いろは「トリックオアトリート!」 (19)

渡り廊下にて



いろは「せーんぱいっ!」

八幡(・・・俺のことじゃないよな。って思った時は大抵俺のことだということに最近気付いた)

八幡(が、今更素直に反応するのも気恥ずかしい・・・普通に無視しよ)

八幡(何か大事な用なら肩叩いたりしてくるだろう。今までみたいに)

いろは「先輩ってば!」ギュウッ

八幡「うおふっ」ビクッ

いろは「あははっ、先輩変な声出してどうしたんですかー?」ギューッ

八幡「いや、お前、手ぇ離せ」

いろは「ダメです。先輩さっき勘違いじゃなくてわざと無視しましたよねー?そのおしおきです♪」

八幡(なんでわかるんだよこいつ!)


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八幡「・・・ってかこれご褒美だろ」

いろは「えっ」

八幡「あっ」

いろは「・・・」

八幡「・・・で?何の用だよ」スルッ

いろは「あっ・・・はい、では改めまして!」

八幡「・・・」

いろは「先輩っ!トリックオアトリート!」

八幡「・・・は?」

いろは「もー、先輩ノリ悪いですよー?」

八幡「え、いや今日って・・・」スッスッ

いろは「・・・」

八幡「うっわ今日ハロウィンじゃん!」

いろは「ええ・・・」

八幡「うわー・・・もうそんな時期か・・・」

いろは「大丈夫ですか先輩・・・」

八幡「いやだって仮装してる奴とか居なかったし。お前が仮装とかしてたら気付いたから」

いろは「何ですか可愛い私の可愛い魔女姿が見たいんですか先輩も吸血鬼の仮装して
私の鎖骨を甘噛みしてくれるならしてあげてもいいですよ」

八幡「え、何、俺振られた?」

いろは(私が早口で長文を言ったら全部振り文句に聞こえるのかなこの人)

いろは「で、では、改め改めまして!トリックオアトリート!」

八幡「・・・」

いろは「・・・」

八幡「・・・菓子なんぞないが」

いろは「ですよねー」

八幡「いやぁすまんな。んじゃ、教室戻るわ」サッ

いろは「帰しませんよー?」ギュウッ

八幡「っいちいち抱き着くなよ・・・!」

八幡(ドキドキしちゃうでしょうが)

いろは「・・・イヤですか?」

八幡(その上目遣いもやめなさい。守りたくなっちゃうから)

八幡「・・・その、付き合ってもいない男女がこういうのは、駄目なんじゃ、ないか」

いろは「付き合ってたらいいんですね!?」バッ

八幡「!?」

いろは「言質取りましたからね!覚悟しといてくださいね!」

八幡「お、おぅ・・・じゃあこれで」サッ

いろは「だから帰しませんて」ガシッ

八幡(今度は抱き着かない・・・いや別に寂しくねーし)

八幡「・・・つっても、どうすんだよ。無い物は出せんぞ。錬金術師じゃあるまいし」

いろは「ふっふーん。無い物は買えばいいんですよ」

八幡「は?」

いろは「今日の放課後、一緒にお菓子買いに行きましょう!」

いろは(実は最初からこれが狙いだったり)キラッ

めぐり「あっ。比企谷くんにいろはちゃん!」

いろは(げぇっ)

八幡「めぐり先輩。お久しぶりです」

めぐり「久しぶりー。それはそうと比企谷くん。今日が何の日か知ってる?」

八幡「もちろんですよ。ハロウィンでしょう?」

いろは(さっきまで忘れてた癖に)

いろは(それより、早くめぐり先輩を帰さねば。今日一日、
先輩は私が独占するって決めてるんだから)

めぐり「それじゃあ比企谷くん!トリックオアトリート!」

いろは「あぁ、駄目ですよめぐり先輩。この先輩はお菓子なんて・・・」

八幡「はい」ポッキー

いろは「あるんじゃないですかぁ!」

めぐり「わーい」

いろは「さっき菓子なんぞないって言ってたじゃないですか!」

八幡「お前にやる菓子なんぞないってことだよ」

いろは「なんでですかぁ!」

八幡「だってあれ俺のだし」

いろは「えっ、えぇ!?」

めぐり「えっと・・・私は、どうしたらいいかな?」

八幡「そのポッキーはもうめぐり先輩に・・・あ、いや、そうすると戸塚の分が・・・
クソっ。こうなると解ってたら・・・」

めぐり「あ、じゃあ私は遠慮しとくよ」

八幡「いや、一度あげた手前・・・」

いろは「じゃあ丁度二袋ありますし、半分こ。というのはどうでしょう」

八幡「すいません、めぐり先輩。それでいいですか?」

めぐり「あ、うん。一袋だけ貰って行くね?ありがとー!」タッ

いろは「・・・」

八幡「・・・」

いろは「私の分がないじゃないですかぁ!」

八幡「だから元からねぇって」

ろは(何だろう・・・流石にこれは私の扱いがひどいのでは・・・)

いろは(もしかして、私の優先順位、結構低い?)

