にこ「あんた達、ほんと最高よ!」(125)



にこ(大人)「アイドルとしてデビューしたものの売れず」

にこ「今日もバイトバイトバイト・・・」トボトボ

にこ「アパートの家賃も来月払えるかギリギリ・・・」

にこ「嫌になっちゃうわよ・・・はぁ・・・・・」



花陽「―――でね、――だよね」

凛「ほんと?――でさ、――――にゃ」



にこ「え?あれは花陽と凛・・・?」

にこ「ほわー・・・あの子達、まだ仲良かったのね。まぁ学生の時からベッタリだったけど」

にこ「話しかけようかしら・・・」



にこ「おーい!花陽ー、凛ー!」タッタッタッ

花陽「ぴゃっ!?え、に、にこちゃん?」

凛「わー!にこちゃんだー」

にこ「久しぶりね。元気してた?」

凛「そりゃ当然にゃ!にこちゃんこそ高校卒業したら連絡くれなくなって心配だったよー」

にこ「悪かったわね。私にも色々あったのよ」

凛「そうなんだー」

にこ「まっ、アイドルオタクの花陽なら私がどんなか知ってるでしょ?」

花陽「う、うん・・・にこちゃん、アイドルだもんね」

凛「そうなの!?にこちゃん凄い!」


にこ「凄かないわよ」

凛「え?」

にこ「凛は私がアイドルやってるって知らなかったでしょ?」

凛「んう?・・・うん、そうだにゃあ?」

にこ「そそっ。だからパンピーにすら知られてない程の知名度なのよ」

凛「あーそういうことか」

花陽「・・・・・」

にこ「仕事なんて殆どないわ。あればパチンコ屋やショッピングモールで小さな披露、テレビに出れたとしても先輩アイドルのバックダンサーとして、ちょこっと映るだけ」

花陽「で、でも凄いよ」

にこ「だから、凄かないって」

花陽「私達がμ'sやってた頃、みんな少なからずアイドルは夢見てたよ。でも叶わぬ夢だと思ってたよ。夢を叶えたのは、にこちゃんだけ。凄いよ」

にこ「ありがと。でも現実はこんなもんよ」

花陽「・・・・・」

凛「うぅー!暗い話は無し無し!」

にこ「そうよね。ごめんね」


花陽「あ、私達今から家帰るところなんですけど、にこちゃん来ないかな?」

にこ「いいの?いきなりで?」

凛「大丈夫大丈夫!今日は鍋らしいし」

にこ「らしい・・・?というか、私達がって事は一緒に住んでるわけ?」

凛「凛とかよちんの友情は永久不滅にゃー!」

花陽「えへへ・・・」

にこ「あんた達の仲が変わってなくて嬉しいわ。じゃあ上がらせてもらうわ」




~高級マンション~



にこ「・・・・・は?」

凛「にこちゃん、どうしたの?」

にこ「もしかして、ここ?」

花陽「はい、何か問題が?」

にこ「いや・・・いやいや、いやいやいやいやいや!!おかしいでしょ!?」

凛「何がにゃ?」


にこ「な、何!この高級マンションに住んでいるの!?もしかしてドッキリ!?」

凛「ドッキリじゃないにゃー」

花陽「詳しく言えば住まわs」


「あ!凛ちゃんと花陽ちゃん!」


花陽「あ、穂乃果ちゃん!」

にこ「穂乃果!?」

穂乃果「あれ?もしかして、にこちゃん?」

にこ「そうよ!なんで穂乃果が」

穂乃果「わあぁぁぁああああ!!!」

にこ「!?」


穂乃果「にこちゃんだ!にこちゃんだぁー!本物だ!本物だよー!」ギュー

にこ「だぁあ!!会って早々暑苦しいわね!」

穂乃果「久しぶりだねー!えへへ、身長全然変わらないねー!」ナデナデ

にこ「っるさいわね!あほのか!」ジタバタ

花陽「・・・・・」

にこ「というか、なんで穂乃果までここにいるのよ?」

穂乃果「え?私は家に帰ってきたとこだよ?ほら、この具材を買ってきてね。今日は皆で鍋をするんだー!ねー?」

凛「ねー!」

にこ「まさか穂乃果も一緒に住んでるわけ!?」

穂乃果「みんな一緒だと楽しいもんねー!」

凛「ねー!」

にこ「あ、あきれた・・・」




~お部屋~



穂乃果「さぁ上がってー!」

にこ「お邪魔するわ。・・・・・げっ、さすが高級マンション・・・玄関からして広くて綺麗ね」

穂乃果「じゃあ私、お鍋の準備するから皆はリビングで待っててね」

凛「にこちゃん!ゲームしよ、ゲーム!」グイッ

にこ「わ、わかったから引っ張らないで」


花陽「穂乃果ちゃん、私も手伝いますっ」

穂乃果「いいよいいよ。花陽ちゃんも凛ちゃん達とゲームしてて構わないよ」

花陽「でも」

穂乃果「ありがと、でもいいの。ほら行った行った」ニコッ

花陽「そんな、私でも!」

穂乃果「後でいくらでも甘えていいから・・・ね?」ナデナデ

花陽「あ、うぅ・・・」

にこ「・・・・・?」




~リビング~



凛「そりゃ!いりゃ!」ピコピコ

花陽「あわわ・・・」ピコピコ

にこ「ねぇ、あんた達」ピコピコ

凛「ん?なぁに?」

にこ「なんでこんな高そうなマンション住んでるわけ?」

花陽「えと・・・」

凛「凛達はペットみたいなものだよー」

にこ「ペット?は?凛も花陽も?」

凛「うん」

花陽「・・・・・」コクッ


にこ「じゃあ穂乃果に養ってもらってるわけ?」

花陽「簡単に言えば・・・そうです。情けない話ですが」

にこ「何かあったの?」

花陽「あまり気分の良い話じゃないですよ?」

にこ「えっと・・・」

花陽「・・・・・」

凛「聞いてあげてほしいにゃ」

にこ「え?」

凛「不幸って人と分かち合うことで安らぐものがあるんだよ」

にこ「・・・良いわ。聞かせてくれる?」

花陽「・・・・・。私は大学卒業して、一般的な会社の事務に就いたけど、モラハラとか失敗の連続で、重圧に耐えきれなくて辞めちゃったんです・・・」

にこ(割と重ための話ね・・・)


花陽「仕事辞めたけど、一人暮らしは続けて、バイトで繋ぐ生活してて・・・正直苦しい生活でした。お母さん達には仕事辞めた事も、お金がないから実家に帰りたいってのも言い出し辛かったんです」

