ユミル「チキン・ナンバン?」(338)

※進撃の巨人で、ベン・トーのパロディです。
※進撃の巨人10巻までのネタバレがあるかもしれません。
※キルシュタイン「タンタン・メン?」の続きです。
前回(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1374943083

ユミル 「ここは普通、クリスタだろ」

クリスタ「何の話?」

ユミル 「独り言だよ」

クリスタ「?」

ユミル (クリスタが可愛いからどうでもいいや)

マダム牧場

クリスタ「あ、アルミンだ。おーい」

ユミル 「今日は、いつもの二人と一緒じゃないのか」

クリスタ「ミカサは? ねぇ、ミカサはいないの?」

アルミン「別に、いつも一緒に居るわけじゃないよ。それに、今日は二人とも内地なんだ」

ユミル 「成績上位者の憲兵団研修か。
     あいつ等が、憲兵団に興味があるようには見えなかったけどな」

アルミン「興味は無いんだろうけど、エレンが"ミカサは選択肢として見て置いた方が良い"って」

ユミル 「ミカサが一人じゃ行かないと言って、結局二人でお出かけか」

アルミン「そんな感じかな」

ユミル 「それにしても上位者が内地で、それ以外が開拓地での研修ってのはな」

アルミン「露骨過ぎて、笑えてくるね」

クリスタ「みんな牧場研修を選択してたね」

アルミン「森林開拓や農耕に比べれば、まだ食事の待遇が良さそうだしね」

ユミル 「まさか、肉の解体までやらされるとは思わなかったけどな」

クリスタ「ダズは吐いてたね」

ユミル 「ダズだしな」

アルミン「二人は、大丈夫だったの?」

ユミル 「気分のいいもんじゃねえが、自分らの口に入るもんだ」

クリスタ「教科書に無い、生命の神秘を感じたよ」

アルミン「そういえばクリスタも成績上位者だよね?」

ユミル 「うちのお姫様は、内地に興味が無いんだよ」

クリスタ「興味はあるよ」

ユミル 「そうなのか!?早く言えよ!牧場来てる場合じゃないだろ!」

クリスタ「あ、違うの。憲兵団には興味ないの」

アルミン「内地に行ってみたかっただけ?」

クリスタ「内地って、高い山があるでしょ?そこに登ってみたいなぁ」

アルミン「登山が、好きなんだ?」

クリスタ「山は嫌い」ニコッ

アルミン「え」

ユミル 「うちの天使は、背中じゃなくて頭に羽が生えてるんだ。察してくれ」

クリスタ「アルミンは、研修課程は全部終わった?」

アルミン「うん、あとは夕食食べて寝るだけ」

クリスタ「私達と同じだね、一緒に食べようよ」

ユミル 「誰か、こっちにくるぞ」

ミーナ 「あ、丁度良いところにいた」

アルミン「どうしたの?」

ミーナ 「アルミンたち、ご飯まだでしょう?」

クリスタ「これから行くところ」

ミーナ 「じゃあ、一緒に食べようよ。4人で1テーブルって決まってるみたいなんだ」

ユミル 「先に見てきたのか?」

ミーナ 「うん、4人分まとめて提供されるから、よく食べる男の子と組むと自分の分が減るんだよね」

アルミン「僕はもそんなに食べないしね」

ユミル 「クリスタも小さいから、食べる量が少ないな」

クリスタ「そんなこと無いよ、今のダズの食べる量の3倍くらい食べるよ」

ユミル 「多いのか少ないのか分からねえよ」

ミーナ 「話は後で聞くから、早く早く」


野外席

ユミル 「で、これは何だ?」

クリスタ「レモン絞る奴の、大きいのだよね?」

アルミン「いや、これはジンギスカン用の鉄板だよ」

ユミル 「ジンギス・カン?」

ミーナ 「早い話が焼肉だよ! 焼肉!」

ユミル 「おぉ、肉か。良いな!」

クリスタ「豚?牛?鶏?それともブタ?」

ミーナ 「何でこっち見るのかな。あと何でブタって2回言ったのかな」

アルミン「ジンギスカンは、羊の肉を使うんだ」

ユミル 「羊か。食ったこと無いな」

ミーナ 「美味しいらしいよ」

アルミン「じゃあ、具材を貰ってきたから準備するよ。この鉄板を火にかけて」

クリスタ「脂ぬりまーす」

ユミル 「これは、ラードか?」

ミーナ 「脂だけなのに、いい匂いがするねー」クンクン

クリスタ「お腹が空く匂いだね」グゥ

アルミン「まずは、野菜から」


ジュゥゥゥゥ

ユミル 「キャベツと人参、カボチャ、もやし、か」

クリスタ「お肉は?」

アルミン「野菜の上で、蒸し焼きにするんだって」

ミーナ 「中々、焦らせるね」グゥ

アルミン「そうだ、白米はお代わり自由だって」

ミーナ 「本当に!?やったぁ!」

ユミル 「太るぞ」

ミーナ 「……」

クリスタ「私、もうちょっと太りたい」

ミーナ 「クリスタをブクブクに太らせたい」ギラッ

ユミル 「食べる量が少ないんだから、クリスタは太りようが無い」

ミーナ 「はぁ、今日も健康でご飯が美味しいなぁ。コンチクショウ」

アルミン「お肉、もう良いみたいだよ」

ミーナ 「わーい! 頂きます!」

ユミル 「羊の肉は、どんな味なんだろうな」

クリスタ「羊さん、頂きます」

アルミン「あ、肉と一緒に、野菜も食べるんだって」

ミーナ 「色々と、お作法があるんだね」

ユミル 「一番美味い食べ方で食ってやるのが、食材への敬意ってもんだ」

クリスタ「ソースも、サラッとしてて、独特だね」

ユミル (ちょっと甘い匂いがするな、リンゴみたいな匂いだ。
     肉で野菜を包んで、ソースにつけてから食べる)

パクッ

ユミル (牛とも豚とも違う味だな。癖が無い)ハフハフ

ユミル (薄切りなのに、しっかり肉が自己主張する味だ。
     炒めたもやしともよく合う。全体的にあっさりした印象だが、
     さっきの甘いソースが肉と野菜の旨味を引き出してる)モグモグ

ユミル (甘いだけじゃない、ベースの塩味と辛味が肉の味を際立たせてる。
     あと引く旨味だな。ソースだけ舐めて美味いもんじゃないが、
     異様なまでに、肉と野菜に相性良く溶け合う)

ユミル (そして、これを食べると……)

ミーナ 「アルミン、お米!その白くて熱いのを私に下さい!早く!」

アルミン「う、うん。何でそんなに興奮してるの?」

ユミル 「需要があると思ってるんだろ。アルミン、私にも白米くれ」

ミーナ 「いやぁ、外で食べるご飯は、また格別だね」モグモグ

ユミル 「マジで美味いな」モグモグ

アルミン「どんどん焼くから、食べてね」

ミーナ 「このソースと白米が……! 悪魔の組み合わせだね!アルミン、お代わり!」

クリスタ「ミーナは凄いね……私、もうお腹いっぱいかも」

ミーナ 「この美少女め!」モグモグ

アルミン「ミーナは、美味しそうにご飯食べるね」ハハハ

ユミル 「見てる方の腹が減るな」

ミーナ 「あれ、デジャヴ?」

ユミル 「これが羊の肉か、結構食いやすいな」

アルミン「うん、これは多分ラム。子羊の肉だよ。肉が柔らかくて、臭みが少ないんだ」

ユミル 「そうか、まぁ何でもいいけどよ」モグモグ

クリスタ「牛肉みたいに、食べた後でも胃に重く無いね」フゥ

ユミル (確かに。野菜と一緒に食べてるからかもしれないが、豚と比べても食べやすい。

     豚肉よりも、脂が少ないからか? 食べた後でも胃にもたれない。

     だから、つい白米を食べてしまう……うまい)モグモグ

ユミル (肉と野菜とソースで、味の部分は全てカバーして、食べ応えは白米が補う。

     さらに野外で食べることによって、いつもと違う環境での食事が新しい感動となって、

     猛烈に味覚に襲い掛かってくる)

ユミル (焼きたての肉に野菜を巻いて、ソースにたっぷりと付ける。

     左手に持った白米に一旦乗せる。そして口に頬張ると、まず肉の旨味、

     それから、ジュワっとしたソースが零れてきて、思わず、咀嚼を始めてしまう。

     肉をかみ締めると、包んでいたもやしのシャキっとした食感、

     何度もかむ度に、肉と野菜がソースと交じり合う)

ユミル (さらっと水っぽいわりに、味の濃いソース。

     さっき、肉を乗せたときに、ソースが米にちょっとだけ染みている。

     その染みている部分を、食べる)モグモグ

ユミル (肉と野菜の後味が残る口内に、白米とソースの追い討ち。

     いやがおうにも食欲を駆り立てられる!卑怯なまでに米が美味い!)

ユミル (止まらない!この癖の無さ、あっさり感が、とんだ罠だ!

     山型になってる鉄板も、肉の脂を落とすための物だな!)ハフハフ

ユミル (憎い!この食べやすさが!全て設計された美味さが!

     蒸し焼きにされているから、肉には焼き目も焦げ目も付かない!

     肉で包んではいるが、むしろキャベツと人参のやさしさで包みこんで、

     食べることの邪魔になる一切を、隠してしまっているようだな!)

ユミル (そして、添えてある、大根ときゅうりの塩漬け。

     これがまた、焼いた野菜とは違う食感で美味い)ポリポリ

ユミル (熱いものを食べた後だと、余計に清涼感を得られる)モグモグ

ユミル (……ミーナほどじゃないが、結構食ったな)フゥ

ユミル 「アルミン、水くれ」

ゴクゴク

プハー

ユミル (おぉ、水を飲んだ瞬間、腹にドスンと来る感覚。

     食ったものが、腹の中で自分の体と一つになる。

ユミル (今、私は間違いなく、満腹になった……)

アルミン「美味しいから、いつも以上に食べちゃうね」モグモグ

ミーナ 「うーん、もう一杯ご飯食べたいけど、我慢しようかな」

ユミル 「お前の腹の中は、どうなってるんだ?」

クリスタ「太るのって、大変なんだね」

ミーナ 「やめて、お願いだから、そんな目で見ないで」

(つづく)

今日はここまで。変な時間でスミマセン。
続きは、数日中の予定です。


翌日

クリスタ「ねぇアルミン。ミカサ達が戻ってくるのは明日だよね。
     今日は、私達と夕市に行かない?」

アルミン「そうだね、今日はもう訓練所に戻るだけだし行こうかな」

ユミル 「女神からのお誘いだからな、光栄に思えよ」



トロスト・キッチン

ユミル 「いつもより、人が少ないな」

アルミン「牧場帰りで疲れてる人が来てないんじゃないかな」

クリスタ「お弁当、見に行こうよ」

ユミル (弁当は三つ……、全部オムライスか。
     いつも変に種類が偏るから、売れ残るんじゃないのか?)

      ファーストブリット
     "衝撃のバターにんにくオムライス"

      セカンドブリット
     "撃滅のチーズクリームオムライス"

      ラストブリット
     "抹殺の麻婆オムライス"

ユミル 「何か、やけに暑苦しそうな名前だな」

アルミン「気のせいじゃない?」

クリスタ「私、セカンドブリット」

アルミン「僕はファーストブリットかな」

ユミル 「私はラストブリットだ」

クリスタ「お弁当、獲れたらちょっと分けてね」

アルミン「二つ名持ちの成績上位者がみんな居ないから、
     今日はいつもよりも競争率が低いはずだよ」

ユミル 「なるほどな」


ギィ

アルミン「半額神だ」

クリスタ「ユミル、月桂冠だよ」

ユミル 「ラストブリットだな。絶対に獲ってやる」

アルミン「今日は、運が良いみたいだね」

ユミル 「そういえば、お前は一人でも戦えるのか?」

アルミン「僕なりに色々考えているよ。今日は、その試験も兼ねてるんだ」

クリスタ「何するの? 爆発する?」

アルミン「爆発は、しないかな……多分」

ギィ

バタン

ドドド

アルミン(筋力だけが決定的な戦力の差では無い。
     この夕市では、腹の虫の加護こそが絶対なんだ)

アルミン(腹の虫に従うことで、より強固な加護を得ることが出来る。
     身のこなし、歩き方、呼吸の一つまでも、腹の虫に合わせるんだ)

アルミン(そして、腹の虫の望むことに、身を任せる。僕の体の操縦は、腹の虫が行うんだ。
     サシャみたいに暴走しないように、最低限の安全装置は付けさせて貰うけどね)

アルミン「さぁ、頼んだよ腹の虫(>>49)。君の言うことに従おう」

1.真正面から弁当奪取
2.気配を消して隠れる
3.爆発する

アルミン「え、本当に爆発するの? そんなのどうやっゲフッ」

ミカサ 「ごめんなさい、アルミン」

アルミン「ミカサ!? 何で……」ゴホッ

ミカサ 「今度、説明するから、今は許して」ヒュン

アルミン「」カクン

ユミル 「おいおい、何でミカサがいるんだよ。帰ってくるのは明日だろう」

クリスタ「ミカサ、私に会いに来てくれたの?」

ユミル 「話を聞くのは後にしろ。今は敵みたいだ、クリスタ来い!」

クリスタ「うん。飛ぶよ!」タタタ

ミカサ 「見逃すと思ってるの?」ガッ

ユミル 「げっ、飛び上がる前にゴフッ」

クリスタ「ユミル!」

ミカサ 「私は、あなた達を倒さなければいけない。
     決して、クリスタに会いに来たわけではない」

クリスタ「ミカサは、何でそんなヒラヒラの服を着てるの?」

ミカサ 「そこには触れないで」ガツッ

クリスタ「」バタン

ミカサ 「……ごめんなさい」



ユミル 「ぐぅ……手加減しろよ全く。弁当は全部持っていかれてるな。
     クリスタ、起きろ」

クリスタ「」zzzz

ユミル (寝顔も可愛い)

