【ガルパン】エリカ「私達は仲良しじゃない」みほ「エリカさん…」 (27)

まほチョビシリーズの裏のお話

まほ「行くぞ!」アンチョビ「望むところだぁー!!」  
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【ガルパン】アンチョビ「どうかしたのか?」まほ「伝えたい事がある」
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【ガルパン】アンチョビ「重戦車が欲しい」まほ「…ふむ」
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の続きのお話でもあります

地の文多め・IF要素
独自解釈ありますので注意

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481475081


最近、隊長の笑顔が増えた

練習を見ている時も、試合の時も、彼女は楽しそうに笑っている

きっと、あの人と結ばれたからだろう

安斎千代美

アンツィオ高校を三年で立て直し一回戦を突破させアンツィオの戦車道を復活させた

エリカ「そのドゥーチェ・アンチョビと呼ばれる彼女は」

エリカ「隊長との中学時代からの親友だったそうだ」

エリカ「黒森峰では…ちょっとしたパニックになったわ」

エリカ「隊長に特別な想いを抱いている生徒は少なくない…」

エリカ「普通の友人関係ならあそこまで大事にはならなかっただろう」

エリカ「そのことを考えたのか、恥ずかしくて言い出せなかったのかはわからないけれど」

エリカ「アンチョビさんは周りには隠すつもりだったらしい…だが」

エリカ「隊長がアンチョビさんと付き合うことになったと」

エリカ「アンツィオと黒森峰の合同練習時に周りに暴露したのだ」

…………
アンチョビ「う”お”お”お”お”い!なんで言うんだ!」

まほ「隠す必要はないだろう、いずれはわかることだ」

アンチョビ「いずれわかるって…どういうことだ!」

まほ「決まっているだろう」

まほ「千代美とはこれからずっと、一緒なんだからな…」ギュッ

アンチョビ「!!!」

アンチョビ「急に抱きつくなぁ~!!!」
……………

エリカ「あの瞬間の周りの空気は今でも忘れられないわ」

エリカ「アンチョビさんを祝福するアンツィオの面々と嫉妬のオーラが見える黒森峰の面々」

エリカ「しかしその嫉妬も…隊長の様子を見てどんどん薄れていった」

エリカ「隊長が…普段の練習では全く見せない」

エリカ「一点の曇りもない笑顔で…笑っていたのだ」

エリカ「あんなに幸せそうな隊長の顔を見るのは、私も初めてだった」

エリカ「皆も本当に隊長が好きな人が結ばれたことに気がついたのか、誰も何も言わなかった」

エリカ「ただしその後アンツィオは黒森峰の戦車にボコボコにされた」

エリカ「私も何も言わなかった」

エリカ「だが…」

エリカ「彼女には」

エリカ「伝えなければならないことが…1つだけあった」

アンチョビ「ふぅー、重戦車相手はやっぱり厳しいなぁ…」

アンチョビ「やっぱりウチも火力のある戦車があれば…」

エリカ「いつも言ってますね、それ」

アンチョビ「おぉー!期待の次期隊長じゃないか」

エリカ(安斎千代美)

エリカ(きっとこれからは、隊長の隣には彼女がいるのだろう)

エリカ(私じゃなく…彼女が…)

