的場梨沙「晴との子供を授かった」 (60)

晴「できたんだな梨沙!」

梨沙「え、ええ……」

晴「良かった……オレ達の子供なんだな……!」

梨沙「(そっか……アタシと晴の子供なんだ……やっと実感が湧いてきた……)」

晴「これから色々大変かもしんねーけど、オレも頑張って支えるからな!」

梨沙「(ずっと欲しかった、2人の子供……!)」

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・・・・


ちひろ「はい、この件に関しては少しの間は療養と公表して、梨沙ちゃんの体力に余裕が出てか

らきちんと結婚と妊娠を発表する事に決まりました。梨沙ちゃんも晴ちゃんもそれで構いません

ね?」

梨沙「うん、アタシはそれで大丈夫……でも、ビートシューターのファンとかがちょっと心配な

のよね」

晴「そうだよなー、一応これってスキャンダルってやつだろ?」

ちひろ「う~~ん……まあ2人が交際してるのは何となく公然の秘密みたいになってますし、大

丈夫じゃないですか?」

晴「そうだったのかよ!?」

ちひろ「知りません? 同じ大学への進学が決まった時とか週刊誌がどこもかしこもセンテンス

スプリングしてましたよ」

梨沙「あの辺りは仕事と学校でバタバタだったもの」

ちひろ「ともかく10年以上やってるコンビですから。ファンも簡単に離れたりしないでしょう



梨沙「それならいいわ。ママになったらそっちでも売り出してファン倍増よ!」

ちひろ「その意気ですよ♪」

晴「そっか……オレ達、親になるんだよな……」

梨沙「なによ、アンタにしては珍しく不安そうな顔してるじゃない」

晴「そりゃあこんなの初めてだからさ……」

梨沙「誰でもそうなんだから大丈夫よ。それにアンタが隣にいれば心細い事なんて1つもないわ



ちひろ「……私もう帰りますね?」

晴「へへっ、そう言われたら不安な顔してる場合じゃねーな!」

梨沙「そうそう。晴はどんな時も笑っていて。それが一番落ち着くんだから」

ちひろ「うわあもう完全に2人の世界だ」

晴「とりあえずアレだよな! 体冷やさないようにしねーとな! オレのジャージ貸してやるよ

!」

梨沙「それは普通にいらない」

・・・・


晴「ちひろさん暗いオーラ漂わせながら帰ってったな」

梨沙「同僚のアプローチにあんだけ鈍感なのに結婚したいんだかしたくないんだか」
 
晴「……ってそうだよ! 子供もできたんだから梨沙の親御さんに挨拶して籍も入れねーと!」

梨沙「それもそうよね。でもうちのパパ何て言うかしら」

晴「ま、まあ、付き合う時の報告じゃ優しかったし大丈夫だろ……?」

梨沙「デキ婚の報告となるとどうかしらね~?」

晴「お、おい、不安にさせんなよ……」

梨沙「まっ、アタシを貰うんでしょ? 責任はきっちり果たしなさいよ、晴♪」

―――的場家


晴「……という訳で、その、順序が入れ替わったんですけど……梨沙さんを、オ、オレにください。絶対に! 絶対に一生大切にしますんで!」

梨沙「パパ、アタシからもお願いします。晴と幸せになる未来を選びたいの」

的場パパ「式の日取りとかは決まってるの?」

晴「お義父さんの言う事も分かります、でも……えっいいの!?」

的場パパ「えっ? 一回反対した方が良かった? やり直す?」

晴「いや大丈夫です! ありがたく頂戴いたします!」

的場パパ「お口に合うとよいのですが」

梨沙「旅行のお土産みたいに言わないで!!??」


・・・・


梨沙「すごいあっさりしてたわね」

晴「ある程度予測してたって感じだな」

梨沙「親ってそういうものなのかしらね」

晴「じゃあオレの親父もそんなに驚かねーかもな」

梨沙「無駄にマッチョだしね」

晴「マッチョ関係なくね?」

―――結城家


結城父「なにぃいいいいいいいいい結婚!!!!!!!!!???????」

梨沙「鼓膜破れそう」

晴「めっちゃ驚いてるなー」

