彼女達との思い出 (458)

僕はただのおっさんです。
ただのおっさんが、過去にいろいろあった女性達との思い出を、気が向いたときにSSとして書き込んでいくだけのスレッドです。

仕事の合間に書くので、進行は遅いと思われます。

※性的描写を書きまくる時期が来るかもしれません。
※便宜上、登場人物は芸能人の名前で置き換えます。雰囲気の似ている人で。

中学~高校時代、僕はストレスから、摂食障害になってしまった。

想像してほしい。身長は180cmあったものの、体重は45kgしかなかった。
その当時は、痩せてる自分がカッコイイと思っていたし、普通に友人もいた。
体育の成績も中~高と5段階評価で4だったし、軽いことで特に不都合もなかった。

地元では有数の進学校に通い、特に疑問に思うこともなく高校2年になった時、事件は起きた。

高校2年の体育授業。
2学期になると、「ラグビー」が必須科目になった。

僕はあの楕円形のボールを追いかけ、しっかりと脇に抱え、すぐ左後ろの陸上部の友達にパスをしようとした。
そこで、記憶が途絶えた。

気が付くと、僕は保健室のベッドにいた。
(高橋みなみ似の子、以下みなみ)

みなみ「大丈夫?」
僕「・・・痛い。腰が痛い。どうなってんの?何が起きた?」

みなみ「覚えてないんだ・・あのね、ラグビーの授業で、タックル貰って、そのまま倒れちゃったのよ?」
僕「・・・ああ・・そういうことか・・・あー、頭も痛い。」

みなみ「脳震盪かな。病院行った方がいいよ?」
僕「そうするわ・・・ありがとう。」

みなみは、2年の時に同じクラスになった子だ。
図書館で勉強してた時にたまたま近くに座って、わからない数学の問題を一緒に解いてからやたらと絡んでくるようになった。
みなみはクラスの女子の中でも目立つ子で、取りまとめ役のような子だった。

結局、僕はみなみに連れられ、近くの病院に行った。

レントゲンを撮ってもらうと、腰の骨にひびが入っていた。
この時、先生から言われた。

「君、痩せすぎだよ。もっと食べないと。」

医者に言われて、自分が初めて痩せすぎなんだと気付いた。
それからだ。僕は『痩せすぎている』ことに引け目を感じ、前に出ることを、やめた。

みなみ「ねー、今日暇?」
僕「・・・暇だけど、図書館行くわ。」
みなみ「じゃあ、一緒に行っていい?」
僕「・・・どうぞ」

僕は、急にみなみによそよそしくなった。
みなみはとてもいい子で、そんな僕にも付き添うようにしてくれた。

(サカナくんみたいな友人、以下サカナ)

サカナ「なあ、今暇か?」
僕「ああ。どした?」
サカナ「これ見てみろよwwwwww」

サカナは、僕が出会った中で最もエロに興味のある童貞だった。
兄の保険証を常に持ち歩き、18禁のビデオや漫画・書籍を買い漁り、僕にもたくさん見せてくれた。
正直、彼に出会わなければ、僕はもっとマシな性癖になっていたと思う。

僕「うわーすげえ。媚薬盛りすぎやろこいつ」
サカナ「ばかそれがいいんだよこのナマイキな生徒会長が逆に調教されるのが・・」
みなみ「何の話?」
僕&サカナ「!!なんでもない!」

・・・
サカナ「あ、危なかった・・もしバレたら高校生活が終了するところだった」
僕「お、おう。」

サカナ「でもさ、みなみさんて・・・」
僕「ん?みなみがどうした?」
サカナ「この前観たあのAV女優そっくりだよな!」
僕「なんやそれ・・あああの子か確かにwwww」

なんやかんやで、みなみは僕たち2人の中で「AV」というあだ名がついた。

僕は、家に帰ると、いつもみなみをオカズにするようになった。

サカナ「さっきAVと何話してたのwwww」
僕「ああ、それがさーwwww」

ハアハア

みなみ「さっき急に先生に名指しされてビビったでしょwwww」
僕「うっさいwwwwww」

ハアハア

みなみ「これわかんない教えて」
サカナ「これはねぇ」
みなみ「サカナには聞いてない」

ハアハア
僕『みなみ・・・みなみ!!』

正直、みなみとヤりたい。
でも、ある言葉がよみがえる。

『君、痩せすぎだよ。もっと食べないと。』

ああ、僕は痩せすぎなんだ。
こんな僕が、みなみに好意を持ってることがばれたら、きっと嫌われる。


僕は、好意とは裏腹に、サカナとの会話でみなみのことを悪く言いまくった。
そんな関係が、長く続くわけもなかった。

天罰は、ある日突然下った。

僕「さっきさー、AVがさー、俺に『図書館また行こうよ』とか言ってきてさー、」
サカナ「・・・」
僕「ん?どしたん?」

サカナは、僕の言葉が聞こえなかったかのように振る舞った。
疑問は、すぐに解消された。

僕のすぐ後ろに、みなみがいたのだ。
みなみは、自分が「AV」と呼ばれていることを知ってしまった。

みなみは、別にビッチではない。おそらく当時、誰ともまだお付き合いもしたことはない。
そんな彼女が、(恐らく)好意を抱いていたであろう僕に、「AV」と呼ばれていたことを知ったら、どう思うだろうか。

それからの僕の高校生活は(自業自得だが)悲惨なものだった。
女子の取りまとめ役だったみなみが、僕に制裁を加えるのは簡単なことだった。

はじめは、授業中に消しゴムを投げるだけだった。
気が付くと、机の落書き・物の紛失は当たり前。部活の友達やクラスの数人の友達以外は僕につらく当たるようになった。
僕は基本的に授業以外は部室で過ごすようになり、居心地の悪い高校生活は3年の2学期まで続いた。


今日はここまで。序章。
また時間ができたら本編に入ります。

無事、第一志望の大学に現役合格した僕は、大学デビューを夢見ていた。

彼女が欲しい。童貞丸出しの僕は、彼女が出来たらヤりまくろうと考えていた。
しかし、彼女なんてすぐできるわけじゃない。

まだ摂食障害だった僕は、まずは摂食障害と向き合うことから始めた。
原因はいろいろある。その大部分を占めているのが家族との関係だった。

家族と決別しよう。
あの毒親から離れよう。

僕は、大学の授業が始まる前の春休みの時点で学生課に行き、アルバイトを探した。
地元では有名な国立大学ということもあり、求人には事欠かない。

すぐに、家庭教師の仕事を斡旋してもらった。
童貞には女子高生は刺激が強すぎたので、有名私立の男子中学生を受け持つことにした。

経済的に自立をし、しっかり食べて、しっかりトレーニングをしよう。
僕は、今でいう「意識高い系学生」を目指すことにした。

同じ高校からも何人か同じ大学に入ってきた。
その中でも、高校時代からの友人2人が同じ学部同じ学科に入った。

一人は平井堅似だから「堅」
もう一人は氷室京介似だから「京介」

堅と京介とは、それから社会人になった今でも親友だ。


トリこっちか

僕は、入学と同時にサークルに入った。
そのサークルは真面目系だったが、女子大との交流が盛んだったからそこにした。

そのサークルで仲良くなったのが佐藤栞里似の子(以下栞里)。

栞里は、とても物静かな子だ。
同級生からも、少し浮いている感じだった。

栞里「あなたって、優しいね。」
僕「そんなことないよ。けっこう、みんなから冷たい人って言われるしww」
栞里「私もそう聞いたよ。でも、私は信じてない。知ってるよ。大学の帰りに何をしてるのか。」

大学帰りにボランティアをしているのがばれていた。
なんでも、偶然見かけたらしい。

僕と堅・京介3人だけの、ちょっとしたボランティア。
なんとなく中二病真っ盛りな童貞3人が、「~~なこと、こっそりやってたらカッコよくね?wwww」
と軽い気持ちで始めたこと。内容は伏せる。

栞里はおっとりしていてやせ形。しかしバストだけはかなり大きかった。
そして、とてもいい香りのする子だった。

僕は、おそらく本気で、初めて人を好きになった。
なんとかして栞里と付き合いたい。

そんな頃、家庭教師のバイト先で、ちょっとした出来事があった。


いつもより、少し早くバイト先に着いた。
そこには、受け持っている男子中学生と、その妹がいた。

男子「おいそろそろ先生(僕)が来るから邪魔すんなよあっちいってろ」
妹「えー、私あの先生キライー」
男子「え?なんで?」
妹「だって汗臭いし汚い格好だし」

そこから先は聞こえなかった。
ショックだった。
人は中身で勝負と信じていたので、まさか陰でそんなことを言われているとは。

僕は、この日を境に、毎朝シャワーを浴びてシャンプーをし、洋服も雑誌をみて買うようにした。
そして、洗濯とアイロンがけもするようになった。

そんなある日、三面鏡を覗いた。ふと、自分の横顔が見えた。
あれ?
僕の顔は、いつの間にかかなりイケメンになっていた。

摂食障害の名残りはあったが、体重は55kgくらいになっていた。以前より体格はマシになった。
栞里も、僕に対して以前より更に好意的になっていた。
二人で図書館に行って勉強もした。大学も学科も違うけれど、お互いに興味のある分野があり、その知識を得るために遅くまで資料を集めた。
サークルの合宿では、2人して抜け出して夜空を眺めたりもした。
僕は完全に栞里のことしか考えられなくなっていた。


そして、栞里から、手紙をもらった。
そこには、こう書かれていた。

「私はあなたのことが好きです。付き合ってください。」


僕は、天にも昇る気持ちだった。

栞里「私は、あなたの考え方が人と少し違うことを知ってる。私はその考えについていくし、あなたのしたいことを私は叶えてあげたい。」

僕は、よくわからないが、心底惚れられてしまっていた。
初めてだった。彼女のためになら何でもしてあげたいと思った。
見返りなんてどうでもよかった。ただただ、彼女と一緒にいたかった。

横にいてくれるだけでドキドキした。
ふと、視線が合うだけで、生きていてよかったと思えた。
交差点で止まるたびに、彼女を抱きしめた。

夜通し、電話をした。

彼女は、僕との時間を作るためにバイトをしてお金を貯めた。
彼女は、中・高といじめを受けていたらしく、極度の人間不信に陥っていたらしい。
それを、僕が(なぜか)救い出してくれたらしい。このあたりの経緯は不明だ。

お互い初めての彼氏・彼女だ。
だから、お互いに舞い上がっていた。
だから、お互いが考えることは、だいたい一緒だ。

『ここから、どうやって進展させていけばいいのかわからない』

ただただ、無常に時間だけが過ぎていった。

あれほど燃えたのに、あれほど好きだったのに、
気が付けば、僕は栞里に見返りを求めたくなってきた。

つまるところ、健全な男子であるので、ヤりたかった。

サークルの帰り深夜、僕は缶ビールを片手に栞里と歩いて公園まで来ていた。

栞里「今日は暑いね。」
僕「そうだな。こう暑いと、ビールでも飲まないと無理やww」
栞里「ビール飲んでるところ、好きよ。少し大胆になってくれるしww」
僕「なんだ栞里、チューしてほしいのか?ん?チュー」
栞里「もー、そういうのやめてよ(顔が真っ赤)ー」

ぼくはもう限界だった。

僕「栞里」
僕は栞里を公園の芝生に押し倒した。

栞里「え、ちょっと・・・や・・」
僕「うるさい。静かにして」

栞里の唇を無理やり奪った。
僕はこの時、とても興奮していた。

そして栞里の口の中に、僕の舌をねじ込んだ。

「ん・・・」

栞里は、戸惑いながらも、答えてくれた。
それから僕と栞里は、しばらく舌を絡めあった。

「はぁ・・・ふぅ・・んっ・・」

栞里の吐息が、さらに僕を興奮させた。
僕は、さらに、自分の手を、栞里の胸に当てた。

「ひゃっ・・・んっ・・や・・」
栞里は少し抵抗した。
僕は、それを無視して栞里の胸を揉んだ。

柔らかく、重みがあった。とても気持ちがいい。
栞里は、僕の手を剥がすことをあきらめ、僕の腕を握りしめていた。

服の上からだけでは満足できなくなった僕は、栞里の手をどけ、
栞里のシャツの下から手を入れて、栞里のブラジャーに手をかけた。

「いや・・お願い・・・ちょっと待って・・」
栞里のか細い声が聞こえたが、僕はもう止まらなかった。

栞里の口に手を当て、僕はブラをずらし、その柔らかな胸に吸い付いた。

「あん・・・っ・・いや・・」

僕は、夢中で栞里の胸を揉み、そして薄ピンクの乳首を舐めた。


ふと我に返った。

栞里は、

ポロポロと涙を流して、泣いていた。

僕は、何ということをしてしまったのだろう。

僕「ご、ごめん!」
栞里「・・・ひっく・・・もう帰って!」

僕は、突き飛ばされ、栞里は走って帰っていった。

終わった。そう思った。
酔った勢い。そういえば済む問題だろうか。いやけっしてそうはいかない。

トボトボと、歩いて帰ることにした。
家に着くと、栞里から電話が来た。

僕「・・・今日は本当にごめん」
栞里「ううん・・違うの。私こそ、ごめん。あなたがそうしたかったの知ってたの。そうなっていいと思ってたのに・・」

僕「・・・うん。」
栞里「いざ、そうなると。。怖くて。気持ちの整理がつかなくて・・・健全な男の子だもんね。ごめんねこんなに情けない彼女で・・・」

僕「いやいや。普通だよ。僕が急いじゃったんだよね。悪かった。」
栞里「うん。少し時間が欲しい。気持ちの整理がついたら、また連絡するから、それまで待ってくれる?」
僕「もちろん。じゃあおやすみ」


その連絡が来たのは、1か月後のことだった。

今日はここまでです。
次回は明日以降に。

見てくださる方がいるかどうかわかりませんがここで失礼します。

1か月間、僕は栞里とは一切連絡を取らなかった。
サークルでも、意図的に関わらなかった。

離れてみると、今まで見えなかったものが見えてくるようになる。
まず、栞里はサークル内でもいじめに近いことをされているようだった。
僕とのことを皆に言いまわり、他の子が近づかないようにしていたようで、かなり煙たがられていた。

栞里と付き合い始めたころ、なぜか後輩グループ内で、僕のファンクラブなるものが作られていた。
王子様キャラを悪ふざけでやっていたら、それが受けたらしい。
そのファンクラブは、最初は悪ふざけの一環で始まったが、そのうちガチの信者のような子達が生まれた。

ガチの信者達は、あからさまに栞里を攻撃し始めていた。
僕は冷めたところがあり、事の成り行きを静観していた。どちらサイドが正しいかなんてわからない。

栞里と毎日会っていた頃は、栞里を俺が守る!と意気込んでいたが、いざ離れてみると、事情が変わってくる。
なぜ彼女は中・高といじめを受け、また大学でもいじめに近い状態なのか。

世の中には理不尽ないじめは存在する。
だが、いじめられる原因を作る子は確かにいる。
栞里には、(割愛するが)いじめられる要素が、確かにあった。

僕は、栞里に対して、すこし不満を持つようになった。

栞里は、1か月後に、手紙をくれた。
それは、便箋で20枚に及ぶものだった。

要約すると、

・私は、男の人に触られると、その感触が数日残るぐらいに男の人が怖い。でもあなたと一緒にいたい
・あの夜、とても嬉しかった。でも、とても怖かった。
・私にとって、SEXとハグは同義だ。だから、ハグで我慢してほしい。
・将来的に、少しずつ頑張るし、他のことは何でもするから、どうか捨てないでほしい。

ということだった。

健全な男子が、お預けを食らう。
僕は、とても不満を覚えた。

その日を境に、合う頻度が、減っていった。

そんなある日、ファンクラブの子が、お弁当を作ってきてくれた。

(天海祐希似、以下祐希)

祐希「良かったら食べて!お昼はどうせ食堂でしょ。私は次の授業があるからまたね。お弁当箱は洗わなくていいからねー!」

祐希のお弁当は、とてもおいしかった。
彼女は、実家が事業をしていて、かなりのお嬢様だ。マナーや作法に明るく、そして料理上手なことも聞いている。
ただちょっと竹を割ったような性格のせいか、ツンとした感じが近寄りがたく、僕は苦手意識を持っている。

祐希が僕にお弁当を渡し、それを僕が食べた。
そんなニュースはすぐファンクラブの間に広まり、当然栞里の耳にも入った。

栞里「話したいことがあるの・・いいかな?」
僕「ん?どうした?」

栞里「祐希ちゃんがお弁当作ってきてくれたって聞いたの」
僕「ああ。美味しかったよ。やっぱり、そういうのってやめた方がいい?」

栞里「んー、そうじゃなくて・・・あの・・・」
僕「煮え切らんな。どうしてほしいん?」

栞里「私もお弁当を作りたい。・・もしよかったら・・・食べてほしい・・・」

栞里は、ビクビクしていた。最近の栞里はいつもそう。

「手を、繋いでも、怒らない?」
「わ、私は後部座席でいいから・・助手席に乗って運転の邪魔したら、悪いし・・」
「え、映画のチケットが手に入ったんだけど・・・時間があったら・・・一緒にどう?」

栞里は、僕の彼女だ。なぜそんなにへりくだるのか。
そんな気持ちが僕の態度に現れ、僕の態度を見て、栞里がまたビクビクする。

悪循環だ。

僕「そりゃ嬉しいけれど、最近すごく無理してない?いいの?」
栞里「うん。良かった。じゃあ頑張って作るね!」

お弁当を作ってきてくれたのはその翌週。
お弁当を作る日まで、毎夜、中身は何がいいか、どんな味が好きなのか、数時間の電話がかかってきた。

もう、正直、疲れた。

当日、栞里はぎこちない笑顔で、お弁当を作ってきた。

そして、正直見た目がイマイチなお弁当を前に、言い訳が始まった。

栞里「あのね。ごめんなさい。私は祐希ちゃんのように、料理上手じゃなくて・・・」
僕「あ、うん。誰も祐希の話してないよ・・」

栞里「揚げ物、べたべたでしょ?お母さんや友達に聞いて頑張ったんだけど、何回やっても上手くいかないの。」
(もぐもぐ)
僕「まあ、こんなもんじゃね?別にべたべたと言うほどのものじゃないし、それに」

栞里「あ、それもちょっと汁が出ちゃって。。。こっちのは色味が悪くて、ごめんねせっかく楽しみにしていたのに」
僕「大丈夫、大丈夫だから。美味しいよ?食べよう?」

イマイチなお弁当を前に、言い訳を繰り返す涙目な栞里をなだめながら、酷評されるお弁当を食べる。
そんなお弁当が、美味しいのだろうか。

こうして、僕、栞里、それを遠巻きで見ている友人達にとって、誰も一切得をしない、拷問の時間が終了した。
その後1週間、制作過程や苦労話、そして言い訳の電話が毎日数時間、続いた。

栞里と少しずつ距離を取り始めた頃。

バイト先に行く前に、コンビニへ立ち寄った。
ふと、綺麗な子が、立ち読みをしていた。
目が合い、そしてびっくりした顔を向けてきた。

「あれ?先輩??お久しぶりです!」

(松井絵里奈似、以下絵里奈)

絵里奈「絵里奈です!覚えてませんか?」
僕「え?!絵里奈ちゃん?!びっくりした。お化粧してるから気が付かなかった!」

絵里奈は、高校時代の部活の後輩だ。とても明るい子で、男子からも人気が高かった記憶がある。

絵里奈「私の家、近くなんですよ。」
僕「あー、そういえばそうか。今は何をしてるの?大学生だよね?」

絵里奈「そうですよー。〇〇大学に入りました!」
僕「お、じゃあ実家から通ってるんだね。」

絵里奈「はい。私、先輩の実家の近くでバイトしてるんですよ!」
僕「え?そうなの?あのあたりにバイトできるところなんてあった?」

絵里奈「すぐ近くに塾があるじゃないですか。そこで塾講師してます。」
僕「ああ!近い近い!そっか絵里奈ちゃんも塾講師かー。僕も家庭教師のバイトしてて・・・」

話が弾み、アドレス交換をした。
同じ部活の友達である、京介・堅、絵里奈・絵里奈の友達も誘ってバーベキューをしようということになった。

最終的にバーベキュー参加者は10人。男6女4。
とてもワイルドなものになった。
買い出しは僕と京介、絵里奈。

僕「よし、じゃあ国産特上肉をこっそり買おう。3人だけの秘密ね。他のヤツにはこっちのやっすいカルビでいいやろww」
絵里奈「いいですね!あ、私は一番搾りね!」
京介「俺はヘネシーVSOP。割り勘だしバレないバレない。あとは淡麗とか入れとけば大丈夫大丈夫wwww」

最終的には骨付き肉や大きな干物まで買い込み、ひたすら飲んで焼いて食べた。
その間、絵里奈はずっと隣にいてくれた。
同じテーブルに座り、絵里奈は僕の左隣の椅子に座った。

僕「絵里奈ちゃんは彼氏いるの?」
絵里奈「いますよー。でも最近喧嘩ばかり。」

僕「あらら。仲良くしないとな。彼氏なんだし。」
絵里奈「それはそうですけど、酷いんですよ!だって・・・」

そうだよな。
みな、当時より数年経過してる。

僕もそうだ。経過した分だけ、経験は増える。

絵里奈「先輩は?」
僕「彼女・・・一応、いる、のかな?」

絵里奈「えー、なんですかそれ。彼女に失礼じゃないです?」
僕「まあ、悩みもあるってことさww絵里奈ちゃんだって相手の不満あるんだし、同じだよ。」

机の下。

軽く、本当に軽く、絵里奈の右手を、僕の左手が、触れた。

他愛もない会話が続く。

絵里奈の柔らかな右手が、

僕の左手を、

そっと握る。

くだらない話をし、何気ない雰囲気を出している中、
僕と絵里奈は、こっそり、ずっと手を握っていた。

お互い、彼氏・彼女がいる。
そんな背徳感が、さらに、二人を興奮させたんだと思う。

バーベキューの帰り、僕と京介、堅、絵里奈、その友達(松井玲奈似、以下怜奈)と5人で、夜通しカラオケに行くことになった。

僕と絵里奈はカラオケが大好きで、ずっと2人交代で歌い、たまの合間に誰かが歌う感じだった。

堅「2人とも歌いすぎやろwwこっちが歌えん。」
怜奈「まー、いいじゃないですか。堅さん、飲みましょうwwww」

この二人はいい感じになっていた。
あとで聞いたが、怜奈ちゃんはずっと付き合ってる彼氏がいるらしい。
ちなみに堅は童貞だ。

京介は役立たずで最初から最後まで寝ていた。

夜も更けると、僕と絵里奈以外は、完全に寝ていた。
お互い、手持無沙汰。不思議と気まずくはなく、絵里奈は僕の隣に、ぴったりとくっついてきた。

その腰に、手を回す。

最初は、おでこに。
続いて、頬に。

最後は、口に、優しく、キスをした。

瞬間、二人は、吹き出した。

僕、絵里奈「ぎゃはははは!!うけるwwww」

なんだか、すっかり打ち解けた気がした。
お互いに、キスをしながら、抱きしめあって、歌った。

僕は股間の状態を悟られないように、平静を装った。
しかし、興奮は収まらない。

僕の左手は、腰から、絵里奈の胸へと移動した。

絵里奈「やんっ、エッチwwww」
僕「柔らかいなおいww彼氏が羨ましいわww」

キスを繰り返す。
キスは次第に濃厚なものになり、お互いの吐息が、熱くなってくる。

僕は、むさぼるように、絵里奈の胸を、両手で揉んだ。
決して大きくはないが、敏感なようだ。

絵里奈「せん・・ぱい・・、もう少し、優しく・・あっ・・ん・・」

その口を、僕の口で塞ぐ。
誰も歌わない、カラオケのBGMの中、薄手のシャツを捲り上げ、ピンクのブラジャーに手をかける。

絵里奈は、力ない抵抗を見せたが、すぐに、僕の頭に手を回す。
綺麗な乳首だった。その胸を、舌で這わせる。

絵里奈「んっ・・きもち・・あんっ」
乳首がみるみる固くなってくる。そんな乳首を、口に含む。

絵里奈「先輩・・・他の人が・・起きちゃうから・・」
恥じらう顔が、さらに可愛い。

僕は、右手を、絵里奈のズボンに滑らせた。
ズボンのボタンを、外す

絵里奈「え?・・・」
絵里奈は、少し困った顔をした。その顔をキスで覆う。

押し倒し、絵里奈のズボンのファスナーを下した
絵里奈の顔は真っ赤だった。

ピンクの、かわいい下着が顔を覗かせた。
僕の右手は、その下着の中に、入っていった。

今日はおそらくここまでです。

寝ようかと思ったけれど、少しだけ書きます。

僕は、興奮の中、絵理奈のパンティの中に手を入れた。
うっすらとした茂みの感触が、僕の指先に伝わる。

もっと奥まで触りたい。

僕は、絵理奈の太ももをつかみ、開こうとした。
さすがに、絵理奈は抵抗をした。

絵理奈「先輩?ここカラオケ店ですよ?あっ・・・んっ・・・気持ちいいですけれど・・」

抱き合いながら、キスをする。

僕「あ、うん。わかってるんだけど・・・止められない・・」

激しく、胸を揉む。絵理奈は痛がった。

絵理奈「先輩、痛いです・・」

その言葉で、僕の興奮は、少しおさまった。
逆に、罪悪感が覆いかぶさってくる。

僕「ふー。。。ああ。落ち着いてきたわ。どうしよう。もう寝よっか?急に・・・眠くなってきた。。」
絵理奈「そうですねー。寝よう寝よう。あ、もうちょっかい出すのナシですよ!」
僕「はーい。じゃあこうやって寝るのはOK?」

僕は、絵理奈を抱き寄せ、膝枕をした。
絵理奈「もー。それくらいならいいですよー。」

こうして、絵理奈との一夜は、終わりを迎えた。


絵理奈には、彼氏がいる。
それでも僕の相手をしてくれるということは、あれだ。

絵理奈は、気が向けば、誰とでも関係を持つのかもしれない。
童貞の僕には、刺激が強すぎた。

絵理奈のことは、忘れよう。

僕は、もう一度、栞里と向き合うことにした。

栞里は、相変わらず、ビクビクしていた。僕のイライラが募る。

どうして、僕は、栞里に気を使わせているんだろう。
どうして、僕は、栞里とのスキンシップのために、そこまで尽くさないといけないんだろう。
どうして?どうして?

どうして絵理奈のように、軽くキスもできないんだろう。
大学生のカップルなのに、どうしてヤらせてくれないの?

どうして、絵理奈の彼氏は、絵理奈を好きなようにしてるのに、僕は、栞里も絵理奈も好きなようにできないんだろう。
どうして?どうして。

栞里と向き合えば向き合うほど、抜け出せない沼にのめり込んでいく。

栞里と、一緒に食事に出かけた。
栞里は、急に、泣き出した。

栞里「ねえ、最近、私のこと、避けてるよね?・・・ひっく・・あなたは、今、うわの空で・・・ひっく・・・誰のことを・・・考えているの・・?」

見透かされていた。

栞里「そんなに、祐希ちゃんのことが、いいの?」

栞里は、絵理奈の存在を知らない。だからきっと、身近なライバルを矢面に立たせたのだろう。僕は、自分の気持ちを悟られたくなくて、
大声を出してしまった。

僕「いいかげんにしろよ!祐希祐希って!別に祐希のことなんて考えてたことねーよ!」
栞里「・・!!ご、ごめんなさい・・・ごめんなさい!怒らないで!ごめん!謝るから!」

僕「なんでいちいち謝るんだよそうやって!僕はあれか?何かの宗教の教祖か?え?いつもいつもごめんごめんて・・・もう耐えられない。本当につらい。」
栞里「ゴメン。ゴメン!!」
僕「何のために僕たちは付き合ってるの?意味あるの?そこまで卑屈になって、そこまでして付き合いたいの?なんで?」
栞里「だからゴメンナサイ!!謝るから!!」

僕は、引き留める手を振りほどき、二人分の会計を支払い、帰った。

その日、何回もかかってきた電話に、僕は出なかった。

僕が栞里の電話に出たのは、2週間後だった。

僕「・・・もしもし」
栞里「やっと出てくれたんだね」

僕「ああ。出なくて悪かった」
栞里「いいの。私が悪いんだし。私、ずっと、あなたとの何がいけなかったのか、考えていたの。」

僕「そっか。それで?」
栞里「私は、たぶん、毎日が、同じであることを望んでるんだと思うの」
僕「なんとなく、わかるな。栞里は、平和が好きなんだよねきっと。」

栞里「あなたは、きっと、いつも、絶えず、変化・刺激を求めてるんじゃないかな。」
僕「・・・否定はしない。生き急いでるってよく言われるし、変化が好きなんだろう。」

栞里「私と、あなたは、考え方が違う。だからきっと、うまく行かない。」
僕「・・・つまり、別れたいという意味でいいのかな?」

栞里「理屈では、わかってるの。でも、私はあなたが好きだし、正直、あなたと結婚したいと思っている。」
僕「え・・・本気なの?僕と?あそこまで言われて?」
栞里「この際、あなたが望むのならば、今は付き合ってくれなくていい。私とあなたは、親友になれると思う。ゆくゆく、結婚も視野に入れて、長い目で見てほしい」

僕「はっきり言おう。親友にはなれないよ」
栞里「なぜ?」

僕「んー、僕はね。男女間で友情は成立しないと考えているんだ。それは、相手に、女性としての魅力がありませんと宣言してるようなものだから。」
栞里「そんなことないよ。現に、私はあなたと親友になれる自信があるし、その、私には、あなた以外にも、心の内を見せられる『親友』の男子がいるもの」


知っている。そいつが誰なのか。
そいつは、栞里のことが好きで、なんとか取り入ろうと、俺と栞の恋路について、様々なアドバイスを栞里にしていたのだ。
栞里は、そいつに騙されていることを、知らない。

僕「じゃあ、約束できるかな。」
栞里「何を?」

僕「本当に親友になれるかどうか、勝負しよう。僕と栞里、それからそいつと栞里がいつまでも親友となり、親友であり続けられるならば、君が正しかった。その後、改めて僕から交際を栞里に申し込む。それまで待ってくれ。」

栞里「・・・うん」

僕「逆に、男女間で友情が成立しないという事態が発生したら、僕の勝ちだ。僕は今後、一切栞里とは連絡を取らない。いいね?」
栞里「・・・・わかった。頑張る。」

僕「じゃあ、それまで、気持ちの整理をつける意味でも、交際は仕切り直し。一度別れよう。」
栞里「・・・ひっく・・・うん・・・わか・・・った・・・」

終わった。
何もかも。

僕と栞里は、一度、別れることにした。
僕は知っていた。栞里と別れたら、どんなことが起こるのか。

僕たちが分かれたという話は、1週間もしないうちに、サークル内の誰もが知ることとなっていた。

今日はここまでです。
見てくださった方、ありがとうございました。

栞里と別れて、僕は自由を満喫した。

お遊びというか、悪ふざけから始まった、僕のファンクラブというのは恐ろしいもので、ファンクラブ内でルールが出来上がっているようだった。

抜け駆け上等。お互いの邪魔をしない。情報は共有。隠し撮りOK。僕が迷惑しているといわなければ何をしてもOK
今考えてもお遊びを超えた悪ふざけではある。僕も正直、楽しんでいた感もあり、こんな奇妙なコミュニティーが出来上がってしまった。

ファンクラブという名の悪ふざけ集団は15人くらいのもので、その活動の大半は
①学校内で、突然僕を取り囲んで、奇妙な歌と踊りをする
②サークル活動先のお店でテーブルを占拠し、その中心に座らされて全員のスプーンでカレーを一口ずつ食べる
③修羅場という名の寸劇を、棒読みで打ち合わせ通りに繰り広げる
④なぜか僕が事件に巻き込まれたことになっており、ファンクラブ内のだれが犯人か、ヒントを頼りに探し当てる
とまあ、罰ゲームに近いものまでいろいろあった。

先述したが、そんな悪ふざけ集団でも、ガチの信者が出てきた。
三人。
一人目は、お弁当を作ってきてくれた子。祐希。
二人目は、小倉優子似の子。優子
三人目は、柳原可奈子似の子。可奈子

祐希は基本的にクールビューティーで、ツンとしていて人を寄せ付けないオーラがある。
そのくせ、こんな悪ふざけに付き合ってくれた。たまに、はにかんだ姿は、見ているこちらが恥ずかしくなる。

優子は後輩男子の中でもトップレベルの人気を博していて、独特の世界観を持っている子。
節約家で達筆。余談だが弟がいて、弟も超イケメン。

可奈子は、ちょっと病的に僕の考えを崇拝していて、本当に宗教のように僕のファンクラブの勧誘活動をしていた。
飲み会になると、延々と僕の素晴らしさを熱弁していた。ただ、僕には触れてはいけないと思っているようで、まさに崇めてくれていた。

まあ、多少奇妙な学生生活ではあったが、楽しかった。
そんなファンクラブ活動で、ちょっとした事件が起きた。

優子が病気になり、2か月ほど入院をしたのだ。
詳しくは聞いていないが、手術が必要らしい。

ファンクラブ内の奇妙な結束力で、その間は僕への活動が一時停止になった。
つかの間の休息?が訪れた。

と思いきや、優子が、突然、パジャマ姿で、サークルの部室に現れた。

僕「え?優子?何してるの?パジャマ姿やん。大丈夫なん?」
優子「はい。なんだか退屈で、病院を抜け出してきちゃいました。先輩、暇なら遊んでください。」

僕「ええ・・・いやいや。病人なんだから遊ぶとかダメでしょ」
優子「でも病院って暇なんですよ?やることなくて。」

僕「しかもなんでパジャマ!ここ大学だし。その格好でどうやってここまで来たの?」
優子「タクシーに飛び乗りました!すごいでしょ!」

僕「凄すぎるわ!怖いわ!」

部室にいた他のサークルメンバーも心配した。何せ秋。カーディガンを羽織らせたり、温かいお茶を用意したり。
少し談笑し、落ち着かせた。

と、不安は的中。
優子はその場に倒れた。

僕「優子!ほらもう、言わんこっちゃない。僕、今日はたまたま車で大学に来ているから、病院まで送ってくよ。」
優子「・・済みません。お願いします。ごめんなさい。。」

病院まで連れて行った。
病院には、急用でどうしても大学に行かなければいけなくなり、無理をさせてしまったと適当に言い訳をし、僕は、関係者の方にこっぴどく怒られた。

だが優子は、また病院を抜け出すと言ってきかない。
僕は条件を出した。

僕「じゃあ、こうしよう。僕が、授業が終わってバイトが始まるまで、病院に来てあげる。他の子も都合がついたら来てもらえるように頼んでみるから、病院を抜け出すのはやめてくれ。」
優子「先輩が来てくれるんですか?うーん。じゃあ、抜け出すのやめます!」
僕「よし、交渉成立な。無茶すんなよ」

優子「はい!でも無茶した甲斐がありました!」
僕「ええ・・・」

僕は、極力、病院に行くようにした。
まあ、そうなると、二人の距離は一気に縮まる。退院して大学に通えるようになるころには、僕と優子の間には特別な感情が芽生えていた。

翌春、僕は4回生になり、それを機に優子に告白した。
優子の返事はOK。だが、そのことは内緒にしようということになった。

実は、優子は打算的な女子で、自分がモテることを知っている。サークルの他の男子からプレゼントをもらったりもしている。
なので、今のチヤホヤ状態を失いたくないというのが理由だった。

僕も、(今では考えられないが)当時それなりに持ち上げられていたので、優子の提案に乗った。
僕は、優子のことは好きだったが、それよりも、優子の体に興味があった。

透き通った、白い肌。柔らかそうな唇。
少し幼い体型。
優子と付き合えば、それが自分のものにできる。
正直、ヤりたい。

僕ももう4回生だ。もうすぐ就職先も決めなくちゃいけない。
就職したら、きっと地元には残らない。
ヤり捨てでもいいや。どうしてもモノにしたい。

優子も、性的なことには興味があるらしく、でも自分のイメージを崩したくないのもあって、そういうことは拒否してきたらしい。
お互いに利害関係も一致し、まあ1年間、二人だけの秘密として、好き勝手やろうということになった。

最初は、雑居ビルの踊り場だった。

優子「先輩、けっこう大胆なんですね」
僕「優子だって。興奮してるんだろ?」

踊り場で、人目を気にしながら、舌を絡ませる。
付き合って初日。
デートの帰りに、この雑居ビルの踊り場に連れ込んだ。

少し小さな胸を、興奮しながら揉む。
優子「ふぅ・・・あっ。せんぱい・・子供っぽい体型で・・ごめんね・・・っ」
余計に興奮する
僕「揉んだら・・・大きくなるかな?俺は気にしないよ。気持ちいいし」

優子「ねえ・・・いっぱい・・・キスして・・・」

僕は、何度も、キスをした。

1か月ほど経過した時、ドライブに出かけることになった。

帰りの車中。
人気のない、山中に車を停めた。

僕「あれだな。」
優子「そうね。」

僕「僕たち、絶望的に性格が合わないな。」
優子「びっくりするくらい、合わないね。」

そう、会うたびに喧嘩していた。
やることなすこと、気に入らない。
お互いの打算的なところが見えて、本当にイライラする。優子も頭の回転が良く、考え方も似ていたため、
相手が何を考えているのか、本当によく分かる。

でも、僕は最後の所で、我慢した。
なんだかんだで、優子は、僕の要求にこたえてくれた。

僕「あーイライラする!」
優子「私も!もーなんなの?なんで先輩はいっつも自分勝手に」
僕「うるさい!」
無理やりキスをする!
暴れるが、すぐに大人しくなる。

濃厚なキスをし、僕は怒りにまかせて優子が座っているリクライニングを倒した。
優子は少し驚いていたが、無視した。

そのまま、馬乗りになった。
毟り取るように、シャツを脱がした。
優子「ちょっと!やめてよ!」
僕「知るか!」
強引に、ブラを引きはがした。

優子「やんっ・・見ないで・・・」
僕「はぁ?見るに決まってるだろ。ほら。良く見せてみろよ!」

優子は、恥じらうように、胸を隠す。
その手を、僕の手が強引にどかす。
そして、小ぶりだが形の良いバストがあらわになる。

優子の顔が赤くなる。
優子「・・・キスしたら、許してあげる・・」
僕「口には、しないからな。」
僕は優子の華奢な腰に、キスした。

優子「あ・・ん・・きもち・・いい・・」
僕「いいね。興奮する」
優子「耳・・耳にもして・・」

僕は、優子の耳を、口に含んだ。
ビクビクしながら、先ほどまでとは打って変わった表情を見せる優子

そのまま、僕は、優子のスカートをめくり、その中にある下着に、手をかけた。
優子は少し強張ったが、抵抗はしなかった。
下着をおろす。

僕は、胸を揉みながら、顔を、スカートの中に突っ込んだ。
優子「ちょっと・・・え?やだ・・・んっ・・・汚いから・・・え?・・・あっ・・・」
僕は、初めて、女性のアソコを、舐めた。

汗ばんだ匂い。決してイヤじゃなかった。
むしろ、そのトロトロとした舌触りが、今までに感じたことのないような興奮を引き出した。

僕「ぷはっ・・・はぁ・・はぁ・・どんな・・感じだった?」
優子「うん・・・変な気持ち・・・・でも汚いよ?」
僕「ん?汚く思わないけどなぁ。逆に、僕のアレって、汚く思う?」

優子「え・・いや?汚いと思わないよ。たぶん普通に触れるよ?」

優子はそういうと、いきなり僕のズボンのチャックをおろした。
僕「うわ!ちょっ」
優子「うふふ。形勢逆転!ほらじっとして!今度は私の番!」

そのまま戸惑う僕をしり目に、ベルトも外され、トランクスもおろされた。目の前には、優子の手、
恐る恐るという感じで、僕のいきり立ったアレを、そっと触った。

優子「ほら。やっぱり、別に汚いと思わない」
ニギニギと、あれを触りながら、優子が言った。

僕「あっ・・・ちょ・・優しく・・・」
優子「さっき、そういうのを無視したのは誰だった?え?」

ギュっと、玉のほうを握りやがった
僕「痛い!痛っ!おまえ馬鹿か!」

本気で痛かった。優子は慌てた。
優子「ご、ごめんなさい!そんなに痛いって思わなくて・・・」
僕「次やったら・・・本気で優子のこと、再起できないくらいに、めちゃくちゃにしてやる・・・」
うずくまる僕。情けない。

優子「ごめんね・・・お詫び・・」
優子は、そう言うと、僕のアレを、口に、含んだ。

ゾワゾワとした感触が、僕の股間に集中した。
こんなかわいい子が、僕のアレを、おそるおそる、口に入れている。

優子の髪が、僕の股間周辺をくすぐる。
達成感。なんというか、優子を支配したような錯覚。

これが、フェラか。
優子も初めてで、どうしたらいいのかわからないみたいだった。

優子「どう?どうすればいい?どうしたら気持ちいい?むちゅっ」
僕「舌を使わなくて・・いいよ・・あっ・・気持ちいい・・」

優子「先輩、されたこと・・あるの?」
僕「ないよ・・気持ちいい・・優子は?」
優子「ないから・・ん・・ちゅ。。聞いてるんです・・ちょっとしょっぱい・・」

すっかり毒気を吸い取られた二人。
童貞と処女。

これだけで十分満足だった。
心の整理がつくまで、お互いに本番まではナシにしようということになった。

SEXはやっぱりいろいろなリスクがある。
もちろん興味はある。だけれど。
避妊具を使っても、妊娠しないとも限らない。

ま、別にいいや。フェラまでしてくれるならそれでも、飽きたら別れよう。

この時はそう思っていた。

続きは、少し間が開きそうです。
仕事の空き時間がばらばらなので。

時は少し遡り、僕の大学の学祭。僕は、学祭の担当ではなかったので、サークルの子とは別にフラフラしていた。
京介・堅と合流する。

僕「お待たせ」
堅「遅い。何してたんだ」
僕「あー。見て回ってた。あそこの玉せん美味いよ。」
堅「なんやそれ。あ、そうだ。今日、怜奈ちゃんと絵里奈ちゃん、誘ったから来るよ。」
僕「わお。久しぶりだね。どうしてるんだろう。」

京介「まあ普通に女子大生やってるみたいだな。あ、俺ちょっと用事があるからあとで合流するわ。」

京介は、別の大学に彼女ができたらしい。バイトつながりだそうだ。
きっと、その彼女と合流するんだろう。

堅は、きっと怜奈を誘う口実が欲しかったのだろう。
絵里奈か。
あれ以来、あまり連絡をしていない。
今日も、学祭に来ることを知らなかった。

絵里奈「先輩!お久しぶりです!」
突然、背後から抱きつかれた。

僕「おわ!絵里奈か。相変わらず元気だな。久しぶり!」

やっぱり

絵里奈「もー、先輩、全然連絡くれないから、こっちから会いに来ちゃいましたよ!」

絵里奈は

僕「なんだそれは。僕が悪い感じ?まあせっかく来たんだしゆっくりしてきなよ好きなもん奢ってやるからさ。」

まぶしくて、綺麗で、可愛い。

僕は、サークルの仲間に見られないように、サークルとは離れたところを案内した。
自然と腕を組んでくる絵里奈。
しっくりとくる、この感触。

わかってる。気づいてた。
僕は、
高校時代から、
絵里奈のことが
好きだったんだ。

彼女は、高校時代、高翌嶺の花のような後輩だった。
大学生になって再会した時、こんな奇跡があっていいのだろうかと思った。

でも、彼女には彼氏がいる。
彼氏から奪いたいとは思わなかった。
彼氏のことは、死ぬほど羨ましかったが・・・

でも、今日、その彼氏はいない。
だから、
今日だけは、

学祭が終わるまでは、
僕のものでいてくれ。

学祭が終わりに近づいて、暗くなった頃。
僕と、絵里奈は、あの日以来の、キスをした。

結局僕は、
絵里奈とまた、連絡を取り合うようになってしまった。

絵里奈を抱きたい。
でも抱いてはいけない。

その鬱憤を晴らすかのように、

きっと、

優子を貪ったのだと思う。

4回生になり、就職先も決まり、あとは卒論という時期になってきた。

その頃、大学の研究室に閉じこもるようになった。
研究が、夜通し行われたりもするからだ。

優子は、よくその夜通しの研究にも付き合ってくれていた。

優子「はい。コーヒー。」
僕「お、ありがとう。」

優子「てかさー。いつまで研究してるの?そんなに卒論って大事なわけ?」
僕「うるさいな。貴重な時間を使ってるんだ。時間をかけるなら、それなりの論文にしたいだろ。論文にかける時間が無意味になる」

優子「適当でいいじゃん。就職先だって決まったし、研究室に残るわけじゃないし、就職したら遊ぶ時間減るよ?今のうちに遊ばないと!」
僕「もうお前どっか行ってろよ!邪魔するなよ!」

優子「はぁ?わざわざ研究に付き合ってあげてるんでしょう?なんで私が怒られなきゃいけないの?」
僕「相変わらずその一言が余計なんだよ!」

いつもそうだ。
いつも喧嘩ばかり。

そんな時、携帯が、鳴った。
画面上には、絵里奈の文字が映った。

僕は、優子の目の前で、取った。

僕「もしもし。どうした?」『ちょっと、電話の子、誰よ!』
僕「あー、いいよ良いよ全然。ちょうど話がしたかったんだ!うんうん。あははは!」『聞いてるの?ねえ!あなた何様のつもり?!』

僕「あ、ごめん。ちょっとうるさいから、移動するね!」

僕は、優子を研究室から追い出し、鍵をかけた。
優子は怒り狂い、研究室のドアを蹴りまくった。

電話を終え、ドアを開ける。
そこには、怒りに満ちた目で、仁王立ちする優子がいた。

あとは夜以降の更新になると思います。

>>1のメンタル強すぎね?

乙です
メール欄にsaga入れときましょう、
NGワードの伏せ字や変な誤変換がなくなります

>>45
若い時は、特に責任感も失うものもなかったので・・

>>46
お疲れ様です。
今後、saga入れさせていただきます。

優子「じゃあ、ちょっと話をしようか。」
僕「何の?」
優子「今の電話の子、誰?」
僕「誰だっていいだろ。お前だってよく他の男と電話してるだろ。」
優子「それとこれとは別でしょ。今はあなたの話をしてるの。」

僕「何言ってるのお前。僕の詮索するなよ。自分がやられて嫌なのなら、お前もするなよ。」
優子「つまり、やましい関係だと?」
僕「え?お前、他の男とやましい関係なの?」

優子は、怒りに満ちた目で、僕をビンタした。
一瞬、何が起きたかわからなかったが、自分の頬がジンジンと痛み、ああ、僕はビンタをされたんだと知った。

優子は、泣いていた。
僕は、言葉を柔らかくした。
僕「・・ごめん。言いすぎた。今の子は、高校時代の後輩。やましくないよ。優子と喧嘩しちゃってたから、意地悪したくて、わざと電話に出た。ごめん。」

優子は、何も言わず、泣いたまま、僕に抱き着いた。
僕「電話されるの、イヤだったの?」
優子「そんなんじゃない。なんか、侮辱された気がして情けなくなった。」
僕「僕たちの関係、何なんだろうな。」
優子「もう、無理なのかもね。」

僕は、優子を、研究室のソファーに横たえた。
優子「明かり、消してよ。」
素直に、研究室の明かりを消す。

もう最後かも。

最後なら、思いっきり、穢してやる。
その後のことまではもう、知らない。

優子の服を、全部脱がせた。
優子の体は、相変わらず、透き通るように白くて、綺麗だった。

でも、この当時の僕は、見慣れすぎていて、何とも思わなかった。
ただ、揉んで、舐めて。それだけだった。愛情なんてなかった。

この日、全身を舐めまわした。
優子は、感じるそぶりも見せなかった。ただ、何もせず、事務的に寝ていた。

僕は、そこで一旦とまり、僕も全部の服を脱いだ。
初めて、優子が、びくっとする。

優子「え?何するの?」
僕「決まってるだろ。」

優子「・・本気なの?」
僕「ああ。我慢するのをやめよう。お前も興味あるんだろ。」
優子「・・・うん。」

優子は、上半身起き上がり、僕のアレを、舐めた。いつもはしょうがなくだったが、この日は、ぎこちない感じだった。
これから起こることに、不安を感じているようだった。

僕の指が、優子のアソコを、なぞる。
優子「んっ。少し怖い。」
僕「小指なら、どんな感じ?」

優子「あ、あんまりかき回さないで・・・ん・・あっ・・だ、大丈夫。」
僕「ちょっと、緩めて。」
優子「だって・・怖いし・・」
僕「大丈夫だよ。・・・・・中指でも行けるよねこれ」

僕はおもむろに小指を抜き、中指を、ゆっくりと、付け根まで、入れ込んでみる。
優子「あああん・・うん・・いいよ・・・大丈夫みたい・・・」

手鏡があったので、優子に見えるように、その部分を見せてやった
僕「ほら。見えるだろ。」
優子「いや。。見せないで・・あっ・・・指が…入ってる・・・やだ・・・」

優子は言葉と裏腹に、まじまじと手鏡から見える風景を眺める。
僕は、あらかじめ用意したゴムを取り出した。

優子「ねえ。私に着けさせて。」
僕「いいよ。失敗しても予備もあるから。」

優子は、不慣れな手つきで、ゴムの袋を破り、中身を僕のナニにつけようとした。
僕「痛っ。爪当たってる。そんなにきつく持たないで。痛いって!もういいよ僕が付けるから!」
優子「やだ。頑張ってつける!」

そんな一生懸命な優子は、少し可愛かった。
また、ぎこちない手つきが、僕のアレを最大限までギンギンにさせ、はちきれそうになって、すごく痛かった。

なんとか、ゴムをつけ終え、僕は、万感の思いで、優子に、挿入した。

優子「あ・・・ああん・・・んっ・・あっ・・・少しずつ・・ゆっくり・・ゆっくり入れて・・・ゆっくり・・ゆっくりゆっくり!!」
僕「これくれい・・・このペースでいい?」

優子は、痛がることはなかったが、急に中に広がってくる異物に恐怖を感じるようだった。
奥まで入ると、優子は安堵した。

僕「どう?大丈夫?」
優子「うん。落ち着いた。」

優子は、ギュッと僕を抱きしめた。
僕は、ゆっくりと腰を動かした。

優子「はっ・・・あっ・・・んっ・・・あっ・・・気持ち・・・いい・・・あっ・・・あっあっあっ・・・」
僕は、アレが抜けないように気を付けながら、一心不乱に腰を振った。

大して気持ち良くない。
これじゃあ、イケないよなぁなんて考えながら、それでも目の前の行為には興奮しながら、
ずっと腰を振り、腰を優子に打ち続けた。

すると、今までにない膨張感がアレを襲い、これはひょっとしてと考えるまでもなく、射精してしまった。

僕「あっ・・・あ・・・・ふぅ・・・」
急速に衰えを見せるアレ。
僕は、優子とSEXしたんだ。僕は、優子に挿れ、優子はそれを受け入れ、ゴム付きだけれど、優子の体内に、僕の発射されたものを、入れたのだ。
汗ばんだ二人、抱きしめ合った。僕は久しぶりに、優子がとても愛おしく思えた。

どれくらい腰を振り続けていたのかも覚えていない。5分だったのか。20分だったのか。


とにかく、僕と優子は、童貞・処女を卒業した。

今回はここまでです。

残りの大学生活は、あっという間だった。

卒論発表までは延々と研究室に閉じこもり、合間に優子と会う。優子とはそれから何度も体を重ねた。
たまに、京介や堅、絵理奈・玲奈と飲みに出かける。

研究室の同期とは、いろいろあり、あまり仲良くなれなかった。
まあでも、卒業旅行なんかは一緒に出掛けた。

気が付けば、卒業式。
京介達と一緒に講堂で卒業式を迎え、それから僕は優子の待つサークルへと向かった。

サークルでは、ファンクラブの子達が、僕を迎えてくれた。
大量の花束。体重の軽い僕は、本当に胴上げで空中まで飛んだ。

そして、その夜、サークルで卒業記念飲み会が開かれた。


後輩「先輩、お疲れ様でした!乾杯!!」

わいわい飲んでいると、そこに、栞里がやってきた。

栞里「卒業おめでとう。」
僕「栞里もな。お互いいろいろあったけど、いい学生生活だったな。」

栞里「うん・・」
栞里は、ぎこちなく、笑った。

僕「・・?どうした?」
栞里「約束、覚えてる?私は、待ったよ?」
優子とのことは、サークル内で秘密だったので、栞里はまだ僕が優子と付き合っていることを知らなかった。

僕「・・・ああ。でも、結果は、分かってるだろ?」
栞里「そうだね・・・ほら、例の、親友と思える男の子がいるって話、したでしょ?」
僕「うん。」
栞里「このままいくと・・私は、彼と・・・付き合っちゃうことに・・なりそうなの・・」

知っていたが、敢えて知らないふりをした。

僕「そうなんだ・・良かったじゃないか。」
栞里「あなたは、それでいいの?」
僕「いいよ。僕に義理を通して、今まで付き合わなかったんだろう?もう、僕の呪縛から離れるべきだ。僕は、君が思うような男じゃないよ」
本音だった。

栞里は、すっきりした顔で、にこやかに笑った。
僕「いい笑顔じゃん」

栞里「はっ。結局私、あなたに振られるんだね。」
僕「わかってたことだろ。」
栞里「うん。あなたは、私の恋愛ごっこに付き合ってくれていたんだね。ありがとう。」
それはちがう。当時、間違いなく、僕は、彼女を愛していた。
僕は、栞里のおかげで、人並みの感情を持てた。
栞里のおかげで、嫉妬を知り、人を思いやることを知り、罪悪感を知った。

感謝しかなかった。
僕「そうかもしれないな。ま、僕なんか忘れて、好きに生きなよw」
僕は嘘ぶいた。

最後に、栞里と乾杯して、別れた。
僕はこの日以来、栞里とは会っていない。

卒業飲み会。別名、追い出し会。
追い出し会において、主役は僕たちだ。

主催者は、後輩。
後輩の進行のもと、追い出し会が進む。

余興が始まり、僕のファンクラブ解散式なるものが始まった。
全員と祝杯を。それぞれに交わす。
10人以上いたので、10杯以上、飲んだ。

最後に、ファンクラブによる、僕の競売が始まった。
追い出し会終了時間まで、僕を好きにできる権利だそうだ。

最初は、1円からスタート。
最終的に、優子は100円。祐希は自分のストッキング。可奈子がデコピン2発となり、その中から僕が選ぶことになった。
僕は、可奈子を選んだ。

可奈子は、いい悪いは別にしても、本当に真面目にサークル活動をし、僕にも良くしてくれた。感謝の意味を込めた。
あまり直接は話をしたことがなかった。

可奈子は、泣きながら、僕の隣に座った。
可奈子「私、本当に、先輩にはお世話になりました・・・寂しいです・・・」
僕「何言ってんだ。可奈子なら、もう十分に立派な先輩じゃないか。このサークルだって、お前なしじゃ回らない。今まで本当にありがとう。」

可奈子「そう言ってもらえて・・・嬉しいです(涙)」
僕「あ、ごめん。ちょっとトイレ。」
そう言って席を立つと、可奈子も席を立った。

可奈子「私もお供します!」
僕「あほかw座ってろよww」
可奈子「追い出し会が終わるまでは、先輩は私のものです!逃しませんよ!」

どさくさに紛れて、可奈子は僕の腕に絡みつく。
追い出し会の観衆から、熱い声援が飛ぶ。
「可奈子ー!!いけー!!押し倒せー!!」
「今日こそ思いを遂げるんだ!!」
「隣の個室、空いてるから使っていいぞ!!」
可奈子は、隣の個室に僕を連れていき、鍵をかけた。

外からは、黄色い声援が飛んでいる。
僕「あの・・トイレに行きたいんですけど・・・」
可奈子「わかってますってw」
可奈子はにっこり笑うと、目を閉じて、僕に顔を近づけてきた。
その眼には、涙が。
可奈子は、笑いながら、泣いていた。
僕は、そっと、すこしだけ、キスをした。

可奈子のにこやかな笑顔は、次第に、くしゃくしゃな泣き顔になった。

可奈子「先輩・・・ずっと・・・本当に・・・大好きでした・・・」
汚い泣き顔だった。でも、とても、綺麗に見えた。

僕「ありがとう・・・その気持ちには答えられないけれど。可奈子に出会えて、本当に良かったと思ってる。ありがとう。ありがとう・・・」
少しの間だけ、抱きしめる。

と、可奈子は、僕から離れ、個室のカギを外し、外へ出た。

可奈子「皆さん、わたくし、可奈子は、たった今、先輩に告白して、見事に振られました!!えへへへ!!今日は飲むぞーwww!!」
ぐしゃぐしゃの泣き顔のまま、可奈子は笑って、ビールの入ったコップを飲み干した。

「「「ええええ!!」」」
「うわ、お前最低だなwww」
「お前、ちゃんと責任とれよwww飲めやww」

そんなこんなで、さらに飲まされた。
オークションの途中から冷ややかな視線を送っていた優子も、それを見て安心したのか、僕にビールの入ったコップを押し付けて
「ほらほらwwwのめのめwww」
と煽ってきた。

可奈子、ありがとう。
今でも、つらいことがあった時、あの頃のバカ騒ぎを思い出して、元気をもらっているよ。

追い出し会の帰り道、送ってくれたのは、祐希だった。

祐希「飲み過ぎだよ・・・」
僕「しょうがないだろ・・・おええ・・気持ち悪い・・・」

ベンチにもたれる。
祐希「ほら。お茶。」
僕「ありがとう・・・」

お茶を飲むが、味なんてわからない。
胃を洗浄する程度のものだ。

僕「・・・ああダメだトイレ」
そのまま胃の中のものを公衆トイレに流し込む。

ベンチまで戻り、お茶をまた飲む。

僕「気持ち・・・悪い・・・」
もう歩けない。

祐希「はぁ・・あのねぇ。私だってたくさん飲んだよ?それでも、節度を持って・・」
僕「はいはいスミマセンデシタもういいでしょ文句があるなら帰ってください。」

気まずい雰囲気というよりかは、お母さんと子供に近い雰囲気。

祐希「あなたを放っておけないでしょう・・これでも・・・」
僕「何よ。これでもって。」

これでも、あなたのファンクラブなのよ?ってか・

祐希「これでも・・・その。。。初めて好きになった人なんだから・・・」

えっ。
僕が・・
初めて好きになった人?

祐希は、小・中・高と女子学校に通っていたのは聞いたことがある。
そうか。今まで男子との接点がなかったのか・・・

僕「・・・まあ、ファンクラブに入ってくれたくらいだからね・・・」
祐希「栞里ちゃんが、本当はうらやましかった。だから、嫌がらせもしたことがあるわ。」

それは知っている。
祐希「さっきだって、可奈子ちゃんに嫉妬してた。」
僕「振っちゃったけどね」

祐希「そうだけど・・私には、今まで、そんな勇気がなかったもの・・」
僕「・・・」

祐希は、泣いていた。
僕「え・・おい・・・えと・・」
祐希「私、知ってる。優子ちゃんとも付き合ってるんでしょう。私・・・私・・・」

僕は、正直、祐希のことは苦手だ。でも、泣かれると、弱い。
そりゃあまあ、祐希は美人だし、僕ら同級生の中でも、人気はある。
体系のことを今までふれなかったが、実は色白でグラマラスだ。

そんな子に好意を持たれるのは、嬉しい。
でも・・・

僕「祐希は、どちらかというと、僕からすると、うーん。気の合う友人としか見れないよ・・・」
祐希「それも・・・わかってる。」

祐希は、泣きながら、身を預けてきた。
僕は、そっと、抱きしめた。

祐希「ありがとう。。。嬉しい。。。私は・・・これで・・満足。」
祐希はこれから、親元を離れ、県外に就職する。バリバリのキャリアウーマンになって、僕を見返すらしい。
それでいい。

こうして僕の、充実したサークルの出来事は、終わりを告げる。

これから僕も、県外に出て、就職する。
優子とも、遠距離恋愛をするつもりはなかった。

友人も恋人も。何もかも一新して再スタートだ。
僕は前しか見ていなかった。

だから、これから社会人になって起こる、自分の心境の変化には、心底驚かされた。

スミマセン明日の仕事の準備があるので本日はここで終了です。
読んでいただいている方、ありがとうございました。

次回は、社会人編になります。

僕はここから(これまでもひどいかもしれませんが)ひどい人間になっていきます。。
因果応報。ひどいことをすれば、それなりのことが返ってきます。

もし質問や疑問・リクエストなどあれば書いておいてくださればできるだけ回答・善処します。

それではお疲れ様でした。

卒業し、就職先の手配したアパートに引っ越すまでの間、春休み中の優子と頻繁に出かけた。
そして、体を重ねた。また、他の友達とも出かけた。

絵里奈とも、何度かデートした。
でも、絵里奈とは手をつないで出歩き、帰り際にキスをするだけ。
それ以上は踏み込まなかったし、踏み込む隙もなかった。

そんな日が続き、とうとう、引っ越す日が来た。
優子「これから頑張ってね。」
僕「ああ。また一からやりなおしだ。向こうでも頑張るよ。」

お互い、ドライだ。
だから、直前まで、お互い、これから訪れるであろう解放感を待ちわびていた。

某駅の新幹線改札口。
最終便があと10分で行ってしまう。

僕「じゃあな。着いたらたぶん連絡するわ。」
優子「うん。別にいらないよ。」
僕「そうか。元気でな。」



僕は、ふいに後ろを向き、改札口を通り、一気に階段を駆け上がった。
僕は、泣いていた。


少しだけ、振り返った。
優子は、改札口の前で、座り込んで、俯いて泣いていた。


どうしてかはわからない。
今まで身近だったものが、急になくなる喪失感。

ああ、僕は、優子から離れるんだ。
そして、優子は、僕の就職先のことも碌に教えられず、僕から離されたんだ。
そのことに、たった今、気づいた。

あふれる涙。
あんなに喧嘩したのに、あんなに煩わしかったのに、正直、体だけが目当てだったのに、
その瞬間、僕は、大切なものを失うという意味を、知った。

アパートに着くと、優子からたくさんのメールが来ていた。
「まさか、自分が泣くとは思わなかった。」
「自分でもわからない。パニックになっているどうしていかわからない」
「いつでもいい。連絡が欲しい」
「行かないでほしい。帰ってきてほしい。」
「帰ってきてくれるなら、他にはなにもいらない」

僕はすぐに電話をした。
優子はずっと泣いていた。

僕「ごめん」
優子「謝らくていいから、帰ってきて」
僕「それはできなよ。僕は、会社に就職して、それから」
優子「そんなこと知らない。帰ってきて」

僕「ごめん」
優子「目の前から、あなたがいなくなった。」
僕「ごめんなさい。」
優子「分かってた。就職先の相談もなかったし、就職先の場所を聞いた時、大事にされてないことくらい知ってた。」
僕「ごめん」
優子「それならそれでいいと思ってた。あなたなんていなくていいと思ってた」
僕「ごめん」
優子「帰ってきて!もうわがまま言わないから・・・帰ってきて!」

僕は夜通し謝った。
優子は許してくれなかった。

僕は、この日から、毎日、電話をかけ、何時間も謝り続けた。謝る日々は、3か月続いた。
僕には、彼女しかいない。
彼女のために、僕は一生懸命働こう。


そして、彼女を、迎えに行こう。
彼女と、結婚したい。


僕「優子、聞いてくれ」
優子「・・何?」

僕「僕は、今の会社でキャリアアップしたい。」
優子「うん。」
僕「そのために、5年。5年は今の会社で頑張る。」
優子「うん。」
僕「それまで、会ってくれるのなら、毎週、会いに行く。」
優子「・・・うん。」
僕「もしこっちに遊びに来てくれるなら、その費用は僕が全部出す。」
優子「・・・うん。」

僕「だから・・・」
優子「・・・だから?」
僕「この関係が、5年続いたら・・・」
優子「・・・続いたら?」


僕「結婚してほしい。」
優子「・・・・」

僕「返事は、今じゃなくてもい」
優子「待ってる。それまで、私も待ってる。私も、もっといい子になれるように頑張る。ずっと、一緒にいていいの?」

僕「・・・ああ!いいよ!じゃあ、今週末、会いに行くから!」
優子「・・・うれしい・・・・ありがとう・・・」


こうして、僕と優子の遠距離恋愛が、始まった。

僕の就職先は、上場企業で、僕は研究職として入社した。
新入社員は数百人いる。

最初の3か月は、社員研修ということで、営業職・研究職等全員が本社に集められ、ビジネスマナーや業界のルール等を徹底的に教え込まれる。

10人ずつくらいに班分けされ、その班で行動。研修期間中に採点されて、最終結果で優秀な班にはそれなりの厚遇が待っていた。
僕たちの班は、幸運にも、トップの採点を受けた。

僕はタイムテーブルを作成し、それぞれのみんなの希望配置先を聞き、研修の種類ごとにリーダーを決めた。
研修は、社会・会社の縮図だ。せっかくの機会なので、配属されるまでに予行演習をしようと提案し、みな、賛成してくれた。
研修期間はあっという間に終了し、それなりに充実した毎日だった。

人事部長に、呼ばれた。

部長「まあ、入って。」
僕「はい。失礼します。」

部長「君、研究職希望だったよね?」
僕「はい。大学で勉強したことを生かせる職種・・・」
部長「ああ、そういうのはいいから。実はね・・今回の研修を見ててね。君を・・・」
僕「はい?」

部長「経営企画室に配属したいんだが、いいかな?」
僕「・・えと・・・すみません。業務内容が分かりかねます。」
部長「要は、マーケティングや中長期戦略を立てる際の調査。主に、目先の利益より、今後の『金のなる木』を探す仕事だね。」
僕「大変興味がありますが、私でいいんでしょうか。」
部長「うん。誰でもいいんだ、最初は。もし、適性がなくても元々の研究職にいれてあげよう。研究職に着いた後、目先にとらわれないような考え方を持っていても不利にはならないよ。」

僕「聞くまでもなく推測できますが、なぜ私なのでしょうか。」
部長「まあ、君のいた班がトップだったのもある。あの班は、もともと成績優秀者を集めていた。」
僕「そうだったんですね・・・私がそこに入っていることに驚きました。」
部長「謙遜はいい。で、営業希望の子がね、今回の研修のトップ成績だったんだけれど、君のことを推薦していたよ。「彼のようなヤツと一緒に仕事がしたい」と」

僕「ああ。彼は優秀でしたね。私は、彼のやりたいことをサポートできるような体制をとっただけですが・・」
部長「昨今、潤滑油ですなんて言う新入社員が増えているが、君は、いい意味で潤滑油だよ。これからも、営業の役に立つようなバックアップを、経営という観点から考えてみてくれ。」

僕「・・こんな私でよければ、お願いします。頑張ります。」

僕は、本社の、経営企画室に配属された。
新入社員で配属されたのは僕ともう一人。もう一人も、同じ班にいた人だった。
彼とは今でも交流がある。

配属先について、優子に連絡を入れた。
ちょうど、先述の通り、許してもらった直後くらいだった。

優子は喜んでくれた。かっこいいねと。
(補助金は出るが)自腹でいろいろ参考書物も揃えた。

最初は、先輩のかばん持ちに近かった。
簡単な書類作成。現地視察。展示会。報告書を先輩の代わりに書く。
勉強することが多く、あっという間に夜。
報告書は一般的なソフトで作成だが、提案書やマーケティング資料はイラストレーターやページメーカー・フォトショップなんかも使って編集した。
また、データ解析はオラクルやアクセスなんかも使った。
その技術習得に加え、マーケティング等の理論の勉強。時にはCGのソフトまで使っていた。
当時はまだスマホもない。デジカメも普及するかどうかの時代だ。覚えることは山のようにあった。

それでもなんとか22時には帰宅し、それから優子に数時間電話。
朝起きて・・・を繰り返した。
週末は、基本的に優子に会いに行った。

正直、体力は限界だったし、貯金も全くなかった。
それでも、とても充実していた。

優子は、そんな僕を、いつも癒してくれた。
優子が長期の休みになると、僕のアパートに来てくれて、半同棲のような時期もあった。
僕の自由があるかぎり、優子に費やした。
同期であつまれば、優子を連れて行ったし、優子のイベントがあるときは、忙しかったが平日でも有給が取れれば会いに行った。

半年ほど、そんな生活が、続いた。

僕「僕たちにとって、この距離が、ちょうど良かったんだね。」
優子「そうだね。会う時に、充実して会える。会えない時は、他のことに集中できる」
僕「まさに、そう。僕は今幸せだ。ありがとう」
優子「こちらの方こそ、ありがとう。」

優子は、大手メーカーに就職が内定していた。
僕の休みに合わせて休める職種だった。
彼女は優秀だ。氷河期と呼べる時期に、数社から内定をもらっていた。
優子「あなたのおかげです。アドバイスが参考になりました!」
僕「優子の実力だよ。よかったな。」

こんな関係がずっと続けばいい。
そう思っていた。

今回はここまでです。

あ失礼。
今回はここまで。次回は夜以降に書きます。

申し訳ないです。
昨日は23時には手が空いたのですが、そのまま寝てしまいました。
今日もこれから出かけて、PCの前に座れるのは夜です。
更新はそれ以降になりそうです。

ちなみに、社畜時代のエピソードが続きます。
他の女性との出会いもそれなりにありましたが、あくまで、かなり仲良くした方しか登場しません。

エロ展開は当面出てきませんので。。。

と言いつつも、せっかく待ってる方がいらっしゃるのでスマホから。

年末年始になり、帰省した。実家を宿にしたが、特に両親とは話をしない。

優子の家に挨拶に行き、優子とイケメン弟(長瀬智也似、以下智也)を連れ出す。

僕「智也君久しぶり!髪色レインボーになってる!」
智也「久しぶりっす。僕さんも髪色変わったんスね。」
僕「先輩の影響かな。うちの部署、そういうのに寛容なんだよ。」
智也「イイっすね。俺またバイト先の店長に怒られて。。」
僕「姉ちゃんから聞いたよ!ダメだよ勝手に店長の車持って帰ってきたら!」
智也「だって彼女がどうしてもカーセックs」
優子「トモ!変な話してないで前向いて運転しなさい!」
僕「あはは後でまた続き聞かせてくれよ!」

僕たちは郊外の居酒屋で飲み明かした。
智也「ねえ、2人って結婚すんの?」
優子「こら!」
智也「いいじゃん聞かせてよ。」
僕「このまま進めばねー」
智也「うわw今からにいちゃんって呼ぶことにする!」
僕「ヤメロw」
智也「そうだ連絡先交換してイイっすか?」
僕「いいよ。これからもよろしくね」


年始になり、京介・堅、絵里奈、玲奈と会った。

堅「久しぶりー」
僕「久しぶり。どう、元気にしてる?」

堅も京介も、地元を離れて就職した。就職してすぐのGWに会って以来だった。

京介「まあぼちぼちだな。お前音信不通すぎるんだよ今まで何してたんだ?」
僕「ごめんごめん。ちょっと忙しくてさ。連絡はしたかったけど。。」

2人とも、残業は皆無だった。2人とも研究職。会社第一主義ではないし、社会人を満喫している風だった。色々話をし、次のGWもまたどこかに行こうと話をした。

絵里奈「最近、本当に連絡くれないよね。。私、暇なんだけど。。春休み長すぎる!」

僕「学生時代しかそんな休みはないんだから、今のうちに遊んでおかないと!!」
絵里奈「その、遊んでくれる人が、目の前にいて、遊んでくれないって言ってるんですけど?」
僕「え?僕?彼氏でしょそういう役目は。」
絵里奈「え?彼氏?この2年くらいいないけど。。」

衝撃だった。絵里奈はずっと彼氏持ちだと思っていた。僕は少しだけ動揺した。

僕「ええ。。なんか衝撃。。」
絵里奈「私も春から就職だし。。その。。春休みの間。。そっちに。泊まりに。。行きたいんだけど。。」

一年前なら間違いなく喜んだ。でも、この時の僕は、そうじゃなかった。

僕「僕は、彼女がいるし、さすがに泊めることはできないな。」
この時は、本音だった。
絵里奈は、初めて、悲しそうな顔をした。

絵里奈「ちょっとみんな聞いてよ!私が先輩の家に泊まりたいって言ってんのに、こいつ彼女がいるから無理とか言うんですけど!ありえなくない?私のことなんだと思ってんの?」
僕「おいおい落ち着けって。」
絵里奈「信じらんない!来るなとか」
僕「そうは言わないよ。みんなで遊びに来ればいいじゃん。案内するよ。でも社会人になってからな。」
絵里奈「なんで?」
僕「春までは本当に忙しいんだ。毎日10時くらいまで仕事だし。」
絵里奈は不満そうだったが、GWに一緒に遊びに来ることになった。

正月が明けて、会社に行くと、辞令が出ていた。同じ部署に配属されていた同期(田村淳似、以下淳)が異動になっていた。

僕「あれ淳、異動願い出したん?」
淳「この前のミスが響いて、開発に行けってさ。まあ俺も開発希望だったしな。」
僕「大したことじゃないと思ったけど、いろんな部署に迷惑かかって、発売も少しだけずれたもんなぁ。でも厳しすぎないかそれ。あんなの、新人に任せていい案件じゃなかったよね。」

淳「案件の規模が分からず、自信満々に進めた結果だよ。フォロー助かった。お前はここで頑張りなよ。また連絡するな。」

そう言って、淳は机周りの整理を始めた。
会社は怖い。そう思った。

昼前に、社長がフロアに来られて、新年の挨拶をされた。

社長「我が社は今、困難な情勢にある。それもこれも、皆が真面目にやらないからである。君たちは、3人いればこなせる仕事を、5人でやっている。ボーナスは今後出さない。もっと営業の要望を叶える仕事をしなさい。」

その後、部長に呼ばれた。
部長「まあ、社長があんな感じだ。うちの部署もこれから厳しくなるな。淳くんの補充はナシ。君が案件を引き継いでくれ。」
僕「キャパを超えると予想できますが。。」
部長「そうだな。だから、君の抱える案件は、これから全て課長を通すように。申請書としてあげるんだ。やってもいい案件だけ判子を押す。その他は部長命令の下、やってはいけない。」

この頃、いろんな先輩のサポートや営業所からのサポートをしていたが、毎日のレベルで様々な案件を処理していた。
部長は、その全てに申請書を出せと言っているのだ。

僕「そう言う命令ならば、今後そうします。」
僕の仕事は、予想通り、増えた。

眠いけれど作業が・・
合間でよろしければ少しでも書きます。

ありがとう。

部長の指示を受けて申請書を出して作業をするようになってからは、僕の仕事の比率は営業所の支援が大半を占めるようになった。

つまり、部署内のサポートの仕事は激減した。

①メイン:営業所サポート
②サブ:課長のサポート
③サブ:一人の先輩のサポート

これくらいになった。

課長は本当に多忙だ。
週の半分以上は出張でいない。

また、出張のないときはだいたい会議だ。

課長「よし、じゃあ、週明けまでに、この資料をまとめておいてくれ。私はこれから出張だから。」
僕「はい。では、○○のようなイメージで作ればいいですか。」
課長「そうすると、△△のあたりで矛盾してくるだろうから、○△の資料を参考にして。」
僕「となると、□の部分にしわ寄せが・・・」
課長「とりあえず作って。メール飛ばしておいて。出張先で確認してまた電話するから。」
僕「はい。」

こんな打ち合わせを会議室で行い、自分のデスクに戻る。
そうすると、だいたい、各営業所から問い合わせの電話ありのメモ書きが何枚か貼ってある。
折り返す。

営業所からの依頼は様々だ。
その電話内で済むものも多い。ちょっと調べてメールを送ったり電話だけで終わることもある。
その電話を切ると、また問い合わせありのメモ書きが何枚か追加される。

そうやって電話をすると、電話だけでは処理できない案件が出てくる。そうなると、課長に申請書を出さなければ作業できなくなる。
申請書を作成し、課長に渡す。課長が出張でいないときは、部長に渡す。

大体の案件は似通っているので、提案書や展望書などのフォーマットに適当に落とし込めばなんとかなる。
フォーマットは、あまりにも問い合わせが多かったので、何種類か作って流用することにした。

今思えば、おそろしく拙く、ミスも多かった。
それでも、営業所の方達は喜んでくれた。

なんでも、客先の要望に、いち早く提案書などを持っていくことが大事なんだそうだ。
内容は正直二の次。客先は、自分たちの意見が反映され、自分たちのためにいち早く動いてくれる営業マンが好きなんだと。
流石は営業マンだ。あんな資料でよくもまあ客先へいけるものだ。

そう。僕の資料は、絶望的にセンスがなかったのだ。自分でも、イヤになるほどだった。
僕がそういう悩みを抱いたとき、参考にする先輩がいた。

それが、③に挙げた先輩だ。(沢村一樹似、以下沢村さん)

