城ヶ崎美嘉(ヤバイヤバイヤバイどーしよ!?) (39)

・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです




-----事務所----

速水奏「プロデューサーさん。今、ちょっといいかしら? 大切な話があるのだけれど」

モバP(以下、P表記)「ん? 奏か。お疲れさん。 どうした?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1478192476

奏「うちに出入りしている……多分、どこかの出版社の記者だと思うのだけれど」

奏「どうも、一階のお手洗いの前……要は、喫煙スペースじゃないところで煙草を吸っていたみたいなの」

P「何……? ったく、何考えてるんだ。うちにはアイドル……しかも未成年の子だってたくさんいるってのに」

奏「目が合った瞬間に立ち去ってしまって……吸っている瞬間を見たわけではないのだけれど」

奏「携帯灰皿のような物を持っていたし、何より嫌というほど匂いが残っていたから、間違いないとは思うわ」

P「ったく、何の為の分煙なんだか」

P「喫煙そのものが悪とは言わないが、その場のルールぐらい守れよなぁ」

P「んなことするから喫煙者のイメージが悪化して、余計に自分の首を絞めることになるんじゃないのか」

奏「ふふっ。随分な物言いね」

奏「……それで、お願いなのだけれど。もしその現場を目にするようなことがあったら」

奏「プロデューサーさんから、注意してもらえないかしら?」

P「ああ、わかった」



-----事務所、の扉の外----

城ヶ崎美嘉「……!」

美嘉(なんか中から話し声がしたから、何の気無しに聞いてたんだけど。どっ、どういうこと……!?)

美嘉(今、奏ちゃんが、プロデューサーに)

美嘉(『ちゅー、してもらえないか』って、言ってたような……!?)

美嘉(し、しかもプロデューサーも、『わかった』って……!)

美嘉(こ、ここここれってつまり、そういうコトなの!? アタシ、とんでもないとこに来ちゃった!?)

美嘉(ヤバイヤバイヤバイどーしよ!? 今事務所に入っちゃうと、中ではその、あの、アレかもだし……)

美嘉(かといってずっと扉の前でうずくまってたら、ただの不審者じゃんアタシ……!)

佐々木千枝「……美嘉さん?」

美嘉「!」ビクゥ

美嘉「おっ、おはよ、千枝ちゃん……!」

千枝「おはようございます。あの……もしかして、気分が悪いんですか?」

美嘉「えっ!? そ、そんなコト、無いよ?」

美嘉(や、ヤバイって! もし本当にやっちゃってるんだとしたら、小学生に見せるようなモンじゃ……)

千枝「で、でも……なんだか顔も赤いし……」

美嘉(うう、本気で心配そうな顔……ここで粘るワケにもいかないか。こうなったら、逆に……!)

美嘉「大丈夫! 全っ然、元気だから、ほら!」

ガチャ バァン!
美嘉「お、おっはよー! 今日も一日、張り切っていこー!」

美嘉(敢えて派手に突撃して、雰囲気をぶち壊すっ!)

P「お、おう。ビックリした……。なんだ、やけにテンション高いな」

奏「ホント。何かいい事でもあったのかしら?」

美嘉「え、えー? やだな、アタシはいつも通りだよ?」

美嘉(よかった……とりあえず、コトには及んでない……!)

千枝「あの、おはようございます」

P「千枝もいたか。うん、おはよう」

奏「……じゃあ、プロデューサーさん。よろしくお願いするわね」

美嘉「」ビク

P「ああ。でも、今すぐには無理か」

P「あんまり人に見せるもんでも無いしな……」

美嘉(そりゃそうでしょ!)

奏「さて、私はレッスンに行ってくるわ。二人も、お疲れ様」スタスタ

美嘉「お、お疲れ……ふぅ」

P「さてと、仕事も多少片付いたし、少し休憩でもするか……二人とも、お茶淹れるから待っててくれ」

千枝「いえっ、おかまいなく……」

美嘉「そそ、そんなことよりプロデューサー! 聞きたいことがあるんだけど!」

P「何だ?」

美嘉「あの、さ。その……奏ちゃんって、よくああいうこと言ってくるの?」

P「あぁ、もしかして、聞いてたのか?」

P「そうだな、今までにも何度かあったぞ」

美嘉「そっ、そうなんだ……あ、あはは」

P(あいつは観察力がいいから、他のアイドルやスタッフに異変があると、いち早く気付いて俺に報告してくれるからな……)

美嘉(じょ、常習犯だよ……奏ちゃんったら、いつも冗談めかして『キスして』なんて言ってるけど、ホントは本気だったんだ……!)

