楓「生きはよい酔い」 (21)


楓「えーそれでは川島さんのお誕生日を祝いまして♪ かんぱーい♪」カチン

友紀「かんぱーい!」カチン

早苗「乾杯ー♪」カチン

瑞樹「はいはい、乾杯ー」カチン



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デレマスなんですよ

今日も今日とてダラダラと
前のそれっぽいやつ→楓「飲と酔う」 - SSまとめ速報
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友紀「っぷはー」ドン

早苗「え? 友紀ちゃんはやくない?」

友紀「早苗さん、乾杯は杯を乾かすって書くんだよ」

早苗「なるほど、負けてられないわね」

瑞樹「早苗ちゃん、おんぶで家まで送られてる時点で負けてるわよ」

早苗「なによ、なんか元気ないじゃない」

楓「瑞樹さん、具合悪いですか? 膝枕します?」ポンポン

瑞樹「この歳になると誕生日もそんなに嬉しくない気がしてくるのよ」

早苗「それアタシにも効くからやめてよ」

楓「あ、ほっとかれるやつですね、これ」

瑞樹「お手」

楓「わん」ポン

早苗「それでいいの?」

楓「ほっとかれるよりは良いですわん」

早苗「あ、そう」

友紀「そんなに嫌かなぁ、誕生日」

早苗「そりゃ友紀ちゃんはまだ若いもの」

友紀「早苗さんだってかわいいじゃん」

早苗「いえーい」カチン

友紀「いえーい」カチン

瑞樹「何で速攻仕上がってるのよ」

楓「わんわん」

瑞樹「こっちはこっちでバカ犬だし」

楓「くぅ~ん……」


早苗「アレよ、時間止めればいいじゃない」

瑞樹「いつの話を引っ張り出してくるのよ」

楓「何に書かれてたんでしたっけ」

友紀「なんかコンビニとかで売ってる五百円ぐらいの本じゃなかったかなー。飛鳥ちゃんが教えてくれたの」

早苗「いやー、アレはお腹抱えて笑ったわね」

楓「友紀ちゃん、ツボに入って泣きながら笑ってましたよね」

友紀「だって飛鳥ちゃんとかユッコちゃんとかキラキラした目で見てるんだもん。あんなの面白いじゃん」

瑞樹「他人事だと思って、もう」

友紀「実際止められるの?」

瑞樹「止められるわけないじゃない」

楓「止められますよ?」

瑞樹「なんで楓ちゃんが自信満々なのよ」

楓「時が止まるほどふんふふんふんふーん♪」

友紀「フレデリカちゃんみたい」

早苗「まぁ止められるならついでにあたしの時間も止めといてよ」

瑞樹「そんなついでにハガキ出してきてもらう感じで言われても、こまるわ」

楓「永遠の28歳ですね」

友紀「そうなったらそのうち同じ歳になれるのかー、それもいいかもねー」

瑞樹「早苗ちゃんにたかれなくなるわよ」

友紀「あそっか。やっぱりそのままで居て」

早苗「現金ねえ」


瑞樹「というか早苗ちゃん全然気にしてないじゃない」

早苗「嫌がったって仕方ないしね、いつだって一番若いのは今よ?」

瑞樹「……それもそうね。せっかく祝ってくれてるんだから」

楓「そうですよ。祝いの席はわいわい、楽しまなくっちゃ」

友紀「楓さん一番楽しそうだよね」

楓「私は友紀ちゃんが一番かなって思ってました」

瑞樹「まぁ友紀ちゃんよね」

友紀「あれ?」

楓「いつも楽しそうな顔してるなぁって」

早苗「寝てても幸せそうだもの。違うのキャッツが負けたときぐらいよ」

友紀「んー、そっかぁ」

瑞樹「どうしたの奥歯に物挟まったような顔して」

友紀「あのね、Perseusを皆の前で歌える機会があったんだ」

早苗「ああ、この前のミニライブの時?」

瑞樹「早苗ちゃんも出てたやつね」

友紀「そうそう。それでね、折角かっこいい曲だからビシっとキメたかったんだけどさー。結局楽しくなって笑っちゃって」

早苗「いいんじゃないかしら、ねぇ?」

瑞樹「そうよ。楓ちゃん見てみなさいよ」


楓「んぅ?」モスモス

瑞樹「んぅじゃないわよ」ペチ

楓「あ、私がビシっとキマってるって話ですか?」

早苗「里芋突っつきながら言われてもねぇ」

楓「美味しいうちに食べないと。旬が過ぎてからではしゅーんとしてしまいますから、ね?」

瑞樹「ほらライブでもこの調子なのよ」

友紀「楓さんは変わんないなぁ」

瑞樹「そう、それでいいのよ」

友紀「え?」

早苗「きっと見に来てくれた人たちもわかってくれてると思うわよ? 友紀ちゃんは楽しそうに笑ってる顔が一番素敵だもの」ムニムニ

友紀「むにゃ」グニグニ

瑞樹「やめてあげなさいよ」

楓「私も一番美味しい所を一番美味しい形でっていうことを言いたかったんですよ。笑顔が一番ええ顔、ですから」