僕「沢村さんお疲れ様です。」
沢村「ん?お疲れ様。どうした?」

僕「□△の案件なんですが・・・参考になるような提案書がないでしょうか。場所を教えてもらえれば自分で調べます。たたき台が出来たら見てほしいです。」
沢村「んー、俺が作ってやるよ今から。ちょっと時間あるし。」
僕「え、いいんですか。ありがとうございます。」

沢村さんは、僕だったら1週間は悩んでかかるであろう資料のたたき台を、いとも簡単に、解説付きで、わずか1時間で作り上げてしまった。
しかも、僕が作るよりもわかりやすく、視覚に訴える。

沢村「こんな感じかな。あとは同じように作ってみなよ。あとで添削してやるから。」
僕「本当に助かりました。ありがとうございます。相変わらずのセンスに脱帽です。。」

沢村「お前はさ。難しく考えすぎなんだよ。お前の資料は読んでて疲れる。」
僕「そうでしょうか。もし具体的に気づくことがあるのでしたら、指摘してください。」
沢村「お前は、顧客のニーズが分かってないよ。顧客が求めてるのは、うちの会社の製品を買ったら、うちと契約したら、うちに投資したらどんないいことがあるのかを知りたい。」
僕「はい。」
沢村「言い換えると、向こうはその道のプロだ。正直、うちの提案書なんかなくたって大体の事情は知ってる」
僕「まあそうですね。」
沢村「顧客はな。自分の思った通りの提案書が出てくることを望んでるんだよ。わかるかな。」
僕「そんなもんでしょうかね。」

沢村「お前の書類は、必ずリスクの説明が入るんだよ。そんなの、顧客は望んでない。新規の案件だぞ?顧客を不安にさせてどうするんだよ」
僕「しかし、過去には同様のリスクが存在したわけで、ちゃんとそのあたりを説明した方が・・・」
沢村「新規の案件で、これから何が起こるかわからないものに、過去の事例を、新人の私見で盛り込むことの方がリスクだと俺は思うよ」
僕「確かにそうです・・・」

沢村さんの仕事は早い。そして、非常に美しい。
正直、退屈な会議が多い。
しかし、退屈な会議でも、沢村さんの提案する時間だけは、だれもが釘付けになる。
社長ですら、沢村さんを知っていた。

沢村さんは、天才だった。
そして、頭の回転が速かった。先見の目もあった。

だから、自然と、僕は、沢村さんの弟子のようになり、いつしか、沢村さんの部下のような立場になっていった。

そんな沢村さんだが、沢村さんにも欠点はあった。

彼の提案することは奇抜で、だれもが納得できる内容で、誰もが引き込まれる。
だから、誰もがその案件に飛びつくのだが、提案の根拠となる資料は、一切ない。

彼は感覚のみで作業をし、裏付けのない資料で利益計算をする。
なので、契約後・進行後に辻褄が合わないことがあるのだ。

なので、僕が、裏付け調査や確固たる根拠を探すサポートをした。
僕には、そういうサポートの方が向いているらしい。

お客様「君、沢村さんが褒めてたよ。」
僕「え?私をですか?」
お客様「うん。彼の知識は凄いと。彼に聞けば、間違いなく納得できる資料が出てくるってさ。」

僕は、沢村さんの役に立っているんだ。
そう思うと、嬉しかった。

営業所からの問い合わせは、定時までしかない。
僕は、定時までは営業所からの応対やサポートをし、定時過ぎてから課長と沢村さんのサポートをするという毎日を送っていた。

沢村さんも、いつも夜遅くまで働いていた。
彼の周りには、いつも女性がいた。
同じフロアの子であったり、他部署の子であったり。
沢村さんは、本当にモテた。そして、変態だった。

爽やかに女性を見送り、僕に呟く。
沢村「あいつ、いいケツしてるよな。このコーヒーを、あのケツに、流し込んでやりたい!」
僕「ええ・・趣味悪いですよ・・・」
沢村「ああ・・そうして・・あの子の表情が・・・苦悶のそれに変わって・・・ウヒヒ」
僕「ひどい・・・」

沢村「そうだお前、うちのマンションに引っ越して来いよ。」
僕「え、あのマンション高そうですからやめときますよ」
沢村「大丈夫だよ。会社に申請すれば家賃全部持ってくれるから。」
僕「そうなんですか!このご時世、通りますかね?」
沢村「俺が通してやるから気にすんなよ。あそこはいいぞ。防音がしっかりしてる。」
僕「それは魅力的ですね。」
沢村「ああ。防音は大事だぞ!悲鳴が外に漏れない!」
僕「ええ・・・」


帰宅は、午前様になることも出てきた。
このころは、仕事が楽しくてしょうがなかった。ただ、他部署の同期が定時付近で帰宅しているのを見ると、うらやましくもあった。


気づけば、毎晩のようにしていた優子への電話もだんだん短くなり、いつしか数日に1回の電話になり、メールでやり取りする程度になっていった。
そして、会う頻度も、毎週だったものが、隔週になり、月1になった。

優子は、気が付けば大学を卒業し、社会人になっていた。

毎日はあっという間に過ぎ、GWがもうすぐ来ようとしていた。

GWは完全にオフにできた。嬉しかった。

沢村「俺はタイで過ごすわ。あっちは物価が安いからな。豪遊できるぜ」
僕「いいですねぇ。行ってらっしゃい!」
沢村「ああ・・お前も連れてってやりたい・・・(自主規制)の楽園に・・」
僕「・・・・ええ・・・」

淳「俺は帰省だ。お前は帰省するのか?」
僕「いや。まだ引っ越したばかりだし、片づけもあるしな。友達や彼女は来てくれるんだってさ。」

僕は、沢村さんの住むマンションに引っ越していた。
間取りもいいし、快適だ。

僕「なんなら、淳もこっちに引っ越して来いよ。駐車場代も会社が持ってくれるし、こっちの方が得だと思うよ。」
淳「ああ、そうか・・・こっちの方がジムも近いしなぁ。考えておくよ」

それぞれが、それぞれの思惑で、休みを過ごす。

優子が遊びに来てくれた。久しぶりだった。

僕「優子!会いたかったよ!」
優子「私も!ゆっくりしようよ。」
僕「ああ。どこか行きたいところある?一緒に行こう。」
優子「とりあえずは、ご飯食べよう!作りたい!」
僕「いいね!買い出しに行こう」

優子は上機嫌だった。
優子、愛している。


僕は、料理をしている優子を後ろから、そっと抱きしめた。
僕「優子、愛してるよ。」
優子「・・・」

顔を覗き込むと、真っ赤だった。
僕「どうしたの?」

見ると、ちょっと小刻みに震えていた。
僕「?」
優子「ねえ・・・どうしよう・・・」

優子は、僕の手を、自分のスカートの中に、入れた。
その下着越しでも、ぐっしょりと濡れているのが分かる。

優子「今、あなたに・・抱きしめられただけで・・・こうなっちゃった・・・」
僕は、包丁を取り上げ、優子を抱きかかえた。そのままベッドに放り投げる。

僕「もう我慢できない。優子、脱げ」
優子「ちょっとww久しぶりなんだから優しく」
僕「知らん!自分で脱がないなら・・脱がしてやるww」
優子「キャー変態、ちょっとどこ触って・・・くすぐったい・・ちょっと・・・あっ・・ん・・・もう・・もっと・・」

優子の足先から、指の先まで、撫でた。そして、下を這わせた。
彼女の全てが欲しかった。
彼女のぬるぬるぐしょぐしょになったアソコは、いとも簡単に僕のアレを受け入れ、挿入と同時に彼女はのけ反り、ビクンビクンと波打った。
僕も、数秒で果てた、初めてだった。

優子「あたまが・・・ボウっと・・・する・・・動けない・・」
僕「寝てなよ。僕がご飯作るから」

優子は裸のまま毛布に包まり、僕が料理をするのを見ていた。
僕は、幸せを感じていた。

まさか、その翌日、この幸せに亀裂が入るなんて、想像もしていなかった。

翌日は、観光して回った。
費用は、僕が出した。

夕ご飯は、レストランで済ませた。
そのレストランで、事件は起きた。

僕「優子、提案があるんだけれど。」
優子「何?」

僕「今までは、僕が社会人であったし、優子は学生だったわけじゃない?」
優子「そうだね。今までは学生って立場だったから、甘えまくってた」
僕「そうなんだよね。これからは、対等な立場になる。」
優子「うん。」

僕「実は・・僕は今、あまり貯金がないんだ。遠距離恋愛の費用は僕が全部出していたし、この場所に引っ越ししたり、会社の付き合いもゼロじゃないし。」
優子「つまり?」
僕「言いにくいんだけど・・これから二人で会ったり、何かした時は、一部だけでも負担してもらえないだろうか?」

今思えば情けない提案だけれど、当時の僕は切実だった。
これから結婚などを視野に入れれば、貯蓄は必要だ。今のままでは、全く貯蓄ができない。

優子「ええ・・イヤよ。今まで払ってくれたのに、急に負担しろって言われても・・」
僕「優子は地元に就職したから、実家から通ってるわけだし・・・金銭的余裕はあるんじゃないの?」

優子「え?あるよ?そのために実家から通えるところにしたんだもの。」
僕「僕は、この一年、貯蓄できずにいたわけで、その大半の理由は優子と付き合うためで・・」
優子「それは、あなたが提案したことよ?いい?私は社会人になったの。これからやりたいこともあるし、将来への不安もある。貯蓄はできるうちにしたいの。」

僕「僕も去年全く同じことを考えてたよ・・」
優子「なら私が貯蓄したいのもわかるよね?それに、私もこれから休みが取れなくなるよ?社会人の付き合いって多いのよ?」
僕「うん。多いよ。僕は、それを断ってきたんだよ?そして。この一年、正直白い目で見られることも多かったよ?あいつは付き合いが悪いって。」
優子「なら、私が社会人の付き合いを大事にしていきたいっていうこともわかるわよね?」
僕「え・・・」

絶句した。
僕は、優子が社会人になれば、僕のこの一年間の苦労・大変さが本当の意味で身に染みてわかってくれるものだと思い込んでいた。
ああ、毎週会いに来ることってこんなに大変なことなんだ。
ああ、毎晩電話することって、こんなに大変なことなんだ。
ああ、貯金せずに遠距離を頑張るって、こんなに大変なことなんだ。

僕の優子への愛情が、こんなに深いものなんだ。

そう、理解してくれるものだと思い込んでいた。

この時、自分の中で、何かが壊れた。

優子「正直、私は今まで、籠の中の鳥だったわ。社会に出てよくわかった。社会に出たら、やりたいことが山のようにある。」
僕「・・ああ。全くの同意見だよ」
優子「私には可能性がたくさんある。遠距離恋愛でその可能性が減ってしまうのなら・・」
僕「減ってしまうのなら?」

聞いてはいけない。
この先は聞いてはいけない。

僕「減ってしまうのなら、なんだよ!!」
優子「私は、あなたと一緒には歩いていけなくなるわよ!」

彼女は、そのまま何もしゃべらなくなった。
そして、部屋に帰ると、荷物をまとめ、帰っていった。

翌日は、なにもやる気が起きなかった。
優子からの連絡は、ない。

僕はふてくされて、そのまま寝て過ごした。

その翌日、堅と絵理奈、玲奈が遊びに来た。
本当にうれしかった。

僕「まあ上がってよ。」
堅「引っ越ししたばかりって感じだな。ほれ、お土産。」
地元のお酒を買ってきてくれた。

京介は職場に呼び出されて来れなくなったらしい。
僕たちは、観光もそこそこに飲み始めた。

くだらない会話で、馬鹿笑いをする。
この時間が、僕をいやしてくれた。

気が付けば深夜になっていて、全員がゴロ寝していた。
なぜか、玲奈が僕に抱き着いて寝ていた。僕はそれをそっと外すと、堅の方へ押し込んだ。
玲奈は、パッと目を開けた。玲奈は、起きていた。
僕「起きてたのか。」
玲奈「うん」
僕「ほら、寝るならあそこで寝なよ。」
玲奈「いいじゃんここでも。ここで寝て不都合でもあるの?」
僕「うーん・・そうじゃないけど・・」

玲奈はニヤリと笑った
玲奈「絵理奈と二人になりたいの?w」
僕「GW前までなら否定したw」

僕と玲奈は椅子へと移動し、缶ビールを開けた。
そして、優子とのことを話した。

玲奈「はっきり言っていいですか?」
僕「うん。」
玲奈「その彼女、やめときなよ。打算的すぎるよ?信用されてないよ。」
僕「まさか玲奈にそんな説教されるとは・・」
玲奈「先輩、イケメンなんだし、仕事熱心だし、すぐ新しい彼女もできるよ。なんなら絵理奈を今ここで襲っちゃえばそれで」
僕「お前は・・自分の友達を何だと・・・」
玲奈「それを言うなら、先輩にとって、絵理奈はなんなんですか?いっつもいっつも一緒にいたがるくせに、彼女がいるから何とかとか」
僕「うっ」
玲奈「絵理奈だって、バカじゃないですよ?いままで先輩にされてきたこと、何とも思ってないとでも?」
僕「・・・言葉もありません・・・」
玲奈「堅君が知ったら、どう思うんですかね?」

僕「・・説教なら聞きたいくない。寝るわ」
玲奈「だいたい、こんな状況にあって、襲わない方が失礼というか・・その・・」

あれ?何か状況がおかしい。

玲奈の顔が近づく。
これは、ヤバイ。
それだけはいけない。手を出してはいけない。
この時、玲奈に彼氏がいるかどうかまでは知らない。でも、親友が気にかけている子にまで手を出したら、それは人として終わっている。

僕の手は、なんとか、彼女を押し留めようと動こうとした。
きっと、数日前なら、拒否して張り倒していた。
でも、その日、僕は、近づいてくる玲奈の顔を、遠ざけることが出来なかった。

と、玲奈がニヤっと笑った
「私が、キスすると思ったんでしょwそんなことするわけ」

最後までは聞かなかった。
僕は、遠ざかろうとする玲奈の顔を両手で抑え、そのままキスした。

玲奈は試したのだ。冗談で済ませようとしただけだ。
本当は冗談のつもりだった。でも、先輩が本気にして、成り行きでキスしてしまった。そういう筋書きが欲しかったのだろうと思う。

玲奈は少しだけ抵抗するそぶりをしたが、すぐに僕の顔を両手で抱え、包み込むようなキスをしてきた。
僕は、そのまま、手を腰に回す。

そして、僕の腰を、玲奈の腰に擦り付ける。
僕のアレは、はち切れそうになっていた。

玲奈がそれに気づき、目を開け、キスをしたまま、顔を横に振った。
「それはダメ」と言いたかったのだろう。

僕は、無視し、玲奈のジャージ(そういえばいつの間にか着替えていた)を下した。
玲奈は抵抗する。
「あんまり騒ぐと、堅も絵理奈も起きてくるんじゃないかな?」
玲奈の顔が赤くなる。

僕は、薄暗い中、玲奈の真っ白な太ももを直視した。
舌で、太ももを、なぞる。

玲奈「ちょっと・・・先輩・・ダメですって・・・んっ・・・」
そのまま、舌を、下着にまでもっていく。
玲奈の両手は、僕を拒もうと、必死で押し返してきた。

僕は、ガラ空きになった胸を、両手で揉んだ。柔らかな感触が両手に返ってくる。
玲奈「ダメです!本気で叫びますよ!」
僕「叫べば?」

玲奈はそれを聞き、力を緩めた。
玲奈「楽しいですか?こんなことして。」
僕「楽しくはないな。興奮してる。できれば、玲奈も楽しんでくれる方がイイな。楽しもうよ。」
玲奈「・・・秘密に・・・してくれますか?私・・・純情なキャラで通してるんです・・」

僕「パンツぐしょぐしょで何言ってんだよ。わかった誰にも言わない。」
玲奈は、急に態度を変え、激しく求めてきた。
薄明りの中でも、玲奈は、美しかった。
最初で、最後。僕は、彼女の中を、突き上げた。音だけは、立てないように気を付けた。
興奮した。

背徳感に、完全に、負けた。
あの時は、どうかしてた。

いまだに、後悔している。


行為の後、二人でシャワーを浴びた。その間中、抱きしめあった。
そして、体をふいた後、念を押した。
「二人だけの秘密だ。二度と関係を持たない。」

これだけは誓える。
この後、玲奈には特別な感情を持ったことは一切ないし、関係を持ったこともない。

そしてもう一つ言える。
僕は、クズだ。

今日はここまでです。

おやすみなさい。

翌日、何食わぬ顔で、観光をした。玲奈は少し、僕に近づきたがっていた。
堅は、絵里奈に近づきたがり、絵里奈は堅に近づいていた。(すみません、前回の書き込み、漢字間違ってましたね・・)

僕は、言い表せない苛立ちを覚えた。
皆の感覚が、大学生とは違ってきている。
僕だってそうじゃないか。

人は、時が経てば、考え方は変わる。人の感情だって変るものだ。

その夜、僕は、酔ったふりをして、絵里奈に抱きついた。絵里奈は、嫌がった。
続いて、玲奈と堅を、同時に抱きしめ、二人をぴったりとくっつけ、離れなれないようにした。

ただの嫌がらせだった。
僕はそのまま、寝た。もう、どうでもいい。


真夜中、目が覚めた。
電気が点いたままだ。絵里奈が、一人、座って飲んでいた。
堅と玲奈は、抱きつたまま寝ていた。


僕「ああ・・頭痛い・・・」
絵里奈「・・起きちゃったんだ。ごめん。うるさかった?」
僕「僕、飲みすぎるとすぐ起きちゃうから、違うと思う。」

絵里奈に新しいビールを渡し、ぬるくなった方を貰って飲んだ。

僕「ふー。なんだか疲れた。何やってるんだろう、僕。」
絵里奈「私たちが来て・・・迷惑だったの?」

僕「まさか。来てくれて助かったし・・・う・・うれしくて・・」
絵里奈「・・なんで泣いてるのよ・・意味わかんない。」

いろんな感情が渦巻いていた。
僕「そうだよなぁ。僕、仕事のしすぎで疲れてるのかな。性格まで変わってしまった気がするよ。」
絵里奈「そんなとこないよ。僕君は、目の前のことに情熱を注いで、興味のあることには時間もお金も惜しみなく使う。」
僕「ああ・・・その通りだ。」
絵里奈「向上心の塊みたいで、そのくせ、妙に子供っぽいところも、何も変わってないよ。」

絵里奈は、そっと、僕にキスしてくれた。
僕「・・・そんなキスが・・したかった・・・」
絵里奈は、僕が眠りにつくまで、膝枕をしてくれた。

翌朝、すっきりした気持ちで3人を見送った。

僕「気を付けて帰れよ。また今度集まろうな。次は、お盆かな。堅の働き先だな。みんなで行くよ」
堅「いいね。みんなで来てよ。」
玲奈「じゃあ先輩、またね」
僕「ああ!仕事忙しそうだけど、ちゃんとメシ食えよ!」
絵里奈「今度は、ちゃんと相手してもらうからね!」
僕「わかったわかった。また連絡するよ!」

僕のGWは終了した。

GW過ぎると、優子との連絡は激減した。
連絡しても、何を言っても、揚げ足を取ってくる。
なんだか、嫌いになる理由を探しているようだった。

優子「私も忙しいの!今だって、ようやく帰ってきたところなのよ?こんな夜中にかけてこないでよ!」
僕「・・僕、まだ会社で働いてるんだけど・・・ちょっと休憩中に電話をしているわけで・・」
優子「こんな時間まで働いて、何やってんの?仕事の能力ないんじゃないの?」
僕「えっ。だから、5年間は仕事に打ち込んで・・・」
優子「趣味とかないわけ?仕事するしか能がないの?」
僕「・・もう、いいよ・・・」
優子「いいって何?私の貴重な時間を奪っておいて、いいってどういう意味?」

僕は、限界を感じた。この日を境に、お盆まで、連絡を取らなかった。
優子からも、連絡はなかった。

そんな時、意外な人物から電話が来た

僕「もしもし?どうしたの?」
智也「久しぶりっす。ちょっといいですか?」

智也。優子の弟だ。

智也「どうしても、我慢できなくて。」
僕「・・・一応、聞こうか。」

智也「姉ちゃん、たぶん浮気してますよ。」
僕「そっか・・・まあそうなるよな・・・」

智也「え?僕さんも気づいてたんスか?」
僕「いや、最近、妙によそよそしかったから。。。」

智也「え?そうじゃなくて・・・」
僕「・・・え?」

智也「最近のことじゃなくて、今年に入ってすぐぐらいから、たぶん浮気してますよ、姉ちゃん。」
僕「・・・」

絶句した。

どうやら、年明けから、優子がたまに車で送り迎えをしてもらっているらしい。
誰だろうと思っていたら、春先から、毎朝出社する時に、同じ人が迎えに来ている。
家を出て、少し歩いたところに車が止まり、隠れるようにその車に乗っていくと。

最近は、あまり隠すつもりがないらしい
断片的な情報を取りまとめると、どうやら、同じ会社の先輩らしい。
就職活動中に企業訪問で知り合い、それから親しくなったようだった。

智也「本当なら、僕さんには内緒にしたかったんスけど・・・どうしても姉ちゃんが許せなくて・・スンマセン」
僕「あはは。そうか。だからか。なんかすっきりしたよ。ありがとう。教えてくれて」
智也「・・やっぱり、姉ちゃんと別れちゃうっすよね・・」
僕「まあ、あくまで浮気の可能性だしな。お盆には帰省するから、その時に話し合って考える。」
智也「僕さんは。。。優しいんスね・・」

僕「そんなんじゃないよ」

そんなんじゃない。
僕は、自分が納得して、別れたかった。
それだけだった。


GW明けてから、仕事は混沌としてきた。この頃法改正があり、本社も営業所も大混乱していた。
新入社員は、うちの部署には配属されなかった。

いつしか、営業サポートの仕事は違う部署でやってくれることになった。
専門のグループができ、部署内の数人がそちらに異動。他の部署からのスタッフとともに支援にあたるようになった。

法改正にかかわるメリット・デメリットの資料集めが、僕のルーチンワークになった。
うちの業界のあり方を考える社会問題も発生し、その問題提起への対応も、僕の仕事になった。

課長も、それ関係の出張が増え、週1日くらいしか会社にいなくなった。
仕事は忙しかったが、とてもやりがいを感じた。

おそらく、法改正問題やその手の対応については、その業界で僕が一番詳しかったと思う。
対応について、プレゼンを依頼され、皆の前でプレゼンもするようになった。
新入社員の在り方について、今の社会情勢について、新入社員研修に講師としても呼ばれた。

プライベートの充実度が下がれば下がるほど、会社内での僕の評価が上がる。
いや、会社内での評価じゃない。上司の評価が上がる。

僕は、基本的に会社主催のイベントには参加しない。
優子との時間を優先したからだ。

そんな僕が、偶然、脚光を浴びてしまった。
同期および近い年代の一部から、冷たい視線を浴びるようになったのは、この時くらいからだったと思う。

社長は、年始に「ボーナスはない」と仰った。

だが、実際には、(多くはなかったが)ボーナスが出た。
ボーナスの支給額は、人によって違う。そう、査定によって差が出ていた。
本社でS評価だったのはただ一人、沢村さんだった。
そして、同期でただ一人、僕だけがA評価を貰い、あとの同期はBCD評価だった。

「人事部曰く、同期で一人だけAだったやつがいるらしい」
「誰だろうな。営業のやつじゃないか?」
「営業で2年目でA評価ってヤバいだろう。」

まさか、自分が最高評価だとは思わなかった。
きっと、営業支援というのが社長の言いたいことを実現させたということなんだと思った。

僕は、沢村さん以外には誰にも言わなかった。
沢村さんは、じゃあ祝杯をあげようと言ってくれた。嬉しかった。

この評価は、1年続く。同じ働きをすれば、また好評価が出るだろう。
それはつまり、自分が出世コースに乗ったということでもある。
出世。
やってやる。どこまでも昇ってやる。
最初は、優子のためだった。でも今は自分のためだ。自分のために、自分を磨こう。

GW前、懇親会があった。

同じ部署での飲み会であったが、参加したのは初だった。
ここでちょっとした事件があった。

僕のことを面白く思っていない先輩に、取り囲まれた。

河村隆一似、以下河村さん
河村「よお、やっと出てきたか、僕君よ。お前付き合い悪いよな。そんなんで、うまくやっていけると思ってんの?」

伊藤淳史似、以下伊藤さん
伊藤「お前痩せてんな。ちょっと脱いでみろよwいいじゃねえか俺も脱ぐからよw」

鈴木亮平似、以下鈴木さん
鈴木「おっしゃ!俺も脱ぐぞwwそれ!お前もぬーげ!ぬーげ!ぬーげ!」

本人たちは、たちの悪いいたずらのつもりだったろう。
そして、僕の困った姿を見て、笑いたかったのだろう。
きっと、去年の僕なら、そんな反応をしたと思う。

気の毒そうにこちらを見る女性先輩社員。
気にも留めない男性先輩社員。

笑い転げている上司。

僕は、不愉快だった。
ああ。いいさ、受けて立ってやるよ!
僕がサークル時代、どんな感じだったか知らないんだろう。
僕は、真面目くさったボンボンじゃない!

スイッチが入った。

僕「よっしゃ!僕の肉体美、とくと見せてやる!ひょおおおおおおおおっ!!」

河村・伊藤・鈴木「え・・・うおおおお!いいぜその乗りィィィ!!!脱げ脱げ!!」

僕「うわさむっ!こおおおおおおおっ!!」

河村「やっぱガリガリじゃねーかwwwおらこっちこいやマジックで乳首黒く塗ってやる!」

僕「河村さんだって汚いギャランドゥー見せないで下さいよ!伊藤さん、ライター!」

伊藤さんは意図を察して、すばやくジッポーを手渡す。

僕「喰らえ!チ○ゲファイヤー!!」

シュボッ

河村「?!?!あつっ!おまっアチチチ!!」

懇親会は大爆笑に包まれた。

鈴木「お前いいやつじゃねーかwビールついでやるよ飲め!」

僕はそのビール瓶を奪い、瓶のまま一気飲みした
皆が盛り上がってくれ、拍手をしてくれた。

僕「?!ゴフッ。ゲホゲホ。ガボボボボ!!」

僕は失敗し、瓶の中身があふれ、店内は大惨事になった。

店員「お客様?!ちょっと!困ります!」

一時間後、僕と河村さん・鈴木さん・伊藤さんは、上半身裸のまま、課長の前に正座させられていた。
課長「お前たちな・・・週明け、部長に今回の件について、俺が報告することになっちゃったじゃないか・・」

店員さんに、警察を呼ばれてしまった。

僕「すみませんでした。僕が学生の雰囲気のまま飲んでしまいました。」
鈴木「いやいや。僕たちのいたずらが過ぎました。僕君は悪くないので、責任なら先輩の3人で・・・」

課長「まあ、楽しかったからそれはいいさ。監督責任は俺だからな。懇親会で盛り上がりすぎた。今後の仕事で仲良く仕事をして挽回するので勘弁してください。部長への報告はそれでいいな?」

河村「はい。お任せします。申し訳ありませんでした。」


部署内での僕の評価は、よくなったのか悪くなったのかわからない。
すくなくとも、冷たい視線は、なくなった。

それから、なぜか、女子社員とは仲良くなっていった。
近寄りがたい雰囲気がなくなったのは間違いなかった。

出かけるのでここまでです。
夜、時間があれば再開します。

訂正です。GW前に懇親会があったと書きましたが、お盆前です。失礼しました。

お盆に帰省するつもりだった。
帰省して、優子としっかり話し合おう。
その返答次第では、優子とはもう会わないでおこう。

そう、心に決めて、優子に電話をした。
優子「もしもしー。久しぶりー。元気だったの?」
僕「ああ。相変わらず、仕事ばかりの毎日さ。そっちは?」
優子「こっちも仕事ばっかりだよ。社会人って、大変ね。」

案外、普通に話せた。
お互い、GWからお盆までにあったことを話し、笑いあった。

ふと、間ができた。
お互い、次の言葉が何になるのか、予想がついた。

僕「とまあ、僕が電話したのは、日常会話がしたかったわけではなく。」
優子「・・・そうだね。こういう話は、男側からするのがいいのかな?」
僕「優子がその方がいいのなら。」

ああ。
そうか。
もう、会って話すまでもない。

なぜ、今、楽しく話せたのか。
僕はもう、優子に興味がないんだ。だから、憎くもない。ただ、普通に、世間話を、楽しくしただけなんだ。

優子「・・・私は、そばにいてほしかった。」
僕「そうだろうね。そこに関しては、謝る。悪かった。」
優子「誕生日も、一緒にいられなかった。私の卒業式も。」
僕「うん。」
優子「卒業式の時、惨めだった。他の友達は、彼氏が迎えに来てくれたのに・・・私だけ一人だった。」
僕「平日だったからね・・・社会人になった今ならまた考えも違うだろうけど、当時は悲しかったろうな。」
優子「うん。今の私なら、理解したかもだけれど、やっぱり当時は許せなかったし、今でもしこりとして残ってる。」
僕「なるほど。」
優子「私が寂しい時、駆けつけてくれなかった。逆に、あなたが寂しい時、すぐには駆けつけられない。」
僕「遠距離だからね・・」

優子「最初は、それなら、そっちに就職して住めばいいと思ってた。」
僕「・・・そう思ってくれる時期があっただけでもうれしいよ」
優子「でも、いざ就職していろいろ考えも変わった。」

僕「お互い、まあ最近は連絡も取ってなかったけれど、もう連絡を取るのをやめようと思う。」
優子「そうだね。別れましょう。」
僕「よくもった方だと思うよ。学生時代のあの感じから。」

優子「・・・はっきり言っていい?」
僕「うん」
優子「あなたと付き合って、後悔してる。付き合わなければよかった。」

僕「そうか・・」
優子「あなたのために就職先を限定しちゃったし、あなたのために貴重な大学生活を使っちゃった。時間を返せと言いたい。」
僕「そっくりそのまま返すよ。僕の社内の評価もむちゃくちゃだ。もっと早く別れてればよかったよ。」

感傷には浸らなかった。
最後まで、喧嘩した。

僕「・・・僕はもう疲れたよ。清々する。次に誰と付き合うかしらないけど、次はもっと合うヤツと付き合いなよ。」
優子「友達にも言われたよ。もっとマシな男と付き合いなさいって。」

僕は、モヤモヤしてる気分のまま、いきなり電話を切った。もういい。
もう飽きた。

優子のことをもう、思い出さなくてもいいんだ。
僕の部屋には、僕と優子が仲良く頬を寄せている写真立てがある。
僕はそれをパタンとたたみ、引出しの中にしまった。

翌日、土曜日。特に予定もない。時間は昼過ぎ。
来週のお盆を控え、堅たちに会うため、旅行の荷物を整理していた。

玄関のチャイムが鳴った。
淳「よお。ちょっといいか?」

淳は、僕と沢村さんのいるマンションに引っ越してきた。
そして隣の部屋に住んでいる。

僕「どうした?」
淳「実はさ、同期の子達と遊びに行った帰りなんだ。」
僕「ほうほう。それで?」

淳「結衣ちゃん(新垣結衣似)と翼ちゃん(本田翼似)いるだろ?俺とお前合わせて4人で、これから出かけないか?」
外には、淳の他に、結衣と翼がいた。

僕「・・・んー、ああ、ちょうど暇だったし、いいよ。」
淳「よし。じゃあ俺はちょっと準備があるから、結衣ちゃんと翼ちゃんを部屋にあげてもらってもいい?」
僕「え・・・お前の部屋でいいだろ。いったんそっちの部屋に集まろうぜ。」
淳「(部屋、片付いてないんだよ!頼むよ!俺が結衣ちゃん好きなの知ってるだろ!)」
僕「(そうだけど、いきなり来るヤツがあるかよ!こっちだって片づけが・・・)」

翼ちゃんが、不審そうな顔をしている。
翼「何コソコソ話してるの?私、淳君の部屋なんて行かないよ?結衣も行かせないよ?僕君は信用できるけど・・・」

僕は苦笑した。前途多難な恋路だ。
僕「わかったよ。翼ちゃん、結衣ちゃん。僕の部屋で待ってなよ。ペットボトルのお茶が何本かあるから、適当に飲んで待ってよう。」

結衣「え?いいの?じゃあお邪魔します!」
翼「おじゃましまーす!わあ、綺麗に片付いてる!っていうか物がない!」
淳「物なさすぎだろ!どうやって生活してるんだここで!」

僕「まあ、基本仕事して帰って寝てるだけだからな・・・てか淳ははやく出かける準備してこいよ・・」
淳「わかってるって!あ、ちょっとこっち来てくれ。」

淳「(なあ、なんとか結衣ちゃんを俺の部屋に来させられないかな。30分くらいで片づけるから、それまで繋いでてくれ)」
僕「(お前は、さっきの会話を聞いてなかったのか?信用させてないのに部屋に上がってくれるわけないだろ)」
淳「(それをできるのがお前だろ?)」
僕「(アホか!そもそも無計画すぎ・・・)」

結衣「・・・淳君、何たくらんでるの?」
結衣が後ろにいた。

淳「いや、あの、その・・・と、とりあえず支度してくるから!」
淳は逃げるように出て行った。

僕「淳にも、困ったもんだな。」
僕は苦笑した。
結衣「ほんとだよね。下心が丸見えというか。悪い子じゃないんだけど、露骨なんだよね・・」

二人で苦笑した。
結衣とはそれなりに仲良くやっていた。

出会いは、入社試験にまで遡る。
その日、試験会場に来ていたのは2人だけ。実は特別採用枠だった。
彼女は美術系の大学出身で、商品展開や初期イメージ図なんかを作りたいと言っていた。PR資料として、大学時代に描いたスケッチや
パースを持参していた。正直、可愛かった。

結衣「お互い入社できたら、仲良くしてくださいね。」
僕「ああ、その時はよろしくね。」

次に会ったのは、内定式の時。
結衣「あ!僕くん!内定貰ったんだね、お久しぶり!」
僕「久しぶり。本当に同僚になるとはw」
ちょっと2人で抜け出し、お互いの自己紹介などをした。

ずっと付き合ってる彼氏がいて、遠距離になる。
自分は一つしか見えなくなるから、振られないか心配。
会社に入るのが不安

そんな感じの話をしたと思う。

新人社員研修では、彼女もまた僕と同じ班だった。翼もだ。
結衣と翼はその後、商品開発部に配属され、2人で深夜まで働いていることは知っていた。
たまに、社内メールをやり取りしていた。


結衣「久しぶりの休みだし、本当はゆっくりしたいんだけど。。」
僕「ゆっくりすれば?僕の部屋・・はちょっとあれだけど、淳なんて放っておいて、適当にドライブとか。あ、体動かすの好きなんだっけ?
近くに打ちっぱなしあるし、行く?」
結衣「ゴルフやったことないw」
僕「え?僕もないよww」
結衣「なにそれww楽しそう。いっちゃう?w」

そんな雑談をしていたら、リビングにいた翼が歓声を上げた。

翼「ああ!これって僕君の彼女??かわいいね!!」

翼は、勝手に引き出しを開け、物色していたのだ。
僕「ええ・・翼ちゃんなにやってるの・・・」

結衣「あ!本当だ!可愛い!この子が、例の彼女?確か、もう少ししたら結婚するんだよね?!」
翼「ええ!そうなの?なに幸せなんじゃん!!」

・・・
僕「・・・あのさ・・何勝手に僕の机を・・・」

結衣「頬なんてくっ付けちゃって、ラブラブなんだね!僕君のイメージにないよww」

僕「・・話を・・聞いてるのか・・・?」

翼「ねー。僕君の写真、ニヤニヤしてるww」

八つ当たり。
本当に、ただの八つ当たりだった。

この2人だって、楽しむネタが欲しかったのだろう。
でもこの時の僕には、この2人が、憎悪の対象に見えてしまった。

僕「人の話をちゃんと聞け!!」

場が凍った。

翼「・・え?何?・・え?」
僕「何勝手に僕の机開けてるんだよ!勝手に触るな!お前は僕のオカンか?え?」
翼「あ、えと・・ごめんなさい・・」

僕「結衣ちゃんも、そんなに僕のプライベートを暴くのが楽しいの?なんなの?放っておいてくれよ!詮索するなよ!」
結衣「・・・すみません。。」

僕「出て行けよ!淳んとこにでも行って来い!」
僕は2人を押し出して、隣の淳の部屋のドアを蹴とばした。

ドン!!
ドン!!

僕「おい淳!!早く出てこい!!」
驚いた淳が、顔を出す

淳「な、なに?どうした・・・」

有無を言わさず、結衣と翼を押しこめ、ドアを閉めた。
そして、僕は自分の部屋に戻り、鍵をかけた。

ふざけるな。
何が幸せそう!だ・・

ふざけるな・・・
ふざけるなよ・・・

何やってるんだろう僕は・・・

その10分後、チャイムが何度か鳴らされた。
ドアスコープ越しに覗き込むと、結衣が、申し訳なさそうに、そこに立っていた。

僕は、無視した。

翼と淳はどうしたのかは知らない。

ただ、結衣は、それから1時間ほど、僕の部屋のドアの前で、立っていた。
気が付くと、もういなかった。

最悪だ。
最悪な人間だ。

最悪な僕。

僕は、最悪な気分のまま、週明けを迎えた。

月曜日、始業前に、僕は開発部に顔を出した。
淳に会った

僕「土曜は悪かったな。」
淳「ん?ああ、いいよ。あの後ちょっと話し込んで、意外と盛り上がってさ。最後は3人で飲みに行ったんだ」
僕「そうか。まあそれならそれで良かったか。」

淳「なんかお前の逆鱗に触れたって言ってたぞw何やったんだよw」
僕「気にするなw」

ああ、気を使わせちゃったな。
なんだかんだ、皆、頭の回転が速く、物わかりがいい。

午後の業務前に、商品開発部へ顔を出した。
もちろん、結衣と翼に謝るためだ。

翼はいなかったが、結衣はPCの前で仕様図と睨めっこしていた。
僕「結衣ちゃん。その・・」

結衣「!僕君!この前はごめんね!急にお邪魔しておいて、失礼なことばかりして!」
僕「いやいや・・ちょっといろいろあって、ナーバスな日だったんだ。こちらこそごめん。翼ちゃんは?」
結衣「翼は今日、出張だから、帰ってきたら伝えておくよ。」

僕「そうか。申し訳なかった。また遊んでね。」
結衣「いいの?ありがとう。じゃあ、この案件が終わるのが上期終了くらいだから・・・10月くらいかな?みんなでどこか行こうか。」
僕「いいね。車出すよ。それまで仕事に打ち込もうか。」

結衣「はーい。うーむ。この仕様が分からない。。なんでいきなりこの仕様が追加されたのか・・」
僕「ごめん、その仕様図の追加項目に、僕が口を出すのはあれだけど・・」
結衣「ん?」
僕「それ、誤記だと思うよ・・・僕の方には何件か同じような問い合わせがあったんだけど、だいたいはクライアントの勘違いだったんだ。どこのだれが開いてか知らないけど、一度確認してみなよ。」

それだけ言うと、僕は自分のフロアに戻った。
後で聞いたが、やはりクライアント側の理解不足による仕様追加だった。未然にトラブルが解消できて、とても感謝された。

僕は、人のアラを探すのが得意らしい。
たまに、校正もやった。
鈴木「おまえ・・重箱の隅をつつき過ぎだろ・・・」
僕「でも、ここに矛盾が出ちゃうと、結果的に結論変わっちゃいますよ?事業部長に迷惑が掛かって、部長に降りてきて、この資料作ったの誰だって話になった時、困るのは鈴木さんですよ?」

鈴木「ヌケヌケと涼しい顔して、怖いこと言うなよ!」
僕「今のうちに河村さんのあの資料を使って補足するだけじゃないですか。ちゃちゃっとやっちゃいましょうよ」
鈴木「他の案件もあるんだから、時間がもったいないだろ・・・」
僕「じゃあ、僕がやりますから、データください」
鈴木「お前頑固だな。わかったよやればいいんだろやれば!自分でやるよ・・・ったく・・・」

後ろで、沢村さんがクスクス笑っている。

僕「何ですか沢村さん?」
沢村「いや、お前もすっかり溶け込んだなと思ってただけだよ。」
そういいながら、沢村さんはコーヒーを飲みながら、資料に落書きを始めていた。

僕「ほら、沢村さんもその資料、今日中にやるんですよね?今日中にやらないと、結果的にお盆休みに出勤しないといけなくなりますよ!」
沢村「え?あれ?そうだっけ?俺他の案件抱えてたっけ?」
僕「何言ってるんですか!部長の提案、お盆前までに書類にするって言ってたじゃないですか!まだラフも無いんじゃないですか?」

沢村「ほんとだやべえ!」

経営企画部は、とても優秀な方たちの集まりではあるが、どこかフワフワしていた。
タイムキープという考えが低い。

この頃、大きなプロジェクトの進捗管理は、なぜか僕がすることになっていた。
いつまでに何をするのか。
業界を揺るがした法改正は、確実に変化をもたらせていた。

今までは、出来上がった時が製品・サービスの発売日・開始日だった。

これからは競争がさらに厳しくなる。
開始日は厳守だ。

100の%の完成度の仕事を10日かけていたら、もう間に合わない。
80%の完成度で、6日でやる。こんな感じだった。

それでも業務がこなせたのは、ひとえに先輩方の能力の高さがあったからだと思う。
今思えば、そこまでして必死に業務をこなさなくてもよかったのだと思うが、当時は、必死になって、全員で業務をこなしていた。

お盆に入った。

本当は帰省するつもりだったが、取りやめた。

堅と京介、玲奈、絵里奈とは、別の行楽地で落ち合った。
現地集合で出発。なんだか、社会人という感じだ。
京介は飛行機で。
玲奈と堅は、堅の車で。
絵里奈と僕は新幹線で。

指定の場所で待ち合わせ、堅の車で出発。
ランクルは快適だ。

堅「じゃあ早速行こうか。温泉地へ!」
一同「おー!」

堅は運転が好きだ。
だから、最後まで自分で運転すると言ってきかない。

じゃあそれでいいやということで、朝から社内でビールを開ける僕と絵里奈。
3列目で、2人で飲みながら寝た。

気が付くと、最初の観光地についていた。
こう見えて、寺社仏閣に興味がある一同である。

温泉地近くの神社により、ワイワイと散策し、近くのそば打ち道場へ。

堅は几帳面で、生地はボロボロだったが等間隔にそばを切った。
京介は、ゴミを作った。
玲奈は不格好ではあったが、一般的なソバを作った。
絵里奈は、美味しそうなソバ出来上がっていた。

僕のは・・・全員に妨害され、最終的に道場の人に怒られ、没収された。
絵里奈め。あとで(主に夜)仕返ししてやる。

その後チェックインし、絵里奈と怜奈は早速風呂へ向かった。
男たちは、売店で買った地酒とおつまみで一杯始めた。

僕「今から飲んで、晩御飯いけるかな・・」
堅「いつもそういいながらおかわりしてるじゃん・・そのくせ太らないという」
京介「俺と同じでヤセの大食いだな。」
僕「お前はもうヤセじゃないだろ・・なんだよそのお腹・・」

僕は京介の腹にボディをかます。
以前なら、硬質な感触が返ってきた。
この時は、柔らかかった。

僕は、普段、食事に時間をかけない。その時間がない。
だから、早めしになってしまった。
当時、体温は35.4度くらいしかなかった。

僕「ま、こういう時くらいはダラダラすごしたいもんだな。」
堅「そういうことだ。まあ飲もう。なくなったら下から買ってこればいいさ。」

女子たちが帰ってくるころには、3人は出来上がっていた。

絵里奈「ええ・・・なんでみんな寝てるの・・・」
堅「ん?・・・・お休み・・・」
玲奈「おいっ!起きてよちょっとこれから散策行くんでしょ!」
京介「行ってらっしゃい・・・」
絵里奈「僕君は・・・僕君は・・・行ってくれるよね・・・?」
僕「ぐーぐー」

ガコっ!

絵里奈は無言で、僕の頭を、躊躇なく蹴った。
僕「えっ・・・ちょ・・・」
絵里奈「起きてるんじゃん。早く行くよ?何?まだ目が覚めない?」
僕「はい起きます起きます!」

絵里奈「堅君は?」
堅「お、起きます!」

京介「俺も起きてるよ!」
絵里奈「お利口さんだね。じゃあ行こう」

気分は最悪だ。

お盆と言っても、滝の近くは涼しくて気持ちがいい。

僕「あー、酔いも冷めた。気持ちいいな。」
絵里奈「でしょ?感謝しなさいよ」

堅「ええ・・感謝って無理やり連れてきて・・」
玲奈「ナ・ニ・カ・イ・イ・マ・シ・タ・カ?」
堅「い、いや・・・あ、イワナ売ってる。食べよう食べよう」

京介「美味そう。お、こっちの混ぜご飯パックもおいしそう。これも食べよう」
僕「美味いじゃんこれ。おかわりも買ってこう。もぐもぐ。あ。もうない。もう一つ買おう。」
堅「もぐもぐ。買い過ぎだろ・・・もぐもぐ。美味いなこれ。おかわり買おう。」

玲奈「・・・これから晩御飯だよ?・・・もぐもぐ。美味しいわねこれ。私もおかわり買おう」

店員「あのう・・・?(多少怒り気味)」
僕「はい?」

店員「うちの商品。。。全部食べちゃいましたよ?」
一同「ええ・・・」

そんなこんなで満腹になって宿に戻った。

僕「ど、どうしようこんな状態で晩御飯食べられないよ・・・」
絵里奈「あの滝横にあった売店がいけないのよ!美味しすぎたのが悪い!」
堅「これは、あの店に損害賠償を請求する必要があるな!」
京介「そうだそうだ!玲奈、お前の事務所でこの案件を受けもて!訴訟だ!」

玲奈は法律事務所で働いていた。

玲奈「・・・冗談はさておき、晩御飯どうしようね・・・」
一同「・・・」

僕「な、何言ってるんだ。僕たちは若い。なせば成る。なさねばならぬ何事も!」

中居さん「お客様、晩御飯の準備ができましたので、別棟の食事場までどうぞ。」
僕たちの決戦は始まった。

出てきたのは、山の幸。
おそるおそる、食べる。いけるのか?本当に?この量を?

僕「もぐもぐ・・うん・・・」
堅「どう思う?この量・・・」
京介「はっきり言おうか・・?」
絵里奈「きっと答えはみんな同じだよ。」
玲奈「そうね。これなら」

一同「完食できる!」

さすがにおかわりはできなかったが、
皆で一気に食べた。美味しかった。

いつもの食事は味気ない。
カロリーを摂取する作業の一環でしかない。

でも、この日の食事は、量は多かったが、
確かにおいしかった。

まあ、残念だったことと言えば、その後にどうしてもアルコールが入らなかったことと、
お腹が苦しすぎて、みな唸りながら何もすることなく寝てしまったことだ。

2日目、グループ行動ではあったが、もはや、堅と怜奈は、隠すこともしなかった。
2人で、手を繋いで歩いていた。

就職先はそれぞれが別の地域なのに、毎週、堅が車で遊びに行っているようだった。
そうか。2人は正式に付き合うことにしたんだな。よかった。

京介は、彼女と遠距離を続けているらしかった。このままいくと結婚するらしい。

となると、僕だ。僕の横には、絵里奈がいる。
絵里奈は、自然と、僕の手を握る。
僕も、気にすることなくそうやって歩く。

きっと、誰が見ても、2人は付き合っているように見えるだろう。
でも付き合っていない。

この時、僕は別れたてだ、じゃあ別れたから絵里奈に「付き合ってくれ」というのも何だかとってつけたような感じがして、言い出せなかった。
今となっては分からないが、絵里奈はこの頃、僕の誘いを待っていたと、信じたい。

この旅行の間は、僕と絵里奈は恋人。
きっと、そんな契約のようなものが、暗黙の了解であったのかもしれない。

この日の夜、僕と絵里奈は、抱き合いながら、キスしながら、眠りについた。
それだけで幸せだった。

いつか、この関係が、発展するのだろうか。
この時は怖かった。
今の関係が後退してしまうことが。

僕にもう一歩踏み出せる勇気があれば、二人の人生は、変わっていただろうと思う。

楽しかった旅行はあっという間に終わり、僕はマンションに帰ってきた。
残りの休みは、一人でぶらぶら過ごした。

お盆明けからはまた激務だ。
秋口までは、もう何もできない。

秋口になるまでに、うちの部署では大きな仕事が待っていた。
つまり、今後の短期計画~中期計画において、商品やサービスの見直しを迫る。

簡単に言えば、売れ筋や金のなるものは残し、不採算のものは切る。
各分野においてのシェア分析もする。

シェアが高くても、赤字な製品もある。
逆にニッチな需要があれば、少数でも利益が出る。

ただ、利益率が高くても、販売数が少なければわが社の屋台骨を支えることはできない。
ある程度不採算でも必要な分野は存在する。

そんなさまざまな製品・サービスを分析し、どれを残すか考える。

また、新たな分野はないのか模索する。
各部署から提案・発売されたものに対して、予測を立て、短期計画に上乗せする。

こうして取りまとめ、経営陣に報告する。
もちろん、その場には他部署の取締役クラスも参加し、また調整し・・を繰り返す。
最終的にまた取りまとめ、販促部・広報部から世間に情報がリリースされる。

その情報をもとに、株価は左右されるし、情報リリース直後は問い合わせが殺到する。
沢村「今回は、お前の慎重さのおかげで、世間からの信用度は上がったな。」
僕「それに気づいたのは沢村さんだし、確固たるソースを用意したのは伊藤さんですよ。」

沢村「まあ、そうだな。それでも、それからの出先・営業所からの対応は迅速だったよ。あれは他の会社じゃ無理だろうな。」
ある競合他社が、法改正に絡んだ事案で、先延ばしもしくはごまかしを図った。そして、それが公的機関によってバレた。

当社は、沢村さんや伊藤さんが、部長とタッグを組んで、積極的に前面に押し出した。
そのバックアップは僕がした。沢村さんはもっと華のある内容にしたかったようだが、僕が反対した。
法改正に絡んだ事案なら、僕が一番精通している。沢村さんも折れ、堅実なプランを進めた。

その甲斐あってか、たまたま公的機関のサンプリングに抜擢され、当社の事案が理想モデルとして採用された。
その事案は、その後軌道に乗り、一部は特許化され、登録者名はなぜか僕になっていた。

激動な社会情勢の中、ひとまずの激務は、いったん終了した。

次のアップは夜以降です。

沢村「はいお疲れさん。」

沢村さんは、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
部署内に柔らかな空気が流れる。

年内までは、特に早急の案件はない。
仕事は沢山あったが、納期のために胃が痛くなるようなことはなかった。

この頃、沢村さんと市場調査という名目で様々なところへ出かけた。
どこへ行っても、沢村さんはモテた。

出張中、夜になると、沢村さんはおしゃれなバーに連れて行ってくれた。
そして、女性を確保していた。

爽やかに、女性を釣る。僕は、本当に感心した。
ただ、沢村さんは変態だった。

正直、女性なら誰でもよかったんじゃないかと思えるようなレベルの女性でも、誰でも相手にした。
沢村さんは言う。

沢村「女性は、顔じゃない。」

諸君、勘違いしてはいけない。沢村さんは女性は性格重視と言っているわけではない。
その女性の性癖や胸の大きさ・腹のたるみ具合、乳首の色味やア○ルの拡張具合で女性の魅力が決まると言ってる、ただのド変態だ。

もちろん美しい女性は大好きなようで、そういう女性にたどり着くために、人脈を広げるという目的もあるようだ。
沢村「いいか、ヤれるチャンスがあれば、必ずヤるんだ。それが男だ。」

沢村さんは社内でも有数のイケメンだ。そして、社内で最も優秀な人材の一人だ。
そんな彼は、爽やかに、にこやかな笑顔で、変態行為をしゃべる。

沢村「お前は、マダムキラーだよな。きっと、年上受けするよ。それを生かさない手はないぞ!」
僕「マダムキラーっていうより、若い子は沢村さんが持って行っちゃうから、余った年増の方が僕に来るんじゃないですか!僕は相手にしませんよ!」
沢村「ほらほら!そういうクールな態度が、マダムたちを虜にするんだよ!で、たまに甘えてみろよ。コロっといけるぜ。」
僕「遠慮しときます・・」


沢村さんは、よく、趣味のビデオを貸してくれた。
本当に、変態な内容のものばかりだった。
あの爽やかな笑顔の裏にこの欲望が渦巻いていることに戦慄した。

沢村「お前はまだ若い。もっと年齢を重ねれば、俺の言いたいこともわかってくるさ。」

断言しよう。いくら年齢を重ねても、沢村さんの領域にはたどり着けない。

ある出張先、2人で、混浴に行った。
おばさまが、一人で入っていた。
沢村さんは、堂々と、隠しもせず、爽やかに挨拶した。

沢村「(爽やかに)こんにちは!いいお湯ですねここ!どちらからいらしたんですか?」
僕「(うわマジかよ趣味悪すぎだろ)こんにちは。僕たちは出張中で、たまたま寄ったんですよ。なんかスミマセンこんな粗末なものを見せてw」

おばさま「あらいやだ//目の保養かしらww」
おばさまもノリノリだ。

成程ね。確かに、ちょっと楽しい。

盛り上がってワイワイしていると、綺麗なお姉さんが入ってきた。
その女性は今でも思い出すくらい、ナイスバディだった。

沢村さんは凄い。ほかの男性客なら絶対に釘付けになるであろう体なぞ見ずに、爽やかに挨拶する。
沢村「(爽やかに)こんにちは!いいお湯ですねここ!どちらからいらしたんですか?」
僕「(マジか本当にすごいわプロだこの人)こんにちはー。なんかスミマセンこの人頭おかしいんです・・」

お姉さん「え?今日はお2人で来たんですか?」
沢村「ええ、そうですよ!ここのおばさまたちとは今知り合ったばかりです!お姉さんもお話ししましょう!」
僕「本当にごめんなさい。この人変態なんです・・・」

なんだかんだ楽しく話した。

お姉さんは、気にしたそぶりも見せず、タオルをハラリと取り、その見事な体を披露し、湯船に浸かった。
おばさま「まあキレイ。いいわねぇ若いって。」
沢村さん「いえいえ。おばさまも十分お綺麗ですって。」
僕「本当にすみませんこの人精神障害なんです。」

お姉さん「あはは。楽しい人ですねw」
僕「まあ、飽きないですけれど・・」

もう本当に理解不能であるが、沢村さんは、おばさまをロックオンしていた。
おばさまと沢村さんは、ちょっと湯船の隅に移動し、なにやらヒソヒソ話を始めた。
僕の目に焼き付けたくない光景が、始まってしまった。
いやまあ、最終的な行為までは行ってないが、まあ、触ったり触られたり。本当に変態だ。

僕とお姉さんは、さらに2人かは距離を取った。
僕「本当にもう・・お姉さんどうか通報したりしないでくださいあんな変態でも会社からいなくなると困るんです。。」
お姉さん「まあ・・ねぇ・・よくもまあこんなところでできるわよね・・」

本当にごめんなさい。僕は、目の前で繰り広げられる光景を見て、横には素敵な女性。興奮しないわけがない。
お姉さんと目が合った。
お姉さんは、目を伏せて、ちょっと、自分の体を隠すようにした。
僕「あ・・スミマセン・・その・・・意識しちゃって・・」
お姉さん「そ、そうね・・・あなたもやっぱりちょっと変な気分に・・なるわよね・・・」

旅の恥はかき捨てないといけない。
あそこまでは大胆にはできないが、僕は、湯船の中で、お姉さんの手に触れた。

お姉さんは、固まっていた。どうしようか、判断に迷っているみたいだった。
僕は、その手を握り、こっちに引き寄せた。

お姉さんがこちらまで引っ張られる。
これはいける。

僕は、その手を、僕の股間へ持って行った。
いきり立った僕のアレに触れる。

お姉さんは少し困った顔をしたが、僕のアレを手で包んでくれた。
僕は、お姉さんの見事なバストを、浴槽の中で、揉んだ。
軽く、キスだけした。

お姉さん「ハイここまでw」
僕「なんかすんませんww気持ちよかったですw」

僕「変態は放っておいて、僕はもう出ますwちょっと処理してきますw」
お姉さん「若いなw行ってこいw私はしばらく入ってから帰るからw」


まあ、言うほどエロい体験でもなかったが、沢村さんの人となりを知るエピソードを書きたかったので、あえて文章を割いた。

12月に入り、とあるメーカー主催で、勉強会なるものが開かれた。
そのメーカーの主要取引先である数社が合同で招かれ、そのメーカーの商品の説明や工場見学をし、最後に懇親会をして宿泊し、翌日も勉強会をして帰ってくる。

僕の会社にも声がかかった。
宿泊付の勉強会となると、いくら相手の会社持ちの出張とはいえ、なかなかそこまでの時間が取れない人が多い。
結果、うちからは本社から僕だけが行き、そのメーカーに関係する営業マン数人が、地方営業所から参加することになった。

集合場所は、とある地方。
現地に赴くと、観光バスが出迎えてくれた。

行ってみて、驚愕した。
勉強会とは名ばかりの、接待旅行だった。
メーカーの本社に行き、勉強会が始まる。勉強会は10分で終わり、その後、工場内を30分で見て、もう終了した。
あとは、その地方の高級ホテルに移動し、大広間でひたすら食べて飲むだけ。

昼から、極上の料理と酒がふるまわれる。しかも、メーカー持ちだ。なんという幸せな出張だ。
まず、昼の食事中は、コンパニオンが付いた。


ピンクコンパニオンではないようだった。
何十人といるコンパニオン。その中に、一人だけ、極上に可愛い子がいた。
僕は、その子に目を付けた。

僕「君、可愛いですね。お話ししましょう!」
爽やかに声をかけた。

(山本梓似、以下梓)
梓「可愛いだなんて・・嬉しいですw」
僕「でもさぁ、すごい人数のコンパニオンだよね!大きな会社かな。コンパニオンの派遣会社さんは」

梓「えっと、私たちのほとんどは学生で、アルバイトで今回募集されたんです。だから、私は初めてですね。」
僕「そうなんだ。おっさん相手にお酒注ぐのも大変だなwイヤな思いしないといいけどな。」
梓「それイヤですね・・あの子なんて、完全に絡まれてますよね・・迷惑そうな顔してる。」

そこにいるのは、スケベそうなオヤジだった。
そのブースにいる人たちは、ひときわ目立っていた。
知っている。先ほど、名刺交換した。
僕たちの業界のトップに君臨する、誰もが知っている大企業の人たちだ。

スケベそうなオヤジは、自分の膝に無理やりコンパニオンを乗せ、口移しでエビフライを食べさせようとしていた。
見ていて寒気がした。



僕「よっしゃ見てな。」
梓「え?」

僕「ちーっす!先ほどはどうもw」
クソオヤジ「ん?ああ、先ほどのw楽しんでますか?w」
僕「楽しんでますよwそちらは?」
クソオヤジ「ああw楽しいわww」

僕「今、カラオケ始まったじゃないですか。○○さん、歌上手そうっすよね。」
クソオヤジ「え?俺?そりゃ上手いよ?スナックで歌いまくってるからな!」
僕「うはw聞かせてくださいよww」
クソオヤジ「え?いいよww歌っちゃう??」

仮にも業界トップのクソオヤジだ。そんな声が出ると、クソオヤジの周りが一斉にヤツを盛り立てた。
「よっ!○○さん!今日も一発聞かせてくださいよ!」
「今日も、始めはあの曲かな?」
その取り巻きも、コンパニオンの苦境を助けたかったが、クソオヤジの機嫌を損ねたくなかったようで、僕の機転に乗ってくれた。
こうして、コンパニオンはそそくさと逃れることができた。

自分のスペースに帰ってきた。
僕「あーすっきりしたw」
梓「やりますねwなんか爽快ですw」
僕「あんなことされたら、君だってイヤだろwしかもバイトでしょ?不憫すぎる。」
梓「確かに、エロそうなオヤジとか、寒気しますw」
僕「なんだそれは。僕だったら大丈夫なのか?ww」

梓「え?いいですよ私は僕さんとならw」
ひょいっと、僕の膝の上に乗った。そして、僕の方に向いた。
梓「ほらw私軽いでしょw」
僕「あ、うん。いやまあ柔らかくて気持ちいいけれどw」
梓「エッチw」

僕は、梓に、フルーツを食べさせた。
梓「あら。これ美味しいですね。どうぞ!」
僕「もぐもぐ。お、本当だ。」

そんな感じで、昼食の間中、梓は僕の膝の上に乗っかっていた。

夕食になった。また、同じコンパニオンが来ていた。
今度は、各ブースに最初からコンパニオンが座っていた。
どうやら、夕食は各会社ごとに担当コンパニオンが決まっているようだった。

梓を探すと、まあ予測できたが、トップ企業の担当だった。そりゃそうだろう。一番かわいかったから。
僕も、業界の人だ。流石に、ここでトラブルを犯すようなことはしない。

梓のことは気になったが、普通に食べて飲んだ。
楽しく飲んでいたが、ふと、梓の方を見た。

あのエロオヤジが、無理やり飲ませていた。
どうしようかと迷った。でも、うーん。
流石に2回邪魔をしたら、何かとマズいよなぁ。

そんなことを考えていたら、また、カラオケタイムが始まった。
エロオヤジは今度、なんと僕のところに来た。

クソオヤジ「おう!さっきはどうも!どうだ、今度は歌ってくれませんか?俺はこいつとデュエットしたかったんだけど、こいつが知ってる曲がないんだ。」
こいつとは、梓のことだった。

僕「あら、そうなんスね!えっと、梓ちゃん?でいいのかな?歌えるデュエットある?僕が知ってるのなら、一緒に歌おうよ。」
クソオヤジ「わははwいいねw歌って歌ってw」

梓はほっとした顔をして、僕とデュエットを歌った。
僕はカラオケが好きだったので、デュエットは大いに盛り上がった。
ついでに、何曲か歌った。

梓は、ずっと近くにいてくれた。
エロオヤジはその頃には、別のコンパニオンに絡んでいた。

歌い終わると、梓は僕のブースに来ていた。
僕「梓ちゃん向こうにいないとまずいんじゃない?」
梓「えーイヤですよあそこw飲むなら僕さんと楽しく飲みたいww」
そういってまた、僕の膝に乗ってきた。

僕「あ、ごめん!ちょっと今は・・・」
梓の太ももが、僕の股間に触れていた。

それで、梓は、何が言いたかったか察知する。

梓「あら・・ひょっとして・・・w」
ニヤリと笑われる。

隠れて、浴衣の上から、触られた。
梓「(カッチカチじゃん・・・w)」
僕「(梓のせいでしょw)」
梓「(スケベ・・w)」
僕「(男はスケベに決まってるだろwちょっと外行こうw)」

僕はトイレに行く振りをして、外に出た。
梓も、ちょっと間をおいて出てきた。

ちなみに、コンパニオンは、全員チャイナドレスを着ていた。

ホテルの踊り場に、連れ出した。
誰が来るかわからない。
僕は、興奮を抑えきれず、いきなりキスした。

梓「ん?むっ・・・むちゅっ・・・はぁ・・んっ・・レロ・・・」

梓とのキスは、なんだか、スポーツのような感じだった。
酔っているからだろうか、勢いで激しいキスになった。

梓の弾力ある胸を揉みしだきながら、チャイナドレスをスリットからたくしあげた。

梓「やんっ!大胆!」
僕は興奮しながら、ストッキングをパンティーごと引きずり落として階段の手すりに乗っけた。

梓も負けじと僕のベルトを外し、ズボンとトランクスを下した。
キスをやめ、いきなり僕のアレを口に入れた。

上手とか下手とかじゃない。もう勢いだった。勢いのまま、僕のアレをしゃぶりつくした。
僕は、その間中、梓の頭を掴んでいた。そして、そのまま、梓の頭を僕の股間に打ち付ける。

梓「んっ。んんんん!!!。んー!!んんんーー!!! ゲホっ!!ゲホ!!」

イラ○チオをされ、少し恨めしそうな顔を僕に向ける梓。
僕は、そんな梓を手すりにしがみつかせ、アソコを舐めまくった。

梓「やだ・・ちょ・・・あっ・・・くすぐったいから・・・んっ・・・あっ・・ひゃっ・・・」

クチュクチュといういやらしい音が、踊り場に響く。
僕はもう抑えられず、そのまま、ゴムもつけず、一気に挿入した。

梓「ちょっと・・ゴム・・あ・・ないか・・・ティッシュあるから・・・あっ・・・外に出して・・・んっ・・・あっあっあっ」
僕は、バックから、のしかかるように、ズンズンと、腰を、梓の尻に、押し込む。ズン。ズン。

梓「やっぱり・・・こういうことって・・・んっ・・んっ・・よくあるんですか・・・あっ・・・んっ・・・」
僕「さあっ・・・ねっ・・・僕はっ 初めてっ・・・だよっ・・・!」

興奮はすぐに最高潮になり、僕は、直前で引き抜き、階段にまき散らしてしまった。
梓はをれをティッシュで丁寧に拭き取り、僕のアレも拭いてくれた。最後に自分のアソコも拭きとっていた。

梓「はぁーっ。やっちゃった・・・何してんだろ私・・・」
僕「傷つくこと言うなよ・・僕は気持ちよかったよ・・・」
梓「ああそうでしょうね!私も気持ち良かったですけど!」

僕「宴会がお開きになる前に戻ろう・・・」
梓「そうですね。。なんか疲れました・・」
僕「僕も・・」

宴会はちょうどお開きになるタイミングだった。
コンパニオンはそれで帰り、しかし宴会後の2次会・3次会は延々と続いた。

梓に会うことは、二度となかった。


見てくださった方ありがとうございます。
寝ます。

事業部長「はい。みなさん、今年は激動の一年でした。これから休みに入りますが、あまり無茶しないように。しっかり英気を養って、新年に備えてください。」

そんな〆の言葉とともに、今年の仕事は終了した。
僕「沢村さんは、今年もタイですか?」
沢村「ああ!地元の彼女と会って、こっちの彼女と出かけて、それからタイだな!」
僕「ええ・・・」

淳「お疲れー。お前もこれから行くんだろ?一緒に行こうぜ」
僕「そうだな。いったんマンションに荷物置いてくるだろ?」
淳「もちろん。俺は今日飲めないから、店まで乗っけてってやるよ」
僕「お、ありがとう!」

同期で、お疲れ様会が開かれる。
淳に連れられ、会場に来た。

同期は数百人いた。本社に配属されたのはおぼろげだが100人くらいだったと思う。あとは営業所配属だ。
本社といっても、労務課や人事部もいれば、本社内の工場などに配属された子も入っている。一般事務職の子も多い。

集まる前に調べてみたが、まだ丸2年経っていないが、もうすでに3割ほど辞めていた。
この日集まったのは30~40人くらいだったか。

みな、社会人の顔つきになっていた。
その地域では知れたホテルの会場。仕切ったのは、生産システムのホープ、豊(竹野内豊似、以下豊)。新入社員研修で同じ班だったヤツだ。
彼は大学・大学院時代に遊びまくっていて、今でもいろいろ手を出している。頭の回転は非常に速い。

豊「はいー。みなさん、お疲れ様でしたー。ここには同期しかいません!大いに騒いで結構!今夜は飲みましょう!」

途中からの進行は、僕がした。
ありきたりのビンゴゲームもした。景品は、豊から依頼を受け、僕と翼、結衣の3人で選んで買ってきていた。
ビンゴの器具は、ホテルが無料で貸してくれる。景品を包む作業は、今回の飲み代から経費で外注した。

よくわからないが、飲み代の半分くらいは会社から出ていた。なので、一応会社の行事の一環に近いのだろう。

僕「はい40番。そろそろビンゴ出ますかねー。お!マジか!最初のビンゴは・・・淳!」
淳「よっしゃ!好きなの選んでいいんだよな!」

僕「ああ、どうぞ!」
淳「じゃあこのテーマパークのペアチケット食事券つき!」

僕「はいよ!誰と行く気だー??」
歓声が上がる。

淳「(バ、バカ!煽るな!)」
僕「(いいじゃん!かましてこいww)」

淳「秘密!あとで誘ってくる!!」
僕「今行って来いw」

淳「じゃあ結衣ちゃん!俺と一緒に」
結衣「はいゴメンナサイww!!」

会場は爆笑に包まれた。
つつがなく一次会が終了し、二次会はバラバラに散って行った。

二次会。僕は、新入社員研修の時のメンバーで飲みに行った。
と言っても、本社に残っているのは淳・豊・僕・結衣・翼・あきこ(雛形あきこ似)の6人。
6人が集まるのは、研修以来だった。

あきこ「私はただの事務だから業務内容はよくわからないけれど、」
豊「うん。」
あきこ「みんなの話はちょくちょく聞こえてくるよー」

淳「え?まじで?」
あきこ「淳君は、ミスして異動ww」
淳「wwwあれはビビったwwでも今はそれで良かったと思うぞ。毎日CADと睨めっこさ。落ち着く。」

僕「豊も聞いたよ。この前の発売のやつ。お前が担当したんだってな。」
豊「先輩の万全のサポートの中、名前を出しただけだよあれ。この規模の会社で、俺たちがメインになる仕事なんてないさ。」

僕「そういう意味では、結衣や翼は即戦力だよね。お客さん所に出向いて、自分でプレゼンするんでしょ?」
翼「私達、開発部なのにね・・・でも仕様が一番分かるから。あと、なんだかんだで女性っていうのは武器だよ。」

翼は、地元の超有名校を首席で卒業している。それは会社内では有名な話だ。その分、自尊心が強く、トラブルも多いらしい。
ただ、ハマる仕事にはこの上ない戦力になる。

結衣は、おっとりしたタイプ。誰からも好かれる。ただあまり前に出ないので、案件を抱え過ぎてつぶれてしまうこともあるようだ。

僕「結衣も・・もうすこし他の人を頼った方がいいよ?違うヤツから漏れ聞こえてきたけれどさ・・」
結衣「・・・そうね。でも、自分の仕事は自分で解決したいの。」
僕「そういうところ、僕は嫌いじゃないw」

淳「人の事言ってるけど、一番働いてるのは、お前だろう?お前と沢村さんの話はよく聞こえてくるぞ。」
僕「それはあれだろ。沢村さんが有名だからだ。」

あきこ「沢村さん・・・wうちの先輩に手を出したwwwあの人カッコイイもんねw」
結衣「え・・?うちの先輩も確か・・・」

僕「スミマセン・・・それ系の話は聞かなかったことにしてください・・・」

豊「まあ実際、経営企画室の人たちは、少し浮いてるよな。毛並みがみなさんとは違いますけど?って感じがする。」
僕「それは、まあ、あると思う。ちょっとお高く止まってる気がするよ。」

豊「お前が同期だからこうやって和やかに話しているけれど、できれば経営企画室の人たちにはかかわり合いたくないね。」
あきこ「そうだねぇ。こっちが一生懸命やってることを急に中止にさせたり、全然違う事業を提案したり・・」

耳が痛い。うすうす感じてはいた。
経営という観点と、実際の現場ではずれがある。どっちが正しいかなんて結果論でしかない。

淳「まあまあ、仕事の話はこれくらいにしようぜ。せっかく集まったんだし、楽しく飲もう。俺はこれから車で帰省だから飲めないけどな。」
助かった。淳はこういう所での助け舟が上手い。

淳とあきこが帰り、残るは4人になった。
豊「帰ったか。」
僕「うん。」

豊「じゃあ、今度の旅行の計画を決めようか。」
翼「はーい。楽しみ!」
結衣「淳君にばれると厄介だからね。。」

実は、前々から、4人で遊びに行こうと話をしていた。
結衣に危害があるといけないので、淳には話を持ちかけなかった。
泊りがけの、スキーだ。

結衣「保養所しか抑えてないから、これから決めなきゃね。」
僕「ギリギリすぎるwwもう来週の話なのにw」
豊「まあ車は俺が出すし、もう用品は揃えてあるんだろ?」

何週間か前に、僕と翼でスキー用品店に一式を買いに行った。
豊と結衣は経験者で、僕と翼は初心者だ。

僕「まあね。でもボードとか不安しかない。」
結衣「大丈夫よ!僕君運動神経良さそうだし。」
翼「私は、年内に一回、彼氏に教えてもらうー」
豊「じゃあ完全な初心者はお前だけだな!」

僕「あ、お手柔らかに。。。」
豊「そうだ。俺年末年始暇だから、2人で特訓しに行く?予定は?」
僕「地元に帰る予定はないよ、友達もこっちに遊びに来るし、その遊びの予定以外は何にもない」
豊「寂しいやつだな。じゃあ日程決めて、行こう。」

僕「うん。ありがとう。」

こうして、年末年始の予定は直前に埋まった。

急な案件が入ったので、ちょっと週明けまでアップできなさそうです。
とりあえずここまで

(まだ仕事の書類が残っているので、本格的再開は明日夜になりそうな予感)

すみません。僕自身への先入観をなくすために、文章中の僕への呼び名を「僕」としていましたが、無理が出てきました。

そこで、便宜上、僕自身の名前を仮名で付けさせていただきます。

僕の名前: 藤原 竜也

でお願いします。

僕と豊は、年を越す前に2人でスノボーに出かけた。
当時流行った、ステップインのボード。珍しい、表が緑・裏が白のボードだった。ミリタリーっぽいウェアもなかなかいい感じだった。

豊「お、なかなか決まってるじゃん。形から入るのは大事だな。」
僕「豊もいいね。手練れのボーダーって感じ。」

実際、豊は上手だった。
ハーフパイプには行かず、普通に滑っていた。そして、何気ないコブで180や360を華麗に決める。
そのスキー場はそれなりの規模だったが、豊が一番輝いていた。

豊「じゃ、適当に滑ろう。楽勝だって。」

ただ、相手が男性となると、教え方が致命的に下手だった。
結局、僕は、大きな痣と首の痛みを増やしただけで午前中を終えた。

そして、豊の特訓を拒否した。

僕「もういいよ豊。滑ってきなよ。僕はスクールに入る。」
その日、有料ではあるが、スクールを開催していた。

豊「あー。まあそれも手だな、じゃあ、ちょっと上から滑ってくる。後で合流しよう。」
僕「あいよ。連れてきてくれてありがとうね。」

そうして、僕はスクールに入った。

スクールでは、目から鱗のことばかりだった。
膝を使ってはいけない。
手は進行方向へ。
体重移動のコツ。

片方のビンディングを外したままでの滑り方。

2時間ほどの講習で、初心者コースだけなら問題なく滑ることができるようになった。
教えてくれた先生も、いい人だった。

「スピードだけは、出し過ぎないようにね!ボードとスキーは進行方向が違うから。」
この教えは今でも守っている。


ロッジで休憩しようと、移動した。
すると、ボードを外した豊が、知らない女性2人と立ち話をしていた。

僕「あれ、豊。もう滑らないの?」
豊「ああ。ちょっとボードのメンテしてなくって急に上級者コースに行ったから、途中でビンディングが壊れて外れちゃった。」
僕「うわ。大丈夫だった?」
豊「大丈夫。滑って降りるだけなら、片足で十分滑ってこれるから」

豊「おっと。紹介するよ。こいつがさっき言ってた竜也ね。こいつと2人で来たんだ。よかったらこれからロッジで休憩しよう。奢るよ」

豊はナンパしていた。

女子①「えー。どうしようかな。」
僕「ちょうど僕も休憩したかったから、いいよ。奢るよ。まあ、君たちが来なくても休憩するし。僕今日がボード初めてだからもう滑れない。足腰痛い。」
女子②「あ、私も初めてなんです。頭打ちませんでした?」
僕「打ちまくったwwバカになったら豊とスキー場訴えるww」
女子②「www私も体痛いから休憩しよっかなw」
女子①「ホント、だらしないなぁ。いいよ。じゃあ休憩しよう。一緒に行ってあげるから奢ってよね。」


余談だが、豊は、この女子①と結婚することになる。


女子②のその後?
まだ登場は先になる。

この女子②は、
その後、僕の彼女になる。

そして、僕の人生を左右することになる。
人生を左右する。主に原因は僕にある。彼女になんの罪もない。

年が明け、僕と豊、結衣、翼はスキー旅行に出かけた。

翼「楽しみ!ちゃんとエスコートしてねー」
豊「あ、うん。一応女子だし、レクチャーはするよ。竜也は多少上達したから、翼も負けんなよ。」

翼「え?そうなの?竜也君ずるい!私、彼氏と喧嘩しちゃって、ボード教えてもらってないんだよ!」
僕「そう言われても・・・まあ、何とかなるって。」

翼「うわ・・あからさまに関わりたくない雰囲気を出してる・・・そんなんで女子に持てると思ってるの?うわー。引くわー」
僕「翼ちゃんにモテたいわけじゃないし・・・僕が教える立場じゃないしなぁ」
翼「え?一緒に上達しようよ!とかないわけー?」
僕「結衣ちゃーん!手取り足取り教えてねー!」

結衣「え?私?・・・そうだね!教えるよ!翼も一緒にね!今日は滑るっていうよりかは、みんなと遊びたいだけだから、みんなと一緒ならなんでもOKだよ!」
僕「ん?結衣ちゃん、・・・うん!楽しく行こう!」
豊「なんだよ竜也。変な間を作るな。」
僕「豊は前見て運転しろ。ちゃんと宿に着いたら労ってやるから。」
豊「はいはいー。」

僕は、結衣の表情が気になった。
彼女は、年末くらいから表情がよくない。仕事だろうか。貯め込む癖があるので、ちょっと気がかりだ。
SAでの休憩の際、少しだけ探りを入れた。

僕「寒いねー」
結衣「ほんと。吐く息が白いね。」
僕「・・・仕事のこと、考えちゃってるの?」
結衣「・・・え?・・んー、あはは。気にしないでw今日は楽しみにしてたんだから、仕事の話は無しで!」
僕「・・・ま、それもいいな。じゃあ、今だけ言っとくね。何かあったら、部外者だからこそ聞ける話もあるよ。頼りないけれど、吐き出したい時は言いなよ。」
結衣「・・・優しいね。竜也君は。」
僕「ほら。笑顔で行こう。仕事だか何だか知らないけど、旅行中は考えたって何にもならないよ。」
結衣「そだね。気分転換!」

翼「そろそろ出発だよー」

結衣「はいはい。行こう!竜也君。」
僕「はいはい。じゃあ出発!」

少しずつ、いろんな歯車が動き出す。
何の関係もない出来事に思われることが、ふとした切っ掛けで、つながることがある。

人生ってそんなものの気がする。

明日の書類が出来たので寝ます。
うまく行けば、このSS再開です。

おやすみなさい。

翼の運動神経は、想像よりも悪かった。いや、運動神経というより、彼女のスノボーに対するセンスは、絶望的に悪かった。

翼「もー何なのよ!このビンディング、雪が詰まって全然セットできないじゃない!」
僕「僕が買いたくても買えないモデルを買ったくせに・・・」

翼は、Burtonの当時の最新モデルだった。僕は高くて全然手が出なかったのに、彼女はそれを買った。
翼「竜也君はいいね!使いやすそうだね!」
僕「たぶんだけど、慣れだよ・・もうちょっと頑張ろう」
翼「もうやだ休憩する」

豊「よし休憩してろ竜也行こう」
僕「さすがにそれは・・」
豊「・・・ったく。じゃあ俺もちょっと休憩するか。」

結衣「竜也君、一緒に滑りに行こう。」
僕「あら付き合ってくれるのありがとう。」
結衣「もう中級コースくらいなら行けそうだね!」
僕「コースよりもリフトに乗るのが怖い!足元が巻き込まれそう!」

結衣「大丈夫だよ。あっちのコースはゴンドラだから、ボードは外して乗れるよ!」
僕「確かにその方が安全だな。じゃあ結衣ちゃんよろしくー」

結衣は上手で丁寧な滑りだった。僕のペースを見ながら、ニコニコしながら後をついてきてくれた。
好きな所へ行っていいよーというスタンスだった。

結衣「やっぱり滑ると気持ちいいね!」
僕「気持ちいけど!足が痛い!頭打った!逆エッジ怖い!」
結衣「あはは!慣れるよそのうち!竜也君上手だよ!2回目なんて思えない!」
僕「ごめんしゃべる余裕がない!!ぎゃーっ!!」
結衣「だ、大丈夫!?きゃー!」

結衣は、急にコケた僕に気を取られ、逆エッジになり、派手に転んだ。
その日は新雪だったので、僕たちの周りに雪が舞った。

僕「はー。ちょっと休憩。」
結衣「そうだね。休憩休憩。」

ペットボトルの水を飲む。
僕「結衣ちゃん上手いねホント。よく来るの?」
結衣「んー、大学が東北だったから。彼とよく行ってたなー。」

彼とは遠距離恋愛。
就職先もかなり離れているらしく、最近はなかなか会えずにいるらしい。

結衣「だから、最近ちょっとさみしい。」
僕「お正月は会わないの?」
結衣「うーん、彼は会いたがってたんだけどね・・・彼の空いてる日程には私の都合がつかなくて。会えるのは2月かな。」
僕「そっかそっか。会えるときに会っておいた方がいいよ。じゃないと、僕みたいになっちゃう。」

結衣「え?!竜也君別れちゃったの?!」
僕「うん・・」

滑りを再開し、かいつまんで話した。
結衣「竜也君モテそうだし、すぐ彼女できるよきっと。」
僕「だといいですけどw」
結衣「・・・私も、遠距離・・・無理なのかな・・・」

僕「・・・・」
結衣「・・・・」
僕「別れちゃった僕が言うのもなんだけど、」
結衣「ん?」
僕「僕以外の友達は、まだ遠距離続いてるんだ。結衣ちゃんもだけど。」
結衣「そうなんだ。」

僕「大学の友達もそう。この春に、結婚する子もいる。」
結衣「そっか。離れて大切さがわかるって感じなのかな。」
僕「きっとそうだね。」
結衣「心細い時、側にいてほしいほしいもんなぁ。彼に。」

僕「そんな時、次に会う時までその思いを大切にしようと思うのか、それとも、別の出会いを求めるようになるのかの違いじゃないかな。別れる別れないって。」
結衣「心に余裕があるときは、良くわかる話ね、でも、やっぱり心細いのには、耐えられない時があるな。」

僕「・・・心に迷いがあると、悪意あるヤツに付け込まれるよ。僕がその悪いヤツかもしれない。気をつけなよ。」
スキー場で良かった。夜、飲みながらこんな話をされたら。。。無理矢理何かしてしまうかもしれない。

結衣「大丈夫よ。竜也君のこと信頼してるから。」
心が痛かった。
僕「はいはい。裏切らないように頑張りますよー。」

結衣「・・・あのね竜也君」
僕「どしたん?」

結衣「・・・今夜、ちょっと相談していいかな・・・?」
僕「ああいいよ。」

その夜の相談内容は、僕の想像を超えるものだった。

見ていただいてうれしいです

なんだかんだナイターまで満喫し、会社の保養施設に帰ってきた。
豊は運転の疲れがあったのか、お風呂に入ってビール一杯で寝てしまった。

翼は彼氏への悪態をつきながら、さんざん絡んできた。でも、早い時間に寝た。彼女は彼女なりに頑張ったのだろう。
そんな醜態を見せられるほど、気の許した同期が僕たちということなのかもしれない。

僕は筋肉痛の体を労わるように、洋酒をストレートでチビチビ飲んでいた。
結衣が、隣に座る。

何とも言えない、気まずい雰囲気が流れる。

僕「・・・今日は楽しかったなぁ・・・体中が痛いよ。」
結衣「・・・私も久々だったから、ちょっと忘れちゃってた。楽しかった、かな。」

結衣は、何から話そうか、悩んでいるようだった。甘いカクテルの缶を飲んでいる。

僕「なんか不思議だよね。同期ってだけなのに、こうやって、保養施設で泊まってるって。」
結衣「そうだね。彼氏には言えないなぁ。怪しまれちゃうよ。でも・・」

僕「でも?」
結衣「現に、私たちはやましい関係じゃないし、本当に変な感じw」
僕「うんwまあ僕も淳には言えないなw殺されるw」

ちょっと談笑して、その当時流行ってたことととかテレビの話とかをした。

と、結衣が、寂しげな表情をした。
結衣「私・・・・私ね・・・・」

表情が、さらに、悲しそうな顔に歪んでいる。
結衣「彼に・・・相談できなくて・・・」

僕「・・・うん。」
結衣「同じ部署の人にも・・言えなくて・・・」

ぽろぽろと涙があふれてきた。
僕は、そっと、近くにあった毛布を肩にかけてやる。
結衣は、僕に寄り添ってきた。

僕「・・・言えなくて?」
結衣「翼には、知られたくなくて・・・・」

僕「知られたくないことがあるんだね。」
結衣「どうしていいかわからなくて・・・」
僕「わからないんだね・・そっかそっか。」

結衣「今も、竜也君に・・・すがりたくて・・でも、言うのが怖い・・」

僕は、そっと抱きしめた。
結衣は、ずっと泣いていた。

10分くらいだろうか。
結衣は、キッとした目をこちらに向けてきた。

結衣「よしっ。」
僕「うん。しゃべっちゃえ。」

結衣「・・・わ・わたし・・・わたしは・・」
声は震えている。

結衣「拒否したのに・・・強く・・・つ、強く、い、言えなくて・・」
僕「誰かに、何か・・・言われたの・・・?」

結衣「わ・・私の体を・・・から。、、体を!」
結衣は、また泣き出した。

僕「もういいよ・・・結衣。結衣は悪くない。悪くないから、目をつむって、こうしてなよ。」
結衣「ひっく・・・ひっく・・・」

もう、言葉にならない声しか出さなかった。

2時間ほどかけて、話してくれた。


結衣は、10歳年上の先輩から、執拗なセクハラを受けていた。

詳しく聞きすぎると、それはセカンドレイプになってしまう。

断片的な情報をかき集める。

・結衣は、この春から移動してきた10歳年上の会社の先輩(命名:蛇野郎)から、言い寄られている。
・最初は、ニタニタとデートを誘ってくるくらいだった。やんわりと断っていた。
・とある案件で一緒に仕事をした。そこで、結衣が致命的なミスをした。
・蛇野郎は、そのミスをフォローしてくれた。すこし見直した。

・少し気を許してしまったら、残業中に2人きりになった時に、軽くボディタッチされた。やんわりと拒絶したつもりだったが、相手はその気になってしまった。
・以来、事あるごとに一緒に残業をしたがるようになり、2人きりのタイミングを見計らって軽く触られるようになった。

・この年末時期になると、エスカレートしてきた。
・直近では、(おそらく)胸を触られた。しかも(これも推測)ブラウスのボタンを外され、ブラにまで手をかけられ、ホックまで外された。

・必死で抵抗しようとしたが、仕事をフォローしてもらった弱みと、蛇野郎の目が怖くて強く拒否できなかった。
・自分は女だ。何かあれば、首を切られるのは男ではなく女の私だ。
・蛇野郎もいるし仕事もきついから嫌で嫌で仕方がないが、私はこの仕事にやりがいを感じているので、辞めたくはない。でも、誰にも知られたくない。

結衣「ひっく・・・私・・・あの感触が・・・頭から取れないの・・・ひっく・・」
僕「結衣は悪くないよ。悪くない。よく一人で頑張ったよ・・・えらいよ・・・悪くないからね。」

結衣は、僕の胸で、ずっと泣いていた。そして、そのまま寝てしまった。
僕「・・・」

僕は考えていた。
僕にできることってあるのだろうか?

