【艦これ】川内「夜戦だーっ!」 (61)

※一部キャラ崩壊が激しい場面があります。

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由良「夜戦、始めます! あと少し、頑張りましょう!」

川内「ふふん、ようやく私の時代が来たようね……」












夕立「やっせんーやっせんー♪ 楽しみだなー♪」ウキウキ

川内「!?」

夕立「ぽいぽいぽーいっ!」ドォーンッ

ヲ級「ヲーーッ!?(私ーーっ!?)」撃沈

夕立「やったーっ! 倒したっぽーい!」

綾波「夕立ちゃんすごいです!」

蒼龍「いやー流石だねー。私夜戦は参加できないからなー」

古鷹「蒼龍さんは昼戦で十分活躍してくれていますから。適材適所ですよ」

川内「……」

夕立「提督さん、褒めて褒めてー!」MVP

提督「おう、よくやったな、夕立」ナデナデ

夕立「えへへー……//」

提督「しかし珍しいな、夜戦ありきなら大抵川内がMVPなのに」

川内「ん……まあ、こんな時もあるよ。次は頑張るから!」

提督「川内は夜戦にだけは定評があるからな、そこは心配していない」

川内「むっ、夜戦にだけはって何よ! 否定はしないけど……」

提督「しないんかい」






??「……」ニヤリ

陽炎「夜戦よ、夜戦! 総員、突撃用意!」

川内「この前は夕立にやられちゃったから、今日は私が……」












不知火「夜戦……それはこの不知火の為にあるようなものです……」ゴゴゴゴ

川内「!?」

ビスマルク「!?」

不知火「沈め……沈めっ!」ドォーンッ

ヲ級「ヲーーッ!?(また私ーーっ!?)」撃沈

陽炎「不知火、今日は張り切ってるわねー」

不知火「そうでしょうか? 不知火はいつも通りですが」

那智「いや、明らかに普段と違うぞ。今の不知火を例えるなら……修羅だな」

隼鷹「もう終わりかい? 早いなあ。じゃ、ちゃっちゃと帰ろうぜー」

川内「……」

不知火「もっと骨のある敵はいないのかしら」MVP

提督「いや、この海域の深海棲艦はなかなかの強敵だったはずだが……まあ何はともあれ、よくやってくれたよ」

不知火「ありがとうございます、司令」

ビスマルク「ねえ提督、彼女は本当に駆逐艦なの……? オーラは完全に戦艦よ……? 目つきとか特に……」

提督「そう言うビスマルクはあまり戦艦の雰囲気を感じさせないよな。むしろ暁に近いものがある」

ビスマルク「もうっ、アカツキって駆逐艦じゃない! 失礼ね、この私をお子様扱いするだなんて!」プンスカ!

提督(かわいいなあ)

川内「……」

提督「どうした? また夜戦で活躍できなかったことを気にしてるのか?」

川内「……提督」

提督「まあ、そう深刻になることでもないだろ。陽炎によると、今回は不知火がやけに張り切っていたようだし」

川内「……そう、よね。うん! 次はやってやるんだから!」

提督「その意気だ」






??「ふふ……」

球磨「追撃戦に移るクマ! 魚雷の用意はいいかクマ!」

川内「さて、今日こそは私がMVPになって……」












島風「皆おっそーい! 先に行っちゃうからね!」

白露「あっ、島風ちゃんずるーい! あたしが一番に突っ込むんだから!」

川内「!?」

白露「いっちばーん先に、魚雷発射ーーっ!」

島風「私だって、速さじゃ負けないよ!」

シャッ! シャッ! シャッ! バシューン!