にこ「・・・まぁ、そうよね」

花陽「でも流石に全てが厳しくなってきて実家に帰ろうかなって思ってた時、たまたま穂乃果ちゃんに会って、誘われてこの家に住まわせてもらってるんです」

にこ「そうなのね。苦労してるわね・・・なんて私が言えるような事じゃないけど」

花陽「そんな苦労なんてしてないです。辛い辛いとは言っても、所詮自分が弱かっただけの話」

にこ「そう・・・でも花陽は頑張ったわ。まだ若いからもっと頑張れる。花陽、次よ」

花陽「うん!ありがと」ニコッ

凛「凛はただ遊びにたくさん来てたら、なんとなく住み着いちゃった」

にこ「あんたは黙ってなさい」

花陽「情けないけど穂乃果ちゃんがいるから私もなんとかなれてる。穂乃果ちゃんに恩返ししなきゃね」

凛「穂乃果ちゃんは優しいからね」

にこ「というか、その本人はなんでこんな高そうなマンション住めてるわけ?花陽を養う事が出来てるわけでしょ。何やったらこんな稼げるのよ」

花陽「あれ?にこちゃん知らないの?」


にこ「何がよ?」

花陽「『Mahokino』って有名な作詞・作曲家さん。アイドルやアニメソングとか色々なジャンルで目立ってるけど」

にこ「知ってるわよ。数年前から有名になった作曲家よね。先輩もその人の作詞作曲の歌を歌っていたわよ」

花陽「それ穂乃果ちゃんだよ」

にこ「」

凛「おっ!手が止まったにゃ!にこちゃんスキありー!」チュドーン

花陽「凛ちゃんの優勝だね」

にこ「」

凛「にゃっ!?にこちゃんがちばてつや作品の選手みたいに真っ白にゃ」

花陽「にこちゃん大丈夫!?」ユッサユッサ


にこ「はっ!?」ビクン

凛「戻った!」

にこ「う、うそ・・・だって穂乃果は作詞と作曲の才能があったなんて聞いてn」


「んぁぁ・・・今日も凛は騒がしいわね・・・・・起きちゃったじゃない」


花陽「!!」ビクッ

凛「真姫ちゃんごめんにゃー」

にこ「え、真姫ちゃん!?」

真姫「ふぁぁ・・・・・寝ぼけてるのかしら。にこちゃんがいるように見えるわ」

凛「えー、どこどこ?」キョロキョロ

にこ「いるわよ!ばか!私は幽霊か!」ペシッ

凛「いたっ!?冗談にゃー!」


真姫「珍しいというか、久方振りね」

にこ「高校以来ね」

真姫「そうね。それより穂乃果は?良い匂いがするけどキッチンにいる?」

にこ「それよりって・・・」

凛「鍋の準備してるよー!楽しみにゃ」

真姫「そう。じゃあ行ってくるわ」スタスタ

花陽「・・・・・」

にこ「ね、ねぇ花陽。もしかしなくても真姫ちゃんもこの家に?」

花陽「・・・・・」

にこ「花陽、聞いてるの?」ポンッ

花陽「わひゃ!?は、はい!なにかな!?」


にこ「真姫ちゃんもこの部屋に住んでいるって事なのよね?」

花陽「そうだよ。だってここは元々穂乃果ちゃんと真姫ちゃんの所だから」

にこ「ふぅん・・・」

凛「作詞作曲は穂乃果ちゃんと真姫ちゃんが協力してやってることだからね」

にこ「まぁ真姫ちゃんがいるって事はほんのり確信的な臭いがするけど・・・」

凛「凛も最初は耳を疑ったけど、こんなとこに住んでるのを見たら、そんな疑いは晴々にゃ」

にこ「そうね、論より証拠ね」




~キッチン~



真姫「ほのかぁー」トテチテ

穂乃果「真姫ちゃん起きたんだ。おはよう」

真姫「おはよう。はぁ・・・寝過ぎて疲れたわぁー・・・」ギュー

穂乃果「わわっ!今包丁握ってるから危ないよ!」

真姫「ちょっと後ろもたれるくらい良いじゃない」

穂乃果「もうー、真姫ちゃんってばー」


真姫「そういえばリビングに、にこちゃんいたわね」

穂乃果「花陽ちゃん達が誘ったみたい」

真姫「ふぅん。てっきりまた穂乃果が拾ってきたのだと思った」

穂乃果「拾ったって・・・にこちゃんは物じゃないよ」

真姫「また御情けで連れてきたのかと思った」

穂乃果「にこちゃんはそういうのじゃないし、花陽ちゃん達もそういうわけじゃないよ」

真姫「少しは自覚があるのね・・・花陽達の名前が出たって事は。あのね・・・・・私は一言も花陽達なんて言ってないわよ」

穂乃果「・・・・・真姫ちゃん、怒るよ?」

真姫「ふふ、ごめんね。意地悪言っちゃったわ」

穂乃果「いいよ、こっちこそムキになってごめんね」


真姫「穂乃果怒った?」

穂乃果「うぅん、全然!さぁお鍋の具材とか運ぼっか」

真姫「えー、だるいわ」

穂乃果「ほらほら、最近寝てばっかりだから運動だよ!」

真姫「このまま抱っこして」

穂乃果「ダメだよ、早く早く!」

真姫「仕方ないわねぇ」




~リビング~



穂乃果「お鍋様のお成りぃ!」

凛「わぁー!美味しそうな匂いにゃ」

にこ「・・・・・出汁の匂いだけでも涎が出そうね」ゴクリ

真姫「汚いこと言わないで。折角穂乃果が作ったんだから」

にこ「褒めたのよ!」


―――――
――――
―――
――


凛「ぷあーお腹いっぱいにゃ。やっぱ穂乃果ちゃんが作るご飯は美味しいにゃ」

穂乃果「ふふ、良かった良かった」

にこ「ふぅ・・・それにしても穂乃果。あんたがあの作曲家だったなんてびっくりね」

穂乃果「そうかな?あれね、穂乃果と真姫ちゃんの名前を混ぜて作った名前だよ」

にこ「言われなきゃ分からないわよ。さも常識みたいに言わないで」

穂乃果「ごめんね。ね、にこちゃんは今何やってるの?」

にこ「私?私はアイドルやってるわよ。でも、穂乃果は私がアイドルやってるって知らない時点で、どういう状態かもう分かるでしょ?」

穂乃果「そっか・・・大変なんだね」

にこ「まっ、そうね。要約するとその一言に尽きるわ」


花陽「それでもアイドルは凄いよ。ネットでにこちゃんの名前を検索すれば出てくるでしょ?」

真姫「そんなの穂乃果だって一緒よ」

凛「穂乃果ちゃんは偽名というか芸名みたいなものにゃー」

にこ「視野が狭過ぎよ。そんなの私達がμ'sやってた頃なんて、ネットやテレビではμ'sの事で大盛り上がりだったじゃない」

真姫「過去の栄光を語る人間程ダサい人間はいないわ」

にこ「話に引き合いを出しただけよ」

穂乃果「にこちゃんはμ'sをする前からずっと憧れてたアイドルになれたんだから凄いんだよ」

にこ「でも現実は甘くないのよ。なれたらなれたで、実感なんて実は無いし、上手く世間は動かないし・・・」

穂乃果「そっかぁ。でもアイドルは諦めてほしくないな」

にこ「このまま蕾が開かないかもしれないのよ。そんなの人生棒に振るだけじゃない」

穂乃果「『にっこにっこにー』で、お茶の間を湧かすにこちゃんを私は見たいなぁ。なーんて、えへへ」ニコッ

にこ「なっ!?わ、忘れなさいよ!それはもう!」

凛「えー!もうやってないの?」


にこ「いい大人がやってられないでしょうが!」

真姫「まぁ高校生がやる事でもないけどね」

にこ「何か言った?」ギロッ

真姫「なーんにも」


わいわい わいわい


花陽「ふぁぁ・・・」

凛「かよちん眠たい?」

花陽「・・・・・うん」

穂乃果「お部屋戻って寝る?」

花陽「折角にこちゃんが来てるから一緒にいたいな・・・」

にこ「気にしなくていいわよ。眠たかった寝ておいで」


花陽「でも・・・」

真姫「にこちゃんもそう言ってるみたいだし、無理することないわよ」

花陽「無理とかじゃなくて・・・」

穂乃果「んー・・・あっ!花陽ちゃん」

花陽「なに?」

穂乃果「ほら、お膝どうぞ」ポンポン

花陽「え、ええ!?」

穂乃果「皆で話していたいもんね」

花陽「え、で、でもっ///」ポム

穂乃果「おいで?」

花陽「う、ううぅっ・・・・・はぃ・・・」

穂乃果「えへへ、いいこいいこ」ナデナデ

花陽「っ・・・っ・・・・・///」

花陽(気持ちいい・・・)


