【ワールドトリガー】 那須「くまちゃん。私テレビ出演するの」 (31)


熊谷「テレビ? 誰が?」

那須「私が」

日浦「うわあ!! とうとう先輩がテレビデビューするんですね!!」

小夜子『そういうのは、嵐山隊の仕事じゃないの?』

那須「そうなんだけどーなんか根付さんにお願いされちゃったの」



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―――
――


根付『頼む! 次回の嵐山君の番組にゲストで出演してくれ!』

那須『え……』

根付『最近ボーダーの好感度が少し落ちている気がしてね……なにか策はないのかと思案していたんだが那須くん! 君しかいないんだ!』

那須『……テレビってどんなのですか?』

根付「興味を持ってくれて助かるねえ。番組自体はスタジオで嵐山くんたちと話し合う簡単なものだ、難しいことは一切ない。だから頼む!」

那須『それくらいなら……』


那須「……ってことがあってね」

熊谷(あのオヤジ……ウチの怜を客寄せパンダにでもするつもり?)

熊谷「ねえ、本当に良いの? ぶっちゃけ怜に得することなんてないと思うけど」

日浦「何言ってるんですか先輩! テレビですよ? テレビ! 女の子なら芸能界に憧れるもんじゃないですかー。志岐先輩もそう思いますよね」

小夜子『……私は水と塩昆布とネットがあれば他には何も……』

日浦「がくっ」

熊谷「くく。聞く相手が悪いよ、小夜子がそんな目立つことしたがるはずないじゃない」

日浦「まーそれはそーなんですけどー」


那須「私も最初は出るつもりなかったけど。でも、自由に体を動かすことが出来ない人への希望になれるかなって。そう思ったの」

熊谷「……なるほどね」

日浦「うぅ……そんなに考えていたなんて……どぅわああああ~~~!!!」

小夜子『まったく茜はすぐ泣くんだから……でも素敵だと思います。その考え方』

那須「ありがとう、小夜ちゃん」

熊谷「それならあたしも応援するよ。頑張って怜」

那須「うん。ありがとう」


熊谷「それで具体的な話は聞いてるの? どんな番組とか」

那須「番組は嵐山さんたちが毎週やってる……」

日浦「あーあの、毎週日曜日に放送されている、今旬の話題や三門市の良いところ、ボーダーの情報なんかを分かりやすくお茶の間にお届けする、嵐山隊の広報活動のなかでも特に重要なテレビ番組のことですねー」

小夜子『その説明口調なによ』

熊谷「それに出るって?」

那須「うん。スタジオで嵐山さんたちとお話しするだけ、って根付さん言ってたわ」

熊谷「それなら良いか……外でロケとかするなら怜の身体が心配だし……スタジオなら大丈夫よね」

小夜子『なによりもまず那須先輩の体調を心配する……熊谷先輩……いい』

日浦「志岐先輩、頭大丈夫ですか?」


日浦「でも、どんなこと話すんですかねー先輩のことについていろいろ聞かれるとか?」

那須「うーん……それがなにも聞かされてないの。根付さんは相手が嵐山さんだから普段通り話してくれれば良いって言ってたけど」

熊谷「なんか雑じゃない? 本当に大丈夫?」

那須「生放送じゃないから。後からカットすればいいって」

日浦「生放送、カット。なんか格好いいです先輩!」

那須「え、そう?」

小夜子『さっきから思ってたけど茜って芸能界願望高いよね』

熊谷「この隊のなかでは一番芸能界向きな性格はしてる……のか?」

那須「茜ちゃん明るいから向いてるよ」

日浦「えへへ、なんか照れちゃいますねー」


小夜子『でもイロモノ枠になりそうじゃないですか?』

熊谷「わかる! 虫とか食べさせられたり、ドッキリしかけられれそうだ」

日浦「そんな! 酷い!」ガーン

那須「ふふ。そういうとこだよ」

熊谷「そうそう。感情表現豊かで面白いリアクションしてくれそうなね」

小夜子『もはや扱いは女芸人ですね』

日浦「うぅ……そんな、そんなはずじゃぁ……」


熊谷「なにはともあれ撮影いつなの?」

那須「明日だよ」

日浦「はや!!!」

小夜子『なんか急ですねー』

那須「嵐山さんたちとなかなか予定あわなくて……」

日浦「見学とか行っていいんですかね!」

那須「えぇ……それは……ちょっと恥ずかしい……かな?」

日浦「えー!!!」ブーブー

熊谷「ま、放送楽しみにしておこうよ茜」

小夜子『少し興味はあるのでモニターかなんか繋いで頂けると……』

熊谷「そこまでして見たいか」


那須「ごめんね、茜ちゃん、小夜ちゃん」

日浦「いえいえ! そんな! 私のワガママ100%ですから気にしないでください!」

小夜子『私も放送楽しみにしています』

那須「うん!」



那須(それにしてもテレビねえ……なんも起きなければいんだけど)


今日はここまでです。
またきます。


放送終了後

日浦「なんか普通でしたねー」

小夜子『ボーダーになった経緯とか、やりがいとか、たんなる先輩の紹介みたいな』

那須「そんなもんだよ」

熊谷(杞憂だったみたいね……もっとなんかあると思ったけど)

那須「どうしたの? くまちゃん」

熊谷「いや、どうもしないよ。良かったと思うよ。無難な感じでまとまってて」


小夜子『様子見って感じでなんですかね。反応次第でこの後の方向性決めるとか』

日浦「評判がよかったら第二弾……とか?」

熊谷(それはありそう……)

小夜子(先輩ならありそうだな)

