未央「しぶりんさ、私としまむーで扱い違わない?」凛「そう?」 (26)

~事務所~

未央「うん、違う。かなり違うね」

凛「そんな無下な扱いしてるかな……」

未央「ああいや、扱いが悪いっていうわけじゃなくさ」

未央「こう、私に対する扱いを6だとすると、しまむーが10っていう感じ?」

凛「それが嫌ってこと?」

未央「嫌なわけじゃないよ。けど、どうしてなのかなーって」

凛「そんなつもりはなかったけど……具体的にはどんなことがあった?」

未央「例えば……」

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未央『おっはよーしぶりん! 今日も寒いね!』ギュッ

凛『わっ……おはよう、未央。流れるように抱きついてくるね』

未央『未央ちゃん流のコミュニケーションだからね! しぶりんも真似していいよ?』

凛『私はいいよ。……いつ離れるの?』

未央『もう少し! しぶりんあったかいし!』

凛『外に居るんだから変わらないでしょ、もう……』フフッ


未央「私だとこんな感じじゃん?」

凛「結構仲良さそうな感じだと思うけど……」

未央「いや、これがしまむーだとさ――」

卯月『り、凛ちゃん! おはようございます!』ギュッ

凛『……卯月?』

卯月『え、えっと! きょ、今日も寒いですね!』

凛『……そうだね。だから』ギュッ

卯月『わっ、凛ちゃん?』

凛『もう少しこのままでいたいな……』

卯月『……えへへ』


未央「……ごめん。さっきしまむーは10って言ったけど、15はありそうだったよ」

凛「…………ねえ、なんで未央がこのこと知ってるの」

未央「うん、私も居たからね。しまむーにギュッと行っちゃえ!って言ったの私だし」

凛「……なんで、出てこなかったの」

未央「いやだって、出るに出られないでしょ……」

凛「違う、違うから。あれは卯月だからとかじゃないの」

未央「じゃあ、私には何でああしなかったの?」

凛「その、ああいうことをするには、気力ゲージが必要だから」

凛「ほら、未央は頻繁にするでしょ。だからゲージを小出しに使ってるから出来ないだけでさ……」

凛「卯月はめったにああいうことしないから、溜まったままのゲージがあそこで使われたっていうだけ」

未央「そっかぁ」

凛「うん、そう。そうなんだ」

未央「言っていい?」

凛「なに?」

未央「しまむーのこと好きだよね?」

凛「好きな色ってある? 私は蒼が好きかな」

未央「雑な話題切り替えやめて」

凛「……わかった、未央はそう思っているんだね」

未央「あーうん、とりあえずそういうことでいいや」

凛「確かに、私が卯月を特別視しているかもしれないっていうのは認めるよ」

凛「アイドルになることを決めた切っ掛けの一つは、公園で見た卯月の笑顔だった」

凛「卯月がシンデレラガールになった時は、嬉しくて涙と課金が止まらなかった」

凛「ラブレターイベントは、液晶がへこむまで叩き続けた」

凛「だけど、それだけ。それだけだよ。それだけの理由で私が卯月を好きなんて言うのは、浅慮じゃないかな」

未央「めっちゃ好きじゃん! なんなのこの娘!」

凛「いや、これくらい普通だよ。卯月くらい普通」

未央「しまむーは普通過ぎて普通じゃないんだよなぁ……」

凛「それに根拠になるエピソードが一つだけじゃ根拠が弱いよ。だから、未央の言ってることは成り立たない。はい、論破」

未央「ありすちゃんの真似してるフレちゃんみたいなこと言わないで……」

未央「というか、根拠になるエピソードはいくらでもあるけど」

凛「はっ」

未央「今なんで鼻で笑ったの!?」

凛「そんなに言うなら聞かせてよ。きっと無駄だと思うけど」フフン

未央「なんでドヤってるのかねこの娘は……まあいいや」

未央「前にしぶりんがお弁当作ってきたことあったよね?」

凛「あったね。お父さんの分だったんだけど、余っちゃったんだよね」

未央「そうそう。だから、昼がまだならどう?って私としまむーにくれて」

凛「おいしいって食べてくれたね。結構嬉しかったよ」

未央「うんうん。気持ちがこもったすごくおいしいお弁当だったよ」

凛「それがどうしたの? 別に卯月のために作ったわけじゃないでしょ?」

未央「……うん、デザートが無ければそう思ったよ」

凛「デザート?」

未央「しぶりん、あのときのデザートって何だった?」

凛「ええと、メロンだったね」

未央「何が乗ってた?」

凛「生ハム、だね」

未央「うん、つまり生ハムメロンだね」

凛「それが?」

未央「しまむーの好物は?」

凛「生ハムメロンだよ」

未央「普通生ハムメロンはお弁当のデザートでは出ないよね?」

凛「えっ、出るよ?」

未央「即答したよちくしょう!」

凛「えっ……どうしちゃったの、未央……」

未央「なんで私が疲れてる人扱いされてるのさ! 普通生ハムメロンはお弁当のデザートには出ないって!」

凛「だって、卯月の好物だよ? 普通の卯月が好きなものってことは、普通に食べられてるものってことになるでしょ」

凛「だから、お弁当のデザートに生ハムメロンも普通だって」

未央「しまむーが言う普通は、偏差値50じゃなくて偏差値65くらいの内容じゃん……」

凛「ふーん。未央は、私が卯月のためにお弁当を作ったってことにしたいんだね」

未央「いや、実際そうでしょ」

凛「違うってば。たまたま余った弁当があったから。ただそれだけだって」

未央「……しまむー、『今度はしょっぱい卵焼きがいいですね!』って言ってたよ」