ル級「クッ……コノワタシガ……」撃沈

タ級「クチクカンゴトキニ……ヤラレルトハ……」撃沈

吹雪「すごいなあ、二人とも……同じ一番艦として見習わなきゃ」

朝潮「あら、吹雪も『いっちばーん!』ってやりたいの?」

吹雪「そ、それはちょっと……」

朝潮「じゃあ『おっそーい!』の方?」

吹雪「朝潮ちゃん、私のことそんな風に思ってたの……?」

球磨「何か今日はいつにも増して騒がしいクマ」

川内「……」

球磨「でも、その元凶が川内じゃないのが不気味だクマ……」

島風「私が一番? やっぱり? そうよね、だって速いもん!」MVP

提督「相変わらずだなあ島風は……俺の上司と気が合いそうだ」

吹雪「司令官の上司の方、ですか?」

提督「ああ。その人も速さにはこだわりがあるみたいでな、『速度は重さ』と教えられたのは今でも覚えている」

白露「じゃあ島風ちゃんは、重さも一番ってことだね!」

島風「おぅっ!? 私、そんなに重くないよ!」

球磨「旅行するなら、どこに行きたい?」

提督「そうだねェ……って、んん? 球磨?」

球磨「……何故か急に言ってみたくなったクマ」

提督「お、おう……そうか」

川内「……」

提督「……」チラッ

川内「……」

提督(ううむ、何とも声をかけづらい雰囲気だな)






??「順調順調……」

長良「追撃するよ! 皆、長良についてきて!」

川内(今日こそ、今日こそは……)












初雪「夜戦だって、もっち……やったね」

望月「おぉーいいねぇー。じゃあ、いっちょやっちゃいますか」

川内「!?」

初雪「私の本気……食らえ」

望月「さっさと片付けちゃおうかな、っと!」

シャッ! シャッ! シャッ! バシューン!

ル級「エッ……ワタシ……」撃沈

タ級「アンナヤツニ……シズメラレルノ……?」撃沈

初雪「……今、すごく失礼なことを言われた気がする」

望月「奇遇だね、あたしもだ」

叢雲「初雪……アンタ、どうしたの……?」

初雪「ん……何か、今日はそんな気分だった……」

弥生「もっち……熱でも、ある……?」

望月「どうして敵艦を倒しただけで心配されてんだろうね、あたしは……」

長良「ほら皆ー、帰るよー」

川内「……」

初雪「ふふん……どうよ」MVP

提督「おいおい、日頃『引きこもる』とか『明日から本気出す』とか言ってる初雪がMVPだと……? 明日槍でも降るんじゃないか……?」

初雪「私だってやる時はやるし……」

提督「……何だか、俺の恩師に似ているな」

望月「恩師?」

提督「軍人としての俺を育ててくれた人だ。その人も『だらけきった正義』をモットーにしていてな、普段はマイペースでいい加減だが、やると決めたことは最後までやり通す。そんな人だった」

初雪「だらけきった正義……いい響き……うん」

望月「へえ、ちょっと会ってみたいかも」

提督「いや、その人は何年か前に軍を辞めちまってな。今どこで何をしているのかは俺にも分からないんだ」

望月「なあんだ、残念」

初雪「つまんない……引きこもる……」

望月「じゃああたしも入渠させてもらおうかな。あーしんどー……」

提督「あらら、結局そうなっちゃう?」

叢雲「初雪のあの性格はちょっとやそっとじゃ直りそうにないわね」

弥生「司令官……すみません、うちの妹が……」

提督「ああいや、別に気にしてないよ。それより、叢雲達も疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」

川内「……」

提督「……川内」

川内「……ん、提督? どうしたの?」

提督「あー……いや、川内も戻っていいぞ」

川内「あ、うん……じゃあ、私も部屋に戻るね」

ガチャッ バタン

提督「……」






??「よしよし、これは効いたはず……」

­

摩耶「逃がすかよ! 追撃するぜ!」

川内「……」

天龍「ほらどうした川内、お前の大好きな夜戦だぜ?」

川内「えっ、あぁ、うん……」












霧島「夜戦の時間だオラァ!」

川内「!?」ビクッ

姉御ォ!