結城父「バカなっ!!! 妊娠までっ!!! 晴、責任取りなさい!!!!」

晴「だからその話をしに来たんだよ!!」

結城父「これ、親戚から届いたミカンあるから持って行くといい!!!酸っぱいもの!!!」ドサッ

梨沙「うっわ段ボール4箱もある」

結城父「それにしてもガサツな晴が結婚とはな!!! だが梨沙ちゃんなら安心だ!!!」

晴「親父に似たんだよな……」

ピンポーン

結城兄「ただいま!!! 梨沙ちゃんおめでただって!!?? これミカン買ってきたから!!!」ドサッ

晴「早すぎだろ……」

梨沙「ミカン5箱になったんだけど」

ピンポーン

結城兄2「聞いたよ梨沙ちゃん!! ミカン買ってきたからどうぞ!!」ドサッ

梨沙「連携とか取れないの!?」

結城父「うちの長男がバナナ送るそうだ」

梨沙「酸っぱくないでしょ!!」

―――自宅


梨沙「相変わらず騒がしい人たちよね」

晴「ゴメンな……こんな家族で……」

梨沙「いいのいいの。いざという時は頼りになると思うわ」

晴「だといいんだけどなあ」

梨沙「それより、子供の名前とか、アンタも色々考えなきゃいけない事があるんだからね!」

晴「そうだよなー……男の子だったらメッシとかでいいか?」

梨沙「いいわけあるか!!」

晴「日本人の名前だとキングカズとかが……」

梨沙「まずサッカーから離れてくれない!?」

晴「それはお前がパパから離れるくらい大変だろ!?」

梨沙「離れたわよ!!」

晴「ッ!」

梨沙「離れる決心をしたの! パパじゃなくて晴と生きていくって決めたの!」

梨沙「子供ができた時のアンタの笑顔を見て、アタシはアンタを選んだのよ!?」

晴「わ、悪かったよ、梨沙……」

梨沙「ううん……でも晴には分かってほしかったの。決して簡単な決断じゃなかったって……」

晴「わかった……オレも梨沙が一番大切だ。それは曲げない」

梨沙「怒ってごめんなさい……でも、ありがとう……」

晴「2人の子供だ、名前も一生懸命考えるから」

梨沙「2人で頑張りましょ♪」

桃華(ドアの前)「挨拶に来たのに、入りづらいピンクのオーラがドアの隙間から漏れてますわね……」

・・・・


晴「なんだ桃華、挨拶に来てくれたのか」

桃華「ええ、同僚のご懐妊とあらば当然ですわ」

梨沙「そう言って貰えると嬉しいわ」

桃華「お気になさらず。ハーブティーもお持ちしましたわ。よければお飲みになってくださいまし」

梨沙「ありがとう、桃華!」

桃華「いえいえ。雪乃さん達に相談して選びましたので、お礼はそちらにお願いします」

桃華「それと伝言もお預かりしていますの。皆さん『おめでとう』だそうですわ」

梨沙「色んな人に支えられてるって実感するわね……」

桃華「祝福や協力を惜しまないかたは1人もおりません。それが分かっているのなら素敵な家庭を築けるとわたくしも信じています」

晴「ヘヘッ、サンキューな!」

桃華「それではわたくしはこの辺で」

梨沙「うん、励みになったわ。いつでも遊びに来ていいのよ!」

桃華「そうしますわ……っと、最後に1つ」

桃華「結婚生活に重要な袋は3つあると言いますが、生憎お2人は玉袋は持っていません。しかしお袋が2人いるのできっと大丈夫ですわ!」

梨沙「最後の最後に下ネタ要る!?」

・・・・


梨沙「ウッ、グッ、オエエッ……」

晴「おい、梨沙、なあ、大丈夫か?」

梨沙「うん……つわりが来たみたい……」

晴「そ、そうか、何かできる事はあるか?」

梨沙「とりあえず水ちょうだい……」

晴「ほら、ゆっくり飲めよな……あ、そうだ、アロマオイル試すか? 美憂さんから貰ったヤツ!」

梨沙「そうね……気が紛れるし……」

・・・・


晴「梨沙、ウンコまだか?」

梨沙「ゴメン……もうちょっとで出そうなんだけど……」

晴「焦らないでいいからな? 傍にいてやるからな?」

梨沙「いや離れなさいよ! トイレには付き添わなくていいわよ!」

晴「なんだっけほら、ラボーナ法?」

梨沙「ラマーズ法! 今は関係ないし……あっ出そう! ちょっとどっか行って!」

