田中「とにかくこの扉開かないか試すよ」

山根「どうやっても俺たち２人じゃビクともしないと思うけどなぁ」

田中「こういう時は火事場の馬鹿力も働くでしょ！　ふんぬぅ……」

山根「がんばれーがんばれー」

田中「ぬおおおおおー！」

山根「フレーフレー田中！」

田中「手伝ってよぉ！」

山根「いや、俺がやっても邪魔なだけかなって」

田中「善意のつもりかもしれないけどとんでもない悪意だったからね。裏声で応援されてぞわっとしたんだけど。予想以上にきもいよその声。ほら山根も扉持って」

山根「だが断る」

田中「中途半端なジョジョネタは怒られちゃうからやめてよぉ！　俺ジョジョオタク敵に回したくないってぇ！」

山根「分かったよ……んんっ！」

田中「ぐーーーー！　ぜえ、ぜえ……ダメだ。開きそうにない」

山根「ぜぇ……これは諦めて俺を妊娠させるしかないな。ほら、先にシャワー浴びてこいよ」

田中「なんでそんなに乗り気なのぉ！？　しかもムードまでつくろうとしちゃってさぁ！」

山根「いや、だって俺が妊娠するまで出られないんだから仕方ないだろ」

田中「諦めるの早すぎでしょ～～！　大体男を妊娠させるって前提が狂ってるんだけどぉ！　無理でしょ！？」ぶんぶん

山根「無理だって思っているから無理なんであって、出来ると思えばなんでも出来るだろ」

田中「なんで妊娠する方にポジティブなわけぇ！？　その方向向いたまま扉を開ける方法考えてよぉ！」ぶんぶん

山根「あれは無理だろ。触ってみて無理だ、妊娠しようって思ったもん」

田中「思わないでよぉ！！」

山根「扉が開くより俺が妊娠する方の可能性が高いぞ」

田中「男で妊娠するのシュワちゃんの映画だけだからね！　俺たち２人が１００人いても勝てない相手じゃないと妊娠しないから！」

山根「１０万人いても勝てないだろ」

田中「１０万人いたら１人ぐらい突然変異で強い俺か山根が出てくるでしょ～！？　ってそんな話をしているんじゃないよぉ！」

山根「あっ！」

田中「どうしたの山根！　何か解決策思いついた？」

山根「借りたDVD返すのを忘れていた」

田中「そんなの今はどうだっていいでしょ～！？」

山根「どうでもはよくないだろ！！！」

田中「うおっ！　びっくりしたぁ。そんなに強気になるところかな、ここ」

山根「俺が返さなかったら映画デビルマンのDVDを見たい人の所に行き渡らないだろ」

田中「それは行き渡らない方がいいんじゃない？」

山根「１０万人に１人ぐらいは心から見たい人もいるだろ」

田中「１０万って数字気に入ってるのお前？」

山根「それに田中の好きなカープだって今年優勝するまで何年かかったよ」

田中「えぇ？　２５年だけど」

山根「２５年間頑張ればカープも優勝したんだし、俺も妊娠するかもしれないじゃないか」

田中「えぇ～！　嫌なんだけどぉ！　お前と２人きりで２５年間セックス三昧とかぁ！」

山根「俺は満更でもないよ」

田中「衝撃の告白はやめてぇ！　お前既婚者じゃん！　子供いるじゃあん！！」

山根「ボケとツッコミはそういう関係になるもんだって林家ペーパーが言っていたし」

田中「あれは夫婦漫才じゃん！　俺たち男と男なーのー！　BLだよぉ！？」

山根「えっ。でも前に見た映画で妻夫木聡と綾部剛がセックスしていたけど」

田中「映画の話じゃんそれ～！　誰得なのよこんな絵面の汚いBL！？」

山根「世間的には俺とお前どっちが攻めなんだろな」

田中「知らない知りたくもないよぉ！　もしそんな想像している人いたら脳外科に行くことを全力でおすすめするよぉ俺！」ぶんぶん

田中「もう考えるのも面倒だから助けが来るのを待とうよ」

山根「助けなんか来るのかな」

田中「俺たち一応名前の知れた芸人だよ？　突然消えたら皆心配するでしょ」

山根「でもそれならもうとっくに助けられてるはずだろ」

田中「ほら、探すのに手間取っているんだよ。俺たちどこにいるのかもわからない……」

部屋の外「次は池袋、池袋。お出口は左側です」

田中「ここ池袋駅だったのぉ！？」

田中「場所が分かるなら早く助けを呼ぼうよ。山根、電話して」

山根「えー？　なんで俺がしないといけないんだよ」

田中「仕方ないでしょ、俺の携帯今電池切れなんだから」