真姫「穂乃果、私も眠たい」

穂乃果「真姫ちゃん、さっきまで寝てたよね?」

真姫「くっ・・・」

凛「そういえば、今日はにこちゃん泊まってくにゃ?」

にこ「いや悪いわよ。もうちょっとしたら帰るわ」

凛「えー」

穂乃果「悪くないよ。泊まってもいいよ?」

にこ「こんなに人がいて私が眠れる場所なんてあるわけ?」

穂乃果「大丈夫だよ。客室があるし、なんなら私と一緒に寝る?」

にこ「ぬぁんであんたと寝なきゃいけないのよ!子供じゃあるまいし」

穂乃果「ええーっ!そんな嫌なのー!?」

にこ「嫌なわけじゃないけど、やってる事が幼稚だからやらないって言ってんのよ。お分かり!?」

穂乃果「でもよく真姫ちゃんは添い寝してって頼んでくるし」

にこ「は?」


真姫「なに?悪い?」

にこ「いやいや、なに喧嘩腰で開き直ってんのよ」

真姫「にこちゃんがしないからって私もしないって理由にはならないでしょ。自分の常識を押し付けないでくれる?」

にこ「だから何開き直ってんのよ。それに押し付けてないわよ」

穂乃果「まぁまぁ」

花陽(穂乃果ちゃんいいにおい・・・)ドキドキ

凛「にこちゃんは凛と同じ部屋で寝よー」

にこ「いいけど、今の話は聞いてたわね?」

凛「うん、聞いてた聞いてた」




~夜。凛部屋~



凛「にーこちゃん!ぎゅー!」

にこ「ぎゃあ!話聞いてなかったじゃないの!」

凛「よいではないかー!」

にこ「ばかっ!離れなさいよ!」バシッ

凛「にゃへへ、悪ノリし過ぎたにゃ」

にこ「ったく・・・」

凛「にこちゃん、ここ楽しい?」

にこ「あん?まぁ楽しいわよ。昔に戻れたみたいで」

凛「それは良かったにゃ」

にこ「やっぱりあんた達といると楽ね」


凛「凛もにこちゃんと久しぶりに話せれて嬉しいにゃ」

にこ「そうね。私も嬉しいわ。辛かったことなんて忘れてしまうくらい」

凛「ダメ」

にこ「は?」

凛「それは忘れちゃダメだよ。辛かったなんて過去の事にしたら。凛みたいになっちゃうにゃ」

にこ「何よそれ」

凛「凛、会った時嘘ついてたにゃ」

にこ「嘘ぉ?」

凛「遊びに来てたらなんとなく住みついたって・・・実はかよちんにも話してない嘘にゃ」

にこ「花陽にも話してない嘘・・・ね」

凛「ただ見栄を張りたいっていうのと、かよちんだけには、弱い凛として見てもらいたくないんだにゃ」

にこ「そんなにして隠すものがあるわけ?」

凛「本当は凛、穂乃果ちゃんに会うまで家で引き篭もってたんだにゃ」

にこ「あんたが引き篭もりぃ!?」


凛「有り得ないと思うかな」

にこ「無理無理無理!凛が引き篭もりなんて信じられないわよ!暇があれば公園のブランコで靴飛ばしでもやってそうなあんたが!」

凛「一応、ハタチは越えてるんだけど・・・」ポリポリ

にこ「・・・・・まっ、あんたも花陽と一緒にこんなとこにいるからには、それなりの理由があるってのはある程度踏んでいたけど」

凛「聞く?」

にこ「人生の先輩にこにーが聞いてあげるわよ。それにあんた言ったでしょ、不幸は分かち合うことで安らぐって」

凛「ありがと」

にこ「聴いてもらいたかったから、そう私に言ったんでしょ?」

凛「さすがににこちゃん。分かってるぅー!」

にこ「御託は良いわ。さっ、言ってみなさい」

凛「・・・・・・凛ね、就職する為に大学に行ったんだ。でも凛は勉強嫌いだし苦手だし、それでも仕事に就く為に頑張ったよ」

にこ「うん。良い事じゃない」

凛「いざ就職活動したにゃ。でも面接や試験で毎回毎回不合格。いくつも回ったよ、他県まで足を運んだ事だってあったにゃ」


凛「それでも全部ダメ。だんだん会社から送られてくる合否通知を開くのが怖くなってきたんだ」

にこ「・・・・・」

凛「全てがヤになっちゃったにゃ」

にこ「そんなの・・・努力が足りなかった。それだけの事じゃない?」

凛「うん。そうだね。皆言うかもね・・・でも一つだけ」

にこ「なによ?」

凛「その言葉、にこちゃんにも言っていい?」

にこ「っ!!」

凛「さっき穂乃果ちゃんやかよちんに言ってたよね。上手くいかないって・・・あー、やっぱにこちゃんもそうなんだなって思ったにゃ」

にこ「そ、それは・・・」

凛「にこちゃんだって、アイドルのこと学んだり、養成所行ったり、アイドルになって知ったこともあるでしょ。その期間を合わせてもう何年になるかにゃ。報われた?」

にこ「・・・・・」

凛「つまりそういうことにゃ。努力したら報われるなんて語る人は成功者であり、成功者しか見てないからそう言えるんだよ」

にこ「それは逃げじゃないの。可能性が有るか無いかの選択で凛は無い方を選んだのよ。そうしたら、もう一生成功することなんてないわ」


凛「うん。だって諦めたもん。だから私は全部から逃げて引き篭もったにゃ」

にこ「それでいいの?まさか凛はこのまま穂乃果にすがって生きてく気?」

凛「穂乃果ちゃんが凛をいらないようなら凛は実家に帰ってまた引き篭もるにゃ。家でもいらないって言われたら、そこまでにゃ」

にこ「・・・・・バカじゃないの?」

凛「バカでいいよ。凛はバカだから何も出来なかったし、報われなかったにゃ」

にこ「はぁ?・・・なにそれ。胸くそ悪いんだけど」

凛「・・・・・」

にこ「あんたの人生だから、もうとやかく言わないわ」

凛「ごめんにゃ。でも忘れないで?さっきのこと。忘れるようになりたくなったら、それは凛と同じ逃げだから」

にこ「はいはい、分かったわ。もう湿気た話は終わり。寝るわよ」

凛「あと1つ」

にこ「手短にね」

凛「穂乃果ちゃんはずるいから気を付けた方がいいにゃ」

にこ「穂乃果があざといのなんてμ'sの時からでしょ。μ's立ち上げで、あの絵里が折れたのよ」


凛「それだけ。溺れないように気を付けるにゃー」

にこ「は、はぁ・・・・・」


にこ(溺れないように・・・ね)

にこ(もう花陽も凛も穂乃果に溺れているじゃない)

にこ(・・・・・)

にこ(凛は昔から何も変わってない。変わってないのがいけないのよ。自分の自由の為に穂乃果に寄生してるだけ)

にこ(花陽に至っては、穂乃果しか見れてないわ。私が次頑張ってって言ったのは恩返しじゃなくて、自立だったのに)


にこ「というか、さすがに2人でシングルベッドはきついんだけど!?」

凛「いいじゃーん!にこちゃんチビっちゃいし」

にこ「ちび言うな!もう客室借りるわよ!」スタスタ

凛「にゃあーん、いけずー」




~朝、客室~



にこ「・・・んんーっ!」ノビー

穂乃果「にこちゃんおはよう!今日はお仕事ないの?」

にこ「うわっ!?びっくりした!」

穂乃果「えへへ、ごめん。で、どうなの?」

にこ「あったら泊まってる余裕ないわよ」

穂乃果「ふふっ、確かにね」

にこ「にしても遅刻魔だった穂乃果が朝こんな早いとはね」

穂乃果「大人になったら学生気分じゃいられないからね」

にこ「いいじゃない。あんた稼いでるんでしょ?なら怠惰に過ごしたって損はないわ」

穂乃果「そんなのダメだよー」


にこ「ダメじゃないわよ。あんたぐらい稼いでたら私はそうしてるもの」

穂乃果「案外そうじゃないよ」

にこ「どうして?」

穂乃果「例えば、にこちゃんがアイドルとして一世を風靡しました。日本がにこちゃんを求めてます」

穂乃果「にこちゃんにはたんまり稼いだお金があります。お金は山ほどあるから、サボったり適当にやっても良いかー・・・・・なんて思える?」

にこ「確かに・・・。良いこと言うわね。そう言われたらならないわ」

穂乃果「でも、なんとなくお金持ってる人って、ぐーたらしてるイメージがあるよね」

にこ「そうそう。実際穂乃果にはそんなイメージがあるけど」

穂乃果「うぅ・・・そんなに頑張ってないように見える?」

にこ「イメージよ、イメージ。あんたの頑張りなんて一晩で理解出来たわ」

穂乃果「ほんと?」


にこ「私が保証するわ」

穂乃果「わーい!にこちゃん!ありがとー!」ムギュ

にこ「ったく・・・あんたのそれはほんと変わんないわね」

穂乃果「嬉しいときは喜ばなきゃね」ギュー

にこ(変わらなくていいものもあって、変わらなきゃいけないものもある。穂乃果はそれが理解出来てる・・・だからこんなにも頼られてる)

穂乃果「お金があっても、仕事は手抜きたくないし、真姫ちゃんや花陽ちゃんや凛ちゃんの為に頑張りたいもん」

にこ(・・・・・ほんっと・・・私、昔からあんたに憧れてばっかね。あんたと話すと私がちっぽけに思えてくるわ)

にこ「いつか体壊すわよ」

穂乃果「その時はその時だよ」

にこ(その時が来たら花陽達はどうすればいいのよ)

にこ「あんたの頭の中は花畑ね」

穂乃果「しどい!」



がちゃ


真姫「んふぁぁ・・・朝から何騒いでるのよ」クシクシ

にこ「当たり前の様に部屋に侵入してきたわね」

穂乃果「真姫ちゃん!聞いてよー、にこちゃんが酷いんだ!私のこと虐めてくるのー」

真姫「歯を食いしばりなさい」

にこ「ちょっ!タイム!暴力じゃ何も解決しないわ!」

真姫「正義のヒーローだって、いつも暴力で黙らせてるじゃない」

穂乃果「肉体言語だね!」

にこ「怖いこと言わないでよ!」


真姫「というか、朝から穂乃果と2人で何やってるのよ・・・寝惚けた穂乃果を襲おうとしてたとか」

にこ「ぬぁんでそんな言いがかりをされなきゃいけないのよ!」

真姫「穂乃果は私の嫁よ」ギュー

穂乃果「えへへー」

にこ「はいはい。手なんか出さないわよ」

にこ(μ'sの時から仲が良かったのは知ってたけど、今はこんな有様なのね・・・穂乃果が一方的に真姫ちゃんにスキンシップをしてた感じだったのに)

にこ「あんた達、今は逆ね」

真姫・穂乃果「?」


Prrr・・・


にこ「!!」

真姫「携帯鳴ってるわよ?」


にこ「ほんとね。ツレからだし、後で良いわよ」

真姫「そう」

穂乃果「2人とも、もう朝ご飯出来てるからリビング行って食べてていいよ」

真姫「わかったわ」

にこ「あんたは食べないの?」

穂乃果「食べるけど、先に花陽ちゃんと凛ちゃんを起こさなきゃね」

にこ「花陽は兎も角、凛は昔から一筋縄では起きない性だからね」

穂乃果「一筋縄でダメなら二筋、三筋だよ!」

にこ「意味分かんないわよ」




~リビング~



真姫「ねぇ、にこちゃん?」モグモグ

にこ「何よ?」モグモグ

真姫「にこちゃんはただ遊びに来た。それだけよね?」

にこ「それ以外に何があるって言うのよ」

真姫「ふぅん・・・」

にこ「なんなのよ」

真姫「別に。本当に他意が無いなら構わないわ」

にこ「はぁ?」

真姫「・・・・・」

にこ「なによ?」

真姫「ここは私と穂乃果の楽園なのよ。2人で住もうって決めて、2人で楽しんでいたのよ」


にこ「花陽や凛みたいのが増えられちゃ困るってこと?」

真姫「そうよ」

にこ「ハッキリ言うわねぇ・・・」

真姫「にこちゃんまで、花陽達みたいに・・・」ボソッ

にこ「ん?」

真姫「まぁ遊びに泊まるくらいだったら歓迎するわ。穂乃果は渡さない」

にこ「どんだけ穂乃果が好きなのよ・・・」

真姫「か、関係ないデショ!」

にこ「そういや真姫ちゃんって実家の総合病院継ぐんじゃなかったの?」

真姫「・・・・・」

にこ「?」

真姫「別に・・・いいでしょ。私のことなんだから、継ごうが継がまいが」

にこ「まっ、そうなんだけどね」

真姫「・・・・・」モグモグ

にこ(暗っ・・・急に空気が重くなったじゃない)




