出来る奴

そんな奴がいたら本当に化け物クラスだ、と筋肉男は客観的に感じた


筋肉男「!」

筋肉男「おい! 馬車を止めろ! マジで魔物が群れで来やがるぞ!!」


やっと魔物の気配を感じた筋肉男が声を荒げる
緊張した面持ちで馬車の手綱を引き、邪魔にならないようにそっと体を小さくする商人
そして何も言わずに剣を抜き、ランプを前方に置いた筋肉男の冷静な動きに吸血鬼は少し感心をしていた


気を研ぎ澄まし、集中する
前方には光に反射し赤く反射する眼がいくつもあった

ウルフたちの全貌は明らかにはならない
だがしかしその瞳の数を数えるだけで相当な数に囲まれているのは明らかだ


筋肉男はさらに精神を研ぎ澄ませる
五感をフルに使い、神経は己の剣先に向ける


筋肉男「おいお前」

吸血鬼「呼ばれてますよ少女」

筋肉男「ふざけてる場合じゃねえぞ。 ウルフといやぁBランカーがやっと戦える相手だ」

吸血鬼「へぇ。 ならGランクの私は死んでしまいますね」

筋肉男「は!? お前Gランクだと!?」


驚きのあまり集中力を切らした筋肉男にウルフは地を蹴り上げ、一気に飛び掛かる


筋肉男「ちぃっ!!」


一瞬反応が遅れたものの、筋肉男の動きは無駄がない
お手本のような剣技ではなく、実戦で鍛え抜かれたのであろう最速の変幻自在な攻撃

斜めに斬り下げる袈裟斬りを見舞い、ウルフの顔面をかち割る
その勢いを殺さぬよう、しかし切り返しは早く、横一文字切り

その強烈な一撃はウルフを同時に2体斬り伏せた


剣の勢いは止まらない
振り抜いた剣の方向へ体を流し、次のウルフへ肉薄
回し蹴りで怯ませた瞬間の脳天から真っ二つに叩き切る重たい一撃がウルフを即死させた


吸血鬼「やりますねー」

筋肉男「お前も戦えってんだ!!」

吸血鬼「うーんそうですねー」

吸血鬼「>>60


>>60
①仕方がありませんね。 あなた一人では荷が重そうですし加勢しますよ

②あまり面白くないので、あなたを少し痛めつけてみましょうか

③Gランクの私には手も足も出せません。 頑張ってくださいね

④自由安価


吸血鬼「仕方がありませんね。 あなた一人では荷が重そうですし加勢しますよ」

筋肉男「足引っ張るんじゃねえぞGランカー」

吸血鬼「足を引っかけられたのはあなたでは?」


ウルフの一匹が大きく飛び上がり、鋭い爪で筋肉男に飛び掛かる
体重とスピードの乗ったその一撃をなんとか剣で押し返したが、その隙はあまりにも大きかった

死角からの別の一匹の体当たりが脇腹に直撃、呼吸が止まり、一瞬で視界が暗転する

遠のいていく意識を気合で踏みとどまらせすぐに体制を立て直すが、伊達に上位種族の魔物ではない
目の前には片手では数えきれないほどのウルフが牙を剥いて飛び掛かってきていた


やばい


本能が自分の死を悟った
これは避けられない。 いくら自分が昔は名の売れたギルドメンバーだったとしても1人ではやはり限界があった
そんな後悔が一瞬脳裏を駆け巡った瞬間

