【ミリマス】765学園物語P √DD (42)

11月6日

今日は桃子の誕生日だ

なんだかんだで誕生日はやっぱり特別で、桃子はちょっとだけテンションが上がっていた

桃子が部屋を出るとちょうど起きてきたのか、お兄ちゃんが欠伸をしながら歩いてきた

桃子「おはようお兄ちゃん」

P「んー…おはよ」

まだ完全には目が覚めてないようで、ふらふらしている

桃子「もう、休みの日だからってだらけすぎだよ」

P「いやー、昨日ちょっとな」

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桃子「また夜更かししたの?」

P「そういうわけじゃないけど…まあ良いじゃないか」

そういって顔を洗うお兄ちゃん

P「…ふう」

顔を洗ってすっきりしたのか、お兄ちゃんが息を吐いた

桃子「ねえお兄ちゃん、今日…」

P「あ、悪い、今日は用事があるんだ」

桃子の誕生日、と言う前に言葉を遮られる

P「と言うわけでちょっと出掛けてくるから」

あっという間に着替えたお兄ちゃんはさっさと出て行ってしまった

桃子「…」

お姉ちゃんも朝からいないようで、桃子は今家に一人きりだった

なんとなくお兄ちゃんの部屋に勝手に入る

本棚から適当な漫画本を何冊か抜き出し、お兄ちゃんのベッドに持ち込んだ

ベッドに転がりながら漫画を読む

特に意味は無いけど、お兄ちゃんの布団を蹴った

二時間ほど漫画を読んだ頃、時計を見る

時刻は大体13時

この時間なら育か環も起きてるはず

そう思ってスマホを取り出し、まずは環に電話をかけた

環『もしもし!』

桃子「もしもし、おはよう環」

環『ももこ!おはよう!』

電話越しに環の元気な声が聞こえてくる

桃子「ねえ環、今日暇?」

環『今日?たまきは』

『環~』

環『あ、そうだった、ごめんももこ、今日はたまき用事があるんだ』

桃子「…なら仕方ないね」

環『ごめん!また誘ってほしいぞ!』

桃子「うん、また誘うね」

そして通話が切れた

桃子「…」

次は育に

電話帳から育の電話番号を呼び出す

桃子「…」

少しのコールの後

育『もしもし』

育が電話に出た

桃子「もしもし、育?」

育『あ、桃子ちゃん!どうしたの?』

桃子「今日、暇?暇なら…」

一緒に遊ぼう、そう言いたかったのに

育『ごめん桃子ちゃん、今日は…』

口にすることすら出来なかった

桃子「…そっか」

育『ごめんね?』

桃子「気にしないで良いよ」

育『うん…』

そういって通話が途切れる

桃子はスマホをベッドに放り投げると

桃子「…」

お兄ちゃんの枕を鯖折りにした

家にいてもやることがないので外に出た

といっても行く当てもなく、ただその辺を歩くだけ

しばらく歩くと、昔良く来た公園に到着した

なんとなくブランコに座る

辛いことや寂しいことがあったとき、いつもこのブランコに座っていた

ここにいるといつもお兄ちゃんが迎えに来てくれて、帰り道に慰めてくれたり元気付けたりしてくれた

年齢を重ねてからはそういうことが減ってあまり来なくなったけど

なんとなく来てしまう辺り桃子もまだまだ子供なんだと思う

桃子「…」

少し狭くなった気がするブランコを漕ぐ

…桃子、何やってるんだろ

誕生日に一人寂しく公園のブランコを漕いでいる

…みんな、桃子の事が嫌いになったのかな

数日前からみんなよそよそしかったし

桃子が生意気な事ばっかり言うから見放されちゃったのか

一人でいるとそんなことばっかり思ってしまう

だけど今は一人で、傍に頼れる人はいないからそんな考えばかりが加速してしまう

そんな時だった

「桃子ちゃん?」

声をかけられた

顔を上げると

「桃子ちゃん、一人でどうしたの?」

桃子のことを気にかけてくれている萩原雪歩さんと天海春香さんがいた

春香「そっか~」

春香さんが桃子の話を聞いて相槌を打つ

雪歩「桃子ちゃん今日誕生日だったんだね、おめでとう!」

桃子「ありがとう、雪歩さん」

今日初めて言って貰ったおめでとう

たったそれだけなのになんだか気持ちが楽になる

春香「ふふ」

春香さんが可笑しそうに笑う

桃子「?」

春香「大丈夫、桃子ちゃんが思ってるようなことは絶対ないよ」

桃子「でも…」

春香「桃子ちゃんはみんなに愛されてるよ、だから心配しなくても大丈夫」

雪歩「うん、私達が保証するよ」

二人とも自信満々だった、でも、何でだろう?