~凛部屋~



凛「ぐかー・・・」

穂乃果「凛ちゃん凛ちゃん起きて」

凛「んぅ・・・」

穂乃果「凛ちゃん?」

凛「・・・ぐぅ・・・・・」

穂乃果「ほんとは起きてるでしょ?」

凛「・・・・・っ・・・」ピクッ

穂乃果「この前は騙されて倒されちゃったけど、今度はそうはいかないからね?」

凛「ぐ、ぐぅ・・・ぐぅ・・・・・」

穂乃果「花陽ちゃん朝はご飯たくさん食べるから凛ちゃんのも食べちゃうかもね」


凛「・・・っすぅ・・・・・すぅ」

穂乃果「今日の花陽ちゃんのご飯は2人分だね。それじゃあね、凛ちゃん」

凛「た、タイムッ!!」

穂乃果「もう!なんでいつもいつも寝た振りしてるの?」

凛「今日も押し倒すの上手くいくかにゃーって思って・・・にゃはは」

穂乃果「あれスッゴクびっくりしたんだからね!」

凛「面目ないにゃ・・・」

穂乃果「次やったらこっちからお仕置きしちゃうからねー」

凛「にゃ!?」

穂乃果「むふふー、わしわしMAXやでー」

凛「その物真似はセンスないにゃ」




~リビング~



にこ「あ、あら!凛おはよう!」

凛「おはよ。なんかここ暗いにゃ」

にこ「やーねぇ、そんなことないわよー」

真姫「・・・・・」モグモグ

凛「そうかにゃ?」

にこ「そ、それより!穂乃果と花陽は?随分と遅いみたいだけど」

凛「かよちんは寝起きが悪いから穂乃果ちゃんも手がかってるんだにゃ」

にこ「へー、そうなの。知らなかったわ」

真姫「いつも花陽を起こす時だけ穂乃果遅いのよ」

凛「きっとかよちんは、朝は爆睡して声が届かないんだにゃー」


にこ「ほーん。昔はそうじゃなかったのにね」

真姫「は?」

凛「え?」

にこ「なによ、その反応」

真姫「どういうことよ」

にこ「どういうことって・・・合宿の時のこと覚えてる?」

凛「あんまり・・・」

にこ「確かあの時結構早めに希が目を覚まして、一番に起きたって思ってたそうなのよ。でも先に起きてた人がいてね」

真姫「それが花陽ってわけね」

にこ「まぁトイレで起きたとかなら別だけどね」


真姫「でも・・・そういえばそうね。お泊まり会とかしても、花陽はいつも早かったわ」

凛「そうにゃそうにゃ!」

にこ「ぐーたらが身に付いたのね。時の流れは残酷ね」

凛「・・・・・」

真姫「・・・・・」

凛「真姫ちゃん。凛、今なんか変な予感が働いたにゃ」

真姫「あら、凛。偶然ね・・・私もよ」

にこ「変な予感って何よ。まさか皆に隠れて美味しいものを2人占めしてるって事かしら」

真姫「なに純粋ぶってるのよ」

凛「にこちゃんは黙ってて」

にこ「あんた達、酷いでしょ!?」

真姫「ぶりっ子とか清純なんて今時流行んないわよ。何が清純派グラビアよ。男の目線とお金の為に脱いでる女が清純な筈ないわ」

にこ「あんた怒りの矛先変わってるわよ!」




~花陽部屋~



穂乃果「花陽ちゃーん。朝だよー?」

穂乃果「美味しい美味しい炊きたての白米が待ってるよー?」

花陽「んんっ・・・・・ふぁ、ほのかちゃぁん?」

穂乃果「はいはい穂乃果だよ」

花陽「おはよう・・・ございます」

穂乃果「おはよ。昨日は遅くまで起きてたもんね。体だるい?頭痛い?」ナデナデ

花陽「だっ大丈夫ですっ・・・///」


穂乃果「そっか良かった。朝ご飯出来てるから食べに行こ?」パッ

花陽「あっ・・・・・」

穂乃果「どうしたの?」

花陽「・・・も、もう・・・・・・・少し、頭痛い、です・・・なので、もう少し・・・・撫で、て・・・欲しい」モジモジ

穂乃果「んふふー、しょうがないなぁ」ポンッ

花陽「はぅ・・・」

穂乃果「少しだけだよー?凛ちゃんも起こしたし、皆もうご飯食べてるんだからね」ナデナデ

花陽「・・・・・っ・・・っ///」ゾクゾク

穂乃果「朝の花陽ちゃんはいつも甘えんぼさんだね」ナデナデ

花陽「穂乃果ちゃん、ごめんなさい・・・///」




~リビング~



穂乃果「みんなお待たせー」

にこ「私達もうご飯食べ終わってるわよ」

花陽「ご、ごめんなさい!私が起きるの遅くて・・・」

真姫「・・・・・」ムスッ

穂乃果「真姫ちゃんそんなに怒らないでよー」ギュー

真姫「・・・・・」

穂乃果「ご飯一緒に食べれなかったのは反省するからー」

真姫「ちょっと・・・」

穂乃果「ん?なーに?」

真姫「穂乃果の服の胸のとこ・・・花陽の匂いがする」

花陽「っ!?」ビクッ


穂乃果「そりゃ花陽ちゃんが抱きsむぐぅ!!」

花陽「わあわあああ!!」ガシッ

にこ「どうしたのよ、急に?」

真姫「何か疚しいことでもあるの?」

穂乃果「むぐむぐ」

花陽「た、ただ穂乃果ちゃんは布団をずっと抱いてたから匂いが付いちゃっただけの話です!」

穂乃果(あっ・・・寝惚けてるからって、そういうのは恥ずかしいもんね)

にこ「取り敢えず穂乃果を離してあげなさいよ」

花陽「わっ!ご、ごめんね。穂乃果ちゃん」

穂乃果「ぷはぁ・・・もうー!ひどいよ花陽ちゃん!」

花陽「ううぅ・・・」

真姫「それより穂乃果。花陽が言ってるのはほんと?」


穂乃果「え?あ、あーうん!そうそう!花陽ちゃんが布団を離さないもんだから私が無理矢理奪ってね」

にこ(2人とも嘘が下手ねー・・・)

真姫(そしたらさっきの花陽の行動が理解出来ないわよ)

凛(これは何かやってるにゃ・・・)

真姫「そう。悪かったわ、変なこと疑っちゃって」

花陽「ふぇっ、う、うん!こちらこそ遅く起きてきてごめんなさい」

穂乃果「ささっ、花陽ちゃんご飯食べよっか!」

花陽「は、はい!」


―――――
――――
―――
――


真姫「それじゃ私は仕事してくるから静かにしてなさいよ」

花陽「あ、はーい・・・」

穂乃果「じゃあ後で真姫ちゃんの部屋に行くね。私、洗濯物があるから」

真姫「わかったわ」スタスタ

にこ「世話されてばっかりじゃアレだし、私も手伝うわ」


~ベランダ~


にこ「あんたも大変ね」

穂乃果「大変って?」

にこ「家事をしながら仕事もしてるってことよ」

穂乃果「あーこれ?」

にこ「そうそう」


穂乃果「大変って思ってくれるんだ。嬉しいなぁ」ニコッ

にこ「そりゃ見てればね」

穂乃果「でも、私なんて全然大変じゃないんだ。花陽ちゃん、凛ちゃん、真姫ちゃんそれに、にこちゃんに比べたら全然楽だよ」

にこ「そんなわけないわよ、今のあんた見てたら」

穂乃果「これ言うと、にこちゃん怒るかもしれないけど良い?」

にこ「まぁ言ってみなさいよ」

穂乃果「私、あまり苦労せずに人生上手くいってるもん。だから楽なんだ」

にこ「・・・・・」

穂乃果「ねっ?怒りたくなったでしょ?」

にこ「少しね・・・」

穂乃果「ここ数年ですっごい稼いじゃったんだ。だから私がここから人生転んだって、安いアパートにでも引っ越せば十分生きていける。」

にこ「・・・・・」

穂乃果「この世の中にはこんな楽して人生を過ごしてる人がいるんだよ。だからそんな人は苦労をしなきゃいけないんだ」

にこ「それが今のあなたの現状なのね」


穂乃果「私が楽してる分を花陽ちゃんや凛ちゃんにあげたいの」

にこ(そんなのしたって花陽達は成長しないわ)

