八神「いい加減にしろ青葉!何だこのデザインは!」 (36)


青葉「ひっ、す、すいません!」

八神「何度言ったらわかるんだ!青葉のキャラデザはフェアリーズの世界観とずれてるんだ!
   もう一回描き直せ!」

はじめ(うわ、今日も始まったよ・・・)

ゆん(青葉ちゃんかわいそうや…八神さんに目付けられてしまって…)

八神「それから、頼んでおいたモデリングはどうなってる?」

青葉「え、モデリング…?」

八神「お前まさか忘れてたのか…!?」

青葉「え、あ・・・・・・す、すいません!今すぐやりますから!」

八神「もういいよお前・・・ほんっと使えないんだから」スタスタ

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青葉「うっ・・・うっ・・・」カキカキ


はじめ(うわ、青葉ちゃん泣いちゃったよ・・・)


ゆん(慰めてやりたいけど、ウチまで八神さんに目付けられるわけにいかへんしなぁ…ひふみ先輩は)


ひふみ「…」カタカタ


ゆん(全然頼りにならへんし・・・)


阿波根「デバック班の者ですが、涼風さんはいますか?」


青葉「は、はい…なんでしょうか」


阿波根「涼風さん。あなたの作ったキャラクターから大量のエラーが出ています」


青葉「えっ・・・す、すいません!」


阿波根「全く・・・涼風さんのキャラはいつもエラーばかりです。あなた、本当にやる気があるんですか?」


青葉「ほ、本当にごめんなさい。今すぐ修正します…」


阿波根「いえ、こちらでもう修正しておきました。あなたにやらせるより、こっちで治した方が早いので」


青葉「うっ・・・すみませんでした」


青葉「うっ・・・うっ・・・」グスグス


はじめ(青葉ちゃん、最初の方はミスなんて全然しなかったのに)ヒソヒソ


ゆん(八神さんが青葉ちゃんに八つ当たりするようになってからや・・・青葉ちゃん、仕事に全然集中できてへんのや・・・)ヒソヒソ


はじめ(ひふみ先輩、八神さんより年上だよね?どうして注意しないんだろう)ヒソヒソ


ゆん(あの人、いつも音楽聞いとるからな…)ヒソヒソ


ひふみ「・・・」~♪


ひふみ(聞こえないふり・・・聞こえないふり・・・)カタカタ


ミーティング


八神「試作版はいかがでしょうか?プロデューサー」


P「はぁ…八神さん。あなたはこんな程度のゲームしか作れないんですか?」


八神「えっ…」


P「音楽と背景に、キャラクターが全然合っていません。それにあっ、バグって止まってしまいましたね」


八神「す、すいません・・・」


P「ADになった以上、全体のバランスに気を使っていただかないと困ります。絵だけ描いてればいいってもんじゃないんですよ」


八神「ぐっ・・・申し訳ありません」プルプル


先輩1(八神の奴、怒られてやんの)クスクス


先輩2(あいつにADなんて早すぎたのよ)クスクス





八神「くそっ・・・!私は頑張ってるんだよ…!」


八神「やっとADになれんだ!絶対凄いゲームを作らないといけないのに…」


八神「待てよ。あのバグったキャラ・・・青葉が作った奴だ!あいつぅうううう!!」


青葉「はぁ…やっとモデリングできた」


八神「おい!」


青葉「ひっ・・・や、八神さん」


八神「お前の作ったキャラがミーティングでバグったんだ!どうしてくれるんだ!」


青葉「そ、そんな・・・申し訳ありません!」


八神「何が申し訳ありませんだ!いつも謝るばっかりで仕事はミスだらけ・・・お前に期待した私が馬鹿だったよ!」


青葉「ぅぅ…」


八神「もういい。お前に仕事は任せない。お前はトイレでも掃除してろ!」


ゆん「ま、待ってください!」


ゆん「青葉ちゃんはまだ入社したばっかりです!もうちょっと優しくしてあげてください!」


八神「優しく・・・?だから優しくしてやったるじゃないか。青葉はもう仕事しなくていいんだよ」


ゆん「い、いい加減にしてください!青葉ちゃんにいきなり大量の仕事を押し付けて、できなかったら怒るなんてむちゃくちゃです!」


はじめ「そうですよ!最近の八神さん、明らかにおかしいです!昔はとっても優しかったのに、どうしちゃったんですか!?」


八神「お前らそろいもそろって・・・!ひふみん、あんたはどう思うのさ」


ひふみ「え…えっと…」


ひふみ(2対1・・・)


ひふみ「私も・・・コウちゃんは厳しすぎると思う。・・・コウちゃんが間違ってる、よ」



八神「な、なんだよお前たち・・・私一人を悪者にしてそんなに楽しいのかよ・・・!」


ゆん「ふん。青葉ちゃん一人を悪者にしてる八神さんがようそんなこと言えますね!」


ひふみ「私も・・・そう思う…コウちゃんが悪い」


はじめ「こんなに現場をメチャクチャにして…はっきり言いますけど、八神さんはAD失格だと思います」


八神「AD…失格だと…!?」プッツン


八神「はじめ・・・調子に乗るな」パシン!