ウルフが爆散した


文字通りに肉塊へと変貌した


吸血鬼「あちゃー。 やっちゃいました」


吸血鬼のなんでもないパンチ
その衝撃は空間を走り抜け、直線状のウルフをすべてなぶった

圧倒的なまでの暴力
ただ力が極限まで高い、業でも魔法でも何でもない剛力

返り血を浴びた筋肉男は目の前の光景を信じることができるわけもない
今まで自分が何年、何十年と戦いの中に身を置き、培ってきた殺しの技術

それをすべて否定するかのような天と地ほどの差がある暴力にプライドは打ち砕かれていた


筋肉男「……おまえ、一体」

吸血鬼「なに腰抜かしているんですか。 その剣が飾りじゃないなら戦ってください」


吸血鬼にとってはこれはただのおもちゃだった
風船を手で遊ぶかのような感覚

ゆっくりとこっちに向かってくるウルフをポンと軽く叩く

すると白い狼の野生の中で鍛えられた筋肉を自分の骨が突き破り、あられもない肉塊へと変わり果てる


ボールを地面に勢いをつけてバウンドさせるように遊べば
ウルフは地面と同化するように潰れる

あまりにも惨い、圧倒的力

それが吸血鬼の強さの本質だった


惨殺ショーが開幕して数秒
ウルフたちはあまりの吸血鬼の強さを前に恐怖し、戦慄した

魔物の目からみても圧倒的な吸血鬼に、彼らは尻尾を巻いて逃げた


あたりは血肉の海
緑に生い茂った草は赤い血に染まり、その匂いは吐き気を催すほどだった


魔物がいなくなって安心した


そんな感想を持つものは誰もいなかった
吸血鬼への恐怖

人間の領域を超えたその強さに筋肉男も商人も、そして少女も恐怖に慄いた


吸血鬼「さぁ、魔物もいなくなりましたし行きましょうか」

筋肉男「…………」

商人「…………」

少女「…………」

吸血鬼「どうしました?」

筋肉男「どうしましたってお前……」

商人「なんですかあなたのその無茶苦茶な強さは」

吸血鬼「あなたたちが弱すぎるだけですよ」

筋肉男「けっ。 バカ言うんじゃねえよ」

筋肉男「あんなの……人間業じゃねえ」

吸血鬼「ちょっとばかり腕っぷしに自信があるただのGランカーですよ」

筋肉男「Gランカー? ふざけんじゃねえ」

筋肉男「あんなのSランカーにだって出来る芸当じゃねえってんだよ」


商人「あー!!」


暗くなった雰囲気を壊すように商人の大きな声が響いた
彼の視線の先には荷台にぶち当たったウルフだった肉塊が転がっている

しかもそれは運悪く積み荷のツボの一つを砕いていた


吸血鬼「なんですか? これ」


ツボから流れ出ているのは白い粉
塩のようにもみえるが、そこまでサラサラしていなく、むしろ小麦粉のようなすり潰したように見える白い粉だった


少女「も、もしかしてこれって…!」

商人「へっへっへ! たぶんあんたの想像通りですよお嬢さん」

筋肉男「…………」

少女「正気ですか!? 麻薬をこんな量! こんなの国家に見つかったら死刑は免れませんよ!!」

商人「だから見つからねえように夜に出たんですよ。 まぁあんたらに見つかってしまいはしましたが、それはうれしい誤算でした」

商人「それにこれは金になる! この量がもし売れたら俺は大金持ちの仲間入りだぜくーっふっふ!」

少女「……信じられない」

筋肉男「おい、分かってるとは思うが、バラしたらどうなるか分かってるだろうな」

