モバP「奏が失踪した」 (28)

アイドルマスターシンデレラガールズ、速水奏のお話です

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モバP(以下P)(奏が失踪した)

P(かれこれ一ヶ月になるだろうか。突如メディアから姿を消し、今も世間を騒がせている)

P(奏が失踪する前日、一通の手紙が事務所に届いた。『ちょっと思う事があるから失踪するわ』と書かれた手紙が)

P(もちろん、事務所は大混乱……と言いたいが、実は学業に集中したいと奏に頼まれていたのもあって、仕事を減らしていたのが功を奏した)

P(そして、手紙が届いた翌日、奏は失踪した)

P(事務所は今でも奏の行方を掴めていない)

奏「難しい顔してどうしたのかしら」

P「……ちょっと失踪した人の行方を考えててな」

奏「あら、また志希が失踪したのね」

P「志希なら『またか』ってなって終わるけど、今回は別人が失踪したんだ」

奏「そうなの。面倒な人も居るのね」

P「本当に……」

奏「それはそうとご飯よ。今日は自信あるわ」

P「ん……」

P(奏が失踪したその日の深夜、アパートに帰ったらうずくまる人影があった)

P(大きなキャリーバッグの横に膝を抱えて座り込む女の子が)

P(聞きたい事は山ほどあったが、寒さに震える奏を見かねてとりあえず家に入れてココアを飲ませていると、『しばらく失踪するから。お世話になるわ』なんて言い出したのだ)

P(もちろん、『私がここに居る事はプロデューサーさんと私だけの秘密ね』とも)

奏「どうかしら?」

P「うまいよ」

奏「ふふっ、それは良かったわ」

P(ニコニコする奏を見ながらご飯を食べるのにも大分慣れてしまった)

P「なぁ、奏」

奏「嫌」

P「まだ何も言ってないだろ」

奏「どうせまた失踪した理由を教えろって言うんでしょ? 嫌よ」

P「はぁ……」

P(このようにどれだけ聞いても奏は絶対に理由を教えてくれないのだ)

奏「それよりお仕事はどうだったの?」

P「誰かさんが失踪した事以外は極めて順調」

奏「それは良かったわ」

P「……事務所から捜索願を出そうかって話が本格的になってる」

奏「それはダメ」

P「なんでだ?」

奏「両親に迷惑はかけられないもの」

P「男の家に一ヶ月も転がり込んでる時点で迷惑かけてるだろ」

奏「それに関しては両親も了承済みよ」

P「は?」

奏「普通、自分の娘が失踪したら真っ先に捜索願を出すのは両親でしょう?」

P「まぁ、そうだな」

奏「でも、この一ヶ月捜索願は出されていない。何故なら両親が私の居場所を知っているから」

P「……」

奏「理解してくれたかしら?」

P「本当にお前は何を考えてるんだよ」

奏「さぁ? ミステリアスなのは私の魅力でしょう?」

奏「じゃあお風呂入ってこようかしら」

奏「覗いちゃダメよ?」

P「誰が覗くか」

奏「あら、私の裸に興味はないの?」

P「子供に手を出すほど飢えちゃいないっての」

奏「……子供、ね。これでも大人っぽいと思ってたんだけど」

P「大人っぽいてのは子供に使う言葉だよ」

奏「なるほど、そういう解釈もあるのね」

奏「じゃあ行ってくるわ」

P(奏が何を考えてるか本気で分からない)

P(どうも学業に専念したいってのは本当の事らしく、学校にはここから毎日通っている)

P(メディアに出る事を一切やめただけだ)

P「厳密には失踪じゃないんだよなぁ……」





P「うーん……わからん」

ちひろ「奏ちゃんの居場所ですか?」

P「え? あぁ、まぁそんなとこです」

P(奏が俺の家に居るなんて口が裂けても言えないため、事務所は奏の居場所を把握できないでいる)

P(一度、都に学校帰りの奏の尾行を依頼したらしいのだが、都自身がファンにみつかりその間に奏を見失ったらしい)

ちひろ「……そういえばこの週刊誌ご覧になりました?」

P「はい?」

P「あぁ、これですか。一応は」

P(ちひろさんから渡された週刊誌には『人気アイドル謎の失踪!』とか『10代が抱える心の闇!』とかって文字が書かれていた)

ちひろ「どうして失踪なんてしたんでしょう……」

P「わかりません」

P「奏が何を考えてるかなんてさっぱりです」

P「両親も了承済みなんて本当に意味が分からない」

ちひろ「ご両親は奏ちゃんの失踪に了承してるんですか?」

P「え? あぁ、はい。そうらしいです」

ちひろ「どこでそんな事を聞いたんですか?」

P「え?」

ちひろ「奏ちゃんのご両親には真っ先に連絡しましたよね」

ちひろ「その後も度々。にもかかわらず毎回帰ってくる返事は『好きなようにさせてやりたい』だけです」

ちひろ「プロデューサーさんは一体、いつ、どこで、誰から奏ちゃんの失踪をご両親が了承済みなんて聞いたんですか?」

P「え? いや、その……」

ちひろ「……何を隠してるんですか?」

P「い、いえ。何も……」

ちひろ「……奏ちゃんの居場所、知ってるんですね?」

P「……」

ちひろ「知っていますか? ネットの噂」

ちひろ「『速水奏は男と同棲している』って根も葉もない噂が出回ってるんです」

P「……」

ちひろ「もし、これが真実ならその男ってのは誰なんでしょうね?」

P「さぁ……」

ちひろ「プロデューサーさん? 私の目をしっかりと見てくださいね?」

P「はい」

ちひろ「奏ちゃんはどこに居るんですか?」





奏(そろそろ限界かしら)

