城ヶ崎美嘉「一日遅れのポッキーゲーム」 (12)


――事務所

P「ハッピーバースデー、美嘉」

美嘉「ありがと、プロデューサー★ でも……まさか、こんなに遅くなるとはねー」

P「終電はもうない……か。車で送れないこともないが」

美嘉「大丈夫。まあ、プロデューサーと夜のドライブデート、っていうのは惹かれるけどねー」

P「……ごめんな。せっかく、誕生日なのに」

美嘉「いいのいいの。大きな仕事だったし、さすがに外せないでしょ」

P「それは……否定できないが」

美嘉「それに、いちばん最初にアタシを祝ってくれたのがプロデューサーっていうのは、嬉しいから」

P「……俺より前に莉嘉からメール来てなかったか?」

美嘉「それは……まあ、そうだけど。『アタシがお姉ちゃんをいちばんにお祝いするのー!』ってうるさかったし」


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P「そんな莉嘉がかわいいって?」

美嘉「んー……そうだね。かわいいよ。アタシ、割りと姉バカ?」

P「姉バカだな。……良い姉妹だよ、本当に」

美嘉「『城ヶ崎姉妹』だからね」

P「自分で言うか」

美嘉「言うよ。……あ、ポッキー。誰かの忘れ物かな?」

P「かもな。……ポッキーの日、か」

美嘉「……ポッキーゲーム、する?」

P「しない。もうポッキーの日でもないからな」

美嘉「んー……それじゃあ、誕生日プレゼント、ってことで」

P「誕生日プレゼントがポッキーゲームって……いいのか?」

美嘉「いいよ。プロデューサーとこうやっていられるだけで、もう十分もらっているようなものだしね」

P「じゃあポッキーゲームはいらなくないか?」

美嘉「ちょ、そういう意味じゃないって。……もう。わかってて言ってるよね、プロデューサー」

P「……そりゃ、正面から受けるわけにはいかないからな」

美嘉「正面から受けたらアタシに惚れちゃう?」

P「もう惚れてる」

美嘉「あー。プロデューサーがアイドルにそんなこと言っちゃいけないんだー」

P「お前……はぁ。アイドルとして、だよ」

美嘉「えー。それじゃあ女の子としては惚れてくれてないの? アタシのあんなところまで見たくせに」

P「あんなところってどこだよ……」

美嘉「どこだろうね。でも、アタシはプロデューサーになら、ぜんぶ見せてもいいと思ってるよ?」

P「……お前、それはずるいぞ」

美嘉「ふふっ、そう?」

P「そうだ」

美嘉「だって、プロデューサー、かわいいもん。もちろん、かっこよくもあるけどね」

P「そこはよくわからないんだよな。何がかわいくて、何がかっこいいんだ」

美嘉「このカリスマのプロデューサーなんだから、わかってもらわなくちゃ困るなぁ。まあ、わかってないところもプロデューサーの魅力なんだけど」

P「どうしろって言うんだよ……」

美嘉「んー……プロデューサーは、これまで通りでいいかな」

P「いいのか」

美嘉「うん。あ、もちろん、だからって甘えられたら困るけどね。プロデューサーに限ってそんなことはないだろうけど」

P「……そりゃ、俺はプロデューサーだからな。これからも、美嘉をトップアイドルにするために頑張るよ」

美嘉「頼もしいね、プロデューサー」

P「そうか? もっと頼ってくれていいぞ」

美嘉「それじゃあポッキーゲーム」

P「……そんなにやりたいのか?」

美嘉「うん。負けた方は、一日相手の言うことを聞く、っていうことで」

P「しかも罰ゲームもアリか……」

美嘉「ダメ?」

P「……まあ、誕生日だからな。わがままも聞いていいだろ」

美嘉「やたっ。それじゃ、んー♪」パクッ

P「早いな……ん」パクッ

美嘉「……」サクッ

P「……」サクッ

美嘉「……」サクッサクッサクッ

P「……」サクッサクッサクッ

美嘉「……ね、プロデューサー」

P「なんだ?」

美嘉「もう、当たっちゃうよ?」

P「……そう言えば、どっちも離さなかったらどっちの勝ちなんだ?」

美嘉「……どうしよっか」フフッ

P「考えてなかったのか」

美嘉「んー……その時は、まあ、その時考えるってことで」

P「そうか」

美嘉「うん」

P「……」パキッ

美嘉「あ」

P「……はい、これで俺の負けだな」

美嘉「むぅ……意気地なし」

P「おいおい。勝ったんだからよろこべよ」

美嘉「でも……でもさぁ。せっかく、アタシが覚悟決めたのに……」

P「……美嘉」

美嘉「なに?」

P「今負けたから、今日一日、俺はお前の言うことを聞くよ」

美嘉「……そう言えば、そんな約束してたっけ」

P「ああ。……美嘉が望むなら、もう一度ポッキーゲームをしてもいい」

美嘉「……ふふっ。プロデューサー、それ、アタシに言わせるの?」

P「さあ? 何のことやら」

美嘉「……それじゃ、プロデューサー。ポッキーゲーム、しよっか。ただし、今度は絶対に負けないこと」

P「仰せのままに、マイアイドル」

美嘉「なに、それ」フフッ

P「言うことを聞くんだから、執事風に?」

美嘉「……恥ずかしいの?」

P「実は」

美嘉「そっか。……アタシも、同じだよ」

P「……そうか」

美嘉「……じゃ、しよっか。プロデューサー、あーん」

P「……あーん」パクッ

美嘉「……」パクッ

P「……」サクッサクッサクッ

美嘉「……」サクッサクッサクッ


――

美嘉「……ね、プロデューサー」

P「なんだ? 美嘉」

美嘉「アタシの顔、今、どうなってる?」

P「……赤いな」

美嘉「プロデューサーも、だよ」

P「……だろうな」

美嘉「……ね、プロデューサー」

P「なんだ?」

美嘉「アタシ、今、幸せだよ」

P「俺もだよ」

美嘉「そっか」

P「そうだ」

美嘉「……とりあえず、寝よっか。プロデューサーも、きちんと寝てね」

P「ああ。今日一日は疲れそうだからな」

美嘉「うん、疲れさせるから、覚悟しててよね」

P「ああ」

美嘉「……本当は、一緒に寝ること、とか言いたいんだけど、さすがにそれをしたら、たえられなくなっちゃうかも」

P「俺もだ。だから、できればやめてもらいたい」

美嘉「アタシも、さすがにそこまでは心の準備もできてないからね。……下着は、一応選んできたけど」

P「……そういうことは言わないでほしいんだが」

美嘉「あ、想像しちゃった? プロデューサー、やっぱりエロいね★」

P「……相手が美嘉なんだから、仕方ないだろ」

美嘉「かもね♪ ……それじゃあ、おやすみ、プロデューサー。起きてから、楽しみにしてるからね」

P「ああ。……おやすみ、美嘉。ハッピーバースデー。生まれてきてくれて、ありがとう」

美嘉「……アタシこそ、いつもありがとっ♪」



終わりです。ありがとうございました。

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