ゆん「はじめ!?」


はじめ「いった…やりましたね」プッツン


八神「謝るまで何度だってやってやる・・・!」パシン


はじめ「甘い!うぉりゃぁあああああ!!!」


八神「えっ…ぎゃぁ!」ドスン


ゆん「せ、背負い投げ・・・」


八神「くっ・・・お前絶対に許さ パシーン!


はじめ「さっきの言葉、そっくりお返しします。あんたが謝るまで何度でもビンタしてやる!」


青葉「や、やめてください!」


ブラック

RX


はじめ「青葉ちゃん。気にしなくていいよ。悪いのはコイツだから」


ゆん「そうや。先に手を出したのはあっちや。自業自得や」


ひふみ「私も・・・そう思う」


青葉「やめてください・・・お願い・・・やめて・・・うっ」グスグス


はじめ「青葉ちゃん…」


青葉「八神さんは私の憧れの人なんです…皆さんが八神さんに手を出すなら、私は皆さんのことを許しません…!」


はじめ「青葉ちゃん、だからそういう話じゃ・・・


青葉「いいから八神さんから離れてください!!!!」クワッ


はじめ「ひっ、わ、分かったよ」


八神「って…」ヒリヒリ


青葉「八神さん、大丈夫ですか!?口から血とか出てませんか!?」


八神「青葉・・・」


青葉「良かった、出血はしてないみたいですね。今氷を持ってきます…」


八神「青葉!お前が無能なせいで私がひどい目に合わされたんだ!」パシーン!


青葉「いっつ・・・ご、ごめんなさいっ」


はじめ「あ、あんた・・・いい加減にしろぉおおお!!!!!」


青葉「やめてくださいはじめさん!」ガバッ


ゆん「な、なんで…そこまでして八神さんを庇おうとするん・・・?」


青葉「私が全部悪いんです…私がきちんと仕事できれば、八神さんも怒らずに済むんです…!」


青葉「ごめんなさい。八神さん。もう一度仕事させてください」ドゲザー


ゆん「ど、土下座・・・」


はじめ「こんなの絶対おかしいよ・・・」


八神「・・・ふん!もう一度だけチャンスをやる。来週までに、ソフィアのデザインとモデリングを済ませろ。それができなきゃお前をクビにする」


青葉「クビ・・・わ、分かりました!」


八神「ああそれと。ゆんとはじめ、ひふみんは青葉に手を貸すなよ。青葉独りの力でやらせるんだ。もしお前たちが青葉を助けたら、その時点で青葉はクビだ」


ゆん「なっ・・・」


はじめ「そんな勝手な・・・こんなのおかしいですよね、ひふみ先輩!?」


ひふみ「えぇ…勝手なような…そうでないような…」



八神「今回の件は特別に不問にしてやる。分かったらお前たちもとっとと仕事に戻れ」スタスタ




はじめ「青葉ちゃん、こんなの絶対おかしいよ!誰かに相談しよう!」


青葉「余計なことをしないでください・・・八神さん」パシーン!


はじめ「・・・っ。青葉ちゃん、どうしてそこまでするの?」


青葉「八神さんは、私の憧れの人なんです。八神さんに見捨てられたら、私は生きていけません・・・」


ゆん「青葉ちゃん、そんなの間違ってる…青葉ちゃんは八神さんにはたかれたんやで。青葉ちゃんの憧れの人はそんなやつなんか・・・?」


青葉「ゆんさんに八神さんの何が分かるっていうんですか!?」クワッ


ゆん「お、落ち着き、青葉ちゃん」


青葉「もう皆さんには頼りません。放っておいてください。もし誰かにさっきのことを報告したら…絶対に許しません」ギリギリ

いいぞ

ひふみんクズ可愛い


青葉「・・・」ガリガリガリガリ


はじめ(あれから3日・・・青葉ちゃん、ずっとデザインに集中してるなぁ)


ゆん(声かけようにも、とてもそんな雰囲気じゃあらへんし・・・)


ひふみ(早く帰りたいなぁ)カタカタ


青葉「zzz・・・はっ!しまった…」


青葉「貴重な時間を無駄に・・・急がないと…」ガリガリ




青葉「描けた・・・」


青葉(ダメだ…こんなデザインじゃ八神さんは満足しない・・・!)ビリビリ


青葉(もう一回描き直しだ…!)