瑞樹「それを言いたかっただけじゃなくて?」

楓「言いたいのも勿論ありますけど……ほら、私たちはアイドルですから。楽しむだけではいけないけれど、楽しんじゃ駄目なんてこと無いんです」

早苗「楓ちゃんが珍しく真面目なこと言ってる……」ムニムニ

瑞樹「だから今日寒いのよ」

楓「あれ? キマったと思ったんですけど……」

瑞樹「ああそれ言っちゃった時点でもう落第点よ」

楓「あれー?」

友紀「……そっか、あいがとーごあいまひゅ」グニグニ

瑞樹「だからやめてあげなさいって」

早苗「あ、ごめん」パッ


友紀「大丈夫? あたしの目とか鼻ちゃんとついてる?」

瑞樹「三つも四つもついてるから安心して」

楓「無くしちゃっても安心ですね」

友紀「えー、そんなに要らないなぁ」

早苗「それにしても友紀ちゃん肌良いわよね……」

瑞樹「あら、何使ってるの?」

友紀「早苗さんと同じやつだよー」

早苗「っていうかあたしのよ!」

瑞樹「ああ、なるほどねぇ」

早苗「あの化粧水とか割とするのよ?」

瑞樹「良いじゃないいつも家に送ってもらってるんだから。送料よ送料」

楓「宅配便扱いですね」

瑞樹「というか、つけて寝るだけ偉いわよ。楓ちゃんなんかそのまま寝ちゃうんだから」

楓「睡魔に負けてすいません、なんて」

瑞樹「私がつけといてあげてるんだから感謝してよね」

早苗「音鳴るぐらい思いっきりパッティングしてやればいいのよ」

友紀「? ゴルフ?」

楓「首だけ転がっていっちゃうんですか……」

早苗「アンパンマンの出来損ないみたいね」


友紀「それにしても珍しく真面目な話したら喉乾いちゃったよー、ビールビールぅー♪」

瑞樹「一瞬でこれだものね」

楓「眉間に皺寄せてるよりずっと素敵な顔じゃないですか」

瑞樹「楓ちゃんはずっとこうだものね……」

楓「いつも素敵ってことですね?」

瑞樹「パッティング決定ね……それはそうと飲み物のついでに何か頼みましょうか」

早苗「ねぇ、この揚げっぱなしって何かしら」

友紀「あ、豆腐なんだ。揚げ出しとかじゃなくて?」

早苗「揚げっぱなしねぇ」

瑞樹「早苗ちゃんこたつ出した?」

早苗「出しっぱなし」

友紀「去年から」

瑞樹「やっぱし」

早苗「やかましいわよ」

楓「あ、手羽先食べたいです手羽先」

早苗「どんだけマイペースなのよ」

楓「食べたくないですか?」

早苗「食べたいけど……」


楓「こうやって注文してからもなんとなくお品書き見ちゃいますよね」ペラ

早苗「それで食べたかったなーって物見つけちゃうのよね」

友紀「ね、にんじんしりしりって何?」

早苗「なんか聞いた覚えはあるんだけど……」

瑞樹「福島のあたりの郷土料理とかじゃなかったかしら……」

早苗「そうなの?」

瑞樹「あの、松前漬けの最小単位みたいな……あ、違うわ、これいかにんじんよ」

早苗「自己完結もいいとこじゃない」

友紀「え? じゃあ結局にんじんしりしりって何? っていうかしりしりって何?」

瑞樹「楓ちゃん知らない?」

楓「うーん、しりしりません」

瑞樹「振るわないわねー」

早苗「一発免停ね」

友紀「コールド負けだね」

楓「あれ?」

瑞樹「あ、色々きたわね」

友紀「わーい」

楓「あれー?」


友紀「まぁまぁ楓さんビールだよビール」

楓「わーっはっはっはっは」カチン

友紀「わーっはっはっはっは」グビグビ

「麦茶だこれ」

瑞樹「嘘おっしゃい」

楓「発泡麦茶ですよ発泡麦茶」

瑞樹「もうそれでいいけど飲みすぎないでよ」

友紀「今まで内緒にしてたけど実はあたしエンジンついてるんだ」

早苗「なんて?」

友紀「あの、アルコールを燃やしてこう……回るの」

早苗「しどろもどろじゃない」

瑞樹「というか、じゃあやっぱりそれお酒じゃない」

友紀「バレたかー」

瑞樹「バレるもなにも」

楓「あっ手羽先おいしい……」モグ

早苗「どんだけマイペースなのよ」

楓「あんまり美味しそうなので手ば先に伸ばしてしまいました……ふふっ」

友紀「あ、それあたし割りと好き」

早苗「楓ちゃんどこの人なの?」

瑞樹「ほんと、手羽先おいしい」モグ

早苗「どんだけマイペースなのよ」

友紀「川島さん最近楓さんに似てきたよね」

瑞樹「……」

楓「あっそんな嫌そうな顔しないでください」

瑞樹「ふふ、冗談よ」


早苗「手羽先とか美味しいんだけど段々骨が面倒くさくなってくるのよね」

友紀「いつもどおり骨ごと食べれば?」

早苗「友紀ちゃんはあたしを何だと思ってるのよ」ペチ