霧島wwwwww
後で金剛に怒られるんですね、わかります

霧島「さっさと沈めやコラァッ!」ドォーンッ

ヲ級「ヲーーッ!?(怖いーーっ!?)」撃沈

霧島「チッ、やっとか……ったく、手間かけさせやがって……クソアマ共が」

摩耶「お、おいおい……何だよあれ」

瑞鳳「あの人、本当に霧島さんなの……?」

天龍「フフフ……怖い」ガクブル

清霜(霧島さん、かっこいい……! 私もいつかあんな風になりたいなあ……)

霧島「……さて、敵艦隊を撃破したことですし、帰りましょうか」ニコッ

天龍「!?」

摩耶「あ、ああ……じゃあ戻ろうか……いや、戻りましょうか……」

霧島「?」

瑞鳳「……私、夢でも見てたのかしら……」

川内「……」

霧島「深海棲艦は徹底的に叩く、それが私の務めです!」MVP

提督「元帥殿みたいなことを言うなあ」

霧島「とおっしゃいますと?」

提督「今の元帥殿は『徹底的な正義』を掲げていてな。正しくない者はたとえ味方であろうと容赦なく粛正するような人だ」

霧島「わ、私はそんなことしませんよ?」

摩耶(うーん、否定してやりたいが……)

瑞鳳(あの豹変ぶりを見ちゃうと……)

天龍(一概にないとは言えねえな……)

清霜(仲間のためにあえて厳しく霧島さん……ちょっと素敵かも……)

提督「でも、その人には意外な一面もあってな。浦風に一目惚れしたとかで、いつの間にか広島弁で話すようになってたんだよ」

天龍「浦風との距離を縮めるために話し方を変えたってことか?」

提督「どうやらそうらしい。寝る間も惜しんで勉強して、一週間ほどでマスターしたそうだ」

瑞鳳「それは、何と言うか……」

霧島「愛のなせる業ですね」

提督「きっと浦風に対する愛が大噴火したんだろうな」

霧島「……」

瑞鳳「……」

摩耶「……」

天龍「……」

清霜「……」

提督「……何か、すまん」

川内「……」






??「もう一押しかな……」

足柄「さあ、夜戦よ! 私達の力、見せてやりましょう!」

川内(……今日は、誰がMVPなんだろ……)












羽黒「夜戦……なんて素敵な響き……うふふ……」

川内「!?」ゾクッ

羽黒「こうやって砲撃して……」ドォーンッ

ヲ級「ヲーーッ!?(さらに怖いーーっ!?)」撃沈

羽黒「深海棲艦さんが暗い海の底に沈んでいく様を見るの……ああ、幸せ……♪」ウットリ

龍驤「アカンアカンあれアカンって!? 完全にキャラ壊れとるやん!」

羽黒「あれ……? もう、終わっちゃったの……? 深海棲艦さん……どこ……?」

足柄「妙高姉さん、那智姉さん、どうしよう……羽黒がおかしくなっちゃった……」

羽黒「隠れてないで……出てきて……? 砲撃してあげるから……」

比叡「ヒエッ……」

羽黒「ねえ……私をもっと……楽しませてよ……うふふ……」

潮「ふえぇ……」涙目

足柄「は、羽黒!」

羽黒「足柄姉さん……?」

足柄「もう敵艦隊は撃破したの! ほら、帰るわよ!」

羽黒「何だ、そうなの……もっと見たかったのに……」

龍驤「それは次の機会にしい! さっさと戻るで!」

羽黒「……分かりました」

比叡(はあ、やっと終わった……怖かったー……)

川内(……夜戦やってて、早く終われと思ったのは初めてだなあ……)