凛「えっ、嘘……前は甘いほうが好きって――」

未央「……」ジトー

凛「……お父さんは甘いほうが好きなんだ。未央はどう?」

未央「おおっと、しぶりん選手強引に流したぞー」

凛「とにかく、違うから。未央が考えてるようなことはないから」

未央「ここまで証拠があるのにまだ否定するの?」

凛「ふふっ……これくらいで負けを認めるメンタルじゃ、アイドルはやっていけないからね」

未央「もっと別の所で発揮して欲しいなぁ、それ」

凛「もっと決定的な証拠でもないと、私は認めないよ」

未央「……この間、大きなライブしたよね」

凛「うん、したよ。私たちと卯月も参加したやつでしょ」

凛「ステージから帰ってきたら、未央が『すごかった!』って泣きそうになってて。びっくりしたけど、嬉しかったな」

未央「ちょっ! それは今関係ないじゃん!」

凛「照れてるの?」フフッ

未央「あーもう! 話続けるよ!」

未央「こほん……それで、しぶりんの次がしまむーで、私たちモニターで観てたよね?」

凛「そうだね。卯月、すごく綺麗だった……」

未央「……モニター観てたら、急にしぶりんが胸を押さえてうずくまるから、びっくりしたよ」

凛「……そんなことあったかな」

未央「あったよ。で、『どうしたのしぶりん!?』って訊いたら」

凛『駄目……TOKIMEKIがエスカレートして心停止する……』

未央「って言い出して、思わず蹴ったよね」

凛「……あれはデレステやってて、難しさの余りに生きるのを辞めかけただけだから」

未央「言い訳が雑すぎる」

未央「もー、なんでそこまで頑ななのかなー。大好きな友達だって認めるだけでしょ?」

凛「……だって、私らしくないから」

未央「ん?」

凛「未央や卯月と違って、私って明け透けに好意を示すキャラじゃないし……格好悪いよ」

未央「んー、少なくとも私にはバレバレだったけどねー」

凛「……すごいよ、卯月は。可愛くて、キュートで愛嬌もある。憧れ続けたアイドルになって、今度はシンデレラガールまで」

未央「可愛いもキュートも愛嬌があるも全部同じだからね?」

凛「その卯月の目が聞いてくるんだ」

凛「『凛ちゃん、かっこいいです! 次はどんなかっこいい所を見せてくれるんですか?』って。あの目は裏切れない」

凛「あの目に映る私は、いつだって最高に蒼くてかっこいい渋谷凛じゃないといけないんだ……」

未央「しまむーは、そこまで人を追い込むような目はしてないでしょ!?」

未央「あー要するに、しぶりんらしくないと思われるが嫌なんだ」

凛「……うん」

未央「あーもう可愛いなーしぶりんはー。大丈夫だって、そんなことで失望したりしないよ」

未央「もういっそ本人に聞いてみればいいじゃん」

凛「それは……ちょっと」

ガチャ

卯月「おはようございます。部屋の中はあったかいですね」

未央「おっはよー。ちょうどいいところにきたね、しまむー」

凛「ちょっ、未央……本当に聞く気なの?」コソコソ

未央「大丈夫だってば。絶対悪い結果にはならないから」コソコソ

卯月「何の話ですか?」

未央「ううん、こっちの話。気にしないでー」

未央「ところでしまむー。しぶりんってかっこいいよね」

卯月「はい、とってもかっこいいです!」

凛「……」フッ

未央(しぶりんが『ふーん、まあ最高かな』って顔してる……)

未央「そ、それでさ、かっこいいしぶりんと可愛いしぶりんだったら、どっちが好き?」

卯月「かっこいい凛ちゃんと可愛い凛ちゃん、ですか……」

卯月「…………うー、難しいですね」

未央「あれ、可愛いしぶりんは嫌?」

凛「…………」

未央(ああ、しぶりんがシンデレラフェスで有り金全部溶かした人みたいな顔に!?)

卯月「あ、いえ! そういうことじゃなくて!」

卯月「その、凛ちゃんはかっこいい所もあって、けど可愛い所もあって……どっちもあってこそ『凛ちゃん』だと思うんです」

卯月「ライブ前に緊張してる私を励ましてくれる凛ちゃんは、すごくかっこいいです」

卯月「ハナコちゃんと遊んでいるときの凛ちゃんは、無邪気でとても可愛いです」

卯月「私が好きな凛ちゃんは、色んな表情を見せてくれるんです」

卯月「だから、どっちかだけの凛ちゃんよりも、かっこよくて可愛い凛ちゃんが好きです」

卯月「なんて……ちょっと、恥ずかしいこと言っちゃいましたね……えへへ」ニコッ

未央「おいおいおい天使かよ」

卯月「凛ちゃんは、どうですか? 同じ気持ちだと嬉しいんですけど……」

凛「?????臣?賣?????苣膨?????」

未央「しぶりん、バグってるよ」

卯月「凛ちゃん……そんなこと急に言われたら照れちゃいます」

未央「えっ今ので伝わるの!?」

卯月「これくらい普通……ですよね?」

未央「普通、普通ってなんだ」

卯月「私のことですね! ぶいっ!」ダブルピース

未央「えぇ……」


未央「……ま、まあともかく! 良かったじゃんしぶりん! 相思相愛の仲ってやつだね!」カタパン

凛「……」ドサッ

卯月「凛ちゃん……?」

未央「しぶりん……なんでそんな安らかな顔を……ハッ!」

未央「し、死んでる……」


※しぶりんの魂はあの子が助けてくれました。

おわり

記念配布のしぶりんが卯月っぽい髪型なのは、密かなリスペクトとかだといいなぁと思いつつ書きました
此処まで読んでくれた方々ありがとうございました

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