「ボクがボクって言う理由?」 (51)

「どうして、いきなりそんな事を?]

「いや、何となく……」

「……ふぅん」

「いつもお前が使っている言葉を借りるなら」

「借りるなら?」

「知的好奇心を満たすため……ってやつかな」

「ふむ、なるほどなるほど」

「……」

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「そんな好奇心旺盛なキミに、こんな言葉を返すのは大変心苦しいのだけれど」

「ん」

「残念ながら、ボクも覚えていないんだ」

「……そうか」

「この言葉遣い、変?」

「なんだ、藪から棒に」

「なぁに、単なる知的好奇心さ」

「別段変に思ったことは無いが」

「そう?」

「あぁ、そんなつもりで聞いたわけじゃないしな」

「……そっか」

「なら安心して、使い続けさせてもらおうかな」

「……なんてことがあってね」

「へぇー」

「これはあれかな。彼がボクの事を気になってるって事でいいのかな」

「そーじゃないのー」

「……なんだか腑に落ちない返事だな」

「いや、ノロケ話聞かされたら大抵の奴はこうなるって」

「ノロケ話……なのかな?」

「私はそう感じたけど」

「ふむ……よく分からないや」

「ま、もう慣れたけどね」

「慣れるほどこんな話してたかな、ボク」

「なるほど、無自覚か」

「次からは気を付けることにするよ」

「嫌だったらもっと早く言ってるって」

「……なるほど、それもそうか」

「そんな事より」

「ん?」

「私もさっきの話、気になるなぁ」

「ん、と……?」

「あんたがボクって言う理由」

「あぁ、それか」

「……じー」

「さっきの話で答えは出てたと思うんだけど」

「いや、あれで納得するわけないでしょ」

「そうかなぁ?」

ゆっくり書いていきます
そんな長くないです

「なら、今日からボクって言うのやめてみたら?」

「なんでそうなるのさ」

「別にこだわる理由もないんでしょ?」

「そうだけど……急にやめたら、それはそれで変じゃないかな」

「……それはある、かも」

「だろう?」

「あー、なんかまた良いように言いくるめられてる気がする」

「なんか人聞き悪いなぁ」

「……うりうり」

「……困ったら胸を揉みだすのは、あまりよくないとボクは思うよ」

「また大きくなった?」

「……それも企業秘密」

「もう私より大きいんじゃないかな……んしょ、んしょ」

「知らないよ、そんな事……うりゃっ」

「いでっ」

「……だってよ」

「何がだ」

「また大きくなったとかなんとか」

「俺が知るか、ンな事」

「小さい頃からずっと一緒なんだろ?」

「……そう、だけど」

「なら、スリーサイズの一つや二つ」

「その理屈はおかしい」

「気にならないのか?」

「気にならない……わけじゃないが」

「だろ?」

「だからと言って、調べる方法もないだろうが」

「簡単だろ」

「どうやって?」

「なんな感じで」


「次やったら、手刀だけじゃ済まないよ」

「……くわばらくわばら」


「直接がばっと」

「アホか。チョップだけじゃ済まないのは勘弁だぞ」

「相手の事がもっと知りたいって言ってただろ、お前」

「そういう直接的な話じゃなくてだな……」

「あっそ」

「露骨に興味を失うな」

「お前なら大丈夫だと思うんだがな」

「んなわきゃあるか」

「やってみなきゃ分からんだろーが」

「……」

「痛い、痛い、無言でつねるのはヤメロッ」

「……」

「やめて、お願いしますっ」

「……」

「……ねぇ」

「ん、どうした」

「ボクの顔、何か付いてる?」

「いや、特には」

「そう?じーっと見てるから何か付いてるのかと」

「……そんなに見てたか、俺」

「釘付け、って言葉が実にしっくりくるくらいには」

「……ふむ」

(あいつが変な事言ったせいで、変に意識してしまってるのか)

「んー……」

「うぉっ、急になんだ」

「熱でもあるのかと思って」

「……手、冷たいんだな。お前」

「ボクにとってはこれが平熱だよ」

「……」

「それを差し引いても、熱い気がする」

(顔が、近い)