・・・・


晴「梨沙、検査どうだった?」

梨沙「うん、特に問題もないみたい」

晴「身体には気を付けてくれよな」

梨沙「分かってるわよ。車の送り迎えありがと♪」

晴「いいっていいって。当然の務めだしな」

梨沙「仕事忙しいんでしょ?」

晴「まぁ~~でもユニットの仕事は休止中だからな。トントンだろ」

梨沙「あらそう。でもアタシが産休なんだから晴にはしっかり稼いでもらわないとね」

晴「そうだなあ……経済的な話も考えないとだよなあ……」

梨沙「だから暗い顔しないの。アタシ貯金はちゃんとしてるから」

晴「まっそうだな、梨沙が頑張る分オレも仕事で還さないとな!」

梨沙「期待してるわよ、あなた♪」

晴「その響きに弱ぇんだよな~~……」

・・・・


晴「最近つわりとか落ち着いてきたじゃん」

梨沙「そうね、食欲も湧いてきたし」

晴「子供の分まで栄養摂らねえとな」

梨沙「栄養は必要だけど産後のプロポーションのことも気にしないといけないから面倒ね」

晴「梨沙と子供よりも大事なことなんてねーよ」

梨沙「晴……」

晴「だから無理なんてするなよな」

梨沙「ふふっ、アンタってそんなに優しかったかしら」

ありす(ドアの外)「これが噂に聞くドアから漏れるピンクオーラ……」

・・・・


晴「最近の来客はインターホン押さないよな」

梨沙「気なんて遣わなくていいのに」

ありす「いえ、自衛のためなんで」

梨沙「?」

ありす「まあそれはいいんですよ。みんな梨沙さんの様子が気になってますからね。大勢で押しかけるよりはと私が代表させていただきました」

梨沙「ありがたい話ね。アタシも子供も至って元気って伝えといて!」

ありす「それはよかった、その、それで頼みたいんですけど……」

晴「子供生まれたらありすにも抱いてもらうからよ! よろしく頼むぜ!」

ありす「ほ、本当ですか!? ありがとうございます……!」

ありす「っとそうだ、これは私からです。胎教用のCDですよ」

梨沙「へえ~~クラシック……に文香のCDも混じってる」

ありす「個人的にリラックスしやすいと思ったので。3枚持ってましたし遠慮せずに」

梨沙「ああ、うん、ありがとう」

ありす「コホン、今や胎教は一般的ですが赤ちゃんが音楽を理解できるのか、それは私には分かりません」

ありす「それでも子供の為に頑張る母親の一助となれる音楽の力を私は誇らしく思います。そしてその想いは子供にも届くと信じています」

梨沙「……きっとお腹の子供にも歌は届くわ。だって音楽に一生懸命向き合うありすが言うんだもの」

ありす「そう言っていただけると幸いですよ」

ありす「それでは長居するわけにもいきませんので、そろそろ失礼しますね」

梨沙「いつでも遊びに来ていいんだからねっ」

ありす「いえいえ、2人の愛の巣ですからあまりお邪魔するわけには」

晴「なっ……」

ありす「晴さんのそんな顔が見れただけで収穫ですよ。それでは」

梨沙「はーい、またね!」

ありす「あとそうでした、夫婦生活で大切な袋は3つあります。お2人は玉袋は持ってませんがお袋が2人いるから平気でしょう」

梨沙「だからそれ何!? 流行ってんの!?」

・・・・


晴「お腹、段々膨らんできたな」

梨沙「マタニティウェアが沢山送られてきたから着る服には困らないわね」

晴「デザイナー系に進んだ人も多いしな」

梨沙「フレデリカが真っ当な気遣いをしてくれた事に普通に驚くわ」

晴「時の流れってすごいよなー」

梨沙「ちゃんと素材もオーガニックなのよ、ナイロンとかだとかぶれるかもしれないから」

晴「だからオレのジャージは嫌だったのか」

梨沙「晴、いいこと? アタシはオーガニック素材のジャージがあっても死んでも部屋着にはしないわ」

・・・・


梨沙「あっ!」

晴「どうした!?」

梨沙「今、赤ちゃんが動いたわ!」

晴「ほんとか!?」

梨沙「うん! 耳を当てて、聴いてあげて……」

晴「ああ、元気に、生きてるんだな、子供が……」