ユミル 「いや、起きろ。メシの時間だ」

クリスタ「え?ご飯ドコ!?」

ユミル 「これから食いに行くからな」

クリスタ「あ、そうか。私達、ミカサに……」

ユミル 「アルミンは、起きてるな」

クリスタ「アルミン立てる?」

アルミン「うん……なんとか」

ユミル 「何か食いに行こうぜ」

アルミン「うん……」

ユミル 「ミカサのことが気になるのは分かるけどよ、考えても仕方ねぇだろ。
     明日にはエレンも帰ってくるんだ。アイツなら事情を知ってるだろ」

アルミン「そうだね、あんな馬鹿みたいな、おヘソの出てる
     ヒラヒラした服を着てた理由も、きっと分かるよね」

ユミル 「腹筋が凄かったな」ハハハ



クリスタ「何食べるの?」

ユミル 「そうだな、うどんか、定食屋か」

????「よう、アルミンじゃねえか」

アルミン「え?」

????「今日はエレンとミカサは居ないのか?」

アルミン「ハンネスさん!」

ハンネス「そんな綺麗な子二人も連れて歩くなんて、中々やるな」

クリスタ「アルミン、知り合いの人?」

アルミン「うん、僕やエレン達の保護者の、ハンネスさん」

クリスタ「クリスタ・レンズです」

ユミル 「ユミル…です」

ハンネス「ハンネスだ。一応、駐屯兵団の部隊長をやってる」

クリスタ「ねぇ、ユミル。今からでも敬礼しておいたほうが良いかな?」

ユミル 「そういうのは聞こえないようにしような。あと、一応しておけ」ビシ

クリスタ「うん、わかった」ビシ

ハンネス「そういう会話こそ、聞こえないようにした方いいと思うぞ。あと敬礼はいい」

アルミン「エレンとミカサは、研修で内地に行ってるんです」

ハンネス「そういえば、憲兵団研修の時期か。あいつらが憲兵団ねぇ」

クリスタ「でも、ミカサはもう戻ってるよね?」

ユミル 「理由は分からねえけどな」

ハンネス「どういうことだ? アルミン」

アルミン「僕にも分からないんです」

ハンネス「長くなりそうな話だな。お前ら飯まだだろ、一緒に来いよ」

クリスタ「ねえユミル、これタダメシかな?」

ユミル 「可愛いから許されるけど、そういうのは聞こえないようにしような」

ハンネス「あぁ、俺の奢りだよ、オジョーサマ達」

アルミン「ハンネスさん、そんな悪いですよ」

ハンネス「お前達は、さっさと自分達の道を決めて行っちまったからな。
      たまには保護者らしい事をさせろよ」

クリスタ「アルミン、ハンネスさんってカッコイイね」ヒソヒソ

アルミン「うん、そうだね。でも、そういうのこそ、聞こえるようにしようね」

ユミル 「そうだぞクリスタ。気が変わって高い店に行くかもしれないからな」

ハンネス「全部聞こえてるからな。心配しなくても美味い店に連れてってやるよ」



串揚げ シュティーングルック

クリスタ「揚げ物?」

ユミル 「ちょっと高そうな店だ」

アルミン「ハンネスさん、3人も居るんだし、ほかの店でも」

ハンネス「お前らが思ってるほど薄給じゃねえからな?」

クリスタ「ユミル大変、メニューが無いよ」

ユミル 「そうだな、店員が置き忘れたのか?」

ハンネス「この店は最初から無いんだよ。全部お任せだ。
     食べられないものがあれば、先に言っておけ」

アルミン「僕は、何でも大丈夫です」

ハンネス「じゃあ、直ぐに揚がるから、それまでキャベツでもかじってろ」

クリスタ「甘くて美味しいね」パリパリ

ユミル (可愛い)
アルミン(可愛い)

ハンネス「それで、ミカサがどうしたんだ?」

アルミン「あ、そうだ。エレンとミカサは、明日までの予定で内地に行ってたんですけど、
     今日の夕市の半額弁当争奪戦に、ミカサが居たんです。
     そして、僕達を攻撃して、目が覚めたときには、もう居ませんでした」

ハンネス「ミカサは一人だったのか?」

アルミン「えぇ、エレンは居なくて……あ、でも、一人じゃなかった」

クリスタ「そうだったの?」

ユミル 「一人だと思ったけどな」

アルミン「争奪戦には参加してなかったけど、遠巻きにミカサのことを見てる人がいたよ」

ハンネス「お前らの知り合いじゃなくてか」

アルミン「僕の知らない人でした。背は175cmより少し高いくらい、35~40歳くらいで、やや細身。
     黒毛でツーブロック、あごヒゲと口ヒゲを薄く生やしていました」

ユミル 「よく見てんな」

クリスタ「すごいねえ」パリパリ

ハンネス「その風貌の人物に、一人だけ心当たりがある」

クリスタ「ユミル、串が揚がったみたい。食べていいのかな?」

ユミル 「今、いいところだったから、静かに食べてような」

ハンネス「ああ、長くなる話だ。続きは食ってからにしようか」

アルミン「分かりました……これは何ですか?」

ハンネス「アスパラガスだ。塩かソースを付けてもいいが、そのままでも美味い」

ユミル 「最初だし、何も付けないで食べてみるか」

クリスタ「じゃあ、私も」

アルミン「熱いから、気をつけてね」

ユミル (食べやすい大きさにカットしてあるアスパラが、3つ刺さってる。
     熱そうだから、一個ずつ口に入れるか)

パクッ

ユミル (うぉっ! 揚げたての衣から油が染み出てくる!)

ハフハフ

ユミル (しかし、中のアスパラは柔らかいぞ。ほろっ崩れるような柔らかさだ。
     普段食ってるアスパラは、もっと堅かったけどな。違う種類なのか?)

アルミン「柔らかいですね。これ本当にアスパラですか?」

ハンネス「そこらの店で売ってるのとは、鮮度が違うからな。新鮮なアスパラは柔らかいんだ」

クリスタ「あふい」ハフハフ

ユミル (……天使!)

ハンネス「ほら、次のが揚がったぞ」

アルミン「今度は、豚肉ですか」

ユミル (すぐに食べると熱いからな、ちょっと置いておこう。
     その間に、アスパラの残りを食っちまおう)

モグモグ

ユミル (うん、大分温度が下がってきたから、味がよく分かる。
     筋張ったアスパラは、噛み切れなくて食えたもんじゃなかったが、
     これは柔らかい上に、どこか甘みすら感じるな)

モグモグ

ユミル (何でこんなにシャキシャキしてるのに、柔らかいんだろうな。
     相反するようで、しっかりとかみ合ってる食感だ)

ユミル (続いて豚肉も頂こう。これはソースをかけようかな)

パクッ

ユミル (まだちょっと熱かったな。でも、このくらいなら食べられる熱さだ)

モグモグ

ユミル (ぎゅっと旨味が凝縮されたような味だ。
     豚肉はこれくらいの噛み応えがあった方が美味いな)

ユミル (噛み切れないような、グニグニした堅さじゃない。
     しっかりとした堅さで、噛んだ分だけ肉がほぐれる)

ユミル (いつの間にか次のが着てるな。これは、銀杏か。塩で食うか)


パクッ

ユミル (あっつ!)

ハフハフ

ユミル (おぉ、熱い! 銀杏の苦味と塩が渦巻いて口に攻め込んでくるな。
     これは、酒が欲しくなる!)

ユミル (地面に落ちてるのは臭いのに、揚げたのがこんなに美味いのは卑怯だな。
     もう落ちてる銀杏に文句いえねえわ)

ユミル (次のは……なんだ?)

クリスタ「アルミン、これは何?」

アルミン「何だろうね……赤いけど」

ハンネス「トマトだよ。プチトマト」

ユミル 「トマトだぁ? サラダじゃねえんだしよ」アーン

ハンネス「あ、おい。気をつけろよ」


ブチュ

ユミル 「あ゛ぢぃい゛い゛!」

ハンネス「言わんこっちゃねえ」

アルミン「トマトの中の水分が、全部熱湯になってるんだね」ハフハフ

クリスタ「気をつけないと危ないね」ハフハフ

ユミル 「ふぃー。酷え目にあったぜ。熱すぎて味もよく分からなかった」

クリスタ「美味しかったよ」

ユミル 「次のは、ちゃんと冷ましてから食う」

アルミン「これは、ベーコンかな?」

ハンネス「チーズを巻いてるな」

ユミル 「チーズか。冷まさないと同じ目に合うな」

フーフー

パクッ

ユミル 「そんなに熱くない。チーズが溶けるから、ほどほどにしてるのかもな」

モグモグ

ユミル (ベーコンの旨味と塩味を越えると、中からチーズのコクが流れ出てくる。
     かろうじて形を保っていたチーズが、一気に崩れて流れ出して、ベーコンと絡み合う)

ユミル (熱した油が両者を繋ぎ合わせて、二つの味を結合させる。
     舌の上を滑らかにチーズが流れ、ベーコンの旨味を包み込んで一体化し、
     一つのまとまった味として味覚を直撃する……つまり、美味い!)

ユミル (ちょっと口の中が油っぽくなってきた。キャベツ食うか)

パリパリ

ユミル (葉を大雑把に千切ってあるだけのキャベツだ。何も味付けなんてしてない。
     それなのに、口の中をサッパリさせるし、葉から出る水分から甘みを感じる)



パリパリ

ユミル (口の中の温度が上がってるから、常温のはずのキャベツが冷たく感じて、
     洗い流される感じが更に強まるな)

ユミル (よし、次の串だ。これは……丸いな。ゆで玉子か?)


フーフ-

パクッ

ユミル (蒸かした……いや、揚げた芋だ! 外側がパリっとしているのに、
     中がホクホクに仕上がっている。芋は油とも相性がいいな)


モグモグ

ゴクン

ユミル (芋の純朴な甘みが胃袋に染みる。飲み込んだ後の満足感が心地良い)

ユミン (段々、満腹になってきた。食べるのは、あと2,3本で良いな)

クリスタ「あの、お腹一杯なんですけど、どうすればいいですか?」

ハンネス「店員にストップって言えば、そこで出すのが止まる」

アルミン「僕も、そろそろかな」

ハンネス「予め言っておいても、そこで止めてくれる」

アルミン「僕は、あと2本で止めて下さい」

クリスタ「私はもう良いです」

ユミル 「私もあと2本だな」

ハンネス「俺は、あと3本で止めてくれ」

ユミル (次は、また何か巻いてある奴だな。野菜か?)

フーフー

パク

ユミル (これは鶏肉だな。あっさりとした味だ。ササミか。
     それと、巻いてあるのはシソの葉だ。ササミとよく合う)

モグモグ

ユミル (軽い食感、シソの風味も手伝って、全然胃に重くならない)

ユミル (最後は、玉ねぎの輪切りか)

パクッ

ユミル (甘いっ。油で揚げてるのに、シャクシャクした食感が残ってるな。
     これは、生で食べても甘いんじゃないか)


シャクシャク

ユミル (玉ネギ臭さが全く無い。コクのある甘みと歯ごたえが口内を楽しませてくれる。

     こんなに甘い玉ねぎがあるんだな、これも新鮮だからなのか?

     開拓地研修で農耕に行った奴らは、こんなに美味いもん食ったのかな)


フゥ

ユミル (案外、腹に溜まるもんだな。食ったのは7本か。

     それにしても、全ての串が違う食感、味で美味かったな。

     良いのは、店構えだけじゃなかったか)

アルミン「ふぅ、美味しかったね。満腹だよ」

ハンネス「まだ若いから平気だろうが、キャベツも食っとけよ。
      あとで胃にくるからな」

クリスタ「私、もうお腹一杯です」

ハンネス「俺も、これで最後だな」

ユミル (丸いな、うずらの卵か?)

アルミン「ハンネスさん、それは卵ですか?」

ハンネス「これは、大福だ」

アルミン「え?」

ハンネス「小さい大福を揚げてるんだ、ちゃんと中に餡子も入ってるぞ」

クリスタ「それは、美味しいんですか!?」

ハンネス「品名指定すれば揚げてくれるぞ」

クリスタ「この大福ください!」

ユミル 「こっちにも、同じのを」

アルミン「僕もください!」

ユミル 「お前らは、腹いっぱいだったんだろ?」

クリスタ「私は誰の為でもなく、自分の為に生きるって決めてるの!」

ユミル 「そこまでの決意表明する程のもんでもねえだろ……」

アルミン「うーん、びっくりする組み合わせだけど、意外に合うんだね」ハフハフ

ユミル (揚げ大福か、どのくらい美味いのかね)

パクッ

ハフハフ

ユミル (大福の皮が熱いぞ!これはトマトのパターンだな!
     気をつけないと、中から熱い餡子が出てくる)

ハフハフ

ユミル (プニっとした餅の中から、餡子が出てくる。確かに大福だ。
     熱い油と餅の相性が悪いわけが無い。
     塩味なら良くある組み合わせだが、これが甘くなっていても、中々に良い。
     今までに食べたことが無いだけで、案外面白い組み合わせだ)

モグモグ

ユミル (熱い餅と、熱い餡子。油も合わさって、コッテリした甘みになっている。
     食事を締めるデザートとしては、最高かもしれないな。
     これを食べてしまうと、もう何も食べる気がなくなる)

フゥ

ユミル (苦いお茶が飲みたい)

ハンネス「食って直ぐ帰ることも無いだろう、さっきの話の続きだ」

アルミン「あ、はい」

ユミル (忘れてた)