「……ダメだ、熱が移ってよくわかんなくなっちゃった」

「大丈夫だ、熱は無い」

「ほんとに?」

「ほんとだ」

続く

「げっ、降り出してきた」

「予報だとくもり止まりだったんだがな」

「……」

「流石にそれをやったら、友達付き合い考え直させてもらうぞ」

「ま、まだ何も言ってないだろ」

「お前の家くらいまので距離なら、走れば済む話だろ」

「……ぐむむ」

「何やってんの、あんたら」

「見れば分かるだろ、立ち往生中だ」

「あ、そうだ。あんた、あの子が呼んでたわよ」

「ん?」

「いつもの場所、で伝わるって言ってたけど」

「あぁ、なるほど。ありがとう」

「どういたしまして」


「無視……完全に……」

「なに、あんた傘持ってきたないの?」

「見て分からんか」

「……入ってく?」

「へ?」

「……二度は言わない」

「あっ、入ります。入らさせていただきますっ」

「~♪」

「……よう」

「お、いらっしゃい」

「隣、いいか?」

「ダメ、って言ったら?」

「さて、どうしたもんかな」

「ふふ、冗談冗談」

「よっと」

「もう少し詰めなきゃ、キミの肩が濡れちゃうよ」

「ん、そうだな」

「こんなとこ、誰かに見られたらどうなるかな」

「今さらすぎんか?」

「……くす」

「まぁ、こんな日のこんな時間に、こんな所へ来る人なんていないだろうけど」

「お前と俺ぐらいなもんか」

「そゆこと」

(なんで雨の日に屋上に出るんだ?と)

「~♪」

(聞いても答えは帰って来なさそうだな)

「また何か、聞きたいことでもあるのかい?」

「お?」

「顔、分かりやすいんだもん。キミ」

「……出てたか」

「うん。質問内容まで丸々」

「なん……だと……」

「ただし、その答えはボク自身にも分かりません」

「……ずこっ」

「ただ、なんとくなく好きなんだ。ここで雨を眺めるの」

「なんとなく、か」

「キミは雨、好き?」

「……」

「……じー」

「……好き、だぞ」

「そっか、ならよかった」

「……」

「……」

(い、いかん。また顔が熱くなってきた)

「……む」

「ん、どうかした?」

「どうしたもこうしたも……顔が真っ赤だぞ」

「えっ」

「気付いてなかったのか」

「……全く、全然」

「お前の方こそ、風邪でも引いたか?」

「……」

「な、なんだその目は」

「……いや、ね」

「ここで『いや、別に』って言ってしまったら」

「きっとボク達はずっとこのままなんだろうなって」

「……どういう事だ?」

「どうやったらそこまで鈍感になれるのかなって、疑問に思ってたの」

「??」

「ボクの耳が赤い理由は実に単純でね」

「キミの『好き』って単語に、無意識に反応してしまった結果なのさ」

「へ……?」

「そう、分かってる。あれがただの質問への答えだって事くらい」

「お、おい」

「でも、仕方ないじゃないか。一度も好き、なんて言われた事ないんだから」

「あんな不意打ちみたいに言われたら、誰でも……」

「……」

「……ふぅ」

「言いたい放題言ってくれたな」

「うん、実にすっきりした」

「なら、次は俺の番だ」

「うん、何かな」

「お前のスキンシップは、思春期男子にしてみればいささか刺激的すぎる」

「そういうの、あまり気にしないと思ってた」

「んなわけあるか」

「もっと顔に出して、恥ずかしがってくれれば分かりやすいのに」

「なおの事、そんな事出来るか」

「……」

「……」

「……ふふ」

「……ぷっ、あはは」

「お互い様だったみたいだね」

「みたいだな」

「にしたって、鈍感すぎるよね。キミ」

「あんだけしてれば、普通気付くもんでしょ」

「それもお互い様だろ」

「こんな場所まで付き合うやつ、普通おらんぞ」

「そんなものかな?」

「そんなもんだろ……多分」

「にしても」

「ん」

「ボクは結構、勇気を振り絞ったほうなのだけれど……キミは随分余裕があるみたいだね」

「そう見えてるか」

「うん」

「その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ」

「……お手を拝借」

「ん?」

「……もにゅ」

「おおっ」

(や、柔らかい……それ以外何も思い浮かばんっ)

「ドキドキ、してるでしょ?」

「……お、おう」

「ちゃんと、聞いてる?」

「……お、おう」

「ひぁ……っ」

(こんなに柔らかいものなのか……!)