少女「……っ!」

吸血鬼「>>65


>>65
①ギルドに通報しましょう

②私たちには関係ありません。 何も見ていませんし聞いてもいません

③私も是非仲間に入れて頂きたいですね

④お金になるんですね? なら死んでください

⑤自由安価

1


吸血鬼「ギルドに通報しましょうか」

筋肉男「あぁ?」

吸血鬼「だっていけないことなのでしょう? ならば罪を償うべきではありませんか?」

筋肉男「てめぇ…… マジで死にてえようだな」

吸血鬼「あなたに私を殺せるとでも思いですか?」

商人「まぁまぁ吸血鬼さん」

商人「確かに私はとても合法とはいえない裏の取引ってやつをしにいくところですわ」

商人「だがそれによって手に入る金は数えるのが馬鹿らしくなるほどの大金です」

商人「あなたたちも手伝っていただいたお礼といってはなんですが…… そのいくらかは分けてもいいと私は思っています」

商人「もちろん、黙っていてくれれば、の話ですがね」

少女「……この人は!」

吸血鬼「それもまぁ悪くはないと思いますが」

吸血鬼「あなたを捕まえて、少しの富と名声を手に入れる方が今の私の目的には叶っています」

吸血鬼「そしてなにより…… あなたたちの堕ちた生活を想像する方がよっぽど楽しい!」

筋肉男「糞がッ…!!」

吸血鬼「さぁ、それではお二人とも、抵抗はしないでくださいね?」

吸血鬼「そこに転がっている肉達磨のようになりたくなければね」


今日はおしまいです


なかなか好感持てる主人公だわ

次は年明けかな


密売人をギルドの身柄に引き渡したことでそれなりの報酬を手に入れることが出来たが、今回の件で得られたものは金銭以上に大きい

あの商人は裏では名の知れた密売人だったらしく、ギルドも秘密裏に調査を行っていたようだ
そして何よりあの筋肉男は元Aランカーのギルドメンバーだったらしい

過去にパーティを組んで活躍をした英雄的存在だったらしいが、大きなクエストを失敗して以来パーティは解散、彼も行方をくらましていたそうだ

そんなかつての英雄が犯罪に手を染めていた噂はその晩の内に瞬く間に広がり衝撃を与えた
しかしなによりギルド内で大きな話題となったのはそのAランカーを無傷で捉えた2人の吸血鬼と少女という新米ハンターだった


酒場で飲んだくれていた荒くれどもは知らせを聞くや否や目を丸くしてギルド会館に集まり、その噂の2人を好奇の目で見て好き勝手にモノをいう

あいつは雰囲気がやばかった
昼間の件でとんでもない野郎だとは思ったが俺の目に間違いはなかった
Sランカーになりたいってのは口から出まかせではなかったんだな

などなど夜中だというのにとんでもない盛り上がりを見せていた


等の本人たちはというと、宿屋の部屋に入り体を休めていた

吸血鬼は先に風呂に入り、濡れた髪を乱暴にタオルで拭いたと思えばすぐに椅子に腰かけふぅと大きく息を吐く

人間の世界はいつの間にか高度な文明を築いていた
2000年前の人間というのはもっと野生の動物に近く、ここまで文明を発達させたものではないただの集団生活を力の弱いものだと思っていた

正直彼は人間に脅威を感じたのだ
個々の力など恐れるに足りない。 吸血鬼の子どもの方がよっぽど恐ろしいと思えるほどだ
それでもここまで繁殖をして数を増やし、高度な社会を築いた上、成り立っているその街に

