文香「読書の秋ですね……」茜「ああ~! 良いですね~!」 (10)

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文香「秋と言えば読書の秋……。普段は運動に励んでいる茜さんも、今日は読書を嗜んでみてはいかがでしょうか……」

茜「ああ~! 文香ちゃんらしくて良いですね~! 文香ちゃんと言えば読書! 読書と言えば文香ちゃん! くぅ~! 素晴らしいです!」

文香「……? ……ありがとうございます。仰ってる意味はよく分かりませんが、褒められていると解釈させていただきます」

茜「勿論です! さぁ文香ちゃん! 今日は何をしますか!? 読書ですか!? それとも走りますか!?」

文香「先程も言ったように、今日は茜さんにも読書を嗜んでいただきたいと思います……。そこで、勝手ながら茜さんに相応しいと思う本を用意させてもらいました……」

茜「私に相応しい本! なんでしょうか!」

文香「『走れメロス』という短編小説です。普段読書をなさらない茜さんにも読みやすく、また……内容も茜さんが好む物ではないかと思います……」

茜「走れメロス! 素晴らしいですね~! タイトルが素晴らしいです! 走れ、というのが良いですね! 思わず走りたくなってしまいます!」

文香「気に入っていただけたようで、大変嬉しく思います……。では、今日は二人で……」

茜「走りますか!?」

文香「いえ……今日は二人で読書をして過ごそうかと……」

茜「なるほど! 今日は本の中で走れと、そういう事ですね!?」

文香「……? はい、そういう事です……」

茜「では全力で読みますよー!」

茜「『メロスは激怒した!』 文香ちゃん! いきなりメロスが怒っていますよ!? いったい何が起きたんでしょう!?」

茜「『必ず、邪智暴虐の王を除かねばならぬと決意した』。くぅ~! 邪智暴虐! 悪い奴ですね文香ちゃん! ところで、邪智暴虐ってなんですか?」

文香「悪い事ばかりに知恵を働かせ……、暴力や残忍なやり方で人々を苦しめる事です……」

茜「なるほど!」

文香「あの……茜さん。読書というのは基本的に一人で嗜むものですから、声に出して読む必要はありません。それに、私はその本は既に何回も読んでしまっているので……」

茜「なるほど! わかりました!」

文香「では、私も自分の本を読むので……」

茜「……」ペラッ

文香「……」ペラッ

茜「………」

文香「………」ペラッ

茜「……走りますか!」

文香「……? もう読んでしまわれたのですか? まだ読み始めて数分程しか経っていないように感じるのですが……」

茜「いえ! メロスが出発したので、私も出発しなくては、と思ったんです! さぁ、行きましょう文香ちゃん!」

文香「あの……どちらへ……?」

茜「分かりませんが、とにかく出発です!」

文香「……やはり、茜さんは読書の秋よりも、スポーツの秋を好まれるのですね……」

茜「はい! 私はスポーツの秋の方が好きですね! 文香ちゃんは読書の秋! 私と文香ちゃんで今ここに2つの秋があります!」

文香「同じ秋でありながら、私と茜さんの秋は違うものなのですね……。それなのに私は自分の趣味を茜さんに押し付けてしまいました……。申し訳ありません……」

茜「? どうして謝るんですか?」

文香「それは……私が茜さんの楽しみであるスポーツを奪い、読書を押し付けようとしていたからで……」

文香「私は……運動が苦手です……。茜さんと秋を楽しもうにも、運動が苦手なので、茜さんの体力には到底合わせられません……。ですので、私の趣味である読書を一緒に楽しめれば、と考えたのですが……」

茜「何を言っているんですか文香ちゃん! 私は充分楽しんでいますよ! それに、私がスポーツで文香ちゃんが読書だからといって、一緒に楽しめないとは限りません!」

文香「しかし……」

茜「私に良い考えがあります!」




文香「……そうしてメロスは自分の村を出発するのですが、先程の豪雨で川は氾濫し、唯一の橋も流されてしまっていたのです……」

茜「早速のピンチですか! メロスはどうしたんでしょうか!? 飛び込みましたか!?」タッタッタ……

文香「はい……メロスは百匹の大蛇のように波ののたうつ川に飛び込み、見事これを渡りきったのです……」

茜「くぅ~! 流石メロスですね! 痺れます! 私も今から泳ぎたい気分です!」タッタッタ……

文香「しかし、川を渡り峠を登りきったメロスの前に……」

文香「……あの、茜さん」

茜「なんでしょうか!?」タッタッタ…

文香「重くはないでしょうか……?」

茜「いいえ! 文香ちゃんは軽いですね~! このまま事務所まで背負って行きましょうか!」

文香「いえ、皆に見られるのは気恥ずかしいので……出来れば事務所の前で降ろしていただきたいです……」

茜「そうですか! わかりました!」タッタッタ…

文香「それにしても、茜さんが私を背負って走り、私が茜さんに本の話をするというのは、私にはない斬新な発想ですね……。確かにこれなら、2つの秋を同時に楽しむ事が出来ます……」

茜「成せば成る! 成さねば成らぬですよ文香ちゃん!」タッタッタ……

茜「さぁ文香ちゃん! 続きを聞かせてください! メロスの前に何が現れたんですか!? 怪獣ですか!? 宇宙人ですか!?」タッタッタ……

文香「いえ、メロスの前に現れたのは一隊の山賊で、実はこの山賊達は王から命を受けて………………」




終わり

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