ハンネス「さっきの外見に一致するのは、憲兵団のナイル・ドーク師団長だ」

アルミン「憲兵団?」

ユミル 「確かに、憲兵団の研修だったけどよ、何で一緒にこっちに来てるんだ?」

クリスタ「それに、何だかヒラヒラした服着てたし」

ハンネス「ひらひら?何だそれは」

アルミン「説明しづらいんですけど、ミカサの格好が、上下でセパレートになってる、
     やけの露出の多い服でした」

ハンネス「いや、まさかな……ミカサに限って、それは……」

アルミン「何か知っているんですね?」

ハンネス「俺も、噂話程度にしか知らない。だから、お前らも話半分で聞いておけ」

ユミル 「良い噂じゃなさそうだな」

ハンネス「新聞にも載っている話だが、憲兵団に優先的に入れてやると言って、
      訓練兵に卑猥な行為に及んだ訓練教官が拘束された。
      表ざたにならないだけで、そんな話は珍しくも無いんだが、
      憲兵団のナイル師団長にも、その疑惑がある」

クリスタ「でも、ミカサは首席でしょ?」

ユミル 「わざわざ、不正を働かなくても、向こうから頭を下げて"入ってくれ"って言われる立場だろ」

ハンネス「そこは俺にも分からねえ。だが、ナイル師団長が若い女性と一緒にいる所を、
      何度か目撃されているのは確かだ」

アルミン「もしかしたら、何か弱みを握られているとか……」

ユミル 「それで、あんな馬鹿みたいな格好させるか? とんだ変態だな」

クリスタ「ミカサが可哀想」

ハンネス「何にせよ、噂の域を出ない話だ。人違い、見間違いの可能性だってある」

アルミン「ええ、明日にはエレンも戻ってくるんで、話を聞いてみます」

ユミル 「エレン絡みなら、弱みにはなるかもな」

クリスタ「ミカサにお弁当とってきて欲しかったのかな?」

アルミン「理由も、目的も。まだ、何も分からない」

ハンネス「俺も調べてみる。一応、これでも保護者だからな」

アルミン「お願いします。僕だけの力では、どうしようもない」

ユミル 「ミカサ本人も、今度説明するって言ってたし、そこまで深刻でもないだろ」

クリスタ「好きでやってるわけじゃ無さそうだし、力になってあげたいよ」

ユミル 「クリスタがそう言うなら、私も協力するしかないな」

ハンネス「ミカサは、いい友達を持ったな」

アルミン「そうですね」

ユミル 「私はクリスタに協力してるだけだからな?」

(つづく)

今日はここまで。続きは数日中の予定です。

安価は、あくまで進行上の演出です。
ので、自作自演ではないです。決して。絶対に。
違いますから。スミマセン。



翌日 食堂

ユミル 「エレンが帰ってきたみたいだな」

クリスタ「アルミンが話しかけてるけど、首振ってる」

ユミル 「あれは、何も知らないな」

ユミル 「で、何か分かったか?」

アルミン「研修中に呼び出されて、それから戻って無いみたい。
     エレンも、先に戻ってると思ってたって」

クリスタ「今日、また夕市に来るかもしれないよ」

ユミル 「そうだな、そこで話を聞くしかねえか」



夕市 マリオ・トロスト

クリスタ「私達の担当のところに、ミカサくるかな?」

ユミル 「来なかったら、それはそれだ」

クリスタ「皆で手分けして、色んな店に行ってるから、どこかには来るよね」

ユミル 「そうだと良いけどな」

クリスタ「うーん、ミカサは居ないみたい」

ユミル 「後で来るかも知れないから、今のうちに弁当見ておこうぜ」

クリスタ「うん」

ユミル (残り弁当は3つ、3種類が1個ずつだ。

     ”ときめいて食え!手羽餃子弁当”

     ”制御できない辛味はただの暴力。極辛チャーハン”

     ”大きいもの、固いもの、雄雄しいもの。それは鶏軟骨の根菜炒め弁当”

ユミル 「私は餃子だな」

クリスタ「鶏ナンコツが美味しそう」

ユミル 「おい、今入ってきたのミカサじゃないか?」

クリスタ「あの衣装は間違いないね」

クリスタ「ミカサ!」

ミカサ 「あなた達……」

ユミル 「お前が何やってるか知らねえが、家族に心配かけるなよ」

ミカサ 「ごめんなさい」

ユミル 「謝るのは私にじゃないだろ! お前が何も言わないから、
     今も他の店で、お前を探してる奴らが居るんだよ!」

クリスタ「ユミルのその一人なのにね」クスクス

ユミル 「茶々入れんなよ。可愛いなぁ」

ナイル 「そろそろ、出てきてもいいかな?」

クリスタ「貴方は……」

ユミル 「黒髪ツーブロック、口ひげ顎ひげ……ナイル・ドーク師団長」

ナイル 「私を知っていたか。まぁ人前に出ることもあるからな」

クリスタ「ミカサに何をしているんですか!」

ナイル 「君、いいな」

ユミル 「は?」

ナイル 「金髪の君だ! 君、アイドルに興味は無いか?」

ユミル 「ちょ、何言って」

ミカサ 「約束が違う、他の同期には手を出さないはず」

ナイル 「この子は君に負けない逸材だ!逃す手は無い!」

クリスタ「意味が分からないです」

ナイル 「あぁ、いきなり済まなかった。
     私は、憲兵団で師団長をやっているが、同時に憲兵団内でのアイドル育成も手がけている。
     芸能事務所716プロダクションの社長だ。
     人手が足りないから、プロデューサーもやっているがな」

ユミル 「超展開が過ぎるだろ」

ナイル 「金髪の君、憲兵団に必要なのは何だと思う?」

クリスタ「は? え? えーと、強さ?」

ナイル 「強いに越したことはないが、それだけでは無い。
     必要なのは、カリスマだよ! 人をひきつける魅力だ!
     君にはそれがある! どうだアイドルをやってみないか!?」

クリスタ「ねぇ、ユミル。気持ち悪いって言ってあげた方が良いかな?」

ユミル 「ああ、もっと聞こえるように言ってやれ。蔑む様な目でな」

クリスタ「……キモッ」

ナイルP「いい!凄く良い!輝いている!その端整な顔を歪ませるのが素晴らしいな!」

クリスタ「ユミル、どうしたらいいのか分からないよ!」

ユミル 「私にも分からん。なあミカサはアイドル目指してるのか?」

ミカサ 「……」クッ

ユミル 「歌って踊りたいわけじゃ、無さそうだな」

ナイルP「彼女とは契約を結んでいる。互いに対等の関係だ。
     十分な報酬は支払っていて、憲兵団へも内定している」

ユミル 「本人が望んでいないことを押し付けるのが、対等な関係か?
     今、ミカサが約束が違うと言っていたな。
     他の訓練兵にちょっかい出さないのも、契約に入ってるんだろう?」

ナイルP「独占契約だ。対立するプロダクションはいくつもあるからな。
     中には性質の悪い所もある。そういう所から訓練兵を守ると言っただけだ。
     うちのプロダクションで契約する分には契約違反ではない」

ミカサ 「だま、された……?」

ナイルP「人聞きの悪いことを言うな」フゥ

ユミル 「おいミカサ、そんな馬鹿みたいな格好やめちまえ。
     続けても良い事が無いぞ」

クリスタ「そうだよ、そしたらその衣装、私に頂戴」

ナイルP「契約が不履行になると、どうなるか分かっているな?」

ミカサ 「……ごめんなさい。私は今戻るわけには行かない」

ユミル 「ミカサに何をした」ギリッ

ナイルP「君達には関係の無い話だ。あ、いや。金髪の君がアイドルになるなら、
     関係のある話になるかもしれないな」

クリスタ「私あんな格好したくない」

ユミル 「クリスタなら見てみたいけどな、私は」

ギィ

ナイルP「半額神が来たな」

ユミル 「最後に聞かせろ。何故、ミカサを夕市に立たせる」

ナイルP「半額弁当争奪戦は、庶民の生活に根付いていると聞いた」

ユミル 「カリスマが必要つってたな、そういうことか」

ナイルP「憲兵団は性質上、民衆から反感を買いやすい。
     民草の人気を取るのに必要なのはアイドルだ」

ユミル 「師団長様は、やることが狡いな」

ナイルP「今は、プロデューサーだ」

ギィ

バタン

ドドドドド

ユミル 「ミカサが他の餓狼を蹴散らしている一瞬の間に、奇襲をかける。
     クリスタ、飛べるか?」

クリスタ「任せてっ」タタタ

ミカサ 「悪いけど、弁当を獲らせるわけには行かない」

ユミル 「こっちを狙うよな、やっぱり!」

クリスタ「ミカサをお願いね!」タタタ

ミカサ 「会話はブラフ? でも無駄なこと」タッ

ユミル 「遊んで行けよ、ミカサ」ガスッ

ミカサ 「っ!」ヒュン

ユミル 「今の避けるのかよ!?」

ミカサ 「後で遊んであげる」タッ

ユミル 「まずい、クリスタそっちに行ったぞ!」

クリスタ「遅いよ! もうお弁当に手がとどk」

スパン

クリスタ「」

ミカサ 「遅い」タッ

ユミル 「少しは手加減しろよ」

ミカサ 「全力で戦う約束だから……」

ユミル 「そんなもん、いつまでも守る必要ねえだろ」

ミカサ 「それでも私は、裏切ることが出来ない」

ユミル 「お前、そんなんで弁当食って、美味いのか?」

ミカサ 「……貴方には関係がない」

ユミル 「寂しいこと言ってくれるじゃねえか!」ダン

ミカサ 「私は、これ以上居場所を失いたくない!」ガンッ

ユミル 「よし、いいぞ……クリスタ」ゲホ

ミカサ 「!?」

クリスタ「えへへ、ごめんね」ゲット

ユミル (可愛い……)ガクッ



クリスタ「ユミルー、おきてー」

ユミル 「……天使がいる」

クリスタ「ユミルが天国に行ける筈がないでしょ?」

ユミル 「あぁ、クリスタだ」

クリスタ「お弁当一緒に食べよ」

ユミル 「そうだな、他の奴らも戻ってるだろ。
     飯食ってミカサのことを教えてやらねえと」


食堂

クリスタ「ユミル頑張ったから、おかずを半分あげましょう」

ユミル 「クリスタが欲しい」

クリスタ「そっちはあげません」フフン

ユミル (可愛い)

ユミル 「白米を買えただけでも重畳か。おかずは貰えたしな」

クリスタ「では、頂きます」

ユミル 「頂きます」

ユミル (大き目の軟骨のから揚げが入っているな。その他は、根菜づくしだ。
     レンコンに、人参、ゴボウ、白い短冊はヤマイモか?
     まずは鶏軟骨から行ってみよう)

パクッ

ユミル (うん、コリコリした軟骨の食感だ。大きいから、肉も多く付いている。
     軟骨付きの鳥から揚げと言った方が良いかもしれない。
     肉自体は柔らかいから、軟骨の固さが良いアクセントだ)

ユミル (それから、レンコン。軽い歯ごたえ、シャキっとした気持ちの良い食感。
     固いのを売りにしている名前だったが、固すぎるものは入ってないみたいだな)

ユミル (次は人参、これも火を通しすぎると崩れるくらい柔らかくなるが、
     あえて、程ほどの火加減で抑えてある。ちょっとだけ噛む力が必要な固さ)

ユミル (ゴボウも丁度良い。決して生ではないけれど、加熱しすぎても居ない、
     ギリギリのバランスだ。この土の匂いにも似た独特の香りが際立つ)

ユミル (そしてヤマイモ。ちゃんと火が通ってるな、薄く切ってあって食べやすい。
     特有のヌメリで、唇から舌の上に滑り込んできて、そのまま飲み込みそうになる。
     シャクシャクする生っぽい歯ごたえ。けれども、ホクホクした芋っぽさも併せ持っている)

ユミル (また軟骨。下味の塩が強めなのか、野菜を食べた後だと、そのしょっぱさが目立つ
     でも、から揚げはこれくらい塩気が強いほうが美味い。コリコリと咀嚼を楽しみ、白米を口に放り込む)

ユミル (ミーナがやたらとタレ×白米を推してたけれど、味の濃い食べ物なら何でも合うな。
     それを踏まえた上でも、から揚げと白米の相性は最高レベルだ。
     そしてまた野菜。米には無い歯ごたえを感じる)

ユミル 「クリスタのご飯、米が変色してないか?」

クリスタ「これ玄米みたい。白米よりも固いよ」

ユミル 「女神様、ご飯を半分交換してください」

クリスタ「いいよ、はい」


パクッ

モグモグ

ユミル (玄米と白米が半々くらいで炊いてあるのか、玄米だけだと味の差が出やすいからな)

ユミル (白米に比べると確かに固い。食感はプチプチとしていて、一粒ずつがはっきりと自己主張している。
     この食感は、根菜と軟骨の歯ごたえに続いて食べると違和感が無い)

フゥ

ユミル (ちょっと顎が疲れたな)

クリスタ「これだけ歯ごたえのあるもの食べるの、久しぶりかも」

ユミル 「現代っ子だな」フフフ

アルミン「ねぇ、そろそろ話を聞いても良いかな?」

ユミル 「悪い、待たせたな」

クリスタ「ごちそうさまでした」

ユミル 「夕市で会ったミカサは、確かに憲兵団の師団長と一緒にいた。
     しかし、奴らの本当の目的は……」

(つづく)

