【モバマス】紗枝「BLどすか?」由里子「そうだじぇ!」 (58)

紗枝はんがBLに興味を持つようです。

※一応ユリユリにとってアイマスアイドルはナマモノという設定です

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大西由里子
「紗枝ちゃん、はい、これ。この間貸した漫画の続きだじぇ」

小早川紗枝
「おおきに、由里子はん。実は、うち、これ楽しみで
 借りてすぐに読み終えてしもうたんやわぁ」

由里子
「そんなにハマってくれると
 こっちも貸した甲斐があるってもんだじぇ!」

由里子
(ふふふ……計画は着々と進行中、だじぇ!)

――事務所の一室

荒木比奈「……オタ友が欲しい?」

由里子「そうだじぇ!」

比奈
「私や奈緒ちゃんではダメッスか?
 あと菜々さんとかも結構理解してくれるッスよ……?」

由里子
「確かに三人とも大切なオタ友なんだけど……
 あたしはもっとディープな話がしたい!
 刀剣乱舞もアニメ化されたし、こう、男同士のアレでナニ的な話が!」

比奈
「ああ、そっち系の……確かにBLは私らも菜々さんも守備範囲外ッスね」

由里子
「そこで! ユリユリは考えたじぇ!
 BLに全く免疫のない娘を徐々に慣らして
 立派な腐レンドに育て上げればいいんじゃないかと!」

比奈
「それは晴ちゃんの一件で懲りたんじゃなかったんスか?
 コミマに連れていって惨敗だったと聞いたッスけど」

由里子
「うっ……あれは入場してすぐにロリコンカメコに追い回されたからで……。
 それに後から考えてみると、いきなり初心者にコミマは難易度が高いかなぁって。
 とにかくっ、二の徹は踏まないとユリユリはここに固く誓うじぇ!」

神谷奈緒「おつかれ~、んっ? どうしたの?」

比奈「ユリユリが腐レンドを育てると言ってるッス」

奈緒
「腐って……ああ、あの男同士でいちゃつく漫画が好きな……」

由里子「そう! ターゲットも既に決まってるじぇ!」

奈緒「ふーん、で、ターゲットは誰なの?」

由里子「ズバリ! 小早川紗枝ちゃんだじぇ!」

二人「ええっ!?」

比奈
「あんな絵に描いたような大和撫子を腐海に!?」

奈緒
「紗枝って……どう見てもそんなのに染まるビジョンが見えないんだけど」

由里子
「ふっふっふ……あたしの腐女スカウターがビンビン反応してるじぇ!
 ああいうあたしらと違ってあまり漫画とかに浸っていない娘こそ
 実際ハマるとすごいんだじぇ!」

由里子
「ユリユリ理論的には、皆心にベーコンレタスの種を持っている……
 それは途中で枯れたり栄養が足りなかったりして発芽不良になりがちだけれども!
 大切に育めば、立派な貴腐人の巨木へと成長していくんだじぇ!」

奈緒
「そ、そうなのか!?」

由里子
「まあ二人共見ていてよ! トップ腐リーダーたるユリユリの姿を!」

由里子
「……と、いう訳で! 早速、第一段階の
 『イケメン比率の高い漫画にハマらせる』事に成功したよ!」

奈緒
「いきなりBL漫画は薦めないの?」

由里子
「奈緒ちゃん、焦らない、焦らない。
 どんな種も何の栄養もなく育つ事はないから。
 まずは二次元のイケメン漬けにして、紗枝ちゃんの中に腐葉土を作るの」

由里子
「そしてユリユリの薦めた漫画――Dグレと最遊記と
 ドラゴン騎士団と革命の日……これらは皆作者が生粋の腐女子ッッ!
 一般向けと銘打っているとは言え、ベーコンレタス的萌え所を
 しっかりと押さえている名作ばかりだじぇ」