美嘉「それで、応えて……あげてるの?」

P「そりゃ、プロデューサーとして担当アイドルのお願いは、出来る限り叶えてやりたいからな」

P「みんなのモチベーションにも関わるだろうし」

美嘉「うん……」

美嘉「……うん? ”みんな”って? 奏ちゃんだけじゃないの?」

P「そうだな。他にも凛とか、美優さんなんかもよく」

美嘉「へ、へぇ……そうなんだ。知らなかった……」

美嘉(そんな……正直奏ちゃんはいつもあんな感じだから、信じられなくはないかなってカンジだったけど……)

美嘉(あの二人までプロデューサーにキ、キスのおねだりしてるとは……うぅ、これからまともに顔合わせられないよ……!)モンモン

千枝「あ、あの……何のお話をしてるんですか?」

P「あぁ、煙草の話だよ。喫煙室以外で吸ってるいけない人がいるんだってさ」

千枝「煙草……」

美嘉(待って待って。ってことはもしも、もしもだよ!? あ、アタシもプロデューサーにお願いしたら……って何考えてるのアタシ!)モンモン

P「なあ美嘉。……美嘉? 聞いてるか?」

美嘉「ぅえっ!? ご、ゴメン。ちょっと考え事してて聞いてなかった……」

美嘉「……ってか、プロデューサーはそれでいいワケ!?」

P「ど、どうしたんだよ、いきなり身を乗り出して……」

P「……まぁ、褒められたもんではないわな」

P(煙草は副流煙のほうが害が大きい、って話も聞くしな……)

P「小さい子にも悪い影響を与えるだろうし」

美嘉「そ、そうだよ! 子供達が真似なんかしたらどーするのさ!」

千枝「うーん……千枝は、少しだけ憧れますけど……」

美嘉「千枝ちゃん!? きっ、気持ちは分からないでもないけどっ」

千枝「親戚のおじさんのを見て、ちょっと格好いいなぁって思ったり」

美嘉「ちょっと親戚の人!? 千枝ちゃんの前で何やってるの!?」

千枝「あっ、大丈夫ですよ! 千枝がいることに気付いて、すぐにお家の外に出てくれましたから」

美嘉「外に出ちゃうんだ!? それはそれで知らない人にまで見られるけどいいのかな!?」

P「ま、場所を考えろってことだよな」

P「うちのプロダクションだって、ちゃんと専用の部屋があるんだからさ」

美嘉「専用の部屋があるの!? 初耳なんだけど!?」

千枝「プロデューサーさんは、使ったことはあるんですか?」

P「俺か? あー、自分からは無いかな?」

美嘉(ほっ……あくまで来る者拒まず、なだけか……)

美嘉(いやいや、それでも充分ヤバイ気がするけど)

P「たまに付き合いで、嗜む程度ってやつだ」

美嘉「嗜むって何!? ってか付き合うって何!? 誰と!?」

P「最近だと……こないだのTV番組でお世話になった女性の構成作家さんいただろ? あの人とか」

美嘉「」

美嘉(……社外の人にまで手出してたよ! いや出されてたよ!)

美嘉(ナニコレ……まさかいわゆる、『枕営業』ってやつだったりするの!? 仕事あげる代わりに言うこと聞け、みたいな……よく知らないけど!)

千枝「そういえば、千枝がこの間、匂いが気になりますって言った日が……あの時ですか?」

P「そうそう」

美嘉「匂い!? 匂いって何!?」

P「何って……そりゃ、吸ったら匂いも付くだろ」

美嘉「すすす吸う!? 吸うんだ!? お、大人ってそうなの!?」

千枝「オトナってすごい……! 千枝じゃ、まだ出来ないですもんね」

美嘉「そ、そうだよ千枝ちゃん! うん! 千枝ちゃんにはまだ早いんだからね!」

P「千枝がやったら犯罪だもんな」ハハ

美嘉「そこまで!?」

千枝「はい、気を付けますっ」

P「ああ。出来れば大人になっても、あんまりやらないほうがいいけどな」

P「最近のは金も高くつくしなぁ……」

美嘉「料金取られるの!?」

P「そりゃな」

美嘉(ウソでしょ、お金払ってキスしてもらってるってこと!? 例の構成作家さんにも……)