力一つで支配できるほどこの世界は甘くない

彼はそう感じた
いや弱い人間を舐めてはいけないと認めざるを得なかったのだ


少女「……シャワー、頂きました」

吸血鬼「あぁ、おかえりなさい」

少女「……なんで裸です?」

吸血鬼「元々吸血鬼の真祖は服を着る習性はありませんでした。それをただ数が増えた眷属たちが人間の真似事をして服を着るようになっただけです」

少女「……せめて下着だけでも」

吸血鬼「なにを恥ずかしがることがあるのです?」

少女「……私は心がまだ人間なので」

吸血鬼「そんなもの、すぐに忘れてしまいますよ」

少女「……い、いやですさすがに裸はちょっと」

吸血鬼「あなたは私の眷属。あなたのすべては私のものです」

吸血鬼「さぁ、こちらへ」


そう言われ、拒むことはできなかった
それが吸血鬼の主従関係の力なのか
それともただ女としての私がそうさせたのか

吸血鬼の整った顔、落ち着いた声、鍛えられている身体

それが私の思考を鈍らせ、瞼を重くする
足が一人でに吸血鬼の元へと向かい、彼の目の前にたつ

纏ったローブを手にかけられ、するりと脱がされる

お互いに一糸纏わぬ姿となり、月夜が二人の体を照らした


吸血鬼「綺麗ですね少女」

少女「ご主人様はさっき人間には興味ないと仰いました」

吸血鬼「下等生物の人間ならもちろんですが……あなたはもう吸血鬼ですよ」

少女「……そうですね」


そのまま吸血鬼の体へと腕を回す

暖かい

人間と変わらぬその体温にホッとすると同時にこれから起こるであろうことに胸の奥が熱くなる

同じように抱き寄せられ、彼の顔が私にグッと近くなる
覚悟を決め、目を瞑つると彼の体温と、その静けさだけが感じられた

首にかかると息が少しくすぐったく、そしてうなじへと牙が伸びた


吸血


一気に体から力が抜けていく
身体を漲っていた活力がすべて首に集中していくかのように、身体の感覚がなくなっていく

力が抜けていく脱力感と、全身が火照り波を打つように走っていく快感

息は熱くなり、血液が沸騰しているのではないかと感じるほどに身体の内側がもどかしい

自分の足では立ってはいられず、彼に抱きかかえられそのままベッドへと倒れこんだ

熱い快感に身をよじり、ただただ津波のように迫る快感に耐えた
今自分が何をしているのかまったく分からない

彼にしがみ付いていることにも、足を絡めながら嬌声を上げていることにも分からないほどにその快感は凄まじいものだった


性感とは一線を画す新しい猛烈な感覚
それがたったの5分であったが彼女にとっては永遠のように長く、幸福のようにも苦痛のようにも感じた

牙が抜かれ、血が滴る彼の唇とキスを交わし、ようやく自分の現状を認識しだす

身体が汗ばみ、大声あげすぎて喉が焼け付いている。痙攣をするかのように全身が脈を打ち、ましてや自分の使ったことのない女性器はパクパクと口を開いていた

今更ながらに恥ずかしい気持ちが限界を超え、なぜか涙すら溢れてくる
せめてもの抵抗という気持ちで枕に顔をうずめ、秘部を隠すように身を丸くした

ひたすら恥ずかしい
こんなあられもない姿を見せて嫌われたかもしれない

そんな負の感情が芽生え、不安が急速に募っていく

彼の目を見ることすら出来ない
彼にとって私は食料
なのに私ったらこれではまるで性交に狂った痴女ではないか


吸血鬼「少女」

少女「……なんですか」


声が思わずひきつった涙声になる
情けない


>>77

①吸血鬼「服を着ましょう」

②吸血鬼「あなたもお腹がすいたでしょう」

③吸血鬼「夜はこれからですよ」

④自由安価

2

もう人もいないですかね

失礼しました再安価>>79

今後の設定を安価で決めます

>>82

①少女は吸血鬼を吸血できるか
②少女は人間を吸血しなければならないか

2


吸血鬼「少女もお腹がすいたでしょう?」

少女「……はい」

吸血鬼「あなたも食事をするべきです。吸血鬼の基本はなんといっても吸血ですからね」


吸血鬼に抱き上げられ、彼の膝の上に抱っこをするかのように座らされる
男に免疫のない私にとってはそれだけで恥ずかしいのだが、何しろ2人とも裸だ
ましてや私は痴態を晒してしまったのだ

吸血鬼は気にしないフリ? をしてくれているがやはり彼の目は見れない
彼の目? 声? は魔性の力を持っている。彼の思うがままに体が動いてしまうのだ


吸血鬼「さぁ」


促されるまま、彼が傾けた首に口をつける
人間の時には目立たなかった犬歯
それが今は吸血をするために鋭く伸びている

カリっと堅い皮を破るように牙を突き刺すと、簡単に血は流れてきた

また後で書きます
読んでくれてる人がいて嬉しいです

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