青葉(うっ・・・眠い…ダメだ…描かなきゃ)


青葉「うぷっ・・・」


トイレ

青葉「おぇぇぇぇ!」ゲロゲロ


青葉「吐いちゃった…でもまだ完成してない。早く机に戻らなきゃ…」フラフラ


7日目の朝

青葉(どうしよう…今日が〆切なのに。まだ完成してない…)フラフラ


青葉(頭が痛い…クビになっちゃう…)フラフラ


駅員『まもなく3番線に電車がまいりまーす』


りん(あの娘・・・涼風さん?確かコウちゃんのチームに入った新入社員よね)


りん(フラフラみたいだけど大丈夫かしら)


青葉(もうダメ…限界)フラッ


りん(えっ)


キキィッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!


りん(ちょっと待って…嘘でしょ・・・?)


りん(飛び込みだなんてシャレにならない…!)タタタ


駅員「大丈夫ですか!?・・・良かった、ブレーキがギリギリ間に合った…」


青葉「・・・しゃ」


駅員「え?」


青葉「会社に行かなきゃ…デザインを・・・クビになる」ブツブツ


駅員「会社って、あなた自分がなにしたか分かってるんですか!?」


青葉「え?・・・私はただ会社に行こうと待ってただけで・・・」


りん「あなた、涼風さんよね?・・・けがはない?」

どうせみんな鬱になる


駅員「この人のお知り合いですか?」


りん「ええまぁ…会社の同僚です」


駅員「そうですか。お手数ですが、一緒に来ていただけませんか?」


りん「はぁ…」


駅の事務室


りん「涼風さん、どうしてこんなことをしたの?」


青葉「こんなことって…私は電車を待ってたら眠くなって・・・それで」フラフラ


りん「飛び込もうとしたわけじゃないのね・・・涼風さん、ちゃんと睡眠は取ってるの?」


青葉「そんな暇ありません…デザインを描かないと…会社に行かせてください。クビになりたくない…」フラ


りん「クビってどういうこと?事情を聞かせて涼風さん」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


りん「そういうことだったの…」


青葉「だから行かないと…遅刻したら怒られちゃう」


りん「いいわ。今日は体調不良と言うことで休んでおいて。さっきのことも会社には言わないでおくから…」スクッ


りん「もう大丈夫ですよね?私も仕事があるので失礼します」


駅員「ああ、はい。ありがとうございました」





りん(コウちゃん…何バカなことやってるのよ・・・!)


~キャラ班ブース~


八神「青葉は今日来てないの?」


ひふみ「さ、さぁ…遅刻かな…」


はじめ(あの真面目な青葉ちゃんが無断欠勤なんて…)


ゆん(デザインを完成してへんみたいやったし…もう限界なんじゃ・・・)


八神「連絡も入れないなんて…たるんでる。やっぱりあいつはクビにするべきだな」


りん「あら、私も無断で遅刻したんだけど、クビになるのかしら」スッ


八神「うわ!?ビックリした・・・」


りん「コウちゃん。涼風さんがクビになるってどういうことかしら?」


八神「・・・りんには関係ないことだ」


りん「それを言うなら、ADごときのコウちゃんにも、涼風さんをクビにする権限もないわよね?」


八神「なに・・・りんは私にケンカ売ってるの?」イライラ


りん「そうね…ちょっとコウちゃんと2人でお話ししたいから、皆席を外してくれないかしら?」


はじめ「は、はぁ…」


ゆん「分かりました…」


ひふみ「・・・」コクコク









八神「話って何だよ。こっちは忙しいんださっさと


バチーン!!!!!!