はっきり言って、ない。

今の世の中ならば、これは完全なセクハラだし犯罪だ。コンプライアンス云々どころの騒ぎじゃない。
でも、当時はまだそこまでセクハラ・パワハラに対する意識も低い時代だった。
また、10歳も年上の先輩に対して、他部署のペーペーの僕が太刀打ちできる要素は全くない。

僕と同じフロアにいる事業部長の電話が漏れ聞こえたことがある。

事業部長「はい。我々の提案を拒否するということですね。それでよろしいですね?では私はこれから○○と△△と□□の会社に出向いて談合をしてきますので。」
事業部長「は?何言ってるの?おたくはこの条件飲まないんでしょ?いいよ。飲まなくて。徹底的に潰すから。後悔するなよ。」
事業部長「じゃあ、最初から『自分に決定権はありません』て言えよ。こっちは遊びでやってんじゃないんだよ。お前じゃ話にならんよ。上司を今すぐ出せ。出せないならもういい。お前の会社は2か月後にないからな。」

こんな会話が聞こえることは(ごくたまに)あった。

つまり、何が言いたいかというと、世の中、まっとうな会社ばかりではない。会社は不祥事を隠そうとするし、それをもみ消すためなら何でもやる。
だから、歯車である自分が、やれることというのは、何もないのだ。

できること。
それは、結衣を抱きしめてやることだけだった。彼氏の代わりとして。

帰り道、結衣はすっきりした顔をしていた。
結衣「私、頑張ってみる。蛇野郎先輩は2週間くらい出張だから、それまでにいろいろ考えてみる!」
僕「うん。大見得切ったけど、僕には何にもできない。ごめんね。」

結衣「ううん。ありがとう。すっきりしたよ!」



嘘だ。
きっと、会社の女子寮に帰ったら、またきっと悩んで暗くなるんだ。

結衣、なんとかしてやりたい。

僕は、あることを思い出した。

<ピンポーン>

年末年始の休みが終わる。この日は最終日。
僕は、インターホンを押した。

沢村「はいー。なんだ竜也か。どうした?入れよ。」
僕「すみません突然に。お邪魔します。」

僕は、同じマンションにいる沢村さんに、思うところがあって話をしに来た。
沢村さんの部屋は、同じマンションとは思えない。

壁には自作の棚がはりつけてあり、ネクタイがショップのように陳列してある。
バーカウンターも用意されている。脇には高価な洋酒が何本も置いてあった。

手慣れた手つきで、ショートカクテルを入れてくれた。
僕「いただきます。あ、これどうぞ。」

僕は、手土産に、スキー場の帰りにお土産として買った、新鮮なチーズを取り出した。

沢村「お、いいね。じゃあ俺は白にしよう。確か、辛い奴が一本あったはず。」

そういうと、沢村さんはワインセラーから白ワインを持ってきて、開けた。

僕「この部屋って、すごいですよね。もてなす感が。」
沢村「そりゃそうさ。この印象で、ここに来た子が股を開いてくれるかどうかが決まるからな。」
僕「たぶんですけど、この部屋に来た時点で、相手は開く気満々だと思います。」
沢村「いやいや。違う違う。それは初心者の考えだ。まずは、気軽に誘う。そして、気軽に返す。」
僕「はぁ。」
沢村「俺の家は、誰でも、気軽に入れる。そういうイメージが大事だ。そして、敷居を下げるんだ。」
僕「さすが・・・経験者は語りますね・・」
沢村「蟻地獄の世に・・・ウヒヒ・・・ちょっと・・ウへへ・・足を入れたら・・ヒャヒャ・・・」
僕「・・・帰ろうかな・・」

沢村「まあいい。で、何の話があるんだ?」
僕「単刀直入に聞いていいですか。」
沢村「おう。」


僕「商品開発部に、沢村さんの下僕っています?」
沢村「・・・おいおいww 人聞き悪いこと言うなよww 俺は別に・・・」

僕の顔を見て、茶化すのをやめる
沢村「意図が分からない。」
僕「そうですよね・・・詳しくは言えないのですけれど・・・商品開発部の、蛇野郎という人の弱みが握りたいんです。」

沢村「蛇野郎さんか。知ってる人だな。俺の大学の先輩だ。」
僕「で、どうですか。商品開発部の内情にに詳そうな『お局様』経由で、蛇野郎さんの弱みが握れないかな、と考えたんですが。」

沢村「ふむ。答えはYesだ。だが、俺にものを頼むんだ。『詳しくは言えない』じゃあ話にならん。」
僕「ですよね・・・詳細までは言いません。僕の言葉のニュアンスで察してください。さらっと話します。協力お願いできませんか。」

僕は、少しぼやかして話した。

沢村「だいたいわかった。簡単に言うと、竜也の同期の子が蛇野郎さんにセクハラを受けてるから、撃退してほしいってことだな。でも、同期の子はそれを周りに知られたくないと。」

僕「・・・察しが良すぎます。沢村さん・・・」
沢村「お前が嘘つくのが下手なんだよ。しかし許せんな。セクハラなんてまかり通る時代じゃない。今後、世の中はもっとそういう問題に対して厳しくなる。今のうちに芽を摘んでおいた方がいいかもな。」
僕「しかし、僕たちでは限度があります。」

沢村「ふん。任せておけよ。弱みを握る?探す?面倒だな。弱みなんて作っちゃえばいいんだよ。」
僕「・・・どうやってですか?」

沢村「蛇野郎さん、これから2週間くらい出張じゃないか?」
僕「はい。そういってました。何で知ってるんですか?」
沢村「ああ・・・お前の考えはビンゴだよ。確かに、商品開発部に、俺の『下僕』の一人がいる。俺の言うことならだいたい聞くだろうな。」
僕「こわっ。」
沢村「その下僕が、これから2週間出張って言ってたんだよ。同じ部署の気持ち悪い男の先輩と一緒だって言ってた。きっとそれが蛇野郎さんかなと思ったんだよ。」



僕はひょっとしたら、とんでもないお願いを、沢村さんにしてしまったのかもしれない。

年始早々、そのニュースは社内に広がった。
なんでも、商品開発部にいる男性社員が、年明けの長期出張の初日に、同行していた女性社員を酔った勢いで押し倒し、出張に居合わせた重役に見つかって謹慎処分を受けたらしい。

これも噂であるが、その女性社員と重役は秘密の関係らしく、自分の女に手を出した男性社員に激怒。二度と出世できないように左遷されるらしい。

沢村「へぇ。世の中には不届きな男性社員もいるもんだな。性の乱れは風紀の乱れ。竜也も気をつけろよ!」
何食わぬ顔で、平然とそう言ってのけた沢村さんに戦慄した。

僕「えっと。。何したんですか沢村さん・・・」
沢村「は?何が?男性社員のことお前知ってるの?」

とぼけているが、表情はにやけている。

つまり、そういうことだ。
きっと、女性社員というのが沢村さんの下僕だ。重役とも関係を持っていたらしい。そして、ハニートラップを仕掛けたのだろう。

世の中には、知らない方がいいこともある。

僕は、結衣にメールをした。
「因果方法ってあるんだろうね。」
返事は、すぐ帰ってきた。
「もう、社内に広まってるんだね・・・」
「ああ。とにかく、これからは仕事に集中できるね。」

あっけなかった。

因果応報。

こんなやり取りの後、僕と結衣の関係は、より親密になっていく。

結衣の心のうちは、実際は分からない。
でも、僕は心で、いつも言い聞かせていた。
「僕は、結衣にとっての『仮の恋人』」

そう。遠距離恋愛で埋められないものを、僕が埋める。
決して、関係を持ってはいけない。

不思議と、性欲は沸かなかった。同情が強かったのか、彼氏や淳に遠慮したのか。

その週末、結衣に会った。

結衣「ありがとう。」
僕「何が?」
結衣「根回ししたの、竜也君でしょ?」
僕「ちょっと意味が分からないよ。」
結衣「お局に呼ばれたわ。『結衣ちゃん!怖い思いさせてたんだね!もう大丈夫だからね!何かあったらすぐ言ってね!』って言われた。」
僕「冷静に考えなよ・・・お局って誰?僕、その人と接点ないよ・・・」

結衣「あるよ。お局、重役さん以外にも沢村さんとも関係持ってたってこっそり聞いたよ?」
僕「あのね。ドラマじゃないんだから、そんなことがあるわけないでしょ?」

結衣「じー。」
結衣は、本当に可愛い。その大きな瞳で、まっすぐに見つめられると、一瞬で恋に落ちてしまうくらいに。
僕「・・・何、襲われたいの?僕、今けっこうイライラしてるよ?呼び出しておいて、僕を犯人みたいに問い詰めるの?いい加減にしなよ。」

結衣「ごめん。助けてもらったのに詮索しちゃった。本当に感謝してるの。それだけなの。」
僕「感謝される筋合いは、特にないからさ、恩を感じる必要はないよ。結衣は今まで通り仕事に打ち込みなよ。ほら、ご飯さめちゃうよ。食べよう。」
結衣「うん・・・」

帰り際に、言われた。
結衣「やっぱり、貸しは作りたくない。」
僕「頑固だな・・・貸し借りなんでないよ・・」
結衣「私を馬鹿にしないでほしい。私は守られてる子じゃない。ちゃんとした社会人よ?」
僕「・・・」
結衣「社会人として、受けた恩はきっちり返します。」

僕「逆に言うよ。結衣が、僕に返せるものって何?僕は何も望んでないよ。今まで通りに良い同期として付き合ってくれ。それだけだよ。」
結衣「・・・私、自分がモテてる自覚あるよ?」

僕「・・・それで?」
結衣「その・・・お礼としてなら・・・ひ、一晩くらいなら・・」
結衣の顔は真っ赤になっていた。

僕はなんとなく断った。
きっと、結衣のことを何とも思ってなかったのなら、喜んで乗っただろう。
僕にとっては、結衣というのは社会人前からの知り合いなわけで、信頼できる同士でありたいと思っていた。
結衣も、分かってる。僕に恋愛感情なんてないはずだ。

僕「いいよそういうの。彼氏がいるくせに、恥を知れ。」
僕は冷たく言い放った。

結衣「本当だよね・・私何言ってるんだろう・・混乱してるのかな。」
僕「ま、愚痴はいくらでも聞くから、いつでもいらっしゃい。そのかわり」
結衣「そのかわり?」
僕「襲われても文句言うなよw」
結衣「おいwさっきと話が違うだろwwでもその時はその時でどんとこいw」

こうして、不思議なつながりを持つ同期ができた。

結衣は、その後、困難を乗り越え、数年後に遠距離恋愛中だった彼と結婚する。
そして、彼の仕事先の地方に転勤願を出し、その地方で暮らす。

2人だけの秘密。2人だけの関係。
誓って言える。彼女とは、肉体関係はなかった。
しかし、それ以外の確かなつながりが、あった。

ここのところ睡眠時間が全然ないです。
もう寝ます・・・

またの機会に。失礼します。

年始から年度末にかけて、部署内は慌ただしい。僕も(まだまだ分からないことだらけだが)それなりに仕事に慣れ、自分だけの案件も持ち始めていた。

新人研修の時に同じ班だった営業の男がいる。
綾野剛似、以下剛。

剛は、先述したが、新人トップの成績で研修を終えている。
希望の配属先は田舎で、希望通りの営業所に行った。
当時の彼女を配属先に呼び、すぐに結婚した。

以降、特に接点はなかった。

僕「お電話変わりました。」
剛「竜也君?久しぶり。綾野です。元気にしてた?」
僕「剛君か。久しぶりだね。元気元気。そっちは?子供産まれるんだっけ?」

少し、懐かしい話をする。

剛「んで、本題なんだけれど。実は、お客さんの話を聞いてるうちに、ちょっとしたアイデアが浮かんだんだ。」
僕「アイデア?それなら、申請書のフォーマットあるから送ろうか?最近、僕もちょっとした問い合わせ以外は上司に申請出さないと動けないんだ。どんな案か知らないけれど、現場の声は書類で残しておいた方がいい。」

剛「俺も忙しいから、書類となると敷居が高くなるな。できれば、そっちで書いてくれないかな。」
僕「んー、じゃあ、今、話を聞くから、それを聞いて僕が書類に書くべきだと感じたら、現場の声からこんな意見があるよって形で書類にする。それでいい?」
剛「ああいいよ。俺は書類書くより現場でお客さんと話してる方が割に合ってる。」
僕「書類は大事だよ?いざ自分を守るのは、ペラペラの紙1枚だからね。」
剛「まーね。じゃあしゃべるから、竜也君の方で判断してくれ。」

内容は、案としては興味深いものだった。

法改正に絡んだ仕組みは各社作られ、市場は落ち着きつつある。いいこともあったが、一部のお客様にとっては窮屈に感じる事態もあるだろう。
そんな窮屈さを解消する、とてもニッチな商品・サービスだった。

僕の頭の中で、自分の知識と現場の声がリンクする。
直感的に、これは新規分野の開拓として調査くらいならしてもいいんじゃないかと判断する。

僕「それ、うまくいけばモノになるかもしれない。そのままだと微妙だけど、何かと組み合わされば・・・法改正後に生まれる、ちょっとした市場開拓くらいにはなるかも。」
剛「まー、そこまで大それたことじゃないんだけどさ、何かのアイデアの足しにてくれよ。じゃあ、またな。」

電話を切り、僕は、アイデアを具現化するために、企画提案書を作成した。
それは、A4で1枚の、走り書きのようなものだった。自分の中の案件として、仕事のレベルではABCD評価でD。

Aは新規事業開発提案。
Bは事業見直し案。
Cは現行品に企画追加案。
D。それは、「とりあえず調査だけしてみよう」という、片手間に処理する「調査案」

そう、この時は、ただの紙切れ1枚の、市場調査案だった。

まさか、この市場調査案が、僕の環境を一変させる内容に変わるなんて想像もしていなかった。

小さな事程大切な事が多いよな

D案はすぐに終わるため、だいたい申請書が通る。
僕は課長にすぐさま判子を貰い、書類の片隅に入れておいた。

数日後、手が空いたので、ネットで情報を集めてみる。少し興味深い記事が、他分野で出ていた。
社内の意見書がデータベース化されているので、イントラネットで類似の要望がないか検索する。
全く同じ要望はなかったが、うちの商品を提供するにあたってこんなことができたらいいなという要望書に目が止まる。

年末に沢村さんと出かけた展示会に、ある商品が出ていた。その時は気にも留めていなかったが、組み合わせると・・・

僕「沢村さん。ちょっといいですか?」
沢村「ああ。会議があるから、それが終わってからならいいよ。」
僕「はい。えー。じゃあ1時間後ですかね。横の打ち合わせ室予約しときます。」
沢村「あいよ。すぐ終わる?」
僕「30分くらいで。」
沢村「OK」

1時間で、簡単にまとめる。

沢村「お疲れ。どうした?」
僕「実は、こんな案件が出てきたんです。で、この商品とこのサービスを組み込んで、このアイデアを使ったら、ちょっとした市場開拓になりませんかね?」
沢村「・・・ほう。」

沢村さんの目つきが、変わった。

僕「どうですか?面白くないですかこれ。」
沢村「市場規模は不明だが・・・」
僕「ですよね・・・」
沢村「作り手の立場としては、恐ろしくやりがいを感じる内容だな。」
僕「やっぱりそうですか。それでいて、大変な作業の割に、市場の規模が見込めない。」

沢村「なるほどな。でも、だからこそ、大手では手を出さない分野だな。」
僕「そこにチャンスがあるかなと。幸い、法改正に絡んでるので、僕なら詳しいですよこの分野。」

沢村「これは・・D評価か。今すぐ書き直せ。C評価に変更だ。いいクリエイター紹介してやるよ。あ、お前の名前だと他部署が動かないかもしれないな。俺の名前で書き換えとけ。俺も口出しできるし、お前も動きやすいだろう。」

僕は、言われるまま、申請書を書き直し、提案書を添付した。

紹介されたクリエイターは、その業界ならだれもが知る、超大物だった。
クリエイター(柴田恭平似、以下柴田さん)

柴田「お世話になります。ご無沙汰してましたね。」
沢村「いつもお世話になっております。お元気そうで何よりです。」

簡単に僕を紹介してくれる。名刺交換する。
沢村さんは、僕の原案を書き直し、柴田さんに提案書を出した。

柴田「なるほどね。なかなか面白そうじゃない。僕の仕事は何をすればいいわけ?」
沢村「今のところ、ちょっとぼやっとしてるので、具体的に、こんな商品・サービスに具現化できますという何らかの「形」が欲しいですね。イメージ図でもいいので、何か描けないですか。」

柴田「ふむふむ。1週間くらいもらえる?また打ち合わせしましょう。その時に、アイデアをいくつか出してみるよ。それを引き取るなら、アイデア料ね。」
沢村「承知しました。」

こんな感じで、スタートした。

>>133
確かに。その積み重ねの中に、原石が紛れ込んでいる。そんな気分

柴田さんのアイデアとラフは、この企画を一気に格上げするものだった。

すぐに、課長へ申請書を提出した。
課長は、何も言わずに判子を押してくれた。

課長「正直言うと、それほど需要は見込めないと思う。ただ、君たちがやる気になっているし、投資額は多くなさそうだ。俺の考えが古いのかもしれんから判断できない。お前たちがやりたいなら止めない。部長には話を通しておく。そこから先の他部署への交渉や進捗管理はお前たちがやれ。」

つまり、好きなようにやれというGOサインだった。
僕は、沢村さんの手助けの元、商品開発部に話を通した。

翼「竜也君、沢村さんの案件来たよー。面白そうだね。私も手助けすることになりそう。」
僕「お、そうなんだ。よろしくね。イメージや戦略の資料はそれなりにあるから、送るよ。」
翼「うん。うちの先輩に送ってあげて。あと、社内LANで共有かけておいて」
僕「そうだね。わかった。」

2月半ばになると、設計開発にも話が進んでいた。
淳「沢村さんの案件、こっちまで下りてきたぞ。俺も設計に加わるからな。」
僕「お、いいね。他部署の連携が感じられてうれしい。」
淳「ちょっと仕様がわからないところがあるから補足資料作ってくれ。」
僕「あいよ。あと翼ちゃんも絡んでるから、商品開発部にも確認取りやすいと思う。活用しなよ、横のつながり。」
淳「そうだな。参考にするよ。」

そして、経営企画・商品開発・設計開発が合同で会議し、正式にGOサインが出た。
その次の会議は、広報と生産管理も出席した。

沢村「・・・以上が、今回のプロジェクトの概要になります。」

相も変わらず、沢村さんの提案は全員を魅了した。
この会議には、商品開発の翼と生産管理の豊も、先輩と同行していた。

商品企画「発売日は・・GW前を予定しています。生産管理としてはどうですか。」
生産「ほぼ生産として何かやることはないから問題ないです。ラインナップに関して、現行品の在庫調整や変動が必要な予測ですか?」
広報「大々的に〇〇のラインナップをメインに商品展開していきますので、〇〇の在庫は増やしておいた方がいいかもしれないですね。」
沢村「どれくらいの需要が見込めるかは、今週中にウチの方から展開します。」

商品開発「開発としても、納期に問題はないです。」
広報「プロモーションは4月頭には行いますので、CGでも結構ですので3月20くらいまでには資料が欲しいです。」

・・・

商品企画「では、納期はシビアですが、『先んずれば制す』です。このプロジェクトは、市場に出したもの勝ちです。迅速にやりましょう。以上です。」

会議は終了した。

事業部長に、うちの部長・課長が呼ばれたらしい。

課長「事業部長に呼ばれたよ。」
僕「何か言われましたか?」
課長「『この忙しい時期に、開発費をかけて無駄な投資をし、見込めない需要の商品展開をするとは何事だ。』だとさw」

僕「・・・じゃあ、プロジェクトは中止ですかね・・・」
課長「いや、ちゃんと君たちの資料を見せて通したよ。」
僕「ありがとうございます。なんか済みません・・」
課長「『こんなもの、月に5セット売れれば俺の負けだ』が捨て台詞だったw何としても月に5セット以上売ってくれw」

5セット。少ないと感じるかもしれない。
ちなみに、5セット売ると5万ほどの利益にしかならない。
しかし、この商品は特殊で、これ単品を購入しても意味がない。当社のラインナップを導入して初めて利用価値が出る。
つまり、5セット商品が売れると、当社のシステムが5件採用されることになる。
5件採用されると、純利益は100万にも上る。

だが、ライフサイクルを考えれば、会社を動かして展開するには少なすぎる額だ。

GW、A4用紙1枚で始まった案件が、プロジェクトとなり、商品として具現化し、発売された。
その発売は、業界に一石を投じることとなった。

法改正があって1年。市場が動いた。
前年に、公的機関から「理想モデル」と評された事案があったが、そのラインナップと今回の商品は抱き合わせで展開された。

広報「今回の販促費は、過去最高額だったよ。商品サンプルが高額過ぎた。」
沢村「そのかわり、反響も大きかったんじゃないですか?」
広報「ああ。初めてだよ。お客様から直接電話がかかってきて『こういうものを待ってた!』と喜ばれたのは。」

事業部長の予測は外れた。この商品発売前、展開していた事業のラインナップは月に50件程度の採用だった。商品発売後に問い合わせが殺到し、
ラインナップは月に平均300件以上売り上げるものとなる。
実際にその商品を組み込むお客様は月に100人ほど。その商品を組み込まなくてもいい。組み込めるよという対応力が受けた。

他社も、これから開発費と研究費をかけて追随するだろうと、うちの部長が言った。だがもう遅い。これから、価格競争が始まるだろう。
僕たちの商品は、先に発売し、他社が発売するまで、利益を貪る。

他社が同じものを出しても、うちと同じ金額では販売できない。また、割愛するが、他社では絶対に安くできない秘密の強みがあった。
完全に独占。鑑賞だった。

沢村さんの評価が、また上がった。
僕もうれしかった。

沢村「この案件はドル箱だったな。」
僕「そうですね。沢村さんはやっぱり凄いです。」
沢村「俺は今回手助けしただけだ。これはお前の仕事だと言っていいよ。」
僕「実際、僕が展開したら失敗してますよでも。」
沢村「ま、会社っていうところはそういうところだ。」

こうして、些細な提案は、当社の屋台骨を支える一環となった。

余談であるが、課長はこの案件が評価され、数年後に他の事業部へ「部長」として昇進する。

そして、沢村さん。
沢村さんは、この案件がきっかけで、

他業種から引き抜きを受けることになる。

話は遡り、2月。
残業は慢性的であったが、週末はしっかり休めていた。
僕はスノボーにはまり、豊達と毎週出かけていた。もちろん、翼や結衣、淳とも滑りに行っていた。

僕「翼ちゃん、上手になったよね。中級くらいなら全然問題ない」
淳「そうだね。あーあ。俺も一緒にお泊りしたかったな!なんで内緒だったんだよ!」
僕「根に持つなって。下心丸見えのやつなんて呼べるかよ。」
結衣「あはは。それから何回か一緒に滑りに行ってるから許してよーw」
翼「私の目の黒いうちは、お泊り厳禁だよ!」

豊「あー。今日も楽しかったな。また滑りに行こうな。」
帰り際、相変わらず車を出してくれた豊が、そう言った。

僕「いつもありがとう。楽しかったよ。」
豊「あ、そうだ。あとで時間ある?」
僕「うん。解散後?」
豊「そう。」
僕「あるよ。じゃあコーヒーでも飲みながら。」
豊「OK奢るよ。」


僕「どした?」
豊「去年、ナンパした子覚えてる?」
僕「そういえば、そんなことしたな。」
豊「また会おうってことになった。」
僕「・・・すごいね。よくやるね。で、僕も誘ってくれるのかな。」
豊「そうなんだけど」
僕「そうなんだけど?」

豊「今から飲みに行くことになった」
僕「早いよ展開が!これから?!いいねそういう無茶振り大好き!」


土曜深夜23時。スノボー帰りに、その2人に会った。

上村愛子似(以下愛子)、広末涼子似(以下涼子)

豊「愛子ちゃん久しぶり!!」
愛子「久しぶりー。意外と近くに住んでてびっくりした。」
豊「運命だねきっとw」
愛子「はいはいw急に来てくれてありがとうねwあの日以来に涼子ちゃんと遊びに出かけて、今飲んでたの。」

僕「それで、あの日の話題になって、連絡くれたのかな?」
涼子「うん。ごめんなさい。愛子ちゃん、言ったらきかなくて・・」
僕「いいよいいよ。覚えていてくれてありがとう。
涼子「うん・・」

愛子は、よくしゃべる。そしてノリが良かった。
豊もよくしゃべる。明らかに愛子狙いだった。
2人は意気投合し、とても楽しそうだった。

反して、涼子はそれほど乗り気ではないようだった。
あまり表情を変えない。
涼子は背が高く、色白の美人だった。ただ、美人。それだけ。

僕は、差しさわりのない会話をしたと思う。
よく覚えていない。
少なくとも、盛り上がらなかった。
でもまあ、会社の話とかはした。
朧げに覚えているのは、彼女が個人経営に近い事務所の事務をしていて、とても優秀で、難関の国家資格取得に向けて勉強しているということだったと思う。

美人ではあったけれど、対して興味も湧かなかった。
相手も、楽しそうじゃなかった。

そして、その日は終了した。

だから、その翌日、涼子から「また時間が合ったらどこか行きませんか」というお誘いメールが来るなんて、想像もしていなかった。

お互いに忙しい身だ。
2週間後くらいに再会した。

近くのマックで軽く食べ、当時流行っていた映画でも見ようという話になった。

僕「本当に近くに住んでるんだね。30分くらいで会えちゃうんだ。」
涼子「そうみたいですね。びっくりしました。」

涼子は、本当に美人だ。
その小さな口で、ポテトだけをつまんでいた。

僕「ポテトだけ食べるの?そっちのハンバーガーは残しちゃうの?」
涼子「うん。そんなにお腹が空かない人なんです。」
僕「さすが女子。ていうか、ハンバーガーもったいない・・」
涼子「ポテトだけ頼むのも、なんだか申し訳ないので。」

僕「あの、もったいないので、僕が食べてもいいかな?口つけてもいないみたいだし。」
涼子「え?・・・ええ。どうぞ。ファストフードでも、やっぱり捨てるのはもったいないですか。」
僕「もったいないよ。どんな調理過程でも、どんな内容物でも、やっぱり、頼んだ以上は残さない。僕はそうしてる。」
涼子「・・・そうですか。」

ちょっと、涼子の性格がわかった気がした。
僕「映画、好きなんだね。」
涼子「はい。大学時代から、文学として興味があります。」
僕「エンターテイメント性は求めないんだね。」
涼子「どちらかというと、フランス映画のような作品が好きです。」

僕「うーん、見たことがないから分からないなぁ」
涼子「あの、良くわからないエンディングがたまらないんです。」
僕「ふーむ?」
涼子「有名な映画だと・・・」

いくつか知っている作品を列挙してくれた。
僕「ああ、意外と知ってるもんだなぁ。ほら、この作品て彼女の出世作だよね?あのシーン、良かったよね。ここのセリフとか。」
涼子「??藤原君て、意外と物知りなんですね・・私もあのシーン、好きですよ。」

何というのか。
お互いの休息。

静かな時間だった。
雑踏の中、周囲のざわめきを気にせず、何気ない風景になる2人。

涼子とは、月に数回、ちょっとした息抜きで、一緒に食事や休息を取る。そんな関係になった。
別に、彼女自体にはそれほど興味はなかった。
恋愛の対象には見えなかった。自分も忙しく、あまり恋愛に時間をかけたくない時期でもあった。
涼子も、それを望んでいるようには見えなかった。

食事の時は、涼子はあまり食べなかった。
だから、涼子の食事の半分は僕が食べた。
回数を重ねると、涼子は最初から自分の分を取り分けて、残りは僕にくれるようになった。

あの数か月は、僕にとっても涼子にとっても、平穏で安らげる空間を作り上げていた。

春を迎え、また涼子と会った。
涼子「すみません。花粉症なんです。」

その抜群のスタイルとセンスある服装。モデルのような体型でマスクをすると、芸能人であるように錯覚する。
会うたび、涼子はさらに綺麗になっていた。

その日は、夕方に会った。
そして、ちょっとオシャレなビルで、食事をした。

食事の際、ちょっと飲んだ。
2人で、並んで座っていた。

いつもと少し違う、物静かなレストラン。
お互い、特に会話もしない。それが少しだけ心地よかった。

開放的な窓から、夕日が差し込む。
いつしか、夕日が沈もうとしている。

とてもロマンチックで、とても静かな時間だった。
僕の腕が、涼子の腕に触れた。
涼子は、僕の手を、握ってきた。
僕は、自然と、手を握り返した。

涼子の頭が、僕の肩に乗せられる。
その瞳が、僕の瞳を追った。

僕と涼子は、レストランの風景のように、その場で、優しく、キスをした。

次回更新は夜以降です。

お疲れ様でした。

涼子とキスした。
そうは書けないかもしれない。

涼子と、キスをしてしまった。

感覚的にはこう書いた方がいい。
現に、なぜだか後悔しかない。

学生時代に自分で言った言葉。
「男女間で友情は成立しない」

社会人になって、男女の友情を目の当たりにすることがある。
僕は、男女の友情が羨ましかったのかもしれない。

結局、なぜキスしたのか。答えが出ない。
「好き」じゃない。相手も、特にそんな素振りを見せたことがない。

場の雰囲気に流された。

涼子とは、GWまで会わないことにした。



GWに入った。


大学時代のサークル友達に会った。なんだか、学生時代に戻った気分だった。
友人の一人が言った。

友人「そういえば、元カノの栞里ちゃん、今度、○○さんと結婚するらしいよ。」
僕「あー、そうなんだ。良かったじゃん。2人は大学時代から仲良かったし、お似合いだよ。」

○○さんというのは、栞里が「親友と呼べる男友達がいる」と豪語していた人物だ。
友人「感傷に浸ったりする?」
僕「それはないよ。幸せにはなってほしいとは思うよ。」

祐希「竜也君は、その後、どうなの?」
僕「んー、ぼちぼちかな。今は仕事が忙しくて、彼女とかいらないし。本気で仕事と結婚してる状態。」

祐希「私も。まだ3年目なのに、既にお局様とか姉さんとか言われてる。」
僕「祐希らしいよ。充実しているようで何より。」

軽く飲んで、皆と別れた。

祐希「あの」
僕「!!びっくりした!帰ったんじゃなかったの?」

祐希は、引き返してきたみたいだ。


祐希「良かったら、飲み直さない?」
僕「え?ああいいよ。」

祐希とは、たまにメールでやり取りしていた。
お互い、会うのは追い出し会以来だ。

薄暗いバー。
僕はブランデーをダブルのストレート。
祐希はドライマティーニ。

社会人になってからの、再会。
あの頃とはすこし違う2人。

祐希「あの頃は、子供だった。」
僕「それはそうさ。社会に出て、視野が広がったろ?」
祐希「うん。いいことも悪いことも、いろいろ見えてきちゃった。」

僕「社会人ってしんどいね。」
祐希「だねぇ。学生時代の、何にも知らない頃に戻りたい。」

祐希もまた、葛藤があったのだろう。



祐希「あのね。お願いがあるの。」
僕「・・・どんな?」

祐希「私は、あの日から、前に進めていない気がする。」
僕「追い出し会のこと?」

祐希「うん。」


僕「祐希は、立派な社会人だと思うよ?」
祐希「でも、狡賢い大人には、なり切れない。」
僕「狡賢くなる必要があるの?」

祐希「あるよ。それが大人の世界だもん。私は強くなって、この世界で生きていきたい。そして」
僕「そして?」

祐希「結婚もしない。一人で生き抜いて、一人で生涯を終える。」

僕「・・・まあ、いろんな生き方があるさ。」
祐希「強くなりたい。そのために、私のお願いを聞いて。」

僕「願い事によるけれど。」

祐希「私を、抱いて。」

祐希は単刀直入だった。

僕は、グラスに残ったブランデーを一気に飲み干す。喉が、焼ける。


僕「それは、できないな。」
祐希「どうして?私は、何の見返りも求めないよ?」

僕「自分を大切にしなよ。」
祐希「初めてを、あなたに捧げたいの。私は、その思い出だけで生きていけるの。」

そうじゃない。そうじゃないんだ。

僕「違うんだよ・・・僕は・・僕はそんな男じゃない。」


そんな男じゃない。


僕は、ただの、クズだ。


祐希は、泣きながら、帰った。

やっぱり、僕は、クズだ。

GWも後半に差し掛かり、僕は絵里奈と2人で会った。

僕「元気だった?」
絵里奈「元気だよ。でもお金がない・・・」

絵里奈は、保険のセールスレディだ。契約が取れないと、給与は低い。
決して、保険の契約を迫られたことはないが。

僕「大変だよね。ノルマ制は。」
絵里奈「明るさには自信あったんだけど。いざ契約ってなると、足元見られるのよね。」

僕「そっか。僕は会社から保険が斡旋されるし、さすがに入ってあげられない。」
絵里奈「そういうのは、求めてませんけど?」

そうだよね。
絵里奈は、以前より、大人びた。ぐっと、色気が出てきた。

僕「何か、心境の変化があったみたいだね。」
絵里奈「・・・うん。私ね。」

僕「だいたい察しが付くけど、どうした?」
絵里奈「彼氏が出来そう。いい人よ。誠実で。私と大違い。」

絵里奈に彼氏ができる。
当たり前だ。絵理奈はいい子だ。世間の男子が放っておくわけがない。

僕「そっか。良かったね。」
絵里奈「それだけ?」
僕「他に何を言えと。」

絵里奈「別に、何というわけでも。」
僕「僕は、うーん、うまく言えないや。」

僕「こうやって、互いに暇な時に、気軽にご飯を食べてくれる人がいなくなるのは、寂しいなと思っただけだよ。」

精一杯の嘘。

絵里奈「なにそれ。私は今まで通りでいいよ?私に彼氏が出来たって、竜也先輩に彼女が出来たって。同じようにしてくれれば。」

同じように。同じように。
僕は、いつも、絵理奈に、このセリフを言われる。

『同じようにしていいよ。キスまではしていいよ。それ以上はダメ』と言っているように聞こえる。

僕「そうだね。また連絡するよ。」

僕は、この関係を壊したくない。
今だから思う。
絵里奈も、関係を壊したくなくて、もう一歩先に進めたくなかったのだろう。


もう、絵里奈のことを忘れたい。
忘れられない。
でも、忘れたい。

GW最終日、僕は、勤務先に戻ってきた。
そして、涼子に、メールを入れた。
「付き合ってください。」

返事は、「会ってお話ししましょう」

だった。

涼子「私、忙しい人です。それでもいいですか?」
僕「僕も忙しいから、お互いそんなに会えないかもしれない。」

涼子「仕事以外に勉強もしてます。支障が出ない程度の付き合いになるかもしれません。」
僕「その時は邪魔しないよ。僕も勉強したいことはたくさんあるから、その時は僕も勉強してるよ。お互い切磋琢磨しよう。」

なぜ、僕は涼子と付き合おうと思ったんだろう。
会社でもない。旧知の知り合いでもない。
だからこそ、自分の逃げ場が欲しかったのかもしれない。

涼子「・・・今、ここで、キスできますか?」
僕「この、コーヒーショップの、この椅子に座って?」
涼子「はい。」

僕は、特に気にせず、キスをした。

涼子「・・・本当にするとは思いませんでした。」
表情を変えず、涼子は言った。

僕「イヤなら、始めからそういう無茶ぶりはしないでほしい。」
涼子「いえ。そういう意味ではないです。ごめんなさい。」

僕「あ、ああ。」
涼子の考えることはわからない。表情に起伏が低い。

涼子「5月いっぱいは身動きが取れないので、6月からでいいですか。藤原さんのお宅にお邪魔したいです。」
僕「んー、そうだねそうしよう。僕も、新商品発売後で、問い合わせやプロモーションで忙しいんだ。あと、新人研修の資料も用意しなくちゃいけない。」
涼子「ちゃんと働いているんですね。意外です。」
僕「なんだよそれw僕が忙しい振りしてるとでも?w」
涼子「私の知ってる男子は、忙しい振りをする人が多いです。」

僕「あー、それはわかる気がするな。忙しい俺ってカッコイイ的な。」
涼子「それです。大して働いてないのにエラそうな人ってニガテなんです。」
僕「そんな人間、スキなやついないってw」

6月、涼子と僕の奇妙なカップルが誕生した。

感情の起伏が少ない涼子であったが、意外な面もあった。

まず、僕の家に来ると言い、着てすぐ、豪快に脱いだ。
あっけにとられるくらい、あっさりと。

涼子「・・・あまりジロジロ見られると、照れます。」

涼子は、本当に美しい。端正な顔立ち。すらりと伸びた肢体。大きくはないが、形の良い胸。
うっすらとした茂み。透き通るように白い肌。

表情は、特に変わらない。

僕「あ、ああ。ごめん。キレイだったから、見とれちゃった。」
涼子「お世辞でもうれしいです。」

涼子は、自分の脱ぎっぷりとは裏腹に、僕の服を、恐る恐る脱がせた。
時間がかかっていたので、僕はいきなり涼子を抱きかかえ、ベッドに放り投げた

涼子「えっ?」
涼子は、何が起こったかわからない感じだった。

僕「いいから。目をつむりなよ。」
涼子は、恐る恐るといった感じで目をつむった。

僕は、優しくキスをした。

涼子「ん・・・藤原さんのキス・・・・ん・・・好きです・・」

キスはやがて、頬になり、耳になり、首筋になり、肩へと移動していく。
涼子は表情を変えることはないが、びくっ。びくっと体をよじる。

僕「どこが気持ちいいとか、あるの?」
涼子「ごめん・・・なさいっ・・ん・・・よく。。。わからないです・・」

僕は、自分の服を脱ぐ。
涼子は、僕と同じ動作でキスを真似た。

涼子「あの・・・」
僕「・・うん?」

涼子「実は、・・・よくわからないです。」
僕「何が?」
涼子「どうしたらいいか、よくわからないです。」
僕「したことがないってことかな?」
涼子「いえ・・・すみません。経験はありますが・・その・・・以前の彼氏は、私の体を貪るだけで、私から何かをしたことがないんです。」
僕「ああ。そういうことね。うーん。そう言われてもなぁ。」

僕は、涼子の手を、僕の股間に誘導した。


涼子「あっ。どうしたらいいですか・・」
僕は、その手を僕のアレにあてがい、ストロークさせた。

みるみる、僕のアレが大きくなる。
涼子「あ、大きく・・・少しベトベトします・・」
僕「ちょっと実況しないでw」

涼子は、恐る恐るといった感じで、玉を撫でた。
ひんやりとした手が気持ちいい。

僕はそのまま涼子にキスをし、頭を抱いた。
涼子は目を閉じて、少し気持ちよさそうにしていた。

おもむろに僕は中腰になる。
意図が分からないといった表情の涼子の顔前に、僕のアレを見せつけた。

涼子「ああ。そういうことですか。やったことがないのでうまく行かないかもですがいいですか」
僕「だから、実況やめなさいw」

涼子「はむっ」
戸惑うことなく、僕のアレを口に含んだ。

僕「舌は使わなくていいからね。歯も当てないようにね。ただ口を開けて、僕のアレを包み込む感じで。」
涼子は、言われた通りにした。

僕は、涼子の頭を両手で抑え、腰を少しだけ動かした。
涼子「んっ・・・んっ・・・んっ・・・んっ・・・」

涼子は、特に表情を変えることなく、僕の行動をできるだけサポートできるように努めていた。アレを口から抜く。

涼子「んはっ・・・はぁ・・はぁ・・息が・・・苦しいです・・」
僕「あったかくて、気持ちいいんだこれ。」
涼子「そうなんですね。つぎはもっと長くできるようにがんばります。」

涼子は、今度は玉を口に含もうとしてきた。
僕「生卵を口に入れたつもりで。」
涼子「(はい)」
僕「その生卵の黄身を、潰さないように、舌で転がすイメージで。」
涼子「レロ・・・ん・・・ペロ・・・ん・・・」

すぐにひっこめた
僕「ごめんw涼子ちゃんのせいじゃないんだけど、やっぱり怖いから玉はナシでw」
涼子「・・・はい。ごめんなさい。」

僕は、今度は涼子のアソコに指を入れた。
涼子「はぁ・・・・ん・・・あっ・・・・指・・・指が入ってます・・・」

形の良い眉が、少しゆがむ。
僕は、その指を2本にする。

涼子「んんん・・・・!広がって・・・刺激が・・・んっ。んっ。」
僕の腕を涼子が抱きしめる。

僕は太ももに舌を這わせ、そのまま涼子のアソコを舐める。
涼子「んっ・・・あん・・・ああっ・・!」

涼子の顔が苦悶のそれになる。
ビクンと、のけ反る。

涼子「ご、ごめんさない・・・ちょっと、敏感な状態になって・・・少し待ってください・・・少し・・あっ・・ちょっと・・あっ・・・」
また、ビクンとのけ反る。

僕は、いきり立ったアレにゴムを付け、そのまま挿入した。
涼子「ちょっと休憩・・あっちょっと・・・あっあっあっ・・・」

ビクン・ビクン・ビクン。

のけ反るのと当時に、腰を打ち付ける。苦悶の表情を見せる涼子だが、ぼくはそれを見ながら、意外と冷静だった。

僕は、なぜ涼子を抱いているんだろう。なぜ、付き合っていきなりこんなことをしているんだろう。

疑問は尽きない。

行為の後、僕はシャワーを浴びる。
涼子は、特にシャワーを浴びることなく。そそくさと服を着た。相変わらず、表情は薄い。

涼子「じゃあ、ご飯を食べに行きましょうか。」
僕「あ、ああ。」

僕と涼子は、付き合っていきなり事を成して始まった。思えば、この最初から違和感しかなかった。

気軽に、付き合ってしまい、気軽に関係を持ってしまった。


今でも、後悔している。

今日はここまでです。
明日の更新は不明です。

お疲れ様でした。

7月に入り、経営企画室に、新人が2人配属された。
大柄な男(ガリガリガリクソン似、以下ガリ君)
無口な男(栗原類似、以下ルイ君)

ガリ君は、経営企画室の番長こと河村さん・鈴木さんの部下的立ち位置。ルイ君は、沢村さん・僕の部下的立ち位置の配属だった。

なんでも、経営企画的な考えをレクチャーすればいいだけらしい。2人とも優秀で、半年後には他部署に異動。他部署の幹部候補として活躍が見込まれているらしい。

僕「ああ、ルイ君。よろしくね。新人研修でとても優秀だったのを覚えてるよ。そうか。ここで少し勉強して、〇〇支社のお抱えになるんだね。」
ルイ「・・・よろしくお願いします・・」
僕「う、うん。でもあれだよ?配属された以上は、戦力として頑張ってもらうからそのつもりでね?勉強会のつもりで来たのかもしれないけど。」
ルイ「・・・貴重な場ですので、しっかり・・・頑張ります・・・」

支社のお抱えになる。きっと、重役のサポートとして、寡黙な仕事を要求されるのだろう。当然、経営の観点で物事を考えなければいけない。
僕は、利益計算、商品企画から発売・商品の廃止までの流れ、実際製造現場はどう考えて仕事をしてるのか、サービス提供の理想と現実など、多角的に会社を考えられるような資料を集めてもらった。自分で考えて、自分でまとめてもらった。

ルイ「・・・藤原さんのおっしゃる通り、結論は理解できます。しかし、・・・そこに至るまでの・・過程が納得できません・・」
僕「それは、ルイ君がまだ、『結論に至るまでの過程を、真に理解していない』からだよ。」

ルイ「藤原さん、意見が抽象的すぎます。」
僕「ここは学校じゃないんだ。書類も、教科書じゃない。数学の教科書みたいに、懇切丁寧に公式や定義が書いてあるわけじゃない。」
ルイ「その通りです。」
僕「その資料で、わからない単語にチェックしてみて。」
ルイ「・・・・この3か所でしょうか。」

僕「じゃあ、今チェックした3か所以外で、ここの「リスクを考え」という文言の意味は?」
ルイ「リスク、ですから・・・危険性、マイナス要素、でしょうか?」
僕「うん。通常だとそうだよね。でも、為替変動や生産性などを考えた時には、プラスに変動することも『リスク』だと考えるものなんだ。」
ルイ「?そうですか?なぜです?」
僕「円安になって海外でバカ売れして、生産が追い付かなくなって、国内が品薄になったら、どうなる?」
ルイ「・・・」
僕「利益は短期的に上がるよ?生産稼働率も上がるよ?いいことだらけかな?」
ルイ「国内が品薄になれば、生産設備の整っている大手が、国内市場を独占すると思います。」

僕「賢い。だったら、それもリスクだよね。」
ルイ「そうですね・・」
僕「まあそこまで深読みしなくても、売れすぎたら生産がパンクする。だから、生産能力には余裕を持たせなきゃいけないってことはリスク管理だね。」
ルイ「分かりやすいです。」
僕「ちょっと話がずれちゃったけど、つまり、ルイ君は、まだこの書類の文言を理解できてないんだ。それは、ルイ君が悪いんじゃない。まだ業界の知識が十分じゃないんだ。」

ルイ「はい。なんとなくわかってきました。」
僕「僕はともかく、この部署の人たちが作る書類には、この業界で生き抜いていくための情報があふれてる。まずは、その書類の情報を正確に把握できるようになることだ。」
ルイ「はい。そのために資料を自分で作って、自分の中の理解不足を補えと。」
僕「・・・ルイ君、ものわかりがいいね・・・頭の出来がいい子はちがう・・」

実際、ルイ君は優秀だった。ただ、PCでの作業は苦手なようだった。当時のOSはまだまだ発展途上で、利便性を上げるためには自分なりに工夫がいる時代。
彼にとっては、慣れが必要だ。

ルイ「藤原さんは、非常に優秀です。凄いです。知識が豊富で、しかも話が分かりやすいです。PCにも強い。」
僕「うーん、あれかな。大学時代、家庭教師をしててね。0の子に1を教える苦労を知ってるからかも。あと、ルイ君が賢いからだよ。PCだって、実際は沢村さんの足元にも及ばないよ。提案力なんて月とありんこだよ。」
ルイ「沢村さんは別次元の提案力ですが、僕からすると、藤原さんの方が凄いですよ。なんでも一人でできてしまう器用さがあります。」
僕「買いかぶりすぎだよ。あと3年経てば、きっとルイ君の方が凄くなってる。」

この頃、仕事は本当に上手く回っていた。慢性的な残業はあったものの、仕事の仕組みが分かり、自分の立ち位置が確立され、教える人もいる。

ちょっとした休息には、涼子がいる。僕は、日ごろのストレスのはけ口を求めるように、涼子に発散した。

涼子は、特に表情を変えることなく、僕の欲を、受け止める。
そして、受け止めた後、落ち着いて、こう言うのだ。

涼子「じゃあ、ご飯に行きましょうか。」

僕は聞けなかった。

「こんな関係、楽しいの?」

なんのために、涼子は付き合ってくれているのか。
なんのために、涼子はそのすらりと美しい肢を開き、どんな気持ちで受け入れてくれているのか。

お盆前、涼子が、また僕の部屋に来た。
相変わらず、綺麗な顔立ち。
いつものように、いきなり、服を脱ぐ。
その時、ふと気づいてしまった。

あれ?僕は、涼子のこと、好きなの?
そこにいるのは、確かに美しい女性だ。

しかし、なんの感慨もない。
頭の中で起きた混乱は、ぐるぐる回り、めまいを起こす。

涼子「?どうしました。。?」
僕「・・・いや。うん。なんでもない。」

突然だった。
僕は、突然、涼子を抱けなくなった。

僕「あはは・・なんだろう。上手くいかない。疲れてるのかな。」
涼子「・・・別に、私は気にしませんけれど。」

ショックだった。
いざという時に、維持できない。

涼子が口でしてくれたときは、僕のアレははち切れんばかりになる。
でも、いざ、挿れようとすると、元気がなくなる。

何を迷ってるんだ。涼子が待ってる。お前は挿入れたくないのか?そうじゃない。
でも、挿れてしまっていいのか?何のために挿れて、それが涼子にとって幸せなの?

僕は、何の感慨もなく、一人の女性を、満足させられるほど、立派な人間なの?
でも、涼子は待ってる。頑張らなきゃ。
でも・・・

ぐるぐる考え出したら、パニックになった。
初めてだった。

涼子「まあ、よくわかりませんけれど、ご飯に行きましょうか。」


お盆直前にも、会った。
また、出来なかった。

涼子「なんだか・・すみません。私の魅力が、足りないのかもしれませんね。」
僕「いや・・そうじゃないと思うんだけれど・・」
涼子「私は、こう、抱きしめてもらえているだけでも、十分ですが・・・」

罪悪感が強くなる。

僕「ごめん。今日は、帰ってくれないかな。疲れてるみたい。寝るねもう。」

涼子、「・・・お盆は、会えますか?」
僕「うーん、1日くらいなら。」

涼子「・・・わがまま、言っていいですか?」

涼子が、初めて、自己主張をした。
僕「どうしたの?」

涼子「泊りがけで、出かけたいです。いいですか。」
僕「あ、ああ。これから宿なんて取れるかな・・・」

涼子「愛子と以前泊まった所なら、いけると思います。予約しますので。」
僕「・・・そこまで言うなら。」

僕は、涼子と付き合うことに、限界を感じていた。

涼子に、申し訳ない。


そんな気分だった。

すみません昨日は急用があり途中で書けなくなりました。

お盆に入り帰省し、大学時代のサークル友達と会った。

友1「久しぶりwたまには俺の勤務先(横浜)の方にも遊びに来いよ。」
僕「そうだね。中華街もたまには行きたいな。年末にでも行くよ。」
友2「お、いいね。俺も行きたい。」
友3「えーいいな。私も行く!」
友4「じゃあ私もー。」

こうして、年末は横浜で過ごすことになる。

友1「最近、調子はどうよ。」
僕「良くも悪くも。」
友1「彼女できた?」
僕「うーん。出来たけど・・・」

僕「別に好きでもない子と付き合ってる・・・かな。」

「「「ええええええ!!」」」

その後、質問攻めにあった。
そして、怒られた。
酷い。ただのセフレじゃないか。相変わらずお前は冷たいやつだ。

言われて、反省した。
僕「やっぱり、まずいよなぁ。関係をはっきりさせてみる。」
友2「まあお前の人生だから好きにすればいいけれど、人の道を外すことはないようにな。」

身に染みた。

京介、堅、絵里奈、怜奈とも会った。
でも、涼子のことは言えなかった。

京介は、彼女を連れてきた。綺麗な子だった。気立てもよかった。
京介「ここで発表があります!」
堅「お、なんだなんだ。」
京介「俺たち、結婚します!」
一同「おおー!」

京介は幸せそうだった。
式は挙げず、入籍だけとのこと。京介らしい。

それを見ていた玲奈は、すこし羨ましそうだった。
堅は、遠い目で見ていた。

玲奈「いいなぁ。私も結婚したい。」
堅「ふーん。そうなんだ。」
玲奈「・・・何その言い方?」
堅「・・・別に・・・」

僕「そこ!めでたい時に不穏にならない!」
堅「・・・帰るわ。」
玲奈「帰れば?」
堅「いちいち突っかかるなよ。」
僕「あのー。」
玲奈「竜也先輩ー飲みましょー」
絵里奈「玲奈、ちょっと。」
堅「じゃあな。また連絡するわ。竜也。京介もごめんな。新居決まったら教えてくれ。竜也と遊びに行くから。」

僕達は、先輩であり、後輩であり、学生の時から遊んで、社会人になっても遊ぶ、友達だった。
時間の流れは、いろんな出来事を生む。

僕「じゃあ僕も帰るよ。」
玲奈「一緒に帰りましょー?」
僕「何言ってるの玲奈。玲奈と一緒にいたくないから帰るんだよ。玲奈と堅なら、僕は堅を取るよ。」
玲奈「うわホ〇だ。」
僕「玲奈、ちょっと頭を冷やせ」
絵里奈「玲奈、何があったかしらないけど・・・」
玲奈「絵里奈には関係ないよ。」

この日、気まずい雰囲気の中、解散した。
きっと、この5人という、狭くも心地いいコミュニティの中に、京介の奥さんという要素が入り、無意識に不安が生まれたからだと思う。
人は、安定を求める。心のよりどころのバランスが崩れる、漠然とした不安。


僕「みんな大人になったんだよなぁ。どんどん、変わっていく」
絵里奈「そりゃあそうよ。変わらないものなんて、ないよ。」
帰り道、絵里奈と帰った。

絵里奈の手は、温かい。
不意に、絵里奈を抱き寄せる。

絵里奈「んっ・・・・暑いw」
僕「絵里奈も、変わったの・・・?」
少し、強引にキスをする。

絵里奈「んむっ・・・・ちゅっ・・・どうかな。同じようで、変わったのかも。変わらないのは・・」
僕「変わらないのは?」


絵里奈「私と竜也の、仲だけよきっと。」


駅まで送り、改札で、キスして別れた。
いや、「キスだけをして」別れた。

変わらない関係。
終わらない関係。

憂鬱な日。
涼子と会う日。

2人で、山の方へドライブ。
今までも、ドライブに出かけたことはある。特に、道中で話はしない。
今までは気にしなかったが、その日は、気まずさが際立った。

涼子「・・・特に、話すことないですね。」
僕「そうだね。んー、お盆直前にも会ってるし。あ、お盆出かけた?」

涼子「出かけてないです。」
僕「まさかとは思うけど、仕事?」
涼子「いえ。勉強を。」
僕「ああそうか。進んだ?」
涼子「・・・藤原さんと、次に会ったら、何の話をしようか・・・悩んでいました。」
僕「・・・どういう意味かな?」
涼子「藤原さんの方が、わかっているかと思いますが・・・」

涼子は、賢い。
僕の考えていることくらい、分かるんだろう。
僕は逆だ。
涼子の考えていることなんて、まったくわからない。
いや、分かろうとする努力が、足りない。

僕「鋭い。さすが。」

僕は、この旅行が終わったら、涼子と別れるつもりでいた。

涼子「じゃあ、旅行が終わったら、話し合いましょうか。」
僕「・・・うん。旅行を楽しもう。あれ?楽しめるのかなこれって。」

涼子「え?ええ。私は楽しいですよ?」
僕「そうなんだ。いつも、こう、表情がないというか、淡々としてるから、楽しくないのかと思ってた。」
涼子「ああ。まあそう見えますよね。よく言われます。楽しくなさそうだって。」

僕は、努めて明るくした。
涼子は、相変わらずだった。

宿に着いた。ロッジ風の、素敵な所だった。
チェックインをする。
部屋に入ると、ツインのベッド。温かい基調で統一されたところだった。

涼子は、おもむろに、服を脱いだ。
そして、僕の服に手をかける。

僕「もう、やめよう。こういうこと。」
涼子「・・・」

涼子は、手を止めない。
僕「涼子、やめよう。」

僕は、語気を強くした。
涼子の手が止まる。

涼子「だめですか。」
僕「うん。きっと、上手くできないよ僕。もう無理なんだ。」
涼子「なぜですか?」

もう、止まらない。

僕「旅行が終わるまでは、言わないでおこうって決めたのに、やっぱり、無理だよ。」
涼子「そう決めたのなら、旅行が終わるまでは、今までどおりに行きましょう。」

僕「もう、耐えられない。罪悪感しかない。付き合った時からそうだった。僕は・・・」
涼子「・・・わかりました。今聞きます。」
僕「ごめんなさい。僕は、最初から、涼子のことを、好きじゃなかったみたいだ。」

言ってしまった。

涼子「最初から、ですか。」
僕「たぶん・・・」

涼子「今聞くのもどうかと思いますが、なぜ、私と付き合いたいって言ったんですか?」
僕「ごめんなさい。」
涼子「謝罪が聞きたいのではなくて・・・素朴な疑問です。」
僕「んー、強いて言えば、んー、一緒にいる時間が、心地よかったからかな。でもやっぱり、好きって感情が持てなかった。あと、」
涼子「あと、なんでしょう。」
僕「あのレストランから見た夕日が、ロマンチック過ぎた。」
涼子「ああ。本当ですよね。あの夕日が、2人の距離を縮めました。私も、あの時は流されました。」

僕「今はもう、会うたび、罪悪感しかない。涼子も、そんなに楽しくなさそうだし、2人で会う意味はあるのかなと考えてしまって・・」
涼子「ええと・・はい。一応聞きますが、別れたいという結論は、もう出てしまっているのですか。」

僕「うん。ごめんなさい。涼子はいい子だとは思う。でも、好きじゃない。別れたい。」
はっきり言った。

涼子「もう、結論の出ている人に、何を言っても無駄なことはよく知っています。わかりました。別れましょう。」
僕「宿は、どうする?無理して泊まらなくてもいいし、帰ってもいいよ。ちゃんと送る。」

涼子「いえ。大丈夫です。あ、提案があります。」
僕「なんでしょう。」
涼子「この旅行中、私のいうことを聞いてください。そうしてくれたら、別れます。」
僕「抱いて、は無しでお願いします。」
涼子「はい。服着ますね。」

僕「何を命令されるのやら。」
涼子「変な命令はしません。普通に過ごしてほしいだけです。あそこの美術館に行って、あそこのお寺に行って、一緒にご飯を食べ、同じ部屋で寝て、同じ車で帰って、さようならをしてほしいだけです。」
僕「わかったよ。涼子がそう望むなら。」

涼子の表情は、変わらなかった。

涼子は、本当にいつもと変わらなかった。
帰りの道中も、いつも通りだった。

僕「お腹空いたな。SA寄っていい?」
涼子「え、まだ食べるんですか。いつも思ってましたが、あんなに食べて、太らないんですね。」
僕「普段は、あまり食べないから。ゆっくり食べる時間もないし。涼子と食事に出かけるときは、食が進んだなぁ。」

涼子「え・・えと・・あ、はい。そうですか。私の分も食べてくれましたものね。」
僕「美味しい料理が多かったな。下調べしてくれてたんでしょ?いろんなお店が知れて嬉しかったよ。」
涼子「・・はい・・・」
僕「僕が具合悪くて、隠してたのに、あの日、涼子は、良く休憩をとったよね。頻繁にトイレに行ってた。僕の体調に気づいてさりげなく席を外してくれたんだよね。気が利く子だなと思ってた。」
涼子「・・気づかれてましたか。」
僕「だから、よけいにわからない。なんのためにそこまでするのか。疑問だった。」
涼子「表情に出ないだけですよきっと。よく言われます。藤原さんとは、いつも楽しく過ごしてましたよ。」

そういう表情は、淡々としていた。

SAで、串物を何か頼んだ。
僕「涼子も食べる?」
一口勧める。
涼子「・・・いえ、お腹はそんなに空いてないです・・あ、やっぱり、一口だけ頂きます」
僕「なかなか美味い。不味いんだけど、美味い。不思議だよね。」
涼子「SAだから許される不味さですよね。」

そう言うと、涼子は踵を返し、こう言った。
涼子「そろそろ行きましょうか。」
僕「あ、ああ。行こう。」

僕のマンションに着いた。
涼子は、部屋まで入ってきた。

涼子「では、これで最後です。最後のお願いです。」
僕「・・・うん。」

涼子「正座してください。」
僕「え?正座?はい。」

なんとなく予想がついた。

涼子「私が今から何をしても、怒らないでください。」
僕「・・・はい。」

涼子「私が、いいというまで。。。。いい・・いいというまで、目を・・瞑ってて。」
僕「わかりました。」

僕は、目を、ギュッと瞑った。
これは、バカな僕でもわかる。あの淡々とした顔、端正な顔は、冷酷なまでに無表情だった。

バイオレンスな事態が起こるんだ。
僕は、正座をし、背を正し、来たるべき痛みに備えた。

5分だろうか・・・
10分だろうか。

僕「・・・あの・・・」
涼子「黙ってて!」
僕「はいごめんなさい。」

何も起きない。
そう、何も起きないのだ。

ただ、僕が正座をし、目を瞑り、それだけ。

静寂が僕の部屋を支配し、僅かに、時計のカチコチという音だけが聞こえる程度。
意味が分からなかった。僕は、ひたすら耐えるしかない。
涼子の、来たるべき鉄拳制裁は、来なかった。

もう無理だ。
僕は、目を、恐る恐る・・開けた。

号泣だった。
涼子は、その端正で美しい顔をぐしゃぐしゃにして、涙もその他の液体も垂れ流しながら、声を押し殺して、ただただ泣きじゃくっていた。

涼子「目を瞑って!そう言ったじゃないですか!」
僕「涼子・・・ごめんなさい。」
涼子「約束破ったから、別れるのはナシ!そうですよね!私、別れません!うわああああああ!!!!」

恥も、外聞もなかった。
ただただ号泣していた。

僕はタオルを濡らし、固く絞って、涼子に渡した。ぐしゃぐしゃになった顔を拭く。
声にならない声だった。

涼子「ずっと、大好き・・・いやだ・・・別れないで・・・」

涼子は、今までのことを、堰が切れたように話し続けた。

美味しそうに食事をする姿が好きで、いつも取り分けて食べてもらっていた。
何気ない気遣いが、うれしかった。
仕事のことを話す姿が、とても格好良かった。
勉強の応援をしてくれた。頑張れた。
緊張しっぱなしだった。ドキドキした。
好きでいてもらえるよう、綺麗になる努力をした。
薄々気づいていた。好かれていないと。でも、会いたかった。
繋ぎとめる手段が、抱かれることだと思っていた。それで良かった。


泣きながら、延々と、繰り返し、別れたくないと言われた。

こんな女いたなぁ
懐かしい

僕は、さらなる罪悪感に襲われた。

僕「ごめんなさい。」
涼子「嫌です!」
僕「僕は、涼子のそんな気持ちもわからない、愚かな人間なんです。」
涼子「でも!今!知りましたよね?!じゃあいいじゃないですか!」
僕「僕は、涼子が思うような、いい人じゃないんだ。ごめんなさい。別れて。」
涼子「嫌です!悪いところは直します!やり直します!」

僕も涼子も、疲れ果てていた。
涼子は、最後まで、抵抗した。でも、その抵抗が無意味であると、悟った。

涼子「・・・帰ります。さようなら・・・」
トボトボと、部屋を、出ようとする。

何も言わず、玄関まで送る。
涼子「そう言うところです。最後まで・・捨てる女にまで、優しくエスコートするところが・・相手を・・その気にさせるんですよ・・・」
僕「・・・気を付けて帰って。帰ったら、帰ったことを、連絡して。」
涼子「・・・連絡はもうしません。子ども扱いしないでください。」
僕「おやすみ。」

涼子は、抱きついてきた。そして、涙を流して、キスをしてきた。
僕が経験した中で、最も長く感じられた、最も悲しいキスだった。

>>161
冬になると、思い出すことってあるよね。

お盆明け、沢村さんに呼ばれた。

沢村「竜也、時間取れるか?」
僕「10時まででしたら。」
沢村「OK。打ち合わせ室取っておいてくれ」
僕「はい。」

沢村「お前、この前の査定はどうだった?」
僕「・・・ありがたいことに、A判定でした。沢村さんのおかげだと思います。」
沢村「俺もAだ。今回もなかなかいい査定だったよ。お前の案件があったからなんとか行けたんだと思う。」
僕「そんなことないですよ。むしろ、沢村さんはSじゃないんだとびっくりです。」
沢村「S評価は、滅多に出ないんだよ。前回はまぐれさ。」

僕「それで・・?」
沢村「他の人は、BとCだ。この意味は分かるか?」
僕「僕が沢村さんのおかげで高評価ということくらいですかね。わかるのは。」
沢村「そんなわけないだろう。3年目でAが二回のヤツなんて、聞いたことがない。たぶん、この秋、少なくとも来春には、お前は副主任に昇格だ。」

ちなみに、沢村さんは主任だ。

僕「・・・にわかには信じられませんが。」
沢村「お前は優秀だよ。もう、お前に教えることなんて特にない。」
僕「え?いつも教えてもらってばかりですよ?」

沢村「それは、知識だ。知識なんて、長くやれば勝手に増えてくる。」
僕「すみません。話の内容が見えてこないですが・・」

沢村「おお。そうだな。実は・・・」
僕「はい」

沢村「全く別の業界から、俺に、引き抜きの話が来ている。俺は、その話に乗ろうと思ってる。まだ誰にも言ってない。お前に最初に話してる。」

頭が、真っ白になった。

僕「えと・・・話は分かりましたが。。。突然ですね。」
沢村「ああ。お前の案件、手助けしたろ?あれに俺の名前を使ったからな。『以前から目をつけていたけれど今回の件で引き抜こうと決めた』と言われたよ。」

僕「実際、沢村さんの案件みたいなものですしね。」
沢村「堂々巡りだな。とにかく、」

沢村さんは、ポンっと僕の肩をたたいた。

沢村「お前は、もう一人前だよ。俺がいなくてももう大丈夫。俺は会社を去るが、お前がいれば安心だよ。」

違う。買いかぶりだ。
僕は知っている。沢村さんの凄さを。
僕にはサポートが合っている。

僕「去る者は追わず、ですね。違う分野でも、頑張ってください。」
沢村「ああ、当たり前だよ。9月いっぱいまでは引き継ぎをするために残るから。お前が全部やるわけじゃないだろうが、頼んだよ。」
僕「きっと河村さんや鈴木さんが引き継ぎそうですよ。」
沢村「かもな。残り少ない期間だが、出来るだけ財産は残していくからな。」

沢村さんは、数多くの財産を残していった。
9月まではあっという間に過ぎ、上期が終わった。
部署内も、つかの間の休息が訪れる。

沢村さんは、退職した。
そして、辞令が通達された。

僕には、副主任という役職が付いた。

いつも、沢村さんを追いかけていた。

クローゼットの中は、色物や柄物のYシャツになっていた。
ネクタイも、カフスも増えた。
靴は、名のある革靴になった。
髪は、行きつけの美容院で手入れしていた。
車は、燃費の悪いスポーティなものに変わっていた。
部屋には、専門書や洋酒が並ぶようになった。

全部、沢村さんが教えてくれたものだ。
皆、僕を見ていない。
僕を通して、沢村さんを見ているのだ。

攻めるべき矛がなく
守るべき盾がない。

副主任と言っても、やることは今までと変わらない。
だが、周りの反応は、冷ややかだった。

部長・課長は「沢村がいなくても、お前がいれば別になんとかなるだろう。実務はお前がやってたんだから」というスタンス。
鈴木さんや河村さん、伊藤さんは「まあ、大変だろうが頑張れや」というスタンス。

その他の人は、「なんであいつが副主任?」だった。

僕と沢村さんはよく一緒に仕事をしたが、事務の女性が一人サポートをしてくれていた。
なので、3人での仕事が多かった。

3人での仕事が、2人になった。

僕「この資料が明後日までに必要なのですが、用意をお願いします。」
事務の女性「できません。」


僕「・・・えっ?」
事務の女性「ですから、できません。」


僕「えと・・理由を教えてください。」
事務の女性「残業しないと間に合わないので、できません。」

当時、事務職の人は、残業代を出さない方針だった(今の社会なら違法ですよね)
でも、今までは残業をしてくれていた。

『あなたのために、残業してまで働く気はありません』

そう言っているのだ。

僕「分かりました。自分でやりますので、他の仕事をお願いします。」
事務の女性「なにそれ。私に対するあてつけですか?副主任?」

僕「・・え?いえ。そういうつもりではないです。すみません。」
事務の女性「もう行っていいですか?やることあるので。」

この女性は、10月いっぱいで退職した。

3人でやっていた仕事は、僕一人でやることになった。

僕は、沢村さんじゃない。
僕は、沢村さんじゃない。

誰もが、僕に、沢村さんの後釜を求めた。

「こんなの作ってね。今日中に何とかお願い」
「あー、悪いんだけどさ、営業所の問い合わせで・・・」
「この案件だけど・・・」

僕は、定時に出社し、昼食の時間まで仕事。食堂で10分で食事をして仕事。
午後はずっと会議と来客。
夕方から仕事。また食堂で10分で食事をして仕事。日によってはそれすらもできない日がある。
そして、メールを各部署に送って仕事。22時を回ると、フロアに残るのは数人。
24時を回ると、誰もいなくなる。

2時になり、仕事を終え、フロアを消灯。
たまに、警備のおじさんが見回りに来て、差し入れで総菜パンをくれる。それがありがたかった。

2時半に帰宅、その姿のまま就寝。
翌朝、4つの目覚ましで起き、シャワーを浴びてコンビニで栄養ドリンクを買い出勤。
土曜も終日出勤。日曜は半日出勤。残りの半日で洗濯やクリーニングや買い出し。

こんな生活が、年末まで続いた。
残業は、休日出勤含めて200時間を超えた。

僕の残業代は計上されなかった。基準に収まる程度の、微々たるものだった。

ただただ、仕事をこなすだけの毎日。
罰だ。

これは、僕が今までしてきた行ないへの罰なんだ。
12月に入ると、自然と、涙が出るようになった。

メールの回数がめっきり減り、皆から心配のメールが来る。それを、確認することもなくなった。

年の瀬。もう数日でやっと今年が終わる。
僕の生活は、奇妙なほど規則的。規則的に不規則だった。

朝、シャワーを浴びる。ふと、鏡を見た。
そこには、別人がいた。

あれ?これ、誰の顔だ?
僕って、こんなに老けてたっけ。

体重計に乗った。
60キロあった体重が、50キロに迫る勢いだった。

最近撮った写メを見る。
痩せてはいたが、よく知る、自分の顔だった。

大丈夫。
大丈夫だ。あと数日したら休みだ。長期休暇だ。

横浜に行って、美味しいものを食べて、バカ騒ぎして、帰省して、絵里奈に会って、新年を迎えて、豊とスノボーに行けるんだ。

僕は、コンビニに寄って栄養ドリンクを買い、その場で飲む。
少しスッキリする。

出社し、デスクに座る。
朝一から会議、か。
席を立ち、会議室へ向かう。

異変は、その時に起きた。

急に、目の前が、眩しく光り輝いた。
え?何?