穂乃果「あのね、今が辛いって思うならいつでもここに来ていいからね。私がにこちゃんを守ってあげるから」ニコッ

にこ「あんたは本当に優しいわね」

穂乃果「ありがと」

にこ「でも、その優しさで壊れるものだってあるのよ・・・」ボソッ

穂乃果「え?なんて?」

にこ「何も言ってないわよ、あほのか」

穂乃果「あー!またアホって言った!」

にこ「っるさい!さぁ早く洗濯干さなきゃ真姫ちゃんのとこ行けないでしょ。急ぎなさい」

穂乃果「ああ!そうだった!急がなきゃ怒られちゃう!」


にこ「私、この後家に帰るからね」

穂乃果「ええっ!?なんでいきなり!?」

にこ「いきなりも何も明日仕事あるから体調を整えなきゃいけないのよ」

穂乃果「うぅ・・・そうかぁ。それなら仕方ないか」

にこ「寂しい?」

穂乃果「寂しいに決まってるよ!私、にこちゃん大好きだもん!」

にこ「な、なに恥ずかしいこと言ってんのよ!」

穂乃果「だって、だって・・・」

にこ「ありがと。久しぶりに会ったっていうのにこんなに想ってくれてて嬉しいわ」

穂乃果「当たり前だよ!」

にこ「また近い内に来るわよ。この花陽の服も返さなきゃいけないしね」

穂乃果「はっ!そうだったね!」

にこ「じゃあ洗濯も終わったみたいだし、私は花陽達に挨拶して帰るわ」

穂乃果「うん!またいつでも来てね」

にこ「楽しみにしてなさいよ」




~にこアパート~



にこ「この世の中にはこんな楽して人生を過ごしてる人がいる・・・ね」

にこ「確かにそうね・・・あんな楽な人生送ってるあいつら見たら、格差ってのは明らかね」

にこ「はーぁ・・・・・ヤになっちゃうわねー」

にこ「さてと、ご飯でも作ろうかしら」スタスタ


かぱっ


にこ「って、冷蔵庫なんにも無かったわ」

にこ「仕方ない・・・カップラーメンでも食べましょ」

にこ「・・・・・」ジョボボボ

にこ「・・・・・」

にこ「あ、そうだ。今日シフト代わってもらった人に謝っとかないと・・・」

にこ「・・・バイト休むくらい、楽しくて、帰りたくなくなっちゃってたのかしら・・・・・」

今回はここまでです
また書き溜めてきますので




~穂乃果ハウス。穂乃果部屋~



穂乃果「にこちゃん帰っちゃったね」

真姫「そうね・・・」ギュー

穂乃果「やっぱりにこちゃんは凄いね。私達の先輩だよ」

真姫「まぁね・・・」

穂乃果「覚えてる?初めは2人で歌手目指して頑張ってたこと」

真姫「覚えてるわ。穂乃果が私に医大を辞めさせた事も」

穂乃果「真姫ちゃんが私に相談したくせに。血を見るのが怖いとか、人を死なせるかもしれないって・・・どんなお医者さんだよって初めは笑っちゃったよ」

真姫「ふふっ、そうだったかしら。私が聞いただけでも笑っちゃうわ」


穂乃果「私が音楽業界に誘ったら、ほいほい着いてきちゃって・・・チョロいったらありゃしないよ」

真姫「仕方ないじゃない。私には穂乃果しかいないもの」ギュゥ

穂乃果「あの頃の私って無謀だったでしょ?夜の駅とか人通りの多い広場でギター片手に、さ」

真姫「良いじゃない。楽しそうだったわよ」

穂乃果「真姫ちゃんも一緒に歌ってた時は、楽しそうだったじゃん」

真姫「全てが違った世界に見えたわ。楽しくて視界がキラキラしてて・・・まるで初め夜中の友達と散歩するような不思議な新感覚だったわ」

穂乃果「そうだよね。私はね、歌ってる時は思い出しちゃうんだ。μ'sでライブしていたあの日のことを」

真姫「そうね。懐かしいわ」

穂乃果「聴いてくれる人は少なかったけど、2人でも1人でも拍手してくれる人がいてくれるだけでも、嬉しかったなぁ」

真姫「私は誘ってくれて・・・感謝してるんだから」

穂乃果「こちらこそ、ありがと」ニコッ

真姫「どういたしまして」ニコッ


穂乃果「でも夢は夢だね。夢じゃ食べていけないもん」

真姫「夢は語るものよ。夢で生きていける人なんて、ほんと稀なケースよ」

穂乃果「売れる為にオーディションいくつか受けたよね」

真姫「そうね・・・あいつら穂乃果を見る目ないのよ。こんなに可愛いのに」

穂乃果「それは真姫ちゃんのことだよ」

真姫「違うわよ」

穂乃果「もうー!」

真姫「でも・・・」

穂乃果「まぁ有名になれないって分かってたよね」

真姫「そうね。穂乃果始めっからそう言ってたものね。なれっこないけど、やるだけやるって」

穂乃果「私が歌う歌と、テレビで歌う人の歌は全然違うもん。世界が違うからね。自覚してた事だよ」

真姫「で、直ぐ折れて、私が作曲して、穂乃果が作詞して・・・曲をレコード会社のコンクールに出したら奇跡的に優勝して」

穂乃果「そっからは簡単だったよね。次から次に仕事が舞い込んできてさ・・・路上で歌ってた時に比べたら月とスッポンでさ、湧き水のようにお金が増え続けたよね」

真姫「そうね・・・」


穂乃果「こんなに裕福になれるなんて思いもしなかったよ」

真姫「諦めたことが成功に繋がるなんてね・・・でも穂乃果はしたいこと出来てないじゃない」

穂乃果「出来てたよ。風の吹くまま気の向くまま歩き回って好きに歌って・・・」

真姫「出来ることなら、やっていたかったでしょ?」

穂乃果「えへへ・・・・・だからにこちゃんは凄いんだよ。私達が諦めてスタートラインにすら立てなかった厳しい業界で今も生きていけてるんだもん」

真姫「売れなくても諦めてないだけどね」

穂乃果「でも私達の耳にもよく届くじゃん。あのアイドルが解散した、あの歌手が引退したって・・・そんな荒波を生きてるんだよ」

真姫「そうね・・・」

穂乃果「いくら夢が叶ったって、食べていけない人もいたり、続けてていけない人もいる。それが当然の世界だよ」

真姫「・・・・・」

穂乃果「お願い・・・があるんだけど、いい?」

真姫「・・・・・」

穂乃果「もし、ね・・・にこちゃんがさ」

真姫「・・・・・嫌よ」


穂乃果「え?まだ何も」

真姫「穂乃果の事だもの。にこちゃんも一緒に住まわせたいとか言うんでしょ?」

穂乃果「そうだよ。私はにこちゃんの夢を応援したい。アイドル続けていってもらいたいもん」

真姫「嫌よ、そんなの」

穂乃果「それは、いつも真姫ちゃんが言う・・・私が真姫ちゃん以外に優しくするのが嫌なのと同じ理由?」

真姫「それもあるけど、今はそれじゃない」

穂乃果「それ以外があるの?」

真姫「分かってるくせに」

穂乃果「分からないよ」

真姫「じゃあさ・・・・・穂乃果はいつまで皆のリーダーでいるつもりなの?」

穂乃果「えっ」


真姫「皆に頼られたくて、皆に愛されたくて、皆を守りたくて・・・いつも率先するその姿は昔と変わらない穂乃果よ」

穂乃果「・・・・・」

真姫「悪い事じゃない。でも穂乃果のするべき事じゃない。穂乃果はもうμ'sのリーダーじゃない」


真姫「ただの高坂穂乃果よ」


穂乃果「分かってるよ」

真姫「分かってない。さっき言ったんでしょ。分かってないから、花陽も凛も穂乃果に依存している」

穂乃果「依存なんてされてないよ」

真姫「依存してるわ。だから嫌なのよ。にこちゃんもきっと穂乃果に依存するから」

穂乃果「しないって」

真姫「してるわよ!!」

穂乃果「!?」ビクッ


真姫「裕福で贅沢な生活、無償で与えてくれる温かい優しさ、仲間のいる賑やかな空間・・・きっと誰もが求める理想郷よ」

穂乃果「で、でも、それは真姫ちゃんの見解だよね。私は2人から依存されてるなんて思ってないよ」

真姫「小説や漫画でハーレムモノの主人公が鈍感だという設定があるけれど、実際現実の人間の9割は鈍感なのよ」

真姫「相手の考えてる事が分かる人間なんて存在しない。人間は勘違いしないようにって、思い上がらないようにって、理性が本能的に働くもの」

真姫「つまり主観では自分の事を理解しているようで理解出来てない。客観的に見て第三者しか理解出来ないものがある」

穂乃果「・・・・・」

真姫「私はずっと穂乃果を見てきたのよ。花陽と凛が穂乃果をどうなってるかだって知ってるわ」

穂乃果「ほんとに・・・そうなの?」

真姫「そうよ」

穂乃果「そう、なんだ・・・」


真姫「穂乃果がにこちゃんに依存されたいのならそうしてもいい。でも、私はそんな嘗ての仲間がそんなふうになるのを見るのは、もう嫌だから」

穂乃果「私はただ頑張ってもらいたくて」

真姫「わかってる・・・」ギュゥ

穂乃果「その支えになれるようになりたくて」

真姫「うんうん・・・」ナデナデ

穂乃果「本当に、ダメ・・・なのかなぁ?」

真姫「ダメじゃないわ・・・でもダメなの」ナデナデ

穂乃果「そっかぁ・・・でも私はにこちゃんを支えたいんだ」

真姫「・・・・・」

穂乃果「・・・だって友達だもん」




~一週間後~



にこ「来てやったわよ」

穂乃果「わっ!にこちゃん!」

にこ「服返すの遅くなって悪かったわ」

穂乃果「いいよいいよ。ねっ!今日はどうする?」

にこ「明日・・・休み取ったから別に・・・・・泊まってっても良いけど?」

穂乃果「泊まるつもりで来てくれたんだ」ニコッ

にこ「べ、別にいいでしょ・・・あんた達といたかったんだから」ポリポリ

穂乃果「わぁ・・・スピリチュアル!抱き枕にしたい」

にこ「真顔で何気持ち悪いこと言ってんのよ」