「とあっ!」

「あでっ」

「な、何をしてるんだ。バカッ」

「俺も思春期男子だと言ったはずだが」

「だからって、いきなり……」

「どっちがいきなりだって話だ」

「ボクはただ、胸の鼓動をだな……」

「……っ」

「……俺だって負けてない自信はあるぞ」

「……ボクの方が、熱いよ」

「まだ言うか、このっ」

「そ、そんなに強く抱き締められたら、痛いよ」

「こうでもしないと、認めないだろお前は」

「こんな程度じゃ、認めないよ」

「ぐぬぬ」

「……このぐらいは」

「む、むぐっ」

「……んっ……ちゅ」

「……ぷぁ」

「しないと、ダメだね」

「……お、おま……」

「……ぺろり」

「あ……と、その」

「あ」

「あ?」

「雨、止んだね」

「……あぁ、止んだな」

「折角、相合傘で帰ろうと思ってたのに」

「別に、雨降ってなくても出来るだろそれは」

「……絵に描いたようなバカップルじゃないか」

「嫌か?」

「その質問、いぢわるだよ」

「何とでも言え」

「なぁ、そう言えば」

「ん、何かな」

「この前の質問、あれ本当に覚えてないのか?」

「やけに食い下がるね」

「小さい時の事、あまり覚えてないからな。知っておきたいんだ」

「……んー」


『キミ、一人なの?』

『……なんだよ』

『隣、いいかな』

『……女子何かと一緒にいられるか』

『……』『……』

『ボク、男の子だよ』

『嘘つけ』

『ホントだよ』

『勝手に隣座るな』

『よしよし』

『撫でるな』

『……ふふ』

『……笑うな』

「……くすくす」

「何笑ってんだ?」

「くすくす、秘密」

「秘密……ってことは、覚えてるんだな」

「おや、キミも学んだね」

「どっちなんだ、結局」

「さて、どっちだろうねぇ」

「ひた隠しにされると、なおのこと気になる」

「ふふ、そのうち教えてあげるよ。そのうちね」

「これ絶対教えてもらえないやつだ」

「てな事がありまして」

「……へぇ」

「とりあえず、一段落だよ」

「誰もが予想してた通りの結果だったわね」

「そうかなぁ。心臓バクバクだったんだけど」

「なんかあまり想像できないな、あんたのそんな姿」

「彼もそんな事言ってたな」

「ほらね」

「人の事なんだと思ってるのさ、全く」

「しかし、あんたが相合傘ねぇ」

「それもイメージと違う?」

「んー……どうだろ。そこはなんか、そこまで」

「ボクとしては、キミの相合傘の方が意外だったけれど」

「……ちょっと待て、なぜそれを」

「このクラスの人間なら、大方の人が知ってるんじゃないかな?」

「……あいつかっ」


「おい、こっちに来てるぞ」

「いやぁ、モテ男はつら……いぶっ!?」

「あんた、何を言いふらしてんのよ!何を!」

「ぼ、ぼうりょくはんたい……」

「問答無用っ!」

「……確かにモテ男は辛そうだな」

「笑ってないで助けてくれ!」

「こら、逃げるな!」

「ふふ、ああ見えて本当はまんざらでもないんだよ」

「そうなのか?」

「余計な事言うんじゃないっ!」

「おっと、これは火に油だったかな」

「こっちに矛先向いちまったか」

「あはは、逃げるよ」

「おい、いきなり手を引くなっ」

「こら、待てーっ!」


「……また放置プレイ?」

「いや、俺も行くぞ!待てーいっ!」

「あぁ、もう何が何やら」

「くすくす、こういうのも悪くないんじゃない?」

「まぁ、たまにはな」

「こらー、止まれーっ」

「まてまてーっ」

「このままじゃ、追いつかれるのも時間の問題か」

「……よっと」

「うわっ……っとと」

「暴れるなよ」

「その代わり、絶対落とさないでね」

「任せろ」

「よし、こっちも……」

「わ、わっ。やめろ、バカッ」

「よし、今のうちに……」

「……」

「……ん?」

「……ちうっ」

「っ!?」

「こういうのも、たまにはね」

「本当にたまにはか?」

「……」

「おい、答えろ」

「……ふふっ」

「だから、笑って誤魔化すのはやめろ」

「くすくす」

「だから、やめっ……」


「よし、こっちも」

「やったらぶっ飛ばす」

「……はい」

ここで一旦、本編は終わりです

まだ読みたいシチュとかあったらよければ教えてください
特に無さそうなら落としますので

では、ここまでありがとうございました

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