八神「いっ…」


りん「八神コウ!そこに正座しなさい!」



会議室

はじめ「ねぇ…あの2人どんな話をしてるんだろ?」


ゆん「分からへんけど…今日の遠山先輩、いつもと雰囲気違う気がせへぇん?」


はじめ「違うって、どんな風に?」


ゆん「上手く言えへんけど…何ていうか、物腰は柔らかいのに口調はキツいっていうか…」


ひふみ「そういう時は・・・」


はじめ&ゆん「?」


ひふみ「そういう時は、りんちゃん・・・ものすごく怒ってる時だよ」




りん『~~~~~~~~~~~!!!!!!!!』




はじめ&ゆん「!」ビクッ



はじめ「今ものすごい声が聞こえたんだけど…」


ゆん「あれ、遠山先輩の声やな…何言ってるかまでは分からへん・・・」


はじめ「わ、わたし、ちょっと見に行ってくる・・・!」ススッ


ゆん「あ、こら、はじめ」


はじめ「ちょっとだけだよ。だって気になるじゃん」




はじめ「抜き足差し足・・・」ススス


はじめ(ブース裏までたどり着いた・・・どうなってるのかな?)チラ


その光景を今でも私は覚えています。


キャラ班のブースでは、一人の女性が正座していました。


正座していたのは、涙と鼻水と涎の全部を垂れ流す八神さんでした。

そして、そんな八神さんを、遠山さんは鬼のような形相で怒鳴り散らしていました。


遠山「○×=△●~☆◆!★$””●☆&◆>○×★●!!!!!!!!!!」


何故会議室で声がはっきり聞こえなかったのか分かりました。


遠山さんの怒鳴り声はもはや人間の声ではありません。


山姥か獣が叫んでいるのではないかと思うくらいでした。


はじめ(ここにいるってバレたら〇される…)


私はビクビクしながら会議室に戻りました。



会議室

ゆん「あ、戻ってきた。どうだったん?」


はじめ「知らない見てない私は何も知らない…」


ゆん「はぁ?先輩たちを見てきたんちゃうんか?」


はじめ「知らない知らない…」


ゆん「どういうこっちゃ・・・」


ひふみ「・・・」








りん「みんなお待たせ。コウちゃんから話があるそうよ。ブースに来てちょうだい」



八神「もうじゎげ・・・あ゛りまぜんでじだ…わだじがちょうじにのっていまじた・・・」ドゲザー


ゆん「おおぅ・・・」


はじめ「これは・・・」


ひふみ(写メりたい…)


りん「コウちゃんも深く反省しているみたいだから、今までの事は許してあげて。涼風さんのことは、私が報告しておくから」


ゆん「!そうだ、青葉ちゃんは大丈夫なんですか?」


りん「ええ、何とかって感じ。ただ、働き続けるのは難しいかもしれないわね…誰かさんのせいで」チク


八神「ご、ごめんなざい゛…」




会議

葉月「え~というわけで、八神さんは体調不良により残念だがADを続けられないことになりました。
   後任として遠山さんにAD兼キャラ班リーダーを務めてもらうことになります」


りん「八神に代わりましてよろしくお願いします。皆さん、動揺する気持ちは分かりますが焦らずゲーム製作を続けましょう」ペコリ


葉月「それから…涼風さんは体調不良により出社できないそうだ。残念だが、退職という形になるだろう・・・」





はじめ「八神さんはどうなったんだろう?」


ゆん「1週間有休を取ってるみたいや」


はじめ「それだって実際は謹慎ってことだろ?遠山さんは水に流せって言ったけど、私は八神さんのこと許せないよ」


ゆん「ウチだって同じ気持ちや…八神さんのこと、ビンタしてまうかもしれへんわ・・・」


ひふみ(コウちゃんの土下座・・・こっそり写真に取っちゃた)


1週間後、八神さんが出社してきました。

ウチとはじめは怒鳴りつけたると意気込んでいましたが、そんなことはできませんでした。

今にも泣きそうな顔をしながら作業する八神さんを見てると…青葉ちゃんと重なってしまって、どうにも怒れないのです。


りん「さぁ皆、急いでモデリングを仕上げましょう」


落ち着いた声を出す遠山先輩は女神のようであり、同時に絶対に逆らってはいけない存在に思えました。


こうして、フェアリーズストーリー3は無事完成したのでした。


青葉ちゃんは退職になりました。入社半年で退職だなんて、やっぱりかわいそうだと思います。


青葉ちゃんにメールしてみましたが、返信はありませんでした。


風のうわさで聞いた話ですが、青葉ちゃんは別の会社に入って頑張ってるそうです。


ここから先の話は知りません。フェアリーズストーリー3完成後、ウチは寿退社して専業主婦になりました。


はじめも実家の農家を手伝うため、徳島の実家に帰ってしまいました。


遠山先輩と八神さんは会社に残っているそうです。


フェアリーズストーリーの最新作に、2人の名前がキャスティングされていました。


ひふみ先輩はよく分かりません。これも噂ですが、鬱になって退職し、引きこもっているそうです。


まぁあの人のことはどうでもいいですね。


他の人にはそれぞれの人生があります。ウチはウチの人生を、頑張って生きていこうと思います。


終わり






青葉健気すぎだろ…


NEW GAME!のssはどうしてこうなのか


読んでるだけで明日の仕事に行きたくなくってきた

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年12月22日 (金) 23:41:01   ID: FnHU7iWi

途中で飽きたのか畳めなくなったのか知らんけど…

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