奏(テレビをつければそこかしこで私の事)

奏(ネットを見ても同じ。最近じゃ私をつけてる人まで居るし)

奏「ふぅ……ダメね。ここまでしても何にもないなんて」

奏「ホント……誠実と言えば聞こえはいいけど、臆病な人……」

P「た、ただいまー……」

奏「あら? おかえりなさい。早かったのね」

P「忘れ物してな……」

奏「忘れ物? 書類でも忘れたのかしら」

P「いや……その……」

ちひろ「奏ちゃんを忘れたんですよ」

奏「ちひろさん……」

奏「はぁ……秘密って言ったのに」

P「すまん……」

ちひろ「すまん、じゃないです。ホウレンソウは社会人の基本ですよ」

ちひろ「さて、奏ちゃん。一緒に来てもらえますか?」

奏「嫌、と言ったら?」

ちひろ「多少強引ですが、手足を縛ってでも連れて行きますよ」

奏「怖い笑顔ね」

奏「良いわ。言う通りにする。行きましょう?」

ちひろ「素直ですね」

奏「そろそろ限界って思ってたところだったもの」





ちひろ「では、説明してもらえますか?」

奏「失踪してみたの」

ちひろ「何故?」

奏「言いたくないわ」

ちひろ「……今までどこに?」

奏「プロデューサーさんの家」

ちひろ「何故そこを選んだんですか?」

奏「さぁ? 何故かしらね?」

P(さっきから笑顔でやり取りしてるのに……なんか超怖い……)

ちひろ「飽くまで説明する気はない、と?」

奏「そんな事はないわよ。聞かれた事には答えてるもの。ただ、それがちひろさんの望む答えじゃないだけでしょう?」

ちひろ「そうですね。その通りです」

ちひろ「では、少し話題を変えましょう」

奏「えぇ」

ちひろ「奏ちゃんはどう責任をとるおつもりですか?」

奏「仕事に関しては問題なかったはずだけど」

ちひろ「仕事はまぁ、そうですね。丁度減らしていた時期でしたし、どうしても奏ちゃんじゃなければいけない仕事もなかったです」

奏「じゃあ、私の責任って何かしら?」

ちひろ「普段の奏ちゃんはどこに行ったんでしょう。普段の大人な奏ちゃんならわかってると思いますが」

奏「あら、私ってまだ子供なのよ」

ちひろ「……良いでしょう」

ちひろ「奏ちゃん。世間を騒がせた責任はどうとるおつもりですか」

奏「そんなに騒がせたかしら?」

ちひろ「テレビや週刊誌を見てないんですか?」

奏「ああいうのって、基本的に根も葉もない噂に過ぎないじゃない? 私はああいうのあまり信じてないの」

ちひろ「それでも信じる層ってのは一定数居るんです」

ちひろ「奏ちゃんには説明する責任があるんですよ」

奏「はぁ……わかったわ」

奏「プロデューサーさん」

P「ん? お、おう!」

奏「私が今回の件、説明できる場所って用意できるかしら?」

P「記者会見とかでよければ」

奏「それでいいわ」





奏「ねぇ、プロデューサーさん」

P「なんだ?」

奏「私は今から今回の失踪について説明するけど、何があっても止めないでね」

P「どういうことだ?」

奏「聞けばわかるわよ」

奏「さ、そろそろ時間ね。始めましょう」





奏「本日はお集まりくださり感謝しています」

奏「まず、今回の私の行動が皆様に多大な迷惑をかけた事を心からお詫びします」

記者「速水さん! 今回の芸能活動中止は引退と受け取ってよろしいんでしょうか!?」

奏「……結果そうなると言えるわ」

P(なっ!?)

P「お、おい! 奏……」

奏「止めないで、って言ったはずよ」

奏「まずは、今回の事の顛末をすべて説明するわ」

奏「私は今から一ヶ月ほど前、芸能活動をすべて中止しました」

奏「そして、中止した日からとある男性のところに転がり込んでいたの」

P「奏!」

奏「週刊誌にも噂が流れていたみたいだけど、全て事実よ。私は男性と同棲していたの」

記者「その男性とは!?」

奏「あら、目の前にいるじゃない。私の隣でおろおろしてるこの人よ」

P(一斉に視線が俺の方に!)

