藍染「駆逐してやる......一匹残らず」 (37)

845年、シガンシナ区

藍染「......ここは、一体? 」

藍染「(私は確か、黒崎一護の放った一撃を受けた際に次元の狭間に吸い込まれて......)」

藍染「......」チラッ

藍染「......斬魄刀は無事、霊圧に関しても問題なしか」

藍染「(死後の世界として真っ先に思い浮かぶのは地獄だが、生活感あふれるこの街とはどうにも似つかないな。現世にしても、もう少し文化レベルが高かったはずだ。)」

藍染「(それ以前に、私以外のまともな霊圧が感じられないというのもおかしな話だ。自分で言うのもあれだが、ソウルソサエティに仇をなした大罪人である私がこうして捕えられることもなくいるのを、あの山本元柳斎重國が見逃すか? )」

藍染「(いや、黒崎一護との戦闘に敗れ身を隠すようにして離脱したと錯覚し、まず間違いなく隊長格を送り込んでくるであろうな。こちらが万全の状態であるとも知らずに)」

藍染「(となると、私は異世界にでも来てしまったのだろうか? 現状だと、そうとしか考えられないが......)」

藍染「(まあいい、そんなことはそこらにいる人間にでも尋ねてみれば済むことだ。先ほどついでにと確認したことだが、どうやら私の見た目は隊長時代のものに戻っているらしい。これは思わぬ幸運かもしれないな)」

「エレン、貴方にはその量の薪は持てない。ので、半分渡してほしい」

「うるせえな、持つって言ったら持つんだよ」

藍染「(丁度いい、あの子達に尋ねよう。警戒心の強そうな目をしているが、私には関係ない。なにせ、こんなにもいい人そうな顔をしているのだから)」

藍染「ねえ君たち、ちょっと聞きたいことがあるのだけど、いいかな? 」





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エレン「ん? なんだよおっさん、悪りぃけど急いでるから他を当たってくれ」

ミカサ「エレン、カルラ叔母さんは夕食迄に帰って来ればいいと言っていた。まだ時間はたっぷりある」

エレン「えー、だからって真面目に答えるのはなー。このおっさん変な格好してるし、絶対めんどくさい奴じゃねえか」

藍染「......」

藍染「(ふふっ、私をおっさん、めんどくさい奴呼ばわりか。なかなか新鮮で面白いが、虚園の連中がこの少年を見たら顔を真っ青にしているところだな)」

ミカサ「そんなこと言ってはダメ。きっとこの叔父さんは凄く困っていたから私たちに話しかけてきたんだと思う。だから、助けてあげないと」

エレン「えー、でもなー」

ミカサ「分かった、このまま叔父さんを見捨てて帰るって言うなら、エレンが調査兵団を志望していることを二人に話す」

エレン「ちぇっ、わかったよ。んで、何が聞きたいんだ? 言っとくけど、俺馬鹿だから外の世界のことくらいしか話せないぞ」

藍染「(聞きたいことは別にあるが......この少年の顔もたててやらねばな。隣にいる少女の手前、格好をつけたいだろうし)」

藍染「外の......世界? それは一体どのような場所なんだい? 」

エレン「知らないのか? 外の世界にはどこまでも拡がっている塩っ辛い湖や炎の大地、一面砂だらけの土地があるってことを」

藍染「(成る程、この世界にも海、その他のものは存在しているのか。ただ、何故外の世界の象徴としてそれらを挙げたのか......あの巨大な壁が関係しているのは間違いないが......)」

藍染「へえ、外には凄そうな世界が拡がっているんだね」

エレン「そうそう、だから大きくなったら巨人達を滅ぼして外の世界を探検してやるんだ 」

藍染「巨人......ね」

藍染「(下級大虚と似た何かであろうか? まあ、此方の人類に多大な影響を与えている生き物だということは分かった。それより身を守る為にあの巨大な壁は建築された......概ねこんなところであろう)」

藍染「(これだけ分かればあとはどうとでもなるし、充分だな)」

藍染「ふふっ、どうもありがとう。いい話を聞けたよ」

エレン「どう致しましてっと。ミカサ、これでいいんだよな? 」

ミカサ「ちょっと待って、外の世界の話はエレンが話したがってたから聞いてくれただけで、元々叔父さんが聞こうとしていたことはまだ......」

藍染「いや、もう充分に聞けたよ。時間に余裕があるといっても君たちはまだお使いの途中みたいだし、この辺りで結構。それじゃあ、エレン君にミカサ君、お手伝い頑張って」

エレン「おう、じゃあなおっさん」

ミカサ「......」

エレン「? どうかしたのか? 」

ミカサ「......何でもない。早く戻ろう」

エレン「......おかしな奴」



今日はこれだけ。

気が向いたら、0:00以降に

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