比奈
「そうして潜在的に男同士の絡みに対して抵抗を無くしていく、という訳ッスね?」

由里子「その通り!」

由里子
「紗枝ちゃん、この間貸した漫画なんだけど……
 実はアンソロジーってものがあるんだ。見てみる?」

紗枝
「ありがとうな由里子はん。うち、あれメチャクチャ面白かったんどす」

紗枝
「せやけど、うちあんま漫画の事に詳しゅうなくて……
 アンソロジーっていうのは、一体なんなんどすか?」

由里子
「言ってみればその漫画の好きな人が
 自分の書いた非公式の漫画を集めた物だじぇ。
 作品への愛が詰まった面白い漫画が色々と楽しめるアルバムCDみたいなものだよ」

紗枝
「そうなんやぁ、それは楽しみどすなぁ」

由里子
「ちなみに、今読んでる漫画の中でどの男キャラが一番好きなの?」

紗枝
「せやなぁ……色々おるんやけど、Dグレイマンではアレン
 最遊記では三蔵はんで、ドラゴン騎士団ではカイスターンとカイル
 革命の日に出てくる男の子は、全員好きやなぁ……」

由里子
(よし、脈あり! でもまだ単体萌えの域は出てないって所かな)

由里子
「それじゃ、今日はとりあえずこの三冊ね。
 読み終わった時に返してくれたらいいから」

紗枝
「ほんま、おおきに。うれしゅおす~」

――寮の一室

紗枝 
「ええっ!? こ、これってキス……っ!? しかも男同士で!
 きゃああっ!! こ、こっちは裸で抱き着いてはる!!」

紗枝
「……。せ、成年マークとか何もついとらへんッ……
 うち、こんなん見てええんやろうか……?」

紗枝
「……。……。……。
 確かにこの漫画の部分はこうゆう風に解釈できそうやけど……
 いやぁ……うちなんかすごいもん読んでもうたんちゃう……///」

紗枝
「でも何や……純愛やったし、もう三蔵はんとか美しゅうて目が離せんわ……///
 展開、どないなるんやろう……///
 ああ~、ページめくる手が止まらへん……!」

由里子
「ふっふっふっ! 第二段階『非公式アンソロジーを読む』に突入したじぇ!
 商業誌が出しているとは言え、中身はれっきとした同人誌の詰め合わせ!
 とても公式ではやれそうにもないネタまで手広くカバーしてる代物!」

奈緒
「ちょっ……!? これ普通にシてない!? あたしこんなの読んでいいの?」

比奈
「アレ系の描写もあるッスけど、18禁マークがついてないから一応問題はないッス。
 というか実はこれ、小学生でも普通に買えるッスよ」

由里子
「本屋の片隅に置いてあったのを公式の本だと思って購入ッ!
 多くの純朴なJSがそれでBLの修羅道に堕ちていったじぇ!
 嗚呼! アンソロジーとはかくも恐ろしく巧妙で甘美な罠なのかッ!」

比奈
「当時高校生だったプロデューサーはそうと知らずに
 ワンピースのBLアンソロ買ってシャンクスと副船長が
 XXXしてるのを見てトラウマになったらしいッスけどね」

奈緒
「ひゃああ……確かにこれは免疫がないとどっぷりハマりそう……」

由里子
「そこで第一段階で仕込んだ豊かな土壌が活きてくる。
 イケメンがナチュラルに絡む事に慣れ親しんでていると
 こういう作品でも自然と受け入れられるようになる。
 それは油の如くBLの栄養素をつるんと喉に落とし込む」

由里子
「そうして顔を出してきたこのBLの新芽、ユリユリが立派に育ててみせるじぇ!」

由里子
「紗枝ちゃん、この間のアンソロジーどうだった?」

紗枝
「いやぁ、おもろかったわ~由里子はん。
 刺激が強すぎて、読んだ後しばらくクラクラとしとったんやけどな
 何や段々それが心地ようなってくるとゆうかぁ
 ポカポカと体があったまってくるとゆうか、不思議な感覚になってきたんどす」

由里子
「うんうん、良い作品に出会った時にはみんなそんな感じになるよ。
 それでこれ、次のアンソロジーあるんだけど、借りる?」

紗枝
「もちろん! あないな世界があるなんて、うち
 ちいっとも知らへんかったわぁ。
 それでなぁ、由里子はん。少し頼みがあるんやけど……」

由里子
「いいよ、何かな?」

紗枝
「うちな、ほら、これと、このアンソロに出てた○○はんのファンになってん。
 うち好みの素敵な絵でな、もっとこの人の作品知りたいんどす。
 でもなかなかネットで調べてもヒットせんで……」