美嘉(いくらいつも仕事で疲れてるからって、そ、そんな方法取らなくても……)モンモン

美嘉(……! 奏ちゃんからの申し出を受け入れたのも、まさかそういう……利害の一致ってこと!?)モンモン

モバP「……なんだか今日の美嘉は変だな。テンション高いと思ったら、途端に黙り込んだりして……」

千枝「あの……実は美嘉さん、事務所に入る前、体調が悪そうにしてて……」

モバP「何っ!? それは本当か!?」

モバP「おい。大丈夫か、美嘉?」ノゾキコミ

美嘉「ひっ!? 近っ!?」

美嘉(ちょ、ちょっと待ってまさか! ウソ!?)

モバP「どれ、ちょっと額出してみ……」

美嘉「だ……駄目ーーーっ!」ズザザザ

モバP・千枝「!?」ビクゥ

美嘉「ああああの、その! ぷ、プロデューサーだって、たまにはそんな気持ちになることもあるかもしれないけど!」

美嘉「アタシとしては、そーゆーコトは軽々しくやるもんじゃないって思うし!」

美嘉「は、初めてはちゃんと、それ相応のムードが無いと、だし……っ」

モバP「お、おい……美嘉……? さっきから何を……」

美嘉「とっ、とにかく!」

美嘉「今はまだ、きっ……キスはしてあげないんだからーーーっ!」

モバP「」

千枝(わぁ……よく分からないけど、ドラマみたい……!)キラキラ

-----数時間後----

奏「……レッスンから戻れば美嘉がブランケットに包まって唸っているから、何があったのかと思えば」

奏「あの後、そんな楽しいことになってたなんて、ね」クス

美嘉「うぅ~~……」プシュー

モバP「ぷっ、くくっ……!」

千枝「プロデューサーさん、あまり笑っちゃだめですよ……」

モバP「すまんすまん。しかし……ふふっ。まさか、『注意』を『ちゅー』と聞き間違えるなんてなぁ」

P「しかもずっと勘違いしたまま話を続けて、最後には……!」

美嘉「もーー! それ以上言わないで! 忘れてっ!」

奏「うふふ。カリスマJKも形無しね」

美嘉「くぅ……マジありえないんだけど……! ダサすぎだし、恥ずかしすぎ……」

千枝「美嘉さん。 が、頑張ってくださいっ」グッ

奏「そもそも」スタスタ

美嘉「か、奏ちゃん……?」

奏「私なら、『ちゅー』だなんて小さい子のような表現、しないでしょうね」アゴクイ

美嘉「ふぇっ……!? ちょっと何? 近いんだけど……っ」

奏「私が求めるのは、大人のキ・ス。だから……」スッ

美嘉「~~~~っ!!」

P「奏ー。そのへんにしといてやれー」

奏「……ふふっ! ホント、からかい甲斐のある友人を持つと、日常に潤いがあっていいわね」

美嘉「っはぁ! はぁ……び、びっくりさせないでよ!」

美嘉「ってか、奏ちゃんがそーゆーコトばっかするから!」

P「ははは。それに関しては、美嘉にも一理あるな」

奏「あら、それじゃ私が欲求不満みたいじゃない」

美嘉「ふんだっ」プイ

P「はいはい。拗ねるな拗ねるな」ハハハ

-----事務所、の扉の外----

城ヶ崎莉嘉「……!」

莉嘉(ドアがちょっと空いてたから中が見えちゃったけど……)

莉嘉(お姉ちゃんと奏ちゃん、ちょー顔近かったよね……!?)

莉嘉(も、もしかして、ちゅーしてたのかな……? なんか、アヤシイ関係かも……!?)ドキドキ



おわり


わざわざ注釈いれときながら途中「モバ」をつけたままだった……失礼しました。

お付き合いありがとうございます。かっこいい美嘉姉が好きな方ごめんなさい。



普段はCIで書いてます。
キャンディアイランドの結局毒にも薬にもならないおしゃべり

等、よろしければどうぞ。

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