頭のてっぺんから、むず痒い、ムズムズした感覚が、広がっていった。
むず痒さは、やがて、脳を覆っていく。
と、視界が、すこしずつ、暗くなっていった。

やばい。
これはやばい。

僕は、右足を、前に出そうとした。
思うように、足が出ない。

がんばれ、頑張れ、僕の右足!
僕は、右手で、思いっきり頭を殴った。

視界がクリアになる。

今度は、両手で自分の頬を叩いた。
鈴木「ん?どうした?藤原?」

意識がはっきりしてくる。
僕「ああ、すみません。大丈夫です。会議に行ってきます。」
鈴木「おう。行ってきな。」

足を動かす。動く。大丈夫だ。

目の前には階段。
明るいフロアから、少しだけ薄暗くなる。

その瞬間。
一気に来た。

一気に、視界が暗くなった。

マズイ。会議に行かなきゃ。
自分がやらなきゃ。

今目を閉じたら、きっと、人生が終わる。
目を開けたい。前に進みたい。今、目を閉じたら、もう、一生目を覚まさない。
よろよろ、かろうじで、あるこうとする。

階段にたどり着く前に、僕は、崩れ落ちた。
固い踊り場の床。

とっさに、頭を守った。
ふわっとする感覚が、自分を包んだ。
あれ。
床って柔らかいんだな。
冷たくて気持ちいい。

ああ。
もういいんだ。
もう頑張らなくてもいいんだ僕。

好きなだけ寝ていいんだ。やった。

もう、どうでもいいや。
僕、頑張ったよね?

涼子、ごめんね。泣かせちゃった。
絵里奈、さようなら。
祐希、頑張れよ。
結衣、元気かな。
・・・
・・・

僕の意識は、ここで途絶えた。

肌寒い感覚で、目を覚ました。
病院だった。

目の前には、特に誰もいない。
現状を把握する。

よく、起きた瞬間はぼうっとしているとか、しばらく記憶がないとかいろいろ言われるが、そんなことはなかった。
僕はすぐ、倒れたことを思い出し、病院にいることで現状をほぼ把握した。

右手には点滴。近くにはナースコール。

なんにせよ情報収集だ。僕はナースコールを押してみた。

すぐにナースが来る。

ナース「藤原さん、目が覚めたみたいね。気分は?」
僕「・・・特に問題ないと思います。えと、鏡ありますか?僕のスーツの上着に入っていたかと思うんですが。」

手鏡を受け取る。顔色は、いい。怪我も見受けられない。腕が少し痛むぐらいだ。

ナース「自分のお名前、わかります?」
僕「はい。藤原竜也です。おそらく、会社の階段付近で気を失って倒れたんだと思います。」

ナース「あら。意外と軽傷なのかしら。今、先生呼んできますね。えと、上司の方にも、連絡を入れておきます。」
僕「助かります。」

簡易的に先生があれこれチェックしてくれた。
先生「とにかく、栄養出張だよキミ、しばらく安静にしないと。あと、脳のダメージがあるといけないから、数日は検査入院ね。」
僕「仕事があるんですが・・」
先生「あのねぇ。藤原さん?あなた、死にかけてたんだよ?自分の命と仕事、どっちが大事なの?」
僕「ですが・・・休んだ分だけ自分に返ってきてしまうので・・・」
先生「これは命令だよ。検査しなさい。」
僕「しかし・・」
先生「あなたの上司には、私から言うから。あなた、仕事中に倒れてるんだよ?あなたに何かあったら、最悪、会社に業務停止命令が出るよ?その意味わかる?」
僕「逆に迷惑がかかりますね。わかりました。」

夕方、課長がやってきた。
僕「すみません。ご迷惑をおかけします。」
課長「本当に迷惑だよ、君は。」
僕「すみません・・・」

課長「そうじゃない。なんでもっと早くサインを出さないんだ。君は、「大丈夫です」しか言わない。」
僕「・・・」
課長「助けてのサインを出さないと、逆に、皆に迷惑がかかる。それだけは覚えておいてくれ。」
僕「おっしゃる通りです。申し訳ありませんでした。」
課長「それと・・・ここまで放っておいて、すまなかった。誰もが、お前の境遇を知ってたのに。。手助けできなかった。」

僕「うっ・・・うう・・・」

僕は、課長の前で、泣いた。

課長「とにかく、年内は休め。年明けからは、事務の子だけれど、2人付くから。」
僕「・・・そうだったんですね。」
課長「え?お前にも言ったはずだが・・・」
僕「聞いたのかもしれませんが、忘れてたんだと思います・・」

課長「・・親御さんに連絡しないとな。」
僕「いえ、結構です。やめてください。」
課長「身の回りの世話や、泊まるんだから準備もあるだろう。どうするんだ。」
僕「つてがあるので、そちらをあたります。」

課長「そうか。とにかく安静にな。」
僕「はい。ご迷惑をおかけしました。」

僕は、淳に連絡を取り、着替え等を持ってきてもらった。翼と結衣も一緒だ。
淳「社内は騒然だぞ。過労死したかと思った。」

意外と元気そうな僕を見て、淳はほっとしていた。

結衣「びっくりさせないで・・心臓泊まるかと思ったよ・・・」
僕「よせ。縁起でもないw」
翼「あなた副主任なんでしょ?しっかりしなよ。」

僕「しっかり頑張ろうとした結果がこれさ。」
翼「・・・ごめん。」
僕「なーんか、頑張ってみたけど、無理だ。僕には。」
結衣「・・・うん。」
僕「僕は、沢村さんにはなれないや。部署内も、他部署も、誰も僕の仕事なんて信用してない。誰も動いてくれない。」
翼「え。そりゃそうよ。まだ3年目が会社を動かせるわけないじゃん。」

僕「本当だw悩んで損したww」
淳「お前は頑張りすぎるんだよ。気軽に行こうぜ。」
僕「・・・・ありがとう。」
結衣「また寄るね。困ったことがあったら言ってね。」

僕「みんなありがとう。みんなしか頼れないから、頼らせてもらうよ。」

そうですね。当時のことを思い出す時は欠かせないです。
未だに交流ある子もいるし。

鈴木さんが、お見舞いに来てくれた。

鈴木「お疲れ。具合はどうだ?」
僕「お疲れ様です。無理した結果、このざまです。」

鈴木「元気そうで良かったよ。無理しすぎたな。」
僕「・・・はい。」

鈴木「お前の案件、ちゃんと整理されてたから、俺たちで手分けして、簡単な奴はやっておいた。」
僕「助かります。ありがとうございます。」

鈴木「やってて思ったけどさ・・・」
僕「はい。」

鈴木「お前、やらなくていい仕事が多いな。」
僕「・・・そうでしょうか。」

鈴木「ああ。多い。他の部署のやる仕事を、お前がやってる。なんでお前が原価計算してるんだ?生産管理の仕事だろう。」
僕「・・・はい。しかし、自分でやった方が正確に出せる気がして・・」
鈴木「なんでお前が部品発注先を決定してるんだ?それは購買の仕事だろ。」
僕「・・・そうですが、購買の方で手間をかけるまでもないかなと・・・」

鈴木「違うよ。お前は、他の部署の仕事を横取りしてるんだよ。個人事業ならまだしも、お前は会社の社員だ。与えられた仕事をしなくちゃダメだろう。」
僕「・・・はい。」
鈴木「お前は賢い。キレる。だから、きっと、お前がやった方が早いだろう。そして正確なんだろう。でもそれは違う。結果、お前は仕事を抱えパンクした。」
僕「言い返せません。」

鈴木「俺はお前に沢村の代わりを望んでない。ありゃ無理だ。お前はお前の良さがある。それを伸ばさないと。」
僕「・・・はい。」
鈴木「これだけは言える。沢村ができて、お前が出来ないこと。それは、「人に頼る」ということだ」
僕「頼る。ですか。」

鈴木「沢村は、人を使うのが上手かった。だからあいつは自分の好きなことだけが出来た。お前はそれが出来ない。なぜなら、一番年下だから誰にも指示できない。経験が少ない。そして、自分ですべてを背負おうという意志が強すぎる。」

そうかもしれない。
実際、沢村さんは自分の好きなこと以外、僕に任せるかアウトソースに出したりしていた。
入社したての頃、沢村さんの提案書には裏付けの資料がないと思っていたが、それは資料を用意する時間を省いていたんだ。

僕「その通りですね。これから、もっと人に頼ろうと思います・・」

鈴木さんが帰ったあと、考えていた。
どうやったら、仕事がこなせるか。
どうやったら、仕事が進むか。
そして、どうやったら、他人を自分の味方にできるのか。

どうやって手を抜くか。

年末は、病院で過ごした。検査の結果、異状はなかった。
年始は、帰省も遊びもせず、マンションの部屋で自問自答していた。

こうして、1月を迎えた。

眠いです。
何人の方がみてるのか不明ですが、ありがとうございます。おやすみなさい。

年が明け、もうすぐ会社が始まる。
僕は、会社の就業規則や社内規約を読みふけっていた。

もうやめよう。
自分には限界がある。
僕は沢村さんじゃないから、同じことはできない。
僕なりにやろう。

会社が始まった。

辞令が出た。
まず、新人君(ルイ君とガリ君)は移動した。予定通りだ。

ルイ君は、それなりに理解力を持って行ったと思う。活躍を願った。
入院中、挨拶に来た。

ルイ「申し訳ありませんでした。ご負担ばかりかけて」
僕「ルイ君それは違うよ。僕はルイ君の資料に助けられていたから。」
ルイ「・・・そうですか。」
僕「これからの活躍、期待しているよ。」
ルイ「・・・不安しかありませんが・・」
僕「不安が出るってことは、ちゃんと頑張ったから不安になるんだよ。」
ルイ「・・・そうかもしれませんね」

ガリ君は、恐るべき変貌を遂げた。
経営企画室の番長こと河村さんに別の意味で鍛えられ、ガリガリガリクソン君の容姿・服装だったものが、ムキムキのゴーレムのようになった。
ガリ「ウッス!これくらい余裕ッスよ!」
僕「お、おう。」

新たに配属されたのは、事務で年上の先輩だった。
扱いに困るが、僕がリーダーとして紹介された。

課長「若いけれど、藤原君がリーダーだから、2人とも指示を仰ぐように。」

「「はい」」


靖子さん(沢口靖子似)「宜しくお願いしますね。沢村さんのことはよく知ってるんですよ。」

靖子さんは2児の母。育児休暇明けだ。無理はさせられない。
この部署にも、以前、配属経験があるらしい。
心強かった。各部署にも顔が利くみたいで、別の意味でも助かりそうだ。


菜々子さん(松嶋菜々子似)「宜しくお願いします。なんでもやりますので!」

菜々子さんは、年明けからの希望配属先を経営企画室にしたという、やる気のある先輩だった。

僕「確認ですが、PC操作はどれくらいのスキルですか?アクセス・エクセル・フォトショップ・イラストレーター・社内CAD・・・」
菜々子「アクセスとエクセルは前の部署でも使っていましたよ。アドビ製品は使ったことがないですが、頑張って覚えます!」

出来るかどうかは別として、前向きなのはうれしい。

挨拶が終わり、菜々子さんには当面電話番や社内メール展開・社内LANに載せるデータの管理と更新をお願いした。
靖子さんには、もう少し実務的な、各関係資料の抜き出しとまとめをお願いした。初日から即戦力だった。

僕はその足で、部長に時間を割いてもらえないかお願いに行った。

僕「部長、お時間よろしいですか?」
部長「今かね?」
僕「はい。」

部長「・・・では、打ち合わせ室で。10分ほどでいいかな。」
僕「ありがとうございます。」

僕は、休み中に作った申請書を提出した。

部長「・・・これは?」
僕「お休みをいただいている間に、社内の規則を読み、自分なりに考えたことを申請書にしました。」

内容はちゃんとした申請書だが、そこから導き出される主張は以下の通り

・僕は、以前のように働きません。
・キャパを超える、あるいは他人でもできることで、守秘義務の薄いものはすべてアウトソースに出します。予算が出ない場合はその仕事はしません。
・部下に残業をさせません。させるときは、残業を申請し、事務職であっても残業代を出してもらいます。通ったら、命令して残業させます。
・僕自身は、以前ほどではないけれど、残業します。ただし、ある程度は申請書を出すので、以前より残業代をください。もらえないのなら残業しません。
・休日出勤はしません。ただし、必要であれば喜んでします。そのかわり、休日出勤手当ではなく、代休を申請します。

僕「判子をいただけないでしょうか。」
部長「え?あ、うん。いいよ?」

あっさり通った。拍子抜けした。

僕「自分で出しておいて、あれですが、簡単にとおるとは思っていませんでした。」
部長「キミ、勘違いしてるよ?」
僕「勘違い、ですか。」
部長「これ、みんな、暗黙の了解でしていることだよ。それが紙として出されただけだ。」
僕「・・・そうだったんですね。知りませんでした。」

部長「キミの悪いところでもある。なんでも、自分でやらなくてはと思い込んでる。ここは会社だ。一人だけでは何もできない」
僕「おっしゃる通りです。」
部長「正直、辞表を出されるのかと思って、怖かったよw」
僕「さすがに無責任なことはしませんww」

部長「まあ、こうやって書類として残していくことが必要でもあるな。藤原君、」
僕「はい。」
部長「これから、気づいたことや改善した方がいい事象があったら、どんどん書類として残しておいてくれ。僕の判子でよければいくらでも押すから。」
僕「・・・ありがとうございます。・・・やはり、独りよがりだったんですね。私は。」
部長「誰もが通る道さ。若い時は、根を詰めるもんだ。で、上手くサボることを覚えるんだよ。」

僕「きっとそうです。ご意見ありがとうございます。」
部長「他の人を上手く使っていくことも、『副主任』の役割だよ。ま、気負わずにやって行きなさい。」
僕「はい。失礼します。」

こうして、1月の激務が始まった。

それなりの規模の会社となると、途中で会社を辞め、独立する方もそれなりにいる。
所謂、「身内みたいなアウトソース先」である。
また、うちの部署で贔屓にしている発注先もかなりあった。

僕も、沢村さんに同行することも多かったので、顔が利いた。
1月は、アウトソース先に仕事を出しまくった。不安しかなかったが、それしか仕事を回す手段がなかった。
当初は、僕がやった方が早かった。しかし、数週間もすると、あっというまに僕がやるよりも早く正確に資料が出来上がっていった。
流石である。流石、それで飯を食っている人達だ。

外注先「お客さんの要望が見えてこれば、だいたいの資料は作れるものだよ。藤原さんの求めてるものが分かってきたから、これからは早いよ!どんどん注文出して!」
僕「いやぁ。助かります。僕、沢村さんみたいに美的センスがないから、こんなに素敵にレイアウトしてくれるなら、最初から頼めばよかったです。」

靖子さんには、子育ての中、申し訳なかったが、無理のない範囲で残業してもらった。
靖子「しっかり残業代が出るなら、残業しますよ。気を使わないでくださいね。」
僕「本当に助かります!お子さんの体調が悪い時は、有給でも代休でも早退でも遅刻でもなんでも判子おしますから!ちょっと出るだけなら、ナイショで出ていいですからね!」
靖子「逆に助かります。ありがとうございます。」

菜々子さんであるが・・・
こちらは、正直、期待外れだった。
簡単に言うと、「やる気はあるけれど、理解するまでに時間がかかる」のである。
たとえば、
僕「2y=4 ということはy=2ですよね?」
が理解できない。なぜなら、
菜々子さん「え。yはyという文字であって、2は数字ですので、yは2ではないですよ?」

PC作業も、使っていたといったが、実際はあらかじめ組まれたマクロの入力欄に、与えられた数字を入力していた、ということらしい。
つまり、全く使えなかった。

そうは言っても、やる気だけはある。そして明るい。僕は与えられた人材、資源でやりくりしていくしかない。

ファッションにはうるさかったので、思い切って提案書のレイアウトや色使いなどの「感覚的」な仕事をお願いした。
僕にはない、女性らしい、(若干ファンシーな)資料が、全く想像しないアプローチで出来てきた。
僕はそれに資料を添えて、外注に出すことにした。

根気強くやれば、なんとか仕事が回せる気がしてきた。

今までは、他部署へのお願いメールは夕方から夜に送っていたが、1月からは帰宅直前に送るようにしてみた。
今まで19時くらいに来ていたメールが、突然22~24時に送られてくる。効果はてきめんだった。
返事が必ず来るようになり、他部署も足並みを揃えてくれるようになった。
また、納期が厳しい時は、こちらから出向いて行った。

僕「この前の資料なんですけど・・・」
生産管理「ええ・・・わざわざ来たの?」
僕「はい。もし何か僕の不手際で仕事が止まってしまってはいけないと思って。」
生産管理「あー、ちょっと待ってね。ここのあたりがよくわかんなくてね。そのまま放置していた。申し訳ない。」
僕「いえ。説明不足で申し訳ありません。追加資料を『今日中に』送りますので、『明日』、概要だけでも出してもらえませんか?」
生産管理「明日?うーん。明後日ではダメ?」
僕「それでは間に合いません。僕は、明日いただいた資料を『明日中』にまとめて翌朝の会議で使いたいんです。」
生産管理「そこまで言うなら用意するよ。でもそこまで大事?この資料。」
僕「当たり前です!生産管理さんの裏付けがなかったら、僕の仕事なんて誰も見てくれないですよ!」
生産管理「よく言うよwwwわかったちゃんと出してやるよww」

こうして、気づけば2月も終わりを迎えようとしていた。

結衣「竜也君!休憩しよう!」
僕「ふー。体がなまってる!あちこちが痛い!!」
僕は、ウェアに着けているペットボトルから、水を補給する。

僕と結衣、翼、淳は、3月の休みにスノボーに来ていた。
淳「今年初めての割には、鈍ってないじゃん。」
僕「本当?よかった。一発目は怖かったよ。」
翼「そお?私よりも全然上手かったけど。」
僕「翼と一緒にするなwデキが違うんだよデキが!」

結衣「本当に・・・元気になったんだね・・・」
僕「勝手に重病人にしないでw」

結衣「今だから言うけど、当時、社内で噂になってたよ。沢村さんが辞めた後の竜也君は、毎日青白い顔で、胃を痛そうにして仕事してるって。」
僕「・・・態度や顔に出してないと思ってたけど、思いっきり出てたのか・・」
淳「まあ、そう言っても、何もできなかったけどな。俺たちは俺たちで自分の仕事に精いっぱいさ。」

翼「竜也君が倒れて救急車で運ばれたとき、誰もが『ああ、やっぱり』って思ったよ。」
僕「悲壮感漂ってるなぁ。」

僕「ま、仕事の話はやめよう。もうちょっと滑ってくる!!」
結衣「待って!私も行く!」
翼「私も!」
僕「上級者コースだよ!」
翼「パス!」
淳「www」

みんな、ありがとう。

帰り、皆で焼肉に行った。
格安の、食べ放題に近いお店だったけれど、
すごく美味しかった。

3月も終わりに近づいた。
事務の女性2人は、すっかり馴染んでいた。

靖子さんは、本当に仕事が早い。言われた通りのものを、言われた通りにこなしてくれた。
型にはまった仕事の速さと正確さは断トツだった。
旧知の人も何人かいるので、すぐに馴染んだ。

菜々子さんは、仕事はイマイチだった。しかし、持ち前の明るさで馴染んでいた。
しかも美人であるため、特に男性社員からは絶大な支持が集まった。

僕は、事業部長に呼ばれ、頭を下げた。
僕「申し訳ありませんでした。」
事業部長「今後気を付けてくれよ。誤報は時として致命的な信頼低下に直結するんだからな。」
僕「その通りです。本当にご迷惑をおかけしました。」
事業部長「うん。まあ、あれだ。ミスに気づいてすぐに報告してくれたから、すぐに取り消せた。社内だけで済んだから。次からはしっかりチェックしてからやるようにな。」

菜々子さんに用意してもらった資料の引用データが古く、誤った情報を社内展開してしまった。
僕の指示した引用場所を使わず、独断で違うデータを引用したのが原因だった。
口頭で確認を取っただけで、中身を精査しなかった自分が悪かった。社内展開後にちょっと確認した時に気づき慌てて部長に報告に行った。
なんとか社内展開の段階で食い止めたが、危なかった。

菜々子さん「私が適当な仕事をしたばっかりに、本当に申し訳ありませんでした。」
菜々子さんは、今まで見たことのないような顔つきで、神妙に反省していた。
僕「いえ、やらせたのは僕で、僕の名前で出した資料です。しかも、僕は確認を怠った。謝らなくてもいいですよ。これからまた気を付けてやりましょう。」
菜々子さん「本当に・・・ひっく・・済みません・・ひっく・・・でした・・」
僕「え?いや・・その。。本当に気にしてないんですけど?と、とりあえず打ち合わせ室とるから、いったん落ち着こうか?」

菜々子さんは2つ上。お姉さんのように振る舞ってくる。仕事に関しては僕の方が上であるが、やはり年上としてのプライドもあったんだと思う。
彼女は、彼女なりに頑張っていた。それは知っている。年上である自分が、後輩の指示をうまく処理できず、尻拭いを後輩がする。仕事とは言え、キツいよなぁ。

菜々子「・・・私、なにをやっても上手くいかないですね・・お役にたちたいと思ってるんですけど、失敗ばかりで。」
僕「あー、まあ、正直言って申し訳ないですけど、優秀とは言えないです・・・でも、頑張ってるのは誰もが知ってますよ。優秀でもやる気のない子はイヤです。」
菜々子「でも、後輩の竜也さんに迷惑をかけっぱなし。情けないです・・・」
僕「前任みたいに、仕事放棄するより全然マシですけどねw」

僕は、ちょっとくだらない、何気ない話をした。
と、急に、菜々子さんが真面目な顔をした。

菜々子「私、竜也さんに、迷惑のかからないように、頑張って仕事します。」

初めて見る、菜々子さんの顔だった。
この日以来、菜々子さんの、仕事に対する姿勢が、明らかに変わった。

年上ではあるが、本当の意味で、僕に、部下ができた。

4月に入ると、菜々子さんは、自主的に残業・休日出勤するようになった。
菜々子さんに課した仕事は残業させるレベルではないので、申請もしていないしお金も出ない。

それでも、菜々子さんは僕の仕事を手伝いに残ってくれた。

菜々子「自主的に来ているので、気にしなくていいです。」
僕「いや・・それでも・・流石にこれは気が引けるし・・」
菜々子「自分の勉強です。家でやるか、竜也さんの前でやるかの差ですよ。」

菜々子さんは、少しずつではあるが、仕事の内容を、着実に理解していった。
簡単な仕事なら、自主判断で資料を集められるようになっていた。

僕は、気づかないふりをした。
たとえ、休憩時間にコーヒーを入れてくれても。
たとえ、休日出勤に同行し、お弁当を差し入れてくれても。
たとえ、毎日メールをくれても。
たとえ、早く会いたいと言われれも。
たとえ、休日に、どこかに行きませんかと誘われても。
それでも、気づかないふりをした。
僕は、菜々子さんの上司。
仕事のパートナー。

そう、思い込むことにしていた。

GWは、前半を市場調査に費やした。とある地域を回った。資料をまとめた。
後半は、堅、絵里奈と3人で遊びに行った。玲奈は来なかった。敢えて、理由は聞かなかった。

堅「大変だったんだな。そこまで追い詰められてたとか。」
僕「何とかなってよかったよ。こうやってまた遊びに行ける。」
絵里奈「ようやくメールが帰ってきてくれるようになって嬉しいよ。また遊んでよね。」

いつまでも変わらないものがあるのか。
わからない。
その日、記憶がなくなるくらい、3人で飲み明かした。

気づくと、堅がトイレで突っ伏して寝ていた。
絵里奈は、僕の横に、しがみついて寝ていた。

僕が目を覚ましたのに気づき、絵里奈も周りをキョロキョロする。
絵里奈「うわ・・変な時間に起きちゃったよ・・・」
僕「うん・・・ああ・・頭痛い・・・」
絵里奈は僕にキスすると、冷蔵庫から炭酸水を取ってきてくれた。

僕「・・・ふぅ。喉痛い。堅がトイレに陣取ってるからトイレ行けない。」
絵里奈「またいですればw」
僕「間抜けw」

絵里奈は抱きついてきた。
僕「・・・ん?」
優しくキスする。

絵里奈「もう・・・無茶しないでね・・」
僕「ああ。ありがとう。」
絵里奈「ところで・・・私の太ももに当たってるんですけど・・?w」

僕のアレは、膨張しまくっていた。
絵里奈は、さすってきた。

僕「・・・きっと、無理だよ。」
絵里奈「・・・そうなの?」

僕は、絵里奈の胸を、そっと揉む。
絵里奈「んっ・・」

絵里奈は、ビクっとして、そのまま身を預けてきた。
どうしようもない興奮と、表現できない恐怖が、頭を駆け巡る。
Tシャツの下の、下着をつけていない、柔らかな感触が僕の手に収まる。

僕は、固くなった絵里奈の乳首を、軽く摘まんだ。
絵里奈「やっ。んん・・っ」

学生の時以来、絵里奈の胸を、見た。
成熟した大人のものに変わっていた。

優しく、口に含んだ。
絵里奈は、何も言わず、ただ体をびくっびくっとさせていた。
絵里奈の手が、僕の股間に伸びる。
優しく、僕のアレを愛撫する。

きっと無理だ。
僕は直感していた。

絵里奈は、僕の上に乗り、アレを自分の股間にあてがった。
僕のアレの先端が、絵里奈のアソコに触れる。ヌルっとした感触があった。
その瞬間だった。

絵里奈「えっ?」
僕のアレは、急速に衰えた。

僕「僕にとって、絵里奈は・・・妹みたいなもんなんだ・・・無理だよ・・・」
絵里奈「・・・妹・・・か・・・そんな気がしてた・・」

嘘。ただの嘘だった。

あてがわれる瞬間。僕の脳裏に、涼子の泣き顔が浮かんだ。
ああ、僕は、女性を泣かせるクズなんだ。どうしよう。でも絵里奈に挿入したい。
念願をかなえたい。そうしたら、また不幸な人が増える。それでもいい。よくない。
絵里奈に彼氏がいるのに、それでいいの?よくない。お前みたいなクズが、人の人生を狂わせていいのか。

いろいろ考えたら、パニックになっていた。
僕は自覚していた。

僕は、女性が怖くなっていた。
そして、確実に、EDになっていた。

まじか?
立たないのか

>>183
自分が行ってきたことの報いだと思ってる。

知られてはいけない。
知られてはいけない。

知られたら、嫌われる。
そんなプレッシャーがあった。

だから、誰と仲良くしても、愛撫まで。そんな付き合いしかできなくなった。
性欲がなくなったわけではない。自己処理する分には問題ないのに、相手がいるとダメなジレンマ。

僕「僕、下手だよ?だからやめよう」
僕「乗り気じゃない」
僕「今日は飲んでるからダメ」
僕「萎えた。キミとじゃ無理」

幾度となく、このセリフを吐いた。
その度に、女性は離れていった。

これから僕は、何度も、女性を気付付けていくことになる。
全ては僕の身勝手なウソのためだった。

辛いな

菜々子さんのアプローチは、日々エスカレートして行った。

もはや、気付かないフリはできなくなっていた。
菜々子さんの好意は、フロア中の誰もが知っていた。

菜々子さんはその持ち前の明るさもあって、皆から好かれている。
彼女の想いを成就させようという動きが起きたのは、無理のない、自然な流れだったのかもしれない。

菜々子さん「でね。結局、私が買いたいものが買えなくて。何のために行ったんだかわかんないよねw」
僕「ねえ、菜々子さん?」
菜々子さん「はい!」
僕「今、勤務中なので、お話はその辺にしてもらっていいですか?」
菜々子さん「はい!」

クスクス

僕「・・・何笑ってるんですか?」
鈴木「いや、夫婦漫才・・・w」
僕「・・・もういいです。」
課長「お、何なら打ち合わせ室空けておいてやろうか?w1時間くらいなら大目に見てやるぞw」
河村「竜也は3分で終わるからそんなに時間いらないっしょw」
菜々子さん「エヘヘw」

調子が狂った。

菜々子さんは、美人で愛嬌があって、皆から好かれる。
頭の回転は遅いが、努力家でもある。
でも、僕は、関係を持とうとか、そんな気分になれなかったし、社内恋愛しかも同じ部署同士なんてありえないと考えていた。

僕が菜々子さんに感じているものと、
かつて僕が涼子に感じているものは、似ていた。

つまり、その後に訪れる結果も、予測できた。
絶対に、受け入れてはいけない。
しかし、完全に拒否して、退社でもされたらたまらない。

どうしていいかわからなかった。

僕「課長、お願いがあります。」
課長「うん?改まってなんだ?」

僕「菜々子さんのことですが・・・他部署へ移動して別の方を呼ぶというのはできないでしょうか・・」
課長「うーん。難しいな。イヤなのか?」
僕「彼女は努力家ですが、適材とは思えません。」
課長「それをどう生かすのかが、お前の技量だよ。」
僕「それはまあ、その通りです・・・」

課長「・・彼女の好意が迷惑か?」
僕「複雑ではあります・・・」
課長「2人とも若いんだから、楽しめばいいじゃないかww」
僕「僕は、真剣に言ってるんです・・・」
課長「彼女も真剣だぞw」

課長はいつのまにか、菜々子さんに懐柔されていた。

とある休みの日、課長に誘われて、釣りに出かけた。
僕は、たまの趣味で、シーバス釣りをしていて、課長も釣り好き。朝のマズメ時に同じ釣り場で鉢合わせしたこともある。

待ち合わせ場所に行くと、菜々子さんもいた。
僕は、毎回、菜々子さんからの誘いをなんだかんだ理由をつけて断っていた。
やられた。
菜々子さんは、課長を使って僕を呼び出したのだ。

菜々子さん「課長さんとお話ししてたら、竜也君と一緒に釣りに行くって言ってたの!私もご一緒させてください!」
課長「いやー、男2人だと暑苦しいけど、女の子がいると華があっていいね。美人だと更にいい!」
菜々子さん「やだ課長さんw美人だなんて本当のことをw」
課長「ハハハ楽しいね!いや実にいい休日だ!」

もう、課長を海に落としてやりたい気分だった。
菜々子さんは、釣りは初めてだった。
複雑な気持ちはあったが、釣り自体に罪はない。僕は、釣りの魅力を教えるべく、ルアーの説明や結び方、テクニック等をレクチャーした。
菜々子さんはそれほど釣りをすることなく、僕をニコニコ見ていた。

マズメ時は逃してはいけない。
僕はトップウォーターを選択し、派手にアクションを入れた。
『バシャッ!』
一気にルアーが持っていかれる。
それを見計らって、一気に竿を引き上げる!

僕「っしゃ!ヒット!」
課長「お、型は小さそうだがいい引きだな!今日は派手目がいいのかな?」
僕「どうで・・しょうかね!よっと。課長の、少し蛍光色のミドルあたりにしてみたら・・・どうですか・・・?」

菜々子さん「え?なになに?!釣れる?!すごい!!」

それほど長くないファイトの後、タモで引き寄せる。
60cmくらいかな。
ストリンガーに遠し、休憩。

課長「!!!これはデカイぞ!」

ぼくのシーバスに触発されたのか。課長もヒットした。
80cmくらいだろうか。僕のよりも2回りほど大きな獲物をゲットした。
ほくほくの課長。

課長「どうする?俺はもう帰る。なんなら一緒に血抜きしてやるぞ。」
僕「そうですね。早いですが帰りますか。」

一緒に血抜きをした。
菜々子さんは特に動じることもなく、手伝ってくれた。

課長「俺、こんなに食べられないから、交換しよう。」
上司なりの優しさなのだろう。ありがたく受けることにした。

僕「いいんですか?じゃあ、淳も呼んで、今日食べます。」
菜々子さん「あ、じゃあ、私が料理しますよ。得意なんです。」
僕「・・・わかりました。お願いします。」

課長の車で来た菜々子さんは、帰りは僕の車に乗った。
淳には申し訳なかったが、2人にはなりたくなかったので呼んだ。
以外にも淳は喜んで来た。

正直、助かった。

>>187
こっからの話は、だいたいEDが絡んでくるから、エロいシーンが減る。
それも辛いw

週末のUPは未定。
おやすみなさい。お疲れ様でした。

淳はなぜか、結衣も連れてきた。

結衣「お魚大きい!どういう風にします?」
菜々子さん「半身はムニエルにして、残りは軽く湯引きしてサラダとか、揚げ物にしてもいいね。」
結衣「ムニエルなら、ポワレやペルシヤードみたいなお洒落なのにします!」
菜々子さん「いいね!なら、すこしアクアパッツァに回して・・・」

淳「知らん名前が多い。後は任せた。」
僕「僕たち、あれだ。実験台だ。」

こうして買い出しは豪華になり、僕の家で、4人が集まり料理が始まった。
まあ、淳と僕はただ飲んでるだけだったが。

菜々子さん「はいはい、男性陣は座ってて!」
僕「そのつもりです・・」

僕は、白身魚に合いそうな辛めの白と、乾杯用のスパークリングを用意した。
後は適当にボールやカクテルを用意。

適当なBGMを流す。
さながら、こじんまりとした隠れ家レストランのようだ。
荷物は淳の家に放り込んでおいた。こういう時、お隣さんだと助かる。

その日は、スズキ尽くしだった。
非常に美味しかった。

酔いも回った。

菜々子さんはもともと商品開発部で、結衣と面識があった。
この時は、皆、楽しかったと思う。

僕「結衣、ありがとうね来てくれて。」
結衣「ううん。楽しかったよ。・・・また、呼んでね?」
僕「・・・ああ。いつでも。」
淳「おいおい。俺も呼べよな。」
僕「却下。」
菜々子さん「何です?結衣ちゃん、竜也さんねらい?あれ?実は竜也さんも?あれ私も入ったら三角関係?!どーしましょう。」
僕「あの菜々子さん・・・」
結衣「(苦笑)竜也君は私のよき相談相手ですよ。」
淳「俺もね!」
結衣「却下!」
菜々子さん「ww」

夜も更ける前、3人は帰る。
淳「じゃあね。」

鍵を閉める。すると、チャイムが鳴る。
イヤな予感しかしなかったが、一応出る。

菜々子さん「竜也さん、ちょっとお時間いいですか」
ですよねぇ。

女性を外で待たせるわけにもいかない。

僕「・・どうぞ。」

菜々子さん「あの、竜也さん、私・・・まだ帰りたくないです。」

僕「あの、一応僕も男ですし、女性が夜に男性の部屋に一人でいるというのは色々とマズいと思うんです。」
菜々子さん「はい。そうですよね。わかってますよ?私は、竜也さんにならいいですよ?」

僕「いや、そういうことは冗談や軽いことじゃなく・・」
菜々子さん「もう、これだけははっきりさせておきたくて。私は、竜也さんのこと、好きです。」
僕「・・・えっと・・・うーん・・」

菜々子さん「・・・ご迷惑ですよね・・・」

迷惑極まりない。
好きとか嫌いとかではなく、同じ部署のしかも同じグループの女性と関係を持ったら・・・
もし断ったら・・・
いや、軽い気持ちで深い関係になったとして、いざという時に役立たずだとバレたら・・・
様々な不安だけがよぎる。

最低だとは思うけれど、保身のために、曖昧な返事しかできなかった。

僕「色々、んー、考えることがあって・・・そういうのは・・あ、決して菜々子さんが嫌いとかではないですよ?明るいし、一生懸命働いてくれるし、美人だし・・・」
菜々子さん「じゃあ、いいんですね?OKなんですね?」
僕「えっと、それはちょっと・・・」

菜々子さん「嫌われていないんでしたら、それでいいです!私、頑張りますから!私、バリバリ仕事する姿が大好きなんです!」
僕「ええ・・・いや好きだと言われれば嬉しいですけど、仕事に支障が出てしまうのは、あの・・」
菜々子さん「認めてもらえるように、これからも頑張りますね!」
僕「え?ええ。じゃあ頑張ってください・・・あの、ちゃんと帰れますか?」

菜々子さん「固いですよ!プライベートの時はタメ口で!呼び捨てでお願いします!」
僕「それは失礼で・・」
菜々子「まず、そういうところから打ち解けていきましょう!そうしてくれないと帰りませんよ!」

有り余るエネルギーのまま、ハグをされる。
菜々子さん「・・・本当に、大好きなんです・・・ずっと・・・こうしていたい・・・」
僕「・・それはまあ、悪い気はしないですが・・・やっぱりその」

柔らかな唇が、僕の口を塞ぐ。
大人の女性の、甘い香りがした。

僕「・・・遅くなっちゃいますよ」
菜々子さん「さすが・・・動じないんですね。・・・私、帰らなくてもいいんですよ?」
僕「気を付けて帰ってください」

菜々子さんは、にこやかに笑った。
素敵な笑顔だった。

菜々子「そういうところも、好きですよ。おやすみなさい。」
僕「ええ。おやすみなさい。また会社で。」
菜々子「はい!私、頑張りますから!」

嵐のような週末が終わった。

鈴木「お疲れさん。」
僕「お疲れ様でした」

社内のプレゼンが終わり、僕と鈴木さんは一息ついた。
季節は、夏になっていた。

鈴木「今回の流れ、いい感じだった。説得力もあったし、見やすかった。いいプレゼンだったよ。」
僕「ありがとうございます。鈴木さんが予行演習に付き合ってくれて助かりました。」

鈴木「お前のプレゼン方法に興味があったからな。お前は勉強熱心だよ。あのソフトでよくここまで作り込めるもんだ。」
僕「凝り性なんです。だから残業ばっかりなんですよきっと。」
鈴木「・・・」
僕「・・・・はい?どうしました?変なこと言いました僕?」

鈴木「違うよ。・・・お前はもう一人前だ。沢村が抜けてどうなるかと思ってたけれど、もう何の問題もない。むしろ、お前との方がやりやすいよ。」
僕「・・・もうすぐ1年ですからね。いつまで泣いてても始まらないですから。」

靖子さん「リーダー、さすがのプレゼンでした。」
僕「え?はい。ありがとうございます。資料集め、お疲れ様でした。」
靖子さん「私は言われた資料を用意しただけです。わかりやすくて、みんなが納得したと思います。」
僕「ベースは沢村さんのものですけれどね。」

靖子さん「謙遜はいいですよ。話し方も良かったですよ。私、自分で買いたいと思いました!」
僕「えw買ってどうするんですかw個人じゃ役に立たないですよあれw」

菜々子さん「お疲れ様!肩もみしますよ!」
僕「セクハラ!」
菜々子さん「じゃあ私の肩を揉んでください!」
僕「そっちの方がセクハラです!」
菜々子さん「そのまま、私の体中を、竜也さんの手が・・」
僕「はいそこまでー!」

菜々子さんは相変わらずだった。
危うい均衡を保ちながらだったが、僕たちのグループはなんとか回っていた。

次期基準の展望が行政から示され、またこれから慌ただしくなる。
僕は、課長の出張に同行することも増えてきた。

どうやって知ったのかわからないけれど、僕の携帯に直接末端のお客様から電話がかかってくることもあった。
海外からのバイヤーには、通訳もつけてもらえるようになった。

休みの日には、釣りやドライブ。絵理奈や堅と遊ぶこともある。
菜々子さんは相変わらず積極的に誘ってくるが、それほどは一緒に出掛けたり食事したりはしなかった。
また、暇な日に、なんとなく外で食事に行きたくなった時、付き合ってくれる女性も何人かいた。

それは菜々子さんや翼・結衣も含まれるが、他にもいた。同じ部署の子だったり、派遣社員だったり、他部署に行ったときに誘われたり。
いままで書かなかったが、当時流行していた出会い系のサイトでも募集していた。
僕が露骨な下心を出さない(実際は出せない)ので、軽い付き合いならOKという女性にはちょうどいい男なのだろう。

女性「いいの?奢ってもらっちゃって。」
僕「え?いいよ。もし奢られるのが苦手じゃなければ。付き合ってもらってるし。」
女性「じゃあ、遠慮なく。楽しかったわ。」
僕「ああ、僕も。じゃあ、またね。」
女性「帰っちゃうの?近くに美味しい珈琲が飲めるから、一緒にどう?お返しに奢るわよ。」
僕「んー、じゃあ、戴くよ。」

ひょっとしたら、強引に誘えば、何人かは受け入れてくれるだろう。
でも、そんな気分にはなれなかった。どうせうまくできない。


ボーナスが出た。
僕の査定は、まさかの「A」だった。
びっくりした。

河村「竜也、ちょっと見せてみろよw」
僕「あ、ちょっと!」
河村「お、やるな。Aじゃねーか。。。。まあ・・・うん・・そうだよな。お前は頑張った。もう沢村の代わりなんて言えないな。」
僕「どのみちあの人には勝てないっすから。」
河村「あいつは天才だったからなw。でももうどんな奴だったか忘れたよ。」

そんなものなのかもしれない。

伊藤「俺はむしろ、Sじゃないのか?って思ったよ。」
僕「沢村さんだって、2回しかとったことないって言ってましたよ。無理ですよ僕じゃ」
伊藤「・・・あいつよりお前の方がしっかりしてるよ。」
僕「そうですか?」
伊藤「あいつは、自分の信念がなかったからな。」
僕「信念、ですか。」
伊藤「そう、信念。お客さんの望んだ資料を作るのはうまかったが、根拠がない。お前は、自分で考えて、自分で資料を集めて、自分で予測をしてる。正しいかどうかは別として、お前の主張はよく理解できる。」

僕は、開き直っていた。
自分のできることはこれまでです。
それ以外はやりません。
良かったのか悪かったのかは今ではもうわからない。

毎日が慌ただしく過ぎていく。
専門書などを読む時間はとっくに無くなっていた。
常に時代は変わり、情勢は変わり、根本である法律まで変わる。
多様化・複雑化する世の中に対し、情報をいかに早く処理するか。いかに情報を発信して情報源になるか。
まさしく、会社・上司・顧客のコマだったと思う。

お盆前、部署主催のお疲れ様甲斐があった。幹事は僕を含めた数人だ。
泊りがけのものだった。

僕は、幹事であったけれど、宿泊せず途中で帰ると伝えてあった。
菜々子さんに対して若干恐怖心があり、一緒に宿泊したらなにかされるかもしれないと思っていたからだ。

僕「え?僕、宿泊しませんよ。」
菜々子さん「そうなんですか・・・じゃあ私も、参加しますが、宿泊ナシでお願いします。」

やはり・・・

そして当日夕方、他の幹事に、都合がついたから宿泊すると伝えた。幹事は別部屋で幹事部屋がキープしてある。
菜々子さんは一般参加者なので、宿泊する部屋を当日手配が出来ない。完璧だ。

お疲れ様は始まった。

菜々子さん「え?竜也さん、宿泊するんですか?!」
僕「はは・・・都合がついたから・・幸い、幹事の部屋は空きが1つだけあったから。」
菜々子さん「じゃあ、私も宿泊に変更できないですか?」

僕「今からはさすがに無理だと思います。」
他幹事「そうだねぇ。空きがもうないんだよ・・ごめんね。」

よし。勝った。
その夜、驚愕した。

菜々子さんは、男性の先輩方が酔っていることをいいことに、上手に先輩方に懐柔し、宿泊場所を確保しないまま、各部屋を夜通し周り、お酒を注いだり雑談したりして過ごしていた。
菜々子「私、先輩方と夜通し飲みますよ!眠くないし!」
先輩方「まじで?!嬉しい!眠くなったら適当にどっかで寝ればいいよ。泊まって行け泊まって行けw」

僕は、今まで、伊達に菜々子さんの相手をしていない。
実は、万が一、彼女が無理やり宿泊するという不測の事態に備え、幹事の部屋がどこなのか、だれにも情報公開していなかった。
自分の宿泊部屋を知られたくなかったからだ。

しかし、菜々子さんは僕の予測を上回る根性を出した。

僕達幹事が手配したホテルは、有数の巨大ホテルであったが、彼女は、各部屋をノックして誰がいるのかを確認する暴挙に出たのだ。
相手は美人の女性である。
気分を害する人もおらず、部屋を間違えたことを謝り、和やかに扉を閉めてはまた次の部屋をノックして回った。
僕の宿泊する階に来た。遠くから、ノックのする音が聞こえる。談笑が聞こえる。
しばらくすると、またノックの音が聞こえる。

ノックの音は、次第に大きくなり、だんだん近づいてくる。
その時の恐怖は、今でも覚えている。

「コンコン。あの、失礼します。」
疑う余地もなく、聞きなれた声がした。

他の幹事が、何の躊躇もなく扉を開ける。
幹事「はい。あ、菜々子ちゃん!どうしたの?あ、竜也君かな?いるよー」

はいアウト。

菜々子さん「もー、竜也さん!どこにいるかくらい教えてくれてもいいじゃないですか!私、下から全部屋ノックしてきたんですよ!」
僕「ええ・・・根性やばいですよそれ・・・」

菜々子さんはビール瓶片手に、グラスまで用意して、僕に注いでくれた。
僕「はぁ・・うん。まあ、お疲れ様です。」
菜々子さん「ええ!お疲れ様でした!朝まで、ご一緒しますよ!」

違和感があった。
あれ?何かがおかしい。

気付くと、この部屋には、僕と、菜々子さんしかいなかった。

後日、他の幹事に聞いたが、「え?みんな気を利かせて部屋からこっそり出て行ったけど?」
本当に意味が分からない。

かくして、酔っぱらった菜々子さんの逆襲が、始まった。
この日の菜々子さんのことは、今でもよく覚えている。

菜々子さん「私・・・本気ですよ?軽い気持ちじゃないです。」

何度も言うが、彼女は美人だ。
その瞳が潤み、僕を見据える。

僕「え・・ええ。まあ、そうだとは思いますけど・・あの・・一応、お疲れ様会ですし・・・」
菜々子さん「いつもそうやって、ごまかしますね。曖昧なまま。」

ビールを注がれる。
僕は軽く飲み、彼女にも注ぎ返す。
じれったそうに、彼女はビール瓶とグラスを僕から奪い取った。

菜々子さん「・・・ちゃんと私を見てください。私、美人だと思いませんか?」
僕「世間から見れば、まあ、美人という人が殆どだと思います・・」
菜々子さん「竜也さんからは、どう見えますか?」

彼女は、タイトな黒いスカート、白のブラウスというシンプルな服装だった。スカートからはスラリとした脚が伸びる。
おもむろに、僕の座っているベッドに忍び寄る。スカートが少し、めくりあがる。
セクシーなガードルがチラリと見え、僕は目を逸らす。

僕「僕は、女性を外見で判断しませんので。年上の方は基本的に敬います。」
菜々子さん「もう、そういうことじゃないでしょう?・・・私が・・魅力的かどうか・・それを・・聞いてるんですよ・・・?」

そういいながら、僕の頭を、首筋を、耳筋を、指で、なぞる。
清楚なのに、官能的。そのなぞり方は、触れるかどうかのギリギリのライン。ゾクゾクする感覚が、僕を刺激する。

僕「魅力的かどうかは・・・問題じゃないんです・・・」
菜々子さん「・・・そうですか?・・本当に・・?」

普段は透き通るくらい白い顔が、この日は、少し赤らんでいた。アルコールが、普段よりも、彼女を大胆にした。
すこし、前かがみになり、まるで女豹のような格好をし、僕の肩に手を置く。

白のブラウスから、胸元が垣間見える。
黒いブラジャーが、たわわな胸を、包み込んでいる。白と黒の対比が、目に飛び込んでくる。

僕の視線に気づき、彼女は、悪戯っぽく笑い、胸元を隠す素振りをする。
菜々子さん「・・・見たい・・ですか・・・?」

僕「いえ・・そういうわけでは・・」
僕の話など聞かず、彼女は、ブラウスのボタンを、少し、外した。
そして、スカートに入っていた裾を出す。
セクシーな胸元から、くびれた腰までが、ブラウスの隙間から、露わになる。

菜々子さん「ねえ・・年上の女性に、ここまでさせて、竜也さんは、平気なんですか・・?そこまで、子供なの?」
僕「・・・子供だと思いますか?」
菜々子さん「素敵な・・男性だと・・・証明してくれる・・?」

彼女は、そのまま、僕に、柔らかなキスをした。
舌が、遠慮なく入ってくる。
柔らかな舌だった。

その舌は、僕の舌を絡めるに飽き足らず、僕の歯を、僕の歯茎を、僕の口の中のすべてを、艶めかしく撫でて行った。
気持ち良かった。痺れる感触だった。

菜々子さん「・・・キス・・・お上手ですね・・・もっと・・していいですか・・?」
僕「ぷはっ・・・・はぁ・・・んっ・・キスは好きですよ・・・情熱的ですね。」

僕は思いっきり押し倒された。
そして、スーツをはぎ取られる。

僕「ちょっと・・菜々子さん・・?」
彼女は、僕の全身を舐めまわした。
耳から、眉から、目じりから、鼻から、もちろん唇も、首筋も、のども、脇も、腕も、指も、胸も、その先も、臍も、ふとももも、足の先も。
全身、くまなく、舐めてきた。

僕「汚いので・・・あの・・」
菜々子「竜也さんのだったら、汚くないですよ・・・いい匂い・・すべて・・んっ・・」
僕はなすがままだった。

気持ち良かった。
気持ち良さに、負けた。

菜々子さんが僕の足を思い切り開き、僕のお尻を・その穴を凝視する。
ためらうことなく、彼女は、僕の穴を、チロチロと舐めてきた。

僕「っ。。気持ち・・・いい・・・」
その声を聞き、一層舐める彼女。その指は、僕のアレをつかむ。優しくない。力強く僕のアレをつかみ、はげしくしごき出した。
恐ろしく気持ち良かった。

もいいや、逝ってしまえ。
僕は、彼女のブラウスを剥ぎとり、ブラをはぎ取り、その柔らかで形の良い胸を、揉んだ。その乳首は綺麗で、硬直していた。
ああ、気持ちいい。

僕「もうだめ・・逝っちゃう・・」

彼女は、そのまま、口を僕のアレに移動し、根元まで一気に包み込んだ。
喉の奥まですっぽりと入れ、小刻みに動いた。
手練れだ。完全に僕のアレを、びったりと包み込み、僕のアレ全体に刺激を与えた。

僕は、思いっきり果てた。
こんなに出たことがあるのか?というほどの液体が出た。

彼女は、すべて飲んだ。
しばらくの余韻を含め、その間中、僕のアレを咥えていた。

菜々子さん「・・・気持ち良かったでしょ・・?」
僕「・・・え、ええ。今まで、経験したことがないです・・・」

彼女は、口を綺麗にしてきた。

僕「ここまでさせておいて・・・あれですが・・・僕、その・・・菜々子さんと・・しませんからね・・・?」
菜々子「じゃあ・・・しない以外は・・・何してもいいですか・・・?」
彼女は、妖艶に笑った。

僕「・・わかりました。お付き合いします。」
菜々子「実は・・・・今日、アレの日なんです。見返りは求めませんから。。。好きなように、させてください。今日のことは・・・忘れて・・・いいですから・・」

彼女は、ガードルまでを残し、すべての服を脱いだ。こうして、僕と彼女の、挿入以外のありとあらゆる交わりが、始まった。

僕は、ミニバーから洋酒を取り出し、口に含む。ピリピリとした舌触りだ。
そのまま、菜々子さんに口移しする。

菜々子さん「んっ。」
彼女は目を瞑ったまま、それを飲み込む。今度は、彼女が洋酒を口に含み、僕に飲ませる。
だんだん、感覚がマヒしてくる。一気に酔ってくる。

お互いの吐息が、唾液が、ツンとしたアルコールの匂いを発する。
明かりを消す。フットライトだけが頼りとなる。
僕は、朦朧とする意識の中、手探りで彼女の胸を鷲掴みにする。そして、胸元に、少し強めのキスマークをつける。

菜々子「んん・・・っ」
酔いも回ると、痛覚がマヒしてくる。手加減もできなくなってくる。
お互いが、お互いを貪る。

彼女は、僕の背中に、遠慮なく爪を立ててきた。
少し長めのネイルが突き刺さる。痛さより、気持ち良さが先に来る。
僕は、彼女の舌に吸い付き、押し倒し、手を頭の上でクロスさせる。それを、タオルで縛る。
思いっきり胸を鷲掴みにする。そして、乳首を噛んだ。苦悶の表情を見せる彼女。

菜々子さん「はぁ・・・はぁ・・痛っ」
僕は最後まで聞かず、その口に僕のアレを突っ込んだ。
酔っているのに、みるみる膨張するアレ。
彼女はむせながらも、一生懸命に舌を動かす。

僕は、ありったけの性欲を彼女にぶつけた。
もういい。
もういいや。どうにでもなれ。
嫌われたい。
会社もどうでもいいや。
訴えるなら勝手にしろ。

僕「はぁっ・・はぁっ・・・ナマイキっ・・なんだよっ!!」
菜々子さん「んっ。。んぐっ。。!」
僕「いい加減・・気づけ・・よっ!」
菜々子さん「んっ。。んぐっ。。!」

僕「次・・・誘ったら・・!! こんなんっじゃ・・・すまさ・・ないっ・・っから・・なっ!!」
菜々子さん「ぷはっ・・・はぁ・・はぁ・・ゲホっ!!げほげほ・・・」

僕は彼女の口をもう一度開け、クラクラする頭を呼び覚ましながら、僕のアレをもう一度入れ、自分勝手に果てた。
彼女は、それでも、僕の液体を飲み干した。

お互いが汗だく。
でも、こんなもの、合意とは呼べない。ただの、ストレス発散だった。
タオルをほどき、僕は一人でシャワーを浴びる。
鏡越しに僕を見ると、僕の体には彼女に付けられた赤黒い跡が大量に残っていた。しばらくは消えそうにない。
シャワーを浴びていると、彼女も入ってきた。

菜々子さん「・・・私も、浴びます。」
僕「・・・どうぞ。」


僕「はー、シャワーを浴びると、少しスッキリしますね。」
菜々子さん「ええ。ちょっと酔いが残ってますけれど。洋酒はいけいないですよ!クラクラしました。」
僕「すみません。」
菜々子さん「ふふふ。私の体、竜也さんのせいで跡だらけです。」

彼女にも、僕が付けた跡が大量に残っていた。
僕「お相子です。」
菜々子さん「確かに。・・・あの・・」
僕「・・・はい。」

菜々子さん「・・・最後までは、したくないんですか?」
僕「ええ。しません。それから・・・ひどい男だと思いますが、やっぱり、付き合う付き合わないというのは考えたくなくて・・」
菜々子さん「腹を割りましょうよ竜也さん。私と付き合いたくないけど、振って仕事に支障が出るのがイヤなんですよね?」

僕「・・・すみません。その通りです。」
菜々子さん「私も大人なんで、そのあたりはわきまえてますよ?」
僕「・・・」
菜々子さん「私は、相手をしてくれるなら、都合いい女でもいいよ?」
僕「それはダメでしょ。失礼すぎる。」

菜々子さん「それなら付き合って。」
僕「ごめんなさい。正直、彼女とかしんどいです。」
菜々子さん「なら!私が、私の欲求を叶えようとしたら、都合いい女になるしかないじゃないですか!」

僕「・・・できないと言ったら、どうしますか?」
菜々子さん「このまま今から病院に行って、体を見せて、診断書を書いてもらってきます。」

僕「・・・脅迫ですけどそれ?」
菜々子さん「はい、そうなりますね。」
僕「そんなことしても、余計に僕が遠ざかると思いますが。」
菜々子さん「その通りですね。だから、お互いOKなラインを探しませんか。」

僕「・・・考えさせてください。条件は僕が決めます。勝手ですが。」
菜々子さん「私は、竜也さんを独占できる時間があれば、それで満足。それ以上は求めません。たとえ・・彼女ができても。それがたとえ奥さんができても。」
僕「逆も然りで、菜々子さんは、彼氏・結婚相手をちゃんと探せますか?僕にそれを求めず。」
菜々子さん「・・・今は、考えたくないですが・・・もし、竜也さんと無理ということでしたら、そうします。」

僕「僕は、最後までしませんよ?」
正確には、できない。それがばれることだけは避けたい。

菜々子さん「はい。それでもいいです。」


僕に、もう一人、都合のいい女というのができてしまった。

お盆に入る。
僕は帰省し、京介・堅・玲奈・絵里奈と飲みに出かけた。
玲奈は会社を辞めていた。僕ほどではないが、相当な残業を強いられ、精神的に参ってしまったようだ。

玲奈「ごめんね。みんなにもつらく当たっちゃってた。」
堅「ったく。もっと早く言ってくれれば、もっといろんな選択肢があったんだぞ?」
玲奈「もういいの。私は、マイペースに頑張るから。」

京介「ああ、そうだ。誰も、自分ができる以上のことに手を出したらだめだ。」
絵里奈「そうだね。」
僕「みんな、悟り過ぎだろ。」

玲奈「竜也先輩、仕事しすぎだよ。仕事以外の趣味ちゃんと持ってる?」
僕「うーん。一人でバーに行って飲んだり、女の子にちょっかい出したり、釣りに行ったり、料理したり、ドライブ行ったり、女の子にちょっかい出したり、スノボ行ったり、女の子にちょっかい出したり・・・」

絵里奈が、僕の鳩尾にエルボをかます。
思いっきりむせた。

僕「痛いんですけど?」
絵里奈「女たらし。」
僕「女性はみんな妹みたいなもんだよ。」
絵里奈「妹には、私にしたようなことするんだ?」
僕「おいここでそんな話する?」

玲奈「まあまあ。久しぶりに会うんでしょ?仲良くしなよ」
僕「ごめん。最近仕事関係の人間関係も殺伐としてて気が立ってるんだ。せっかくのお盆休みだし、笑顔でいたい」
絵里奈「はいはーい。」

堅「ところで俺、転勤が決まった。たまたま地元だ。」
僕「まじか。いいな。」
絵里奈「また一緒に遊べるね。」
堅「そうだね。これで、竜也以外は集まりやすいw」

ああ。
つまらない。

急に、仕事のことが馬鹿らしくなる。
いや、仕事は楽しい。信頼されている。
でも、菜々子さんはじめ、人間関係にいやになる。

うちの部署は、基本的に嫌われている。
社内から冷たい視線を浴び、数人の信頼おける同期以外の同期からも冷たい視線。
外注先は、年下の僕にペコペコし、こちらの顔色をうかがってくる。

何のために仕事してるんだろう。
初めてそう感じた。


僕「あー、なんだか疲れてきちゃった。僕なんのために仕事してるんだろう。」
京介「・・・俺は、家族のためだな。」
絵里奈「私は・・・いつ辞めてもいいけど、貯金したいから・・」
玲奈「・・・やりがいがないと、続かないもんだね。」
堅「俺は、やりがいを感じてる。竜也の姿勢を追いかけてね。」




僕「あー、」

僕「仕事、やめて、地元に帰ろうかなぁ。」

初めて、そう思った。

大学のサークルの友達と、念願の横浜に来れた。

(森山未來似、以下未來)

未來「お疲れ様。久しぶりだね。」

未來は、サークルのリーダー的存在だった。そして大学院まで進み、有望な会社に就職した。
連絡はこまめに取り合っていた。
帰省の時は、ちょくちょく集まっていた。

僕「やっと来れたよ。みんな元気だった?」

(大石めぐみ似、以下めぐみ)

めぐみ「藤原君おひさしぶり!元気だったよー。体調良くなってうれしい!」

めぐみは、うちのサークルではアイドル的存在。とても可愛かったけれど、普通に参加するだけで目立った活動もしていなかったため、同期くらいしか知っている人はいなかった。今は、営業として頑張っている。当時よりも大人の魅力が増して、さらに美しくなっていた。僕も当時は憧れていた。

僕「あはは・・無理しちゃだめだねやっぱり。」
めぐみ「体は資本だよ?社会人は自分の体調管理を・・」
僕「はいはい。口うるさいのは昔からだね!」
めぐみ「ちゃんと話を聞きなさい!」
僕「へーい。」

(松たか子似、以下たか子)

たか子「藤原君?もう年なんだからwww」
僕「うっさい。同じ年齢だろ。」

たか子は、冷静沈着で、頭の回転の良い子だった。大手に就職した。自分のポリシーを曲げることのない子。
その代り、ポリシーに反しなければなんでもやる子だった。この当時は、数人の上司と関係を持ち、自分の社内の位置を確立していた恐ろしい子だ。

未來「まあまあ、竜也君も復帰できたし、楽しく観光に行こう!」
一同「おー!」

楽しかった。バカ騒ぎをした。
女性たちはホテルに泊まり、僕は未來のアパートに泊まった。

未來「俺、祐希ちゃんに告白したんだ。」
僕「え?そうなんだ。まあ、人気あったものねぇ」

未來「でも、断られちゃった。『あなたには興味ない』だって。」
僕「そう言われるとツライな。」
未來「結構引きずってる。」
僕「もうちょっと言い方あるよなぁ。。」
未來「・・・ま、みんなが来てくれてうれしかったよ。気晴らしになる。」
僕「ああ。明日も遊びまくろう。忘れちゃいなよ祐希のこと。お前、モテるんだし、頭いいんだし、相手なんてすぐ見つかるだろう。」
未來「そういうお前はどうなんだよ?」

僕「んー、食事に行ったり、遊びに行ったりしてくれる子は何人かいるよ。」
未來「相変わらずのモテだな」
僕「嬉しいかと言われると、寂しさを埋めてるだけだけれど。」
未來「働き過ぎなんだよ。いざという時、会社なんて助けれくれないぞ。信じるのは自分だけなんだから。」
僕「僕の方が社会人歴長いよ。」
未來「それもそうだな。」

少しだけ、2人で飲み直した。
近くにある、小さなバー。
未來は、黒ビール。
僕は、アラウンドザワールド。

未來「相変わらず変なの飲んでるな。」
僕「グリーンミントチェリーを置いてある店なら、ちゃんとした所だよ。いいだろ何飲んでも。」

未來「・・・俺も、お前みたいな社会人になっていくのかな。」
僕「お前は、僕よりも世渡りが上手いし、よっぽど優秀じゃないか。ほどほどの残業で、ちゃんと出世していい人に巡り合えて、いい人生を歩くだろうさ。」
未來「そうだといいけど。」


翌日、また思いっきり遊んだ。
たか子とめぐみとも、連絡先を交換した。

この2人は、これから、もっと先になるが、僕の人生に関わってくる。

今日はここまで。
年末は忙しいね。


疲れを出さないように

>>209
ありがとう

お盆明け。
慌ただしくなった。

僕の提案した事案が、他社の特許に抵触することがわかった。
しかも、情報はすでにリリースされてしまっていた。

もともとは、沢村さんの案件だった。
沢村さんは、自社の特許室に事前調査を依頼していた。そこまでは確認が取れていた。

だが、特許室とうちの部署との連携が悪く、特許室は「他社の特許に抵触するのでNG」と判断したのに、うちへの連絡がなかった。
僕は、菜々子さんに口頭で、確認を取っておくように伝えていたが、事前調査依頼を出した=特許室のOKを貰ったと勘違いして、それ以上の確認を取らなかった。
僕がしっかりチェックしていれば防げたミスだった。

僕「申し訳ありませんでした。」
部長「まず、代替案を3つ、早急に用意しろ。抵触するかしないかは、私が直接特許室に連絡を取るから。」
僕「今日中に用意します。」
部長「今日中?そんなに早くいけるか?」
僕「ストックは常に20以上あります。吟味して、今回に合致するのをピックアップし、少し修正すれば何とか用意できます。」

部長「わかった。まかせる。・・まったく!特許室のやつら・・・調査依頼出してるんだから返事くらい出せよ・・」
僕「OKの場合は申請。あとで自分で特許庁に問い合わせろ。NGの場合は申請しない。特許庁に確認すれば申請してないことはわかるでしょっていうスタンスみたいですね・・」
部長「あそこの部長は、いつもずさんだからな。だがしかし、」
僕「はい。わかっています。今回は僕のミスです。早急に対処します。」

菜々子さん「すみません・・また・・・」
僕「いえ。社内プレゼンの時も、販促物を作る時も、リリースする時も、チャンスは何回もありました。社内連携と、僕の確認ミスです。とにかく、急いで対処しましょう。」
菜々子さん「はい!」
靖子さん「私は何をしましょう?」
僕「今回のことで今週は確実に僕は何もできないので、この案件以外のサポートをお願いします。」
靖子さん「わかりました。」

鈴木「俺もフォローに入る。他の案件こっちに回せ。」
僕「すみません。お願いします。」
鈴木「だーから言うんだよ。お前は他部署の仕事しすぎなんだよ。だから、特許のやつらが手を抜く。」
僕「・・・そうですね。鈴木さんの言うとおりですね。」
鈴木「ま、さっさと片付けようぜ。」

結局、対処に1か月を要した。
上期のまとめで慌ただしい中、僕は部署だけでなく、各部署を巻き込んで迷惑をかけてしまった。


事業部長「まああれだ。今回はリリースの段階で有耶無耶にできたけれど、発売にまで行っていたら、損害賠償請求される事案だぞ。」
部長「はい。おっしゃる通りです。申し訳ありませんでした。」
事業部長「特許室のまずさの方が問題だから、今回は特許室に責任がいく。だが、うちが確認していれば済んだことだ。ダブルでチェックしていかないとな。」
部長「ええ。肝に銘じます。」
僕「ご迷惑をおかけしました。」

事業部長「ん?ああ。藤原君だっけ?若いのによくやってるよ。そのフォローをするのが上司の役目だからな。気にするな。その責任は部長に取らせるからw」
部長「勘弁してくださいw」
事業部長「お前、俺はこの前の麻雀の恨みがあるんだからな!取り返すまでネチネチやってやるw」

最後は、僕への配慮だろう。
この部署の人たちは、温かい。

だが、他の部署からの視線は、ますます冷たくなっていく。
実は、今回の案件だけではなく、僕以外のことでも、他の部署とトラブルが増えてきていた。

業界自体が、市場規模の縮小とともに、赤字を計上する会社が増えてきたのだ。
うちの会社も、景気の低下とともに経費削減・業務見直しの風潮が強くなってきた。

よって、うちの部署も、展望や将来なんていうものに予算は割り振られず、経営改善・不採算部門の割り出し、ラインナップの見直しなど、経営テコ入れの案件がどんどん増えて行った。
他部署にとっては、利益を出そうと一生懸命頑張っている出鼻をくじく形で「はい、このラインナップ廃止ね」とうちの部署から突然通達される。

商品開発部「いやいや、それはおたくが言う話じゃないでしょ?」
経営企画室「我々のマーケティング調査の結果ですと・・・」
商品開発部「現場の声、聞こえてるの?この商品なくなったら信用失うよ?」
経営企画室「赤字の商品を抱える余裕は、会社にないですよ?」

こんなバトルはしょっちゅうだった。

結衣「実際、竜也君は、あのラインナップが消えて正解だと思ってるの?」

僕の部屋で、ソファに座りながら、ポートフォリオの資料を眺めながら、結衣は疑問を投げかける。
僕「客観的というか、経営的に見れば、不要だろうね。」

結衣「それを廃止すると、関連するラインナップもたぶん売れなくなるよ?」
僕「予測だと、3割減るね。そのラインナップ」

結衣「それでも、不要だと?」
僕「うん。作れば作るほど赤字になる商品だし、それを作るラインの維持も大変だし。一層のこと、売れ筋のあの商品のためにラインを開けた方が、トータルで見ると利益プラスになるよ。」

結衣「本当にそうなるの?」
僕「・・・・やってみないとわからない。ただ、現状のままだと、確実に首が締まっていく。」

結衣「難しいねぇ。私もこの本持って帰っていい?」
僕「いいよ。もう読む暇ないし。」

結衣「あれ?私がここに来て、ゴロゴロしてるのも、実は、時間の無駄だとか考えてる?」
僕「・・・え?全然?つかの間の休息だよ?リラックスできるからウェルカム。」

結衣「よかった。」

結衣は、たまに、僕の部屋に来る。
適当に資料をあさったり、勝手に調理器具を使って料理をしたりしている。奇妙な関係だ。
(当時は、自宅に会社資料を持ち帰ることなんて普通だった。今だったら完全に規定違反だろう。)

僕「コーヒー淹れて」
結衣「何にする?」
僕「カプチーノ。砂糖なし、シナモン少々。」

手慣れた手つきで2人分コーヒーの粉を詰め込んでセットし、ミルクをフォームする結衣。
耳障りだが心地よい音と、コーヒーの香りが充満する。

僕「ありがとう。この前、美味しいチョコが手に入ったんだ。」
結衣「あら・・?誰からのプレゼントかしら・・?」

僕「そんなんじゃないよ。ニヤニヤすんなよ。」

僕と結衣は少しビターなチョコをかじりながら、部屋でくつろぐ。

結衣「・・・ねえ、噂だけど」
僕「うん?」

結衣「経営企画室が取り潰しになるって、本当?」
僕「・・・・」

僕「・・・誰から聞いた?」
結衣「ちょっと怖い顔しないでよ。」
僕「あ、ごめんね。怖い顔してた?」

僕「僕も、噂で聞いてるんだ。でも、その話、上司は知らないと言ってる。」
結衣「そっか。じゃあ噂でしかないんだ。」
僕「もしくは、経営層だけの話で止まってるのか。」

ちょこんと、僕の横に座りなおす結衣
結衣「もし、もしよ?そうなったら、竜也君てどうなるんだろう?」
僕「・・・うーん、もともとは研究職希望だし、それ系の技術職に異動じゃないかな?」
結衣「ふーん。」

僕は、結衣の持ってるカプチーノをとりあげ、テーブルに置いた。
不思議そうな顔をする結衣。

結衣「ん?どうした」
そこまで言わせたが、残りの言葉は僕の唇が遮った。

結衣は目を瞑り、心地良さそうにしていた。
結衣の頭をなでる。サラサラな髪。バラの香りがした。

僕「ごめん。こういうことしないつもりでいたのに。」
結衣「うん?そうなんだ。確かに、今までそんなそぶりを見せなかったね。」

僕「なぜだろう。急にキスしたくなった。自分が怖い。・・・何やってるんだろう僕」
結衣「んー、私は、信じないよ?」
僕「信じない?え?どういうこと?」

結衣「私は、たとえ今、竜也君に襲われても、別に受け入れるし、襲われたことを、信じない。何かの間違いか、気のせいかなって思う。それくらい、竜也君のことを信じてる。」
僕「現に、急にキスしちゃってますけど?」
結衣「まあね。でもいいよ?しても。私は何とも思わないよ?強引とか、強要とか、無理強いはしないでしょ?竜也君は。私、嫌な時は嫌っていうから。」
僕「そこまで・・・なんで信用できるの?僕、結衣が思ってるほど、いい人じゃないよ?」

結衣「んー、感覚でしかないよ。竜也君は、自分の意見をしっかり言うし、自分の興味あることしかしない。そして、誰にでも公平だし客観的。でも、熱中すると子供みたい。」
僕「そうなのかな。」
結衣「波長が合うのよ。私は。だから、隣にいても緊張しないし、ゴロゴロできる。しないけど、きっと、オナラも鼻かみもできるよw」
僕「やめなさいw」

結衣「だから・・・」
急に彼女は、僕の顔を両手ではさんだ。
結衣「こんなキスも・・・平気・・・」

彼女は、僕の口を塞ぐと、その小さくて柔らかな舌で、僕の舌を、くすぐるように舐めた。

僕「結衣って、不思議だね。もっと、貞操観念がしっかりしてると思ってた。」
結衣「失礼ねw。彼氏にしかしないわよ。あとはすべて拒絶してる。でもなんでだろう。竜也君になら、いや、竜也君にしか、こんなことできない。」

僕「嬉しいけど・・・その・・・僕は、仮にだよ?仮に最後までする流れが万が一おこったとしても、・・・その気に・・ならないと思うというか・・」
結衣「・・・竜也君らしいね。それでいいよ。」

僕は、もう一度、優しくキスをした。

僕「今日はもうお帰り。送ってくよ。」
結衣「・・・うん、でもいいの?今日だったら・・・私、けっこう乗り気だよ?w」
僕「一回冷静になれw」
結衣「はいw」

僕はもう一回キスし、派手に押し倒し、控えめな胸を、軽く揉んだ。少し華奢な体つき。そして柔らかな肌。
結衣「こらw話が違うw」
僕「あははwよっと!」

そのまま抱き起し、少し抱きしめる。
結衣「んっ・・」
僕「結衣は華奢だな。ちゃんとご飯食べろよ。」
結衣「竜也君もね。」
僕「ああ。じゃあ送ってく」
結衣「はいー。お願いね。」

こうして、菜々子さんとは全く別の、ソフトな関係の子ができた。

結衣は純粋だった。
彼氏とも、正常位でしかしたことがなく、フェラもしたことがないし、クンニをされたこともないという。

結衣「それで、満足だし。」
僕「そっか。満足ならそれで良しだなぁ。」

結衣「竜也君は?」
僕「んー、どうだろ。満たされればそれで。ただ、やっぱり、男としてはフェラされたいなぁ。」
結衣「なんで?そっちの方が気持ちいいの?」
僕「そんなことはないよ。確かに気持ちいいし、大好きだけれど、んー、相手が自分に従ってる感というか、心を許してる感が出るというか。」
結衣「でもそれって、エッチしてる時も同じじゃないの?」
僕「それはそうだけど・・自主的に咥えてくる行為が・・って僕はイタイケな女の子に何の話をしてるんだ。」