由里子
「ああ、その人のペンネームは検索しにくいし
 ブログだけで同人誌も委託してないからね」

紗枝
「同人誌?」

由里子
「非公式の小冊子の事だじぇ。
 この人のならアタシの所にいくつかあるから今度もって来るじぇ!」

紗枝
「ほんまどすか? 嬉しいわぁ。
 それじゃ、よろしゅうおたの申します」

由里子
「第三段階『アンソロジーから同人作家の他作品を読みたくなる』に突入したじぇ!
 アンソロジーから同人の道にハマった女子は数知れず!」

由里子
「そして同人誌を手にしたら最後、そこは一度浸かれば
 なかなか抜けない底なし沼!
 公式にとらわれない自由な世界が待ってるじぇ!」

奈緒「それで、次は何を薦めていくの?」

由里子
「とりあえずその人が寄稿している作品を皮切りに
 リボーン、弱虫ペダル、銀魂、トリコと薦めていって
 頃合を見てジョジョやギャグマンガ日和なんかの
 濃い作品も並行して貸していくじぇ!」

奈緒「少年漫画ばかりだな」

由里子
「最早少年漫画は少年たちだけのものじゃないじぇ!
 下手すると二次創作の勢いはBLゲーをもしのぐよ。
 アンソロジーの冊数もハンパないしね」

由里子
「アンソロジーを受け入れられるようになると
 もう健全な漫画を見ても、目が自然と男キャラ同士の絡みを追う!
 やめようと思ってもやめられない状態だじぇ!」

比奈
「しかし何で普通の少年漫画を貸すッスか?
 BL漫画みたいに、専門の雑誌から出ている漫画もあると思うんスけど」

由里子
「確かに、BL漫画の方が作者に理解のある分BL的に王道的な作品も多いじぇ!
 だけど、BL漫画になくて少年漫画にあるものがある!」

奈緒「それは?」

由里子
「妄想ののびしろだじぇ!
 BL漫画のシチュは腐女子のツボを押さえたものが多い反面
 男同士が必ず絡み合う事が想像出来てしまうっ!」

比奈
「いいじゃないスかそれで。それを目当てに読んでるんじゃないんスか?」

由里子
「そう! 逆に何の絡みもなければ非難の嵐になる!
 だから作者側も必ずそれを作品に盛り込む。
 欠かせない要素でありながら、入れたら入れたで
 その作品は妄想の余地が極端に減ってしまうじぇ」

由里子
「例えば風香ちゃんは小説を書いているでしょ。
 乃々ちゃんは趣味の詩集がもう五冊目に入ってる。 
 蘭子ちゃんに至っては魔界における自分自身の
 細かな設定を書いたノートがもう十二冊目に!」

奈緒(何でそれを知っているんだろう?)

由里子
「年頃の女の子の妄想力を舐めてもらっちゃ困るじぇ!
 その青臭くも美しい溢れるパッションを
 解放する受け皿こそ少年漫画のBL二次創作!」

由里子
「作者が狙っていないが故に新鮮な男キャラの絡み!
 そこには自由に掛け算を組み込んでいいユートピアが存在する!
 決してBL展開になり得ない故に存在する自由な未来!
 そこには無数のベーコンレタス風味の可能性が転がっているのだじぇ!

奈緒
「でもさ、普通の少年漫画の話がしたいのに
 『男同士の絡みって萌えるよね!』とか
 『この二人はもう公式っしょ!』とか横から話されるのも嫌な気がする……」

比奈
「プロデューサーも言ってたッスね。
 打ち切り付近をうろうろしていた頃から銀魂のファンだったのに
 第一回人気投票結果が出てから支持層が分かってしまって……」

比奈
「それを境に、男キャラの話をしようにも
 『腐女子くさいから消えろ』とか言われて
 まともに掲示板で語れなくなったとか」

由里子
「うっ……痛い所を突くじぇ……
 確かにそういうマナーの悪い腐女子がいる事は否定しないよ。
 少年漫画を汚すなという純粋な少年漫画ファンの言葉も充分承知しているじぇ」

