ザマス「人間0計画」 (20)

ザマス「ゴワス様、人間は自分勝手で愚かな存在、そんな人間を野放しにしたら星々は間違いなく滅びます!」


ゴワス「だからといって人間を滅ぼそうと考えるのはやめるんだ。それは界王神ではなく破壊神の役目だ」


ザマス「しかし…」


ゴワス「それに人間も全てがおまえの考えているような存在ではない」


ゴワス「試しにあの星に行ってみるとしよう。文明も社会も丁度いいくらいに発展している」



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ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ


「ふわぁ…毎日満員電車に乗るのもきついぜ…」


「ゴホッゴホッ…風邪なのに出勤しろなんて無茶言うよあの野郎」


ザマス「ゴワス様、この夥しい数の人間は一体?」


ゴワス「どうやら全員、これから仕事へ向かおうとしている途中だろうな」


ザマス「仕事へ向かおうとしている途中?それでこの居心地の悪そうな人込みが作られていると?」


ザマス「まるで養豚所で詰められている豚のようだ」


ゴワス「ここはこの星で最も発展している都市のひとつ、土地は狭いが人口は多い。そのため人の流れが激しくなる」


ゴワス「だからこうなるのは必然的だ。それにこういう状態が起きているということは、多くの人間が都市のさらなる発展のために努力をしているということになるのだ」


ザマス「そうなのでしょうか、もう少し効率よくできる気がしますが」


ゴワス「ああそうだ、だがそれを考え、実行するのも彼らの役目だ。ワシらはただ見守るだけでいい。では、次へ行こうか」

「総理やめろー!」


「子供たちを戦争に行かせるなー!」


「戦争反対!基地を取っ払え!」


ザマス「ゴワス様、あれは何の抗議でしょうか?」


ゴワス「国の首相に対するデモらしいな。武力をこの国から取り外してほしいという」


ザマス「武力を?馬鹿馬鹿しい。力がなかったら攻撃は愚か抵抗すらできません。彼らはそのことを理解していないのでは?」


ゴワス「いや、おそらく理解はしているだろう。だからこそああ言っているのだ」


ザマス「私にはわかりません。彼らもこの国の民なら、国を守ろうとする意志があるはずです」


ゴワス「そうは願ってない国民もいるということだ。彼らがいい例だ」


ザマス「そうですか……自ら滅ぶことを望んでいるとは……愚かな……」


ゴワス(まずい、ザマスを宥めさせるどころか逆に邪念を強くさせている)


ゴワス(ここは少しでもこの星のいいところを探すしかない)

寿司屋


ゴワス「ここは寿司という米と魚を使った料理が出されるのだ」


ゴワス「見た目の美しさも素晴らしいが味はそれ以上に絶品だぞ」


ザマス「……」


ゴワス「どうしたザマス?」


ザマス「……」


ゴワス「ん?」


『先日、〇〇で起きた過労死について警察は…』


ザマス「過労死ですか」


ザマス「ゴワス様、先程多くの人間が都市のさらなる発展のために努力をしていると申しておりましたが」


ザマス「昔ならともかく今でも都市の発展には犠牲が付き物なのでしょうか?」


ザマス「もしそうだとしたら、人間は何百年経っても進歩していませんね」


ゴワス「……」


ゴワス「今はとりあえず食事だ。ほら、寿司が流れてきたぞ」


ザマス「はい」

ゴワス「んん、このトロはとてもうまい!舌に乗っけただけで油が広がる!ネタが溶けそうだ!」


『先日○○中学校で教師が生徒にいじめを行い、不登校にさせていることがわかりました』


『以前から○○中学校はいじめの事件が多発しており、市の教育委員会は教師に対する処罰を検討しているとのことです』


ザマス「いじめ、まだそのような俗なものがこの星で根付いているというのか。それも教師だと?」


ザマス「進歩どころか退化しているではないか」


ゴワス「食事中だザマス。とりあえずお茶を用意してくれないか?ここに茶の粉がある」


ザマス「…はい」

『続いてのニュースです』


『この議案は可決!以上!』


『ふざけるな!いい加減にしろ!』


『わーわーぎゃーぎゃー!』


ザマス「なんだこれは…」


ゴワス「この国の一部のトップたちが議案に不満を持ったことで衝突したニュースだ」


ザマス「トップだと?」


ザマス「プラカードをかざし、暴力を振るい、暴言を吐く。さらにはこんな中で居眠り」


ザマス「こんな幼稚な連中が国を治めているのか?」


ザマス「これではこの国、いやこの星の人間がいかに愚かな存在なのか、納得できる」


ザマス「やはり人間は…」


ゴワス「ザマス、プリンでも食うか?」


ザマス「…ええ、いただきましょう」

「ありがとうございましたー」


ゴワス「お会計はこれでいいかな?」


「ひぃ!き、金銀財宝!」


「またのご来店をおおおおお待ちしております!」


ゴワス「さて行くぞザマス」


ザマス「はい」

ゴワス「さて、次はどこで何しようか。この辺りには有名な観光地がたくさんあるぞ」


ザマス「……」


「あ、そこのお二人さん」


ゴワス「ん?」


警官「ちょっと話してもいいかな?」


ザマス「ゴワス様、彼は?」


ゴワス「この国の警察だな」


警官(うわマジで変な格好だな)