羽黒「……」クルッ

潮「……羽黒さん、どうしたんですか? 後ろを向いて……」

羽黒「深海棲艦さん……待っててね……私が必ず……沈めてあげるから……うふふっ……」ニコォッ

5人「」ゾワッ

羽黒「私ですか? ありがとうございます!」MVP

提督「なあ羽黒」

羽黒「はい、何でしょう?」

提督「心なしか、後ろの5人が小刻みに震えているように見えるんだが……それにいつも以上に疲れた表情をしている」

5人「……」ゲッソリ

羽黒「そう言われると、確かに……皆さん、どうされたのでしょうか?」

提督「羽黒には心当たりはないか?」

羽黒「いえ、私にはちょっと……あっ! もしかして……」

提督「何か思い当たることが?」

羽黒「海風に当たって体が冷えてしまったのではないでしょうか? もう朝晩は結構冷え込みますし、それに海の上にいましたから」

提督「そう……なのか?」

羽黒「はい、恐らくそうだと思います! 皆さんは先に入渠してきて下さい! 私は最後で構いませんので!」

5人「……」

5人(羽黒<さん>には絶対、夜戦をさせちゃいけない……)






??「次で仕上げと行きますか……」

飛龍「夜戦だってさー。皆頑張ってねー」

長門「まったく……自分が参加しないからって、お気楽な奴だ」

川内(また夜戦か……はあ……)












神通「この時を待っていました……さあ、沈めてあげましょう……」

那珂「那珂ちゃん、夜戦だって頑張っちゃうよー!」

川内「!?」

神通「逃がしはしません……」ドォーンッ

ヲ級「ヲーーッ!?(結局こういう役回りなのねーーっ!?)」撃沈

那珂「那珂ちゃんは、かわいいだけじゃないんだからっ!」ドォーンッ

タ級「ナカチャンノファンヤメマス……」撃沈

利根「おおっ、何やら神通と那珂が張り切っておるのう!」

長門「……それに比べて、川内はどうしたんだ? 明らかにいつもの調子ではないが……」

利根「ううむ、確かにそうじゃな……いつもなら夜戦となるといの一番に向かって行くはずじゃが」

飛龍「具合でも悪いのかな? ちょっと心配だなー……」

川内「……」

神通「こんな私でも提督のお役に立てて、本当に嬉しいです」MVP

提督「神通って普段物静かなのに、出撃するといつも大きな戦果を挙げるな」

那珂「神通ちゃんは戦闘になるとスイッチが入るタイプだからねー」

神通「そんなことは……いえ、そうかも知れません」

提督「なるほど、『怒らせると怖い艦娘ランキング』1位なのも納得できる」

神通「……何ですか、それは?」

提督「青葉がたまに独断と偏見で色々なランキングを付けて新聞に載せているんだが、知らなかったか?」

神通「いえ、それは知っていますが……その新聞は読んだ記憶がありません」

那珂「那珂ちゃんも覚えてないなー……」

飛龍「私は見たよ?」

長門「私も読んだな」

利根「吾輩は読んでおらんのう」

提督「……ちょっと待て、あのランキングってどうなってた?」

長門「確か……1位が神通、2位が龍田、3位が筑摩だったな」

利根「何っ!? 筑摩も入っておったのか!」

提督「……あっ、分かったぞ! さては青葉、ランキングに入った3人に新聞を渡さなかったな? あとその姉妹にも」

飛龍「姉妹を介して本人が知る可能性まで排除したってわけね」

利根「あやつも考えたものじゃな」

神通「青葉さん……後でお仕置きが必要ですね」ゴゴゴゴ

提督(あっ、これ青葉終わったんじゃないか)