友紀「黒帯だからできるかなって」

早苗「白でも黒でもできないわよ、ねぇ」

楓「そうですねぇ……最近は赤のお値段も落ち着いてますし」

瑞樹「全然別の話しだすのやめなさいよ」

早苗「瑞樹ちゃんなんとかしてよ」

瑞樹「どうやってなんとかするのよ」

早苗「ほら、この前のステージで骨抜きにするとか言ってたじゃない」

瑞樹「手羽先の骨なんか抜けないわよ!」

楓「できますよ、私も骨抜きにされちゃってますから」

瑞樹「楓ちゃん最初から骨なんかないもの」

友紀「愉快な生き物だね」

楓「折りたたむとコンパクトで持ち運びやすいんですよ」

早苗「そしてそれで異論ないわけね」

楓「面白そうじゃないですか? ぐにゃぐにゃなの」

友紀「今日は首が転がったり骨がなくなったり楓さん大忙しだなぁ」


瑞樹「あら? 揚げっぱなしってきたかしら」

友紀「そういえばきてないね」

楓「他はありますけど、あれだけないですね」

早苗「あ、揚げっぱなしって揚げたら揚げたでそのまま置きっぱなしとかそういう」

瑞樹「斬新すぎるわよ」

友紀「誕生日パーティーに本人呼ばないのが一番のサプライズみたいなね」

瑞樹「普通に声かけてもらって本当に嬉しいわ」

楓「……あれ? そもそも頼んでましたっけ?」

瑞樹「え?」

早苗「ああ、そりゃいつまで待ってもこないわよ」

楓「名前だけ挙げっぱなしで終わりでしたね」

瑞樹「まぁ、頼んでたらちょっと多かったかもしれないし、ちょうどよかったわね」

早苗「最悪友紀ちゃんがいるから大丈夫よ」

友紀「え?」

早苗「若いんだから食べれる食べれる」

友紀「適当だなぁ」

瑞樹「いつもでしょ」

早苗「ちょっと」


友紀「あ、早苗さん、そろそろ……」

早苗「ん、そうね」

瑞樹「いつもよりちょっと早いけど、お開きにしましょっか」

早苗「今日ばっかりはね、馬に蹴られても困るし」

瑞樹「あら」

楓「あら」

友紀「黒帯だから馬に蹴られても大丈夫だよ」

早苗「その黒帯に対する信頼は何なの?」

楓「桜肉もいいですね」

早苗「狩ってこいってこと? ……いやそれは良いのよ」

瑞樹「そうね、出ましょっか」

友紀「あ、じゃあ先に出ててほしいな」

早苗「うん?」

友紀「ちょっとお花を摘みに、なーんて」

早苗「食べられるやつ摘んできて」

楓「お腹いっぱいだったんじゃないんですか?」

瑞樹「ほら、行くわよー」

楓「はーい」

早苗「はいはい」




―――――――――――――――――――――――――――――――……………




ガララッ


早苗「うー……ほんとに寒いわね、今日」

楓「こんなに寒くちゃ心も凍るど……ふふっ」

瑞樹「寒いわねー」

早苗「そうねー」

楓「じゃ、寒くないように温めましょうか」ギュッ

早苗「あら、良いコートじゃない」

瑞樹「安売りしてたのよ」

楓「川島さん今日厳しくないですか?」ギュー

早苗「照れ隠しでしょ」

瑞樹「余計なこと言わなくていいわよ」

楓「……なんか川島さん、こんなに小さかったでしたっけ」ギュー

瑞樹「小さくて悪かったわね」

楓「いえ、そうじゃなくって……ステージの上の川島さん、もっと大きなイメージがあったんです。でも、なんだか……」

早苗「楓ちゃん、逃がした魚は大きいけど、逃したくない魚はちょっとだけ大きく見えるらしいわよ?」

楓「……ふふ、なるほど」

早苗「珍しく顔赤くしちゃって」

瑞樹「ちょっとやめてよ」



ガララッ


友紀「おまたせー……うわ寒っ」

早苗「花摘んできた?」

友紀「焼け野原みたいにしてやった」

瑞樹「どういうことなの?」

楓「なんか、友紀ちゃんにおんぶされてない早苗さん、珍しいですね」

早苗「あたしだってちょっとは反省したのよ……」

友紀「おんぶする?」

早苗「歩けるから大丈夫よ……それじゃ、二人共、またね」フリフリ

瑞樹「今日はありがとね」スッ

楓「気をつけて帰ってくださいね」フリフリ

友紀「じゃーねー」ブンブン


楓「……それじゃ、私達も帰りましょうか」

瑞樹「そうね……ね、楓ちゃん。帰ったら一杯付き合ってくれる? お猪口にちょこっとだけ、ね」

楓「もちろん、瑞樹さんのお願いならいっぱいでもちょこっとでも♪」

おしまい
意味ありげなタイトルでまたまたゆるーっと話すだけでした

川島瑞樹さん、(出てきてないけど)輿水幸子さん、お誕生日おめでとうございます

読んでくれた人ありがとう、また次があればよろしくおねがいします

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