記者「恋愛関係にあると受け取って良いんでしょうか!?」

奏「残念ながら恋愛関係ではないわね。この人ったら真面目なのかこんなに美人と一緒に住んでるのに一切手を出してこなかったのよ」

P「もうやめろ! すみません! いったん休憩を!」

奏「止めないでって言ったでしょう」

奏「大丈夫です。気にせず進めましょう。あ、もし良ければ手の空いてる方でそこのプロデューサーさんを取り押さえてくれると嬉しいんだけど」

P「おい! やめっ! やめろ!」

奏「じゃあ続けるわね」

奏「そういうわけで私は芸能活動を中止して、そこの人と一緒に暮らしていたというのが今回の件です」

P(くそっ……これじゃ奏のアイドル復帰が絶望的になっちまったじゃないか……)

奏「それから……」

奏「ここからは今回の件に直接は関係ないのだけど」

P(まだ何か言うつもりか!? 止めないと……!)

奏「私は多分アイドルとしてはもうやっていけないでしょうね」

奏「だから、今の私はただの速水奏。これからはただの速水奏の言葉よ」

奏「プロデューサーさん、私と結婚してくれるかしら?」

P「は、はぁ!?」

奏「もし、断ると言うなら、今度は本当に失踪するわ。今回みたいな茶番じゃなくて、本気で」

奏「幸い、トップアイドルをやらせてもらっていたからお金には困っていないもの。どこへでも行けるわ」

記者「は、速水さん!」

奏「ごめんなさい。アイドル速水奏の記者会見はさっきで終わり。今はただの速水奏だから質問は受け付けないの」

奏「返事をきかせてもらえるかしら」

P「いきなり結婚なんて言われても……」

奏「あら? 私じゃ不満かしら?」

P「そうじゃないが、俺にだって立場ってもんが……」

奏「そんなことどうでもいいの」

奏「私は、結婚してくれるかどうかを聞いてるの」

奏「結婚してくれるなら、はいと言ってくれればいいのよ」

P「断ったら失踪するんだろ……? そんな脅しみたいなのフェアじゃないだろ」

奏「それもそうね。でも、それくらい貴方が欲しいの」

奏「すべてを諦めてた私に、光をくれた貴方が」

奏「復讐のためにアイドルになった私に、復讐以外の目的をくれた貴方が」

奏「私はどうしても欲しいの」

奏「答えてくれるかしら」

P「そんな……」

奏「……そう。じゃあ私はこれで消えるわ。もう二度と現れないわ」

奏「皆さんもどうぞ記事にするなりなんなり好きにしてくれていいわ」

奏「私が無様にフラれる様を面白おかしく書いてくる事を期待しているわ」

奏「じゃあ、そういう事で」

P(奏が……奏が行ってしまう……!)

P「くそっ! 離せよ!」

P「奏!」

奏「何かしら。フラれた身としてはすぐさま立ち去りたいのだけど」

P「お前、何のためにこんな事したんだよ!」

奏「何のため? 簡単な事じゃない」

奏「貴方を振り向かせるためよ」

奏「私の愛を受け入れてほしかったの」

奏「ただ、それだけ。私の願いなんて単純なものよ」

P「そんな……馬鹿じゃないのか……」

奏「えぇ、馬鹿だと思うわ。でも仕方ないじゃない。私はまだ子供なんでしょう? 気持ちを押さえつけられるような大人じゃないわ」

P「っ……!」

奏「じゃあ、プロデューサーさん。さよなら」

奏(やっぱり私じゃダメだったみたいね)

奏(さようなら、好きだった人)

P「結婚する……! するから待ってくれ!」

奏「本当に?」

P「あぁ……だから、行かないでくれ……!」

奏「言質はとったわよ。ここに居るみんなが証人」

奏「もちろん、この事も記事にしてくれるわよね?」

記者「えっ!? あ、はい!」

奏「もう、逃げられないわよ」

P「逃がす気なんて最初からないんだろ……」

奏「よくわかったわね。どんな手段を使ってでも手に入れるつもりだったのよ」

P「じゃあ俺は諦めてお前を受け入れるよ……」

奏「そう。それは嬉しいわ。じゃあこれから一緒に愛を育んでいきましょう?」

P「あぁ……」





P(奏の今回の一件は一応これで幕引きとなった)

P(事務所やら奏やら俺自身に対する猛烈な批判もすぐに収まって、今ではそんな事もあったね、程度になっている)

P(俺はと言うと、あの時の選択が正しかったのか、今でも悩んでいる)

奏「どうしたの? 難しい顔をして」

P「奏と結婚したのが正しかったのか考えてる」

奏「そうね。正しくはないでしょうね」

P「なら……!」

奏「でも、私は幸せよ。それでいいじゃない?」

P「……」

奏「私は愛する貴方を手に入れたの。事務所のみんなよりも早く」

奏「私の願いは叶ったの」

奏「それでいいじゃない」

P「わからない……」

奏「大丈夫よ。いつかちゃんとわかるから」

奏「私がわからせてあげるから」

奏「私の愛しい人」

End

以上です。

ちょっとというかかなり迷走してます。奏自体が難しすぎます。
奏の練習にって思ったのに練習にすらならなかった感がすごいです。
精進して出直してきます。

では、依頼出してきます。

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