今日はここまで。続きは数日中の予定です。



アルミン「つまり、新人アイドルとして、顔を売るための営業なんだね」

ユミル 「弁当争奪戦なら、ただでさえ衆目を集めるからな。あんな服を着てれば、目立ちもする」

エレン 「なんでミカサは、そんなことしてるんだよ」

クリスタ「約束があって、それで止められないって」

アルミン「他には何か言ってなかった?」

クリスタ「これ以上、帰る場所を失いたくないって言ってた」

アルミン「帰る場所……そうか。そうなんだね」

エレン 「何か分かるのか?」

アルミン「恐らくだけど、ミカサの約束の中身が分かったよ」

エレン 「何でミカサは、帰ってこないんだ?」

アルミン「ミカサの契約内容は、訓練兵団成績上位者の、憲兵団への内定」

エレン 「そんなもん約束しなくても、最初から決まってるじゃねえか」

ユミル 「違うな。言うこと聞かねえと、他の奴が憲兵団に入れねえって言ってんだ」

エレン 「あの野郎ッ!!」ダッ

クリスタ「ユミル、エレンを止めて!」

ユミル 「落ち着けよ、お前が行って何が出来る」ガシッ

エレン 「ぶっ殺してやる!」フーフー

アルミン「そんなことしても、エレンが捕まるだけだよ」

エレン 「じゃあ、どうしろってんだよ。黙って見てろってのか!」

アルミン「いい加減にしてよ。ミカサを助けたいのが、自分だけだと思ってるの?」

エレン 「いや……アルミンも心配してくれてるんだな、すまない」

アルミン「冗談言わないでよ。

     今ここには、ミカサの為に何かしたいって、

     おせっかいな連中しかいないんだ。

     そうだろ? さっきから隠れてる、みんな」

ガタッ

ジャン 「バレてんのかよ」

サシャ 「だから普通に出ようって言ったんですよ」

ミーナ 「あのねサシャ、オトコノコは馬鹿な生き物なんだよ」

コニー 「いま、呼んだか?」

マルコ 「コニーのことじゃないよ」

エレン 「お前ら何してんだよ」

アニ  「何かをするのは、これからじゃないの?」

ライナー「お前らだけに良いカッコはさせないぜ」

ベルトル「ライナー。台詞が三枚目だよ」

アルミン「皆、良いのかい? 間違いなく憲兵団には入れなくなるよ」

アニ  「そんな変態のいる兵団なんか、ごめんだよ」

ベルトル「そういうことだね」

ライナー「アニならアイドルも、結構似合うんじゃゲフッ」

ミーナ 「ライナーで綺麗にオチたところで、私達はどうすればいいのかな?」

アルミン「まずは……」



翌日 半額弁当争奪戦後

ユミル 「私達の担当市場では、ミカサは居ませんでした、と」

クリスタ「お弁当も取れませんでした、と」グゥ

ユミル (空腹のクリスタも可愛いなぁ)

クリスタ「ミカサを見つけたらジャンに連絡するんだっけ」

ユミル 「走らなくて済んだと思うしかないか」

タタタタ

ジャン 「おい、お前ら、一緒に来い」

クリスタ「あ、ジャンだ」

ユミル 「どこの馬が逃げ出したのかと思ったぜ

ジャン 「冗談いってる場合じゃねえ、ミカサを確保した」

ユミル 「マジかよ!?」

クリスタ「凄い!」

ジャン 「でかい声出すな。今はコニーとマルコが囮になってる」

ミカサ 「二人には、申し訳ないことを」クッ

クリスタ「うわぁい、ミカサだぁ」ギュ

ユミル 「あ、こら、離れろ。抱きつくなら私にしろ」

ジャン 「そういうのは後にしろよ」

ユミル 「仕方ねえな。で? 一緒に来いって、どこに行くんだ?」

ジャン 「トロスト区で、人を匿えるような場所は一箇所しかねぇ」

ユミル 「そういえば、トロスト区出身だったな」

クリスタ「ということは」

ジャン 「あぁ、俺の家だ。行きたくないがな」


キルシュタイン家

ジャン 「おい、俺だ。開けてくれ」ゴンゴン

ジャン母「あら、ジャン。どうしたのよ、こんな時間に」

ジャン 「今晩、訓練兵団の同期の奴らを泊めて欲しい」

ジャン母「そういうのは、もっと早く言いなさいよ。部屋の掃除してないわ」

ジャン母「あらあら、まぁまぁ。どうしたのよ。こんなに可愛い子ばっかり」

ジャン 「事情があるんだよ、詮索しないでくれ」

ジャン母「タンタンメン食べる? この間、美味しい店がね」

ジャン 「いいから、向こう行っててくれ!」

ミカサ 「ジャン、母親を邪険にしてはいけない」

ジャン母「良いこと言うわねぇ。ジャン、この子のこと好きでしょ?」

ジャン 「はあ!? はああ!? はあああああ!???」

クリスタ「ど、ど、どうしようユミル」アタフタ

ユミル 「この際、言っちまえよ」ダハハハ

ミカサ 「ごめんなさい、私はその想いに応えることが出来ない」

ユミル 「母親の前で振られたぞ」ゲラゲラ

クリスタ「ユミル、笑ったら悪いよ」

ジャン母「アンタには高嶺の花よ、早いとこ諦めなさい」

ジャン 「あの、ほんと、向こう行っててください。お願いします」



ジャンの部屋

ジャン (何で俺は、告白もしてないのに振られてるんだ……)ズーン

ユミル 「なぁ、エロイ本はどこだ? ベッドの下か?」ゴソゴソ

ジャン 「ねぇよ! 部屋の中をあさるな!」

ミカサ 「ユミル、未成年はそういうものを持っていない」

ユミル 「んなわけねぇだろ、男なんてのは毛が生え始める頃には絶対持ってるんだよ」

クリスタ「ユミル下品」

ユミル 「大体、お前の愛しのエレンが持ってたらどうするんだろ」

ミカサ 「エレンは、そんなイカガワシイ物には絶対に手を出さない」

ユミル 「もしもの話だよ、も・し・も。ライナー辺りが無理やり貸すかも知れないだろ」

ミカサ 「そのときは……戒める意味で、見えるところに綺麗に並べておく」

ジャン (……あの行動は、女の本能なのか)ガクブル

ジャン 「あー、なんだ。万一にも無いだろうが、流石にショックでかいから、止めてやってくれ」

ユミル 「珍しく庇うな。何だ、経験者か?」

ジャン 「うるせえな、一般論だよ」

ガチャ

ジャン母「あなた達、ご飯食べたの?」

ジャン 「ババア向こう行ってるつったろ!? あとノックしろよ!」

クリスタ「お腹すきました!」グゥ

ミカサ 「ジャン、母親に向かってそんなことを言ってはいけない」

ユミル 「ミカサのいうこと聞いてやれよ」ウヒヒヒヒ

ジャン (何だこれ……泣きそうだ)ジワ

ジャン母「急に来るから何も準備してないけど、何か適当に作るわね」スタスタ

ジャン 「あぁ、頼むよ。次はノックしてくれよな」

ユミル 「ノックされないで、嫌な思いでもしたのか?」

ジャン 「そこには触れるな」



クリスタ「ジャンは、どうやってミカサを確保したの?」

ジャン 「説得しただけだ」

ミカサ 「ジャンは、人の心を動かすのが、上手い」

ユミル 「クリスタ、口先が上手い男は信用したらダメだぞ」

ミカサ 「私は、ジャンを信用したわけではない」

ユミル 「お前、信用されてねえぞ」ギャハハハ

ジャン (分かってたけどよ、何で俺はこんなに追い詰められてるんだ?)

クリスタ「信用しなくても、ついてきちゃったの?」

ミカサ 「アルミンは、出来ないことは言わない。
     何とかすると言ったなら、絶対に何とかする。
     私は、それを信じた」

ユミル 「そんなこと言ってたか?」

クリスタ「ううん……やるだけやってみるとは言ってたけど」

ミカサ 「……」ジー

ジャン 「そんなに睨まないでくれ……」

ユミル 「女に嘘ついて自分の部屋に連れ込んだのか、最低だな」

クリスタ「あのね、女の子を騙すのは良くないことなんだよ?」

ジャン 「ミカサが信じたのはアルミンだ。俺じゃねえ」

ユミル 「うわ、開き直ったぞ、コイツ」

ジャン 「ミカサは、アルミンでもどうにもならないと思うか?」

ミカサ 「思わない。それにエレンもいる。あの二人なら、出来ないことはない」

ジャン 「じゃあ、それで良いだろ」

ミカサ 「本当だ。問題ない」

ユミル 「ミカサの将来が心配になるな」

クリスタ「素直すぎるから、人を信じやすいんだよ」

ユミル 「それで、ミカサを確保をしたのはいいけど、これからどうするんだ?」

クリスタ「暫くここで暮らすの?」

ジャン 「いいや、今日だけだ。明日には準備が出来ると聞いている」

ガチャ

ジャン母「ご飯よー」

ジャン 「ノック……ノックをしてくれ……」

ユミル 「もういいだろ、諦めろよ」

クリスタ「ご飯だー」

ジャン母「余り物ばっかりだけど」

ミカサ 「とても、美味しそうです」

ユミル 「オニギリと、焼いたウィンナー、玉子焼きだ」

クリスタ「わぁ、良い匂い」

ユミル 「炊き立ての白米の香りだな、それにウィンナーの脂と玉子焼きの甘い匂い」

ジャン母「召し上がれ」ウフフ

クリスタ「頂きます!」

ユミル 「いただきます」

ユミル (あっちち、本当に炊き立ての米だな)

パクッ

ハフハフ

ユミル (あんまり強く握ってないな、口に入れると解ける。
     軽く塩が振ってあって、白米の甘みを引き立てている。
     米は噛むたびに甘くなるな)

モグモグ

ユミル (具が何か入ってるな、強い香りがオニギリの中のほうからしてくるぞ)

パクッ

ユミル (おお、何だこれ、辛いぞ、肉か?)


モグモグ

ユミル 「美味い!何だこれ!?」

クリスタ「辛くて美味しいね!」

ジャン 「肉そぼろか?」

ミカサ 「ゴマの香りもする」

ジャン母「この間、タンタンメンって言うのを食べに行ったのね。
     そこで、麺に乗ってたお肉が美味しくて、自分でも作ってみたのよ」

ユミル (坦々麺のスープの香りか。言われて見れば、確かにそうだ。
     ラー油の辛味、肉の旨味、ゴマの風味。それが熱い米に合う)

ユミル (じわりと米に染み込んでるスープが美味い。
     肉自体にも下味がついてるな、白米のおかずとして完成されている)

ゴクン

ユミル (辛くて美味かったな。玉子焼きを貰おう)

パクッ

ユミル (あぁ、優しい甘みだ。砂糖を使ってない自然の甘みだな。
     これも焼きたてなんだろう、中がまだ熱い)ハフハフ

ユミル (少しだけダシが利いて、卵の味を殺さない程度に、風味を漂わせている。
     プルンとした歯ざわりだ。弾力があるのに柔らかい)

ユミル (はー、落ち着く味だな。これがお袋の味か。
     それからウィンナー。これも焼きたてだな)

パリッ

ユミル (皮がパリッパリだ! 噛む度にキュッキュ音がしそうだ!
     閉じ込められた脂が、皮が破れると同時に飛び出してくる!)

ユミル (パリッじゅわっのコンボで口の中が一瞬にして肉に侵食されるな。
     薄くコショウが塗してあるのが、さらに食欲を刺激する。
     舌の全ての感覚に肉の味が襲い掛かってくるな)

モグモグ

ユミル (これは、オニギリを食べざるを得ない)

パクッ

ユミル (すっぱぁあああああ)

クリスタ「ユミル、どうしたの? 凄い顔になってるよ!?」

ジャン母「ああ、梅干のオニギリを食べたんだね」

ユミル (梅干! 全ての脂を突き破って、胃袋の中枢を刺激する酸味!
     涎が!唾液が!口内液が!舌汁が止まらない!すっぱあああ!!)

ユミル (酸っぱいが、美味ぁあああい!白米との相性が最高だな!
     何だこれ畜生めちゃくちゃ美味いぞ!)

ハァ

ジャン母「麦茶飲む?」

ユミル 「頂きます」

ゴクゴク

プハァ

ユミル 「ジャン、お前の母親、最高だな」

ジャン母「やだわぁ、この子ったら。大げさよぉ」

ミカサ 「いえ、本当に美味しいです」モグモグ

クリスタ「ミカサ、泣いてる?」

ミカサ 「本当に美味しい。こんなに美味しいなんて……」グスグス

ユミル 「そうか、今まで一人で弁当食ってたのか」

ジャン母「それは美味しくないわよ、ご飯って言うのは、皆で食べなきゃ」

クリスタ「皆で食べると、美味しいよね」

ユミル (天使……!)

ユミル 「良かったなジャン。まさかのハーレムだぞ」

ジャン 「自分の母親のいるハーレムなんて、ただの地獄だ」

ミカサ 「いつまでも、親がいると思ってはいけない。大切にしてあげて」

ジャン母「美人なのに良い子ねぇ、ジャンがもうちょっと男前だったら、お嫁に来て欲しいんだけど」

ジャン 「ほっとけよ! っていうか、いつまでいるんだよ!」

ジャン母「いいじゃない、ちょっとくらい。ねぇ?」

クリスタ「はい、美味しいです」モグモグ

ジャン母「ちょっと捻くれてるけど、根は良い子だからこれからも仲良くしてやってね」

ミカサ 「はい、これからも良い友人として居続けます」キリッ

ユミル 「良かったな、一生友達だぞ」ギャハハハ

ジャン (誰か…助けてくれ……!!)