山根「俺も電池切れだよ。ずっとツムツムしてたからバッテリーの減りが早くて」

田中「何やっているんだよ山根ぇ！？　この状況でゲームするぅ！？」

山根「いや、食うか寝るかセックス以外にやることないし」

田中「だからナチュラルにセックスを選択肢に入れるのやめてよぉ！！　そんなに妊娠したい！？」

山根「イエス」

田中「どこから取り出したのそのイエスノー枕！？　準備良すぎないここ！？」

山根「電車の中に置き忘れてたんじゃないか？」

田中「そんな客いるのぉ！？」

山根「でもそれしか出る方法無いだろ。いい加減理解しろよ」

田中「俺はお前に対する理解が揺らいできているところだよ。こんなとんでもない奴とコンビ組んでたの俺」

山根「ははっ」

田中「なんで得意げなのぉ！？　今ので褒められていると思っているならお前サイコパスの才能あるよ絶対ぃ！」ぶんぶん

山根「もうちゃっちゃと妊娠させてくださいよ、せーんぱい」

田中「うええぇぇ！？　キモいよぉ！！　何！？　今の何ぃ！？」

山根「いや、いつもコントじゃ俺が後輩役で田中が先輩役だからてっきりそういう趣味なのかと」

田中「コントに性癖を反映させたことはないんだけどぉ！」ぶんぶん

山根「うぉ、初耳だ」

田中「仮にどうしようもない性癖があったとしても絶対言わないからね」

山根「とか言って本当はお前話したくて仕方ないんだろ？」

田中「自白剤を飲んだとしても舌を噛み切って墓まで持っていく覚悟あるよ」

山根「おい、田中。見ろよあれ。料理が出てきたぞ」

田中「これ食べていいやつなのぉ？　毒とか入ってない？」

山根「考えてみろよ田中、俺たちを誘拐した奴は妊娠させるまで出さないって言っているんだ。毒を入れるとしても妊娠したのを確認したあとだろ」

田中「そういうものなのぉ？」

山根「そういうものだろ。俺が犯人ならそうするわ」

田中「サイコパスが言うならそうなんだろうねぇ、俄然説得力あるわ」

山根「へへっ」

田中「サイコパスって言われて喜ぶ人中学生以外で初めて見たよ俺」

山根「ふぅ、食べた食べた。毒本当に入ってなかったな」

田中「それはいいんだけどさぁ、何出てきたか覚えてる？」

山根「すっぽん鍋にマムシドリンクだろ？」

田中「完全に子供作るときの料理じゃあ～！　何も考えずに食べたけど、ムラムラしてきちゃったよぉ！　どうするのこれぇ！！　ちょっと落ち着いてよ俺の分身！」ぶんしん

山根「どうするって……子作りセックスしかないだろ」

田中「だからなんで涼しいカオで最悪の選択肢をえらぶわけぇ！？」

山根「そんなこと言ったって、下半身は素直だぞ」

田中「言われなくてもわかってるよぉ！　毒はなかったけど絶対変な薬入れてたよあれぇ！　このままじゃ俺マンホールにも欲情しちゃうよぉ！！」ぶんぶん

山根「楽になっちゃいなよ、先輩」

田中「だから気持ちわるいよそれぇ！　でもそんなのでも反応しちゃう自分が一番気持ちわるいわぁ！」

山根「体は細いのにそこは太いんだな。俺、壊れるんじゃないかな」

田中「なんとかしてよぉ！」

山根「口ですればいいのか？」

田中「できればほかの方法でぇ！！　それ最終手段でお願い！」

山根「こういう時は関係ないことを考えて意識を逸らせばいいんじゃないか」

田中「それ採用！　なんかいい方法ないのぉ！？」

山根「しりとりとかどう？」

田中「それ採用！　しりとりするよぉ！　しりとり！　りんご！」

山根「ゴリラ」

田中「ラッパ」

山根「パンティー」

田中「イ？　イ……伊勢！」

山根「セックス」

田中「だからなんでそっちにもっていくかなぁ！？　意識したら余計止まらないよぉ！　もうジャンガジャンンガしそうなんだけどぉ！！」

山根「田中、田中」

田中「ああもう！　なぁに山根ぇ！」

山根「無茶苦茶にしてください、せーんぱい///」

田中「うおおおおおおお！！！」

ジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャンガジャーン

～数ヵ月後～


山根「なぁ、田中。今、お腹で赤ちゃんが蹴ったよ。元気な子供が生まれそうだな」

田中「本当に妊娠しちゃったよぉ！」

山根＆田中「どうもー、ありがとうございましたー」