彼女は、小奇麗なニットから少しだけ谷間を覗かせながら、ニッっと笑った。
結衣「ねえ、してみてもいい?」
僕「性欲MAXの女子高生か!」

結衣の小さくてすべすべの手が、僕のシャツをめくり、トランクスの隙間に入ってくる。
僕「んっ・・・ちょ・・・」

僕は、ベルトを外し、ジーパンのボタンを外し、ファスナーをおろす。
みるみる、僕のアレは膨張する。

彼女は、僕のズボンとトランクスをずりおろした。
結衣「お、なかなか元気じゃん」
僕「もうちょっと乙女らしく恥じらえ」
結衣「いやん」
僕「お、おう。」


僕「じゃあ、その手で僕のを優しく上下して、左手で玉の部分を優しく受け止める感じで。」
結衣「・・・こう?」

上目づかいが可愛い。そして罪悪感が半端ない。
僕「う、うん・・結衣、可愛いから・・その・・・襲ったらごめん」
結衣「竜也君は襲わないって信じてるからw」

僕「根元から、先にかけて、舌に力を入れないで、優しく舐めてみて」

彼女の美しい顎のライン。綺麗な唇から、小さな舌が少しだけ出てきた。ニットの隙間から垣間見える白いブラと白い膨らみ。
恐る恐る出てきた舌は、僕のアレを刺激する。

僕「んっ」
結衣「このまま、続けてもいい?」
僕「あ、ああ。いいよっ・・・あっ・・」

僕「先っぽの、柔らかいところ周辺を、ねっとりと舐めまわしてみて・・・」
結衣は、真剣に、口と舌を使い、先端を攻めてきた。ぎこちないが、むしろそのぎこちなさがイレギュラーな気持ち良さを誘う。

僕「結衣・・・気持ちいいけど・・・テクニック磨いたら・・・彼氏に・・んっ・・・ばれちゃうような・・・」
結衣「・・・大丈夫・・・ちゅっ・・レロ・・・彼には・・・しない・・・」
・・・
・・・

(すみません。書いていて罪悪感がでてきました。)


僕は、ヤりたくなる気持ちを抑えた。ばれたくない。当時はそれだけを考えていた。
結衣は、それ自体にはこだわりはなかったようだ。

理由は不明だが、時折、思い出したようにフェラしてくれた。その見返りは求められたことはない。
僕はたまにキスし、たまに胸を拝み、ごくたまにアソコを刺激させた。

僕たちの関係は、基本的に、うちに遊びに来る同僚だ。仕事の話や彼氏の話、好きなものを飲んで好きなものを食べる。そんな関係の一環で、ちょっとしたスキンシップのつもりで、イロイロなことをする。

こんなにかわいい子が、なぜ僕に無償でそんな行為をしてくれるのかは分からない。
彼女なりのストレス発散方法だったのかもしれない。

内容は伏せるが、結構過激なこともしてくれたこともある。

今思えば、健全に見える、不健全な付き合いだった。
結衣との関係は、危うくも絶妙なバランスで、翌年彼女が結婚・地方へ異動するまで続いた。

急に思い出した翼とのエピソード。

豊「なあ、俺、急に翼に呼び出されたんだけど。」
僕「同じく。豊と一緒に来いだってさ。なんだと思う?」
豊「さあ・・なんか俺たち悪いことしたか?」
僕「すくなくとも、翼にはしてないと思うけど・・・」

深夜ファミレス。
目の前には、翼。小奇麗に整えている。

翼は、まあ、見た目は可愛いが、プライトが高く、最近は部署内でトラブルばかりを起こしているらしい。
風のうわさでは、とうとう部長にもかみついて、泣きわめきながら罵倒したという。
翼にはかかわらない方がいいよ、と、影で言われていた。結衣も、同じ部署だけれど、距離を置きだしていた。

翼「実は、報告があります。」
僕「うん。どうしたの?仕事の悩みなら・・・」
翼「違うの。あのね・・」

彼女は、いろいろ思案したそぶりを見せ、豊と僕をじっと見据えた。

豊が怪訝そうな顔をする。

豊「・・・何?」
翼「私、彼氏と別れました。それだけが言いたくて。」
豊「・・・」
僕「・・・」
翼「・・・」

僕「・・・は?それで?」
豊「・・・それで?え?それだけ?は?」

彼女は、それだけを注げ、ファミレスの支払いもせず、帰って行った。
取り残される2人。

僕「えっと・・それで??なんで僕たちにそれを告げるためだけに?ここへ??」
豊「全く分からない。どういうことだ?ファミレスで何か食べたくて、食い逃げしたかったのか?」

・・・
・・・

豊「話し合った結論はあれだな」
僕「お、おう。やっぱそうなるよね。」
豊「翼は、俺と竜也が、翼を狙ってると思い込んでるんだな。」

僕「ありえないだろ・・・どうやったらそんなポジティブシンキングになるんだ・・・」
豊「部署内でも、思い込みが激しくてプライドが高くて扱いきれないって言われてるやつだぜ?甘く見ちゃだめだ。」
僕「あの目つきはヤバいな。『さあ、2人でどっちが先に私を落とせるか、競争してもいいのよ?』って顔か。」
豊「怖いなそれ。」
僕「連絡するのも受けるのもやめよう。ヤツとかかわるとヤバい。」
豊「ああ。世の中には自己中なヤツもいるもんだな。気を付けよう。」

以来、僕と豊は翼と連絡を取ることをやめた。
翼は、その後、風の便りで、辞めたと聞いた。

菜々子さんとは、執拗に迫られて、やむなく、たまに会った。
僕の部屋はイヤだったので、ホテルで会った。

菜々子さんは、貪欲だった。
バ〇ブ、〇ーター、ア〇ルビーズまで用意した。

菜々子さん「普段は・・・我慢してるんですから・・・今日だけは・・・好きに・・・」

普段の明るい彼女の姿なんて全くない状態。
心の底から、何か欠けているものを、激しく求めている。そう、渇望・切望しているのだと思う。

それでも、どうしても、ロウソクだけは僕は使えなかった。
あの熱い液体を、彼女にかけたときの、悲痛な叫びと、残った跡は、僕には耐え難かった。

彼女は器具で何度も逝き、僕は吸い尽くされる。

僕は、この時だけは、悪魔だったと思う。
ありとあらゆる言葉で罵倒し、彼女を痛めつけた。

彼女を痛めつければ痛めつけるほど、僕の心は蝕まれた。



季節は、12月。
もうすぐ、新年だ。

僕の心は、限界を迎えていた。

菜々子さん「・・・はぁ・・・はあ・・・どう・・しました・・・?」
僕「・・・」
菜々子さん「・・・?・・・もっと・・・して・・いいのよ・・・?」
僕「・・・もう・・・」

彼女は、察した。

菜々子さん「・・それ以上。。言わないで!」
僕「もう無理だよ、菜々子さん。もう、できないよ・・・僕には・・もう無理だ。」
菜々子さん「どうして?仕事も上手くやってますよ?!私は、今までも、これからも、今のままで満足だよ?!」

僕「菜々子さんも・・・わかってるでしょ?・・僕は・・・」

手に持った器具が、今まで以上に汚らわしく見える。
その手も、穢れた。僕は、汚らしい、化け物だ。

菜々子さん「嫌!もっと・・・もっと一緒に・・・」
僕「好きなようにしなよ、菜々子さん。訴えたかったらどうぞ・・・もう無理だ。限界だよ。」
菜々子さん「・・・」

僕「最近、何のために働いてるのかわかんない。仕事のために仕事してる。」
彼女は、息を整え、下着をつける。

僕「ごめんはっきり言いますけれど、好きでもない女性に、自分の心を殺して奉仕してる。」
彼女は、目に涙を蓄える。

僕「僕は沢村さんじゃないって言いながら、沢村さんと同じことをしてる。」
菜々子さん「竜也君・・」

彼女は、僕を、優しく包み込む。
僕は、強引に跳ね除ける。

僕「もうやめてくれ!もう無理だ!」

そう言っても、彼女は抱きつくのをやめようとしない。

菜々子さん「待って!落ち着いて!大丈夫だから!ねえ!」

僕は、菜々子さんを強引に突き飛ばした。
小さな悲鳴とともに、彼女は何かにつまずき、その場にうずくまる。
僕は、最低だ。

最低な僕は、素早く服を着て、支払いをし、菜々子さんを置いて、逃げた。

菜々子さんは、翌週から普通に出勤し、今までどおりに仕事をした。
僕も、普通に接した。

乗り切ろう。あと数日で年末だ。
帰省しよう。逃げよう。


年末を迎え、最終日に有給を取り、さっさと帰省した。
菜々子さんは、一切、連絡をしてくることはなかった。
ただ、年明けから、物がなくなる・無言電話・意味不明な手紙の投函などが出てきた。
確認を取っていないが、きっと菜々子さんの仕業だと思っている。

今となっては、確かめようとも思わない。


年末、帰省し、大学のサークル仲間と会うことになっていた。

未來、たか子、めぐみ、祐希、僕で待ち合わせて飲みに行く予定だった。
直前になり、続々とキャンセルすると連絡が来る。
なぜだか、めぐみと2人で飲みに行くことになってしまった。

めぐみは、もともとアイドルみたいな子で、学生時代もドキドキしてしまって話したことも滅多にない。
どうしよう。何を話そう。

僕「あれ・・なんかごめんね。まさか2人になるとは思わなくて。」
めぐみ「うふふ。新鮮でいいじゃない。行きましょ。場所はお任せするわ。」
僕「もう、地元じゃないから、殆どお店も知らないよ。あ、あそこのビルの最上階にオシャレな所があるから、そこに行こうか。」
めぐみ「いいよ。私飲めないけどいい?」

僕「ん?いいよ。ノンアルコールのカクテルもいろいろあるからね。」
めぐみ「ごめんね。うちは、両親が厳しくて、いまだに門限もあるし、アルコールなんてご法度だよ。」
僕「そうなんだ。愛情あふれてるね。」
めぐみ「今日だって、女子会で食べに行くだけだって言ってあるの。だから、終電には間に合わせないと。」

暗に、アルコールで酔わない。それと、誘っても無駄だよと言っているようなものだ。

僕「信用されてないなw」
めぐみ「あ・・そういう意味じゃないの!ごめんw」

彼女は顔を真っ赤にした。可愛いかった。

営業の苦労話、業界の動向、今の夢。両親のこと。
学生時代には知らなかった、彼女のこと。
久々に訪れた、安息だった。

ああ、これだ。僕が求めている。普通の光景。
下心もなく、駆け引きもなく、つまらなくもなく、純粋に、笑って楽しめる時間。

めぐみ「・・もう、こんな時間なんだ。」
僕「あ!電車大丈夫?・・・ゆっくり言っても間に合うな。改札まで送るよ。」

めぐみ「ありがとう。楽しかったなぁ。また誘ってくれる?」
僕「・・・んー、そうだね。また連絡するよ。」

クラスに残ったドライマティーニを飲み干して、僕はめぐみの手を取る。
にっこりと笑って、それに続くめぐみ。

帰り道、またみんなで遊びたいねと話し、別れた。

めぐみ、彼氏いるのかな。いるよなぁあんなに素敵な子だもの。
はぁ。いいなぁめぐみの彼氏。

心の諦めと相反して、この日からめぐみとのメールのやり取りは格段に増えていく。

新年が明け、僕は、絵里奈と2人で出かけた。

ホテルのラウンジ。

僕「どうしたの?珍しいよね。絵里奈の方から連絡くれるなんて。」
絵里奈「・・・うん。一番最初に、どうしても、竜也先輩に言いたかった。」

僕「・・・」
絵里奈「・・・」

僕「よし。心の準備は、出来た。」
絵里奈「・・・私、年末に、プロポーズを受けた。」

そんな気がしていた。
僕は、後悔した。

あの時、ああしていれば。こうしていれば。

今の僕は、もう、きっと絵里奈を抱くこともできない。行為はもうできない。ばれたくない。
男性としての自信は、とっくになかった。

僕「そうか・・・寂しいけれど、良かったな。」
絵里奈「・・・それだけなの?」

わかってるよ。喉まで出てる言葉くらいあるよ。でも、言えないんだよ。
断れ。体裁?知らないよ。僕のものになれよ。僕が幸せにするよ。そんな男がかすんで見えるくらい、心から愛すから。
いや、そんな上からじゃないよ。お願いします。プロポーズを受けないでください。絵里奈のこと、失いたくないんです。

言えないんだよ。怖いんだよ。

僕「・・・言ったろ、絵里奈のことは、本当に、大事な・・・・い・・いもうと・・なんだから・・・」
上手く、笑えたと思う。

絵里奈「そう。じゃあ、祝福してくれるのね?・・・本当に、それでいいのね?」
僕「ああ。だから、婚約してる子が、独身の男と、2人で会うもんじゃないよ。」
絵里奈「えー、お兄ちゃんとなら、会ってもいいでしょw」
僕「ダメだ。もう会うのをやめよう。けじめをつけよう。」

僕は、この日以来。絵里奈と2人で会うのをやめた。

僕の心は、新年早々、完全に、死んだ。


また、味気ない業務が始まる。
僕の心は、もう、限界に近づいている。

仕事は、おそらく、まじめにやっている。
でも、もう、情熱も失われつつあった。

早々に、課長に呼ばれた。

課長「ちょっと、1時間ほど時間取ってくれ。」
僕「はい。菜々子さん、靖子さん、あと頼みます。」
「「はい。」」


課長「・・・さて。唐突だが・・・」
僕「はい。」
課長「・・・経営企画室は、今年度を持って、その機能を別の部署に譲ることになった。」
僕「つまり、お取り潰しですね。噂には聞いてました。」

課長「まあ、聞こえてくるよな。でもまだ、皆には内緒だ。」
僕「でしょうね。」

課長「で、だ。俺は、別部署に部長職で打診を受けている。」
僕「課長、優秀ですからね。当然です。」
課長「何言ってるんだ。お前の案件が評価されての栄転だ」
僕「栄転? ・・ということは、あの支店の、あのポストですね。凄いじゃないですか。出世街道ですよね。」

課長「ああ。そうなるな。それで・・・」
僕「それで?」

課長「お前も一緒に来ないか?」
僕「・・・」
課長「・・・・」
僕「・・・へ?」

課長「事業部長も、最大限にお前を評価してる。このままいけば、またA判定だ。春から俺と向こうに行けば、役職も俺の裁量で付けられる。次からは主任だ。」

その歳での主任。目標にしていた沢村さんよりも、ひょっとしたら早いかもしれないほどのスピードだ。

僕「・・僕は、そこまで評価されるような人材では・・」
課長「俺としても、俺の息がかかったヤツが一緒に来てくれると動きやすい。」
僕「それは、間違いなくそうですね。」

課長「即答しなくてもいい。異動は4月だ。あと2か月くらいのうちに結論を出してくれればいいから。もし、別に異動したい場所があるなら、最大限協力するからな。」
僕「ありがとうございます。少し考えます。」
課長「ああ、良い報告を期待しているよ。」

僕の考えは、この時、実は決めていた。




堅「もしもし。どうした?」
僕「夜遅くごめん。」
堅「うん。」
僕「あのさ・・・」
堅「おう。」


僕「会社、辞めることにした。」

今日はここまで。やっとここまで書けた・・・
まだ先は長いなぁ。

年末忙しいので、更新遅れたらごめん期待してる人がいるかどうかはわかんないけれど。


登場人物多すぎてごめんねこれでも簡略化してるんだ。
質問か疑問があったら書いておいて答えられる範囲で書きます。

それではお疲れ様でした。

俺はいつも楽しみにしてるよ
お疲れ様

>>221
いつもありがとう。

堅「唐突だな。」
僕「うん。今日、決めた。」
堅「なぜ辞める?」
僕「うちの部署、なくなるんだってさ。もう、やる気も起きない。」

堅「辞めて、どうする?」
僕「まだ決めてない。」
堅「せめて、次の就職先をきめてからやめなよ。」
僕「正直、そんな暇はない。2月いっぱいまで働いて、3月はたまりにたまった有給休暇消化して、リフレッシュしてから適当に考える。」
堅「・・・戻ってくるのか?」
僕「ああ。そのつもり。この地域に未練はない。」

僕は、退職願を書き、翌週に提出した。

課長「・・・まあ、そうなるわな。」
僕「すみません。もう、仕事への情熱が、限界です。2月までは、しっかり働いて引き継ぎをします。」
課長「引き継ぎはいいよ。2月までに終わりそうな案件だけ処理してくれ。それ以上長引きそうな案件は引き受けないでいいから。」
僕「わかりました。ご迷惑をおかけします。」

僕は、2月いっぱいまで、通常通り働いた。
誰もが、僕の顔色を伺っているのが分かる。誰もが、僕を軽視していくのが分かる。
「あいつは、どうせやめる奴だから」
そんな雰囲気があった。

菜々子さん「そういうことだったんですね・・・地元に戻られるんですか?」
僕「そのつもりです。隠していて申し訳なかったです。」
菜々子さん「・・・・いいえ。未練がましくてすみません。もう・・・会えないんですね・・・」
僕「はい。会えません。」
きっぱりと言った。

靖子さん「はー。どんどん、いい人が去っていきます。沢村さんもそうだった。」
僕「沢村さんは、引き抜きです。僕は、過労ですw」
靖子さん「体は大事ですから、ゆっくり静養なさってください。」
僕「ありがとうございます。・・・靖子さんには、本当に助けられました。」
本音だった。

鈴木「お前は本当に成長したよ。入ってきた頃は、こいつは使えないと思ってた。」
僕「成長しましたか?自分ではよくわからないです。」
鈴木「ああ。お前がいなくなるってことは、俺の右腕と右足を奪われるくらいのダメージだよ。」
僕「・・・買いかぶりすぎですよ。」
鈴木「本音だよ。寂しくなるな。」
僕「鈴木さんにはお世話になりっぱなしでした。ありがとうございました。」

河村「よー。今日で最終か?」
僕「はい。」
河村「お前の送別会だから、ちゃんと顔出せよw」
僕「当たり前ですw朝までお供しますよw」
河村「俺は明日も会社だろw」
僕「知りませんw」

送別会は、部署を挙げての、大きなものだった。
沢村さんも駆けつけてくれた。
ルイ君もいた。

沢村「久しぶりだな。」
僕「お久しぶりです。わざわざいらしたんですか?」
沢村「まあな。でもまあこっちに彼女もいるし、そのついでだ」
僕「ええ・・・」
沢村「地元の彼女とは別れた。今の本命は、こっちの彼女だ。」
僕「ええ・・・」
沢村「お互い愛し合ってるのに、別れるってつらいよな・・・」
僕「ええ・・・」

ルイ君「・・・駆けつけました。」
僕「律儀だなぁルイ君は。どう?元気にやってる?」
ルイ君「順調です。本当に、藤原さんが教えてくれたことが、すべて自分の役に立つことばかりで・・・」
僕「それは言いすぎだよ。・・・元気でな。僕みたいに燃え尽きないようにね。」
ルイ君「・・・はい。あの・・・」
僕「うん?」
ルイ「僕、藤原さんを追いかけて頑張ってきました。・・・寂しいです・・・」
僕「・・・ありがとう。」


有給消化の間、マンションでゴロゴロしていた。

契約は3月末まで。引っ越しの準備もある。とりあえず実家に帰ろう。
ここには、最低限のものしかない。
いっそのこと、全部捨ててしまおうか。

役に立ちそうなものは、後輩や淳にあげた。

結衣が来た。

僕「ああ。いらっしゃい。」
結衣「あらら。殆ど何もないのね。」
僕「うん。あ、本いる?あげるよ。」
結衣「私、4月から異動よ?彼氏と同棲するの。」
僕「あ、それもそうか。式はいつだっけ。」
結衣「うーん、秋くらいかなぁ。」
僕「そっかそっか。よかったな。」

結衣「ここにも、よく来たなぁ。」
僕「独身の男の部屋に、よくもまあ入ってきたよね。」
結衣「それなりの奉仕はしましたw」
僕「まあねwごちそう様でしたw」

彼女は、僕に、優しくキスをした。
明るい日差しの中、綺麗な素肌を見せる。

僕「結衣?」
結衣「私って、綺麗なのかな?」
僕「ああ。綺麗だよ?」
結衣「ねえねえ。もうこれから会えなくなるわけだから、最後に、思いっきり、してみない?」
僕「・・・ごめん、そんな気にはなれないよ。」

結衣「・・・そうだよね。そういう仲だものね・・・・」

ごめん結衣。そうじゃないんだ。

僕「もう帰る?」
結衣「帰った方がいい?」
僕「いや?暇だからいいよ?」
結衣「じゃあさ、一度やってみたかったんだけど、」
僕「何?」
結衣「服も下着も何も着けずに、一日過ごしてみたい。いい?」
僕「え?ああ。いいよ?」

なんとなく、僕も脱いで生活してみた。
裸同士で、普通に過ごしてみた。

なぜか、トイレも一緒についてきた。
逆に、彼女のトイレにも同行してみた。

抱き合いながら、料理を作り、一緒にお風呂に入り、同じベッドで寝た。
結衣はとても綺麗だった。

ありがとう。結衣。
さようなら。

僕は、一通り、女性関係を清算した。
女性関係とは言っても、体の関係だけはない。

地元に帰るから、もう会えない。
いろいろありがとう。さようなら。

一つ一つの縁を、切っていく。

もういいんだ。
もういい。

僕は、燃え尽きた。
地元に帰って、適当に就職して、適当に人生を終わらせよう。
僕は、生き急ぎ過ぎた。
もうやめよう。

僕は、地元の、中小企業に就職した。
技術営業なる、良くわからない職種だった。
給与が以前とあまり変わらないことと、残業が少なそうという理由だけで決めた。

驚いた。この会社、全く働かない人たちだらけだった。
そして、やたら経費を使う。そりゃあもう、赤字になるのは当たり前の体質だった。

赤字だからボーナスなしなんて言われたらたまったもんではない。

僕「・・・えと・・・僕の仕事は何をすれば・・・」
社長「え?うん。重役の付き人ね。君世渡り上手そうだから。適当にお客さんのご機嫌取ってくれればいいから。」

重役。ああ、あの人か。
社長よりも偉いらしい。この会社の古株だった。

入社して2週間もすると、この会社のことが分かってくる。
重役は、偏屈だった。
お客さんとのトラブルが絶えない。
僕が間に入り、その場を収める。すると、取引が上手くいく。

また、経営に関しても、重役が決定権を持っていた。
そしてこの重役、浪費家だった。
ただし、この会社のことを知り尽くしているキレ者でもあった。

そういうことね。
重役が円滑に仕事ができるようにサポートをしろってことか。細かい技術的なことは、僕がフォローするわけね。

重役が出かけるときは、車を運転する。
重役の名刺を管理する。書類は僕が目を通し、その書類の趣旨を説明する、そして判子をもらう。

(重役:市村正親似、以下市村さん)

市村「お。今日もお疲れ。」
僕「え?もう終わりですか?」
市村「ああ。もう今日はやることないから、遊びに行くぞ。〇〇まで送って行ってくれ。お前も付き合え。」
僕「・・・まだ14時ですよ?」
市村「気にするな。」

僕「ダメですよ。もう一か所だけでも回りましょう」
市村「若いなぁ。じゃあ〇〇に行ってくれ、そこ行ったら今日はもう働かないからな。」
僕「はい。そこ行ってくだされば、17時までなら付き合いますから。遊び。」

市村「(苦笑)俺に指図するヤツなんていないから新鮮だ」
僕「そんなこと知りませんよ。嫌なら首にしてください。」
市村「わかったわかった。早く行くぞ。」

僕はもう開き直っていた。
給料をもらう以上はちゃんと働くよ。
でも、嫌になったら辞めよう。

僕が口出しを始めてから、この会社の経営はV字回復をした。

無駄な経費をちょっとだけ止めさせ、暇で仕事のない人に自己啓発を兼ねた勉強をさせ、ちゃんと定時出勤してもらうようにしただけ。
それだけのことで、この会社はあっという間に立て直った。
マンネリだったのだ。たまたま僕が入り、ちゃんとした勤務体系になった。それだけなのに。会社とは不思議なものだ。

僕は、基本的に社員と関わらないようにしていた。
面倒だったからだ。この会社に長居するつもりもなかった。

市川さん「よし。遊びに行くぞ。」
僕「どこへですか?」
市川さん「スロット。」

市川さんは、暇があればスロットを打ちに行く。
当時は4号機。これで破産した子は多かったと思う。

僕も、すっかりはまってしまった。
休みの日、終日打っていた時期もある。
一日一万回打ったと言えば、好きな人ならどういうことかわかるだろう。

今はもう打たないけれど、当時は月の収支が50万マイナス、50万プラスということもザラだった。

隣の台の子が入った。
当たり前のように、僕が目押しする。
当たり前のように、その子がコーヒーをくれる。
仲良くなり、そのあとにご飯を食べに行ったりもした。
女の子「・・・この後、どうする?予定がないなら・・・あそこ・・行ってもいいよ?」
僕「・・・いいよ。」

入ってすぐ、強引にキスをする。
たばこの味がする。
女の子が、アレを咥えてくれる。
ああ。何やってるんだろう僕。自分勝手に果てる。

僕「飽きた。帰る。」
女の子「え?ちょっと、そりゃないよw」
僕「・・・うっさいなぁ・・金は払っとくから一人で泊まってってもいいよ。あ、誰か呼べば?」
女の子「・・・なにそれ・・・」

涙声。ごめん。

ごめん。もう、どうでもいいんだ。
何に対しても本気になれない。
誰に対しても、好きになれない。

堅「だいぶ落ち着いたみたいだな。」
僕「ん?ああ。」

帰省してから、僕は堅とはよく出かけていた。
平日でも、堅は飲みに付き合ってくれてた。
唯一の、心休まる時間だった。

堅「あー、ここもいっぱいかぁ。どこ行こうな。飲み直したいのに。」
僕「あ、あそこは?店っぽいよ」
堅「本当か?なんかただの家みたいだけれど。あ。たしかに看板あるな。入ってみるか。」

(優香似、以下優香)

優香「いらっしゃい。お2人?」
僕「うん。空いてる?」
優香「ええ。どうぞ。」

堅「オシャレな店だな。ここに決めた。ここに通おう。お姉さんも綺麗だし。」
優香「いっつも暇だから、いつでもどうぞw」

僕「不思議だ。」
優香「何がですか?」
僕「いいお酒がそろってて、お値段も高くなくて、出してくれる品も手が込んでて美味しいのに、人がいない。」
堅「そうだなぁ。今日が平日だからだろ?」
優香「週末も暇なんですw」

不思議だった。

僕と堅は、ちょっと飲みに行く時は、そこに行くようになった。

堅「また来たよ。」
優香「あ、いらっしゃい。」
女の子「(ニコニコ)」
僕「ん?その女の子は?」
優香「私の子ですよ。」

堅「ええ?ママ、子供いるんだ!若いのに!」
僕「失礼だろ。こんばんは。」

女の子は、優香の後ろに隠れた。まあそうだろう。急に知らない人が来たら怖いよなぁ。
それでも、30分もすると慣れてきたようで、キャッキャと遊んでくれた。

優香「ごめん、10分ほど見てもらってていいですか?すぐに帰ってきますので!」
僕「え?いいけど、誰かお客さん来たらどうするの?」
優香「大丈夫です!どうせ誰も来ませんから!」
堅「それはそれで問題だろう!」

本当に、不思議な店だった。

何気なく進んでいく毎日。
絵里奈の結婚式当日になっていた。

僕は、式には呼ばれなかった。
それはそうだろう。二次会から参加した。

綺麗だった。
優しそうな旦那さんだった。

不思議だった。
もう、何の感傷にも浸らないと思っていたが、その日は、荒れた。
僕はその日、一人で、飲み明かした。

優香「藤原さん?それくらいにしておいたら?」
僕「いいだろ?別に。僕だって飲みたい日くらいあるんだから。」
優香「意外。まじめで冷静な人だと思ってた。」
僕「・・・ああ。そうだ。そうだったね。」

優香「あ、またあとでね。はいはーい。今行きますよー。」

優香のお店は、気づけば人だらけになっていた。
それもそうだろう。
店の評判は口コミで広がり、いつの間にか繁盛店になっていた。

優香一人で切り盛りしていたのに、いつのまにか2人も従業員さんがいた。
時代は変わる。
ここももう、来れなくなるなぁ。

ああ、なにやってるんだろう。僕。
僕はあの時のまま止まっている。
絵里奈「・・・私、年末に、プロポーズを受けた。」

あの時のままだ。

僕「ねえ、優香ちゃーん。おかわりー。」
優香「はいはーい。じゃあ、この一杯、サービスしてあげる!」
僕「ありがとう。」

ありがとう。
ありがとう。


気づくと、お店には誰もいなかった。

僕「ああ、気持ち悪い。。。ここどこ・・・あ・・・」
優香「・・・起きました?」

僕「・・・ごめん。起こしてくれて良かったのに。」
優香「・・・これどうぞ。」

ハンカチ。僕は、泣いていた。
僕「うっ・・・・うううっ・・・」

僕は、優香の膝の上で、泣いた。
優香は何も言わず、優しく頭をなでてくれた。

僕「ふぅ。帰る。」
優香「私はまだ片づけものとかもあるし、明け方までいてもいいですよ?」
僕「そんな失礼なことできないよ。タクシーだけ呼んでくれればいい。」
優香「・・・そう。じゃあ気を付けてね。」

僕「ごめんね。ありがと。」

何やってるんだろう僕。


僕は、ふと思い出し、サークルの同期だっためぐみにメールを送った。

「あー、やっちゃった。飲み屋さんで寝て起きたらこんな時間」
「あちゃー(笑)大丈夫?」
「うん。ごめん寝てた?」
「ううん。仕事の資料作ってた。」
「うわぁ、自分がさらに情けない(笑)」
「お疲れ様(笑)」

めぐみちゃん。君みたいな子、なかなかいないよ。
相手をしてくれてありがとう。


好きな様に書いてよ
本当に楽しい

>>230
まあ気楽にいくね

沢村「久しぶり。元気だったか?」
僕「まあまあです。沢村さんも、出張お疲れ様です。」

沢村「ん?まあただの市場調査だからな。たまにこっちにも来るから、その時はまた会おう。」
僕「そうですね。僕の会社、若い人がいないから、会ってもらえてうれしいです。」

優香「平井さん意外と来るなんて、初めてですね、藤原さん。」
僕「そうだね。この人沢村さん。もし顔出したらよろしくね。」
沢村「宜しくお願いします(キリッ)」
優香「イケメンですねw」
僕「この人変態ですから気を付けてくださいね。」
沢村「何言ってるんだ。世の中の男性が異常なんだよ。俺は正常だ。」
僕「ええ・・・」

沢村さんは、僕の地元にも出張に来る。
日帰りが多いから本当にたまにしか飲みにいけないが、日程が合う時は、僕に付き合ってくれた。

沢村「じゃあ、その子、もう結婚しちゃったんだな。」
僕「はい。なんかもう、仕事も恋愛ももういいです。生き急いじゃいましたよ。」
沢村「お前、大事なことを忘れてるぞ?」
僕「・・・」

沢村「いいか、人の魅力っていうのはな。」
僕「・・・はい。」
沢村「人妻になると、さらに魅力が増すんだ!いいぞ人妻は!」
僕「ええ・・・ちょっとでも沢村さんに期待した自分が馬鹿でした・・」

沢村さんは、ドライマティーニを一気に飲み、もう一杯注文する。

沢村「まあ、それは冗談としても。」
僕「冗談なんですかね。。」
沢村「お前は「人妻だから駄目だ」だし、俺は「人妻だからこそ良い」だ。今のはあくまで例えだが、他の事でも同じだ。お前は基本的にマイナス思考すぎる」

僕「否定できません。」
沢村「お前は、自分に自信がないんだよ。」
僕「・・・はい。男として、自信がないです。」
沢村「いいか、人は、見た目で相手を判断する。お前は、まあ、見た目は悪くない。その自覚はあるだろう」
僕「まあ、そうですね。」
沢村「そうすると、それ以外の所に問題があるということになるよな。」
僕「・・・ええ。沢村さんにも言えませんが、あると思います。」

沢村「お前、テレビショッピングで、「この商品は、欠点があります。それでも良ければ買ってください」って言われて、買うか?」
僕「・・・意味は分かりますよ。自分のことに自信のない男は、魅力も何もあったもんじゃないです。」
沢村「分かってるなら、もう一歩、踏み出すべきだよ。お前は。」


あいかわらず、沢村さんは沢村さんだった。
僕は・・・

どうなのかな。
変わったのかな。

優香「ありがとうございました。またいらしてくださいね。」
沢村「ああ。またよろしくね。美味しかったよ。」

優香「・・・藤原さんは、一緒に帰らなかったんですね。」
僕「うん。沢村さん、この後まだ予定があるんだ。僕は暇だから。」
優香「そうでしたか。あ、一杯いただいても?」
僕「どうぞ。今日は気分がいい。」
優香「ありがとうございます。んー。仕事終わりのビールは美味しい!」

僕「まだ勤務中でしょ。」
優香「え?もう外の明かり消しましたよ?」
僕「ええ・・・」
優香「今日は、お客さんも藤原さん達しかいらっしゃらなかったし。もう閉めます。」

僕「珍しいね。最近、お客さん多かったよね。」
優香「おかげさまで。〇〇ちゃん、□□ちゃんも、もうあがっていいからねー。」
「「はーい」」


自信、か。
もう、ないなぁ。

ピロリン
「今日もお疲れ様ー。」
「あ、お疲れ様。今日は、前の会社の先輩と飲みに行ってた。めぐみちゃんは?」
「私は、新規の契約が決まったよ^^」
「おお!おめでとう!めぐみちゃんは凄いなぁ。でもめぐみちゃんにセールスされたら、誰でも買うか(笑)」
「だといいけど(笑)」

・・・
よし。
「また、どこか行かない?頑張ってるご褒美。」
「え?いいの?やった!」

「がっつり食べられるところがいいな。」
「普段ゆっくり食べる時間がないから、楽しみ。場所は決めていいよ!」
「油滴る焼肉、赤身のステーキ、ホルモン焼き、焼き鳥、お好み焼き、鉄板ダイニング、居酒屋、フレンチ、イタリアン、カレー、うどん、メキシコ何がいい?」
「ホルモン焼き!」
「オヤジか!いいよ!」

ちょっとだけ、頑張ってみよう。

優香「なに?ニヤニヤして。いいことあったの?」
僕「秘密だよ。ごちそうさまでした。チェックお願いします。」
優香「はーい。また来てね。」


少しずつでいい。
前を向いていこう。

めぐみ「おまたせ!お腹空いた!」
僕「・・・ええ・・・」

めぐみは、どう考えてもホルモン焼き屋さんには似つかわしくない格好で来た。
季節はもう冬。純白な、セーター。ふわふわしたファーの着いたコート。
うん。異様に可愛い。アイドルだ。眩しすぎて、目が合わせられない。

ただ・・・
おそろしく世間知らずだった。

僕「か、かわいい。。」
めぐみ「えっ。あ、ありがとう。照れるからやめてw」
僕「う、うん。かわいいんだけれど。。今から行くところ、ホルモン焼きだよ?いいの?匂いとか付いちゃうよ?」
めぐみ「あ!本当だ!どうしよう!でも食べたい!行こう!」

はい。
一気にやられました。陥落だった。

めぐみは仕事熱心。その営業所全員から守られ(そりゃあそうだろう)、両親からも守られ、大事に育てられてきたようだ。
温室育ち。箱入りってこういう子のことを言うんだろう。

両親は大企業の重役。その分、厳しく育てられたようだ。
未だに、外泊も殆どしたことがない。する時も、逐一両親に報告だった。

めぐみ「だから、こうやってお外に食事もなかなかできなくて・・」
僕「今日は大丈夫だったの?」
めぐみ「うん・・まあ、大丈夫!」
僕「本当かな・・」

楽しかった。
心の底から、笑い転げた。
こんな気持ち、いつ振りだろう。

めぐみ、いい子だなぁ。
穢れた僕には、不釣合いだ。

沢村「お前、テレビショッピングで、「この商品は、欠点があります。それでも良ければ買ってください」って言われて、買うか?」

わかってますよ沢村さん。
でも、僕は、勇気が出ないんです。
力を貸してよ、沢村さん。

僕「めぐみちゃん、僕は楽しいけれど・・・・その。」
めぐみ「ん?何?」
僕「だから・・・」
めぐみ「・・・はっきり言って。ね?」
僕「か、彼氏に申し訳ないから・・こういうのって、その・・迷惑かな・・?」

めぐみ「うーん、私、両親が厳しかったから、彼氏っていたことないんだ。もし付き合うってなると、ちゃんとした調査がくるし、うーん、」
僕「そっか。めぐみちゃんも大変だ。」
めぐみ「もし、誰かと付き合うんなら、両親に紹介して、そのまま結婚だよ、私はきっと。」

僕「うわお。慎重に選ばないと、だね・・」
めぐみ「そんなこともないよ。きっと・・」
僕「きっと?」

めぐみ「私の結婚相手は、お父さんが決めてくるから。」

めぐみ「・・たまに、こうやって息抜きさせてくれると、嬉しいな。無理にとは言わないけど。」
僕「ん?そりゃいいよ。今度はラフな格好でねw」
めぐみ「持ってないのw」
僕「じゃあ次はフレンチねw」
めぐみ「焼肉がいいw」


ぼくとめぐみの、少しだけ、秘密の時間が、始まった。

めぐみとは、毎日メールした。
時折、食事に出かける。くだらないと思うかもしれないけれど、公園ではしゃいだり、駄菓子屋に行ったり、ゲームセンターに行ったり、
安っぽいお店にも行ったことがある。

僕は下町育ちで、地元にはまだ懐かしい場所がたくさんあった。
めぐみは、そんな場所に行きたがった。


春になっていた。

めぐみ「・・・今日もありがとう。楽しかった。・・またね。」
僕「・・・またね。」

めぐみは、何か言いたそうだった。
僕「・・・ん?」

めぐみ「あの・・もう少しだけいい?」
僕「ああ。いいよ。あそこの珈琲屋さんでいいかな。」
めぐみ「うん。」

少しの沈黙。
温かい珈琲。

めぐみ「・・・お父さんがね。その・・持って来たの。」
僕「お父さん?何を?」
めぐみ「お見合い写真。」
僕「・・・そうなんだ。・・・いい人?」

めぐみ「釣書?によると、〇〇大学を出て、〇〇大学院を出て、△□の企業に勤めてて、ご両親は◎財閥の関係で。」
僕「・・・名門じゃないか。凄いなぁ。」
めぐみ「会ったこともないし、ちょっと不安。」
僕「会ってみるべきだ。会わないとわかんないよ。それから決めればいいじゃない。」

めぐみ「・・・ごめんね。変なこと・・・・聞いちゃった。」
僕「・・・いいよ。相談になら乗るから。。。その・・・僕、人生経験豊富だよw」
めぐみ「・・・うん。また相談に乗ってね。」

凄い。
本当にエリートの上級国民だった。
薄汚れた僕とは全然違う。

ああ、めぐみは、高嶺の花だった。
僕が気軽に会っちゃいけないような、清楚で、世間知らずで、上品な子だ。
本当は、知らなくてもいい、下町の、薄汚れた世界を見せてしまった。

後悔した。

僕と会っても、いいことなんてない。
僕は、男としての肝心なものを失い、小さな会社で働き、下世話な場所に出入りし、酒を飲んで寝るそれだけの人間。
一時の夢を見させてもらった。
そんな気分だった。

GWに入った。
堅と、東南アジアに出かけた。

海の音が聞こえる、コテージ。
堅は、満天の夜空を見ながら、ビールを飲み、こう言った。


堅「俺、結婚する。」
僕「・・・そうか。一応確認だけれど、・・・玲奈?」
堅「そう。」

僕「おお。良かった。」
堅「なんで?」
僕「結婚しても遠慮なく誘えるw」
堅「確かにねw」

堅「本当は・・式なんて挙げたくない。」
僕「そっか。イヤなの?結婚」
堅「ううん。公衆の面前で、式を挙げるってのが嫌だ。」
僕「ああ。同感だ。別に知らない親戚とか呼びたくない」
堅「それそれ。まあ、お互い、両親となかよくないもんなw」
僕「だねw」

堅「今実家だろ?住みづらくない?」
僕「まあね。基本家にいないし。外食だし。あとは適当に外でぶらぶらしてる。」
堅「結婚したら、□あたりに家を借りるつもり。」
僕「お、近い。」
堅「お前も引っ越したら?実家だといろいろ面倒だろう。」
僕「んー、そうしようかな。自由を満喫できるか。金かかるけど。」

結婚、か。
堅が結婚。

これで、みんな結婚だな。
ああ、僕はさらに孤独だな。

はぁ。

僕「なあ、お願いがあるんだけど」
堅「何だ?」
僕「僕より長生きしてくれw」
堅「なんだそれw」

誰も、僕の事なんて必要としてない。
だけど、堅は、少なくとも僕のことを覚えていてくれるだろう。

だから、僕より、先には行かないでくれ。
僕のことを、覚えていてくれ。


堅は、式を挙げた。玲奈の希望もあるからしょうがない。
僕は、友人代表としてスピーチをした。
玲奈は綺麗だった。幸せそうだった。

玲奈「・・・秘密に・・・してくれますか?私・・・純情なキャラで通してるんです・・」

懐かしい光景が、一瞬フラッシュバックする。
幸せになれよ、玲奈。
堅、寂しくなるよ。

「今日、親友の結婚式だった。あいつも立派になったもんだよ」
「藤原君、両親みたい(笑)」
「めぐみちゃんもあるでしょ、そういう気持ち(笑)」
「どうだろ。でも、あ、私のワンちゃんが巣立ったら、もう立ち直れないかも。」
「あのコーギーちゃんか。可愛いもんねぇ。人懐っこいし。」
「藤原君くらいだよ。あんなに懐くの。」
「散歩の相手だと思ってるんだよきっとw」
「そうかもwあ、来週って空いてる?空いてるならどこか行きたい!」

・・・
バカだ。バカな僕。

「うん。昔よく言ったお好み焼き屋さんがあるけど、行ってみたい?」
「おいしいの?」
「まずいよ!」
「なぜ誘うの(笑)」
「ボリュームが半端なくて、不味いんだけど、僕の青春の味w」
「行ってみたい!」

・・
いつまで、この夢が、見られるかな。

めぐみ「・・・楽しかった。」

いつもの公園で、服が汚れると言っても聞かず、めぐみはブランコを漕ぐ。
季節は、夏の終わりを告げようとしていた。

僕「あんまり遅くなると、両親と彼氏に申し訳ないから。」
めぐみ「・・・」
僕「・・・めぐみちゃん?そろそろ・・」

めぐみ「私ね、結婚するの。」
僕「そっか。ごめんね。誘うの迷惑だったね。」
めぐみ「・・・ねえ。」

僕「うん?」
めぐみ「私、迷惑だなんて言ったことあるの?」
僕「・・・」
めぐみ「・・・」

僕の手が、めぐみの肩を、抱く。
その肩は、震えていた。

僕「その・・・」
めぐみ「・・・」
僕「僕は、めぐみちゃんが、幸せになってほしいと思ってる。だから、・・・おめでとう。」
めぐみ「・・・何なの。何なの?藤原君にとって、私って何?」

僕「・・・」
めぐみ「私って、魅力ない?なぜ、いつもいつもそんなに優しいの?誘うだけ誘って・・楽しいの?」
僕「え?楽しいよ?」
めぐみ「それだけなの?なぜ?なぜそれだけなの?」

自信がないんだよ。
自分に。
察しろよ。

僕「・・・悪いかよ。」
めぐみ「・・・え?」
僕「僕が、めぐみのこと好きで、悪い?」
めぐみ「・・・悪いよ。」

僕「・・・」
めぐみ「なぜ・・・なぜいまさら言うのよ!こんなに中途半端に会っておいて、・・・あなたのこと好きにさせておいて!!・・・それなのにあやふやで!!」
僕「・・・」
めぐみ「今度は私のお見合いを進めておいて・・・ここまで来て!!!いざ結婚の話が出たら好きです?!何言ってるのよ!!!」

僕は、強引に、抱きしめた。
ものすごく抵抗された。
僕は、強引に、キスを迫った。

僕は、生まれて初めて、女性から、グーで殴られた。
彼女は、号泣していた。

めぐみ「何すんのよ!っ・・・何・・・するの・・・なんで・・・なんでいまさら・・・」
僕「わかんないよ。僕は、ただのしがないサラリーマンで・・めぐみは・・・お嬢様で・・・」
めぐみ「わたしがいつ・・・あなたのことを・・・けなしたの?っ・・・ひっく・・・」

めぐみは、僕の胸に飛び込んできた。泣きじゃくっていた。

僕「めぐみ・・・」
めぐみ「ひとこと・・・ひとことで良いの・・・「やめろ。結婚するな」って言ってよ・・・」
僕「・・・」
めぐみ「「親の言いなりになるな。」「僕が守ってやる」って言ってよ!!私を助け出してよ!!」

この日、めぐみは、帰らないと言い張った。
めぐみは、僕の借りたてのアパートまで来た。

意を決した女性というのは、本当に無敵だ。
それは知っている。

めぐみは、全く躊躇せず、僕の部屋に入り、いきなりスカートを脱いで放り投げた。

僕「あの、ちょっと・・・」
めぐみ「うるさい!」

今度は、ブラウスをさっと脱ぎ、放り投げる。
僕「シワになっちゃうから・・」
めぐみ「うるさいって言ってるでしょ!」

薄手のストッキングも放り投げ、下着だけの姿になる。
成熟とは違う。華奢で、少し幼い体型だった。その色白の肌が、アパートの明かりで照らし出されている。
下着に手をかける。

僕「やめなよ。自分でもわかってるんでしょ?めぐみは、汚れちゃいけない。」
めぐみ「・・・汚してよ。私は、汚れたい。もう嫌なの。」

大胆に、抱きつき、キスされた。

僕「・・・気分じゃないんだよ。めぐみじゃあ、興奮しないんだよ。」
めぐみ「えっ・・・」
僕「経験がないだけで、一通りは知ってるんだろ?試してみれば?」
めぐみ「上手く行ったら・・・?」
僕「・・・ありえないことは・・・想像しない。」

彼女は、ムキになった。
シャワーも浴びていないのに、僕に馬乗りになってきた。

めぐみ「・・・私、興奮してる。罪悪感で一杯なのに。あなたのせいよ。責任とってよ。」
僕「・・・」
めぐみ「レロ・・・んっ・・・汗の匂い・・・抵抗はしないんだ。」
僕「・・・」
めぐみ「だんまりを決め込むんだ。いいわよ。まさか私が男のひとを襲うなんて思わなかったけど、やってやるわよ。」

彼女は、律儀にも僕の服をたたみながら全部脱がした。
彼女自身も、下着を、躊躇いなく取った。
綺麗だった。

その白くて清楚な手で、僕の全身を、執拗に触る。
彼女「・・・ほら、やっぱり興奮してるんじゃない。」
僕「・・・そう思うなら、やってみれば?」

情けない。情けなかった。自分のちっぽけなプライドを守るために、彼女に責任を負わす。
僕は、泣けてきた。

本当に気持ち良かった。
愛情を感じた。
めぐみは一生懸命だった。

でも、やっぱり、できなかった。

めぐみ「・・・なんでよ・・・どうしてよ・・・」
僕「僕はね、めぐみのことを好きだけれど、気分じゃないんだ。テクニックもない子となんて、興味も起きない。住む世界が違うんだよ。帰りなよ。」
めぐみ「・・・・最低。最低な人だったんだね、藤原君って。」
僕「いまさら気づくのが遅いって。まあ、処女の体を拝めて嬉しかったよ。なにイキがってるんだか。あれか?気持ち良くしてほしい?なら、ちょっといじって」

僕は、思いっきり殴られた。彼女は、自分の手を抑えた。
自分の手が痛むのを理解した後は、僕の家にあるものを、投げつけてきた。

めぐみ「最低!最低!最低!〇ね!最低!」
僕「もう気がすんだろう。帰りなよ。」

めぐみは、泣きながら、帰った。

それ以来、彼女と連絡は取っていない。
別の友人から聞いた。

彼女はその後結婚した。
そして、3児の母となった。
旦那さんの仕事についていき、欧州で生活をしているそうだ。

何が幸せかはわからない。
彼女にとって、やはり、僕ではなく、その旦那さんの方が幸せだったのだろう。

辞めよう辞めようと思っていた会社だったが、いざ染まってしまうと、その楽さに抜け出せなくなる。
重役の市村さんもいい人だし、まあ、社員さんともうまくやっていた。

市村さんは旅行が好きで、勝手に海外に出張という名目で出かけたりもしていた。
僕が同行することもあれば、一人で行ってしまうこともある。

社長「お願いだから同行してくれ。出張手当出すから。」
僕「でもあれ、ただの旅行ですよ・・・」
社長「わかるだろう。あの人を放置したら、トラブルを起こすんだよ。お目付け役がいる。君なら気に入られてるし、頼んだよ。」

まあ、ただで海外旅行に行けるので、それはそれで楽しい。
僕は、年に数回、市村さんの「出張」に同行した。

市村「よし次は例のカラオケだ!」
僕「なんの業務にも関係ないですが?」
市村「固い事いうなよ!行くぞ!」
僕「だめです!あそこに行って、調査してからです!アポ取りましょう!」
市村「バカ現地語しゃべれないだろう!」
僕「あそこの支店は通訳さんいますから!」

・・・

僕「ほら、行って良かったでしょう?」
市村「まさか仮契約が取れるとは。」
僕「市村さんも乗り気だったじゃないですか。「僕はこのために来た!契約を取れなかったら帰らない」とかよくもまあ・・」
市村「だんだん気持ち良くなってきたんだよ。」

僕「・・・まあ、さすがですよ。無駄な経費を使うだけありますよ。」
市村「よしこれでもういいだろう?あとは全部遊ぶからな!」
僕「はぁ・・でもまあ結果を出されたら何も言えないです。お付き合いします。」
市村「お前の扱い方もわかって来たよ。じゃあ特別な所に案内してやる。」

まあ、あれだ。
日本語が通じる、綺麗な女性がたくさんいる、何をしてもOKなお店だ。
本当に美人揃い。

慣例では、3回来店して誘えば何をしてもいい。
市村さんは顔パスだった。

市村「好きな子選べよ。俺は・・・△△ちゃん!」
このオヤジはもう、お目当ての子が決まっていた。

僕は、とても綺麗だけれど、内気そうな子を選んだ。

その子とは、何度か会うことになる。
連絡先も交換した。

だが、今回しか出てこない、
名前は付けない。

僕「市村さんも好きだよなぁ。」
女「アナタは違うの?」
僕「うん?好きだけど、飲んでるし、そんな気分じゃないな。」
女「みんな、エロい人ばっかりだよ?誘ってきたら、みんな、すぐ、触ってくる。すぐにヤってくるよ?若い子も、おじさんも、社長も、店員も、みんな同じ。みんな男はエロいよ。」
僕「・・・キミのこと、教えてよ。もし、この時間が、休憩になるなら、そうしなよ。僕からは手を出さないから。」

女「なぜ?」
僕「そんな気分じゃない」
女「じゃあ何で来たのw」
僕「上司の付き合いwそのお酒飲んでもいい?」
女「いいよ。どうぞ。」

女は、悪いからと、奉仕してくれた。
とても優しかった。

異国の地で、自分を売る女が、自分の両親のために、奉仕する。
日本は格差社会。誰もがそう言う。

確かにそうだけれど、外国の格差はそんなレベルじゃない。
詳しくは思い出したくないが、人として扱われていない子達は、山のようにいる。
その子達をゴミとも思わず、当たり前にこき使い、何の感慨もなく利益を貪るヤツらは、ごまんといる。

理不尽な世の中だ。
女に、また出張があったら利用するとだけ伝えた。

その後何回か顔を見に来たが、ある時を境目にばったり見なくなった。
理由は、知らないし、聞いてもいない。

そういう世界だ。

うちの会社に出入りする業者さんに、研修旅行に誘われた。
まあ、旅行という名の接待だった。

僕「え僕が行くんですか」
市村「俺は用事があるからお前が行って来い」
僕「羽伸ばしたいだけですよね?」
市村「早く行って来いw」

場所は、日本でも有数な歓楽街だった。
ひたすら飲み、ひたすら遊び、そして、夜になる。

(桜 金造似、以下金造さん)

金造「よし、じゃあ〇ープ行きましょう!」
僕「えw元気ですねw」

金造「そりゃそのために来たんですから!案内しますよ!ここ顔効きますから!」
僕「通ってるんですね。」
金造「会社からも行ける距離ですからね!」

金造さんは、やり手の営業マンだった。
技術的なことも詳しく、精力的。性欲も旺盛だった。

余談であるが、彼には何度も助けられた。
うちの会社のためなら何でもします。そのかわり、うちの製品を使ってください。
そんな感じだった。
彼のアイデアで受注・開発した商品は、その後のうちの会社のメインになったし、トラブルもすぐ解決してくれる。
本当に頼りになった。

僕は、金造さんの手引きで、風俗に通うようになった。

EDを治せないかな?
ぼんやり、そう思っていた。

その道のプロなら、気持ち良くさせてくれるかもしれない。
この時は、安易な気持ちだった。

嬢「・・・せっかく来てくれたのに・・・ごめんなさい!」
僕「え?いや・・・その・・・w」
嬢「だって・・・お金払ってまで。。。何もできないなんて・・・」


嬢「まあ、あれだよ。そんな日もあるさ。また来なよ。ちょっと割り引いてあげるからさ。」


僕「あはは。今日は飲み過ぎたから、ダメだったみたいだ。」
嬢「なんかごめんね・・」


嬢「これは・・・無理・・・かもっ!はぁ・・はぁ・・手でも無理とか・・」
僕「あ、なんか・・うん・・・痛いからやめて・・・」


回数を重ねるごとに、酷くなる。
僕のアレは、その機能を完全に失うレベルになっていた。

分かってた。
イかなきゃというプレッシャー。
不健康な生活。
女性の手が触れた瞬間にフラッシュバックする、過去の経験。

行為自体は気持ちいいのだ。
だから、マットも気持ちいいし、咥えられるのも気持ちいい。
全身リップも。すべて心地いい。
でも、イくことはないし、挿入は一度もできなかった。

まあ、仕事はある。
金も、まあ、なくはない。

たまに旅行に行ったり、美味しいもの食べたり、飲みに行ったり。
風俗に費やしたり。自由気ままに。自堕落に。

普段の食事なんて、コンビニだった。
夜はだいたい、飲みに行っていた。

そんな毎日を送っていて、ソファに転がり、コンビニで買ってきたビールを飲み、テレビをつけ、しばらくして、ふと、自分のお腹を見た。
以前はスリムだったお腹が、ポッコリ出ていた。

鏡を見た。
そこには、以前のような精悍な顔つきはなく、たるんだ中年の顔があった。

「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

僕は、叫んだ。

叫んだ。

何やってるんだろう、僕。
どうなるんだろう、僕。

気が付けば、誰ともメールもしなくなっていた。

変わろう。僕はまだ30にもなっていない。
まだまだ人生終わってない。

僕は、ジムに通うことにした。
最初の運動年齢は、80歳だった。自堕落が招いた結果だった。

僕は、週に3回通った。当時は、一日おきのトレーニングが一番効果的だと言われていた。
お酒は、週1回と決めた。
会社で使えそうな資格の勉強も始めた。

社会人用の学校にも通った。
それは、手当が出た。

僕は、毎日自分の写メを取った。変わるんだ。変わるんだ。

がむしゃらだった。

(華原朋美似、以下朋美)

朋美「お疲れ様。今日も一番前の席なんだね。」
僕「うん。一番前だとサボれないから。」

朋美は、同じ社会人用の学校に通う女性だ。同い年だった。
別の業種ではあったけれど、自己啓発のために勉強しているとのことだった。

僕「華原さんも、熱心だよね。」
朋美「同い年の人が、がむしゃらに頑張ってるのに、負けていられないでしょうw」
僕「まあねwでも僕、このクラスの首席ですけど?w」
朋美「うわ自慢だ。首席じゃなくても、資格は取れますけど?w」
僕「負け惜しみw」

朋美はいつも隣で受講していた。
学校は主に土日に行われ、終日という日も珍しくない。

朋美「御飯ごいっしょしても?」
僕「どうぞ。でも行くところってラーメンチェーンだよ?」
朋美「えー。あそこのフレンチにしましょうよ。美味しいよ?」

僕「昼間っから・・・まあいいか。最近あーいうお店行ってない。」
朋美「じゃあ決まりね。」

朋美は優秀で、それは年収に返ってきていた。外車に乗り、ハイブランドの服を着ていたので、クラスでは目立った。
僕もまあ、服はかなり気を使っていたので、浮いていたと思う。

でもそうやって、自分を追い込んでいた。
正直、資格を目指している子は、見た目に気を付けていない子が多い。だから、皆から少し白い目で見られていた。
それでも、一番前に陣取り、主席を取る。これはもう、ただのプライドだった。

朋美は器用にナイフとフォークを使っていた。上品だった。
僕「テーブルマナーも完璧」
朋美「何よ急に。あなたも、意外と優雅ね。」
僕「ランチに優雅も何もないだろう。美味しいね、ここ。いい店だ。」

勉強とは全く違う、世間話をする。
談笑。

久しぶりの感覚。
僕は何となく感じていた。
僕はきっとこの子と付き合う。

朋美「今日も遅くなっちゃったね。一人暮らしって面倒。これから帰って、お掃除して・・」
僕「そうだね。大変だ。仕事の準備もあるんでしょ?」
朋美「うん。あー、ご飯、コンビニにしようかな・・」
僕「うん?それも味気ないし、晩御飯食べに行く?」

僕は、イタリアンに誘った。
朋美は、器用にピザをナイフとフォークで食べた。
僕は、そのままパクつく。

ふと、思った。

僕「ねえ、華原さん。」
朋美「はい?」
僕「僕と、結婚を前提にお付き合いしない?」

朋美「・・・」
僕「・・・・」
朋美「・・・」
僕「・・・・」

朋美「は?」

僕「あ、ごめん。なんか急にそんな気がしてきた。つい言っちゃった。」
朋美「え・・ああ。はい。急でびっくりした。即答で悪いけどNO。」

僕「そりゃそうだよね。でも、たぶんだけど、華原さん、僕と付き合うよ。そんな気がする。」
朋美「私の知り合い、男性も女性も、皆凄い人ばかりだよ?年収も高いよ?あなたが勝てる要素って何もないよ?」
僕「うん。そうだろうね。」
朋美「ずいぶんあれね。淡々としてるのね。」
僕「うん。自分でも不思議。でもわかる。華原さんは、僕と付き合うと思う。」

何の根拠もなかった。

朋美「条件を出すわ。私は優秀な人としか付き合わない。この資格、一発合格したら付き合ってあげる。」
僕「余裕でしょ。予言するよ。試験を受ける前に、僕と華原さんは付き合う。」
朋美「バカじゃないの?そこまで言うならやって見せてよ。」
僕「いいよ。そういうナマイキな女、僕は大好きだ。」
朋美「私は、あなたのような人、キライよ?」

僕「違うね。期待してる目だよ、それは」
朋美「・・・ふぅん。・・うん・・・待ってみる・・・期待はしないけど・・」


僕にはもう、情熱はない。
なぜ朋美に猛攻したのか。

何としても資格を取る。
その前に、朋美を落とす。
きっと、それは、過去の弱かった自分と決別するために、どうしてもしたかったことかもしれない。

翌週、僕は、花束を持って学校に来た。

朋美「ちょっ。何やってるのよ!・・・ば、バカじゃないの?今貰っても困るわよ・!」
僕「え?あげるなんて言ってないよ?w」
朋美「(真っ赤に照れる)あ、・・もう!何考えてるの!」

僕「ん?花屋を通ったら、綺麗な花があった。欲しくなったから。買った。あー、これを持たせたら、とっても映える子が、目の前にいるなぁ。貰ってくれないかな?」
朋美「これから授業よ?!」
僕「え?お花があるだけで、授業受けられないの?w」
朋美「受けられるわよ!いただくわよ!それでいいんでしょ!」
僕「うん。お花好きなんでしょ。この前言ってたじゃん。」

朋美「・・・うん。あー、よくもまあ恥ずかしげもなく・・・」
僕「え?恥ずかしいよ?でもあげたかったから。」
朋美「・・・周りの視線が痛いんですけど。」
僕「え?気になるの?w」

朋美「わかったわよ・・・ありがとう。これ持って授業受けるわよ!それでいいんでしょ?」
僕「うん。ありがとう。」

先生「お、花束。最近見ないですね。」
僕「教室にあると、ちょっとリラックスできませんか?」
先生「・・ああ、そうですね。華やかになります。じゃあ、はじめましょうか。」

僕「(ほらね。たまにはいいでしょう?)」
朋美「(もう・・・次やったら・・・絶交・・)」
僕「(じゃあ、またあげたくなったら、お花屋さんについてきてね。プレゼントするよ)」
朋美「(・・・うん。)」

先生「はいそこー!メセナとは?」
僕「メセナとは、企業における社会奉仕活動の一環であり・・・」
先生「ぐぬぬ・・」
僕「お騒がせしてすみません。先生、進めてください。」


朋美「あなたが、興味あることに全力を注ぐ人だってことはわかった。」
僕「そりゃどうも。」
朋美「でもね、世の中結局はお金よ。私は、お金を稼がない人に興味はないよ。」
僕「じゃあ、僕に興味はわかないはずだね。楽しみだな。」
朋美「何が?」
僕「朋美が、僕を、好きになった時が。」

朋美「・・・呆れた・・・呼び捨てにしないでよ。」
僕「朋美って名前でしょ?じゃあ朋美でいいよね。」
朋美「・・・うん・・まあ。そうだけど・・・」
僕「今日、これからなんだけど、」

朋美「・・・何?まあ、ご飯くらいなら付き合うよ。一人で食べるのも飽きたし。」
僕「朋美の家に行っていい?」

朋美「え?え?ダメダメ!ダメだよ何言ってんのよ!ちょっと妥協したら付け上がって!」
僕「ダメな理由は?」
朋美「片づけもしてないし!急にそういうこと言うのは失礼でしょ?当たり前です!」

僕「・・・じゃあ、」
朋美「何よ。」
僕「急じゃなくて、日時を指定して、片づけをした後なら、言っていいんだね・・・・?」
朋美「・・・・」
僕「・・・・」

朋美「・・・うん。」
僕「OK。女の子だし、片づけに時間かからないよね。2週間後くらいかな。楽しみにしてるよ。」

朋美「勝手に決めないでよ!」
僕「勝手?何言ってるんだ。僕は、宣言したろ、朋美を落とすって。そう宣言したからには、絶対に落とす。覚悟しておけ。」
朋美「ええ・・強引すぎるよ・・・」

僕「本当に困ってるなら、全力で拒否しろ。お前の本気が勝つか。僕の本気が勝つか。」
朋美「その・・・そうじゃなくてさ・・・本気なのはわかったから・・・ね?」
僕「はっきりしなよ。」
朋美「藤原君のこと、別に嫌いじゃないよ?だからさ、順を追ってよ。ちゃんと向き合うから。」
僕「それで?」
朋美「普通に接して、普通にお友達からなら。それならいいでしょ?それで、ああ、この人とならって思ったら、ちゃんと答えを出すから。強引すぎると、怖いだけだよ。・・・ね?」

僕「そうだね・・ごめん。」
朋美「あー、ほっとした・・・少しは私の気持ちも整理させてよ。。」
僕「あ、でも、朋美の家にはいくからね。」
朋美「ええ・・・もう・・・わかったわよ!そのかわり何かしたら、遠慮なく通報するからね!」
僕「あー、どうぞどうぞ。襲うくらい魅力があったら襲うよ!」

なぜあそこまで強引に進めたのか、いまだにわからない。

僕「・・・以上で、今回一連の不手際に関する当社の対策と、今後の展望の説明を終了させていただきます。本件におきまして、貴社様には多大なご迷惑をおかけいたしました。社員一同これからも頑張ってまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。」

僕はプレゼンを終え、静かに席に着いた。

顧客「・・・誠意は確かに承りました。本当にこの通りやっていただけるなら、今後も取引させていただきます。今日はご足労いただいてありがとうございました。」
僕「こちらこそ、貴重なお時間を弊社のために用意していただきまして、ありがとうございました。」


市村「だーから言ったでしょう?うちの若いもんは、しっかりしてるから、ちゃんと対策するって。」
顧客「市村さんは信用できないし、話が通じないからねぇwいい子拾ったじゃない。わかったよ。藤原君に免じてこれ以上大事にしませんよ。それでいい?」
市村「ああ。またよろしく頼むよ。」
僕「ご迷惑おかけしてるのにその態度は・・・まったく!すみません。あとできつくお灸を据えておきます・・・」


市村「プレゼン上手だな。驚いた」
僕「あの程度なら楽勝ですよw」
市村「あの顧客も横柄だからな。まあ、痛み分けでもよかったんだが。

僕「相手に譲歩せず、かつ相手が気持ちよく引けたんだし、これで良かったんじゃないですか?」
市村「そうだな。今日はお疲れさん。今回は疲れたろ。3連休もあるし、間を公休にするから1週間くらい休んでいいぞ。」
僕「ふー。今回はお言葉に甘えますよ。静養します。」


顧客も市村さんも、今回は引くに引けない感じになっていて、僕が間に入った。
客観的に見ても、顧客側に落ち度がありそうだった案件だ。
若い頃なら徹底的にやりあったかもだが、もう、そんな歳でもなかった。痛み分け。いかにお互いが気持ちよく矛を収めるか。それに終始した。

上手く対処できて、思わぬ休暇を貰った。


朋美「いらっしゃい。」
僕「おじゃまします。わお。女の子のお部屋って感じだね。綺麗。うちと大違いだ。」

朋美「本当に来るんだねw」
僕「そりゃそうさw」

僕は、ちょっとしたおつまみと炭酸水そして花束をお土産に持参した。

朋美「ビールでいい?」
僕「いや、車で来てるんだ。」
朋美「じゃあ、飲んだら、帰れなくなるのね?w」
僕「ちゃんと帰るよ。今日は、来ることが目的だっただけだから。下手にあがいたりもしないよ。」

朋美「意外と誠実なのね。」
僕「当たり前だろう。」

朋美「あのね・・・私は、女性なの。わかる?」
僕「うん。」
朋美「男性じゃないの。男性と女性。正直、悔しいけれど、何をやったって、女性は男性に勝てないの。それは、私がよく知ってる。」
僕「・・・・続けて?」

朋美「いざとなったら、私はあなたに抵抗する力はないの。あなたには失うものがなくても、私は、いくら抵抗しても、失うものがあるの。」
僕「なるほど。その通りだと思う。」
朋美「私は、そういうギラギラした世界で、女として、戦ってるの。今日だって、あなたを自分の部屋に入れてる。これは私にとって、凄く危険なことなの。」
僕「まあ、そうなるね。たとえば、僕が朋美を今、力ずくで襲ったとしても、きっと、朋美は僕を訴えることができない。」

朋美「そう。私はあなたを夜に、部屋に入れた。それでいて「まさか襲われるなんて想像してませんでした」なんて言い訳は通用しないことくらい知ってる。」
僕「世の中のことをよく理解していらっしゃる。」

朋美「部屋に入れると決めた以上は、私は準備をしてるし、ある程度の覚悟はしてるってこと。忘れないでね。」
僕「OK。」

つまり、襲われてもいいようにイロイロ女性としての準備はしてるから、恥をかかせないでねと言ってるんだろう。

僕「せっかく来たんだし、いろいろお話も聞かせてよ。仕事の事とか、プライベートの事とか。」
朋美「そうね。ご飯まだでしょ?ご飯作るね。誰かに作るのって久しぶりだから緊張するな。」

僕「手伝うよ。」
朋美「横柄な人だから、料理できないと思った」
僕「上手ではないけれど、作るのは好きだよ。」

実際、朋美の料理の腕前は、僕よりも下だった。
毎日仕事をしてるんだろう。不慣れだろうとは想像していた。それでも、一生懸命に作ってくれた。

朋美「結構時間かかっちゃったけど、出来た!」
僕「美味しそう!」
朋美「お世辞でもうれしいな。じゃあいただきましょうか。」
僕「ああ。いただきます。」


僕「美味しくいただきました。ご馳走様でした。」
朋美「いつも思うけど、食べ方綺麗ね。」
僕「どんな料理でも、やっぱり食材は大切だし、いただきますとごちそう様の精神は大事にしないとね。実際、美味しかったよ。」
朋美「食は大事だものね。・・・うん。人の体は、食べたもので出来ているから。できるだけリラックスして、美味しく食べたいものね。」

僕「同感だね。やっぱり、誰かと一緒に食べる食事は、何倍も美味しいよ。」
朋美「・・・また、食べに来てくれる?」
僕「もちろん。食費くらい出すから、美味しい物作ろう。」
朋美「ちょっとうれしい。」

朋美「・・・ねえ。この前のお返事だけど。・・・私、あとさきを考えないことにした。」
僕「ん・・?ごめん。ちょっとわからない。どういう意味かな?」
朋美「私は藤原君のことをよく知らない。藤原君も私のことをよく知らない。でも、」
僕「あとさきを考えず、付き合ってもいいよと言ってくれてるのかな?」


朋美「・・・」
僕「・・・」
朋美「・・・うん。」

僕「・・・ありがとう。」
朋美「・・・・はぁ・・私、おかしいよね・・どうしてこうなっちゃったんだろう・・」
僕「まあ、気にしないで。成り行きに任せてみようLet it beの精神で。」

朋美「ん・・」

僕は、彼女にせがまれる形で、優しくキスをした。
僕「僕ね・・・明日から1週間、仕事休みなんだ。」
朋美「本当に・・・?奇遇・・・私も、少し遅い長期休暇よ・・・」

その日、僕は、それ以上のことはせず、帰宅した。
翌日、夜から彼女の家におじゃました。

そしてそのまま、1週間を彼女の家で過ごした。

美味しく食事を食べ、美味しいお酒で乾杯し、夜も更けてきた。

朋美「念のため確認するけれど、」
僕「うん。」

朋美「・・・これから帰る気は・・・?」
僕「それでもいいけれど・・できればこのまま泊まっていきたい。」
朋美「・・・いいよ。わかった。」
僕「怖い?」
朋美「あのね・・・本当は、わたしは、一人で寝る方が怖いの。」

突然、彼女の携帯電話が震える。非通知だ。
朋美「まただ・・・」

彼女は、無言電話・差出人不詳の手紙等におびえる生活をしていた。思い当たる節は多すぎてわからないという。

僕「ああ。今まで相手にもしなかった誰かから、逆恨みされてるのかもしれないのか。」
朋美「そうかもしれないし、今までお付き合いした誰かかもしれない・・・」

朋美「あのね・・・私は、女性なの。わかる?」

この意味が、なんとなく理解できた。
僕「今日は大丈夫だよ。僕がついてるから。」

また、非通知が鳴る。
僕「貸して。」
朋美「・・・・え・・うん・・・」

ピッ

僕「・・・」
相手「・・・・ガリガリ(たぶん電話をガリガリやっている音)」
僕「キミ、誰かな?僕の彼女に、何か用?」
相手「(ガチャ)」

その日、もう電話はかかってこなかった。
僕は、朋美を抱き寄せると、深くキスをした。
朋美「ん・・・・」

彼女は、僕の舌と同じ動きを繰り返してくれた。全身を、優しく撫でる。押し倒す。

朋美「ねえ・・昨日付き合うって言ったばかり・・よ?」
僕「・・・準備してないってことかな・・?」
朋美「してるw」
僕「そんな気がしたw」

丁寧に、優しく脱がす。
とてもいい香りがした。

高級な下着。それを取ると、彼女の真っ白な裸体が露わになる。
僕「透き通るくらい白い」
朋美「ケアしてますから。」

肌は、きめ細かくすべすべだった。
少し触れただけで、興奮がMAXになるほどだった。

彼女もまた、同じように、全身をなでながら、僕の服を脱がしてくれた。
お互い、下の下着1枚になった。

彼女は俯いている。
薄暗い中でも、彼女の顔が真っ赤なのが分かる。

パンティにてをかけて、はぎ取る。
そのパンティは・・・
シミなんてレベルじゃなかった。絞ったらしたたり落ちるんじゃないかというくらいにぐしょぐしょに濡れていた。

僕「すご・・興奮してくれてたんだ。」
朋美「初めて・・・どうしたんだろう私。」

僕は、素直に言えた。初めてだった。
僕「あのね・・・実は僕・・・たたないしイカない人なんだ。」
朋美「・・・?本当?」

僕「うん・・・だから、奉仕はするけれど、挿れないから。」
朋美「んー、でもさ、」

彼女はトランクスを引き下ろす。そこには、はちきれそうになっているアレ

朋美「元気そうだけど。」
僕「そうだけど、いざとなるとね・・・」

朋美「うふふw大丈夫だよ!上手くいくと思うよ!」
僕「根拠ないなw」
朋美「え?あるよw」

えっ?