警官「さっき怪しい二人組を見たという通報が寿司屋で会ったんだけど」


警官「どうやら君たちみたいだね」


ザマス「だからどうした」


警官「ちょっと署まで来てくれないかな?一応話がしたいから」


ザマス「なぜだ、私たちは特に何も罪を犯してないぞ」


警官「一応これも義務だから、ね?」


ザマス「断る、私たちはそれほど暇ではない。消え失せろ人間」


ゴワス「ザマス!」

警官(頭おかしいな、見た目通り変な奴らだ。なんかトラブルでも起こしたな?丁度いい、点数稼ぎに利用させてもらおう)


警官「そうは言われてもこれ義務だから、ちょっと来てもらうよ」ガシッ


ザマス「放せ!」バッ!


警官「あ、今暴力を振るったね、威力業務妨害で逮捕する!」


ザマス「逮捕?この神である私を逮捕だと?貴様のような人間が?」


ゴワス「ザマス落ち着け!」


警官「神?こいつ頭おかしいんじゃねぇの?この世に神なんているわけないだろ!」


ザマス「!?」

ザマス(ああそうか、そうなのか、ただ退化しただけではなかったか)


ザマス(確かに人間は進歩した、これほどの文明を築き上げたからな。だが文明だけだ)


ザマス(同時に失ったものもある、倫理、道徳、そして)


ザマス(神への信仰心だ!)ジャキン!


ザマス「貴様、さっき暴力を振るわれたと言ったがあれは暴力ではない」


警官「は?」

ザマス「暴力とはこうだ!」


ザシュッ!


警/官「えっ」


バタリ


ゴワス「ザマス!」


ザマス「ハァ…ハァ…」


キャー!あの人警官を真っ二つに切り裂いたわ!


逃げろ!殺人鬼だ!


あいつは悪魔だ!


速く警察呼んで!



ゴワス「ザマス!なんてことをしてくれたんだ!」


ザマス「うるさい」グサッ


ゴワス「ぐっ!ザ、ザマス…」


ザマス「貴様には感謝しているぞ。おかげで決心した」


ザマス「人間は滅ぼす、今すぐに!そして私が理想の世界を作る!」


ゴワス「ザ、ザマス……」


ゴワス(ワシは…お前を、改心させることができなかった……)


ゴワス(すまない…ザマス……)バタリ

「お前は完全に包囲されている!」


「速やかに投降しろ!さもないと!」


ザマス「人間の分際で神に指図するな!」ドドドドドドド!


「うわあああああーーーーーッ!」

「それで大臣、あの殺人鬼は一体どう対処したらよろしいので?」


「聞く必要ないだろ、今すぐ自衛隊を呼ぶんだ、米軍でもいい」


「ですがそんなことをしたら国民から反発が」


「そうそう、それに相手は一人、警察でどうにかなる程度でしょ」


「総理!たった今入った情報によりますとすでに都の6割が破壊つくされたのことです!」


「何!?」


「急いで避難を!」


「何が警察だけで何とかなるだ!早く軍を呼べ!」


「ですがそれには色々と準備が…」


「そんな呑気なことを言ってる場合か!」


ザマス「ここがこの国のトップたちか」


「!?」


ザマス「街がこれほど破壊しつくされたというのにお前たちは呑気に会議とは」


ザマス「よほど余裕があるのか、それともただの馬鹿なのか」


「ひっ…ひぃ!」


ザマス「消え去れ、無能なトップどもよ」


ドォォォォォォォォォォン!!!

ザマス「さて、これより神の鉄槌に入る」


ザマス「人間どもを根絶やしにし、私の理想郷を築き上げる!」


ザマス「人間どもめ、自ら犯した罪を悔いながら地獄に落ちるがいい!」


ザマス「アハハハハハハハハハハ!!!」



ドンドンドォォォォォォォォォォン!!!

そしてこの星から人類は消え去り、数十年後自然豊かな星と化した


チュンチュンピヨピヨ


ザマス「この大自然、本能のままに動物たちが生きるこの世界」


ザマス「ああ、なんと素晴らしく尊く美しい!邪悪なものが消えるだけでこれほど済んだ世界になるとは!」


ザマス「これでこの星の問題は解決した。次は別の星で裁きの鉄槌を行おう」


ザマス「私の人間0計画はまだ始まったばかりだ!」


終わり

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