(つづく)

今日はここまで。続きは数日中の予定です。


夕市 マリオ・トロスト

クリスタ「ナイル師団長と、誰か知らない子がいるよ」ヒソヒソ

ユミル 「一緒にいるってことは、アレもアイドルか?」ヒソヒソ

ジャン 「スレた感じは、アイドルっぽくねぇな」ヒソヒソ

ユミル 「アルミンは居ないみたいだが、あそこにいるのは……」

エレン 「ミカサ、無事に来られたか」

ミカサ 「エレンっ!」

ユミル 「登場が遅いぜ王子様、白馬が先に来ちまった」

ジャン 「それは、誰のことだ」

ユミル 「思いあたりがあるなら、それで合ってるよ」

ナイル 「ほう、戻ってきたか」

ミカサ 「……」

ナイル 「念の為にヒッチを連れてきたが、不要だったな」

ヒッチ 「えー、それどういうこと?」

ミカサ 「……代わりがいるなら、諦めて欲しい」

ナイル 「お前の代わりにはならん。頭の軽いバカ女だ」

ヒッチ 「わぁ、その冗談おもしろーい…………笑ってみろよ」

ナイル 「コイツみたいなバカ女が憲兵団に入る方法は一つしかない。アイドルになることだ。
     まぁ、アイドルとしては二流だがな」

ミカサ 「アイドルにならなくても、私は憲兵団に入る」

ナイル 「憲兵団に入って欲しいんじゃない、アイドルになって欲しいんだ。
     それに、どうせ入るなら、同期生が憲兵団に入れないのは、可哀想だろう?」

ミカサ 「それは……」

エレン 「ミカサ?」

ミカサ 「……エレン、ごめんなさい」

エレン 「アルミンと3人で、壁の外を冒険するんだろ!?
     お前は、憲兵団に入る理由なんか無いはずだ!」

ミカサ 「私は…欲しい…お金が欲しい…すごく欲しい!
     …ので私は…憲兵団に入って、内地で快適に暮らす…。
     例えば…一人でも。
     あなた達は…成績が悪いばかりか…壁外で冒険だ?…。
     とても…残念だ。
     ここで…指をくわえたりしてればいい…くわえて見てろ」

ジャン 「嘘が下手ってレベルじゃねえ」

クリスタ「そこが可愛いと思うんだけどなぁ」

ユミル 「ミカサ、お前が来られない理由は皆知ってるよ」

ミカサ 「っ!?」

ユミル 「その上で、戻って来いって言ってんだ。察しろよ」

ミカサ 「でも、私は」

ナイル 「今更、戻すわけが無いだろう。そういう契約だ」

クリスタ「この変態プロデューサー」

ナイル 「酷い呼び名だな。まぁいい、3分間だけ待ってやる」

ミーナ 「そういえバ、ルス番をアニに頼んだままだったなぁ」

ミカサ 「ミーナ!?」

ミーナ 「お待たせー。お届け物でーす」

ハンネス「ここで”俺に任せろ”って言えればカッコ良いんだけどな」

ミカサ 「ハンネスさん!」

エレン 「良いところで出てきたのに、冴えねえなぁ」

アルミン「遅くなってごめんね」

ミカサ 「アルミンも……」

ハンネス「部隊長って言っても全体から見れば下っ端だ。
     相手が、憲兵団の師団長じゃ、俺にはどうにもならねえぞ」

ナイル 「ふん、何をしに来たのかと思えば、よく分かっているじゃないか」

ミカサ 「ハンネスさんに、もうこれ以上迷惑はかけられない。です」

ハンネス「済まないな。お前をカッコよく助けられないのは、俺に力が無いからだ」

ミカサ 「私は、一人で決めた。だから、誰のせいでも……」

ハンネス「でもな。お前が、誰にも頼らなかったのは、お前に勇気が無いからだ」

ミカサ 「……っ!!」

ハンネス「お前の仲間は、憲兵団にいけなくなるくらいで、お前を嫌うか?
     例えそうだとしても、俺には迷惑かけてくれよ。寂しいじゃねえか。
     俺は、お前らの親のつもりだって、何度も言っただろ」

ミカサ 「でも、私はもう……」

ハンネス「知ってるか、ミカサ。子供を持った親はな、最強なんだ」

ミカサ 「……?」

ハンネス「正直、無敵だ。何者にも負ける気がしない」

ナイル 「何をする気だ?」

ハンネス「アンタに娘を預ける気は無い」

ナイル 「駐屯兵の部隊長風情が」フン

ハンネス「あとは頼んだぞ、アルミン」

エレン 「えぇ!? そこまで啖呵切っといて、退くのかよ!?」

ハンネス「カッコよく助けられねえって言ったろ」

エレン 「それにしたって、程があるぞ」

ハンネス「俺はカッコ悪くても良いんだよ、ミカサは強いし、アルミンは賢い」

エレン 「俺は?」

ハンネス「精神の強い馬鹿だな」

エレン 「何だよそれ!?」

ミカサ 「……ふふっ」

アルミン「ははっ。任されましたよ、ハンネスさん」

ナイル 「この茶番は、まだ続くのか?」

アルミン「もう少し付き合ってくださいよ。今、読み上げますから」

ナイル 「……何を」

アルミン「民法8条、未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」

ナイル 「!?」

アルミン「この場合は労働契約ですね。そして僕らの法定代理人は、ハンネスさんです」

ミカサ 「それは、つまり……っ!」

ハンネス「同意しねえよ。言ったろ。可愛い娘だ、アンタに預ける気は無い」

ミカサ 「でも、それじゃあ、皆が憲兵団に行けない!」

コニー 「俺は、馬鹿だけど分かるぞ」ヒョコ

ミカサ 「コニー!?」

コニー 「このまま憲兵団に入っても、母ちゃんは喜ばねえってな!」

マルコ 「半額弁当はさ、自分で獲って食べるから美味しいんだよ。
     それが最後のスパイス”勝利の一味”なんだ」

ベルトル「ミカサは、そんなこと知ってるよね」

ミカサ 「みんな……」

ライナー「据え膳食わぬは男の恥って言うけどな。そんなもん食ったら、腹壊しちまう」

アルミン「僕らは、餓狼だからね!」

エレン 「そうだろう!? お前も!!」

ミカサ 「世界は……残酷だ……」

エレン 「帰ろう。俺たちの家に」

ミカサ 「そして………」

ハンジ 「お待ちどうさまぁああ!!」

ジャン 「……うわぁ」
ミーナ 「……うあぁ」

ハンジ 「え、何でドンビキしてるの!? 急いで来たんだよ!?」

ミーナ 「いえ、ハンジさんは、そのままのハンジさんでいてください」

アルミン「サシャ、間に合ったんだね」

サシャ 「えぇ、リヴァイ兵長が横にいてくれるだけで、ものすごくスムーズに進みました」

リヴァイ「くだらねぇ」

ハンジ 「役所の人にガンつけて散々ビビらせてたのに、
     今更、何言ってるんだろうね、この刈上げチビ」プークスクス

オルオ 「」
ペトラ 「」

リヴァイ「喜べ"奇行種"、お前をアイドルとしてデビューさせてやる」チッ

ハンジ 「止めてよ! この歳でアイドルなんて、ただの痛い人じゃん!」

リヴァイ「お前の言動が、今まで痛くないと思ってたのか?」

ハンジ 「え? ……え? 何で、オルオもペトラも目をそらしてるの!?」

ペトラ 「いえ、私たちは何も……」

オルオ 「その件ついては、発言する権限を持っていませんので……」

アルミン「あの、楽しそうなところ済みませんけど……」

サシャ 「はいアルミン、これが書類です。色々あって、社長はオルオさんになりました」

アルミン「あとはキース教官が……」

キース 「これは一体、どういうことだ?」

アニ  「何時まで待っても来ないから、勝手に連れてきたよ」

ミーナ 「アニ! 連絡できなくてごめんね!」

アルミン「やった、これで!」

キース 「納得のいく説明してもらおうか」

オルオ 「俺が説明しましょう。最k」
ペトラ 「最近、憲兵団に入れてやるといって、訓練兵を誑かす輩がいるのは、ご存知でしょうか」

キース 「あぁ、新聞で読んだな」

オルオ 「そr」
ペトラ 「それを防ぐために、我々は事前に訓練兵を専属契約させる事務所を作りました」

オルオ 「俺の台詞を取るな」

ペトラ 「訓練兵を、甘言から守る為の独占契約です」

ハンジ 「ハンジPは、身長が3mを越えた人から、デビューさせるからね」

リヴァイ「そんな奴がいたら、真っ先に殺してやる」

ハンジ 「じゃあ、リヴァイPの、お眼鏡に掛かる子はいる?」

リヴァイ「どいつもこいつも、鍛え方が足りねえ。訓練兵は、訓練だけしてろ」

ハンジ 「だってさ! 残念だね! 誰もデビューできないや!
     お、そこの君おっきいね! あと1mくらい伸びてみない?」

ベルトル「勘弁してください」ビクン

ペトラ 「芸能事務所000プロに訓練兵を所属させて頂けませんか。
     訓練兵の間は、芸能活動は一切行いません」

オルオ 「勿論、各々の保護者の同意を得た上で、ですが」

キース 「防護壁としての所属か。そういうことであれば、良いだろう」

アルミン「さて、そういうことです」

ナイル 「馬鹿な……1日で、事務所を設立したのか…!?」

アルミン「事務処理、書類手続きを後手に回したのが仇になりましたね」

コニー 「なぁ、どういうことだ?」

ユミル 「師団長様を出し抜いて、訓練兵は全員独占契約を結んだんだよ。
     今後、ミカサを含めて訓練兵が716プロと契約することは出来ない」

ナイル 「000プロだと……? 貴様、一体誰の味方をするつもりだ。」

オルオ 「愚問ですな、俺は俺の味方です」

ナイル 「いつもリヴァイの後ろに付いて回っていた奴だな、名前は何と言ったか……」

オルオ 「俺の名前はオr」
ペトラ 「オルオ・キモイ」

ナイル「オルオ・キモイッ!! 刻んだぞ、貴様の名前を!」

アルミン「これは事務所間の話ですから、兵団同士の問題にするのは御法度です」

ナイル 「クソ……ッ、貴様等、憲兵団には一生縁が無いと思え!!」

キース 「訓練兵が憲兵団に縁が無い? どういうことですかな?」

ナイル 「貴方には関係の無い話だ」

キース 「私が言うのも何ですが、今期の訓練兵はアッカーマンを筆頭に、歴代でも優秀な者が多い。
     恐らく他の訓練所と比べても、群を抜く逸材ばかりでしょう」

ナイル 「だからなんだ!? それがどうした!?」

アルミン「彼らは優秀なんですよ。そして、優秀な判断力を持つ彼らは、誰も憲兵団を選ばなかった。
     そんな風に思われてしまうかもしれない、ということです」

ナイル 「……脅しのつもりか?」

アルミン「客観的事実を述べたまでですよ。どうとるかは、お任せします」

ハンネス「お前ら、駐屯兵団に来いよ、俺がまとめて面倒見てやる」

ハンジ 「君達、調査兵団に来なよ。一緒に壁の外を見ようじゃないか」

ハンネス「あん?」
ハンジ 「うん?」

ハンネス「こいつらは、”俺が”面倒を見る」

ハンジ 「大丈夫ですよ。”私が”しっかり育てますから」

ハンネス「調査兵団なんて、危険なところにやれるか!」

ハンジ 「その考え方がもう危険だね! 巨人を殺す技術を身に着けることが、
     何より安全だってことが何で分からないかな!?」

ハンネス「調査兵団は、毎年何人の新兵を殺してるのか数えたことがあるのか!?」

ハンジ 「彼らの戦果が無ければ、何人の駐屯兵団が死んだのかな!?
     調査兵団の遺した経験がフィードバックされてることを認めようね!」

ハンネス「詭弁だな! こいつらの命が危険に晒されることに変わりは無い!」

ハンジ 「へぇ、この子達を信じてないんだ? 実力の無い弱者だから、
     守ってあげなきゃ死んじゃうと思ってるんだ?」

ワーワー
ギャーギャー

ジャン 「あの、俺たち」

ミーナ 「自分で決めますから」

ハンネス「……まぁ、そうだな」

ハンジ 「……そうだね、彼らの意思に任せないとね」

ハンネス「どこに行くのが正しいかは、分かっているだろうけどな」

ハンジ 「正しい選択が出来る子達だからね、私は信じてるよ」

ナイル 「今期最高のアイドルの芽を摘まれて、おめおめと帰れるか。
     せめて、ヒッチをあいつ等に勝たせて、顔を売って帰る」

ヒッチ 「ねぇ、この子達、これから本当に半額弁当なんか獲り合うの?」

ナイル 「その通りだが。お前はバカなんだから、考えるな」

ヒッチ 「さっきの黒髪の子、親が居ないんでしょ?
     保護者も、そこの給料安そうなオッサンだし」

ユミル 「」ヒクッ

ヒッチ 「そういう子って、まともな食事もしていないのかなーって」

ミカサ 「確かに私は親が居ない。けれど、それとお弁当は関係ない」

アルミン「それにハンネスさんは、立派な保護者だ!」

ハンネス「」ジーン

ヒッチ 「でもさぁ、こんなお弁当を殴り合って奪い合うのってどうなの?
     親がいる子もいるんでしょ? よっぽど、普段まずいもの食べてたんじゃない?」

ユミル 「……」ギリギリ

ヒッチ 「あー、だから半額のお弁当なのかぁ。お金が無くても買えるし、不味くは無いからねっ」

ユミル 「……」フーフー

ヒッチ 「えーヤダー、何かカワイソー」キャハハ

ユミル 「クリスタ。私は、今からアイツに一世一代の腹パンをするぞ、止めてくれるなよ」

クリスタ「……」

ユミル 「クリスタ?」



クリスタ「ぁああああああああっ!!!」


ユミル 「」ビクッ

ヒッチ 「な、何この子?」

クリスタ「お前にッ! 何が分かるッ!?」

ヒッチ 「なに!? 何なの!?」

クリスタ「お前に!! 何が分かるんだよぉおおおおお!?」

ヒッチ 「っかんねえよ! 怖ぇよ!!」

クリスタ「ハンネスさんはなぁ! 串揚げをご馳走してくれたんだぞ!
     何かちょっと高そうなお店だったけど、すっごい美味しかったんだからな!」

ヒッチ 「それが何だよ!? 頭おかしいんじゃねえの!?」

クリスタ「ジャンのお母さんは、オニギリとウィンナーと玉子焼きを作ってくれたんだ!

     優しかったんだぞ! オニギリも美味しかったんだ!! それを、お前は何て言った!?」

ヒッチ 「知らねえよ!? 誰か、こいつ離してよ!!」

クリスタ「不味いって言ったか!? お前が何食べてるか知らないけどな!

     ジャンのお母さんの作ってくれたオニギリに比べたら、野戦食のシリアルバー以下だからな!!