穂乃果「玄関で立ち話もなんだし上がってよ」

にこ「えぇ」スタスタ

穂乃果「にこちゃん身長伸びた?」

にこ「しばくわよ。・・・・・って、あれ?そういえばやけに静かね?」

穂乃果「真姫ちゃんは寝てるし、花陽ちゃんは近所のデパートでアイドルのライブやってるから見に行くって」

にこ「花陽は分かるとしても、真姫ちゃんはいつも寝てるわね」

穂乃果「確か凛ちゃんはいた気がするんだけど・・・」

にこ「そんな未確認生物みたいな言い方・・・」

穂乃果「えへへ、さっきまでずっと仕事してたからさ」

にこ「そうなの?邪魔しちゃ悪かったかしら」

穂乃果「うぅん、ちょうど煮詰まってたとこ。それに仕事よりにこちゃんだよ」

にこ「私はあんたの恋人か!」


穂乃果「そんなこと言われても・・・困るよぉ」

にこ「間に受けてんじゃないわよ!」

穂乃果「えへへー」


がちゃ


穂乃果「凛ちゃーん!にこちゃん来たよー!」

にこ「来てやったわよー・・・あれ?凛は?」

穂乃果「ほら、あそこに」


穂乃果の指差す先にはリビングの床にうつ伏せに寝っ転がっている凛の姿があった

私は疑問符を浮かべた。何故なら先程穂乃果によって大声で呼ばれたのにうんともすんとも言わず、ピクとも反応しない

背筋に冷水を垂らされたかのように脊髄反射の如くビクンと瞬間的に寒気を感じた


にこ「えっ・・・凛、倒れてることない!?」

穂乃果「凛ちゃん?・・・・・凛ちゃん!?」タッタッタッ



私と穂乃果はゆっくり歩いていた足がいつの間にか駆け足になっていた

穂乃果は凛の肩を掴んでグラグラと揺らした

気が付いたら私は足腰の力が抜けて、ペタンと座り込んでしまっていた


にこ「ちょっとちょっとちょっと・・・まずいんじゃないの!?」オロオロ

穂乃果「凛ちゃん、どうしたの・・・!?」

凛「・・・・・」


声をかけても反応がない

『嘘』という言葉が頭の中を駆け巡った

思いたくない言葉が過ぎる


穂乃果「凛ちゃん!凛ちゃぁん!目を開けて!」


凛「あ・・・穂乃果、ちゃん・・・・・」ムク


辛うじて開かれた目、虚ろな目線

穂乃果の揺れから解放され凛が顔を上げた


穂乃果「凛ちゃん、大丈夫!?」


普段は愛らしいパッチりとしていた凛の目が、どんよりと死んだ魚の目になっていた

凛のこんなに追い詰められている姿を見るのは初めてのことだった


凛「うぅん・・・・・、ダメみたい・・・」


ぐずるようにそう言うと、凛は再び頭を地面に伏せた


穂乃果「そんなっ・・・」

にこ「み、水でも持ってきた方がいい?」


私の言葉を聞き届けたの頭を少し横向きにし、穂乃果をチラリと見て、途切れ途切れの声でうわ言めいた呟きを漏らす



凛「水、より・・・・・ケーキ・・・・・・・・チョコ、ケーキを・・・・・お腹いっぱいに、食べ・・・たい・・・・・」

にこ「は?」


チラッと不満ありげな視線を向けられたけど、そんなこと言われても困る

凛は再び頭を地面に向け、めそめそぐすんぐすんと鼻を啜る息遣いをして泣き言を言う


凛「やばい・・・やばいにゃぁ・・・・・」

穂乃果「チョコケーキ?チョコケーキがいいの!?」

にこ「・・・・・」


そして、また頭を横向きにしチラリと私を見た

私の黙った虫を見る目で見てるのに気付いたのか、直ぐに再び頭を地面に向ける

そしてくぐもった小さな声が漏れてきた



凛「ひっく、ううっ・・・・・、甘いものぉ・・・」


そして、また私をチラリと見た



うっわ・・・めんどくさぁ・・・・・



にこ「穂乃果、ケーキ屋さんにでも行く?」

穂乃果「わかった!ケーキ屋さんでチョコケーキを買いに行こう!」

凛「行くにゃ!」


凛さガバッと起き上がり、即答した


にこ「長いわよ!心配して損したわ!」

×凛さガバッと起き上がり、即答した
〇凛はガバッと起き上がり、即答した




~ケーキ屋~



穂乃果「じゃあ私お会計してくるね」スタスタ



凛「にこちゃん、どう?」

にこ「どうって・・・あの晩の話?」

凛「そうそう」

にこ「確かにあんた達といるのは楽しいし、純粋に普通の人だったら溺れちゃうんじゃない?」

凛「自分は普通じゃないと思ってるの?」

にこ「そうね、団長の手刀くらいなら見逃さないわよ」

凛「それは普通じゃないね」


にこ「私だってプライドがあるもの。誰かに養ってもらう人生なんてお断りよ」

凛「にこちゃんは強いね」

にこ「私がアイドルになれなかったなら、穂乃果に溺れてたと思うわ。ほんと・・・それぐらいちっぽけなプライドだけどね」

凛「そっか」

にこ「他人事として言ってるけど、あんたはどうなの?」

凛「どうって?」

にこ「きっとこのままじゃいられないわよ」

凛「へー・・・」

にこ「舐めた態度取ってるけど・・・あんただって人の子でしょ。罪悪感で押し潰されるわよ」

凛「・・・・・そんなの分か」

穂乃果「わっ!!」

凛「っ!?」ビクッ

にこ「びっくりさせないでよ!?」


穂乃果「ごめんごめん!なんか2人とも怖い顔してたからさ」

にこ「趣味悪いわね」

穂乃果「ふふふ、帰るよ?2人とも」

にこ「はいはい」

穂乃果「ゲームの話でもしてたの?」

凛「そ、そうにゃ。ゲームゲーム!かよちんがホラー苦手だって言うから、にこちゃんにやってもらおうかと思ったにゃ!」

穂乃果「へー。私、ホラーはちょっと苦手かなぁ。この歳でも心霊番組観ると夜トイレが怖くなっちゃうんだよね」

凛「良いこと聞いちゃったにゃー」

穂乃果「えー!私絶対に心霊とか見たくないからね!」


にこ(凛が言いかけた言葉を私は聞き逃さなかった)

にこ(分かっているのか、分かってないのか・・・私はその言葉の先が分からず心配で心がキュウキュウと締め付けられる)

にこ(私の事じゃない。他人の事なのに)

にこ(それでも、嘗ての仲間が迷ってる姿を見ているだけで辛かった)

にこ(・・・・・私が助けてあげなきゃいけない)

にこ(穂乃果みたいに頼られることは出来ないけど、今を変えることの手助けぐらいなら出来るはず)


―――――
――――
―――
――


穂乃果・凛「ただいまー」

にこ「お邪魔するわ」

花陽「あ、2人とも・・・と、にこちゃん。おかえりなさい」トテトテ

凛「かよちん!ケーキ買ったにゃ」

花陽「そうなんだぁ、楽しみ」


にこ「あ、2人とも上着は私が片しておくわよ」

凛「ん?ありがとにゃー」ヌギヌギ

穂乃果「いいよいいよ、自分でやっとくからさ」

にこ「ほら、そんな遠慮しなくていいわよ。洗濯カゴに入れておけば良いでしょ?」

穂乃果「あ・・・うん、ありがと」ニコッ

にこ「そういや花陽、あんた今日アイドルのライブ見に行ってたそうね」

花陽「うん!もう満足!」

にこ「私にも話聞かせなさいよ」

花陽「うん、いいよ?私の部屋で話そ。グッズも買ったんだよ」

にこ「ふふっ、良かったわね。さっ行きましょ」ニコッ

凛「かよちんのアイドル話に付いていけるのは昔からにこちゃんだけだからね」

穂乃果「そうだね。まぁ2人だけにしてあげよっか」

凛「じゃあ穂乃果ちゃんは凛とこの心霊特集のDVDを見るにゃー!」

穂乃果「ひえっ!?そ、そんなぁ!」




~花陽部屋~



花陽「―――――なんですよね!なので行って本当に良かったです」キラキラ

にこ「そう。本当に良かったわね」

花陽「そうだ!今度にこちゃんも見に行きましょう」

にこ「えぇ構わないわ」

花陽「それでですね―――が、――――――でして、―――ですよ!」


にこ(花陽はそれはもう水を得た魚のように元気にはしゃぎながらアイドルについて語る)

にこ(昔から変わらない花陽そのものだった)


花陽「にこちゃん聞いてます?」

にこ「うんうん、聞いてるわよ」

花陽「それでね・・・」

にこ「あのさ花陽、突然こんなこと聞くのは悪いと思うけどいい?」

花陽「え?なにかな」

にこ「花陽は穂乃果が好きでしょ?」

花陽「えっ・・・えええええっ!?///」

にこ「素直に教えてほしいのよ」

花陽「そ、そんっな!私が穂乃果を好きになるなんて!ほ、穂乃果ちゃんに迷惑と言いますかっ///」アタフタ

にこ「どうなの?」


花陽「にこちゃん聞いてます?」

にこ「うんうん、聞いてるわよ」

花陽「それでね・・・」

にこ「あのさ花陽、突然こんなこと聞くのは悪いと思うけどいい?」

花陽「え?なにかな」

にこ「花陽は穂乃果が好きでしょ?」

花陽「えっ・・・えええええっ!?///」

にこ「素直に教えてほしいのよ」

花陽「そ、そんっな!私が穂乃果を好きになるなんて!ほ、穂乃果ちゃんに迷惑と言いますかっ///」アタフタ

にこ「どうなの?」

>>86ミスです
さっきからページが安定しなくて酉だとかも付いてなかったりしてます、本当に申し訳ございません


花陽「ふぁ・・・・・あの、その・・・しゅ、好き・・・・・です、ごめんなさい///」モジモジ

にこ「謝らなくてもいいわ。何もバカにしたり取って食おうだなんて思ってないわ」

花陽「・・・・・うぅ///」

にこ「信用して。私は花陽をはめようだなんて思ったりしてないわ」

花陽「じゃ、じゃあ・・・なんでそんな事を・・・・・?」


にこ(花陽の依存はここにある。凛とは違う依存)