由里子
「だけど、信じて欲しい!
 全ての腐女子がそんなKYじゃないという事を!」

由里子
「例えば、紗枝ちゃんが花簪 HANAKANZASHI 歌っている時に
 『アソーレ!』とか『ア、ヨイショッ!』とか変な合いの手入れるファンが
 いたからって、紗枝ちゃんファンが皆
 そんなファンばかりという訳じゃないじぇ!」

比奈
「まあ、そうッスけど……」

由里子
「ユリユリはここに誓う!
 紗枝ちゃんをしっかりマナーを守る気高き貴腐人に育ててみせると!」

紗枝
「由里子はん、うちな、最近土銀にハマってもうたんやわ~」

由里子
「ああ、土銀良いよね~♪」

紗枝
「せやねん。基本土銀はシリアスなんが好きなんやけどな~
 このサークルの人の銀八先生ものの同人がえらいいちゃラブしててなぁ
 甘過ぎて砂吐きそうなくらいやってんよぉ(※1)~!」

由里子
「後書きとはいえ公式で学園パロディものやった時はびっくりしたじぇ。
 教師と生徒のインモラルな関係も妄想出来て
 まさに萌えのオールマイティ。あれを天然でやるんだから」

紗枝
「そうなんよ~。でも、うちな。
 何か銀土はちょっとちゃうかなぁって思てて。
 やっぱ銀さんは総受けのポジが一番セクシーやと思うんどす~♪」

由里子
「うーん、銀土だと強気キャラが受けになるから紗枝ちゃんと合わないかもねぇ」

紗枝
「せやろ! せやろ! ほんでな~……」



※1
砂を吐くとは、砂糖を吐くという意味。シチュとか展開が甘過ぎる時に使う。

由里子
「第四段階『リバの違いを知る』にやっと到達したじぇ!」

奈緒
「リバって?」

由里子
「銀魂で例えれば土銀も銀土もいけるという事だじぇ。
 女の子の組み合わせさえ合えば萌えられる百合と違って
 誰がどう攻める、あるいは受けるタイプか腐女子はこだわるじぇ」

由里子
「そのためBLは百合よりも強気受け、DT攻め、誘い受け
 ヘタレ攻め、俺様受け、など攻め受けのタイプで分類されたりして
 メチャクチャ細分化されているよ」

比奈
「そういやこの前渋谷に向かう電車の中でサスナル派とナルサス派の
 ぽっちゃりJKが大声で口論し合ってたッスね。
 骨なしチキンボリュームパックをそれぞれ食べながら」

奈緒
「えっ!? あの会話ってそんな内容だったの?」

由里子
「ナルトとサスケ……同じ漫画の同じキャラクターが好きなはずなのに
 その間にはベルリンの壁よりも残酷な隔たりが存在している……
 ああっ、その二人を生き別れの双子(イケメン)にすれば
 ご飯三杯は食えるじぇ……でへへへ」

由里子
「じゅる……おっとうっかりトリップしかかってた!
 つまりこの段階に来たら一般人から見れば
 もうどこを切っても立派な腐女子!
 言い訳のしようがない段階だじぇ」

奈緒「という事は、もう目標達成したって事?」

由里子「ふっふっふ……」

紗枝
「由里子はん、こないだ貸してもろた同人誌も
 楽しゅう読ませてもらいました~♪」

由里子
「お、どうだった?」

紗枝
「それはもう、封神演義は萌えの宝庫という
 由里子はんの言葉が心から理解出来ました」

紗枝
「普太は可愛らしいし、望ちゃん誘い受けの楊太もええ塩梅どしたぁ。
 黄飛虎お父はんと聞仲はんはリバもいけますし
 なんや玉楊や道天にも目覚めそうなんどす~♪」