     凄かったんだ! 美味しかったんだ!! 温かかったんだ!!!」ポロポロ

ジャン (女神……)ホロッ

ミカサ 「……温かい」

ハンネス「アルミン、あの子と結婚しろよ。あんな娘が欲しい」

ミカサ 「」ゲシッ

ハンネス「いてっ」

ユミル 「クリスタ、良い子だから離れろ。あまり騒ぐと、出入り禁止になるぞ」

クリスタ「でも、ユミル。アイツ、ハンネスさんのこと、馬鹿にして、
     ジャンのお母さんのご飯も、不味いって……」ヒックヒック

ユミル 「分かってるよ、私も許せないけどな、アイツは何も分かってないんだ」

クリスタ「……うん」グスグス

ユミル 「半額弁当も、争奪戦も、何も分かってない。
     だから、私達が嫌というほど分からせてやるんだ。そうだろ」

クリスタ「……うん」ベソベソ

ユミル 「じきに、半額印証時刻だ。今のうちに、弁当を見に行こう」

クリスタ「……うん。お弁当見る」メソメソ

リヴァイ「おい、もう良いだろう。俺達は戻るぞ」

ミーナ 「帰っちゃうんですか?」

ハンジ 「この人数で取り合うほど、弁当は残ってないからね」

リヴァイ「それに、調査兵団内での争奪戦は禁止されてるからな」ニッ

ジャン (リヴァイ兵長が笑った!?)

アルミン(さりげなく、ここにいる訓練兵が調査兵団だって主張してる)

ミーナ (……うっはぁ、可愛いなぁ)

キース 「用事は済んだな、私も戻るぞ」

ハンネス「俺も行くわ。どうですか、近くに焼き鳥の美味い店があるんです。
      あいつらの話を聞かせてもらえませんか」

キース 「あまり大した話はできませんが、イェーガーが引っくり返った話でよければ」

ハンジ 「はいっはーいっ!! 私も行きます!」

リヴァイ「好きにしろ」チッ

オルオ 「リヴァイ兵長が行くなら、俺も!」

ペトラ 「勿論、私も!」

ワイワイ

ミーナ 「何か、色々ありすぎて、よく分からなかったけど」

ジャン 「結局ミカサは、アイドルなんてしなくていいんだな?」

アルミン「そうだよ、もう何者にも束縛されることはない」

マルコ 「それに、僕らが憲兵団に行くことを止める術も無いのさ」

ナイル 「いや一人。一人だけにすればいい。憲兵団に一人来れば面子は保てる」ブツブツ

コニー 「何か言ってるぞ?」

ライナー「泣き言か、負け惜しみだろう」

ベルトル「本当に大丈夫かな」

アニ  「あんな格好しなくていいなら、私は憲兵団に行くつもりだけどね」

ヒッチ 「何なの、あの子!? マジ意味わかんない!?
     そんなに美味しいってんなら、横から掻っ攫ってやる!」

ナイル 「……お前は、横取りが上手そうだな」

(つづく)

今日はここまで。ご都合主義でスミマセン。
続きは数日中の予定です。

ユミル (弁当は……残り2つ。どちらも、鳥肉だ)

     "お前は今、食べて良い! から揚げ弁当"

     "これが! これだけが!! 俺の自慢のチキン南蛮弁当だ!!"

ユミル (暑苦しい名前が流行ってるのか? それにしても、人数に大して弁当が少なすぎる)

ユミル 「壮絶な争奪戦になるだろうな」

クリスタ「ユミル、どうする?」

ユミル 「それは今から他の店に行くかってことか?」

クリスタ「どっちのお弁当にするかって意味だよ」

ユミル 「それで良いんだな?」

クリスタ「だって、ここにいる15人の中から、2人だけしかお弁当を取れないんだよ。
     もし、そんなのを食べられたら、とっても美味しそうじゃない」

ユミル 「だよな」ニッ

バタン

ユミル 「半額神が来た」

クリスタ「見て、ユミル。チキン南蛮のお弁当」

ユミル 「おぉ、月桂冠だ」

クリスタ「チキン南蛮って食べたこと無いんだけど、どういう物なの?」

ユミル 「鶏肉に衣をつけて揚げた後に、甘酸っぱい南蛮酢に漬けて、
     その上から、これでもかってくらい、タルタルソースを乗せた一品だ」

クリスタ「美味しそうだね……」グゥ

ユミル 「タルタルソースで食べる鶏肉が、最高に美味い」

クリスタ「私、チキン南蛮にする!」

ユミル 「私もだ。どの道、共闘しなければ生き残れないぜ、今日は」

ギィ

バタン

ドドドド
ドドドドドド
ドドドドドドドドドド

ナイル 「ヒッチ、私がサポートする!」

ヒッチ 「何こいつ等、マジで半額弁当なんかに殴り合いしてんの!?」

ナイル 「アッカーマンにだけ、気をつけろ!」

ヒッチ 「あの黒髪ね、ずっと気に入らなかったのよ!」

ライナー「悪いが、役不足だ」ガッ

ベルトル「出番はもう終わりだよ」ドスッ

ナイル 「貴様ら……」ゲホッ

ヒッチ 「やっぱり、頭おかしいわよ……女の子にこんなことするなんて」フラ

サシャ 「結構、丈夫ですね」ガツン

アニ  「寝てて」ゲシッ

ナイル 「許さんぞ……」ガクッ

ヒット 「……もう、ダメ」バタン

ジャン、ミーナ VS ライナー、ベルトルト

ジャン 「勝算はあるのか?」

ミーナ 「お腹が空いてれば、それで十分!」

ライナー「全力で行かせて貰う」カッ

ベルトル「甘くは見ないよ」カッ

アニ、サシャ、コニー、マルコ VS エレン、アルミン、ミカサ

アニ、サシャ、コニー、マルコ VS エレン、アルミン、ミカサ

マルコ 「共闘しないと、彼等には勝てない」

アニ  「仕方ないね」カッ

サシャ 「お腹空きました……」グゥ

コニー 「腹減った……」グゥ

アルミン「負ける気がしない!」

エレン 「ああ、しないな!」

ミカサ 「皆には感謝してるけれど、今だけは別!」

ユミル、クリスタ VS ???

ユミル 「流石は、憲兵団ってこところかね」

クリスタ「まだ立てるなんて……」

ヒッチ 「なるほどね」グゥ

ナイル 「これが、腹の虫の加護か」グゥ

ミーナ 「必要なのは、回転の力と、冷静な心」

ベルトル「さっきから、チョロチョロと……
     何を企んでいても、ミーナの力じゃ!」

ミーナ 「そう、私は弱い。だからこそベルトルトを倒せる。
     ベルトルトの変身した時の熱気が、空気の渦に引き込まれて
     強烈な上昇気流を発生させる……!」

ベルトル「回避する軌跡が、完璧な螺旋を描いているっ!?」

ミーナ 「ベルトルトが空を飛べないなら、私の勝ちだよっ!!」

ドォォォオオオン

ジャン 「ミーナが、いつのまにか人間離れしてるな」ガッ

ライナー「よく一緒にいるんだろ。ああいう技は出来ないのか?」ブン

ジャン 「俺は、普通っぽさで売ってるんだ」ゲシッ

ライナー「そいつは、悪かったな」ブオン

ジャン 「しかし、見た目どおり頑丈だな」ハァハァ

ライナー「そろそろ諦めたらどうだ」フゥ

ジャン 「ははっ、そいつは出来ない相談だな」ハァハァ

ライナー「だよなっ」ガッ

ジャン 「だが、空を飛ぶってのは悪くないっ」ダッ

ライナー「逃がすかっ!」

ジャン 「悪いな、踏み台になってくれ!」タン

ライナー「倒れたベルトルトを踏みつけた!?」

ジャン 「久しぶりだが、何とかなるもんだ」ダンッ

ライナー「上、いや天井かっ!」

ジャン 「遅えっ!」ズバンッ

ライナー「」グラッ

ミカサ 「ごめんなさい……アルミン。守れなかった」ハァハァ

アルミン「……」ガクッ

コニー 「ミカサがいつもより弱いぞ」

マルコ 「今なら、僕等でも勝てるね、でも何で……?」

アニ  「もし、今日のことで手を抜いてるなら承知しないよ」

ミカサ 「違う……私は!」

エレン 「ミカサは餓狼だ。ここで手を抜く奴じゃねえ」

サシャ 「私にも経験あります。ミカサは今、みんなの気持ちで。胸が一杯なんですよ」

ミカサ 「……そうかもしれない。胸のあたりが、暖かい」

サシャ 「ですけどね、勘違いしないでくださいよ! 一杯なのは胸であってお腹じゃないんです!
     気持ちで胃袋は膨れないんですよ! そんな甘っちょろい女じゃないでしょう!
     腹の虫に聞こんね! 戦って、食わんかいッ!」ドンッ

ミカサ 「……ありがとう、サシャ。感謝する」グゥ

サシャ 「いいんですよ」シュインシュイン

エレン 『ウォオオオオ』

アニ  『ニャアアアアア』

コニー 「俺たち、ヤバくね?」

マルコ 「そうかもね」ハハハ

ユミル 「ヤベぇ、師団長の力に腹の虫の加護まで加わってやがる」

クリスタ「相手が二人じゃ、飛べないし」

ナイル 「君ならトップアイドルになれたろうに、残念だよ」

ヒッチ 「私がなるから問題ないしっ!」

クリスタ「ユミル、どうしよう」

ユミル 「一か八か、突っ込むしかねえかもな……」

ズザッ

マルコ 「げほっ……やあユミル」

ユミル 「よう、ピンチに現れたヒーローか? かっけーな」

マルコ 「サシャに蹴飛ばされただけだよ。ヒーローじゃない」

ユミル 「けっ、使えない不死鳥様だ」

マルコ 「ただ、君に血を与えることは出来る」

ユミル 「この際、鳥でも馬でも何でも良い。やってくれ」

マルコ 「少しだけ、話を聞いてもらうけどね」

ユミル 「面倒くせぇな」

マルコ 「ユミル、君は食べることに忌避感を持ってるね」

ユミル 「……っ!」

クリスタ「そうなの?」

マルコ 「ライナーやベルトルトも同じ根っこを持ってる。二人は割り切ってるみたいだけど」

ユミル 「それが何だよ、関係ないだろ」

マルコ 「食欲は、人の生きる意欲の重大な部分を占めているんだ。
     ユミルは、それを本能的に否定している。だから腹の虫の加護が弱い。
     争奪戦も、どこか一歩引いて見ていたね」

クリスタ「そういえば、ユミルはいつも私にお弁当を獲らせることを優先させてた」

ユミル 「クリスタが可愛いからだよ、それ以外に理由は無い」

マルコ 「食に対する意欲を無意識に押さえつけている。
     口に入れれば美味いし腹は満ちる。でも、それだけだ。
     腹の虫を感じているか? 空腹感を避けていないか?
     自分は、餓えてはいけないと思ってないか?」

ユミル 「お前の考えすぎだ……」

マルコ 「……ユミルは、チキン南蛮を食べたことがあるのかな」

ユミル 「あるよ。それがどうした」

マルコ 「あのチキン南蛮は、ただ衣を付けてあげてるだけじゃないんだ。気づいたかな」

ユミル 「どういうことだ」

マルコ 「衣が、コーンフレークだ」

ユミル 「……マジかよ」

マルコ 「パリパリなんて食感じゃないよ。ザックザクだ」

ユミル 「」ゴクリ

マルコ 「堅い歯ごたえの衣に、タルタルソース。幸福を具現化した食べ物だね」

ユミル 「よしてくれ……それ以上喋るな」

マルコ 「たっぷりと甘酢を吸い込んで、それでも尚バリっとした衣を噛み砕くと、ふんわりと柔らかい肉」

ユミル 「止めろよ……止めてくれ」

マルコ 「細かく砕かれても失われない歯ごたえが、肉を噛み締めるたびにパリッパリっと音を立てる。
     肉汁に絡むタルタルソース。鼻から抜けるゆで卵とマヨネーズの香り、味蕾を刺激する刻んだピクルスの酸味」

ユミル 「ああああっ! 止めろっつてんだろうが!」

マルコ 「ユミル、食べるんだ。飲み込んで消化して、己の生命に還元する。それが人の背負った使命なんだ。
     僕等は巨人じゃない。食べることは生きることだ。生きろ、ユミル」

ユミル 「あー、うるせえなぁ! わかったよ! 食ってやる!
     小鳥の囀り聞いてたら、腹が減ってきちまったじゃねえか!」グゥウウウ

マルコ 「それでいい。血は与えた。君が飛ぶんだ、ユミル」

ユミル 「あぁ。腹が減りすぎて、空くらい飛べそうだぜ、ったく」

クリスタ「ユミル、大丈夫?」

ユミル 「あぁ、大丈夫だよ。大丈夫過ぎて鼻血が出そうだ」

ナイル 「相談は終わりかな?」

ヒッチ 「そこの地味顔は、一緒じゃなくても良いの?」

ユミル (腹が減る……こんなに意識したのは、久しぶりだ)ギュルルル

ヒッチ 「無視してんじゃねえぞ!」

ユミル (腹の虫……今まで我慢させて悪かったな。もう遠慮はいらねえぞ。
     あの不死鳥のせいで、今はもう押さえつけることなんか考えられねえ!
     体中が疼く! 細胞の一つ一つが騒ぎ立てる! これは、あの時の感覚に似ている)

ナイル 「貴様、何か様子が……?」

ユミル 「クリスタ、ちょっとばかり眩しいぞ」

クリスタ「え?」

カッ

コニー 「ん? 何かいま光ったか?」

ミカサ 「あれは、変身の光」

エレン 「俺じゃねえぞ」

サシャ 「ライナーとベルトルトは、そこで伸びてますね」

アニ  「私でもないよ……あれは、ユミル?」

コニー 「あいつも変身できたのか? 蒸気でよく見えねえけど、見た目変わってねえな」

サシャ 「いえ、そばかすが消えてます」

ミカサ 「それに、顔の険が無くなっている……綺麗な顔」


シュウウウウ

ナイル 「どういうことだ? まだ私の知らない争奪戦の仕組みが……?」

ヒッチ 「あんた……何? どういうこと?」

クリスタ「……本当にユミル?」

ユミル 「そうだよ…ユミルだ」パァア

     ユミルッ!!