春香さんと雪歩さんの言葉には温かさがあった

口先だけじゃない、本当に桃子のことを思って言ってくれているのがわかる

春香「あ、そうだ、桃子ちゃんに誕生日プレゼントあげるね?」

桃子「え?」

そういって春香さんが紙袋の中から何かを取り出す

春香「じゃじゃーん!春香さん特製カップケーキー」

そういって春香さんが桃子と雪歩さんにカップケーキを手渡す

春香「美味しく出来てると思うから、食べてみて」

桃子「…いただきます」

一口食べてみる

桃子「!」

春香「どうかな?」

桃子「凄く美味しい…!」

春香「良かった~」

雪歩「うん、凄く美味しいよ」

桃子「春香さん、ありがとう」

春香「えっへへ~」

それから春香さん、雪歩さんと一緒にカップケーキを食べながら話をした





話に夢中になっていたからか、気が付くともう夕方だった

桃子「あ、もうこんな時間…」

雪歩「本当だ、良い時間だね」

公園の時計を見ながらそう呟く

春香「ん~、じゃあそろそろ行こっか」

そういって立ち上がる春香さんと雪歩さん

桃子「あ…」

二人が帰るなら桃子も帰った方が良いかな

そんな時

春香「桃子ちゃん、いこ?」

春香さんが手を差し伸べる

桃子「え?」

春香「一緒に行きたいところがあるんだ~」

その横で頷く雪歩さん

桃子は春香さんの手を取って立ち上がる

すると空いていたもう片方の手を雪歩さんが握ってくれた

二人が向かった先は

桃子「ここ…」

育の家だった

春香さんがインターホンを鳴らすと、中からお兄ちゃんが出て来た

P「お、来たな」

桃子「え?なんで育の家にお兄ちゃんが?」

P「天海さん、萩原さん、ありがとな」

春香「気にしなくて良いよ」

雪歩「ですぅ!」

桃子「???」

理解がまったく追いつかない

P「とりあえず主役さんはこちらへどうぞ」

お兄ちゃんが桃子の手を引く

育の家のリビングに入ると

パパパン

クラッカーがなった

「桃子ちゃん、誕生日おめでとう!」

桃子「」

突然かけられたお祝いの言葉に、桃子は完全に不意を突かれた

桃子「…?」

育「おめでとう、桃子ちゃん!」

環「ももこおめでとう!」

育と環がお祝いしてくる

…なんで?二人とも用事があったんじゃ…?