にこ(凛の依存はただ穂乃果に支えられていたいとする信頼を得る為の行為)

にこ(対して、花陽は穂乃果に愛されたいとする恋愛的行為)



にこ「花陽が恋する乙女の目をしていたからよ」ニコッ

花陽「それは・・・ちょっと・・・・・寒いと思う」

にこ「花陽から冷たい言葉を言われたのはこれが初めてね」ベシッ

花陽「きゃっ!!」

にこ「そうよね。穂乃果は可愛いし、優しいし、経済面も安心出来るわよね」

花陽「それだけじゃありません。穂乃果ちゃんは路頭に迷っていた私を救ってくれました・・・」

花陽「温かいご飯を食べさせてくれて、私の悩みを全部聞いてくれて、涙を流したらずっと抱き締めてくれました」

花陽「これが好きにならずにいられますか」

にこ「うぅん。良いことよね」ナデナデ

花陽「ん・・・」


にこ「好きって思える事は人間の子孫を残す為に必要な本能なのよ」

花陽「うん」

にこ「好き合って・・・それで夫婦になって。永遠愛を誓え合えるんだもの・・・もしも穂乃果とそうなれたら花陽は幸せよね」

花陽「そ、そんな・・・夫婦だなんて///」

にこ「でも夫婦って・・・今の花陽と穂乃果みたいな関係じゃなれないんじゃない?」

花陽「え・・・」

にこ「夫婦って支え合ってくものよ。知ってる?」

花陽「・・・・・知って・・・ます」

にこ「旦那さんが仕事を頑張るなら、妻は家事に力を入れる。それが普通の夫婦、世の常でしょ?」

花陽「・・・・・」

にこ「恋は1人、愛は2人で育てるものよ。好きになるのは自由だけど、愛し合うにはそれなり条件が必要なのよ」

にこ「穂乃果のお金で生きていくには、花陽も心が苦しいでしょ?考えてみましょ」

にこ「それが花陽の出来る、穂乃果への最大の恩返しじゃない?」

花陽「・・・・・」


にこ「・・・どう?出来そう?」

花陽「・・・・・考えてみます」

にこ「よし・・・・・よしよし!良い進歩じゃない!」ナデナデ

花陽「・・・・・」

にこ「そんな花陽には特別プレゼントよ!」

花陽「えっ・・・・・プレゼント・・・ですか?」

にこ「そそっ、このパーカーをプレゼントよ」

花陽「このパーカーって・・・」

にこ「さっきまで穂乃果が上着で来てたパーカーよ」

花陽「っ!!??///」


にこ「ほらほら、ヘタレのあんたじゃ取ってくる事すら出来ないでしょ?」

花陽「そ、そんなの!穂乃果ちゃんに悪いですっ///」

にこ「・・・・・そう。あー残念・・・じゃあ私が堪能するわ」スーハースーハー

花陽「あゎ・・・ぅっ///」

にこ(やばい・・・駆り立てる為にしてる事とはいえ、割りとクセになる匂いね・・・・・)スンスン

花陽「に、にこちゃ・・・」

にこ「はぁぁー・・・落ち着くわぁ」

花陽「あ、あの・・・・・それは私にプレゼントするものだって・・・だ、だから」モジモジ

にこ「あれ?穂乃果に悪いんじゃなかった?」

花陽「う、うっうぅ・・・わ、私も・・・・・穂乃果の匂い・・・かっ嗅ぎたい、です///」

にこ「はい、どうぞ。・・・穂乃果は本当に幸せ者ね。こんな可愛い子に好かれてるなんてね」

花陽「はふっ、ふ、ふぐっ・・・んんっ///」スンスン

にこ「・・・・・」

花陽「ふぁぁ・・・はぁはぁ、んふぅ・・・・・///」スーハースーハー

にこ「・・・・・・・・・・わ、私はリビング行ってくるわねー・・・」

今回はここまでです
誤字脱字やらミスが多くて申し訳ございません




~リビング~



テレビ『おわかりいただけただろうか・・・』


凛「Zzz・・・」

穂乃果「っ!!」ビクビク


テレビ『嘗てこの部屋で自殺した女の霊だという・・・』


穂乃果「うっ、くっ・・・」ウルウル

にこ「あんた、こんなのが怖いの?」

穂乃果「わっひゃあ!!??」

にこ「っ!?」ビクッ


穂乃果「な、なんだにこちゃんか!」

にこ「いきなり大声出さないでよ!ったく・・・怖いなら見なきゃ良いじゃない」

穂乃果「うーん・・・不思議だよね。怖いけど見ちゃうの。ホラーには謎の魔力でもあるのかな?」

にこ「謎の魔力ねぇ・・・」

穂乃果「あれー、花陽ちゃんは?一緒にアイドルの話してたんじゃなかったっけ」

にこ「あ、あー・・・花陽はもう少しアイドルグッズを見つめてたいってさ」

穂乃果「そっか。・・・・・ふふ、そっかそっか」

にこ「何も面白い事言ったつもりないんだけど」

穂乃果「あ、うぅん!そうじゃないの。花陽ちゃんの事」

にこ「花陽の?」

穂乃果「花陽ちゃんの好きなことの話が出来るのにこちゃんだけだもん。スクールアイドルやってた時はそれなりに私も知識はあったけど、今はすっからかん」


にこ「あんたも音楽関係の仕事してるんだし、ちょっとは詳しいでしょ」

穂乃果「んー・・・レコーディングには顔を出すけど、そんなアイドルと話すって訳じゃないんだよね」

にこ「あんた人生損してるわよ。大御所の声優とかテレビに引っ張りだこのアイドルだって目の前に見たことあるんでしょ?」

穂乃果「あんまり詳しくないから何とも言えないよー」

にこ「あんたねぇ・・・」

穂乃果「まぁまぁ何よりにこちゃんが来てくれて良かったよ」

にこ「そう?」

穂乃果「私じゃ花陽ちゃんの気持ちを満足してあげれないの」

にこ「いや、それは十分・・・」

穂乃果「花陽ちゃんは凛ちゃんみたいにアレが欲しいとか、あれをしてってお願いしてくれるのが少ないんだ」

にこ「ふーん・・・・・」


穂乃果「寝惚けて撫でてとかしか言われたことないんだ」

にこ(うっわ・・・本当にヘタレじゃない。寝惚けを利用してるところが本格的にダサい)

穂乃果「花陽ちゃんの一番好きなものってアイドルでしょ?」

にこ(あんたよっ!!)

穂乃果「自分の好きなものってさ、語り合いたいものだよね」

にこ「あー、そういうものよね」

穂乃果「花陽ちゃんはあまり欲を言わないからさ、自分から歩み寄らないといけない気がするんだ」

にこ「花陽も大人なんだから、そこまで気にする必要ある?」

穂乃果「あるよ。だって花陽ちゃんだよ?」

にこ「その確証のない意見はなんなのよ・・・」

穂乃果「私が守ってあげなきゃいけないんだよ。それに花陽ちゃん自分で全部溜め込んじゃうタイプだもん」

にこ「あぁ・・・まぁね」


穂乃果「ストレスって、やっぱり溜まっちゃうんだと思うんだ」

にこ「それで私が花陽のストレス発散というか、さっきの気持ちの穴埋めになるって事ね」

穂乃果「そんな粗末な扱いじゃないよ・・・ただにこちゃんがいてくれて良かったってこと」ニコッ

にこ「素直に言われるとむず痒いわねぇ・・・」

穂乃果「にこちゃん、ちょっとこっち来て」クイクイ

にこ「こっちって?」

穂乃果「膝の上だよー」

にこ「なんでよ!嫌よ!?」

穂乃果「おねがい!ね、少しだけ!少しだけだから!」

にこ「は、恥ずかしいわよ!高校生でもないのに!」

穂乃果「誰も見てないから大丈夫だって!凛ちゃんも寝てるし」


にこ「で、でも・・・」

穂乃果「そんなに嫌なの・・・?」

にこ「うっ・・・しょ、しょうがないわね・・・・・」

穂乃果「やったぁ」

にこ「手短にしてよ・・・真姫ちゃんとかに見られたら恨まれそうだし」ポスッ

穂乃果「んー!んんん~っ!!にこちゃんっ!」ギュゥ

にこ「あーぁ・・・なにやってんのよ、私」

穂乃果「ふへへ・・・にこちゃん、ありがとね」ニヨニヨ

にこ「あーはいはい、アイドルの事なら私に任せてくれても大丈夫よ」

穂乃果「安心安心・・・」

にこ「安心って・・・・・ん、あんた震えてる?」


穂乃果「幽霊怖い・・・」ギュゥ

にこ「はぁ?」


テレビ『Replay 白い服の髪の長い女が窓から――』


にこ「あ、あぁ・・・」

穂乃果「今、こっち見てたよ!あの女の人!」

にこ「カメラ目線の時点でもう偽物じゃない」

穂乃果「怖い怖い怖い・・・」ギュー

にこ「はぁ・・・子供ね」

にこ(・・・・・あー、やばいわ、これ///)