由里子
「うんうん、師弟カプの多い所が封神演義のウリの一つだからね~。
 十年以上前の作品だけど今でも充分萌えられるってのはすごいよね」

紗枝
「ほんで今更ながらうち、封神演技の同人をあさっとるんどす♪」

由里子
「ところで紗枝ちゃん」

紗枝
「んっ、どないしはったん?」

由里子
「……実はね、紗枝ちゃんに見せた事のない蔵王先生(※2)の
 珍しい同人がまだあるんだけど……」

紗枝
「まぁ、蔵王先生と影貴先生の作品好きやから嬉しいわぁ
 ところで、それ裏アリ(※3)のヤツどすか?」




※2
漫画家・蔵王大志の事。
つだきみよ名義で比較的女の子キャラが良く出る「革命の日」などを描いてる。
竹下元総理の孫娘で漫画家の影貴栄貴とは、ちょくちょくコンビを組むマブダチ。

※3
本番があるという事

由里子
「アリアリ! 良かったら、見る?」

紗枝
「それはもう、萌えの師匠たる由里子はんのオススメするもんでしたら
 喜んで見ますえ。でもうちちょっとやそっとの奴じゃ驚かへんよ?」

由里子
「ふふふ、絶対驚くと思うじぇ。はいっ、どうぞ」

紗枝
「何やろなぁ……。……! こ、これ!?」

由里子
「どう? 驚いたでしょ?」

紗枝
「せやかて、これ……アンパンマンの……?」

由里子
「そう。ロールパンナ×メロンパンナの百合がメインだけど
 菌餡(※4)もしっかり書かれてるじぇ?」

紗枝
「うわぁ、こないな同人てあんねんなぁ……
 ひょっとして他にもあるんどすか?」

由里子
「ちょっと食パンマン様が腹黒入っているので良ければ
 日吉丸先生の同人がオススメだじぇ!」

紗枝
「ほならそれも次会う時見せてほしいわぁ!
 腹黒攻めとか大好物なんどす!」

由里子
「オッケイ! 分かったじぇ!」

紗枝
「えへへ、何やめっちゃええどすな。
 こないなもん見てしもうたら、うち……
 もうアンパンマンを純粋な目で見られへんわ~……」




※4 バイキンマン×アンパンマンの呼称

由里子
「やったじぇ。第五段階『擬人化に接触させる』……成功!」

比奈
「でも擬人化属性ってBLに必要ッスか?」

由里子
「ライトBL好きなら必要はないじぇ。
 だけど紗枝ちゃんが次のステージに登るためには
 どうしても必要なスキルになってくるからね」

奈緒「スキル?」

由里子
「そもそもBLを語る上で欠かせないのは、男の語る百合との違いだじぇ。
 結論を言うと、BLは関係性を重視し、百合は見た目を重視しているじぇ」

奈緒「似たようなもんだと思うけど……」

由里子
「両方共に同性愛を美化している事には何ら変わりないけど
 両者の違いは擬人化へのアプローチで顕著に表れているんだじぇ!」コトッ

ちょっと席外します

由里子
「……ここに鉛筆と消しゴムがあるじぇ。
 さあ二人共、この二つを男二人に擬人化する時どんなキャラクターを作る?」

奈緒
「うーん……鉛筆は好き勝手に紙面を走り回る活発な男子かな?
 そんでその後始末をする消しゴムは鉛筆のよき理解者みたいな……」

由里子「いいねぇ!」

比奈
「私は逆に鉛筆はいろいろ書くから知的な男性って印象ッス。
 逆にその仕事をわざと台無しにする消しゴムは
 構って欲しくていたずらする年下のやんちゃなツンデレ男子、みたいな」

由里子
「おおっ!? 二人共エクセレントォッッ!
 という具合に女の子はまず関係性から入って、擬人化をするじぇ」

由里子
「これを腐女子は訓練していく事によって
 擬人化という調理過程を経由することなしに
 最終的に物そのものでも萌えられるようになるじぇ」

由里子
「しかし百合は見た目重視。
 鉛筆をまず知的でクールな眼鏡女子――例えば
 千夏さんあたりのビジュアルで擬人化し
 手のかかる消しゴムを唯ちゃんあたりのビジュアルにして
 それから萌え始める」

由里子
「でもそれは『擬人化した』鉛筆や消しゴムの女の子に
 萌えているだけであって
 鉛筆や消しゴムそのものに萌えを見出している訳ではないじぇ」

由里子
「つまり、百合は美化する、擬人化する事が前提条件なのに対して
 BLは必ずしも擬人化は必須ではないのだじぇ」

由里子
「この基本原理を知り、応用さえクリアできれば!
 もうこの世にBLに出来ない漫画、いや物なんて何もないッ!
 全てがBLにッ! 全てが萌えにッ! 変換できるじぇ!
 ああっ! ようこそめくるめくベーコンレタスの世界へ!」

奈緒
(そもそもアンパンマン自体アンパンの擬人化だと思うんだけど
 それを更に擬人化するのっておかしくない?)

