陽炎「夢」 (17)

違和感

何かが陽炎をおそった

それは目の前の不知火から発せられている

「何かあったの?」

「随分察しがいいんですね」

「まあ、貴方の姉だもの」

「実は悪夢を見まして」

不知火のような者が悪夢にうなされることがあるのだと思った

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そういえば昨日から黒潮を見ていない

遠征にでも駆り出されたのだろうか

情報共有は陽炎型の基本だというのに連絡がなかった

姉妹でも不知火とは違うものだと陽炎は思った

では、といって不知火は読んでいた本を閉じ執務室に向かう

不知火の背中を見ながら違和感の正体に気づいた

不知火のうなじにボタンのようなものが備わっていた

その日はその事が気になってぼうっと一日を過ごした

夜、執務を終えた不知火が部屋に戻ってくる

不知火と陽炎は相部屋だ

ふと、不知火のボタンを押してみたい衝動に駆られた

相変わらず不知火は本を読んでいる

陽炎はそっと背後に近づき、ボタンを押した


「貴方も夢を見るんですね」

不知火が一言、ぽつりと呟いた

読書を止め、栞を挟みもせず不知火は立ち上がった

どこか遠くへ行ってしまうような危機感を覚えて咄嗟に手を伸ばす


でろり


不知火はその場に崩れ落ちた

不快な感覚だった
足元を見ても不知火の姿はなかった

目が覚めた

昨夜はとんだ悪夢を見た

艦娘にも悪夢をみることがあるのだと陽炎は思った

朝食を摂りメンテナンスをしに工廠へ向かう

途中秋雲と出会い少しの会話を楽しむ

「あれ、陽炎…何かあったの?」

「察しがいいのね」

「まあ、これでも陽炎の妹だからね」

「実は悪夢を見たんだ」

陽炎のような者でも悪夢をみることがあるのだと秋雲はくすりと笑った

メンテナンスを終え、昼食を摂った

食堂で再び秋雲と会った

今日は秋雲とよく会う

今日の午後は暇なのか、もし暇なら手伝ってほしいことがある

そんな中身の話をされた

秋雲の事だから原稿の話だろう

やれることは少ないかもしれないが、長女として手伝うことにした

「ありがとね。凄く捗ったよ」

秋雲の用事も一段落したらしく、秋雲から感謝の言葉を受けとる

自分ができたことは少なかったかもしれないが、役に立てたというなら光栄だ

自室へ帰ろうとドアノブに手をかけた

秋雲が首筋を刺激する

そうか、そうだったんだ


「貴方も夢を見ているのね」

私はそのまま自室へ帰ろうとする

扉を開けてしばらく歩く

秋雲が駆け寄ってくる音がした

終わり

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