川内「……」

霧島「マイクチェック、ワン、ツー……よし。皆様、大変長らくお待たせ致しました。本日司会進行を務めさせていただきます、霧島です。よろしくどうぞ」

夕立「前置き長いっぽーい!」

霧島「えー、素晴らしいヤジをありがとうございます。それでは待ちきれない方もいるようですし、早速今夜のゲストをお呼びしましょう。この方です!」

那珂「やっほー! 艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」

羽黒「きゃーーーっ! 那珂ちゃーーーーん!!」

神通「素敵ですよーーーーーっ!!」

那珂「二人ともありがとーっ!」

島風「始まるのおっそーい!」

白露「もう待ちくたびれちゃったよー!」

那珂「島風ちゃん、白露ちゃん! そんなこと言っちゃダメだよ! 最高の舞台にするにはそれなりの準備が必要なの! 分かった?」

島風・白露「「分かったー!」」

那珂「うんっ、いい返事! それじゃあ皆お待ちかね、那珂ちゃんのスペシャルナイトライブ! 始まるよー!」

コイノトゥーフォーイレーブーン♪

望月「あれ、ぬいぬい?」

不知火「こんばんは。あとぬいぬいはやめて下さい」

白雪「珍しい……」

不知火「その言葉、そっくりそのまま2人にお返しします。あなた達も普段この時間は部屋にいるでしょう」

望月「んー……何故かは分からないけど、今夜はいつもとちょっと違うことがしたい。そんな気分だったのさ」

白雪「私も……。ぬいぬいは……?」

不知火「……不知火もそんなところです。あとぬいぬいはやめて下さい」

望月「ふーん、珍しいこともあるもんだね。ぬいぬいもそうなんだ?」

初雪「……ぬいぬいが、ライブ会場で、オタ芸……考えたら、すごくシュール……ふふっ……」

望月「ぶはっ! ぬいぬいがオタ芸とか……想像するだけでヤバいって!」

不知火「……どうやっても不知火の頼みは聞き入れてくれないようですね……」

提督「最近夜が賑やかになったなー」

陸奥「そうねー」

提督「何故急にこうなったのかはもちろん気になるが、それ以上に気がかりなのが……」

陸奥「……その輪の中に川内ちゃんがいないこと、でしょ?」

提督「……分かるか?」

陸奥「私も気になってたから。『仲間が増えた!』って喜ぶかと思ってたのに」

提督「最近は夜戦でも心ここにあらずみたいな感じだと聞いたからな……」

??「そりゃあ私がそうなるように仕向けましたからね!」

提督「……ん? 誰だ?」

陸奥「あら? あなたは……」

提督・陸奥「「メロンちゃん」」

夕張「その呼び方はやめて下さい」

提督「じゃあそばちゃんにでもするか?」

夕張「そばちゃん……やだ、割といいかも……」

提督「何で気に入ってんだよ。冗談だからな」

提督「それより、さっきの『そうなるように仕向けた』っていうのは?」

夕張「よくぞ聞いてくれました……それは、これを使ったんです!」スッ

提督「何だそれ?」

陸奥「おもちゃの銃、みたいに見えるけど……」

夕張「これはですね、一見ただのおもちゃですが、引き金を引くと……」ビーッ

陸奥「赤い光線が出たわね」

提督「レーザーポインタみたいだな」

夕張「この光を浴びた人は、川内のように夜になるとテンションが上がってしまう……」

夕張「名付けて『夜戦バカになるビーム』、通称YBNBです!」

陸奥「……提督、この子に砲撃しちゃっていい?」

夕張「ちょっ!? 何でですか!」

提督「待て、落ち着くんだ陸奥。一体どうした」

陸奥「……ごめんなさい、何だか揶揄されているような気がして……」

つまり川内から夜戦を取ると何も残らないて事か?