アンチョビ「んーっ?どうかしたのか?」

エリカ「…隊長のことでお話が…」

アンチョビ「何だ?まほのことって」

エリカ「隊長のこと、どうか、よろしくお願いします」

エリカ「あの人のことを支えてあげてください」

エリカ「幸せにしてあげてください」

アンチョビ「…わかった!」

エリカ「私からは以上です」

エリカ「それでは…」

まほ「…千代美?」

アンチョビ「おぉ、まほ、お疲れ様」

まほ「エリカと一体何を話していたんだ?」

アンチョビ「いや、少し世間話をな」

まほ「…そうか、それじゃあ、この後の合同での食事会について…」

………………
そして、一ヶ月がたった

そこからのアンツィオとの交流は

…意外にもほとんどなかった

お互いの実力の差、練度の差があまりにも違いすぎることや学園艦などによる問題もあったが

なにより、隊長がアンチョビさんと会うことや黒森峰の部隊を動かすことを望まなかった

まほ「千代美には会いたい、今すぐにでも会って抱きしめたい」

彼女は自分の想いを周囲に隠すことなんてまったくしなかった

まほ「けれど、彼女にはやらなければならないことがまだまだある」

まほ「黒森峰大学への受験勉強もそうだが、アンツィオの立て直しの課題がまだまだ残っているそうだ」

まほ「そんな忙しい中で、私が行っても、彼女に迷惑をかけるだけだ」

まほ「それに…もうすぐ」

まほ「クリスマスには、会えるしな」

エリカ「クリスマス…」

世間はもうクリスマス一色だということを、私はすっかり忘れていた

去年も履修生と一緒に過ごしたけれど…今年も黒森峰で過ごそうか

隊長は、アンチョビさんに会いに行くということは

…やっぱりアンツィオに行くのだろうか

まほ「私のことを気にするよりも…」

まほ「エリカ、お前は今度の大洗との試合の方が重要じゃないのか?」

エリカ「はい」

まほ「エリカの初の隊長デビュー戦だな」

エリカ「はい、それに向こうから申し込んできた試合です」

エリカ「受けない訳にはいきません」

まほ「私の事はあまり気にせず、しっかりと黒森峰の隊長としてやるべきことをやるんだぞ」

エリカ「…はい!」

……………

エリカ「…」

私は戦車を駆る隊長に憧れて黒森峰に入学した

隊長の側で共に戦い隊長を支えたいと思った
ずっとそれを目指して、走り続けていた

その願いは…叶えられた
私は目標にしていた隊長の隣……黒森峰の副隊長になった

けれど

…何かが違っていた

副隊長になって何度も隊長に頼られた、ずっと隊長を支えるつもりだった
ソレに関しては素直に嬉しかったし
隊長のことや学んできた西住流は今でも尊敬している

…けれど、なぜだろう

あのとき、副隊長になった時に思った

何か大切なものを失ってしまったような…

"これで本当に良かったのか"というもやもやは…

そして、あれだけ求めていたはずの隊長の隣を

彼女に

安斎千代美に

躊躇いもなく、その場所を渡すことが出来たのだろう

…私が本当に求めていたものとは…一体

「逸見さん」

「今日はよろしくお願いします」

今日は大洗との練習試合だった

10対8…と全国大会の1回戦を想定した試合だ

黒森峰の隊長としての初実戦

勝てるかどうかはわからない

戦力差は圧倒的にこちらが有利

数も質も…私達の方が上だ

でもあの子は、それを覆せるほどの力がある

戦車に乗らないとダメダメなのに、戦車に乗ったら超一流の指揮官だ

悔しいけど、認めるしかない

全国大会の決勝戦でそれを嫌というほど思い知らされたのだから

あの時に、何もできなかった自分を思い出して腹が立つ

でも、私は彼女を超えなければならない

黒森峰の隊長として…?

いや違う

違う…何が違う?