那須(さすがに2回はないと思うけど……)


小夜子『でもこうして見返すと先輩って属性盛り盛りですよね』

那須「ぞ、属性?」

小夜子『お嬢様学校に通う可憐な美少女、生まれつきの身体の弱さを抱えるもボーダーの技術で元気飛び回れようになり、ガールズチームの隊長で、個人としてもマスタークラスのバイパー使いとして、今日も三門市を守るために戦場に赴く……みたいな』

日浦「ほわーそう聞くと、主人公みたいですよね!」

熊谷「確かに……メディアは好きそうだよね。夏に1日中やってる特番とかさ」

那須「そんな……みんな持ち上げすぎ」

小夜子(……やっぱり世間はほっとかないと思うけどー)


熊谷「今のところは次回の話とかないんだろ?」

那須「うん。特に何も言われなかったよ」

日浦「今日放送ですからねー楽しみですね! 反応とか!」


根付「素晴らしい……ここまでの反響があるなんてねえ……」

「根付さん、彼女なら間違いなく人気者になれますよ!」

「数字も良かったですし。彼女で1つ番組企画しましょうよ」

根付「うむ……じゃあさっそく話し合いの準備を進めるとしようかねえ」



三門市の評判

≪あの子可愛かったね≫

≪那須さんだっけ?≫

≪そうそう。あんな子がボーダーにいるなんて、俺もボーダーにはいろうかなー≫

≪俺も……なんていうか守ってあげたくなるというか≫

≪でも那須さんって強いらしいじゃん?≫

≪そうそう。そのギャップも素敵っていうか……≫

≪またゲストにきてくれないかなー≫

≪俺も綾辻さんから那須さんのファンになろうかな……≫

etc.etc


「おつかれさまでーす」

那須「おつかれさまです……」

根付「本当に助かるよ。君がこの話受けてくれて」

那須「いえ、私も楽しんでますから……でも、私に需要あるんでしょうか?」

根付「もちろんだとも! 数字も良かったしねえ。反響だって凄かったよ」

那須「そんなに……ですか」

根付「嵐山隊だけに広報を任すのは負担が重いからねえ。那須君が広告塔になってくれたら私としてもたすかるんだが……」チラチラ

那須「ふふ……」


一昨日

熊谷『2回目のテレビが決まっただって!?』

那須『うん』

日浦『しかも今回は那須先輩オンリーの30分! 凄いですよね!』

那須『今度は外で撮影するって』

熊谷『大丈夫? 外でなんて、なにかあったらどうすんの?』

那須『他にも人いるし……根付さんも来るみたいだから大丈夫よ』


熊谷『でもなー……』

日浦『なら私たちも見学いきましょうよ、いつですか?』

那須『明後日』

日浦『あう……合同訓練の日だー……残念』

那須『あたしはザキさんたちと予定が……ある』

那須『ほら。予定あるんだからそっち優先した方が良いよ。私は大丈夫だから』


那須(なんて言ったけど……少し不安)

「じゃあ場所変えて撮影するんで、移動おねがいしまーす」

根付「じゃあ、那須くん。行こうか」

那須「あ、はい」


熊谷(あんなこと言ってたけど大丈夫かな……)

柿崎「おい」

熊谷(今日少し暑いし……玲、隊長崩さなきゃいいけど)

柿崎「……おい」

熊谷(やっぱ今からでも……)

柿崎「おい、くま!」


熊谷「わっ!! ど、どうしたんですか? 柿崎さん」

歌川「どうしたって……熊谷先輩ずっと上の空ですよ。なんかあったんですか?」

熊谷「うそ……」

柿崎「うそって、俺が呼んでても返事しなかったろ」

熊谷「え、え。それは、すみませんでした!」

柿崎「別に怒ってるわけじゃないさ」

荒船「調子悪いなら、気を遣わなくて良いんだぞ?」

熊谷「いや、調子は悪くないんですけど……」


北添「なんかあった?」

柿崎「はぁ……那須のことだろ?」

熊谷「う……どうして……それを?」

柿崎「お前にそういう顔させるのは那須しかいねえよ。前にもあったからな」

歌川「ありましたね。確かその時は那須先輩が風邪ひいてたとかで……」

荒船「あーそういやあったな。そんなことも」

熊谷「まあ……実は、玲がテレビの撮影してるんです」

「「「撮影?」」」


北添「那須さん、この間ボーダーの番組出てたよね?」

熊谷「はい。なんでも評判が良かったのでまたやるそうですよ」

柿崎「なるほどね……そんなに心配してるなら、見に行ったらどうだ?」

熊谷「いや……でも……」

荒船「俺らとのバスケなんていつでも出来るだろ。那須のとこいってやれよ」

歌川「そうですよ。このままだと逆に俺も那須先輩のこと気にしちゃいますから」

柿崎「だとさ。行って来いくま」

熊谷「それじゃあ……すみません! この埋め合わせはまた!」タッタッタッタ


北添「う-ん。あそこはいつも仲がいいねー」

荒船「それより人数減っちゃいましたよ柿崎さん。誰か呼びますか?」

柿崎「そうだな。カゲとか呼べばくるんじゃないか?」

北添「非番だし暇してるとは思うけど……」

歌川「あの……風間さんに電話したんですけど……来るそうです」

荒船「まじかよ!!」

柿崎「そうなってくると俄然やる気上がってきたぜ。ならもっと暇そうな奴あつめて大勢で――」


今日の分おしまいです。
予定では次で最後になるかと……

16巻の柿崎さんプロフィール読んでからこの絡み書きたかった。

名前「玲」ですよね……指摘ありがとうございました。

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