いろは(・・・普通に傷付く・・・)

いろは(これはもうデートに誘っている場合ではないのでは)

いろは「先輩!先輩がお菓子をくれないというならこっちにも考えがありますよ!」

八幡「んだよ」

いろは「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!」

八幡「・・・」

いろは「というわけで!」ガバッ

八幡「うおっ」サッ

いろは「ちょっと避けないでくださいよー『いたずら』できないじゃないですかー」ハァハァ

八幡「あの、一色さん?今あなたどんな眼してるか解ってる?」

いろは「お菓子くれないならおとなしく『いたずら』されてくださいよー」ハァハァ

八幡(まずい!何をされるかわからないが何かをされる!!)

八幡「トリックオアトリート!」

いろは「・・・ん?」

八幡「ほら、お前だけってのも不公平だろ」スッ

いろは「はぁ・・・まぁ私は普通に持ってますし別にいいですけど。はい、りんご味です」ガサゴソスッ

八幡「おう、ありがとな」スッ

いろは「それじゃあ・・・」

八幡「はい」スッ

いろは「?何ですか?りんご味イヤなんですか?」

八幡「いやほら。このお菓子やるから。いたずらすんな」

いろは「・・・」

八幡「・・・」

いろは「ひぐっ」ブワッ

八幡「!?」

いろは「うっ、うっ」グスッ

八幡(え、泣いた?いやいや泣いてない。いや泣いた?え?)

いろは「先輩!」

八幡「ハイッ」

いろは「そりゃあ先輩はこういうイベント事はあんまり好きじゃないのかもしれないですけど!
この扱いは酷くないですか!?」

八幡「い、いや待て一色。実はだな・・・」

いろは「もー怒りましたからね!いたずらしちゃいますからね!」ガバッ

八幡「うおっ」ドサッ

いろは「覚悟してくださいよ!」

八幡(馬乗り涙目いろはす超絶エロ可愛い・・・じゃなくて!まずい!カバンが!)サッ

いろは「今、何か隠しましたか?」

八幡「ギクッ」

いろは「さてはエッチな本ですね!見せてください完全再現してあげますよ!」バッ

八幡「ばっ、ちょっ・・・」

いろは「・・・・・・お菓子」

いろは(しかも結構な数・・・何?なんで?)

いろは「・・・?」

八幡「・・・」

いろは「・・・」

八幡「・・・」

いろは「・・・これ、私と奉仕部のお二人の分ですよね」

八幡「その、あのだな」

いろは「恥ずかしかったんですか?」

八幡「いや」

いろは「ハロウィンにノリノリだと思われるのも、素直に渡したりするのが
恥ずかしかったんですよね?」

八幡「・・・」

いろは「ですからハロウィンなんて今日気付いた振りしたんですよね?」

八幡「・・・・・・そうだよ」

いろは「もー♪」

八幡「・・・ぐっ」

いろは「もーもーもーもー♪先輩はほんっとにめんどくさいですねぇ♪」ベンベン

八幡「うるっせ早く退け!」

いろは「はーい♪」

八幡(くっそこうなるなら最初から素直に渡しときゃ良かった・・・
こいつ相手に意地張ってもいいことなんもないな)

八幡「しっかしまぁ・・・

いろは「?」

八幡「よくもこんなめんどくさい奴と絡むよな。お前」

いろは「んー?」

八幡(今回ばかりはいつも以上にめんどくさい奴だったと自負しているぞ俺は)

いろは「んー、まぁ、そういう所も、好きですから」

八幡「えっ」ドキッ

いろは「それじゃ、お菓子一つ貰って行きますね?先輩!ハッピーハロウィン!」タッ

八幡(・・・そういう所『も』。か・・・)

八幡(もう少し、素直に生きてみてもいいのかね・・・)

八幡「・・・ハッピーハロウィン」



-終-


以上になります。

なんとかハロウィン当日に間に合って良かったです。

読んでくれてありがとうございました。

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