海美「桃子おめでとう!」

海美さんもいた

環「…あれ?おやぶん、ももこの反応ないよー?」

P「あれ?おかしいな…」

お兄ちゃんが近くに寄ってくる

P「桃子-?どうしたんだ?」

そういって桃子の頭に手を置く

それがトリガーになった

P「え!?も、桃子、どうしたんだ!?」

自分でもなんでかわからないけど、涙が溢れて止まらなかった

環「あー!おやぶんがももこ泣かせた-!」

育「お兄さん!桃子ちゃん泣かせちゃ駄目だよ!せっかくの誕生日なのに!」

P「え!?俺が悪いのか!?」

慌てふためくお兄ちゃんを余所に、桃子の涙は止まらない

P「も、桃子、どうしたんだ?俺が何かしちゃったか?」

その言葉に首を振る

P「じゃあ一体」

みんなが桃子のためにこんな場を用意してくれた

その気持ちが嬉しくて

だから桃子は、自分の気持ちを素直に言葉にする

桃子「あ…りが…とう…!」

泣いてるから上手く言えなかったけど

桃子の精一杯の感謝の言葉を

皆に伝えた

桃子「…」

桃子を泣かせた罰として吊り上げられてるお兄ちゃんと、とばっちりで同じ目にあっている冬馬さんをみんなで見ながら桃子のために準備されたパーティーを楽しむ

春香「桃子ちゃん」

春香さんが声をかけてきた

桃子「春香さん」

桃子「春香さんが言ってたとおりだった」

春香「ん?」

桃子「みんな、桃子のためにってこんなに楽しいことをしてくれて」

桃子「桃子、幸せ者だなって」

春香「そうだね」

春香「ね、桃子ちゃん」

桃子「?」

春香「人間はね、一人なんだよ」

春香「一人だからこそ誰かを大切にするの」

春香「だから大切にしてもらうとね、自分もその人達を大切にしようって思うんだ」

春香「私にとってはそれが千早ちゃんだったり、雪歩だったり、シアターの皆だったり、765プロだったり、プロデューサーさんだったりするの」

春香「もちろん桃子ちゃんも、私が大切にしたい一人だよ?」

春香「だからね桃子ちゃん」

春香「桃子ちゃんは一人じゃない、皆がいるから」

春香「だから胸を張って、楽しくいようよ、ね?」

桃子「…うん!」

言っている意味は良くわからなかったけど

春香さんが大切にしたい想いは、桃子にも良くわかった

桃子「あ、雪歩さん」

視界の端で雪歩さんがお茶を飲んでいるのが見えた

雪歩「あ、桃子ちゃん、改めてお誕生日おめでとう」

桃子「ありがとう雪歩さん」

桃子「あ、ところで前から聞きたかったことが」

雪歩「何かな?」

桃子「雪歩さんは、どうして桃子にやさしくしてくれるの?」

ずっと気になっていた

雪歩「え?うーん、私が年下の女の子が好きだっていうのもあるけど…」

雪歩「桃子ちゃんはなんだか本当の妹みたいな…そんな気持ちになるから、かな?」

桃子「妹…」

桃子「…雪歩お姉ちゃん?」

次の瞬間

雪歩「ぶはっ」

雪歩さんは鼻血を吹いて倒れたのだった

桃子「ねえ育、環」

環「ん?」

育「どうしたの?」

桃子「桃子の友達でいてくれてありがとう」

環「くふふ!ももこはたまきの大切な友達だから当たり前だぞ!」

育「桃子ちゃんも、私達の友達でいてくれてありがとう!」

こうして桃子の誕生日パーティーは過ぎていった

そして今

去年よりも賑やかになった桃子の誕生日パーティーで思う

去年春香さんが言っていた言葉の意味

誰かが大切に思ってくれるから、自分も相手を大切にする

とても簡単だけど、とても難しいこと

でも桃子は…私はこの気持ちを持ち続けたい

大好きな友達のために

大好きな家族のために

だから

桃子「お兄ちゃん」

P「ん?」

桃子「ありがとう!」

尾張名古屋

乙です、先輩誕生日おめでとう
ところでこの世界のシアターは何にあたるんだろ?

>>1
周防桃子
http://i.imgur.com/WeLiMZ0.jpg
http://i.imgur.com/yNTOiXo.jpg

>>4
大神環
http://i.imgur.com/TyMHZQz.jpg
http://i.imgur.com/jxS64Ts.jpg

>>5
中谷育
http://i.imgur.com/HvRpc6i.jpg
http://i.imgur.com/44kLkdJ.jpg

>>12
萩原雪歩
http://i.imgur.com/RlfVXxz.jpg
http://i.imgur.com/q5jO4xv.jpg

天海春香
http://i.imgur.com/XT5uMBF.jpg
http://i.imgur.com/1lFL5DO.jpg

>>19
高坂海美
http://i.imgur.com/7fjDCne.jpg
http://i.imgur.com/KVkWnVc.jpg

と言うわけで特別編√DDは完結
先輩の誕生日だから書きたかったけど思ったよりも長くなってしまった
家族や友達だから当たり前なことでも感謝の気持ちは大事だよね
大切だからこそ忘れちゃいけないこと、先輩はそれを表現するのに相応しいと思う

>>33
実はこの世界にシアターは存在していない

PはPrologue
本編よりも過去に焦点を合わせているため

おっつ
やっぱ人との繋がりは大切だなぁ
そいえば春香って本編でアイドルしてたっけ?
あと春香と雪歩って桃子との付き合いあったっけ

>>39
フォーカスを当ててなかっただけで桃子は二人と交流があった設定
春香はまあ色々と特殊

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