朋美「私が付き合ってきた彼って、年上ばかりだよ。」
僕「うん。」
朋美「中には、2回りも違う人だっていた。」
僕「わお・・」

朋美「あのね、勃たない人は2種類あって、一つは体の病気。もう一つは心の病気。」
僕「まあ、そうだね。」
朋美「体が不健康な人は、勃たない。もともとダメだから、いっつも勃たない。藤原君は今ギンギンwだから違う。精神的なものだよ。克服すれば大丈夫だよ。」
僕「それが大変・・・」

僕は、彼女にのっかかりながら、優しく前進を舐めた。
朋美「ん・・・んんっ・・・んんん・・・ああっ・・・・気持ちいい・・・」
僕「すべすべだ。もっと・・・もっと触れていたい。」
朋美「肌のぬくもりっていいね。」
僕「ああ・・・気持ちいい・・・」

彼女は、アレをやさしくマッサージすると、彼女のアソコに誘導する。
僕「え?ちょ、無理だし、あとゴム」

朋美「ゴムなんて要らないよ、準備してるっていったでしょ。」
服用済みか・・・

僕「ゴムなしなんて、リスクもあるし、本当に若い頃にしかしたことないよ。」
朋美「あなたを信用することにした。あと、ゴム着けると勃たない人もいるよ。」

あてがった瞬間、やっぱり、しぼんだ。
ああ、やっぱりだめだ。

でも、彼女は気にすることなく、アレを、アソコに挿れた。

朋美「たぶん、動かしたら大きくなるよきっとw」
僕「ああ・・・あったかい。気持ちいい。動かしていい?」
朋美「かわいい。どうぞ。」

ストロークさせる。ゴムの時とは違う、リアルな温かさがアレをつつむ。
自然と、アレが大きくなる。ギンギンとまではいかないけれど、十分な硬さになった。

朋美「んっ・・・んっ・・・・んっ・・・んっんっんっ・・・」

気持ちいい。気持ちいい。優しい。柔らかい。
彼女は、僕の首に手をかけ。目を瞑って、気持ちよさそうにしていた。アソコは、彼女の愛液でびしょびしょになり、その高級そうなベッドのシーツは大きなシミになっていた。

僕「だめだ・・・気持ち良すぎて・・・あっ・・・」
朋美「あ、ちょっと・・・ああ・・・んっ・・・あっ・・・外に・・・出してって・・・言おうとしたのに・・・ん・・もういいや・・・好きにして・・・んっ・・・」

ドクッ・・ドクドク。。。

僕は、放心したように、彼女の中に出し尽くした。そのまま、まだストロークをしていた。
それくらい気持ち良かった。

何年振りかに、挿入で、イった。

体の相性が合うと気持ちまで入るな

明け方。

朋美「もう・・・まったく・・・あれほど「女は失うものがある」って言ったのに・・・避妊なんて、確実じゃないのよ・・?」
僕「はい・・その通りだけどさ・・・」
朋美「・・・なに?」

僕「それなら、どうしてそのままもう一回戦?シャワーも浴びずに寝た?」
朋美「・・・えへへ。」

シーツを洗濯し、お互い裸で、少し早いコーヒータイム。

朋美「気持ち良かったよ。」
僕「僕もだ。」

その日、2人は、どこへも出かけず、ただソファーで、抱き合って、過ごした。

朋美「休みが終わったら・・・激務。こんなゆっくりした時間なんて取れない。」
僕「そうか。」
朋美「あーあ。こんなに安らげるなら。仕事やめようかなー。」
僕「それはだめでしょ。わかってるだろうけど。今の僕は自分を養うことで精いっぱいですw」

朋美「・・・わかってるわよ、そんなこと。」
僕「・・・」
朋美「私の夢は、ごくごく平凡に、お嫁さんになること。そして、旦那さんに尽くすことなの。」
僕「意外だな。バリバリ働きたいのかと思ってた。」
朋美「理想の人が現れないから、働くんですー」

僕「まあ、そういう人生もあるだろう。」
朋美「達観してるのね。」
僕「人生の経験は一通りしてますので。」
朋美「そうですかー。」

僕「さ、今日は何もかも忘れてイチャイチャしましょう。」
朋美「うわ最低だこの人私のことを性のおもちゃとしか思ってない。」
僕「本当にそう思う?」
朋美「うふふ。そう思うw」

朋美は抱きついてきた。
すべすべの肌が、気持ち良かった。

愛の巣。
そう、まさに愛の巣だった。
この1週間。僕は、愛の巣にいた。


>>250
気持ちの入った行為は、過去に優子と朋美だけ。
あとは。。。お察しで。

今でも、ゴムをつけただけだとヤれない。
生か服用しないとダメだな。

朋美と付き合ってみて、いろいろ分かったことがある。

彼女は、向上心が強く、プライドが高い。
男性に対し、対抗意識が強すぎる。
理想が高い。

だからよくダメだしをされた。
人格否定のレベルのことも言われた。

そのくせ、夜は従順だった。

僕「あれれ?あれだけ僕をけなしておいて、アソコはぐっしょりですか・・・?w」
朋美「ああん・・意地悪言わないでよ・・早く!」

僕「どうしよっかなぁ。僕、ダメ人間なんだっけ?」
朋美「冗談よ!ごめんなさい!もう待てないよ私?えいっ!」
僕「おっと。躾がなってないな。後ろ向きなよ。」
朋美「・・・はい。」

僕は、後ろから、朋美の、別の穴を触る。

朋美「ちょっと・・・そこ違うよね・・・ああんっ・・・きたないからああっ・・あっ・・・もっと・・・」
僕「え?どこのこと?言ってみなよ。」

朋美「お・・・おしりの・・・あ・・あな・・・」
僕「それがどうした?・・・ん?」

朋美「ああん・・・あっ・・お尻の穴!!もっと!もっとお願いします!」
僕「じゃあそこ舐めたら終わりね?」
朋美「ちがっああああん・・・あっ・・・違う・・・あそこも・・挿れて・・・」
僕「あそこって・・どこ?」

朋美「意地悪・・・あっ・・あっ・・そこ・・・もっと付いて・・・私の!お〇んこに!突き刺してよ!これでいいんでしょ?こういえばいいんでしょ!」
僕「素直じゃんか。ほれほれ。んっ・・・あっ・・・ん・・きもち・・・あっ・・・」
朋美「あっあっあっ・・・ああああ・・・・あっ!!!!」

朋美は四つん這いのままビクビクっとのけぞり、ガクガクと震える。
素早くあれをひっこめ、朋美の透き通る肌にぶちまける。

朋美「ああ・・・すっきりした・・・」
僕「変態かよ・・・ああ・・気持ち良かった・・・」

朋美は、普段、虚勢を張って生きている。
その反動が、夜に現れていた。
彼女なりのバランスのとり方だったのだろう。

分かっていた。
こんな関係、長続きしないことくらい。


別れは、いつも突然だ。

朋美「あのね。竜也。」
僕「ん?どうした。」

朋美「いままで黙っていたんだけど。」
僕「うん。」

朋美「私、異動の話があるの。飛行機じゃないと行けない場所。」
僕「そうか。・・・で、受けるんだろ?朋美はそういう子だから。」

朋美「やっぱり、分かる?」
僕「ああ。僕と朋美はよく似てる。僕の若い頃そっくりだ。」
朋美「同い年ですけど?w」
僕「まあねw」


朋美「じゃあ、私が今考えてること、分かるのね。」
僕「・・ああ。きっと今の僕なら、朋美と同じ結論が出せると思う。」

「「愛してるけれど、別れましょう。」」


僕は、遠距離の難しさ・無駄さをよく知っていた。
愛さえあれば遠距離くらいというのはまやかしだと思っている。

本当に愛しているなら、遠距離にはならない。
自分の護るものと、愛するものを天秤にかけ、護るものを取った結果が遠距離だ。

僕「気持ち良く送り出してやるよ。連絡はいつくれてもいい。」
朋美「ふう。心強いね。最高よ竜也。あなたは、・・・最高だった。あなたはもっと、先に行けると思う。お互い頑張りましょう。」
僕「僕はしがないサラリーマンだよ。」
朋美「私は知ってる。あなたは強い。あなたの輝ける場所で、輝いて。たとえその場所が、あなたのいうしがない場所だったとしてもね。」
僕「ありがとう。朋美も頑張りなよ。」

翌春、朋美は、旅立った。

今でも、たまに連絡を取る。
ここでしか書けない。その後、密かに体を重ねたこともある。

今、彼女は、当時と全く違う分野で成功し、活躍する。
その活躍が聞こえてくるたびに、当時のことを、懐かしく思い出す。

以前、特集記事を読んだことがある。
あの当時、とても悩むことがあった。その葛藤が、今の自分を作っていると。
彼女は独身だ。きっと今も、理想の男性を探しているんだろう。

僕「え、もう一回お願いします。」
顧客「だから、現地で説明してきてくれ。」

僕「現地って・・・あの東南アジアの、あそこですか・・・?」
顧客「うん。早急に。対策が終わるまで。今からビザ申請してきて。許可降りたらすぐに行ってね。・・・最悪、1年くらいいるかもだから。」
僕「横暴すぎませんか?いえ、当社に責任があるのは重々承知ですが・・」

顧客「理不尽さを嘆きたいのはもっともだな。だが、客先のこともあるし。うちからも定期的に人をよこす。うちにとっても一大事なんだ。お互い協力して乗り切りたい。」

僕「・・・私の一存では決められませんので・・」
顧客「薄々気づいているだろう。市村さんの了解を取ってある。」
僕「・・・はぁ・・・ですよねぇ・・」

顧客「現地までは、うちの社員も同行する。向こうでは基本一人。通訳は付ける。」
僕「配慮、ありがとうございます。」
顧客「毎日、電話を入れてくれ。空港で、現地で使える携帯を借りていくといい。会社経費じゃないと破産するぞ。」
僕「了解いたしました。他には・・?」
顧客「フリカケだけは持って行け。あと風俗は安いぞ。病気なんて気にするなw」
僕「ええ・・・」

こうして、翌週には現地に着いた。
お客さんと一緒にホテル(豪華だった)にチェックイン
お客さん「少々高いが、他に泊まってはダメだ。日本人は狙われる。お店でもケチるなよ。金払いさえよければ、神様のように扱ってくれる。逆に渋ってると・・・痛い目に合うからな。」
僕「ご忠告ありがとうございます。」

通訳(堀北真希似、以下真希)
真希「通訳です。これから宜しくお願いします。」
僕「あ、ありがとうございます。通訳って、何時から何時までですか?」

真希「私は会社に出勤してるだけです。なので、出勤時間内なら、電話をしてもらえればそちらに出向いて通訳します。」
携帯番号を渡される。
僕「なるほどわかりました。」

真希「あ、お休みの時の観光案内や、夜のご飯のお手伝い程度でしたらお付き合いします。奢ってくだされば。」
僕「そうなんですね。じゃあ、お願いするかもしれません。最悪1年いろって言われてますから。」
真希「ええ・・大変ですね・・」

真希は、学生だそうだ。昼はその会社で働き、夜に勉強する。勤勉家だった。
日本語に関係した仕事に就いて、ゆくゆくは日本で働きたいらしい。個人的には、現地で日本人相手に仕事をした方がいいとは思った。

彼女にはお世話になった。
いろんなお店や観光地を教えてくれた。
ただ、僕には少し眩しかった。清純だった。

真希「あの・・・藤原さんは・・・結婚してますか?」
僕「うん?してないよ。しがないサラリーマンですw。こうやって、東南アジアまで来て、クレーム要員に駆り出されるだけの。」
真希「そうなんですね・・・そうですか。結婚してないんですね・・良かった。」
僕「どういう意味?」
真希「いえいえ!なんでもないです!」

数か月が経過した。
現地の食事にも、慣れてきた。

携帯電話代は、恐ろしい額だった。
毎月、50万くらいかかっていた。
まあ、クレーム処理費用に比べれば、微々たるものだ。
僕がここにいなかったら、その10倍の金額が加算されるだろう。

真希「あの・・・藤原さん・・」
僕「はい。あ、ビールですか?どうぞ。」
真希「いえ、もういりません。あの・・・あ、いつもご飯ありがとうございます。助かってます。」
僕「学生さん、お金ないでしょ?こっちの食費なんて安いし、一人で食べなくてすんでるし、僕の方が感謝だよ。」
真希「・・・嬉しいです。あの・・」
僕「何かな?」

真希「メ、メールアドレス教えてください!」
僕「・・・」
真希「・・・」
僕「え?あ、うん。いいよ?」
真希「えへへ・・ありがとうございます!」

真希は、どこまでも純情だ。

お客さん「うん。経過は順調なんだね。少し早く帰れるかもしれない。」
僕「是非そうしたいです・・お味噌汁が・・・飲みたい・・」

お客さん「まあ、そういうな。あ、今日、いいところに連れて行ってやるから。」
僕「想像できますが・・こっちに来てから行ったことないです。」

お客さん「もったいない!日本人って聞いただけで、上物が群がってくるぞ!」
僕「はぁ・・」

まあ、その場で会ってすぐコトに及ぶ店もあれば、適当に遊べる店もある。
僕は、適当に遊べるお店にしてもらった。どうせこっちで生挿入とかしたいと思わないし。

目の前には、キレイな子が並ぶ。
現地人ではない、隣の国から来た子達の店にした。
(杏似、以下杏)
杏「カタコトダケドイイ?」
僕「日本語が通じるだけでいいよw」

杏「ジャア、ナガクイルノネ」
僕「うん。あ、そうだ。良かったらさ、ご飯のおいしいお店とか教えてよ、最近、いろんなお店に飽きてきちゃって。」
杏「?ニホンジンニアワナイヨ?」
僕「行ってみたいなぁ。」
杏「イイヨ、バンゴウ」
アドレス交換した。

杏とは、たまに出かけた。見たことのない料理をたくさん食べた。
カエルも雷魚も。何かの頭なんかも食べた。
正直、イヤじゃなかった。

杏「チャント、デキタデデ、アツイのタベナイト、オナカニワルイヨ」

しかも、格安だ。値段交渉は、杏がしてくれる。
杏と歩いていれば、少なくとも、危険な思いはしなくて済んだ。

杏は、僕のホテルにも来ることはあった。
杏「キレイ!オフロハイリタイ!」
僕「いいけど、しないからな!」
杏「ナンデ?イイヨ?」

僕「杏は、ご飯も一緒にしてくれるし、出かけてくれるし、値段交渉もしてくれるし、それだけでいいよ。」
杏「・・・オミセニカヨッテクレルカラ、オカネイッパイモラッタ。」
僕「当たり前だろう。ちゃんとお店に寄ってからからならだれも文句言わないからな。」
杏「フジワラサンキテカラ、ホカノヒトノアイテシテナイ。」

僕「そっか。良かったな。」
杏「ダカラ、オレイ。」

杏は、一糸纏わぬ姿になる。
日本人とは違う、でもバランスのとれた体型。
抱きつかれるが、正直、怖い。リスクを考えてしまう。

僕「・・・だからいいよそういうのは。」
キスされる。気持ちいい。独特の味がした。

僕「お風呂は使っていいから。ゆっくり入ったら、気を付けて帰りな。」
杏「・・・ハイ。ワカッタ。」

杏とのローカルな関係は、現地から帰ってくるまで続いた。

真希「藤原さん・・どういうことですか?」
僕「え?なんですか?」

真希「・・・昨日、誰とご飯食べましたか?」
僕「・・・ああ。杏っていう、隣の国出身の子かな?」

真希「・・どういうつもりですか?藤原さんも、他の日本人と同じなんですね。嫌いです。」
僕「え?」
真希「日本人は、いつも、優しい顔して、女を買っていきます。人でなし。」
僕「・・・妬いてくれてるのかな・・?」

真希「そんなんじゃないです。もう、仕事以外で話しかけないでください。」


真希は純情だ。
明らかに、杏に嫉妬していた。

僕「僕に、どうしろと?」
真希「・・・好きにすれば?」
僕「僕、普通の男だよ?」
真希「。。。そうですね。」

僕「こっちに何か月もいて、その間、仕事だけしてろと?」
真希「そうはいいませんけれど・・・」
僕「真希の前で失礼だけど、僕、現地に来てからずっとセックスレスだよ?」
真希の顔が赤くなる。

真希「そういう話は、ちょっと・・」
僕「いいや、ちゃんと聞いてくれよ。」
真希「・・・」
僕「じゃあ、どうすればいいわけ?僕の性処理は?誰がするの?自分で済ませればいいの?」
真希「えっと・・ごめんなさい。プライベートの事なのに・・」

僕「日本人っていうけどさ、人間だよ?急に海外に来てさ、ストレス溜めてさ、そのはけ口を女性に求めちゃいけない?」
真希「・・・・」
僕「ごめん・・言い過ぎた。真希に言うことじゃなかった。申し訳ありません。」

・・・
・・・

真希「あの・・」
僕「・・・」

真希「すみませんでした。」
僕「・・・はい。いいえ。また用がありましたら連絡します。」

真希「藤原さん・・あの・・」
僕「今日は、もう帰りますので」

真希「えっと・・」
僕「・・まだ何か?」

真希「・・・私じゃ・・・ダメですか・・?」
僕「・・・・え?」

真希「えっと。・・・その・・・先ほどの子とは、まだしてないということですよね?」
僕「ええ。関係は続けるつもりですけれど、あくまで案内役です。今後も、そういう性的なことはするつもりはありません。」

真希「誓えますか?今までもしていないし、これからもしないと。」
僕「・・・何なら呼びましょうか?杏を。」
真希「いえ・・はい。わかりました。信じます。」

僕「・・・それで?」
真希「じゃあ、その役目、私でも、いいんですよね?」
僕「えと・・・性処理のこと。。。?」
真希「・・・・」
僕「・・・」

真希「はい・・・」

僕「んー、えっと・・・それは申し訳ないというか・・」
真希「このまま行くと、誰かとするわけですよね?いつか。」
僕「・・・はい。たぶん。」

真希「嫌です。」
僕「ああ。そういうことね。」
真希「私には、自信がないです。それでも、藤原さんが誰かとするのはイヤです。」
僕「それならいっそ、自分が相手をすると?」
真希「・・・本当は・・・ちょっと・・それも・・怖いというか・・イヤです・・」

僕「なんだそりゃ。。じゃあ、気分が高まっちゃったら、真希を呼ぶからね?嫌なら拒否してね?」
真希「・・・はい・・・」


本当に意味が分からない。
意味が分からないが、現地に、性処理要員(仮)ができた。

週末は風邪をうつされて寝込んでました。

まだ病み上がり。
くそうせっかく書いたデータ消えた

真希「・・・あの」
僕「はい?」

僕と真希は、現地の日本料理屋さんに来ていた。
日本人がそれなりにいる都市には、日本料理店がある。
そこそこの味であるが、割高なのが難点だ。

蕎麦を啜りながら、僕は次の言葉を待った。

真希「えっと・・」
僕「ん?」

真希「この前の話ですけど・・・」
僕「(性処理の話?)」
真希「はい。」

僕「・・・気にし過ぎじゃないかな。過剰だよ」
真希「すみません。」

真希は、あの日以来、僕のことを意識しすぎている。
それは、本来の翻訳の仕事にまで支障が出ていた。

僕「はっきり言って、本来の仕事にまで支障に来たすのは迷惑です。」
真希「・・すみません。」

僕「やはり、例の話はなかったことにしましょう。」
真希「だめです!」
僕「ここお店ですよ?」
真希「あ、大きな声を出してすみません。」

僕「・・・」
真希「・・・」

僕「今日、僕のホテルに来る?」
真希「はい。そうします。」


真希は、ホテルについてきた。
その眼は厳しかった。

彼女は、ホテルに入るなり、僕にしがみついてきた。
そのまま、ガチガチに硬直している。

僕は、彼女の頭をそっと引きはがす。
優しくキスをした。

彼女はずっと硬直したままだ。

僕「真希?」
真希「・・・」

僕は薄紫のブラウスのボタンを、一つずつ外した。
純白の下着と、控えめな胸が眩しい。

そっと手を入れる。
柔らかな感触。その突起も柔らかだ。
みるみる鳥肌が立ってくる。

相変わらず硬直している彼女。

真希「・・・」
僕「真希?」

真希「ごめんなさい・・」
僕「・・・」

真希「ごめんなさい・・」
僕「・・・もうわかったでしょう?真希には無理だよ。」

真希「ごめんなさい。無理でした。」
僕「じゃあ、もうやめよう。怖かったでしょう?」

真希「はい・・・ごめんなさい。」

彼女は、ごめんなさいを繰り返した。
服を直すように言う。

僕「性処理の話は無です。いいですか。」
真希「その場合、藤原さんは、他の人と・・・するんですか。」
僕「そうかもしれません。」
真希「嫌です。私・・・藤原さんのこと好きです。」
僕「でも、体の関係は無理と。」
真希「はい。」

僕「それってわがままじゃないですか。僕に我慢しろと?」
真希「遊びたいから女を買います、それを認めろというのもわがままです。」

僕「むちゃくちゃですよ。もともと、真希と僕は付き合ってるわけじゃないです。」
真希「付き合ってください」
僕「嫌です。僕はクレーム対応でイヤイヤここに来てるんです。その仕事に支障が出てるんです。」
真希「仕事の話をしないでください。」
僕「仕事に支障が出るくらいなら、別の通訳さんもいたはずですので代わってもらいます。」

真希「・・・そうやって、また別の通訳さんと仲良くなるんですか。また別の女を買うんですか。やっぱり日本人は最低。」
僕「もういいです。帰ってください。」
真希「・・・最低。日本人。帰る。」

真希とは、この日以来会話をしていない。
日本に帰る間際にメールをしたが、返信は来なかった。

僕が現地の生活に慣れ始めたころ、ふと、たか子のことを思い出した。

たかこは、大学サークル時代の友達で、サークル仲間同士で横浜に行って以来、たまにメールでやり取りしていた。
たしか、旦那さん(もう結婚していた)の仕事の関係で、この国に来ていたんじゃなかったっけ?という程度だった。

「久しぶり、たか子ちゃんって、東南アジアの〇〇って国に来てなかったっけ?」
「うん。そうだよ。なんで?」
「今仕事で、△△って都市に来てるんだ。」
「近い!私、隣町だよ!」

「え!そうなんだ!もしよかったら観光案内してよ。経費で落とすから!」
「いいよ!」

こうして僕は、たか子と会うことになった。
僕は現地の公共交通機関に乗ったことがないので、彼女から迎えに来てもらった。

僕が使ったことがあるのは、車のタクシーとバイクタクシーだけだ。
バイクタクシーは本当に危ない。舗装の悪い道を、逆走して、オーバースピードでカーブを曲がる。
当時は安かったから我慢して乗ったが、もう二度とのりたくない。

ホテルにまで来てくれたたか子。

すっかり現地になじんだという彼女は、現地人しか知らないという穴場スポットを案内してくれるという。
まさか、異国の地で、知人と再会できるとは思っていなかった。

旅での恥はかき捨てて。
僕は舞い上がっていた。

相手は人妻。
旧知の仲とはいえ、安易に2人で旅行などすべきじゃなかった。

たか子は現地語も勉強しているらしく、達者だった。
彼女と旦那さんは同じ会社出身で、結婚と同時に彼女が寿退社。現地の支社に派遣となり、彼女も着いてきた。

平日、基本は自由時間。休日も旦那さんと出かけることもなく、気ままに過ごしているという。
現地に一緒についていく条件として、自由にさせてほしいと言ったそうだ。

まあ、家はハウスキーパーが掃除してくれるし、ご飯も基本は作ってもらえる人がいる。やることがないのも当然だ。
たか子「貴重品だけは鍵付きの部屋に保管してる」

まあそうなるよね。

たか子「こっちでは、窃盗は当たり前。気を付けないとダメだよ。」
僕「何が盗まれるの?」

たか子「家から盗まれる物。3位は服」
僕「ええ・・」
たか子「2位は食事類。パンとかおかずとか」
僕「ええ・・」
たか子「1位は電気。配線が増えてないか気を付けないとね」
僕「ええ・・・」

彼女は、日本人が欲しいもので、安全なもののリスト(現地の商品名)と、売ってる場所も教えてくれた。
たか子「類似商品はたくさんあるし、お店の人も日本人だとわかると偽物売ろうとしたりするから気を付けて、あ、藤原君が持ってるそれ、偽物だよ。」

彼女とは、仕事のない平日や、予定のない休日に数回会った。
真希はあくまで仕事の付き合い優先だし、杏は現地事情を知るうえで必要だが信用していなかった。
だから、たか子という存在はありがたかった。

ただ、2回目、3回目と会うと、だんだん事情が変わってきた。
まあ、あれだ。想像の通りの展開が待っていた。

たか子「・・ねえ・・その、」
僕「・・ん?」

公共交通機関の指定席を取り、2人並んで座っていると、おもむろにたか子が肩を寄せてきた。

たか子「藤原君って・・・風俗店・・・行くの?」
僕「おいおいwなんだ欲求不満か?w」
たか子「答えてよw」
僕「お客さんには紹介されるんだけど、病気とか怖いしw」
たか子「だよねw」

たか子「でも、男子って楽だよね。欲求不満になったら、そうやって行くところがあるから。」
僕「んー。まあ、人によってはそうだねぇ。」
たか子「女の子は、そうは行かない。だから、私は・・・」
僕「・・・」

彼女は、僕の手を握ってきた。

朋美と別れて以来、僕は、また風俗店に行っていた。
そして、やはり、風俗店では挿入もダメだったし、手でもイけなかった。

たまたま朋美とは上手く行ったが、僕はやはりEDだった。

だから、たか子とはできる気がしなかった。
欲求不満の人妻。その日の彼女は、明らかに誘っている洋服だった。ボタンを外し、谷間を見せつけてくる。
僕が拒絶しないことをいいことに、僕の膝の上にかばんを乗せ、隠れて僕のアレをズボンの上からさすってきた。

僕「ちょっ。こら。んっ・・変な声でるやめてw」
たか子「ノリ気じゃん。市内案内してるんだから、私にも見返りを頂戴よw」
僕「人妻でしょあなたw」
たか子「いいのよ気にしないでよ。あいつはあいつできっとうまいことやってるんだから!」

結局なんだかんだと、僕のホテルまで入ってきた。
僕「んー、悪いけど、挿入しないからね?旦那さんに悪いし。訴えられたくないし。」
たか子「分かったよw私がその気にさせてあげる!」

ハメを外したいのは、男だけではないらしい。

いきなりディープなキスをしてくる彼女。僕はなすがままだ。
どうしよう。人妻が抱きついてきてキスしてきた。
どうしよう。どう乗り切ろう。

求められるまま、服を脱ぎ、脱がす。
今日のために用意したのか、新し目のセクシーな下着。

毎回思うが、勝負下着に意味はあるのだろうか?
下着を見た時点で、男がやることは決まっている。
パンティなんか、見る間もなくズボンと一緒に下したりする。

ああ、優子は薄い緑の艶のあるパンティだったな。
絵里奈は、濃い紫の時が逆に清潔感があった。
薄いピンクの女子、多かったな。
意外と、白の普通のがいいなぁ。
黒は最初刺激的だったけれど、逆に汚らわしく思うなぁ。

などといろいろ考えていたら、もうお互い何も着ていない状態になっていた。
たか子「抱きしめてくれるだけでもいいの。」
僕「?」
たか子「私は、外国で、旦那さんの作るグループだけに溶け込めるように頑張って、」
僕「うん。」
たか子「嫌われないようにいつもニコニコして、んっ」
僕「うん。」
たか子「ああん・・・気持ちいい・・んっ・・・もっとっ・・」
僕「ニコニコして・・・?」
たか子「日本人だから、んっ・・みんなに優しくして・・・あっ・・上品に振る舞って・・んんんんん・・」

たか子は、逃げたいんだ。
でも、逃げる場所がないんだ。

僕「この程度でいいなら・・相手するよ。・・・お世話になってるし」
たか子「うれしい・・・あっ・・・あっ・・そこいい・・・もっと・・・もっと!!」

彼女は乱れた。
乱れたまま、僕のアレを貪る。

久しぶりの感触で、ぞわぞわする。
でも、やっぱり、イかなかった。

僕「ちょっと痛くなってきたから、ここまでででいい?」
たか子「はぁ・・・はぁ・・・ありがとう。。ありがとう・・・んっ・・・」

シャワーを浴び、ホテルのタクシー乗り場まで送る。
たか子「また連絡していい?」
僕「ああ。まだまだこっちにいる予定だし、いろいろ教えてよ。」
たか子「・・・ありがとう。」

たか子との関係は、もう少しだけ、続いた。

僕「申し訳ありませんが、とても心外です。もし訴えるんでしたら、私も訴え返します。」
男「そこまで言ってない。ちゃんと説明しろと言ってる。」
僕「どう考えても、私を責める気で呼び出してますよね?最初から決めてかかる方と、まともな話はできませんが。」
たか子「・・・」


その日が来た。
たか子の行動を怪しんだ旦那さんが、彼女の携帯をチェック。頻繁に連絡を取っている僕に直接連絡を入れ、呼びつけたのだ。

たか子「ごめんなさい。主人が信じてくれなくて。」
旦那「お前は黙ってろ。」
僕「それで、何が聞きたいんですか?僕はなんでも答えますよ。」

彼女は、黙ってくれという顔をしていた。
大丈夫。メールの文面にはお互い気を使ってる。クロの証拠もないはずだ。

旦那「たか子からお前の素性は聞いてるが、改めて聞こう。お前は誰だ。こいつが嘘ついてるかもしれん。正直に答えろ。」

僕はイライラした。
お前は、彼女の辛さをわかってるのか。
そして同情もした。
異国の地で働く男の大変さを、彼女は知らない。

僕「あなたが怒る気持ちもわかるつもりですよ。とりあえず、落ち着きませんか。これ、私の名刺です。よろしければ、お名刺頂戴できますか。」
旦那「・・・そうだな。わかった。」

かいつまんで、大学時代のサークルの紹介と、自分がこの国に来た理由を話す。
旦那「たか子から聞いた話と同だ。そこまでは信用してやう。」

僕「ありがとうございます。どうしますか?私から今回の経緯を話しますか?あなたからの質問に返す形でもいいですよ。それから、」
旦那「それから?」
僕「私もあなたも時間を割いて話をしてます。私もせっかくの休みの日を潰して、あなたの誤解を解くためだけにお金を使ってここに来て、特に面識もないあなたのために、したくもない話をしている。せめて上から目線の話し方をやめろ。」
旦那「・・・そうですね。頭を冷やします。思っていたような人とは違いますし、上からの言い方は悪かったです。」
僕「私も、敵意丸出しですみませんでした。喧嘩をしたくて来たわけではないんです。」

旦那「たか子、もういい。向こう行っててくれ。藤原君?と2人で話をしたい。」
僕「私もその方がいいと思います。」

彼女は少し不安そうに、部屋を出た。


僕「単刀直入に言います。彼女と体の関係はありません。その証拠はありません。」
旦那「まあ、ないという証拠は出せませんよね・・」
僕「それと、言いにくいですが、彼女は欲求不満です。僕に求めてるんだろうなとは思います。」
旦那「・・・正直ですね・・そんな気はしました。」
僕「・・・僕は心細く、旧知の人が現地にいるとわかり、つい人妻なのに連絡をし、現地の情報を貰っていました。その点は反省しています。」
旦那「まったくですよ。連絡さえしなければ・・・」

僕「ですので、今日を持って、連絡をすることはないです。最近の彼女は、明らかに、その、性を匂わせていて、私もそこを気にしていましたので、ちょうどいい機会だと考えます。」
旦那「・・・なぜか、俺が負けた気分だよ。」
僕「それは違う。」

旦那「・・・」
僕「あの子、逃げ場が欲しいんだよ。息抜きの場が。今回は僕にその場所を求めたけど、僕がいなければ、他に探すだけだよ?」
旦那「俺はその受け皿じゃないんだな・・」
僕「僕じゃなかったら、あの子、不倫するところだったと思うよ。僕はここに来て半年もいないからあれだけど、現地で日本人が働くって大変なのはよくわかる。」
旦那「うん。毎日が大変だよ。現地の人は日本人と感覚が違う。明日急にいなくなる。やってないことをやったという。やれないことをやれるという。毎日が頭の痛いことだらけだよ。」

僕「あの子だって、同じでしょ。毎日が大変なんだよきっと。男が風俗で気ばらし出来ても、女はそうもいかない。」
旦那「・・・自分が心細いから、たか子を連れてきたけれど、たか子も苦労してるんだろうなとは思う。その罪悪感で、最近はあまり会話もないんだ。」
僕「・・・」
旦那「あなたと楽しそうにメールをやり取りをしてるのを見てしまって、嫉妬したんだ。小さい男だよ。」
僕「嫉妬する気持ちがあるなら、あの子をしっかり見た方がいいよ。僕が言えることじゃないけれど。」


旦那「たか子、悪かった。許してくれ。もとはと言えば、俺がお前をずっと放置してたのが悪いんだ。」
たか子「あなた・・・うん・・ぐすっ・・」
旦那「この際、お前と藤原君が関係を持ってたとしても、もういい。これは俺の罪だ。」
僕「だからしてないってw信じてくださいw」
旦那「そうだなw」

旦那「まあ。その、あれだ。もし、たか子が息抜きで彼とまた会いたいと言うなら、」
たか子「ごめんなさい。もう会いません。寂しかったんだと思う。」
僕「同意見です。さっきも旦那さんに言ったけれど、もう連絡しません。」

旦那「そうか・・・藤原君、いい機会になったと思う。なぜ俺はたか子を連れてきたのか。一緒にいたかっただけなのにな。愛してるよたか子」
僕「うわ他人のいる前で大胆」
たか子「私も愛してる」
僕「あーはいはい。じゃあもういいですね帰ります。たか子さんごめんね迷惑かけちゃって。いろいろ助かったよ。」

僕は、食事を勧められたが、拒否した。もういい。関わらないでおこう。
彼女は打算的な女だ。きっと、またいつか、同じことを誰かとするだろう。
この時はそう思っていた。


今、彼女は旦那さんと良好な関係を築いている。
旦那さんは帰国を希望し、念願かなって帰国。彼女の希望する地方に転勤し、穏やかな毎日を送っている。
もう連絡を取らないと言ったが、帰国してから年賀状が来るようになった。
2年目からは、返信という形でこちらからも年賀状を出している。
幸せそうで何よりだと思う。

現地顧客「(通訳)長かったですね。」
僕「はい。当社の責任ですので当然です。」

現地顧客「(通訳)製品も安定しましたし、検査結果も問題ありません。これでOKです。」
僕「では、帰国してもいいですか。」

現地顧客「(通訳)はい。書類を用意します。飛行機と宿泊先の手配はどうなってますか」
僕「こちらの客先と打ち合わせて用意しますので大丈夫です。」

思ったより早く、OKの返事が出た。
1年もかかることはなかったが、半年は優に超えていた。

やった。
帰国できる。
帰国できるんだ。

日本顧客「お疲れ様。助かったよ。」
僕「いえ。うちの責任ですから・・」
日本顧客「そうだけれど、対処が早くて助かった。他のお客さんで1年とかあったから、覚悟してたんだ。」

僕「では、航空券の手配だけ一緒にお願いします。」
日本顧客「うん。了解。」

市村「お疲れさん。あと数日の辛抱だな。」
僕「ええ。ようやくのんびりできます。というかのんびりするんで、2週間ほど休みをください。くれないなら辞めます。」
市村「社長に言っとくよ。」
僕「お願いします。あ、領収書たまってますからね!」
市村「わかってるよ!」

懐かしい現地。
近所には顔なじみも増えた。

いつも行った日本料理屋。
暇な時、くだらない話に付き合ってくれたTシャツ屋さん。
個性的なカップラーメンばかり売ってるスーパー
偽物しかない飲料品店。
ここのとり料理屋さん、鳥インフルで店じまいしたな。
このお店は美味しかったな。
コーラは全世界共通だったな。

ここのマッサージ屋さん、高かったけどリラックスできた。
この裏通り、めっちゃ臭い。
この公衆トイレ、有料なのに汚かったな。

あ、よく電話で呼び出したタクシー、帰りに乗ろうかな。
このホテルに泊まるのもあと1日か。
汚れたYシャツ、尋常じゃない白さでクリーニングできたなぁ。

いろんな思い出がある。
できれば、仕事でもう来たくない。

さようなら。

こうして僕は、長いクレーム対応を終えた。
帰国したのは冬。
日本では国民的ドラマが始まって終了していたし、流行語も知らなかった。
曲も聞いたことがなかった。

ゆっくりしよう。

僕はもう30を超えていた。

2週間、休暇を貰った。
さて、何をしよう。

PCを作ることにした。
この時使っていたデスクトップは、前の会社の時代に友人が作ってくれたもの。OSも限界だった。
会社支給のラップトップも使っていたが、やはり勝手が悪い時代のものだった。

市内の電気街に行き、見積もりを貰う。
んー。久々に行く電気街。
この当時、メイドカフェなるものが流行り出していた。

そして、ネットでのゲームが流行し、韓国で死者が出るなど社会問題も発生していた。
電気街で大々的に謳われる「ネットゲーム」。
僕はふいに興味を持ち、PCをネットゲーム(以下ネトゲ)対応にしてもらった。

その頃は韓国や中国・日本でも盛んに新規ネトゲが乱立し、ネトゲ人口も凄かったと思う。
僕はPC一式を買い揃え、堅に電話した。

堅「どした?あ、帰国したんだよな!お疲れさん!」
僕「うん。久々に飲みたいw向こうじゃビールと怪しげなドリンクしか飲んでないw」

僕「というわけで、これからPCの組み立てを手伝ってくれ。」
堅「ええ・・酔った状態で・・?静電気とかちゃんと取らないとだし、動作確認やその後のOSのインストールとかいろいろ」
僕「まあ僕もある程度できるから頑張ろう?ね?」

玲奈には電話で謝っておいた。

僕「というわけで今日は僕のおうちでお泊りにするから。」
玲奈「あら本当?!じゃあ羽伸ばすね!明日も相手しておいてね!もう竜也先輩が海外に拘束されちゃってから、堅君どこにも遊びに行かないから困ってたの!」
僕「だそうです。」
堅「ですよねぇ。」

堅「このファン、青色LEDついてるけど?」
僕「かっこいいでしょ」
堅「ていうかこのタワー、LEDだらけですけど?」
僕「かっこいいでしょ」
堅「キーボードもピカピカ光ってるけど?」
僕「かっこいいでしょ」

凝り性な僕は、たぶん40万くらいかけてPCを新調した。
動作確認。BIOS設定。問題なし。
トラブルもなくPCが完成した。

過負荷試験。
電圧表示(そこまで付けた)。最大700w。うん。
温度は・・・45度。爆音でうるさい。

堅「作ったはいいけど、こんなマシン何に使うの。」
僕「今の所、特に予定はない。」
堅「ゲーム機だよねこれ」
僕「そうだね。シューティングゲームとか3D系のゲームをやってみようかなとは思ってる。」
堅「凝り性だから気をつけろよ。」
僕「ああ。そうだね。とりあえず寝よう。」

僕は2週間、ゲームをして過ごした。

ゲームだけかい

元々、僕はゲームは好きだった。
家庭用ゲーム機を持っていたし、それをサウンドシステムに繋いでオフラインゲームを楽しむ時間もあった。

だから、オンラインゲーム自体には抵抗がなかった。
その圧倒的なグラフィックスと難易度に魅了されてしまった。

中でも、RPG好きな僕は、MMORPGという分野のゲームにはまった。オフラインでもレベルマックスにしないと気が済まない僕だ。
MMORPGの開発者曰く「マゾい仕様じゃないと、ユーザーは離れてしまう。」その通りなのかもしれない。

ちょうど、新規ベータテストのMMORPGがあり、僕はそれに登録し、遊ぶことにした。
タイトルは伏せる。

いろんなゲームに手を出すと、ダメ人間になるだろうと思っていたため、そのゲームだけインストールし、まあベータテストだけでもプレイしてみようという軽い気持ちだった。

ベータテスト終了。特典がもらえる。オープンテストに引き継がれるアイテム。それは正式サービス開始でも使用できるという。
正式サービスはまだ数か月先だ。

その数か月の間は、普通に仕事をし、夜はダラダラ過ごした。
待ちに待った正式サービス開始。そこから始まる世界にあれだけ嵌ってしまうとは、思いもしなかった。

自分が自由にできる場所。
自分が自由に過ごせるバーチャルな世界。
今の僕が求めていた、逃げ込める場所だったのかもしれない。

もちろん、仕事は最低限した。
もともと時間的拘束の少ない会社で、比較的自由に動ける身だったので、仕事に支障は出なかったと思う。
ただ、ネトゲに費やした時間は相当なもので、あれだけの時間があれば超難関国家資格も取れるんじゃないだろうかとは思った。

早朝に起きてネトゲ。出社。帰宅。深夜までネトゲ。こんな毎日。まあ飲みに行ったり旅行に行ったりもしたけれど。

どこまで書こうかと思ったけれど、せっかくなのでバーチャルな世界で起こった出来事と、そこで出会ったバーチャルな人達、そして、リアルに会った人達との交流も書こうと思う。
エロくない内容が殆ど。でも、たまにエロい交流もあったと思う。

ネットの世界に生きる。いや、ネットの世界に逃げる。
とある出来事が起こるまでの数年間、僕はネットの世界に生きていた。

>>279
>>280
とにかく数日はもう何にもやる気が起きなくて、「帰国したら安全な日本でゴロゴロするんだ!」って感じ。
電気だけは事前に再開手続きしたけど、ガス水道も新聞もネットももろもろ手続きしないといけなかったし、あとは電話でいろんな人に連絡したり。
家の埃とかもすごいんだぜ・・・

あと、デリバリーが楽すぎてね・・・

そのネトゲは、PvP(プレイヤー同士の戦闘・プレイヤーを一方的に〇スのも)上等。延々と生産活動するのも良し、というものだった。

サービス開始したてとはいえ、トップのプレイヤー達は凄かった。
開始と同時に発売された課金武器や課金防具を買い、課金の経験値アップアイテムを買い、実装エリアをすぐクリアした。

僕はPCゲー自体初めてだったので、とりあえず生産に励んだ。付加効果のアイテムとか、防具や武器を作っていた。
道具を作る時には、いろいろなアイテムがいる。そのアイテムは、敵を倒したり、木を切ったり、畑を耕したりすると手に入る。
アイテムを加工して、別のアイテムを作る。作ったアイテムを組み合わせて加工して、また別のアイテムにする。
この繰り返しで、ようやく防具や武器ができる。何回も作るとレベルが上がって、成功率上昇やもっといいアイテムが作れるようになる。

また、特に武器はレアアイテムを組み合わせないと作れないものが多く、そのレアアイテムは敵を倒さないと手に入らない。
レアアイテムを落とす敵は、当然人気の狩場になるわけで、その狩場を巡ってプレイヤー同士の争いが起きる。なにせ、順番待ちなどない。
一応、同じ勢力同士は争えず、敵対勢力だと戦える仕様ではあったけれど、皆、複数のアカウントを持っていて、狩場を奪いたいときは敵対勢力のアカウントで襲いに行くから同じだ。

僕も当初はよく襲われたが、慣れてくると、撃退できるようになった。
また、武器ばっかり作っていたら、最大クランに入れてもらえた。それにより、レアアイテムの狩場を守ってもらえたり、代わりに武器作成の代行をしたりするようになった。

クランでは、ネット電話(スカイプ:以下スカ)でやり取りするのが当たり前。いちいちチャットは打たない。
リーダー「お疲れ様ー」
僕「お疲れ。まだ狩りの最中。」
リーダー「成果はどうです?」
僕「今日は2個も拾えましたよ。」
リーダー「凄いですねw」

狩り用キャラでレアアイテムを拾い、会社支給のPCで普通の生産活動をし、武器作成用キャラで武器を作る。習熟度の高いキャラが武器を作ると、数%の確率でボーナス付きの武器が作られる。これは非常に価値が高く、高値で取引される。というか、出回らない。課金武器よりはるかに高性能だからだ。
皆、レベル上げや対戦に熱中していたため、僕のような存在は重宝された。

僕はいつしか、そのネトゲで最も優れた武器職人になっていた。

僕「うい。Wiki更新しといたよ。」
ユミ「お疲れ様ー。また最初にボーナス武器作れたね。凄い。」
僕「他にしてないからねwこうやってWiki追加するのも慣れちゃったよ。データ集め手伝ってくれてありがとう。」
ユミ「どういたしましてー」

ユミは、同じクランに所属する生産担当の子だ。
姉妹でネトゲをしていて、無職だという。20と聞いていた。

ユミ「これから一緒に狩りしませんか?」
僕「ごめんもうすぐ仕事。」
ユミ「あ、そんな時間ですね。またよろしくお願いしますね。」
僕「うん・・・あの、」
ユミ「はい?」
僕「ネトゲは楽しいけどさ・・・バイトだけでもした方がいいよ?うちのクラン、廃人多いけど、それでもみんな仕事だけはしてるからね?」

ユミ「・・・」
僕「みんな、リアルのことは話さないし、それでいいと思うけど、やっぱり気になるよ、僕は。」
ユミ「まあ、そうですけれどね・・・こうやって相手の顔を見なければ、普通に話せるんですけど・・・」
僕「だよねぇ。ま、考えておいてよ。」
ユミ「はーい。」

僕が他のクラメンと少し違ったのは、おせっかいだったということだ。

チャットを打つ。
僕「ただいま」
ユミ「あ、おかえりなさーい。」
僕「僕の部屋で何やってるのw」

ユミは、僕の(ネット上のキャラの)部屋で寛いでいた。
スカを立ち上げる。

ユミ「この前の話ですけど、」
僕「何?美味しいカプチーノの作り方?」
ユミ「いいえ!バイトの話です!」

僕「ああ、見つける気になった?」
ユミ「見つけました!アドバイスを参考に、工場のラインで働いてみます!」
僕「きついよ?」
ユミ「このネトゲのガチャを引くために頑張ります!」
僕「あはは!そんな動機でいいと思うよ!頑張って!」

ユミは、その日から、普通にバイトを頑張っていた。
万歩計をつけていて、毎日15000歩という。

僕「もう結構続いてるよね。どう?」
ユミ「みるみる痩せて、服がないですw」
僕「お金も使えるんだし、いいの買えば?」
ユミ「勇気ないですw」

僕「ん?僕で良ければ選ぶよ?」
ユミ「え?いいんですか?」
僕「うん。」
ユミ「え、あ、じゃあ、えっと、うーんと、どこ集合にします?」
僕「・・・」
ユミ「・・・・」
僕「えっ?」
ユミ「えっ?」

僕はネットで検索して「こんなんいんじゃない?」と言うつもりだったが、
ユミは一緒にお店に行ってくれると思ったらしい。今考えればそりゃそうだろう。

まあ、なんだかんだで、ユミと出かけることになった。

年末年始は日本にいないので、中途半端ですが恐らく1週間ほどスレッドを放置します。
その間、投稿のチェックだけはします。
簡単な質問なら、スマホでちまちま返信しますので適当に残しておいてください。

中途半端ですみません。皆様よいお年を。

>>285
了解
俺も今月初めから海外逃亡の予定だったけど親父が入院したから駄目になった
楽しんで来て下さい
良いお年を

>>285
お疲れ様
良いお年を

>>286
あらら。お父さんもご本人も、ご自愛ください
>>287
お疲れ様(*´Д`*)

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
旅行から帰ってきて、気温差が15度くらいあって寒くてしょうがない。

ぽちぽちアップちていくので、今年もお付き合いお願いします。

以前にも少しだけ記述したことがあるが、ネット上でのつながりで人と会ったことは何回もある。
殆どが、出会い系の掲示板やチャットサービスでだ。

出会い系も今はほとんどサクラだろうが、出始めの頃は業者も少なく、女性もかなりいた。
僕は出会ってすぐに会うことに抵抗があったため、当時は仲良くなった子とだけ会った。

出会い系で、じっくり話して盛り上がって、じゃあ会おうと言って会う子は、殆どが、顔のつくりや体系が標準以下の子だ。
僕はそういう子には顔のつくり・体型の良さを求めていなかったので気にしなかった。

世の中の怠惰な女は、決まってこう言う。
「人は、見た目じゃない。見た目で判断する男は、ただのお子ちゃまだ。」

断言するが、それは間違いだ。

顔のつくりや体型が標準以下でも、輝いている女性はごまんといる。
笑顔が綺麗だったり、自分の体形に合った服を、無理なく着こなしている。自分の仕事を誇りにしている子もいる。
自分に誇りを持って生きている子は、それが何らかの形で見た目に現れる。
綺麗な子も、いい体を持った子も、怠惰な生活をしていればそれは崩れる。維持するために、努力をしている。

服を気にせず、髪も整えず、肌を気にせず、対して仕事もせず、自己啓発もせず、世の男子に「見た目じゃない」などと言っている子は、ただの怠惰な女だ。

話を戻そう。

僕はユミと会うにあたって、量販店・専門店・デパートをいくつかピックアップしておいた。
とりあえずどこかのファミレスに入って、着たい服や興味のある服を聞き出だそう。話しはそれからだな。

とある町の地下街。僕はなじみの集合場所で携帯をいじる。
待ち合わせの時間は少し過ぎている。

ユミにメールを打つ。
「お疲れ様。場所分かりづらかったかな?」
「すみません。すぐ着けると思います。」

僕はすでに察していた。
ユミはもう来ているんだろう。だけど、声をかける勇気がない。

ふと、顔を伏せながら、何度も僕のそばを行き来する女の子が目に留まる。
もう4回は僕の横を通り過ぎている。白いニット帽とマスクが印象的だ。

「ひょっとして、白のニット帽とマスクしてる?近くを通って行ったから、ひょっとしたら気づいてないかなと思って」

遠目に、その子がメールをチェックしているのが見えた。
僕は携帯を眺め、それに気づかないふりをした。

「あ、そうです。どのあたりにいますか?」
「いや白のジャケット来て、黒のハットかぶって、赤い携帯持って柱に立ってるの僕だけでしょ(笑)」
「あ、今気づきました!行きます!」

数分後、また、横を素通りしようとする女の子。
僕「あの、ユミちゃんだよね?」

僕は、その女の子を呼び止める。
視線を合わせない。でも、その女の子は、口元がニヤけている。

ユミ「もー、なんでわかっちゃったんですか?」

やっぱり白いニットにマスクの子がユミだった。
僕とユミは、こうして、ネット上で出会って半年以上経ってから、初めて会った。

ユミは、可愛いというよりかは綺麗な顔立ちだった。ただ、笑顔がぎこちなかった。
初対面の人に会い、緊張しているようだった。
体型も、本人が気にするほど悪くなく、むしろ小柄で華奢な印象を受けた。

僕は、まず緊張を解くことから始めた。

僕「初めましてでいいのかな?竜也ですw」
ユミ「あ、はい。ユミです・・」

僕「立ち話もなんだし、ほらあそこに喫茶店見える?あそこ行こうか。のど乾いたし、何か飲もうよ。」
ユミ「・・・そうですね。お願いします。。」

一番奥の席に座る。
僕はホットコーヒ。ユミはココアを注文した。

僕「会って、印象どうだった?もっと変な人だと思った?」
ユミ「もう、とにかく、どんな人なのかわかんなかったから、ちょっと会うまでは怖かったです。」
僕「だよねぇ。よく会ってくれたね。ありがとうね。」
ユミ「いえ、こちらからお願いしたんだし、怖いとか失礼ですよね・・」

僕「でさ、結局リーダーの武器だけロストしてさw」
ユミ「あははwリーダーってそういう肝心な時だけ失敗するんですよねw」
僕「めっちゃ課金してもらって、恩返しのつもりが仇で返すというw」
ユミ「運ですよ運w私も無課金なのにレア武器貰っちゃったしw」

僕はとりあえずネトゲの話をふった。
いつもスカで話をしてるので、話し始めれば何ということはなかった。

僕「なんだ。ちゃんと喋ってもらえるし、よかった。印象悪くて引かれたのかと思ったよ。」
ユミ「すみません。人見知りなんです・・」
僕「いいよそんなの。個性みたいなもんだ。」
ユミ「竜也さんがいい人で良かったです!」
僕「いい人なのかどうかはわからないけれど、まあそれならよかったよ。これからどうする?服を見る予定だったけれど、ちょっとネットカフェによって、ネトゲしてこうか。」
ユミ「あ、いいですね!配置とか普段どうやってるのか見てみたい!」

ネットカフェのカップルシートで、ネトゲをインストールして立ち上げる。提携先なので、ネットカフェ限定のアイテムが貰えた。
僕「僕はいつもこんな配置。対戦はコントローラー使ってるから無理。生産ならできるけど。」
ユミ「わー。レアいっぱい持ってますね!さすが武器職人。私の倉庫なんて、普通の生産物がぎっしり。八百屋か問屋ですよ。」

僕「でも結構売れるでしょ?そういう人がいないと成り立たないんじゃ?」
ユミ「それはそうですけど、最近はBOT(不正ツール等で不正にキャラを大量に動かして活動するモノ)も多くて大変ですよ。」
僕「ああ。また退治しておかないとなぁ。」

少しだけお互いの中身を紹介し合って終了。
カップルシートで、これから先のことを話し合う。

僕「僕的には、デパートに寄って、服を見て、気に入ればそこで購入。気に入らなければ次って感じでいい?」
ユミ「お任せします!」
僕「頼りすぎ!」
ユミ「お任せします!」
僕「わかったよ!」

まず、デパートの売り場へ。
マネキンを見て、トレンドを確認する。
僕「もうさ、これ一式買えばいいんじゃないかと思うけれどさ・・あれだね。」
ユミ「えと・・・あの・・持ち合わせが・・」
僕「うん。わかってるよ。きっと予算より高いだろうなとは予想してた。僕がここに来たのは、マネキンを見に来たんだ。量販店か専門店に行くから、同じようなもので普段着れそうな値段のものを買おう。」

ユミ「なるほど!わかりました!でも、専門店は敷居が高いです・・」
僕「そう?まあそれもそうだね。じゃあ、量販店行こう。」
ユミ「はい!私、これとかあれとか、あんな組み合わせ可愛いと思いました!」
僕「OK。同じようなものが見つかるといいね。」

僕とユミは量販店に行き、買い物を続けた。
ユミ「竜也さんは買い物しないんですか?」
僕「ああ、買ったばかりだからね。」
ユミ「ちなみに、毎月いくらくらい洋服代で使うんですか?」
僕「季節によるけど、10~15万くらいかな。」

ユミ「買いすぎ!」
僕「いいんだよ。自己投資と言う名の散財だよ。」

ユミ「結構買っちゃいました。」
僕「持つよ。良かったじゃん、いろいろ買えて。」
ユミ「ですねー。ありがとうございました。お礼にご飯奢ります!」
僕「ああ、奢られるの嫌いなんだ。いい休日だったよ。僕が奢るよ。」

ユミ「それじゃあ恩着せがましくなっちゃいます!」
僕「んー、じゃあ、晩御飯の後、時間がまだあったら飲み直すかコーヒーでもどう?そこなら奢ってもらう。」
ユミ「・・・わかりました。納得いかないですけど・・それでいいんでしたら。」
僕「うん?全然いいよ?社会人なめんなよ!」
ユミ「お金のありがたみが分かってるだけです!」

僕たちは服をロッカーに預け、食事に出かけた。

僕は基本的に相手に合わせない。美味しいと評判の焼き鳥屋に行った。

僕は生中。ユミはレモンハイを注文した。

ユミ「ここの砂肝、超美味しい!」
僕「オヤジかよ」
ユミ「オヤジの店をチョイスした竜也さんのせいです!」
僕「でも美味いだろ?僕も好きだよこのお店。皮の美味い店はだいたい美味い。あ、生中おかわり。」
ユミ「ペース早い!」
僕「焼き鳥なんだからしょうがないよ!」

ユミは上機嫌だった。
妹がいて、その子もネトゲしかしていなかったが、最近コンビニでバイトを始めたこと。
そして、僕がきっかけで働き出せて感謝していることも。

ユミ「私、ネトゲ大好きです!でも、最近、仕事も楽しくなってきました。痩せたら、周りの目がどんどん変わって行って・・毎日が楽しいんです!」
僕「そうかそうか。生まれ持った物は代えられないけれど、その笑顔が、少しでも多くの人に見せられるように願ってるよ。」
ユミ「・・・本当に、ありがとうございました。竜也さんのおかげです。」
僕「んなことはないよ。僕が言わなくても、きっと立ち直ってたよ。」

ユミ「・・・そんなことないですよ。このネトゲをやる前も、いくつもネトゲをプレイしてました。みんな、仕事したら負けだとか、世の中腐ってるとか、そう言ってました。わたしもそう思ってましたし。」
僕「世の中、上を見ても下を見ても、上には上がいる。下には下がいる。比較し出したらキリがないよ。ユミは、努力の大切さを知ってる人だよ。大丈夫。ネトゲ好きだって、ちゃんと働けるし、お金の大事さもわかってるし、きちんと社会復帰できるよ。」

飲み過ぎたようだ。
その日のビールは、なんだかいつもより美味しく感じられた。


ユミ「どうしよう。酔っ払っちゃった!」
僕「ちゃんと荷物持って帰ってよ?忘れないでよ?」
ユミ「分かってます!心配なら送って行ってください!」
僕「拒否!ちゃんと帰るように!」
ユミ「はい!・・・あの・・」

僕「ん?」
ユミ「また、スカしていいですよね?」
僕「ああ。もちろん。今日は楽しかったよ。」
ユミ「・・・私も。」

人の少ない、地下街の隅。
ユミは、思い切ったように、僕の手をぎゅっと握った。

ユミ「・・め、迷惑かもですけど・・また。。何かの時に会ってくれたり。。いいですか?」
僕「ん?お互い暇な時ならいいよ?」
ユミ「!あ・・はい・・そうですよね!いいですよね。ありがとうございます。じゃ、じゃあおやすみなさい!」

ユミはそう言うと、ダッシュで帰って行った。

僕「・・・若いねぇ・・」

僕はその足で、夜の街へ行く。
若い子は、何もかもが眩しい。

僕には、眩しすぎる。
この、夜の暗さが、ちょうどいい。

ふと思い出し、優香の店に顔を出した。
数年ぶりだった。

店にはお客さんが大勢いた。
優香はいなかった。

見知った顔があったので、その店員に聞いた。

僕「お久しぶり、ママは今日お休みなの?」
店員「え?いえ。ママさんはもうこのお店をやってないですよ。もともとオーナーは違う方で、ママさんはもうこのお店のオーナーとは別になって、別のお店を一人でやると聞きましたが、詳細はちょっと・・・」

よくあることだ。
この数年で、知っている店も随分と減った。
世の中はどんどん変わる。

自分だけが取り残されているようで、孤独を感じる。
その孤独に押しつぶされそうになるのを嫌い、また別の店で飲む。

そうやって、毎日が過ぎていく。

店員「お客様、そろそろ閉店ですが、宜しいですか?」
僕「ん?ああ。もうそんな時間か。また来るよ。おやすみ。」
店員「ありがとうございます。タクシー呼びましょうか?」
僕「そうだね。じゃあ、〇〇呼んで。チケット使えるから。」
店員「了解いたしました。少々お待ちください。」

ああ、憂鬱だ。
こんな毎日が、楽しいものか。

リーダー「よし!じゃあ忘年会決定!場所は竜也さんに任せます!」
僕「OK。駅前のカラオケでいい?男だけだし弾けようぜ!」
ユミ「ええ!女性参加できないんですか?!」

リーダー「すまんな。男だけだ。あれなら新年会でもやろうか。男女OKで!」
ユミ「わかりました!日程調整したいので、詳細が決まったら教えてくださいね!」

年末になり、カラオケでネトゲ仲間のみの忘年オフ会が開かれた。
100人単位のクランだったが、さすがに来られるのは10人くらいだった。
基本、みな社会人。現場解体から経営者までいた。楽しかった。

リーダー「っしゃああああああ!今日は飲むぞ!!!」
おもむろに、カラオケルームで全裸になるリーダー。
それと同時に脱ぎだす全員。アホである。
僕は脱がず、とりあえず全員分注文し、そのアルコールをカラオケルームの外で受け取るという役に徹した。

リーダー「すみませんね。こんな役やらせちゃって。」
僕「え?いいですよ楽しいしwこりゃ確かに女性禁止ですよねw」
リーダー「ええ。僕達、こういう場所でもないと弾けられないですから。」

真っ裸のアラフォーと、普通の格好のアラサーが、ビールを飲みながら会話をする奇妙な光景。
みな、現実逃避がしたいのかな。そういう意味では、同志なのだろう。

ひとしきり騒いで、二次会へ、そそくさと服を着る一行は、礼儀正しいのかそうでないのか不明だ。
二次会へ。適当に居酒屋にした。
さすがに服を脱がない。皆、一応良識があるようだった。

①「そういえば、竜也さんってユミちゃんと会ったんですよね?」
僕「うん。可愛い子だったよ。ちょっとコミュ障だけど。」
②「まじっすか。いいなぁ竜也さんモテそうですものねぇ。」

僕「あはは・・ネトゲにリアルは関係ないでしょ。対人強かったり課金してやる男の方がモテるんじゃないの。知らんけれど。」
リーダー「どうなんでしょうね。まあネトゲに出会いを求めてるわけじゃないですけれど、やっぱり可愛いなら見てみたいですよね。」
僕「新年会やれば、拝めるんじゃない?」
③「やりましょうよ新年会!他の女子も誘いましょう!」
僕「ほぼ主婦ですが?w」
①「人妻・・・ああ・・いい響き・・・」
④「だめだこいつ・・」

僕「じゃあ、声掛けして、女性が3人以上集まったら新年会ということで。」
リーダー「OK。会場は任せます。」
僕「はい。集まりやすい駅前で、昼間ですね。きっとカラオケw」
④「異議ないですよ!じゃあまた新年に!」

皆、いい人たちだった。
ネットでの繋がりが、リアルでも繋がった。

この繋がりは、僕がそのネトゲをやめるまで続いた。

新年になり、久々に堅・京介・玲奈・絵里奈と会った。

玲奈と絵里奈は、それぞれ身籠っていた。予定日は、そろって5月だそうだ。

玲奈「堅君はなんでもやってくれるから助かる。」
絵里奈「いいなぁ。私の旦那、暇さえあればパチばっかり、親の自覚あるのかしら。」
堅「上司に言われてるからな。『妊娠中にしでかしたことを、奥さんは一生恨むらしい』ってね」
僕「何それ怖い。」

玲奈「竜也先輩はどうなの?彼女は?」
僕「んー、そういうのはいいかな。子供は欲しいけれど・・・んー、誰かと結婚とか、無理な気がする。」
絵里奈「先輩は結婚しなくてもいいよ。いつまでもそのままでいてよ。」
僕「なんだそれは。」

京介「子供が生まれると、あっという間だよ。毎日、子育てと仕事。たまの休みだって子供の世話。そんな繰り返しだよ。お前は耐えられるのか?」
僕「無理w」
京介「ですよねぇw」

皆、家族を持ち、毎日を必死に生きてる。
僕はどうかな?
僕は、自由に行きたい。拘束されたくない。
仕事にも、他人にも、家族にも。

帰り道、絵里奈と一緒だった。

絵里奈「最近、歩くのしんどい。」
僕「妊婦さんも大変だ。どっかで一休みしようか。」
絵里奈「ありがとう。」

僕「つわりとかは?」
絵里奈「もう平気。アルコールだけは控えてる。何食べてもなんともないよ。」
僕「そっか。妊婦って意外と頑丈なんだなぁ」
絵里奈「妊婦になって気づくことも多いよ。妊婦は、社会に守られてるよ。本当に。」
僕「・・・絵里奈も母親かぁ。」

狂おしいほど欲しかった絵里奈。
でも、時が経って、そんな感情も薄れてしまった。
時の流れというのは、良くも悪くもすべてを洗い流してくれるものだ。

絵里奈を見て、昔とは違う感情が浮かぶ。
ああ、この子を見守りたい。
無事、出産してほしい。

絵里奈「旦那、出歩いてばっかり。嫌になっちゃう。」
僕「親の自覚、か。男なんて、子供が生まれないと父性が出ないっていうしなぁ。でも母親側からすると不満だよなぁ。」
絵里奈「うん・・・だから・・・」
僕「だから?」
絵里奈「何かあったり、不安な時は・・・頼っていい?」

僕「・・・」
絵里奈「・・・」

僕「・・・いいよ。なにしろ僕は、絵里奈にとっての」

絵里奈・僕「「お兄ちゃんだから。」」


帰り道、僕と絵里奈は、久しぶりのキスをした。

今週は体調悪いので少しだけ

ネトゲのクランの新年オフ会は予定通り行われた。

女性は、ユミ、主婦2人、学生さん1人の4人だった。
なかなかどうして、4人とも悪くない恰好・顔だちだった。

主婦2人はいかにも欲求不満ですというオーラを醸し出していた。
なので、若干引き気味のユミと学生さんを差し置いて、男どもにグイグイ来ていた。

対して、男どもは僕を入れて8人。前回のメンツとあまり変わらなかった。
リーダーと数人は社交的だったが、4人ほどは女性と話すそぶりも見せず、自分たちの世界に入っていた。

カラオケルーム内は、酔っぱらった主婦2人と、それを持ち上げる3人の男。それを遠巻きに興奮しながら見る4人の男。
醒めた目で見る3人の男女という構図となった。

ユミ「なんか・・雰囲気怖いですね・・」
僕「う、うん。あの人達のストレス発散の場だからねぇ。」
学生さん(以下エリカ)「私、ちょっと苦手かもです・・」

僕「あー、じゃあ折角来たんだし、3人で抜ける?すぐ正面がファミレスなんだ。あっちで軽く何か食べよう。もし呼ばれてもこっちに帰ってこれるし。」
ユミ「抜けて大丈夫ですか?」
僕「別にいいだろ。主婦の色ボケなんぞに興味はない。」
ユミ「呼ばれたら、戻るんですよね?」
僕「そう言ってファミレス行くけど、戻らないよたぶんw」
ユミ「ひどいw」
エリカ「いえいえ、あの人達の方がひどいですよあの光景w」

人妻。
僕は、その醜態に、そしてそれを受け入れている輩に嫌悪感を抱いた。

僕「リーダー、ユミとエリカ連れて、あそこのファミレス行ってきます。あの子達にはそこの欲情女の刺激が強すぎる。ほかの男も、その方が思いっきり楽しめるでしょう。」
リーダー「んー?そうか?まあそうかもなw竜也さんは楽しまないの?w」

うるさい。
お前に何が分かる。
集団で、匿名で、秘密裏にしか弾けられないヤツに。

僕「・・・ああ。僕はそういうのは別に求めますので。楽しんでってください。何かあったら呼んでくださいね。」

僕はユミとエリカを連れて、ファミレスへと向かった。

エリカ「あの・・」
ユミ「どうしたの?エリカちゃん。」
エリカ「私、この都市に来たの初めてなんです。観光したいんですけれど、オススメの場所ってありますか?」

僕「ん?ああ、じゃあ、これからファミレスをやめて、3人で観光しようか。僕の地元だし、案内するよ。郷土料理もいろいろあるし、せっかく来たのにイヤな気持ちで帰ってほしくない。」

ユミ「いいんですか?エリカちゃんどうする?」
エリカ「ご迷惑じゃなければ、お願いします!」

僕「OK。じゃあ、車出すよ。」
ユミ「え?車ですか?電車バスでいいですよ!」
僕「学生さんいるからね。それに運転ならお酒飲めないし。安全だろ。」
ユミ「なんだかすみません・・」
僕「いいんだよ。ユミにもエリカにも、いつもお世話になってるしね。」
エリカ「どっちかというと私がお世話になってますけど・・・」

こうして、3人で市内観光をすることになった。

ユミ「竜也さん・・・凄いのに乗ってますね・・・左ハンドルじゃないですか!」
エリカ「真っ赤だし!」
僕「こういうのは見た目からなの!男のロマンなの!」

僕は直列6気筒のエンジンから出される心地よい振動を楽しみながら、ユミとエリカを市内案内した。
高速に乗り、観光スポットの真横で降りる。

エリカ「あ、ここ有名なところですよね。」
僕「ああ。そうだね。地元民は来ないけど。だから、こういう機会でもないと入らない。行こうか。」
エリカ「はい!」

エリカとユミは、はしゃぎながら写メを撮っていた。そうやってみれば、どこにでもいる普通の女の子だ。
僕はそれを遠巻きに見ながら、近くのお店で名物を人数分用意してやる。

僕「ほれ。折角だから名物でもかじりながら行こう。」
ユミ「もぐもぐ。お、意外と美味しい。これ完全にただの観光ですね。」
エリカ「たしかオフ会だった気がしますけど、ネトゲの話してないです。」
僕「あー気にしない気にしない。ネトゲは家帰ってからやってればいいだろ。君達はそうやってはしゃいでた方が可愛いよ。」

エリカの顔が真っ赤になる。
ユミ「エリカちゃん、照れてカワイイww」
エリカ「もう、からかわないでください!」
僕「おうおう。可愛い可愛い。エリカちゃんは可愛いよ!」

ユミ「竜也さん!私は?私は?」
僕「可愛くない!」
ユミ「ひどい!」
僕「可愛いじゃなくて、美人だよユミは!」
ユミ「えっ・・・ちょっと。え、あの・・・」

エリカ「あー!照れてる照れてる!可愛いww」
ユミ「え、あはは・・・もう!早く行きましょ!」

なんだか、懐かしい。
昔はこうやって、付き合ってくれた彼女達をからかいながら、街の中を歩いたものだった。


栞里「えっと・・えへへ・・・ありがと。。」

優子「当たり前でしょ!私は可愛いんだから!」

祐希「なっ!そんなこと、ない!」

絵里奈「先輩も、カッコイイよ。」

涼子「・・・冗談でも、嬉しいです。」

菜々子さん「竜也さん、私の方が年上なんですけど!」

結衣「ありがとう。でも、そんなこと言って、恥ずかしくないの?」

めぐみ「・・・・くすっ。竜也君は、あったかいね。」

朋美「そうやって甘えさせてくれる、あなたが好き」

あの子達なら、こう言うのかな・・・

今頃、何してるのかな。


ユミ「竜也さん?どうしました?」

竜也「ああ。何でもないよ。よし、次はあの観光地行こう。まだ十分に間に合うから!」

エリカ「え?今からですか!行きたい!」
ユミ「よし!行こう!今日ははしゃごう!」

こうして、常識の範囲内で十分遊んだ僕らは、解散した。


帰宅後、僕達3人は、今在籍している最大クランを、抜けた。

最大クランを抜けた僕ら3人は、別のクランに誘われた。
そこは、生産に特化したクランで、規模も最大級だった。なので、クラン規模の大きさによる恩恵も最大で、特に前クランと差はなかった。

また、別アカウントのキャラは、対人特化のクランに誘われた。
僕はそれから、対人と生産に明け暮れた。

対人クランは、トーナメント戦で常に優勝・準優勝のメンバーで構成されていて、対人のスキルは格段に上昇した。
僕の参加するグループも、毎週行われる団体戦で、上位3チームに入る強さになった。また、毎月行われる個人戦でも、ベスト10になら入れるようになった。

生産キャラは、年に1回行われるレア武器生産イベントで、TOPになった。
これにより、そのネトゲで自分しか持てない称号とアイテムももらった。

ふと我に返った。

ネトゲで、狩りをしに行くと、敵対勢力に出会っても、挨拶され、相手が場所を譲ってくれる。
「あ、こんにちは!ちょうど帰るところなので、よかったらどうぞ!」

狩りに行く際、PTを募集すると、すぐに集まる。
「竜也さんとPT組めるんですね!緊張します!」
「あ、その武器!初めて見ました!」
「やっぱり、火力全然違いますね!」

生産キャラを立ち上げると、様々な人からメールが入っている。
「武器の代行をお願いできませんか?作成前の報酬で〇〇(超レア)、成功の場合は成功報酬で〇〇(超レア)です。」
「今度イベントで〇〇するんですが、賞品で□□出せませんか?報酬は△△(莫大なネトゲ用通貨)です。」


違う。
そういうことがしたかったんじゃない。
僕は、自由に、きままに、好きな狩りをして、好きな武器を作って、この世界観を楽しみたいだけなんだ。


僕「あー。なんかネトゲ疲れる・・・」
ユミ「有名になりすぎましたねw私なんて気ままですよ。」
エリカ「ネトゲなんて、ただの遊びなんだし、好きなことだけすればいいんじゃないですか?」

そうだ。その通り。

僕は、その頃、考えていたことがあった。
そのネトゲも人気に陰りが出てきていた。強い人はどんどん強くなる。弱い子は弱いまま引退する。参加人数が減ってきているなと感じていた。

僕「あのさ・・・実は、ゲーム実況を考えてるんだけど。」

僕は、このネトゲを知ってもらおうと、とある動画サイトでゲーム実況をしてみようと思っていた。
今まで、攻略の実況などはアップされていたが、初心者用の動画はなかった。
なので、キャラ作成から無課金での楽しみ方・おすすめの方法などをまとめたものを作りたかったのだ。

ゲーム実況している子の知り合いはいたので、ノウハウはその子から教えてもらった。
かくして、僕のゲーム実況者としての生活が始まった。

ゲーム実況と言っても、新規のアカウントを取得して、キャラ作成をして、チュートリアルをして、その後の基本的な動作方法やゲームの楽しみ方などを簡単に説明したものだ。顔なんて出すわけもなく、ゲーム画面と解説の地声が入るだけ。

30分の動画を20本くらい作成して、毎日アップした。

反響はそれなりにあった。
もうプレイしている人も、基本的なテクニックを知らない人が多く、重宝された。
また、その動画を見てプレイし始めましたという人もいて、そのキャラでINしていると声をかけられたり、動画のファンからそのキャラにプレゼントが提供されたりもした。

反響が大きかったので、その後も動画をアップし続けた。
週末はそのキャラでプレイして動画作成。平日は小分けして動画アップ。その後メインキャラでINして対人で遊んで生産キャラで生産。そんな毎日だった。

「動画観てますよー。生産で暇な時は、それ観ながらしてます!」
「今まで苦労してたあのクエスト、楽にこなせるようになりました!」
「こんな楽しみ方もあったんですねー」
「動画で言ってた通りですね。ゲームだけに逃げず、僕もニートをやめようと思います!バイトからですが頑張ります!」

自分の考えが理解された気がして、嬉しかった。

そんな毎日が過ぎた頃、あるイベントに声をかけられた。

ユミ「竜也さん、今度、そちらの都市で版権物の販売イベントがあるんですが、エリカちゃんと3人で行きませんか?」
僕「ん?ああ、あのイベントか。んー、ちょっと不安だなぁ。」
ユミ「私たちもです。。なので、一緒に来てもらえないですか?竜也さんがいれば安心していけます。」
僕「なるほどねぇ。どうしようかなぁ。」
ユミ「その場でしかゲットできないアイテムの暗証キーも貰えますよ!」
僕「よし行こうw」

僕は、ユミとエリカと3人で、販売イベントに行くことになった。

イベントの会場に行くと、そのゲームのキャラに扮した子がいたり、漫画があったり、見知った顔があったり、知っているキャラ名の子がいたりして楽しかった。
僕より有名な人も何人かいて、相手も僕のことを知っていたりして、盛り上がった。

僕「あー、あの時、一緒にPT組みましたよね。強かったなぁ」
相手「竜也さんも、キャラメイク笑いましたよ。ネタの武器をよくもまああそこまで強化してボスに挑みましたよねw」
僕「ガチでやっても面白くないしねw」

相手「あれですよね?よくイベント開催してる方ですよね?」
僕「ああ、暇な時にやってるねぇ。楽しいでしょ」
相手「楽しいです。ユーザー主催のイベントがあると、なんか横の繋がりがある気がします。」
僕「確かに。せっかく楽しんでるゲームだし、皆と仲良くなりたいよねぇ。」


相手「あ、紹介したい人がいるんですけどいいですか?」
僕「ええ。いいですけれどどなたです?」
相手「竜也さんのファンですよ。実況もやってますよね?今日ここに来るって言う噂を耳にして、ぜひ会いたいって!」
僕「ええ・・リアルとバーチャルを区別付けないと・・・」

実際、僕の動画のファンという子は何人か来ていた。

ファン1「私のこと覚えてますか?以前、〇〇でPT組んだんですよ!」
僕「ああ、あの時の!(いや知らんし)、お久しぶりですね(誰だよ・・・)」
ファン2「今日、これから予定あるんですか?なかったらカラオケでも行きませんか?」
ファン3「いいですね!みんなで行きましょうよ!」
僕「あっと、今日は、友達と一緒に来てて・・・」

ユミ「あ、行きましょうよ!エリカもいいよね?」
エリカ「行きたい行きたい!」
僕「」

男子3人、女子8人。大所帯でカラオケに行くことになってしまった。

カラオケは、主にアニメソングが中心だった。
僕はよくわからなかったので、自分の知っているアーティストの曲を普通に歌った。
ユミも同じように、普通の曲を歌っていた。

皆、こういうイベントには参加するらしく、なんでも、こういうイベントの後はカラオケというのが定番らしい。
カラオケで、歌っている人以外にはスケッチブックが回り、そのスケッチブックに好きなキャラを描いて隣の人に回す。
最終的に出来上がったイラストを誰かが持ち帰ってスキャンして皆に配るらしい。

年齢も性別も関係なく和気あいあいと楽しむ姿は、少しだけほっこりした。

ファン1「竜也さんの声、やっぱり素敵ですね//実際もかっこよくて好きになっちゃいました!」
僕「あはは・・・(キモい子は声もキモいな・・)またネトゲであったらよろしくね。」

エリカ「竜也さん、そろそろ帰りましょうか。結構盛り上がっちゃいましたね。」
ユミ「本当だ。あまり時間ないですね。」
渡りに船とはまさにこのこと。

僕「本当だ。あ、カラオケ代は僕が持つので、今日はお開きでお願いします。また遊んでくださいね!」

僕は現地解散をした。
元の会場付近に駐車しておいた車に戻ろうとする。

僕「あ、2人はどうする?ご飯食べるなら連れてくよ。会場付近に車停めてるし。」
ユミ「お願いしますー。エリカちゃんは?」
エリカ「ご一緒しますー。」

3人で、地元の郷土料理のお店へ向かった。

僕「じゃああれとこれと・・・あと何が要るかな?」
ユミ「生1つ!」
僕「おい。まあいいけど。」
エリカ「生2つで!」
僕「ちょ。」

僕「あー、じゃあ生3つで。今日は代行で帰る。せっかくだから飲もう」
一同「おー!」

エリカ「最初は、ネットで知り合った人と会うのって怖かったんです。」
僕「まあ、そうだよね。女性だし、余計に警戒心が強くないとね。」
ユミ「そうですよね。でも、会わなかったらエリカちゃんともここまで仲良くならなかったし、結果的には良かったな。」
エリカ「ユミちゃんとは、家も近くてたまに遊ぶんですよ。年齢も同じなんです。」
僕「お、いいね。学生さんと社会人の違いはあるけど、同い年かぁ。若いっていいねw」

ワイワイと話を続ける。
ユミ「今日は、帰るの止めて飲みます!宿はこれから適当に探します!」
エリカ「私も!竜也さんも付き合ってくださいね!」
僕「保護者として、酔っ払いを置いたままは帰れないからな。いいよ。最後まで付き合う!」

楽しく過ごした。
そして、忘れていた。
夜遅く、女の子2人が止まれるようなホテルなんて、この都市のこの駅周辺で確保できるわけがないことを。


ユミ「どうしよう。。。宿確保できないんですけど・・」
エリカ「漫喫ですかね・・・」
僕「さすがにそれはなぁ・・」

しょうがないな。でも・・

僕「ああ、まあ、うちになら泊めてもいいけど・・やっぱそれだといろいろ」
ユミ「ええ!いいんですか!ならそうします!」
僕「いいや?え?まずいだろ、いろいろあると」
エリカ「やった!帰りにコンビニ寄ってくださいね!」
僕「え?え?いいの?仮にも男の家だよ?」

酔っぱらった女子2人のパワーを見た気がした。

代行でとりあえずうちまで帰る。
車を置いて、近所のコンビニで買い物。

僕「あ、タオルとかは僕の家のやつ使えばいいから。歯ブラシくらいは買っておくれ」
エリカ「はい。あ、おつまみはありますか?」
僕「んー、スナックとかなら。余りもので良ければ適当に作るよ。ビールとワインなら売るほどある。」
ユミ「じゃあ、あまり買うものないですね。早く行きましょ!ネトゲやりましょ!飲みましょ!」

僕「廃人かよ・・いい?ちゃんとシャワーを浴びて、歯磨きくらいはちゃんとしてね!」
エリカ「分かってます!飲み直しましょう!」

本当にわかってるのかな・・・

ユミ「わ!綺麗な所に住んでますね!外観からは想像できない作りですねここ!」
僕「ん?まあね。リノベーションしてある物件だから。」
エリカ「PC輝いてる!」
僕「あはは・・LED付け過ぎた。何飲む?スポーツドリンクとかでも」
エリカ「ビールで!」
僕「」

2人は僕の部屋に入るなり、ソファで寛いでテレビを観だした。最近の若い子は・・・
僕「ほれビール。ユミは?」
ユミ「あまり飲んだことないので、ワインがいいです!」
僕「赤?白?ロゼ?スパークリング?甘いの?苦いの?辛いの?スッキリしたの?」
ユミ「飲みやすくてすっきりしたのがいいです。」
僕「OK。じゃあ僕お勧めのロゼスパークリングで。おつまみも適当に作ってあげる」

エリカ「あ!いいな!じゃあ私も!」
僕「エリカにはビールやったろ。ほれポテチ!」
エリカ「あー!ユミちゃんの方が綺麗だからって、エコひいきだ!」
僕「うるさいwひいきして欲しかったら、それなりの見返りを要求する!」