提督「……で、そのYBNBとやらを使って何人かを夜戦大好きに仕立て上げたと」

夕張「いや、あくまで夜になるとテンションが上がるってだけですよ。川内みたいに夜戦夜戦言うわけじゃありません」

陸奥「じゃあ夜戦バカではないんじゃない?」

夕張「そこは川内の俗称から取っただけですから。細かいことは気にしないで下さい」

提督「……それで? どんな目的でこれを?」

夕張「ほら、川内って毎晩騒いで他の人に迷惑かけてるでしょう? だから誰かに川内以上に夜騒いでもらって、その辛さを味わってもらおうと思って」

夕張「それで、今までの自分の行いを反省して改心してくれないかなと」

提督「人の振り見て我が振り直せってやつだな」

夕張「それです! 私は夜は静かに過ごしたいんです!」

陸奥「でもそれで川内ちゃんが静かになっても、ビームを受けた人がいるから意味ないんじゃないの?」

夕張「ああ、それは大丈夫です。YBNBの効果は10日ぐらいで切れるはずなんで」

陸奥「そこはやっぱりちゃんと考えてあるのね」

夕張「ちょっとギャンブル要素もありましたけどね。同類が増えたことを川内がポジティブに受け止めていたら失敗でした」

提督「さっき陸奥が言ってたな」

夕張「まあ、そうならなくて良かったです。これであとはYBNBの効果が切れるのを待つだけです!」

提督「しかし、夜に騒がしくなる奴を増やすのは、一時的とはいえ夕張にとっても辛いんじゃないか?」

夕張「……科学ノ進歩、発展ニ犠牲ハツキモノデース」

提督「おい、某博士の言葉をパクるんじゃない。そしてその言葉は俺のトラウマだからやめろ」

陸奥「……あれは一種の麻薬みたいなものよ。仕方ないわ……」

数日後、夜

夕張「いやー、静穏っていいですねー! 作戦は大成功です! 頑張った甲斐がありましたよ!」

提督「本当に皆大人しくなったな」

夕張「だから言ったじゃないですか、YBNBの効果は10日ぐらいだって」

提督「……」

夕張「こんなに静かで平和な夜、初めて……すごく新鮮……」

提督「……」スタスタ

夕張「あれ? 提督、どちらへ?」

提督「散歩」












提督(夕張……許せよ)