私はその時に気がついた

最初から…違っていたのだ

本当の目標は隊長の隣そのものではなかったのだ

私は…隊長ではなくその隣の場所にいた…

エリカ「えぇ、よろしく」

あの子を見ていたんだ

負けた

完敗だった

彼女はこちらの戦略をことごとく読まれてしまい

即座に、完璧な対応をされた

「ありがとうございました」

彼女は握手を求めてきた

…彼女の手を握る資格なんてないと感じた

次は、負けないわよ

全国大会の決勝に負けたあと、彼女にそう言ったのを今でも覚えている

けど、改めて実感した

彼女との実力差は…あまりにも大きい

彼女の背中が…より遠く感じた

……………
…………
………

このままでは、終われない

その手は…握れない

エリカ「もう一試合、頼めるかしら」

彼女は笑顔でこたえてくれた

「はい!」

私は彼女の取る戦法を徹底的に調べ上げた

黒森峰時代から中学、小学生時代も含めて

彼女の戦車道に関するありとあらゆるデータを揃えた

黒森峰の今の戦力で彼女に勝つということは決して不可能ではないはず

隊員の練度にも大洗とは大きな差はない

問題があるとすれば…隊長である私の戦術と判断だ

研究を重ねると彼女の戦法も絶対ではないことに気がついた

彼女が私達を倒したように

彼女の戦略にも必ず…

どこかに穴がある、隙がある

その隙を突けば黒森峰の戦車道で…彼女を倒すことが出来るはずだ

次の試合までニ週間

時間は多くない

だが、やらないわけにはいかない

彼女に追いつくにはそれ相応の無茶をするしかない

才能の差をこの二年間で嫌というほど感じた

今までぶつかってきたどんな壁よりも高く分厚いと思った

だからこそ、乗り越えなければ、破らなければならない

…これ以上、負ける訳にはいかない

二週間後、二度目の試合が始まった

私のたどり着いた結論は単純だった

今まで通りの戦い方を使う

下手な奇策を取るよりも、私はそれが正しいと判断した

でもそれだけではあの試合の二の舞いだ

敵の誘いや陽動にも逐一落ち着け、冷静になれと常に通信で周りにも…自分にも言い聞かせる

待ち伏せや誘い込み、奇襲なの奇策を彼女が仕掛けてくることはわかっている

そうしてくるであろうポイントは全て抑えてある、そう簡単にはくらわないはずだ

それだけじゃない

エリカ「パンター2両、ヘッツァーを頼んだわ」

エリカ「三突の待ち伏せをしそうなポイントを確実にクリアしつつ、本隊から引き離しなさい」

「はい!」

集団だけではなくあの子のように個をそれぞれ動かすことを覚えた

機動力でも攻撃力でも…チームワークでも…全てにおいて上を行く

そうでないと、彼女には勝てない

見ていなさい

邪道は叩き潰してあげる

私の戦車道で

数時間後

戦場には私が乗っているティーガーⅡとあの子の乗っているⅣ号だけが残っていた

逃げ道はない、ここで決着が付く

ようやく、彼女を追い詰めた

いや…あの戦力差からなら逆に追い込まれたと言うべきだろうか

いくら対策を立てても、彼女はそれを飛び越えていく

…戦う度にあの子の才能を実感する

でも、今なら、勝てる

向こうは大洗の最高戦力であるあんこうチーム

エリカ「パンツァー・フォー!」

私は勢い良く飛び出し

…彼女に牙を突き立てた

…………

……届かなかった

ティーガーⅡの砲撃はⅣ号の強化装甲こそ剥がしたものの直撃には至らず

砲撃後の一瞬の隙を突かれ撃破された

まただ

また、彼女に負けた

「ありがとうございました」

前よりも真剣な顔で彼女は右手を前に出した

戦車から降りた彼女がそういった顔をするのは珍しかった

彼女に…認められた気がした

本当に彼女がそう思っているのかはわからない

でもわかったことが1つだけある

前よりも…彼女に近づけた

あの背中に…追い続けていた背中に

追いつくには程遠いけれど、確実に一歩を踏み出せた

「逸見さん、この前に戦ったときよりも、ずっと強かったです」

「次に試合をやったら…どうなるかわからないかも」

いつものように自信の無さそうな表情じゃなく、本気の表情で彼女は言った

戦車から降りても真剣な表情が出来るのだと、私は少しだけ驚いた

エリカ「エリカでいいわよ」

「え?」

エリカ「私達は、仲良しじゃない」

「!」

私は、彼女の右手をゆっくりと握りながらそういった

「…エリカさん」

これでいい

私は彼女とこういった、悪くない関係であり続けたい

仲良しになるのでもなく、恋人のようなことになるわけでもなく

彼女の好敵手であり続けたい

エリカ「それじゃあね、私に負けるまで…勝ち続けなさい」

私はその言葉だけを残して去っていこうとした…

「あのっ!」

彼女の声が聞こえる

「次も…私が勝ちます!」

…私は振り返り彼女に、笑顔でこう告げた

エリカ「次は、私が勝つわよ!」

その言葉を聞いて…満足そうな表情で、彼女は帰っていった

おしまい

おまけ

大洗に帰る連絡船でのお話

沙織「ねー、みぽりん」

みほ「沙織さん、どうかしましたか?」

沙織「どうして、黒森峰に試合を申し込んだの?」

みほ「ええと、ちょっとね、気になったかな?」

沙織「うん、みぽりんから試合をしたいなんて珍しいって思って、しかも二試合も…」

沙織「みぽりんが元いた黒森峰だし、何かあったのかなって」

みほ「……それはね」

みほ「本気の彼女と、本気の勝負がしたかったから」

沙織「ほぇ?」

みほ「さて、そろそろ大洗だよ!行こ!沙織さん!」

沙織「あ、待ってよみぽりん!」

みほ(エリカさん、次の試合、楽しみにしています!!)

以上になります
来年度の大洗VS黒森峰はすごく見てみたいけどやらないんだろうなぁ…

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