     設定年齢17歳

     172cm! 63kg!!


ヒッチ 「美…ッ!!」

ナイル 「美形だ……ッ!!」


(つづく)

今日はここまで。続きは数日中。

ユミル 「変身すると、余計に腹が減るな……」

ヒッチ 「少し見た目が良くなったくらいでなぁ!」

ユミル 「ダメだろ……争奪戦なんだから。
     弁当を獲ろうとする姿勢を一旦見せておかなきゃ」ニコッ

ヒッチ (イケメン……!)

     ブタ
ユミル 「家畜は死ねッ」バキッ

ヒッチ 「」ゴヒュ

ナイル 「ヒッチ!」

ユミル 「なぁ、アイドルにしたいからって、憲兵団が人を巻き添えにして
     脅したりしちゃあ……そりゃあ悪人だろ?」

ナイル 「人には、生まれついての運命がある! 私は、そこに導いているだけだ。
     貴様は何をやっている? 何故邪魔をする、利害があるとは思えん」

ユミル 「私の人生への反逆だ。
     生まれ持った運命なんてねぇんだと立証してやる。その為だ!」

ナイル 「貴様……何者なんだ!?」

ユミル 「ユミル。ただのユミルだ」

ナイル 「二つ名とやらは、無いのか?」

ナイル 「私には無いよ」

                               トリーズナー
ナイル 「それならば、私が名づけてやろう。貴様は"反逆者"だ!」

ユミル 「…………良いセンスだ」ハン

ナイル 「プロデューサーだからな」フン

ユミル 「じゃあ、そろそろ業務終了時間だな!」

ナイル 「これからは残業の時間だよ!」

クリスタ「ユミル……」

ミカサ 「クリスタ」ボロッ

クリスタ「み、みかさ!?」

ミカサ 「誰にも聞く暇が無かったから、一応聞いておくけど、貴方の狙いの弁当は?」

クリスタ「うそ……!? ほかの皆は……?」

エレン 「」
コニー 「」
ジャン 「」
ミーナ 「」
マルコ 「」
アニ  「」
サシャ 「」

ミカサ 「サシャもミーナも、とても強かった。エレンは守れなかったけれど。
     私は皆から温かいものを沢山貰った。だから、私だけは誰にも負けない」

クリスタ「……」

ミカサ 「あとは、貴方とユミルだけ。さあ、どっちの弁当を狙っているの?」ゴゴゴゴ

クリスタ「当然、月桂冠……!!」ニッ

ユミル 「だぁああああ」ゴスッ

ナイル 「ぬぅううう」ビリリ

ユミル 「良い加減、倒れてくれないか?」ハァハァ

ナイル 「出来ない相談だ」ハァハァ

ユミル 「もう、あと一発だ。あんたの顔面に一発入れる。
     それで、最後。当たっても外れても、私はおしまいだ」ハァハァ

ナイル 「ここにきて心理戦か?」ハァハァ

ユミル 「私は正直者だからね、今まで嘘を付いたことが無いんだ」

ナイル 「どちらでも良い、掛かって来い。全力で迎え撃ってやる」

ユミル 「だああああああああ!!!!!!」

ナイル 「おおおおおおおおおっ!!!」


バキィ


.

ユミル 「……一瞬迷ったろ。何でだ? アンタの方が先に殴れたはずだ」

ナイル 「プロデューサーだからな。女の顔を殴れるか」フン

ユミル 「次は、餓狼として掛かってきな」ハッ

ナイル 「こんな効率の悪いプロモーション活動は、金輪際御免だ」

ユミル 「そうかい」ヒヒヒ

ナイル 「ヒッチ、起きろ。帰るぞ」

ヒッチ 「……!? お弁当は!?」

ナイル 「とっくに無い。全部、持っていかれた」

ヒッチ 「……っっ!!!!!!!
     覚えてなさい! 次こそ、吠え面かかせてやる!」

ユミル (捨て台詞が古い)

クリスタ「ユミル、ごめんね私が先に獲っちゃって」

ユミル 「気にすんな。それよりも、ミカサは本当にそれでよかったのか?」

ミカサ 「問題ない。チキン南蛮も美味しそうだったけど、私はから揚げを最初から狙っていた。
     後からそちらが月桂冠になっても、変える気にならなかった」

ユミル 「そうかい。腹へって仕方ねえや。クリスタ、弁当食べようぜ」

クリスタ「うん、そのことなんだけどね。ミカサと話したんだけど」

ミカサ 「このお弁当は、皆で分けたいと思う」

ユミル 「はぁ!? みんなって、ここで寝てる奴等全員か!? 10人以上いるんだぞ!?」

ミカサ 「そう。私が今ここにいるのは、みんなが居てくれたから。
     私が夕市に戻ってきて、皆が前と同じように戦ってくれた、それが何より嬉しい」

クリスタ「私も、皆と一緒に食べたいの!」

ユミル 「はぁ……クリスタが、そう言うんじゃ仕方ねえな。
     どの道クリスタの獲った弁当だ。好きにしろよ」

クリスタ「ありがとう、ユミル。ユミルが居てくれなかったら、獲れなかったお弁当だから……」

ユミル 「気にすんなって言ったろ。ほら、早くそいつら起こそうぜ」

クリスタ「うんっ!」



夕市の近くの公園

ユミル 「兵舎の食堂まで戻るまで我慢できねえし、ここでいいだろう」

クリスタ「一人一口ずつしか無いしね。ユミルから食べてよ」

ユミル 「クリスタが獲った弁当だろ」

クリスタ「ユミルと一緒に獲ったお弁当だよ」

ユミル 「……そうか。それじゃあ、遠慮なく」


バリッ

ユミル 「マルコの言った通りだな、衣がバリバリだ」

クリスタ「とっても堅いねっ」モグモグ

ユミル 「クリスタ、不用意にしゃべるな。野郎共の目つきがおかしい」

クリスタ「?」

ジャン 「貰っておいて何だが、一口で済ませるには惜しいな」バリ

ミーナ 「はぁ、タルタルソースおいしいねぇ」バリバリ

サシャ 「ジューシーなモモ肉にピッタリですね。
     ジューシーって言葉は、じゅるじゅるしてて汁っぽくて美味しそうですよね」

マルコ 「ピクルスの酸味が、肉の旨味をいっそう引き立てるね」

アルミン「から揚げも美味しいよ」モグモグ

ミカサ 「薄い衣に、カリっとした食感。戦って奪い合う価値がある」モグモグ

エレン 「米が欲しくなるな」

コニー 「うめー。からあげうめー」

ライナー「倒れた順だから仕方ないが、米だけか」モグモグ

ベルトル「僕はキャベツだよ」ハハ

アニ  「こっちを見ても、分けるほど無いよ」

ユミル 「美味いな。本当に美味い」

クリスタ「そうだね、美味しいね」

ユミル 「こんなに美味いのに、一口しか食えないのか」

クリスタ「……少ないね」グゥ

ユミル 「お前等、満腹か?」

コニー 「そんなわけねぇだろ、全然足りねーぞ」

クリスタ「13人も居て、お弁当2つだけだからね……」

アルミン「全員が満足する方法があるよ」フフフ

ミカサ 「アルミンが悪い顔をしている」オロオロ

ライナー「言ってみてくれよ、作戦参謀」

ベルトル「僕等も、空腹だからね」

アニ  「よっぽどじゃなければ、乗るよ」

アルミン「ハンネスさん達が行った焼き鳥屋、場所を知っているんだ。
     そこに、全員で乗り込もう」

ミーナ 「奢られに行くってこと?」

サシャ 「それは、また……」

マルコ 「恐れ多いというか、恐れを知らないというか」

ユミル 「面白ぇじゃねえか、行ってダメなら次を考えようぜ」

クリスタ「ほら、皆っ行こうよ!」パァアア

((……女神!!))



焼き鳥 ルースター

ハンネス「俺一人じゃ何とも言えないな」

リヴァイ「構わねえ」

ハンジ 「オッケーだよ」

オルオ 「普段、先輩面してるからな」

ペトラ 「ここで、知らない顔できないわよ」

キース 「構わん。好きなだけ食べると良い」

ミーナ 「教官まで、本当に良いんですか!?」

キース 「あぁ、明日の訓練量は、いつもの倍だからな。体力をつけておけ」

ジャン 「はは……」

ハンネス「どうした、奢りだぞ。もっと食えよ」

アルミン「胸が一杯で……」

ミカサ 「みんな、感激して喉を通らない」モグモグ

エレン 「良かったじゃねえか、いつもの倍訓練できるぞ」モグモグ

ライナー「こうなったらヤケだ!」ガツガツ

ベルトル「食べないと損だね」モグモグ

アニ  (ネコちゃん呼んだらダメかな?)モグモグ

コニー 「うめー、焼き鳥うめー」ハグハグ

マルコ 「あぁ、炭火で焼いているんだね、とても美味しいよ」モグモグ

ユミル 「ササミとつくねとレバー、それともネギマ」

ハンネス「お前はお前で遠慮がねえな」

ユミル 「ご馳走様です」

ユミル (炙る程度に焼いてあるレアのササミ肉。味付けは、塩。
     その上に、緑色の…擦ったワサビか!)

ユミル (あっさりとした肉に乗った、ワサビの鮮烈な香りが鼻に抜ける!
     後引く旨味だ、刺激が強いのに食べやすい)パクパク

ツーン

ユミル (くぅー、涙が出るな!)

ユミル (そして、タレ味のつくね。一緒に小鉢で付いてきてるのは、卵の黄身だな。
     これを、絡めて食べればいいのか?)

パクッ

ユミル (まったりした黄身の舌触り、それと混ざり合う濃い味のタレ。
     弾力のあるつくねからあふれ出る肉汁、さらにタレのコクが増す!
     少しだけ混ぜてあるナンコツのコリコリした食感が、濃い味の肉を飽きさせない)

ユミル (続けて、レバーだ。鉄分を補給したいから頼んだけど、血生臭くて苦手なんだよな)

モグ

ユミル 「……ふぉ!?」

クリスタ「どうしたの?」

ユミル 「すげえ美味ぇ」パクパク

ハンネス「この間のアスパラと一緒で新鮮だからな。生臭くなくて驚いたろ」ハハハ

クリスタ「そうなの?」

ユミル 「ああ、レバー特有の血生臭さが全く無い。
     舌の上で溶けていくような、全然別の肉みたいだ」

クリスタ「私も、レバーください!」

ユミル (レバーなんて、血の塊のみたいなイメージしか無かったが、
     これは全然イケる味だ。臭いの無いレバーは、こんな味だったのか)

クリスタ「ふわぁ、柔らかいねっ!」モグモグ

ユミル (ヤベェな、知ってる食材なのに、知らない味がすることもあるのか)

ハンネス「レバーが大丈夫なら、もつ煮込みも食ってみろ。美味いぞ」

ユミル 「じゃあ、もつ煮込み1つ!」

クリスタ「私も食べたい!」

ハンネス「3つくれ、俺も食べる」

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オルオ 「おいペトラ、いくら持ってる?」コソコソ

ペトラ 「自分の分くらいしか無いわよ。オルオは?」コソコソ

オルオ 「俺も、大して変わらん」コソコソ

ハンジ 「やぁ、何をコソコソしてるのかな? 困りごとかい?」

オルオ 「ううっ」

ペトラ (借りを作ると、巨人を捕獲したときに協力させられる……!)

オルオ 「ハンジ分隊長、ちょっと持ち合わせが無いので、少し貸していただけると……」ヒソヒソ

ペトラ (オルオが行った!)

ハンジ 「えー、どうしようかなー」

オルオ 「……次に、巨人を捕獲したときは……っ」

ハンジ 「ときは?」ニタァ

リヴァイ「クソメガネ、あんまりそいつらを苛めるな」

ハンジ 「ちぇー」

ペトラ 「リヴァイ兵長?」

リヴァイ「調査兵団の交際費で落としてやる。こいつらは、成績上位者だろう。
     調査兵団に入る訓練兵の接待だ。気にせずに食え」

ハンネス「ちょ、駐屯兵団も半分出しますからね! 駐屯兵団にも入れよ、お前等!」

オルオ (一生、ついていきます……っ!)