エリカ「あ!セクハラだ!セクハラ!こんなイタイケな女子に、イヤラシイことを要求するなんて。。うう・・」
僕「で、この茶番はいつまで続くの?」
エリカ「あ、すみません・・ビールいただきます・・」

僕はキッチンに向かい、フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて温め、温めている間に冷蔵庫にあったイカ・アンチョビ・玉ねぎをみじん切りにする。
それをフライパンに入れて軽く炒める。最後にパセリを刻んで混ぜる。ペーストの完成。
次に、バケットをスライスして軽くトースターにかける。かけている間に、トマトを賽の目状にカット。オリーブオイル・ハーブソルトで和える。
焼きあがったトーストに軽くにんにくをこすり付け、スライスした半分にアンチョビペーストを、残りの半分にトマトを乗せる。出来上がりだ。

ユミ「おいしそう!手早い!」
僕「ん?キッチンまで来たのか。こんなのでごめんね。」
ユミ「とんでもない!食べていいですか?」
僕「あ、じゃあ待って。スパークリング開けるから。」

エリカをリビングに放置し、キッチンで飲みながら食べた。
僕「乾杯・・・・んー、やっぱり美味しい。」
ユミ「パンがサクサクで、トマトがジューシーで美味しい・・・もう一つも、大人な味付けでお酒によく合いますね・・美味しい・・・」

僕「こうやって、誰かに振る舞うのも久しぶりだな。嬉しいよ。」
ユミ「竜也さんて、変わった人ですね。・・・大人の魅力がいっぱいです。。」
僕「ネトゲやってますがw」
ユミ「そのギャップがまた・・・素敵というか・・」

ユミが横に来た。その体が、さらに近づいてくる。
僕はその肩をそっと引き寄せ、頬を寄せ、優しくキスをした。

ユミの息遣いが荒くなり、激しく舌を求めてくる。
若いなぁ。そんなことを思いながら。
僕は、その頭を抱えるようにして、少し長い時間、ユミとキスを続けた。

僕「さ、リビングに戻ろう。」
ユミ「・・・はい!」

エリカ「遅いんですけど・・・」
僕「リビングで寛いでる人が言うセリフですかね・・・ほれ、エリカも食べるだろ?」
エリカ「あ、いただきます・・サクサクジューシーで美味しい!」
僕「ほれ、グラス。スパークリングもどうぞ。」
エリカ「すっきりして美味しい・・」

ユミ「あー、くつろげますね・・ネトゲとか、今日はもういいです・・」
エリカ「えーせっかくだからやりましょうよ!」
僕「いややらなくてもいいけど。」
ユミ「ちょっと、眠くなる前にシャワーだけでも浴びてきます!」

僕「タオルとTシャツくらいなら貸すよ。洗面台横のボックスに入ってるから適当に使ってね」
ユミ「・・・お借りします。行ってきますね。」
僕「はいー。」
ユミ「のぞかないでくださいね!」
僕「ええ・・この歳になってまで、のぞきなんてしないよ・・・」

エリカ「・・・シャワーに行っちゃいましたね。」
僕「そだね。あのさ、」
エリカ「・・なんですか?」


僕「さっき、僕とユミがキスするの、コッソリ見てたろ?」

エリカ「・・・」

否定はしなかった。
僕は、ユミとキスしている時、ドアが少し開いているのに気づいていた。
その隙間から、ゆらりゆらりと、影が動いていた。エリカは、キッチンに顔を出そうとしたが、僕とユミが長時間キスしているのを見てしまい、隠れてずっと様子をうかがっていたのだ。

僕「別に、キスくらいなら、経験あるでしょ?」
エリカ「・・・まあ、そうですね。一通りは経験してます。」
僕「びっくりした?」
エリカ「・・・」

沈黙は金か。

僕「エリカにもしたら、僕って、最低かな?」
エリカ「え?・・・えっと・・ユミと付き合ってるんじゃないんですか?」
僕「付き合ってないけど・・・あ、さらに最低かな僕。エリカくらいの年だとまだ純粋だものね・・・ごめんごめん」
エリカ「オトナなんですね、竜也さんは。まあ私は平気ですよ。別に。」

挑発してしまった。
若い子は、挑発に弱い子が、けっこういる。

僕「・・・ふうん。若い子はわかんないや。」
横に座ってみる。
ビクっと反応するが、それだけだった。

ぴったりと、肩を寄せてみる。
エリカは固まったまま、特に反応しない。
そのまま左手をエリカの肩に回す。ぐいっと正面へ引き寄せる。

エリカは、目を閉じた。
そのまま、特に感慨もなく、エリカとキスした。

僕は、この時、(風俗以外で)キスする生活から遠のいていた。
きっと、だれでもいいから温もりが欲しかったのだろう。

エリカは小柄だったが、やはり女性の体つきではあった。
ちょっと強めに抱きしめ、キスを繰り返した。
エリカは、なすがままだった。求めには応じてくれた。

そのお尻を触っても、胸元に手をすべり込ませても、抵抗はしなかった。
そのブラを外し、両手で揉みしだきながらキスしても、抵抗しなかった。
その小さな乳首を舌でなめても、抵抗しなかった。

ただ、声も出さなかった。息を殺して、そっと、僕をなでてくれるだけだった。

バタンっと、浴室のドアが開く音がした。
ユミがシャワーを終えて洗面所に出てきたのだろう。
これから体を拭いて、服を着たら戻ってくる。

僕は、ブラを戻し、服をもどした。
そして、ユミが戻る直前まで、エリカの唇を求めた。
エリカは、舌を絡めて、応じてくれた。

その下半身の茂みには少しだけお邪魔した。
あまり濡れている印象はなかった。

ユミ「あー、さっぱりした。あ、シャツ借りてます。トランクスもw」
僕「おいw羞恥心はないのかw」
ユミ「履きやすいですよこれw」

エリカ「あ、じゃあ私も・・シャワー浴びてきます。私もシャツと下も借ります・・」
僕「ええ・・もう・・好きにしてください・・・2人とも、下着洗濯したいならどうぞ・・朝には乾くよ・・・」


刺激的なような、刺激的でないような、不思議な時間は過ぎていく。

ユミ「エリカちゃん、シャワーですね。」
僕「そうだね。」
ユミ「ということは、2人きりですねぇ・・・うふふw」
僕「酔っ払い」

彼女は、タガが外れたのか、僕に覆いかぶさってきた。
僕は、彼女の履いているトランクスをスッとおろす。
ユミ「えっ!ちょっと・・・wやだ・・・w」
僕「返せw」
ユミ「貸してくださいw」
僕「じゃあ、もう少ししたら貸してあげる。」

僕はトランクスを放り投げた。
ユミ「エリカちゃんが出てきたらどうするんですかw」
僕「あー、いいんじゃない出てきても。ネットの繋がりだし、影響ないよ。」
ユミ「ええw」

僕は、Tシャツの上から、その柔らかな胸を鷲掴みにする。
僕「意外とあるね。あれ?あれれ?ここ、固くなってるね?」
そのぽっちりとした左右の固めの突起をそれぞれ指でシャツの上からこする。

ユミ「ちょっと・・・あっ・・・ん・・・ん・・きもちいい・・・」
僕「見せて。」

彼女は、両手でシャツを抑え、抵抗した。
僕は彼女にキスし、舌を絡める。彼女は目を閉じ、気持ちよさそうにしていた。

どさくさに紛れて、シャツを捲り上げる。キスをやめ、耳を口に含む。

ユミ「んっ・・くすぐったい・・・やん・・・あっ・・んん・・気持ちいい・・・」
そのままうなじに唇を移動させ、優しくキスする。シャツを脱がす。
産まれたままの状態になった彼女は、なかなかの体つきだった。

その胸も、Dくらいありそうだった。乳首は少しだけ大き目だった。
遠慮なく揉む。その乳房に、臍に、腰にキスしながら舌を這わす。

ユミ「シャワー浴びたんですけど・・・んっ・・・やんっ・・・」
僕「じゃあやめる」
ユミ「止めないで・・・ください。」
僕「じゃあ、どうして欲しい?言ってみなよ」

ユミ「・・・もっと」
僕「もっと・・・何?」

ユミ「意地悪・・」
僕「ここかな・・・?」

僕は、中指を、彼女のアソコに挿入した。風呂上りからなのか、愛液がでているのか、すんなりと奥まで入る。
ユミ「んんんんっ・・・・ごめんなさい、久しぶりで・・ちょっと・・怖かった・・」
僕「そっか、ゆっくり行こう」

僕は今度、中指と薬指を、ゆっくり挿入した。やっぱり、スムーズに入る。
そのまま、舌をク〇トリスに持っていく。チロチロと、舐める。

正直に言おう。
彼女のアソコは、今までで一番、強烈な匂いだった。

僕は、悟られないよう、まだ残っていたスパークリングを一気に飲み干した。
そして、唇にキスする。

どうしよう・・

僕は、彼女の手を、僕のアレに誘導した。
彼女は、意図を理解し、アレをストロークしてくれた。
大きくなった瞬間、彼女のアソコにあてがった。

ユミ「あの・・」
きっと、ゴムのことを聞いているんだろう。
僕「持ってないよ。あんまり時間ないし。軽くね。」

意味不明な言い訳をする。

彼女が考えるまでもなく、僕は挿入した。

ユミ「んっ・・・あっ・・んっんっんっ・・・」

最初はふにゃっとしていた僕のアレも、彼女の中がトロトロで緩かったので、それほど大きくはならなかったがストロークするには問題ない程度にはなった。
僕は彼女の胸を鷲掴みにして、腰を振った。暖かな感触。久しぶりの行為だったせいか、一方的に絶頂に達した。
中には出すことなく、彼女の胸にかけた。最後はティッシュで拭いた。

何やってるんだろう僕。10も離れてる子に、一方的に果てる。
彼女にシャツとトランクスを履かせ、ディープなキスをしてごまかす。

彼女は、身を僕に預け、エリカが浴室から出てくるまでずっとキスしていた。

出したいだけの時があるよな

エリカが着替えて出てくるや否や、僕はシャワーを浴びた。
あの匂いを取りたかった。

関係を持ってしまったという達成感と、何とも言えない虚無感。
ああ、またやってしまった。
自分の欲のためだけに、ネットの繋がりにまで手を出してしまった。

シャワーを浴びている間、2人は何を話していたのかは知らない。
ただ、僕のことを話はしないだろう。漠然とそう思っていた。
そんな淡い期待は、一瞬ではじけ飛んだ。

エリカ・ユミ「竜也さーん、入りますね!」「失礼しまーす!」

僕「え?ちょっと?は?」
シャワーで髪を洗っている最中、良く見えない状態で、何と2人が入ってきた。

僕「何やってんの?!待って待って!」

ユミ「待ちませんよ!2人で仕返しすることにしました!」
エリカ「逆襲ですw観念してくださいw」

急いでシャワーヘッドをセットし、顔をぬぐう。
目の前には、何も着ていないユミとエリカ。

そんなに広くない浴室に、全裸の男女が3人。異様な光景だった。

男1女2の3Pに憧れる男子も多いだろう。
断言しよう。それはただの幻想だ。

1対1でもろくに女を満足させられないのに、2人の女を同時に相手などできるわけがない。
3人同時に気持ちよくなるなんて、よっぽど男がテクニシャンで絶倫じゃなければ成立しない。
僕はそれを十分に理解していたし、苦い思い出もある。

エリカ「あ!竜也さん!3Pとか思ったんでしょ!変態!違いますからね!」
僕「いや無理だし!もうさっきので体力ないし!・・って・・あ・・・」

エリカ「・・・ふーん、やっぱり、さっきユミと最後までしたんだ・・ユミは言葉を濁してたけど・・」
ユミ「エリカにもちょっかい出したんでしょ?!竜也さんにいいようにやられて悔しいんですー!仕返し仕返し!」

僕「な、何すんのさ・・」

ユミは僕を羽交い絞めにする。エリカの手には、洗面台に隠してあったローション。

エリカ「こんなの持ってたんですねー。うふふ。」
僕「え?ちょっと、どこから見つけてきたの?うそでしょ??」
何の躊躇いもなく、僕の体にドバドバと振りかける。ご褒美なのか拷問なのか。

もう一方の手には、洗面台に置いてあったバブルバス。
浴槽に蓋をして、それをドボドボと流し込んで、お湯をザバーっと出した。

エリカ「一度、泡風呂に入ってみたかったんですよねー」
僕「それはいいけど、ローションは関係ないだろ!」
エリカ「うわー、竜也さんヌルヌルwくすぐっちゃおうw」

ユミとエリカは、僕のヌルヌルの体をくすぐり始めた。
僕「ギャーやめてやめてwあっ・・・そこ気持ちいい・・ってちょっと、そんなとこさわっちゃ駄目だって・・・」
ユミ「さっき、私、舐められましたけど?女の子2人にアソコをヌルヌルされて、どんな気持ちですか?ん?でももうヤラせませんからね!」
エリカ「わー、変態!アソコ2人に撫でまわされて、気持ちよさそうにしてるww」

僕「いや、そりゃ気持ちいいけど!ちょっと静かに・・」
エリカ「抵抗するならもっと大声出しますよ!警察きたらどう思うんでしょうね!」
僕「わかった!わかったから落ち着いてああん・・・そこおしり・・指で撫でないで・・・変な声出る・・・」

ユミがその声を塞ごうと、僕にキスをする。無理な体勢になったのか、足を滑らせる。
ユミ「きゃっ!痛ったい・・・!」

僕「だ、大丈夫?!いったん落ち着こう。あのね、ローションこんなに塗りたくったら。滑って危ないから。ちょっと洗い流そう。」
エリカ「はい・・・竜也さん、流しますけど、仕返しは続行ですよ?」
僕「お、おう。2人して恥ずかしくないのかねぇ・・・」
エリカ「どっちかっていうと、見られてる恥ずかしさより、そのギンギンなアソコのを見せつけられてる方が恥ずかしいですよw」

ジャアアアアア・・・・

洗い流している間も、2人の仕返し?は続く。
2人して、両側の耳をかじる。
僕「ちょ・・あっやめ・・・んっ・・」

ユミ「情けない声www」
エリカ「アソコビクビクしてるwwウケルwww」
僕「いやああああ見ないでええええ」

そうこうしてると、浴槽に泡風呂ができあがってきていた。
エリカ「お、いい感じ。さ、竜也さんは外で。私たち2人は中に入るので、私たちをそのスポンジで洗ってください。」
僕「ええ・・・なんでそんなこと」
ユミ「あー。泡泡できもちいい~、竜也さんできないんですか?さっき私にあんなことしておいて」
僕「あーあーわかりました分かりました!やればいいんでしょやれば!はい二人とも!腕出して!」

僕はしょうがなく二人の腕をゴシゴシする。
こうなったらヤケだ。やりかえしてやる。

僕「あの、寒いので、交代で入らない?3人は流石に入れないから・・」

どさくさに紛れていい思いさせてもらおう。

エリカ「・・まあそうですね。じゃあ、私が先に出ます。って、ジロジロみないでください・・・」
僕「いいじゃん・・・今更隠すなって。」
ユミ「達也さん、入るなら入ってください!」
僕「はーい。じゃあ、全身くまなくゴシゴシさせていただきます!」

ユミ「うわぁ変態・・・んっ・・ちょっと・・揉まないで・・・」


僕のささやかな抵抗が始まった。

>>312
そういうときは風俗に行ってたなぁ。で、やっぱりイけずに、その記憶を持ち帰って自己処理してた。

今日はここまでおやすみ。

ここから書き込めるかな

浴槽から出たエリカは、急に恥ずかしくなったのか、浴室の明かりを消した。

僕「暗い!よく見えない!」
ユミ「んっ・・・くすぐったい・・・」

スベスベのおなか周りを撫で回す。薄暗い、しかも泡風呂の中までは見えない。見えない興奮。
僕「お客さん!気持ちいいですか!」
ユミ「ちょっと!そこまでやっちゃだめ・・・んっ・・やだ・・はぁ・・やんっ・・」

僕は、左手でユミの柔らかで弾力のある胸を。右手で華奢な首筋をなぞった。
エリカ「はいーアウト!それじゃ仕返しにならないでしょ!」

エリカのシルエットが近づき、僕の手を剥がす。
僕はそのエリカの腕を捕まえ、引き寄せてその指を舐めた。

エリカ「やっ・・ちょっと…くすぐったい・・・」
僕「じゃあユミとエリカ交代。」

ユミ「えー、もっと洗って!」
エリカ「ユミちゃんwエロいよw」
ユミ「だって気持ちいいし!暗いとなんか平気だしw」

エリカは有無を言わさず、ユミを引っ張り出す。
僕の上に、後ろ向きに乗っかるエリカ

ユミ「エリカちゃんw竜也さんとイチャイチャしたいだけでしょw」
僕「イチャイチャしませーん。手出ししませーん!」

エリカのチョップが飛んでくる
僕「痛いw」

エリカ「はい!ちゃんと奉仕する!さっき私にしたことを謝る!」
僕「はいはい。どうもすみませんでした。お背中ゴシゴシするので許してください!」

エリカ「素直でよろしい!・・・んっ・・・あ・・あれ・・?」
ユミ「エリカちゃん?何?」
エリカ「・・・大丈夫。竜也さんちゃんと・・んっゴシゴシ背中・・・あっ・・・」

エリカは無言になった。
僕は、右手を背中に乗せ、スポンジでゴシゴシした。
左手は・・・

背中を触り、そのまま、つーっと尾骶骨を優しく撫で、その下の、お尻の割れ目を通り、その穴周辺をなぞった。
僕「エリカさーん、気分はいかがですかー?」
エリカ「・・・」

僕の指は、お尻の穴から、さらに進み、アソコ周辺を、執拗に、グリグリと、弄りまくる。
エリカ「だ、大丈夫です・・・」
ユミ「何、大丈夫ってw」
僕「エリカさーん?どうしたの?」

わざとらしく聞く。
僕の左手は、エリカの左手を捕まえ、その手を、僕のアレに誘導する。
僕「もう少し続けますか―?」

エリカ「え・・あ、うん・・はい。」
ユミ「エリカちゃん?」

エリカの左手は、僕のアレをぎこちなく握りしめていた。
僕の左手は、エリカの乳房を包む。ギュッと揉み上げて、エリカを浮かす。

エリカ「あんっ・・優しく・・」
僕「こんな感じですか?」

浮かしたエリカのアソコを、左手で広げる。そして、僕のアレを、あてがった。
エリカは何が起こってるのか考えようとし、硬直していた。
その両脚を少し広げ、一気に挿入し、エリカの両肩を抑え、エリカを沈ませる。

ヌルン、と、根元まで入った。

エリカ「えっ・・・え?んんんっ・・・あっ・・・」
僕「・・・どうしました?ん?」

エリカの異変に、ユミも気づいていた。
ユミ「エリカちゃん?あ!竜也さん!ちょっと、何やってるんですか!離れて!」
エリカ「・・・っ!ん・・・あんっ・・・」

ぐりっぐりっっと、エリカを沈める。エリカは身をよじらせると、また少し隙間が生まれる。それをまた、僕が沈めて、根元まで入れる。
ユミが近づいてきたので、ユミのほうを向いて、顔をユミ近づける。
ユミは魅せられたように、目を閉じる。ユミとキスする。

ユミ「んっ・・・」
僕はそうしてる間、エリカのク○トリスをギュッと押さえつける。
エリカ「んんんん!!・・いやっ!」
何かの波が来そうになり、逃れようとするエリカを逃さず、挿入したまま両手でその周辺を弄りまくり、最後に乳首をギュッとつまんでみた。
エリカは硬直し、アソコもギュッと縮んで一瞬ガクガクっとした。僕のアレははじき出された。

エリカ「・・・・はぁっ・・・んっ・・・もうやだ・・・」
ユミ「んはっ・・エリカ・・・」

ユミは、エリカが逝ったのに気付いたのだろう。それ以上は追及しなかった。
僕「えと・・・僕、ユミとさっきした時に出しちゃってるので、もう逝けないからその・・」
ユミ「それ何のいいわけですか・・」
エリカ「・・・竜也さんのエッチ・・・エッチ・・やだよもう・・はいもう竜也さん出てください!」

なんだか疲れた。
僕「もう疲れた・・・先に出るね・・」
ユミ「変態」
エリカ「変態」
僕「変態どもめ」

なんだろう。

浴室から上がった三人は、その後も飲みながら、キスしたり、おもちゃにされたり、したり。
非日常の出会いのせいか、いったん外れたタガが戻ることはなく、もう挿入は不可能な状態・雰囲気だったが、入り乱れながら、変な空気のまま、朝を迎えてしまった。

僕「眠い・・・寝るから、適当に帰ってね・・」
エリカ「そうします・・・早めに帰らないと・・」
ユミ「着替えなきゃ・・・ああ・・この格好楽だったのに着替えるの面倒・・」

2人は、身支度を整え、帰って行った。

その後、僕は、エリカと連絡を取ることはなかった。
エリカも、連絡をしてくることはなかった。

エリカは、ネトゲにINする機会が減っていき、いつのまにか、INしなくなった。
それが、彼女なりの結論なのだろう。
彼女はその後、別の地方に就職が決まり、普通に働いていると風の便りに聞いた。

一方のユミであるが・・・

ユミ「こんにちは。」
僕「ああ。いらっしゃい。」

最初は週1回。うちでネトゲをして帰って行った。
気が付くと、うちで宿泊して行った。

2か月経つと、キャリーバッグでやってきた。
ユミ「しばらく住みます。」
僕「ええ・・バイトは?」

ユミ「辞めたので、こっちで探します。バイトか正規が決まるまで住まわせてください。」
僕「思い切ったね・・・」
ユミ「ダメですか?」
僕「ダメとは言わないけど・・・」

彼女は、我が家に転がり込んできた。


条件だけは付けた。

毎日、就職活動すること。
自分のことは自分ですること。
僕の私生活に文句を言わないこと。
働き口が見つかったら、いったん出ていくこと。
貯金ができたら、それまでの経費を払うこと。

もちろんお金は受け取った後に返す気だったが、まあ、けじめを付けさせたかった。


彼女は、派遣会社に登録していた。
また、ハローワークにも通った。
フリーペーパーともにらめっこしていた。

人とあまり会話せず、しかもそれなりのやりがいのある仕事。そんなものはなかなかない。
それでも、自分の生活費だけでもと、交通量調査やイベントの設営、事務作業の応援などの短期バイトをこなしていた。

前から言っているが、基本的に、頑張っている女性は魅力的である。
彼女は、頑張っていた。

ユミ「おかえりなさい。」
僕「ただいま。お、カレー?」
ユミ「うん。これなら失敗しないから。」

僕「いただきます。」
ユミ「いただきます。」

誰かと採る食事ほど美味しいものはない。
僕「今日はどうだった?」
ユミ「寒かった・・でも、5000円貰えたよ!」
僕「お、頑張ったね。そのバイトは今日だけ?」
ユミ「明日まで。また次探さなきゃ。」
僕「・・・がんばれ。ユミ」

ユミ「うん・・がんばる。ご飯食べたら狩りしようよ」
僕「ああ。息抜きしよう。」

彼女は、たまに体を求めてくる。
僕は、できる限りこたえてやる。

でも、どうしても、挿入はできなかった。
理由はわかってる。
生なんてもうできないし、正直、あのユミの匂いには慣れることができなかった。

もし、あの匂いに慣れることができたら。
もし、もっと打ち解けて、朋美の時のように、全てを受け入れあって、生きることができるって、確信できたら、
もし、自分が、何の抵抗もなく挿入できるようになって、果てるとこができたら。

その時は、僕は彼女に、こう言おうと決めていた。

『これからも一緒に暮らそう。結婚しよう』


時間の経過というのは、良くも悪くもすべてを洗い流す。
洗い流すだけではない。次から次へと、何かを堆積させていく。
堆積物は、次第に増えていき、いつか、決壊する。

お互いの理想。お互いの願望が必ずしも叶えられるわけではない。
同棲すれば、衝突はどうしても発生する。
問題は、それを乗り越えられるだけの、双方の努力が維持できるかどうかだ。

残念ながら、僕には、そんな気持ちはもう、残っていなかった。

ユミ「・・なんで、最後まで、してくれないの?」
僕「んー、疲れてるからかな。もう寝よう」

ユミ「私のこと、飽きたの?」
僕「ん?そんなことないよ?」

ユミ「・・・・竜也さんは優しいし、ステキだと思うよ?でも、なんだろう、私のこと、信用してないよね?」
僕「・・・」
ユミ「一緒に暮らすって、こういうことなの?一緒にいて、楽しい?」
僕「・・・悪いけど、説教なんて聞きたくないんだ。一緒にいて気楽にいられないなら、帰ればいいと思うよ。」


ユミ「・・・それでいいの?」
僕「え?いいよ?」

良くないよ。

僕は、ユミのいい所、いっぱい知ってるよ。
コミュニケーション取るのが下手だけど、相手のことをしっかり見ようとする所も、
相手のいいところを、一生懸命探そうとすることも。
料理だって、一つ一つ丁寧に作ってることも。少ないバイト代をコツコツ貯めていることも。
妹思いなことも。人間関係に挫折して高校を中退しちゃって引き籠ってたけれど、とても優しくて頭がいいことも。

朝起きて、おはようを言う相手がいる。
ただいまが言える。
寝る前に、お休みが言える。

こんな幸せが、他にあるとでも?

ユミ「・・・わかった。来週、帰るね。」
僕「そうか。楽しかったよ。また気が向いたら遊びにいらっしゃい。あと、経費とかもういらないから。」
ユミ「そういう所、優しさは禁物だよ?こんな時まで優しくしないでよ。」
僕「・・・荷物まとめるのは手伝うから。あ、好きなもん持ってっていいよ」

ユミは、出て行った。

不思議なことに、ユミは出て行ったが、その後もネトゲでは普通に話をするし、同棲する前の2人と特に変わらないように接してくれた。
静寂に包まれる僕の部屋。
今まで気にもしなかった時計の音だけがこだまする。

ああ、また僕は、一人になったんだな。

こんな生活、意味があるんだろうか?

その冬、僕は、むなしさを抱きながら、過ごした。

昨日は泊まり込みでした。
宿泊先で少し書きましたが、眠くて消しました・・

ちょっと番外編というか、時系列から離した話題をひとつ。

僕としほ(SHIHO似)の話をしようと思う。

最初の出会いは、僕が社会人になりたての時代にまで遡る。
当時、僕は、まったく新しい土地で、0からのスタートを切ることになっていた。

希望と野望の塊だった。
ただ、不安もあった。

僕は、社会人として、ちゃんと生活できるんだろうか。
友人もできるだろうか。
遠距離恋愛に、耐えられるだろか。

初めての一人暮らし、最初に買ったのは、ラップトップのPCだった。
仕事は忙しかったが、帰宅後の少ない時間でPCを立ち上げ、ネットの世界に飛び込むことは楽しみの一つだった。

当時はSNSなんて一般的じゃない。
友達とのやりとりはもっぱらPCメールだった。
また、当時は出会い系のサイトが豊富にあり、サクラもそれほどいなかったと記憶している。

僕は、新しい出会いを求めて、出会い系に登録した。
当時でいう、メル友探しをした。

当時は、たくさんのメル友がいた。
主婦、年上、学生さん、男性、とにかく、様々な人とやり取りしていた。

そのうち、僕は、近所で会える人限定でメル友を募集しだした。
ひょっとして、いい思いができるかもしれない。

まあ、多分に下心があったが、とにかく、会社と学生時代の繋がり以外で、まったく別の出会いがほしかったのだと思う。
昔、栞里に言われた「あなたは変化を求める」というのが一番しっくりくる。

こうして、就職先の近所で、「すぐにでも会える人募集」とうたって募集し、応募してきたのが、しほだった。

彼女は、同い年と言っていた。後々、本当に同い年だと判明するが、そのエピソードは後術する。

何度かメールをやり取りして、じゃあ、今度お会いしましょうという話になった。
携帯の電話番号を教えあい、初めて電話をする。

僕「こんにちは。なんか電話も緊張しますね!」
しほ「そうですか?思ったよりも落ち着いた声なので、安心しました。」
僕「渋い声だって、よく言われます。」
しほ「ダンディーですねw」

僕「じゃあ、駅前のあのシンボルの前で待ち合わせですね。」
しほ「はい。宜しくお願いします。」
僕「こちらこそ、宜しくお願いしますね。」

僕は、できる限りおしゃれをして出かけた。
待ち合わせ場所に、定刻に現れたのは、白いジャケットにピンクのブラウス、白のスカートという、清楚な女性だった。
きっと、この日のために用意したんだろうなという衣装。髪の毛もサラサラで、綺麗な髪だなという印象が残っている。

しほ「あ、藤原さんですか?背高いですね!」
僕「しほさん?想像と違ってびっくりしました。」
しほ「くすっ。どんな想像してたんですか?」
僕「声のトーンから、可愛い系の子が来るのかと。」

しほ「あら。期待外れでゴメンナサイ・・」
僕「代わりに、綺麗な人が来ました(笑)」
しほ「えっ・・え?・・・あ、えー・・・あ、ありがとうございます・・」

僕「立ち話もあれなんで、どこか入ろう。」
しほ「そうですね。コーヒーでいいですか?」
僕「同い年だし、タメ口でいいよ?」
しほ「うん。そうね。よろしくね、藤原君。」

僕「あー、しほちゃんでいい?僕は竜也で。」
しほ「OKじゃあ、竜也君、いきましょうか。」
僕「はいー。」


彼女は、不思議な子だった。
自己主張を、一切言わない。

ただ、静かに、僕の話を聞いてくれる子だった。
僕が聞けば、答えてくれる。でも、自分からは話さない。

彼女は、バイオリニストだった。
音楽教室の先生をしていて、たまにリサイタルもしているとのことだった。

しほ「普段は子供たちとそのお父さんお母さんとくらいしか話さないので、出会いってなかなかないんだ。」
僕「なるほどねぇ。僕は音楽の才能はないから、憧れちゃうなぁ。」
しほ「小さい頃から演奏してるから、ただの惰性だよ。」
僕「僕は続けていることなんて持ってないから、やっぱり凄いことだよね。あ、今度観てみたいな。演奏してるとこ。」
しほ「え?いいよ?今度、あそこのホールでリサイタルだから、招待するよ。」

普通に生活していたら、絶対に接点のない彼女。
数字が支配する社会に生きている僕が、感性だけで生活している彼女から得るものは多かった。

僕は暇な時期、よく彼女と会った。

僕は当時、お客さんからいろいろなお土産を貰っていたが、食べきれなかったり使い切れないものは彼女にあげたり、家に招いて料理を振る舞ったりもしていた。

懇意にさせてもらっていたが、これといって、男女の仲になることもなかった。
よくわからないが、少なくとも、彼女からそういう性を臭わすような行動はなかったはずだ。僕もまた、彼女にそういった行動をした記憶がない。

お互いが暇な時に、お互いがしたいことが一致したら、同じ時間を共有する。そんな関係だった。
ドライブに行ったり、飲みに行ったり、うちに呼んで飲んだり、料理作ったり、リサイタルに顔出したり、花火を見に行ったり。
孤独を感じた時、長電話に付き合ってもらったこともある。

ある意味、心のよりどころでもあったと思う。

そんな彼女であったが、涼子と付き合い始めた頃から1年ほど、連絡がつかなくなった。
その頃、僕の仕事も充実していたため、しほのことまで頭に回らなかったが・・・

ただ、沢村さんが辞めてからの数ヶ月、僕が殺人的なスケジュールだった頃、しほに会いたかったのは事実だ。
誰でもいい。癒してほしい。そんな時、しほはいなかった。

菜々子さんが距離を縮めてきていた頃、しほとのやりとりは再開した。

僕「しばらくぶり。どうしてたの?」
しほ「んー、まあ、いろいろあったのさ。」
僕「ふーん。ま、いろいろあるよね。」

深くは聞かなかった。

僕が会社を去ることになり、最後に会ったのもしほだった。


しほ「これで会うのも最後なのかな?」
僕「うん。そうなるね。いままでありがろう。」
しほ「こちらこそ。楽しかったよ。ありがとう。」

僕「・・・」
しほ「・・・」

僕「そろそろ行こうかな。」
しほ「あ、待って。最後に、見てほしいものがあるの。・・・・言おうかどうか悩んだけど、すっきりしたいから言うね。」

しほは、連絡がつかなかった1年について、話し出した。


彼女は、1冊のアルバムを取り出した。

そこには、しほと、涼子が写っていた。

僕「・・・へ?あれ?しほと、・・・涼子?」

涼子としほは、確かに同い年だ。どういうことだ?
え?まさか・・・え?

しほ「えっとね・・・涼子ちゃんと私は、中学時代からの友達なの。」
僕「え・・・そんなことってあるんだ・・ってことは・・・え?」

しほ「竜也君と私って、メル友募集で知り合ったでしょ?で、涼子ちゃんは、竜也君にナンパされたんだよね?出会いはナンパだって聞いたよ。」
僕「あー・・あはは・・・正確に言うと、僕の友達が、涼子の友達をナンパしたんだけどね・・・」

しほ「そっかwまあ、とにかく、私は涼子ちゃんから『彼氏が出来た』って話を聞いたの。で、その相手が竜也君って聞いて、心臓が止まるかと思った。こんな偶然ってあるんだって。」

僕「じゃあ、それを気にして、しほは、僕と連絡を取らなかったんだね。納得。」
しほ「うん。その、私との関係は、誰にもバレたくないんだろうし、ほとぼりが冷めるまで・・・ね。」

僕「・・・涼子には、悪いことをしたと思ってる。恨まれるだろう。しほも、それを知ってて会ってくれてありがとう。」
しほ「え?涼子ちゃんと別れたのは聞いてたけど、理由までは聞いてないよ?『私が悪かった』って言ってたよ。」

涼子らしいや。
僕には、もったいない女だったなぁ。

とにもかくにも、しほとのやり取りは、ここで一旦終了した。

まさか、その後の繋がりがあるなんて、僕が地元に戻って来た頃は想像もしていなかった。

ダメだ眠いおやすみなさい

しほ「来月、そっちでリサイタルがあるんだけれど、良かったらオススメのスポットや格安の宿なんかも教えてくれないかな?」

彼女からの連絡は、唐突だった。
数年ぶり。30に差し掛かろうとしている頃、唐突に連絡が来た。

僕「しほちゃん?!お久しぶり。んー、そうだね。いいよ。いつ来るの?」
しほ「来月の〇日。」
僕「・・・OK。予定開くから、会おうよ。久しぶりに話そう。」
しほ「いいの?」
僕「え?いいよ?」

彼女と、会うことになった。

僕は、地元では名の通った有名店に案内した。

しほ「あ、ここ知ってる!〇〇の元祖のお店だ!」
僕「お、良く知ってるね。高くないし、人気のお店だよ。こんちはー」
店員「あ、藤原君いらっしゃいー。お連れさんとだなんて珍しいわね、お二人様ご案内しまーす。」

しほ「馴染みなんだね。」
僕「昔ながらのお店って、通うと名前覚えてくれるから好き。」
しほ「長いんだね。常連さんってカッコイイw」
僕「まあ、学生時代から知ってるお店だから。」

名物が運ばれてくる。僕は、ウーロン茶で乾杯した。
彼女も僕も、飲むのは好きだ。でも、彼女は車で来ていたし、相手が飲まないなら僕も飲まない主義だ。

しほ「ビールでもいいのに。飲まないの?」
僕「しほが飲めないのに、僕だけ飲めないよw」
しほ「相変わらず律儀だね。」
僕「いいんだよ。飲むために来たんじゃないし。」

しほは、少し大人びた。昔はストレートの黒髪だった。
今は、明るい色に染め、すこしウェーブがかかったようなヘアスタイルだった。

僕は、逆に黒髪に戻していた。
昔のような服装でもない。柄物はもう着ない。白いシャツに青のジャケット。シンプルな格好になっていった。

しほ「相変わらずの着こなしだね。昔からそうだったね。」
僕「何が?」

しほ「竜也君て、昔から、写真とか見せてもらっても、すぐ見つけられる。一人だけ着こなしが違うんだ。」
僕「そう?背が高くてひょろっとしてるから見つけやすいんじゃ?」
しほ「そうじゃなくて、立ち位置とか、ワンポイントの色使いとか。」
僕「そんなもんかな。」

僕たちは、この数年間の穴を埋めるように、いろんな話をした。
彼女のご両親が亡くなったこと。
生徒さんたちのこと。
今の生活ぶり。

しほ「今日は楽しかった。ありがとうね。」
僕「こちらこそ。また来ることがあったら、会おう。」
しほ「うん。来年になりそうだけど、ちょくちょく来る機会がありそうなんだ。」
僕「そうか。嬉しいな、そうやって昔からの友人がきてくれるのは。」

しほ「そう言ってもらってうれしい。遅くなるといけないから、そろそろ帰るね。」
僕「ああ。またね。」

翌週、一人でまた、その店に行った

店員「あの綺麗な子、彼女?」
僕「ん?違うよ。昔からの友達。」

店員「あらいやだ。じゃあ、その前に連れて来た子が彼女?相変わらずやるわねぇ2股?」
僕「おばさんw人聞き悪い!前の子とは、すぐ別れちゃったんだ。」

店員「若いわねぇ。その前の、すっごい綺麗な子、私好きだったのに。。どうして結婚しなかったのよ?」
僕「ははは・・・いろいろあるんだよ。ねえ、おばさん。わかってると思うけど、誰かと一緒に来ても、『前の人は?』とか言わないでよ!」
店員「分かってるわよw商売柄、そういうことはよくあるんだから!」

店員のおばさんは、他のお客さんにばれないように、こっそりまかないをサービスで出してくれた。
それをつまみながら、ビールを飲む。

僕「・・・ふぅ。思い出の味、ねぇ。」

この広い、皆が一生懸命生きてる世の中で、僕のことを覚えていてくれる人がいる。
僕はそんな人がいることを確かめるために、常連客になるのかもしれない。

僕「おばさん、生おかわり」
店員「あいー。カウンターさん、生お願いしまーす!」

次に彼女に会ったのは、僕がクレームで海外に拘束され、戻ってきてからだった。

しほ「大変だったね!」
僕「大変だったよ!おかげで、現地語いつくか覚えちゃったよ!」
しほ「どんなの覚えたの?」
僕「大丈夫です、ありがとう、メニューが見たい、いくらですか、タクシー呼んでください、ビール2本、愛してます」
しほ「最後w」

僕「実際さ、相手を口説くのって大変なわけじゃない?ビジネスは大丈夫。買いたい人と売りたい人が話をするから、多少不自由な言語でも成立するんだ。」
しほ「ああ、確かに。お買いものならまあ、言葉が通じなくても、身振り手振りでもなんとかなるもの。」
僕「そうそう。でもさ、現地の子を口説くのって大変よ?意味が通じないと、それで終わり。」
しほ「恋愛と戦争は、世の中の技術を向上させるのねw」
僕「そう!結局世の中を突き動かすのは欲望よ。」

僕は、彼女と家の近くのお寿司屋さんに来ていた。
大将「あと、何握る?」
僕「ああ、おつまみ。適当で。」
大将「あいよ。飲み物は焼酎でいい?」
僕「うん。この子にも。」

しほ「お湯4のお湯割りで」
大将「お、行ける口だね。竜也ちゃんのお連れさんだし、サービスしちゃうよ!」
女将「自分が一緒に飲みたいだけでしょ!まったく・・ごめんなさいね、この人、綺麗な女の人に弱いんです。」

このお寿司屋さんは、引っ越してから頻繁に通っている。
僕が引越し先に求める条件はいくつかある。

①歩ける範囲に、コーヒー屋さんがある。
②歩ける範囲に、カレー屋さんがある。
③歩ける範囲に、お酒のおいしいお店が2件以上ある。
④ファストフード店が近くにある。
⑤歩ける範囲に、レンタルビデオショップがある。
⑥15分以内に、どこかの高速のインターがある。
⑦間取りが奇抜である。

僕が引越しを決めた理由の一つが、ここのお寿司屋さんだった。

大将「ほいっ。ヒラメのカルパッチョ。このあと、ホッケで面白い料理出してあげるから。」
しほ「ここお寿司屋さんですよね?ステキ!」
大将「このご時世、寿司だけ握っててもお客さんなんて来やしないよ。竜也ちゃんだって殆どお寿司注文しないじゃない。」
僕「だって大将の料理美味しいもの。調理方法も教えてくれるし、お酒は美味しいし、言うことないよ。」

常連1「お、竜也ちゃん、今日は綺麗な子連れてるねぇ。」
僕「はいはい。酔っ払いはあっちへどうぞ。今度また一緒に飲もうね。」
常連1「連れないなおいw女ができると、こうも違うもんかねぇ?」
僕「分かったから、ほら、あっちに行きなよ。」

しほ「いいの?常連さん、適当にあしらってるけど。」
僕「いいよ?あれ、あんな適当なおっさんに見えるけど、ここの地区の市会議員w」
しほ「ええwただの酔っ払いじゃんw」

常連1「聞こえてるぞw」
僕「ほら、先生!もうすぐ取り巻きが来るよ!今のうちにその大量のビール瓶隠しときなって!」
常連1「おお、もうそんな時間か!おいお前の瓶もよこせ。払っておくから!」
僕「うわワイロだ。」
常連1「お前はここの選挙権持ってないだろ!友人としての奢りだよ!」

僕「さ、飲んだし帰ろうか。」
しほ「うん。ご馳走様でした。」
僕「ご馳走様でした。」

しほ「でもいいの本当に?」
僕「え?いいよ?」
しほ「竜也君の家に泊まることになるとは・・迷惑じゃないよね?」
僕「全然?安上がりだろ。」

彼女は、最初はどこかに泊まるつもりだったけれど、時期的に安い宿がなく、困っていた。
なので、うちで泊まってもらうことにした。

しほ「うわ!お店みたい!」
僕「片づけ、大変だったんだから!」

当時の僕の家には、スロット台、ダーツ、チェス、家庭用ゲーム機、PC、カラオケの機器もあった。
飲み物専用の冷蔵庫や、ワインセラー、コーヒーミル、エスプレッソマシンまで用意していた。ほぼ、自己満足で、快適な居住空間を求めたらこうなってしまった。

しほ「ここにいると、ダメ人間になるよこれw」
僕「はーい、ダメ人間がここにいます!」

しほ「・・・いいな、竜也君は、自由で。」
僕「そうかな。自由がすべてじゃないよ。ない物ねだりだと思うよ。」
しほ「私は、竜也君ほど収入もないし、この先への不安だって、いっぱいあるよ。」
僕「・・・」

彼女に、冷蔵庫から適当な飲み物を取ってやる。
それを、ごくり、ごくりと飲み干す。

しほ「・・・ふぅ。美味しい。」
僕「相変わらずの飲みっぷり。」

おもむろに、僕に、寄りかかってくる。
僕「・・・しほ?どうした?」
しほ「・・・」

僕はそっと、抱きしめた。
彼女は、目を閉じた。
僕と、彼女の唇が、重なった。

俺も数えきれない程女を抱いたが>>1もいい人生を過ごしてるなぁ

彼女と出会って8年。
キスをしてしまった。

しほ「あのね。」
僕「ん?」

しほ「ここに来る前に、その、彼と別れて来たんだ。」
僕「なぜ別れたの?」

聞いても意味がない。理由など、分かっている。

しほ「・・・彼、私のことを好きって言ってくれる。結婚したいって言ってくれる。でも、何か違うっていつも思ってた。」
僕「・・・彼に不満でも?」

しほ「彼、収入は低いし、子供っぽいし、すぐ怒る。竜也君と大違い。」
僕「そういうもんかねぇ。」
しほ「分かってるよ。竜也君が、私のことを女性としてみてないことくらい。昔から知ってる。」
僕「んー、うん。まあ、そうなんだろうね。」
しほ「それでも、やっぱり、私は、昔から、あなたのことが好き。」

マリッジブルーかな?
いざ、結婚が具体的になると、急に不安に駆られる子は多い。
女性は、ひとつの恋に、すべてを放り出して突き進むことがある。
そこにつけこむ男もいる。

僕「驚いたな。そんな風に思ってたなんて。」
しほ「鈍すぎるんだよ・・好きじゃなかったら、部屋に泊まりに行くなんてこと絶対ないよ?好きじゃない人のために、わざわざ何回も呼び出されたりしないよ?」
僕「まあ、そうなんだろうけれど。んー、実感がわかない。」

しほ「竜也君は、私のこと、どう思ってる?どんな印象?」

どんな印象か。
難しい質問だった。
たしかに、悪い気はしない。好意を寄せてくれる人がいるっていうのは、生きる上での活力になる。
でも。。んー、結婚したいって言ってくれる人がいて、そこまで愛されている彼氏がいるのに、それを放ってノコノコ県外までやってくる子のことを好きかと言われると、それはない。

僕「答えは難しいんだけど、当然、僕だって、嫌いな子のために時間を割いたりはしないよ?僕にとって、しほはとてもまぶしい存在だったんだ。」
しほ「え?そうなの?」
僕「数字に生きてきた僕が、感性に生きてるしほと出会ってから、刺激を受けることは多かった。」
しほ「・・・うん」
僕「もちろん、しほのことは好きだよ。大切にしたい。でも、きっと、しほのいう『好き』と、僕のいう『好き』は違うと思う」

彼女は、ぎゅっと、しがみついてきた。
僕は、それを、受け止めることしかできない。

しほ「・・・それでも、抱きしめては、くれるんだ。」
僕「それはまあ、男ですから・・・w」
しほ「えへへ・・あったかい。」
僕「いい匂い。・・・あ、ダメなヤツだこれ。自制が効くうちに、離れて」
しほ「無理。ヤダ。あったかいもの。イヤなら拒絶してよ。」

こういう時、女性はズルい。

女性特有の、あたたかな感触・弾力。
ふわりと香る、柔らかな匂い。

僕「良くないよ、そういうの。情に流されても、たとえ今日、僕が誘惑に負けても、やっぱり僕の気持ちが変わることってないと思うんだ。大切にしてくれる子がいるんでしょ?裏切ることなんてないよ。」
しほ「なら、拒絶して。できないんでしょ?竜也君は、そういう人だもの。」
僕「ズルいな、しほ。女はずるいよ。」
しほ「今日くらい・・・甘えさせてよ。今日くらい・・・」

彼女が止まることは、ないようだ。
スルスルっと、服が擦れる音がして、彼女の上着が床に落ちる。僕は、せめてもの優しさで、明かりを落とした。
かすかなBGMだけが、聞こえる。

僕「せめて、シャワーだけでも浴びようよ。」
しほ「あ、逃げるんだ。」
僕「そうは言ってないだろう。・・・はぁ・・・」

本当にいいんだろうか。
悩んでいる間にも、彼女は一つ一つ、服を脱いでいく。
寒い季節だ。彼女の腕に触れると、寒いのか、少し鳥肌が立っている。

僕は、優しく抱きしめ、ベッドに横たえ、毛布をかけた。
僕は上着だね脱ぎ、その中に入った。

戸惑ったが、結局、彼女の誘惑と決意に、動かされた。

>>335
いい人生かどうかはなかなか決めつけられないけれど、恵まれているとは思うよ。
まあ、ED発症しなけりゃ、もっといい思いができてたのかもなぁ。過ぎたことを言っても始まらないが。

毛布の中で、スカートとジーンズを脱がす。
彼女は、下着だけになった。

僕も、トランクスだけになった。
肌を重ねる。

しほ「・・・あったかい。」
僕「すべすべ。きもちいい。」
しほ「んっ・・・くすぐったい・・・んっ・・・ちゅっ。」

しばらく、抱き合いながら、キスした。
彼女は体制を入れ替え、僕の上に乗った。
肌をぴったりと付け、僕にキスし、両手で僕の頭をはさむ。
その足は、僕の足に絡んでくる。すべすべとした感触。柔らかで暖かな感触。すぐにそれが、じっとりと汗ばんでくる。

僕は、ブラを外す。ベージュの、清楚なものだった。
着やせというのだろうか。想像より大きな乳房が露わになる。
僕は、優しく触れた。

しほ「んっ・・好きなの?」
僕「男はみんな好きなんじゃないの?」

彼女は、その先端を、僕の顔の上に乗せる。
僕は揉みながら、舌を這わせる。

しほ「あ!・・ん・・・んっ・・・」
しばらく、僕はその胸を味わった。濃いめのピンクで、柔らかい乳首だった。

僕はそのまま、パンティをおろす。彼女も、トランクスを脱がせてくれた。
彼女は、毛布をかぶったまま、下の方へ移動していった。

柔らかな感触が、僕のアレ周辺を包む。
彼女は、自分の乳房で、僕のアレを包んだ。

最初は、片方の乳房で、僕のアレにグリグリと押し付けてきた。
反応して大きくなったら、アレを少し咥えた。すっぽりと咥え、唾液で濡らし、口から離す。

一瞬、ひんやりとした。が、次の瞬間、双丘か僕のアレを挟む。
くちゅっ。くちゅっ。
少しだけイヤらしい音とともに、彼女は、その両乳房で、僕のアレを愛撫しだした。

久々の、柔らかい感触。それで逝くことはないが、気持ち良かった。
きっと、こうやっていても、僕は最後まではイかないだろう。
多少の罪悪感。

僕「・・・一緒に、シャワー浴びよう。」
しほ「え・・・?あ、うん。わかった。」

浴室へ行く。
僕「これ、試してみない?興味本位で買ったけど、使ったことないんだ。」
しほ「これ、何?」
僕「・・・ローションw」
しほ「一般に買えるんだw匂いってあるの?w」
僕「これは、ココナッツミルクの味らしいよw」

素っ裸のアラサー2人が、ローション片手にはしゃぐ姿は、今思えば滑稽である。

僕は、それを彼女に塗りたくる。
彼女も僕に塗りたくった。躊躇なく僕のアレを咥える。

僕「あ。ちょっs・・・んっあっ・・・」
しほ「んはっ・・・はぁ・・はぁ・・・甘い味がするw」

そういうと、手でヌルヌルなあれを手早くストロークさせた。気持ち良かった。
僕は背後にまわり、その豊満な胸を、ヌルヌルと揉みしだいた。
しほ「ん・・・くすぐったい・・ちょっと・・・ああん・・・あっ・・・・あああん・・・」

全身を使って、ねっとりと。
風俗嬢が、僕にするように、彼女にしてみた。
アソコにも遠慮なく、指を突っ込んだ。ヌルヌルとして、気持ち良かった。
シャワーは出しっぱなし。じゃないと、床が滑る。

しほ「あああああ・・・・あああっ・・あっ・・・きもち・・・あんっ・・・」
今まで感じたことのないヌルヌルに、彼女も興奮しているようだった。
僕は、その場の勢いに流され、興奮している彼女のアソコに、ヌルヌルになった僕のアレを入れてみた。

縮んだが、柔らかいまま、奥まですんなり入った。
しほ「ああん・・・え?ん?・・・あっ・・あっ・・あっ・・・あっあっあっ・・・んっんっんっ・・・」
柔らかなままだったが、背後から、彼女を突いた。
片手で彼女の腰をつかみ、もう片手で彼女のク〇トリスを責める。

しほ「ちょっと・・・待って・・・・あっあっあっ・・待ってって!あっあっんっんっ・・・あああん・・・逝っちゃうから・・止めて・・んんんっ・・・ああ!!!待って!ああああああああっ・・・・」

ビクンっ。ガクガク・・・あっけなかった。ギューっと子宮が収縮する。僕のアレは、子宮内にとどまったままだ。
しほ「待ってって言ったのに・・・」
僕「・・・気持ちいいんだから、しょうがないだろ。」
ガクガクする脚を、ヌルヌルと刺激する。

しほ「ん・・あんっ・・意地悪っ・・・んっ・・エッチ触らないで・・んっ」

執拗に、胸を揉む。そして、抜いて、シャワーをかける。
彼女は、こっちを向かない。

僕「怒ってるの?」
しほ「・・ううん・・私、何してるんだろう。自分勝手に逝っちゃって。」
僕「その・・僕、お酒飲んでるから勃たないし、逝かないから、こんなもんだよ?」

彼女はヨタヨタと僕に抱き着き、シャワーを浴び続けた。
そして、浴室から同時に出て、タオルで拭き、そのまま裸でベッドに入った。

僕「もう寝よう。」
しほ「・・・うん。おやすみなさい。」

目の前には、しほの豊満な胸と、その端正な唇。
しして、すべすべの肢体。

眠れるかな・・・
彼女は、僕を抱きしめてくれた。
そんな暖かな体に包まれて、僕は、眠りについた。

僕「おはよう。」
しほ「・・・おはよう。・・・早いんだね。」

僕「そう?コーヒー淹れる?」
しほ「・・・いい。」

彼女は、まだ起きず、裸のまま毛布にくるまってゴロゴロしていた。
僕は、その毛布をちょっとだけ剥す。
彼女の白い裸体が、すこしだけ垣間見える。
その艶やかな胸元に、視線がいく。

しほ「ダメ。・・これ以上は、もうダメ。」
僕「・・・そっか。わかったよ。」

僕は踵を返し、自分の珈琲を入れる。
トースターにパンを入れる。

しほ「・・・ねぇ。」
僕「ん?」
しほ「・・・私のこと、好き?」

僕「・・・ごめん。僕は、嘘だけはつけない。僕がどんなにひどい人間でも、やっぱり、誰かをだましたりはできない。」
しほ「あーあ。酷い男。私、魅力的だと思うんだけどなぁ。」
僕「うん。魅力的だと思うよ。でも僕は遠距離恋愛なんてこりごりだし、それに、正直、ここまで来ると、理想的な子が現れるまで、誰とも付き合いたくない。」
しほ「もったいないよ?私に限らず、出来るチャンスがあるのに、それでいいの?」

それでいいの?
いいわけがない。
でも、僕のアレは、回復の兆しがない。相手傷つけるだけじゃなく、自分が傷つくのはもう嫌だ。
だから、軽い関係でいたい。

僕「うん。乗り気じゃない。」
しほ「・・・しようって言ってくれれば、するよ?私。あなたが好きだから。この毛布を、今すぐ取って、あなたを受け入れるわよ?私。何の見返りも、あなたが望まないなら、何の見返りも求めないよ?」
僕「そうやって、自分を粗末にしないでほしい。帰ってくれ。」

帰ってくれ。
帰って。
これ以上、僕を苦しめないで。

僕は、もう、ギラギラした世界に行きたくない。
もう、傷つきたくない。
そりゃあ、酔っ払ったら、やっぱり、いろいろ欲も湧くけど。
今はもう、一人でいたい。

彼女は帰った。
それから、彼女からの連絡には返事をしなかった。

「今でも好き。」
「また会いたい。」

半年もすると、それも来なくなった。
それから1年。久々に連絡が来た。

結婚することにしたらしい。
前の彼氏と、ヨリを戻したそうだ。
それでいい。

今はもう、彼女と連絡を取る手段はない。
でもきっと、彼女は幸せに暮らしていると思う。

少し前から覚悟していた。
その日はやってきた。

重役の市村さんが、亡くなった。

体調を崩していたのは知っていたし、市村さんが会社を休んでいるときは僕が代役をしていた。
でも、亡くなる直前まで、やっぱり市村さんは会社に戻ってくると思っていた。

だから、実感は沸かなかった。

市村さんが亡くなっても、会社はなくならない。
誰かがその役割をする必要がある。

当然のように、僕がその後釜にされた。
実務的なものは僕がやっていたので、特に問題はない。
しかし、偏屈だったとはいえ、市村さんと僕では信用度が違う。

幸い、客先は僕でも問題ないと言ってくれた。
顧客「実質、君がやってたようなものじゃないか。引き続き、藤原君がやってくれればそれでいいよ」
うちの社長「そうですよね。了解いたしました。藤原、頼んだぞ」
僕「ご要望でしたら、そうさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。」

葬儀は、斎場を貸し切って行われた。
何百という方が、別れを惜しんできてくれた。

にこやかな表情だった。

社長「給与は増やすから、市村さんのあとを頼むよ。」
僕「他の社員さんのこともありますが、私でいいんでしょうか。」
社長「正直、あの役割をほかの社員が引き受けるわけないよ。打診したけど拒否されたよw」
僕「ですよねぇ。私で務まりますかね?」

社長「君しか務まらないよ。勤務体制は定時は設けないから。必要がなければ、出社しない日もあっていい。携帯だけはつながるようにしていてくれ。」
僕「わかりました。まあ、顧客のほとんどは私の携帯にかけてきますので、確かに会社にいなくてもいいですが。」
社長「それでいいよ。負担をかけるが、その分給料は弾むから。これからも頼んだよ。」
僕「・・・はい。」

市村さん、あなたは、最後まで自由人でした。
僕が受けた影響は、少なくなかった。
反感を持ったこともあります。
それでも、あなたは、尊敬に値する、立派な方でした。

合掌。


顧客の方々は、僕を可愛がってくれた。
納期調整や新規の案件、トラブル、あいさつ回り、立上りの品質確認、市村さんがしていたことは多岐にわたる。
いつも僕が傍らにいたので、基本的には問題ない。

市村さんなら、きっとこう言うだろうな。

顧客「はっはっは。」
僕「どうされました?」
顧客「いや、市村さんと同じことを言うなと思って」

僕「そりゃそうですよ。僕に仕事を教えてくれたのは、市村さんですから。」
顧客「厄介な奴だなw若くて賢い市村さんか。怖い怖いw」
僕「そういわず、これからもごひいきにw」

僕が何かをしても、何もしなくても、時間は過ぎる。
そして、物事は進んでいく。

このままでいいのかな。
いけない。

それはわかってる。

栞里は結婚した。
優子は転職し、違う事業をしている。
祐希は順調にキャリアを積んでいる。

菜々子さんも結婚して退職したらしい。
結衣も一児の母だ。
絵里奈と玲奈は2人目を身籠っている。

僕は?

悶々と生きる。


悶々と過ぎる毎日。
そんな毎日の中、2011年、3月11日を迎えた。

僕はその日、東北地方にいた。
週末をそこで過ごし、日曜の便で帰るつもりだった。

とあるショッピングセンター。
そこで買い物をしていた。

今までに感じたことのない揺れだった。
すぐに停電した。

係員に誘導され、外に出る。
街には、たくさんの人がいた。皆、混乱していた。
歩いて、ホテルに帰った。
フロントも混乱していた。
とりあえず、部屋には入れた。

その時点では、携帯はつながらなかったが、ネットにはつなげた。
余震が続く。

怖くて、ツイッターを呟き続ける。
「また余震なう」
堅「大丈夫?」
京介「こっちも停電」

停電してるから、携帯の充電がもったいない。
予備電池も持っていたが、いざという時のために確保しておきたい。

それとは関係なく、夜になるとネットにもつながらなくなった。

ホテルはそんなに人もいなく、夜食も持っていたのでそれでしのいだ。

隣に泊まっていた人が、カセットコンロをなぜか持っていた。
ホテルにはミネラルウォーターと即席麺が確保してあり、宿泊客に配ってくれた。
しかし、電源がなく、お湯が沸かせないという。
隣の部屋の人が、なぜか持っていたカセットコンロでお湯を沸かし、皆にお湯を入れてあげていた。

暗い中、続く停電と余震。
当然、飛行機も飛ばないだろう。

隣の人「どうしましょうね」
僕「地元に帰りたいけれど・・道も通れないみたいだし、電車も飛行機もダメ。困ったなぁ。」

2人で話し合い、通ることのできるルートを考えた。
その人は、車で来ていた。
そして、僕の地元の近くに住んでいた。

ここから関東地方を通って帰るのは絶望的だ。
じゃあ思い切って山を通って日本海側に抜けて、大回りして北陸を通って帰ろうということになった。
僕「じゃあ、僕も乗せていってもらえるってことですか?」
隣の人「ええ。僕も一人だと心細いですし、運転交代しながら帰りましょう。早く帰りたいです。」
僕「わかりました。なにはともあれ、体力は大事です。しっかり寝てから、明日出ましょう。」

耳を塞ぎたくなるようなニュースが聞こえる車内。
お互いが仮眠を取りながら、安全な道を探し、1日かけて、帰省した。

特急のとまる駅まで送ってくれた人、本当にありがとうございました。

震災の出来事は、僕の価値観を変えるものだった。

僕「ネトゲをもうやめようと思う。」
ユミ「私も。これから資格を取って、働く。」
僕「やりたいことが出来たんだね。」

ユミ「私のおばあちゃん、被災したんだ。何もしてやれなかった。だから・・・介護職を目指す。」
僕「そうか。頑張って」
ユミ「私は、竜也さんのおかげで変われた。今までありがとうございました。もう、会えないけど、忘れない。」

僕は思いを断ち切るように、PCごと処分した。
ユミとはこの日を境に、連絡を取っていない。

家族が欲しい。あたたかな家庭を築きたい。
誰かと一緒にいたい。
子供が欲しい。


当時、婚活がブームだった。
僕は、婚活をするようになった。


いざ始めると、出会いというものは生まれるものだ。
取引先の同年代とともに、コンパが月1~2回行われるようになった。

ジムにもまた通いだした。
元々好きだった料理も、教室に通いだした。

今までしていなかった貯金もしだした。


良く通っているバーに顔を出す。
(山口智子似、以下智子)

智子「結局、うまく行かなかったの?」
僕「うん。楽しかったんだけど、なんかこう、違うんだよね。」

智子「相手に、求めすぎだよ。それと、今の言葉、女の子に絶対言ってはいけない言葉だよ。」
僕「わかってるんだけどさ。相手に嘘つきたくないし。」
智子「・・・なぜ、今、韓流ドラマが流行ると思う?」
僕「ドラマは見ないから、よくわからないよ。」
智子「女子はね、夢が見たいのよ。すべてを投げ打って燃えるような恋がしたいの。複雑な事情なんて知らないの。ただ、純粋な純愛がしたいの。」

そんなものなのかな。

僕「あ、そうだ。これ。」
智子「・・・覚えてくれていたんだ。」
僕「もちろん。お誕生日おめでとう。」

智子は、そのバーの女性店員だ。
マスターの通うお店の常連さんで、マスターが目をつけて、新規に立ち上げるバーに引き抜いた。

竹を割ったような性格で、智子目当てで通う常連客もいる。
僕はそうでもなかったが、まあ、いつも話し相手になってくれるし、感謝の気持ちでワインを用意した。

智子の誕生年のビンテージワイン。
香り高く、熟成具合も申し分ない。まさに飲み頃のものだった。

マスター「お、いいワインだね。」
僕「智子ちゃんの誕生日だからね。持ち込んだ。一緒に乾杯しよう。」
智子「嬉しい・・・ありがとう。」

マスター「待って。グラスとアラカルト用意するから。」

早めに看板を下ろし、3人で乾杯する。
スモークサーモンとクリームチーズ、簡単なホットサンド。フリッター。

僕「いつもありがとう。乾杯」
マスター「美味い。ビンテージは久しぶりだ。まろやかに熟成されてるね。」
智子「初めての味。飲みやすい。・・・ありがとう。竜也さん、嬉しい。」

マスター「これめったに入らないヤツだから、ラベルだけでも取っておきな」
智子「うん。瓶が空いたら、水につけてラベル剥がしてラミネートする。」
僕「大げさだよ。」
智子「大切にしたいの。・・・こんなにうれしい誕生日、久しぶり。」


マスター「なあ、竜也。」
僕「どうしたの?」
マスター「結婚相手、智子じゃだめなのか?」

僕「んー、そりゃあ、マスターから見れば、いい子に見えるんだろうけど、僕から見る智子ちゃんはそうじゃないしなぁ。あくまで店員さんだから。」
マスター「智子、よく言ってるよ。お前から、店員としか見られてないって。それ以外の表情を見てみたいって。」
僕「・・・」

それから少しした後、智子から正式にお礼がしたいと連絡があった。

そのバーがお休みの日、僕と智子は、ドライブに出かけた。
智子は、終始上機嫌だった。

子供のように、はしゃいでいた。
僕の車には、堅や絵里奈の子供が乗った時に退屈しないよう、ぬいぐるみが隠してあるが、それを見つけ出し、パペットのように操っていた。
もし、自分が家庭を持って、子供が生まれたら、こんな風に、奥さんがあやしてくれたりするのかな。

その先にる、奥さんは、智子なのか?

違う。直感的に思う。
やっぱり、僕にとって、彼女はお気に入りのバーの店員さんであり、僕は彼女が好きなんじゃなく、そのバーの店員さんが好きなのだ。
帰り際、地元に戻って、車を僕の駐車場に止める。そのまま、タクシーで近くの焼肉屋さんへ。

僕「乾杯!やっぱビールだね!」
智子「あー!一杯目がおいしい!」

2人で、焼き肉を奪い合う。
楽しい。美味しい。

子供が生まれて、みんなで焼き肉に行って、こうやって肉を奪い合って、はしゃぐ。
その時に、僕の向かい側に座っているのは、智子なのか?

やっぱり、ちがう。

智子「ごちそうさまでした。」
僕「ごちそうさまでした。」

街を、少し歩いた。
腕が絡んでくる。

智子「・・・ねえ。」
僕「うん?」

智子「このマンション。」
僕「うん。どうしたの?」


智子「私、ここに住んでるの。・・・・上がっていってよ」
僕「・・・ああ。わかった。」

僕はまた、一人、女性を傷つけた。

僕は、HPに書いてあった場所に行く。
保険証を出し、アンケートを書く。

続いて問診。

僕は、決意をもって、その場所に来ていた。

ED治療。

僕は、もういやだった。
自分に自信がない。
行為のことで悩みたくない。

家庭が欲しいし、なにより自信がほしい。

常「達也君よ、男は愛人の一人や二人いないとダメだよ!」
寿司屋の大将「この前、その愛人に『役立たず』って言われたろうがw」
常「だからさ、バイアグラ買ったんだよ。中国製だけど!」
大将「やめとけって偽物はヤバイぞ!」
僕「」


恥ずかしい。
でも、恥ずかしいことなのかな?