梨沙「そうね、自分がここにいるって、伝えてくれてる……」

晴「早く会いたいよ、お前に……」

・・・・


梨沙「ふふっ、元気にお腹を蹴ってばっかり」

梨沙「サッカー好きの晴に似ちゃったのかしら」

梨沙「あんなガサツな人間になると苦労するわよ」

梨沙「……あなたも、あなたと添い遂げる人も、ね」

prrrrr……

梨沙「あっ、もしもし、パパ?」

梨沙「うん、電話ありがとう。大丈夫よ」

梨沙「……どうしたの急に、昔の思い出なんて」

梨沙「……そうよね、色んな事があったわ」

梨沙「アタシはいつもパパと一緒で……」

梨沙「そっか、そうよね」

梨沙「パパ、もうすぐお爺ちゃんになっちゃうのね」

梨沙「ねえ、アタシは自慢の娘でいられたかしら」

梨沙「……それならよかったわ」

梨沙「アタシはパパの娘で幸せだったよ」

梨沙「……今までありがとう、パパ」

梨沙「これからもよろしくね、おじーちゃん♪」

・・・・


麗奈「順調そうでよかったわ」

光「ンーンーンー! ンー!」

梨沙「ありがとう……なんで光は縛られてるの?」

麗奈「絶対はしゃぐって分かってるから連れて行きたくなかったけど、どうしてもって言うから」

梨沙「うるさいのは最初からいるから1人増えても平気よ」

晴「最近は大人しくしてるだろ!?」

梨沙「我慢しすぎてソワソワしまくってるの伝わるんだからね!?」

麗奈「あーはいはい、あんまイチャつかないで」

光「ンーンー! ンムーッ!」

麗奈「アンタは余計なこと言わなくていいの」

麗奈「でまあ、そろそろ運動もしなきゃいけないでしょ?」

梨沙「そう言われるわね」

麗奈「でも妊娠は公表してない訳だし周りの目も気になるじゃない」

梨沙「そうなのよね……」

晴「オレは毎朝走ってるぞ」

光「ンーンー! ンーンー! ンーンムー、ングング、ンンー!」

麗奈「光の筋トレメニューなんて誰も訊いてないっつーの」

麗奈「てなわけで信頼できる会員制のジム紹介するから。これ紹介状」

梨沙「いいの!? 助かるわ!」

麗奈「あーいいのいいの、アンタが休みで仕事はこっちにどんどん回ってくるから、お礼よ」

光「ンーンー、ンー!?」

麗奈「なっ、照れ隠しとかじゃないし!?」

晴「ハハッ、麗奈も変わらねーな」

麗奈「だーもうやかましいのばっかりで嫌になるわ!」

麗奈「ともかくそれ渡したからね、あとは頑張りなさい」

梨沙「本当にありがとう、これからも頼らせてもらうわ!」

光「ンーンー! ンーンーンー!」

麗奈「最後くらいちゃんと挨拶したいって? しょうがないわねえ」ビリッ

光「梨沙、晴、本当におめでとう。2人の愛の結晶、大切にするんだぞ!」

晴「ああ! 勿論だぜ!」

光「それでなんだっけ、玉袋が3つない時は池袋がどうみたいな……」

梨沙「うろ覚えなら言わなくていいっつーの!!」

梨沙「晴のお父さんからベッドメリーが届いたわ」

晴「もう子供の為のおもちゃが届く時期かー」

梨沙「まあね、お腹もかなり大きくなってきたし」

晴「オレも親として頑張らねーとな!」

梨沙「期待してるわ」

ピンポーン

結城兄1「梨沙ちゃん、晴、子供にプレゼント買ってきたよ!!! ベッドの上でくるくる回るやつ!!!」

梨沙「結城家に連携という概念はないの?」

晴「あー、兄貴、ベッドメリーならもうある」

結城兄1「えーっ! 親父も同じヤツを!?」

梨沙「2つもどうしようかしら」

ピンポーン

結城兄2「梨沙ちゃん!! これ必要でしょ!? ベッドの上でくるくる回るやつ!!」

晴「正直予想してた」

梨沙「赤ちゃんへの贈り物に関する発想が貧弱すぎる」

結城兄1「プレゼントで役に立てなかったのは申し訳ない……!!!」

結城兄2「でも俺達、タライでお湯沸かす特訓はしたから、そこで貢献していきたいと思う!!」

梨沙「うん、予定日は大人しく家で待っててくれると助かるわ」

晴「おい兄貴!! 梨沙に変なストレスかけまくるのはやめろ!!