ザザーン… ザザーン…

川内「……」

提督「川内」

川内「……提督」

提督「よう、何やってんだこんなところで」

川内「別に……ただ海を眺めてただけ」

提督「そうか……隣、座るぞ」スッ

川内「……うん」

提督「……」

川内「……」

提督「……今、何時だと思う?」

川内「……フタヒトマルマルくらい?」

提督「正解。いつもなら誰かが『夜戦だー』って騒いでる時間だ」

川内「……」

提督「……とはいえ、最近めっきり静かになったけどな」

川内「……」

提督「毎日、夜になったらハイテンションでそこら中を駆け回っていたあいつは、どこに行っちまったんだろうな」

川内「……」

川内「……提督」

提督「ん?」

川内「私ね……怖いんだ」















川内「いつか……『役立たず』って言われるんじゃないかって」

期待

川内「私は夜戦だけが取り柄だった。昼戦で大した戦果を挙げられなくても、夜戦になれば私が一番活躍できる。そう思ってた」

川内「でも最近、夜戦で他の人が活躍しだして……いつしか夜戦の場は私の独擅場じゃなくなってた」

川内「夜戦だけが私の輝ける場所だったのに、それすら失っちゃったら……もう、何もできない」

川内「私が私であることを証明するものが、何もない」

川内「そうして自分の場所を失った私は、いつか……」

川内「神通や那珂から……」

川内「鎮守府の皆から……」

川内「提督から……」

川内「見放されるんじゃないかって……」ポロッ

提督「……」

川内「そんなことを、考えるようになった……」ポロポロ

川内「そんなの……嫌だよ……」

川内「鎮守府の皆から……妹達からも、冷たくされるんだよ……? 私、耐えられるわけないよ……」

川内「でも……どうすればいいのか、分からない……私、馬鹿だから……」

川内「ねえ、提督……教えてよ……」

川内「私……一体、どうすればいいの……?」

提督「……」

川内「ねえ……答えてよ……提督……」

提督「……川内」













提督「辛い思いをさせてしまったな。すまなかった」ギュッ



川内「……!」

川内「そんな……提督が謝ることなんて……」

提督「いや、君がここまで深刻な悩みを抱えていたことに気付けなかった俺にも責任の一端はある。だが、よく話してくれた。ありがとう」

川内「……提督だけだよ? 神通にも那珂にも、話してないんだから……」

提督「それは川内にとって、俺が信頼できる提督だからということか?」

川内「今更何言ってるの……当たり前でしょ」

提督「そうか、それは嬉しいな……ああ、それと川内。これだけは言っておく」

川内「……何?」












提督「君はこの鎮守府に必要不可欠な存在だ」

川内「!」

提督「君は自身のことを『夜戦だけが取り柄』と評していたが、それは違う」

提督「昼戦でだって、戦艦や空母とまでは行かずとも軽巡や駆逐艦くらいなら撃破してくれるだろう。立派な戦果だよ」

提督「君が夜戦で活躍できなくなった時も、俺は君を役立たずだなんて思ったことは一瞬たりとも無い」

提督「むしろ心配していた。体調が悪いのではないか、装備に不備があったのではないかと」

提督「もし君のことをそんな風に言う奴がいたら、俺が許さん。3時間ぐらい説教してやる」

提督「だから、君が気に病む必要はない。君は川内型軽巡洋艦一番艦、川内だ。我が鎮守府の誇り高き艦娘だ」

提督「君は君らしく、堂々としていてくれればいい」

川内「……」

提督「ああ、あとこれは今までの話とは違うが」












提督「俺は静かなところはどうも苦手でね。少し騒がしいくらいの方が居心地がいいんだ」

提督「だから川内、夜は目一杯はしゃいでくれ。今の鎮守府は、俺には静かすぎる」

提督「物静かな君より、夜になると満面の笑みで夜戦に出かけるいつもの君の方が、俺は好きだ」

川内「……」

提督「ちょっと長くなったが、これが俺の正直な思いだ」

川内「……ふふっ」

提督「……何かおかしかったか?」

川内「いや、別に? ただ、私って提督にそこまで想われてたんだなーって」

提督「俺は提督だ。艦娘のことを気にかけるのは当然だ」

川内「最後のセリフなんて、まるで告白みたいだったよ?」

提督「俺も言ってからちょっと恥ずかしくなった」

川内「……でも、ありがと。何だか元気出てきたよ」

提督「それは何より」

川内「提督……もう少し、このままで……いい?」

提督「お安い御用だ」

川内「……こうやって誰かに抱きしめられたの、初めてかも」

提督「そうなのか」

川内「うん……提督、あったかい」

提督「川内だって温かいぞ」ナデナデ

川内「……どうして頭を撫でてるの?」

提督「いや、何故か急に撫でたくなった」

川内「むぅ……私、子供みたいじゃん」

提督「嫌か?」

川内「……嬉しいから、許す」

提督「ありがとうございます」ナデナデ

川内(頭を撫でられるのって、こんなに幸せな気分になるものなんだ……提督だからかな……//)

川内「……ありがと提督。もう離れていいよ」

提督「もういいのか?」

川内「うん。提督に撫でてもらったらすごく落ち着いたし、それに……」

提督「それに?」

川内「この状況を誰かに見られると、ちょっと恥ずかしいなって……//」

提督「川内にも羞恥心があるのか。驚きだ」

川内「失礼な! これでもれっきとした女の子ですー!」

提督「ははは、冗談だよ」パッ

川内「……」

提督「じゃ、そろそろ戻るか。あまり長くここに居ると風邪引いちまう」

川内「提督」

提督「何だ?」












川内「……んっ//」

チュッ

提督「……」ボーゼン

川内「……これは、私を励ましてくれたお礼!//」

提督「そ、そうか……」

川内「じゃあ、戻ろっか」スクッ

提督「ああ」スクッ

スッ

提督「ん?」

川内「……」

提督「……その手は?」

川内「……寒いから、繋いでほしいな……//」

提督「……なるほど。しかし、さっき見られると恥ずかしいって言ってなかったか」

川内「……何かもう、どうでも良くなっちゃった」

提督「……まあ、川内がいいのならいいけどな」スッ

ギュ

川内(勢いでやっちゃったけど……予想以上に恥ずかしいな、これ……//)