比奈
(そこらへんは突っ込んだら負けっすよ?)

紗枝
「ジョジョもゾクゾクアニメ化されているからうちも勉強してみたんや。
 三部のカプが多いようやけど、うちは
 二部のシージョセがドストライクやわぁ」

由里子
「あの魅せるお別れのシーンはBL抜きにしてもテンション高くなるじぇ!
 それに偶然にも銀さんと声同じだしね~」

紗枝
「そこも隠れ萌えポイントやなぁ~フフフフフ!」

由里子
「ジョジョならBL的には五部も萌えのオンパレードで面白いじぇ。
 減っていくけど男六人で寝食を共にしながら戦い続けるし
 敵側にも妄想を掻き立てるキャラが出てきて最高だじぇ!」

紗枝
「ほんまに!? それは要チェックやわぁ……
 あとな、由里子はんにお願いがあんねんけど……」

由里子
「ナニナニ? この先輩に何でも聞いてくれたまえよ!」

紗枝
「あんな、李衣菜ちゃんと夏樹ちゃんの同人とかないやろか?」

由里子
「えっ、百合で?」

紗枝
「いや、百合って事やないんどす。ただな、ほら、李衣菜ちゃんと
 夏樹はんって大変仲がよろしいさかい
 二人が男やったらって、最近考えるようになってしもてな!」

由里子
「はぁ……」

紗枝
「ほんでな、二人が男になった世界線でBLやってる同人が欲しゅうなったんよ。
 でもpixivとかTwitpic探してもなかなか見つからんし
 何でも知っとる由里子はんなら……と思うてな。どやろ、どやろ~?」

由里子
「さ、探してみるじぇ……」

由里子
「ふぅぅ……驚いたじぇ! まさかナマモノまでいけるとは……!」

奈緒「ナマモノ?」

由里子
「実在する人物でやおいをするという事だじぇ。
 現実に本人が居る分、本人の名誉棄損に関わったり
 ノーマルなファンとの摩擦が激しかったりするから
 発表する時もブログやHPに鍵を掛けて検索避けをするとかして
 とにかく取り扱いに充分注意しなければいけない第一種危険物BLなんだじぇ」

由里子
「流石のあたしにもナマモノ×身内のアイドル×その男体化
 という三連コンボはヘビィだじぇ……」

比奈
「ユリユリが押されるなんて珍しいッスね」

由里子
「あたしも大概お腐れ街道まっしぐらだけど
 ポテンシャルに限っては紗枝ちゃんはユリユリ以上のものを感じるよ。
 しかもあり得ない早さで腐っていってる……!」

奈緒
「ふーん、最近紗枝の夏樹たちを見る目が
 変と思ったら、そんな事があったんだ。
 最近ずっと紗枝のテンションが高くて何かおかしいなと思ってたよ」

比奈
「んで、どうするッスか? このままだと巨神兵並みに腐って
 様子のおかしい関西腐女子が出来てしまうッスよ」

由里子
「多少熟成しすぎた感があるけど、ここから先は
 先輩であるユリユリの指導にかかっているじぇ!
 思春期の少年に優れた教師が必要なように
 暴走しがちな腐女子を立派な貴腐人に導くのも務めだじぇ」

――寮のカフェ

渋谷凛
「紗枝、人から聞いたけれど……仲の良い男の人に萌えているって本当?」

紗枝
「せやねん! 何や最近ドップリハマって、もう色んなもんが
 そないな感じに見えてな~うち、ちょっとおかしゅうなっとるんどすー!
 (紗゜∀゜)アッハー↑」


「ふーん……ねぇ、良かったらさ、私のところに
 スポーツ選手のBLというか秘蔵AVがあるんだけど、見ていかない?
 すごく……興奮するんだ……」

紗枝
「ほんまに!? うちな、リアルアイドルの冬夏にもハマってもうてな
 同人も描いてみようと思うとるんどす。
 そろそろ裸の資料に見ておくのも良いかもしれへんなぁ~///
 せやけど、スポーツ選手のAVってほんまにあるんどすか?」