結城兄1「くっ、やっぱり本職の助産師には敵わないか……!!!」

結城兄2「でも捻挫した時のテーピングとかなら頼りにしてほしい!!」

梨沙「うん。分かりました。ありがとうございます」

結城兄1「じゃあここらで失礼!!!」

晴「……いざという時も頼りにならなそうでゴメンな」

梨沙「フォローしきれなかったわ」

晴「ツッコミもやめてたもんな」

梨沙「胎教がツッコミ入れまくる母親ってどうなのかしらね」

晴「苦労人になりそうだな」

梨沙「叔父があんなのって確定してるしね」

晴「申し訳ない……」

・・・・


ライラ「こんにちわー、遊びに来ましたですよー」

梨沙「ライラ! いらっしゃい!」

ライラ「おー、リサさんは座っていて大丈夫でございますよー」

晴「忙しい中ありがとな」

ライラ「いえー、挨拶が遅れて申し訳ないです」

梨沙「気にしないで、来てくれて嬉しいわ!」

ライラ「そう言って貰えると嬉しいですねー」

晴「梨沙もライラに会いたがってたから、ゆっくりしてってくれよな」

ライラ「そうですかー、リサさんもハルさんも赤ちゃんさんも元気そうで良かったでございますよー」

梨沙「お陰様でね」

ライラ「そうでございました、忘れないうちにプレゼントをお渡ししますー」

梨沙「あら、わざわざ悪いわね」

ライラ「こちらです、赤ちゃんさんのお洋服でございますよー」

梨沙「わあ! とっても素敵ね!」

ライラ「リサさんには昔たくさんお洋服を貰いましたです。ライラさんの方が背が高かったですけど」

梨沙「そうそう、サイズが合うものがあんまり無かったわね」

ライラ「その代わりに手袋やマフラーなんかを貰いましたねー」

梨沙「そうだったかしら」

ライラ「ライラさんは今でも覚えていますー。寒い冬も、リサさんのくれた服があればポカポカでございましたですねー」

ライラ「それは、とっても暖かかった。今はお金があります。でも、今着るどんなコートよりも、ずっと暖かかったのでございますよー」

ライラ「だから、リサさんから貰ったポカポカを、赤ちゃんさんにもおすそ分けでございますー」

梨沙「えへへ……ライラには敵わないわね」

ライラ「リサさん、泣いてるでございますかー?」

梨沙「ううん、嬉しいの。ありがとうライラ、子供が産まれたら会いに来てね!」

ライラ「勿論でございますですー、アイスをたくさん持っていきますよー」

梨沙「あははっ! せっかくポカポカにしたのに!」

ライラ「ポカポカと、ヒンヤリ、両方で楽しいですよー」

梨沙「そうね! 楽しみに待っとくわ!」

ライラ「それではライラさんはこの辺で失礼しますですー」

梨沙「もっといていいのに」

ライラ「いえいえー、それとリサさん、夫婦生活に大切な袋は3つありますですー。お袋、給料袋、堪忍袋ですよー。頑張ってくださいー」

梨沙「ええっ!? 普通!?」

・・・・


梨沙「予定日が近づいてくると、不安になってくるわね……」

晴「心配すんなよ。オレが傍にいるからな」

梨沙「ありがとう、でもね、アタシなんかが本当にお母さんになれるのかなって」

晴「梨沙……」

梨沙「ううん、分かってるわ。でもね、やっぱり心配なの。アタシが至らなくて子供がつらい思いをしたらって……」

晴「梨沙っ!」

梨沙「!」

晴「オレは梨沙と一緒で幸せだ。梨沙がオレを幸せにしてくれたんだよ。そんなお前が、子供を幸せにできないワケがねえって。オレは信じてるよ」

晴「オレ達きっと幸せになれる。子供と一緒に。絶対だ!」

梨沙「うん……うん……」

晴「最初から完璧な親はいねえって、梨沙が言ったろ? そんでオレ達の周りには助けてくれる人がたくさんいる」

晴「だから、きっと大丈夫だ。梨沙が心配する事なんてない」

梨沙「……ありがとう。やっぱり晴が隣にいてくれてよかったわ」

晴「ヘヘッ……」

・・・・


梨沙「あっ、これっ、これぇっ……!!」

晴「梨沙、来たんだな!?」

梨沙「は、破水した!! 病院!!」

晴「落ち着け梨沙、ゆっくりでいいから車に乗ってくれ!」