いざ、一歩を踏み出すと、怖くはなかった。

医師「パートナーはいませんか?一緒に治療を受けることを強くお勧め致しますが。」
僕「特定のパートナーがいないから悩んでるんです・・」

医師は、淡々と治療方針を説明してくれた。

まず、体の病気なのか、心の病気なのか。
そのあたりを正確に把握するために、体の検査を受けた。

糖尿病や高血圧、つまるところ生活習慣病のチェック。
それから、アレ自体に不形成や不全がないか。触診もあった。

ED治療は、基本的に保険が効かない。
それでも、通うだけの価値があったのだろう。

機能的には何の問題もない。
つまり、心理的な要因によるEDであると結論付けられた。

医師「過労が発端の方も多いですよ。うまく体がコントロールできずに一回失敗して、以後、うまくいかない。そんな人は多いです。」

思い当たる節があった。
最初に失敗した時、僕は明らかに過労だった。
EDになったのは、体が発した危険信号だったのかもしれない。

医師「一般的な治療薬で、改善することが多いです。一度試してみてはいかがですか?現状、かなり重度のEDですよあなた。」
僕「自覚はあったんですが・・・いざ来るとなると、勇気が出なくて。」

医師「でも、あなたはその勇気を出した。だから、治療できる。EDは病気です。治療できるんです。改善する可能性は十分にあるんです。」
僕「・・・はい。勇気を出してよかったです。」

ごくごく知られている治療薬を処方してもらう。
高価なものだったが、それで僕の自信が取り戻せるなら。


僕は薬を懐に入れ、風俗店に行った。

ED治療。
以前から興味を持っていた。

正直、病院の前をウロウロしたこともある。
でも、一歩が踏み出せなかった。

いざ踏み出した一歩。
その1週間後には、僕は治療薬を手に入れている。
あっけないものだった。

嬢「いらっしゃいませ。よろしくお願いしますね。」
僕「あ、よろしくお願いします。うわ当たりだ顔小さい」
嬢「うふふ。さあどうぞ。」

嬢に手を引かれ。薄暗い階段を歩く。

僕「あのね、僕、ずっとEDだったんだ。今日、初めて薬を飲むの。今から飲んでもいい?」
嬢「まずお部屋にご案内して、そこでお水出しますから。それまで待ってくださいね。」

嬢「お薬を飲まれる方も多いですから。何かあってもすぐ救急車呼びますから大丈夫ですよ。」
僕「大丈夫なのかなそれって・・」
嬢「滅多なことはありませんよ。それだけ一般的に使われてる治療薬ってことです。」

お水をもらい、薬を飲む。少し談笑する。

おもむろに、嬢がアソコ刺激し、ズボンを下ろす。
僕のアレははちきれんばかりに反応する。

そして、いきなりそれを口に含む。

僕「んんん・・・ガチガチだ。」
嬢「ふふふ・・・元気だね。今日は、楽しめそうね!」
僕「ああ。最初から全開で!」


その日、僕は、久々に風俗で逝った。

嬢「はぁ・・・はぁ・・・激しかった・・・ね」
僕「ごめんね・・強引すぎたかな・・・」
嬢「ううん・・・はぁ・・はぁ・・・気持ちよかったなら・・・嬉しいです・・」

僕は、こうして、治療薬を手に入れた。
そして、薬と付き合うことで、EDに向き合うことができた。

よく晴れた日だった。
僕は、商店街を車で走っていた。
信号が赤になり、停車する。

ふと、少女に目が留まる。
歩道で、自転車を倒して、泣いていた。
周りには歩いている人もいるが、誰も声をかけない。

僕は交差点を通り越し、車をハザードを点けて停車する。
車を降り、少女に話しかける。

僕「どうしたの?」
少女「ヒック・・・うえーん・・・自転車が・・・動かない・・・」

見ると、チェーンが外れていた。
僕「あらら、おじさんが直してあげるね。ちょっと待って。」

車からタオルを持ち出す。
自転車は少し錆びていて、チェーンも固かった。

僕「ったく、親はちゃんとメンテナンスしてるのかな・・・よっと。」

チェーンに棒を差し込み、タオルで引っ張り、ペダルを回転させてはめ直す。

少女「・・・ありがとう!」
僕「ああ。ちょっと待ってな。今、オイルも入れてあげるから。あと、少しだけきれいに磨こうか。」
少女「うん!」

少し話をしながら、オイルでメンテナンスする。錆も、タオルで拭いておいた。
多少見栄えもよくなった。


タオルを片付け、少女にもう一回声をかけようとしたところで、背後から呼び止められた。

「おたく、何やってるの?」


呼び止めたのは、警官だった。

僕「え?え?何やってって、この子に」
警官「おたく、さっきからその子に話しかけてた?ちょっと通報があってね。どうしたの?お嬢ちゃん、この人、知り合い?」

少女「(ブンブンと首を振る)知らない人・・」

僕「ええ、確かに知らない子ですよ。でもあの」
警官「どんな事情か知らないけどね、そういうことをやめてもらえないかな。世の中、勘違いしちゃう人もいるからね?」

本当に嫌な世の中だ。
理不尽極まりない。

僕「警官が勘違いしたら、世も末ですよ。あなたたち、市民の味方でしょう?偏見を持たないでほしい。」
警官「まあ、怒りたいかもしれないけど、僕たちも通報が来たら動かないといけないからね?」

僕「それはそうでしょうね。ご苦労様、もう帰ってもいいですか?」
警官「一応、決まりなので、調べないといけないんですよ。身分を証明できるものないですか?」

本当にイライラする。
子供が助けを求めても、誰も見向きもしない。
そのくせ、誰かが手を差し伸べると、あっという間に取り囲まれる。

僕「は?僕が何かしました?その子、泣いてたんですよ?誰も助けないで放置されてたんですよ?声かけて助けたら通報?いい加減にしてください。」
警官「いいから、身分を証明できるものを。」
僕「その前に、この子、放置でいいの?」
警官「まあまあ、とにかく身分証明・・・」

僕「いい加減にしなさい!この子、どうしていいかわからずにオロオロしてるでしょ?まず開放させてあげてください。」
警官「あのねぇ、こっちも仕事なの。まずあなたが怪しくないことを確認するだけだから。ね?身分証出して?」
僕「拒否します。あなたと話す気になれない。」
少女「・・・(泣きそうにオロオロ)」

押し問答を続けることになってしまった。


女性「○○ちゃん!どうしたの!!」
少女「あ!おかあさん!!」

騒ぎになってしまい、それを見た通行人の誰かが、この少女のことを知っていたらしい。母親を連れてきた。
この少女は、近くの子のようだ。
とにかく、少女は安全になったわけだ。

僕「あ、お母さんですか、よかっ」
警官「あなたは話しかけないで!この子のお母さんですか?よかった。ちょっとこの男性に声をかけられてましてね!職務質問中ですので、あちらに下がっててください!」

もういい。
もういいや。

僕「その子が安泰ならもういいですよ。身分証出します。特にやましいことしてませんから。」
少女「ねえ、おかあさん、あのおじさん、助けてくれたんだけど・・・」
母親「あんたは黙ってなさい!、すみません、すぐ戻ります。この子を家に帰してきていいですか?すぐ近くですから!」

僕「あー、いい加減にしてほしいよ・・・自転車直しただけで、何でここまで大ごとにならなきゃならんのだ・・・」
警官「そういう話はいいから、ちょっと質問に答えて!」

人だかり。
さっきまで無関心だった輩が、攻撃対象を見つけ、集まる。

騒ぎの中、女性がおずおずと警官に声をかけてきた。

女性「あの・・・」
警官「はい?どうされました?」

女性「私、この目の前の喫茶店にいたんですけれど、こちらの男性は、自転車が壊れて泣いていた女の子をなだめて、自転車を直していましたよ?」
警官「それを見たの?間違いない?」
女性「ええ。間違いないです。何かあったら証言もしますよ?女の子泣いてたのに、誰も助けないで・・・かわいそうでしたから。私はちょうどその時手が離せなくて・・ですから、その男性が自転車を直しているのを見て、ホッとしてたんです。」

この女性、僕の行為を見ていたようだ。
よかった。目撃者がいるなら心強い。

警官「なるほど。我々も、疑ってかかってるわけじゃないんですよ?ただ、通報があると、ちゃんと調べないといけないわけで・・」
女性「分かってますけれど、あまりにその男性が不憫で・・・。あこの喫茶店に防犯カメラがありますから、ほらあそこ。あれに映ってるんじゃないですか?」
僕「あ、本当ですね。僕もここまで疑われて気分もよくないので、しっかり調べてほしいです。」

警官「いやいや。そこまでしなくても。わかりました。目撃者さんもいますので、簡単な聴取だけでいいですから。」
母親「・・・なんだかすみません・・せっかく助けていただいたみたいなのに、早とちりと言いますか・・・」

僕「いえ、お母さんはそれでいいと思います。世の中、確かに不安なことばかりですから。ただ・・」
母親「はい・・?」
僕「自転車、ちゃんとメンテナンスしないと、壊れちゃいますよ?お子さんを守る大事な乗り物ですから、たまにはチェックしてやってくださいね。旦那さんに言っておいてください。」
少女「おじさん、ありがとうね。」

少女は、ほっとしたようにそう言った。


母親の、お礼をしたいのでという誘いを断り、僕はその親子に帰ってもらった。
僕を助けてくれた女性と、警官2人、僕の4人で簡単な調書を取る。

女性「何かあるといけませんから!」
その女性と、連絡先を交換した。

警官「では、これで解散。お手間を取らせました。」
僕「いいえ。警察がしっかり仕事をすることが確認できてよかった。」
女性「では、さようなら。」

僕は車に乗り、その町を後にした。

まあ、みんな納得できたんだし、これでいいか。
あの女性、綺麗な人だったな。

また会いたい。
でも、連絡するのもなんだか下心丸見えだよなぁ。

次の週、同じ曜日、僕はまたその町を通った。
ああ、この場所だ。
僕は、近くのコインパーキングに駐車し、喫茶店に入った。

店員「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ。」

僕は、店内を見渡す。
窓際に、見覚えのある女性がいた。
ああ、あの人だ。今週もいたんだ。

ひょっとしているかな?と思って、何気なく寄った喫茶店。
本当に会えるとは思わなかった。

僕「あ、こんにちは。」
女性「・・はい?あ、先週のwこんにちはw」

女性(永作博美似、以下博美)

僕「永作さん?でしたか。先日はありがとうございました。あ、ご一緒しても?」
博美「ええ。どうぞ。」

僕「知人がいたのでこの席にします。ホット1つ。」
店員「かしこまりました。」

僕は博美の斜め向かいに座り、かばんを横に置いた。

僕「近くを通ったので、休憩に寄りました。ひょっとして永作さんがいらっしゃらないかなと思いまして。本当にいてびっくりしました。」
博美「私、けっこうこの喫茶店にいますよ。営業をしておりまして、休憩したり、資料整理したり、電話したり。。あ、失礼。」

博美はそう言うと、スマホにかかってきた電話に応対した。
僕もその時間を利用して、客先と電話でやり取りする。

博美「すみません。あ、先週も、ちょうどお客さんと電話してたんです。女の子が泣いてて、声をかけようかと思ったんですけど、ちょっと電話したり折り返したりで。」
僕「そうだったんですね。でも自転車のチェーン直すとか、汚れちゃいますしね。躊躇しちゃいますよね。」
博美「それはいいわけですよ。現に、えっと、」
僕「藤原ですw」
博美「ああ、そうでしたね。藤原さんは、助けてたわけだし。」

博美は、このあたりで働く営業マンだった。
年齢を聞くのは野暮だったが、僕の数歳年下ということだった。

僕「あ、もう行かなきゃ。先日は本当に助かりました。ここの支払い、奢りますから!」
博美「いいんですか?じゃあ、遠慮なく。これで貸し借りなしってことで!」
僕「ははっ。了解です。あ、今度、良かったらお昼ご一緒しません?この近くならよく通りますから。」

博美「私、基本一人でご飯食べてるので、時間が合えばいいですよー。」
僕「じゃあ決まりね。アドレス交換しても?」
博美「はい。」

出会いだけはちょっとだけ特殊だったが、こうして、ランチを伴にし、気づけば、普段の出来事をメールでやり取りし、またランチを一緒に行き。

今度はディナーを一緒に食べ、会う回数が増え。

そうやって、何か月かが過ぎ、いつしか、2人でいることが当たり前になっていった。

博美は、不思議な人だった。
普段は食事なんてコンビニやおひとり様でラーメン。夜もだった。

博美「だから、藤原さんと一緒だと一人ではいけないところに行けて嬉しいんです。」
僕「全く同じ意見だよ。僕も一人暮らしが長いから、いつか行きたい・・・ってお店ばかり増えて。こうやって永作さんが付き合ってくれて嬉しい。」

永作「あの・・今度のお休み、もし、お暇でしたら・・〇〇に行きたいんですけれど・・一緒に行きませんか?」
僕「え?温泉地の?僕温泉大好きだから、行きたい。連れてくよ。」
永作「私も温泉大好きです。で、その近くに美味しいお店があるんです。」
僕「んー、あ・・えっと、ひょっとして、△△かな?フレンチの。」
永作「そうです!チェックしてたんですけど機会がなくて!」
僕「いいね。僕も行きたかったんだ。」

波長というんだろうか。
思考回路が似ている。いや、違う似ているんじゃない。全く同じだった。

僕「ねえ、永作さん。」
博美「はい。」

僕「僕達、こうやって一緒に食事をしたり、出かけたりすることが当たり前になってきましたが。」
博美「・・・はい。そうですね。」

博美の顔が真っ赤になった。

僕「正式に、お付き合いしませんか?」
博美「・・・私でいいんですか?」

僕「逆に聞きますけど、これだけ会っておいて、お付き合いしたくない理由ってなんですかね?」
博美「確かにそうですよね。えっと、私、最近仕事ばかりしてまして・・・その・・しばらく誰かとお付き合いしていなくて・・・こんな私でいいんですか?」

正直、モテる子なんだと思う。
不思議な子だった。十分魅力的で、女子力も高いのに、女子力を気にする子。

僕「だって、食の好みは全く同じで、行きたいところも同じで、生活レベルも同じで、感覚も同じで、生活帯も同じで、迷う余地すらないんですが。」
博美「それが不思議すぎて・・・藤原さん、無理してません?私は全く無理してませんが。」
僕「それが・・・全くの素なんですよね・・・」


僕は予感した。
この子と付き合う。
いや、この子と、結婚する。

博美「こ、こんな私でいいんでしたら・・・その・・よろしくお願いします・・」

ここはとある料亭。

仲居「・・・あの、次の料理をお出ししても?w」
僕「あ、すみません、お待たせしちゃいましたね。」

仲居「まあまあ、お二人さん、ご夫婦かと思ってましたわ。これも何かのご縁ですわ。お幸せにw」
博美「バッチリ聞かれてましたねw」
仲居「おほほ。おばちゃん、久々にドキドキしちゃいましたよw」


なんだかんだで、正式にお付き合いをすることになった。

僕「例えばさ、今、僕は、この道路を博美と歩いている。」
博美「うん。」

僕「今、向こうから、女性が歩いてきてる。そうすると、どうなる?」
博美「意味が分からない。何の話?」

向こうから歩いてきた女性は、特に何もなく、僕たちの横を通り過ぎていく。

僕「今、横を通り過ぎて行った。実は、これは当たり前じゃないんだ。」
博美「どういうことかしら。」

僕「僕が今、一人で歩いていたら、あの女性は、もっと端を歩いていた。」

博美「ああ、そういうことね。女性だから仕方ないね。」
僕「だからきっと僕は、もっと端を歩いて、あの女性が端を歩かなくても済むように気を使うんだ。」
博美「うんうん。竜也君ならそうしそうだね。」

あの日、少女の自転車を直した。
実は勇気のいる行動だった。

僕は男性で、痩せているが180cmある。街を歩くときは、端を通る。
目の前から一人の女性が来れば、道を変えたりもする。
子供連れやご年配の方が通る時も同じだ。

案の定、あの時も警察を呼ばれた。
夜間、普通に歩いていただけで、それなりに感覚の空いた距離にいた女性が走って逃げて行ったこともある。
僕は、それなりに気を使って生活をしていた。
電車だってそうだ。一人で乗る時は、女性の近くを避ける。

僕「だから、博美に感謝。僕は今、普通に道を歩ける。それだけでもうれしい。」
博美「そういう苦労もあるのね。生き辛い世の中だねw」

博美に、特別な恋愛感情は生まれなかった。まさに、同志という感じだ。
一緒にいて居心地がいい。

綺麗な顔立ち。颯爽とした立ち振る舞い。
スラリとした脚。割と大き目な胸。

僕「ねえ、明日お休みだよね?」
博美「・・・うん。」

僕「じゃあ、食事が終わったら、帰らなくてもいいよね?」
博美「ええ。大丈夫。一緒にいましょうか。」

博美が僕の腕をつかむ。

この日、僕と博美は、繁華街近くのホテルに泊まった。

博美との行為は、スキンシップに近かった。
愛情表現の延長上とは少し違う。

会話をするように、行為をする。

お互い、恥ずかしがったりもしない。初めての夜も、そうだった。
彼女は、惜しげもなくその裸体を見せた。

博美「んー、気持ちいい。」
僕「触られるの、好きなんだね。」
博美「うん。あったかい。」

そのヒンヤリとした手で、僕のアレを優しく包む。
口をすぼめながら、先端にキスをしてくれる。
すこしずつ、根本まで包み込む。
ゆっくりとしたストロークだった。

いったん口から出し、片手で優しく愛撫する。
その口は、玉を片方ずつ、丁寧に口に入れ、舌で弄ぶ。

僕「丁寧なんだね。気持ちいい」
博美「ここ?このあたりがいいの?」

彼女の体は、弾力あるものだった。
運動をしっかりとし、代謝のよい子は、引き締まっていて弾力がある。
形良い乳房。張りのある肌。

優子や朋美、奈々子さんも、弾力ある体だった。
逆に、涼子や絵里奈、ユミなんかは柔らかな体だった。

そんなことを考えながら、彼女を愛撫した。
全身を舐め、また、全身を舐められた。

宿泊したホテルはその地域では最上級のところで、夜景も楽しめた。
博美「うわー。きれいな夜景んっあっ・・・だねっんっんっ。」

彼女は窓ガラスに手をつき、夜景を見ながら、僕をバックから受け入れた。
アソコは小さめで、根本まで入れるのは少しだけ苦労した。

治療薬というのは凄い。行為の間中、しっかりと効果があった。

僕は、そのまま果てた。
彼女は、ゴムをはずし、液体にまみれた僕のアレを、丁寧に口でふき取ってくれた。

博美「うふふ。歯磨きしようか。」
僕「ああ。もう一回シャワーも一緒に浴びよう。」

博美「結構汗かいたねー。何か飲みたい。」
僕「たしかシャンパンが備え付けであった気がする。」

シャワーを浴び、シャンパンを注いで、談笑する。

博美「明日、どこ行こうか?」
僕「んー、のんびりできるところがいい。」
博美「じゃあ、□高原行きたい。ちょっと遠いかな?」


僕「いいよ。ちかくにワイナリーがあるはず。ついでに仕入れよう。」

ああ、この感じだ。
僕が子供を連れて、どこかに出かける。
きっと、はしゃぎすぎて寝ちゃう。
そんな子供を車に寝かせ、助手席の彼女にささやく。
お疲れさん。今日は楽しかった?そう。良かった。また出かけようね。

助手席にいるのは、博美の気がする。

博美は、休みの日には僕に会いに来た。
そして僕の家に泊まる。

自宅で料理を作って持ってきてくれる日もあれば、僕が作る日もある。
彼女が来るようになって、僕の部屋の環境は変わって行った。

彼女は、暑がりで寒がり。なので、基本的に僕の家は冷房・暖房が常にかかる。
また、加湿器も部屋中に置かれた。空気清浄器もだ。

僕は食器に無頓着だったが、彼女はこだわりがあった。
気づけば、僕の家の食器棚は、彼女が持ち込んだ食器になった。

彼女と僕はこだわる個所がずれていた。
だから、お互いのこだわりには干渉しないことにした。

料理のスキルは同じくらいだ。
彼女は洋食が得意で、僕は和食が得意。

彼女の洋食は出が込んでいた。逆に、和食は簡単に作れるものが多い。
僕は洋食は手早く作れるものだけ。和食は手をかける。

博美「コンソメの基本は、この工程をじっくりと行うことなの。味が濁るから。」
僕「和の基本はこの工程。焦らないこと。じっくり行うこと。味が入らない。」

お互いがお互いを補っていた。

彼女と、本屋に出かけた。
雑誌を立ち読みする。

ふと、お互いの視線が、とある雑誌に注がれる。

結婚情報誌。

ああ、そうだよなぁ。
博美「これ買う?」
僕「そだね。」

博美は、目をキラキラさせ指輪の特集を見ていた。

僕「指輪が欲しいの?サイズいくつ?」
博美「うん?え?あー、じゃあ、今度一緒に行きましょうよ。私、自分で選びたい。気に入ったものが欲しいし。」
僕「いいよ。どこ行く?」
博美「いろいろ調べてからにするね。」
僕「なるほど。いろんなお店があるしね。」


今思えば、誰がどう見ても、博美はエンゲージリングの話をしている。
僕は、純粋に、博美は普通に指輪が欲しいのかと思っていた。だから、普通のジュエリーショップで、博美の好きなデザインの指輪を買うつもりでいた。

翌週

博美「でね。お母さんとも相談したんだけど、やっぱり単石のダイヤだと、〇〇とか、△△のブランドがオーソドックスだし・・・」
僕「あ、ああ、えー。うんうん。なるほどね。そうだよねぇ。そうか。そういうことか。有名どころだと、□□もいいんじゃない?ショールームも近いし。」
博美「え?ああ、最近できたみたいだね。行ってみましょうよ。」

僕は、最初の会話だけで悟った。
ああ、先週の話題、エンゲージリングのことだこれ。まあ、それならそれでもいいか。

ここから数か月、指輪探しが続いた。
並行して、式場選びが始まった。

とある夜。電話が鳴った。
登録されていない番号。

僕「はい。藤原です。」
朋美「お久しぶりです。朋美です。」

僕「え・・・え?ああ、朋美?ごめんごめん。過去にアドレスを整理しちゃってて、登録消えてたみたい。びっくりした。どうしたの?」
朋美「そんなもんだよ。過去の女の事なんてw」

久々に、朋美から連絡が来た。
朋美は、長くない時間ではあったけれど、情熱的に、お互いを求めあった、元彼女だ。
数年ぶりの連絡だ。

今の仕事のこと、当時のこと。話が弾んだ。

朋美「でね。来週、久々に地元に帰省するんだ。もしよかったら、食事でもいかが?」
僕「んー、食事くらいなら、いいよ。昔よく行った、あのフレンチにでも行く?」
朋美「懐かしい。いいよ。じゃあ、〇月〇日、19時くらいかな?例のフレンチで。予約はおまかせしてもいい?」
僕「了解。楽しみにしているよ。」

久々に会った朋美は、年齢を重ねて、深みが増した。
笑顔は、当時のままだった。

お互い、不健康ネタには事欠かない。

僕「もうさ、あの頃にスグ落ちた体脂肪が、今は1%も落ちないの。」
朋美「わかる!私もとうとう〇〇%超えちゃって!」
僕「限りなくアウトじゃんw」

話は弾み、あっという間に食事の時間が終わる。

僕「あ、結構な時間だね。」
朋美「そうね。・・・ねえ、もし時間があるなら、ファミレスでいいから時間つぶししない?」
僕「ん?いいよ。行こうか。」

僕は彼女を車に乗せ、ファミレスに向かった。

僕「あ、そうだ。貰ってほしいものがあるんだ。助手席の前の小物入れに入ってる。」
朋美「あら?この、ブランドの包みに入ってるもの?開けてもいいの?」
僕「うん。どうぞ。」

朋美「・・・これは?どうして?こんな高級な物、受け取れないよ。」
その包みの中には、とあるブランドの指輪が入っていた。

僕「ちがうんだ。その指輪は、僕らが付き合った頃、買ってあった。渡しそびれてたんだ。踏ん切りがつかなくて。」
朋美「・・・どういう意味?・・・私を、待ってくれていたの?」
僕「え?いやいや、ごめんそうじゃない。本当に、当時渡しそびれてたものを、本来の持ち主に返したいだけさ。」

指輪。小指にはめる、ピンキーリング。
朋美「・・・そっか。カワイイ。貰っていいなら、貰うね。」

ファミレスで、朋美が、いろんな話をしてくれた。

彼女は、会社を辞め、向こうで知り合ったパートナーと事業を起こしていた。
そして、事業は成功したものの、パートナーの裏切りに会い、別れた。事業は別のパートナーとしているそうだ。
この数年の間に、両親も他界。この日は、身辺整理も兼ねて帰省していたようだった。

朋美「結局、男運だけは皆無なのよね・・」
僕「あはは。理想が高いからな、朋美は。」

朋美「竜也は?最近どうなの?」
僕「んー、将来を見据えてる人はいるよ。このままいけば結婚だろうね。」
朋美「そっかぁ。いいなぁ。自分で離した男とはいえ、もったいないことしたなぁw」

僕「何言ってるんだか。きっと、僕は、別のタイミングで捨てられてただろうさ。朋美は、そういう子だよ。」
朋美「否定できない自分が悲しいw」

彼女は、少し沈黙し、切り出した。

朋美「・・・私、朝まで漫喫かどこかで時間つぶすから。もう帰ってくれていいよ?」
僕「え?宿とってないの?実家は?」

朋美「実家に、私の居る場所なんてもうないよ。宿も確保してない。明日の〇時の新幹線で帰るつもりだから、特に用意もしてないんだ。」
僕「もう、そういうことは早くいいなよ。もう深夜だよ?さすがに放っておけないよ。」

朋美「寝る場所だけでも、どこかで確保したいな。あ!でも、あなたの家には絶対上がらないから。」
僕「相変わらずの意味不明な主張だな。うちにおいで。ベッド貸してあげる。僕はソファで寝るから。」
朋美「独身の男の家なんて、危なくて泊まれません!」
僕「もう、そういう建前いいから。車に乗りな。行くよ?行かないなら、ここで置いてくからね。」
朋美「じゃあ置いて行って。」

僕「はいはい。相変わらずだね。会計はするから。好きにしなさい。じゃあね。」

僕は会計をし、車で帰る。
10分後、彼女から電話が入った。

朋美「ちょっと!本当に帰ることないでしょ!」
僕「え?帰るって言ったじゃん僕・・・」
朋美「薄情者!私、女だよ?」
僕「うるさい!じゃあ、最後にもう一回だけ言うよ?うちに泊まりな。泊まらないなら勝手に探せ。返事は?」
朋美「・・・意地張ってごめんなさい。お願いします・・・」
僕「最初からそういえばいいんだよ。そういうところ、直した方がいいよ。」

朋美「じゃあ、待ってます。。」

きっと、彼女は寂しかったのだろう。
女性が一人きりで生きていくには、今の都会は窮屈で、とても寂しいところだから。

朋美「絶対、覗かないでよ!」
僕「覗かないよ・・」

彼女は、僕の家でシャワーを浴びた。
僕は、その間、ブランデーをシングルでチビチビと飲みながら、冷蔵庫にあった残り物をつまみにする。

朋美「シャワー借りました。さっぱりした。ありがとう。」
僕「いいよ。あ、下着が気になるなら、洗濯機使っていいから。」
朋美「お借りします。ごめんね、突然来て、しかも気を使ってもらって。」

僕「今回だけね。次回はないからね。」
朋美「分かってますよーだ。」

僕はグラスに残ったブランデーを飲み干す。
朋美「竜也もシャワー浴びる?」
僕「ああ。そうする。適当に寛いでて。もう遅いから寝ててもいいよ。」
朋美「はーい。」

シャアアアアア

なんでこんなことになったんだろう。
中途半端な優しさは、相手を傷つける。
あれから、お互いに時間が経った。戻ることはない。
現に、戸惑っている自分がいる。もう他人なんだから、面倒を見なくてもよかった?
いやいや、女性を放っては置けない。
いやしかし。
でも、

うーん。

少し、長めのシャワー。
キュッ

ふぅ。

タオル片手に浴室から出る。
トランクス・Tシャツ・ジャージを身に纏い、リビングに戻る。
彼女は既に、僕のベッドに入ってスマホのチェックをしていた。

僕「あの」
朋美「なに?」

僕「なんで服着てないの?」
朋美「だって洗濯してるし、男の人の服なんて着れないし。お布団、気持ちいいよ?」
僕「なんだそれ・・・電気消すよ。僕はこのソファでで寝るから。」

朋美「竜也、起きてる?」
僕「うん。」

裸の女性が、僕のベッドで、寝ている。
時折、ベッドのシーツが擦れる音がする。少し大きめの息遣い。
それで寝ろという方が酷だ。

朋美「ごめんね。眠れないの。」
僕「そうか。せめて、静かにしていてくれ。」
朋美「ねえ・・安心させて・・・キスしてくれたら、寝るから。」
僕「あのね?僕も男なの。わかってるでしょ?裸で寝ておいて、キスしてっておねだりして、我慢しなさいって無理だから。早く寝てください。」

朋美「・・・わかってるよ・・でも、お願い。今日だけでいいから・・・甘えさせて。・・寂しい・・お願いだから。」

そう言うと、彼女は、何も着ていない姿のまま、僕の所に来て、その身を預けてきた。
有無を言わさず、僕のジャージをおろす。
僕の脚に、彼女の脚が絡まる。
ひんやりとした、濡れた感触。

彼女のアソコは濡れ、太ももにまで垂れていた。

僕「え・・ちょっと・・んっ・・・それは卑怯でしょ・・・」
朋美「久しぶりに甘えられるかもって想像しちゃったら・・・もう、我慢できない・・ごめん、ベッドもう汚しちゃってる・・・」
彼女を抱きかかえ、ベッドに移動。布団を捲ると。

シーツにはすでに大きなシミがあった。
彼女は、ベッドで、ずっと悶々としていたのだ。

僕「・・・いいの?」
朋美「そうじゃないの。してもいいよ?違うの!お願い・・・してください。」

全部脱がされた。
ねっとりと、舐めまわされた。アレは、グチョグチョになるまで吸われた。ゴムを用意しようとしたら、捨てられた。
朋美「要らないよ。全部中に出して。」
僕「いやさすがに」
朋美「良いって言ってるでしょ!その後なんて気にしないで!」
彼女の舌が、僕の口に入ってくる。呼吸ができない。

馬乗りになり、僕のアレを求める。ドロドロのアソコは何の抵抗もなく奥までずっぽり入ってしまう。

朋美「んっ!んっ!んっ!もっと!もっと!もっと!」

めちゃくちゃだった。
果ててもお構いなしだった。
彼女自身が逝っても、関係なかった。

ただ、お互いの液体だけが、シーツを汚す。
僕は、治療薬を途中で飲んだ。
最後にもう一回だけ、バックで果てた。

彼女は、明け方になり、予約してある新幹線の時間ぎりぎりになるまで、僕のアレを口に含んで離さなかった。

彼女と直接会ったのは、これが最後だった。
ふとしたきっかけで、今はSNSで繋がっている。

もう会うことはない。たまに連絡が来たりするが、ご機嫌伺い程度だ。
僕は、彼女が僕にそうであるように、彼女が幸せになることを心から願っている。



博美「あれ?シーツの柄変わった?」
僕「うん。前のは捨てた。」
博美「季節も変わるし、模様替えしない?って聞こうと思ってたから、変わっててびっくりしたw」

僕の心は、少しだけ痛かった。

まあ、結納前で、正式に婚約してた頃じゃないのでという言い訳を。

もうちょっとお話を進めると、、言い訳の効かないこともしでかしてますが・・

とはいっても、もう主要な登場人物は殆ど増えない予定なんですよね・・・
このSSも最終章。

どうして書こうと思ったのか。
きっかけはありました。

過去を振り返るきっかけがあって、もう一度過去と向き合ってみた。
そんなSS。

もちろん、時系列が実際と違う人もいる。
セリフも、実は他の人と入れ替わったり。エピソードもシャッフルしていたり。相手のいることなので、特定を避けるため。
実際と微妙に内容を変えたエピソードもあります。

僕が書きたかったのは、彼女達のおかげで僕が成長できたということと、彼女達への感謝。
そして、自分への戒め。

完結まで残りわずか。
少ない時間ですが、最後まで読んでいってください。

今日はお休みなさい。どうやってSSを完結に向けて進めていこうか少し悩み中。

なんだよフェイクがあるなら創作じゃないかと思われる方は、創作のSSだと割り切って読んでください。
僕もそのほうが気楽です。

それでは。

僕はキリスト教じゃないし、チャペルでウェディングというのに興味がなかった。

僕は地元で生まれ、七五三も元服も地元の神社で祝った。初詣も地元の神社だ。
それなら、結婚式も地元の神社でしたい。

ささやかだったが、地元の神社で式を挙げた。

式には、京介・堅・絵里奈・玲奈・沢村さん・鈴木さん・淳・未來も駆けつけてくれた。
地元の神社だ。噂を聞きつけて、小・中学校時代の同級生達もやじ馬に来ていた。

皆に祝福されて、神社内を歩く。博美は、白無垢で綺麗だった。
僕は、紋付き袴。

口上を述べる。
巫女さんに促されの三々九度。

準備に半年以上。でもあっという間に終わった。

二次会は、とある会場を貸し切った。200人以上という大きなものになっていた。
僕と博美は、これだけ多くの人に囲まれ、祝福されていた。
僕は一人だ。そう思っていた時期もあったけれど、僕は一人じゃなかった。

感謝。感謝。

優子「久しぶりね。」
僕「お、優子か。元気?二次会来てくれてたんだ。ありがとう。」
優子「当たり前でしょ。おめでとう。」
僕「ありがとう。あ、去年結婚したんだよね?おめでとう」
優子「ありがとうw」

優子も、昔の面影もあるが、年相応の落ち着きをはなっていた。
時代は遷る。

絵里奈「あーあ。結婚しちゃったかー。お兄ちゃんがとられちゃう!」
博美「ふふ。この前は楽しかったですね。いつでも遊んでやってくださいね。」
堅「そう言ってもらえると嬉しいです。また一緒に遊びましょう。」
僕「いや・・過去の黒歴史をばらすのだけはもう勘弁・・・」

淳「お前も結婚か。俺くらいだな、未婚なの。」
僕「趣味が多すぎるんだよ淳は。またこっちに用事がある時は、遊びに来いよ。」
淳「今までは気楽にこれたけれど、奥さんいるなら行きづらいよ。」
博美「全然気にしませんよ?いつでもどうぞ!あ、この前のお酒、美味しくいただきましたよ!」

沢村「おめでとう。また遊びに行くからな。」
僕「ありがとうございます。僕も用事ができたら、そちらに伺いますから。」
博美「あ、噂の沢村さんですね。お噂はかねがねw」
沢村「お前、何を吹き込んだんだ?あ、僕は普通の人だからね!」

博美は、二次会の後、友達と3次会に。
僕は、大学時代の友達・後輩と3次会・4次会。

ホテルに帰ったのは深夜だった。

博美「楽しかったね!」
僕「ああ。祝福されるのも、悪くない。」

博美「・・・今日から、よろしくお願いします。」
僕「こちらこそ、よろしくお願いします。」


僕と博美は、結婚した。

新居は、地元近くに構えた。
内装のわりに、割安な物件だった。僕たち2人の収入であれば、十分に満喫でき、かつ貯金もしっかりできる。

お互いの仕事が落ち着くのは半年後くらいだったから、新婚旅行はそれから行った。

博美「子羊って苦手なんだけれど、この国のは美味しいね。」
僕「そりゃあ、ちょっと違う。この国だから美味しいんじゃない。この店だから美味しいんだよ。」

その国でも有数のレストラン。
世界には、選りすぐりのお店がたくさんある。
そこには、最高級の食材が集まる。
どの国の料理でも、最高級のものを使えば、だいたい美味い。

日本人、とくにハネムーンの客はどこに行っても重宝される。
そのツアーにも、他の新婚さんもいた。

添乗員「これから、この国最大のリゾート地までご案内致します。レジャーは少ないですが、有数の自然と、最高級の食事をご堪能ください。」
僕「いいね。のんびりできる。」
博美「あ、セスナ機に乗れるんだって。これ乗ってここ行って、ここで買い物して・・・」

添乗員「このツアーはいかがですか?」
僕「自由時間も多いし、オプショナルも充実してるし、無理な要望もできる限りこたえてくれるし、いいツアーですよ。」
添乗員「今回のお客様は、皆良い人ばかりなので、当たりでございますよ。楽ですw」

博美「あーあ。帰りたくないなぁ。帰ったら仕事か・・・」
僕「そうやって働いて、またお金を貯めて、また来よう。」
博美「そうね。また来ることを夢見て、働きますか。」

世の中には、ハネムーンベイビーという言葉がある。
この旅行中に、僕たちの間に、新たな命が宿った。


博美「竜也君、あのね・・・」

僕が帰宅すると、先に帰宅していた博美が、検査薬を見せてきた。
予感はあった。

僕「お、そんな気はしてた。最近、ぼーっとしたり、熱っぽそうだったから。」
博美「パパになった気分は?」
僕「んー、父性は生まれてこないと湧いてこないって言うしなぁ。そっか・・僕がパパかぁ。パパねぇ・・・とりあえず、やってほしいことは全部言ってね。男は言われないとわからない生き物だから。」

博美は両親と仲が良く、また新居からもそう遠くない位置に実家があったため、よく帰省する。
週末は実家でゆっくりしたいということで、だいたい帰省していた。妊婦だし、家事をさせるのも気が引けていたので好都合だった。

もともと、僕は一人暮らしが長いので、基本的に家事も問題ない。

週末はお互い、気ままに過ごすというのが当時の僕たちのルールだ。
実家への送り迎えは基本的の僕だ。

義父「竜也君、いつも悪いね。」
僕「いいえ?また今度一緒に釣りに行きましょ」
義父「いいねぇ。この前の魚、美味かったよなぁ。」
義母「本当、竜也君が旦那さんで良かった。うちの子、これからもよろしくね。」

博美のご両親との関係も良好だ。
彼女を迎えに行く時は、晩御飯を一緒に食べる。僕は自分の両親とあまり関係が良くないので、嬉しかった。

これが、家庭を持つってことなのかなぁ。
ぼんやりと、そう思った。

同窓会があった。
中学時代の同窓会だ。

なんでも、神社での僕の結婚式に何人かやじ馬で来ていて、それがきっかけで久しぶりに集まろうという話になったらしい。
声をかければそれなりに集まるもので、50人くらい集まった。恩師も来ていた。

僕「僕、今でも覚えてますよ。先生、僕のノートを見て『きったねぇノートだな!これじゃ読めない!』ってみんなの前で言われたんです。」
恩師「え、そんなに失礼なこと言ったんねすね。申し訳ない。」
僕「とんでもないですよ。それがきっかけで、僕は丁寧に書くことを意識するようになったんです。」

恩師は今、別の中学で校長先生をしているという。
時代はどんどん遷りゆく。

そんな中、見つけてしまった。

(高田万由子似、以下万由子)

万由子「藤原君、お久しぶりです。高田です。覚えていらっしゃいますか?」
僕「ああ、覚えてますよもちろん!成人式以来ですね。たしか京都の方の大学へ行かれたんですよね。今は?」
万由子「今は地元に戻って、結婚して、2児の母です。もう小学生ですよ。」
僕「そうでしたか、高田さん、あ、マユちゃん。マユちゃんももうお母さんか。」

万由子は、いわゆる初恋の子だった。

知的で、物静かで、小学校の頃から綺麗な子だった。
たまたま、隣の席になって、万由子が忘れ物をしたときに何かを貸してあげたんだと思う。
それ以来、仲良くしていた記憶がある。

小学生特有の、男の子と女の子が話しているとからかわれたりということもなく。
中学一年まで、同じクラスだった。

だから、当然のように、万由子のことを好きになっていった。
淡い恋心。

彼女は、中二の時、当時の番長と同じクラスになった。
そこで番長にイジメを受けた。
僕は怖くて、それをやめさせるようなこともできなかった。

中二・中三の彼女の苛められぶりは、可哀そうとしか言いようがなかった。
女子たちとはそれなりに上手くやっていた。でも、番長からは苛められていた。
きっと、番長は万由子のことが好きだったんだと思う。

助けられない。でも、自分が標的にされたくない。僕のトラウマの一因はこれだ。
僕は自己嫌悪に陥り、食事を摂れなくなった。それが僕の摂食障害の始まりだった。

彼女は、頑張って勉強し、有数の進学校へ行った。
卒業後、街で見かけた。

万由子「藤原君、お久しぶり。卒業式以来だね。」
僕「うん。マユちゃん、少し雰囲気変わったね。良かった。元気そうで。」

万由子「あ、そうそう。その・・・卒業式、誰かに・・・ボタンあげたの?」
僕「貰ってくれる人なんていないよwあ、知ってる、〇〇、ボタン20個用意して、全部持ってかれたってw」
万由子「私・・・待ってたのになぁ。藤原君が来るの。」

僕「・・え・・ちょっと・・」
万由子「なんてねー。またね。バイバイ。」


万由子「藤原君。久しぶりやなぁ!成人式で戻ってきてよかったわぁ!」
僕「マユちゃん?綺麗になったねぇw振袖似合ってるよ。でもなぜ関西弁w」
万由子「うち、今、京都なん。しゃべり方が、写ってしまって(笑)」
僕「あー、こんなに綺麗になるなら、中学時代に戻って、玉砕覚悟で告白しておけばよかった!ワンチャンあったかもなぁw」
万由子「あはは。藤原君とは無理やったわぁ。もっと身近で、もっと大切な人やったし。。。w」

そっと、万由子の手を握った。万由子はニコニコしていた。
万由子「・・・思い出は、思い出のままがええよ。」
僕「どんどん美化されていっちゃうよ。」
万由子は、手をぎゅっと握り返し、そっと離した。
万由子「覚えていてくれて、ありがとうね。」
僕「忘れるもんか。僕の淡い時代の思い出なんだから。」



万由子「藤原君?」
僕「あー、ごめんごめん。マユちゃんの思い出にふけっていたよw」
万由子「えー、ありがとうwそうだね。今だから言えるけど、藤原君、私の初恋だったな。」
僕「僕もだよw当時勇気を出してたら、違う道もあったのかな?w」

楽しく飲んだ。
万由子だけでなく、皆と連絡先を交換した。

僕は、万由子と連絡を取り始めていた。

とある週末。
僕は万由子と会った。

万由子「まだ新婚さんなんでしょ?いいの?私なんかと会ってて。」
僕「じゃあ、なぜ僕と会ったの?」

分かってる。分かってるんだ頭の中では。
万由子は、僕の淡い記憶で美化されている。
今、彼女は主婦で、2児の母として平和に暮らしている。

僕は、これから父親になる。
分かってる。

僕「・・・なんだろうな。過去の清算?んー、別に過去にマユちゃんと付き合ってたわけじゃないけど、んー、変な感じ。」
万由子「私は今の生活に不満はないよ?だから、口説きたいなら他をあたってね。今日はたまたま用事がなかったから来たけれど。」

嘘だ。
それならもともと誘いを受けない。

僕「口説きたい?んー、そりゃあ、口説きたいけど、そこまで家庭を蔑ろにしないし、ホイホイとついてくる子なら、むしろ軽蔑するよ。」
万由子「そう、良かった。でも久しぶりね。二人で話すなんて。」
僕「あの頃は、時間なんて無限にあったからなぁ。」

僕は、懺悔したかった。
許されるわけでもないし、許してもらったらどうなるものでもない。
苛められているのを知っていたこと。
助けられなかったこと。

万由子「覚えてないんだ。じゃあ。」
僕「ん?」
万由子「藤原君は、ちゃんと助けてくれていたよ?」
僕「え。いや。助けられなかった記憶しかないよ・・・」

万由子「図書室で待っててくれたでしょ?一緒に勉強してくれた。」
僕「・・・」
万由子「帰り道、偶然を装って待っててくれた。」
僕「・・・」
万由子「だから、私は頑張れたんだよ?」
僕「そっか・・・よかった・・・よかった・・」

万由子「泣くことないでしょうw」
僕「歳とると涙腺が弱くなるんだよ!」

僕は、万由子を救ったんじゃない。
万由子が、僕を救ってくれたんだ。

本当の意味で、過去の呪縛から、解放された。
そんな気分だった。

僕「マユちゃん、今、幸せ?僕は幸せだよ。」
万由子「物足りないと思う日も、正直あるよ。でも・・・うん。幸せだと思う。」

僕「たまにでいいんだ。こうやって、お互い自由な時間の時に、お茶をする時間を共有するってのは、迷惑かな?」
万由子「何、誘ってるの?w私、もうおばさんだよ?w」
僕「僕もおっさんだよw家庭に干渉したり、自分の家庭を蔑ろにしたりはしない。そこはわきまえるよ。2人が危険だと思うなら、プチ同窓会でもいいよ。他の子も呼ぶから。」

万由子「そこまでされる時が引けるから。いいよ。たまにお茶するくらいなら。でも、その・・・あまり期待しないでね?」
僕「あれ僕そんなにがっついてる?そんなつもりもないんだけれど・・」
万由子「もう、おばさんをあまりからかっちゃだめよ?ふふ。」

万由子は、その言葉と裏腹に、僕と会いたがった。その頻度が増していく。

僕「ちょっと話があるんだ。」
万由子「わかってる。何が言いたいか。今の私は、どうかしてると思う。」
僕「分かってるなら話が早い。この時間をもてることは嬉しいし楽しいけれど、家庭を大事にしないなら別だ。もう会うのはやめよう。」

万由子「元々は、藤原君が誘ったのよ?私は、今までの生活で不満がなかった。なのに・・」
僕「人のせいにするのは簡単だよ。ただのきっかけに過ぎないよ。きっと、僕じゃなくても、いつか、こうなるんじゃないかな?」
万由子「・・・この前の同窓会後、実は、他の人からも連絡があった。だから、否定できない。」

僕「マユちゃん、綺麗だからね。しょうがないよ。」
万由子「その言い方だよ。主人はもう、そういうことを言ってくれない。私はもう、母なの。女として見られて、嬉しくないわけないじゃない・・・」
僕「罪悪感もあるでしょ?」
万由子「毎日、申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。でも会いたい。」

僕「関係を持つことは簡単だよ。でも、それを断ち切るのって大変。僕が断っても、次を探すようになっちゃうよ。僕はそういう人をたくさん知ってる。マユちゃんには、そんな子になってほしくない。」
万由子「藤原君・・・他にも手を出してるんだ・・・」
僕「え?まさかw僕の先輩の相手の話だよ。」

万由子「じゃあ、思い出を頂戴。それでもう一切会わない。」
僕「会わないとして、他の子を探すの?」
万由子「わからない。でも、この苦しさから解放されたい。」

僕「じゃあ、その後、ラインも消すけどいい?」
万由子「良くないけど・・・消す。いい機会だとおもう。」

その日の午後、とある休憩室。
2時間という限られた時間。
僕と彼女は、体を重ねた。


万由子「恥ずかしい・・・私の体型・・・おばさんだよね・・・」
僕「主婦として、頑張ってるんだなと思えるよ。いい手だ。」

洗い物も頑張ってるんだな。
自分の体を労わる時間なんて、そんなに取れないんだろうな。
僕は、彼女の体を労わった。

僕「マユちゃん、声を上げるべきだよ、旦那に。私を見てって。」
万由子「怖いよ・・・もう、母親として見てないよ。」
僕「それの何が怖いんだ?今の体型に恥じることなんてないさ。育児を頑張ってる証拠さ。」
万由子「んっ・・・・あったかい・・・あっ・・・あっ・・・」

僕は、全身をマッサージした。少し強めに揉んだ。
きっとしばらく刺激されていない部分を、愛撫しつづけた。
万由子「んっ・・んんんっ・・・主人は・・・あっあっあっ・・・私を見てくれるかな・・・んっいやっやだ・・・やめて・・・あんっ・・・」

意外にも、僕のアレはすんなり入った。挿れながら、ク〇トリスを責める。
僕「あったかい。きもちいい。」
万由子「やめっ・・・・あんっ・・・あんっあんっ・・・んんん・・・」

彼女は、仰け反って逃げようとする。それを押さえつける。
背徳感。それだけが僕を支配する。

僕「そら、どうよ?旦那に申し訳ないか?申し訳ないけど、気持ちいいのか?んっ・・ああっ・・」
万由子「ごめんなさい!ごめんなさい!もうやめて!もう会わないから!あんっ・・やだっ・・やだっ・・・んっ。んっ!!!」

後ろ向きになったとこで背後から突く。
肩をつかみ、押し当てる。そのままベッドに倒す。グイグイと突く。

万由子「いやっ!!んっ!!んっ!!ああっ!!」
そのおしりを両手でつかみ、根元までアレを入れる。ゴム付きのまま、中で果てる。

僕「・・ふぅっ・・・はぁっ・・はぁっ・・・んっ・・・」
万由子「・・・んっ・・・はぁっ・・・」


僕「もう会わない。それでいい?」
万由子「うん。もう会わない。気づいた。やっぱり、私には、主人が一番。藤原君には申し訳ないけど、主人の方が気持ち良かった。」

僕「悪かったなw下手でw」
万由子「そうじゃないよw気持ち良かったんだけど、やっぱり、主人とがいい。もう一度女として見てもらえるように頑張る。」

僕「そっか。僕がヤリ得しちゃった感じがあるけど・・・」
万由子「こんなおばさんを口説いてもしょうがないよw藤原君、お父さんになるんだから、もうこういうの止めなさいよ?私が言えた義理じゃないけれど・・・」

分かってるよ。
僕は父親になる。


不安なんだよ。
父親になるのが。

博美「よいしょっと。ふぅ。ありがとう。」
僕「腰いたい?大丈夫?」

博美「なんとか・・・もう会社に行くのも無理・・産まれるまで暫く実家暮らしでもいい?」
僕「いいけど・・・僕ってやっぱり頼りないのかな・・・」
博美「まさかwいつもこうやって助けてくれるし、ご飯も作ってくれるし、お洗濯もしてくれるし。私は本当に恵まれてると思うよ。本当にいい旦那さんだよ。」

心が痛い。

僕「それでもやっぱり実家の方がいいかー。楽だものねぇ。」
博美「違うの・・・竜也君に負担をかけたくないの・・・最近、竜也君、明らかに無理してる。そんなに頑張ってパパになろうとしなくてもいいよ。」
僕「無理・・してるのかな。」
博美「うん。無理してる。少し、羽伸ばしなよ。産まれたらもう、羽を伸ばす時間も無くなるよ。竜也君はそういう人だから。」

博美は、実家でしばらく安静にすることになった。
予定日まであと3か月もある。
完全な安産というわけではなく、すぐに病院にいけるようにしていないといけない。
緊急入院も視野に入れての帰省だった。

それでも週に数回は義実家で食事に行った。もちろん、仕事もそれなりにやった。

でも、夜になると、不安になる。
これから、激変する生活についていけるのかな。

そんな不安を消そうとするかのように、僕は夜の街へ出る。
様変わりした。
この10年で、知っている店もほとんど消えた。
また、新規の店を探す。
その店がなくなる。そんな繰り返しの10年以上。

ふと、とあるお店が目に留まった。
入ったことのないお店。
今日は、ここにしよう。

新規のお店に、一人ではいるのは勇気がいる。
開いていない時もある。
常連さんばかりで、肩身の狭い時もある。
雰囲気の悪い店の時もある。
もちろん、いい店もある。

今日は、どんなお店かな。


カラン。

「いらっしゃ・・・あ?あれ?え?・・・竜也さん?」

僕「え?・・・あ!?え?うわ。お久しぶり!元気だった?偶然だね!」

そこには、僕が地元に帰ってきたころによく通っていたお店のママ、優香がいた。

優香「竜也さん、お久しぶり・・・お元気そうで。少し太りましたね。ふふふ。」
僕「人の事言えないでしょ。優香ちゃん、前よりぽっちゃりしてるし。」

優香は、苦労したのだろうか。
昔より華のない感じだった。

優香「あ、これ、覚えてますか?」
僕「あ、僕のボトルだ。どうしてここにあるの?」

優香「前のお店を出る時、常連さんの殆どには声をかけたんですけれど。竜也さんには会えなくて。それで、もし次に会えた時のためにって、取っておいたんです。」
僕「そうだったんだ。うわ。懐かしいな。今はここで一人?」

優香「あはは、そうじゃないんです。」

彼女は、別のお店を経営していた。
足を運んだことはないが、僕も知っているお店だった。人気店だ。

優香「経営も順調。このお店は、私が息抜きでやっている、隠れ家みたいなもんなんです。はい、ロック。お通しはサービスですよ。」
僕「ああ、その笑顔。さっき入ってきた時は疲れてるように見えたんだ。良かった。昔の笑顔のままだ。」

優香と知り合って15年近く経っていた。お互い、おじさんとおばさんになったものだ。
昔話に花が咲く。

優香「最近ちょっとイヤなことが多かったんですけど、久しぶりにいい気分です!そっか・・・竜也さんに会えた。嬉しい。」
僕「そう言ってくれてうれしいよ。また来るよ。」
優香「はい。お待ちしてます。あ、ここ、曜日限定ですからね!」
僕「ホント趣味の店なんだね。優香ちゃんひとりでやってるの?」
優香「若い子もいるから!でも紹介しない!竜也さんが来たら若い子には帰ってもらいますから!」
僕「むちゃくちゃだな。またねー。」

僕はもう一本ボトルキープをし、帰った。
久々に、晴れやかな夜だった。

時代は遷る。
いいこともあれば、そうじゃないこともある。
前を向いていこう。

僕は、父親になるんだから。

カラン。

優香「あらいらっしゃい。」
僕「ロックで」

こじんまりとしたお店だ。
前の店ほど充実していないが、落ち着いたいい店だった。

常連客「あら、若い子が来たな。」
僕「失礼します。これからたまに顔を出すので、よろしくお願いします。」
常連客「礼儀正しいな。こちらこそ。ママ、知り合い?」
優香「知り合いも何も、前のお店でお世話になってた方で、もう15年の付き合いですよー。」

常連客「うわぁ凄い。僕の方が新参だ。よろしくお願いしますね!」
僕「いやいや・・・僕ここ2回目ですから・・いろいろ教えてください。」

常連客「じゃあ、僕は先に帰るから。またよろしく。」
優香「もう帰っちゃうの?あ、10時ですものね。いつものお時間。今日もありがとう。また来てくださいね。」

僕「いい店にはいい客が入るね。」
優香「そうですね。いいお客さんばかり。あ、一杯戴いても?」
僕「どうぞ。」

彼女は、一気に飲み干した。ストレートを。
せき込む彼女。

僕「ちょっとw大丈夫?」
優香「竜也さん強いの飲んでるんですね!げほっ!げほっ!」

むせながら、外の明かりを消す。

優香「ふっふっふ。今日は帰しませんよ!」
僕「ええ・・・」

優香「以前、介抱したことありましたよね?その逆です。」
僕「ああ、あったなぁ。」

彼女は、この10年を語りだした。
前のお店のオーナーは、旦那さんだったらしい。
この旦那さん、お店を出したものの働かない。愛想を尽かして別れたと。

今はやりたかったことをやれてる。
従業員さんも何人かいて、気楽らしい。

優香「ひっく・・・あの当時、本当につらかった・・・」
僕「そっかそっか。優香ちゃん、頑張ってたものね。でもお客さんがいなくて。」
優香「竜也さん達がよく来てくれて、本当にうれしかった。あの頃、ちょくちょくお店を空けてたでしょ?」
僕「ああ、10分だけお店見ててとかよく言われてたね。」

優香「あの当時はね、竜也さんにお支払いするお釣りもなくて・・カードで借金しに行ってた・・・」
僕「そう言ってくれれば、お釣りなんて要らなかったよ。苦労したんだね。」
優香「そんな失礼なことできない!絶対頑張るんだってプライドだけで仕事してた。」

彼女は、僕の隣に座った。肩に頭を預けてくる。

僕「お店、繁盛して良かった。」
優香「うん。竜也さん達が入口で飲んでくれたから。お店だって知ってくれた人が入ってくれるようになったのよ。」
僕「知名度だけだったから、足りなかったのは。」

ふと、彼女は立とうとした。
ヨロヨロとし、倒れこんだ。

僕「ちょっと・・飲み過ぎじゃない?立てる?」
優香「だってー。嬉しかったんだもんー。他の常連客なんて最初だけ来て今は誰も来ないしー。」
僕「酔っ払いめ・・ママが酔ってどうするんだよ・・・」

抱き着かれる。

優香「私ねー。旦那と別れてから、娘を育てて切り盛りするのに精いっぱいでー。こうやって会えてうれしくてー。ちゅっ・・気持ちいいー。」
僕「・・・頑張ったね。優香ちゃん。頑張ったよ。よしよし。」

優香「奥さんに内緒でいいからー。今日だけでいいからー。起きたら忘れてもいいからー。わたしもー・・忘れるからさー。ね?」
こじんまりしたお店の隅にあるボックス。そこに押し倒される。

のしかかり、キスされる。
おぼつかない手つきで、僕のズボンを引きはがす。

僕「優香ちゃんwちょっとwん・・・ちょっ・・・」

一心不乱に、僕のアレを貪る。

優香「先っぽだけね?ね?」
僕「盛りのついた高校生か!あっ・・・」

彼女は、乱れた。
いざという時の薬を忍ばせている自分が悲しい。

一回きり。
一回だけ、果てた。

その後、優香と関係を持っていない。
僕はお店に顔を出すが、優香に迫ったことも、優香が迫ってきたこともない。
「忘れていいから。」

今思えば、彼女なりの営業だったのかもしれない。
真偽は不明だ。

僕はこの記憶を、忘れることにした。
ここに書いて、もう、どこにもしゃべらないし、書かない。

カラン

(西内まりや似、以下まりや)

まりや「いらっしゃいませ。」
僕「あれ?ママさんは?今日、顔出すよってライン入れておいたのに。」

まりや「あ、ママは今日、どうしても外せない用事があるみたいで、本当は、このお店を開けないつもりだったみたいですよ。」
僕「そうだったんだ。悪いことしたな。そう言ってくれればいいのに。」

若い子だった。
綺麗だな。色白いな。

まりや「今日、私、初めてここに立ってます。ピンチヒッターですw」
僕「さらに申し訳ない。ごめんねわざわざ。」
まりや「いえいえ。竜也さんだけ相手にすればいいって言われてますから、気楽ですよ。」

まりやは、慣れない手つきでお酒を用意してくれた。
そして、外の電気を消す。

まりや「ゆっくりしてってくださいねー」
僕「え?貸切?そこまでしなくてもw」

まりや「・・・えっと、私が誰か、分かりませんか?」
僕「ええ・・・知り合い?え?いや?若い子に知り合いはいないよ?」

まりやは、クスクスと笑って、改めて自己紹介してくれた。

まりや「10年以上ぶりですものね。わかりませんよね。私、ママの娘ですよ!」

僕「・・・・?え?あー、そういえば、昔、お店に、たまに小っちゃい子がいたね・・・そうだよなぁ。ママが自分の娘だって言ってた。」
まりや「そういう私も、当時の記憶ってほとんどないですw」

僕「朧げだけど、あんな小っちゃい子が、こんなに大きくなるんだ・・・当たり前だけど・・・」
まりや「ですから、今日、竜也さんとお話ししたくて。ママの了解済みで貸切ですw」

まりやは、中学時代に荒れたらしい。学校にも行かず、警察に補導されては優香に迎えに来てもらっていた。
僕「寂しかったのかな?思春期だねぇ。」
まりや「母には、感謝しかないの。今は大学で勉強です。将来の夢もあるんですよ。」

いい子だな。
僕「悪かったね。突き合わせちゃって。ほぼ知らない男と2人なんて、若い子にはつらいよねw」
まりや「え?全然?むしろ、同級生の男には興味がないですwみんな子供ですよ。思春期にお父さんがいなかったからかな。竜也さんくらいの人が好みですものw」
僕「まりやちゃんに手出したら、ママに殺されるw」

まりや「竜也さん、いい人ですね。新婚さんって聞いてます。そんな人にアタックできないですよw」
僕「まあね。うーん、あれだよ?学生は青春を謳歌しなきゃ。学生の彼氏を見つけることだね。」
まりや「出来るといいですけど・・・あ、私、たまにお店にお客として顔出しますから。・・・また会ってください。」

色白の、若い肌。普段は着ないであろう、夜のお店用の洋服からは、少しだけ大胆にカットされた胸元から、まぶしい膨らみが垣間見えてしまう。
僕「よせ。胸元が眩しい。期待しちゃうからヤメテw」
まりや「え?あ・・・エッチw年上の男の人って、ほんとギラギラしてますよね。今の若い人に見習ってほしいです。何ですか?若い子の胸が見たいんですか?w」
僕「コラコラwちょ・・・見たいwでも見ちゃいけないw」

僕「と、とにかく、今日はありがとう。またね。おやすみ!」
まりや「はいー。おやすみなさい。あ、ライン交換!」

世の中年男性は若い子が好き。
そう言われる理由が少しだけわかった。

奥さん大事に、だね

予定日きっかりに、娘が生まれた。

博美「もう無理。もうダメ。もう死ぬ。」
僕「よくやった・・・・よく頑張った・・・」
博美「え?なに?もう産まれたの?」

不思議な感覚だった。
さっきまで母親の胎内にいた一部が、自発的に呼吸していた。
本当に、赤ちゃんが生まれた。

ひとしきり泣き叫んだあと、娘は博美の胸元でスヤスヤと寝た。
助産師「おめでとうございます。元気な赤ちゃんですね!」

名前の候補はいくつか考えていた。
産まれてみて、娘の顔を見て、その候補の中から選ぼうという話だった。
顔を見た瞬間、一つの名前が浮かんだ。
その名前で命名した。

産前、産後の女性は手負いの野生動物だと思えという教えは本当だ。
何をしても文句を言われる。

それでも、僕なりに一生懸命頑張った。
それでも、いつも文句を言われた。

娘の面倒を見ていれば、なぜ家事を手伝わないのかと言われ、家事を手伝えば、ちゃんと娘を見ていてくれなきゃ困ると言われ。
たまには息抜きしてきていいよと言われて出かければ、1時間もすれば「いつまで遊んでるんだ」と言われた。

これが家庭を持つことなのかな。
とにかく、休まる時間が全くなかった。
博美も、休まる時間がなかった。
お互い、いわゆる高齢出産だったため、何をするにも体力が足りなかったのだろう。

つい先日、お互いに飲みながら、当時の話をした。
博美「んー、産後はイライラしてたなぁ」
僕「いっつも文句言われてたよ・・」
博美「え?そうだっけ?いっぱいいっぱいで、文句を言ってた記憶もないよ・・・」

僕「そういうもんかねぇ」
博美「それに、私は何の不満も持ってないよ?ママ友も、昔からの友達も、旦那さんの愚痴ばっかり言ってるけど、私一切そういうのないよ?」
僕「そうなんだ。不思議。僕何も手伝わないのに・・」

博美「娘ちゃんと毎日お風呂に入ってくれるし、いつも早く帰ってきてくれるし、しっかり稼いでくれるし、好きなことさせてくれるし、ご飯作りたくない時は作ってくれるし、休みの日はちゃんと娘ちゃんの面倒見てくれるじゃない。イクメンだよ?」
僕「それはイクメンじゃないよ、ただの「父親」だよ。」

僕が社会人として模範的かどうかはわからない。
少なくとも、この家庭において、僕は父親として必要とされているようだ。

僕「出張ですか?」
社長「うん。基本取引契約の締結だけだから。判子その場で押していいからね。」
僕「流石に、持ち帰って中身を吟味しないと。」
社長「いいよいいよ。事前に貰って内容確認してるから。」
僕「その内容を確認して、照らし合わせたいので、資料いただけますか。」
社長「相変わらず固いね。わかったよ。」


博美「珍しいね、出張なんて。」
僕「結婚前は、海外に拘束されたりいろいろで結構あったんだけれどね。最近はなくなってたな。」
博美「今回の出張が国内なだけマシなのねw」
僕「そうだね。あ、前働いてた会社の近くだから、淳にも会おうかと思ってるんだ。今から行って企業の案内を受けて顔合わせして、夜淳に会って、翌日の午前中に会議があって、そのまま帰ってくるからね」

僕は、前の会社の近くにある企業へ出張に行った。
以前は頻繁に出張があったが、最近は滅多にない。
まあ、出張の殆どはわざわざ行く必要がなかったし、市村さんが遊びに行きたかったから同行していただけだ。

久々に訪れる、前の会社のある地域。

駅に向かい、かつて通い慣れたホームから新幹線に乗る。
あの頃は自由席だった。
今は、グリーンの指定席。
移動時間を利用し、資料に目を通す。

要点はここだな。
後は内容確認。まあ一般的な契約書だ。問題ない。

時間は・・・
まだまだあるな。ちょっと一休みしよう。


全ての事には繋がりがある。
僕はこの後に起こる再会を全く予期していなかった。

約束の時間までは、まだ少しある。

この駅も、よく使ったな。
15年も経てば、駅も様変わりする。
目に映るものの中で、ホームと改札以外、何一つ面影がない。

かつてあった売店もなくなり、コンビニとカフェに変わっている。
僕はコーヒーを飲みながら時間をつぶした。

駅からタクシーでその企業へ出向く。
守衛さんに、取り次いでもらう。

守衛「はい。藤原さんという方が、△△さんへ面会のお約束です。あ、はい。了解いたしました。」
守衛「お待たせしました。案内係を寄こすそうです。少々お待ちください。」

僕「ありがとうございます。」
守衛「それが仕事ですので。しかしめっきり寒くなりましたね。」
僕「本当ですね。着込んで来て正解でした。今年の冬は、寒そうですね。温暖化ってなんなんでしょうね。」
守衛「まあ、式を感じることも大切ですからね。あ。これ来客者様用のバッジです。」
僕「はい。つけておきます。」

「お待たせしました。・・・あら?藤原さんって本当に藤原さんだったんですね。ご無沙汰してます。」

僕はその声を聴いて、振り返った。

そこには、涼子がいた。

僕「あ・・・ご無沙汰してます。本日はよろしくお願いします。」
涼子「相変わらず、動じない人ですね。ご案内します。」
僕「あなたも、相変わらずですね。」

淡々と進む会話。
スタスタと歩く涼子。涼子はかつての恋人。僕のエゴで、一方的に振った女だ。今、彼女はどんな気持ちでいるのだろう。
そして、なぜこの会社にいるのか。

疑問はたくさんあるが、とにかくビジネスが先だ。


スラリとした体型。
同い年なのだから、アラフォーだよなぁ。
もちろん、年齢を重ねているのだから、それなりの深みはあるけれど。
それでもやはり、美人だった。

涼子「どうかしましたか?」
僕「いいえ。ご案内感謝します。こちらの会議室ですか?」
涼子「はい。あ、私も同席しますので。」
僕「そうでしたか。」

客先部長「お世話になります。本日はご足労いただきありがとうございます。」
僕「いえ。こちらこそお時間をいただきありがとうございます。」
客先部長「どうぞ、お掛け下さい。本日は顔合わせだけですが、よろしくお願いします。」

何人かと顔合わせ。
涼子は、難関と言われる国家資格の肩書がついていた。
そして、苗字も変わっていた。
そういうことか。資格を取って転職したのか。結婚もしたんだな。良かった。
でもまさか、ここで繋がるとは思わなかった。

涼子「まさか、再会できるとは思っていませんでした。」

帰り際、表情を変えることなく、彼女はそう言った。
歩きながらの、短い会話。

僕「同じことを思ってましたよ。苗字、変わってるんですね。お子さんは?」
涼子「一人、います。・・・藤原さんは?」
僕「先日、一人目が生まれました。毎日、腰痛との戦いです。」
涼子「そうでしたか。子育てって大変ですものね。頑張ってくださいね。」


涼子「今日はこちらに泊まるんですか。」
僕「そのつもりです。」
涼子「あまり時間は取れませんが、どこかで軽く飲みませんか。」
僕「・・・・えー。そうですね・・・主婦には厳しいですが、21時くらいなら。先約がありまして。」
涼子「22時くらいに帰ってもいいのでしたら大丈夫ですよ。仕事柄、遅くなることはあります。そこは大丈夫ですよ。」

その夜、淳と食事をした。
淳「マジか。元カノとこれから会うの?元カノって涼子ちゃんでしょ?根性あるなぁ。まあ美人だったし、会いたい気持ちもわかる。」
僕「そんなんじゃないよ。」
淳「でもあれだろ?今夜は一緒にいるつもりなんだろ?人妻かぁ・・いいなぁ。」
僕「お前の頭の中を覗いてやりたいよ。どういう思考回路してるんだ。」

約束の時間。21時。

僕はスーツのまま。
彼女もまた、スーツでやってきた。

本当に偶然てあるよな


涼子「竜也さん!ここですここ!」

ブンブンと手を振ってやってくる彼女。こちらが恥ずかしくなる。
にこやかな表情だった。上手く笑えるようになったんだな。

僕「恥ずかしいから!ったく。日中の涼子はなんだったんだよ。」
涼子「仕事中だったから!竜也さんだって、無表情だったじゃない!でもお久しぶり!びっくりしたよ!」
僕「こっちもびっくりしたよ!相変わらずの美人で、おっさんになった自分が恥ずかしいw」
涼子「そう?まあ確かに多少ふっくらしたけど、男はそれくらいじゃないと。」

近くのお店に入る。

涼子「先約は大丈夫だったの?」
僕「うん。さっき会ってきた。前の会社の同期。隣に住んでたヤツ。覚えてる?」
涼子「朧げだけどwあのマンションがしばらくトラウマだったから、記憶に封印されちゃったかなw」

僕「・・・その節は、本当に申し訳なかった。謝ることさえ、許されないと思ってた。今日も、許されようと思ってるわけじゃない。」

僕は、深々と頭を下げた。
彼女はすこしぽかんとして、笑った。

涼子「えw何言ってるのよ。そんな昔のこと、とっくに忘れちゃったよ。今となっては、いい思い出なだけだよw」
僕「ま、そうだよな。男性は別名で保存。女性は上書き保存っていうものね。」

時間。
時間だけが、僕たちの溝を埋めていた。

涼子「私ね。竜也さんと別れて、ずっと考えてたの。」
僕「何を?」
涼子「きっと、私は、誤解されやすいの。嫌われたくない。気持ちの変化を読み取られたくない。そんな風に付き合ってた。」
僕「・・・そうだね。正直、何を考えてるのか分からなかった。」
涼子「あの頃、もっと楽しそうに笑ってたら、もっと怒ってたら、もっと泣いてたら、別れなかった?」
僕「どうかな。たらればっていうのはない。でも、付き合い方は変わっただろうね。」

僕は、グラスの中身を飲み干す。
ドライマティーニを頼む。

涼子「暫くは何も手がつかなかったけれど、私は立ち直った。で、もっと感情を出せるように頑張った。そうやって頑張った結果が、今の私よ。」
僕「そうか。こんな最低な僕でも、役に立ったんだね。」
涼子「もちろん。あと、最低じゃないよ。私が、愛した、素晴らしい人、だよ。」

回り道をしたけれど、幸せになった。
僕は?

僕「ああ。ありがとう。じゃあ、今は幸せなんだね。」
涼子「ええ。時々、会社が嫌になる程度よw」
僕「これから取引する相手の会社の人に愚痴らないでw」

>>397
本編から外れるから敢えて書かなかったけれど、作中の優子にあたる子とも偶然の再開をしてる。
胸糞悪いから書かないけど。
あ、作中の菜々子さんとも別件で再会してる。軽くホラーなのでこれも書かない。

作中の涼子との再会は、きっと、過去の自分と向き合うチャンスを貰えたんだと思ってる。あんまりそういうのは信じてないんだけれどね。
今回のSSを書くきっかけは、涼子との再会だった。

(書いて欲しいなぁ)ボソッ

僕の、涼子への贖罪は、一生かかってもできないだろう。
現に、今も治療薬がないと行為はできない。

ただ、僕のわだかまりの根底にあった万由子・涼子に会えたことで、僕は救われた。
また、2人だけではない。

今までお付き合いした彼女達全てが、今の僕を作り上げている。
きっと、僕の半生は、多少特殊なこともあるけれど、ごくごく一般的な物なんだろうと思う。

誰しもが、いろんな人と関わって、その人が作り上げられていく。
今という時間は、過去の積み重ねで作られる。
ならば、未来ももう決まっているのでは?たまに、そう錯覚することもある。

きっと、そんなことはない。

彼女達との付き合いだけに限らず、僕は過去に何回も後悔している。
その選択肢一つ違っただけでも、きっと、今の僕にはたどり着いていない。

僕の人生は、まだまだ続く。
きっとこれからも、たくさん後悔する。そうやって生きていくんだろう。

でも、まりやを見ていると、自分の娘を見ていると、友達の子達を見ていると、そして、今まで出会った彼女達・その家族達を見ていると、僕の人生と同じように、皆が頑張って自分の人生を歩み、これから作り上げていくんだろうな。と感じる。

しみじみと感慨にふけった。
そして、SSを書きたくなった。

自分の半生を振り返ってみようかな。
ここに書き込んでも、何か変わるわけじゃないけど。

面白おかしく転載する人もいるかも。
なら、多少時系列を変えたりエピソードを変えたりしないとなぁ。
そんなことを考えながら、なんとなくSSを書き始めた。

ここまで長編にするつもりもなかったんだけれどね。

あー、きっと、これ書いて批判する人もいるんだろうなぁ。
でも、書いてすっきりした。

また明日から頑張ろう。


もうすぐラスト。

契約書を確認する。

僕「・・・はい。確認しました。この場でサインします。」
客先部長「持ち帰っていただいても結構ですよ?」
僕「いえ、社長の了解済みですし、前回の資料と内容は全く同じですので。」
涼子「では、こちらもサインと割り印を押します。片方はお持ち帰りください。」
僕「いいんですか?即決で。」
涼子「個人的な事情で申し訳ありませんが、あなたを信用しておりますので。」
客先部長「なになに?どういうことですか?w」

僕「・・・コホン(コラ!w)。」
涼子「・・・ふふふ。実は、藤原さんは旧知の仲なんです。信用できる方ですので。」
客先部長「そうか。君が言うなら間違いないな。」

こうして、新たに取引が始まる。
僕の会社は、入社してから売り上げが2倍以上になっていた。

「あなたは、あなたの場所で、輝いていて。」

そんなことを、誰かが言った。
僕は、これからも、自分の場所で、輝く。


さあ、頑張ろう。




僕「ただいま!」
娘「パパー!ただいまー!」
僕「だーかーら、パパがただいまって言ったら、おかえり、でしょ!」



SS【彼女達との思い出】



~完~

とりあえずこれで終了します。
皆様、お付き合いいただき、ありがとうございました。

途中、「乙」の一言だけでも、とても励みになりました。




気が向いたら、登場人物の短編スピンオフ(多少改ざん・入れ替え等しますが)を書きたいと思います。
需要があればですが。。。

ではこれで。

今までお疲れ様。
リアリティあって面白い話だったし人の人生が見れた感じがして良かった
短編も期待してるよ

お疲れ様、一気に全部読んでしまったww
すごい良くて言葉にできない感情だよ
個人的には涼子さんが一番好みだったなぁ
というわけで涼子さんの話を知りたい!

反響があり嬉しいです。
自分と重ねあわしておられる方も多いんですね。

奥さんが一番。そうかもしれないですね。
奥さんには、感謝しかないです。

前半で仕事のパートに時間をかけてしまいました。
本来の「彼女達との関わり合い」という趣旨から外れているなと感じ、後半は仕事の話を簡略化しました。
そのことが「後半は少し読みごたえがない」という感想を出してしまったようです。
今後注意していきたいです。

>>400
短編ですが、優子との再会編をこれから載せたいと思います。

>>404-406
ありがとうございます。何かの形で書いていきたいと思います。
ただ、Rで書きながら、性的要素がほとんどなくなるであろうことをあらかじめ宣言しておきます。。

>>407
涼子との思い出・・・昨晩考えていたんですが、付き合う前後のエピソードを思い出しました。
ある程度準備ができたら、書いていきたいと思います。

短編

【優子との再会】


優子との再会編


思い出すだけでも胸糞悪い・・・
でもまあ、書くだけ書くか。


突然、優子からメールが来た。
優子は、大学時代から前の会社に入って1年くらいまで付き合っていた彼女だ。


僕が会社を辞めて、地元の会社に転職。数年経った頃の出来事だった。

優子「お久しぶりです。藤原さんって、○○という会社にいるんですか。」

僕はこのメールを無視した。
数日後、またメールが来た。

優子「このアドレス、生きてますか?実は、私の大学時代の友達が、先週、藤原さんと会話をしたらしいんです。○○という会社で。気になったのでメールをしました。」

僕は、少し気になり、返信した。

僕「ご無沙汰しています。確かに、僕は今、その会社にいます。でも、その友達には記憶がありません。友達って誰ですか?」

僕の職場には、基本的に若い人はいない。
また、基本、知り合いしか来ない会社だ。全く記憶がなかった。

優子「学生時代から知っている人ですよ?覚えてないんですか?」


こんな始まりだった。
結局、その時、誰かは教えてくれなかった。


数日後、会社での出来事。
先週から調子の悪かったPC数台。予測通り、先週から導入したソフトが原因だった。
事務機屋さんから派遣されたスタッフさんのおかげで、なんとか復旧し、問題は解決された。


スタッフ「その他、気になることはありますか?」
僕「いえ。もう特にないです。原因が分かって良かったです。助かりました。」

スタッフ「では、ここにサインを。」
僕「はい。これでやっと仕事が再開できます。」

スタッフさんは、少し間を開けて、こちらの様子を伺っている。

スタッフ「あの・・・私のこと、覚えていらっしゃいませんか?」
僕「え?さあ・・・・」

その時、優子のメールがフラッシュバックする。

僕「あ!あ・・えっと・・・先日、私の知り合いが、僕をこの会社で見たっていう人がいるってメールをくれたんですが、ひょっとしてあなたですか?」

確かに、そのスタッフさんは若い女性だ。
気にも留めていなかった。

確かに、先週も多少はお話ししたけれど・・・

スタッフ「そうです!私です。でも、覚えていらっしゃらないんですね・・・私、藤原さんと同じサークルにいた後輩なんですけど・・・」
僕「え?そうだったの?・・・ごめん、よく覚えてないなぁ。それで優子ちゃんのこと知ってたんだ。」
スタッフ「はい。当時、お二人はお付き合いしてらっしゃいましたよね?」
僕「うん。まあ、そうだね。」

スタッフ「確か県外に行っちゃったって聞いてたので、何かの間違いかなと思って、優子ちゃんに確認してみたんです。先週。そうしたら、聞いてみるねって。」
僕「そっかそっか。僕ね、数年前に転職して地元に帰ってきたんだ。彼女とは別れてるから特に伝えてなかったんだ。」


帰宅後、優子にメールを返した。

僕「優子ちゃんがが言ってた人、誰かわかったよ。記憶にはなかったけれど・・・相手もよく覚えていてくれたものだね。」
優子「そうでしたか。良かったです。その職場、私の今の職場からも近いんですよ。」

僕「そうなんだ。あ、じゃあ、今度ランチでも一緒に行く?近況くらい教えてよ。」
優子「いいですよ。私も当時のこと、すこしお話したいことがあったので。」



僕は知っていた。
優子は、僕との遠距離恋愛中に、妻帯者と不倫関係にあった。

それは優子の弟から聞いていたが、その後のことは、別の友人から聞いた。
彼女、相手を振り回し、とうとう、相手は離婚。
その後、会社にばれて、懲戒解雇された。相手はストーカー化。警察に処罰された。

とんでもない女だ。

僕「久しぶり。元気そうで何よりです。」
優子「戻ってきてくれてたんだね。教えてくれてもよかったのに。」
僕「いろいろ燃え尽きてね。今はただのサラリーマンさ。」
優子「昔もサラリーマンでしょ。」

彼女は、当時のことを懐かしそうに話した。

優子「本当に、当時は申し訳ないことしたなぁ。あの頃、周りはみんな恋愛を成就して行って。私は遠距離で。」
僕「うん。それなりに納得してたと思ってたからなぁ。僕も。」

優子「そんな時だった。私の友達が、毎朝、毎晩、違う会社なのに、送り迎えしてくれた。」

お前の上司だろう。知ってるんだよ。こっちは。
だいたい、その送り迎えをしてもらってる時点でアウトだろ・・・

僕「そうだったんだ。身近にいる、君のことを考えてくれる人と、遠くにいて何もしない僕だったら、身近な方を取るよね。」
優子「うん。結婚の約束までしたのに。私はあなたを待てなかった。その人が運命の人だって信じた。」

僕は嫌味ということにした。

僕「じゃあ、今は幸せなんだね。その人と。」
優子「うん。でも・・・・」

白々しい。

僕「でも、何?」
優子「あなたは、こう言った。「5年待って。5年間は今の会社で頑張る。そして、帰ってくる。」って。本当に、あなたは、帰ってきた。」

恐ろしいくらいに自己満足な解釈だった。

僕「・・・なるほど。確かに、5年で帰ってきたな。地元に。・・・それで、何が言いたいの?」
優子「え?あなたから私に言うことがあるでしょう?」

マジかこいつ。頭の中腐ってるんじゃないか?本気で、僕が優子のことを忘れられずに帰ってきたと勘違いしてるのか?いや、まさか・・・

優子「勇気がないなら、私が助け船を出してあげる。私は、あなたにさんざん嫌な思いをされた。今でも当時のことを思うと、気分が悪くなる。」
僕「はぁ・・・うん。それで・・?」



優子「もしあなたが当時のことを悔やんでいて、今後私に尽くします。だから当時のことを水に流してくださいとお願いするなら。また付き合ってやらないこともないよ。あなたの努力次第だよ。」
僕「ええ・・・疑問点が大量にあるんだけれど・・」

優子「私を口説き直そうっていうなら、ハードル高いよ?それだけの勇気があなたにある?・・・あなたの本気を、私に見せて。」

僕はこの時、初めて、優子を哀れに思った。
何が優子をこんなひねくれた、自己中心的な、自己都合主義の子にさせてしまったのか。


僕「あ・・・えっと・・んー、あっ。もうお昼の時間が終わるね。もう行こうか。」
優子「まったく・・相変わらずエスコートが下手だね。こういう時は、さりげなくあらかじめお会計を済ませておくものでしょ?」

ファミレスのランチセットで何言ってるんだろう。
僕「ああ、ま、ランチくらいならおごるからいいよ。じゃあね。」
優子「そういうところから試験はもう始まってるのよ?そんことで今後大丈夫?不安だなぁ。」

不安なのは優子の今後だよ・・

僕は、この日以来、メールを返してない。

一方的に来るメールの頻度もった。その1年後くらいに、知らない番号から電話があった。

僕「はい。藤原です。」
優子「お久しぶりです。優子です。」
僕「あ?え。はい。お久しぶりです。どうしましたか?」

優子「藤原さんって、健康になるお水に興味はないですか?」
僕「・・・まじか・・・」
優子「え?興味があるんですか?あるんでしたら、一度お話を・・・」
僕「ごめんね。今会社で仕事中だから。」
優子「私も仕事中ですよ?何言ってるんですか。ビジネスの話ですよ?」

僕はそのまま電話を切り、着信拒否した。
それ以来、僕の結婚式で顔を見るまで、一切の交流はなかった。


そして、結婚式後も一切の交流はない。



短編
【優子との再会編】

終了

ご要望があったので、涼子との思い出をもう少し掘り下げようと思います。
SSの都合上、「無口で何を考えているのか読み取れない女性」という像を植え付けてしまいましたが、もちろんそれだけではないです。

そんな、彼女の性格をうかがい知れるようなエピソードを。

※書き溜めていませんので、進行が遅くてもご容赦

僕「じゃあ、何だったら飼ってもいいんですか?」
管理会社「んー、・・・亀?」

僕は、携帯電話を切った。


話は社会人になって二年目、涼子と出会う前に遡る。
僕は優子と別れ、ほぼ仕事関係以外に趣味もなく、帰宅後にすることと言えばメールとネットくらいのものだった。

河村「こいつが、可愛いんだよ!」

河村さんは、自宅で飼っているウェルシュコーギーの魅力について熱く語る。

僕「でも動物飼うのって大変じゃないですか?」
河村「まあ、犬だと散歩もしなくちゃいけないし、一人暮らしでしかもマンションじゃあ難しいだろうな。だが、何かを飼うのは心を豊かにすると思うぞ。」
僕「僕には理解できない趣味ですね。」

言葉と裏腹に、僕は、ネットサーフィンでペットを検索する。

実家には猫がいる。いるというか、住み着いている。
人懐っこく、とてもかわいい。
賛否両論あるだろうが、下町である実家の地域には、いろいろな家に勝手に出入りする猫が数匹いた。
誰かが適当にえさをやり、どこかの家で適当に寝る。それが猫だった。

僕「ふむ・・猫は無理だな。この土地じゃあ家猫にするしかない。不憫だ。」

爬虫類・・・は、手入れが楽なようだけれど・・・何か違う。
熱帯魚には憧れるけれど、水の管理が大変そうだ。

ふと、とあるペットに目が留まる。

「ウサギ」

僕は、兎のペットというものに興味がわいた。
種類によっては、マンションでも問題なく飼えるレベルの大きさ・ニオイだという。

僕は数週間かけ、種類や飼育方法・実際飼育する際の初期投資や維持費などを計算した。
問題ない。飼育できる。

さらに、ホームセンターやブリーダーも検索。めぼしい個体も絞り込んでいた。
最終確認で、管理会社に兎の飼育許可を取ろうとした。

そして、拒否された。

僕「ペット不可の物件ではないですよね?」
管理会社「ええ。そうですが・・・基本的にはご遠慮願ってるんです。」

僕「それって矛盾してると思うのですが。ウサギですよ?ウサギというのは個体によってはマンションでも問題なく飼育できます。」
管理会社「そういわれましても。ウサギを飼育するという前例はありませんし・・・」


僕「じゃあ、何だったら飼ってもいいんですか?」
管理会社「んー、・・・亀?」


僕の兎飼育計画は挫折した。

正直、亀には申し訳ないけれど、亀を飼おうとは思わなかった。

においが少なく、しかも管理会社から文句の言われない小動物。
僕は、ハムスターを飼うことにした。

当時、ジャンガリアンハムスターという種類が爆発的な人気を博していた。
また、今ではもう馴染みもないであろうが、ML(メーリングリスト:一度にたくさんの人にメールを送受信するシステム)というものがあり、ハムスターを飼っている人達用のMLに登録し、広く意見を募った。

僕「初めてハムスターを飼います。よろしければ、初期投資としてどんなものが必要か教えてください。」


MLに登録している人達は基本的に主婦で、暇さえあれば様々なアドバイスを送ってくれた。

「ゲージの檻は縦じゃないとダメ。横だとハムが登ってしまい、落下した時に骨折することがある」
「インクのにおいが気にならなければ、新聞紙を細かく切って敷き詰めた方がいい。においが気になるなら木材チップなどがおすすめ」
「飼い始めは基本的に触っちゃいけない。迎え入れた数日は環境の変化に戸惑いエサも食べてくれない」
「におい対策としては、消臭効果のあるエサを食べさせる」

とても参考になった。

僕は、休みの日になると、MLで推薦されたショップに出歩いて、ハムスターを見て回った。
そして、パールホワイトの可愛さに惚れた。この子にしよう。

たかだか数百円?千円程度だったと思う。
安価に購入できた。

ゲージはそれほど大きくはなかったが、一匹で飼うには十分の広さだ。

床材には広葉樹のチップ。

エサは消臭効果のあるペレットを用意した。
実家でもゴールデンハムスターを飼っていたが、その頃の主食はヒマワリの種。
調べててみると、種は栄養価が高すぎてあまり上げてはいけないらしい。。
(ただ、種の殻をカリカリと割って食べる姿は愛らしかったので、たまにおやつとして挙げて記憶はある)

トイレを兼ねた砂場。
ハムは砂浴びが大好きらしい。砂の中にガサガサともぐりこむ。

隠れることができるような小屋。
エサを入れる