川内「そういえば、明日は出撃でしょ? 私も編成に入ってる?」

提督「入っているよ。今まで活躍できなかった分を取り返すくらいの働きを期待しているぞ」

川内「もちろん! 川内さんにお任せ!」

提督「それ衣笠だろ……しかしまあ、頼もしいことで」

川内「……じゃあ、私こっちだから」

提督「おっと、ここまでか」パッ

川内「おやすみ、提督」

提督「おやすみ、川内」

川内「……あっ、一つ言い忘れてた」

提督「何だ?」

川内「私は夜戦大好きだけど……」

提督「知ってる」

川内「提督のことだって、夜戦と同じくらい……ううん、夜戦以上に……大好き、なんだからね?//」

提督「……それは知らなかったなあ」

翌日

江風「夜戦突入だ! 江風に続けぇっ!」

夕張(夜戦か……川内もいるけど、今なら私でも……)












川内「やったーっ! 待ちに待った夜戦だーっ!」

夕張「!?」

川内「ドーモ。センカンルキュウ=サン。センダイです」ドォーンッ

ル級「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」撃沈

川内「いやー、やっぱ夜戦はいいねー!」

電「川内さん、元気になったようで良かったのです!」

時雨「これは、また明日から夜が騒がしくなるかな」

江風「何言ってンだよ時雨姉貴! それでこそ川内さんってもンよ!」

曙「正直迷惑だけど、それに慣れちゃってる自分もいて何だか複雑な気分だわ……」

川内「うーん、ちょっと心配かけちゃったかな? でももう大丈夫だよ!」

夕張(そんな……どうして……昨日まで静かだったのに……)

川内「当然の結果ね!」MVP

提督「おっ、元気になったか?」

川内「見ての通り、完全復活よ!」

提督「むしろ前より活き活きとしているようにも見えるな」

川内「これも全部……」

提督「ん?」

川内「……何でもない。とにかく、夜になったらもう誰も私を止めることなんてできないからね!」

提督「流石『夜戦をさせたら川内の右に出る者はいない』と言われるだけのことはあるな。これからも頼むよ」

川内「任せといて! 何て言ったって、私はやしぇんの……」

提督「……」

川内「……夜戦の女王だから!//」

提督「そこで噛まなければ完璧だったんだがなあ」

川内「うるさいっ! 提督のバーカ!//」

夕張「……」

< 夜戦の時間だよーっ!

かわう……川内うるさい! >

< さあ、私と夜戦しよ?

正直、川内さんがすっごくうるさいんだけど! >

< やーせーんー!

ヒャッハァー! >

夕張「……」

提督「川内もすっかり元通りになったなー」

夕張「はあ……うまく行ったと思ったんだけどな……」

提督「夕張の変な発明品程度じゃ川内は変えられないってことだな」

夕張「……こうなったらYBNBを私自身に撃って、私も夜戦バカになろうかしら……」

提督「マジか」

川内「あっ、提督! それに夕張もいるじゃん! 二人も一緒に夜戦しようよ!」

夕張「相変わらずのハイテンションね……」

提督「何で俺まで」

川内「えーいいじゃーん。最近(まともに夜戦を)やってなくて(鬱憤が)溜まってるのよ」

提督「待て、その言い方はとんでもない誤解を招くからダメだ」

夕張「そのバイタリティはどこから来るのかしら……」

提督「……さっきの案だが、やめといた方が良い。お前じゃ、この川内にはついて行けないだろう。色んな意味で」

夕張「……そうですね、私もそう思います……」

川内「何の話? そんなことより夜戦しよ! 夜戦夜戦やーせーん!!」

夕張「あーーもうっ! うるさいうるさいうるさーーーいっ!!」

以上です。最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
よろしければこちらもどうぞ。

提督「もうっ! 神通かわいいっ!」 神通「……//」 - SSまとめ速報
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提督「神通愛してる!」 神通「……//」 - SSまとめ速報
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P.S.
川内って夜戦バカなのを除けば普通の正統派美少女ですよね。
神通の次に好きです。

夜戦おつ!

さらに追記。
そろそろ神通分を補給したいなあ……ってことで次はまた神通とのイチャラブを書く予定です。
(次がいつになるか分からないなんて言えない)

なんだあんたか

間を取って那珂ちゃんSSでもいいんですよ…?

乙!

乙ー

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