「うん。学生時代にこっそりと出ていたんだって。
 秘蔵らしくって私もネットサーフィンしている時に
 偶然見つけてハマったんだ。ちょっと過激かもしれないけど」

紗枝
「うわぁ、めっちゃ楽しみやわぁ!
 最近な、過激なシチュとかプレイでないと興奮しないようになってしもてな!」

――渋谷凛の部屋

          _        _
        , '´   `ヽ    , '´   `ヽ
      i ノノハリノ)   i i」」_ノ」)
      | |l ゚ -゚ノリ   |l*|゚ ヮ゚ノl*  ワクワクソワソワ
      │. と)ソi〉|   |l リf`y'ヽリ
     │ . ノ,__」ゝ   `'〈.フニくノ

       `` じノ´        [_ノ

アッーヴァウ!アッーイグッ!イグッ!イグッ!アッ・・・ ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛・・

                _       _
ワン!ワン!     , '´   `ヽ  , '´   `ヽ  汚ねえケツだなあ! おい   
イキますよ~    i ノノハリノ) i i」」_ノ」)  イクイク・・・  出ますよ~今日は~
しゃぶれだぁ?  | |*゚ -゚ノリ  |l*|;゚д゚ノl*  このやろう!  てめえもしゃぶれよ!
自分で挿れ    │. と)ソi〉|  |l リf`y'ヽリ ていいすか? 指
やれば、返し  │ . ノ,__」ゝ  `'〈.フニくノ  ていただけるんですか

アメフトゥ・・・     `` じノ´     [_ノ   24歳、学生です。 

――数日後


「紗枝、またAV鑑賞会やるんだけど……寄ってかない?」

紗枝
「ひぃっ!? り、凛はん!!
 いや、う、うちは忙しゅうて……ほんまに堪忍!」

凛「あっ、ちょっと……」

ダダダダダダダダッッ!!

紗枝
「……はぁっ……はぁっ……!
 またあないおそろしいもん見させられたらかなわへん……」

由里子「紗枝ちゃん、探したじぇ~♪」

紗枝「あっ、由里子はん……」

由里子
「いやぁ探せばあるもんだじぇ!
 この前言っていただり♂なつ♂の同人誌、こっそり持ってきたじぇ!」

紗枝
「!!! ……ごめん、そないなもん、うちに近づけんといて!」

由里子
「えっ、何で? 約束してたじゃん。
 李衣菜ちゃんと夏樹ちゃんの男体化BL本……」

紗枝
「ううっ……! わざわざ女の子を男にしてホモらせるやなんて
 正気の沙汰やあらしまへん……
 そもそも男同士に萌えるゆうんがそもそも異常やったわ……」

由里子「さ、紗枝ちゃん……? どうしたの?」

紗枝
「由里子はん……探してもろたんはありがたいんどすが
 もうそれはうちには必要あらしまへんのや。
 まことに勝手なんどすが、もう……うちBLが心底嫌になりましてん!」

由里子「ええ――っ!!?」

「……ああもう、なんであないなケッタクソわるいもんにハマってたんやろ。
 自分のことながら、全く分からへんわ……」タタタタタ……

由里子
「えっ!! ちょっ、ちょっと紗枝ちゃん!?
 ど、どうしてだじぇ!? 折角あそこまでいったのに――っ!」

……コソッ。

奈緒「あちゃー……間に合わなかったかー……」

比奈
「某笑顔動画や掲示板にはびこる
 『アレ』にだけは近づけたくなかったんスが……」

奈緒「凛に悪気はないとはいえ……」



由里子
「ううっ……! 折角出来たガチ腐レンドがぁ……!
 こんなのってないじぇ――っ!」

めでたしめでたし。


あくまでこれ、個人的見解なんで
腐女子の心理分析・生態に自信ネキは補足オナシャス!

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