凛「・・・・・」


―――――
――――
―――
――


穂乃果「起きてー」

凛「んっ・・・・・んぅ・・・」

穂乃果「凛ちゃん起きてー!」

凛(あれ・・・いつの間にか本当に寝ちゃってのかな)

凛「んんーっ!良いお昼寝が出来たにゃー!」

にこ「昼寝って・・・もう外は日が沈んでるわよ」

凛「あっ、ほんとだ!」

穂乃果「凛ちゃんが観ようって言ったのに凛ちゃんだけ先に寝ちゃって酷いよー!」


凛「ごめんね。穂乃果ちゃんトイレ行けそう?」

穂乃果「うぅ・・・行けそうにないよー!凛ちゃんのバカー!」

凛「にゃへへへ作戦成功にゃー!」

にこ「あんなのどこが怖いのよ」

穂乃果「にこちゃんは偽物だって言うけど、偽物と分かってても怖いんだもん!」

凛「そこはお化け屋敷と同じ仕様にゃ。怖がらせる事を目的としてるからね」

にこ「そうそう。結局怖いのは人間よ」

穂乃果「あーもう!にこちゃんにはトイレ付き合ってもらうからね!」

にこ「しょうがないわねー・・・」

凛「ん?そういやもう夜だけど・・・穂乃果ちゃん、ご飯は?」

穂乃果「ふふーん!今日は皆で外でご飯食べに行こうかなーってさ」


凛「外食より穂乃果ちゃんのご飯のが好きだよ」

穂乃果「にこちゃん!私今からご飯作るよ!」

にこ「却下!もうお店は予約したから外食は決定よ」

穂乃果「そんなぁ・・・ごめんねー、凛ちゃん」

凛「うぅん、たまにはいいかもしれないね」

にこ「じゃあ私は2人を呼んでくるわね」

凛「かよちんは凛が起こしてくるにゃ」

にこ「わかったわ」




~真姫部屋~



こんこん・・・


にこ「返事がないわね・・・入るわよー?」


がちゃ


にこ「・・・すごっ!」

にこ「色んな楽器があるわね・・・こんなベースとかギターとか・・・・・ドラムセットまで・・・真姫ちゃん弾けるのかしら」

にこ「ピアノもちゃんとあるし、パソコンも・・・そういや穂乃果が仕事でこの部屋行くって言ってたわね」

にこ「って!肝心の真姫ちゃんがいないじゃない!」

真姫「いるわよ、うるさいわね・・・」クシクシ

にこ「ひっ!?えっ、い、いたの!?」ビクッ


真姫「あそこ・・・」

にこ「あそこって・・・ピアノの横の扉?」

真姫「そこの奥が私の自室よ」

にこ「そうなの・・・うるさくない?」

真姫「防音は完璧よ」

にこ「あ、そう」

真姫「で、何の用?ふぁぁ・・・」

にこ「ご飯食べに行くって」

真姫「そう・・・」

にこ「ね、真姫ちゃんってここの楽器弾けるの?」

真姫「弾けるわよ、全部」


にこ「そりゃ弾けなきゃ置いてないか」

真姫「穂乃果も大体弾けるわよ」

にこ「・・・・・マジ?」

真姫「穂乃果はギターが一番上手いわね」

にこ「ギターって・・・あそこのガラスケースに入ってるのよね」

真姫「・・・そうだけど、あのガラスケースに入ってるギターとベースは弾く用じゃないわ」

にこ「へぇ・・・」

真姫「あれは・・・・・そうね、インテリアってところかしら」

にこ「ギターをインテリアって・・・そんな調子乗ってる大学生じゃないんだから」

真姫「どんな偏見よ」

にこ「なんか随分使い古した感じね。薄れてるとこもあるし・・・ちゃんと手入れしてるの?」

真姫「にこちゃんには関係ないでしょ」

にこ「へーへー、すみませんですねー」




~リビング~



穂乃果「2人ともおそーい!」

真姫「穂乃果が来てくれたら直ぐに行けたのよ」

にこ「さも私が呼びに行ったのが原因かのような言い方しないでくれる?」

真姫「タクシー呼ぶ?」

にこ「なっ!?そんな贅沢はダメよ!歩いていくわよ!」

真姫「人間は楽に生きる為に進歩してるのよ」


にこ「そんなこと言ったってお金の無駄よ!歩きなさい!」

真姫「そんなのタクシーの存在価値を否定してるようなものよ」

にこ「否定まではしないわよ。あれは最終手段よ。バスがない、電車もない、しょうがない、タクシー呼ぶしかないって感じよ」

真姫「・・・なら、私が車を運転するから」

にこ「あんたどこまで歩きたくないのよ!別に歩いて行ける距離なのよ?それにお酒飲めないわよ」

真姫「背に腹変えられないわ」

にこ「歩くと死ぬ呪いにでもかかってんの?」

穂乃果「あのねー・・・夜、街中歩くのってなんだかわくわくする事ない?ねっ、歩こうよ」

真姫「穂乃果が言うんだったら良いけど」

にこ「扱いの差に涙出るわよ・・・」


―――――
――――
―――
――


~帰路~


にこ「ふぅ・・・お腹いっぱいね」

穂乃果「だねー」

凛「よっ・・・・・ほっ!」

真姫「縁石の上を歩くの危ないわよ」

凛「余裕余裕~」

花陽「ふぇへへへ・・・穂乃果ちゃんあったかぁい」ギュゥ

にこ「花陽がこんなお酒弱かったなんてね」


穂乃果「いつものことだよ」

にこ「よくもまぁそんな華奢な身体で花陽をおんぶ出来るわね」

穂乃果「見て見て!この力こぶ!」

にこ「二の腕の肉持ち上げてるだけじゃないの」

穂乃果「へへ、ばれちゃった?」


「あれ?穂乃果?」


穂乃果「え?・・・・・ん?ぅ絵里・・・ちゃん?」

絵里「ハラショー!穂乃果じゃない。それに真姫達も」

にこ「うっわ・・・胸になんて爆弾抱えてんのよ」

凛「きっとおっぱいにスイカを移植したんだにゃ」

絵里「ず、随分なご挨拶ね・・・」


真姫「久しぶりね。身長も高くなって・・・にこちゃんとは大違いね」

にこ「地味にディスらないでくれる?」

絵里「あなたも大分変わってるわ。というか、どうしたのよ。みんな揃って」

凛「みんなでご飯食べに行った帰りにゃ」

絵里「へぇー!みんなで集まるなら、私も誘ってくれてもいいじゃない」

穂乃果「うん!今度行く時は誘うよー」

花陽「あれれー?もしかして、もしかしなくても絵里ちゃんですかぁ?」ポワポワ

絵里「あらあら花陽じゃない。久しぶりね」

花陽「お久しぶりですぅ・・・はぁぁらっしょー!」

絵里「だいぶ酔っているみたいね」


穂乃果「えへへ、家で飲む時もいつもこうなんだよね。その後はベッドに行っても離さなくってさ」

絵里「花陽は甘えんぼなのね」

穂乃果「そうそう!その時の花陽ちゃんは可愛いのなんのって!」

絵里「ふふ・・・・・あっ!そういえば結構前の事になると思うけど、あれ続けてないの?」

穂乃果「へ?あれって何?」

絵里「駅で見たんだけどさ。穂乃果と真姫がギター弾いて歌ってた気がするんだけど・・・」

穂乃果「!!」

にこ「駅で?歌?なんの話?」

絵里「あの時間は夜勤で急いでたから遠目で見ることしか出来なかったけど、2人でほとんど毎日歌ってたわよね」

凛「・・・?」


穂乃果「・・・・・」

にこ「穂乃果?」

穂乃果「何言ってるの?私はそんなことしてないよ?」

真姫「・・・・・」

絵里「え?そんな・・・」

穂乃果「絵里ちゃん見間違いだよー!」

絵里「でもあれは見た目も声も穂乃果と真姫だった気が・・・」

真姫「ちょっと!」ガシッ

絵里「っ!な、なによ?」

真姫「穂乃果が違うって言っているんだから違うのよ」


絵里「いや、そんな偶然あるわけ」

真姫「しつこいわよ!」

絵里「っ・・・・・そ、そうよね!穂乃果、ごめんなさい」

穂乃果「いいよいいよ!絵里ちゃんってば、お茶目さんなんだからー」

凛「さすがポンコツ可愛いエリーチカ!」

絵里「褒めてるのか貶してるのかどっちかにしなさいよ!」

凛「そんなことより、穂乃果ちゃんずっとかよちん背負ったままで大丈夫?」

絵里「そんなことぉ!?」

穂乃果「あー、そろそろ寝っ転がって休憩したい感じ・・・」

絵里「あ、ごめんなさいね。時間取らせちゃって」

穂乃果「いいよいいよ!じゃ、また連絡するからご飯でも食べに行こうね」

絵里「ええ、またね」スタスタ

今回はここまでです
次回ぐらいには最終までやりたいと思います

誤字脱字が多いので修正して新しく書いていきます
申し訳ないです

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