梨沙「やっぱりあらかじめ入院しとけばよかったかしら……」

晴「心配すんな!! 病気じゃねーんだ!!」

梨沙「そうね、もうすぐ子供に会えるんだから、笑顔でいなきゃ……!」

―――分娩室


梨沙「ッダァ! 痛い! 無理!」

晴「梨沙、頑張れ!」

梨沙「無理! 産めない! もうやだ!!」

晴「落ち着け、ヒッヒッフー! ラマーズ法だ梨沙!」

梨沙「ヒッヒッフーッ! ヒッヒッフーッ! 痛ァ!!」

晴「そういえばラマーズとラボーナ言い間違えたのちょっと面白かったよな!!」

梨沙「なんで今その話するんじゃボケェ!!!」

―――病室


看護師「おめでとうございます! 元気な女の子ですよ!」

梨沙「産まれたのね……アタシ達の子供……」

晴「ああ、梨沙、よく頑張ったな!! オレ達の子供だ!!」

梨沙「うん……今、アタシ、すごく幸せ……」

晴「オレもだよ梨沙、今日から3人家族だ! みんなで幸せになろうな!!」

梨沙「ありがとう、晴……」

晴「親父も、梨沙のパパも来てる、みんなに顔見せてやろう!!」

梨沙「うん、みんな、アタシ達の家族だもん……!」

梨沙「(幸せに包まれて、風景が溶けていく……)」

梨沙「(まるで夢みたいね、まるで……?)」

梨沙「(あれ? もしかしてこのパターンって……)」

梨沙「ちょっ、えっ、夢ェ!?」ガバッ

梨沙「ええ……アタシ、欲求不満か何かなの……?」

晴「おー梨沙、汗びっしょりだな」

梨沙「おはよー……すっごい疲れる夢見たわ」

晴「大変だったな、じゃあオレ子供サッカーの試合に送ってくるから」

梨沙「お昼にお弁当持ってくわね」

晴「ああ、よろしく……っていうか何の夢見てたんだ?」

梨沙「ん? ああ」

梨沙「1人目の子供産んだ時の夢よ」

おしまい

おまけ1


晶葉「どうだった? 未来見る見るマシーンは」

梨沙「どうもこうもないわよ!! なんか晴と結婚して子供までいるじゃない!!」

晶葉「そうか、科学の進歩は目覚ましいな!」

梨沙「そういう話じゃないわよ!! これからどんな顔してアイツと喋ったらいいの!?」

晶葉「そういう事なら未来改変ボタンもここにあるがどうする?」

ライラ「でも未来のライラさんお金持ちらしいですねー。変えてほしくないでございますよー」

梨沙「ぐぅ……ライラにそう言われると……」

晶葉「はっはっは、幸せな未来ならそれでいいじゃないか!」

梨沙「だ~~か~~ら~~!!」

おまけ2


梨沙「ねえ晴、将来結婚するならどういう人がいい?」

晴「考えたことねーなー」

梨沙「じゃあもしアタシと結婚するとしたらどう思う?」

晴「女同士で? あー、でも梨沙となら上手くやっていける気がするな」

梨沙「ふーん……」

晴「顔が赤いぞ梨沙、風邪か?」

梨沙「そ、そうかもね!! 念のために家に帰るわ!!」

晴「ああっ! サッカーやる相手がいなくなっちまう!!」

梨沙「アタシの心配をしろ!!」



おわり

【注意】
このSSは百合とかiPS細胞への過信とか色々あるので気を付けてください


【過去作】
西園寺琴歌「激論!朝までそれ可愛い」

姫川友紀「冬の朝にキャッチボールを」

城ヶ崎美嘉「これ入れ替わってるー!?」

北条加蓮「正妻選手権だって」

多田李衣菜「事務所で一番可愛い子って」

木村夏樹「だりー、ライブどうだった?」

白菊ほたる「スキヤキソング」

棟方愛海「ノーブラオブリゲーション」

龍崎薫「ラブレター」

柳清良「パーティー」

土屋亜子「さくらに彼氏ができたらしい」

【訂正】
>>14
桃華「祝福や協力を惜しまないかたは1人もおりません。それが分かっているのなら素敵な家庭を築けるとわたくしも信じています」



桃華「祝福や協力を惜しむかたは1人もおりません。それが分かっているのなら素敵な家庭を築けるとわたくしも信じています」

日本語の間違いには気を付けよう!(ゆうさくのテーマ)

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