ペトラ 「オルオ、視線が気持ち悪い」

ハンジ 「ちっくしょー。チャンスだったのになー。飲まなきゃやってらんねー」グビグビ

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ユミル (モツ煮込みの具は、大根と人参とコンニャク、ゴボウに、モツだ。
     刻んだ長ネギがたっぷり上に乗っている。
     基本的なものしか入っていないが、さっきのレバーと同じなら)

パクッ

ユミル (あぁ、モツがふわっと柔らかい。トロける食感だ。
     大根にも味噌のスープが染み込んで、ほろほろと崩れるぞ。
     人参も甘いくて、ゴボウがふわりと香る。
     長ネギのシャキシャキした歯ごたえと、コンニャクのプリっとした弾力)

ユミル (あーこれは、米が欲しくなるなぁ!)ジュル

クリスタ「ご飯ください!」

ハンネス「おいおい、締めるには早いんじゃないのか、気持ちは分かるけどよ」

クリスタ「うぅ……でも、白米……」

ユミル (……可愛い)

ユミル 「どれもコレも美味いが、さっきのチキン南蛮も、もっと食いたかったな」

クリスタ「あれも美味しかったよねぇ」

ハンネス「チキン南蛮? そんなもん、頼めば作ってもらえるぞ」

クリスタ「え、でも、メニューにないですよ」

ハンネス「こういう店は、メニューに無くても、出来るものならやってくれるんだよ」

ユミル 「じゃあ、チキン南蛮1つ!」

クリスタ「2つ!」

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ジャン 「何かあいつ等、美味そうなもん食ってるぞ」

ミーナ 「すいません、こっちにも向こうと同じのください!」

サシャ 「味噌の香りがしますね、美味しそうです」

ジャン 「お前等の胃袋は底無しだな」

アルミン「僕は結構お腹一杯かな」

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ジャン 「何かあいつ等、美味そうなもん食ってるぞ」

ミーナ 「すいません、こっちにも向こうと同じのください!」

サシャ 「味噌の香りがしますね、美味しそうです」

ジャン 「お前等の胃袋は底無しだな」

アルミン「僕は結構お腹一杯かな」


アニ  「あんた達は図体がでかいんだから、食べときなよ」

ライナー「だとよ。しっかり食っとけよ、明日は2倍の訓練だからな」

ベルトル「食べ過ぎても、逆効果だけどね」

エレン 「アニも体に筋肉ついてるんだから、もっと食うだろ?」

ミカサ 「エレン、もっと女の子の接し方を勉強しないとダメ」ギュウウウ

エレン 「痛えよ! ほっぺたつねるな!」

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ユミル 「これが……チキン・ナンバン? 私が知ってるのと大分違うぞ」

ハンネス「焼き鳥屋だからな。焼き鳥屋のチキン南蛮だ」

クリスタ「頂きまーす!」

ハンネス「まぁ、食ってみろよ」

ユミル 「頂きます」パクッ

ユミル (肉がモモ肉じゃなくて、ササミだ。あっさりしている。
     それに、上に乗っているタルタルソース。
     やけに緑色してると思ったら、ワサビが混ざってるな!)ツーン


モグモグ

ユミル (ソースの具がペースト状になってない、全体的にゴロゴロしてるな。
     卵も、舌で形が分かるくらいの大きさだが、そのせいか?
     卵の味のコクが違う、ずっと濃いように感じる)

クリスタ「これ、普通の卵ですか?」

ハンネス「焼き鳥屋の卵って言ったら、うずらの卵じゃねえか?」

ユミル (そうか、ウズラか! こんなに卵の味が濃いんだな)モグモグ

ユミル (刻んで入れてあるピクルスも、キュウリの浅漬けみたいな感じだ。
     全体的にチキン南蛮なのに、中身は確かに焼き鳥屋のメニューだな)

クリスタ「さっきのとは違うけど、これも美味しいね」

ユミル 「あぁ、予想だにしない組み合わせだったが、美味いな。
     居酒屋アレンジも、かなりイケる」

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ハンジ 「うはははは、その時にリヴァイがさー。
     あ、リヴァイって知ってる? このちっさいオッサンなんだけど」プニプニ

リヴァイ「……」イラッ

ミーナ 「ハンジさん、かなり酔ってるね」

ジャン 「割といつもこんな感じじゃないか?」

オルオ 「むしろ、いつもより大人しいくらいだ」

リヴァイ「人前で歌って踊るのが好きだとは思ってたが、本気でアイドルになりたいようだな」チッ

ハンジ 「マジで!? なっちゃおうかな、アイドル!」アハハハ

ミーナ 「ハンジさん、歌が上手なんですか?」

ペトラ 「だめっ! その話は広げないで!」

ミーナ 「え、何でですか」

ハンジ 「歌で思い出した! 奇行種音頭っていうのがあるんだけど、見てみない!?」

ミーナ 「私、気になります!」

オルオ 「おい、やめろ。聞くな……!」

ハンジ 「振り付けがあるんだ。ちょっとやってみるね」フフフーン

ミーナ 「あ、前奏も自分で歌うんですね」

♪ ~前奏~

  ヘ○ヘ
  ( ∧
   >
♪壁外は 巨人が沢山 いるんだよ

 ヽ○ノ゜
 へ )
  く 
♪その中でも 奇行種は

  ヽ○ノ
  (  
  (\
♪予想の出来ない 動きだよ

     ヽ○
  (( ヘ/ヽ
   (( < 
♪ ~間奏~

ミーナ 「前に歩いてるのに、後ろに進んでる。凄い……気持ち悪い」

ペトラ 「古い文献に残っていた、月歩という歩方らしいわ」

リヴァイ「奇行種の理不尽さが、よく表現できている。悪くねえ」

ジャン 「そこは評価するんですね」

  ○
  _/\,ヘヘ

♪人間には 興味がない

  _    
 _  _○
_  、_ノ 

♪と、見せかけて 奇行種だ


  ヽ○丿   
  ∧/      
   )  
♪予想の出来ない 動きだよ



     ヽ○
  (( ヘ/ヽ
   (( < 
♪ ~間奏~

マルコ 「この世の不条理を、全て詰め込んだような奇怪な動きだね」

ミカサ 「世界は……残酷だ……」ウプッ

エレン 「ミカサ、しっかりしろ」

リヴァイ「よく見ろ。全くブレがない」

 <○ノ
  ノ
 ノ>
♪うなじは止めて

 ヽ○>
 〈
 <\
♪うなじは止めて


クリスタ「うぅ……気持ち悪くなってきた」

ユミル 「止めてくれ! クリスタが吐きそうだ!」

ミーナ 「ハンジさーん、ストッープ!」

ハンジ 「えー、これからサビなのに」

ペトラ 「あなた達、調査兵団に入ったら、訓練と称してコレを最後まで見させられるわよ」

アニ  (憲兵団に行こう……絶対!)

リヴァイ「これを始めてから、巨人に遭遇しても錯乱する新兵が減った」

オルオ 「正直、本物の巨人の方が、殺せる分だけ幾らかマシです」

リヴァイ「殺しても良いぞ、出来るならな」

オルオ 「ご冗談を」ハハハ

ミーナ (目がマジだ)

ワーワー
ギャーギャー

ユミル 「クリスタ、大丈夫か?」

クリスタ「うん、思い出さないようにしてるから平気」

ユミル 「一瞬だったのに、破壊力高いな」

クリスタ「ちょっと休んでるから……美味しいものが出てきたら教えて」

ユミル (案外、大丈夫そうだ)

ユミル 「なぁ、芋おん……サシャ」

サシャ 「何ですか?」モグモグ

ユミル 「お前、前に"人が芋を何故食べるのか"とか言ってたろ」

サシャ 「そんなこと言いましたっけ?」

キース 「覚えているぞ。入団式で芋を食っていたのは貴様が最初で最後だろうな」

サシャ 「そ、そうですか?」アハハ

キース 「私に、芋の欠片を寄越して、半分どうぞと言ってのけたのも、生涯忘れまい」

ユミル 「お前、人は何で芋を食うのかって聞かれたら、今は何て答える?」

サシャ 「えー、そうですねー。食べるのは生きるためですけど、それが蒸かしたての芋なら
     きっと美味しいからですね。美味しいうちに食べないと、元も子もありませんから」

キース 「貴様は何も成長しておらんな」ハー

サシャ 「そ、そんなことないですよ?」

ユミル 「いや、そうだよな。人間なら、美味いもん食いたいよな」

サシャ 「?」

ハンネス「お嬢様方、締めのご飯は食うかい?」

サシャ 「はいっ! 頂きます!」

ユミル 「私も貰います。クリスター、美味そうなもんだぞー」

クリスタ「美味しいものだー」ガバッ



ユミル 「いやぁ、食った食った」

サシャ 「締めの焼きオニギリは最高でしたね」

クリスタ「ユミルの食べてた卵かけご飯って、美味しいの?」

ユミル 「美味いぞ。ただ、生卵を食べなれてないと難しいかもな」

クリスタ「今度、挑戦してみるよ!」

ユミル 「なぁクリスタ」

クリスタ「どうしたの?」

ユミル 「今日の飯は、美味かったな」

クリスタ「そうだねっ」

ユミル 「いつもよりも、美味かったな」

クリスタ「そうだね!」

ユミル 「明日も美味いといいな」

クリスタ「美味しいよ、きっと!」

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ミーナ・カロライナ
 最近、ちょっと成績が上がった。

ジャン・キルシュタイン
 母親から、次に帰って来るときは彼女を連れて来いと手紙が来る。

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サシャ・ブラウス
 食べ過ぎて翌日訓練に支障をきたす。

キース・シャーディス
 呆れた顔をしながら、サシャに死ぬ寸前までマラソンを命じる。

クリスタ・レンズ
 パンをこっそり取っておこうとするが、ユミルに止められる。

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ミカサ・アッカーマン
 へその出た衣装をナイルに返し損ねて、捨てることも出来ずに、
 いつか使うことがあるかもしれないと仕舞っている。

ナイル・ドーク
 次はイケメンのアイドルグループもいいんじゃないかと、密かに画策している。

ヒッチ
 夕市で半額弁当争奪戦に参加している姿をよく目撃されるようになった。

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ユミル
 もしも目の前に分厚い壁があって、それを突破しなければいけないのなら、
 迷わず力を使う。決して、迷わずに。

 人間である以上、腹は減るし、出来れば美味いものを食べたいと思う。
 自分にその資格があるか分からないが、誰に禁止されようとも、
 それを貫くのが、自分に人生に対する反逆になるのではないかと考える。
---------------------------------------------------------------------------
(おわり)

8月25日にベン・トー原作のアサウラ先生の新刊
デスニードラウンド(2)が発売されます。
内容は分かりませんが、何やら美味そうな描写が沢山あると思うので、
飯テロが好みだったら、まずは1巻からどうぞ。

そんなに長くならないので、このままスレを使います。

※進撃の巨人で孤独のグルメのパロディです。
※11巻までのネタバレがあるかもしれません。

時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、彼はつかの間自分勝手になり、「自由」になる。
孤独のグルメ―。それは、誰にも邪魔されず、気を使わずものを食べるという孤高の行為だ。
そして、この行為こそが現代人に平等に与えられた、最高の「癒し」といえるのである。


”ウォール・シーナ、工業都市のカルビ焼肉ランチ”


.

グリシャ「すごいなぁ。まるで巨人の内臓がむき出しになっているようだ」

黒金竹を組み合わせた、巨大なオブジェが天を突いている。
ここは工業都市だ。何に使うのか分からないが、きっと凄い技術が使われているんだろう。
巨人がどうのなんて呟きを誰かに聞かれては、変に勘ぐられるかもしれない。
診察の仕事も終わっていることだし、馬車に乗ってシガンシナ区に帰ろう。
しかし、その前に。

グリシャ「……腹が減った」

せっかく一人なんだし、ここは一つ焼肉にでも行くか。

よしよし、ちょうど目の前に焼肉屋があるじゃないか。

グリシャ「お、カルビが250gでこの値段か。安いな」

ランチサービスだが、時間も……大丈夫だ。
煙が籠もるからか壁の無い店だけど、そのおかげで肉の匂いが外まで漂ってる。
ピーク時間を過ぎてるから、あんまり客もしないし、ここにしよう。


グリシャ「すいません、カルビのランチください。ご飯、大盛りで」

うん、値段の割りに良い肉だ。どんなもんが出てくるかと思ったけど、
考えてみれば、肉体労働者も多い街だ。気性が荒いのも多いから、
おかしなものを出したら、物理的に店をつぶされるんだろう。

皿に乗った肉を、網の上に順に置く。肉の赤みが消え、焦げ目と匂いに変わる。
この焼いてるときが、焼肉の醍醐味だな。
最初に置いた肉は、もう食べられそうだ。


はふはふ

うん、いい肉だ。うまい。

流石カルビ。がっつりと肉だな。

はふはふ

うん、いい感じだ。

暑くなってきたな、上着を脱ごう。

シャリシャリ

付け合せのキムチも、辛くてうまい

焼肉と言ったら、ご飯だよな。

大盛りの白い輝き。問答無用のご飯だ。

焼肉にご飯、これだな。

はふはふ

網に肉がなくなってきたぞ、次を焼かなくちゃ。

焼いて、食べて、次へ次へ止まらないぞ。

むしゃむしゃ

グリシャ「すいません、ご飯お代わりください。あとウーロン茶も」

むしゃむしゃ

はふはふ

胃袋が唸りをあげて回転しているようだ。

それに合わせて巻き取られるように、口から吸い込まれていくぞ。

うぉォン、俺はまるで人間立体起動装置だ。

もぐもぐ

はふはふ

むしゃむしゃ

グリシャ「ご飯、お代わりください」

もぐもぐ

キムチも、もう少し貰おうかなぁ

グリシャ「うー」

ご飯、3杯はいくらなんでも食べすぎたか。

グリシャ「うー、苦しい」

いかん、馬車の時間だ、急がないと。

グリシャ「げふっ」

今は、無理だ。次の馬車で帰ろう。

グリシャ「ん? 迷子かな」

整った顔立ちの女の子が、こちらを見ている。
年齢は、エレンと同じくらいかな。

少女  「一人なのに、美味しそうに食べるんですね」

もしかして、見られてたのか。一人焼肉。

グリシャ「あぁ、美味かったよ」

少女  「ご飯は、皆で食べたほうが美味しいんじゃないですか?
     一人だと、寂しくないですか?」

利発そうな子だ。
適当なことを言って誤魔化すこともできるが、ちゃんと答えてあげたくなる。

グリシャ「君にはまだ分からないだろうけど、大人には一人になりたい時間があるんだ。
     仕事や、家庭、そういうものから解放されて、自由になりたい時間がね」

少女  「自由なら、一人でもご飯は美味しいですか?」

グリシャ「ああ、美味いよ」

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クリスタ「ということがあって、私は自由に生きると決めたの」

ユミル 「すっげぇ、どうでも良い理由だな」

クリスタ「何で、エレンとミカサは顔を隠してるの?」

エレン 「分からないけど、凄い恥ずかしい」

ミカサ 「芽を摘んでしまったような、罪悪感を感じる」

クリスタ「あの人に、もう一回会ってお礼を言いたいなー」

エレン 「俺は、その人のことは知らないけど、やめたほうが良いと思うぞ」

ミカサ 「そう。思い出は、綺麗なままのほうが良い」

ユミル 「クリスタ。飯が美味くなりそうな話になりそうだ。もっと聞かせろよ」ニヤ

(おわり)

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